JP6971457B2 - 屋根防水システムの改修方法 - Google Patents
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Description
この従来技術は、ネジ部材の貫通箇所が、防水下地の下方空間から見えないようにするために、デッキプレートの山部を構成するフランジ部にネジ部材が取り付けられるようにすると共に、前記フランジ部の下方側に、下方からの視線を遮る目隠し部が設けられていた。
新築時に、前記断熱材を敷設する前に、鋼板の裏面部に左右側部と底部とを有する溝形部材を前記防水下地側に突出する状態で連結することで前記左右側部と前記底部と前記裏面部とによって溝状の空間を形成し、前記溝形部材が連結された複数の前記鋼板を、前記溝形部材が前記防水下地における隣り合う山部の間に位置する谷部に入り込む状態かつ前記鋼板が前記隣り合う山部に亘る状態で、前記山部の延び方向において間隔をあけて設置するとともに前記隣り合う山部に固定し、
改修時に、前記防水シート及び前記断熱材をそのまま残した状態で、前記防水シートよりも上側に、複数の改修用シート固定具を、前記鋼板の設置位置に対応する位置に点在配置してビスによって前記防水シート及び前記断熱材越しに前記鋼板に固定し、前記防水シートよりも上側に敷設された改修用防水シートを前記改修用シート固定具によって前記防水下地に固定するところにある。
即ち、波型の防水下地にシート固定具を固定するにあたり、従来のように、山部にシート固定具固定用のネジ部材を取り付ける必要が無くなる。
更には、鋼板が、隣り合う山部にわたって固定されているから、山部の補強を鋼板によって実現することができ、防水下地全体としての強度アップを図ることができる。
そして、防水シートの改修工事の際には、防水下地の下方空間は、既に、使用されていることが多いから、前記ネジ部材の穿孔によって発生する切粉が前記下方空間に落下することは防止する必要がある。
本発明によれば、ネジ部材の穿孔は、防水下地の隣り合う山部に亘って固定された鋼板を対象に実施できるから、穿孔に伴う切粉は、隣り合う山部の間に位置する谷部によって受け止められ、前記下方空間に落下することが防止される。
従って、鋼板に取り付けられるシート固定具の支持強度、更には、シート固定具に固定された防水シートの支持強度を、共に向上させることができる。
更には、鋼板上に設置された断熱材に対する支持強度も向上する。
また、鋼板に取り付けられるシート固定具固定用のネジ部材を、溝型部材の底部にも達するまで螺進を深めて螺合させると、鋼板と底部との二箇所で支持されるから、ネジ部材の軸芯方向に沿った外力のみならず、ネジ部材の径方向に沿った外力にも強力に対抗でき、シート固定具の支持強度を更に向上させることができる。
図1、図2は、新築時の屋根防水システムの適用例を示している。
屋根R0は、例えば、デッキプレートや折板屋根等、断面形状が波型である金属下地(防水下地の一例)1の上に、ボード状の断熱材2が敷き並べられ、その断熱材2の上に、防水シート3が敷設して構成されている。
因みに、シート固定具4は、金属製の円板で構成され、その中央部分に挿入したビス4aを用いて金属下地1に固定されている(図2参照)。
また、これらとは別の方法としては、図には示さないが、断熱材2の上に敷設した防水シート3の上にシート固定具4を配置して、ビス4aを用いて金属下地1に固定することで押え固定し、その上から、シート固定具4よりも一回り大きな寸法に加工された防水パッチ(防水シート3と同素材で構成されている)を被せて、周囲を防水シート3に接着する方法が挙げられる。
これら、何れの方法によっても防水シート3を固定することができるが、ここでは、上述のホットメルト接着層4bを溶融させる接着方法を例に挙げて説明している。
山部5と谷部6とは、同じ幅寸法に形成してある。
尚、図には示していないが、金属下地1は、山部5(谷部6)の長手方向(尾根方向、山部の延び方向)Yでの適宜箇所において、梁等の支持部材の上に固定されており、金属下地1の下面は、下方の室内空間Vに露出した状態となっている。
因みに、鋼板8の平面位置は、前記シート固定具4を設置する平面位置を前提に設定されており、当該実施形態おいては、各シート固定具4の設置ピッチは、金属下地1の鋼板8の平面位置に合わせて設定されており、シート固定具4は、鋼板8の幅方向(前記山部5と谷部6との連設方向X)のほぼ中央線上の何れかの箇所に、ビス4aを使用して固定されている。また、鋼板8の厚み寸法は、金属下地1の厚み寸法と同じ寸法に設定してある。
そして、シート固定具4を金属下地1に固定しているビス4aは、溝型部材9の対向する両溝壁部9a,9b(溝形部材9の左右側部)の間の空間(溝状の空間)で、鋼板8と溝底部9c(溝形部材9の底部)との間に先端が位置する状態で取り付けられている。つまり、ビス4aは、鋼板8とのネジ嵌合力のみによって金属下地1に固定されている。
鋼板8は、前記長手方向Yに間隔をあけてそれぞれ固定する。また、鋼板8の裏面側には、予め、前記溝型部材9が固着されている。
尚、鋼板8をビス4aで穿孔する際に生じる切粉Kは、図2に示すように、溝型部材9の溝底部9cによって受け止められており、谷部6や、下方の室内空間Vへの落下が防止されている。
また、鋼板8に対するシート固定具4の配置関係は、溝型部材9の範囲であれば、何れの位置であってもよいが、当該実施形態においては、後述する改修工事の際に改修用シート固定具40を設置するために、鋼板8に対して前記長手方向Yにおける一端側に偏芯させた位置に設置してある(図1参照)。
このように形成された屋根防水も、防水シート3の経年劣化や、風等によって防水シート3が捲れ上がる等の理由によって、新しく改修用防水シート30を敷設(改修工事)しなければならなくなることがある。
以下に、改修時の屋根防水システムについて説明する。
図3、図4は、改修時の屋根防水システムの適用例を示している。
改修された屋根R1は、前記金属下地(防水下地の一例)1、断熱材2、防水シート3、シート固定具4等、改修前の屋根R0は、そのまま残した状態で、その上に、改修用シート固定具40、改修用防水シート30を設置することで構成されている。
また、シート固定具4、及び、改修用シート固定具40についても同種の部材を使用してあり、ここでは、金属製の円板で構成され、上面にホットメルト接着層40bが設けられたものを使用している。
因みに、改修用シート固定具40も、前述のシート固定具4の場合と同様に、中央部分に挿入したビス40aを用いて金属下地1の鋼板8に固定されている。
また、改修用シート固定具40に対する改修用防水シート30の固定方法に関しても、前述のシート固定具4に対する防水シート3の固定と同じ方法で実施されている。
鋼板8に対する改修用シート固定具40の配置関係は、溝型部材9の範囲であれば、何れの位置であってもよいが、当該実施形態においては、先に設置されているシート固定具4との干渉を避けるために、鋼板8に対して前記長手方向Yにおける他端側に偏芯させた位置に設置してある(図3参照)。
尚、鋼板8をビス40aで穿孔する際に生じる切粉Kは、図4に示すように、溝型部材9の溝底部9cによって受け止められており、谷部6や、下方の室内空間Vへの落下が防止されている。
当該実施形態の屋根防水システムの改修方法によれば、新築時、改修時を通して、波型の金属下地1における山部5及び谷部6の何れにもビス4a,40aを取り付けないから、ビス貫通穴による断面欠損が無く、金属下地1としての所定の強度を維持することができる。
また、隣り合う山部5にわたって鋼板8を固着してあるから、金属下地1全体としては、鋼板8による補強効果を見込むことができると共に、断熱材2を鋼板8で支持できるから、断熱材2の踏抜けの防止効果をも期待できる。
そして、鋼板8に対するビス4a,40aの螺着に伴って生じる切粉Kは、溝型部材9によって受け止めることができ、前記室内空間Vや、谷部6に落下するのを防止できる。
以下に他の実施の形態を説明する。
また、防水シート3,30に関しては、新築時の防水シート3と、改修時の改修用防水シート30とは、必ずしも同種のものでなくてもよい。
また、シート固定具4,40に関しても、新築時のシート固定具4と、改修時の改修用シート固定具40とは、必ずしも同種のものでなくてもよい。
更には、シート固定具4,40は、先の実施形態で説明した円板形状のものに限らず、例えば、楕円板形状や、矩形板形状や、多角形板形状や、帯板形状等であってもよい。
例えば、ホットメルト接着層4b,40bに替えて、接着材をシート固定具4,40の上面に塗布した状態で防水シート3,30を被せて接着する方法や、敷設した防水シート3,30の上にシート固定具4,40を配置して、ビス4a,40aを用いて金属下地1に固定することで押え固定し、その上から、シート固定具4,40よりも一回り大きな寸法に加工された防水パッチを被せて、周囲を防水シート3,30に接着する方法であってもよい。
また、防水下地1への鋼板8の固定位置は、先の実施形態で説明したように、山部5の長手方向Yに間隔をあけて設けるものに限らず、例えば、山部5の全長(又は、ほぼ全長)にわたって連続する状態に設けてあってもよい。その際、複数の鋼板8を間隔をあけずに隣接させて山部5の全長(又は、ほぼ全長)にわたって設けたり、山部5の全長に合わせて長さ設定した単一の鋼板8を、山部5の全長(又は、ほぼ全長)にわたって設けてあってもよい。このような構成によれば、断熱材2の踏抜き防止効果が向上すると共に、シート固定具4,40の配置上の自由性が高まる。そして、鋼板8による防水下地1の補強効果も更に向上する。
尚、先の実施形態においては、鋼板8の裏面に溝型部材9を設けてある例を説明したが、溝型部材9を設けてない構成であってもよい。
また、鋼板8に対する溝型部材9の取付姿勢は、先の実施形態のように、前記山部5の長手方向Yに溝型部材9の長さ方向が沿う姿勢に限らず、例えば、図6に示すように、前記連設方向Xに溝型部材9の長さ方向が沿う姿勢に取り付けてあってもよい。
また、シート固定具4,40を鋼板8にビス4a,40aで取り付ける際、図7に示すように、鋼板8と溝型部材9との両方に螺着させることも可能で、この場合は、ビス4a,40aは、鋼板8と溝型部材9の溝底部9cとの二箇所で支持されるから、ビス4a,40aの軸芯方向に沿った外力のみならず、ビス4a,40aの径方向に沿った外力にも強力に対抗でき、シート固定具4,40の支持強度を更に向上させることができる。
また、溝型部材9は、先の実施形態で説明した金属製の部材であることに限らず、例えば、合成樹脂製や木製や紙製等の部材であってもよい。この場合は、前述した各効果のうち、強度向上に係る効果は、金属の場合に比べて低くなるものの、軽量化を図ることが可能となる他、切粉Kの受止め効果に関しては、金属の場合と同様に発揮することができる。
また、溝型部材9を金属で構成する場合、鋼板8に対する接合方法としては、先の実施形態で説明した溶接に限るものではなく、例えば、ボルト固定や、リベット固定や、圧接固定、接着固定等であってもよく、要するに、剛接合できるものであればよい。
図8に示す鋼板8は、裏面側に、素材の切起こしによって形成された一対の係止部8aが設けられており、この係止部8aに、溝型部材9の開放側の両縁部に形成した被係止部9dを係止させることで鋼板8に溝型部材9を取り付けてある。
係止部8aは、図8に示すように、鋼板8の幅方向での中央よりも両側方によった位置にそれぞれ設けてあり、両係止部8aの開口kどうしが対向する状態に配置されている。
また、係止部8aは、鋼板8における前記長手方向Yに間隔をあけた複数個所に設けてある。
溝型部材9は、両溝壁部9a,9bにおける上縁部を、溝幅方向での外側へそれぞれ延出させて前記被係止部9dが形成してある。
係止部8aへの被係止部9dの係止操作は、鋼板8の前記長手方向Yの一方側に溝型部材9を配置した状態で、前記係止部8aの開口kに、被係止部9dを位置合わせし、溝型部材9を前記長手方向にスライドさせることで、被係止部9dが係止部8aの開口kに進入して係止状態にすることができる。溝型部材9は、このように、鋼板8の裏面側に取り付けられている。
また、鋼板8に溝部8Aを設ける他の例としては、図9に示すように、溝部8A内に嵌合させて鋼板8と一体化が可能な詰め部材8Bを設けることもできる。図9に示す実施形態においては、溝部8Aは、アリ溝形状であり、詰め部材8Bは、アリ溝の溝部8Aに内嵌するように金属板を略台形形状に屈曲形成して構成してある。
但し、溝部8Aや、詰め部材8Bの構成は、これに限るものではなく、形状や嵌合形式等、適宜変更することができる。例えば、溝部8Aは、アリ溝形状に限らず、溝開口側も溝底側も、同じ幅寸法の矩形形状であったり、溝開口側の幅寸法が、溝底側の幅寸法より大きい上下逆台形形状等であってもよく、その場合の詰め部材8Bも、溝部8Aの形状に合わせて変形することが可能である。また、溝部8Aに対する詰め部材8Bの取り付けに関しては、嵌合のみならず、係止や係合によってもよい。
また、シート固定具4を鋼板8に固定するビス4a,40aは、詰め部材8Bのみに螺着させたり、詰め部材8Bと溝部8Aとを貫通する状態で両方に螺着させるものであってもよい。
2 断熱材
3 防水シート
4 シート固定具
5 山部
8 鋼板
9 溝型部材
Claims (3)
- 断面形状が波型である金属製の防水下地と、前記防水下地上に敷設された断熱材と、前記断熱材よりも上側に配置された状態で前記防水下地に固定された複数のシート固定具と、前記断熱材上に敷設され、前記シート固定具に固定された防水シートと、が新築時に備えられた屋根防水システムの改修方法であって、
新築時に、前記断熱材を敷設する前に、鋼板の裏面部に左右側部と底部とを有する溝形部材を前記防水下地側に突出する状態で連結することで前記左右側部と前記底部と前記裏面部とによって溝状の空間を形成し、前記溝形部材が連結された複数の前記鋼板を、前記溝形部材が前記防水下地における隣り合う山部の間に位置する谷部に入り込む状態かつ前記鋼板が前記隣り合う山部に亘る状態で、前記山部の延び方向において間隔をあけて設置するとともに前記隣り合う山部に固定し、
改修時に、前記防水シート及び前記断熱材をそのまま残した状態で、前記防水シートよりも上側に、複数の改修用シート固定具を、前記鋼板の設置位置に対応する位置に点在配置してビスによって前記防水シート及び前記断熱材越しに前記鋼板に固定し、前記防水シートよりも上側に敷設された改修用防水シートを前記改修用シート固定具によって前記防水下地に固定する屋根防水システムの改修方法。 - 前記溝型部材は、金属製であって、前記鋼板に剛接合されている請求項1に記載の屋根防水システムの改修方法。
- 前記鋼板の裏面に、前記溝型部材の開放側の両縁部をそれぞれ係止自在な一対の係止部が設けられている請求項1に記載の屋根防水システムの改修方法。
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