JP6966916B2 - 透明ポリオレフィン樹脂カップ - Google Patents

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Description

本発明は、結晶核剤等を含む透明ポリオレフィン樹脂カップに関する。
食品などを入れる容器は軽量であること、カップなどの成形が容易であること、生産性に優れること、比較的安価であることから樹脂による容器がよく使われている。さらに中身の見える視認性が求められる用途には透明樹脂が用いられており、落としても割れないことが求められる用途には耐衝撃性に優れる樹脂が使われている。
近年、コンビニエンスストアー等では店舗で挽いたコーヒーをカップに入れて飲むスタイルが流行しており、そのコーヒーを入れるカップにも樹脂製容器が使われている。そのなかでアイスコーヒー用は透明性のカップが好まれており透明樹脂が使われている。従来は店舗で注文を受けてから氷をカップに入れコーヒーを注いでいたため、透明性、熱湯程度の耐熱性が求められていたが、店舗での負担削減の為、あらかじめカップに氷を入れシール材で封入するタイプとなり冷凍庫保存となって、低温耐衝撃性が求められるようになった。さらに工場でカップに氷を入れて低温冷凍輸送するようになり、更なる低温耐衝撃特性が求められるようになってきている。
当初は耐衝撃性ポリスチレンが使用されていたが、透明であるものの低温耐衝撃性に課題がある。耐衝撃性ポリエチレン、アクリル及びポリカーボネートは非結晶性樹脂で本来透明であるがガラス転移点以下では耐衝撃性に劣り、多くは室温付近にガラス転移点が存在するため低温耐衝撃性に劣るものが多い。
次にポリプロピレンは常温での耐衝撃性に優れており、特にポリプロピレンブロック共重合体は−5℃付近まで耐衝撃性に優れているが、ポリプロピレン相とポリエチレン相が海島構造をとり、それぞれの屈折率が異なるため透明性に劣る。ランダムポリプロピレンは層構造をとらないため透明性に優れるが、海島構造による衝撃吸収能がないため0℃付近での耐衝撃性の低下が激しい。このことから低温耐衝撃性と透明性とを両立する樹脂の研究が多数行われてきた。
そこでポリプロピレンブロック樹脂にプロピレンとエチレンの共重合ゴムとをブレンドして海島構造の島層のポリエチレンを微分散させることにより透明性を付与している。ポリエチレンはガラス転移温度が非常に低いことから低温衝撃性に非常に優れる一方、透明性に劣り、カップに必要な剛性のあるポリエチレンの密度領域では著しく不透明であり従来から透明性を付与する研究が多数行われてきている。
ポリエチレンに無機塩、カルボン酸塩、核剤などを添加する方法が多数試みられている。
炭酸リチウムの添加、塩基性12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム及び12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛混合物の添加、酸化防止剤とアンチブロッキング剤の併用、層状ケイ酸塩の添加、カオリンの添加、結晶核剤の添加により透明性を改良している(例えば、特許文献1〜6参照)。一方ガンマ線により架橋されたポリエチレンを添加することにより透明性を改良している(例えば、特許文献7参照)。他方一度成形したポリエチレンシート、ロッド、成形品などを圧延により透明性を高める方法がある(例えば、特許文献8〜12参照)。さらに一度成形したポリエチレンシート、ロッド、成形品などを引張延伸することにより透明性を付与する方法がある(例えば、特許文献13、14参照)
特開平7−109387号公報 特開平7−126447号公報 特開平9−40815号公報 特開平11−293055号公報 特開2000−109623号公報 特開2014−19733号公報 特開平9−31256号公報 特開昭62−64846号公報 特開昭62−122735号公報 特開平2−143837号公報 特開2009−149816号公報 特開2013−116938号公報 特開平8−134284号公報 特表2010−510094号公報
以上のように冷凍輸送ができかつ透明性を持ったコーヒー飲料用のカップの開発を求められてきている。樹脂に求められる課題は、シートからカップを真空成型または押込成形ができる熱可塑性樹脂であり、透明性を持ち、例えば、−30℃の低温下で落下耐衝撃性に優れることである。またコーヒークリームを入れた場合にPET樹脂では乳成分の付着や臭気の沈着が見られる。
このように乳成分の付着がなく透明性を持ちかつ低温耐衝撃性に優れる材料は過去になく、透明性の改善あるいは低温耐衝撃性の改善が行われてきている。低温耐衝撃性に優れる材料としてポリエチレンがあるが透明性に劣り、剛性の求められる高密度ポリエチレンでは不透明である。ポリエチレンに対して核剤などを添加することによる透明性の改善が行われてきているが、製品に求められる高透明の領域までの改善には及ばない。
またガンマ線により架橋されたポリエチレンを添加することによる透明性の改善も一定の効果は見られるがガンマ線の照射工程があることから生産性に劣り、またガンマ線によるポリエチレンの分解により臭気の発生の恐れがある。
他方一度成形したポリエチレンシート、ロッド、成形品などを圧延により透明性を高める方法があるが、圧延ロールによる圧縮工程があるため生産速度が非常に遅く生産性に劣ること、形状付与の自由度が低くカップの形状に適用することが困難である。また延伸シートをカップ賦形の為、再加熱して溶融させ賦形すると透明性が失われ白化する問題がある。さらに圧延や引張によりフィルムや繊維では透明性が発現することが知られているが薄膜や糸状の形状に限られカップのような形状に適用することができない。
他方、ポリプロピレンは透明性を比較的発現させやすいが低温耐衝撃性に劣っている。耐衝撃性改良の為に樹脂中にゴム成分を持つブロックポリプロピレン(PP)がしばしば用いられるが低温耐衝撃性になお不足であるばかりか透明性に劣る。さらに樹脂中のゴム成分のミクロ分散のために相溶化剤として特殊なゴム成分を添加することがしばしば行われるが−30℃の低温耐衝撃性になお不足している。ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)は二軸延伸等延伸させると透明性が発揮されることが知られているが、いわゆるアモルファスPETでは熱湯を入れた時の収縮が問題であり、部分的に結晶化させて耐熱性を強化したPET−Gは透明性と低温耐衝撃性に優れる。しかしPET樹脂は樹脂中に極性基を持つことから乳成分の付着により、製品の曇りや臭気の沈着が問題となっている。
一方、ポリエチレンを圧延や延伸した際に、必ずしも透明性を発揮できない組成物があり、引張延伸をした際に不均一な伸びを示すことから製品自体に透明と不透明な部分が混在して外観を損ねている。
そこで、本発明は、透明性に優れかつ低温耐衝撃性に優れた熱可塑性樹脂カップを提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討の結果、結晶核剤、または層状ケイ酸塩を含み、カップの厚みが100μm以上であってカップ側面のヘイズが15%以下であり、特定の融解温度特性を有するによりきわめて透明でかつ低温耐衝撃性に優れた熱可塑性樹脂カップを得ることができることを発見して本発明を為すに到った。
すなわち、本発明は、
[1]
以下の特性を満たす透明ポリオレフィン樹脂カップ。
(1)結晶核剤、または層状ケイ酸塩を300ppm以上含む
(2)カップの厚みが100μm以上であってカップ側面のヘイズが15%以下である
(3)JIS K6922−2で規定の融解温度測定の方法でカップ側面の融解温度を測 定したとき、第一融解温度Tm1と第二融解温度Tm2とが以下の関係を満たす
Tm1−Tm2 ≧ 0.5℃
[2]
前記透明ポリオレフィン樹脂が高密度ポリエチレン樹脂を含み、JIS K7112に規定の方法で測定した密度が935kg/m3以上である、[1]に記載の透明ポリオレフィン樹脂カップ。
[3]
JIS K7112の規定のD法で測定したカップ側面の密度D1に対して、成形品をISO1133の方法で押出しJIS K7112の方法で測定した密度D2が以下の関係を満たす、[2]に記載の透明ポリオレフィン樹脂カップ。
D1−D2≧0.5kg/m3
[4]
前記透明ポリオレフィン樹脂がクロム系触媒により重合されたポリエチレン樹脂を含む、[2]または[3]に記載の透明ポリオレフィン樹脂カップ。
[5]
前記透明ポリオレフィン樹脂が高圧法により重合された低密度ポリエチレン樹脂を含む、[2]または[3]に記載の透明ポリオレフィン樹脂カップ。
[6]
カップの側面について−30℃での落錐衝撃試験における全吸収エネルギーが2J以上である、[1]〜[5]のいずれかに記載の透明ポリオレフィン樹脂カップ。
本発明のカップは、透明性に優れ、かつ低温耐衝撃性に優れる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施の形態」という。)について以下詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものでなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施の形態の透明ポリオレフィン樹脂カップは以下の特性を満たす。
(1)結晶核剤、または層状ケイ酸塩を300ppm以上含む。
(2)カップの厚みが100μm以上であってカップ側面のヘイズが15%以下である。
(3)JIS K6922−2で規定の融解温度測定の方法でカップ側面の融解温度を測 定したとき、第一融解温度Tm1と第二融解温度Tm2とが以下の関係を満たす。
Tm1−Tm2 ≧ 0.5℃
本実施の形態の透明ポリオレフィン樹脂カップは上記特性を満たすことにより、透明性に優れており、成形品の曇り度(ヘイズ)が特に低いことが特徴であり、かつ低温での耐衝撃性が高いことが特徴である。これらの特徴は相反しており同時に満たす樹脂は存在しなかった。
本実施の形態の透明ポリオレフィン樹脂カップは上記特性を併せ持つために、結晶核剤、または層状ケイ酸塩を300ppm以上加えたうえで、例えば、融点より2〜10℃低い温度で延伸することにより達成される。そして、本実施の形態の透明ポリオレフィン樹脂カップはフィラーや結晶核剤など混ぜただけでは到底到達できない透明性の領域の特性を発揮するものである。
本実施の形態では、例えば、プレス成形やシート押出成形などで平板やシート、或いは一度成形品を成形してからさらに該樹脂の融点より2〜10℃低い温度で延伸することにより上記特性を満たす透明なポリオレフィン樹脂カップを得ることができる。
従来はシートなどの成形品を融点以上に再加熱し、融解させてから押出成形や真空成型を行うが、この場合成形品を冷却固化させたときにポリエチレンは結晶化により白化して不透明となり所定のヘイズを得ることができない。カップ成形はシートを押し棒(プラグ)や金型による突出し成形や真空成型あるいは両者を併用して成形されるが結晶性樹脂の場合は必ず融点以上に加熱して、非結晶性樹脂の場合は軟化点以上に加熱したのちに成形を行うことが当事者にとって当然のことであるが、本実施の形態の透明ポリオレフィン樹脂カップは、例えば、シートなどの成形品を融点以下で引張延伸によってカップ状に賦形を行って初めて達成されるもので、このような技術は、これまでの常識とは全く異なる、従来技術の延長線上では全く考え付くことのできない技術である。
樹脂は融解すると常温での引張強度に対して融解時はほとんど強度を持たないが、融点以下5〜20℃の範囲でもかなり低強度で引張は比較的容易に行うことができる。
融点以下5〜20℃の範囲で延伸したとき透明になる理由としては樹脂中の球晶が延伸により延伸方向に配列し、ポリエチレンの場合は球晶内のラメラもほぐれて延伸方向に配列すると考えられる。また配列に至らずともラメラの積層方向が一定方向に傾斜しているとも考えられる。球晶の樹脂鎖が延ばされるともに非晶質部分の樹脂鎖も同じように伸ばされるため結晶質部分と非晶質部分の屈折率が同等近くになることから透明性が発現されるものと考えられる。
しかし本方法を用いても容器を透過する光の散乱により透明性が劣ることがある。これは再配列したラメラがまだ不規則な部分が残るために光を散乱するものと考えられる。一方延伸前のポリエチレンのラメラが大きく、引張延伸によって光の影響が及ばなくなるまで細かくできないことに起因すると考えられる。
結晶核剤、カオリン、タルクは大量に添加するとそれ自身により透明性を下げるが、ラメラの微小化と再配列を促進すると考えられる。
ポリプロピレンの結晶核剤は多数知られている反面、ポリエチレンの結晶核剤は従来ほとんど知られておらず、シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸塩類が効果のある例として例示できる。
カップの透明性は、例えば、成形時の引張速度を50mm/分以上、延伸倍率を4倍以上とすることで達成される。
他方、シートからカップ形状を成形する際に、カップの口に近い部分が未延伸で白く残ることがある。これはポリエチレンを延伸する際に、ポリエチレンの引張試験の際に見られるネッキング現象が起こるためであり、球晶の破壊強度がポリエチレンのラメラがほぐれる強度よりはるかに強いことから、引張延伸によりまず球晶が破壊し、破壊した部分のラメラが伸びきるまでは隣の球晶の破壊が起こらない為であると考えられる。
本実施の形態に用いる樹脂としては特に限定されないが、例えば、不透明な結晶性樹脂でありながら融点より5〜20℃低い温度で延伸されてカップとして賦形されたときに透明性を発揮し、カップとしての低温耐衝撃性の高いものであればよい。延伸により透明性を発揮する樹脂としては特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどのポリオレフィンおよびそれらとαオレフィン、酢酸ビニルなどとのコポリマー、およびゴム成分の添加系、ポリスチレンやゴム成分を含んだ高耐衝撃ポリスチレン、PETやPENあるいはコモノマーの一部をリジッドなシクロヘキサンジアルコールとして結晶性を持たせたポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニルやポリビニリデン樹脂などが挙げられる。このうち結晶性樹脂は一般的な成形では分子構造上不透明や着色することが多く、無色透明が達成できる樹脂として特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどのポリオレフィンおよびそれらとαオレフィンが挙げられる。カップとしての−30℃での低温耐衝撃性と剛性との観点から高密度ポリエチレン樹脂が好ましい。
カップの透明性を向上するものとして結晶核剤、カオリン、タルクなどが挙げられる。結晶核剤としては、例えば、下記一般式(1)に示す結晶核剤が挙げられる。本実施の形態の透明ポリオレフィン樹脂カップは 当該結晶核剤を300〜2000ppm(質量基準)含有することが好ましい。
Figure 0006966916
上記式(1)中、M1及びM2は、カルシウム、ストロンチウム、リチウム、亜鉛、マグネシウム及び一塩基性アルミニウムからなる群より互いに独立して選択され、更に、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、及びR10は、水素及びC1〜C9アルキルからなる群より互いに独立して選択され、更に、互いに隣接して位置した何れか2つのR3〜R10アルキル基は任意に結合して炭素環を形成していてもよい。
一例としてR1〜R10が水素である下記一般式(2)の化合物が挙げられ、ミリケン・ジャパン(株)より製品名EXP−20として入手することができる。
Figure 0006966916
本実施の形態の透明ポリオレフィン樹脂カップにおいて、該結晶核剤の含有量は、いずれも質量基準で、好ましくは300ppm以上2000ppm以下、より好ましくは500ppm以上1500ppm以下、さらに好ましくは700ppm以上1000ppm以下である。該結晶核剤の含有量が300ppm以上で結晶化速度が充分に速くなり、2000ppm以下では含有量に見合った透明性の向上と白化部分の解消の効果が見られる。
本実施の形態の透明ポリオレフィン樹脂カップは、層状ケイ酸塩を0.1質量%以上20質量%以下含むことが好ましい。本実施の形態で用いられる「層状ケイ酸塩」とは、金属イオンとケイ酸が連結したシートが層状に形成されているケイ酸塩をいう。層状ケイ酸塩としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、カオリン、リザーダイト、アメサイト、ケリアイト、バーチェリン、グリーナライト、ネポーアイト、ブリンドリアイト、フレイポナイト、オーディナイト、クロンステダイト、パーコライト、カオリナイト、ディカイト、ナクライト、ハロイサイト、アンチゴライト、クリソタイル、タルク、ウィレムサイト、パイロフィライト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチーブンサイト、スインホルダイト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロライト、ボルコンスコアイト、バーミキュライト、黒雲母、金雲母、鉄雲母、イーストナイト、鱗雲母、ポリリシオナイト、白雲母、セリサイト、セラドン石、砥部雲母、及びソーダ雲母等が挙げられる。層状ケイ酸塩はその層間に水を含むことが多いが、焼成処理を行ったものが好ましい。このなかでも、層状ケイ酸塩が、カオリンまたはタルクを含むことが好ましい。
また、層状ケイ酸塩は、焼成後粉砕を行ったものが好ましく、なかでも粉砕後の平均粒径が0.2μm以上5.0μm以下であるものが好ましく、0.5μm以上2.0μm以下であるものがより好ましく、1.0μm以上2.0μm以下であるものがさらに好ましい。当該平均粒径が0.2μm以上であることにより、カップの透明性がより優れる傾向にあり、5.0μm以下であることにより、ケイ酸塩自体の粒子によるカップの透明性の阻害も減少する傾向にある。より好ましい形態として含水カオリンを焼成粉砕処理したものが挙げられる。なお、平均粒径は、レーザー回折散乱法を用いて測定することができる。
本実施の形態の透明ポリオレフィン樹脂カップ中の層状ケイ酸塩の含有量は、0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以上10質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以上5質量%以下である。層状ケイ酸塩の含有量を0.1質量%以上とすることでカップの透明性改善の効果がより現れる傾向に有り、20質量%以下とすることで層状ケイ酸塩自体の粒子に起因するカップの透明性の低下も抑止できる傾向にある。
本実施の形態の透明ポリオレフィン樹脂カップにおいて、カオリンの含有量は、いずれも質量基準で、好ましくは300ppm以上20000ppm以下、より好ましくは500ppm以上10000ppm以下、さらに好ましくは1000ppm以上5000ppm以下である。カオリンの含有量が前記範囲内であると、カップが透明となりカオリン自体の色による着色の影響が見られない。
本実施の形態の透明ポリオレフィン樹脂カップにおいて、タルクの含有量は、いずれも質量基準で、好ましくは300ppm以上10000ppm以下、より好ましくは500ppm以上5000ppm以下、さらに好ましくは700ppm以上3000ppm以下である。タルクの含有量が前記範囲内であると、カップが透明となる傾向にある。
飲料カップの場合は内容物の視認性が要求される場合、カップ側面の透明性が高いことが求められる。カップ上面はフィルム等でシールされ、底面は正立しておかれる場合は隠れて見えない為、側面の透明性が必要となる。
カップとしての透明性はヘイズ(曇り度)で示される。本実施の形態の透明ポリオレフィン樹脂カップは、側面のヘイズが15%以下であり、好ましくは10%以下であり、より好ましくは8%以下であり、とりわけ好ましくは5%以下である。当該カップ側面のヘイズの下限は、特に限定されないが、例えば、2%である。
なおヘイズの値は厚みに依存することが知られており、厚みが厚いほどヘイズは悪化する(高くなる)。一方、ヘイズがあまり低くない材料であっても薄くすることによりヘイズは低下することから透明性に対する厚みの影響は大きい。フィルムなど0.1mm以下の厚みの場合高度な延伸や繊維にあっては超延伸することにより透明性は得られるが0.1mm以上の厚みに適応すると白化や裂けが発生してしまい透明な容器を得ることは出来ない。アイスコーヒーカップとしては耐衝撃性に加え自立性、剛性が求められるため厚みが必要であり、厚みが厚くてもヘイズが低い材料が求められる。
一方肉厚が厚いと剛性、強度は増加するが使用樹脂量が増えること、厚みが増すことからヘイズが悪化する(高くなる)。他方肉厚が薄いと自立をしない、手で持った時に大きく変形、あるいはつぶれてしまう恐れがある。したがって本実施の形態の透明ポリオレフィン樹脂カップ側面の厚みとしては100μm以上であり、100μm以上5mm以下であることが好ましく、200μm以上3mm以下がより好ましく、300μm以上1mm以下がさらに好ましい。
このカップの厚みはカップ全体が範囲にあることが好ましいが、部分的に厚みの範囲内で窓のように透明な部分があるものであってもよい。
厚みが100μm以上とすることでカップが自立し、ハンドリングに支障のない剛性となる。またカップは厚みを5mm以下とすることで適度な延伸倍率で透明性を達成できる。なおカップは厚みが5mm以上であっても適切な延伸倍率が達成できるのであればヘイズを15%以下にすることができる。
ヘイズは肉厚に相関があり、肉厚が薄いほどヘイズが下がり肉厚が厚いほどヘイズは高くなる。肉厚が厚くなると厚み増加に対するヘイズの低下具合は減少し、3mmを超えてくるとヘイズの値はほとんど変化しなくなる。
図1にポリエチレンのプレス板の厚みに対するヘイズの関係を示す。厚み薄いほどヘイズは低下し、1mm以上の肉厚では厚み増加に伴うヘイズの悪化の程度は小さくなる。なおポリエチレンの場合はプレス成形、射出成形またはブロー成形など溶融してから成形された成形品は密度が低いほどヘイズが下がることが知られている。しかしヘイズが下がると剛性も低下し、ヘイズが10%程度の樹脂は非常に柔らかいものとなりカップとしての剛性が不足する。
本実施の形態の透明ポリオレフィン樹脂カップは厚み1mm以下の時、厚みtmmとヘイズy%の関係が以下の関係を満たすことが好ましい。
y≦33×t
また1mmを越えて3mmまでは以下の関係を満たす。
y≦15.7×t+17.3
以上の関係を満たすことによりカップは十分な透明性を持つ。成形品の透明性は厚みにも依存し、不透明な材料であってもフィルム並みの数十μmの薄さであると透明性が現れる。一方透明性は厚みに依存し、肉厚が厚ければ厚いほどヘイズは悪化し、1mm程度の厚みまではヘイズは厚みに比例することが知られている。成形品によって肉厚はまちまちであるため厚みとヘイズ値の関係式を用いる必要がある。他方肉厚が1mmを越えてくると肉厚変化に伴うヘイズ値の変化率は小さくなり3mmを超えるともはや変化しなくなる。
好ましくは1mm以下の時以下の関係を満たす。
y≦30×t
また1mmを越えて3mmまでは以下の関係を満たす。
y≦15×t+15
より好ましくは1mm以下の時以下の関係を満たす。
y≦25×t
また1mmを超えて3mmまでは以下の関係を満たす。
y≦12.5×t+12.5
3mmを超えるとき、ヘイズは64.4%以下となる。
一方本実施の形態の透明ポリオレフィン樹脂カップはJIS K69222で規定の示差熱分析装置(DSC)による融解温度測定の方法でカップ側面の融解温度を測定したとき、第一融解温度Tm1と第二融解温度Tm2が以下の関係を満たす。
Tm1−Tm2 ≧ 0.5℃
融点差(Tm1−Tm2)を0.5℃以上とすることにより十分な透明性を発揮することができる。融点差(Tm1−Tm2)が大きくなるほど透明性が良くなるため特に上限はないが理論上の上限はその樹脂の完全結晶体(結晶化度100%)との融点差である。
DSC法による融解温度Tm1、Tm2は結晶性樹脂の融点を示す。Tm2は第二融解温度と呼ばれ、サンプルを一度融解し、徐冷して結晶化したものを再度加熱した時の融解温度であり、JIS K6922−2に規定される融点の測定方法によるものである。他方、Tm1は成形品を融点より2〜10℃低い温度で引張延伸されて透明となったサンプルを切り出しそのまま融解温度を測定したものである。Tm1は賦形時に通常金型で急冷されるため、結晶が細かくかつ結晶化度が下がるため一般的に融点Tm2より温度が低くなるため、Tm1‐Tm2は負の値をとる。ところが本願は融点であるTm2より2〜10℃低い温度で引張延伸されることによりポリエレンやポリプロピレンの折りたたみ構造であるラメラが延伸され結晶間に存在していた非晶質部分も同じように延伸され、全体としては延伸方向に高度に配列した構造をとるために、元の融点Tm2よりTm1の温度が高くなる。
Tm1とTm2との関係は好ましくは
Tm1−Tm2 > 0.7℃
より好ましくは
Tm1−Tm2 > 1.0℃
である。
本実施の形態の透明ポリオレフィン樹脂カップは第一融点よりも第二融点が低いことからTm1−Tm2は正の値をとりその差は0.5℃以上になる。
本実施の形態の透明ポリオレフィン樹脂カップは、JIS K7112の規定のD法で測定したカップ側面の密度D1に対して、成形品をISO1133の方法で押出し、JIS K7112の方法で測定した密度D2が以下の関係を満たすことが好ましい。
D1−D2≧0.5kg/m3
本実施の形態の透明ポリオレフィン樹脂カップは、密度差(D1−D2)を0.5kg/m3以上とすることで十分な透明性を得ることができる。密度差(D1−D2)が大きくなるほど透明性が上昇するため特に上限はないが、理論上の上限はその樹脂の完全結晶体(結晶化度100%)との密度差である。
本実施の形態の透明ポリオレフィン樹脂カップは、より好ましくは次の関係を満たす。
D1−D2≧0.7kg/m3
より好ましくは次の関係を満たす、
D1−D2≧1.0kg/m3
ISO1133の方法で押出したストランドをJIS K7112の方法で測定した密度は十分アニールされ結晶化したものであるのに対し、成形品は通常急冷されるため結晶化度は低く密度もアニール密度より低くなるためD1−D2は通常負の値である。本実施の形態の透明ポリオレフィン樹脂カップは、延伸することにより結晶化度が向上しておりアニール処理した結晶化度より結晶化度が向上したとき透明性を発現するため、好ましくはD1−D2は正の値をとり、差が大きいほど透明性は向上する。
また本実施の形態の透明ポリオレフィン樹脂カップは、密度が低いほど透明性が向上するが剛性が低下するためカップとしての自立性、剛性の観点からJIS K7112に規定の方法で測定した密度が935kg/m3以上であることが好ましい。本実施の形態の透明ポリオレフィン樹脂カップは、密度を935kg/m3以上とすることにより透明性と剛性が両立し、好ましくは940kg/m3以上、より好ましくは945kg/m3以上、さらに好ましくは949kg/m3以上である。一方密度の上限は、例えば、ポリエチレンの完全結晶体の密度であるが、密度が高いほど透明性が低下するため972kg/m3以下が好ましく、969kg/m3以下がより好ましく964kg/m3以下がさらに好ましく959kg/m3以下がとりわけ好ましい。
本実施の形態に用いるポリエチレン樹脂は重合方法や触媒系によりさまざまな特長と物性を示すが特に限定はされない。融点以下であっても延伸時の挙動は溶融状態に近いものがあり、溶融張力の比較的高いもの、或いは高速引張時に張力が増加するストレインハードニングの特性を持つものが好ましく、クロム系触媒いわゆるフィリップス系触媒を触媒として重合したポリエチレン、高温高圧でラジカル重合した高圧法低密度ポリエチレン、αオレフィンに炭素数10以上のハイヤーオレフィンを用いて共重合されたポリエチレン樹脂が好適に用いられる。これらは単独で使われてもよいし、他の樹脂、他の高密度ポリエチレンや低密度ポリエチレンと混合して使われてもよい。ハイヤーオレフィンを共重合する場合は分子内へのハイヤーオレフィンの取り込み効率の関係からメタロセン触媒を用いて重合されたものが好ましい。このように溶融張力の比較的高いもの、ストレインハードニングの性質を持つグレードの使用により、固体であっても引張延伸時により厚みが均一とすることができる。溶融張力が強すぎると延伸時に多大な力が必要となるほか、延びに耐えられず破断することがあるので、他の樹脂を混ぜて粘度調節することも好ましい。
本実施の形態の透明ポリオレフィン樹脂カップは、前記透明ポリオレフィン樹脂が高密度ポリエチレン樹脂を含み、JIS K6922−1に規定の方法で測定した密度が935kg/m3以上であることが好ましい。
本実施の形態の透明ポリオレフィン樹脂カップはカップ側面の−30℃での落錐衝撃試験において全吸収エネルギーが2J以上であることが好ましい。落錐衝撃試験は平板に重りを取り付けたミサイルを落下させることにより耐衝撃性を測定するもので、その全吸収エネルギーは亀裂発生エネルギーと亀裂伝播エネルギーの和である。落下強度は亀裂を発生させるエネルギーが高いほど割れにくく、亀裂が伝播するエネルギーが高いほど破壊に到りにくくなる。本実施の形態の透明ポリオレフィン樹脂カップは、当該全吸収エネルギーが好ましくは2.5J以上、より好ましくは3J以上である。当該全吸収エネルギーの上限は特に限定されないが、例えば、12Jである。
本実施の形態の透明ポリオレフィン樹脂カップは、延伸前の同等の厚みの樹脂に比べ、剛性が高く座屈強度に優れ、屈曲による白化も起こらない傾向にある。また均一な肉回りの製品が得られる傾向にある。また延伸速度も1000mm/分以上も可能なため高速成形性に優れる傾向にある。
さらに内容物の低温保存性に優れ、100℃以下の水の接触による白化、失透がなく収縮による大きな変形も起こらない傾向にある。
またポリオレフィンを用いた場合は可視光線のみならず赤外線、紫外線にも透明である傾向にある。
本発明を実施例に基づいて説明する。
物性測定や成形方法は以下のとおりである。
(1)メルトフローレイト(MFR)
JIS K7210−1の方法で温度190℃、荷重2.16kgで測定を行った。
(2)密度(D1、D2)
密度D1はカップの側面から試験片を切り出し、JIS K7112に記載のD法の密度勾配管法にて密度を測定した。
密度D2はISO1133の方法で樹脂温度190℃、荷重2.16kgで押出したストランドを窒素雰囲気下120℃1時間アニールした後、1時間放冷し、試験片を切り出してJIS K7112に記載のD法の密度勾配管法によって密度を測定した。
(3)融点(Tm1、Tm2)
JIS K6922−2に記載の方法で測定を行った。DSCを用いTm1は50℃にて1分ホールド後、昇温速度10℃/分でポリエチレン(PE)の場合180℃まで昇温し、発熱カーブのピークトップの温度を融点Tm1とした。Tm2はさらに180℃に達した後5分ホールドし、降温速度10℃/分で50℃まで冷却し5分ホールドしたのち、昇温速度10℃/分で昇温した時の発熱カーブのピークトップの温度を融点Tm2とした。
(4)落錐衝撃
東洋精機製落錐衝撃試験機を用い、ストライカー径を12.5mm、ホルダー径54mm、重量6.5kg、落下高さは50cmとし冷却装置により−30℃まで冷却して測定を行った。時間に対してエネルギーのグラフをかいたとき、ピークトップまでを亀裂発生エネルギー、ピークトップ以降を亀裂伝播エネルギーとし、その和を落錐衝撃エネルギーとした。
(5)ヘイズ
成形されたカップの側面からサンプルを採取し、測定部分の肉厚を測定し、ヘイズメータでヘイズを測定した。
(6)カップ縁部の白化
成型されたカップの側面を観察しカップ上面の縁に近い部分に、伸び残りの白い白化部分が存在する場合は“有“、全体透明で白い白化部分がない場合は”無“、カップ全体が不透明で白いものを”全体“とした。
(7)成形性
カップを成形した際に、破れたもの、縦方向に裂け目が生じたものは成形性が×とし、破れ、亀裂なく成形できたものを○とした。
[触媒調製1]
[ポリエチレン樹脂組成物(PE1)]
6.2g(8.8mmol)のトリエチルアンモニウムトリス(ペンタフルオロフェニール)(4−ヒドロキシフェニール)ボレートを4Lのトルエンに加え、90℃、30分間攪拌した。次にこの溶液に1mol/Lのトリヘキシルアルミニウムのトルエン溶液40mlを加え90℃で1分間攪拌した。一方、シリカP−10(日本、富士シリシア社製:商品名)を500℃で3時間窒素気流で処理し、その処理後のシリカを1.7lのトルエン中に入れ攪拌した。このシリカスラリー溶液に上記トリエチルアンモニウムトリス(ペンタフルオロフェニール)(4−ヒドロキシフェニール)ボレートとトリヘキシルアルミニウムのトルエン溶液を加え3時間、90℃で攪拌した。
次に1mol/Lのトリヘキシルアルミニウムのトルエン溶液206mlを加え、さらに90℃で1時間攪拌した。その後上澄み液を90℃のトルエンを用いてデカンテーションを5回行い、過剰のトリヘキシルアルミニウムを除いた。0.218mol/Lの濃い紫色のチタニウム(N−1,1−ジメチルエチル)ジメチル(1−(1,2,3,4,5,−eta)−2,3,4,5−テトラメチル−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)シラナミナート)((2−)N)−(η4 −1,3−ペンタジエン)のISOPARTME(米国、Exxon化学社製)溶液20mlを上記混合物に加え3時間攪拌し緑色の担持触媒を得た。得られた担持触媒の一部を脱水脱酸素したヘキサン0.8Lとともに1.5Lの反応器に入れた。容器内温度を77℃としてエチレンと1−ブテン、水素の混合ガス比を調整し、1−ブテンを0.43%、水素を2600ppmの割合とし全圧が0.8MPaとした。
上記組成の混合ガスを補給することで、全圧0.8MPaを保ち2時間重合を行い、パウダーを得た。ステアリン酸カルシウム300ppm、結晶核剤としてミリケンジャパン社製のEXP20を500ppmの濃度になるよう添加し、混合機で攪拌混合した。この混合物をシリンダー径44mmの二軸押出機(日本製鋼所社製TEX44HCT−49PW−7V)を使用し、シリンダー温度200℃、押出量35kg/時間の条件で押し出すことにより、組成物(PE1)を得た。
[ポリエチレン樹脂組成物(PE2)]
結晶核剤EXP20の代わりにカオリン(BASFジャパン株式会社製:Satinton W(登録商標))を10000ppmに代えた以外はPE1と同様にしてペレット(PE2)を得た。
[ポリエチレン樹脂組成物(PE3)]
結晶核剤EXP20を添加しなかった以外はPE1と同様にしてペレット(PE3)を得た。
[触媒調製3]
(1)酸化クロム触媒(I)の合成
三酸化クロム4モルを蒸留水80リットルに溶解し、この溶液中にシリカ(W.Rグレースアンドカンパニ製グレード952)20kgを浸漬し、室温にて1時間攪拌後、このスラリーを加熱して水を留去し、続いて120℃にて10時間減圧乾燥を行った後、600℃にて5時間乾燥空気を流通させて焼成し、クロムを1.0重量%含有した酸化クロム触媒(I)を得た。
(2)有機アルミニウム化合物(II)の合成
トリエチルアルミニウム100モル、メチルヒドロポリシロキサン(30℃における粘度:30センチストークス)50モル(Si基準)、n‐ヘキサン150リットルを窒素雰囲気下耐圧容器に秤取し、攪拌下50℃で24h反応させてAl(C252.5(OSi・H・CH3・C250.5ヘキサン溶液を調整した。次にこの溶液100モル(Al基準)を窒素雰囲気下600リットルの反応器に移し、エタノール50リットルとn-ヘキサン50リットルの混合溶液を−10℃にて攪拌下に添加し、添加後50℃まで昇温し、この温度で1時間反応させてAl(C252.0(OC250.5(OSi・H・CH3・C250.5ヘキサン溶液を調整した。
(3)チタン触媒(III)の合成
充分に窒素置換された15リットルの反応器に、トリクロルシランを2モル/リットルのn−ヘプタン溶液として3リットル仕込み、攪拌しながら65℃に保ち、組成式AlMg6(C253(n−C496.4(On−C495.6で示される有機マグネシウム成分のn−ヘプタン溶液7リットル(マグネシウム換算で5モル)を1時間かけて加え、更に65℃にて1時間攪拌下反応させた。反応終了後、上澄み液を除去し、n−ヘキサン7リットルで4回洗浄を行い、固体物質スラリーを得た。この固体を分離・乾燥して分析した結果、固体1グラム当たり、Mg7.45ミリモルを含有していた。
このうち固体500gを含有するスラリーを、n−ブチルアルコール1モル/リットルのn−ヘキサン溶液0.93リットルとともに、攪拌下50℃で1時間反応させた。反応終了後上澄みを除去し、7リットルのn−ヘキサンで1回洗浄した。このスラリーを50℃に保ち、ジエチルアルミニウムクロリド1モル/リットルのn−ヘキサン溶液1.3リットルを攪拌下加えて1時間反応させた。反応終了後上澄みを除去し、7リットルのn−ヘキサンで2回洗浄した。このスラリーを50℃に保ち、ジエチルアルミニウムクロリド1モル/リットルのn−ヘキサン溶液0.2リットルおよび四塩化チタン1モル/リットルのn−ヘキサン溶液0.2リットルを加えて、2時間反応した。反応終了後上澄みを除去し、固体触媒を単離し、遊離のハロゲンが検出されなくなるまでヘキサンで洗浄した。この固体触媒は2.3重量%のチタンを有していた。
(4)ポリエチレン樹脂Aの製造
単段重合プロセスにおいて、容積230Lの重合器で重合した。重合温度は84℃、重合圧力は0.98MPaである。この重合器に(1)で合成した酸化クロム触媒(I)50gに、(2)で調整した有機アルミニウム化合物(II)0.03モル(Al基準)を加えて、室温で1時間反応させて得られた固体触媒を2g/hrの速度で、エタノールとトリエチルアルミニウムとをモル比0.98:1で反応させることにより得られた有機アルミニウム化合物が重合器中の濃度が0.08ミリモル/リットルになるよう供給し調整した。精製ヘキサンは60L/hrの速度で供給し、またエチレンを12kg/hrの速度で、分子量調節剤として水素を気相濃度が約5モル%になるように供給し重合を行い、MIが1.0g/10分、密度が963kg/m3のポリエチレン樹脂Aを製造した。
(5)ポリエチレン樹脂Bの製造
最初に1段目の重合で低分子量成分を製造するために、反応容積300リットルのステンレス製重合器1を用い、重合温度83℃、重合圧力1MPaの条件で、触媒は上記の固体触媒(III)を1.4ミリモル(Ti原子基準)/hr、トリイソブチルアルミニウムを20ミリモル(金属原子基準)/hr、またヘキサンは40リットル/hrの速度で導入した。分子量調整剤としては水素を用い、エチレンに対する水素濃度が70モル%になるように供給し重合を行った。重合器1内のポリマースラリー溶液を圧力0.1MPa、温度75℃のフラッシュドラムに導き、未反応のエチレン、水素を分離した後反応容積250リットルの重合器2にスラリーポンプで昇圧して導入した。重合器2では、温度77℃、圧力0.5MPaの条件下で、トリイソブチルアルミニウムを7.5ミリモル/hr、ヘキサンは40リットル/hrの速度で導入した。これに、エチレン、水素、ブテン−1を水素の気相濃度が約9モル%、ブテンの気相濃度が約10モル%になるように導入して、重合器1で生成した低分子量部分の量に対して、重合器2で生成した高分子量部分の重量比が1.0倍となるように高分子量部分を重合し、MIが0.43g/10分、密度が940kg/m3のポリエチレン樹脂Bを製造した。尚、重合器1で生成した低分子量部分のMIは、70g/10分、密度は972kg/m3であった。
(6)ポリエチレン樹脂組成物(PE4)の製造
上記の如くして製造したポリエチレン樹脂AおよびBのパウダーを重量比で、39対61の割合で混合し、次いでこの混合物にステアリン酸カルシウム300ppmおよびアデカ社製アデカスタブ(登録商標)AO−50を300ppm、アデカスタブ(登録商標)2112を500ppm、結晶核剤としてミリケンジャパン社製EXP20を500ppmの濃度になるよう添加し、混合機で攪拌混合した。この混合物をシリンダー径44mmの二軸押出機(日本製鋼所社製TEX44HCT−49PW−7V)を使用し、シリンダー温度200℃、押出量35kg/時間の条件で押し出すことにより、組成物(PE4)を得た。
ポリエチレン樹脂組成物(PE5)の製造
結晶核剤EXP20の代わりにカオリン(BASFジャパン株式会社製:Satinton W(登録商標))を10000ppmに代えた以外はPE4と同様にしてペレット(PE5)を得た。
ポリエチレン樹脂組成物(PE6)の製造
結晶核剤EXP20を添加しなかった以外はPE4と同様にしてペレット(PE6)を得た。
[シート作成]
圧縮成形にてJIS K7151記載の方法で成形した。樹脂温度は200℃でペレットを加熱溶融し300mm角、厚みが1.2mmのシートを作成した。冷却は冷却方法Cに基づき冷却プレスを用いて急冷した。なお複数の樹脂のブレンド系では成形に先立ち20mm押出成形機にてペレタイズの上、成形に用いた。
[カップ成形]
シートをクランプし、シートの温度が樹脂の融点(Tm2)より5~10℃低い温度になるようにヒーター間で加熱し、カップ形状のキャビティが下に位置した状態で上部から押し棒で押したのちエアーを吹き込むことによってカップを成形した。成形温度、押出速度は表1に示した。
[実施例1]
ポリエチレン樹脂としてポリエチレン樹脂(PE1)を用いた。シートを作成し、シートの温度120℃、押し棒速度10mm/分でカップを成形して物性等を測定した。物性等の測定結果を表1に示す。
[実施例2]
ポリエチレン樹脂をPE2に代えた以外は実施例1と同様に成形を行い物性等を測定した。物性等の測定結果を表1に示す。
[比較例1]
ポリエチレン樹脂をPE3に代えた以外は実施例1と同様に成形を行い物性等を測定した。物性等の測定結果を表1に示す。
[参考例1]
ポリエチレン樹脂(PE3)のシートを作成し、密度、融点を測定した。測定結果を表1に示す。
[実施例3]
ポリエチレン樹脂をポリエチレン組成物(PE4)に代えた以外は実施例1と同様にカップを成形した。物性等の測定結果を表1に示す。
[実施例4]
ポリエチレン樹脂をポリエチレン組成物(PE5)に代えた以外は実施例1と同様にカップを成形した。物性等の測定結果を表1に示す。
[比較例2]
ポリエチレン樹脂をポリエチレン組成物(PE6)に代えた以外は実施例1と同様に成形し、物性を測定した。物性等の測定結果を表1に示す。
[参考例2]
ポリエチレン組成物(PE6)のシートの密度、融点を測定したものである。測定結果を表1に示す。
Figure 0006966916

Claims (6)

  1. 以下の特性を満たす透明ポリオレフィン樹脂カップ。
    (1)結晶核剤、または層状ケイ酸塩を300ppm以上含む
    (2)カップの厚みが100μm以上であってカップ側面のヘイズが15%以下である
    (3)JIS K6922−2で規定の融解温度測定の方法でカップ側面の融解温度を測 定したとき、第一融解温度Tm1と第二融解温度Tm2とが以下の関係を満たす
    Tm1−Tm2 ≧ 0.5℃
  2. 前記透明ポリオレフィン樹脂が高密度ポリエチレン樹脂を含み、JIS K7112に規定の方法で測定した密度が935kg/m3以上である、請求項1に記載の透明ポリオレフィン樹脂カップ。
  3. JIS K7112の規定のD法で測定したカップ側面の密度D1に対して、成形品をISO1133の方法で押出しJIS K7112の方法で測定した密度D2が以下の関係を満たす、請求項2に記載の透明ポリオレフィン樹脂カップ。
    D1−D2≧0.5kg/m3
  4. 前記透明ポリオレフィン樹脂がクロム系触媒により重合されたポリエチレン樹脂を含む、請求項2または3に記載の透明ポリオレフィン樹脂カップ。
  5. 前記透明ポリオレフィン樹脂が高圧法により重合された低密度ポリエチレン樹脂を含む、請求項2または3に記載の透明ポリオレフィン樹脂カップ。
  6. カップの側面について−30℃での落錐衝撃試験における全吸収エネルギーが2J以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の透明ポリオレフィン樹脂カップ。
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