JP6968452B2 - 所望の粒径を有する脂質粒子を製造するための方法および装置の開発 - Google Patents

所望の粒径を有する脂質粒子を製造するための方法および装置の開発 Download PDF

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Description

本発明は、所望の粒径を有する脂質粒子を製造するための方法および装置に関する。より特定すると、脂質を含む溶液を段階的に希釈することで所望の粒径を有する脂質粒子を製造する技術に関する。
無菌の脂質粒子を作製する技術として、閉鎖された細管内で連続的にリポソームを形成させる「インラインリポソーム製造技術」が注目を集めており、形成されたリポソームの濃度をインラインで調整する技術が開発されている(引用文献1)。しかし、リン脂質の組成や担持させる薬物が異なれば同じ粒径を得るために異なる条件を検討しなければならず、所望の構成のリン脂質で均一な粒子径の脂質粒子をインライン製造することは困難であった。
従来の脂質粒子製造法の1つである「エタノールインジェクション法」は、リン脂質を溶解したエタノールを水系溶媒に注入または滴下し、水系溶媒中でのリン脂質の自己組織化による二重膜形成を利用した脂質粒子製造法である。この方法で製造される脂質粒子は、粒子径が不均一であった。
国際公開第2016/024510号
本発明は、高濃度のアルコール存在下で脂質粒子が不安定化することに着目し、脂質を溶解したアルコール含有溶液を、脂質粒子が不安定化するアルコール濃度で1次希釈を行った後、さらに2次希釈を行うことで安定化した脂質粒子を得るが、ここで、1次希釈から2次希釈までの保持時間を調整することにより、均一な粒度分布を保ったまま脂質粒子の粒子径を制御することが可能であることを見出した。
したがって、本発明は以下を提供する。
(項目X1)
所望の粒径を有する脂質粒子の製造方法であって、該方法は、
(A)第1の混合領域内で、脂質およびアルコールを含む第1の溶液と、水を含む第2の溶液とを混合して一次希釈溶液を調製する工程と、
(B)該一次希釈溶液を、送液管を通して該第1の混合領域から第2の混合領域へと所定の時間で送液する工程と、
(C)該第2の混合領域内で、該一次希釈溶液と、水を含む第3の溶液とを混合して二次希釈溶液を調製する工程と、
を含み、
(A)〜(C)の工程は連続的に実施され、
脂質粒子の粒径が、該一次希釈溶液中の該アルコールの濃度、該脂質の濃度、該所定の時間、および該混合時の温度からなる群より選択される少なくとも1つの条件を調整することによって制御される、
方法。
(項目X2)
前記脂質粒子が、リポソームまたはミセルである、項目X1に記載の方法。
(項目X3)
前記脂質粒子が、リポソームである、項目X1に記載の方法。
(項目X4)
前記脂質粒子がさらに薬物を担持する、項目X1〜3のいずれか1項に記載の方法であって、
(A)の工程の前にさらに以下の工程;
(A−1)該薬物、前記脂質および前記アルコールを含む溶液を希釈して該アルコールの濃度を変化させた場合に形成される脂質粒子の粒径を測定する工程と、
(A−2)該アルコールの濃度が一定の条件下における該薬物を担持する脂質粒子の粒径の経時的変化を測定する工程と、
を含み、
(A−1)および(A−2)の工程により得られた情報に基づいて、前記該一次希釈溶液中の該アルコールの濃度、該脂質の濃度、前記所定の時間、および前記混合時の温度からなる群より選択される、前記所望の粒径を調整するのに必要な少なくとも1つの条件が決定される、
方法
(項目X5)
前記一次希釈溶液中のアルコール濃度が18重量%以上に調整される、項目X1〜4のいずれか1項に記載の方法。
(項目X6)
(A)〜(C)の工程が、閉鎖系において実施される、項目X1〜5のいずれか1項に記載の方法。
(項目X7)
(C)の工程の後に、さらなる粒径制御処理が実施されない、項目X1〜6のいずれか1項に記載の方法。
(項目X8)
前記所定の時間が、前記送液管の長さおよび流速の少なくとも1つによって調整される、項目X1〜7のいずれか1項に記載の方法。
(項目X9)
前記送液管中の圧力が、1MPa以上である、項目X1〜8のいずれか1項に記載の方法。
(項目X10)
前記二次希釈溶液を、さらに中空糸膜カラムに送液する、項目X1〜9のいずれか1項に記載の方法。
(項目X11)
所望の粒径を有する脂質粒子を製造するシステムであって、該システムは、
(A)脂質およびアルコールを含む第1の溶液と、水を含む第2の溶液とを混合して一次希釈溶液を調製する第1の混合領域と、
(B)該一次希釈溶液と、水を含む第3の溶液とを混合して二次希釈溶液を調製する第2の混合領域と、
(C)該一次希釈溶液を、該第1の混合領域から該第2の混合領域へと所定の時間で送液する送液管と、
を含み、
脂質粒子の粒径が、該一次希釈溶液中の該アルコールの濃度、該脂質の濃度、該所定の時間および該混合時の温度からなる群より選択される少なくとも1つの条件を調整することによって制御される、
システム。
(項目X12)
前記脂質粒子が、リポソームまたはミセルである、項目X11に記載のシステム。
(項目X13)
前記脂質粒子が、リポソームである、項目X11に記載のシステム。
(項目X14)
前記脂質粒子がさらに薬物を担持する、項目X11〜13のいずれか1項に記載のシステムであって、
(A−1)該薬物、前記脂質および前記アルコールを含む溶液を希釈して該アルコールの濃度を変化させた場合に形成される脂質粒子の粒径を測定する工程と、
(A−2)前記アルコールの濃度が一定の条件下における該薬物を担持する脂質粒子の粒径の経時的変化を測定する工程と、
を行う制御部をさらに含み、該制御部は、(A−1)および(A−2)の工程により得られた情報に基づいて、前記一次希釈溶液中の該アルコールの濃度、前記脂質の濃度、前記所定の時間および前記混合時の温度からなる群より選択される少なくとも1つの条件を決定する、システム。
(項目X15)
前記一次希釈溶液中のアルコール濃度が18重量%以上に調整される、項目X11〜14のいずれか1項に記載のシステム。
(項目X16)
所望の粒径を有する脂質粒子を製造するシステムであって、該システムは、
(1)脂質粒子製造装置、および
(2)透析装置
を含み、
該脂質粒子製造装置は、
(1−A)脂質およびアルコールを含む第1の溶液と、水を含む第2の溶液とを混合して一次希釈溶液を調製する第1の混合領域と、
(1−B)該一次希釈溶液と、水を含む第3の溶液とを混合して二次希釈溶液を調製する第2の混合領域と、
(1−C)該一次希釈溶液を、該第1の混合領域から該第2の混合領域へと所定の時間で送液する送液管と、
を含み、
ここで、脂質粒子の粒径は、該一次希釈溶液中の該アルコールの濃度、該脂質の濃度、該所定の時間および該混合時の温度からなる群より選択される少なくとも1つの条件を調整することによって制御され、
該透析装置は、
(2−A)中空糸膜と、該中空糸膜の内側に被透析液を流すための第1流路を有する中空糸透析カラムと、
(2−B)該第1流路の入口に該被透析液を送る送液部と、
(2−C)該中空糸膜と接触する部分を有する第2流路と、
を含む、
システム。
(項目X17)
前記脂質粒子が、リポソームまたはミセルである、項目X16に記載のシステム。
(項目X18)
前記脂質粒子が、リポソームである、項目X16に記載のシステム。
(項目X19)
前記第2流路が、前記中空糸膜の外側に外液を流す流路である、項目X16〜18のいずれか1項に記載のシステム。
(項目X20)
前記第2流路が、前記中空糸膜のろ過液を流す流路である、項目X16〜18のいずれか1項に記載のシステム。
(項目X21)
前記被透析液に外液を加える第3流路を含む、項目X20に記載のシステム。
(項目X22)
溶液貯蔵容器を含み、ここで、該溶液貯蔵容器は前記脂質粒子製造装置および前記透析装置に接続されており、該溶液貯蔵容器は前記脂質粒子製造装置から流入した脂質粒子含有溶液を貯蔵する、項目X16〜21のいずれか1項に記載のシステム。
(項目X23)
前記透析装置が、
(2−D)前記第1流路の出口から流出する時の前記被透析液の流速および/または圧力を変更可能とする流速/圧力可変部、
を含み、ここで、該流速可変部は、前記第1流路の出口よりも下流側に設けられ、該第1流路の出口から流出した該被透析液を、該第1流路の入口の送液部の流速よりも低い流速および/または低い圧力で下流に送る装置を含む、
項目X16〜22のいずれか1項に記載のシステム。
(項目X24)
前記流速可変部の装置が、
(1)前記第1流路の出口から流出した前記被透析液を所定の流速で下流に送るポンプ、または
(2)前記第1流路の出口から流出した前記被透析液の流路を狭くするバルブ
のいずれかを含む、
項目X23に記載のシステム。
(項目X25)
前記一次希釈溶液中のアルコール濃度が18重量%以上に調整される、項目X16〜24のいずれか1項に記載のシステム。
(項目X26)
前記第1流路の出口から流出した前記被透析液が前記透析装置に再度流入するように構成される、項目X16〜25のいずれか1項に記載のシステム。
(項目Y1)
所望の粒径を有するリポソームの製造方法であって、該方法は、
(A)第1の混合領域内で、脂質およびアルコールを含む第1の溶液と、水を含む第2の溶液とを混合して一次希釈溶液を調製する工程と、
(B)該一次希釈溶液を、送液管を通して該第1の混合領域から第2の混合領域へと所定の時間で送液する工程と、
(C)該第2の混合領域内で、該一次希釈溶液と、水を含む第3の溶液とを混合して二次希釈溶液を調製する工程と、
を含み、
(A)〜(C)の工程は連続的に実施され、
リポソームの粒径が、該一次希釈溶液中の該アルコールの濃度、該脂質の濃度、該所定の時間、および該混合時の温度からなる群より選択される少なくとも1つの条件を調整することによって制御される、
方法。
(項目Y2)
前記リポソームがさらに薬物を担持する、項目Y1に記載の方法であって、
(A)の工程の前にさらに以下の工程;
(A−1)該薬物、前記脂質および前記アルコールを含む溶液を希釈して該アルコールの濃度を変化させた場合に形成されるリポソームの粒径を測定する工程と、
(A−2)該アルコールの濃度が一定の条件下における該薬物を担持するリポソームの粒径の経時的変化を測定する工程と、
を含み、
(A−1)および(A−2)の工程により得られた情報に基づいて、前記該一次希釈溶液中の該アルコールの濃度、該脂質の濃度、前記所定の時間、および前記混合時の温度からなる群より選択される、前記所望の粒径を調整するのに必要な少なくとも1つの条件が決定される、
方法
(項目Y3)
前記一次希釈溶液中のアルコール濃度が18重量%以上に調整される、項目Y1または2に記載の方法。
(項目Y4)
(A)〜(C)の工程が、閉鎖系において実施される、項目Y1〜3のいずれか1項に記載の方法。
(項目Y5)
(C)の工程の後に、さらなる粒径制御処理が実施されない、項目Y1〜4のいずれか1項に記載の方法。
(項目Y6)
前記所定の時間が、前記送液管の長さおよび流速の少なくとも1つによって調整される、項目Y1〜5のいずれか1項に記載の方法。
(項目Y7)
前記送液管中の圧力が、1MPa以上である、項目Y1〜6のいずれか1項に記載の方法。
(項目Y8)
前記二次希釈溶液を、さらに中空糸膜カラムに送液する、項目Y1〜7のいずれか1項に記載の方法。
(項目Y9)
所望の粒径を有するリポソームを製造するシステムであって、該システムは、
(A)脂質およびアルコールを含む第1の溶液と、水を含む第2の溶液とを混合して一次希釈溶液を調製する第1の混合領域と、
(B)該一次希釈溶液と、水を含む第3の溶液とを混合して二次希釈溶液を調製する第2の混合領域と、
(C)該一次希釈溶液を、該第1の混合領域から該第2の混合領域へと所定の時間で送液する送液管と、
を含み、
リポソームの粒径が、該一次希釈溶液中の該アルコールの濃度、該脂質の濃度、該所定の時間および該混合時の温度からなる群より選択される少なくとも1つの条件を調整することによって制御される、
システム。
(項目Y10)
前記リポソームがさらに薬物を担持する、項目Y9に記載のシステムであって、
(A−1)該薬物、前記脂質および前記アルコールを含む溶液を希釈して該アルコールの濃度を変化させた場合に形成されるリポソームの粒径を測定する工程と、
(A−2)前記アルコールの濃度が一定の条件下における該薬物を担持するリポソームの粒径の経時的変化を測定する工程と、
を行う制御部をさらに含み、該制御部は、(A−1)および(A−2)の工程により得られた情報に基づいて、前記一次希釈溶液中の該アルコールの濃度、前記脂質の濃度、前記所定の時間および前記混合時の温度からなる群より選択される少なくとも1つの条件を決定する、システム。
(項目Y11)
前記一次希釈溶液中のアルコール濃度が18重量%以上に調整される、項目Y10または11に記載のシステム。
(項目Y12)
所望の粒径を有するリポソームを製造するシステムであって、該システムは、
(1)リポソーム製造装置、および
(2)透析装置
を含み、
該リポソーム製造装置は、
(1−A)脂質およびアルコールを含む第1の溶液と、水を含む第2の溶液とを混合して一次希釈溶液を調製する第1の混合領域と、
(1−B)該一次希釈溶液と、水を含む第3の溶液とを混合して二次希釈溶液を調製する第2の混合領域と、
(1−C)該一次希釈溶液を、該第1の混合領域から該第2の混合領域へと所定の時間で送液する送液管と、
を含み、
ここで、リポソームの粒径は、該一次希釈溶液中の該アルコールの濃度、該脂質の濃度、該所定の時間および該混合時の温度からなる群より選択される少なくとも1つの条件を調整することによって制御され、
該透析装置は、
(2−A)中空糸膜と、該中空糸膜の内側に被透析液を流すための第1流路を有する中空糸透析カラムと、
(2−B)該第1流路の入口に該被透析液を送る送液部と、
(2−C)該中空糸膜と接触する部分を有する第2流路と、
を含む、
システム。
(項目Y13)
前記第2流路が、前記中空糸膜の外側に外液を流す流路である、項目Y12に記載のシステム。
(項目Y14)
前記第2流路が、前記中空糸膜のろ過液を流す流路である、項目Y12に記載のシステム。
(項目Y15)
前記被透析液に外液を加える第3流路を含む、項目Y14に記載のシステム。
(項目Y16)
溶液貯蔵容器を含み、ここで、該溶液貯蔵容器は前記リポソーム製造装置および前記透析装置に接続されており、該溶液貯蔵容器は前記リポソーム製造装置から流入したリポソーム含有溶液を貯蔵する、項目Y12〜15のいずれか1項に記載のシステム。
(項目Y17)
前記透析装置が、
(2−D)前記第1流路の出口から流出する時の前記被透析液の流速および/または圧力を変更可能とする流速/圧力可変部、
を含み、ここで、該流速可変部は、前記第1流路の出口よりも下流側に設けられ、該第1流路の出口から流出した該被透析液を、該第1流路の入口の送液部の流速よりも低い流速および/または低い圧力で下流に送る装置を含む、
項目Y12〜16のいずれか1項に記載のシステム。
(項目Y18)
前記流速可変部の装置が、
(1)前記第1流路の出口から流出した前記被透析液を所定の流速で下流に送るポンプ、または
(2)前記第1流路の出口から流出した前記被透析液の流路を狭くするバルブ
のいずれかを含む、
項目Y17に記載のシステム。
(項目Y19)
前記一次希釈溶液中のアルコール濃度が18重量%以上に調整される、項目Y12〜18のいずれか1項に記載のシステム。
(項目Y20)
前記第1流路の出口から流出した前記被透析液が前記透析装置に再度流入するように構成される、項目Y12〜19のいずれか1項に記載のシステム。
本発明において、上記の1つまたは複数の特徴は、明示された組み合わせに加え、さらに組み合わせて提供され得ることが意図される。本発明のなおさらなる実施形態および利点は、必要に応じて以下の詳細な説明を読んで理解すれば、当業者に認識される。
本発明を用いると、種々の脂質組成および担持薬物で構成される脂質粒子を、所望の粒子径および粒径分布で提供することができることから、薬物動態の検討、有効成分の安定化、製剤設計等において有用である。
ワンステップインライン閉鎖系脂質粒子製造システムの概略図である。 脂質粒子製造システムの概略図である。1aおよび1bは、それぞれ第1および第2の混合領域である。2は、送液管である。3a、3bおよび3cは、それぞれポンプである。 本発明の一つの実施形態における脂質粒子の粒径の制御ユニットの構成を機能ごとに分けて示すブロック図である。 本発明の一つの実施形態における脂質粒子の粒径の制御ユニットの構成を機能ごとに分けて示すブロック図である。条件A1、条件A2などは、薬物、脂質およびアルコールを含む溶液を希釈してアルコールの濃度を所定の値とする条件である。条件B1、条件B2などは、アルコールの濃度を一定の濃度に希釈した後に保持時間を所定の値だけ経過させる条件である。 透析装置の中空糸膜カラムの一例を示す図である。 被透析液の濃度制御装置の制御ユニットの構成を機能ごとに分けて示すブロック図である。 被透析液(脂質粒子液)の濃度をほとんど変えずに被透析液中の有機微粒子を除去する場合の制御を説明するための図である。 有機微粒子を除去しながら被透析液(脂質粒子液)を濃縮する場合の制御を説明するための図である。 本発明の実施形態に係る透析装置の流速可変部の変形例を示す図である。 本発明の脂質粒子製造装置と透析装置とを組み合わせた例示的実施形態を示す図である。 本発明の脂質粒子製造装置と透析装置とを組み合わせた例示的実施形態を示す図である。 本発明の脂質粒子製造装置と透析装置とを組み合わせた例示的実施形態を示す図である。 脂質組成(モル比)として、HSPC:Cholesterol:MPEG2000DSPE(56:39:5)を使用した場合の粒径分布の変化を示す図である。左は、エタノール濃度が12%、18%、27%、36%、39%、42%、46%の場合の調製直後および調製の1時間後のリポソームの粒径分布を示す。右は、エタノール濃度が15%、18%、21%、24%、27%、30%の場合の調製直後および調製の1日後のリポソームの粒径分布を示す。 脂質組成(モル比)としてHSPC:Cholesterol:DSPG(2.0:1.0:0.8)を使用した場合の粒径分布の変化を示す図である。左は、エタノール濃度が12%、15%、18%、21%、24%、27%の場合の調製直後および調製の1時間後のリポソームの粒径分布を示す。右は、エタノール濃度が15%、18%、21%、24%、27%、30%の場合の調製直後および調製の1日後のリポソームの粒径分布を示す。 脂質組成(モル比)としてDOPC:DOPG:DPPC:DPPG:Cholesterol(1:1:1:1:2.7)を使用した場合の調製直後および調製の1時間後のリポソームの粒径分布を示す図である。 実施例2−1に記載されるHSPC、Cholesterol、MPEG2000DSPEの組成を使用した場合の各2次希釈濃度で調製されたリポソームの調製直後、1時間後、1日後および2日後の粒径分布を示す図である。 実施例2−2に記載されるHSPC、Cholesterol、MPEG2000DSPEの組成を使用した場合の各2次希釈濃度で調製されたリポソームの調製直後、1時間後および2日後の粒径分布を示す図である。 脂質組成(モル比)として、HSPC:Cholesterol:MPEG2000DSPE(56:39:5)を使用した場合の各脂質濃度で調製されたリポソームの18%または36%の希釈濃度における粒径分布を示す図である。 脂質組成(モル比)としてHSPC:Cholesterol:DSPG(2.0:1.0:0.8)を使用した場合の各脂質濃度で調製されたリポソームの18%または36%の希釈濃度における粒径分布を示す図である。 脂質組成(モル比)としてDOPC:DOPG:DPPC:DPPG:Cholesterol(1:1:1:1:2.7)を使用した場合の各脂質濃度で調製されたリポソームの25%の希釈濃度における粒径分布を示す図である。 脂質組成(モル比)としてDOPC:DOPG:DPPC:DPPG:Cholesterol(1:1:1:1:2.7)を使用した場合の各脂質濃度で調製されたリポソームの36%の1次希釈濃度かつ18%の2次希釈濃度における粒径分布を示す図である。 流速および流路の長さを変更した場合のリポソームの粒径分布を示す図である。 脂質組成(モル比)として、HSPC:Cholesterol:MPEG2000DSPE(56:39:5)を使用した場合の各流速(保持時間)で調製されたリポソームの粒径分布を示す図である。 脂質組成(モル比)としてDOPC:DOPG:DPPC:DPPG:Cholesterol(1:1:1:1:2.7)を使用した場合の各流速(保持時間)で調製されたリポソームの粒径分布を示す図である。 実施例4−4に記載されるDOPC、DOPG、DPPC、DPPG、Cholesterolの組成を使用した場合の各保持時間で調製されたリポソームの調製直後、1時間後および2日後の粒径分布を示す図である。 実施例4−5に記載されるHSPC、Cholesterol、DSPGの組成を使用した場合の各保持時間で調製されたリポソームの調製直後、1時間後および2日後の粒径分布を示す図である。 温度を変更した場合のリポソームの粒径分布を示す図である。 背圧を変更した場合のリポソームの粒径分布を示す図である。 各濃度の第1希釈液におけるリポソームの粒径分布を示す図である。 本発明の方法で調製されたミセルおよびリポソームの比較を示す図である。図20Aは、電子顕微鏡観察により測定した、それぞれの脂質粒子調製液における脂質粒子全体のうちミセルの割合(%)を示す。図20Bは、リンタングステン酸染色したそれぞれの脂質粒子調製液における代表的な脂質粒子の観察像を示す(x200,000倍)。図20Cは、それぞれの脂質粒子調製液における粒径分布を示す。
以下、本発明を最良の形態を示しながら説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の冠詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
以下に本明細書において特に使用される用語の定義および/または基本的技術内容を適宜説明する。
(定義等)
本明細書において「脂質粒子」とは、疎水性基と親水性基とを有する脂質分子を含む、流体中で形成される粒子状の物質を指し、脂質粒子の内外の間または脂質粒子内には、脂質分子の疎水性基および親水性基の極性に基づいて局所的な親水的環境および疎水的環境が生じる。脂質粒子には、リポソームおよびミセルが含まれ得る。脂質粒子は、典型的には、平均粒径が1μm未満の脂質ナノ粒子であり得る。脂質粒子またはその脂質二重膜は、生体を構成する細胞膜と類似しているため、生体内環境に受け入れられ易い。また、脂質粒子は独立した局所的環境を提供するため、薬剤を担持することができる。そのため、脂質粒子はドラッグデリバリシステム(DDS)に用いられることがある。例えば、脂質粒子に薬物を担持させ、生体の所定の部位まで薬物を輸送することができる。本発明の脂質粒子は医薬用途に特に適しているが、用途は限定されず、食品、化粧品、農業、撮像などの用途に用いてもよい。
本明細書において「リポソーム」とは、脂質分子を含む脂質二重層から形成される脂質小胞体を指し、具体的には、脂質分子の疎水性基と親水性基の極性に基づいて生じる脂質二重層により外界から隔てられた空間を有する小胞体を意味する。リポソームは、単一の脂質二重膜を有する単層リポソーム(SUV:Small Unilameller Vesicle)であってもよいし、複数の層を有する多重層リポソーム(MLV:Multilameller Vesicle)であってもよい。二重膜は、疎水性の「尾」領域と、親水性の「頭」領域とを有する2つの単層の脂質膜から構成される。膜二重層の構造は、脂質単層の疎水性の(非極性)「尾」が二重層の中心を向き、他方、新水性の「頭」が水相を向くようになっている。
本明細書において「ミセル」とは、疎水性基と親水性基とを有する脂質分子を含み、この脂質分子の疎水性基および親水性基の極性に基づいてその内外にそれぞれ親水的環境および疎水的環境を生じる、粒子状の物質を指す。例えば、水性溶媒中に形成されたミセルでは、脂質分子の疎水性基を内側に、脂質分子の親水性基を外側に位置付けるように脂質分子が配向され得る。
本明細書において脂質粒子が薬物を「担持する」というとき、薬物は脂質粒子の内部および/または表面に保持されている。脂質粒子が薬物を「担持する」場合、薬物の少なくとも一部が、脂質粒子の内部または表面に保持されている。薬物はリポソーム内の水相、リポソーム膜の脂質相、ミセル内の脂質相、脂質粒子の相間の界面、脂質粒子と外部環境との間の界面およびそれらの組合せのいずれの場所に存在していてもよく、脂質粒子表層に静電的相互作用などで固定化された状態で存在していてもよく、脂質粒子のいずれかの相内に一部または全ての部分が含まれている状態であってもよい。
本明細書において「脂質粒子製剤」とは、脂質粒子そのもの、あるいは、脂質粒子を担体とし、これに薬物を担持させたものを指す。脂質粒子製剤は、脂質粒子が脂質粒子外液に分散あるいは懸濁された状態であってもよいし、凍結乾燥されている状態であってもよい。
本明細書において「脂質」とは、当該分野において使用される通常の意味で用いられ、長鎖脂肪酸あるいは炭化水素鎖などの疎水性の部分を有する物質を指す。例えば、脂質として、ホスファチジルコリン類(大豆レシチン、水添大豆レシチン、卵黄レシチン等)、ホスファチジルセリン類、ホスファチジルエタノールアミン類、ホスファチジルイノシトール類、ホスファスフィンゴミエリン類、ホスファチジン酸類、長鎖アルキルリン酸塩類、ガングリオシド類、糖脂質類、ホスファチジルグリセロール類、コレステロール類等、トコフェロール、ステロイド、脂肪酸、およびグリセロールの脂肪酸エステルなどが挙げられる。
本明細書において「両親媒性脂質」とは、疎水性部分および親水性部分の両方を有する脂質を指す。親水性部分は、例えば、リン酸基、カルボン酸基、硫酸基、アミノ基、スルフヒドリル基、ニトロ基、ヒドロキシ基などの極性または電荷を有する基を含む部分であり得る。疎水性部分は、長鎖飽和または不飽和脂肪族炭化水素基、芳香族性基、脂環式または複素環式基などの無極性基を含む部分であり得る。両親媒性脂質の例として、リン脂質、アミノ脂質、スフィンゴ脂質、スフィンゴ糖脂質、ジアシルグリセロール、およびβ−アシルオキシ酸などが挙げられるがこれに限定されない。リン脂質は、一般的に、分子内に長鎖アルキル基より構成される疎水性基とリン酸基より構成される親水性基とを持つ両親媒性物質である。リン脂質の例として、ホスファチジルコリン(=レシチン)、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、スフィンゴリン脂質、ジホスファチジル系リン脂質、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG)、ジオレイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルステアロイルホスファチジルコリン(PSPC)、パルミトイルステアロイルホスファチジルグリセロール(PSPG)、ジリノレオイルホスファチジルコリン、などが挙げられるがこれらに限定されない。
本明細書において「アシル(基)」とは、当該分野において通常の意味で使用され、有機酸(カルボン酸;脂肪酸)からヒドロキシル基が除去されてつくられる基をいう。広義には、ホルミル基HCO−、アセチル基CHCO−、マロニル基−COCHCO−、ベンゾイル基CCO−、シンナモイル基CCH=CHCO−、ケトン誘導体なども含まれる。リン脂質に含まれるアシル基は、好ましい実施形態では、脂肪酸を形成することから脂肪酸基とも称される。本明細書では、脂肪酸は、その炭素数と二重結合の数で表すことができ、例えば、アラキドン酸は(20:4)と表され得る。二重結合の位置をさらに特定する場合は、cisやtransの表示、またはEまたはZの表示について、すべての位置を特定するか、またはω3系、ω6系等の系統で表示することができる。
脂質が脂肪酸またはそれに基づくアシル基を含む場合、脂肪酸またはアシル基は、任意の鎖長、任意の二重結合を有することができる。例えば、炭素数について言えば、1以上、代表的には1〜30、通常は4〜30の範囲のものが挙げられ、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個等を挙げることができるが、これらに限定されない。また二重結合の個数は0個、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個等炭素数に応じて許容し得る任意の数を採用することができる。二重結合の位置は、ω−3系、ω−6系、ω−9系等が代表的であり、このほか、ω−5系や、ω−7系なども確認されており、これらの任意の入手可能なものを利用することができる。脂肪酸には三重結合が含まれていてもよく、その個数は0個、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個等炭素数に応じて許容し得る任意の数を採用することができる。
本明細書において「アニオン性脂質」とは、生理学的pHで負電荷を有する脂質を指す。このような脂質として、ホスファチジルグリセロール、カルジオリピン、ジアシルホスファチジルセリン、ジアシルホスファチジン酸、N−ドデカノイルホスファチジルエタノールアミン、N−サクシニルホスファチジルエタノールアミン、N−グルタリルホスファチジルエタノールアミン、リシルホスファチジルグリセロール、および中性脂質と結合したその他のアニオン性修飾基が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書において「カチオン性脂質」とは、生理学的pHで正電荷を有する脂質を指す。このような脂質として、N,N−ジオレイル−N,N−ジメチル塩化アンモニウム(「DODAC」)、N−(2,3−オレイロキシ)プロピル−N,N,N−トリメチル塩化アンモニウム(「DOTMA」)、N,N−ジステアリル−N,N−ジメチル臭化アンモニウム(「DDAB」)、N−(2,3−オレオイロキシ)プロピル−N,N,N−トリメチル塩化アンモニウム(「DOTAP」)、3−(N−(N’,N’−ジメチルアミノエタン)−カルバモイル)コレステロール(「DC−Chol」)、およびN(1,2−ジミリスチロキシプロプ−3−イル)N,N−ジメチルヒドロキシエチル臭化アンモニウム(「DMRIE」)などが挙げられるが、これらに限定されない。
コレステロール類としては、例えばコレステロール、フィトステロール(シトステロール、スチグマステロール、フコステロール、スピナステロール、ブラシカステロール)、ラノステロール、エルゴステロール、これらの脂肪酸エステル等が挙げられる。
本明細書において「薬剤」、「剤」または「因子」(いずれも英語ではagentに相当する)は、広義には、交換可能に使用され、意図する目的を達成することができる限りどのような物質または他の要素(例えば、光、放射能、熱、電気などのエネルギー)であってもよい。そのような物質としては、例えば、タンパク質(抗体等も含む)、ポリペプチド、オリゴペプチド、ペプチド、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド、核酸(例えば、cDNA、ゲノムDNAのようなDNA、mRNAのようなRNAを含む)、ポリサッカリド、オリゴサッカリド、脂質、有機低分子(例えば、ホルモン、リガンド、情報伝達物質、有機低分子、コンビナトリアルケミストリで合成された分子、医薬品として利用され得る低分子など)、これらの複合分子が挙げられるがそれらに限定されない。
一般的に、本発明の組成物、医薬、剤(治療剤、予防剤等)等は、治療有効量の医薬または有効成分、および薬学的に許容しうるキャリアもしくは賦形剤を含む。本明細書において「薬学的に許容しうる」は、動物、そしてより詳細にはヒトにおける使用のため、政府の監督官庁に認可されたか、あるいは薬局方または他の一般的に認められる薬局方に列挙されていることを意味する。
本明細書において「薬物」(drug)とは、当該分野において使用される通常の意味で用いられ、生物に投与したときに何らかの生理的な作用を及ぼすものを指し、例えば、タンパク質(酵素、抗体などを含む)、ペプチド、核酸(DNA、mRNA、siRNA、miRNA)、ベクター、ウイルス性粒子、プラスミド、毒素、糖類(オリゴ糖および多糖)、高分子化合物、抗がん剤、抗生物質、酵素剤、抗酸化剤、脂質取り込み阻害剤、ホルモン剤、抗炎症剤、ステロイド剤、血管拡張剤、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、アンジオテンシン受容体拮抗剤、平滑筋細胞の増殖・遊走阻害剤、血小板凝集阻害剤、抗凝固剤、ケミカルメディエーターの遊離阻害剤、血管内皮細胞の増殖促進または抑制剤、アルドース還元酵素阻害剤、メサンギウム細胞増殖阻害剤、リポキシゲナーゼ阻害剤、免疫抑制剤、免疫賦活剤、抗リウマチ薬、消炎酵素製剤、痛風治療薬、抗ヒスタミン薬、化学伝達物質遊離抑制薬、抗ウイルス剤、メイラード反応抑制剤、アミロイドーシス阻害剤、一酸化窒素合成阻害剤、AGFs(Advanced glycation endproducts)阻害剤、ヘモグロビン、ラジカルスカベンジャー、グリコサミノグリカンおよびその誘導体、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾンなどの副腎皮質ステロイドやその誘導体、アスピリン、インドメタシン、イブプロフェン、メフェナム酸、フェニルブタゾンなどの非ステロイド抗炎症剤、ヘパリン、低分子ヘパリンなどのメザンギウム細胞増殖阻害剤、シクロスポリンなどの免疫抑制剤、カプトプリルなどのACE(angiotensin converting enzyme)阻害剤、メチルグアニジンなどのAGE(advanced glycation endoproduct)阻害剤、バイグリカン、デコリンなどのTGF-β拮抗薬、PKC(protein kinase C)阻害剤、PGE1やPGI2などプロスタグランジン製剤、パパベリン系薬、ニコチン酸系薬、トコフェロ−ル系薬、およびCa拮抗薬などの末梢血管拡張薬、フォスホジエステラ−ゼ阻害剤、チクロピジン、アスピリンなどの抗血栓薬、ワ−ファリン、ヘパリン、抗トロンビン剤などの抗凝固剤、ウロキナ−ゼなどの血栓溶解薬、ケミカルメディエーター遊離抑制剤、抗生物質、抗酸化剤、酵素剤、脂質取込抑制剤、ホルモン剤、ビタミンC、ビタミンE、SODなどのラジカルスキャベンジャ−、メサンギウム細胞の増殖抑制作用を有するアンチセンスオリゴヌクレオチドなどが挙げられる。
本明細書において「粒径」または「粒子径」とは、当該分野において使用される通常の意味で用いられる通り、粒子の大きさを表すために使用される尺度であり、粒子を完全な球体と仮定した場合に、その直径に相当する便宜的な値である。脂質粒子の粒径は、当該技術分野で公知のいずれの方法によって測定してもよいが、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた凍結割断法、およびMalvern Zetasizer等の動的光散乱を利用する方法で測定してもよい。本明細書において「平均粒子径」とは、数平均粒径またはZ−平均粒子径のいずれを指す場合にも使用され得るが、特に断らなければ、測定した粒子径から算出されるZ−平均粒子径を指す。本明細書において「粒径分布」とは、当該分野において使用される通常の意味で用いられ、粒子の大きさの広がりを指す。粒径分布を表す尺度として多分散指数(PDI)が使用される。
本明細書において「アルコール」とは、ヒドロキシ官能基(−OH)が飽和炭素原子に結合している任意の有機化合物を指す。アルコールは、一価であってもよいし、それより多くの価数であってもよい。アルコールは、1〜20個の炭素原子を含む炭素鎖を有してもよく、この炭素鎖は環および/または二重結合を含んでいてもよく、この炭素鎖は直鎖状であっても分岐状であってもよい。アルコールとして、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1−プロパノール、ブチルアルコールおよびペンタノールが挙げられる。
本明細書において「中空糸膜」とは、当該分野において使用される通常の意味で用いられ、管の壁に多数の孔を有する微小細管を指し、これを使用して透析を行うことができる。
本明細書中において「膜濾過」とは、透析膜を使用して液体流を分離するための機械的分離方法を指す。膜濾過として、逆浸透(RO)、ナノ濾過(NF)、限外濾過(UF)、および精密濾過(MF)が挙げられる。
本明細書において「流速」とは、溶液が管内を流れる速さを指し、本明細書では、(距離)/(時間)または(体積)/(時間)のいずれの次元で表されてもよい量である。
本明細書において「保持時間」とは、溶液がある領域から別の領域まで移動するのにかかる時間を指す。例えば、領域Aが領域Bと送液管Cを介して連結されている場合、領域Aから領域Bまでの保持時間は、(送液管の長さ)/(流速[cm/分])で計算することができる。
本明細書において、「測定」とは、当該分野において使用される通常の意味で用いられ、ある対象について、量がどれほどか測って求めることをいう。本明細書において「検出」とは、当該分野において使用される通常の意味で用いられ、物質や成分等を検査して見つけだすことをいい、「同定」とは、ある対象について、そのものにかかわる既存の分類のなかからそれの帰属先をさがす行為をいい、化学分野において使用される場合、対象となる物質の化学物質としての同一性を決定する(例えば、化学構造を決定する)ことをいい、「定量」とは、対象となる物質の存在する量を決定することをいう。
本明細書で使用されるとき、体液試料中の分析物の「量」は、一般には、試料の体積中で検出し得る分析物の質量を反映する絶対値を指す。しかし、量は、別の分析物量と比較した相対量も企図する。例えば、試料中の分析物の量は、試料中に通常存在する分析物の対照レベルまたは正常レベルより大きい量であってもよい。
用語「約」は、イオンの質量の測定を含まない定量的測定に関連して本明細書で使用されるとき、示された値プラスまたはマイナス10%を指す。なお、「約」と明示的に示されない場合でも「約」があると同義で解釈されうる。質量分析機器は、所与の分析物の質量の決定においてわずかに異なり得る。イオンの質量またはイオンの質量/電荷比との関連において用語「約」は、+/−0.5原子質量単位を指す。
(好ましい実施形態)
以下に本発明の好ましい実施形態を説明する。以下に提供される実施形態は、本発明のよりよい理解のために提供されるものであり、本発明の範囲は以下の記載に限定されるべきでないことが理解される。従って、当業者は、本明細書中の記載を参酌して、本発明の範囲内で適宜改変を行うことができることは明らかである。また、本発明の以下の実施形態は単独でも使用されあるいはそれらを組み合わせて使用することができることが理解される。
(脂質粒子作製方法)
1つの局面において、本発明は、所望の粒径を有する脂質粒子(例えば、リポソーム、ミセル)を製造する方法を提供する。この方法は、A)第1の混合領域内で、脂質およびアルコールを含む第1の溶液と、水を含む第2の溶液とを混合して一次希釈溶液を調製する工程;B)該一次希釈溶液を、送液管を通して該第1の混合領域から第2の混合領域へと所定の時間で送液する工程;およびC)該第2の混合領域内で、該一次希釈溶液と、水を含む第3の溶液とを混合して二次希釈溶液を調製する工程を包含し、ここで、脂質粒子の粒径は、該一次希釈溶液中の該アルコールの濃度、該脂質の濃度、該所定の時間、および該混合時の温度からなる群より選択される少なくとも1つの条件を調整することによって制御される。1つの実施形態では、(C)の工程の後に、さらなる粒径制御処理が実施されない。1つの実施形態では、(C)の工程の後に、二次希釈溶液を、送液管を通して第2の混合領域から第3の混合領域へと所定の時間で送液する工程;および第3の混合領域内で、二次希釈溶液と、水を含む第4の溶液(第1、第2および第3の溶液のいずれかと同様に定義され得る)とを混合して三次希釈溶液を調製する工程がさらに実施されてもよい。1つの実施形態では、脂質およびアルコールを含む溶液の調製において、脂質(および/または薬物)をアルコールに溶解する工程が含まれ得る。溶解の際には加温してもよい。
一次希釈溶液中のアルコールの濃度、脂質の濃度、送液の所定の時間、および混合時の温度の少なくとも1つを調整することで、脂質粒子(例えば、リポソーム、ミセル)の粒径を調節できることが本発明で一つの重要な点である。特に、理論に束縛されることを望まないが、アルコールの濃度を段階的に調節することで、脂質粒子(例えば、リポソーム、ミセル)の粒径を微細に調節することができる点は本発明において一つの重要な点である。また、アルコールの濃度を段階的に調節し、その上で、送液の所定の時間することで、所望の粒径を有する脂質粒子(例えば、リポソーム、ミセル)を製造できること、およびその際、その粒径の粒度分布が製薬レベルとしても通用する程度に狭いものであることが達成され得ることもまた、本発明において重要な点の一つである。さらに、混合時の温度を調節することで、脂質粒子(例えば、リポソーム、ミセル)の粒径をさらに詳細に調整することができる。
1つの実施形態では、本発明は、薬物を担持し、所望の粒径を有する脂質粒子(例えば、リポソーム、ミセル)を製造する方法を提供し、ここで、該方法は、薬物、脂質およびアルコールを含む溶液を希釈してアルコールの濃度を変化させた場合に形成される脂質粒子の粒径を測定する工程と、該アルコールの濃度が一定の条件下における該薬物を含む脂質粒子の粒径の経時的変化を測定する工程と、をさらに含み、このように得られた情報に基づいて、該所望の粒径を得るための、該一次希釈溶液中の該アルコールの濃度、該脂質の濃度、該所定の時間、および該混合時の温度からなる群より選択される、前記所望の粒径を調整するのに必要な少なくとも1つの条件が決定される。このような条件で測定された該一次希釈溶液中の該アルコールの濃度、該脂質の濃度、該所定の時間、および該混合時の温度からなる群より選択される少なくとも1つの条件は、以降、所望の粒径の脂質粒子(例えば、リポソーム、ミセル)を製造するために用いることができる。
第1の溶液に含まれる脂質は、任意の脂質の組み合わせであり得、それぞれの脂質成分の比率は任意に設定され得る。1つの実施形態では、脂質は、薬物を脂質粒子(例えば、リポソーム、ミセル)の内部に担持するように選択される。1つの実施形態では、脂質は、薬物を脂質粒子(例えば、リポソーム、ミセル)の表面に担持するように選択される。1つの実施形態では、脂質は、薬物をリポソームの脂質二重膜上に担持するように選択される。1つの実施形態では、第1の溶液に含まれる脂質は、生体内温度(35〜37℃)より高い相転移温度を有する。このような脂質を用いることにより、保存時に、または、血液などの生体環境中で、脂質粒子(例えば、リポソーム、ミセル)に担持された薬物が脂質粒子から外部へ漏出されにくくなり得る。
1つの実施形態では、第1の溶液に含まれるアルコールは、1〜6個の炭素原子を含む一価または二価のアルコールを含む。あるいは、第1の溶液に含まれるアルコールは、一価または二価のアルコールを含む。別の実施形態では、第1の溶液に含まれるアルコールは、一価のアルコールを含む。特定の実施形態では、第1の溶液に含まれるアルコールは、1〜3個の炭素原子を含む一価のアルコールを含む。具体的な実施形態では、第1の溶液に含まれるアルコールは、メタノール、エタノールまたはイソプロピルアルコール、あるいはそれらの組合せを含む。
1つの実施形態では、第2の溶液および/または第3の溶液は、第1の溶液に含まれるアルコールを第1の溶液より低濃度で含んでもよい。
第1の溶液、第2の溶液および第3の溶液を含め、本発明の脂質粒子製造法において使用する溶液には、水およびアルコール以外の溶媒が含まれていてもよい。このような溶媒の例として、例えば、エーテル類、エステル類、ケトン類、アセタール類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの水と混和性の溶媒、ならびにヘキサン、ベンゼン、トルエン、クロロホルム、酢酸エチル、塩化メチレンなどの水と非混和性の溶媒が挙げられるが、これらに限定されない。
1つの実施形態では、第1の溶液、第2の溶液および第3の溶液のうちのいずれかは、脂質粒子に担持させる目的の薬物を含む。1つの実施形態では、第1の溶液および第2の溶液のうちのいずれかは、脂質粒子に担持させる目的の薬物を含む。1つの実施形態では、第1の溶液、第2の溶液および第3の溶液のいずれでもない溶液が、脂質粒子に担持させる目的の薬物を含んでいてもよい。目的の薬物は、任意の薬物であり得る。目的の薬物は、治療目的の薬物でなくてもよく、例えば、殺虫剤、除草剤、美容用薬剤、香料、食品添加物、着香料、撮像剤、染料、蛍光マーカー、発毛剤、保湿剤、色素類、美白剤、顔料、X線造影剤、超音波診断薬、放射性同位元素標識核医学診断薬、核磁気共鳴診断用診断薬などであってもよい。
第1の溶液、第2の溶液および第3の溶液を含め、本発明の脂質粒子製造法において使用される任意の溶液には、必要に応じて、浸透圧調整剤、安定化剤、酸化防止剤、pH調整剤などの添加剤が含まれていてもよい。
浸透圧調整剤としては、特に限定されないが、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウムのような無機塩類、グリセロール、マンニトール、ソルビトールのようなポリオール類、グルコース、フルクトース、ラクトース、またはスクロースのような糖類が挙げられる。
安定化剤としては、特に限定されないが、例えば、グリセロール、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、またはスクロースのような糖類、コレステロールなどのステロールが挙げられる。
酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、アスコルビン酸、尿酸、トコフェロール同族体(例えば、ビタミンE)が挙げられる。なお、トコフェロールには、α、β、γ、δの4個の異性体が存在するが本発明においてはいずれも使用できる。
pH調整剤としては、任意の塩基性または酸性化合物、例えば、水酸化ナトリウム、クエン酸、酢酸、トリエタノールアミン、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムなどが挙げられる。
その他の添加剤の例として、医薬的に許容される有機溶媒、コラーゲン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、水溶性デキストラン、カルボキシメチルスターチナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、エチルセルロース、キサンタンガム、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、寒天、ジグリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ワセリン、パラフィン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ヒト血清アルブミン(HSA)、PBS、生体内分解性ポリマー、無血清培地、医薬添加物として許容される界面活性剤、生理的pHの緩衝液などが挙げられる。
発明者らは、一次希釈溶液中のアルコール濃度(重量%)が特定の値(本明細書において「流動性変動点」とも呼ぶ)以上に調整されている場合、脂質粒子の粒径は経時的に変化する状態になり、逆に流動性変動点未満のアルコール濃度では脂質粒子の粒径がほとんど変化しないことを見出した。1つの実施形態では、流動性変動点は、脂質粒子の組成、温度および圧力によって変動し得る。1つの実施形態では、流動性変動点は、一次希釈溶液中のアルコールの種類によって変動し得る。1つの実施形態では、流動性変動点は、脂質粒子の組成、温度および圧力によって変動し得る。1つの実施形態では、流動性変動点は、一次希釈溶液中のアルコールの種類が同じであれば、脂質粒子の組成および/または脂質粒子に担持させる薬物の有無で変動しない。なお、本明細書で開示されたこれらおよび他の箇所で記載された条件は、脂質粒子であれば、リポソーム、ミセルの両方に適用可能でありうる。
1つの実施形態では、一次希釈溶液中のアルコール濃度は、約10〜約50重量%であり得、例えば、約10重量%、約15重量%、約18重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%または約50重量%であり得る。
1つの実施形態では、二次希釈溶液中のアルコール濃度は、流動性変動点未満以下または流動性変動点未満であり、そのような濃度に調整することで一次希釈溶液中で制御された脂質粒子の粒径分布が変化しないように固定される。1つの実施形態では、アルコールがエタノールである場合の流動性変動点は、約18重量であり得る。1つの実施形態では、二次希釈溶液中のアルコール濃度は、約0〜約30重量%であり得、例えば、約0重量%、約5重量%以下、約10重量%以下、約15重量%以下、約18重量%以下、約20重量%以下、約25重量%以下または約30重量%以下であり得る。二次希釈溶液は、追加の溶液と混合してさらに希釈してもよい。
脂質粒子の粒子径を制御するためには、一次希釈溶液中のアルコール濃度範囲および二次希釈溶液中のアルコール濃度範囲の特定の組み合わせを使用することが好ましく、例えば、このような組み合わせは、一次希釈溶液中のアルコール濃度約10〜約50重量%および二次希釈溶液中のアルコール濃度約0〜約30重量%、一次希釈溶液中のアルコール濃度約15〜約50重量%および二次希釈溶液中のアルコール濃度約0〜約25重量%、一次希釈溶液中のアルコール濃度約20〜約50重量%および二次希釈溶液中のアルコール濃度約0〜約20重量%などである。また、第1の溶液に含まれる溶媒の種類に応じてこの範囲は変動する可能性があり、例えば、第1の溶液がエタノールを含む場合、一次希釈溶液中のエタノール濃度約10〜約50重量%および二次希釈溶液中のエタノール濃度約0〜約25重量%、好ましくは一次希釈溶液中のエタノール濃度約15〜約50重量%および二次希釈溶液中のエタノール濃度約0〜約20重量%、より好ましくは一次希釈溶液中のエタノール濃度約20〜約50重量%および二次希釈溶液中のエタノール濃度約0〜約18重量%の組み合わせであり得る。1つの実施形態では、一次希釈溶液中のアルコール濃度はリポソーム膜が十分に安定化しない範囲が好ましく、二次希釈溶液中のアルコール濃度はリポソーム膜を安定化する範囲が好ましい。
1つの実施形態では、溶液は、混合領域において乱流を生じさせることで混合される。1つの実施形態では、溶液は、混合領域において混合要素(例えば、ミキサー)によって混合される。
1つの実施形態では、一次希釈溶液が第1の混合領域から第2の混合領域に到達するまでの所定の時間(保持時間)(ある場合には、二次希釈溶液が第2の混合領域から第3の混合領域に到達するまでの所定の時間)を調整することでリポソームの粒子径が制御され得る。1つの実施形態では、この所定の時間(保持時間)は、約0.1〜約60分であり得、例えば、約0.1分、約0.2分、約0.5分、約1分、約2分、約5分、約10分、約15分、約20分、約25分、約30分、約45分または約60分であり得るが、それ以上であってもよい。一次希釈溶液が第1の混合領域から第2の混合領域に送液されるまでの間に追加の溶液と混合されてもよい。一次希釈溶液中で脂質粒子またはその膜が不安定化し、相転移温度以上の加温で脂質の流動性が高まるため、ブラウン運動等により互いに接触した際に融合を起こす頻度が高まる。そのため、時間経過とともに生成した脂質粒子同士の融合が均一に進み、一定の粒度分布を維持したまま粒子径が大きくなると考えられる。二次希釈溶液が第2の混合領域から第3の混合領域に到達するまでの所定の時間の制御も同様である。
1つの実施形態では、一次希釈溶液が第1の混合領域から第2の混合領域に到達するまでに送液管内に保持される所定の時間(ある場合には、二次希釈溶液が第2の混合領域から第3の混合領域に到達するまに送液管内に保持される時間)は、混合領域間の流路の長さおよび流速の少なくとも1つによって制御される。1つの実施形態では、一次希釈溶液が第1の混合領域から第2の混合領域に到達するまでに送液管内に保持される時間は、第1の混合領域と第2の混合領域との間の流速によって制御される。1つの実施形態では、一次希釈溶液が第1の混合領域から第2の混合領域に到達するまでに送液管内に保持される所定の時間は、第1の混合領域と第2の混合領域との間の流路の長さによって制御される。1つの実施形態では、第1の混合領域から第2の混合領域までの流路の長さは、例えば、0.1〜500m、1〜100mまたは5〜50mの範囲であり得、例えば、0.1m、0.5m、1m、5m、10m、20m、30m、40m、50m、70m、100m、150m、200m、500mなどであり得る。1つの実施形態では、第1の混合領域と第2の混合領域との間の流速は、例えば、0.1〜500m/分、1〜100m/分または5〜50m/分の範囲であり得、例えば、0.1m/分、0.2m/分、0.5m/分、1m/分、5m/分、10m/分、20m/分、30m/分、40m/分、50m/分、70m/分、100m/分、150m/分、200m/分、500m/分などであり得、0.1〜500mL/分、1〜100mL/分または5〜50mL/分の範囲であり得、例えば、0.1mL/分、0.2mL/分、0.5mL/分、1mL/分、5mL/分、10mL/分、20mL/分、30mL/分、40mL/分、50mL/分、70mL/分、100mL/分、150mL/分、200mL/分、500mL/分などであり得る。一次希釈溶液が第1の混合領域から第2の混合領域に到達するまでに送液管内に保持される所定の時間(保持時間)が一定に保たれる場合、流路の長さおよび流速の個々の要素が脂質粒子の粒子径に与える影響は少ない。そのため、使用する保持時間が決定されたときには、脂質粒子製造装置の各部位における溶液間の混合割合、圧力およびレイノルズ数などのその他の要素を考慮して適当な流路の長さおよび流速の組み合わせを選択することができる。二次希釈溶液が第2の混合領域から第3の混合領域に到達するまでの所定の時間の制御も同様である。
1つの実施形態では、希釈溶液は、混合領域間の送液管中を層流状態で流れる。1つの実施形態では、混合領域間の送液管中を流れる希釈溶液におけるレイノルズ数(Nre)を調整することで脂質粒子の粒子径が制御され得る。1つの実施形態では、混合領域間の送液管中を流れる一次希釈溶液におけるレイノルズ数(Nre)は、2000未満、1000未満、500未満、300未満、200未満、100未満、50未満であり得る。
1つの実施形態では、本発明の脂質粒子製造法の各工程において温度を制御することで脂質粒子の粒子径が制御され得る。1つの実施形態では、脂質が溶解状態を維持する温度が使用され得る。1つの実施形態では、第1の混合領域内および/または送液管内の温度を、30℃以上95℃以下、より好ましくは50℃以上90℃以下、さらに好ましくは70℃以上85℃以下の範囲に維持するように温度が調整される。1つの実施形態では、第1の混合領域内の温度を、30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、95℃、100℃などに維持するように温度が調整される。1つの実施形態では、第1の混合領域内および/または送液管内の温度は、一次希釈液中の脂質と脂質粒子に担持させる目的の薬物とが完全に溶解する温度以上の範囲に維持するように調整され、そのように温度が調整される場合、温度は、厳密に管理しなくても、例えば、標的温度の±5℃の範囲内等で保てばよい。1つの実施形態では、2次希釈溶液および/またはそれ以降の工程における溶液が、例えば0℃以上50℃以下、より好ましくは5℃以上30℃以下、さらに好ましくは15℃以上25℃以下の範囲を維持するように温度が調整される。溶液の温度は、熱媒体を使用して調整することができる。熱媒体は任意の物質であってよく、液体(例えば水)であってもよいし、気体であってもよいし、固体(例えば、アルミブロック)であってもよい。
1つの実施形態では、一次希釈溶液に含まれる脂質濃度を調整することで脂質粒子の粒子径が制御され得る。脂質濃度が増加するほど、脂質粒子の粒径が増加し得る。1つの実施形態では、一次希釈溶液に含まれる脂質濃度は、0.5〜1000mg/mL、5〜500mg/mLまたは10〜200mg/mLの範囲であり得、例えば、0.5mg/mL、1mg/mL、5mg/mL、10mg/mL、20mg/mL、30mg/mL、40mg/mL、50mg/mL、70mg/mL、80mg/mL、100mg/mL、150mg/mL、200mg/mL、300mg/mL、500mg/mL、700mg/mL、1000mg/mLなどであり得るが、使用する脂質の組成によって適切な濃度は変動し得る。脂質濃度が高くなるほど、単位体積当たりに生成される脂質粒子数が増大し、ブラウン運動等により脂質粒子同士の接触の機会が増加するため、脂質粒子同士の融合が加速され粒子径が大きくなり得る。
1つの実施形態では、本発明の脂質粒子製造法の各工程において圧力を制御することで脂質粒子の粒子径が制御され得る。1つの実施形態では、圧力は背圧によって制御される。1つの実施形態では、第1の混合領域(ある場合には、第2の混合領域)内および/または送液管内の圧力は、0.01〜100MPa、0.1〜20MPaまたは1〜10MPaの範囲であり得、例えば、0.01MPa、0.05MPa、0.1MPa、0.5MPa、1MPa、5MPa、10MPa、50MPa、100MPなどであり得る。1つの実施形態では、混合領域間の配管中の圧力は、0.5MPa以上、0.8MPa以上、1MPa以上、1.5MPa以上、2MPa以上、3MPa以上、4MPa以上、5MPa以上、8MPa以上または10MPa以上であり得る。ある値以上の圧力をかけることで、脂質粒子の粒径分布(PDI)が狭い範囲に維持され得る。
1つの実施形態では、本発明の脂質粒子製造法は、脂質粒子を作製した後に溶液の組成を調整する工程を含む。1つの実施形態では、本発明の脂質粒子製造法は、脂質粒子を作製した後に脂質粒子濃度を調整する工程を含む。溶液の組成を調整する工程と、リポソーム濃度を調整する工程とは、同時に実施されてもよいし、別々に実施されてもよい。例えば、国際公開第2016/024510号に開示されるように中空糸膜カラムを使用することで溶液の組成を調整する工程および脂質粒子濃度を調整する工程を同時に実施することができる。作製された脂質粒子を含む溶液中の脂質粒子濃度および溶液組成を調整する手段として、限外濾過および透析などが挙げられるがこれらに限定されない。
1つの実施形態では、本発明の脂質粒子製造法は連続的に実施される。1つの実施形態では、本発明の脂質粒子製造法は無菌環境で実施される。1つの実施形態では、本発明の脂質粒子製造法は閉鎖系で実施される。閉鎖系でも、所望の粒径の脂質粒子を製造することができる点は本発明の1つの有利な点であり、さらに粒径分布も所望の範囲に
収めることができる点も1つの有利な点である。
1つの実施形態では、本発明の方法で製造された脂質粒子の平均粒子径は、10〜1000nmであり得、例えば、10nm〜500nmであり得、具体的には、20nm〜300nmであり得、より具体的には30nm〜200nmであり得る。1つの実施形態では、本発明の方法で製造されたリポソームの平均粒子径は、少なくとも10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、150nm、200nmまたは250nmかつ最大1000nm、900nm、800nm、700nm、600nm、500nm、400nm、300nm、250nmまたは200nmであり得、例えば、20nm〜1000nm、30nm〜700nm、40nm〜1000nm、40nm〜700nm、40nm〜500nm、40nm〜400nm、20nm〜300nm、30nm〜300nm、50nm〜250nm、60nm〜200nmまたは100nm〜200nmであり得、代表的には、40nm〜300nmであり得る。1つの実施形態では、本発明の方法で製造されたミセルの平均粒子径は、少なくとも5nm、7nm、10nm、15nm、20nm、25nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nmまたは100nmかつ最大500nm、400nm、300nm、200nm、150nm、120nm、100nm、90nm、80nm、70nm、60nmまたは50nmであり得、例えば、5nm〜500nm、7nm〜300nm、10nm〜150nm、15nm〜100nm、15nm〜300nm、15nm〜150nm、5nm〜90nm、10nm〜90nm、20nm〜80nmまたは30nm〜70nmであり得、代表的には、15nm〜90nmであり得る。脂質粒子の粒子径が10〜1000nm程度であれば体内の多くの血管を通過できるサイズであるため血管からの全身投与が可能となり、全身の各種組織へ移行できるといった効果が発揮され得る。
1つの実施形態では、本発明の方法で製造された脂質粒子の平均粒子径と、所望の粒子径との間の誤差は、±50nm以内、±40nm以内、±30nm以内、±20nm以内、±10nm以内、±5nm以内、±4nm以内、±3nm以内、±2nm以内、±1nm以内、±0.7nm以内、±0.5nm以内、±0.2nm以内、±0.1nm以内であり得る。本発明の方法によれば、高い精度で脂質粒子の平均粒子径が制御され得る。
1つの実施形態では、本発明の方法で製造された脂質粒子の粒径分布は、多分散指数で0.5未満であり得、例えば、0.2未満であり得、具体的には、0.1未満であり得、より具体的には0.05未満であり得、さらには0.01未満であり得る。
1つの実施形態では、脂質粒子の表面は、修飾剤で修飾されていてもよい。修飾剤として、例えばポリエチレングリコール(PEG)、フィコール、ポリビニルアルコール、スチレン−無水マレイン酸交互共重合体、ジビニルエーテル−無水マレイン酸交互共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルメチルオキサゾリン、ポリエチルオキサゾリン、ポリヒドロキシプロピルオキサゾリン、ポリヒドロキシプロピルメタアクリルアミド、ポリメタアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリヒドロキシプロピルメタアクリレート、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアスパルトアミド、合成ポリアミノ酸およびこれらの誘導体などが挙げられるがこれらに限定されない。脂質粒子は、PEGまたはPEG誘導体で修飾されることで、血中に長時間滞留し易くなり得る。また、特定の組織と親和性である標的化分子(例えば、抗体)で脂質粒子を修飾することにより、脂質粒子が標的組織に到達され易くなり得る。
本発明の方法によって作製されたリポソームは任意の用途に使用することができ、例えば、医薬用途、食品、化粧品、農業、撮像などの用途に用いることができる。
(システム)
本発明は、また、所望の粒径を有する脂質粒子(例えば、リポソーム、ミセル)を製造するためのシステムを提供する。システムは、上記の脂質粒子製造方法を実施するための任意の適切な手段を備えることができる。
一つの局面において、本発明は、所望の粒径を有する脂質粒子を製造するシステムであって、該システムは、(A)脂質およびアルコールを含む第1の溶液と、水を含む第2の溶液とを混合して一次希釈溶液を調製する第1の混合領域と、(B)該一次希釈溶液と、水を含む第3の溶液とを混合して二次希釈溶液を調製する第2の混合領域と、(C)該一次希釈溶液を、該第1の混合領域から該第2の混合領域へと所定の時間で送液する送液管と、を含み、脂質粒子の粒径が、該一次希釈溶液中の該アルコールの濃度、該脂質の濃度および該混合時の温度を調整することによって制御される、システムを提供する。1つの実施形態では、システムは、水を含む第4の溶液(第1、第2および第3の溶液のいずれかと同様に定義され得る)とを混合して三次希釈溶液を調製する第3の混合領域と、二次希釈溶液を第2の混合領域から第3の混合領域へと所定の時間で送液する送液管とを含んでもよく、脂質粒子の粒径は、さらに、二次希釈溶液中のアルコールの濃度、脂質の濃度および混合時の温度を調整することによって制御されてもよい。
一つの局面において、システムは、薬物、脂質およびアルコールを含む溶液を希釈してアルコールの濃度を変化させた場合に形成される脂質粒子の粒径を測定する工程と、アルコールの濃度が一定の条件下における薬物を担持する脂質粒子の粒径の経時的変化を測定する工程と、を行う制御部をさらに含み、制御部は、これらの工程により得られた情報に基づいて、一次希釈溶液中のアルコールの濃度、および所定の時間を決定する。
本発明のシステムにおいて、送液のために任意の管を使用することができるが、管の材料は、例えば、断熱性(熱伝導率)、耐熱性、耐薬品性、または密閉性等を考慮して決定することができる。送液管の材料として、例えば、熱可塑性プラスチック(例えば、可塑剤を含むポリ塩化ビニル)、熱可塑性プラスチックエラストマー(例えば、可塑剤を含まないポリ塩化ビニル、スチレン−エチレン−ブチレンとシリコーンオイルとの共重合体、又はUSP石油を含むポリプロピレン系プラスチック)、熱硬化性ゴム(例えば、非結晶シリカを含むシロキサンポリマー)、又は熱凝固性フッ素ゴムが挙げられるが、これらに限定されない。送液管として、例えば、サンゴバン株式会社製「ファーメッドBPT」および「ファーマピュア」等を使用することができる。送液管は、任意の内径を有してよく、例えば約0.8mmであり得る。
本発明のシステムの混合領域はミキサーを備えてもよい。ミキサーは、溶液の組成、流速および圧力などの要因を考慮して適切なものが選択され得るが、例えば、圧力の関係から低流速を使用する場合、低流速でも混合効率が高いマイクロ流路を利用したミキサー(Deneb Helix型)およびマイクロスワールミキサーなどを利用することができる。
本発明のシステムにおいて、各溶液を収容するために任意の容器を使用することができるが、容器の材質は、断熱性(熱伝導率)、耐熱性、耐薬品性、及び密閉性等を考慮して決定することができる。一つの実施形態において、容器は開閉式の蓋を有する。一つの実施形態において、容器は密閉可能な容器である。一つの実施形態において、容器は密閉状態を維持したまま本発明のシステムに接続され得る。
本発明のシステムにおいて、任意の箇所にポンプ(流速可変部)を取り付けることができる。ポンプは、例えばシリンジポンプ、プランジャポンプ、ピストンポンプ、又はローラーポンプであり得る。ポンプによって、流速および圧力などが調整され得る。
本発明の脂質粒子製造システムは、図3Aに示すような制御ユニット30を有し得る。制御ユニット30は、制御部31と、検出部32とを有する。制御部31と検出部32とは相互に通信可能に接続されている。ハードウェア(例えば、専用回路)だけで上記制御を実行可能にしてもよいし、CPUにプログラムを実行させることで上記制御を実行してもよい。
一つの局面において、本発明の脂質粒子製造システムは、図3Bに示すような制御ユニット30を有し得る。制御ユニット30は、制御部31と、検出部32と、記録部33と、計算部34とを有する。制御部31、検出部32、記録部33および計算部34は相互に通信可能に接続されている。ハードウェア(例えば、専用回路)だけで上記制御を実行可能にしてもよいし、CPUにプログラムを実行させることで上記制御を実行してもよい。
粒子径検出器45aは、薬物、脂質およびアルコールを含む溶液を希釈してアルコールの濃度を所定の値とする種々の条件(条件A1、条件A2など)について、作製される脂質粒子の粒子径を検出する。粒子径検出器45bは、アルコールの濃度を一定の濃度に希釈した後に保持時間を所定の値だけ経過させる種々の条件(条件B1、条件B2など)について、作製される脂質粒子の粒子径を検出する。粒子径検出器45aおよび粒子径検出器45bは同一のものを使用してもよいし、異なるものを使用してもよい。
粒子径検出器45aおよび粒子径検出器45bで取得されたデータは、検出部32に送信され、記録部33に蓄積される。計算部34は、記録部33に蓄積された情報(必要に応じて入力部41からの入力と合わせて)に基づいて、所望の粒径の脂質粒子の作製に適した希釈溶液中のアルコールの濃度、および希釈溶液が混合領域から次の混合領域に到達するまでの所定の時間(保持時間)を算出する。
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、脂質粒子製造装置に含まれる各種アクチュエータの駆動回路とから構成される。ROM52には、BIOS(Basic Input/Output System)、OS(Operating System)、各種ドライバー、及び各種アプリケーションなど、各種プログラムが格納されている。検出部32は、脂質粒子製造装置に含まれる各種センサ(例えば、温度センサ、圧力センサおよび粒子径検出器)の検出回路から構成される。
制御ユニット30は、入力部41と、表示部42と、記憶部43と、インターフェイス44とそれぞれ通信可能に接続されている。インターフェイス44は、制御ユニット30と外部の装置との間でのデータの送受信を可能にする。制御ユニット30は、インターフェイス44を介して、例えば汎用コンピューター(いわゆるパーソナルコンピューター)に接続される。
入力部41は、ユーザーからの入力を受け付ける。入力部41は、例えばキーボード、マウス、又はタッチパネルから構成される。表示部42は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)又はELD(Electro Luminescence Display)のようなディスプレーから構成される。なお、入力部41及び表示部42がタッチパネルから構成される場合には、入力部41と表示部42とは一体化していることになる。
記憶部43は、例えばハードディスクのような不揮発性メモリーから構成される。記憶部43には、各種制御に係るプログラム及びデータ(例えば、入力部41から制御ユニット30に入力されたデータ)等が格納される。
制御部31は、計算部34から出力された情報に基づいて、送液管、ポンプ3a、3bおよび3cを制御する。
制御部31は、入力部41から制御ユニット30に入力されたデータ、検出部32に入力された温度センサおよび圧力センサの各出力信号、および計算部34から出力された情報の少なくとも1つに基づいて、恒温槽、送液管、ポンプ3a、3bおよび3cのうちの少なくとも1つを制御する。送液管は、例えば、流路を切り替えるなどしてその長さが制御され得る。
本発明のシステムにおいて、流速を変更とする任意の流速可変部を使用することができる。一つの実施形態では、流速可変部は、図8に示すような流路面積可変装置16b(例えば、絞り部)であり、ここで、流路幅D16(ひいては、流路面積)は変更可能であり得る。流路幅D16(流路面積)を変更する場合には、例えば流路の側壁を内側又は外側に変位させる。例えば流路幅D16(ひいては、流路面積)を小さくすることで、流速可変部を通過した後の流速を小さくすることができる。一つの実施形態では、制御ユニット30により流路面積可変装置16b(例えば、流路幅D16)が制御される。
本発明の脂質粒子製造システムは、さらに、溶液中の脂質粒子濃度を調整する装置および/または溶媒を置換する装置と接続することができる。そのような装置として、例えば、国際公開第2016/024510号に記載されるような透析装置を使用することができる。これらの装置を接続することで、脂質粒子の製造、濃度調整および溶媒置換を1つの閉鎖系で行い、最終的な製品とすることが可能であり、容易に無菌を達成できる。脂質粒子製造システムは、溶液中の脂質粒子濃度を調整する装置および/または溶媒を置換する装置と直接的に管によって接続してもよいし、間に溶液を貯蔵する容器等の管以外の構成要素を設けて間接的に接続してもよい。
図4は、透析装置における中空糸膜カラム20の一例(ダイアライザー)を示す。中空糸透析カラム20は、ハウジング内に多数の中空糸膜201aの集合体を有する。中空糸膜201a(詳しくは、糸の側面)には、多数の孔201bが形成されている。中空糸透析カラム20は、中空糸膜201aの内側に脂質粒子液11b(被透析液)を流すための第1流路201と、中空糸膜201aの外側に外液21a(透析液)を流すための第2流路202とを有する。第1流路201の上流端には入口20aが設けられ、第1流路201の下流端には出口20bが設けられている。第2流路202の上流端には入口20cが設けられ、第2流路202の下流端には出口20dが設けられている。第2流路202の入口20cは第1流路201の出口20b近傍に配置され、第2流路202の出口20dは第1流路201の入口20a近傍に配置されている。
中空糸透析カラム20における中空糸膜201aのMWCO(Molecular Weight Cut
Off)は、例えば3kD以上750kD以下であり得る。第1流路201の入口20a
から出口20bまでの長さD11は、例えば10cm以上300cm以下であり得る。複数本の中空糸透析カラムを長手方向に(直列に)つなげることで、実質的に長い中空糸透析カラム20を形成してもよい。中空糸膜201aの内径(糸の内径)D13は、例えば0.3mm以上2.0mm以下であり得る。また、孔201bは、例えば脂質粒子101の平均粒子径D12よりも小さい直径D14を有し得る。孔201bの直径D14は、例えば2nm以上75nm以下であり得る。中空糸膜201aの素材の例としては、mPES(修飾ポリエーテルスルホン)、ME(混合セルロースエステル)、PES(ポリエーテルスルホン)、又はPS(ポリスルホン)が挙げられるが、これらに限定されない。中空糸膜カラム20としては、例えばスペクトラム・ラボラトリーズ株式会社製の「MidiKros(登録商標)モジュール」を用いることができる。
一つの実施形態では、図4に示すように、脂質粒子液11bを透析する場合には、ポンプ22aを作動させて、中空糸膜201aの外側に外液21aを流す。外液21aは、例えば最終生成物と同じ溶媒であり得る。一つの実施形態では、脂質粒子液を透析する場合に、中空糸膜201aの外側に外液21aを流さなくてもよい。一つの実施形態では、透析装置は、脂質粒子液を中空糸膜201aに通すことで生成されるろ液を流す流路を有し得る。一つの実施形態では、脂質粒子液の透析は、脂質粒子液を流す向きに直交する方向に廃液が流れるタンジェンシャルフロー・フィルトレーション(TFF)であり得る。
ポンプ22aは、容器21内の外液21aを中空糸透析カラム20に向けて圧送(送液)する。ポンプ22aが作動することで、外液21aは、管22内を中空糸透析カラム20(第2流路202の入口20c)に向かって流れて、第2流路202において中空糸膜201aの外側を中空糸膜201aに沿って流れる。外液21aは、第2流路202の入口20cから出口20dまで流れて、管23を通り、廃液容器24内に回収される。
脂質粒子液11bを流す向きは、外液21aの流れに対向する向き(逆向き)であることが好ましい。脂質粒子液11bと外液21aとを互いに逆向きに流すことで、透析効率を向上させることができる。
図4に示すように、脂質粒子液11b中の脂質粒子101は、孔201bよりも大きいため、孔201bを通過できない。一方、有機微粒子103は、孔201bよりも小さいため、孔201bを通過できる。このため、脂質粒子液11bに含まれる有機微粒子103は、中空糸膜201aの外側へ除去される。脂質粒子液11b中の分散媒102も、中空糸膜201aの内側(第1流路201)から外側(第2流路202)へ移動する。他方、外液21aは、中空糸膜201aの外側(第2流路202)から内側(第1流路201)へ移動する。
中空糸膜カラム20の第1流路201に被透析液を流すとともに第2流路202に外液21aを流して、被透析液を透析しながら、第1流路201へ入る脂質粒子液11b(被透析液)の量と第1流路201から出る脂質粒子液11b(被透析液)の量とを制御することで、中空糸透析カラム20における分散媒102の移動量(第1流路201から第2流路202へ移動する液量)と外液21aの移動量(第2流路202から第1流路201へ移動する液量)との差分(ひいては、被透析液の濃度)を制御され得る。透析後の脂質粒子液11bは、管16内を通って回収部17に流入する。
透析装置は、図5に示すような制御ユニット30を有し得る。制御ユニット30は、制御部31と、検出部32とを有する。制御部31と検出部32とは相互に通信可能に接続されている。透析装置用の制御ユニットは、脂質粒子製造装置用の制御ユニットと一体となっていてもよいし、独立していてもよい。透析装置は、図3Aおよび3Bに示す脂質粒子製造装置用の制御ユニットと同様の制御ユニットを有し得る。
透析装置では、制御ユニット30が、第1流路201の入口20aにおける被透析液(透析前の脂質粒子液11b)の流速(以下、第1流速と記載する)と第1流路201の出口20bにおける被透析液(透析後の脂質粒子液11b)の流速(以下、第2流速と記載する)との差分に基づいて、第1流路201の出口20bから流出する被透析液(透析後の脂質粒子液11b)の濃度を制御する。
例えば透析前後の流速比率を1.0(第1流速=第2流速)にすることで、図6に示すように、脂質粒子液11bの濃度をほとんど変えずに脂質粒子液11b中の有機微粒子103(図4)を除去することができる。脂質粒子液11bが第1流路201を流れる間に、第1流路201から第2流路202へ移動する分散媒102の量は、第2流路202から第1流路201へ移動する分散媒102の量と略同じになる。
また、例えば透析前後の流速比率を1.0よりも小さく(第1流速>第2流速)することで、図7に示すように、脂質粒子液11b中の有機微粒子103(図4)を除去しながら脂質粒子液11bを濃縮することができる。逆に、透析前後の流速比率を1.0よりも大きくすることで、脂質粒子液11b中の有機微粒子103を除去しながら脂質粒子液11bを希釈することができる。
透析装置(精製部15等)は、制御ユニット30によりポンプ16aを制御することで、中空糸透析カラム20から流出する被透析液の濃度を簡易に制御することができる。その結果、高い精度で所望の濃度を有する被透析液を得ることが可能になる。
図9は、脂質粒子製造システムと、脂質粒子濃度調整および/または溶媒置換のための装置との間に溶液を貯蔵する容器を設けてこれらを間接的に接続した例示的実施形態を示す。この例では、脂質粒子製造システムからの脂質粒子含有溶液は、まず一次容器に流入する。システム内の構成要素同士をつなぐ管には、必要に応じて流量および/または圧力を監視および/または制御する構成要素を設けることができる。一次容器内の圧力、温度および/または液体量は、それを検出する手段(例えば、秤量計)などによって監視し、制御してもよい。次に、一次容器に貯蔵された溶液は脂質粒子濃度調整および/または溶媒置換のための装置に送られる。脂質粒子濃度調整および/または溶媒置換のための装置を通して濃度調整および/または溶媒置換された脂質粒子含有溶液は、そのまま取り出されてもよいし(図9A)、一次容器または別の容器に流入させて再度システム内を循環させてもよい(図9B、9C)。一つの実施形態では、所望の脂質粒子濃度および/または溶液組成となった一次容器内の溶液が取り出される。一つの実施形態では、脂質粒子濃度調整および/または溶媒置換のための装置からの脂質粒子を含まない溶液(透過液、または廃液)の圧力、温度、液体量および/または液体組成を監視して、得られた情報に基づいて所望の脂質粒子濃度および/または溶液組成としてもよい。一つの実施形態では、透過液または廃液は、廃棄してもよいし、必要に応じて処理した後に、再度利用してもよい。一つの実施形態では、システムに透析液(外液)を加える流路を設けてもよく、この流路は、例えば、被透析液に透析液(外液)を加えるように構成され得る。一つの実施形態では、一次容器に透析液(外液)を流入させる管を接続してもよい(図9C)。一つの実施形態では、脂質粒子濃度調整および/または溶媒置換のための装置に透析液(外液)を流入させる管を接続してもよい(図9A、9B)。一つの実施形態では、透過液と同量の透析液を供給することでシステム内の液量を一定に保ったまま脂質粒子濃度調整および/または溶媒置換を実施することができる。脂質粒子濃度調整および/または溶媒置換は、脂質粒子製造システムからの脂質粒子含有溶液を一次容器に貯蔵した後に実施してもよいし、貯蔵するのと並行して実施してもよい。脂質粒子濃度調整および溶媒置換は、複数の工程で実施してもよいし、一つの工程で実施してもよい。
一つの実施形態では、透析装置(精製部15等)は、第1流路201内の脂質粒子液11b(被透析液)が、第2流路202内の外液21aの流れに対向する向きに流れる。こうした構成を有する透析装置では、透析効率を向上させることができる。
製造される脂質粒子液の濃度が高過ぎると、脂質粒子液の保存安定性が悪くなることがある。上記透析装置によれば、所望の濃度の脂質粒子液を容易に得ることが可能になる。脂質粒子液の濃度を調整する場合において、透析前後の流速比率は0.2以上5.0以下であることが好ましく、0.5以上2.0以下であることがより好ましい。透析前後の流速比率を0.2以上5.0以下(より好ましくは、0.5以上2.0以下)にすることで、高い精度で被透析液の濃度を調整することが可能になる。
中空糸膜201aの内径(糸の内径)D13(図4)を太くしたり、複数の中空糸膜カラムを並列につなげたりすることで、一度に処理する溶液の量を増やすことができる。また、第1流路201の入口20aにおける被透析液の流速を大きくして処理量を増やしてもよい。こうした方法では、流速の調整のみで簡単に処理量を増やすことができる。
一つの局面において、本発明のシステムは、所与の薬物について、所望の平均粒径(および必要に応じて多分散指数)を有するように、所与の薬物を担持する脂質粒子を作製する条件を決定する。条件は、一次希釈液のアルコール濃度と脂質粒子の粒径との関係を表す関数、所与の時間(保持時間)と脂質粒子の粒径との関係を表す関数、混合領域(第2または第3)および/または混合領域間の送液管の温度と脂質粒子の粒径との関係を表す関数、一次または二次希釈液の脂質濃度と脂質粒子の粒径との関係を表す関数、混合領域間の送液管におけるレイノルズ数と脂質粒子の粒径との関係を表す関数、混合領域間の送液管における圧力と脂質粒子の粒径との関係を表す関数の少なくとも1つの関数を使用して決定される。
一つの実施形態において、一次希釈液のアルコール濃度と脂質粒子の粒径との関係を表す関数は、以下の手順で得られ得る。所与の薬物、所与の脂質および特定のアルコールを含む第1の溶液を、水を含む第2の溶液と混合してアルコールが所定の濃度に希釈された混合物を調製する。ここで、所定の濃度は、少なくとも2点設定される。それぞれの混合物について、調製後一定の時間が経過した時点(調製直後であってもよい)で、脂質粒子の粒子径を測定する。この測定結果に基づいて、脂質粒子の平均粒子径(および必要に応じて多分散指数)と、希釈濃度との関係を表す関数を作成することができる。二次希釈溶液のアルコール濃度と脂質粒子リポソームの粒径との関係を表す関数も同様に得られ得る。
一つの実施形態において、所与の時間(保持時間)と脂質粒子の粒径との関係を表す関数は、以下の手順で得られ得る。所与の薬物、所与の脂質および特定のアルコールを含む第1の溶液を、水を含む第2の溶液と混合してアルコールが一定濃度に希釈された混合物を調製する。混合物を調製した後、所定の時間が経過した時点で、脂質粒子の粒子径を測定する。ここで、所定の時間は、少なくとも2点設定される。測定結果に基づいて、脂質粒子の平均粒子径(および必要に応じて多分散指数)と、調製後の時間経過との関係を表す関数を作成することができる。上記は第1の混合領域から第2の混合領域に到達するまでの保持時間に関する記載であるが、第2の混合領域から第3の混合領域に到達するまでの保持時間と脂質粒子の粒径との関係を表す関数も同様に得られ得る。
例えば、疎水性薬剤(リポソーム膜に埋め込まれる、またはミセル内部に担持される)の場合、一般に、薬剤が入ることで脂質粒子の平均粒径は大きくなる。そのため、脂質組成が決まっている場合、目標とする最終製剤の粒子径よりも20%〜30%小さい平均粒子径をもつ薬剤非担持脂質粒子ができる条件を予想することが本発明では通例である。ドキシルのような親水性薬剤の場合、薬剤非担持脂質粒子として製造することができることから、さらに予測可能である。
(一般技術)
本明細書において用いられる分析学的手法、化学的手法、製剤学的手法は、当該分野において周知であり慣用されるものであり、例えば、(Gregory Gregoriadis著、Liposome Technology:Liposome Prepar
ation and Related Techniques, September 12, 2006 CRC Press,ISBN 9780849388217)などに記載されており、これらは本明細書において関連する部分(全部であり得る)が参考として援用される。
本明細書において「または」は、文章中に列挙されている事項の「少なくとも1つ以上
」を採用できるときに使用される。「もしくは」も同様である。本明細書において「2つの値」の「範囲内」と明記した場合、その範囲には2つの値自体も含む。
本明細書において引用された、科学文献、特許、特許出願などの参考文献は、その全体が、各々具体的に記載されたのと同じ程度に本明細書において参考として援用される。
以上、本発明を、理解の容易のために好ましい実施形態を示して説明してきた。以下に、実施例に基づいて本発明を説明するが、上述の説明および以下の実施例は、例示の目的のみに提供され、本発明を限定する目的で提供したのではない。従って、本発明の範囲は、本明細書に具体的に記載された実施形態にも実施例にも限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
以下に実施例を記載する。
試薬類は具体的には実施例中に記載した製品を使用したが、他メーカー(Sigma−Aldrich、和光純薬、ナカライ、R&D Systems、USCN Life Science INC等)の同等品でも代用可能である。
(略号)
本明細書において説明した略称の他、以下の略称も用いる。
DOPC:2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジルコリン
DOPG:2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジルグリセロール
DPPC:ジパルミトイルホスファチジルコリン
DPPG:1,2−ジパルミトレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホグリセロール
HSPC:水素添加大豆ホスファチジルコリン
DSPG:ジステアロイルホスファチジルグリセロール
DMPG:ジミリストイルホスファチジルグリセロール
MPEG2000DSPE:N−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール−2000)1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミンナトリウム塩
PDI:多分散指数
脂質粒子の平均粒子径および多分散指数は、動的光散乱法によって測定した。
(実施例1)アルコール濃度と粒子径との関係
(1−1)
以下の溶液を調製した。
溶液A:HSPC 95.8mg、Cholesterol 31.9mg、MPEG2000DSPE 31.9mgを6mlのエタノールに溶解
溶液B:マルトースを終濃度10%(W/V)で10mMリン酸ナトリウムバッファー(pH6.5)に溶解
溶液Aおよび溶液Bを、それぞれ、85℃の温浴中で、エタノール濃度(V/V)が12%、18%、27%、36%、39%、42%および46%となるように混合した後、静置した。混合直後、混合3時間後、混合3日後の各時点で平均粒子径および多分散指数を観察した。結果を以下の表および図10Aの左に示す。
Figure 0006968452
また、溶液Aを、溶液A:HSPC 95.8mg、Cholesterol 31.9mg、MPEG2000DSPE 31.9mg、α−Galactosylceramide 50mg を6mlのエタノールに溶解したエタノール溶液に代えて、同様に、エタノール濃度(V/V)が15%、18%、21%、24%、27%および30%となるように混合した後、静置した。混合直後および混合1日後の各時点で平均粒子径および多分散指数を観察した。結果を以下の表および図10Aの右に示す。
Figure 0006968452
(1−2)
以下の溶液を調製した。
溶液A:HSPC 170.4mg、Cholesterol 41.6mg、DSPG
67.2mgを18mlのエタノールに溶解
溶液B:マルトースを終濃度10%(W/V)で10mMリン酸ナトリウムバッファー(pH6.5)に溶解
溶液Aおよび溶液Bを、(1−1)と同様に、それぞれ、エタノール濃度(V/V)が12%、15%、18%、21%、24%、および27%となるように混合した後、静置した。混合直後、混合1時間後、混合2日後の各時点で平均粒子径および多分散指数を観察した。結果を以下の表および図10Bの左に示す。
Figure 0006968452
また、溶液Aを、溶液A:HSPC 170.4mg、Cholesterol 41.6mg、DSPG 67.2mg、α−Galactosylceramide 50mgを18mlのエタノールに溶解したエタノール溶液に代えて、同様に、エタノール濃度(V/V)が15%、18%、21%、24%、27%および30%となるように混合した後、静置した。混合直後および混合1日後の各時点で平均粒子径および多分散指数を観察した。結果を以下の表および図10Bの右に示す。
Figure 0006968452
(1−3)
以下の溶液を調製した。
溶液A:DOPC 96mg、DOPG 97mg、DPPC 90mg、DPPG 91mg、Cholesterol 126mgを4mlのエタノールに溶解
溶液B:マルトースを終濃度10%(W/V)で10mMリン酸ナトリウムバッファー(pH6.5)に溶解
溶液Aおよび溶液Bを、(1−1)と同様に、それぞれ、エタノール濃度(V/V)が17%、18%、25%、33%、および35%となるように混合した後、静置した。混合直後、混合1時間後の各時点で平均粒子径および多分散指数を観察した。結果を以下の表および図10Cに示す。
Figure 0006968452

これらの実験から、エタノール希釈濃度によって脂質粒子の粒径が変化することが分かった。また、脂質粒子の調製後、平均粒子径が時間と共に増大することが示された。
(実施例2)2段階目のアルコール希釈濃度と粒子径との関係
(2−1)
以下の溶液を調製した。
溶液A:HSPC 95.8mg、Cholesterol 31.9mg、MPEG2000DSPE 31.9mgを6mlのエタノールに溶解
溶液B:マルトースを終濃度10%(W/V)で10mMリン酸ナトリウムバッファー(pH6.5)に溶解
6mLの溶液Aおよび10.7mLの溶液Bをエタノール濃度が36%(V/V)となるように混合し、85℃の温浴で30秒間撹拌し、その後、さらに溶液Bを添加してエタノール濃度(V/V)がそれぞれ12%、15%、18%、21%、24%および27%となるように2次希釈液を調製した後、室温または4℃で静置した。2次希釈液調製直後、1時間後、3時間後、1日後、2日後の各時点で平均粒子径および多分散指数を観察した。結果を以下の表および図11Aに示す。
Figure 0006968452
(2−2)
以下の溶液を調製した。
溶液A:HSPC 170.4mg、Cholesterol 41.6mg、DSPG
67.2mgを18mlのエタノールに溶解
溶液B:マルトースを終濃度10%(W/V)で10mMリン酸ナトリウムバッファー(pH6.5)に溶解
18mLの溶液Aおよび32mLの溶液Bをエタノール濃度が36%(V/V)となるように混合し、85℃の温浴で30秒間撹拌し、その後、さらに溶液Bを添加してエタノール濃度(V/V)がそれぞれ12%、15%、18%、21%、24%および27%となるように2次希釈液を調製した後、静置した。2次希釈液調製直後、1時間後、1日後、2日後の各時点で平均粒子径および多分散指数を観察した。結果を以下の表および図11Bに示す。
Figure 0006968452
これらの実験から、エタノールの2次希釈濃度がある濃度(およそ18%)以下である場合に、脂質粒子が安定化し、逆にそれ以上の濃度では脂質粒子が不安定化することが示された。このことから、脂質粒子が不安定化するアルコール濃度において、所望の粒径が得られるような操作を行い、その後、脂質粒子が安定化するアルコール濃度に調整することで安定的に所望の粒径分布を有する脂質粒子を提供可能であることが予測された。また、脂質粒子組成および脂質粒子に担持させる薬物の有無によらず、脂質粒子が不安定化し始めるアルコール濃度(流動性変動点)は変化しない可能性があることが示された。
(実施例3)アルコール中の脂質濃度と粒子径との関係
(3−1)
以下の溶液を調製した。
溶液A:HSPC 95.8mg、Cholesterol 31.9mg、MPEG2000DSPE 31.9mgを、1、2、3、4、6mlのエタノールに溶解
溶液B:マルトースを終濃度10%(W/V)で10mMリン酸ナトリウムバッファー(pH6.5)に溶解
溶液Aおよび溶液Bを、それぞれ、85℃の温浴中で、エタノール濃度(V/V)がそれぞれ18%、36%となるように混合した後、静置した。混合直後、混合1時間後、混
合1日後または2日後の各時点で平均粒子径および多分散指数を観察した。結果を以下の表および図12Aに示す。
Figure 0006968452

Figure 0006968452
(3−2)
以下の溶液を調製した。
溶液A:HSPC 47.3mg、Cholesterol 11.6mg、DSPG 18.7mgを、1、2、3、4、5mlのエタノールに溶解
溶液B:マルトースを終濃度10%(W/V)で10mMリン酸ナトリウムバッファー(pH6.5)に溶解
溶液Aおよび溶液Bを、(3−1)と同様に、エタノール濃度(V/V)がそれぞれ18%、36%となるように混合した後、静置した。混合直後、混合1時間後の各時点で平均粒子径および多分散指数を観察した。結果を以下の表および図12Bに示す。
Figure 0006968452

Figure 0006968452
(3−3)
以下の溶液を調製した。
溶液A:DOPC 96mg、DOPG 97mg、DPPC 90mg、DPPG 91mg、Cholesterol 126mgを3、3.5、4、5mlのエタノールに溶解
溶液B:マルトースを終濃度10%(W/V)で10mMリン酸ナトリウムバッファー(pH6.5)に溶解
溶液Aおよび溶液Bを、(3−1)と同様に、それぞれ、エタノール濃度が25%(V/V)となるように混合した後、静置した。混合直後、混合1時間、1.5時間後の各時点で平均粒子径および多分散指数を観察した。結果を以下の表および図12Cに示す。
Figure 0006968452
(3−4)
以下の溶液を調製した。
溶液A:DOPC 96mg、DOPG 97mg、DPPC 90mg、DPPG 91mg、Cholesterol 126mgを4、5、6mlのエタノールに溶解
溶液B:マルトースを終濃度10%(W/V)で10mMリン酸ナトリウムバッファー(pH6.5)に溶解
溶液Aおよび溶液Bを、(3−1)と同様に、エタノール濃度が36%(V/V)となるように混合した後、さらに溶液Bを添加して、エタノールが18%(V/V)となるように2次希釈液を調製した後、静置した。2次希釈液調製後の各時点で平均粒子径および多分散指数を観察した。結果を以下の表および図13に示す。
Figure 0006968452

これらの実験から、脂質濃度を増大させるほど脂質粒子の粒径が大きくなる傾向がみられること、脂質濃度に関わらず流動性変動点が一定であることが見出された。
(実施例4)アルコール第1希釈後の時間経過と粒子径との関係
(4−1)
以下の溶液を調製した。
溶液A:DOPC 96mg、DOPG 97mg、DPPC 90mg、DPPG 91mg、Cholesterol 126mgを4mlのエタノールに溶解
溶液B:マルトースを終濃度10%(W/V)で10mMリン酸ナトリウムバッファー(pH6.5)に溶解
溶液Aおよび溶液Bをそれぞれ別の流路に流し、これらの溶液を第1のミキサーで混合して第1希釈液とし、第1希釈液を送液管に流し、第2のミキサーにおいて第1希釈液および溶液Bを混合し第2希釈液を調製するように、脂質粒子作製装置を構成した。ここで、第1希釈液のエタノール濃度は36%(V/V)、第2希釈液のエタノール濃度は18%(V/V)となるように流量を調整した。
流速および送液管の長さを変更して、平均粒子径および多分散指数を観察した。結果を以下の表および図14に示す。
Figure 0006968452

異なる流速・流路長でも保持時間(二次希釈までの時間)が同じであれば同様の粒子径の脂質粒子が形成されることが示された。
(4−2)
以下の溶液を調製した。
溶液A:HSPC 95.8mg、Cholesterol 31.9mg、MPEG2000DSPE 31.9mgを3mlのエタノールに溶解
溶液B:マルトースを終濃度10%(W/V)で10mMリン酸ナトリウムバッファー(pH6.5)に溶解
脂質粒子作製装置を(4−1)と同様に構成した。ここで、第1希釈液のエタノール濃度は36%(V/V)、第2希釈液のエタノール濃度は18%(V/V)となるように流量を調整した。第1のミキサーにおける混合から2次希釈液の調製まで85℃の加温条件で行った。
流速を変更して、平均粒子径および多分散指数を観察した。結果を以下の表および図15Aに示す。
Figure 0006968452
(4−3)
以下の溶液を調製した。
溶液AをDOPC 96mg、DOPG 97mg、DPPC 90mg、DPPG 91mg、Cholesterol 126mgを4mlのエタノールに溶解したエタノール溶液に変更して(4−2)と同様の実験を行った。結果を以下の表および図15Bに示す。
Figure 0006968452
(4−4)
以下の溶液を調製した。
溶液A:DOPC 96mg、DOPG 97mg、DPPC 90mg、DPPG 91mg、Cholesterol 126mgを4mlのエタノールに溶解
溶液B:マルトースを終濃度10%(W/V)で10mMリン酸ナトリウムバッファー(pH6.5)に溶解
脂質粒子作製装置を(4−1)と同様に構成した。ここで、第1希釈液のエタノール濃度は36%(V/V)、第2希釈液のエタノール濃度は18%(V/V)となるように流量を調整した。
以下の表に示すような保持時間となるように流速および送液管の長さを調整して、平均粒子径および多分散指数を観察した。結果を以下の表および図16Aに示す。
Figure 0006968452
(4−5)
以下の溶液を調製した。
溶液A:HSPC 47.3mg、Cholesterol 11.6mg、DSPG 18.7mgを、18mlのエタノールに溶解
溶液B:マルトースを終濃度10%(W/V)で10mMリン酸ナトリウムバッファー(pH6.5)に溶解
脂質粒子作製装置を(4−1)と同様に構成した。ここで、第1希釈液のエタノール濃度は36%(V/V)、第2希釈液のエタノール濃度は18%(V/V)となるように流量を調整した。
以下の表に示すような保持時間となるように流速および送液管の長さを調整して、平均粒子径および多分散指数を観察した。結果を以下の表および図16Bに示す。
Figure 0006968452

これらの実験から、保持時間を長くすることで脂質粒子の粒径を増大させることが可能であることが示された。また、粒径の増大に伴うPdIの増加は少なかった。
(実施例5)温度と粒子径との関係
以下の溶液を調製した。
溶液A:HSPC 95.8mg、Cholesterol 31.9mg、MPEG2000DSPE 31.9mgを6mlのエタノールに溶解
溶液B:マルトースを終濃度10%(W/V)で10mMリン酸ナトリウムバッファー(pH6.5)に溶解
溶液Aおよび溶液Bをそれぞれ別の流路に流し、これらの溶液を第1のミキサーで混合して第1希釈液とし、第1希釈液を送液管に流し、第2のミキサーにおいて第1希釈液および溶液Bを混合し第2希釈液を調製するように、脂質粒子作製装置を構成した。ここで、溶液A(6mL/分)および溶液B(10.7mL/分)を第1のミキサーで混合してエタノール濃度36%(V/V)の第1希釈液とし、さらに溶液B(16.7mL/分)を加えて第2のミキサーで混合してエタノール濃度18%(V/V)の第2希釈液を調整した。
第1のミキサーにおける混合から2次希釈液の調製までに50℃または85℃の加温条件を使用して、平均粒子径および多分散指数を観察した。結果を以下の表および図17に示す。
Figure 0006968452

温度を調整することで脂質粒子の粒径を制御可能であることが示された。
(実施例6)背圧と粒子径との関係
(6−1)
以下の溶液を調製した。
溶液A:DOPC 96mg、DOPG 97mg、DPPC 90mg、DPPG 91mg、Cholesterol 126mgを4mlのエタノールに溶解
溶液B:マルトースを終濃度10%(W/V)で10mMリン酸ナトリウムバッファー(pH6.5)に溶解
溶液Aおよび溶液Bをそれぞれ別の流路に流し、これらの溶液を第1のミキサーで混合して第1希釈液とし、第1希釈液を送液管に流し、第2のミキサーにおいて第1希釈液および溶液Bを混合し第2希釈液を調製するように、脂質粒子作製装置を構成した。ここで、溶液A(4mL/分)および溶液B(9.3mL/分)を第1のミキサーで混合してエタノール濃度30%(V/V)の第1希釈液とし、さらに溶液B(8.9mL/分)を加えて第2のミキサーで混合してエタノール濃度18%(V/V)の第2希釈液を調整した。
第1のミキサーと第2のミキサーとの間の流路における背圧を0.3MPa、1.0MPaまたは2.0MPaになるように調整して、平均粒子径および多分散指数を観察した。結果を以下の表および図18左に示す。
Figure 0006968452
(6−2)
以下の溶液を調製した。
溶液A:DOPC 144mg、DMPG 144mg、Cholesterol 96mgを3mlのエタノールに溶解
溶液B:マルトースを終濃度10%(W/V)で10mMリン酸ナトリウムバッファー(pH6.5)に溶解
溶液Aおよび溶液Bをそれぞれ別の流路に流し、これらの溶液を第1のミキサーで混合して第1希釈液とし、第1希釈液を送液管に流し、第2のミキサーにおいて第1希釈液および溶液Bを混合し第2希釈液を調製するように、脂質粒子作製装置を構成した。ここで、溶液A(3.06mL/分)および溶液B(13.5mL/分)を第1のミキサーで混合してエタノール濃度18.5%(V/V)の第1希釈液とし、さらに溶液B(0.5mL/分)を加えて第2のミキサーで混合してエタノール濃度18%(V/V)の第2希釈液を調整した。
第1のミキサーと第2のミキサーとの間の流路における背圧を0.3MPa、1.0MPaまたは2.0MPaになるように調整して、平均粒子径および多分散指数を観察した。結果を以下の表および図18右に示す。
Figure 0006968452

これらの実験から、背圧が1.0MPa以上の場合、脂質粒子の粒径およびPdI値は低く維持され、粒子径の均一性が高いことが示される。
背圧を調整することで脂質粒子の粒径分布を制御可能であることが示された。
(実施例7)要素の組み合わせによる粒子径の制御
以下の溶液を調製した。
溶液A:HSPC 95.8mg、Cholesterol 31.9mg、MPEG2000DSPE 31.9mgを6mlのエタノールに溶解
溶液B:マルトースを終濃度10%(W/V)で10mMリン酸ナトリウムバッファー(pH6.5)に溶解
溶液Aおよび溶液Bをそれぞれ別の流路に流し、これらの溶液を第1のミキサーで混合して第1希釈液とし、以下の表に示すような保持時間となるように第1希釈液を送液管に流し、第2のミキサーにおいて第1希釈液および溶液Bを混合し第2希釈液を調製するように、脂質粒子作製装置を構成した。ここで、第1希釈液のエタノール濃度(V/V)が、それぞれ、27%、36%、39%および45%、第2希釈液のエタノール濃度は18%(V/V)となるように流量を調整した。
平均粒子径および多分散指数を観察した。結果を以下の表および図19に示す。
Figure 0006968452

Figure 0006968452

Figure 0006968452

Figure 0006968452

1次希釈のエタノール濃度および保持時間を調整することで、粒度分布を保ったまま広い範囲(70〜180nm)にわたって脂質粒子の粒径を制御することができた。
(実施例8:所望の粒径を有するミセルの調製)
同様に、ミセルも調製することができる。以下のようにミセルを多く含む脂質粒子を調製した。
以下の溶液を調製した。
溶液A:DOPC 96mg、DOPG 97mg、DPPC 90mg、DPPG 91mg、Cholesterol 126mgを4mlのエタノールに溶解
溶液B:マルトースを終濃度10%(W/V)で10mMリン酸ナトリウムバッファー(pH6.5)に溶解
溶液Aおよび溶液Bをそれぞれ別の流路に流し、これらの溶液を第1のミキサーで混合して第1希釈液とし、第1希釈液を送液管に流し、以下の表に示すような保持時間となるように第2のミキサーにおいて第1希釈液および溶液Bを混合し第2希釈液を調製するように、脂質粒子作製装置を構成した。ここで、第1希釈液のエタノール濃度(V/V)が、それぞれ、25%および36%、第2希釈液のエタノール濃度は18%(V/V)となるように流量を調整した。ここで、第1希釈液の混合から第2希釈液の混合までの保持時間は、エタノール濃度25%の第1希釈液を使用した場合は15秒、エタノール濃度36%の第1希釈液を使用した場合は2分50秒となるように調整した。これらの脂質粒子について、平均粒子径および多分散指数を観察した。結果を図20Cに示す。脂質粒子調製物の平均粒子径は、それぞれ、36nm(第1希釈液:25%)および110nm(第1希釈液:36%)であった。
Figure 0006968452
リンタングステン酸染色により脂質二重膜構造を染色し、透過型電子顕微鏡(H−7600、日立製作所、東京)で観察した(図20A、20B)。観察結果から、平均粒子径36nmの調製物の約70%が脂質二重膜構造を示さず、脂質ナノ粒子(LNP)構造であることが示唆された。このLNPは、コレステロールをコアにしたミセル構造だと予想される。
このように本発明は、ミセルも提供することができる。また、ミセルも所望の粒径および/または多分散指数に制御可能であり得る。
実施例1〜7と同様に、1段階目のアルコール希釈濃度、2段階目のアルコール希釈濃度、1段階目のアルコール希釈後の時間経過、温度および背圧のそれぞれの条件について、ミセルの粒径との相関を分析する。この分析結果に基づき、所望の平均粒子径および多分散指数のミセルを調製する。また、ミセルの形成には1段階目のアルコール濃度を低くすることが有利であり得、ミセルの粒径制御のためには、ミセル同士の融合を促進するために2段階目のアルコール濃度を逆に高くすることが有利であり得る。第3のミキサーを追加することで、第2希釈液をさらに希釈してアルコール濃度を18%(V/V)以下に調整することで、安定化させてもよい。例えば、このような方法において、リポソームと同様にミセルも、保持時間(例えば、第2ミキサーと第3ミキサーとの間の保持時間)の制御により粒径制御が可能であり得る。
(実施例9:薬物を担持した所望の粒径を有する脂質粒子を調製する条件の決定)
所与の薬物Aについて、平均粒径Xnm(および必要に応じて多分散指数Y)を有するように薬物Aを担持する脂質粒子(リポソームまたはミセル)を作製する条件を決定する。
手順1)薬物A、所与の脂質および特定のアルコールを含む溶液を、水を含む別の溶液と混合してアルコールが所定の濃度に希釈された混合物を調製する。ここで、所定の濃度は、20重量%〜50重量%の範囲内で少なくとも2点設定する。それぞれの混合物について、調製後一定の時間が経過した時点(調製直後であってもよい)で、脂質粒子の粒子径を測定する。この測定結果に基づいて、脂質粒子の平均粒子径(および必要に応じて多分散指数)と、希釈濃度との関係を表す関数を作成する。
手順2)手順2は、手順1の後または手順1と並行して行う。薬物A、所与の脂質および特定のアルコールを含む溶液を、水を含む別の溶液と混合してアルコールが一定濃度に希釈された混合物を調製する。混合物を調製した後、所定の時間が経過した時点で、脂質粒子の粒子径を測定する。ここで、所定の時間は、調製後0分〜1時間の範囲内で少なくとも2点設定する。測定結果に基づいて、脂質粒子の平均粒子径(および必要に応じて多分散指数)と、調製後の時間経過との関係を表す関数を作成する。
手順1および手順2で作成された関数を使用して、脂質粒子が所望の平均粒子径(および必要に応じて多分散指数)となるような、アルコール希釈濃度および希釈後の所定の時間(保持時間)を決定するか、またはアルコール希釈濃度および希釈後の所定の時間(保持時間)の範囲を画定し、その中の適切な点を選択する。
(注記)
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
本発明は、薬物の製剤化に利用可能である。

Claims (31)

  1. 所望の粒径を有する脂質粒子の製造方法であって、該方法は、
    (A)第1の混合領域内で、脂質およびアルコールを含む第1の溶液と、水を含む第2の溶液とを混合して一次希釈溶液を調製する工程と、
    (B)該一次希釈溶液を、送液管を通して該第1の混合領域から第2の混合領域へと所定の時間で送液する工程と、
    (C)該第2の混合領域内で、該一次希釈溶液と、水を含む第3の溶液とを混合して二次希釈溶液を調製する工程と、
    を含み、
    (A)〜(C)の工程は連続的に実施され、
    脂質粒子の粒径が、該所定の時間を含む少なくとも1つの条件を調整することによって制御される、
    方法。
  2. 前記脂質粒子の粒径が、前記アルコールの濃度、前記脂質の濃度および前記混合時の温度からなる群より選択される少なくとも1つの条件をさらに調整することによって制御される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記所定の時間が、0.1〜60分の間で調整される、請求項1または2に記載の方法。
  4. 0.1未満のPDIの粒径分布を有する脂質粒子を製造する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記所定の時間を調整することが、前記送液管の長さを調整することを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記送液管の長さが10m〜40mの間で調整される、請求項5に記載の方法。
  7. 前記所定の時間を調整することが、前記送液管における流速を調整することを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記脂質粒子が、リポソームまたはミセルである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記脂質粒子が、リポソームである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記脂質粒子がさらに薬物を担持する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法であって、
    (A)の工程の前にさらに以下の工程;
    (A−1)該薬物、前記脂質および前記アルコールを含む溶液を希釈して該アルコールの濃度を変化させた場合に形成される脂質粒子の粒径を測定する工程と、
    (A−2)該アルコールの濃度が一定の条件下における該薬物を担持する脂質粒子の粒径の経時的変化を測定する工程と、
    を含み、
    (A−1)および(A−2)の工程により得られた情報に基づいて、前記所定の時間を含む、前記所望の粒径を調整するのに必要な少なくとも1つの条件が決定される、
    方法。
  11. 前記一次希釈溶液中のアルコール濃度が18重量%以上に調整される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. (A)〜(C)の工程が、閉鎖系において実施される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. (C)の工程の後に、さらなる粒径制御処理が実施されない、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記送液管中の圧力が、1MPa以上である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記二次希釈溶液を、さらに中空糸膜カラムに送液する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 所望の粒径を有する脂質粒子を製造するシステムであって、該システムは、
    (A)脂質およびアルコールを含む第1の溶液と、水を含む第2の溶液とを混合して一次希釈溶液を調製する第1の混合領域と、
    (B)該一次希釈溶液と、水を含む第3の溶液とを混合して二次希釈溶液を調製する第2の混合領域と、
    (C)該一次希釈溶液を、該第1の混合領域から該第2の混合領域へと所定の時間で送液する送液管と、
    を含み、
    脂質粒子の粒径が、該所定の時間を含む少なくとも1つの条件を調整することによって制御される、
    システム。
  17. 前記脂質粒子が、リポソームまたはミセルである、請求項16に記載のシステム。
  18. 前記脂質粒子が、リポソームである、請求項16に記載のシステム。
  19. 前記脂質粒子がさらに薬物を担持する、請求項16〜18のいずれか1項に記載のシステムであって、
    (A−1)該薬物、前記脂質および前記アルコールを含む溶液を希釈して該アルコールの濃度を変化させた場合に形成される脂質粒子の粒径を測定する工程と、
    (A−2)前記アルコールの濃度が一定の条件下における該薬物を担持する脂質粒子の粒径の経時的変化を測定する工程と、
    を行う制御部をさらに含み、該制御部は、(A−1)および(A−2)の工程により得られた情報に基づいて、前記所定の時間を含む少なくとも1つの条件を決定する、システム。
  20. 前記一次希釈溶液中のアルコール濃度が18重量%以上に調整される、請求項16〜19のいずれか1項に記載のシステム。
  21. 所望の粒径を有する脂質粒子を製造するシステムであって、該システムは、
    (1)脂質粒子製造装置、および
    (2)透析装置
    を含み、
    該脂質粒子製造装置は、
    (1−A)脂質およびアルコールを含む第1の溶液と、水を含む第2の溶液とを混合して一次希釈溶液を調製する第1の混合領域と、
    (1−B)該一次希釈溶液と、水を含む第3の溶液とを混合して二次希釈溶液を調製する第2の混合領域と、
    (1−C)該一次希釈溶液を、該第1の混合領域から該第2の混合領域へと所定の時間で送液する送液管と、
    を含み、
    ここで、脂質粒子の粒径は、該所定の時間を含む少なくとも1つの条件を調整することによって制御され、
    該透析装置は、
    (2−A)中空糸膜と、該中空糸膜の内側に被透析液を流すための第1流路を有する中空糸透析カラムと、
    (2−B)該第1流路の入口に該被透析液を送る送液部と、
    (2−C)該中空糸膜と接触する部分を有する第2流路と、
    を含む、
    システム。
  22. 前記脂質粒子が、リポソームまたはミセルである、請求項21に記載のシステム。
  23. 前記脂質粒子が、リポソームである、請求項21に記載のシステム。
  24. 前記第2流路が、前記中空糸膜の外側に外液を流す流路である、請求項21〜23のいずれか1項に記載のシステム。
  25. 前記第2流路が、前記中空糸膜のろ過液を流す流路である、請求項21〜24のいずれか1項に記載のシステム。
  26. 前記被透析液に外液を加える第3流路を含む、請求項25に記載のシステム。
  27. 溶液貯蔵容器を含み、ここで、該溶液貯蔵容器は前記脂質粒子製造装置および前記透析装置に接続されており、該溶液貯蔵容器は前記脂質粒子製造装置から流入した脂質粒子含有溶液を貯蔵する、請求項21〜26のいずれか1項に記載のシステム。
  28. 前記透析装置が、
    (2−D)前記第1流路の出口から流出する時の前記被透析液の流速および/または圧力を変更可能とする流速/圧力可変部、
    を含み、ここで、該流速可変部は、前記第1流路の出口よりも下流側に設けられ、該第1流路の出口から流出した該被透析液を、該第1流路の入口の送液部の流速よりも低い流速および/または低い圧力で下流に送る装置を含む、
    請求項21〜27のいずれか1項に記載のシステム。
  29. 前記流速可変部の装置が、
    (1)前記第1流路の出口から流出した前記被透析液を所定の流速で下流に送るポンプ、または
    (2)前記第1流路の出口から流出した前記被透析液の流路を狭くするバルブ
    のいずれかを含む、
    請求項28に記載のシステム。
  30. 前記一次希釈溶液中のアルコール濃度が18重量%以上に調整される、請求項21〜29のいずれか1項に記載のシステム。
  31. 前記第1流路の出口から流出した前記被透析液が前記透析装置に再度流入するように構成される、請求項21〜30のいずれか1項に記載のシステム。
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