本発明は、上述の問題に鑑み、簡易な構造で、車両本体に配索されるワイヤーハーネスが連結されたコネクタに液体が掛かることを防止できるコネクタ装着部及びコネクタ付コネクタカバーを提供することを目的とする。
この発明は、車両本体に配索されるワイヤーハーネスが連結されたコネクタを装着させるコネクタカバーであって、前記車両本体に取付ける側壁部と、前記側壁部から延設された屋根部と、前記側壁部から前記屋根部が延設された延設方向に向けて突出するとともに、前記コネクタを装着するコネクタ装着部とが一体で構成され、前記屋根部は、前記側壁部を前記車両本体に取付けた取付状態において、前記コネクタ装着部に装着された前記コネクタを、上方から視て覆うように設けられ、前記側壁部には、前記コネクタ装着部の突出方向と反対方向に向けて突出し、前記車両本体に連結して固定する固定部が設けられ、前記固定部は、前記取付状態において、前記側壁部の主面の法線方向及び上下方向に直交する直交方向に比べ、前記取付状態における前記上下方向が長くなる直線部分を有する軸部と、前記軸部から外側に向けて広がるように突出するとともに、前記軸部に向けて弾性変形可能に形成され、前記車両本体に前記側壁部を係止する弾性係止部とで構成され、前記側壁部には、前記弾性係止部と前記車両本体との係止を解除する解除操作部が備えられたことを特徴とする。
またこの発明は、上述のコネクタカバーと、前記コネクタ装着部に前記コネクタを装着させたコネクタ付コネクタカバーであることを特徴とする。
前記屋根部は、例えば前記側壁部の端部から延設している場合や、前記側壁部の主面から延設している場合を含む。すなわち、前記屋根部は前記取付状態において前記コネクタ装着部よりも上方にあればどのような位置に配置されていても構わない。
なお、前記側壁部の主面とは、板状に形成された前記側壁部の最も面積の大きな面をさす。
上述の車両本体に取付けるとは、前記車両本体に直接的または間接的に前記側壁部を取付けることをさす。すなわち、他の部材を介して前記側壁部を前記車両本体に取付ける場合を含む。
また、前記屋根部は、前記側壁部と形成する角度が鈍角となるように延設している場合や、前記側壁部における主面の法線方向と平行となるように延設する場合、前記側壁部と形成する角度が鋭角となるように延設している場合も含む。換言すると、前記延設方向とは、前記法線方向と完全一致している必要はなく、同方向であればよい。
前記コネクタ装着部は、一又は複数の前記コネクタを装着可能な構成を含む。
上述の取付状態において、前記コネクタ装着部に装着された前記コネクタを、上方から視て覆うように設けられたとは、前記取付状態において、前記コネクタ装着部に嵌合された前記コネクタが前記屋根部に覆われていること、すなわち、前記コネクタ装着部に嵌合された前記コネクタが前記屋根部に覆われているとは、上方から視た場合において、前記コネクタ装着部に装着された前記コネクタのすべてが、前記屋根部の外周縁よりも内側に配置されていることをさす。
換言すると、前記取付状態における前記コネクタ付コネクタカバーの平面視において、前記コネクタ装着部に装着された前記コネクタが上方から視て前記屋根部に隠れて見えない状態をさし、上方から視て前記屋根部と完全に重なるように前記屋根部が構成されることや、所定の大きさの前記屋根部に対して前記コネクタが前記屋根部と完全に重なる位置に前記コネクタ装着部が備えられていることを含む。
上述の固定部とは、前記側壁部の主面に対する法線方向から視て、前記車両本体に対する前記側壁部の回転を阻止できるような直線状に形成されている部分を有していればよい。具体的には、前記取付状態における上下方向に沿った辺が長辺となるような断面長方形状や断面多角形状、断面長円状の他、上下方向と交差する直交方向に沿った辺が長辺となるような断面長方形状、断面多角形状や断面長円状などを含む。
また、前記側壁部の主面とは、板状に形成された前記側壁部の最も面積の大きな面をさす。
前記解除操作部は、前記軸部から突出された前記弾性係止部を弾性変形し、前記車両本体との係止を解除する構成をさし、例えば、前記弾性係止部を挿通可能に形成されるとともに、前記弾性係止部の係止状態を解除可能に変形させる空間が形成さるように前記側壁部に設けた貫通孔や、他部材を操作することにより係止状態の前記弾性係止部を解除可能に変形させる構成なども含む。
この発明により、簡易な構造で、車両本体に配索されるワイヤーハーネスが連結されたコネクタに液体が掛かることを防止できる。
詳述すると、前記コネクタ装着部に装着された前記コネクタは、前記コネクタ装着部の突出方向と同方向(前記延設方向)に延設した前記屋根部によって覆われるため、前記コネクタの上部から液体が滴下した場合であっても、前記屋根部が前記液体を受けることとなり、前記コネクタに液体が掛かることを防止できる。
また、前記コネクタ装着部が前記側壁部から前記延設方向に向けて突出していることにより、前記コネクタ装着部が前記屋根部から突出している場合と異なり、作業者が前記屋根部と対向する位置に設けられた前記コネクタ装着部に、前記コネクタを装着することができる。
また、本願発明における前記コネクタカバーは、前記コネクタ装着部が突出している前記側壁部と、前記側壁部から延設している前記屋根部とが一体構成された簡易な構造であるため、前記側壁部と前記屋根部との間から液体が入り込むことを防止できる。したがって、前記側壁部の延設方向側の主面に液体が流れることを抑制し、前記主面を伝った液体が前記コネクタ装着部に掛かることを防止できる。
なお、本明細書で記載の滴下には、雫として落下する場合のみならず、流体として流れる場合も含む。
また、前記側壁部には、前記コネクタ装着部の突出方向と反対方向に向けて突出し、前記車両本体に連結して固定する固定部が設けられている。
これにより、断面長方形状に形成された前記固定部を回転中心として回転することを抑制するとともに、前記側壁部を前記車両本体に固定することができる。これにより、前記取付状態にある前記コネクタカバーが、意図せずに前記固定部を中心として回転することを防止できるため、より確実に滴下した液体を前記屋根部で受けることができ、前記コネクタに液体が掛かることを確実に防止できる。
また、前記固定部は、前記取付状態において、前記側壁部の主面の法線方向及び上下方向に直交する直交方向に比べ、前記取付状態における前記上下方向が長くなる直線部分を有する軸部と、前記軸部から外側に向けて広がるように突出するとともに、前記軸部に向けて弾性変形可能に形成され、前記車両本体に前記側壁部を係止する弾性係止部とで構成され、前記側壁部には、前記弾性係止部と前記車両本体との係止を解除する解除操作部が備えられている。
これにより、前記軸部を回転軸として前記コネクタカバーが回転することを確実に防止するとともに、前記解除操作部で前記弾性係止部の係止を容易に解除することができる。したがって、前記コネクタに液体が掛かることを確実に防止しつつ、前記コネクタカバーの取り付け及び係止解除の作業性を向上させることができる。
またこの発明の態様として、前記固定部が、前記側壁部において所定の間隔を隔てて設けられた前記屋根部と前記コネクタ装着部との間に設けられてもよい。
この発明によると、前記コネクタカバーを前記車両本体に安定して固定することができるとともに、前記コネクタを前記コネクタ装着部に装着する装着空間を確保することができる。したがって、前記コネクタカバーが前記車両本体に取り付けられた取付状態において、前記コネクタを前記コネクタ装着部に装着させることができる。
またこの発明の態様として、前記側壁部には、前記固定部が突出する方向と同じ方向に突出し、前記車両本体に対する前記側壁部の振動を規制する振動規制部が設けられてもよい。
この発明により、前記コネクタカバーが前記車両本体に取り付けた状態において、前記側壁部の振動を規制することができるため、前記車両本体に固定した前記側壁部のガタツキを吸収し、異音が発生することを防止できる。
またこの発明の態様として、前記振動規制部が、前記固定部を挟んで2つ配置された横方向振動規制部で構成され、該横方向振動規制部が、前記取付状態における上下方向及び前記側壁部の主面の法線方向と直交する直交方向に沿って一直線上に配置されてもよい。
この発明により、前記直交方向に沿った前記コネクタカバーの振動を確実に防止でき、前記車両本体に固定した前記側壁部のガタツキを吸収し、異音が発生することを防止できる。
またこの発明の態様として、前記振動規制部が、前記取付状態における前記固定部の下方側に上下方向の振動を規制する縦方向振動規制部が設けられ、前記固定部と前記縦方向振動規制部とが上下方向に沿って一直線上に配置されてもよい。
この発明により、前記コネクタカバーが前記上下方向に振動することを規制することができるため、前記車両本体に固定した前記側壁部のガタツキを吸収し、異音が発生することを防止できる。
またこの発明の態様として、前記屋根部は、前記取付状態において前記側壁部が傾いた場合に、前記コネクタ装着部に装着した前記コネクタが、上方から視て露出しないように構成されてもよい。
上述の前記取付状態において側壁部が傾いた場合とは、前記側壁部が水平線に対して直交している状態から±20度以内に傾いた場合をさす。また、上述の前記コネクタが、上方から視て露出しないようにとは、前記側壁部が傾いた状態において前記コネクタが装着された前記コネクタホルダを上方から視た場合に、前記コネクタ装着部に装着された前記コネクタのすべてが、前記屋根部の外周縁よりも内側に配置されていることをさす。
すなわち、側壁部が傾いた状態において、前記コネクタ装着部に装着された前記コネクタが上方から視て前記屋根部に隠れて見えない状態をさす。換言すると、側壁部が傾いた状態において、上方から視て前記屋根部と完全に重なるように、前記屋根部が構成されることや、所定の前記屋根部に対して、前記コネクタが前記屋根部と完全に重なるように配置される位置に前記コネクタ装着部が備えられていることを含む。
この発明により、前記コネクタカバーを車両本体に取付た取付状態において、前記車両本体を坂道で駐車した場合などのように、前記コネクタ装着部が傾いた状態であっても、前記コネクタ装着部に嵌合装着させたコネクタに液体が滴下することを確実に防止できる。
この発明の態様として、前記側壁部には、前記コネクタに連結されたワイヤーハーネスを固定するハーネス固定部が、前記取付状態における前記コネクタ装着部よりも下方に設けられてもよい。
この発明によると、前記ワイヤーハーネスに液体が掛かった場合に、前記ワイヤーハーネスを伝って前記液体が前記コネクタに到達することを防止できる。なお、前記ハーネス固定部は、前記側壁部に一又は複数設けてもよい。
またこの発明の態様として、前記屋根部は、前記側壁部に向かうに伴い、前記取付状態における下方に向かって傾斜してもよい。
この発明により、前記屋根部に滴下した液体を、前記屋根部の上面に沿って前記側壁部側へ流すことができ、前記側壁部を伝って下方に流すことができる。したがって、前記コネクタに液体が掛かることを確実に防止できるとともに、前記液体が前記屋根部に貯まることを防止できる。
すなわち、前記屋根部を備えることにより、滴下した液体がコネクタに掛かることを防止するのみならず、前記屋根部に液体が貯まることを確実に防止できる。これにより、前記屋根部に貯まった液体が前記屋根部の前記延設方向側の端部を越えて、前記屋根部の裏面側を伝って前記コネクタに掛かることを防止できる。
また、前記屋根部が前記側壁部の主面の法線方向と一致している場合や、前記屋根部と前記側壁部とが成す角度が鋭角である場合に比べて、前記法線方向から視て前記コネクタ装着部と前記屋根部との間にスペースを確保することができるため、前記コネクタ装着部に前記コネクタを容易に装着させることができるとともにコネクタの装着状態を目視で確認でき、作業効率を向上させることができる。
またこの発明の態様として、前記屋根部が、前記取付状態における上下方向及び前記側壁部の主面の法線方向と直交する直交方向の端部に向かうに伴い、前記取付状態における下方に向かって傾斜してもよい。
この発明によると、前記屋根部に滴下した液体を下方側に向けて流すことができるため、前記屋根部に液体が貯まることを防止できる。これにより、前記屋根部に貯まった液体が前記屋根部を越えて、コネクタ装着部に装着されたコネクタに掛かることを確実に防止できる。
また、前記屋根部が前記直交方向に向かうに伴い傾斜しているため、滴下する液体が前記屋根部に当たる際の衝撃を分散させることができ、前記屋根部が液体の滴下により変形することを防止できる。
またこの発明の態様として、前記屋根部の端部側には、前記取付状態における上方に向けて突出する外周壁部が設けられてもよい。
この発明により、滴下した液体が前記屋根部の端部側に流れたとしても、前記外周壁部で前記液体の流れを妨げることができるため、液体が前記コネクタに掛かることをより確実に防止できる。
なお、前記外周壁部は、前記屋根部の端部である外周縁に設けられている場合の他、前記屋根部の外周縁よりも内側に設けられている場合を含む。また、前記外周壁部は一つに限らず、複数設けてもよい。
またこの発明の態様として、前記外周壁部には、前記屋根部と前記側壁部側との交差部分に穴隙部が設けられてもよい。
上述の前記屋根部と前記側壁部側との交差部分とは、前記屋根部が前記側壁部から延出している部位をさす。換言すると、前記屋根部と前記側壁部との連結部位をさす。
前記穴隙部は、前記外周壁部の高さが前記側壁部側に向かうに伴い連続的にあるいは段階的に低くなる構成や、前記外周壁部の高さが所定の位置で低くなる構成を含む。また、前記屋根部と前記側壁部側との交差部分における前記外周壁部の一部分に穴が設けられている場合や、前記屋根部と前記側壁部側との交差部分において前記側壁部との間に隙間が形成されている場合を含む。
この発明によると、前記外周壁部によって止められた液体を、前記穴隙部を介して前記側壁部の側面を伝って下方に流すことができ、前記コネクタに液体が掛かることをより確実に防止することができる。
またこの発明の態様として、前記取付状態における前記屋根部の上面に、前記延設方向に沿って形成された延出リブが設けられてもよい。
前記延出リブは、前記屋根部に一、又は複数設けられている場合を含む。
この発明により、前記屋根部の強度を向上させながら、前記延出リブに沿って前記液体を前記延設方向に流すことができるとともに、前記屋根部に滴下した液体の勢いを弱めることができる。
詳述すると、前記延出リブを前記屋根部の上面に設けることにより、前記屋根部の強度を向上させることができるため、滴下した液体によって前記屋根部が変形することを防止でき、前記屋根部に滴下した液体あるいは、前記屋根部に貯まっていた液体が前記屋根部を越えることを防止できる。
また、前記延出リブに沿って液体を側壁部側に流すことができるとともに、前記延出リブに滴下した液体が干渉することにより前記液体の勢いを弱めることができるため、前記液体が前記屋根部の端部側に勢いよく流れることを防止できる。これにより前記液体が前記屋根部の上面から裏面に伝って前記コネクタに流れることを防止でき、より確実に滴下した液体が前記屋根部を越えることを防止できる。
またこの発明の態様として、前記延出リブが、前記側壁部から前記延設方向に対して所定の間隔を隔てた位置に設けられてもよい。
上述の所定の間隔を隔てたとは、前記屋根部の端部側から前記屋根部と前記側壁部側との交差部分まで前記延出リブが前記延設方向に沿って伸びている場合や延びていない場合を含む。なお、前記延設方向に沿って、前記延出リブの前記延設方向に沿った長さが、前記側壁部から前記屋根部の端部までの距離の半分以上の長さがあることが好ましい。
この発明によると、前記屋根部における前記側壁部側には、前記延出リブが設けられていない領域を形成することができる。このため前記屋根部に滴下した液体が、前記延出リブに沿って当該領域に流れてきた液体を前記側壁部側や前記直交方向側にスムーズに流すことができる。
この発明により、簡易な構造で、車両本体に配索されるワイヤーハーネスが連結されたコネクタに液体が掛かることを防止できるコネクタカバー及びコネクタ付コネクタカバーを提供することができる。
この発明の一実施形態を以下図面とともに説明する。
図1はワイヤーハーネス200と連結したコネクタ300をコネクタカバー1に装着させたコネクタ付コネクタカバー100の概略斜視図を示し、図2は側壁部10の表面を下方から視たコネクタカバー1の概略斜視図と、側壁部10の裏面を上方から視たコネクタカバー1概略斜視図とを示す。
図3はコネクタカバー1の側面図を示し、図4は図3におけるA−A矢視断面図を示し、図5はコネクタカバー1の正面図を示し、図6は図3におけるB−B矢視断面図を示し、図7はコネクタカバー1の平面図を示す。
図8は車両本体Bにコネクタカバー1を取り付ける取り付け作業の説明図を示し、図9はコネクタカバー1に滴下した液体の流れを示すためのコネクタカバー1の概略斜視図を示し、図10及び図11はコネクタを装着した状態のコネクタカバー1が傾いた状態の概略正面図を示す。
図8について詳述すると、図8(a)は車両本体Bに設けた固定用嵌合孔Hに固定部50を挿入している状態におけるコネクタカバー1のA−A矢視断面図を示し、図8(b)は車両本体Bに設けた固定用嵌合孔Hに固定部50を挿入した状態におけるコネクタカバー1のA−A矢視断面図を示す。
ここで、図1における紙面の縦方向を上下方向Zとし、コネクタ300の長手方向を長手方向Xとし、コネクタ300の横幅方向であって長手方向Xと直交する方向を幅方向Yとする。図1中の長手方向Xに沿って左側を+X方向とし、右側を−X方向とするとともに、幅方向Yに沿って左側を−Y方向とし、右側を+Y方向とする。また、図1中の上側を+Z方向(上方)、下側を−Z方向(下方)とする。
なお、この軸及び方向は、図2乃至図7においても同様とする。
コネクタ付コネクタカバー100は、図1に示すように、ワイヤーハーネス200が連結されたコネクタ300と、コネクタ300を嵌合装着させたコネクタカバー1とで構成されており、車両本体Bに固定することができる。なお、ワイヤーハーネス200はタイバンド500を介してコネクタカバー1に固定されている。
コネクタ300は、他の電子機器類と接続可能な電極が一つである一極コネクタである第1コネクタ310と、他の電子機器類と接続可能な電極が四つである四極コネクタである第2コネクタ320とで構成されている。
この第1コネクタ310及び第2コネクタ320は、一端側(+X側端部側)が開口するとともに、内部にオス型コネクタの挿入部分を収納可能な収容空間を有する中空状のメス型コネクタであり、他端側(−X側端部側)からは各コネクタに連結されたワイヤーハーネス200が延出している。
ワイヤーハーネス200をコネクタカバー1に固定するタイバンド500は、長尺状に形成された可撓性を有する平板のバンド部510と、バンド部510を内部に挿通させて固定するバンド固定部520とで構成されている。
このように構成されたコネクタ300を装着するコネクタカバー1は、図2乃至図6に示すように、車両本体Bに固定される側壁部10と、車両本体Bに固定された取付状態において側壁部10の上端から+Y方向に向けて突出する屋根部20と、コネクタ300を長手方向Xに沿ってスライドさせて嵌合するコネクタ装着部30とで一体構成されている。
このコネクタカバー1は、車両本体Bに対して取付けた取付状態において、屋根部20が側壁部10に対して上方に配置されるとともに、側壁部10の板厚方向が幅方向Yと一致するように配置される(図1参照)。換言すると、幅方向Yは側壁部10の主面に対する法線方向に平行となり、長手方向Xはコネクタ装着部30に対してコネクタ300をスライドさせて嵌合させる嵌合方向と平行となる。以下、車両本体Bに取付けていない状態のコネクタカバー1に関しても、取付状態と同様の方向に配置したものとして説明する。
側壁部10は、図2及び図3に示すように、所定の厚さを有する板状体であり、−X側における下方側角部に設けられたバンド固定部11と、車両本体Bに取付けられた側壁部10の側方振動を規制する2つの側方スタビライザ12,12と、側壁部10の上下方向Zの振動を規制する縦方向スタビライザ13と、板厚方向に貫通させた固定解除部40と、車両本体Bに取り付けるための固定部50が設けられている。
バンド固定部11は、側壁部10の−X方向側の下端に形成されたバンド固定枠111と、バンド固定枠111の上方において上下方向Zに沿った長方形状の挿通孔を形成するバンド挿通部112とで構成されている。
バンド固定枠111は、側壁部10の−X方向側の下端から+Y方向に突出する中空状の枠体である。なお、バンド固定枠111の長手方向Xの幅は、長尺状に形成されたバンド部510の幅よりも一回り大きく構成されている。
バンド挿通部112は、バンド固定枠111の上方において側壁部10を板厚方向(幅方向Y)に貫通する長方形状の貫通孔を形成している。このバンド挿通部112が形成する貫通孔とバンド固定枠111が形成する挿通空間とは互いに連通しており、例えばバンド固定枠111が形成する挿通空間に対して+Y側から挿通させたバンド部510を、バンド挿通部112が形成する貫通孔に−Y側から+Y側に挿通させた後にバンド固定部520に挿通させることでタイバンド500を側壁部10に固定することができる。
横方向振動規制部に対応する側方スタビライザ12,12は、図3及び図4、図5に示すように、側壁部10の板厚方向に貫通させた貫通孔を形成する貫通壁部121と、貫通壁部121の中央側に配置された内周壁から−Y方向に向けて突出した第1弾性片122とで構成されている。
貫通壁部121は、側壁部10の長手方向Xの中央に配置された固定部50に対して長手方向Xに所定の間隔を隔てて形成される貫通孔を形成している。
第1弾性片122は、図4に示すように、基端が貫通壁部121の中央側の内周面と連結するとともに、平面視で円弧状となるように−Y方向に向かって延出する板状の弾性片であり、先端部分は丸みを帯びている。このように構成された第1弾性片122の先端部分は、側壁部10の裏面から−Y方向にわずかに突出するように構成されている。
縦方向振動規制部に対応する縦方向スタビライザ13は、図6に示すように、側壁部10の中央下端を板厚方向に切り欠いて貫通させた切欠き壁部131と、切欠き壁部131の内周壁上面から−Y方向に向けて突出した第2弾性片132とで構成されている。
第2弾性片132は、図5及び図6に示すように、基端が切欠き壁部131の+Z方向側の内周面と連結するとともに、先端側が平面視で円弧状となるように−Y方向に向かって延出する板状の弾性片であり、先端部分は丸みを帯びている。なお、第2弾性片132の先端部分は、第1弾性片122と同様に、側壁部10の裏面から−Y方向にわずかに突出するように構成されている。
側壁部10に設けられた固定解除部40は、図3及び図4に示すように、後述する軸部51の長手方向Xの両端側において、板厚方向に沿って側壁部10を貫通させた長方形状の貫通孔を形成している。なお、固定解除部40は、長辺が長手方向Xに沿った長方形状の貫通孔を形成している。
側壁部10の裏面(−Y側の主面)から−Y方向に突出する固定部50は、図3及び図4に示すように、側壁部10から−Y方向に突出する略四角柱状の軸部51と、軸部51の先端から長手方向Xに向けて広がりつつ+Y方向に延びる一対の弾性支持片52とで構成され、弾性支持片52には長手方向Xに沿って外側に突出する係止部53が形成される。
軸部51は、上下方向Zに沿って長辺が形成されるとともに、長手方向Xに沿って短辺が形成された長方形状の角柱体で構成されており、側壁部10の裏面における長手方向Xの中央部分、かつ、側壁部10の上下方向Zの中央部分よりもやや上方から−Y方向に突出している。なお、軸部51の先端部分(−Y方向側端部)は、後述する車両本体Bに設けた固定用嵌合孔Hに挿入させやすいように円弧状に形成されている。
弾性支持片52は、+Y方向に向かうに伴い軸部51から離れるように広がる板状体であり、先端部分(−Y側端部)が軸部51の先端と連結されるとともに、基端部分(+Y側端部)が、固定解除部40が形成する貫通孔の内部に配置されている。なお、弾性支持片52の+Y側端部には解除部54が形成されている。
このように構成されている弾性支持片52は、先端のみが軸部51と連結しているとともに、+Y方向に向かうに伴い外側に広がるように構成されているため、長手方向Xに対して弾性を有しており、弾性係止部として機能する。
係止部53は、側壁部10の裏面よりも−Y方向側において、弾性支持片52の外面から長手方向Xに沿って外側に突出する係止片である。
側壁部10の上端から+Y方向に突出している屋根部20は、図2に示すように平板状の屋根板21と、屋根板21の外周面に沿って形成された外周壁部22と、屋根板21の上面に複数配置されたリブ23とで構成されている。
屋根板21は、側壁部10の上端から幅方向Yに向けて突出している平板状の板状体であり、図6に示すように、側壁部10に対してわずかに上方に傾くように設けられている。なお、本実施形態において、側壁部10と屋根板21とが成す角度は95度であるが、必ずしも95度に限定するものでない。なお、側壁部10と屋根板21とが成す角度は、好ましくは93度より大きく、120度以下であればよい。
また、屋根板21は、図3に示すように、側面視における長手方向Xの中央(屈折部21aとする)を中心として、長手方向Xの端部側に向かうに伴い下方側に下がるように構成されている。
さらにまた、屋根板21の裏面であって、側壁部10との連結部には、正面視略三角形状の補強リブ24が所定の間隔を隔てて複数配置されている(図2及び図3、図6参照)。この補強リブ24は、屈折部21aに対応する位置に一つ設けられるとともに、屈折部21aを中心として長手方向Xに沿って7つずつ等間隔で配置されている。
外周壁部22は、図7に示すように、屋根板21の外周縁に沿って立設する壁部であり、長手方向Xに沿って形成された外周壁部22aと、幅方向Yに沿って形成された2つの外周壁部22bと、−X方向側に配置された外周壁部22bと外周壁部22aとを連結する外周壁部22cと、外周壁部22aと外周壁部22b及び外周壁部22bと外周壁部22cとの連結部位である角部分に形成された外周壁部22dとで一体に構成されている。
幅方向Yに沿って形成された外周壁部22bは、上方(+Z方向)のみならず下方(−Z方向)に向けても立設している(図2及び図3参照)。また、外周壁部22bの基端部分(−Y方向側の端部)には、−Y方向に向かうに伴い下方に先細りするように形成された穴隙部25が設けられている。
外周壁部22dは、+X側端部に配置された外周壁部22bと外周壁部22aとの連結部位及び、−X方向端部に配置された外周壁部22bと外周壁部22cとの連結部位に形成された壁部であり、外周壁部22aや外周壁部22b、外周壁部22cと比べて壁の高さが高く形成されている。
屋根板21の表面に形成されたリブ23は、外周壁部22xから−Y方向に沿って立設しており、基端部分(−Y方向側の端部)が−Y方向に向かうに伴い下方に向けて先細りするように構成されている。なお、リブ23の基端側端部は、側壁部10の+Y側と被るように構成されている。すなわち、リブ23は側壁部10と屋根板21との交差部分を跨いで幅方向Yに沿って立設している。
このように構成されたリブ23は、屋根板21上に複数立設している。詳述すると、屈折部21aに沿ってリブ23が1つ立設しており、この屈折部21aに沿って立設するリブ23を中心として、長手方向Xに対して6つずつ等間隔で配置されている。なお、リブ23同士の間隔は補強リブ24同士の間隔と等しくなるように立設している。すなわち、長手方向Xの端部側に立設されたリブ23を除いた他のリブ23は、補強リブ24と対応する位置に設けられている。
このように構成されたリブ23は、−Y方向側に向かうに伴い先細りしているため、屋根板21の基端側(−Y方向側)にはリブ23の存在しない流液部26が形成されている。
コネクタ装着部30は、側壁部10から−Y方向に突出するコネクタ装着部本体31と、コネクタ装着部本体31の+Y側側面に形成された側方装着部32と、コネクタ装着部本体31の上面に形成された上方装着部33とで構成されている(図2、図3、図5参照)。
コネクタ装着部本体31は、側方スタビライザ12,12よりも長手方向Xの内側に設けられるとともに、固定解除部40及び固定部50よりも下方側に設けられた筐体であり、長手方向Xの長さが側壁部10の長手方向Xに対する長さの3分の1程度に形成されている。
このコネクタ装着部本体31の+Y方向側面に形成された側方装着部32は、第1コネクタ310の嵌合部を長手方向Xに沿ってスライドさせることで第1コネクタ310を嵌合装着できるよう構成されている。同様に、コネクタ装着部本体31の上面に形成された上方装着部33は、第2コネクタ320の嵌合部を長手方向Xに沿ってスライドさせることで第2コネクタ320を嵌合装着できるよう構成されている。
このように構成されたコネクタカバー1は、図3及び図4に示すように、固定部50と側方スタビライザ12,12とが長手方向Xに沿って一直線上に配置されている。また、屈折部21aと固定部50と縦方向スタビライザ13とが上下方向Zに沿って一直線上に配置されることとなる。
換言すると、側方スタビライザ12,12における第1弾性片122の上下方向Zの中央が固定部50の上下方向Zの中央が長手方向Xに沿って一致するように、側方スタビライザ12と、固定部50と、側方スタビライザ12とがこの順で配置されている。
またコネクタカバー1は、図8(a)に示すように、車両本体Bに設けた固定用嵌合孔Hに固定部50を押し込むことで、弾性支持片52に設けた係止部53が固定用嵌合孔Hの外周面と干渉し、弾性支持片52を内側に向けて変形させることとなる。
この状態で、コネクタカバー1を長手方向Xに向けて押し込むことで、図8(b)に示すように、係止部53が固定用嵌合孔Hの内部まで挿通することとなる。このとき、係止部53に作用する外力がなくなるため、弾性支持片52は復元力により元の形状に戻り、固定部50が固定用嵌合孔Hに係止されることとなる。
またコネクタカバー1が車両本体Bに取付けた状態では、図8(b)に示すように、長手方向Xと干渉する側方スタビライザ12,12が+Y方向に押しつけられることとなるため、側方スタビライザ12,12が長手方向Xの振動規制部として機能する。したがって、コネクタカバー1は長手方向Xに対して固定されることとなる。また、第1弾性片122は弾性を有するため、車両本体Bが振動した場合などでも、第1弾性片122がその振動を吸収することができる。これにより、車両本体Bの振動などによるコネクタカバー1の異音の発生を確実に防止できる。
同様に、長手方向Xの中央部分において、屈折部21aと固定部50と縦方向スタビライザ13とが上下方向Zに沿って一直線上に配置されているため、意図しない外力が屋根部20などに作用した場合であっても、屈折部21aの−Y側端部及び縦方向スタビライザ13とが振動規制部として機能するため、振動を吸収することができる。これにより、車両本体Bの振動などによるコネクタカバー1の異音の発生を確実に防止できる。
また、上述のように、弾性支持片52は長手方向Xに対する弾性を有しているため、例えば、解除部54対して固定解除部40にピンセットなど+Y方向から挿通させ、+Y方向側から長手方向X内側に向けて外力を作用させることで、弾性支持片52が軸部51に接近するように弾性変形させることができる。これにより固定用嵌合孔Hに係止された固定部50を解除することができ、容易に側壁部10を車両本体Bから取り外すことができる。
このように、車両本体Bに配索されるワイヤーハーネス200が連結されたコネクタ300を装着させるコネクタカバー1は、車両本体Bに取付ける側壁部10と、側壁部10から延設された屋根部20と、側壁部10から屋根部20の延設する延設方向に向けて突出し、コネクタ300を嵌合するコネクタ装着部30とが一体で構成され、屋根部20は、側壁部10を車両本体Bに取付けた取付状態において、コネクタ装着部30に装着されたコネクタ300を、上方から視て覆うように設けられたことにより、簡易な構造で、車両本体Bに配索されるワイヤーハーネス200が連結されたコネクタ300に液体が掛かることを防止できる。
詳述すると、図9に示すように、コネクタ装着部30に嵌合されたコネクタ300は、コネクタ装着部30の突出方向と同方向(+Y方向)に延設した屋根部20によって覆われることとなるため、コネクタ300の上部から液体が滴下した場合であっても、屋根部20が液体を受けることとなり、コネクタ300に液体が掛かることを防止できる。
また、コネクタ装着部30が側壁部10から延設方向に向けて突出しているとともに、屋根部20とコネクタ装着部30との間には固定部50が配置されているため、コネクタ装着部30を確実に目視することができ、コネクタ300を確実に装着されることができるとともに、コネクタ装着部30が装着されたことを目視で確認することができる。
また、このコネクタカバー1は、コネクタ装着部30が突出している側壁部10と、側壁部10から延設している屋根部20とが一体構成された簡易な構造であり、側壁部10と屋根部20との間から液体が入り込むことがないため、側壁部10の+Y側の主面側に液体が侵入することを抑制して、コネクタ装着部30を液体が掛かることを防止でき、液体がコネクタ装着部30に嵌合装着させたコネクタ300に掛かることを防止できる。
また、側壁部10には、コネクタ300に連結されたワイヤーハーネス200を固定するバンド固定部11が、取付状態におけるコネクタ装着部30よりも下方に設けられていることにより、ワイヤーハーネス200に液体が掛かった場合であっても、ワイヤーハーネス200を伝って液体がコネクタ300に到達することを防止できる。
詳述すると、コネクタ装着部30にコネクタ300を装着させた状態において、コネクタ装着部30と連結しているワイヤーハーネス200をバンド固定部11に固定する場合、バンド固定枠111が形成する挿通孔を+Y方向側から−Y方向に挿通させたバンド固定部520を、−Y方向からバンド挿通部112が形成する貫通孔を挿通させ、ワイヤーハーネス200の外周面に巻きつけた後に、バンド固定部520をバンド部510の係止孔に挿通させる。これにより、ワイヤーハーネス200がコネクタ装着部30よりも下方側(−Z方向)に配策されるように側壁部10に固定することができ、ワイヤーハーネス200に液体が掛かった場合であっても、ワイヤーハーネス200を伝って液体がコネクタ300に到達することを防止できる。
また、屋根部20は、側壁部10に向かうに伴い、取付状態における下方に向かって傾斜していることにより、屋根部20に滴下した液体が屋根部20の表面に沿って側壁部10側に流すことができるため、側壁部10を伝って液体を下方に流すことができる。したがって、コネクタ300に液体が掛かることを確実に防止できるとともに、液体が屋根部20に貯まることを防止できる。
すなわち、側壁部10の上端から延設された屋根部20により滴下した液体がコネクタ300に掛かることを防止するのみならず、屋根部20の上面に液体が貯まることを確実に防止できる。これにより、屋根部20に貯まった液体が屋根部20の端部を越えて、屋根部20の裏面側に伝って流れることを防止できる。したがって、コネクタ300に液体が掛かることを防止できる。
また、屋根部20が側壁部10の主面の法線方向(幅方向Y)と一致している場合や、屋根部20と側壁部10とが成す角度が鋭角である場合に比べて、幅方向Yから視てコネクタ300ホルダと屋根部20との間にスペースを確保することができるため、コネクタ300ホルダにコネクタ300を容易に装着させることができるとともにコネクタ300の装着状態を目視で確認でき、作業効率を向上させることができる。
また、屋根部20が、上下方向Z及び幅方向Yと直交する長手方向Xの端部に向かうに伴い、取付状態における下方に向かって傾斜していることにより、屋根部20に滴下した液体を長手方向Xに沿って下方側に向けて流すことができるため、屋根部20に液体が貯まることを防止できる。これにより、屋根部20に貯まった液体が屋根部20の端部を越えて屋根部20の裏面側に伝うことを防止できるため、コネクタ装着部30に装着されたコネクタ300に液体が掛かることを確実に防止できる。
また、屋根部20が長手方向Xに向かうに伴い傾斜しているため、滴下する液体が屋根部20に当たる際の衝撃を分散させることができ、液体の滴下により屋根部20が変形することを防止できる。
さらにまた、屋根部20の端部側には、取付状態における上方に向けて突出する外周壁部22が設けられていることにより、滴下した液体が屋根部20の端部側に流れたとしても、外周壁部22で液体の流れを妨げることができるため、液体がコネクタ300に掛かることをより確実に防止できる。
また、外周壁部22には、屋根部20と側壁部10側との交差部分に穴隙部25が設けられていることにより、外周壁部22によって止められた液体を、穴隙部25を介して側壁部10の側面を伝って下方に流すことができ、コネクタ300に液体が掛かることをより確実に防止することができる。
また、取付状態における屋根部20の上面に、延設方向に沿って形成されたリブ23が設けられることにより、屋根部20の強度を向上させながら、リブ23に沿って液体を延設方向に流すことができるとともに、屋根部20に滴下した液体の勢いを弱めることができる。
詳述すると、屋根部20の上面にリブ23を設けることにより、屋根部20の強度を向上させることができるため、滴下した液体によって屋根部20が変形することを防止できる。これにより、屋根部20に滴下した液体あるいは、屋根部20に貯まっていた液体が屋根部20を越えることを防止できる。
また、リブ23に沿って液体を側壁部10側に流すことができるとともに、リブ23が滴下した液体と干渉することで液体の勢いを弱めることができるため、液体が屋根部20の端部側に勢いよく流れることを防止できる。これにより液体が屋根部20の端部から裏面に伝ってコネクタ300に流れることを防止でき、より確実に滴下した液体が屋根部20を越えることを防止できる。
なお、屋根板21におけるリブ23と対向する位置には補強リブ24が設けられているため、より確実に屋根部20の変形を防止できる。これにより、より確実に液体が屋根部20を越えることを防止できる。
また、リブ23が、側壁部10から延設方向に対して所定の間隔を隔てた位置に設けられることにより、屋根部20における側壁部10側には、リブ23が設けられていない領域(流液部26)を形成することができる。これにより、屋根板21の強度を補強するとともに、屋根板21と側壁部10との連結部位を補強し、さらには図9に示すように、屋根部20に滴下した液体が、リブ23に沿って流液部26に流れ、穴隙部25が形成する隙間に液体をスムーズに流すことができる。
さらにまた、側壁部10には、コネクタ装着部30の突出方向と反対方向に向けて突出し、車両本体Bに連結して固定する矩形状の一つの固定部50が設けられていることにより、固定部50を回転中心としてコネクタカバー1が回転することを防止しつつ、側壁部10を車両本体Bに固定することができる。これにより、車両本体Bに対して取付状態にあるコネクタカバー1が、意図せずに固定部50を中心として回転することを防止できるため、より確実に滴下した液体を屋根部20で受けることができる。
また、固定部50は、取付状態において、上下方向Z及び幅方向Yと直交する長手方向Xに比べ、上下方向Zが長くなるような側面視断面長方形状で形成された軸部51と、軸部51から長手方向Xの外側に向けて広がるように突出するとともに、軸部51に向けて弾性変形可能に形成され、車両本体Bに側壁部10を係止する弾性支持片52とで構成され、側壁部10には、弾性支持片52と車両本体Bとの係止を解除する固定解除部40が備えられていることにより、軸部51を回転軸としてコネクタカバー1が回転することを確実に防止しつつ、固定解除部40で弾性支持片52の係止を容易に解除することができるため、コネクタ300に液体が掛かることを確実に防止しつつ、コネクタカバー1の取り付け及び係止解除の作業性を向上させることができるこれにより、作業者は片手で取付け及び取外し作業を行うことができるため、作業性を向上することができる。
また、固定部50が、所定の間隔を隔てて設けられた屋根部20とコネクタ装着部30との間に設けられていることにより、コネクタカバー1を車両本体Bに安定して固定することができるとともに、コネクタ300をコネクタ装着部30に装着する装着空間を確保することができる。加えて、固定部50の側方に固定解除部40を配置することにより、係止状態を解除するスペースを確保することができる。
したがって、コネクタカバー1が車両本体Bに取り付けられた取付状態において、コネクタ300をコネクタ300ホルダに装着させることができるとともに、コネクタカバー1の係止解除の操作を容易に行うことができる。
さらにまた、側壁部10には、固定部50が突出する方向と同じ方向である−Y方向に突出し、車両本体Bに対する側壁部10の振動を規制する側方スタビライザ12,12及び縦方向スタビライザ13が設けられていることにより、コネクタカバー1が車両本体Bに取り付けた状態において、側壁部10の長手方向X及び上下方向Zの振動を規制することができ、固定部50を回転軸として側壁部10が回転することを確実に防止できる。
また、側方スタビライザ12,12が、固定部50を挟んで、長手方向Xに沿って一直線上に配置されていることにより、長手方向Xに沿ったコネクタカバー1の振動を規制することができるため、車両本体Bに固定した側壁部10のガタツキを吸収し、異音が発生することを防止できる。
実に防止できる。
また、コネクタカバー1を車両本体Bに取り付けた取付状態において、コネクタカバー1が安定して車両本体Bに取り付けることができるとともに、車両本体Bの振動を側方スタビライザ12,12が吸収することができるため、コネクタカバー1の振動やガタツキを防止できる。これにより、屋根部20に滴下した液体が屋根部20を越えることを防止でき、コネクタ300に液体が掛かることを防止できる。
また、固定部50の下方側に上下方向Zの振動を規制する縦方向スタビライザ13が、上下方向Zに沿って固定部50と一直線上に配置されていることにより、上下方向Zに沿ったコネクタカバー1の振動を確実に防止できる。
また、コネクタ装着部30は、上方装着部33が縦方向スタビライザ13の中央部分と屈折部21aとを結んだ直線状に配置される位置に設けられている。これにより、側方装着部32や上方装着部33に嵌合装着させた第2コネクタ320や上方装着部330に対して対応するオス型コネクタ(図示省略)を接続させた場合、オス型コネクタに連結されたワイヤーハーネスにより引張力が作用しても、固定部50を回転軸として回転することを防止できる。
さらにまた、図10及び図11に示すように、屋根部20は、コネクタカバー1を車両本体Bに取り付けた取付状態において、側壁部10が−20度(図11)〜+20度(図10)の範囲で傾いた場合に、コネクタ装着部30に装着したコネクタ300が、上方から視て露出しないように構成されていることにより、車両本体Bを坂道で駐車した場合などのように、コネクタ装着部30が傾いた状態であっても、コネクタ装着部30に嵌合装着させたコネクタ300に液体が滴下することを確実に防止できる。
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
ハーネス固定部は、バンド固定部11に対応し、
法線方向は、幅方向Yに対応し、
直交方向は、長手方向Xに対応し、
延出リブは、リブ23に対応し、
縦方向振動規制部は、縦方向スタビライザ13に対応し、
横方向振動規制部は、側方スタビライザ12に対応し、
解除操作部は、固定解除部40に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
例えば、本実施形態における屋根部20は、側壁部10の上端から+Y方向に延設しているが、必ずしもこの構成である必要はなく、例えば、側壁部10の主面から+Y方向に延設していてもよい。この場合、外周壁部22に穴隙部25を設けることで屋根部20に滴下した液体を確実に穴隙部25が形成する隙間に送ることができる。
また、本実施形態において、屋根部20と側壁部10とが形成する角度が鈍角となるように、屋根部20は側壁部10から延設しているが、例えば、側壁部10における主面の幅方向Yと平行となるように屋根部20を延設してもよいし、側壁部10と形成する角度が鋭角となるように屋根部20を延設してもよい。なお、屋根部20と側壁部10とが形成する角度が鈍角となるように屋根部20を延設する方が好ましい。コネクタ300を装着するスペースを確保しつつ、確実にコネクタ300に液体が掛かることを防止できるためである。
また本実施形態において外周壁部22は、屋根部20の端部である外周縁に設けられているが、この構成に限らず、例えば、屋根部20の外周縁よりも内側に外周壁部22を設けてもよく、また外周壁部22を幅方向Yに沿って複数設けてもよい
さらにまた、穴隙部25は、外周壁部22の高さが側壁部10側に向かうに伴い連続的に低くなる構成としているが、例えば外周壁部22の高さが側壁部10側に向かうに伴い段階的に低くなる構成や、外周壁部22の高さが所定の位置で低くなる構成としてもよく、また、屋根板21と側壁部10との交差部分における外周壁部22の一部分に穴が設けられていてもよい。
本実施形態において、コネクタ300は、二極コネクタである第1コネクタ310と、四極コネクタである第2コネクタ320とで構成されているが、第1コネクタ310及び第2コネクタ320は、本実施形態ように、異なるコネクタであってもよいし、同じコネクタであってもよい。すなわち、第1コネクタ310及び第2コネクタ320はコネクタカバー1に嵌合装着でき、上方から滴下する液体を被ることを防止できるサイズであれば、コネクタの極数や大きさ、形状などはどのようなものであってもよい。
リブ23は、屋根板21の端部側から屋根板21と側壁部10との交差部分までリブ23が延設方向に沿って延びている構成としているが、例えば、屋根板21の中央部分までしか延びていないような構成としてもよい。すなわち、リブ23により液体を流液部26に案内できれば、リブ23が側壁部10と屋根板21との交差部分を跨いでいる必要はない。なお、液体を案内することから、幅方向Yに沿ったリブ23の長さは、側壁部10から屋根板21の端部までの距離の半分以上の長さがあることが好ましい。
解除操作部に対応する固定解除部40は、弾性支持片52を挿通可能に形成されるとともに、弾性支持片52の係止状態を解除可能に変形させる空間が形成さるように側壁部10に設けた貫通孔で構成されているが、この解除操作部は軸部51から突出された弾性支持片52を弾性変形し、車両本体Bとの係止を解除する構成であればどのようなものでもよく、例えば、他部材を操作することにより、他部材が弾性支持片52を内側に変形させて係止状態の固定部50の弾性支持片52を解除可能に変形させるような構成としてもよい。
また、屋根部20は、上方から視てコネクタ装着部30に装着されたコネクタ300が屋根板21と完全に重なるように構成されている。このように構成されている屋根板21は、屋根部20に対してコネクタ300が屋根板21と完全に重なるようにコネクタ装着部30の位置が適宜変更されていてもよい。
換言すると、取付状態におけるコネクタ付コネクタカバー100の平面視において、コネクタ装着部30に装着されたコネクタ300が、図10及び図11に示すように、車両本体Bが−20度〜+20度の範囲で傾いた場合であっても、上方から視て屋根部20に隠れて見えないように構成されている。このように、上方から視てコネクタ300が屋根部20と完全に重なるように屋根部20が構成される場合の他、所定の大きさの屋根部20に対してコネクタ300が屋根部20と完全に重なる位置にコネクタ装着部30が備えられていてもよい。
さらにまた、軸部51は断面長方形状に形成されることにより、車両本体Bにコネクタカバー1を固定した場合に、車両本体Bに設けた固定用嵌合孔Hと軸部51の直線部分が干渉して軸部51を軸としてコネクタカバー1が回転することを防止しているが、軸部51の形状は、車両本体Bに設けた固定用嵌合孔Hと干渉して回転を阻止できるような直線部分を有していればどのような形状であってもよく、断面正方形状や断面長円状であってもよい。