JP6970955B2 - 幼少期投与用の肥満及び/又は肥満関連腎症予防組成物、幼少期投与用の肥満及び/又は肥満関連腎症予防薬、食品、並びに肥満及び/又は肥満関連腎症を予防する方法 - Google Patents
幼少期投与用の肥満及び/又は肥満関連腎症予防組成物、幼少期投与用の肥満及び/又は肥満関連腎症予防薬、食品、並びに肥満及び/又は肥満関連腎症を予防する方法 Download PDFInfo
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Description
米タンパク質の調製法としては、精白米や米粉にアルカリ溶液を加えて抽出されるタンパク質を酸沈殿させ、これを回収する方法(アルカリ抽出米タンパク質)等が公知であり、このような方法により調製されたアルカリ抽出米タンパク質は、タンパク質利用効率がカゼインに匹敵することが報告されている。
また、米タンパク質は、すでにコレステロール低下作用、脂質代謝改善効果をはじめとする抗肥満効果、並びに糖尿病性腎症の症状軽減効果が報告されている(例えば、非特許文献1、2)。
例えば、特許文献3では、米胚乳タンパク質の摂取が血清尿酸値を低下させることが報告されている。
(2)上記(1)に記載の組成物を含む、幼少期投与用の肥満及び/又は肥満関連腎症予防薬。
(3)上記(1)に記載の組成物を含む幼少期投与用の肥満及び/又は肥満関連腎症予防食品。
(4)上記(1)に記載の組成物、上記(2)に記載の予防薬又は上記(3)に記載の食品を幼少期の被検体に投与することを含む、肥満及び/又は肥満関連腎症を予防する方法。
本発明の幼少期投与用の肥満及び/又は肥満関連腎症予防組成物を含む食品は、予後の肥満及び肥満関連腎症を低減ないし予防することができる乳幼児用又は小児用食品とすることができる。
本発明の幼少期投与用の肥満及び/又は肥満関連腎症予防組成物は、米タンパク質の用途を拡大することができ、健康機能に優れた該組成物が利用できる広い世代に向けた食品の用途拡大が期待され、国民の健康保持・増進を図ることができる。
本明細書において、幼少期とは、狭義の幼少期(幼児期)のみならず、乳児期をも含むことができる、ヒトの場合、幼少期の下限値としては、満0歳以上であってもよいが、消化性、アレルギー性等の観点から満1歳以上であることが好ましく、満2歳以上であることがより好ましく、満3歳以上であることが更に好ましく、満4歳以上であることが特に好ましい。
ヒトの場合、幼少期の上限値としては、高脂肪食が習慣化しがちになる前に、第1の実施態様に係る組成物を習慣的に摂取して本発明の効果をより確実に達成する観点から、満13歳以下であることが好ましく、満12歳以下であることがより好ましく、満11歳以下であることが更に好ましく、満10歳以下であることが特に好ましく、満9歳以下であることが最も好ましい。
また、マウス(例えば、C57BL/6Jマウス)の場合、幼少期の下限値としては、4週齢以上であることが好ましく、5週齢以上であることがより好ましい。
幼少期の上限値としては、10週齢以下であることが好ましく、9週齢以下であることがより好ましい。
本明細書において、予防とは、予後(例えば、ヒトの場合、満13歳を超える学童期、青年期ないし成年期以降)の肥満及び肥満関連腎症を低減ないし予防を意味する。
また、マウスの場合、予後としては、10週齢を超える週齢が挙げられる。
肥満は、体重、肝臓重量、各種臓器の脂肪重量(例えば、皮下脂肪、精巣上体脂肪、腸間膜脂肪、後腹膜脂肪、褐色脂肪、総脂肪等)、収縮期血圧、血中総コレステロール濃度、血中LDL−コレステロール濃度、血中ヘモグロビンA1c、及び血清レプチン濃度よりなる群から選択される少なくとも1つを指標として特徴付けられる症状ということができる。
肥満関連腎症の例としては、例えば、肥満に伴うエネルギー過剰と代謝亢進状態、また内臓脂肪の増加により脂肪細胞からの産生ないし分泌されるアンジオテンシノーゲンが亢進し、レニン・アンジオテンシン系の活性化から糸球体過剰濾過と糸球体高血圧を引き起こし、肥満関連腎症を発症する例が挙げられる。
肥満関連腎症は、体重、腎臓重量、尿中アルブミン量及び腎臓組織の空胞面積、糸球体面積及びメサンギウム基質よりなる群から選択される少なくとも1つを指標として特徴付けられる症状ということができる。
肝臓重量が肥満の指標になり得る理由は、肥満になると肝臓に脂肪が蓄積され脂肪肝になり、肝臓重量が増加し得るからである。
各種臓器の脂肪重量(例えば、皮下脂肪、精巣上体脂肪、腸間膜脂肪、後腹膜脂肪、褐色脂肪、総脂肪等)が肥満の指標になり得る理由は、肥満になると各種臓器に脂肪が蓄積されるからである。
「収縮期血圧」が肥満の指標になり得る理由は、肥満になると過剰分泌されたインスリンにより、腎尿細管でのナトリウムの再吸収が亢進するため、血液中ナトリウムが増加する。それを薄めようと血管内に水分が流動し、全体の血液量が増えることで血圧が上昇するからである。
「血中総コレステロール濃度」が肥満の指標になり得る理由は、「血中総コレステロール濃度」が脂質代謝異常の指標であり、高値である場合、その原因の一つとして肥満が挙げられるからである。
「LDL(低比重リポタンパク質)−コレステロール濃度」が肥満の指標になり得る理由は、LDL−コレステロールが、悪玉コレステロールとして知られ、脂質代謝異常の分類として高LDL−コレステロール血症が挙げられるからである。
「ヘモグロビンA1c」が肥満の指標になり得る理由は、「ヘモグロビンA1c」が糖尿病と密接な関係を有し得、グリコヘモグロビンの1種であり、肥満者は耐糖能異常や空腹時高血糖を伴いやすく、糖尿病に移行しやすい(肥満2型糖尿病)からである。
「腎臓重量」が肥満関連腎症の指標になり得る理由は、糖尿病性腎症等の肥満関連腎症の初期病変として腎肥大形成が起こるとされるからである。
「尿中アルブミン量」が肥満関連腎症の指標になり得る理由は、腎機能診断を評価する場合に、尿中アルブミン量を指標にして腎機能を評価するからである。
「腎臓組織の空胞面積(比率)」が肥満関連腎症の指標になり得る理由は、球状空胞が一種の細胞障害であり、細胞が障害を受けたときに、比較的初期に見られる可逆的変化であり、腎臓組織の球状空胞が腎障害指標の1つであるからである。
「糸球体面積」が肥満関連腎症の指標になり得る理由は、肥満関連腎症の組織学的な特徴として糸球体肥大が認められるからである。
「メサンギウム基質」が肥満関連腎症の指標になり得る理由は、腎障害でみられる代表的な組織変化の一つであり、腎臓の組織障害の程度を腎糸球体におけるメサンギウム基質領域の面積比の増加により評価するからである。
C57BL/6Jマウスは、食餌性肥満(Diet−Induced Obesity)モデルで最も一般的に使用される系統であり、肥満に関する表現型の多くを発現し、ヒトに類似した代謝疾患、高脂血症、高レプチン症等を発症し得る。
C57BL/6Jマウスは、Mus musculus domesticusを起源とする一般的な近交系実験用マウスであり、遺伝背景が確立されていて絶えることなく継代が可能である。このC57BL/6Jマウスは実験動物供給業者から容易に入手することができる。
ヒトの幼少期に対応する期間として、C57BL/6Jマウスの場合、4〜10週齢が挙げられる。
ヒトの学童期ないし青年期以降に対応する期間として、C57BL/6Jマウスの場合、10週齢を超える週齢が挙げられる。
第1の実施態様に係る幼少期投与用の肥満及び/又は肥満関連腎症予防組成物は、米タンパク質を有効成分として含む。
(米タンパク質)
米タンパク質としては、米由来のタンパク質である限り特に制限はないが、米胚乳タンパク質であることが好ましい。
米胚乳タンパク質の由来である米の品種等は、米胚乳タンパク質を抽出できれば特に限定されない。米胚乳タンパク質を抽出しようとする米は、精白米や玄米を利用できる。
米胚乳に含まれるタンパク質の主要成分としては易消化性のグルテリン、グロブリン、アルブミン、難消化性のプロラミン等が挙げられる。
米又は米粉から抽出する方法としては、米又は米粉をアルカリ性溶液に浸漬することにより抽出し、抽出液を中和して凝集する沈殿として回収する方法、米又は米粉にアミラーゼを作用させて澱粉質を加水分解した後に残存する成分を回収する方法等が挙げられる(例えば、特開2006−273840号公報)。
精白米を用いる場合にはアルカリ溶液に浸漬することでタンパク質の一部が抽出される。浸漬した米を湿式磨砕等により粉砕すると、米の組織中に含まれるタンパク質も抽出されるため、回収率を高めることができる。米粉を用いる場合には、米粉をアルカリ溶液中に1時間〜1昼夜浸漬することでタンパク質が高効率で抽出される。
第1の実施態様に係る組成物の形態としては、米タンパク質を有効成分として含んでいる限り特に制限はなく、米菓組成物、粉(パウダー)、液体(例えば、飲料)、サプリメント等の食品、医薬品等が挙げられ、米そのものであってもよい。
例えば、第1の実施態様に係る組成物の形態が米である場合、米を通常の主食として幼少期に摂取することにより肥満及び/又は肥満関連腎症を予防することができる。
ここで、米菓組成物とは、米粒又は米粉を原料として製造される米菓の少なくとも一部を組成する組成物である。米菓組成物としては、米又は米粉を原料とした例えば、せんべい類、ライスクラッカー類、あられ類、おかき類、かきもち、ライススナック、シリアルなどが挙げられる。
第1の実施態様に係る組成物の摂取期間は長いことが好ましく、幼少期全体に亘って摂取することが好ましく、半年以上継続的に摂取することが好ましく、1年以上継続的に摂取することがより好ましく、2年以上継続的に摂取することが更に好ましく、3年以上継続的に摂取することが特に好ましい。
第1の実施態様に係る組成物は、本発明の効果をより確実に達成する観点から、幼少期の摂取頻度が高いことが好ましく、幼少期に、1週当たり3日以上摂取することが好ましく、1週当たり5日以上摂取することがより好ましく、1週当たり毎日摂取することが特に好ましい。
第1の実施態様に係る組成物は、幼少期に継続して摂取されることが好ましい。継続するとは、特定の投与間隔で投与されることを意味する。第1の実施態様に係る組成物は、幼少期に、1日当たり1〜5回摂取することが好ましく、1日当たり2〜4回摂取することがより好ましく、1日当たり毎食摂取することが特に好ましい。
摂取方法は、食間又は食前など空腹時に摂取してもよい。
第2の実施態様に係る幼少期投与用の肥満及び/又は肥満関連腎症予防薬は、第1の実施態様に係る組成物を含む。
第2の実施態様に係る予防薬に公知の可塑剤等を配合して、任意の製剤に調製できる。本発明の効果を奏しやすいという観点から、第2の実施態様に係る予防剤を含む医薬品を、経口投与製剤として調製することが好ましい。
患者の年齢、症状により適宜投与方法を選択することができる。その投与量は、年齢、投与経路、投与回数により異なり、当業者であれば適宜選択できる。
経口投与した場合の投与量としては特に制限はないが、一般的には一回につき体重1kgあたり0.1μg〜1g程度の範囲である。
第3の実施態様に係る幼少期投与用の肥満及び/又は肥満関連腎症予防食品は第1の実施態様に係る組成物を含む。
第1の実施態様に係る組成物において例示した食品の他、焼き菓子、ゼリー状食品、スープ類、お粥等が挙げられる。
第3の実施態様に係る食品は、幼少期投与用であることから、乳幼児用又は小児用食品であることが好ましい。乳幼児用又は小児用食品としては、粉ミルク、離乳食、お粥、おやつ等が挙げられる。
第4の実施態様に係る肥満及び/又は肥満関連腎症を予防する方法は、第1の実施態様に係る組成物、第2の実施態様に係る予防薬又は第3の実施態様に係る食品を幼少期の被検体に投与することを含む。
被検体としては、動物が挙げられ、ヒト、ブタ、ウシ、マウス、ラット等の哺乳類が好ましい。
投与方法としては、特に制限はないが経口投与が好ましい。
被検体の年齢、症状により適宜投与方法を選択することができる。その投与量は、年齢、投与経路、投与回数により異なり、当業者であれば適宜選択できる。
経口投与した場合の投与量としては特に制限はないが、一般的には一回につき体重1kgあたり0.1μg〜1g程度の範囲である。
国産精白米由来の米粉(製品名「パウダーライスDK」、新潟製粉株式会社製)50kgを、200Lの0.2%水酸化ナトリウム溶液に懸濁して20℃で一夜放置した。得られた懸濁液を、遠心分離機(製品名「H−130I」、株式会社コクサン製)に、流速約5L/分で給液し、回転数1,400rpmで遠心分離した。流出する遠心上清を集め、これを再度同一条件にて遠心分離を行うことにより澱粉粒が除去されたタンパク質抽出液を得た。この抽出液に6N塩酸を添加してpHを5.5に調整した。タンパク質の凝集体を上記の条件で遠心分離により回収し、100Lの水に懸濁した後に、同様の遠心分離操作をもう1度実施して湿タンパク質を得た。これを30Lの水に懸濁し、80℃で30分加熱殺菌後にホモジナイズを行い、噴霧乾燥することにより米タンパク質粉末(タンパク質純度90%)を得た。該米タンパク質粉末が米タンパク質(米胚乳タンパク質)に相当する。
下記表1に示した通常食(カゼイン含)、通常食(米タンパク質含)、高脂肪食(カゼイン含)及び高脂肪食(米タンパク質含)を準備した。
表1中のAIN−93Gミネラル混合及び改変ミネラル混合の組成を下記表2に示す。
4週齢の雄C57BL/6Jマウス40匹を用いて肥満及び/又は肥満関連腎症予防試験を行った。
図1は肥満及び/又は肥満関連腎症予防試験の概要を示す図である。
まず、図1に示したように、ヒトの幼少期に相当する4週齢〜10週齢の6週までは、通常食として、比較例1(以下CC群ともいう。)及び比較例2(以下CR群ともいう。)には通常食(カゼイン含)を、実施例1(以下RC群ともいう。)及び実施例2(以下RR群ともいう。)には通常食(米タンパク質含)を、それぞれ、給餌した。
次に、ヒトの学童期ないし青年期に相当する10週齢〜22週齢の6〜18週は、高脂肪食として、比較例1(CC群)及び実施例1(RC群)には、高脂肪食(カゼイン含)を、比較例2(CR群)及び実施例2(RR群)には、高脂肪食(米タンパク質含)を、それぞれ、給餌した。各群n=10である。
図2は、給餌期間に対する体重推移の結果を示す図である。体重の測定値は、各群n=10の平均値である。
図2に示した給餌期間に対する体重推移の結果に基づき、各群(CC群、CR群、RC群、RR群)間の体重推移の比較を下記表3にまとめる。
一方、CC群対RC群の比較から、高脂肪食給餌の開始後、8週目以降(特に10週目以降)から、RC群は、7週目以降米タンパク質を給餌していないにも関わらず、CC群に対して体重に有意差が生じていることが分かる。特に11週目以降はp<0.01水準で、14週目以降はp<0.001水準で有意差が生じていることが分かる。
したがって、幼少期に米タンパク質を含む組成物を給餌することにより予後の肥満を予防し得ることが分かる。
また、RC群対RR群の比較から、幼少期に米タンパク質を給餌し、それ以降に米タンパク質を含んでいない高脂肪食を給餌したRC群と、幼少期及びそれ以降のいずれにおいても米タンパク質を給餌したRR群との間に0〜18週にわたって有意差はあまりないことが分かる。
したがって、幼少期に米タンパク質を給餌することにより、それ以降に米タンパク質を給餌しなくても、学童期ないし青年期に米タンパク質を給餌した場合と同等の肥満防止効果が得られることが分かる。
各群の22週齢の肝臓重量、脂肪重量をペントバルビタール麻酔下(50mg/kg体重)にて十分な麻酔下にあることを確認した後に開腹し、腹部下大静脈よりシリンジを用いて全採血により安楽死を施した後、肝臓、右腹部の皮下脂肪、精巣上体脂肪、腸間膜脂肪、後腹膜脂肪および褐色脂肪を採取し重量を測定した。結果を表4に、各群間の臓器重量の比較を表5にまとめる。
各群の22週齢の収縮期血圧を非観血式血圧計(Softron社)を用いたテイルカフ法により測定した。結果を図3に示す。
図3に示した結果から明らかなように、比較例1のCC群に比べて、幼少期に米タンパク質を給餌し、それ以降に米タンパク質を含んでいない高脂肪食を給餌したRC群は、幼少期以降(学童期ないし青年期)に米タンパク質を給餌したCR群及びRR群と同等の収縮期血圧低下が有意にあったことがわかる。
したがって、幼少期に米タンパク質を給餌することにより、それ以降に米タンパク質を給餌しなくても、学童期ないし青年期に米タンパク質を給餌した場合と同等の肥満防止効果が得られることが分かる。
(血中総コレステロール)
各群の22週齢の血中総コレステロール濃度を酵素法により測定した。結果を図4に示す。
図4に示した結果から明らかなように、比較例1のCC群に比べて、幼少期に米タンパク質を給餌し、それ以降に米タンパク質を含んでいない高脂肪食を給餌したRC群は、幼少期以降(学童期ないし青年期)に米タンパク質を給餌したCR群と同等以上の総コレステロール濃度低下が有意にあったことがわかる。
したがって、幼少期に米タンパク質を給餌することにより、それ以降に米タンパク質を給餌しなくても、学童期ないし青年期に米タンパク質を給餌した場合と同等の肥満防止効果が得られることが分かる。
各群の22週齢の血中LDL−コレステロール濃度を直接法により測定した。結果を図5に示す。
図5に示した結果から明らかなように、比較例1のCC群に比べて、幼少期に米タンパク質を給餌し、それ以降に米タンパク質を含んでいない高脂肪食を給餌したRC群は、幼少期以降(学童期ないし青年期)に米タンパク質を給餌したCR群及びRR群と同等のLDL−コレステロール濃度低下が有意にあったことがわかる。
したがって、幼少期に米タンパク質を給餌することにより、それ以降に米タンパク質を給餌しなくても、学童期ないし青年期に米タンパク質を給餌した場合と同等の肥満防止効果が得られることが分かる。
各群の22週齢のヘモグロビンA1cを酵素法により測定した。結果を図6に示す。
図6に示した結果から明らかなように、比較例1のCC群に比べて、幼少期に米タンパク質を給餌し、それ以降に米タンパク質を含んでいない高脂肪食を給餌したRC群は、幼少期以降(学童期ないし青年期)に米タンパク質を給餌したCR群及びRR群と同等のヘモグロビンA1c低下が有意にあったことがわかる。
したがって、幼少期に米タンパク質を給餌することにより、それ以降に米タンパク質を給餌しなくても、学童期ないし青年期に米タンパク質を給餌した場合と同等の肥満防止効果が得られることが分かる。
各群の22週齢のレプチン濃度をレプチンELISAキット(森永生科学研究所製)により測定した。結果を図7に示す。
図7に示した結果から明らかなように、比較例1のCC群に比べて、幼少期に米タンパク質を給餌し、それ以降に米タンパク質を含んでいない高脂肪食を給餌したRC群は、幼少期以降(学童期ないし青年期)に米タンパク質を給餌したCR群と同等のレプチン濃度低下が有意にあったことがわかる。
したがって、幼少期に米タンパク質を給餌することにより、それ以降に米タンパク質を給餌しなくても、学童期ないし青年期に米タンパク質を給餌した場合と同等の肥満防止効果が得られることが分かる。
各群の22週齢について、ペントバルビタール麻酔下(50mg/kg体重)にて十分な麻酔下にあることを確認した後に開腹し、腹部下大静脈よりシリンジを用いて全採血により安楽死を施した後、腎臓を採取し重量を測定した。結果を図8に示す。
図8に示した結果から明らかなように、比較例1のCC群及び比較例2のCR群に比べて、幼少期に米タンパク質を給餌し、それ以降に米タンパク質を含んでいない高脂肪食を給餌したRC群は、腎臓重量増加がp<0.01水準で有意に抑制されたことがわかる。
したがって、幼少期に米タンパク質を給餌することにより、それ以降に米タンパク質を給餌しなくても、肥満関連腎症防止効果が得られることが分かる。
各群の22週齢について、マウスを代謝ケージに移動させ、絶食下にて24時間蓄尿を行い、回収した尿を3,000rpm、10分間遠心分離し夾雑物を除去後、尿量を測定した。回収した尿中アルブミン量を免疫比濁法により測定した。尿量と尿中アルブミン量を乗じて尿中アルブミン量として算出した結果を図9に示す。
図9に示した結果から明らかなように、比較例1のCC群に比べて、幼少期に米タンパク質を給餌し、それ以降に米タンパク質を含んでいない高脂肪食を給餌したRC群は、尿中アルブミン量がp<0.05水準で有意に低下したことがわかる。
したがって、幼少期に米タンパク質を給餌することにより、それ以降に米タンパク質を給餌しなくても、肥満関連腎症防止効果が得られることが分かる。
腎臓の組織学的損傷程度を評価するために、左腎臓を4%パラホルムアルデヒドリン酸緩衝液に浸漬させ、速やかに固定処理を行い、パラフィン包埋した腎組織を4μmの切片に切断し、periodicacid−Schiff(PAS)染色を行い、Biozero BZ−8000(KEYENCE社)を使用し400倍(サイズ4080×3072pix)の視野で各試料からランダムに選択された10視野を撮影し、形態学的観察を行った。
PASで染色されない空胞様の変性部分の面積(空胞面積)、糸球体面積及びメサンギウム基質領域の面積を、Image−Pro(Media Cybernetics Inc.社)を用いて測定した。空胞面積比の結果を図10に、糸球体面積を図11にメサンギウム基質領域の面積比の結果を図12に示す。腎臓組織の評価は、各群n=7である。
図10に示した結果から明らかなように、比較例1のCC群に比べて、幼少期に米タンパク質を給餌し、それ以降に米タンパク質を含んでいない高脂肪食を給餌したRC群は、空胞面積の増加が、幼少期以降(学童期ないし青年期)に米タンパク質を給餌したCR群及びRR群と同等にp<0.001水準で有意に抑制されたことがわかる。
したがって、幼少期に米タンパク質を給餌することにより、それ以降に米タンパク質を給餌しなくても、肥満関連腎症防止効果が得られることが分かる。
図11に示した結果から明らかなように、比較例1のCC群に比べて、幼少期に米タンパク質を給餌し、それ以降に米タンパク質を含んでいない高脂肪食を給餌したRC群は、糸球体面積の増加が、幼少期以降(学童期ないし青年期)に米タンパク質を給餌したCR群及びRR群と同等にp<0.001水準で有意に抑制されたことがわかる。
したがって、幼少期に米タンパク質を給餌することにより、それ以降に米タンパク質を給餌しなくても、肥満関連腎症防止効果が得られることが分かる。
図12に示した結果から明らかなように、比較例1のCC群に比べて、幼少期に米タンパク質を給餌し、それ以降に米タンパク質を含んでいない高脂肪食を給餌したRC群は、メサンギウム基質の増加が、幼少期以降(学童期ないし青年期)に米タンパク質を給餌したCR群及びRR群と同等にp<0.001水準で有意に抑制されたことがわかる。
したがって、幼少期に米タンパク質を給餌することにより、それ以降に米タンパク質を給餌しなくても、腎臓の組織障害が軽減されており、肥満関連腎症防止効果が得られることが分かる。
Claims (14)
- 米胚乳タンパク質を有効成分として含む、幼少期投与用の肥満及び/又は肥満関連腎症予防組成物であって、青年期ないし成年期以降に発症する肥満及び/又は肥満関連腎症を予防するための組成物であって、
前記幼少期は、ヒトの場合満0歳以上満13歳以下であり、マウスの場合4週齢以上10週齢以下であり、
前記青年期ないし成年期以降は、ヒトの場合、満13歳を超える時期以降であり、マウスの場合10週齢を超える週齢以降である、組成物。 - 前記幼少期は、ヒトの場合0歳以上満12歳以下であり、マウスの場合4週齢以上9週齢以下である、請求項1に記載の組成物。
- 請求項1又は2に記載の組成物を含む、前記幼少期に投与用の肥満及び/又は肥満関連腎症予防薬であって、前記青年期ないし成年期以降に発症する肥満及び/又は肥満関連腎症を予防するための薬。
- 請求項1又は2に記載の組成物を含む、前記幼少期に投与用の肥満及び/又は肥満関連腎症予防食品であって、青年期ないし成年期以降に発症する肥満及び/又は肥満関連腎症を予防するための食品。
- 前記青年期ないし成年期以降に投与されない、請求項1又は2に記載の組成物。
- 前記青年期ないし成年期以降が、高脂肪食摂取が習慣化される青年期ないし成年期以降であって、ヒトの場合、満13歳を超える時期以降であり、マウスの場合10週齢を超える週齢以降である、請求項1又は2に記載の組成物。
- 前記青年期ないし成年期以降に投与されない、請求項3に記載の薬。
- 前記青年期ないし成年期以降が、高脂肪食摂取が習慣化される青年期ないし成年期以降であって、ヒトの場合、満13歳を超える時期以降であり、マウスの場合10週齢を超える週齢以降である、請求項3に記載の薬。
- 前記青年期ないし成年期以降に投与されない、請求項4に記載の食品。
- 青年期ないし成年期以降が、高脂肪食摂取が習慣化される青年期ないし成年期以降であって、ヒトの場合、満13歳を超える時期以降であり、マウスの場合10週齢を超える週齢以降である、請求項4に記載の食品。
- 請求項1又は2に記載の組成物、請求項3に記載の予防薬又は請求項4に記載の食品を幼少期の被検体(ヒトを除く。)に投与することを含む、青年期ないし成年期以降に発症する肥満及び/又は肥満関連腎症を予防する方法であって、前記幼少期は、前記被検体がマウスの場合4週齢以上10週齢以下であり、
前記青年期ないし成年期以降は、前記被検体がマウスの場合10週齢を超える週齢以降である、方法。 - 前記被検体がマウスである、請求項11に記載の方法。
- 前記青年期ないし成年期以降に投与しない、請求項11又は12に記載の方法。
- 前記青年期ないし成年期以降が、高脂肪食摂取が習慣化される青年期ないし成年期以降であって、前記被検体がマウスの場合10週齢を超える週齢以降である、請求項11又は12に記載の方法。
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JP2017061684A JP6970955B2 (ja) | 2017-03-27 | 2017-03-27 | 幼少期投与用の肥満及び/又は肥満関連腎症予防組成物、幼少期投与用の肥満及び/又は肥満関連腎症予防薬、食品、並びに肥満及び/又は肥満関連腎症を予防する方法 |
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JP2017061684A JP6970955B2 (ja) | 2017-03-27 | 2017-03-27 | 幼少期投与用の肥満及び/又は肥満関連腎症予防組成物、幼少期投与用の肥満及び/又は肥満関連腎症予防薬、食品、並びに肥満及び/又は肥満関連腎症を予防する方法 |
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