JP6962879B2 - 地絡位置標定方法及び地絡位置標定システム - Google Patents

地絡位置標定方法及び地絡位置標定システム Download PDF

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Description

本発明は、リニアシンクロナスモータ式車両が走行する軌道に設けられた推進コイル装置における地絡が発生したときの地絡位置を標定する地絡位置標定方法及び地絡位置標定システムに関するものである。
磁気浮上式鉄道として、軌道を走行する車両に界磁コイルが設けられ、且つ、軌道に電機子コイルとしての推進コイルが設けられた、地上一次リニアシンクロナスモータ(Linear Synchronous Motor:LSM)方式を用いたものがある。このLSM方式を用いた磁気浮上式鉄道における推進コイル、即ちリニアシンクロナスモータ式車両が走行する軌道に設けられた推進コイルが地絡したときの地絡位置を標定する地絡位置標定方法として、例えば地絡が発生した時に、推進コイルを流れる電流の共振周波数に基づいて地絡位置を標定する方法がある。
特開2004−343883号公報(特許文献1)には、三相交流電力を出力するインバータ、三相き電ケーブル、き電区分開閉器を介して三相き電ケーブルに接続された複数のき電セクション三相推進コイル、一端がインバータの出力端子に接続され他端がアースされた出力フィルタ、及びき電区分開閉器の開閉を制御する制御装置とから構成されたLSMき電回路の地絡点を標定する磁気浮上式鉄道用地絡点標定方法に関する技術が開示されている。
また、上記特許文献1には、当該磁気浮上式鉄道用地絡点標定方法において、地絡事故が発生しインバータがゲートブロックした時に、出力フィルタ、三相き電ケーブル、地絡事故が発生したき電セクション三相推進コイル、及びアースとで形成された閉回路の健全相の共振周波数f又は非健全相の共振周波数fに基づいてき電セクション三相推進コイルの一端から地絡点までの距離xを標定する技術が開示されている。
なお、IoTに代表されるセンサ技術は日進月歩で、センサ単体の性能の向上やコスト低減には目覚ましいものがあり、従来不可能とされていたようなセンサの利用形態、例えば鉄道沿線に多数のセンサを配置してメンテナンスに利用する等、が可能になりつつある。
特開2004−343883号公報
磁気浮上式鉄道の軌道には、浮上案内コイルが推進コイルを介して側壁の側面部に設けられており、推進コイルが直接目視により観察できない。そのため、どの推進コイルが地絡しているかを標定することは、困難な場合がある。
ここで、送電線に電力を供給する場合には、地絡が発生したときの電流のサージ波形が伝播するのに要する時間に基づいて地絡位置を標定する方法、即ちシンクロフェーザによる方法を用いることができる。しかし、磁気浮上式鉄道の軌道に設けられた推進コイルに電力を供給する場合には、同様の方法を用いることは困難である。これは、推進コイルと接続ケーブルとの間で特性インピーダンスに差があるため、精度の高いサージ波形を測定して取得することが困難なためである。また、たとえ精度の高いサージ波形が測定されたとしても、その2地点で測定した波形の時間差が極めて短いため、位置標定が困難である。
一方、上記特許文献1に記載された地絡位置標定方法は、推進コイルを流れる電流について測定された共振周波数を用いた演算を行って、き電セクション三相推進コイルの一端から地絡点までの距離を標定する方法である。しかし、上記特許文献1に記載された方法は複雑な方法であるため、標定位置精度が低下する場合があり、地絡位置標定装置の設置コストを低減しつつ、地絡が発生したときの地絡位置を容易に標定することができる地絡位置標定方法が望まれる。また、上記した課題は、磁気浮上式鉄道に限られず、リニアシンクロナスモータ式車両が走行する鉄道においても共通である。
本発明は、上述のような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、リニアシンクロナスモータ式車両が走行する軌道に設けられた推進コイル装置における地絡が発生したときの地絡位置を標定する地絡位置標定方法において、地絡位置標定装置の設置コストを低減しつつ、地絡が発生したときの地絡位置を容易に標定することができる地絡位置標定方法を提供することを目的とする。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
本発明の一態様としての地絡位置標定方法は、リニアシンクロナスモータ式車両が走行する軌道に設けられた推進コイル装置における地絡が発生したときの地絡位置を標定する地絡位置標定方法である。当該地絡位置標定方法において、推進コイル装置は、軌道の長さ方向における第1区間にそれぞれ設けられ、且つ、軌道に沿って配列された複数の第1推進コイルと、複数の第1推進コイルに第1交流電流を通電して第1磁界を発生させる第1通電部と、第1通電部と複数の第1推進コイルとの接続を遮断する第1開閉部と、を有する。複数の第1推進コイルの各々は、第1導体と、第1導体を覆う第1絶縁体と、第1絶縁体を覆う第1半導電層と、を含み、複数の第1推進コイルの各々にそれぞれ含まれる複数の第1導体は、互いに電気的に直列に接続され、複数の第1推進コイルの各々にそれぞれ含まれる複数の第1半導電層は、互いに電気的に接続され、互いに電気的に直列に接続された複数の第1導体により、導体部が形成され、互いに電気的に接続された複数の第1半導電層により、半導電層部が形成され、半導電層部は、接地される。当該地絡位置標定方法は、複数の第1推進コイルのいずれかに地絡が発生したか否かを判定する(a)ステップと、複数の第1推進コイルのいずれかに地絡が発生したと判定されたとき、第1開閉部により第1通電部と複数の第1推進コイルとの接続を遮断する(b)ステップと、を有する。また、当該地絡位置標定方法は、第1通電部と複数の第1推進コイルとの接続が遮断された状態で、リニアシンクロナスモータ式車両に第1区間を走行させることにより複数の第1推進コイルに第1電圧を誘導する(c)ステップと、複数の第1推進コイルに第1電圧を誘導する際に、導体部と半導電層部との間の第2電圧を測定する(d)ステップと、測定された第2電圧の第1測定値に基づいて、地絡が発生したときの地絡位置を標定する(e)ステップと、を有する。
また、本発明の一態様としての地絡位置標定方法は、磁気浮上式鉄道車両に推進力を与える推進コイル装置と、磁気浮上式鉄道車両に浮上力及び案内力を与える浮上案内コイル装置と、を備える磁気浮上式鉄道用の地上コイル装置の推進コイル装置における地絡が発生したときの地絡位置を標定する地絡位置標定方法である。当該地絡位置標定方法において、推進コイル装置は、磁気浮上式鉄道車両が走行する軌道の幅方向における第1の側にそれぞれ設けられ、且つ、軌道の長さ方向に沿って配列された複数の第1推進コイルと、複数の第1推進コイルに第1交流電流を通電して第1磁界を発生させる第1通電部と、第1通電部と複数の第1推進コイルとの接続を遮断する第1開閉部と、軌道の幅方向における第1の側と反対側にそれぞれ設けられ、軌道の長さ方向に沿って配列され、且つ、互いに電気的に直列に接続された複数の第2推進コイルと、複数の第2推進コイルに第2交流電流を通電して第2磁界を発生させる第2通電部と、を有する。浮上案内コイル装置は、軌道の幅方向における第1の側にそれぞれ設けられ、軌道の長さ方向に沿って配列され、且つ、複数の第1推進コイルが発生させる第1磁界とそれぞれ鎖交する複数の第1浮上案内コイルと、軌道の幅方向における第1の側と反対側にそれぞれ設けられ、軌道の長さ方向に沿って配列され、複数の第2推進コイルが発生させる第2磁界とそれぞれ鎖交し、且つ、複数の第1浮上案内コイルの各々と閉ループをそれぞれ形成した複数の第2浮上案内コイルと、を有する。複数の第1推進コイルの各々は、第1導体と、第1導体を覆う第1絶縁体と、第1絶縁体を覆う第1半導電層と、を含み、複数の第1推進コイルの各々にそれぞれ含まれる複数の第1導体は、互いに電気的に直列に接続され、複数の第1推進コイルの各々にそれぞれ含まれる複数の第1半導電層は、互いに電気的に接続され、互いに電気的に直列に接続された複数の第1導体により、導体部が形成され、互いに電気的に接続された複数の第1半導電層により、半導電層部が形成され、半導電層部は、接地される。当該地絡位置標定方法は、複数の第1推進コイルのいずれかに地絡が発生したか否かを判定する(a)ステップと、複数の第1推進コイルのいずれかに地絡が発生したと判定されたとき、第1開閉部により第1通電部と複数の第1推進コイルとの接続を遮断する(b)ステップと、を有する。また、当該地絡位置標定方法は、第1通電部と複数の第1推進コイルとの接続が遮断された状態で、第2通電部により複数の第2推進コイルに第2交流電流を通電して第2磁界を発生させることにより複数の第2浮上案内コイル及び複数の第1浮上案内コイルを介して複数の第1推進コイルに第1電圧を誘導する(c)ステップと、複数の第1推進コイルに第1電圧を誘導する際に、導体部と半導電層部との間の第2電圧を測定する(d)ステップと、測定された第2電圧の第1測定値に基づいて、地絡が発生したときの地絡位置を標定する(e)ステップと、を有する。
また、本発明の一態様としての地絡位置標定方法は、リニアシンクロナスモータ式車両に推進力を与える推進コイル装置と、リニアシンクロナスモータ式車両に非接触給電を行う給電コイル装置と、を備えるリニアシンクロナスモータ式鉄道用の地上コイル装置の推進コイル装置における地絡が発生したときの地絡位置を標定する地絡位置標定方法である。当該地絡位置標定方法において、推進コイル装置は、リニアシンクロナスモータ式車両が走行する軌道に沿って配列された複数の第1推進コイルと、複数の第1推進コイルに第1交流電流を通電して第1磁界を発生させる第1通電部と、第1通電部と複数の第1推進コイルとの接続を遮断する第1開閉部と、を有する。給電コイル装置は、軌道に設けられた第1給電コイルと、第1給電コイルに第2交流電流を通電して第2磁界を発生させる第2通電部と、を有する。複数の第1推進コイルの各々は、第1導体と、第1導体を覆う第1絶縁体と、第1絶縁体を覆う第1半導電層と、を含む。複数の第1推進コイルの各々にそれぞれ含まれる複数の第1導体は、互いに電気的に直列に接続され、複数の第1推進コイルの各々にそれぞれ含まれる複数の第1半導電層は、互いに電気的に接続され、互いに電気的に直列に接続された複数の第1導体により、導体部が形成され、互いに電気的に接続された複数の第1半導電層により、半導電層部が形成され、半導電層部は、接地され、複数の第1推進コイルのいずれかは、第1給電コイルが発生させる第2磁界と鎖交する。当該地絡位置標定方法は、複数の第1推進コイルのいずれかに地絡が発生したか否かを判定する(a)ステップと、複数の第1推進コイルのいずれかに地絡が発生したと判定されたとき、第1開閉部により第1通電部と複数の第1推進コイルとの接続を遮断する(b)ステップと、を有する。また、当該地絡位置標定方法は、第1通電部と複数の第1推進コイルとの接続が遮断された状態で、第2通電部により第1給電コイルに第2交流電流を通電して第2磁界を発生させることにより複数の第1推進コイルに第1電圧を誘導する(c)ステップと、複数の第1推進コイルに第1電圧を誘導する際に、導体部と半導電層部との間の第2電圧を測定する(d)ステップと、測定された第2電圧の第1測定値に基づいて、地絡が発生したときの地絡位置を標定する(e)ステップと、を有する。
また、本発明の一態様としての地絡位置標定システムは、リニアシンクロナスモータ式車両が走行する軌道に設けられた推進コイル装置における地絡が発生したときの地絡位置を標定する地絡位置標定システムである。当該地絡位置標定システムにおいて、推進コイル装置は、軌道の長さ方向における第1区間にそれぞれ設けられ、且つ、軌道に沿って配列された複数の第1推進コイルと、複数の第1推進コイルに第1交流電流を通電して第1磁界を発生させる第1通電部と、第1通電部と複数の第1推進コイルとの接続を遮断する第1開閉部と、を有する。複数の第1推進コイルの各々は、第1導体と、第1導体を覆う第1絶縁体と、第1絶縁体を覆う第1半導電層と、を含み、複数の第1推進コイルの各々にそれぞれ含まれる複数の第1導体は、互いに電気的に直列に接続され、複数の第1推進コイルの各々にそれぞれ含まれる複数の第1半導電層は、互いに電気的に接続され、互いに電気的に直列に接続された複数の第1導体により、導体部が形成され、互いに電気的に接続された複数の第1半導電層により、半導電層部が形成され、半導電層部は、接地される。当該地絡位置標定システムは、複数の第1推進コイルのいずれかに地絡が発生したか否かを判定する判定部と、複数の第1推進コイルのいずれかに地絡が発生したと判定されたとき、第1開閉部により第1通電部と複数の第1推進コイルとの接続を遮断する遮断部と、を有する。また、当該地絡位置標定システムは、第1通電部と複数の第1推進コイルとの接続が遮断された状態で、リニアシンクロナスモータ式車両に第1区間を走行させることにより複数の第1推進コイルに第1電圧を誘導する誘導部と、複数の第1推進コイルに第1電圧を誘導する際に、導体部と半導電層部との間の第2電圧を測定する電圧測定部と、測定された第2電圧の第1測定値に基づいて、地絡が発生したときの地絡位置を標定する標定部と、を有する。
また、本発明の一態様としての地絡位置標定システムは、磁気浮上式鉄道車両に推進力を与える推進コイル装置と、磁気浮上式鉄道車両に浮上力及び案内力を与える浮上案内コイル装置と、を備える磁気浮上式鉄道用の地上コイル装置の推進コイル装置における地絡が発生したときの地絡位置を標定する地絡位置標定システムである。当該地絡位置標定システムにおいて、推進コイル装置は、磁気浮上式鉄道車両が走行する軌道の幅方向における第1の側にそれぞれ設けられ、且つ、軌道の長さ方向に沿って配列された複数の第1推進コイルと、複数の第1推進コイルに第1交流電流を通電して第1磁界を発生させる第1通電部と、第1通電部と複数の第1推進コイルとの接続を遮断する第1開閉部と、軌道の幅方向における第1の側と反対側にそれぞれ設けられ、軌道の長さ方向に沿って配列され、且つ、互いに電気的に直列に接続された複数の第2推進コイルと、複数の第2推進コイルに第2交流電流を通電して第2磁界を発生させる第2通電部と、を有する。浮上案内コイル装置は、軌道の幅方向における第1の側にそれぞれ設けられ、軌道の長さ方向に沿って配列され、且つ、複数の第1推進コイルが発生させる第1磁界とそれぞれ鎖交する複数の第1浮上案内コイルと、軌道の幅方向における第1の側と反対側にそれぞれ設けられ、軌道の長さ方向に沿って配列され、複数の第2推進コイルが発生させる第2磁界とそれぞれ鎖交し、且つ、複数の第1浮上案内コイルの各々と閉ループをそれぞれ形成した複数の第2浮上案内コイルと、を有する。複数の第1推進コイルの各々は、第1導体と、第1導体を覆う第1絶縁体と、第1絶縁体を覆う第1半導電層と、を含み、複数の第1推進コイルの各々にそれぞれ含まれる複数の第1導体は、互いに電気的に直列に接続され、複数の第1推進コイルの各々にそれぞれ含まれる複数の第1半導電層は、互いに電気的に接続され、互いに電気的に直列に接続された複数の第1導体により、導体部が形成され、互いに電気的に接続された複数の第1半導電層により、半導電層部が形成され、半導電層部は、接地される。当該地絡位置標定システムは、複数の第1推進コイルのいずれかに地絡が発生したか否かを判定する判定部と、複数の第1推進コイルのいずれかに地絡が発生したと判定されたとき、第1開閉部により第1通電部と複数の第1推進コイルとの接続を遮断する遮断部と、を有する。また、当該地絡位置標定システムは、第1通電部と複数の第1推進コイルとの接続が遮断された状態で、第2通電部により複数の第2推進コイルに第2交流電流を通電して第2磁界を発生させることにより複数の第2浮上案内コイル及び複数の第1浮上案内コイルを介して複数の第1推進コイルに第1電圧を誘導する誘導部と、複数の第1推進コイルに第1電圧を誘導する際に、導体部と半導電層部との間の第2電圧を測定する電圧測定部と、測定された第2電圧の第1測定値に基づいて、地絡が発生したときの地絡位置を標定する標定部と、を有する。
また、本発明の一態様としての地絡位置標定システムは、リニアシンクロナスモータ式車両に推進力を与える推進コイル装置と、リニアシンクロナスモータ式車両に非接触給電を行う給電コイル装置と、を備えるリニアシンクロナスモータ式鉄道用の地上コイル装置の推進コイル装置における地絡が発生したときの地絡位置を標定する地絡位置標定システムである。当該地絡位置標定システムにおいて、推進コイル装置は、リニアシンクロナスモータ式車両が走行する軌道に沿って配列された複数の第1推進コイルと、複数の第1推進コイルに第1交流電流を通電して第1磁界を発生させる第1通電部と、第1通電部と複数の第1推進コイルとの接続を遮断する第1開閉部と、を有する。給電コイル装置は、軌道に設けられた第1給電コイルと、第1給電コイルに第2交流電流を通電して第2磁界を発生させる第2通電部と、を有する。複数の第1推進コイルの各々は、第1導体と、第1導体を覆う第1絶縁体と、第1絶縁体を覆う第1半導電層と、を含み、複数の第1推進コイルの各々にそれぞれ含まれる複数の第1導体は、互いに電気的に直列に接続され、複数の第1推進コイルの各々にそれぞれ含まれる複数の第1半導電層は、互いに電気的に接続され、互いに電気的に直列に接続された複数の第1導体により、導体部が形成され、互いに電気的に接続された複数の第1半導電層により、半導電層部が形成され、半導電層部は、接地され、複数の第1推進コイルのいずれかは、第1給電コイルが発生させる第2磁界と鎖交する。当該地絡位置標定システムは、複数の第1推進コイルのいずれかに地絡が発生したか否かを判定する判定部と、複数の第1推進コイルのいずれかに地絡が発生したと判定されたとき、第1開閉部により第1通電部と複数の第1推進コイルとの接続を遮断する遮断部と、を有する。また、当該地絡位置標定システムは、第1通電部と複数の第1推進コイルとの接続が遮断された状態で、第2通電部により第1給電コイルに第2交流電流を通電して第2磁界を発生させることにより複数の第1推進コイルに第1電圧を誘導する誘導部と、複数の第1推進コイルに第1電圧を誘導する際に、導体部と半導電層部との間の第2電圧を測定する電圧測定部と、測定された第2電圧の第1測定値に基づいて、地絡が発生したときの地絡位置を標定する標定部と、を有する。
本発明の一態様を適用することで、リニアシンクロナスモータ式車両が走行する軌道に設けられた推進コイル装置における地絡が発生したときの地絡位置を標定する地絡位置標定方法において、地絡位置標定装置の設置コストを低減しつつ、地絡が発生したときの地絡位置を容易に標定することができる。
実施の形態1の地絡位置標定システムが適用される磁気浮上式鉄道の軌道を模式的に示す斜視図である。 実施の形態1の地絡位置標定システムが適用される磁気浮上式鉄道の軌道を模式的に示す断面図である。 実施の形態1の地絡位置標定システムが適用される地上コイル装置が備える複数の推進コイル及び複数の浮上案内コイルの配列を模式的に示す図である。 実施の形態1の地絡位置標定システムが適用される推進コイル装置が有する推進コイルの断面図である。 実施の形態1の地絡位置標定システムが適用される推進コイル装置に電力を供給するき電回路を示すブロック回路図である。 図5に示すき電回路のうち一部を示すブロック回路図である。 実施の形態1の地絡位置標定システムが適用される地上コイル装置が有するき電回路装置による三重き電方法を説明するための図である。 実施の形態1の地絡位置標定システムを示すブロック回路図である。 実施の形態1の地絡位置標定方法の一例を示すフロー図である。 実施の形態1の地絡位置標定方法において2つの電圧計により測定される電圧の測定値の時間依存性を模式的に示すグラフである。 実施の形態2の地絡位置標定システムを示すブロック回路図である。 実施の形態2の地絡位置標定方法の一例を示すフロー図である。 実施の形態2の地絡位置標定方法の一部のステップを説明するための図である。 実施の形態2の地絡位置標定方法において2つの電圧計により測定される電圧の測定値の時間依存性を模式的に示すグラフである。 実施の形態3の地絡位置標定システムが適用される磁気浮上式鉄道の軌道を模式的に示す断面図である。 実施の形態3の地絡位置標定システムを示すブロック回路図である。 実施の形態3の地絡位置標定方法の一例を示すフロー図である。 実施の形態3の地絡位置標定方法において2つの電圧計により測定される電圧の測定値の時間依存性を模式的に示すグラフである。
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実施の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
また本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
更に、実施の形態で用いる図面においては、構造物を区別するために付したハッチング(網掛け)を図面に応じて省略する場合もある。
なお、以下の実施の形態においてA〜Bとして範囲を示す場合には、特に明示した場合を除き、A以上B以下を示すものとする。
(実施の形態1)
<磁気浮上式鉄道の軌道>
初めに、実施の形態1の地絡位置標定システムが適用される磁気浮上式鉄道の軌道について説明する。なお、本実施の形態1の地絡位置標定システムが適用される鉄道は、軌道をリニアシンクロナスモータ式車両が走行する鉄道であればよく、磁気浮上式鉄道に限られない(実施の形態3においても同様)。
図1は、実施の形態1の地絡位置標定システムが適用される磁気浮上式鉄道の軌道を模式的に示す斜視図である。図2は、実施の形態1の地絡位置標定システムが適用される磁気浮上式鉄道の軌道を模式的に示す断面図である。
図1及び図2に示すように、実施の形態1の地絡位置標定システムが適用される磁気浮上式鉄道の軌道1は、磁気浮上式鉄道の車両2が走行する軌道であり、走行路3と、走行路3上に、走行路3の幅方向において互いに間隔を空けて設けられた2つの側壁4と、を有する。
図1及び図2に示す例では、走行路3及び2つの側壁4を有する軌道1は、軌道1を磁気浮上した状態で走行する車両2を案内する。側壁4の、車両2と対向する側の側面部4aには、例えば、車両2の補助案内車輪を支持するガイド部5、浮上案内コイル6及び推進コイル7等が設けられている。図2に示す例では、浮上案内コイル6は、側壁4の側面部4aに、推進コイル7を介して設けられている。また、車両2の、側壁4と対向する側の側面部2aには、超電導磁石2b及び冷凍システム2c等が収容される。
つまり、図1及び図2に示す磁気浮上式鉄道は、車両2に、即ち車上に設けられた超電導磁石2bと、軌道1に、即ち地上に設けられた浮上案内コイル6及び推進コイル7との電磁気的な相互作用、即ち電磁力により、車両2に浮上力、案内力及び推進力を与えて、車両2を軌道1に対して非接触で高速移動させる磁気浮上式鉄道である。
なお、後述する図3を用いて説明するように、複数の推進コイル7により推進コイル群PGが形成される。また、電機子コイルとしての推進コイル7を含む推進コイル群PGにより電機子コイル装置としての推進コイル装置PDが形成され、超電導磁石2bにより界磁コイル装置が形成されるものとする。このような場合、図1及び図2に示す例では、車両2が走行する軌道1に沿って設けられた電機子コイル装置としての推進コイル群と、車両2に設けられた界磁コイル装置と、により地上一次リニアシンクロナスモータ(Linear Synchronous Motor:LSM)が形成されることになる。
また、車両2が、超電導磁石2bに代えて、常電導磁石等よりなる車上電機子を有してもよい。
<推進コイル及び浮上案内コイル>
次に、本実施の形態1の地絡位置標定システムが適用される地上コイル装置が有する推進コイル及び浮上案内コイルについて説明する。図3は、実施の形態1の地絡位置標定システムが適用される地上コイル装置が備える複数の推進コイル及び複数の浮上案内コイルの配列を模式的に示す図である。
図3に示すように、複数の推進コイル7により推進コイル群PGが形成される。言い換えれば、推進コイル群PGは、複数の推進コイル7を有する。
図3に示すように、地上コイル装置が備える推進コイル装置PDは、軌道1の幅方向における両側の各々に配置された2つの推進コイル群PGを有する。軌道1の幅方向における一方の側に配置された推進コイル群PGは、軌道1の長さ方向に沿って配列された複数の推進コイル7としての推進コイル7aを有する。軌道1の幅方向における反対側に配置された推進コイル群PGは、軌道1の長さ方向に沿って配列された複数の推進コイル7としての推進コイル7bを有する。
軌道1の幅方向における一方の側に配置された推進コイル群PGが有する複数の推進コイル7aは、互いに異なる位相を有する三相交流のU相、V相及びW相の各相の推進コイル7aが、軌道1に沿って、一例ではU相、V相、W相、U相、V相、W相・・・の順になるように、即ちU相、V相及びW相の順番で繰り返されて配置される。図3では、U相の推進コイル7aを推進コイル7Uと表示し、V相の推進コイル7aを推進コイル7Vと表示し、W相の推進コイル7aを推進コイル7Wと表示している。
軌道1の幅方向における反対側に配置された推進コイル群PGが有する複数の推進コイル7bは、三相交流のU相、V相及びW相の各相の推進コイル7bが、軌道1に沿って、一例ではU相、V相、W相、U相、V相、W相・・・の順になるように、即ちU相、V相及びW相の順番で繰り返されて配置される。図3では、U相の推進コイル7bを推進コイル7Uと表示し、V相の推進コイル7bを推進コイル7Vと表示し、W相の推進コイル7bを推進コイル7Wと表示している。
軌道1の幅方向における両側の各々において、軌道1の長さ方向に配列された複数のU相の推進コイル7Uは、複数のU相の推進コイル7Uと複数の接続ケーブル8Uとが1つずつ交互に配置され、且つ、互いに隣り合う2つの推進コイル7Uが接続ケーブル8Uを介して電気的に接続されることにより、互いに電気的に直列に接続される。
軌道1の幅方向における両側の各々において、軌道1の長さ方向に配列された複数のV相の推進コイル7Vは、複数のV相の推進コイル7Vと複数の接続ケーブル8Vとが1つずつ交互に配置され、且つ、互いに隣り合う2つの推進コイル7Vが接続ケーブル8Vを介して電気的に接続されることにより、互いに電気的に直列に接続される。
軌道1の幅方向における両側の各々において、軌道1の長さ方向に配列された複数のW相の推進コイル7Wは、複数のW相の推進コイル7Wと複数の接続ケーブル8Wとが1つずつ交互に配置され、且つ、互いに隣り合う2つの推進コイル7Wが接続ケーブル8Wを介して電気的に接続されることにより、互いに電気的に直列に接続される。
地上コイル装置が備える浮上案内コイル装置LDは、軌道1の幅方向における一方の側にそれぞれ設けられ、軌道1の長さ方向に沿って配列され、且つ、推進コイル群PGに含まれる複数の推進コイル7aが発生させる磁界とそれぞれ鎖交する複数の浮上案内コイル6としての浮上案内コイル6aを有する。また、浮上案内コイル装置LDは、軌道1の幅方向における反対側にそれぞれ設けられ、軌道1の長さ方向に沿って配列され、且つ、推進コイル群PGに含まれる複数の推進コイル7bが発生させる磁界とそれぞれ鎖交する複数の浮上案内コイル6としての浮上案内コイル6bを有する。
複数の浮上案内コイル6a及び複数の浮上案内コイル6bの各々は、8字形状を有する。浮上案内コイル6a及び6bの各々が8字形状を有することにより、浮上案内コイル6a及び6bの各々は、車両2に浮上力を与える。なお、図3では、理解を簡単にするために、浮上案内コイル6a及び6bの各々を、1回だけ巻回されたコイルとして示しているが、浮上案内コイル6a及び6bの各々については、複数回巻回されていてもよい(以下の浮上案内コイル6a及び6bの図示においても同様)。
複数の浮上案内コイル6bは、複数の浮上案内コイル6aの各々と接続線9としての接続線9a及び9bを用いてそれぞれ接続されることにより、複数の浮上案内コイル6aの各々と閉ループをそれぞれ形成する。浮上案内コイル6bが浮上案内コイル6aと閉ループを形成することにより、浮上案内コイル6a及び浮上案内コイル6bは、車両2に軌道1の幅方向における案内力を与える。接続線9a及び9bは、ヌルフラックス線とも称される。
なお、図3では、軌道1の長さ方向において互いに隣り合う2つの推進コイル7の中心間距離、即ち推進コイル7の配列間隔に対する、軌道1の長さ方向において互いに隣り合う2つの浮上案内コイル6の中心間距離、即ち浮上案内コイル6の配列間隔が、略0.5である場合を例示している。しかし、推進コイル7の配列間隔に対する、浮上案内コイル6の配列間隔の比は、特に限定されず、0.5以外の任意の値をとることができる。
以下、図4を用いて説明するように、本願明細書では、本実施の形態1の推進コイル装置PDが、巻回された導体を樹脂によりモールド成型されてなる推進コイル7を有する推進コイル装置に適用された場合を例示して説明する。しかし、本実施の形態1の推進コイル装置PDは、推進コイルとして同様な機能を有するコイルであって他の構造を有するコイルを有する推進コイル装置にも適用可能である。
図4は、実施の形態1の地絡位置標定システムが適用される推進コイル装置が有する推進コイルの断面図である。図4(a)は、推進コイル全体の断面を示し、図4(b)は、図4(a)のうち二点鎖線で囲まれた領域RG1を拡大して示す。
図4(a)に示すように、推進コイル7は、巻回された導体71(図4(b)参照)により形成された巻線部72と、巻線部72、即ち導体71を覆う絶縁体73と、絶縁体73を覆う半導電層74と、を有する。即ち、推進コイル7は、巻回された導体71により形成された巻線部72が、絶縁体73としての例えば樹脂によりモールド成型され、絶縁体73の最外側表面に電界緩和のための半導電層74が形成されたものである。
図4(b)に示すように、導体71の周囲は絶縁層75により覆われている。また、図示は省略するが、接続ケーブル8U、8V及び8Wの各々は、導体としての芯線と、芯線を覆う絶縁層と、絶縁層を覆うシース層と、を有する。推進コイル7の半導電層74は、接続ケーブル8U、8V又は8Wのシース層と接続され、推進コイル7の半導電層74の電位は、接続ケーブル8U、8V又は8Wのシース層の電位と等しい。
前述したように、推進コイル7が、推進コイルとして同様な機能を有するコイルであって他の構造を有するコイルであってもよい。
また、本願明細書では、導電性を有するとは、電気伝導率が10S/m以上の場合を意味し、半導電性を有するとは、電気伝導率が10−6S/mを超え、且つ、10S/m未満の場合を意味し、絶縁性を有するとは、電気伝導率が10−6S/m以下の場合を意味する。
導体71として、例えば銅線又はアルミニウム線等よりなるものを用いることができる。絶縁体73として、例えばエポキシ等の絶縁材料よりなるものを用いることができる。半導電層74として、例えば酢酸ビニル(VA)を含むエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)及びプロピレン−オレフィン共重合体を有し、且つ、絶縁性を有するベース樹脂と、ベース樹脂に含有され、且つ、導電性を有するカーボンブラックと、を有する半導電性樹脂組成物よりなるものを用いることができる。
<き電回路装置>
次に、本実施の形態1の地絡位置標定システムが適用される磁気浮上式鉄道の推進コイル装置に電力を供給するき電回路装置について説明する。図5は、実施の形態1の地絡位置標定システムが適用される推進コイル装置に電力を供給するき電回路を示すブロック回路図である。図6は、図5に示すき電回路のうち一部を示すブロック回路図である。図7は、実施の形態1の地絡位置標定システムが適用される地上コイル装置が有するき電回路装置による三重き電方法を説明するための図である。
本実施の形態1では、図7を参照して、地上コイル装置が備える推進コイル装置が3つのき電回路装置を有し、3つのき電回路装置により推進コイル装置が有する複数の推進コイルに電力を供給するき電方法、即ち三重き電によるき電方法を説明するが、その前に、まず、図5及び図6を参照して、1つのき電回路装置によるき電方法を説明する。
図5及び図6に示すように、地上コイル装置が備える推進コイル装置PDは、き電回路装置10を有し、き電回路装置10は、インバータ11と、U相、V相及びW相の三相の交流電力がそれぞれ供給される3本のき電ケーブル12と、複数の推進コイル群PGと、複数のき電区分開閉器13と、制御装置14と、を有する。図5及び図6では、U相の交流電力が供給されるき電ケーブル12をき電ケーブル12Uと表示し、V相の交流電力が供給されるき電ケーブル12をき電ケーブル12Vと表示し、W相の交流電力が供給されるき電ケーブル12をき電ケーブル12Wと表示している。3本のき電ケーブル12U、12V及び12Wの各々は、軌道1(図1参照)に沿って延在する。3本のき電ケーブル12U、12V及び12Wの各々は、インバータ11の出力端子に接続され、3本のき電ケーブル12U、12V及び12Wの各々には、インバータ11により、U相、V相及びW相の三相の交流電力の各々が供給される。
軌道1(図1参照)を走行する車両2(図1参照)が列車として運行される列車運行区間TSは、き電セクション長をそれぞれ有する複数のき電セクション(区間)PSに分割されている。推進コイル群PGと、き電区分開閉器13は、き電セクションPSごとに配置されている。き電セクション長は、通常、列車長よりも長く、例えば500mである。図5には、き電セクションPSとして、3つのき電セクションPS1、PS2及びPS3が示されているが、実際には、列車運行区間は、3つ以上の多数のき電セクションに分割されていてもよい。
き電セクションPS1、PS2及びPS3の各々には、推進コイル群PGが設けられている。図5では、き電セクションPS1、PS2及びPS3の各々にそれぞれ設けられた3つの推進コイル群PGを、推進コイル群PG1、PG2及びPG3と表示している。以下では、き電セクションPS1、PS2及びPS3を代表して、き電セクションPS1について説明するが、き電セクションPS2及びPS3の各々についても、き電セクションPS1と同様にすることができる。
き電セクションPS1に設けられた推進コイル群PGは、互いに異なる位相を有するU相、V相及びW相の三相の交流電力の各々がそれぞれ供給される3つの推進コイル群15を有する。図5及び図6では、U相の交流電力が供給される推進コイル群15を推進コイル群15Uと表示し、V相の交流電力が供給される推進コイル群15を推進コイル群15Vと表示し、W相の交流電力が供給される推進コイル群15を推進コイル群15Wと表示している。
図6に示すように、推進コイル群15Uは、複数の推進コイル7Uを有し、推進コイル群15Vは、複数の推進コイル7Vを有し、推進コイル群15Wは、複数の推進コイル7Wを有する。
き電区分開閉器13は、き電セクションPSごとに設けられており、き電セクションPSごとに、推進コイル群PGとき電ケーブル12とが電気的に接続されていない状態と、推進コイル群PGとき電ケーブル12とが電気的に接続されている状態とを切り替える。言い換えると、き電区分開閉器13は、推進コイル群PGと、き電ケーブル12とを互いに電気的に開閉可能に接続する。また、き電区分開閉器13は、通電部としてのインバータ11と推進コイル群PGとの接続を遮断する開閉部である。
図5及び図6では、U相について、推進コイル群15Uと、き電ケーブル12Uとを開閉可能に電気的に接続するき電区分開閉器13を、き電区分開閉器13Uと表示している。また、V相について、推進コイル群15Vと、き電ケーブル12Vとを開閉可能に電気的に接続するき電区分開閉器13を、き電区分開閉器13Vと表示している。また、W相について、推進コイル群15Wと、き電ケーブル12Wとを開閉可能に電気的に接続するき電区分開閉器13を、き電区分開閉器13Wと表示している。
き電区分開閉器13Uは、インバータ11とU相の推進コイル群15Uとの接続を遮断し、き電区分開閉器13Vは、インバータ11とV相の推進コイル群15Vとの接続を遮断し、き電区分開閉器13Wは、インバータ11とW相の推進コイル群15Wとの接続を遮断する。
推進コイル群15Uの一端は、き電区分開閉器13Uを介してき電ケーブル12Uに接続され、推進コイル群15Vの一端は、き電区分開閉器13Vを介してき電ケーブル12Vに接続され、推進コイル群15Wの一端はき電区分開閉器13Wを介してき電ケーブル12Wに接続されている。また、推進コイル群15Uの他端、推進コイル群15Vの他端、及び、推進コイル群15Wの他端は、図5及び図6のように互いに電気的に接続される場合もあるが、別途3相ケーブルとは別の中性電位のケーブル(N線)を設け、それに接続される場合もある。
前述したように、き電セクションPS2及びPS3の各々についても、き電セクションPS1と同様にすることができる。そして、制御装置14は、プログラムに従って、インバータ11と、き電区分開閉器13と、を制御することにより、例えば列車の運行状況に応じて、き電セクションPSごとに、推進コイル群PGに三相交流電力を供給するか供給しないかを制御する。
次に、図7を参照して、3つのき電回路装置によるき電方法、即ち三重き電によるき電方法を説明する。
図7に示すように、推進コイル装置PDに含まれる複数の推進コイル群PGには、3つのき電回路装置10としてのき電回路装置10A、10B及び10Cにより電力が供給されるものとする。即ち、推進コイル装置PDは、3つのき電回路装置10A、10B及び10Cを有するものとする。
き電回路装置10Aは、インバータ11としてのインバータ11Aと、U相、V相及びW相の三相の交流電力がそれぞれ供給される3本のき電ケーブル12としてのき電ケーブル12Aと、複数のき電区分開閉器13としてのき電区分開閉器13Aと、制御装置(図示は省略)と、複数の推進コイル群PGとしての推進コイル群PGAと、を備えている。なお、3本のき電ケーブル12Aは、インバータ11A側と反対側の末端で三相各相をY結線した構成になっているが、図7では、理解を簡単にするために、単相即ち1本のき電ケーブル12Aのみを示している。
同様に、き電回路装置10Bは、インバータ11Bと、3本のき電ケーブル12B(図7では1本のみ)と、き電区分開閉器13Bと、制御装置(図示は省略)と、複数の推進コイル群PGとしての推進コイル群PGBと、を備えている。また、き電回路装置10Cは、インバータ11Cと、3本のき電ケーブル12C(図7では1本のみ)と、き電区分開閉器13Cと、制御装置(図示は省略)と、複数の推進コイル群PGとしての推進コイル群PGCと、を備えている。
複数の推進コイル群PGは、軌道1の幅方向において互いに対向配置された2つの推進コイル群PGの各々が、互いに異なるき電回路装置10によりそれぞれ電力が供給されるように、配置されている。また、複数の推進コイル群PGは、軌道1の長さ方向において互いに隣り合う2つの推進コイル群PGの間の境界が、軌道1の幅方向における一方の側(図7における上側)と反対側(図7における下側)とでは、軌道1の長さ方向における1つの推進コイル群PGの長さの半分だけずれるように、配置されている。
複数の推進コイル群PGは、軌道1の幅方向における一方の側(図7における上側)及び反対側(図7における下側)のいずれにおいても、例えば推進コイル群PGA、推進コイル群PGC、推進コイル群PGBの順番に繰り返されて、配置される。また、複数の推進コイル群PGA、複数の推進コイル群PGC、及び、複数の推進コイル群PGBよりなる全体の推進コイル群は、軌道1の幅方向における一方の側(図7における上側)と反対側(図7における下側)とでは、1つの推進コイル群PGの長さの1.5倍だけずれるように、配置される。
図7では、軌道1の幅方向における一方の側(図7における上側)では、軌道1の長さ方向に沿って、き電セクションPSとして、き電セクションPSB(き電セクションPSB1)、き電セクションPSA(き電セクションPSA1)、及び、き電セクションPSC(き電セクションPSC2)が、配置されている。また、軌道1の幅方向における反対側(図7における下側)では、軌道1の長さ方向に沿って、き電セクションPSとして、き電セクションPSC(き電セクションPSC1)、及び、き電セクションPSB(き電セクションPSB2)が、配置されている。
また、軌道1の幅方向における一方の側(図7における上側)では、き電セクションPSB1に、推進コイル群PGBとしての推進コイル群PGB1が配置され、き電セクションPSA1に、推進コイル群PGAとしての推進コイル群PGA1が配置され、き電セクションPSC2に、推進コイル群PGCとしての推進コイル群PGC2が配置されている。
また、軌道1の幅方向における反対側(図7における下側)では、き電セクションPSC1に、推進コイル群PGCとしての推進コイル群PGC1が配置され、き電セクションPSB2に、推進コイル群PGBとしての推進コイル群PGB2が配置されている。
このような配置とした場合、3つのき電回路装置10のうち1つのき電回路装置10、即ち三重き電を構成する3系統のうち1系統が故障した場合でも、推力は低下するものの、残りの2つのき電回路装置10、即ち三重き電を構成する3系統のうち2系統により列車の走行を確保することが可能である。
また、複数のき電セクションPSの各々の軌道1の長さ方向に沿った長さを、列車編成長の2倍以上にすることにより、推力を一定に保ったまま、電力が供給されるき電セクションの切替を、円滑に行うことができる。
図7に示す例では、軌道1を走行する車両2が、き電セクションPSA1、PSB2及びPSC2に在線している。また、推進コイル群PGA1、PGB2及びPGC2の各々にそれぞれ接続された3つのき電区分開閉器13の各々については、接続された状態である。そのため、推進コイル群PGA1には、き電区分開閉器13A及びき電ケーブル12Aを介してインバータ11Aから電力が供給され、推進コイル群PGB2には、き電区分開閉器13B及びき電ケーブル12Bを介してインバータ11Bから電力が供給され、推進コイル群PGC2には、き電区分開閉器13C及びき電ケーブル12Cを介してインバータ11Cから電力が供給される。
一方、推進コイル群PGB1及びPGC1の各々にそれぞれ接続された2つのき電区分開閉器13の各々については、接続が遮断された状態である。そのため、推進コイル群PGB1及びPGC1の各々には、電力が供給されない。
なお、本実施の形態1では、地上コイル装置が備える推進コイル装置が3つのき電回路装置を有し、3つのき電回路装置により推進コイル装置が有する複数の推進コイルに電力を供給するき電方法、即ち三重き電によるき電方法を説明した。しかし、三重き電に代えて二重き電としてもよい。このような二重き電によるき電方法は、地上コイル装置が備える推進コイル装置が2つのき電回路装置を有し、2つのき電回路装置により推進コイル装置が有する複数の推進コイルに電力を供給するき電方法である。
<地絡位置標定システム及び地絡位置標定方法>
次に、本実施の形態1の地絡位置標定システム及び地絡位置標定方法について説明する。本実施の形態1の地絡位置標定システム及び地絡位置標定方法は、磁気浮上式鉄道の推進コイル装置における地絡が発生したときの地絡位置を標定する磁気浮上式鉄道用地絡位置標定システム及び地絡位置標定方法である。
なお、前述したように、本実施の形態1の地絡位置標定システム及び地絡位置標定方法が適用される鉄道は、軌道をリニアシンクロナスモータ式車両が走行する鉄道であればよい。このような場合、本実施の形態1の地絡位置標定システム及び地絡位置標定方法は、リニアシンクロナスモータ式車両が走行する軌道に設けられた電機子コイル装置としての推進コイル装置における地絡が発生したときの地絡位置を標定する地絡位置標定システム及び地絡位置標定方法である。
図8は、実施の形態1の地絡位置標定システムを示すブロック回路図である。図9は、実施の形態1の地絡位置標定方法の一例を示すフロー図である。なお、図8では、地絡位置に符号GF1を付して示している。
図8は、図7に示したあるき電セクションPSに設けられた推進コイル装置PDが有し、且つ、三相の交流電力の各々がそれぞれ供給される3つの推進コイル群15のうち、U相の交流電力が供給される推進コイル群15Uを示している。また、図8では、理解を簡単にするために、推進コイル7を、コイル状の形状に代えて短い矩形形状を有するように、図示している。なお、図8では、U相、V相及びW相の三相のうちU相について示しているが、V相及びW相についても同様にすることができる。
図8に示すように、あるき電セクションPSにおいて、推進コイル装置PDが有するU相の推進コイル群15Uは、当該き電セクション(区間)PSにそれぞれ設けられ、且つ、軌道1(図1参照)に沿って配列された複数の推進コイル7を有する。なお、図8では、推進コイル7としてU相の推進コイル7Uを示しているが、V相の推進コイル7V及びW相の推進コイル7Wについても同様にすることができる。即ち、推進コイル装置PDが有するV相の推進コイル群15Vは、複数の推進コイル7を備え、推進コイル装置PDが有するW相の推進コイル群15Wは、複数の推進コイル7を備えている。
複数の推進コイル7の各々は、巻回された導体により形成されている。図4(a)を用いて説明したように、推進コイル7は、導体71と、導体71を覆う絶縁体73と、絶縁体73を覆う半導電層74と、を含む。
複数の推進コイル7の各々にそれぞれ含まれる複数の導体71は、互いに電気的に直列に接続されている。互いに電気的に直列に接続された複数の導体71により、導体部16が形成されている。これにより、複数の推進コイル7を、互いに電気的に直列に接続することができ、インバータ11から供給される交流電力を、き電ケーブル12及びき電区分開閉器13を介して複数の推進コイル7に供給することができる。
複数の推進コイル7の各々にそれぞれ含まれる複数の半導電層74は、互いに電気的に接続されている。互いに電気的に接続された複数の半導電層74により、半導電層部17が形成されている。そして、半導電層部17は、接続線18を介して接地されている。なお、各推進コイルの半導電層に並列に別途導体が設けられ、それらが直列に接続され、且つ、各推進コイルの半導電層はそれらに接続されることにより、全体の接地系を構成していてもよい。
なお、図8では、U相の推進コイル7Uのみを示しているが、図3に示したように、実際は、推進コイル装置PDは、図8に示すU相の推進コイル7Uのみならず、V相の推進コイル7V及びW相の推進コイル7Wを有する。
図8に示すように、本実施の形態1の地絡位置標定システム40は、判定部41と、遮断部42と、誘導部43と、電圧測定部44と、標定部45と、を有する。
判定部41は、複数の推進コイル7のいずれかに地絡が発生したか否かを判定する。遮断部42は、判定部41により複数の推進コイル7のいずれかに地絡が発生したと判定されたとき、き電区分開閉器13によりインバータ11と複数の推進コイル7との接続を遮断する。なお、判定部41により複数の推進コイル7のいずれかに地絡が発生していないと判定されたとき、遮断部42は、インバータ11と複数の推進コイル7との接続を遮断せず、判定部41は、地絡が発生したか否かの判定を繰り返す。
誘導部43は、判定部41により複数の推進コイル7のいずれかに地絡が発生したと判定されたとき、遮断部42によりインバータ11と複数の推進コイル7との接続を遮断した後、当該車両(先行車両)を通過させる。当該車両が本推進区間外に出たことを確認した後、一旦、接地線(接続線18)と巻線(導体部16)との間を短絡させ、巻線に蓄積された電荷(残留電荷)を排除してもよい。これは、地絡標定のための電圧測定時にS/N比を悪化させる残留電圧を除去するためである。そして、インバータ11と複数の推進コイル7との接続が遮断された状態で、例えば磁気浮上式鉄道の車両等、リニアシンクロナスモータ式車両としての(後続車両としての)車両2に区間としてのき電セクションPSを走行又は通過させることにより複数の推進コイル7に電圧を誘導する。
電圧測定部44は、誘導部43により複数の推進コイル7に電圧を誘導する際に、導体部16と半導電層部17との間の電圧V1を測定する。標定部45は、電圧測定部44により測定された電圧V1の測定値に基づいて、地絡が発生したときの地絡位置を標定する。
本実施の形態1の地絡位置標定システム40が、判定部41と、遮断部42と、誘導部43と、電圧測定部44と、標定部45と、を有することにより、具体的な地絡位置標定作業を実現することができる。
なお、本実施の形態1の地絡位置標定システム40は、地絡が発生したときに、複数の推進コイル7への通電を停止した後、地絡位置を標定できるものであればよい。従って、本実施の形態1の地絡位置標定システム40は、誘導部43と、電圧測定部44と、標定部45と、を有していればよく、判定部41と、遮断部42と、を有していなくてもよい。
図9に示すように、本実施の形態1の地絡位置標定方法は、判定ステップ(ステップS1)と、遮断ステップ(ステップS2)と、誘導ステップ(ステップS3)と、測定ステップ(ステップS4)と、標定ステップ(ステップS5)と、を有する。
ステップS1では、複数の推進コイル7のいずれかに地絡が発生したか否かを判定する。ステップS2では、ステップS1において複数の推進コイル7のいずれかに地絡が発生したと判定されたとき、き電区分開閉器13によりインバータ11と複数の推進コイル7との接続を遮断する。なお、ステップS1において複数の推進コイル7のいずれかに地絡が発生していないと判定されたときは、インバータ11と複数の推進コイル7との接続を遮断せず、ステップS1を繰り返す。
ステップS1及びステップS2を行うことにより、地絡が発生したき電区分系において、電力き電ケーブルと推進コイル各相とを互いに切り離した後、地絡系統の両側で、推進コイルの各相ごとに導体部16と半導電層部17との間の電圧を測定するモードに移行することになる。
ステップS3では、ステップS1において複数の推進コイル7のいずれかに地絡が発生したと判定されたとき、ステップS2の後、インバータ11と複数の推進コイル7との接続が遮断された状態で、例えば磁気浮上式鉄道の車両等、リニアシンクロナスモータ式車両としての車両2にき電セクションPSを走行又は通過させることにより複数の推進コイル7に電圧を誘導する。ここでの車両2は、地絡時に走行していたときの先行車両とは異なる後続車両である。即ち、地絡発生時には、き電ケーブルを遮断後にこの先行車両が区間外に出た後、当該区間では2系走行で運行を継続し、その際通過する後続車両としての車両2の誘導電圧を地絡標定に利用することになる。先行車両でも電圧を測定することは原理的には可能であるものの、後続車両による誘導電圧を測定する方が容易であり望ましい。また、必要であれば、このステップS2とステップS3との間に、導体部16(巻線)と接続線18(接地線)との間を短絡した後、再び開放し、残留電荷及び残留電圧を除去するステップ(図9のステップS6)を行ってもよい。
ステップS4では、ステップS3を行って複数の推進コイル7に電圧を誘導する際に、導体部16と半導電層部17との間の電圧V1を測定する。ステップS5では、測定された電圧V1の測定値に基づいて、地絡が発生したときの地絡位置を標定する。
ステップS3では、3重き電の場合、3系走行から2系走行に変更となるが、2系走行で走行する、地絡検知後の通過車両の通過時に、当該系の地絡位置を検知するために、導体部16の両端における電圧の波形を監視することになる。
本実施の形態1の地絡位置標定方法が、ステップS1と、ステップS2と、ステップS3と、ステップS4と、ステップS5と、を有することにより、具体的な地絡位置標定作業を実現することができる。
なお、本実施の形態1の地絡位置標定方法は、地絡が発生したときに、複数の推進コイル7への通電を停止した後、地絡位置を標定できるものであればよい。従って、本実施の形態1の地絡位置標定方法は、ステップS3と、ステップS4と、ステップS5と、を有していればよく、ステップS1と、ステップS2と、を有していなくてもよい。
推進コイル7が例えば浮上案内コイル6(図2参照)の裏側に設置される場合、目視で推進コイル7の状態が健全か否かを監視することは困難である。また、推進コイル7に地絡など異常が発生した場合でも、外観上に変化が発生しないことがある。即ち、図2を用いて説明したように、浮上案内コイル6が推進コイル7を介して側壁4の側面部4aに設けられている場合も含め、推進コイル7が直接目視により観察できない場合には、どの推進コイル7が地絡しているかを標定することは、困難な場合がある。このような場合、地絡が発生しても地絡が発生した推進コイル7を特定できないため、地絡が発生した推進コイル7を交換して復旧させるのに時間を要する場合がある。
ここで、送電線に電力を供給する場合には、地絡が発生した時に、送電線を流れる電流の波形として発生する急峻な波形、即ちサージ波形を複数の位置で測定し、そのサージ波形が複数の位置の間を伝播するのに要する時間に基づいて地絡位置を標定する方法、即ちシンクロフェーザによる方法を用いることができる。
しかし、磁気浮上式鉄道の軌道1(図1参照)に設けられた推進コイル7に電力を供給する場合には、同様の方法を用いることは困難である。これは、サージ波形が伝播する媒体である推進コイルが均一な媒体ではなく、例えば推進コイル7(図3参照)と接続ケーブル8U、8V又は8W(図3参照)との間で特性インピーダンスに差があることに起因している。即ち、伝播してきたサージ波形が、推進コイル7と接続ケーブル8U、8V又は8Wとの間の境界を通過する度に、サージ波形の透過と反射が発生して波形が減衰し、且つ複雑になるため、精度の高いサージ波形を測定することが困難になる。
ここで、推進コイル7に含まれる半導電層74の電位を測定して地絡位置を標定する地絡位置標定方法が考えられる。このような地絡位置標定方法によれば、シンクロフェーザによる方法を用いる必要がないので、精度の高いサージ波形を測定できるか否かを心配する必要がない。
また、複数の推進コイル7の各々にそれぞれ含まれる複数の半導電層74が、推進コイル7ごとに接続線を介して接地される場合を考える。このような場合、地絡位置標定方法としては、半導電層74の接地電位に対する電位を、推進コイル7ごとに測定することになり、どの推進コイル7で地絡が発生しても、その推進コイル7の半導電層74と接続された接続線に大電流が流れ、半導電層74の接地電位に対する電位が上昇するので、測定された電位の測定値に基づいて、地絡が発生したときの地絡位置を標定することができる。しかし、このような場合、推進コイル7ごとに半導電層74の接地電位に対する電位を測定するため、推進コイル7の数だけ電圧計を設ける必要があり、地絡位置標定装置の設置コストが増加し、半導電層74の電位を測定する測定回路が複雑なものになる。
上記特許文献1に記載された地絡位置標定方法は、推進コイルを流れる電流について測定された共振周波数を用いた演算を行って、き電セクション三相推進コイルの一端から地絡点までの距離を標定する方法であり、有益な方法であるが、複雑であり、例えば地絡が発生した後各相の振動波形が得られない場合がある。そのため、地絡位置標定装置の設置コストを低減しつつ、地絡が発生したときの地絡位置を容易に標定することができる地絡位置標定方法が望まれる。
一方、本実施の形態1では、複数の推進コイル7のいずれかに地絡が発生したときに、インバータ11と複数の推進コイル7との接続が遮断された状態で、例えば磁気浮上式鉄道の車両等、リニアシンクロナスモータ式車両としての車両2にき電セクションPSを走行又は通過させることにより複数の推進コイル7に電圧を誘導する際に、導体部16と半導電層部17との間の電圧V1を測定する。このような場合、測定された導体部16と半導電層部17との間の電圧V1の測定値は、導体部16のうち電圧V1が測定される測定位置と、導体部16のうち地絡が発生した地絡位置GF1との間の距離に依存する。そのため、導体部16のうち電圧V1が測定される測定位置と、導体部16と半導電層部17との間の電圧V1の測定値に基づいて、測定位置から地絡位置GF1までの距離を算出することができるので、地絡位置を容易に標定することができる。
また、本実施の形態1では、推進コイル群15ごとに導体部16と半導電層部17との間の電圧V1を測定すればよいので、推進コイル7の数だけ電圧計を設置する必要がない。そのため、推進コイル装置PDが備える電圧計の個数を削減することができ、地絡位置標定装置の設置コストを低減することができ、導体部16と半導電層部17との間の電圧V1を測定する測定回路を簡易なものにすることができる。
このように、本実施の形態1では、車両2を走行又は通過させることにより複数の推進コイル7に電圧を誘導する際に測定した、導体部16と半導電層部17との間の電圧V1に基づいて、地絡位置を標定する。そのため、地絡位置標定装置の設置コストを低減しつつ、例えば地絡が発生した後各相の振動波形を容易に得ることができること等により、地絡が発生したときの地絡位置を容易に標定することができる。そして、地絡が発生した場合、容易に標定された地絡位置において、推進コイル7の交換等、軌道の保守管理を容易且つ確実に行うことができる。或いは、地絡が発生した後に運行終了を待つことなくすみやかに地絡位置を標定し、列車の運行が終了した後、直ちに、地絡位置における推進コイル7の交換等、軌道1の保守作業を開始することができる。また本地絡標定方式は実際の車両通過時の誘導電圧を用いるため、十分なS/N比を得ることができる。
更に、本実施の形態1の地絡位置標定システム及び地絡位置標定方法を、上記特許文献1に記載された、地絡が発生した時に電流波形の共振周波数が変化する変化量を変換器側で測定して地絡位置を特定する方法と、併用してもよい。これにより、地絡が発生したときの地絡位置の標定精度を更に向上させることができる。
なお、巻線導体−半導電層間の静電容量(導体部16と半導電層部17との間の静電容量)は、地絡位置標定の精度に悪影響を及ぼす場合がある。これを改善するためには、車両速度を低下させることが有効である。
後述する図10を用いて説明するように、好適には、標定部45は、ステップS5では、測定値が増加して基準値ST1に達した時刻t7、又は、基準値ST1を超えた測定値が再び減少して基準値ST2に達した時刻t8に基づいて、地絡が発生したときの地絡位置を標定する。このような場合、後述する図10を用いて説明するように、地絡位置を精度良く標定することができる。
また、後述する図10を用いて説明するように、好適には、標定部45は、ステップS5では、測定値の最大値MX1及び測定値の最大値MX2に基づいて、地絡が発生したときの地絡位置を標定する。このような場合、後述する図10を用いて説明するように、地絡位置を精度良く標定することができる。
なお、上記した測定値が基準値に達した時刻に基づいて地絡位置を標定する方法と、測定値の最大値に基づいて地絡位置を標定する方法とを併用することにより、地絡位置を更に精度良く標定することができる。更に、前述したように、地絡抵抗値に対し、相対的に巻線−半導電層間の静電容量(導体部16と半導電層部17との間の静電容量)の影響が大きい場合には、測定回路の電流が静電容量を介してバイパスすることにより、地絡位置標定が困難になる場合がある。その場合でも図10の電圧の立ち上がり(傾き:MX1/(t2−t1))が地絡位置で変化するので、その傾きの変化から地絡位置を標定することが可能となる。また車両2の通過速度を低下させて静電容量の影響を低下させることにより、地絡位置標定の精度を上げることも可能である。
好適には、本実施の形態1の地絡位置標定システム40では、き電区分開閉器13は、インバータ11と、導体部16のうち軌道の長さ方向における第2の側の端部である端部16aと、の接続を遮断する。
好適には、遮断部42は、ステップS2では、ステップS1において判定部41により複数の推進コイル7のいずれかに地絡が発生したと判定されたとき、き電区分開閉器13によりインバータ11と端部16aとの接続を遮断する。誘導部43は、ステップS3では、インバータ11と端部16aとの接続が遮断された状態で、複数の推進コイル7に電圧を誘導する。電圧測定部44は、ステップS4では、複数の推進コイル7に電圧を誘導する際に、導体部16と半導電層部17との間の電圧V1として、端部16aと、半導電層部17のうち軌道の長さ方向における第2の側の端部である端部17aと、の間の電圧V1を測定する。
このような場合、測定された電圧V1の測定値は、導体部16の端部16aと、導体部16のうち地絡が発生した地絡位置GF1との間の距離に依存する。そのため、電圧V1の測定値に基づいて、端部16aから地絡位置GF1までの距離を容易に算出することができるので、地絡位置を精度良く標定することができる。なお、導体部16のうち端部16a以外の部分と、半導電層部17のうち端部17a以外の部分と、の間の電圧V1を測定する場合でも、測定する箇所と地絡位置との距離と電圧V1の測定値との関係を予め決定しておけば、地絡位置を標定することは可能である。
図8に示すように、好適には、推進コイル装置PDは、導体部16と半導電層部17との間の電圧V1を測定する測定部としての電圧計19と、電圧計19を端部16aと端部17aとの間に接続するか、又は、電圧計19と端部16a若しくは端部17aとの接続を遮断する開閉部としての開閉器20と、を有する。
好適には、判定部41は、ステップS1では、開閉器20により電圧計19と端部16a若しくは端部17aとの接続を遮断した状態で、複数の推進コイル7のいずれかに地絡が発生したか否かを判定する。遮断部42は、ステップS2では、ステップS1において判定部41により複数の推進コイル7のいずれかに地絡が発生したと判定されたとき、インバータ11と端部16aとの接続を遮断した後、開閉器20により電圧計19を端部16aと端部17aとの間に接続する。誘導部43は、ステップS3では、インバータ11と端部16aとの接続が遮断され、且つ、電圧計19が端部16aと端部17aとの間に接続された状態で当該区間を車両が走行するとき、複数の推進コイル7に電圧を誘導する。電圧測定部44は、ステップS4では、複数の推進コイル7に電圧を誘導する際に、電圧計19により電圧V1を測定する。
このような場合、複数の推進コイル7のいずれかに地絡が発生したとき、インバータ11と端部16aとの接続を遮断した状態で、端部16aと端部17aとの間の電圧V1を容易に測定することができる。一方、複数の推進コイル7のいずれにも地絡が発生しておらず、インバータ11により複数の推進コイル7に通電している間は、電圧計19と端部16a若しくは端部17aとの接続を遮断することができるので、導体部16に印加されている高電圧から電圧計19を保護することができる。なお、高耐圧の電圧計19を用いる場合は、電圧計用の開閉器20を省略できる。
図8に示すように、好適には、推進コイル装置PDは、導体部16のうち軌道の長さ方向における第2の側と反対側の端部である端部16bを複数の推進コイル7の外部としての中性点から遮断する開閉部としての開閉器21を有する。また、推進コイル装置PDは、端部16bと、半導電層部17のうち軌道の長さ方向における第2の側と反対側の端部である端部17bと、の間の電圧V2を測定する測定部としての電圧計22と、電圧計22を端部16bと端部17bとの間に接続するか、又は、電圧計22と端部16b若しくは端部17bとの接続を遮断する開閉部としての開閉器23と、を有する。
好適には、判定部41は、ステップS1では、開閉器23により電圧計22と端部16b若しくは端部17bとの接続を遮断した状態で、複数の推進コイル7のいずれかに地絡が発生したか否かを判定する。遮断部42は、ステップS2では、ステップS1において判定部41により複数の推進コイル7のいずれかに地絡が発生したと判定されたとき、インバータ11と複数の推進コイル7との接続を遮断し、且つ、開閉器21により端部16bを複数の推進コイル7の外部から遮断した後、電圧計19を端部16aと端部17aとの間に接続し、且つ、開閉器23により電圧計22を端部16bと端部17bとの間に接続する。
誘導部43は、ステップS3では、インバータ11と端部16aとの接続が遮断され、端部16bが複数の推進コイル7の外部から遮断され、電圧計19が端部16aと端部17aとの間に接続され、且つ、電圧計22が端部16bと端部17bとの間に接続された状態で、複数の推進コイル7に電圧を誘導する。電圧測定部44は、ステップS4では、複数の推進コイル7に電圧を誘導する際に、電圧計19により電圧V1を測定し、電圧計22により電圧V2を測定する。標定部45は、ステップS5では、測定された電圧V1の測定値及び電圧V2の測定値に基づいて、地絡が発生したときの地絡位置を標定する。
このような場合、測定された電圧V1の測定値は、導体部16の端部16aと、導体部16のうち地絡が発生した地絡位置GF1との間の距離に依存し、測定された電圧V2の測定値は、導体部16の端部16bと、導体部16のうち地絡が発生した地絡位置GF1との間の距離に依存する。そのため、電圧V1の測定値に基づいて、端部16aから地絡位置GF1までの距離を容易に算出することができ、電圧V2の測定値に基づいて、端部16bから地絡位置GF1までの距離を容易に算出することができるので、地絡位置を更に精度良く標定することができる。以上は、地絡抵抗が小さく、且つ、車両長が短い場合の典型例に対する説明である。
図10は、実施の形態1の地絡位置標定方法において2つの電圧計により測定される電圧の測定値の時間依存性を模式的に示すグラフである。図10の上側のグラフは、電圧計19の電圧V1の測定値の時間依存性を示し、図10の下側のグラフは、電圧計22の電圧V2の測定値の時間依存性を示している。なお、図10では、交流電圧である電圧V1の波形の振幅を測定値として示し、交流電圧である電圧V2の波形の振幅を測定値として示している。なお、本図は、地絡抵抗値が低いか、又は、車両速度が低い場合の典型的な電圧波形例であり、推進コイルの静電容量の影響が大きい実際の波形は、もう少し複雑である。
図10に示すように、時刻t1において、進行方向における車両2の先端部(以下、単に「先端部」と称する。)が導体部16の端部16aを通過、即ち車両2がき電セクションPSに入り始め、時刻t2において、進行方向における車両2の後端部(以下、単に「後端部」と称する。)が端部16aを通過、車両2がき電セクションPSに入り終わるものとする。また、時刻t3において、先端部が地絡位置GF1を通過し、時刻t4において、後端部が地絡位置GF1を通過するものとする。また、時刻t5において、先端部が端部16bを通過、即ち車両2がき電セクションPSから出始め、時刻t6において、後端部が端部16bを通過、即ち車両2がき電セクションPSから出終わるものとする。
このような場合、電圧V1の測定値は、時刻t1より前は0に等しく、時刻t1から時刻t2までの間は時間の経過に伴って0から最大値MX1まで増加し、時刻t2から時刻t3までの間は最大値MX1に等しく、時刻t3から時刻t4までの間は時間経過に伴って最大値MX1から0まで減少し、時刻t4より後は0に等しい。また、電圧V2の測定値は、時刻t3より前は0に等しく、時刻t3から時刻t4までの間は時間の経過に伴って0から最大値MX2まで増加し、時刻t4から時刻t5までの間は最大値MX2に等しく、時刻t5から時刻t6までの間は時間経過に伴って最大値MX2から0まで減少し、時刻t6より後は0に等しい。
ここで、時刻t1から時刻t5までの時間(時刻t2から時刻t6までの時間)を時間TM0とし、時刻t1から時刻t3までの時間(時刻t2から時刻t4までの時間)を時間TM1とし、時刻t3から時刻t5までの時間(時刻t4から時刻t6までの時間)を時間TM2とする。このような場合であって、車両2が等速でき電セクションPSを通過するときは、時間TM0に対する時間TM1の比は、端部16aから端部16bまでの距離に対する、端部16aから地絡位置GF1までの距離の比に略等しく、時間TM0に対する時間TM2の比は、端部16aから端部16bまでの距離に対する、地絡位置GF1から端部16bまでの距離の比に略等しい。そのため、時間TM0に対する時間TM1の比、又は、時間TM0に対する時間TM2の比に基づいて、地絡位置を精度良く標定することができる。
また、最大値MX1以下の基準値ST1及び基準値ST2(基準値ST2は基準値ST1に等しくてもよく、基準値ST1と異なってもよい。)を予め決定しておいてもよい。そして、標定部45は、ステップS5では、例えば電圧V1の測定値が増加して基準値ST1に達した時刻t7、又は、基準値ST1を超えた電圧V1の測定値が再び減少して基準値ST2に達した時刻t8に基づいて、地絡が発生したときの地絡位置を標定してもよい。このような場合でも、地絡位置を精度良く標定することができる。
また、最大値MX1に対する最大値MX2の比は、端部16aから地絡位置GF1までの距離に対する、地絡位置GF1から端部16bまでの距離に略等しい。そのため、標定部45は、ステップS5では、電圧V1の測定値の最大値MX1及び電圧V2の測定値の最大値MX2に基づいて、地絡が発生したときの地絡位置を標定してもよい。
前述した図5及び図6を用いて説明したように、推進コイル装置PDが、複数のU相の推進コイル7Uと、複数のV相の推進コイル7Vと、複数のW相の推進コイル7Wと、を有する場合を考える。このような場合、インバータ11は、複数の推進コイル7UにU相の交流電流を通電して磁界を発生させ、複数の推進コイル7VにV相の交流電流を通電して磁界を発生させ、複数の推進コイル7WにW相の交流電流を通電して磁界を発生させる。また、推進コイル装置PDは、インバータ11と複数の推進コイル7Uとの接続を遮断する開閉部としてのき電区分開閉器13Uと、インバータ11と複数の推進コイル7Vとの接続を遮断する開閉部としてのき電区分開閉器13Vと、インバータ11と複数の推進コイル7Wとの接続を遮断する開閉部としてのき電区分開閉器13Wと、を有する。
複数の推進コイル7Uにより形成される推進コイル群15Uのうちインバータ11と接続される側と反対側(導体部16の端部16b)、複数の推進コイル7Vにより形成される推進コイル群15Vのうちインバータ11と接続される側と反対側、及び、複数の推進コイル7Wにより形成される推進コイル群15Wのうちインバータ11と接続される側と反対側は、中性点N1に接続される。開閉器21は、導体部16の端部16bを中性点N1に接続するか、又は、導体部16の端部16bを中性点N1から遮断する。また、推進コイル装置PDは、中性点N1と接地点との間の電圧を測定する測定部としての電圧計24と、電圧計24を中性点N1と接地点との間に接続するか、又は、電圧計24と中性点N1との接続を遮断する開閉部としての開閉器25と、を有する。
このような場合、好適には、判定部41は、ステップS1では、中性点N1の電位E1を測定し、測定された電位E1の測定値に基づいて、複数の推進コイル7Uのいずれかに地絡が発生したか否かを判定する。遮断部42は、ステップS2では、ステップS1において判定部41により複数の推進コイル7Uのいずれかに地絡が発生したと判定されたとき、開閉器21により導体部16の端部16bを中性点N1から遮断する。また、遮断部42は、ステップS2では、ステップS1において判定部41により複数の推進コイル7Uのいずれかに地絡が発生したと判定されたとき、き電区分開閉器13Uによりインバータ11と複数の推進コイル7U、即ち導体部16の端部16aとの接続を遮断し、き電区分開閉器13Vによりインバータ11と複数の推進コイル7Vとの接続を遮断し、き電区分開閉器13Wによりインバータ11と複数の推進コイル7Wとの接続を遮断する。
誘導部43は、ステップS3では、インバータ11と端部16aとの接続が遮断され、端部16bが中性点N1から遮断され、電圧計19が端部16aと端部17aとの間に接続され、且つ、電圧計22が端部16bと端部17bとの間に接続された状態で、複数の推進コイル7Uに電圧を誘導する。
導体部16に地絡が発生したと判定するためには、導体部16の端部16bの電位を測定することが好ましい。このような場合、好適には、判定部41は、ステップS1では、導体部16のうち端部16bの電位を測定し、測定された電位の測定値に基づいて、複数の推進コイル7のいずれかに地絡が発生したか否かを判定する。遮断部42は、ステップS2では、ステップS1において判定部41により複数の推進コイル7のいずれかに地絡が発生したと判定されたとき、端部16bを複数の推進コイル7の外部から遮断する。誘導部43は、ステップS3では、インバータ11と端部16aとの接続が遮断され、且つ、端部16bが複数の推進コイル7の外部から遮断された状態で、複数の推進コイル7の電圧を誘導する。
このような場合でも、測定された端部16bの電位が、地絡が発生していないときの端部16bの電位から変化した場合に、地絡が発生したと判定することができる。そのため、複数の推進コイル7のいずれかに地絡が発生したことを精度良く判定することができる。
なお、図6に示すように、推進コイル装置PDは、推進コイル群15Vのうちインバータ11と接続される側と反対側と中性点N1とを開閉可能に電気的に接続する開閉器26と、推進コイル群15Wのうちインバータ11と接続される側と反対側と中性点N1とを開閉可能に電気的に接続する開閉器27と、を有してもよい。このとき、遮断部42は、ステップS2では、ステップS1において判定部41により複数の推進コイル7Uのいずれかに地絡が発生したと判定されたとき、開閉器26により推進コイル群15Vを中性点N1から遮断し、開閉器27により推進コイル群15Wを中性点N1から遮断してもよい。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2の地絡位置標定システム及び地絡位置標定方法について説明する。図11は、実施の形態2の地絡位置標定システムを示すブロック回路図である。図12は、実施の形態2の地絡位置標定方法の一例を示すフロー図である。図13は、実施の形態2の地絡位置標定方法の一部のステップを説明するための図である。
本実施の形態2の地絡位置標定システム及び地絡位置標定方法は、磁気浮上式鉄道車両に推進力を与える推進コイル装置と、磁気浮上式鉄道車両に浮上力及び案内力を与える浮上案内コイル装置と、を備える磁気浮上式鉄道用の地上コイル装置の推進コイル装置における地絡が発生したときの地絡位置を標定する地絡位置標定システム及び地絡位置標定方法である。
本実施の形態2の地絡位置標定システム及び地絡位置標定方法は、車両に軌道を走行させることにより推進コイルに電圧を誘導することに代えて、軌道の幅方向において当該推進コイルと反対側に設けられた推進コイルに交流電流を通電して磁界を発生させることにより軌道の幅方向における両側の浮上案内コイルを介して当該推進コイルに電圧を誘導する点で、実施の形態1と異なる。一方、それ以外の点については、実施の形態1と同様であるので、詳細な説明を省略する。
図11では、図7に示した5つのき電セクションPSB1、PSC1、PSA1、PSB2及びPSC2のうち、3つのき電セクションPSC1、PSA1及びPSB2を図示している。また、以下では、U相、V相及びW相の三相のうちある一相のみについて説明するが、三相のうちいずれの相についても同様にすることができる。
図11に示すように、軌道1の長さ方向において、列車運行区間TSが、複数の区間SCとしての4つの区間SC1、区間SC2、区間SC3及び区間SC4に分割されるものとする。また、区間SC1、区間SC2、区間SC3及び区間SC4は、軌道1の長さ方向における一方の側から反対側に向かって、区間SC1、区間SC2、区間SC3及び区間SC4の順序で配置されるものとする。
区間SC1及び区間SC2において、軌道1の幅方向における一方の側と反対側(図11における下側)に、き電セクションPSC1が形成される。そして、推進コイル装置PDは、区間SC1及び区間SC2において、軌道1の幅方向における一方の側と反対側(図11における下側)に配置された推進コイル群PGC1を有する。
推進コイル群PGC1のうち、区間SC1及び区間SC2の各々にそれぞれ配置された部分を、推進コイル群PGC11及び推進コイル群PGC12とする。このとき、推進コイル装置PDは、区間SC1において、軌道1の幅方向における一方の側と反対側(図11における下側)に配置された推進コイル群PGC11を有し、区間SC2において、軌道1の幅方向における一方の側と反対側(図11における下側)に配置された推進コイル群PGC12を有することになる。推進コイル群PGC1は、軌道1の長さ方向に沿って配列され、且つ、電気的に直列に接続された複数の推進コイル7bを有するので、推進コイル群PGC11及び推進コイル群PGC12の各々も、軌道1の長さ方向に沿って配列され、且つ、電気的に直列に接続された複数の推進コイル7bを有する。
なお、推進コイル群PGC11に含まれる複数の推進コイル7bと、推進コイル群PGC12に含まれる複数の推進コイル7bとは、互いに電気的に直列に接続されている。
区間SC2及び区間SC3において、軌道1の幅方向における一方の側(図11における上側)に、き電セクションPSA1が形成される。そして、推進コイル装置PDは、区間SC2及び区間SC3において、軌道1の幅方向における一方の側(図11における上側)に配置された推進コイル群PGA1を有する。
推進コイル群PGA1のうち、区間SC2及び区間SC3の各々にそれぞれ配置された部分を、推進コイル群PGA12及び推進コイル群PGA13とする。このとき、推進コイル装置PDは、区間SC2において、軌道1の幅方向における一方の側(図11における上側)に配置された推進コイル群PGA12を有し、区間SC3において、軌道1の幅方向における一方の側(図11における上側)に配置された推進コイル群PGA13を有することになる。推進コイル群PGA1は、軌道1の長さ方向に沿って配列され、且つ、電気的に直列に接続された複数の推進コイル7aを有するので、推進コイル群PGA12及び推進コイル群PGA13の各々も、軌道1の長さ方向に沿って配列され、且つ、電気的に直列に接続された複数の推進コイル7aを有する。
なお、推進コイル群PGA12に含まれる複数の推進コイル7aと、推進コイル群PGA13に含まれる複数の推進コイル7aとは、互いに電気的に直列に接続されている。
区間SC3及び区間SC4において、軌道1の幅方向における一方の側と反対側(図11における下側)に、き電セクションPSB2が形成される。そして、推進コイル装置PDは、区間SC3及び区間SC4において、軌道1の幅方向における一方の側と反対側(図11における下側)に配置された推進コイル群PGB2を有する。
推進コイル群PGB2のうち、区間SC3及び区間SC4の各々にそれぞれ配置された部分を、推進コイル群PGB23及び推進コイル群PGB24とする。このとき、推進コイル装置PDは、区間SC3において、軌道1の幅方向における一方の側と反対側(図11における下側)に配置された推進コイル群PGB23を有し、区間SC4において、軌道1の幅方向における一方の側と反対側(図11における下側)に配置された推進コイル群PGB24を有することになる。推進コイル群PGB2は、軌道1の長さ方向に沿って配列され、且つ、電気的に直列に接続された複数の推進コイル7bを有するので、推進コイル群PGB23及び推進コイル群PGB24の各々も、軌道1の長さ方向に沿って配列され、且つ、電気的に直列に接続された複数の推進コイル7bを有する。
なお、推進コイル群PGC12に含まれる複数の推進コイル7bと、推進コイル群PGB23に含まれる複数の推進コイル7bとは、互いに電気的に接続されていない。また、推進コイル群PGB23に含まれる複数の推進コイル7bと、推進コイル群PGB24に含まれる複数の推進コイル7bとは、互いに電気的に直列に接続されている。
推進コイル装置PDは、推進コイル群PGC1に含まれる複数の推進コイル7bに交流電流を通電して磁界を発生させる通電部としてのインバータ11Cを有する。即ち、インバータ11Cは、推進コイル群PGC11に含まれる複数の推進コイル7b、及び、推進コイル群PGC12に含まれる複数の推進コイル7bに、例えば同一の交流電流を通電して磁界を発生させる。推進コイル装置PDは、開閉部としてのき電区分開閉器13Cを有し、き電区分開閉器13Cは、インバータ11Cと、推進コイル群PGC1に含まれる複数の推進コイル7bとの接続を遮断する。インバータ11Cは、き電ケーブル12C及びき電区分開閉器13Cを介して推進コイル群PGC1に接続される。
推進コイル装置PDは、推進コイル群PGA1に含まれる複数の推進コイル7aに交流電流を通電して磁界を発生させる通電部としてのインバータ11Aを有する。即ち、インバータ11Aは、推進コイル群PGA12に含まれる複数の推進コイル7a、及び、推進コイル群PGA13に含まれる複数の推進コイル7aに、例えば同一の交流電流を通電して磁界を発生させる。推進コイル装置PDは、開閉部としてのき電区分開閉器13Aを有し、き電区分開閉器13Aは、インバータ11Aと、推進コイル群PGA1に含まれる複数の推進コイル7aとの接続を遮断する。インバータ11Aは、き電ケーブル12A及びき電区分開閉器13Aを介して推進コイル群PGA1に接続される。
推進コイル装置PDは、推進コイル群PGB2に含まれる複数の推進コイル7bに交流電流を通電して磁界を発生させる通電部としてのインバータ11Bを有する。即ち、インバータ11Bは、推進コイル群PGB23に含まれる複数の推進コイル7b、及び、推進コイル群PGB24に含まれる複数の推進コイル7bに、例えば同一の交流電流を通電して磁界を発生させる。推進コイル装置PDは、開閉部としてのき電区分開閉器13Bを有し、き電区分開閉器13Bは、インバータ11Bと、推進コイル群PGB2に含まれる複数の推進コイル7bとの接続を遮断する。インバータ11Bは、き電ケーブル12B及びき電区分開閉器13Bを介して推進コイル群PGB2に接続される。
浮上案内コイル装置LDは、区間SC2において、軌道1の幅方向における一方の側(図11における上側)にそれぞれ設けられ、軌道1の長さ方向に沿って配列され、且つ、推進コイル群PGA12に含まれる複数の推進コイル7aが発生させる磁界とそれぞれ鎖交する複数の浮上案内コイル6aを有する。また、浮上案内コイル装置LDは、区間SC2において、軌道1の幅方向における一方の側と反対側(図11における下側)にそれぞれ設けられ、軌道1の長さ方向に沿って配列され、且つ、推進コイル群PGC12に含まれる複数の推進コイル7bが発生させる磁界とそれぞれ鎖交する複数の浮上案内コイル6bを有する。区間SC2において、複数の浮上案内コイル6bは、複数の浮上案内コイル6aの各々と接続線9としての接続線9a及び9bを用いてそれぞれ接続されることにより、複数の浮上案内コイル6aの各々と閉ループをそれぞれ形成する。
浮上案内コイル装置LDは、区間SC3において、軌道1の幅方向における一方の側(図11における上側)にそれぞれ設けられ、軌道1の長さ方向に沿って配列され、且つ、推進コイル群PGA13に含まれる複数の推進コイル7aが発生させる磁界とそれぞれ鎖交する複数の浮上案内コイル6aを有する。また、浮上案内コイル装置LDは、区間SC3において、軌道1の幅方向における一方の側と反対側(図11における下側)にそれぞれ設けられ、軌道1の長さ方向に沿って配列され、且つ、推進コイル群PGB23に含まれる複数の推進コイル7bが発生させる磁界とそれぞれ鎖交する複数の浮上案内コイル6bを有する。区間SC3において、複数の浮上案内コイル6bは、複数の浮上案内コイル6aの各々と接続線9としての接続線9a及び9bを用いてそれぞれ接続されることにより、複数の浮上案内コイル6aの各々と閉ループをそれぞれ形成する。
図11に示すように、本実施の形態2の地絡位置標定システム40aは、実施の形態1の地絡位置標定システム40における誘導部43に代え、誘導部43aを有する。一方、本実施の形態2の地絡位置標定システム40aは、実施の形態1の地絡位置標定システム40と同様に、判定部41と、遮断部42と、電圧測定部44と、標定部45と、を有する。なお、判定部41、遮断部42、電圧測定部44及び標定部45については、実施の形態1と同様にすることができるので、それらの詳細な説明を省略する場合がある。
図12に示すように、本実施の形態2の地絡位置標定方法は、実施の形態1の地絡位置標定方法におけるステップS3に代え、ステップS13の誘導ステップを有する。一方、本実施の形態2の地絡位置標定方法は、実施の形態1の地絡位置標定方法と同様に、判定ステップ(ステップS1)と、遮断ステップ(ステップS2)と、測定ステップ(ステップS4)と、標定ステップ(ステップS5)と、を有する。なお、ステップS1、ステップS2、ステップS4及びステップS5については、実施の形態1と同様にすることができるので、それらの詳細な説明を省略する場合がある。また、実施の形態1と同様に、ステップS2とステップS13との間に、ステップS6を行ってもよい。
判定部41は、ステップS1では、実施の形態1と同様に、推進コイル群PGA1に含まれる複数の推進コイル7aのいずれかに地絡が発生したか否かを判定する。遮断部42は、ステップS2では、実施の形態1と同様に、ステップS1において複数の推進コイル7aのいずれかに地絡が発生したと判定されたとき、き電区分開閉器13Aによりインバータ11Aと複数の推進コイル7aとの接続を遮断する。なお、実施の形態1と同様に、判定部41は、ステップS1において複数の推進コイル7aのいずれかに地絡が発生していないと判定されたときは、インバータ11Aと複数の推進コイル7aとの接続を遮断せず、ステップS1を繰り返す。
ステップS1及びステップS2を行うことにより、地絡が発生したき電区分系において、電力き電ケーブルと推進コイル各相とを互いに切り離した後、地絡系統の両側で、推進コイルの各相ごとに導体部16と半導電層部17との間の電圧を測定するモードに移行することになる。
電圧測定部44は、ステップS4では、実施の形態1と同様に、誘導部43aによりステップS13を行って複数の推進コイル7aに電圧を誘導する際に、導体部16と半導電層部17との間の電圧V1を測定する。標定部45は、ステップS5では、実施の形態1と同様に、測定された電圧V1の測定値に基づいて、地絡が発生したときの地絡位置を標定する。
一方、誘導部43aは、ステップS13では、実施の形態1の誘導部43及びステップS3と異なり、ステップS1において判定部41により複数の推進コイル7のいずれかに地絡が発生したと判定されたとき、ステップS2の後、インバータ11Aと複数の推進コイル7aとの接続が遮断された状態で、インバータ11Bにより推進コイル群PGB2に含まれる複数の推進コイル7bに交流電流を通電して磁界を発生させることにより、複数の浮上案内コイル6b及び複数の浮上案内コイル6aを介して、推進コイル群PGA1に含まれる複数の推進コイル7aに電圧を誘導する。
ステップS13では、3重き電の場合、3系走行から2系走行に変更となるが、地絡が発生した側の推進コイルに電圧を誘導する磁界として、軌道の幅方向における地絡が発生した側と反対側に配置された推進コイルであって、2系走行で用いる推進コイルに交流電流を通電することにより、いわゆるヌルフラックス回路を経由して印加される磁界を用いることになる。
従って、ステップS13では、インバータ11Cにより推進コイル群PGC1に含まれる複数の推進コイル7bに交流電流を通電して磁界を発生させることにより、複数の浮上案内コイル6b及び複数の浮上案内コイル6aを介して、推進コイル群PGA1に含まれる複数の推進コイル7aに電圧を誘導してもよい。以下では、推進コイル群PGB2のみならず推進コイル群PGC1に含まれる複数の推進コイル7bにも交流電流を通電して磁界を発生させる場合について説明することがある。
本実施の形態2の地絡位置標定システム40aが、判定部41と、遮断部42と、誘導部43aと、電圧測定部44と、標定部45と、を有し、本実施の形態2の地絡位置標定方法が、ステップS1と、ステップS2と、ステップS13と、ステップS4と、ステップS5と、を有することにより、具体的な地絡位置標定作業を実現することができる。
なお、本実施の形態2の地絡位置標定システム及び地絡位置標定方法は、地絡が発生したときに、複数の推進コイル7への通電を停止した後、地絡位置を標定できるものであればよい。従って、本実施の形態2の地絡位置標定システム40aは、判定部41と、遮断部42と、を有していなくてもよく、本実施の形態2の地絡位置標定方法は、ステップS1と、ステップS2と、を有していなくてもよい。
本実施の形態2では、複数の推進コイル7のいずれかに地絡が発生したときに、インバータ11Aと複数の推進コイル7aとの接続が遮断された状態で、インバータ11B(又は11C)により複数の推進コイル7bに交流電流を通電して磁界を発生させることにより複数の浮上案内コイル6b及び複数の浮上案内コイル6aを介して複数の推進コイル7aに電圧を誘導する際に、導体部16と半導電層部17との間の電圧V1を測定する。このような場合でも、実施の形態1と同様に、測定された導体部16と半導電層部17との間の電圧V1の測定値は、導体部16の電圧が測定される測定位置と、導体部16のうち地絡が発生した地絡位置GF1との間の距離に依存する。そのため、導体部16の電圧が測定される測定位置と、導体部16と半導電層部17との間の電圧の測定値に基づいて、測定位置から地絡位置までの距離を算出することができるので、地絡位置を容易に標定することができる。
また、本実施の形態2でも、実施の形態1と同様に、導体部16と半導電層部17との間の電圧V1を測定すればよいので、推進コイル7の数だけ電圧計を設置する必要がない。そのため、推進コイル装置PDが備える電圧計の個数を削減することができ、地絡位置標定装置の設置コストを低減することができ、導体部16と半導電層部17との間の電圧V1を測定する測定回路を簡易なものにすることができる。
このように、本実施の形態2では、複数の推進コイル7bに交流電流を通電して磁界を発生させることにより複数の浮上案内コイル6b及び複数の浮上案内コイル6aを介して複数の推進コイル7aに電圧を誘導する際に測定した、導体部16と半導電層部17との間の電圧V1に基づいて、地絡位置を標定する。そのため、実施の形態1と同様に、地絡位置標定装置の設置コストを低減しつつ、地絡が発生したときの地絡位置を容易に標定することができる。そして、地絡が発生した場合、容易に標定された地絡位置において、推進コイル7の交換等、軌道の保守管理を容易且つ確実に行うことができる。或いは、地絡が発生した時に瞬時に地絡位置を標定し、列車の運行が終了した後、直ちに、地絡位置における推進コイル7の交換等、軌道1の保守作業を開始することができる。
図13に示すように、好適には、ステップS13(図12参照)は、ステップS21と、ステップS22と、ステップS23と、ステップS24と、ステップS25と、を含む。
まず、ステップS13を行う前に、ステップS2(図12参照)において、図11に示すように、例えば区間SC2及びSC3において、インバータ11Aと、推進コイル群PGA1に含まれる複数の推進コイル7aとの接続を、き電区分開閉器13Aにより遮断する。そして、このような状態で、次に、ステップS13として、図13に示すステップS21を行う。
ステップS21では、まず、例えば区間SC2及びSC3において、軌道1の幅方向における一方の側と反対側(図13における上側、図11における下側)にそれぞれ設けられた複数の推進コイル7bにインバータ11B及び11Cにより交流電流を通電して磁界を発生させる。
ステップS21では、インバータ11Cと、推進コイル群PGC1に含まれる複数の推進コイル7bとを、き電区分開閉器13Cにより接続し、例えば区間SC2において、軌道1の幅方向における一方の側と反対側(図13における上側)に設けられた推進コイル7bに交流電流を通電して磁界を発生させる。また、インバータ11Bと、推進コイル群PGB2に含まれる複数の推進コイル7bとを、き電区分開閉器13Bにより接続し、例えば区間SC3において、軌道1の幅方向における一方の側と反対側(図13における上側)に設けられた推進コイル7bに交流電流を通電して磁界を発生させる。
なお、ステップS21では、区間SC2のみならず、区間SC2及びSC1に配置された推進コイル群PGC1に通電することになり、区間SC3のみならず、区間SC3及びSC4に配置された推進コイル群PGB2に通電することになる。
このとき、図13のステップS22に示すように、推進コイル7bにより発生した磁界即ち磁束が軌道1の幅方向における一方の側と反対側(図13における上側)に設けられた浮上案内コイル6bと鎖交することにより、浮上案内コイル6bに電圧が誘導される。
また、浮上案内コイル6bに電圧が誘導されることにより、図13のステップS23に示すように、ヌルフラックス線としての接続線9a及び9bを電流が流れる。接続線9a及び9bを電流が流れ、軌道1の幅方向における一方の側(図13における下側)に設けられた浮上案内コイル6aに電流が流れることにより、図13のステップS24に示すように、浮上案内コイル6aに磁界を発生させる。浮上案内コイル6aにより発生した磁界即ち磁束が軌道1の幅方向における一方の側(図13における下側、図11における上側)に設けられた推進コイル7aと鎖交することにより、図13のステップS25に示すように、軌道1の幅方向における一方の側(図13における下側)に設けられた推進コイル群PGA1に含まれる複数の推進コイル7aに電圧が誘導される。
そして、前述したように、ステップS4では、複数の推進コイル7aに電圧を誘導する際に、導体部16と半導電層部17との間の電圧V1を測定することになる。
また、本実施の形態2の好適な実施の態様は、本実施の形態2が、実施の形態1と異なり、車両2を走行させることにより複数の推進コイル7aに電圧を誘導するものではないため、電圧V1の測定値が基準値ST1又は基準値ST2(図10参照)に達した時刻では地絡位置を標定しにくい点を除き、実施の形態1の好適な実施の態様と同様にすることができる。
例えば、実施の形態1と同様に、電圧測定部44は、ステップS4では、導体部16と半導電層部17との間の電圧V1として、端部16aと端部17aとの間の電圧V1を測定する。このような場合、実施の形態1と同様に、電圧V1の測定値に基づいて、端部16aから地絡位置GF1までの距離を容易に算出することができるので、地絡位置を精度良く標定することができる。
また、実施の形態1と同様に、判定部41は、ステップS1では、開閉器20により電圧計19と端部16a若しくは端部17aとの接続を遮断した状態で地絡を判定し、遮断部42は、ステップS2では、ステップS1において判定部41により地絡が発生したと判定されたとき、開閉器20により電圧計19を端部16aと端部17aとの間に接続してもよい。また、判定部41は、ステップS1では、開閉器23により電圧計22と端部16b若しくは端部17bとの接続を遮断した状態で地絡を判定し、遮断部42は、ステップS2では、ステップS1において判定部41により地絡が発生したと判定されたとき、開閉器23により電圧計22を端部16bと端部17bとの間に接続してもよい。このような場合も、実施の形態1と同様の効果が得られる。
図14は、実施の形態2の地絡位置標定方法において2つの電圧計により測定される電圧の測定値の時間依存性を模式的に示すグラフである。図14の上側のグラフは、電圧計19の電圧V1の測定値の時間依存性を示し、図14の下側のグラフは、電圧計22の電圧V2の測定値の時間依存性を示している。なお、図14では、交流電圧である電圧V1の波形の振幅を測定値として示し、交流電圧である電圧V2の波形の振幅を測定値として示している。
図14に示すように、時刻t11において、複数の推進コイル7bへの交流電流の通電を開始するものとする。また、時刻t12において、複数の推進コイル7bへの交流電流の通電を終了するものとする。
このような場合、電圧V1の測定値は、時刻t11より前は0に等しく、時刻t11から時刻t12までの間は最大値MX11に等しく、時刻t12より後は0に等しい。また、電圧V2の測定値は、時刻t11より前は0に等しく、時刻t11から時刻t12までの間は最大値MX12に等しく、時刻t12より後は0に等しい。
ここで、最大値MX11に対する最大値MX12の比は、端部16aから地絡位置GF1までの導体部16の長さに対する、地絡位置GF1から端部16bまでの導体部16の長さの比に略等しい。そのため、標定部45は、ステップS5では、最大値MX11及び最大値MX12に基づいて、地絡が発生したときの地絡位置を標定してもよい。このような場合でも、地絡位置を精度良く標定することができる。なお、このような状況は、地絡抵抗値が低く、巻線−半導電層間の静電容量(導体部16と半導電層部17との間の静電容量)の影響が無視できる場合であり、静電容量の影響が無視できなくなると地絡位置標定方法は複雑にはなるがやはり地絡位置標定は可能である。
なお、推進コイル装置PDが、複数のU相の推進コイル7Uと、複数のV相の推進コイル7Vと、複数のW相の推進コイル7Wと、を有する場合についても、判定部41がステップS1で中性点N1の電位E1を測定する等、実施の形態1と同様にすることができ、実施の形態1と同様の効果が得られる。また、実施の形態1と同様に、判定部41がステップS1で導体部16のうち端部16bの電位を測定する等、実施の形態1と同様にすることができ、実施の形態1と同様の効果が得られる。また巻線−半導電層間の静電容量(導体部16と半導電層部17との間の静電容量)の影響を減らし、地絡標定精度を上げるため、インバータ11B及び11Cの通電周波数を、最高速度に対応する周波数を上限として任意に選べることを、利用してもよい。即ち、一般に静電容量の影響を少なくし、地絡位置標定精度を向上させるためには、通電周波数を、S/N比が悪化しない範囲で下げればよい。
本実施の形態2は、車両の非通過時に非地絡相のインバータを起動して実施することが基本であるが、車両が当該区間を2系走行にて通過中にインバータが通電する駆動電流を用いて実施することもできる。その際には、車両が2系走行のため、通電を開始してから車両が地絡セクションに進入するまでの期間、又は、車両が地絡セクションから退出した後通電を終了するまでの期間、を用いることとなる。
(実施の形態3)
次に、実施の形態3の地絡位置標定システム及び地絡位置標定方法について説明する。図15は、実施の形態3の地絡位置標定システムが適用される磁気浮上式鉄道の軌道を模式的に示す断面図である。図16は、実施の形態3の地絡位置標定システムを示すブロック回路図である。図17は、実施の形態3の地絡位置標定方法の一例を示すフロー図である。
本実施の形態3の地絡位置標定システム及び地絡位置標定方法は、リニアシンクロナスモータ式車両に推進力を与える推進コイル装置と、リニアシンクロナスモータ式車両に非接触給電を行う給電コイル装置と、を備えるリニアシンクロナスモータ式鉄道用の地上コイル装置の推進コイル装置における地絡が発生したときの地絡位置を標定する地絡位置標定システム及び地絡位置標定方法である。
本実施の形態3の地絡位置標定システム及び地絡位置標定方法は、車両に軌道を走行させることにより推進コイルに電圧を誘導することに代えて、軌道に設けられた給電コイルに交流電流を通電して磁界を発生させることにより推進コイルに電圧を誘導する点で、実施の形態1と異なる。一方、それ以外の点については、実施の形態1と同様であるので、詳細な説明を省略する。
図15及び図16に示すように、実施の形態3の地絡位置標定システムが適用される磁気浮上式鉄道の地上コイル装置は、車両2に非接触給電を行う給電コイル装置SDを備えている。給電コイル装置SDは、軌道1に設けられた給電コイル28と、給電コイル28に交流電流を通電して磁界を発生させる通電部としての交流電源29と、を有する。複数の推進コイル7のいずれかは、給電コイル28が発生させる磁界と鎖交する。なお、車両2には、給電コイル28が発生させる磁界と鎖交する集電コイル30が搭載される。また、地上コイル装置のうち、給電コイル装置SD以外の部分については、実施の形態1と同様であるので、詳細な説明を省略する。
図16に示すように、本実施の形態3の地絡位置標定システム40bは、実施の形態1の地絡位置標定システム40における誘導部43に代え、誘導部43bを有する。一方、本実施の形態3の地絡位置標定システム40bは、実施の形態1の地絡位置標定システム40と同様に、判定部41と、遮断部42と、電圧測定部44と、標定部45と、を有する。なお、判定部41、遮断部42、電圧測定部44及び標定部45については、実施の形態1と同様にすることができるので、それらの詳細な説明を省略する場合がある。
図17に示すように、本実施の形態3の地絡位置標定方法は、実施の形態1の地絡位置標定方法におけるステップS3に代え、ステップS33の誘導ステップを有する。一方、本実施の形態3の地絡位置標定方法は、実施の形態1の地絡位置標定方法と同様に、判定ステップ(ステップS1)と、遮断ステップ(ステップS2)と、測定ステップ(ステップS4)と、標定ステップ(ステップS5)と、を有する。なお、ステップS1、ステップS2、ステップS4及びステップS5については、実施の形態1と同様にすることができるので、それらの詳細な説明を省略する場合がある。また、実施の形態1と同様に、ステップS2とステップS33との間に、ステップS6を行ってもよい。
誘導部43bは、ステップS33では、実施の形態1の誘導部43及びステップS3と異なり、ステップS1において判定部41により複数の推進コイル7のいずれかに地絡が発生したと判定されたとき、ステップS2の後、インバータ11と複数の推進コイル7との接続が遮断された状態で、交流電源29により給電コイル28に交流電流を通電して磁界を発生させることにより複数の推進コイル7に電圧を誘導する。
ステップS33では、3重き電の場合、3系走行から2系走行に変更となるが、地絡が発生した推進コイルに電圧を誘導する磁界として、非接触給電コイルに交流電流を通電することにより印加される磁界を用いることになる。
本実施の形態3の地絡位置標定システム40bが、判定部41と、遮断部42と、誘導部43bと、電圧測定部44と、標定部45と、を有し、本実施の形態3の地絡位置標定方法が、ステップS1と、ステップS2と、ステップS33と、ステップS4と、ステップS5と、を有することにより、具体的な地絡位置標定作業を実現することができる。
なお、本実施の形態3の地絡位置標定システム及び地絡位置標定方法は、地絡が発生したときに、複数の推進コイル7への通電を停止した後、地絡位置を標定できるものであればよい。従って、本実施の形態3の地絡位置標定システム40bは、判定部41と、遮断部42と、を有していなくてもよく、本実施の形態3の地絡位置標定方法は、ステップS1と、ステップS2と、を有していなくてもよい。
本実施の形態3では、複数の推進コイル7のいずれかに地絡が発生したときに、インバータ11と複数の推進コイル7との接続が遮断された状態で、交流電源29により給電コイル28に交流電流を通電して磁界を発生させることにより複数の推進コイル7に電圧を誘導する際に、導体部16と半導電層部17との間の電圧V1を測定する。このような場合でも、実施の形態1と同様に、測定された導体部16と半導電層部17との間の電圧V1の測定値は、導体部16の電圧が測定される測定位置と、導体部16のうち地絡が発生した地絡位置との間の距離に依存する。そのため、導体部16の電圧が測定される測定位置と、導体部16と半導電層部17との間の電圧の測定値に基づいて、測定位置から地絡位置までの距離を算出することができるので、地絡位置を容易に標定することができる。
また、本実施の形態3でも、実施の形態1と同様に、導体部16と半導電層部17との間の電圧V1を測定すればよいので、推進コイル7の数だけ電圧計を設置する必要がない。そのため、推進コイル装置PDが備える電圧計の個数を削減することができ、地絡位置標定装置の設置コストを低減することができ、導体部16と半導電層部17との間の電圧V1を測定する測定回路を簡易なものにすることができる。
このように、本実施の形態3では、給電コイル28に交流電流を通電して磁界を発生させることにより複数の推進コイル7に電圧を誘導する際に測定した、導体部16と半導電層部17との間の電圧V1に基づいて、地絡位置を標定する。そのため、実施の形態1と同様に、地絡位置標定装置の設置コストを低減しつつ、地絡が発生したときの地絡位置を容易に標定することができる。そして、地絡が発生した場合、容易に標定された地絡位置において、推進コイル7の交換等、軌道の保守管理を容易且つ確実に行うことができる。或いは、地絡が発生した後速やかに地絡位置を標定し、列車の運行が終了した後、直ちに、地絡位置における推進コイル7の交換等、軌道1の保守作業を開始することができる。
また、本実施の形態3の好適な実施の態様は、本実施の形態3が、実施の形態1と異なり、車両2を走行させることにより導体部16に電圧を誘導するものではないため、電圧V1の測定値が基準値ST1又は基準値ST2(図10参照)に達した時刻では地絡位置を標定しにくい点を除き、実施の形態1の好適な実施の態様と同様にすることができる。
例えば、実施の形態1と同様に、電圧測定部44は、ステップS4では、導体部16と半導電層部17との間の電圧V1として、端部16aと端部17aとの間の電圧V1を測定する。このような場合、実施の形態1と同様に、電圧V1の測定値に基づいて、端部16aから地絡位置GF1までの距離を容易に算出することができるので、地絡位置を精度良く標定することができる。
また、実施の形態1と同様に、判定部41は、ステップS1では、開閉器20により電圧計19と端部16a若しくは端部17aとの接続を遮断した状態で地絡を判定し、遮断部42は、ステップS2では、開閉器20により電圧計19を端部16aと端部17aとの間に接続してもよい。また、判定部41は、ステップS1では、開閉器23により電圧計22と端部16b若しくは端部17bとの接続を遮断した状態で地絡を判定し、遮断部42は、ステップS2では、開閉器23により電圧計22を端部16bと端部17bとの間に接続してもよい。このような場合も、実施の形態1と同様の効果が得られる。
図18は、実施の形態3の地絡位置標定方法において2つの電圧計により測定される電圧の測定値の時間依存性を模式的に示すグラフである。図18の上側のグラフは、電圧計19の電圧V1の測定値の時間依存性を示し、図18の下側のグラフは、電圧計22の電圧V2の測定値の時間依存性を示している。なお、図18では、交流電圧である電圧V1の波形の振幅を測定値として示し、交流電圧である電圧V2の波形の振幅を測定値として示している。
図18に示すように、時刻t21において、給電コイル28への交流電流の通電を開始するものとする。また、時刻t22において、給電コイル28への交流電流の通電を終了するものとする。
このような場合、電圧V1の測定値は、時刻t21より前は0に等しく、時刻t21から時刻t22までの間は最大値MX21に等しく、時刻t22より後は0に等しい。また、電圧V2の測定値は、時刻t21より前は0に等しく、時刻t21から時刻t22までの間は最大値MX22に等しく、時刻t22より後は0に等しい。
ここで、最大値MX21に対する最大値MX22の比は、端部16aから地絡位置GF1までの距離に対する、地絡位置GF1から端部16bまでの距離の比に略等しい。そのため、標定部45は、ステップS5では、電圧V1の測定値の最大値MX21及び電圧V2の測定値の最大値MX22に基づいて、地絡が発生したときの地絡位置を標定してもよい。即ち、標定部45は、ステップS5では、最大値MX21及び最大値MX22に基づいて、地絡が発生したときの地絡位置を標定してもよい。このような場合でも、地絡位置を精度良く標定することができる。なお、このような状況は、地絡抵抗値が低く巻線−半導電層間の静電容量(導体部16と半導電層部17との間の静電容量)の影響が無視できる場合であり、静電容量の影響が無視できなくなると地絡位置標定方法は複雑にはなるがやはり地絡位置標定は可能である。
なお、推進コイル装置PDが、複数のU相の推進コイル7Uと、複数のV相の推進コイル7Vと、複数のW相の推進コイル7Wと、を有する場合についても、判定部41がステップS1で中性点N1の電位E1を測定する等、実施の形態1と同様にすることができ、実施の形態1と同様の効果が得られる。また、実施の形態1と同様に、判定部41がステップS1で導体部16のうち端部16bの電位を測定する等、実施の形態1と同様にすることができ、実施の形態1と同様の効果が得られる。
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
例えば、前述の各実施の形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
本発明は、リニアシンクロナスモータ式車両が走行する軌道に設けられた推進コイル装置における地絡が発生したときの地絡位置を標定する地絡位置標定方法及び地絡位置標定システムに適用して有効である。
1 軌道
2 車両
2a 側面部
2b 超電導磁石
2c 冷凍システム
3 走行路
4 側壁
4a 側面部
5 ガイド部
6、6a、6b 浮上案内コイル
7、7U、7V、7W、7a、7b 推進コイル
8U、8V、8W 接続ケーブル
9、9a、9b、18 接続線
10、10A、10B、10C き電回路装置
11、11A、11B、11C インバータ
12、12A、12B、12C、12U、12V、12W き電ケーブル
13、13A、13B、13C、13U、13V、13W き電区分開閉器
14 制御装置
15、15U、15V、15W 推進コイル群
16 導体部
16a、16b、17a、17b 端部
17 半導電層部
19、22、24 電圧計
20、21、23、25〜27 開閉器
28 給電コイル
29 交流電源
30 集電コイル
40、40a、40b 地絡位置標定システム
41 判定部
42 遮断部
43、43a、43b 誘導部
44 電圧測定部
45 標定部
71 導体
72 巻線部
73 絶縁体
74 半導電層
75 絶縁層
E1 電位
GF1 地絡位置
LD 浮上案内コイル装置
MX1、MX11、MX12、MX2、MX21、MX22 最大値
N1 中性点
PD 推進コイル装置
PG、PG1、PG2、PGA、PGA1、PGA12、PGA13 推進コイル群
PGB、PGB1、PGB2、PGB23、PGB24 推進コイル群
PGC、PGC1、PGC11、PGC12、PGC2 推進コイル群
PS、PS1、PS2、PSA、PSA1 き電セクション
PSB、PSB1、PSB2、PSC、PSC1、PSC2 き電セクション
RG1 領域
SC、SC1〜SC4 区間
SD 給電コイル装置
ST1、ST2 基準値
TS 列車運行区間
V1、V2 電圧

Claims (20)

  1. リニアシンクロナスモータ式車両が走行する軌道に設けられた推進コイル装置における地絡が発生したときの地絡位置を標定する地絡位置標定方法において、
    前記推進コイル装置は、
    前記軌道の長さ方向における第1区間にそれぞれ設けられ、且つ、前記軌道に沿って配列された複数の第1推進コイルと、
    前記複数の第1推進コイルに第1交流電流を通電して第1磁界を発生させる第1通電部と、
    前記第1通電部と前記複数の第1推進コイルとの接続を遮断する第1開閉部と、
    を有し、
    前記複数の第1推進コイルの各々は、
    第1導体と、
    前記第1導体を覆う第1絶縁体と、
    前記第1絶縁体を覆う第1半導電層と、
    を含み、
    前記複数の第1推進コイルの各々にそれぞれ含まれる複数の前記第1導体は、互いに電気的に直列に接続され、
    前記複数の第1推進コイルの各々にそれぞれ含まれる複数の前記第1半導電層は、互いに電気的に接続され、
    互いに電気的に直列に接続された前記複数の第1導体により、導体部が形成され、
    互いに電気的に接続された前記複数の第1半導電層により、半導電層部が形成され、
    前記半導電層部は、接地され、
    前記地絡位置標定方法は、
    (a)前記複数の第1推進コイルのいずれかに地絡が発生したか否かを判定するステップ、
    (b)前記複数の第1推進コイルのいずれかに地絡が発生したと判定されたとき、前記第1開閉部により前記第1通電部と前記複数の第1推進コイルとの接続を遮断するステップ、
    (c)前記第1通電部と前記複数の第1推進コイルとの接続が遮断された状態で、前記リニアシンクロナスモータ式車両に前記第1区間を走行させることにより前記複数の第1推進コイルに第1電圧を誘導するステップ、
    (d)前記複数の第1推進コイルに前記第1電圧を誘導する際に、前記導体部と前記半導電層部との間の第2電圧を測定するステップ、
    (e)測定された前記第2電圧の第1測定値に基づいて、前記地絡が発生したときの前記地絡位置を標定するステップ、
    を有する、地絡位置標定方法。
  2. 請求項1に記載の地絡位置標定方法において、
    前記(e)ステップでは、前記第1測定値が増加して第1基準値に達した第1時刻、又は、前記第1測定値が減少して第2基準値に達した第2時刻に基づいて、前記地絡が発生したときの前記地絡位置を標定する、地絡位置標定方法。
  3. 磁気浮上式鉄道車両に推進力を与える推進コイル装置と、前記磁気浮上式鉄道車両に浮上力及び案内力を与える浮上案内コイル装置と、を備える磁気浮上式鉄道用の地上コイル装置の前記推進コイル装置における地絡が発生したときの地絡位置を標定する地絡位置標定方法において、
    前記推進コイル装置は、
    前記磁気浮上式鉄道車両が走行する軌道の幅方向における第1の側にそれぞれ設けられ、且つ、前記軌道の長さ方向に沿って配列された複数の第1推進コイルと、
    前記複数の第1推進コイルに第1交流電流を通電して第1磁界を発生させる第1通電部と、
    前記第1通電部と前記複数の第1推進コイルとの接続を遮断する第1開閉部と、
    前記軌道の幅方向における前記第1の側と反対側にそれぞれ設けられ、前記軌道の長さ方向に沿って配列され、且つ、互いに電気的に直列に接続された複数の第2推進コイルと、
    前記複数の第2推進コイルに第2交流電流を通電して第2磁界を発生させる第2通電部と、
    を有し、
    前記浮上案内コイル装置は、
    前記軌道の幅方向における前記第1の側にそれぞれ設けられ、前記軌道の長さ方向に沿って配列され、且つ、前記複数の第1推進コイルが発生させる前記第1磁界とそれぞれ鎖交する複数の第1浮上案内コイルと、
    前記軌道の幅方向における前記第1の側と反対側にそれぞれ設けられ、前記軌道の長さ方向に沿って配列され、前記複数の第2推進コイルが発生させる前記第2磁界とそれぞれ鎖交し、且つ、前記複数の第1浮上案内コイルの各々と閉ループをそれぞれ形成した複数の第2浮上案内コイルと、
    を有し、
    前記複数の第1推進コイルの各々は、
    第1導体と、
    前記第1導体を覆う第1絶縁体と、
    前記第1絶縁体を覆う第1半導電層と、
    を含み、
    前記複数の第1推進コイルの各々にそれぞれ含まれる複数の前記第1導体は、互いに電気的に直列に接続され、
    前記複数の第1推進コイルの各々にそれぞれ含まれる複数の前記第1半導電層は、互いに電気的に接続され、
    互いに電気的に直列に接続された前記複数の第1導体により、導体部が形成され、
    互いに電気的に接続された前記複数の第1半導電層により、半導電層部が形成され、
    前記半導電層部は、接地され、
    前記地絡位置標定方法は、
    (a)前記複数の第1推進コイルのいずれかに地絡が発生したか否かを判定するステップ、
    (b)前記複数の第1推進コイルのいずれかに地絡が発生したと判定されたとき、前記第1開閉部により前記第1通電部と前記複数の第1推進コイルとの接続を遮断するステップ、
    (c)前記第1通電部と前記複数の第1推進コイルとの接続が遮断された状態で、前記第2通電部により前記複数の第2推進コイルに前記第2交流電流を通電して前記第2磁界を発生させることにより前記複数の第2浮上案内コイル及び前記複数の第1浮上案内コイルを介して前記複数の第1推進コイルに第1電圧を誘導するステップ、
    (d)前記複数の第1推進コイルに前記第1電圧を誘導する際に、前記導体部と前記半導電層部との間の第2電圧を測定するステップ、
    (e)測定された前記第2電圧の第1測定値に基づいて、前記地絡が発生したときの前記地絡位置を標定するステップ、
    を有する、地絡位置標定方法。
  4. リニアシンクロナスモータ式車両に推進力を与える推進コイル装置と、前記リニアシンクロナスモータ式車両に非接触給電を行う給電コイル装置と、を備えるリニアシンクロナスモータ式鉄道用の地上コイル装置の前記推進コイル装置における地絡が発生したときの地絡位置を標定する地絡位置標定方法において、
    前記推進コイル装置は、
    前記リニアシンクロナスモータ式車両が走行する軌道に沿って配列された複数の第1推進コイルと、
    前記複数の第1推進コイルに第1交流電流を通電して第1磁界を発生させる第1通電部と、
    前記第1通電部と前記複数の第1推進コイルとの接続を遮断する第1開閉部と、
    を有し、
    前記給電コイル装置は、
    前記軌道に設けられた第1給電コイルと、
    前記第1給電コイルに第2交流電流を通電して第2磁界を発生させる第2通電部と、
    を有し、
    前記複数の第1推進コイルの各々は、
    第1導体と、
    前記第1導体を覆う第1絶縁体と、
    前記第1絶縁体を覆う第1半導電層と、
    を含み、
    前記複数の第1推進コイルの各々にそれぞれ含まれる複数の前記第1導体は、互いに電気的に直列に接続され、
    前記複数の第1推進コイルの各々にそれぞれ含まれる複数の前記第1半導電層は、互いに電気的に接続され、
    互いに電気的に直列に接続された前記複数の第1導体により、導体部が形成され、
    互いに電気的に接続された前記複数の第1半導電層により、半導電層部が形成され、
    前記半導電層部は、接地され、
    前記複数の第1推進コイルのいずれかは、前記第1給電コイルが発生させる前記第2磁界と鎖交し、
    前記地絡位置標定方法は、
    (a)前記複数の第1推進コイルのいずれかに地絡が発生したか否かを判定するステップ、
    (b)前記複数の第1推進コイルのいずれかに地絡が発生したと判定されたとき、前記第1開閉部により前記第1通電部と前記複数の第1推進コイルとの接続を遮断するステップ、
    (c)前記第1通電部と前記複数の第1推進コイルとの接続が遮断された状態で、前記第2通電部により前記第1給電コイルに前記第2交流電流を通電して前記第2磁界を発生させることにより前記複数の第1推進コイルに第1電圧を誘導するステップ、
    (d)前記複数の第1推進コイルに前記第1電圧を誘導する際に、前記導体部と前記半導電層部との間の第2電圧を測定するステップ、
    (e)測定された前記第2電圧の第1測定値に基づいて、前記地絡が発生したときの前記地絡位置を標定するステップ、
    を有する、地絡位置標定方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の地絡位置標定方法において、
    前記(e)ステップでは、前記第1測定値の最大値に基づいて、前記地絡が発生したときの前記地絡位置を標定する、地絡位置標定方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の地絡位置標定方法において、
    前記第1開閉部は、前記第1通電部と、前記導体部のうち前記軌道の長さ方向における第2の側の端部である第1端部と、の接続を遮断し、
    前記(b)ステップでは、前記複数の第1推進コイルのいずれかに地絡が発生したと判定されたとき、前記第1開閉部により前記第1通電部と前記第1端部との接続を遮断し、
    前記(c)ステップでは、前記第1通電部と前記第1端部との接続が遮断された状態で、前記複数の第1推進コイルに前記第1電圧を誘導し、
    前記(d)ステップでは、前記複数の第1推進コイルに前記第1電圧を誘導する際に、前記第1端部と、前記半導電層部のうち前記軌道の長さ方向における前記第2の側の端部である第2端部と、の間の前記第2電圧を測定する、地絡位置標定方法。
  7. 請求項6に記載の地絡位置標定方法において、
    前記推進コイル装置は、
    前記第2電圧を測定する第1測定部と、
    前記第1測定部を前記第1端部と前記第2端部との間に接続するか、又は、前記第1測定部と前記第1端部若しくは前記第2端部との接続を遮断する第2開閉部と、
    を有し、
    前記(a)ステップでは、前記第2開閉部により前記第1測定部と前記第1端部若しくは前記第2端部との接続を遮断した状態で、前記複数の第1推進コイルのいずれかに地絡が発生したか否かを判定し、
    前記(b)ステップでは、前記複数の第1推進コイルのいずれかに地絡が発生したと判定されたとき、前記第1通電部と前記第1端部との接続を遮断した後、前記第2開閉部により前記第1測定部を前記第1端部と前記第2端部との間に接続し、
    前記(c)ステップでは、前記第1通電部と前記第1端部との接続が遮断され、且つ、前記第1測定部が前記第1端部と前記第2端部との間に接続された状態で、前記複数の第1推進コイルに前記第1電圧を誘導し、
    前記(d)ステップでは、前記複数の第1推進コイルに前記第1電圧を誘導する際に、前記第1測定部により前記第2電圧を測定する、地絡位置標定方法。
  8. 請求項7に記載の地絡位置標定方法において、
    前記推進コイル装置は、
    前記導体部のうち前記軌道の長さ方向における前記第2の側と反対側の端部である第3端部を前記複数の第1推進コイルの外部から遮断する第3開閉部と、
    前記第3端部と、前記半導電層部のうち前記軌道の長さ方向における前記第2の側と反対側の端部である第4端部と、の間の第3電圧を測定する第2測定部と、
    前記第2測定部を前記第3端部と前記第4端部との間に接続するか、又は、前記第2測定部と前記第3端部若しくは前記第4端部との接続を遮断する第4開閉部と、
    を有し、
    前記(a)ステップでは、前記第4開閉部により前記第2測定部と前記第3端部若しくは前記第4端部との接続を遮断した状態で、前記複数の第1推進コイルのいずれかに地絡が発生したか否かを判定し、
    前記(b)ステップでは、前記複数の第1推進コイルのいずれかに地絡が発生したと判定されたとき、前記第1通電部と前記第1端部との接続を遮断し、且つ、前記第3開閉部により前記第3端部を前記複数の第1推進コイルの外部から遮断した後、前記第1測定部を前記第1端部と前記第2端部との間に接続し、且つ、前記第4開閉部により前記第2測定部を前記第3端部と前記第4端部との間に接続し、
    前記(c)ステップでは、前記第1通電部と前記第1端部との接続が遮断され、前記第3端部が前記複数の第1推進コイルの外部から遮断され、前記第1測定部が前記第1端部と前記第2端部との間に接続され、且つ、前記第2測定部が前記第3端部と前記第4端部との間に接続された状態で、前記複数の第1推進コイルに前記第1電圧を誘導し、
    前記(d)ステップでは、前記複数の第1推進コイルに前記第1電圧を誘導する際に、前記第2測定部により前記第3電圧を測定し、
    前記(e)ステップでは、測定された前記第1測定値及び前記第3電圧の第2測定値に基づいて、前記地絡が発生したときの前記地絡位置を標定する、地絡位置標定方法。
  9. 請求項8に記載の地絡位置標定方法において、
    前記推進コイル装置は、
    前記軌道に沿って配列された複数の第3推進コイルと、
    前記軌道に沿って配列された複数の第4推進コイルと、
    を有し、
    前記複数の第1推進コイル、前記複数の第3推進コイル及び前記複数の第4推進コイルは、前記軌道に沿って、前記第1推進コイル、前記第3推進コイル及び前記第4推進コイルの順番に繰り返されて配置され、
    前記第1通電部は、前記複数の第1推進コイルにU相の前記第1交流電流を通電して前記第1磁界を発生させ、前記複数の第3推進コイルにV相の第3交流電流を通電して第3磁界を発生させ、前記複数の第4推進コイルにW相の第4交流電流を通電して第4磁界を発生させ、
    前記推進コイル装置は、
    前記第1通電部と前記複数の第3推進コイルとの接続を遮断する第5開閉部と、
    前記第1通電部と前記複数の第4推進コイルとの接続を遮断する第6開閉部と、
    を有し、
    前記複数の第1推進コイルのうち前記第1通電部と接続される側と反対側、前記複数の第3推進コイルのうち前記第1通電部と接続される側と反対側、及び、前記複数の第4推進コイルのうち前記第1通電部と接続される側と反対側は、中性点に接続され、
    前記第3開閉部は、前記第3端部を前記中性点に接続するか、又は、前記第3端部を前記中性点から遮断し、
    前記(a)ステップでは、前記中性点の第1電位を測定し、測定された前記第1電位の第3測定値に基づいて、前記複数の第1推進コイルのいずれかに地絡が発生したか否かを判定し、
    前記(b)ステップでは、前記複数の第1推進コイルのいずれかに地絡が発生したと判定されたとき、前記第3開閉部により前記第3端部を前記中性点から遮断し、前記第5開閉部により前記第1通電部と前記複数の第3推進コイルとの接続を遮断し、前記第6開閉部により前記第1通電部と前記複数の第4推進コイルとの接続を遮断し、
    前記(c)ステップでは、前記第1通電部と前記第1端部との接続が遮断され、前記第3端部が前記中性点から遮断され、前記第1測定部が前記第1端部と前記第2端部との間に接続され、且つ、前記第2測定部が前記第3端部と前記第4端部との間に接続された状態で、前記複数の第1推進コイルに前記第1電圧を誘導する、地絡位置標定方法。
  10. 請求項6に記載の地絡位置標定方法において、
    前記(a)ステップでは、前記導体部のうち前記軌道の長さ方向における前記第2の側と反対側の端部である第5端部の第2電位を測定し、測定された前記第2電位の第4測定値に基づいて、前記複数の第1推進コイルのいずれかに地絡が発生したか否かを判定し、
    前記(b)ステップでは、前記複数の第1推進コイルのいずれかに地絡が発生したと判定されたとき、前記第5端部を前記複数の第1推進コイルの外部から遮断し、
    前記(c)ステップでは、前記第1通電部と前記第1端部との接続が遮断され、且つ、前記第5端部が前記複数の第1推進コイルの外部から遮断された状態で、前記複数の第1推進コイルに前記第1電圧を誘導する、地絡位置標定方法。
  11. リニアシンクロナスモータ式車両が走行する軌道に設けられた推進コイル装置における地絡が発生したときの地絡位置を標定する地絡位置標定システムにおいて、
    前記推進コイル装置は、
    前記軌道の長さ方向における第1区間にそれぞれ設けられ、且つ、前記軌道に沿って配列された複数の第1推進コイルと、
    前記複数の第1推進コイルに第1交流電流を通電して第1磁界を発生させる第1通電部と、
    前記第1通電部と前記複数の第1推進コイルとの接続を遮断する第1開閉部と、
    を有し、
    前記複数の第1推進コイルの各々は、
    第1導体と、
    前記第1導体を覆う第1絶縁体と、
    前記第1絶縁体を覆う第1半導電層と、
    を含み、
    前記複数の第1推進コイルの各々にそれぞれ含まれる複数の前記第1導体は、互いに電気的に直列に接続され、
    前記複数の第1推進コイルの各々にそれぞれ含まれる複数の前記第1半導電層は、互いに電気的に接続され、
    互いに電気的に直列に接続された前記複数の第1導体により、導体部が形成され、
    互いに電気的に接続された前記複数の第1半導電層により、半導電層部が形成され、
    前記半導電層部は、接地され、
    前記地絡位置標定システムは、
    前記複数の第1推進コイルのいずれかに地絡が発生したか否かを判定する判定部と、
    前記複数の第1推進コイルのいずれかに地絡が発生したと判定されたとき、前記第1開閉部により前記第1通電部と前記複数の第1推進コイルとの接続を遮断する遮断部と、
    前記第1通電部と前記複数の第1推進コイルとの接続が遮断された状態で、前記リニアシンクロナスモータ式車両に前記第1区間を走行させることにより前記複数の第1推進コイルに第1電圧を誘導する誘導部と、
    前記複数の第1推進コイルに前記第1電圧を誘導する際に、前記導体部と前記半導電層部との間の第2電圧を測定する電圧測定部と、
    測定された前記第2電圧の第1測定値に基づいて、前記地絡が発生したときの前記地絡位置を標定する標定部と、
    を有する、地絡位置標定システム。
  12. 請求項11に記載の地絡位置標定システムにおいて、
    前記標定部は、前記第1測定値が増加して第1基準値に達した第1時刻、又は、前記第1測定値が減少して第2基準値に達した第2時刻に基づいて、前記地絡が発生したときの前記地絡位置を標定する、地絡位置標定システム。
  13. 磁気浮上式鉄道車両に推進力を与える推進コイル装置と、前記磁気浮上式鉄道車両に浮上力及び案内力を与える浮上案内コイル装置と、を備える磁気浮上式鉄道用の地上コイル装置の前記推進コイル装置における地絡が発生したときの地絡位置を標定する地絡位置標定システムにおいて、
    前記推進コイル装置は、
    前記磁気浮上式鉄道車両が走行する軌道の幅方向における第1の側にそれぞれ設けられ、且つ、前記軌道の長さ方向に沿って配列された複数の第1推進コイルと、
    前記複数の第1推進コイルに第1交流電流を通電して第1磁界を発生させる第1通電部と、
    前記第1通電部と前記複数の第1推進コイルとの接続を遮断する第1開閉部と、
    前記軌道の幅方向における前記第1の側と反対側にそれぞれ設けられ、前記軌道の長さ方向に沿って配列され、且つ、互いに電気的に直列に接続された複数の第2推進コイルと、
    前記複数の第2推進コイルに第2交流電流を通電して第2磁界を発生させる第2通電部と、
    を有し、
    前記浮上案内コイル装置は、
    前記軌道の幅方向における前記第1の側にそれぞれ設けられ、前記軌道の長さ方向に沿って配列され、且つ、前記複数の第1推進コイルが発生させる前記第1磁界とそれぞれ鎖交する複数の第1浮上案内コイルと、
    前記軌道の幅方向における前記第1の側と反対側にそれぞれ設けられ、前記軌道の長さ方向に沿って配列され、前記複数の第2推進コイルが発生させる前記第2磁界とそれぞれ鎖交し、且つ、前記複数の第1浮上案内コイルの各々と閉ループをそれぞれ形成した複数の第2浮上案内コイルと、
    を有し、
    前記複数の第1推進コイルの各々は、
    第1導体と、
    前記第1導体を覆う第1絶縁体と、
    前記第1絶縁体を覆う第1半導電層と、
    を含み、
    前記複数の第1推進コイルの各々にそれぞれ含まれる複数の前記第1導体は、互いに電気的に直列に接続され、
    前記複数の第1推進コイルの各々にそれぞれ含まれる複数の前記第1半導電層は、互いに電気的に接続され、
    互いに電気的に直列に接続された前記複数の第1導体により、導体部が形成され、
    互いに電気的に接続された前記複数の第1半導電層により、半導電層部が形成され、
    前記半導電層部は、接地され、
    前記地絡位置標定システムは、
    前記複数の第1推進コイルのいずれかに地絡が発生したか否かを判定する判定部と、
    前記複数の第1推進コイルのいずれかに地絡が発生したと判定されたとき、前記第1開閉部により前記第1通電部と前記複数の第1推進コイルとの接続を遮断する遮断部と、
    前記第1通電部と前記複数の第1推進コイルとの接続が遮断された状態で、前記第2通電部により前記複数の第2推進コイルに前記第2交流電流を通電して前記第2磁界を発生させることにより前記複数の第2浮上案内コイル及び前記複数の第1浮上案内コイルを介して前記複数の第1推進コイルに第1電圧を誘導する誘導部と、
    前記複数の第1推進コイルに前記第1電圧を誘導する際に、前記導体部と前記半導電層部との間の第2電圧を測定する電圧測定部と、
    測定された前記第2電圧の第1測定値に基づいて、前記地絡が発生したときの前記地絡位置を標定する標定部と、
    を有する、地絡位置標定システム。
  14. リニアシンクロナスモータ式車両に推進力を与える推進コイル装置と、前記リニアシンクロナスモータ式車両に非接触給電を行う給電コイル装置と、を備えるリニアシンクロナスモータ式鉄道用の地上コイル装置の前記推進コイル装置における地絡が発生したときの地絡位置を標定する地絡位置標定システムにおいて、
    前記推進コイル装置は、
    前記リニアシンクロナスモータ式車両が走行する軌道に沿って配列された複数の第1推進コイルと、
    前記複数の第1推進コイルに第1交流電流を通電して第1磁界を発生させる第1通電部と、
    前記第1通電部と前記複数の第1推進コイルとの接続を遮断する第1開閉部と、
    を有し、
    前記給電コイル装置は、
    前記軌道に設けられた第1給電コイルと、
    前記第1給電コイルに第2交流電流を通電して第2磁界を発生させる第2通電部と、
    を有し、
    前記複数の第1推進コイルの各々は、
    第1導体と、
    前記第1導体を覆う第1絶縁体と、
    前記第1絶縁体を覆う第1半導電層と、
    を含み、
    前記複数の第1推進コイルの各々にそれぞれ含まれる複数の前記第1導体は、互いに電気的に直列に接続され、
    前記複数の第1推進コイルの各々にそれぞれ含まれる複数の前記第1半導電層は、互いに電気的に接続され、
    互いに電気的に直列に接続された前記複数の第1導体により、導体部が形成され、
    互いに電気的に接続された前記複数の第1半導電層により、半導電層部が形成され、
    前記半導電層部は、接地され、
    前記複数の第1推進コイルのいずれかは、前記第1給電コイルが発生させる前記第2磁界と鎖交し、
    前記地絡位置標定システムは、
    前記複数の第1推進コイルのいずれかに地絡が発生したか否かを判定する判定部と、
    前記複数の第1推進コイルのいずれかに地絡が発生したと判定されたとき、前記第1開閉部により前記第1通電部と前記複数の第1推進コイルとの接続を遮断する遮断部と、
    前記第1通電部と前記複数の第1推進コイルとの接続が遮断された状態で、前記第2通電部により前記第1給電コイルに前記第2交流電流を通電して前記第2磁界を発生させることにより前記複数の第1推進コイルに第1電圧を誘導する誘導部と、
    前記複数の第1推進コイルに前記第1電圧を誘導する際に、前記導体部と前記半導電層部との間の第2電圧を測定する電圧測定部と、
    測定された前記第2電圧の第1測定値に基づいて、前記地絡が発生したときの前記地絡位置を標定する標定部と、
    を有する、地絡位置標定システム。
  15. 請求項11乃至14のいずれか一項に記載の地絡位置標定システムにおいて、
    前記標定部は、前記第1測定値の最大値に基づいて、前記地絡が発生したときの前記地絡位置を標定する、地絡位置標定システム。
  16. 請求項11乃至15のいずれか一項に記載の地絡位置標定システムにおいて、
    前記第1開閉部は、前記第1通電部と、前記導体部のうち前記軌道の長さ方向における第2の側の端部である第1端部と、の接続を遮断し、
    前記遮断部は、前記複数の第1推進コイルのいずれかに地絡が発生したと判定されたとき、前記第1開閉部により前記第1通電部と前記第1端部との接続を遮断し、
    前記誘導部は、前記第1通電部と前記第1端部との接続が遮断された状態で、前記複数の第1推進コイルに前記第1電圧を誘導し、
    前記電圧測定部は、前記複数の第1推進コイルに前記第1電圧を誘導する際に、前記第1端部と、前記半導電層部のうち前記軌道の長さ方向における前記第2の側の端部である第2端部と、の間の前記第2電圧を測定する、地絡位置標定システム。
  17. 請求項16に記載の地絡位置標定システムにおいて、
    前記推進コイル装置は、
    前記第2電圧を測定する第1測定部と、
    前記第1測定部を前記第1端部と前記第2端部との間に接続するか、又は、前記第1測定部と前記第1端部若しくは前記第2端部との接続を遮断する第2開閉部と、
    を有し、
    前記判定部は、前記第2開閉部により前記第1測定部と前記第1端部若しくは前記第2端部との接続を遮断した状態で、前記複数の第1推進コイルのいずれかに地絡が発生したか否かを判定し、
    前記遮断部は、前記複数の第1推進コイルのいずれかに地絡が発生したと判定されたとき、前記第1通電部と前記第1端部との接続を遮断した後、前記第2開閉部により前記第1測定部を前記第1端部と前記第2端部との間に接続し、
    前記誘導部は、前記第1通電部と前記第1端部との接続が遮断され、且つ、前記第1測定部が前記第1端部と前記第2端部との間に接続された状態で、前記複数の第1推進コイルに前記第1電圧を誘導し、
    前記電圧測定部は、前記複数の第1推進コイルに前記第1電圧を誘導する際に、前記第1測定部により前記第2電圧を測定する、地絡位置標定システム。
  18. 請求項17に記載の地絡位置標定システムにおいて、
    前記推進コイル装置は、
    前記導体部のうち前記軌道の長さ方向における前記第2の側と反対側の端部である第3端部を前記複数の第1推進コイルの外部から遮断する第3開閉部と、
    前記第3端部と、前記半導電層部のうち前記軌道の長さ方向における前記第2の側と反対側の端部である第4端部と、の間の第3電圧を測定する第2測定部と、
    前記第2測定部を前記第3端部と前記第4端部との間に接続するか、又は、前記第2測定部と前記第3端部若しくは前記第4端部との接続を遮断する第4開閉部と、
    を有し、
    前記判定部は、前記第4開閉部により前記第2測定部と前記第3端部若しくは前記第4端部との接続を遮断した状態で、前記複数の第1推進コイルのいずれかに地絡が発生したか否かを判定し、
    前記遮断部は、前記複数の第1推進コイルのいずれかに地絡が発生したと判定されたとき、前記第1通電部と前記第1端部との接続を遮断し、且つ、前記第3開閉部により前記第3端部を前記複数の第1推進コイルの外部から遮断した後、前記第1測定部を前記第1端部と前記第2端部との間に接続し、且つ、前記第4開閉部により前記第2測定部を前記第3端部と前記第4端部との間に接続し、
    前記誘導部は、前記第1通電部と前記第1端部との接続が遮断され、前記第3端部が前記複数の第1推進コイルの外部から遮断され、前記第1測定部が前記第1端部と前記第2端部との間に接続され、且つ、前記第2測定部が前記第3端部と前記第4端部との間に接続された状態で、前記複数の第1推進コイルに前記第1電圧を誘導し、
    前記電圧測定部は、前記複数の第1推進コイルに前記第1電圧を誘導する際に、前記第2測定部により前記第3電圧を測定し、
    前記標定部は、測定された前記第1測定値及び前記第3電圧の第2測定値に基づいて、前記地絡が発生したときの前記地絡位置を標定する、地絡位置標定システム。
  19. 請求項18に記載の地絡位置標定システムにおいて、
    前記推進コイル装置は、
    前記軌道に沿って配列された複数の第3推進コイルと、
    前記軌道に沿って配列された複数の第4推進コイルと、
    を有し、
    前記複数の第1推進コイル、前記複数の第3推進コイル及び前記複数の第4推進コイルは、前記軌道に沿って、前記第1推進コイル、前記第3推進コイル及び前記第4推進コイルの順番に繰り返されて配置され、
    前記第1通電部は、前記複数の第1推進コイルにU相の前記第1交流電流を通電して前記第1磁界を発生させ、前記複数の第3推進コイルにV相の第3交流電流を通電して第3磁界を発生させ、前記複数の第4推進コイルにW相の第4交流電流を通電して第4磁界を発生させ、
    前記推進コイル装置は、
    前記第1通電部と前記複数の第3推進コイルとの接続を遮断する第5開閉部と、
    前記第1通電部と前記複数の第4推進コイルとの接続を遮断する第6開閉部と、
    を有し、
    前記複数の第1推進コイルのうち前記第1通電部と接続される側と反対側、前記複数の第3推進コイルのうち前記第1通電部と接続される側と反対側、及び、前記複数の第4推進コイルのうち前記第1通電部と接続される側と反対側は、中性点に接続され、
    前記第3開閉部は、前記第3端部を前記中性点に接続するか、又は、前記第3端部を前記中性点から遮断し、
    前記判定部は、前記中性点の第1電位を測定し、測定された前記第1電位の第3測定値に基づいて、前記複数の第1推進コイルのいずれかに地絡が発生したか否かを判定し、
    前記遮断部は、前記複数の第1推進コイルのいずれかに地絡が発生したと判定されたとき、前記第3開閉部により前記第3端部を前記中性点から遮断し、前記第5開閉部により前記第1通電部と前記複数の第3推進コイルとの接続を遮断し、前記第6開閉部により前記第1通電部と前記複数の第4推進コイルとの接続を遮断し、
    前記誘導部は、前記第1通電部と前記第1端部との接続が遮断され、前記第3端部が前記中性点から遮断され、前記第1測定部が前記第1端部と前記第2端部との間に接続され、且つ、前記第2測定部が前記第3端部と前記第4端部との間に接続された状態で、前記複数の第1推進コイルに前記第1電圧を誘導する、地絡位置標定システム。
  20. 請求項16に記載の地絡位置標定システムにおいて、
    前記判定部は、前記導体部のうち前記軌道の長さ方向における前記第2の側と反対側の端部である第5端部の第2電位を測定し、測定された前記第2電位の第4測定値に基づいて、前記複数の第1推進コイルのいずれかに地絡が発生したか否かを判定し、
    前記遮断部は、前記複数の第1推進コイルのいずれかに地絡が発生したと判定されたとき、前記第5端部を前記複数の第1推進コイルの外部から遮断し、
    前記誘導部は、前記第1通電部と前記第1端部との接続が遮断され、且つ、前記第5端部が前記複数の第1推進コイルの外部から遮断された状態で、前記複数の第1推進コイルに前記第1電圧を誘導する、地絡位置標定システム。
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