JP6970166B2 - レーダ装置 - Google Patents
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Description
よって、本発明では、外乱などによって測定対象で反射された反射波の受信量が減少した場合であっても、受信信号において測定対象の変動に伴う特徴量が高められていることにより、レーダ部は、測定部位の変動状態に応じたドップラ信号を安定して出力することができる。これにより、検出部は、測定部位の変動を高精度に検出することができる。
このような本発明によれば、強め合う干渉を生じた状態のまま測定部位で反射された電波を好適に受信することができる。
図1は本発明の一実施形態に係るレーダ装置1の構成を示すブロック図である。本実施形態では、レーダ装置1によって測定される対象物を人間や動物などの生体とし、測定部位Aを当該生体の胸部とする。以下では、生体の呼吸に伴う胸部の皮膚表面の微細な動き(変動)を検出する場合について説明する。
図1に示すように、レーダ装置1は、ドップラセンサの一種である電波センサ2と、検出部3とを備えている。
第1アンテナユニット21は、生体の測定部位Aに対して所定周波数の電波(第1電波)を送信する第1送信アンテナ部21Tと、生体で反射された反射波を受信する第1受信アンテナ部21Rとを有する。第1送信アンテナ部21Tおよび第1受信アンテナ部21Rは、それぞれ1以上のアンテナ素子を含んで構成される。
同様に、第2アンテナユニット22は、生体の測定部位Aに対して所定周波数の電波(第2電波)を送信する第2送信アンテナ部22Tと、生体で反射された反射波を受信する第2受信アンテナ部22Rとを有する。第2送信アンテナ部22Tおよび第2受信アンテナ部22Rは、それぞれ1以上のアンテナ素子を含んで構成される。
なお、第1送信アンテナ部21Tから送信される電波と、第2送信アンテナ部22Tから送信される電波とは、周波数および位相が同一である。
信号処理部31は、レーダ部23から得られたI信号およびQ信号をそれぞれ信号処理することにより、生体の呼吸成分に対応する呼吸信号VI,VQを得る。信号処理部31の具体的構成は特に限定されない。例えば、信号処理部31は、レーダ部23から得られたドップラ信号から呼吸に相当する周波数成分(例えば0.1Hz〜0.5Hz)を抽出するバンドパスフィルタ、および、抽出されたアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換器などを備える。
なお、データ処理部32による解析処理の具体的手法については、公知技術を利用できるため、詳細な説明を省略する。
また、レーダ装置1が、車両などの乗物に搭載され、当該車両の運転者の呼吸数を計測する装置である場合、データ処理部32から出力される解析情報は、車両のコントロールユニットなどに入力されてもよい。この場合、車両のコントロールユニットは、入力される解析情報に基づいて運転者の体調を判断することができ、その結果、運転者の体調に基づいた車両制御を行うことができる。
一般に、送信点から受信点に至る電波経路が複数存在する場合において、経路長差が変動することによって電波の受信強さが変動することを、フェージング現象という。
例えば2本の電波経路の経路長差が波長λの整数倍であるとき、各径路を伝搬する電波同士の位相が一致する(同位相になる)ため、強め合う干渉が生じ、電波の受信強さが強まる。一方、2本の電波経路の経路長差が波長λの1/2の奇数倍であるとき、各径路を伝搬する電波同士の位相が逆になるため、弱め合う干渉が生じ、電波の受信強さが弱まる。したがって、経路長差が変動することにより、電波の受信強さは強まったり、弱まったりし、フェージング現象を生じる。
このようなフェージング現象は、一般には好ましくない現象とされており、フェージング現象の影響を避けるための技術が開発されている。
このような条件を満たすように送信アンテナ部21T,22Tを配置するためには、受信信号の強さを観測しながら、第1アンテナユニット21および第2アンテナユニット22の少なくとも一方の配置を調整してもよい。
この場合、角度θ1,θ2は、0°<θ1<90°,0°<θ2<90°の範囲で任意に調整可能である。ただし、角度θ1,θ2がより大きい方が、「強め合う干渉」が生じるエリアをより大きくすることができる。
なお、送信アンテナ部21T,22Tの角度θ1,θ2は、互いに同じでもよいし、異なってもよい。
また、本発明の比較例として、第1送信方向の角度θ1と、第2送信方向の角度θ2がそれぞれ0°である場合(互いに平行である場合)のレーダ装置1を用い、測定部位Aの変動を測定するためのドップラ信号を取得した(図6参照)。
なお、実施例および比較例において、測定部位Aは、呼吸中の生体である。また、図5および図6では、横軸が時間であり、縦軸が信号出力であり、測定中のI信号およびQ信号の各波形を示している。通常、I信号およびQ信号間の位相は90°ずれているが、図5および図6では、測定中の測定部位Aの変動の影響により、グラフ上の位相のずれが視認し難くなっている。
実施例(図5)において、受信アンテナ部21R,22Rの各受信信号が上述の強め合う干渉を受けており、これらの受信信号が1つにまとめられることで、外乱(生体の体動による電波の逸れ等)の影響が低減され、レーダ部23から出力されるI信号およびQ信号のそれぞれに呼吸の特徴量が明確に表れている。
一方、比較例(図6)では、受信アンテナ部21R,22Rの各受信信号において上述の強め合う干渉が生じておらず、レーダ部23から出力されるI信号およびQ信号のそれぞれは、呼吸がないときに得られる信号との差異が小さい。
しがたって、実施例は、比較例よりも、生体の呼吸を高精度に測定できることが明らかである。
本実施形態のレーダ装置1では、外乱などによって測定部位Aで反射された反射波の受信量が減少した場合であっても、受信信号において測定部位Aの変動に伴う特徴量が高められていることにより、レーダ部23は、測定部位Aの変動状態に応じたドップラ信号を安定して出力することができる。これにより、検出部3は、測定部位Aの変動を高精度に検出することができる。特に、本実施形態のレーダ装置1は、生体の呼吸の有無を確認する場合に有用である。
本発明は、上述した実施形態の構成に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形などは本発明に含まれるものである。
また、前記実施形態のレーダ装置1は、2つの受信アンテナ部21R,22Rを有しているが、いずれか一方の受信アンテナ部21R,22Rを有するように構成されてもよい。このような変形例において、いずれか一方の受信アンテナ部21R,22Rは、測定部位Aで反射された電波(第1電波および第2電波が重なった電波)を受信可能に配置されればよい。
例えば、図7に示すように、変形例のレーダ装置における電波センサ2Aは、2つの送信アンテナ部21T,22Tと、1つの受信アンテナ部21Rとを備えている。この変形例において、送信アンテナ部21T,22Tは、測定部位Aの付近で強め合う干渉が生じるように電波を送信し、受信アンテナ部21Rは、当該測定部位Aで反射された電波を受信する。このような変形例でも、前記実施形態と同様の効果を奏する。
また、図7に示す変形例では、送信アンテナ部21T,22Tから測定部位Aまでの各距離L1,L2を調整する際、送信アンテナ部21T,22Tの角度θ1,θ2をそれぞれ変えてもよい。
また、本発明は、測定対象が生体であることに限定されず、様々な測定対象の変動(例えば振動状態や変位)を検出するレーダ装置に利用可能である。
Claims (2)
- 対象物の測定部位に向かって所定周波数の第1電波を送信する第1送信アンテナ部と、
前記第1送信アンテナ部とは異なる位置から前記測定部位に向かって前記第1電波と同じ周波数の第2電波を送信する第2送信アンテナ部と、
前記測定部位で反射された前記第1電波および前記第2電波を受信して受信信号を出力する受信アンテナ部と、
前記受信信号に基づいてドップラ信号を出力するレーダ部と、
前記ドップラ信号に基づいて前記測定部位の変動を検出する検出部と、を備え、
前記第1送信アンテナ部による前記第1電波の送信方向である第1送信方向と、前記第2送信アンテナ部による前記第2電波の送信方向である第2送信方向とは、前記測定部位で交わるように互いに異なる方向であり、
前記第1送信アンテナ部から前記測定部位までの距離L1と、前記第2送信アンテナ部から前記測定部位までの距離L2とは互いに等しいか、または、前記距離L1と前記距離L2との差が前記所定周波数による波長の整数倍であることを特徴とするレーダ装置。 - 請求項1に記載のレーダ装置において、
前記第1送信アンテナ部を含む第1アンテナユニットと、
前記第2送信アンテナ部を含む第2アンテナユニットと、を備え、
前記第1アンテナユニットおよび前記第2アンテナユニットは、それぞれ前記受信アンテナ部を含むことを特徴とするレーダ装置。
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