JP6965549B2 - 水性インクジェットインキ用樹脂分散体 - Google Patents

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Description

本発明は、水性インクジェットインキ用樹脂分散体およびそれを用いた水性インクジェットインキに関する。
水性インクジェットインキは、一般に、着色剤、水、親水性有機溶剤およびバインダー樹脂より構成される。インキには、インキの保存安定性や吐出性、印刷物の耐性といった要求品質に優れていることが求められるが、この内、バインダー樹脂には、インキとした際に、高固形分でも低粘度である樹脂微粒子が多く使用されており、様々な樹脂微粒子を含む水性インクジェットインキが報告されている。
特許文献1には、水、着色剤及びアクリルシリコン系樹脂微粒子を含有するインク組成物が開示されている。
特許文献2には、ラジカル反応性乳化剤の存在下にラジカル重合してなるエマルジョンと、顔料と、水性媒体とを含有するインクジェット記録液が開示されている。
特許文献3には、特定量のアルコキシシリル基を有するラジカル重合性不飽和モノマーをラジカル重合してなるポリマーエマルションを含有する水性インクジェット記録液が開示されている。
しかし、インクジェットインキの利用が拡大する近年、上記の要求品質に加えて、光沢や耐摩耗性といった品質への要求も増しており、上記特許文献に開示されているインクジェットインキでは、これらの要求品質を満足できるものではなかった。
特開平9−235499号公報 特開2002−294105号公報 特開2010−159355号公報
本発明が解決しようとする課題は、保存安定性、吐出性などのインキ物性と、光沢、耐摩耗性、耐水性、耐溶剤性などの塗膜物性とを両立することのできる水性インクジェットインキ用樹脂分散体およびそれを用いた水性インクジェットインキを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定のモノマー配合により乳化重合して得られる樹脂粒子を用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、炭素数4〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(A)3〜97質量%、カルボキシル基含有モノマー(B)0.1〜10質量%、界面活性剤モノマー(C)0.1〜10質量%およびガラス転移温度が60〜200℃のホモポリマーを形成可能なモノマー(D)を含んでなるモノマー混合物の乳化重合物である樹脂粒子と、水性ワックス分散体と、水性媒体とを含んでなる、水性インクジェットインキ用樹脂分散体に関する。
(ただし、上記モノマー(D)は、上記モノマー(A)、上記モノマー(B)、上記モノマー(C)およびスチレンを除く。)
また、本発明は、上記水性ワックス分散体が、水性ポリオレフィンワックス分散体である上記水性インクジェットインキ用樹脂分散体に関する。
また、本発明は、上記水性ポリオレフィンワックス分散体中に含まれるポリオレフィンワックスの融点が、100〜150℃である上記水性インクジェットインキ用樹脂分散体に関する。
また、本発明は、上記モノマー混合物が、更に、アルコキシシリル基含有モノマー0.1〜10質量%を含んでなる上記水性インクジェットインキ用樹脂分散体に関する。
また、本発明は、上前記モノマー混合物が、更に、その他官能基含有モノマーとして、水酸基含有モノマー、アミド基含有モノマー、グリシジル基含有モノマー、オキシアルキレン基含有モノマー、およびその他エチレン性不飽和結合を二つ以上有するモノマーからなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでなる上記水性インクジェットインキ用樹脂分散体に関する。
また、本発明は、上記その他官能基含有モノマーを上記混合物中に0.1〜10質量%を含んでなる上記水性インクジェットインキ用樹脂分散体に関する。
また、本発明は、上記水性インクジェットインキ用樹脂分散体および着色剤を含んでなる、水性インクジェットインキに関する。
本発明により、保存安定性、吐出性などのインキ物性と、光沢、耐摩耗性、耐水性、耐溶剤性などの塗膜物性とを両立することのできる水性インクジェットインキ用樹脂分散体およびそれを用いた水性インクジェットインキを提供できるようになった。
以下、本発明について詳細に説明するが、それに先立って本明細書で用いられる用語について説明する。「モノマー」とは、エチレン性不飽和結合を有する化合物である単量体を意味する。「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよびメタクリルを意味する。「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよびメタクリレートを意味する。「炭素数4〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル」とは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル中のアルキル基の炭素数が4〜12である(メタ)アクリル酸アルキルエステルを意味し、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの一部が炭素数4〜12のアルキル基で置換された(メタ)アクリル酸アルキルエステルを意味しない。炭素数4〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(A)、カルボキシル基含有モノマー(B)、界面活性剤モノマー(C)およびガラス転移温度が60〜200℃のホモポリマーを形成可能なモノマー(D)は、それぞれモノマー(A)、モノマー(B)、モノマー(C)およびモノマー(D)と略記することがある。「水性インクジェットインキ用樹脂分散体」および「水性インクジェットインキ」は、それぞれ「分散体」および「インキ」と略記することがある。
本発明の水性インクジェットインキ用樹脂分散体は、炭素数4〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(A)3〜97質量%、カルボキシル基含有モノマー(B)0.1〜10質量%、界面活性剤モノマー(C)0.1〜10質量%およびガラス転移温度(Tg)が60〜200℃のホモポリマーを形成可能なモノマー(D)を含んでなるモノマー混合物の乳化重合物である樹脂粒子と、水性ワックス分散体と、水性媒体とを含んでなる、水性インクジェットインキ用樹脂分散体であることを特徴とする。
<炭素数4〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(A)>
モノマー(A)は、モノマー混合物中に3〜97質量%含まれるが、5〜90質量%含まれることが好ましく、10〜90質量%含まれることがさらに好ましい。炭素数4〜12の(メタ)アルキル酸アルキルエステルモノマー5〜90質量%含むことで、疎水骨格のモノマーで構成され、耐水性に優れた分散体が得られる。
炭素数4〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーは、例えば、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、3−ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルブチル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。
<カルボキシル基含有モノマー(B)>
モノマー(B)を用いることで、光沢、及びインキの保存安定性が向上する。カルボキシル基含有モノマーは、モノマー混合物中に0.1〜10質量%含まれるが、0.3〜5質量%含まれることが好ましく、0.3〜2質量%含まれることがさらに好ましい。カルボキシル基含有モノマーは、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸およびけい皮酸などが挙げられるが、アクリル酸を用いることが好ましい。
<界面活性剤モノマー(C)>
モノマー(C)は、分子内にラジカル重合可能なエチレン性不飽和二重結合を1個以上有する界面活性剤を指す。界面活性剤モノマーを用いることで、耐摩耗性、耐水性、耐溶剤性が向上する。界面活性剤モノマーは、モノマー混合物中に0.1〜10質量%含まれるが、0.3〜5質量%含まれることが好ましい。界面活性剤モノマーとしては、アニオン性界面活性剤モノマー、カチオン性界面活性剤モノマー、ノニオン性界面活性剤モノマーが挙げられるが、アニオン性界面活性剤モノマーまたはノニオン性界面活性剤モノマーが好ましい。アニオン性界面活性剤モノマーは、主骨格がスルホコハク酸エステル、アルキルエーテル、アルキルフェニルエーテル、アルキルフェニルエステル、(メタ)アクリレート硫酸エステル、およびリン酸エステルが好ましい。ノニオン性界面活性剤モノマーは、主骨格がアルキルエーテル、アルキルフェニルエーテル、アルキルフェニルエステルが好ましい。
<ガラス転移温度が60〜200℃のホモポリマーを形成可能なモノマー(D)>
モノマー(D)は、メチルメタクリレート(ホモポリマーのTg:105℃、以下同様)、エチルメタクリレート(Tg:65℃)、イソプロピルメタクリレート(Tg:81℃)、シクロヘキシルメタクリレート(Tg:83℃)、イソボニルアクリレート(Tg:94℃)、イソボニルメタクリレート(Tg:110℃)、テトラヒドロフルフリルメタクリレート(Tg:68℃)、トリフルオロエチルメタクリレート(Tg:81℃)、ジシクロペンタニルメタクリレート(Tg:180℃)、アクリロイルモルホリン(Tg:106℃)などが挙げられるが、ガラス転移温度が80〜200℃のホモポリマーを形成可能なモノマーを用いることがより好ましい。モノマー混合物中に5〜90質量%含まれることが好ましく、8〜80質量%含まれることがさらに好ましい。
<アルコキシシリル基含有モノマー>
上記モノマー混合物は、更にアルコキシシリル基含有モノマーを含むことが好ましく、それによって耐摩耗性、耐水性、耐溶剤性が更に向上することが期待される。アルコキシシリル基含有モノマーは、モノマー混合物中に0.1〜10質量%含まれることが好ましく、0.1〜5質量%含まれることがより好ましい。
アルコキシシリル基含有モノマーは、エチレン性不飽和二重結合を有するシラン化合物を意味し、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、パラスチリルトリメトキシシラン、パラスチリルトリエトキシシランなどが挙げられるが、耐水性及び耐摩耗性の観点から、3つのアルコキシ基を有するアルコキシシリル基含有モノマーを用いることが好ましい。
<その他官能基含有モノマー>
上記モノマー混合物は、更にその他官能基含有モノマーを含んでも良い。その他官能基含有モノマーとは、上で述べたモノマー(A)、モノマー(B)、モノマー(C)、モノマー(D)およびアルコキシシリル基含有モノマー以外の官能基を有するモノマーを指す。その他官能基含有モノマーは、水酸基含有モノマー、アミド基含有モノマー、グリシジル基含有モノマー、オキシアルキレン基含有モノマー、およびその他エチレン性不飽和結合を二つ以上有するモノマーのいずれか少なくとも一つを含むことが好ましい。ただし、本明細書ではこれらモノマーについて以下のとおり定義する。その他エチレン性不飽和結合を二つ以上有するモノマーとは、水酸基含有モノマー、アミド基含有モノマー、グリシジル基含有モノマーおよびオキシアルキレン基含有モノマーを除くエチレン性不飽和結合を二つ以上有するモノマーを意味する。オキシアルキレン基含有モノマーとは、水酸基含有モノマー、アミド基含有モノマーおよびグリシジル基含有モノマーを除くオキシアルキレン基含有モノマーを意味する。グリシジル基含有モノマーとは、水酸基含有モノマーおよびアミド基含有モノマーを除くグリシジル基含有モノマーを意味する。アミド基含有モノマーとは、水酸基含有モノマーを除くアミド基含有モノマーを意味する。
その他官能基含有モノマーは、モノマー混合物中に0.1〜10質量%含まれることが好ましく、0.3〜8質量%含まれることがより好ましい。
その他官能基含有モノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、N−(2―ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、アリルアルコールなどの水酸基含有モノマー;
(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー;
グリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテルなどのグリシジル基含有モノマー;
ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのオキシアルキレン基含有モノマー;
アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、及びネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、アジピン酸ジビニル、イソフタル酸ジアリル、フタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリルなどのその他エチレン性不飽和結合を二つ以上有するモノマーが挙げられる。
<その他モノマー>
上記モノマー混合物は、更にその他モノマーを含んでも良い。その他モノマーとは、上で述べたモノマー(A)、モノマー(B)、モノマー(C)、モノマー(D)、アルコキシシリル基含有モノマーおよびその他官能基含有モノマー以外のモノマーを指す。具体的には、ガラス転移温度が60℃未満または200℃を超える、炭素数1〜3もしくは炭素数13以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー、脂肪族環、芳香族環を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー、ビニルモノマー等が挙げられる。具体例としては、ベンジル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、スチレン等が挙げられる。
<重合開始剤および還元剤>
モノマー混合物の乳化重合は、ラジカル重合開始剤(以下、重合開始剤という)の存在下で行うことが好ましい。前記重合開始剤は、公知の油溶性重合開始剤や水溶性重合開始剤を使用することができる。
油溶性重合開始剤は、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルオキシベンゾエート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5,トリメチルヘキサノエート、ジt−ブチルパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、及びp−メンタンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、及び1,1’−アゾビス−シクロヘキサン−1−カルボニトリル等のアゾビス化合物が挙げられる。
水溶性重合開始剤は、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過酸化水素、及び2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド等が挙げられる。
モノマー混合物の重合に際して、重合開始剤とともに還元剤を併用することができる。これにより重合反応を促進することができる。このような還元剤としては、アスコルビン酸、エリソルビン酸、酒石酸、クエン酸、ブドウ糖、ホルムアルデヒドスルホキシラートなどの金属塩等の還元性有機化合物、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム(SMBS)、次亜硫酸ナトリウム等の還元性無機化合物、塩化第一鉄、ロンガリット等が挙げられる。
モノマー混合物の重合には、水溶性重合開始剤を使用することが好ましい。重合開始剤は、モノマー混合物100質量部に対して、0.03〜5質量部を使用することが好ましい。還元剤は、モノマー混合物100質量部に対して、0.01〜2.5質量部を使用することが好ましい。
モノマー混合物の乳化重合の際、必要に応じて、緩衝剤、連鎖移動剤、塩基性化合物等を使用できる。緩衝剤は、例えば、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム等が挙げられる。連鎖移動剤は、例えばオクチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、ステアリルメルカプタン、メルカプト酢酸2−エチルヘキシル、メルカプト酢酸オクチル、メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシル、メルカプトプロピオン酸オクチル等が挙げられる。耐溶剤性の観点から、連鎖移動剤を用いる場合は、モノマー混合物100質量部に対して、0.01〜0.5質量部使用することが好ましい。
塩基性化合物は、中和に使用し、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミンなどのアルキルアミン;ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノールなどのアルコールアミン;モルホリン、アンモニア等が挙げられる。インキの保存安定性の観点から、アルコールアミンを用いることが好ましい。
<樹脂粒子>
モノマー混合物の乳化重合物である樹脂粒子の平均粒子径は、30〜100nmであることが好ましい。塗膜表面の平滑性、分散体の粘度の観点から、平均粒子径を30〜100nmにすることで、光沢、吐出性及びインキの保存安定性がより良好な水性インクジェットインキが得られることが期待できる。
<水性ワックス分散体>
水性インクジェットインキ用樹脂分散体は、水性ワックス分散体を配合することで、耐摩耗性をさらに向上させた水性インクジェットインキ用樹脂分散体が得られる。水性ワックス分散体としては、ポリオレフィンワックス、カルナバワックス、シリコーンワックス、ウレタンワックス、テフロン(登録商標)ワックス等の水性ワックス分散体が挙げられるが、耐摩耗性向上の観点では、ポリオレフィンワックス分散体を用いることが好ましい。さらに、ポリオレフィンワックスの中でも、ポリエチレンワックス分散体を用いることが好ましい。さらに、耐摩耗性向上の観点から、ポリオレフィンワックスの融点は、100℃〜150℃が好ましく、110℃〜140℃がより好ましい。また、吐出性の観点から、水性ワックス分散体の平均粒子径は、10〜200nmであることが好ましく、アニオン系もしくはノニオン系であることが好ましい。塗膜物性とインキの保存安定性を両立するためには、モノマー混合物の乳化重合物である樹脂粒子100質量部に対して、水性ワックス分散体は1〜30質量部含むことが好ましい。
<水性インクジェットインキ>
本発明の水性インクジェットインキは、水性インクジェットインキ用樹脂分散体および着色剤を含む。
<着色剤>
着色剤は、一般的には顔料が用いられる。顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、炭化カルシウム等の無彩色の顔料または有彩色の有機顔料が使用できる。有機顔料としては、トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザエコー、ベンジジンエコー、ピラゾロンレッドなどの不溶性アゾ顔料、リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2Bなどの溶性アゾ顔料、アリザリン、インダントロン、チオインジゴマルーンなどの建染染料からの誘導体、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系有機顔料、キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタなどのキナクリドン系有機顔料、ペリレンレッド、ペリレンスカーレットなどのペリレン系有機顔料、イソインドリノンエロー、イソインドリノンオレンジなどのイソインドリノン系有機顔料、ピランスロンレッド、ピランスロンオレンジなどのピランスロン系有機顔料、チオインジゴ系有機顔料、縮合アゾ系有機顔料、ベンズイミダゾロン系有機顔料、キノフタロンエローなどのキノフタロン系有機顔料、イソインドリンエローなどのイソインドリン系有機顔料、その他の顔料として、フラバンスロンエロー、アシルアミドエロー、ニッケルアゾエロー、銅アゾメチンエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレット等が挙げられる。
有機顔料をカラーインデックス(C.I.)ナンバーで例示すると、C.I.ピグメントエロー12、13、14、17、20、24、74、83、86 93、109、110、117、120、125、128、129、137、138、139、147、148、150、151、153、154、155、166、168、180、185、C.I.ピグメントオレンジ16、36、43、51、55、59、61、C.I.ピグメントレッド9、48、49、52、53、57、97、122、123、149、168、177、180、192、202、206、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:3、15:4、15:6、22、60、64、C.I.ピグメントグリーン7、36、C.I.ピグメントブラウン23、25、26等が挙げられる。
カーボンブラックの具体例としては、デグサ社製「Special Black350、250、100、550、5、4、4A、6」「PrintexU、V、140U、140V、95、90、85、80、75、55、45、40、P、60、L6、L、300、30、3、35、25、A、G」、キャボット社製「REGAL400R、660R、330R、250R」「MOGUL E、L」、三菱化学社製「MA7、8、11、77、100、100R、100S、220、230」「#2700、#2650、#2600、#200、#2350、#2300、#2200、#1000、#990、#980、#970、#960、#950、#900、#850、#750、#650、#52、#50、#47、#45、#45L、#44、#40、#33、#332、#30、#25、#20、#10、#5、CF9、#95、#260」等が挙げられる。
酸化チタンの具体例としては、石原産業社製「タイペークCR−50、50−2、57、80、90、93、95、953、97、60、60−2、63、67、58、58−2、85」「タイペークR−820,830、930、550、630、680、670、580、780、780−2、850、855」「タイペークA−100、220」「タイペークW−10」「タイペークPF−740、744」「TTO−55(A)、55(B)、55(C)、55(D)、55(S)、55(N)、51(A)、51(C)」「TTO−S−1、2」「TTO−M−1、2」、テイカ社製「チタニックスJR−301、403、405、600A、605、600E、603、805、806、701、800、808」「チタニックスJA−1、C、3、4、5」、デュポン社製「タイピュアR−900、902、960、706、931」などが挙げられる。イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックなどの有機顔料は、水性インクジェットインキ100質量%中に通常0.2〜15質量%、好ましくは0.5〜10質量%用いられる。また、白の酸化チタンの場合は通常5〜50質量%、好ましくは10〜45質量%の割合で配合することが好ましい。
<水性媒体>
本発明の分散体または水性インクジェットインキは、水性媒体を含有する。水性媒体とは、水および親水性有機溶剤を指す。
親水性有機溶剤としては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ペンチレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等のグリコール系溶剤;メチルグリコール、メチルジグリコール、メチルトリグリコール、イソプロピルジグリコール、ブチルグリコール、ブチルジグリコール、ブチルトリグリコール、イソブチルグリコール、イソブチルジグリコール、ヘキシルグリコール、ヘキシルジグリコール、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、メチルプロピレングリコール、メチルプロピレンジグリコール、メチルプロピレントリグリコール、プロピルプロピレングリコール、プロピルプロピレンジグリコール等のグリコールエーテル系溶剤;N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、ε-カプロラクタム等のラクタム系溶剤;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド等のアミド系溶剤等が挙げられる。
これらの親水性有機溶剤は、インキ組成物で保湿剤成分ならびに浸透剤成分として添加される。グリコール系溶剤は、インキの表面張力を下げる他に、水性インクジェットインキ用樹脂分散体の乾燥性を改善する働きをする。グリコール系溶剤を使用することにより、バインダーの乾燥を防止し、水性インクジェットインキ用樹脂分散体のノズル詰まりを防止し、吐出性も良好となる。
また、グリコールエーテル系溶剤は、インキ自体の表面張力を下げ、難吸収性基材上でのインキ液滴の濡れ広がりを改善するほかに、乾燥時の水性インクジェットインキ用樹脂分散体の造膜を促進させる働きをする。グリコールエーテル系溶剤を使用することにより、水性インクジェットインキ用樹脂分散体の造膜性が非常に優れ印字物の塗膜物性が良好となる。これらの親水性有機溶剤を配合すると、難吸収性基材上へのインキ液滴の濡れ広がりが改善され、水性インクジェットインキ用樹脂分散体の分散安定性を維持して、さらに、乾燥時に十分な造膜性を発現する。
水性インクジェットインキの印刷適性、および乾燥性の観点から水性インクジェットインキ100質量%中において、グリコール系溶剤は、10〜40質量%含有していることが好ましい。また、水性インクジェットインキの耐水性、耐溶剤性、耐摩耗性、および吐出性の観点から、水性インクジェット用インキ100質量%中において、エチレングリコールエーテル溶剤を0.1〜15質量%含有していることが好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%の範囲内である。水性インクジェットインキの耐水性、耐溶剤性、耐摩耗性、および吐出性の観点から、親水性有機溶剤全体としては、水性インクジェット用インキ100質量%中に通常10〜60質量%、好ましくは20〜50質量%用いられる。水性インクジェットインキを配合する際は、必要に応じて、分散剤、レベリング剤、防腐剤、キレート剤、pH調整剤などを配合して使用することができる。
<印刷>
本発明の水性インクジェット用インキを塗布または印刷し得る基材としては、例えば、上質紙等の浸透系基材、アート紙、コート紙、ポリ塩化ビニルシート等の非浸透系基材が挙げられる。印刷方式としては、オンデマンド型の記録ヘッドを有するインクジェット方式が好ましい。オンデマンド型としては、例えばピエゾ方式、サーマルインクジェット方式、静電方式等が例示されるが、ピエゾ方式が最も好ましい。また、本発明の水性インクジェット用インキを用いた印刷に際しては、印字物の乾燥性および耐性を補強する目的で、印字工程に必要に応じて加熱乾燥工程を導入することができる。加熱乾燥工程を導入することで成膜性も向上する場合があり、適度な加熱処理は好ましい。加熱処理工程は印刷工程(インクジェット印字速度)に影響のない程度に用いることができ、例えば、40〜100℃で1〜200秒の範囲で処理されることが一般的である。
以下に、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量部、「%」は質量%をそれぞれ意味する。
<実施例1>水性インクジェットインキ用樹脂分散体の製造
モノマー(A)として2−エチルヘキシルアクリレート24部、モノマー(B)としてアクリル酸1部、モノマー(C)としてラテムルPD−104(花王社製、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム)1.2部、モノマー(D)としてメチルメタクリレート40部およびシクロヘキシルメタクリレート30部、アルコキシシリル基含有モノマーとして3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.5部、その他官能基含有モノマーとして水酸基含有モノマーである2−ヒドロキシエチルメタクリレート1.5部からなるモノマー混合物とイオン交換水55部とを、ホモミキサーを用いて混合してモノマープレエマルジョンを作成し、滴下槽に仕込んだ。
別途、還流冷却器、攪拌機、温度計、窒素導入管、原料投入口を具備する4つ口フラスコを反応容器とし、該反応容器にイオン交換水90部を仕込んだ。次いで、窒素を導入し、攪拌しながら、液温を75℃に加熱した。そして、反応容器中に、ラテムルPD−104を0.8部添加し、過硫酸アンモニウム0.3部を添加した後、滴下槽から上記モノマープレエマルジョンを3時間かけて連続的に滴下し、乳化重合を行った。滴下終了後、2時間、液温を80℃に保ち、乳化重合を継続した。その後、50℃まで冷却し、溶液を180メッシュのポリエステル製の濾布で濾過することで水性インクジェットインキ用樹脂分散体を得た。
得られた分散体の不揮発分は40%、分散体に含まれる樹脂の酸価は7mgKOH/gであった。上記で得られた分散体に含まれる樹脂粒子の平均粒子径、樹脂のガラス転移温度(Tg)、樹脂のゲル分率を測定した。尚、ここでいう樹脂のTgおよびゲル分率とは、樹脂粒子を構成する樹脂のTgおよびゲル分率を意味する。樹脂粒子の平均粒子径は、動的光散乱測定法によるD50平均粒子径であり、上記分散体を水で500倍(容量比)に希釈した希釈液をナノトラック(日機装社製)で測定して求めた。樹脂のTgは、DSC(示差走査熱量計 TAインスツルメント社製)を使用して測定した。具体的には、上記分散体を乾燥させて得られた樹脂を、5℃/分の昇温条件で測定したDSC曲線における吸熱ピークをTgとした。樹脂のゲル分率は、上記分散体を乾燥させて得られた樹脂を秤量した後、金網に入れ、テトラヒドロフランに40℃で24時間浸漬させた後、乾燥後の質量を秤量し、下記の式に基づいて算出した。
ゲル分率={(浸漬前樹脂質量)−(浸漬後樹脂質量)}/(浸漬前樹脂質量)×100
さらに、上記で得た水性インクジェットインキ用樹脂分散体100部をディスパーで混合しながら、水性ワックス分散体としてAQUACER552を10部配合して、分散体を得た。
<耐水性>
分散体の耐水性は、以下に示す方法によって評価した。分散体を乾燥後の厚みが40μmになるようにアプリケーターを用いてガラス板上に塗布し、80℃で1時間乾燥させて、塗膜を作製した。得られた塗膜を40℃の温水中に入れ、1時間後の塗膜の状態を目視にて確認した。評価基準を下記に示す。
◎:塗膜に全く変化が見られない(極めて良好)
○:塗膜が若干白化(良好)
△:塗膜が白化(不良)
×:ガラス板から皮膜が剥離(極めて不良)
<機械安定性>
分散体の機械安定性は、以下に示す方法によって評価した。テスター産業社製マロン式機械的安定度試験機AB−802を用い、下記の条件にて測定した。
樹脂分 :20%
使用量 :50g
回転数 :1000rpm(±20)
時間 :20分
過重 :30kgf
測定後の分散体を100メッシュ金網で濾過し、金網上の凝集物の乾燥質量(Wg)を測定して、次式により、発生した凝集物の量(%)を求めて下記基準に基づいて評価した。
発生凝集物量(%)=W(g)/[50(g)×水性インクジェットインキ用樹脂分散体の樹脂分(20%)]×100
評価基準を下記に示す。
〇:0.1%未満(良好)
△:0.1%以上、1.0%未満(不良)
×:1.0%以上(極めて不良)
<保存安定性>
分散体の保存安定性は、以下に示す方法によって粘度変化率に基づいて評価した。分散体の製造直後に初期の粘度を測定した後、密閉した容器に入れ、70℃で2週間後、経時後の粘度を測定した。粘度測定には、B型粘度計を使用し、25℃、30rpmの条件で測定を行った。
粘度変化率(%)=|初期の粘度−経時後の粘度|×100
評価基準を下記に示す。
◎:10%未満(極めて良好)
〇:10%以上、20%未満(良好)
△:20%以上、50%未満(不良)
×:50%以上(極めて不良)
<実施例2〜19及び比較例1〜9>水性インクジェットインキ用樹脂分散体の製造
表1および2に示す材料及び配合組成に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、実施例2〜19及び比較例1〜9の水性インクジェットインキ用樹脂分散体をそれぞれ得た。尚、表中の数値は、単位の記載がない項目は「部」を表し、空欄は使用していないことを表す。
表中の略号は以下の通りである。
<炭素数4〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(A)>
BA:ブチルアクリレート
tBMA:t−ブチルメタクリレート
2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
LMA:ラウリルメタクリレート(ドデシルメタクリレート)
<カルボキシル基含有モノマー(B)>
AA:アクリル酸
MAA:メタクリル酸
<界面活性剤モノマー(C)>
PD−104:ラテムルPD104(花王社製)
SR−10:アデカリアソープSR−10(ADEKA社製)
<ガラス転移温度(Tg)が60〜200℃のホモポリマーを形成可能なモノマー(D)>
MMA:メチルメタクリレート(Tg:105℃)
CHMA:シクロヘキシルメタクリレート(Tg:83℃)
IBXMA:イソボニルメタクリレート(Tg:110℃)
<アルコキシシリル基含有モノマー>
KBM−503:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
KBE−503:3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン
<その他官能基含有モノマー>
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート(水酸基含有モノマー)
MAAm:メタクリルアミド(アミド基含有モノマー)
GMA:グリシジルメタクリレート(グリシジル基含有モノマー)
EGDMA:エチレングリコールジメタクリレート(オキシアルキレン基含有モノマー)
<その他モノマー>
BzMA:ベンジルメタクリレート
<水性ワックス分散体>
AQUACER507:ポリエチレンワックス(BYK社製、融点:130℃、D50:30nm)
AQUACER531:ポリエチレンワックス(BYK社製、融点:130℃、D50:140nm)
AQUACER552:ポリエチレンワックス(BYK社製、融点:130℃、D50:30nm)
AQUACER1547:ポリエチレンワックス(BYK社製、融点:125℃、D50:30nm)
AQUACER593:ポリプロピレンワックス(BYK社製、融点160℃、D50:30nm)
AQUACER498:パラフィンワックス(BYK社製、融点:60℃、D50:200nm)
AQUACER526:エチレン酢酸ビニル共重合物ワックス(BYK社製、融点:105℃、D50:30nm)
CERACOL79:カルナバワックス(BYK社製、融点90℃、D50:3000nm)
<非重合性界面活性剤>
E−O:エマールO(花王社製)
表1および2からわかるように、本発明の分散体は、耐水性、機械安定性、保存安定性に優れていることが明らかとなった。
<シアン顔料分散液の製造>
顔料(トーヨーカラー社製 Lionogen Blue 7351)20部、顔料分散樹脂(BASF社製 ジョンクリル61J、固形分30%水溶液)30部、イオン交換水29.3部、消泡剤(日信化学工業社製 サーフィノール104E)0.5部をペイントコンディショナーにて2時間分散し、濃縮シアン顔料分散液を得た。
<マゼンタ顔料分散液の製造>
顔料を(DIC社製 Fastogen Super Magenta RCT)20部に変えた以外は、シアン顔料分散液と同様の方法で、濃縮マゼンタ顔料分散液を得た。
<イエロー顔料分散液の製造>
顔料を(クラリアント社製 Novoperm Yellow H2G)20部に変えた以外は、シアン顔料分散液と同様の方法で、濃縮イエロー顔料分散液を得た。
<ブラック顔料分散液の製造>
顔料を(エボニックデグザ社製 Printex 85)20部に変えた以外は、シアン顔料分散液と同様の方法で、濃縮ブラック顔料分散液を得た。
<実施例20>水性インクジェットインキの調製
実施例1で得られた水性インクジェットインキ用樹脂分散体の固形分10部に対して、上記のシアン顔料分散液40部、親水性有機溶剤としてグリセリン20部、1,3−プロパンジオール40部を添加し、固形分が12%になるようにイオン交換水を加えた後、混練してシアン色の水性インクジェットインキを得た。シアン顔料分散液を、マゼンタ顔料分散液、イエロー顔料分散液、ブラック顔料分散液それぞれに変更して、同様に調製して各色の水性インクジェットインキを得た。
<実施例21〜38及び比較例10〜18>水性インクジェットインキの調製
実施例20と同様の方法で調製して、4色の水性インクジェットインキを得た。
ただし、実施例11、12、16〜19、30、31、35〜38は参考例である。
<水性インクジェットインキの評価>
上記で調製した4色の水性インクジェット用インキを25℃環境下でセイコーアイ・インフォテック社製 ソルベントインクジェットプリンタColor Painter 64SPlusに充填し、上質紙に画像を印字した。水性インクジェットインキについては、保存安定性及び吐出性を評価した。印字後、常温で上質紙を乾燥して評価用印字物を得た。これを用いて、耐摩耗性、耐水性、耐溶剤性、光沢を評価した。表3および表4にその結果を示す。
<インキ保存安定性>
水性インクジェットインキの保存安定性は、以下に示す方法によって粘度変化率に基づいて評価した。得られた水性インクジェットインキの調製直後に初期の粘度を測定した後、密閉した容器に入れ、70℃で2週間後、経時後の粘度を測定した。粘度測定には、レオメーター(TAインスツルメント社製 AR−2000)を使用して測定を行った。
粘度変化率(%)=|初期の粘度−経時後の粘度|×100
評価基準を下記に示す。
◎:10%未満(極めて良好)
〇:10%以上、15%未満(良好)
△:15%以上、20%未満(不良)
×:20%以上(極めて不良)
<吐出性>
上記のプリンタにて、印字の待機中(25℃、インキが供給されない状態)に乾燥してノズル詰まりが発生するまでの時間を評価した。ここで言うノズル詰まりとは、待機中にノヅルにインキ詰まって印字できなくなる状態のことを指す。ノヅル詰まり発生するまでの時間が長いほど、吐出性が良好ということができる。評価基準は下記に示す。
◎:120分でノズル詰まりが発生しない(極めて良好)
〇:60分でノズル詰まりが発生しない(良好)
△:30分でノズル詰まりが発生する(不良)
×:10分でノズル詰まりが発生する(極めて不良)
<耐摩耗性>
評価用印字物(上質紙)の印字面に学振耐摩試験機(テスター産業製 AB−301)で荷重100/cm2(接触面は上質紙)の条件で30回往復させて印字面の傷を目視評価した。評価基準は下記に示す。
◎:上質紙の接触面に色移りは無く、印字面にも傷が無い状態(極めて良好)
〇:上質紙の接触面に多少の色移りはあるが、印字面には傷が無い状態(良好)
△:上質紙の接触面に色移りがあり、印字面にも傷が見られるが、基材は見えない状態(不良)
×:印字面に傷が多く基材が見える状態(極めて不良)
<耐水性>
水を綿棒に浸し、評価用印字物(上質紙)の印字面を10往復ラビングした。評価基準は下記に示す。
◎:綿棒にインキが全く付着していない状態(極めて良好)
〇:綿棒にインキが若干付着するが、印字面の浸食は見られない状態(良好)
△:綿棒にインキが付着し、印字面の浸食も見られるが、基材表面は見えない状態(不良)
×:綿棒にインキが付着し、基材表面が見える状態(極めて不良)
<耐溶剤性>
エタノールを綿棒に浸し、評価用印字物(上質紙)の印字面を10往復ラビングした。評価基準は下記に示す。
◎:綿棒にインキが全く付着していない状態(極めて良好)
〇:綿棒にインキが若干付着するが、印字面の浸食は見られない状態(良好)
△:綿棒にインキが付着し、印字面の浸食も見られるが、基材表面は見えない状態(不良)
×:綿棒にインキが付着し、基材表面が見える状態(極めて不良)
<光沢>
評価用印字物の印字面について、光沢計(二本電色製 VG2000)で60°光沢を測定した。評価基準は下記に示す。
〇:60以上(良好)
△:50以上、60未満(不良)
×:50未満(極めて不良)
表3及び表4からわかるように、実施例1〜19で得られた水性インクジェットインキ用樹脂分散体を用いた水性インクジェットは、比較例1〜9を用いた水性インクジェットインキに比べて、インキの保存安定性、吐出性などのインキ物性と、光沢、耐摩耗性、耐水性、耐溶剤性などの塗膜物性が優れていた。
Figure 0006965549
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Figure 0006965549
Figure 0006965549

Claims (4)

  1. 炭素数4〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(A)3〜97質量%、カルボキシル基含有モノマー(B)0.1〜10質量%、界面活性剤モノマー(C)0.1〜10質量%、ガラス転移温度が60〜200℃のホモポリマーを形成可能なモノマー(D)、およびその他官能基含有モノマーを含んでなるモノマー混合物の乳化重合物である樹脂粒子と、水性ワックス分散体と、水性媒体とを含み、
    ガラス転移温度が60〜200℃のホモポリマーを形成可能なモノマー(D)は、シクロヘキシルメタクリレートおよびイソボニルメタクリレートの少なくともいずれかを含み、
    前記その他官能基含有モノマーは、水酸基含有モノマー、アミド基含有モノマー、グリシジル基含有モノマー、およびオキシアルキレン基含有モノマーの少なくともいずれかを含み、
    前記水性ワックス分散体は、水性ポリエチレンワックス分散体である、
    水性インクジェットインキ用樹脂分散体。
    (ただし、前記モノマー(D)は、前記モノマー(A)、前記モノマー(B)、前記モノマー(C)およびスチレンを除く。)
  2. 前記水性ポリオレフィンワックス分散体中に含まれるポリオレフィンワックスの融点が、100〜150℃である、請求項1記載の水性インクジェットインキ用樹脂分散体。
  3. 前記モノマー混合物が、更に、アルコキシシリル基含有モノマー0.1〜10質量%を含んでなる、請求項1または2記載の水性インクジェットインキ用樹脂分散体。
  4. 前記その他官能基含有モノマーを前記混合物中に0.1〜10質量%を含んでなる、請求項1〜3いずれか記載の水性インクジェットインキ用樹脂分散体。
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