JP6969234B2 - プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法に関するものである。
プラズマ処理装置としては、特許文献1に示すように、誘導結合型のプラズマ(略称ICP)を発生させて、この誘導結合型のプラズマを用いて基板に処理を施すものがある。
具体的にこのプラズマ処理装置は、基板が収容される真空容器と、真空容器内において基板に対向するように設けられたアンテナとを備え、真空容器内に成膜用ガスを供給するとともに、アンテナに高周波電流を流して誘導結合型のプラズマを発生させることで、基板に成膜等の処理を施すように構成されている。
特許第5874854号
上述したプラズマ処理装置において、複数種類の成膜用ガスを真空容器に供給する場合、それら成膜用ガスの種類によっては成膜速度が遅くなったり、膜の品質が低下したりするといった問題が生じることを本願発明者は見出した。
これらの問題を本願発明者が鋭意検討した結果、複数種類の成膜用ガスが、例えば水素ガスや酸素ガス等といった互いに反応する種類のガスであると、これらの成膜用ガスが真空容器内においてプラズマが生成される領域(以下、プラズマ生成領域という)に到達する前に反応してしまうことが原因であることを突き止めた。
何故ならば、成膜速度の低下に関しては、複数種類の成膜用ガスがプラズマ生成領域に到達する前に反応してしまうと、プラズマ生成領域に供給される成膜用ガスが減少してしまい、プラズマ密度が低下するからである。
また、膜の品質の低下に関しては、複数種類の成膜用ガスが反応することで生じる生成物が、膜に必要以上に混入してしまうからである。
こうした問題は、基板に成膜する場合のみならず、基板に例えばエッチング、アッシング、或いはその他の表面処理をする場合に共通して現れる問題であり、真空容器に互いに反応する複数種類のガスを供給すると、処理速度が遅くなったり、基板表面の品質が低下したりする。
そこで本発明は、互いに反応する複数種類のガスを用いる場合であっても、処理速度を向上させるとともに、基板表面の品質を担保できるようにすることをその主たる課題とするものである。
すなわち本発明に係るプラズマ処理装置は、基板が収容される真空容器と、前記真空容器内において前記基板に対向するように設けられたプラズマ生成用のアンテナと、前記真空容器内に第1のガスを供給する第1供給口を有する第1供給経路と、前記真空容器内に前記第1のガスに対して反応性を有する第2のガスを供給する第2供給口を有する第2供給経路と備え、前記第1供給経路と前記第2供給経路とが互いに独立して設けられていることを特徴とするものである。
このように構成されたプラズマ処理装置であれば、第1供給経路と第2供給経路とが互いに独立して設けられているので、第1のガスと、第1のガスと反応性を有する第2のガスとを反応させることなく真空容器内に供給することができる。
これにより、真空容器内におけるプラズマ生成領域に到達する前に第1のガスと第2のガスとが反応してしまうことを抑制することができ、成膜速度等の処理速度を向上させるとともに、良質な膜を生成するなどといった基板表面の品質を担保することが可能となる。
前記第1供給口と前記第2供給口との少なくとも一方が、前記アンテナにより生成されるプラズマ生成領域内又はその領域に臨んで設けられていることが好ましい。
このような構成であれば、プラズマ生成領域に到達する前に第1のガスと第2のガスとが反応してしまうことを確実に防ぐことができる。
前記アンテナは直線状をなすものであり、前記第1供給口と前記第2供給口とが前記アンテナの長手方向に沿ってそれぞれ複数設けられていることが好ましい。
このような構成であれば、第1のガス及び第2のガスそれぞれを複数個所から真空容器内に供給することができるので、処理速度のさらなる向上を図れる。
前記第1供給口と前記第2供給口とが互いに交互に配置されていることが好ましい。
このように供給口を配置すれば、第1のガスや第2のガスが長手方向において偏って供給されてしまうことを防ぐことができ、基板表面の品質の均一性を向上させてさらなる高品質化を図れる。
前記真空容器内において、前記アンテナと前記アンテナに対して前記基板とは反対側の対向壁との間にプラズマ生成抑制部材が設けられていることが好ましい。
このような構成であれば、プラズマ生成抑制部材と対向壁との間にプラズマが生成されることを抑制することができるので、アンテナに印加した高周波電流が、プラズマ生成抑制部材と対向壁との間の空間を介してアンテナから対向壁に流出してしまうことを抑えることができる。
これにより、アンテナを流れる高周波電流の大きさは、アンテナに沿って均一化されるので、アンテナに沿ったプラズマの密度分布の均一性を高めることができ、アンテナに沿う方向における基板処理の均一性を高めることができる。
プラズマ生成抑制部材の配置や形状にかかわらず、第1供給経路と第2供給経路とを互いに独立して設けるためには、前記プラズマ生成抑制部材の内部に前記第1供給経路又は前記第2供給経路が形成されていることが好ましい。
前記プラズマ生成抑制部材の前記アンテナ側を向く面に、前記第1供給口又は前記第2供給口が形成されていることが好ましい。
このような構成であれば、プラズマ生成抑制部材のアンテナ側を向く面によってプラズマの生成が抑制されるので、その面に第1供給口又は第2供給口を形成することで、形成された開口はプラズマ生成領域に臨んで設けられることとなる。これにより、上述したようにプラズマ生成領域に到達する前に第1のガスと第2のガスとが反応してしまうことを確実に防ぐことができる。
アンテナの長手方向の寸法が大きい場合、そのアンテナに対応させてプラズマ生成抑制部材の長手方向の寸法を大きくすると、その長手方向の寸法が大きいほど、自重による撓み量が大きくなってしまう。これにより、アンテナの中央部とプラズマ生成抑制部材との距離が近づいてしまい、アンテナの長手方向においてプラズマ密度が不均一なり、基板表面の品質が低下する恐れがある。
そこで、前記第1供給経路又は前記第2供給経路の少なくとも一方が配管により構成されており、前記配管が前記プラズマ生成抑制部材を貫通するとともに前記プラズマ生成抑制部材を支持していることが好ましい。
このような構成であれば、第1供給経路や第2供給経路を構成する配管によってプラズマ生成抑制部材を支持しているので、例えばこの配管をプラズマ生成抑制部材の長手方向中央部又はその近傍に配置すれば、プラズマ生成抑制部材の撓み量を低減することができる。
具体的な実施態様としては、前記第1のガスが酸素ガスを含むものであり、前記第2のガスは水素ガスを含むものである態様が挙げられる。
また、本発明に係るプラズマ処理方法は、基板が収容される真空容器と、前記真空容器内において前記基板に対向するように設けられたプラズマ生成用のアンテナと、前記真空容器内にガスを供給する互いに独立して設けられた第1供給経路及び第2供給経路とを備えるプラズマ処理装置を用いたプラズマ処理方法であって、前記第1供給経路を用いて第1のガスを前記真空容器内に供給するとともに、前記第2供給経路を用いて前記第1のガスと反応性を有する第2のガスを前記真空容器内に供給することを特徴とする方法である。
このようなプラズマ処理方法であれば、上述したプラズマ処理装置と同様の作用効果を発揮させることができる。
このように構成した本発明によれば、互いに反応する複数種類のガスを用いる場合であっても、処理速度を向上させるとともに、基板表面の品質を担保することができる。
本実施形態のプラズマ処理装置の構成を模式的に示すアンテナの長手方向に沿った断面図である。 同実施形態のプラズマ処理装置の構成を模式的に示すアンテナの長手方向に直交する断面図である。 変形実施形態のプラズマ処理装置の構成を模式的に示すアンテナの長手方向に直交する断面図である。 変形実施形態のプラズマ処理装置の構成を模式的に示すアンテナの長手方向に直交する断面図である。 変形実施形態のプラズマ生成抑制部材の構成を模式的に示す断面図である。
以下に、本発明に係るプラズマ処理装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。
<装置構成>
本実施形態のプラズマ処理装置100は、誘導結合型のプラズマPを用いて基板Wに処理を施すものである。ここで、基板Wは、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ(FPD)用の基板、フレキシブルディスプレイ用のフレキシブル基板等である。また、基板Wに施す処理は、例えば、プラズマCVD法による膜形成、エッチング、アッシング、スパッタリング等である。
なお、このプラズマ処理装置100は、プラズマCVD法によって膜形成を行う場合はプラズマCVD装置、エッチングを行う場合はプラズマエッチング装置、アッシングを行う場合はプラズマアッシング装置、スパッタリングを行う場合はプラズマスパッタリング装置とも呼ばれる。
具体的にプラズマ処理装置100は、図1及び図2に示すように、真空排気される真空容器2と、真空容器2内に配置された直線状のアンテナ3と、真空容器2内に誘導結合型のプラズマPを生成するための高周波をアンテナ3に印加する高周波電源4とを備えている。なお、アンテナ3に高周波電源4から高周波を印加することによりアンテナ3には高周波電流IRが流れて、真空容器2内に誘導電界が発生して誘導結合型のプラズマPが生成される。
真空容器2は、例えば金属製の容器であり、その内部は真空排気装置6によって真空排気される。真空容器2はこの例では電気的に接地されている。
真空容器2内には、基板Wを保持する基板ホルダ8が設けられている。この例のように、基板ホルダ8にバイアス電源9からバイアス電圧を印加するようにしても良い。バイアス電圧は、例えば負の直流電圧、負のバイアス電圧等であるが、これに限られるものではない。このようなバイアス電圧によって、例えば、プラズマP中の正イオンが基板Wに入射する時のエネルギーを制御して、基板Wの表面に形成される膜の結晶化度の制御等を行うことができる。基板ホルダ8内に、基板Wを加熱するヒータ81を設けておいても良い。
アンテナ3は、真空容器2内における基板Wの上方に、基板Wの表面に沿うように(例えば、基板Wの表面と実質的に平行に)配置されている。本実施形態では、直線状のアンテナ3を複数、基板Wに沿うように(例えば、基板Wの表面と実質的に平行に)並列に配置している。このようにすると、より広い範囲で均一性の良いプラズマPを発生させることができ、従ってより大型の基板Wの処理に対応することができる。図2ではアンテナ3が7本の例を示しているが、これに限れない。
アンテナ3の両端部付近は、図1に示すように、真空容器2の相対向する一対の側壁2a、2bをそれぞれ貫通している。アンテナ3の両端部を真空容器2外へ貫通させる部分には、絶縁部材11がそれぞれ設けられている。この各絶縁部材11を、アンテナ3の両端部が貫通しており、その貫通部は例えばパッキン12によって真空シールされている。この絶縁部材11を介してアンテナ3は、真空容器2の相対向する側壁2a、2bに対して電気的に絶縁された状態で支持される。各絶縁部材11と真空容器2との間も、例えばパッキン13によって真空シールされている。なお、絶縁部材11の材質は、例えば、アルミナ等のセラミックス、石英、又はポリフェニンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等のエンジニアリングプラスチック等である。
また、各アンテナ3の材質は、例えば、銅、アルミニウム、これらの合金、ステンレス等であるが、これに限られるものではない。なお、アンテナ3を中空にして、その中に冷却水等の冷媒を流し、アンテナ3を冷却するようにしても良い。
さらに、アンテナ3において、真空容器2内に位置する部分は、直管状の絶縁カバー10により覆われている。この絶縁カバー10の両端部は絶縁部材11によって支持されている。なお、絶縁カバー10の材質は、例えば、石英、アルミナ、フッ素樹脂、窒化シリコン、炭化シリコン、シリコン等である。
絶縁カバー10を設けることによって、プラズマP中の荷電粒子がアンテナ3に入射するのを抑制することができるので、アンテナ3に荷電粒子(主として電子)が入射することによるプラズマ電位の上昇を抑制することができると共に、アンテナ3が荷電粒子(主としてイオン)によってスパッタされてプラズマPおよび基板Wに対して金属汚染(メタルコンタミネーション)が生じるのを抑制することができる。
各アンテナ3は、図1に示すように、アンテナ方向(長手方向X)において高周波が給電される給電端部3aと、接地された接地端部3bとを有している。具体的には、各アンテナ3の長手方向Xの両端部において一方の側壁2a又は2bから外部に延出した部分が給電端部3aとなり、他方の側壁2a又は2bから外部に延出した部分が接地端部3bとなる。
ここで、各アンテナ3の給電端部3aには、高周波電源4から整合器41を介して高周波が印加される。高周波の周波数は、例えば、一般的な13.56MHzであるが、これに限られるものではない。
更にこのプラズマ処理装置100は、真空容器2内において、アンテナ3とアンテナ3に対して基板Wとは反対側の対向壁2c(以下、上壁2cともいう)との間にプラズマ生成抑制部材5が設けられている。
プラズマ生成抑制部材5は、一部又は全体が誘電体から構成されており、ここでは全体が誘電体物質で構成されている。本実施形態のプラズマ生成抑制部材5は、各アンテナ3を覆う絶縁カバー10それぞれに対面するように配置された平板状のものであり、アンテナ3の長手方向両端部に設けられた絶縁部材11によって支持されている。なお、プラズマ生成抑制部材5は、単一の平板部材から構成されていても良いし、各アンテナに対応する位置に設けられた複数の平板部材から構成されていても良い。複数の平板部材から構成する場合は、互いに隣り合う平板部材を隙間無く敷き詰めても良いし、隙間を空けて配置しても良い。
プラズマ生成抑制部材5の材質は、低誘電率のものが好ましく、例えばアルミナ、炭化ケイ素、窒化ケイ素等のセラミックス、石英ガラス、無アルカリガラス、その他の無機材料、あるいはシリコン等である。そのようにすると、アンテナ3と上壁2cとの間の静電容量がより小さくなって、プラズマ生成抑制部材5を通してアンテナ3から上壁2cへ流出する高周波電流IRがより小さくなるからである。
そして、本実施形態のプラズマ処理装置100は、互いに反応する複数種類の成膜用ガスを用いて基板Wに成膜する場合に特に資するものであり、図1及び図2に示すように、真空容器2内に第1のガスである第1の成膜用ガスを供給する第1供給経路L1と、真空容器2内に第1の成膜用ガスに対して反応性を有する第2のガスである第2の成膜用ガスを供給する第2供給経路L2と備え、第1供給経路L1及び第2供給経路L2が互いに独立して設けられている。
第1供給経路R1は、図示しない第1ガス源に収容された第1の成膜用ガスを取り込む図示しない第1取込口と、第1の成膜用ガスを真空容器2内に供給する第1供給口Z1と、図示しない第1取込口及び第1供給口Z1を接続する第1流路L1とを有するものである。
本実施形態の第1供給経路R1は、第1の成膜用ガスとして酸素ガスを含むものを真空容器2内に供給するものであるが、基板Wに施す処理内容に応じて第1の成膜用ガスは適宜変更して構わない。
なお、第1供給経路R1の具体的な構成としては、例えば一部又は全体を配管によって構成する態様や、内部流路が形成されたマニホールドブロックを利用して構成する態様などを挙げることができる。
第2供給経路R2は、図示しない第2ガス源に収容された第2の成膜用ガスを取り込む図示しない第2取込口と、第2の成膜用ガスを真空容器2内に供給する第2供給口Z2と、図示しない第2取込口及び第2供給口Z2を接続する第2流路L2とを有するものである。
本実施形態の第2供給経路R2は、第2の成膜用ガスとして水素ガスを含むものを真空容器2内に供給するものであるが、基板Wに施す処理内容に応じて第2の成膜用ガスは適宜変更して構わない。
なお、第2供給経路R2の具体的な構成としては、第1供給経路R1と同様、例えば一部又は全体を配管によって構成する態様や、内部流路が形成されたマニホールドブロックを利用して構成する態様などを挙げることができる。
第1供給経路R1及び第2供給経路R2は、互いに合流することなく、すなわち第1流路L1と第2流路L2とが互いに合流することなく設けられており、ここでは第1供給経路R1及び第2供給経路R2それぞれが複数設けられている。
より具体的には、図1に示すように、複数の第1供給経路R1及び複数の第2供給経路R2がアンテナ3の長手方向Xに沿って配列されるととともに、ここでは図2に示すように、複数の第1供給経路R1及び複数の第2供給経路R2がアンテナ3の長手方向と直交する方向に沿って配列されている。
なお、図1では4つの第1供給経路R1及び3つの第2供給経路R2を示しており、図2では2つの第1供給経路R1及び2つの第2供給経路R2を示しているが、第1供給経路R1及び第2供給経路R2の数は図1や図2に示した態様に限る必要はなく、例えば第1供給経路R1及び第2供給経路R2を同数設けた構成としても良い。
これらの第1供給経路R1及び第2供給経路R2には、例えば図示しない流量調節器が設けられており、第1供給経路R1から第1の成膜用ガスを真空容器2内に供給するとともに、それと同時に第2供給経路R2から第2の成膜用ガスを真空容器2内に供給することができる。
なお、必ずしも第1の成膜用ガスと第2の成膜用ガスとを同時に供給する必要はなく、例えば第1の成膜用ガスの供給と第2の成膜用ガスの供給とを交互に切り替えるなど、第1の成膜用ガスと第2の成膜用ガスとを別々に供給するようにしても良い。
第1供給経路R1及び第2供給経路R2は、真空容器2の上壁2cを貫通して設けられており、第1供給口Z1及び第2供給口Z2は、真空容器2内に配置されている。なお、第1供給経路R1や第2供給経路R1は必ずしも上壁2cを貫通している必要はなく、例えば側壁2a、2bや底壁2dを貫通して設けるなど、第1供給経路R1と第2供給経路R2とが独立していれば、各供給経路R1、R2の配置は適宜変更してかまわない。また、第1供給口Z1や第2供給口Z2は、少なくとも一方を真空容器2内に配置しておくことが好ましいが、他方は例えば真空容器2の上壁2cや側壁2a、2bや底壁2dなどの内壁面に形成されていても良い。
本実施形態では、図1に示すように、各第1供給経路R1の第1供給口Z1がアンテナ3の長手方向Xに沿って配置されるとともに、各第2供給経路R2の第2供給口Z2がアンテナ3の長手方向Xに沿って配置されており、これら複数の第1供給口Z1及び複数の第2供給口Z2は、一直線状に配列されている。ここでは、第1供給口Z1及び第2供給口Z2を交互に配置しており、互いに隣り合う第1供給口Z1及び第2供給口Z2それぞれが等間隔となるようにしてある。
また本実施形態では、図2に示すように、各第1供給経路R1の第1供給口Z1がアンテナ3の長手方向Xと直交する方向に沿って配置されるとともに、各第2供給経路R2の第2供給口Z2がアンテナ3の長手方向Xと直交する方向に沿って配置されており、これら複数の第1供給口Z1及び複数の第2供給口Z2は、一直線状に配列されている。ここでは、第1供給口Z1及び第2供給口Z2を交互に配置しており、互いに隣り合う第1供給口Z1及び第2供給口Z2それぞれが等間隔となるようにしてある。
このように配置された第1供給口Z1及び第2供給口Z2は、アンテナ3によってプラズマが生成される領域Pa(以下、プラズマ生成領域Paという)に臨んで設けられている。
より具体的に説明すると、本実施形態では上述したように、アンテナ3と上壁2cとの間にプラズマ生成抑制部材5を設けてあり、このプラズマ生成抑制部材5のアンテナ側を向く面5aが、この面5aよりも上壁2c側にプラズマPが生成されることを抑制する抑制面5aとして形成されている。言い換えれば、この抑制面5aとアンテナ3との間は、プラズマPが生成されるので、この間はプラズマ生成領域Paの少なくとも一部となる。
そこで、本実施形態では、プラズマ生成抑制部材5を厚み方向に貫通するように第1供給経路R1及び第2供給経路R2を形成するとともに、第1供給口Z1及び第2供給口Z2をプラズマ生成抑制部材5の抑制面5aに形成することで、第1供給口Z1及び第2供給口Z2がプラズマ生成領域Paに臨むようにしてある。
<本実施形態の効果>
このように構成した本実施形態のプラズマ処理装置100によれば、第1供給経路R1と第2供給経路R2とが互いに独立して設けられているので、第1の成膜用ガスと、第1の成膜用ガスと反応性を有する第2の成膜用ガスとを反応させることなく真空容器2内に供給することができる。
これにより、真空容器2内におけるプラズマ生成領域Paに到達する前に第1の成膜用ガスと第2の成膜用ガスとが反応してしまうことを抑制することができ、成膜速度を向上させるとともに、良質な膜を生成することが可能となる。
また、第1供給口Z1及び第2供給口Z2が、プラズマ生成抑制部材5の抑制面5aに形成されているので、これらの第1供給口Z1及び第2供給口Z2をプラズマ生成領域Paに臨んで設けることができ、第1の成膜用ガスと第2の成膜用ガスとがプラズマ生成領域Paに到達する前に反応してしまうことを確実に防ぐことができる。
さらに、第1供給口Z1及び第2供給口Z2が、アンテナ3の長手方向Xに沿ってそれぞれ複数設けられているので、第1の成膜用ガス及び第2の成膜用ガスそれぞれを複数個所から真空容器2内に供給することができ、成膜速度のさらなる向上を図れる。
そのうえ、第1供給口Z1及び第2供給口Z2を交互に配置しているので、第1の成膜用ガスや第2の成膜用ガスがアンテナ3の長手方向Xにおいて偏って供給されてしまうことを防ぐことができ、膜質の均一性を向上させてさらなる高品質化を図れる。
アンテナ3と真空容器2の上壁2cとの間にプラズマ生成抑制部材5を設けているので、プラズマ生成抑制部材5と上壁2cとの間にプラズマが生成されることを抑制することができ、アンテナ3に印加した高周波電流IRが、プラズマ生成抑制部材5と上壁2cとの間の空間を介してアンテナ3から上壁2cに流出してしまうことを抑えることができる。
これにより、アンテナ3に印加される高周波の電力効率を高めることができる。また、アンテナ3を流れる高周波電流IRの大きさは、アンテナ3に沿って均一化されるので、アンテナ3に沿ったプラズマPの密度分布の均一性を高めることができ、アンテナ3に沿った方向における基板処理の均一性を高めることができる。
<その他の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
例えば、前記実施形態では、第1供給口Z1及び第2供給口Z2の両方が、プラズマ生成領域Paに臨んで配置されていたが、第1供給口Z1又は第2供給口Z2の少なくとも一方をプラズマ生成領域Paに臨んで配置しておけば、第1の成膜用ガスと第2の成膜用ガスとがプラズマ生成領域Paに到達する前に反応してしまうことを防ぐことができる。
また、第1供給口Z1又は第2供給口Z2の少なくとも一方が、プラズマ生成領域Pa内に配置されていても良い。具体的な構成としては、例えば前記実施形態における第1供給経路R1又は第2供給経路R2の一方をプラズマ生成抑制部材5の抑制面5aからさらにアンテナ3側に延ばすことで、第1供給口Z1又は第2供給口Z2をプラズマ生成領域Pa内に配置することができる。
このような構成であっても、第1の成膜用ガスと第2の成膜用ガスとがプラズマ生成領域Paに到達する前に反応してしまうことを確実に防ぐことができる。
前記実施形態では、複数の第1供給口Z1及び複数の第2供給口Z2が、アンテナ3の長手方向Xに沿って一直線状に配列されていたが、例えばアンテナ3の長手方向Xと直交する方向にずらした状態で、複数の第1供給口Z1及び複数の第2供給口Z2を配列させても良い。
また、前記実施形態では、第1供給口Z1及び第2供給口Z2が、交互に且つ等間隔に配置されていたが、例えば第1供給口Z1及び第2供給口Z2を不規則に配置するなど、各供給口Z1、Z2の配置は適宜変更して構わない。
さらに、第1供給口Z1や第2供給口Z2は必ずしも複数設けられている必要はない。すなわち、第1供給経路R1や第2供給経路R2を1つのみ設けた構成としても良い。
前記実施形態では、酸素ガスを含む第1の成膜用ガスと、水素ガスを含む第2の成膜用ガスとを用いる場合について説明したが、第1の成膜用ガス又は第2の成膜用ガスの何れかに対して反応性を有する第3の成膜用ガスを用いても良い。この場合、第3の成膜用ガスを真空容器2内に供給する第3供給経路を、第1供給経路R1及び第2供給経路R2とは独立して設けておけば良い。
もちろん、互いに独立して4以上の供給経路を設けて、4種類以上の成膜用ガスを真空容器2に供給するように構成しても構わない。
また、成膜用ガスとしては酸素ガスや水素ガスを含むものに限られず、例えば第1の成膜用ガスがNH(アンモニア)を含むものであり、第2の成膜用ガスがB(ジボラン)を含むものであっても良い。さらに、第1のガス及び第2のガスは必ずしも成膜用ガスである必要はない。すなわち第1のガス及び第2のガスが、プラズマが生成されていない状態で互いに反応するガスであれば、本発明を用いることで、処理速度を向上させるとともに、基板表面の品質を担保することが可能となる。
前記実施形態では、誘電体からなるプラズマ生成抑制部材5について説明したが、誘電体を用いることなく、例えば金属を用いてプラズマ生成抑制部材5を構成しても良い。
具体的には、図3に示すように、一部又は全体が金属からなるプラズマ生成抑制部材5を真空容器2の上壁2c(アンテナに対向する対向壁2c)からセラミックスや樹脂等の絶縁部材14を介して設けた態様が挙げられる。なお、この実施態様では上壁2cに開口が形成されているので、プラズマ生成抑制部材5に接触して感電してしまうことを防ぐべく、開口15を塞ぐカバー体16を設けてある。
このようなプラズマ生成抑制部材5であれば、金属から構成されているので機械的な強度を向上させることができる。
そのうえ、プラズマ生成抑制部材5が、真空容器2の壁面から電気的に絶縁されてフローティング状態になるので、プラズマ生成抑制部材5とアンテナ3との間でのプラズマPの生成が抑制されて、比較的高い成膜速度を得ることができる。
さらに前記実施形態では、プラズマ生成抑制部材5をアンテナ3の長手方向X両端部に設けられた絶縁部材11によって支持していたが、図4に示すように、第1供給経路R1又は第2供給経路R2の少なくとも一方を配管で構成して、この配管を利用してプラズマ生成抑制部材5を支持しても良い。
具体的に図4に示す構成では、第1供給経路R1及び第2供給経路R2の両方を配管で構成してあり、これらの配管は、供給口Z1、Z2側の端部にプラズマ生成抑制部材5を支持する支持部fを備えている。
この支持部fは、例えば配管の外周面から径方向外側に延びる鍔状のフランジfであり、このフランジfとプラズマ生成抑制部材5とを対向させて面接触させることで、プラズマ生成抑制部材5が支持されるように構成されている。なお、ここでは配管の管軸方向に沿って複数の支持部fが設けられており、これらの支持部fによって複数のプラズマ生成抑制部材5が管軸方向に沿って配置された状態で支持されている。
そのうえ前記実施形態では、複数の第1供給経路R1及び複数の第2供給経路R2が、プラズマ生成抑制部材5を厚み方向に貫通していたが、図5に示すように、第1供給経路R1や第2供給経路R2の一部が、プラズマ生成抑制部材5を厚み方向と直交する方向に沿って貫通していても良い。
この場合、第1流路L1や第2流路L2は、プラズマ生成抑制部材5の厚み方向と直交する主流路Gと、主流路Gから分岐する複数の分岐流路Hとからなり、各分岐流路Hがプラズマ生成抑制部材5の抑制面5aに開口して供給口Z1、Z2が形成されていても良い。
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
100・・・プラズマ処理装置
W ・・・基板
P ・・・プラズマ
Pa ・・・プラズマ生成領域
2 ・・・真空容器
3 ・・・アンテナ
Z1 ・・・第1供給口
Z2 ・・・第2供給口
R1 ・・・第1供給経路
R2 ・・・第2供給経路
5 ・・・プラズマ生成抑制部材

Claims (8)

  1. 基板が収容される真空容器と、
    前記真空容器内において前記基板に対向するように設けられたプラズマ生成用のアンテナと、
    前記真空容器内に第1のガスを供給する第1供給口を有する第1供給経路と、
    前記真空容器内に前記第1のガスに対して反応性を有する第2のガスを供給する第2供給口を有する第2供給経路と備え、
    前記第1供給経路と前記第2供給経路とが互いに独立して設けられており、
    前記真空容器内において、前記アンテナと前記アンテナに対して前記基板とは反対側の対向壁との間にプラズマ生成抑制部材が設けられており、
    前記第1供給経路又は前記第2供給経路の少なくとも一方が配管により構成されており、
    前記配管が前記プラズマ生成抑制部材を貫通するとともに前記プラズマ生成抑制部材を支持している、プラズマ処理装置。
  2. 前記第1供給口と前記第2供給口との少なくとも一方が、前記アンテナにより生成されるプラズマ生成領域内又はその領域に臨んで設けられている、請求項1記載のプラズマ処理装置。
  3. 前記アンテナは直線状をなすものであり、
    前記第1供給口と前記第2供給口とが前記アンテナの長手方向に沿ってそれぞれ複数設けられている、請求項1又は2記載のプラズマ処理装置。
  4. 前記第1供給口と前記第2供給口とが互いに交互に配置されている、請求項3記載のプラズマ処装置。
  5. 前記プラズマ生成抑制部材の内部に前記第1供給経路又は前記第2供給経路が形成されている、請求項1乃至4のうち何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
  6. 前記プラズマ生成抑制部材の前記アンテナ側を向く面に、前記第1供給口又は前記第2供給口が形成されている、請求項1乃至5のうち何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
  7. 前記第1のガスが酸素ガスを含むものであり、
    前記第2のガスは水素ガスを含むものである、請求項1乃至の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
  8. 基板が収容される真空容器と、前記真空容器内において前記基板に対向するように設けられたプラズマ生成用のアンテナと、前記真空容器内にガスを供給する互いに独立して設けられた第1供給経路及び第2供給経路とを備えており、
    前記真空容器内において、前記アンテナと前記アンテナに対して前記基板とは反対側の対向壁との間にプラズマ生成抑制部材が設けられており、
    前記第1供給経路又は前記第2供給経路の少なくとも一方が配管により構成されており、
    前記配管が前記プラズマ生成抑制部材を貫通するとともに前記プラズマ生成抑制部材を支持しているプラズマ処理装置を用いたプラズマ処理方法であって、
    前記第1供給経路を用いて第1のガスを前記真空容器内に供給するとともに、
    前記第2供給経路を用いて前記第1のガスに対して反応性を有する第2のガスを前記真空容器内に供給する、プラズマ処理方法。
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