JP6968406B2 - Kfi型ゼオライトの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、従来のZK−5ゼオライトと比較してミクロ細孔容積が大きいKFI型ゼオライトを製造する方法に関するものである。
ゼオライトは、結晶性のアルミノシリケートであり、この結晶構造に起因したオングストロームサイズの均一な規則性細孔構造を有している。オングストロームサイズの均一な規則性細孔構造を有する特徴を生かして、ゼオライトは、触媒担体として、または特定の大きさを有する分子もしくは親和力の強い分子を吸着する吸着分離剤として工業的に利用されている。KFIは、国際ゼオライト学会(International Zeolite Association:IZA)より与えられた骨格構造コードである。IZAデータベースによれば、KFIは、酸素の4員環、6員環、および8員環の組み合わせで構成されている。KFIは、直径約3.9Åの8員環細孔入口を有するケージ状の3次元ミクロ細孔構造である。
酸素の4員環、6員環、および8員環の組み合わせで構成された3次元ミクロ細孔構造を有するゼオライトとして、ZK−5、Zeolite P、Zeolite Q等が挙げられる。KFI型ゼオライトは、その細孔構造を生かして、例えば水素化クラッキング用触媒(特許文献1)、メタノールとアンモニアからのジメチルアミンおよびモノメチルアミン合成用触媒(特許文献2)、選択触媒還元(selective catalysis reduction:SCR)用触媒(特許文献3)、メタノールからのオレフィン合成用触媒(非特許文献1)に使用されている。また、KFI型ゼオライトは、二酸化炭素(CO2)とメタン(CH4)の吸着分離剤としても使用できる(非特許文献2)。
従来のKFI型構造を有するZK−5ゼオライトは、クラウンエーテル(18-crown-6 ether:186)等を有機構造規定剤(以下「OSDA」と略称する。)として用いる方法、またはOSDAを添加せず、少量のセシウムもしくは少量のストロンチウムをカリウム系アルミノシリケート反応混合物に添加する方法によって製造されている(特許文献1から特許文献3および非特許文献1から非特許文献3参照)。
ZK−5ゼオライトの合成法は、例えば、特許文献1から特許文献3および非特許文献1から非特許文献3に記載されている。一般的なZK−5ゼオライトの合成法は、カリウムイオンが共存するアルミノシリケート反応混合物に、クラウンエーテル等の有機物質をOSDAとして添加する方法である。しかしながら、クラウンエーテルは高価であり、工業的に用いるには有利とはいえない。また、生成するゼオライト結晶骨格構造内にOSDAが取り込まれる。このため、ゼオライトを触媒や吸着分離剤として使用する場合には、高温焼成によりOSDAを除去する必要がある。
この高温焼成の際に生じる排ガスは環境汚染の原因となる。また、ゼオライト合成時に、OSDAの分解生成物を含む合成母液が排出される。この合成母液は環境汚染の原因となるため、合成母液の処理が必要となる。このように、OSDAを用いるZK−5ゼオライトの合成方法は、高コストであるばかりでなく、環境負荷が大きい製造方法である。一方で、OSDAを用いないZK−5ゼオライトの合成法も報告されている。OSDAを用いないZK−5ゼオライトの一般的な合成法は、カリウムイオンが共存するアルミノシリケート反応混合物に、ストロンチウムイオンやセシウムイオン等を添加する方法である。
特開昭64−45713号公報 特表平8−511534号公報 米国特許出願公開第2013/0089494号明細書
Microporous Mesoporous Materials, 2016, 232, 126-137. Langmuir, 2013, 29, 4998-5012. Zeolites, 1996, 17, 328-333. Verified Syntheses of Zeolitic Materials, Elsevier Science, 2001. ChemSusChem 2012, 5, 2237-2242.
しかしながら、特許文献3および非特許文献3に記載されたOSDAを用いない合成法で得られたZK−5ゼオライトはミクロ細孔容積が小さい等の問題がある。このため、従来法で得られたZK−5よりも大きいミクロ細孔容積を有するKFI型ゼオライトの合成法が求められている。本発明の課題は、従来の方法で合成されたZK−5ゼオライトと異なる物性を有するKFI型ゼオライトの製造方法を提供することにある。
本発明のKFI型ゼオライトの製造方法は、有機構造規定剤を含まないZK−5ゼオライトの種結晶と、シリカ源、アルミナ源、アルカリ源、ストロンチウム源、および水を含有する反応混合物とを水熱処理する工程を有する。本発明のKFI型ゼオライトは、ナトリウムイオン交換された後の窒素吸脱着測定によるミクロ細孔容積が、0.26cm3/g以上0.28cm3/g以下である。
本発明によれば、ZK−5種結晶を含む反応混合物からKFI型ゼオライトが製造される。種結晶の添加効果により、従来のZK−5ゼオライトよりも大きいミクロ細孔容積を有するKFI型ゼオライトを製造することができる。
参考例1で得られたZK−5ゼオライトのX線回折図。 参考例2で得られたZK−5ゼオライトのX線回折図。 実施例1で得られたKFI型ゼオライトのX線回折図。 実施例2で得られたKFI型ゼオライトのX線回折図。 実施例3で得られたKFI型ゼオライトのX線回折図。 実施例4で得られたKFI型ゼオライトのX線回折図。 実施例5で得られたKFI型ゼオライトのX線回折図。 比較例2で得られたアモルファス生成物のX線回折図。 比較例3で得られたアモルファス生成物のX線回折図。 参考例1で得られたZK−5ゼオライトをナトリウムイオン交換した後のZK−5ゼオライトのX線回折図。 参考例2で得られたZK−5ゼオライトをナトリウムイオン交換した後のZK−5ゼオライトのX線回折図。 実施例1で得られたKFI型ゼオライトをナトリウムイオン交換した後のKFI型ゼオライトのX線回折図。 実施例2で得られたKFI型ゼオライトをナトリウムイオン交換した後のKFI型ゼオライトのX線回折図。 参考例1で得られたZK−5ゼオライトをナトリウムイオン交換した後のZK−5ゼオライトの窒素級脱着等温線図。 実施例1で得られたKFI型ゼオライトをナトリウムイオン交換した後のKFI型ゼオライトの窒素級脱着等温線図。 実施例2で得られたKFI型ゼオライトをナトリウムイオン交換した後のKFI型ゼオライトの窒素級脱着等温線図。 実施例5で得られたKFI型ゼオライトの窒素級脱着等温線図。
以下、本発明を好ましい実施形態に基づいて説明する。本発明の実施形態に係るKFI型ゼオライトの製造方法は、有機構造規定剤を含まないZK−5ゼオライトの種結晶と、シリカ源、アルミナ源、アルカリ源、および水を含有する反応混合物とを水熱処理する工程を有する。反応混合物はストロンチウム源を含有していてもよい。この方法によって製造されるKFI型ゼオライトは、アルミノシリケート骨格を有し、従来合成法で得られたZK−5ゼオライトと異なる物性を示す。このKFI型ゼオライトの骨格構造を構成する四配位金属の負電荷と電荷補償して骨格外に存在するイオンは、プロトン、ナトリウム、カリウム、ストロンチウム等である。
KFI型ゼオライトの細孔内に存在する金属イオン以外のものは、水または少量の吸着ガスのみである。KFI型ゼオライト中のAl23の物質量に対するSiO2の物質量の比(いわゆるモル比)は5〜7であることが好ましい。以下、Al23の物質量に対するSiO2の物質量の比を「SiO2/Al23」と記載することがある。本発明によって製造されるKFI型ゼオライトは、必要に応じてナトリウムイオン交換を行い、細孔内に残存するカリウムイオンやストロンチウムイオンを除去する。
本発明のKFI型ゼオライトのミクロ細孔容積は、0.26cm3/g以上0.28cm3/g以下である。なお、このミクロ細孔容積は、KFI型ゼオライトがナトリウムイオン交換された後に窒素吸脱着測定により算出する。窒素吸脱着測定は、JISZ8830、JISZ8831−2、JISZ8831−3による。ナトリウムイオン交換された本発明のKFI型ゼオライトのミクロ細孔容積は、従来合成法で得られ、ナトリウムイオン交換されたZK−5ゼオライトのミクロ細孔容積よりも大きい。
本発明のKFI型ゼオライトの製造方法の特徴の一つは、種結晶を使用することである。種結晶としては、従来のOSDAを用いた方法、またはOSDAを用いない方法のいずれかで製造されたZK−5ゼオライトが使用できる。OSDAを用いる従来合成法で得られたZK−5種結晶は細孔内にOSDAを含む。このため、550℃以上の焼成でOSDAを除去したものを種結晶として使用する。従来のZK−5ゼオライトの合成方法は、例えば特許文献1から特許文献3および非特許文献1から非特許文献3に記載されており、当業者によく知られている。また、従来合成法で得られたZK−5ゼオライトは、例えば、ナトリウム等でイオン交換したものを用いてもよい。また、本発明の製造方法で得られたKFI型ゼオライトを種結晶として使用してもよい。
従来合成法で得られたZK−5ゼオライトを種結晶として用いる場合、および本発明の製造方法で得られたKFI型ゼオライトを種結晶として用いる場合のいずれであっても、種結晶中のAl23の物質量に対するSiO2の物質量の比は、5〜7であることが好ましく、6であることが特に好ましい。また、種結晶の質量は、反応混合物に含まれるSiO2の質量の1〜20%であることが好ましい。種結晶の質量は、反応速度や不純物の抑制効果等を考慮して決定される。
以下に示すモル比となるように、シリカ源、アルミナ源、アルカリ源、ストロンチウム源、および水を混合して反応混合物が得られる。反応混合物の組成がこの範囲内であると、目的とするKFI型ゼオライトが得られやすい。
Si/Al=5〜40、アルカリ金属/Si=0.4〜0.8、Sr/Si=0〜0.1、H2O/Si=10〜20
シリカ源としては、例えばコロイダルシリカ、乾式法シリカ、湿式法シリカ等が挙げられる。アルミナ源としては、水酸化アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム等が挙げられる。また、アルミノシリケートゲルおよびアルミノシリケートゼオライト等はシリカ源とアルミナ源の両方の原料として挙げられる。アルカリ源としては、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等を用いることができる。ストロンチウム源としては、硝酸ストロンチウムを用いることができる。なお、アルミナ源として用いられるアルミン酸ナトリウムは、アルカリ源でもある。
反応混合物を調製するとき、均一な反応混合物が得られやすいように、各原料の添加順序を採用すればよい。例えば、室温〜160℃で水にアルカリ源とアルミナ源を添加して溶解させ、その後、シリカ源と任意成分であるストロンチウム源を添加して撹拌混合することにより、均一な反応混合物が得られる。種結晶は、反応混合物の調製途中で添加してもよいし、反応混合物の調製後に添加してもよい。その後、種結晶が反応混合物中で均一に分散するように撹拌混合する。反応混合物調製時の温度は特に制限がない。
従来合成法で得られた種結晶を反応混合物に添加し、種結晶を含む反応混合物を密閉容器に入れて加熱して反応させ、自生圧力下においてKFI型ゼオライトを合成する。種結晶は、従来合成法、例えば、特許文献1から特許文献3および非特許文献1から非特許文献3のいずれかに記載された方法で得られたものを用いることができる。温度の均一化のため、種結晶を含む反応混合物の加熱時に反応混合物を撹拌してもよい。例えば、撹拌羽根や容器の回転によって反応混合物が撹拌混合できる。撹拌速度や撹拌動力等は、不純物の生成具合や温度の均一性に応じて調整すればよい。常時または間歇撹拌のどちらでもよい。
反応混合物の加熱を静置状態下および撹拌状態下のどちらで行う場合でも、加熱は密閉下、自生圧力下で行う。加熱温度は100℃〜160℃が好ましい。一般に、96時間程度の加熱によって、KFI型ゼオライトが得られる。密閉容器内で種結晶を含む反応混合物を加熱後、生成した結晶粉末を吸引濾過や遠心分離によって母液と分離する。その後、生成した結晶粉末を水または温水で洗浄し、乾燥させる。
従来合成法で得られるZK−5ゼオライトや、本発明の製造方法で得られるKFI型ゼオライトのナトリウムイオン交換には、ナトリウム化合物が用いられる。ナトリウム化合物としては、塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、または硫酸ナトリウムが好ましい。塩化ナトリウムや硝酸ナトリウム等のナトリウム化合物によってナトリウムイオン交換を行う場合、ナトリウムイオン濃度0.1〜10mol/Lの水溶液を、ゼオライト約0.1〜1gに対して100〜1000mL添加することが好ましい。
ナトリウムイオン交換は、加熱または非加熱の状態で行う。ナトリウムイオンを含む水溶液を加熱する場合、加熱温度は40〜100℃が好ましい。ZK−5ゼオライトやKFI型ゼオライトを、ナトリウムイオンを含む水溶液に分散させて分散液とし、この状態を所定時間保持してイオン交換を行う。保持時間は0.5〜48時間が好ましい。分散液は静置してもよいが、撹拌することが好ましい。
分散液を所定時間保持したら、分散液を吸引濾過し、ZK−5ゼオライトやKFI型ゼオライトを分離し、結晶粉末を水または温水で洗浄する。必要に応じて、イオン交換処理と吸引濾過と水洗浄との組み合わせを複数回行ってもよい。このようにしてナトリウムイオン交換処理を行った後、ZK−5ゼオライトやKFI型ゼオライトを乾燥させて、Na+型のZK−5ゼオライトまたはKFI型ゼオライトを得る。このNa+型のKFI型ゼオライトは、カリウムやストロンチウムイオンの含有量が極めて低減したものとなる。
以下に述べる実施例により本発明を更に詳細に説明する。本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
実施例および比較例では、以下の分析機器を用いた。
粉末X線回折装置:ブルカー・エイエックスエス株式会社製、D8 Advance
固体29Si MAS NMR測定装置:ブルカー・バイオスピン株式会社製、Bruker AVANCE−400
窒素吸脱着測定装置:マイクロトラック・ベル社製、BELSORP−mini
なお、固体29Si MAS NMR測定では、4mmジルコニアローターに測定試料を充填し、12.5kHzで高速回転させて測定した。得られたスペクトルを波形分離し、ピーク面積を算出した後、非特許文献4に記載されている下記の式1を用いて、ゼオライト骨格中の2(Si/Al)=SiO2/Al23を計算した。
Figure 0006968406
〔参考例1〕従来法によるZK−5ゼオライト種結晶の合成1
以下のようにして、非特許文献3に記載された方法によってZK−5ゼオライト種結晶を合成した。純水11gに、アルカリ源である水酸化カリウム3gとアルミナ源である水酸化アルミニウム1.56gを添加し、加熱撹拌して、水酸化カリウムと水酸化アルミニウムが溶解した水溶液Aを得た。一方、室温下で、純水8gに、ストロンチウム源である硝酸ストロンチウム0.21gを添加して溶解させ、さらにシリカ源であるコロイダルシリカ15gを少しずつ添加して撹拌混合し、水溶液Bを得た。
その後、水溶液Aと水溶液Bを混合して、表1に記載された組成のゲル状の反応混合物を得た。内容量200mLのフッ素樹脂内筒型のステンレス製密閉容器にこの反応混合物を入れて、撹拌せずに150℃で96時間加熱し、ZK−5ゼオライトを合成した。吸引濾過により結晶粉末と母液を分離し、その後、結晶粉末を水洗浄して乾燥させた。得られた生成物(未焼成)のX線回折図を図1に示す。固体29Si MAS NMR測定によってこの結晶の組成分析を行った。その結果、結晶中のSiO2/Al23は6.3であった。得られたZK−5ゼオライトの結晶粉末を、以下の実施例で種結晶として使用した。
〔参考例2〕従来法によるZK−5ゼオライト種結晶の合成2
以下のようにして、非特許文献3に記載された方法によってZK−5ゼオライト種結晶を合成した。室温下で、純水8gに、硝酸ストロンチウム0.21gを添加して溶解させ、つぎにOSDAとしてクラウンエーテルを2.7g添加して溶解させ、さらにコロイダルシリカ15gを少しずつ添加して撹拌混合し、水溶液Cを得た。その後、水溶液Aと水溶液Cを混合して、表1に記載された組成のゲル状の反応混合物を得た。
内容量200mLのフッ素樹脂内筒型のステンレス製密閉容器にこの反応混合物を入れて、撹拌せずに150℃で96時間加熱し、ZK−5ゼオライトを合成した。吸引濾過により結晶粉末と母液を分離し、その後、結晶粉末を水洗浄して乾燥させた。大気雰囲気下で、この生成物を550℃で10時間焼成した。得られた生成物(焼成)のX線回折図を図2に示す。固体29Si MAS NMR測定によってこの結晶の組成分析を行った。その結果、SiO2/Al23は6.86であった。得られたZK−5ゼオライトの結晶粉末を、以下の実施例で種結晶として使用した。
〔実施例1〕種結晶を用いたKFI型ゼオライトの合成1
純水11gに、水酸化カリウム3gと水酸化アルミニウム1.56gを添加し、加熱撹拌して、水酸化カリウムと水酸化アルミニウムが溶解した水溶液Dを得た。一方、室温下で、純水8gに、硝酸ストロンチウム0.21gを添加して溶解させ、さらにコロイダルシリカ15gを少しずつ添加して撹拌混合し、水溶液Eを得た。
その後、水溶液Dと水溶液Eを混合し、表1に記載された組成のゲル状の反応混合物を得た。この反応混合物に参考例2で得られたZK−5ゼオライト種結晶を0.6008g添加した。内容量200mLのフッ素樹脂内筒型のステンレス製密閉容器に、この種結晶を含む反応混合物を入れて、撹拌せずに150℃で96時間、自生圧力下で加熱した。添加した種結晶の質量は、反応混合物中のSiO2の質量の10%とした。なお、反応混合物中のSiが、反応混合物中にSiO2として含有されているものとして算出した。密閉容器を冷却後、固体生成物を吸引濾過し、水で洗浄して白色粉末を得た。この生成物のX線回折図を図3に示す。この生成物は主にKFI型の骨格構造を有するゼオライトであることが確認された。
〔実施例2〕種結晶を用いたKFI型ゼオライトの合成2
表1に示す条件を採用し、実施例1と同様にして生成物を得た。すなわち、水溶液Aと水溶液Fを混合し、表1に記載された組成のゲル状の反応混合物を得た。この反応混合物に実施例1で得られたKFI型ゼオライトを種結晶として0.6008g添加した。添加した種結晶の質量は、反応混合物中のSiO2の質量の10%とした。その後は実施例1と同様にして白色粉末を得た。この生成物のX線回折図を図4に示す。この生成物は主にKFI型の骨格構造を有するゼオライトであることが確認された。このKFI型ゼオライトのSiO2/Al23は6.7であった。
〔実施例3〕種結晶を用いたKFI型ゼオライトの合成3
純水1.847gに、50W/V%水酸化ナトリウム2.375gとアルミン酸ナトリウム0.132gを添加し、加熱撹拌して、水酸化ナトリウムとアルミン酸ナトリウムが溶解した水溶液を得た。その後、室温で、コロイダルシリカ5.646gを少しずつ添加して撹拌混合し、表1に記載された組成の反応混合物を得た。この反応混合物に、参考例1で得られたZK−5ゼオライト種結晶を0.226g添加した。
内容量23mLのフッ素樹脂内筒型のステンレス製密閉容器に、この種結晶を含む反応混合物を入れて、撹拌せずに100℃で96時間、自生圧力下で加熱した。添加した種結晶の質量は、反応混合物中のSiO2の質量の10%とした。密閉容器を冷却後、固体生成物を吸引濾過し、その後水で洗浄して白色粉末を得た。この生成物のX線回折図を図5に示す。この生成物は主にKFI型の骨格構造を有するゼオライトであることが確認された。
〔実施例4〕種結晶を用いたKFI型ゼオライトの合成4
実施例3と同じ反応混合物に、参考例2で得られたZK−5ゼオライト種結晶を0.226g添加した。添加した種結晶の質量は、反応混合物中のSiO2の質量の10%とした。その後は実施例3と同様にして白色粉末を得た。大気雰囲気下で、この生成物を550℃で10時間焼成した。生成物(焼成)のX線回折図を図6に示す。この生成物は主にKFI型の骨格構造を有するゼオライトであることが確認された。
〔実施例5〕種結晶を用いたKFI型ゼオライトの合成5
実施例3と同じ反応混合物に、参考例1で得られたZK−5ゼオライトをナトリウムイオン交換したNa+型ZK−5ゼオライト種結晶を0.226g添加した。添加した種結晶の質量は、反応混合物中のSiO2の質量の10%とした。その後は実施例3と同様にして白色粉末を得た。この生成物のX線回折図を図7に示す。この生成物は主にKFI型の骨格構造を有するゼオライトであることが確認された。
〔比較例1〕種結晶を用いない反応混合物の水熱処理1
23mLのフッ素樹脂内筒型のステンレス製密閉容器に実施例3と同じ反応混合物を入れて、撹拌せずに100℃で96時間、自生圧力下で加熱した。密閉容器を冷却後、沈殿物は得られず、固体生成物として回収することが困難であった。
〔比較例2〕種結晶を用いない反応混合物の水熱処理2
純水1.832gに、50W/V%水酸化ナトリウム2.357gとアルミン酸ナトリウム0.131gを添加し、加熱撹拌して、水酸化ナトリウムとアルミン酸ナトリウムが溶解した水溶液を得た。そして、室温下で硝酸ストロンチウム0.078gをこの水溶液にさらに溶解させた後、コロイダルシリカ5.062gを少しずつ添加して撹拌混合し、表1に記載した組成の反応混合物を得た。23mLのフッ素樹脂内筒型のステンレス製密閉容器にこの反応混合物を入れて、撹拌せずに100℃で96時間、自生圧力下で加熱した。密閉容器を冷却後、固体生成物を吸引濾過し、その後水で洗浄して白色粉末を得た。この生成物のX線回折図を図8に示す。この生成物のX線回折図から、この生成物はアモルファスであることが確認された。
〔比較例3〕種結晶を用いない反応混合物の水熱処理3
純水1.845gに、50W/V%水酸化ナトリウム2.373gとアルミン酸ナトリウム0.131gを添加し、加熱撹拌して、水酸化ナトリウムとアルミン酸ナトリウムが溶解した水溶液を得た。そして、室温下で硝酸ストロンチウム0.01gをこの水溶液にさらに溶解させた後、コロイダルシリカ5.640gを少しずつ添加して撹拌混合し、表1に記載した組成の反応混合物を得た。その後は比較例2と同様にして白色粉末を得た。この生成物のX線回折図を図9に示す。この生成物のX線回折図から、この生成物はアモルファスであることが確認された。
Figure 0006968406
表1の実施例1から実施例5に示すように、従来法で合成したZK−5ゼオライトまたは本発明の方法で製造したKFI型ゼオライトを種結晶として用い、これを所定の反応混合物に添加して加熱を行うことで、KFI型ゼオライトが得られた。なお、実施例1から実施例5の反応混合物には、Si/Alが5.25〜40で、(Na+K)/Siが0.454〜0.6で、Sr/Siが0〜0.01で、H2O/Siが10〜20で、Si、Al、アルカリ金属、Sr、および水が含まれていた。一方、比較例1から比較例3のように、種結晶およびクラウンエーテルを用いなかった場合、所定の反応混合物から固体生成物が生成しなかった、またはアモルファスが生成した。
〔実施例6〕ZK−5ゼオライトまたはKFI型ゼオライトのナトリウムイオン交換
1mol/L塩化ナトリウム水溶液500mL中に、参考例1、参考例2、実施例1、および実施例2で得られたZK−5ゼオライトまたはKFI型ゼオライト約0.2〜1gを分散させた。約60℃でこの分散液を8〜24時間撹拌してイオン交換を行った。その後、濾過によってKFI型ゼオライトを濾別した。必要に応じてイオン交換および濾過の操作をさらに2〜5回繰り返した後、水洗して60〜100℃で乾燥して、Na交換したZK−5ゼオライトまたはKFI型ゼオライトを得た。ナトリウムイオン交換後のX線回折図を図10〜図13に示す。
〔実施例7〕ミクロ細孔容積の測定
窒素吸脱着法測定で測定した参考例1で得られたZK−5ゼオライト、ならびに実施例1、実施例2、および実施例5で得られたKFI型ゼオライトの窒素吸脱着等温線を図14〜図17に示す。また、窒素吸脱着等温線から評価したミクロ細孔容積の結果を表1に示す。なお、窒素吸脱着法測定の前処理として、測定試料を400℃で8時間以上真空排気した。実施例1、実施例2、および実施例5のKFI型ゼオライトのミクロ細孔容積は0.26〜0.28cm3/gであったのに対して、従来合成法の参考例1で得られたZK−5ゼオライトのミクロ細孔容積は0.22cm3/gであった。なお、非特許文献2および非特許文献5に記載されたミクロ細孔容積は、窒素吸脱着法測定で0.21〜0.22cm3/gである。本発明の方法で製造したKFI型ゼオライトのミクロ細孔容積は、従来合成法で得られたZK−5ゼオライトのミクロ細孔容積よりも大きかった。

Claims (6)

  1. 有機構造規定剤を含まないZK−5ゼオライトの種結晶と、シリカ源、アルミナ源、アルカリ源、および水を含有し、有機構造規定剤を含有しない反応混合物とを水熱処理する工程を有するKFI型ゼオライトの製造方法。
  2. 前記反応混合物がストロンチウム源をさらに含有する請求項1に記載のKFI型ゼオライトの製造方法。
  3. 前記アルミナ源中のAlの物質量に対する前記シリカ源中のSiの物質量の比が5〜40であり、
    前記Siの物質量に対する前記アルカリ源中のアルカリ金属の比が0 .4〜0 .8であり、
    前記Siの物質量に対するストロンチウム源中のSrの物質量の比が0〜0 .1であり、
    前記Siの物質量に対する水の物質量の比が10〜20である請求項1または2に記載のKFI型ゼオライトの製造方法。
  4. 前記種結晶中のAlの物質量に対するSiOの物質量の比が6である請求項1から3のいずれかに記載のKFI型ゼオライトの製造方法。
  5. 前記種結晶の質量が、前記反応混合物に含まれるSiOの質量の5%以上20%以下である請求項1から4のいずれかに記載のKFI型ゼオライトの製造方法。
  6. 100℃〜160℃で前記水熱処理する請求項1から5のいずれかに記載のKFI型ゼオライトの製造方法。
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