いくつかの実施形態によれば、医療器具(アブレーションカテーテル等)の遠位端部分と標的領域(心臓組織または他の体内組織)との間の接触のレベルまたは質を評価または判断するシステムおよび方法が提供される。治療処置(たとえば、損傷部形成)が有効である可能性を増大させ、安全性を促進する(たとえば、穿孔、過熱または標的領域に対する他の損傷を回避する)ように、接触評価または判断は、心臓組織に焼灼エネルギーを送達する前に行われ得、またはエネルギー送達中に行われ得る。接触評価または判断は、治療システム全体の接触検知サブシステムによって行うことができ、コンピュータ可読媒体に格納されたプログラム命令を実行するように特に構成されているプロセッサによって実行することができる。接触検知サブシステムの信号源は、少なくとも2つの異なる周波数で1つまたは複数の信号を生成し、医療器具の遠位端部分に沿って配置されている、ギャップによって分離された電極部材の対にわたって信号を印加するように構成することができる。電気測定値(電圧測定値および/もしくは電流測定値またはインピーダンス測定値)が電極部材の対の間で取得され得、電気測定値に少なくとも部分的に基づいて、医療器具の遠位端部分と標的領域との間の接触のレベルまたは質を判断する(たとえば、計算する)ことができる。いくつかの実施形態では、第1周波数で双極接触インピーダンスの大きさが求められ、第2周波数で双極接触位相角が求められ、第1周波数と第2周波数との間で双極接触インピーダンスの大きさの勾配が求められ、求められた値の組合せを用いて接触の質の全体的な評価が生成される。医師または他の医療専門家が容易に見ることができるように、ディスプレイに接触の質のリアルタイム指標を出力することができ、それに対して医師または他の医療専門家は容易に反応または応答することができる。
いくつかの実施形態によれば、システムは、少なくとも第1周波数および第2周波数を有する信号を複合電極または電極アセンブリの電極または電極部分の対に送達するように構成された少なくとも1つの信号源を含む。システムはまた、第1周波数および第2周波数が信号源によって電極の対に印加されている間に電気測定値を取得し、第1周波数および第2周波数で取得された電気(たとえば、電圧、電流、インピーダンス)測定値を処理し、電気(たとえば、インピーダンス)測定値の前記処理に基づいて、電極の対が組織と接触しているか否かを判断するように構成された処理デバイスも含む。電極の対は、医療器具に沿って(たとえば、アブレーションカテーテルの遠位端に)配置することができる。電極の対は高周波電極を含むことができ、少なくとも1つの信号源は、1つ、2つまたは3つ以上の高周波エネルギー源を含むことができる。
信号源は、電極の対に対して、組織アブレーションに対して構成された周波数を有する信号を生成し、送達し、または印加するように構成された第1信号源と、電極の対に対して、接触検知および/または組織タイプ判断(たとえば、組織が焼灼されているかまたは依然として生存しているか)に適合された周波数を有する信号を生成し、送達し、または印加するように構成された第2信号源とを含むことができる。第1信号源および第2信号源は、エネルギー送達モジュール(たとえば、RF発生器)内に、または細長い本体もしくは医療器具(たとえば、アブレーションカテーテル)のハンドル内に組み込むことができる。いくつかの実施形態では、第2信号源は接触検知サブシステム内にあり、接触検知サブシステムは、エネルギー送達モジュールおよび医療器具から分離された別個の構成要素であるか、またはエネルギー送達モジュールもしくは医療器具内に組み込むことができる。一実施形態では、アブレーションまたは他の治療に対して適合された周波数を有する信号と、接触検知または組織タイプ判断機能に適合された周波数を有する信号とを印加することができる1つの信号源のみが使用される。接触検知または組織タイプ判断に適合する周波数は、治療周波数範囲内または治療周波数範囲外であり得る。例として、1つの限定しない実施形態では、システムは、組織アブレーションまたは他の治療に対して構成された周波数を有するエネルギーを送達するように少なくとも電極部材の対に対して(および接地パッドまたは参照電極に対して)信号を生成し、送達し、または印加するように適合されたエネルギー源と、接触検知および/または組織タイプ判断(たとえば、組織が焼灼されたかまたは依然として生存しているか)に対して適合された周波数を有する信号を電極部材の対に対して生成し、送達し、または印加する(接地パッドまたは参照電極に対しては生成、送達、印加されない)ように構成された信号源とを含む。信号源によって生成される信号は、定電流AC励起信号またはAC電圧励起信号を含むことができる。励起信号は、有利には、焼灼周波数および/または電位図マッピング周波数の周波数範囲外であり得る。エネルギー源および信号源をともにエネルギー送達モジュール(たとえば、RF発生器)内に組み込むことができ、または供給源のうちの1つ(たとえば、信号源)を、細長い本体または医療器具(たとえば、アブレーションカテーテル)のハンドル内に組み込むことができる。いくつかの実施形態では、信号源は接触検知サブシステム内にあり、接触検知サブシステムは、エネルギー送達モジュールおよび医療器具から分離された別個の構成要素であるか、またはエネルギー送達モジュールもしくは医療器具内に組み込むことができる。いくつかの実施形態では、アブレーションまたは他の治療に対して適合された周波数を有する信号を印加するように構成され、接触検知または組織タイプ判断機能に適合された周波数を有する信号を印加するように構成することができる単一の信号源が使用される。治療周波数(たとえば、心臓組織のアブレーションのために適合された周波数)を有する信号はまた、接地パッドまたは参照電極にも送達することができる。
いくつかの実施形態では、システムは、本質的に、医療器具(たとえば、エネルギー送達デバイス)と、1つまたは複数のエネルギー源と、1つまたは複数の信号源と、1つまたは複数の処理デバイスとからなり、またはそれらを含む。医療器具(たとえば、エネル
ギー送達カテーテル)は、近位端および遠位端を有する細長い本体と、細長い本体の遠位端に配置された電極または電極部分の対(たとえば、複合またはスプリットチップ電極アセンブリ)とを含むことができる。一実施形態では、電極の対は、細長い本体に配置された第1電極と、第1電極に隣接して(たとえば、その近位側に)配置された第2電極とを含むか、またはそれらから本質的になる。第1電極および第2電極は、対象者の組織と接触し、組織の表面からある深さで組織を加熱する(たとえば、焼灼しまたは治療する)ように組織にエネルギーを提供するように適合させることができる。一実施形態では、電極の対は、第1電極と第2電極との間に配置された絶縁ギャップを含み、絶縁ギャップは、第1電極と第2電極とを分離するギャップ幅を有する。絶縁ギャップ内にセパレータ(たとえば、コンデンサまたは絶縁材料)を配置することができる。
1つまたは複数の信号源は、ある範囲の周波数(たとえば、高周波範囲内の周波数)にわたって信号を送達するように構成することができる。いくつかの実施形態では、処理デバイスは、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に格納された所定のプログラム命令を実行して、当該周波数の範囲内の異なる周波数のエネルギーが信号源によって電極の対に印加されている間にインピーダンスまたは他の電気測定値を取得し、第1周波数および第2周波数で取得されたインピーダンスまたは他の電気測定値を処理し、インピーダンスまたは他の電気測定値の前記処理に基づいて、電極の対のうちの少なくとも1つ(たとえば、最遠位電極)が組織と接触しているか否かを判断するように構成される。いくつかの実施形態によれば、インピーダンス測定値は、電極の対の間または複合電極アセンブリの電極部材間の双極接触インピーダンスを構成するが、電極と標的組織との間のインピーダンスを構成しない。いくつかの実施形態によれば、インピーダンスまたは他の電気測定値は、医療器具の外部の位置または標的組織から遠隔の位置(たとえば、首、胴および/または脚における患者の皮膚の上の位置)に位置決めされる1つまたは複数のパッチまたは参照電極に電流を通すことを伴わない。
いくつかの実施形態では、医療器具は、本質的に、高周波アブレーションカテーテルからなり、またはそれを含み、第1電極および第2電極または電極部分は高周波電極を含む。信号源は、高周波(RF)発生器を含むことができる。一実施形態では、(たとえば、接触検知サブシステムの)信号源によって送達される周波数の範囲は、少なくとも1kHz〜5MHz(たとえば、5kHz〜1000kHz、10kHz〜500kHz、5kHz〜800kHZ、20kHz〜800kHz、50kHz〜5MHz、100kHz〜1000kHz、およびそれらの部分的に重なる範囲)の範囲を含む。信号源はまた、この範囲を超える周波数、およびこの範囲より小さい周波数を送達するように構成することも可能である。周波数は、第1電極および第2電極または電極部分によって取得される高分解能マッピング画像または機能を干渉しないように、電位図マッピング周波数の少なくとも5倍を超えるかまたは少なくとも10倍を超える可能性がある。一実施形態では、インピーダンス測定値が取得される異なる周波数は、2つの別個の周波数のみからなる。別の実施形態では、異なる周波数は2つ以上の別個の周波数を含む。いくつかの実施形態では、処理デバイスは、周波数の範囲の最小周波数から最大周波数までの周波数の全範囲が電極または電極部分の対に印加される間にインピーダンス測定値を取得するように構成される。一例として、周波数の範囲は5kHz〜1000kHzである。第2周波数は第1周波数と異なる(たとえば、それより高いかまたは低い)可能性がある。いくつかの実施形態によれば、接触検知または判断に使用される周波数は、焼灼周波数の周波数範囲外(たとえば、未満)である。
システムは、組織(たとえば、心臓組織)を焼灼するかまたは治療するのに十分なエネルギーを生成するように電極の対に(場合によっては接地パッドまたは参照電極にも)信号を送達するように構成された焼灼エネルギー源(たとえば、RF発生器等の信号源)を含むことができる。一実施形態では、処理デバイスは、電極の対のうちの少なくとも1つ
が組織と接触しているか否かの判断に基づいて焼灼エネルギーの1つまたは複数のエネルギー送達パラメータを調整するように構成され、かつ/または電極の対のうちの少なくとも1つが組織と接触しているかまたはその組織が失われたか否かの判断に基づいて、エネルギー送達を終了するように構成される。いくつかの実施形態では、焼灼エネルギー源および少なくとも1つの信号源は単一供給源を構成する。他の実施形態では、信号源は第1供給源を含み、焼灼エネルギー源は、第1供給源から分離された別個の第2供給源を含む。いくつかの実施形態では、処理は時間領域で行われる。いくつかの実施形態では、処理は周波数領域で行われる。処理の一部は、時間領域および周波数領域の両方で行うことができる。
いくつかの実施形態では、処理デバイスは、接触を示す出力を生成するように、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に格納された所定のプログラム命令を実行するように構成される。処理デバイスは、生成された出力が処理デバイスと通信するディスプレイ(たとえば、LCDまたはLEDモニタ)に表示されるように構成することができる。さまざまな実施形態では、出力は、テキスト情報、定量的情報(たとえば、数値情報、接触が存在するか否かの二値評価)および/または定性的情報(たとえば、接触のレベルを示す色または他の情報)を含む。いくつかの実施形態では、出力は、1つまたは複数のハプティックデバイスによって生成されるハプティックまたは触覚出力またはフィードバックを含む。ハプティックまたは触覚出力は、医療器具(たとえば、アブレーションカテーテル)のハンドルまたは別個のウェアラブルもしくは携帯用デバイスに提供することができる。ハプティックまたは触覚出力またはフィードバックは、振動、力または他の動きを含むことができる。一実施形態では、ハプティックまたは触覚出力またはフィードバックは、医療器具の操縦可能遠位端部分が操縦されている際に、接触のレベルを示す、使用者によって知覚または感知される反力または抵抗力の量によって提供される。ハプティックまたは触覚出力またはフィードバックは、エネルギー送達前および/またはエネルギー送達中に提供することができる。ハプティック出力またはフィードバックは、電極の対の間のインピーダンス測定値に基づいて、および/または医療器具に沿って1つもしくは複数の温度測定デバイスから受け取られる温度測定値に基づいて、処理デバイスによって行われる接触判断に基づくことができる。たとえば、ハプティック出力またはフィードバックを用いて、接触が発生したこと、接触のレベルもしくは接触のレベルの変化、および/または接触がなくなったかもしくはなくなりかかっている可能性があることを示し得る。処理デバイスは、医療器具(たとえば、電極の対のうちの少なくともの一方)が組織と接触している(たとえば、閾値接触レベルを超えている)か否か、または接触がなくなった(たとえば、閾値接触レベル未満である)という判断に基づいて、1つまたは複数のエネルギー送達パラメータを調整するように構成することができる。
いくつかの実施形態によれば、システムは、ある範囲の周波数を有する信号を送達するように構成された信号源と、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に格納された所定のプログラム命令を実行して、異なる周波数のエネルギーが信号源によって電極の対(たとえば、複合電極、またはスプリットチップ電極アセンブリ)に印加されている間にインピーダンス(たとえば、双極接触インピーダンス)または他の電気測定値を取得し、エネルギーの異なる周波数で取得されたインピーダンス測定値を比較し、電極の対のうちの少なくとも1つと接触している組織が焼灼されたか否かを判断するように構成された処理デバイスとを含む。いくつかの実施形態では、接触判断が行われる周波数の範囲は、5kHz〜1000kHzである。異なる周波数は、一実施形態では2つの別個の周波数からなり、または他の実施形態では2つ以上の別個の周波数を含むことができる。処理デバイスは、周波数の範囲の最小周波数から最大周波数までの周波数(たとえば、5kHz〜1000kHZ)の全範囲が電極の対に印加される間にインピーダンス測定値を取得するように構成することができる。いくつかの実施形態では、インピーダンス測定値の1つの成分(たとえば、インピーダンスの大きさ)が第1周波数で取得され、異なるインピーダンス測定
値の第2成分(たとえば、位相角)が第2周波数で取得される。2つ以上の異なる周波数でのインピーダンスの大きさの測定値の比較(たとえば、インピーダンスの導関数対周波数、インピーダンスのデルタまたは勾配対周波数)を計算することも可能である。2つ以上の異なる周波数における電極の対の間のさまざまなインピーダンス測定値の重み付きの組合せを処理デバイスが計算し、処理デバイスがそれを用いて全体的な接触レベルまたは状態を判断することができる。インピーダンス測定値は、直接取得することができ、または電圧および/または電流測定値等、電気パラメータ測定値に基づいて計算することができる。いくつかの実施形態によれば、インピーダンス測定値は双極インピーダンス測定値を含む。
いくつかの実施形態では、処理デバイスは、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に格納された所定のプログラム命令を実行して、電極の対のうちの少なくとも1つと接触している組織が焼灼されたか否かの判断に基づいて、組織タイプを示す出力を生成するように構成される。処理デバイスは、生成された出力が処理デバイスと通信するディスプレイに表示されるように構成することができる。出力は、テキスト情報、色または他の定性的情報よび数値情報のうちの1つまたは複数を含むことができる。さまざまな実施形態において、処理デバイスは、電極の対と接触している組織が焼灼されたか否かの判断に基づいて1つまたは複数のエネルギー送達パラメータを調整するように構成され、かつ/または電極の対と接触している組織が焼灼されたか否かの判断に基づいて、エネルギー送達を終了するように構成される。
いくつかの実施形態によれば、インピーダンス測定値に少なくとも部分的に基づいて、医療器具が組織と接触しているか否かを判断するシステムは、医療器具の電極の対に異なる周波数を有する信号を送達するように構成された信号源と、電極の対にわたって形成され結果として得られる波形を処理して、第1周波数および第2周波数でインピーダンス測定値を取得し、第2周波数および第1周波数でのインピーダンスの大きさの比を求めるように構成された処理デバイスとを含む。求められた比が接触を示す所定閾値未満である場合、処理デバイスは、コンピュータ可読媒体における格納された命令の実行時に、接触を示す第1出力を生成するように構成される。求められた比が所定閾値を超える場合、処理デバイスは、コンピュータ可読媒体における格納された命令の実行時に、非接触を示す第2出力を生成するように構成される。一実施形態では、信号源は高周波エネルギー源を含む。第1周波数および第2周波数は、5kHz〜1000kHzであり得る。いくつかの実施形態では、信号源は、組織を焼灼するように適合された周波数を有する信号を生成するように構成される。他の実施形態では、システムは、組織を焼灼するように適合された周波数を有する信号を生成するように構成された第2信号源(または焼灼エネルギー源)を含む。組織アブレーションに適合された周波数は、400kHz〜600kHz(たとえば、400kHZ、450kHz、460kHz、480kHZ、500kHz、550kHz、600KHz、400kHz〜500kHz、450kHz〜550kHz、500kHz〜600kHz、またはその部分的に重なる範囲)であり得る。さまざまな実施形態では、所定閾値は0.5〜0.9の値である。波形を処理するステップは、電圧および/または電流測定値を取得することと、電圧および/または電流測定値に基づいてインピーダンス測定値を計算するかまたはインピーダンス測定値を直接取得するステップを含むことができる。
電気測定値(たとえば、インピーダンス測定値)に少なくとも部分的に基づいて、医療器具が標的領域(たとえば、組織)と接触しているか否かを判断する方法は、医療機器の電極または電極部分の対に第1周波数および第2周波数を有する信号を印加するステップと、結果としての波形を処理して第1周波数および第2周波数でのインピーダンス測定値を取得するステップと、第2周波数および第1周波数でのインピーダンスの大きさの間の比を求めるステップとを含むことができる。求められた比が接触を示す所定閾値未満であ
る場合、本方法は接触を示す第1出力を生成するステップを含む。求められた比が所定閾値を超える場合、本方法は、非接触を示す第2出力を生成するステップを含む。本方法は、標的領域(たとえば、心臓組織または他の体内組織)を焼灼するのに十分な焼灼エネルギーが、電極または電極部分の対によって送達されるようにするように適合された信号を印加するステップをさらに含むことができる。
いくつかの実施形態によれば、電気測定値に少なくとも部分的に基づいて、医療器具の遠位部分の標的領域(たとえば、組織)と接触状態を判断するシステムは、複合電極アセンブリの電極部材の対に印加されるように第1周波数および第2周波数を有する少なくとも1つの信号を生成するように構成された信号源を含む。信号源は、接触検知もしくは検出サブシステム、または高周波発生器等のエネルギー送達モジュールの構成要素であり得る。システムはまた、メモリまたは非一時的なコンピュータ可読機構媒体に格納された所定のプログラム命令の実行時に、信号源に対して、電極部材の対に対して少なくとも1つの信号を生成し、印加させるように構成されたプロセッサまたは他のコンピューティングデバイスも含む。信号は、単一のマルチトーン波形もしくは信号、または単一周波数を有する複数の波形もしくは信号であり得る。
プロセッサは、電極の対にわたって形成され結果として得られる波形を処理して、複数の周波数のうちの第1周波数で電気測定値を取得し、電極の対にわたって形成され結果として得られる波形を処理して、複数の周波数のうちの第2周波数で第2電気測定値を取得するように構成することができる。プロセッサは、さらに、第1電気測定値(たとえば、電圧および/または電流測定値)に基づいてインピーダンスの大きさを求め、第2電極測定値に基づいてインピーダンスの大きさおよび位相を求め、第1電気測定値に基づくインピーダンスの大きさ、第1電気測定値および第2電気測定値に基づくインピーダンスの大きさの比、および第2電気測定値に基づく位相を結合する基準に基づいて、医療器具の遠位端部分と標的領域との間の接触の状態を示す接触表示値を計算するように構成される。第1電気測定値および第2電気測定値は、電圧および/または電流測定値、または電極部材の対の間の直接インピーダンス測定値を含むことができる。いくつかの実施形態では、第1電気測定値および第2電気測定値は、電極と組織との間の電気パラメータの直接測定値または結合の度合いを含まないが2つの電極部材間の測定値である。インピーダンス測定値は、電圧測定値および/または電流測定値に基づいて計算することができ、またはインピーダンス測定値を出力するように構成された器具またはデバイスによって直接取得するかまたは測定することができる。インピーダンス測定値は、実数成分および虚数成分からなる複素インピーダンス測定値(たとえば、インピーダンスの大きさおよび位相角測定値または抵抗およびリアクタンス測定値)を含むことができる。いくつかの実施形態によれば、インピーダンス測定値は、2つの電極部材間の双極接触インピーダンス測定値を含む。
いくつかの実施形態では、基準は、第1電気測定値に基づくインピーダンスの大きさと、第1電気測定値および第2電気測定値に基づくインピーダンスの大きさの比と、第2電気測定値に基づく位相との重み付きの組合せを含む。いくつかの実施形態では、基準は、図11および図11Aに関連して記載するような、条件付き判断基準を含む。さまざまな実施形態では、接触状態を判断するために、1つのインピーダンス測定値もしくは計算(たとえば、インピーダンスの大きさのみ、インピーダンスの大きさの値の間の勾配のみ、または位相のみ)または2つのタイプのインピーダンス測定値もしくは計算が使用される。
いくつかの実施形態によれば、インピーダンス測定値に少なくとも部分的に基づいて、医療器具が標的領域(たとえば、組織)と接触しているか否かを判断するシステムは、本質的に、(たとえば、医療器具、カテーテルまたはプローブの遠位端に配置された)電極
の対に対して第1周波数および第2周波数を有する1つまたは複数の信号を生成するように構成された信号源と、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に格納された所定のプログラム命令を実行して、電極の対にわたって形成され結果として得られる波形を処理して、第1周波数および第2周波数でインピーダンス測定値を取得するように構成された処理デバイスとからなり、またはそれらを含む。第1周波数および/または第2周波数でのインピーダンスの大きさが接触を示す所定閾値を超える場合、処理デバイスは、コンピュータ可読記憶媒体の格納された命令の実行時に、接触を示す第1出力を生成するように構成される。第1周波数および/または第2周波数でのインピーダンスの大きさが非接触を示す所定閾値未満である場合、処理デバイスは、コンピュータ可読記憶媒体の格納された命令の実行時に、非接触を示す第2出力を生成するように構成される。波形を処理するステップは、電圧および/または電流測定値を取得するステップと、電圧および/または電流測定値に基づいてインピーダンス測定値を計算するか、またはインピーダンス測定値を直接取得するステップとを含むことができる。
インピーダンス測定値に少なくとも部分的に基づいて、医療器具が標的領域(たとえば、組織)と接触しているか否かを判断する方法は、電極または電極部分の対に第1周波数および第2周波数を有する少なくとも1つの信号(たとえば、マルチトーン波形)を送達するステップと、電極の対にわたって形成され結果として得られる波形を処理して、第1周波数および第2周波数でのインピーダンス測定値を取得するステップとを含む。第1周波数および/または第2周波数でのインピーダンスの大きさが接触を示す所定閾値を超える場合、方法は、接触を示す第1出力を生成するステップを含む。第1周波数および/または第2周波数でのインピーダンスの大きさが非接触を示す所定閾値未満である場合、本方法は、非接触を示す第2出力を生成するステップを含む。本方法は、心臓組織または他の体内組織を焼灼するかまたは処置するのに十分な焼灼エネルギーが、電極の対によって送達されるようにするように適合された信号を印加するステップをさらに含むことができる。
インピーダンス測定値に少なくとも部分的に基づいて、医療器具が標的領域(たとえば、組織)と接触しているか否かを判断する方法は、電極の対に第1周波数および第2周波数を有するマルチトーン波形を含む信号を印加するステップと、結果としての波形を処理して、第1周波数および第2周波数でインピーダンス測定値を取得するステップと、第1周波数および第2周波数でのインピーダンス測定値の値を、血液または血液および生理食塩水混合物の既知のインピーダンス(または他の既知の組織インピーダンス)と比較するステップと、第1周波数および第2周波数でのインピーダンス測定値の値を互いに比較するステップと、前記比較に基づいて、医療器具が組織と接触しているか否かを示す出力を生成するステップとを含むことができる。本方法は、心臓組織または他の体内組織を焼灼するかまたは処置するのに十分な焼灼エネルギーが、電極の対によって送達されるようにするように適合された信号を印加するステップをさらに含むことができる。
インピーダンス測定値に少なくとも部分的に基づいて、医療器具が組織と接触しているか否かを判断するシステムは、(たとえば、スプリットチップ電極カテーテルの遠位端における)電極の対に対する第1周波数および第2周波数を有するマルチトーン波形を生成するように構成された信号源と、処理デバイスとを含むことができる。処理デバイスは、コンピュータ可読記憶媒体の格納された命令の実行時に、結果としての波形を処理して、第1周波数および第2周波数でインピーダンス測定値を取得し、第1周波数および第2周波数でのインピーダンス測定値の値を、血液または血液および生理食塩水混合物の既知のインピーダンスと比較し、第1周波数および第2周波数での前記インピーダンス測定値の値を互いに比較し、および/または前記比較に基づいて、医療器具が組織と接触しているか否かを示す出力を生成するように構成することができる。
いくつかの実施形態によれば、インピーダンス測定値に少なくとも部分的に基づいて、電極または電極部分の対を含む医療器具が標的領域(たとえば、組織)と接触しているか否かを判断する方法は、医療器具の電極の対に複数の周波数を有する少なくとも1つの信号(たとえば、マルチトーン波形)を印加するステップと、電極の対にわたって形成され結果として得られる波形を処理して、複数の周波数のうちの第1周波数および第2周波数でインピーダンス測定値を取得するステップとを含む。周波数の範囲にわたるインピーダンス測定値の変動が、パラメータ値が接触を示すモデルに従う場合、本方法は、接触を示す第1出力を生成するステップを含む。周波数の範囲にわたるインピーダンス測定値の変動が、パラメータ値が非接触を示すモデルに従う場合、本方法は、非接触を示す第2出力を生成するステップを含む。モデルは、図5Bに示すようなフィッティング関数または回路モデルを含むことができる。本方法は、心臓組織または他の体内組織を焼灼するかまたは処置するのに十分な焼灼エネルギーが、電極の対によって送達されるようにするように適合された信号を印加するステップをさらに含むことができる。
インピーダンス測定値に少なくとも部分的に基づいて、医療器具が組織と接触しているか否かを判断するシステムは、電極の対に対する第1周波数および第2周波数を有する少なくとも1つの信号を生成するように構成された信号源と処理デバイスとを含む。処理デバイスは、コンピュータ可読媒体における格納された命令の実行時に、医療器具の電極の対に複数の周波数を有する少なくとも1つの信号を印加し、電極の対にわたって形成され結果として得られる波形を処理して、複数の周波数のうちの第1周波数および第2周波数でインピーダンス測定値を取得するように構成することができる。周波数の範囲にわたるインピーダンス測定値の変動が、パラメータ値が接触を示すモデルに従う場合、プロセッサは、接触を示す第1出力を生成するように構成される。周波数の範囲にわたるインピーダンス測定値の変動が、パラメータ値が非接触を示すモデルに従う場合、プロセッサは、非接触を示す第2出力を生成するように構成される。波形を処理してインピーダンス測定値を取得するステップは、電圧および/または電流測定値を取得するステップと、電圧および/または電流測定値に基づいてインピーダンス測定値を計算するか、またはインピーダンス測定値を直接取得するステップとを含む。
いくつかの実施形態によれば、電極の対を含むアブレーションカテーテルによって組織が焼灼されたか否かを判断する方法が提供される。本方法は、アブレーションカテーテルに沿った電極の対に対して第1周波数および第2周波数を有する1つまたは複数の信号(たとえば、マルチトーン波形)を印加するステップと、電極の対にわたって形成され結果として得られる波形を処理して、第1周波数および第2周波数でインピーダンス測定値を取得するステップとを含む。本方法は、インピーダンスの絶対変化とともにインピーダンスの間の勾配または比を評価するステップを含むことができる。第1周波数および/または第2周波数の第1インピーダンス測定値が血液の既知のインピーダンスレベルより大きい場合、および第1インピーダンス測定値に対する第2インピーダンス測定値の比が所定閾値を超える場合、本方法は、焼灼された組織を示す第1出力を生成するステップを含む。第1周波数および/または第2周波数の第1インピーダンス測定値が血液の既知のインピーダンスレベルより大きい場合、および第1インピーダンス測定値に対する第2インピーダンス測定値の比が所定閾値未満である場合、本方法は、生存組織を示す第2出力を生成するステップを含む。波形を処理してインピーダンス測定値を取得するステップは、電圧および/または電流測定値を取得するステップと、電圧および/または電流測定値に基づいてインピーダンス測定値を計算するか、またはインピーダンス測定値を直接取得するステップとを含むことができる。本方法は、心臓組織または他の体内組織を焼灼するかまたは処置するのに十分な焼灼エネルギーが、電極の対によって送達されるようにするように適合された信号を印加するステップをさらに含むことができる。
いくつかの実施形態では、第1周波数および/または第2周波数でのインピーダンス測
定値の位相は、血液または血液および生理食塩水混合物に対する既知の位相応答と比較され、インピーダンス測定値の大きさの値とともに利用されて、医療器具が組織と接触しているか否かを示す出力を生成する。電極または電極部分の対を含むアブレーションカテーテルによって組織が焼灼されたか否かを判断するシステムは、アブレーションカテーテルに沿った電極の対に対する第1周波数および第2周波数を有する少なくとも1つの信号を生成するように構成された信号源と、処理デバイスとを含むことができる。処理デバイスは、コンピュータ可読記憶媒体における格納された命令の実行時に、電極の対にわたって形成され結果として得られる波形を処理して、第1周波数および第2周波数でインピーダンス測定値を取得するように構成することができる。第1周波数および/または第2周波数での第1インピーダンス測定値が血液の既知のインピーダンスレベルより大きい場合、および第1インピーダンス測定値に対する第2インピーダンス測定値の比が所定閾値を超える場合、処理デバイスは、焼灼された組織を示す第1出力を生成するように構成される。第1インピーダンス測定値に対する第2インピーダンス測定値の比が所定閾値未満である場合、プロセッサは、生存(未焼灼)組織を示す第2出力を生成するように構成される。波形を処理してインピーダンス測定値を取得するステップは、電圧および/または電流測定値を取得するステップと、電圧および/または電流測定値に基づいてインピーダンス測定値を計算するか、またはインピーダンス測定値を直接取得するステップとを含むことができる。
結果として得られる波形を処理するステップは、波形に変換(たとえば、フーリエ変換)を適用してインピーダンス測定値を取得するステップを含むことができる。いくつかの実施形態では、第1周波数および第2周波数は、5kHz〜1000kHzの範囲内にある。一実施形態では、第2周波数は第1周波数より高い。インピーダンス測定値は、同時にまたは逐次に取得することができる。第2周波数は、第1周波数より少なくとも20kHz高い場合がある。一実施形態では、第1周波数は、10kHz〜100kHz(たとえば、10KHz〜30kHZ、15kHz〜40kHz、20kHz〜50kHz、30kHz〜60kHz、40kHz〜80kHz、50kHz〜90kHz、60kHz〜100kHz、それらの部分的に重なる範囲、20kHz、または10kHzおよび100kHzからの任意の値)であり、第2周波数は、400kHz〜1000kHz(たとえば、400kHz〜600kHz、450kHz〜750kHz、500kHz〜800kHz、600kHz〜850kHz、700kHz〜900kHz、800kHz〜1000kHz、それらの部分的に重なる範囲、800kHz、または400〜1000kHzの任意の値)である。所定閾値は、0.5〜0.9の値を有することができる。いくつかの実施形態では、第1出力を生成するステップおよび第2出力を生成するステップは、第1出力または第2出力がディスプレイに(たとえば、1つまたは複数のディスプレイドライバを介して)表示されるようにするステップを含む。出力は、接触状態を示すテキスト情報、定量的測定値および/または定性的評価を含むことができる。いくつかの実施形態では、出力は、接触のレベルに対応する接触力の量(たとえば、力のグラム)を含む。
インピーダンス測定値に少なくとも部分的に基づいて、電極または電極部分の対を有する医療器具が標的領域(たとえば、組織)と接触しているか否かを判断する方法は、ある周波数の範囲内の第1周波数で第1インピーダンス測定値を取得するステップと、当該周波数の範囲内の第2周波数で第2インピーダンス測定値を取得するステップと、当該周波数の範囲内の第3周波数で第3インピーダンス測定値を取得するステップとを含むことができる。周波数の範囲にわたるインピーダンス測定値の変動が接触を示す所定閾値を超える場合、本方法は、接触を示す第1出力を生成するステップを含む。周波数の範囲にわたるインピーダンス測定値の変動が所定閾値未満である場合、本方法は、非接触を示す第2出力を生成するステップを含む。インピーダンス測定値は、電圧および/または電流測定値に基づいて計算することができ、または直接測定されたインピーダンス測定値とするこ
とができる。
周波数の範囲は、5kHz〜5MHz(たとえば、5kHz〜1000kHz、1MHz〜3MHz、2.5MHz〜5MHz、またはそれらの部分的に重なる範囲)であり得る。一実施形態では、第1周波数は、10kHz〜100kHz(たとえば、10KHz〜30kHZ、15kHz〜40kHz、20kHz〜50kHz、30kHz〜60kHz、40kHz〜80kHz、50kHz〜90kHz、60kHz〜100kHz、それらの部分的に重なる範囲、20kHz、または10kHz〜1000kHzの任意の値)であり、第2周波数は、400kHz〜1000kHz(たとえば、400kHz〜600kHz、450kHz〜750kHz、500kHz〜800kHz、600kHz〜850kHz、700kHz〜900kHz、800kHz〜1000kHz、それらの部分的に重なる範囲、800kHz、または400kHz〜1000kHzの任意の値)であり、第3周波数は、20kHz〜800kHzである。所定閾値は、0.5〜0.9の値であり得る。いくつかの実施形態では、第1出力を生成するステップおよび第2出力を生成するステップは、第1出力または第2出力がディスプレイに表示されるようにするステップを含む。出力は、接触状態を示すテキスト情報を含むことができる。一実施形態では、出力は、接触の定量的測定値および/または定性的評価を含むことができる。本方法は、心臓組織または他の体内組織を焼灼するかまたは処置するのに十分な焼灼エネルギーが、電極の対によって送達されるようにするように適合された信号を印加するステップをさらに含むことができる。
いくつかの実施形態によれば、医療処置システムは、近位端部分、遠位端部分、および近位端部分から遠位端部分まで延在する細長い本体を含む医療器具を含む。近位端部分は、術者の手によって把持されるように構成されたハンドルを含む。一実施形態では、ハンドルは、術者によって手動で操作可能な外部操縦アクチュエータと、操縦アクチュエータの移動を検知するように構成されたセンサと、ハンドルに触覚刺激を提供するように構成された触覚刺激要素と、外部操縦アクチュエータの移動に基づいて医療器具の遠位端部分の操縦するように構成された内部操縦作動部材とを含む。システムはまた、術者による外部操縦アクチュエータの動きを示す信号をセンサから受け取り、および反力を発生させ、遠位端部分の操縦をするように、センサからの受け取られた信号に応じて、触覚刺激要素および内部操縦作動部材を作動させる信号を出力するように構成された制御ユニットも含む。
一実施形態では、医療器具はアブレーションカテーテルを含む。外部操縦アクチュエータは、つまみ等の回転可能機構またはプランジャもしくは摺動バー等のプッシュプル(押し引き)機構を含むことができる。要求および/または必要に応じて、操縦を作動させるために他の機構も使用することができる。医療器具の遠位端部分は操縦プレートを含むことができ、ハンドルは操縦キャプスタンを含むことができ、操縦ワイヤが、操縦キャプスタンから操縦プレートまで延在して遠位端部分の操縦をすることができる。いくつかの実施形態では、内部操縦作動部材は、操縦キャプスタンに接続され、センサから受け取られた信号に基づいて操縦キャプスタンの回転を引き起こすように構成された第1モータ(たとえば、パワーステアリングモータ)を含む。制御ユニットは、パワーステアリングモータを作動させるように構成された第1モータドライバを含む。要求および/または必要に応じて、プレートおよびキャプスタン以外の他の操縦部材を代わりに用いることができる。
いくつかの実施形態では、触覚刺激要素は、第2モータ(たとえば、反力モータ)を含む。制御ユニットは、反力モータを作動させてハンドルに反力(または他のハプティック出力もしくはフィードバック)を提供するように構成された第2モータドライバを含むことができる。
いくつかの実施形態では、医療器具の遠位端部分は、第1電極部分と第1電極部分から間隔を空けて配置され絶縁された第2電極部分とを含む高分解能電極アセンブリ(たとえば、スプリットチップ電極アセンブリまたは複合高周波電極)を含む。制御ユニットは、高分解能電極アセンブリから信号を受け取るように構成された接触検出サブシステムまたはモジュールを含み、接触検出サブシステムまたはモジュールの制御ユニット(たとえば、プロセッサ)または別個のプロセッサは、高分解能電極アセンブリからの受け取られた信号に基づいて組織(たとえば、心臓組織)との接触のレベルまたは接触状態を判断し、判断された接触のレベルまたは接触状態に少なくとも部分的に基づいて、反力モータによって提供される反力を調整するように構成する(たとえば、特に、非一時的なコンピュータ可読媒体内または上に格納された命令によりプログラムする)ことができる。制御ユニットは、医療器具の遠位端部分の少なくとも一部と接触している組織のアブレーションを行うのに十分なレベルで高分解能電極アセンブリに高周波電力を印加するように構成された電力送達モジュールをさらに含むことができる。
いくつかの実施形態では、制御ユニット(たとえば、プロセッサ)は、制御ユニットに(たとえば、1つまたは複数のディスプレイドライバを介して)接続されたディスプレイに表示するために接触のレベルを示す出力を生成するように構成される。さまざまな実施形態では、出力は、複数の電気パラメータ測定値(電圧測定値、電流測定値またはインピーダンス測定値等)を接続する1つまたは複数の基準に基づいて求められる接触関数に基づく。一実施形態では、接触関数は、直接測定されるか、または電圧および/または電流測定値に基づいて計算されるインピーダンス(たとえば、双極インピーダンス)測定値の重み付きの組合せを合計することによって求められる。一実施形態では、接触関数は、1つまたは複数の条件付き判断基準に基づく。一実施形態では、インピーダンス測定値は、第1周波数で接触検出サブシステムによって求められた1つまたは複数のインピーダンスの大きさと、第1周波数および第2周波数でのインピーダンスの大きさの比と、第2周波数での複素インピーダンス測定値の位相とによって求められる。第2周波数は、第1周波数より高い可能性がある(たとえば、第1周波数より少なくとも20kHz高い)。いくつかの実施形態では、第1周波数および第2周波数は5kHz〜1000kHzである。一実施形態では、第1周波数は、10kHz〜100kHz(たとえば、10KHz〜30kHZ、15kHz〜40kHz、20kHz〜50kHz、30kHz〜60kHz、40kHz〜80kHz、50kHz〜90kHz、60kHz〜100kHz、それらの部分的に重なる範囲、20kHz、または10kHz〜1000kHzの任意の値)であり、第2周波数は、400kHz〜1000kHz(たとえば、400kHz〜600kHz、450kHz〜750kHz、500kHz〜800kHz、600kHz〜850kHz、700kHz〜900kHz、800kHz〜1000kHz、それらの部分的に重なる範囲、800kHz、または400kHz〜1000kHzの任意の値)であるが、要求および/または必要に応じて他の周波数を使用することができる。いくつかの実施形態では、インピーダンス測定値が取得される周波数は、治療(たとえば、アブレーション)周波数範囲外である。いくつかの実施形態では、フィルタ(バンドパスフィルタ等)を使用して、インピーダンス測定値周波数範囲から治療周波数範囲が分離される。
いくつかの実施形態では、医療器具のハンドルは、動き検出要素(たとえば、加速度計およびジャイロスコープのうちの少なくとも1つ)をさらに含む。いくつかの実施形態では、第1モータは、動き検出要素がハンドルの動きを検出しているときにのみ駆動されるように構成される。
いくつかの実施形態によれば、医療器具の遠位端部分の標的領域、たとえば組織との接触状態を判断する方法は、医療器具の遠位端部分に沿って配置された複合電極アセンブリ
の電極または電極部分の対に複数の周波数を有する少なくとも1つの信号を印加するステップを含む。本方法は、電極の対にわたって形成され結果として得られる波形を処理して、複数の周波数のうちの第1周波数で第1インピーダンス測定値を取得するステップと、電極の対にわたって形成され結果として得られる波形を処理して、複数の周波数のうちの第2周波数で第2インピーダンス測定値を取得するステップとを含む。本方法は、第1インピーダンス測定値の大きさを求めるステップと、第2インピーダンス測定値の大きさおよび位相を求めるステップと、接触関数を(たとえば、非一時的なコンピュータ記憶媒体に格納されたコンピュータプログラムの実行を介して)適用して、医療器具の遠位端部分と標的領域(たとえば、心臓組織)との間の接触の状態を示す接触表示値を計算するステップとを含む。接触関数は、第1インピーダンス測定値の大きさと、第1インピーダンス測定値および第2インピーダンス測定値の大きさの比と、第2インピーダンス測定値の位相との重み付きの組合せを合計することによって求めることができる。さまざまな実施形態では、第1周波数および第2周波数は異なる。一実施形態では、第2周波数は第1周波数より高い。
本方法は、ディスプレイモニタに(たとえば、1つまたは複数のディスプレイドライバを介して)表示されるように接触表示値に対応する出力を生成するステップをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、出力は、定性的出力および/または定量的出力を含む。出力は、0〜1または0〜1.5の数値を含むことができ、1を超える値は過剰な接触を示す。いくつかの実施形態では、出力は、接触力の量(たとえば、接触力のグラム)に対応するパーセンテージ値または数字を含む。出力は、接触状態を示す色および/もしくはパターン、ならびに/またはゲージ、バーもしくはスケールのうちの1つまたは複数を含むことができる。いくつかの実施形態では、出力は、ハプティックまたは他の触覚出力を含む。本方法は、心臓組織または他の体内組織を焼灼するかまたは処置するのに十分な焼灼エネルギーが、電極または電極部分の対によって送達されるようにするように適合された信号を印加するステップをさらに含むことができる。
いくつかの実施形態によれば、電気パラメータ測定値に少なくとも部分的に基づいて、医療器具の遠位端部分の標的領域(たとえば、組織)との接触状態を判断するシステムは、本質的に、複合電極アセンブリの電極部材の対(たとえば、ギャップによって分離された2つの電極部材)に印加される第1周波数および第2周波数を有する少なくとも1つの信号を生成するように構成された信号源からなり、またはそれを含む。本システムはまた、本質的に、(a)信号源に対して、少なくとも1つの信号を生成して電極部材の対に印加させ、(b)電極の対にわたって形成され結果として得られる波形を処理して、第1周波数で第1電気測定値を取得し、(c)電極の対にわたって形成され結果として得られる波形を処理して、複数の周波数のうちの第2周波数で第2インピーダンス測定値を取得し、(d)第1電気測定値に基づいてインピーダンスの大きさを求め、(e)第2電気測定値に基づいてインピーダンスの大きさおよび位相を求め、(f)第1電気測定値に基づくインピーダンスの大きさと、第1電気測定値および第2電気測定値に基づくインピーダンスの大きさの比と、第2電気測定値に基づく位相とを組み合わせる基準に基づいて、医療器具の遠位端部分と標的領域との間の接触の状態を示す接触表示値を計算するように構成された処理デバイスからなり、またはそれを含む。電気測定値は、電圧、電流および/または他の電気パラメータ測定値を含むことができ、そこから、インピーダンス測定値(インピーダンスの大きさまたは位相等)を計算することができ、または電気測定値は、直接取得されたインピーダンス測定値を含むことができる。基準は、第1電気測定値と、第1電気測定値および第2電気測定値に基づくインピーダンス測定値の比と、第2電気測定値に基づく位相との重み付きの組合せを含むことができ、または基準はif−then case条件付き基準を含むことができる。
いくつかの実施形態では、本システムは、高周波アブレーションカテーテルであり得る
医療器具をさらに含む。第1周波数および第2周波数は異なる場合がある。いくつかの実施形態では、第2周波数は第1周波数より高い。他の実施形態では、第2周波数は第1周波数より低い。いくつかの実施形態では、第1周波数および第2周波数は、5kHz〜1000kHz(たとえば、5kHz〜50kHz、10kHz〜100kHz、50kHz〜200kHz、100kHz〜500kHz、200kHz〜800kHz、400kHz〜1000kHz、またはそれらの部分的に重なる範囲)である。さまざまな実施形態では、2つの周波数は、少なくとも20kHz周波数が離れている。
いくつかの実施形態では、プロセッサは、コンピュータ可読媒体内または上に格納された所定の命令の実行時に、ディスプレイモニタに表示する接触表示値に対応する出力を生成するようにさらに構成される。いくつかの実施形態では、出力は、0〜1の数値を含む。いくつかの実施形態では、出力は、定性的出力(接触状態を示す色および/またはパターン等)を含む。いくつかの実施形態では、出力は、ゲージ、バー、メータまたはスケールのうちの1つまたは複数を含む。一実施形態では、出力は、変化する接触のレベルまたは接触状態を示す複数の領域(たとえば、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つ以上の領域またはセグメント)を有する仮想ゲージを含む。複数の領域を異なる色で表すことができる。複数の領域の各々は、変化する接触のレベルを示す数値の異なる範囲に対応することができる。いくつかの実施形態では、出力は、ハプティックまたは触覚出力を含む。
いくつかの実施形態によれば、医療器具の遠位チップの標的領域(たとえば、体内組織)との接触状態を患者モニタに表示するシステムは、患者モニタに表示する出力を生成するように構成されたプロセッサを含む。出力は、患者モニタのグラフィカルユーザインタフェースにおいて生成することができる。一実施形態では、出力は、医療器具によって取得されるインピーダンス測定値に少なくとも部分的に基づいて処理デバイスによって計算される、医療器具の遠位チップと体内組織との間の接触状態を示す接触関数を表示するグラフを含む。グラフは、スクロールする波形であり得る。出力はまた、グラフによって表示される接触関数のリアルタイム数値に対応するリアルタイムの接触状態を示す、グラフから分離したゲージも含む。ゲージは、変化する接触状態を示す複数の領域を含む。いくつかの実施形態では、複数の領域のうちの各領域は、任意選択的に、リアルタイムの接触状態の定性的表示を提供するように異なる色または目盛りで表示される。一実施形態では、ゲージは、3つの領域またはセグメントからなる。3つの領域に対して、赤色、黄色および緑色で着色することができる。別の実施形態では、ゲージは4つの領域またはセグメントからなる。4つの領域に対して、赤色、オレンジ色、黄色および緑色で着色することができる。複数の領域の各々は、現接触状態を示す数値の異なる範囲に対応することができる。ゲージは、接触関数のリアルタイムな数値に対応するゲージにおけるレベルを示すポインタを含むことができる。リアルタイム数値は、0〜1、または0〜1.25、または0〜1.5の範囲とすることができる。1を超える値は、組織の穿孔をもたらす可能性がある過剰な接触を防止する、臨床医に対する「接触警告」を生成することができる。例として、ゲージは、双極インピーダンスの大きさと、双極インピーダンス周波数勾配と、双極インピーダンス位相とに基づいて計算された組織−電極接触の質の接触指標を含むことができる。
出力は、複数の周波数でのインピーダンス測定値の個々の成分(たとえば、インピーダンスの大きさおよび位相)、または2つのインピーダンス測定値(たとえば、2つの異なる周波数でのインピーダンスの大きさ)の比較(たとえば、勾配)の他のグラフまたは波形も含むことができる。
いくつかの実施形態では、接触関数は、第1周波数での第1インピーダンス測定値の大きさと、第1インピーダンス測定値と第1周波数と異なる第2周波数での第2インピーダンス測定値との大きさの比と、第2周波数での第2インピーダンス測定値の位相との重み
付きの組合せに基づいて計算される。一実施形態では、第2周波数は第1周波数より高い。別の実施形態では、第2周波数は第1周波数より低い。第1周波数および第2周波数は、5kHz〜1000kHzであり得る。いくつかの実施形態では、システムは患者モニタをさらに含む。
いくつかの実施形態によれば、複合電極アセンブリの間隔を空けて配置された電極部材の対を有するアブレーションカテーテルの遠位端部分と、標的領域、たとえば組織との間の接触のレベルを評価するシステムは、間隔を空けて配置された電極部材の対に印加される、少なくとも第1周波数および第2周波数を有する信号を生成するように構成された信号源を含む。システムはまた、コンピュータ可読記憶媒体に格納された所定のプログラム命令の実行時に、信号源と間隔を空けて配置された電極部材の対との間に複数のハードウェアコンポーネントを含むネットワーク測定回路からの入力で、ネットワークパラメータを測定するように構成されたプロセッサを含む。プロセッサはまた、ネットワーク測定回路のハードウェアコンポーネントに起因する、測定されたネットワークパラメータ値に対する総合的な影響を求め、総合的な影響を除去して、間隔を空けて配置された電極部材の対の間の補正されたネットワークパラメータ値を生じさせ、補正されたネットワークパラメータ値に少なくとも部分的に基づいて接触のレベルを求めるように構成することも可能である。
いくつかの実施形態では、プロセッサは、表示するための接触レベルを示す出力を生成するように構成されている。信号源は、高周波発生器内またはアブレーションカテーテル内に位置することができる。プロセッサは、少なくともの2つの周波数(たとえば、2つの周波数、3つの周波数、4つの周波数または5つ以上の周波数)でネットワークパラメータを測定するように構成することができる。いくつかの実施形態では、周波数は5kHz〜1000kHzである。2つの周波数を含む実施形態では、第2周波数は、第1周波数より少なくとも20kHz高くすることができる。たとえば、第1周波数は、10kHz〜100kHzとすることができ、第2周波数は400kHz〜1000kHzである。第3周波数は、第1周波数より高く第2周波数より低くすることができる(たとえば、第3周波数は20kHz〜120kHzであり得る)。
ネットワークパラメータは、散乱パラメータまたは他の電気パラメータ(電圧、電流、インピーダンス等)を含むことができる。ネットワークパラメータ値は、たとえば、電圧および電流値、または直接測定されるかもしくは電圧および/または電流値から求められるインピーダンス値を含むことができる。インピーダンス値は、インピーダンスの大きさの値およびインピーダンスの位相の値または抵抗およびリアクタンス値を含むことができる。インピーダンスの大きさの値は、2つ以上の周波数で取得することができ、異なる周波数での大きさの値の間で勾配を求めることができる。インピーダンスの位相の値は、1つまたは複数の周波数で取得することができる。
いくつかの実施形態によれば、間隔を空けて配置された電極部材の対を有するアブレーションカテーテルの遠位端部分の接触レベルの判断を評価する方法は、信号源と間隔を空けて配置された電極部材の対との間のハードウェアコンポーネントのネットワークパラメータ回路の入力においてネットワークパラメータを測定するステップを含む。本方法はまた、ハードウェアコンポーネントに起因する、ネットワークパラメータから求められる測定されたネットワークパラメータ値に対する総合的な影響を求めるステップと、総合的な影響を除去して、間隔を空けて配置された電極部材の対の間の補正されたネットワークパラメータ値を生じさせるステップと、補正されたネットワークパラメータ値に少なくとも部分的に基づいて接触のレベルを求めるステップとを含む。
ネットワークパラメータを測定するステップは、複数の周波数でネットワークパラメー
タを測定するステップを含むことができる。いくつかの実施形態では、ネットワークパラメータ回路のハードウェアコンポーネントに起因する、測定されたネットワークパラメータ値に対する総合的な影響を求めるステップは、各個々のハードウェアコンポーネントに関連するネットワークパラメータを測定するステップを含む。いくつかの実施形態では、ネットワークパラメータ回路のハードウェアコンポーネントに起因する、測定されたネットワークパラメータ値に対する総合的な影響を求めるステップは、個々のハードウェアコンポーネントのネットワークパラメータを結合して複数の周波数での全体的なネットワークパラメータにするステップを含む。間隔を空けて配置された電極部材の対の間で実際のネットワークパラメータ値を隔離するように総合的な影響を除去するステップは、測定された入力反射係数から全体的なネットワークパラメータを取り除いて、実際のネットワークパラメータ値に対応する実際の反射係数をもたらすステップを含むことができる。いくつかの実施形態では、本方法は、プロセッサによって自動的に行われる。本方法は、心臓組織または他の体内組織を焼灼するかまたは処置するのに十分な焼灼エネルギーが、間隔を空けて配置された電極部材の対によって送達されるようにするように適合された信号を印加するステップをさらに含むことができる。
いくつかの実施形態によれば、システムは、少なくとも第1周波数および第2周波数を有する信号を、医療器具(たとえば、高周波アブレーションカテーテル)の遠位端部分に沿って配置された複合電極アセンブリの電極部材の対(たとえば、間隔を空けて配置された電極部材の対)に送達するように構成された信号源(たとえば、高周波エネルギーまたは励起信号源)を含む。システムの実施形態はまた、コンピュータ可読記憶媒体に格納された所定のプログラム命令の実行時に、信号源が信号を生成し、電極部材の対に印加するようにし、少なくとも第1周波数および第2周波数を有する信号が電極部材の対に印加されている間に、電極部材の対の間の電気測定値(たとえば、直接測定されるか、または電圧測定値および/もしくは電流測定値から計算されるか、または求められる双極接触インピーダンス測定値)を取得し、第1周波数および第2周波数で取得された電気測定値を処理し、電気測定値の前記処理に基づいて、複合電極アセンブリが組織と接触しているか否かを判断するように構成された処理デバイス(たとえば、専用プロセッサ)も含む。処理デバイスは、接触を示す出力を生成するように構成されている。出力は、本明細書に記載する任意のタイプの出力(たとえば、視覚、可聴および/または触覚)を含むことができ、処理デバイスと通信するディスプレイに出力することができる。システムの実施形態は、信号源および処理デバイスを含む接触検知サブシステムを含むことができる。システムはまた、本明細書に記載するように標的領域を焼灼するために、電力を生成し複合電極アセンブリに印加するように構成された焼灼エネルギー源も含むことができる。処理デバイスは、複合電極アセンブリが組織と接触しているか否かの判断に基づいて焼灼エネルギーの1つまたは複数のエネルギー送達パラメータを調整し、かつ/または複合電極アセンブリが組織と接触しているか否かの判断に基づいてエネルギー送達を終了するように構成する(たとえば、特にプログラミングする)ことができる。いくつかの実施形態では、焼灼エネルギー源および信号源は単一の供給源を含む。いくつかの実施形態では、信号源は第1供給源を含み、焼灼エネルギー源は、第1供給源から分離された別個の第2供給源を含む。いくつかの実施形態では、接触検知サブシステムはエネルギー送達装置内に位置する。信号源および焼灼エネルギー源が別個の供給源であるいくつかの実施形態では、接触検知サブシステムは、焼灼エネルギー源も収容するハウジング内に位置する。
システムの実施形態は、任意選択的に医療器具自体を含む。医療器具は、近位端および遠位端を有する細長い本体を含むアブレーションカテーテルから本質的に構成されるかまたはそれを含むことができ、エネルギー送達装置は、複合電極アセンブリを含む。複合電極アセンブリは、細長い本体に沿って(たとえば、遠位先端に)配置された第1電極部材と、第1電極部材に隣接して配置された第2電極部材(たとえば、2つの電極部材を絶縁するのに十分な間隙によって間隔を空けて配置されている)とを含む。2つの電極部材は
、(たとえば)対象者の組織と接触するような位置決め、形状、サイズ、および/または設計とすることができる。複合電極アセンブリはまた、第1電極部材と第2電極部材との間に配置された絶縁ギャップも含み、絶縁ギャップは、第1電極部材および第2電極部材を分離するギャップ幅を含む。
いくつかの実施形態では、システムの処理デバイスは、第1周波数で信号から取得される第1電気測定値に基づいてインピーダンスの大きさの値を求め、第2周波数で信号から取得される第2電気信号に基づいてインピーダンスの大きさ値およびインピーダンス位相角値を求めるように構成されている。いくつかの実施形態では、処理デバイスは、第1電気測定値に基づくインピーダンスの大きさの値と、第1電気測定値および第2電気測定値に基づくインピーダンスの大きさ値の比と、第2電気測定値に基づくインピーダンス位相とを組み合わせる基準に基づいて、医療器具の遠位端部分と標的領域との間の接触状態を示す接触表示値を計算するように構成されている。基準は、第1電気測定値に基づくインピーダンスの大きさと、第1電気測定値および第2電気測定値に基づくインピーダンスの大きさの値の比と、第2電気測定値に基づくインピーダンス位相値との重み付きの組合せを含むことができ、または基準は、条件付き判断基準を含むことができる。いくつかの実施形態では、生成され電極の対に印加される信号は、2つの電極部材間の双極接触測定を促進するように標的領域から遠隔のパッチ電極まで進まない。
本明細書に記載するように、システムの実施形態の処理デバイスは、信号源と電極部材の対との間に複数のハードウェアコンポーネントを含むネットワーク測定回路の入力においてネットワークパラメータを測定し、ネットワーク測定回路のハードウェアコンポーネントに起因する、測定されたネットワークパラメータ値に対する総合的な影響を求め、総合的な影響を除去して、電極部材の対の間の補正されたネットワークパラメータ値を生じさせ、補正されたネットワークパラメータ値に少なくとも部分的に基づいて、電極部材の対と組織との間の接触レベルを求めるように構成することができる。第1印加周波数は、10kHz〜100kHzとすることができ、第2印加周波数は、400kHz〜1000kHzとすることができる。いくつかの実施形態では、信号源は、間隔を空けて配置された電極部材の対に印加される、第3周波数を有する信号を生成するようにさらに構成され、処理デバイスは、第3周波数でネットワークパラメータを測定するようにさらに構成される。いくつかの実施形態では、第3周波数は、第1周波数より高く第2周波数より低い。さまざまな実施形態において、第3周波数は、20kHz〜120kHzである。ネットワークパラメータは、散乱パラメータまたはインピーダンスパラメータであり得る。ネットワークパラメータ値は、双極インピーダンスの大きさの値、双極インピーダンス位相値、および/または異なる周波数でのインピーダンスの大きさの値の双極勾配値からなるインピーダンス値であり得る。
いくつかの実施形態によれば、キットは、焼灼エネルギー源を含む高周波発生器と、アブレーションカテーテルであって、アブレーションカテーテルの遠位端部分に沿って配置されたギャップによって分離された電極部材の対を含むアブレーションカテーテルと、少なくとも2つの異なる周波数を有する信号を生成し電極部材の対に印加するように構成された信号源、および少なくとも2つの異なる周波数を有する信号が印可されている間に、電極部材の対の間の電気測定値に少なくとも部分的に基づいて、電極部材の対と標的組織との間の接触レベルを求めるように構成されたプロセッサを含む接触検知サブシステムとを含む。
キットの接触検知サブシステムは、高周波発生器内に収容することができ、または高周波発生器から分離した構成要素であり得る。キットは、任意選択的に、アブレーションカテーテルを高周波発生器に接続しかつ/またはアブレーションカテーテルを接触検知サブシステムに接続する電気ケーブルをさらに含むことができる。高周波発生器は、一体化さ
れたディスプレイを含むことができ、接触検知サブシステムは、ディスプレイに対する接触レベルを示す出力を生成するように構成することができる。
処理デバイス(たとえば、プロセッサまたはコントローラ)は、メモリまたは非一時的な記憶媒体内に格納された命令の実行時に、本明細書に列挙した動作を実行するように構成することができる。上に概説しさらに詳細に後述する方法は、医師によって行われる行為について記載している場合があるが、それらは、他者によるそれらの行為の命令も含む可能性があることが理解されるべきである。たとえば、「エネルギー送達を終了すること」等の行為は、「エネルギー送達の終了を命令すること」を含む。本発明の実施形態のさらなる態様について、本明細書の以下の部分において考察する。図面に関して、1つの図の要素を他の図の要素と組み合わせることができる。
本出願のこれらおよび他の特徴、態様および利点について、本明細書に開示する概念を例示するように意図されているが限定するようには意図されていない、いくつかの実施形態の図面を参照して説明する。添付図面は、本明細書に開示する実施形態のうちの少なくともいくつかの概念を例示する目的で提供されており、正確な縮尺ではない可能性がある。
いくつかの実施形態によれば、本明細書では、高分解能マッピングおよび高周波アブレーションに使用することができる電極または電極アセンブリ(たとえば、高周波、すなわちRF電極)のさまざまな実装形態について開示する。たとえば、本明細書においてより詳細に考察するように、アブレーションまたは他のエネルギー送達システムは、高分解能設計または複合電極設計を含むことができ、そこでは、エネルギー送達部材(たとえば、高周波電極、レーザ電極、マイクロ波伝送電極)は、2つ以上の別個の電極または電極部材もしくは部分を含む。本明細書において同様に考察するように、いくつかの実施形態では、こうした別個の電極または電極部分は、有利には、(たとえば、標的組織の所望の加熱またはアブレーションをまとめてもたらすように)互いに電気的に接続することができる。さまざまな実施形態において、複合電極またはスプリットチップ設計を活用して、電極または他のエネルギー送達部材の1つまたは複数の部分が組織(たとえば、心内膜組織)と接触しているか否か、および/または接触した組織が焼灼されたか否かを判断する(たとえば、組織が生存可能であるか否かを判断する)ことができる。したがって、高分解能電極または複合電極は、組織に対して、こうした組織に/こうした組織から熱を伝達することができる焼灼エネルギーまたは他のエネルギーを送達することができる一方で、隣接する組織の正確なマッピングデータを取得することができる任意の電極として定義され、限定なしにスプリットチップRF電極、他の近接して向けられた電極または電極部分等を含む。
本発明のいくつかの実施形態は、以下の利点のうちの1つ、いくつかまたはすべてを含むため、特に有利である:(i)容易に確かめることができる実際の組織接触の確認、(ii)容易に確かめることができる焼灼済み組織対未焼灼(生存可能)組織との接触の確認、(iii)本発明はいかなる専用のセンサも不要であるために低コストであること、(iv)放射測定の使用が不要であること、(v)使用者に複数の形式の出力またはフィードバックを提供すること、(vi)使用者がディスプレイを観る必要なしに使用者に出力を提供すること、(vii)近位縁加熱の低減および焦げ形成の可能性の低減、(viii)組織接触を検知または検出するために遠隔パッチ電極の使用が不要であること、および/または(ix)より安全でより信頼性の高いアブレーション処置を提供すること。
図1は、標的組織(たとえば、心臓組織、肺静脈、他の血管または器官等)を選択的に焼灼し、刺激し、調整し、かつ/または加熱もしくは処置するように構成された治療システム10の一実施形態を概略的に示す。本明細書に開示するいくつかの実施形態は、アブレーションシステムおよび方法に関して記載するが、システムおよび方法のうちの任意のものを用いて、要求または必要に応じて、部分的または完全なアブレーションがあってもなくても、組織を刺激し、調整し、加熱し、かつ/または組織に影響を与えることができる。図示するように、システム10は、医療器具20(たとえば、カテーテル)を含むことができ、それは、その医療器具20の遠位端に沿って1つまたは複数のエネルギー送達部材30(たとえば、高周波電極)を含む。医療器具は、治療されている対象者を通して管腔内に(たとえば、血管内に)通されるようなサイズ、形状、および/または構成することができる。さまざまな実施形態では、医療器具20は、検査、診断、撮像、および/または組織アブレーション等の処置に対して構成されたカテーテル、シャフト、ワイヤおよび/または他の細長い器具を含む。他の実施形態では、医療器具20は、血管内に配置されず、腹腔鏡または観血手術を介して血管外に配置される。さまざまな実施形態では、医療器具20は、カテーテル、シャフト、ワイヤおよび/または他の細長い器具を含む。いくつかの実施形態では、医療器具20の遠位端に、またはその細長いシャフトに沿ってもしくはそのハンドル内に1つまたは複数の温度測定デバイスまたはシステム60(たとえば、熱電対、サーミスタ、放射計)を含めることができる。「遠位端」という用語は、必ずしも遠位先端または遠位端を意味するとは限らない。遠位端は、遠位先端、または遠位先端から間隔が空けられているが、概して医療器具20の遠位端部分における位置を意味することができる。医療器具20は、任意選択的にマッピング電極を含むことができる。
いくつかの実施形態では、医療器具20は、1つまたは複数の装置または構成要素に動作可能に接続される。たとえば、図1に示すように、送達モジュール40(エネルギー送達モジュール等)に医療器具20を接続することができる。いくつかの構成によれば、送達モジュール40は、医療器具20に沿って配置されたエネルギー送達部材30(たとえば、高周波電極)に選択的に通電しかつ/または作動させるように構成されたエネルギー発生装置42を含む。いくつかの実施形態では、たとえば、エネルギー発生装置42は、高周波発生器、超音波エネルギー源、マイクロ波エネルギー源、レーザ/光源、別のタイプのエネルギー源または発生器等、およびそれらの組合せ等の1つまたは複数の信号源を含む。他の実施形態では、エネルギー発生装置42は、極低温流体または温度を変調する他の流体等、流体源に置き換えられるかまたはそれに加えて使用される。同様に、本明細書で用いる送達モジュール(たとえば、送達モジュール40)は、極低温装置または温度変調に対して構成された他の装置でもあり得る。
図1の概略図を続けて参照すると、エネルギー送達モジュール40は、たとえば、タッチスクリーンデバイス、スクリーンまたは他のディスプレイ、コントローラ(たとえば、ボタン、つまみ、スイッチ、ダイヤル等)、キーパッド、キーボード、マウス、ジョイスティック、トラックパッドまたは他の入力デバイス等、1つまたは複数の入出力デバイス
またはコンポーネント44を含むことができる。こうしたデバイスにより、医師または他の使用者は、システム10に情報を入力しかつ/またはシステム10から情報を受け取ることができる。いくつかの実施形態では、出力デバイス44は、(たとえば、プロセッサ46によって生成される1つまたは複数のグラフィカルユーザインタフェースにおいて)組織温度情報、接触情報、他の測定情報および/もしくは他のデータ、または特定の治療処置を調節するために有用であり得る指標を提供する、ディスプレイモニタまたは他のディスプレイを含むことができる。入出力デバイスまたはコンポーネント44は、電気生理学モニタおよび/またはマッピングもしくはナビゲーションシステムを含むことができる。いくつかの実施形態では、入力デバイスまたはコンポーネントは、出力デバイスまたはコンポーネントに組み込まれる。たとえば、タッチスクリーン入力インタフェースまたは入力キーパッドもしくはつまみもしくはスイッチは、ディスプレイモニタまたはエネルギー送達モジュール40(たとえば、発生器または制御ユニット)に組み込むことができる。いくつかの実施形態では、出力デバイスは、ハプティックフィードバックを促進するようにハプティックデバイスを含む。
いくつかの実施形態によれば、送達モジュール40は、治療システム10の1つまたは複数の態様を調節するように構成されるプロセッサ46(たとえば、処理または制御ユニット)を含む。送達モジュール40はまた、システム10の動作に関連する動作パラメータおよび/または他のデータを格納するために使用することができる、メモリユニットまたは他の記憶デバイス48(たとえば、非一時的コンピュータ可読媒体)も含むことができる。いくつかの実施形態では、プロセッサ46は、接触検知および/または組織タイプ検出モジュールもしくはサブシステムを含み、またはそれと通信する。接触検知サブシステムまたはモジュールは、医療器具20のエネルギー送達部材30が組織と接触(たとえば、有効なエネルギー送達を提供するのに十分に接触)しているか否かを判断するように適合させることができる。組織タイプ検出モジュールまたはサブシステムは、1つまたは複数のエネルギー送達部材30と接触している組織が焼灼されたかまたは処置されたか否かを判断するように適合させることができる。いくつかの実施形態では、システム10は接触検知サブシステム50を含む。接触検知サブシステム50は、プロセッサ46に通信可能に接続することができ、かつ/または別個のコントローラまたはプロセッサおよびメモリまたは他の記憶媒体を含む。接触検知サブシステム50は、接触検知機能および組織タイプ判断機能の両方を行うことができる。接触検知サブシステム50は、(図1に概略的に示すように)システムの分離した独立型サブコンポーネントである場合があり、またはエネルギー送達モジュール40または医療器具20に組み込まれる場合がある。接触検知サブシステムに関するさらなる詳細については後述する。
いくつかの実施形態では、プロセッサ46は、1つまたは複数の動作方式に基づいて、エネルギー発生装置42から医療器具20のエネルギー送達部材30へのエネルギーの送達を自動的に調節するように適合される。たとえば、特に、治療されている組織の検出された温度、組織が焼灼されたと判断されるか否か、またはエネルギー送達部材30が治療すべき組織と接触(たとえば、「十分に」接触、または閾値レベルを超えて接触)していると判断されるか否かに基づいて、エネルギー送達部材30に提供されるエネルギー(したがって、標的組織にまたは標的組織から伝達される熱の量)を調節することができる。
いくつかの実施形態によれば、治療システム10は、たとえば、基準温度デバイス(たとえば、熱電対、サーミスタ、放射計等)、組織温度測定デバイス(たとえば、熱電対、サーミスタ、放射計等)等、1つまたは複数の温度検出デバイスを含むことができる。温度測定デバイス、システムおよび/またはシステムの他の構成要素は、医療器具の治療またはモニタリング部分(たとえば、高分解能電極アセンブリを含むカテーテルの遠位端部分)の向きを検出するように、(たとえば、組織表面に対する)ある深さにおけるピーク(たとえば、高いまた山、低いまたは谷等)温度を求める(たとえば、検出する)のに役
立つように構成することができる。いくつかの実施形態では、アブレーション部材(たとえば、RF電極)に沿っておよび/またはその近くに位置する温度測定デバイス(たとえば、センサ、熱電対)は、アブレーション部材と標的組織との間に接触がなされているか否か(および/またはこうした接触がどの程度までなされているか)の判断に役立つことができる。いくつかの実施形態では、こうしたピーク温度は、放射測定を用いることなく求められる。本明細書に記載する医療器具(たとえば、カテーテル)は、医療器具(たとえば、アブレーションカテーテル)の特徴または構成要素のうちの任意のもの(長さに沿って軸方向にかつ/または円周方向に間隔を空けて配置された複数の温度測定デバイス群等)を組み込むことができる。いくつかの実施形態では、温度測定デバイスの第1群は、複合電極アセンブリの遠位側電極部材に沿って配置され、温度測定デバイスの第2群は、複合電極アセンブリの近位側電極部材に沿ってまたはそれに隣接して配置される。温度測定デバイスは、電極部材自体の温度を測定しないように電極部材から断熱することができる。
続けて図1を参照すると、いくつかの実施形態では、治療システム10は、灌注流体システム70を含む(または灌注流体システム70と流体連通して配置されるように適合される)。いくつかの実施形態では、図1に概略的に示すように、こうした流体システム70は、エネルギー送達モジュール40および/またはシステム10の他の構成要素から少なくとも部分的に分離している。しかしながら、他の実施形態では、灌注流体システム70は、エネルギー送達モジュール40に少なくとも部分的に組み込まれる。灌注流体システム70は、カテーテル20の1つもしくは複数の内腔または他の通路を通して流体(たとえば、生理食塩水等の生体適合性流体)を選択的に移動させるように構成される1つもしくは複数のポンプまたは他の流体移送装置を含むことができる。こうした流体を用いて、使用中にエネルギー送達部材30を選択的に冷却する(たとえば、エネルギー送達部材30から熱を逃す)ことができる。他の実施形態では、システム10は灌注流体システム70を含まない。
図2Aは、医療器具(たとえば、カテーテルまたは他の細長い部材)20の遠位端の一実施形態を示す。図示するように、医療器具(たとえば、カテーテル)20は、高分解能、複合電極(たとえば、スプリットチップ)設計を含むことができ、ギャップGによって分離される2つの隣接する電極または2つの隣接する電極部材もしくは部分30A、30Bがある。いくつかの実施形態によれば、図2Aの構成に示すように、異なる電極または電極部分30A、30Bの相対的な長さを変更することができる。たとえば、近位側電極30Bの長さは、要求または必要に応じて、遠位側電極30Aの長さの1〜20倍(たとえば、1〜2倍、2〜3倍、3〜4倍、4〜5倍、5〜6倍、6〜7倍、7〜8倍、8〜9倍、9〜10倍、10〜11倍、11〜12倍、12〜13倍、13〜14倍、14〜15倍、15〜16倍、16〜17倍、17〜18倍、18〜19倍、19〜20倍、上記範囲の間の値等)であり得る。他の実施形態では、近位側電極30Bの長さは、遠位側電極30Aの20倍(たとえば、20〜25倍、25〜30倍、30倍を超える等)より大きい場合がある。さらに他の実施形態では、遠位側電極30Aおよび近位側電極30Bの長さは略等しい。いくつかの実施形態では、遠位側電極30Aは、(たとえば、1〜2倍、2〜3倍、3〜4倍、4〜5倍、5〜6倍、6〜7倍、7〜8倍、8〜9倍、9〜10倍、10〜11倍、11〜12倍、12〜13倍、13〜14倍、14〜15倍、15〜16倍、16〜17倍、17〜18倍、18〜19倍、19〜20倍、上記範囲の間の値等)近位側電極30Bより長い。
いくつかの実施形態では、遠位側電極または電極部分30Aは、0.9mm長である。他の実施形態では、遠位側電極または電極部分30Aは、0.1mm〜1.5mm長(たとえば、0.1〜0.2mm、0.2〜0.3mm、0.3〜0.4mm、0.4〜0.5mm、0.5〜0.6mm、0.6〜0.7mm、0.7〜0.8mm、0.8〜0.
9mm、0.9〜1.0mm、1.0〜1.1mm、1.1〜1.2mm、1.2〜1.3mm、1.3〜1.4mm、1.4〜1.5mm、上記範囲の間の値等)である。他の実施形態では、要求または必要に応じて、遠位側電極または電極部分30Aは、長さが1.5mmより大きい。いくつかの実施形態では、近位側電極または電極部分30Bは、2〜4mm長(たとえば、2〜2.5mm、2.5〜3mm、3〜3.5mm、3.5〜4mm、上記範囲の間の長さ等)である。しかしながら、他の実施形態では、要求または必要に応じて、近位側電極部分30Bは、4mmより大きい(たとえば、4〜5mm、5〜6mm、6〜7mm、7〜8mm、8〜9mm、9〜10mm、10mmより大きい等)か、または1mmより小さい(たとえば、0.1〜0.5mm、0.5〜1mm、1〜1.5mm、1.5〜2mm、上記範囲の間の長さ等)。高分解能(たとえば、スプリットチップ)電極または部分がカテーテルシャフトに位置する実施形態では、電極の長さは1mm〜5mm(たとえば、1〜2mm、2〜3mm、3〜4mm、4〜5mm、上記範囲の間の長さ等)であり得る。しかしながら、他の実施形態では、要求または必要に応じて、電極または部分は、5mmより長い(たとえば、5〜6mm、6〜7mm、7〜8mm、8〜9mm、9〜10mm、10〜15mm、15〜20mm、上記範囲の間の長さ、20mmより大きい長さ等)場合がある。
いくつかの実施形態によれば、複合電極(たとえば、スプリットチップ)設計の使用により、使用者は、単一構成で同時に標的組織を焼灼するかまたは熱的に処置し、(たとえば、高分解能マッピングを用いて)マッピングすることができる。したがって、こうしたシステムは、処置中に(たとえば、所望のレベルの治療が行われたことを確認するために)精密な高分解能マッピングを有利に可能にすることができる。いくつかの実施形態では、2つの電極または電極部分30A、30Bを含む高分解能設計を用いて、高分解能双極電位図を記録することができる。こうした目的で、2つの電極または電極部分30A、30Bを電気生理学(EP)レコーダの入力に接続することができる。いくつかの実施形態では、電極または電極部分30A、30B間の比較的小さい分離距離(たとえば、ギャップG)により、高分解能マッピングが可能になる。
いくつかの実施形態では、電極または電極部分30A、30Bは、高周波電極であり、たとえば、ステンレス鋼、白金、白金−イリジウム、金、金めっき合金等、1つまたは複数の金属を含む。いくつかの実施形態によれば、図2Aに示すように、電極または電極部分30A、30Bは、ギャップ(たとえば、絶縁ギャップ)を用いて互いから(たとえば、長手方向にまたは軸方向に)間隔を空けて配置される。いくつかの実施形態では、ギャップGの長さ(すなわち、隣接する電極または電極部分の間の離隔距離)は0.5mmである。他の実施形態では、ギャップG、すなわち離隔距離は、要求または必要に応じて、たとえば、0.1〜1mm等(たとえば、0.1〜0.2mm、0.2〜0.3mm、0.3〜0.4mm、0.4〜0.5mm、0.5〜0.6mm、0.6〜0.7mm、0.7〜0.8mm、0.8〜0.9mm、0.9〜1.0mm、上記範囲の間の値、0.1mmより小さい、1mmより大きい等)、0.5mmより大きいかまたは小さい。
いくつかの実施形態によれば、図2Aに示すように、隣接する電極または電極部分30A、30B間のギャップG内にセパレータ34が配置される。セパレータは、たとえば、テフロン(登録商標)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド樹脂(たとえば、ULTEMTM(登録商標))、ダイヤモンド(たとえば、工業用グレードダイヤモンド)、セラミック材料、ポリイミド等、1つまたは複数の絶縁材料を含むことができる。
隣接する電極または電極部分を分離するギャップGに関して上述したように、絶縁セパレータ34は、0.5mm長さであり得る。他の実施形態では、セパレータ34の長さは、要求または必要に応じて、0.5mmより大きいかまたは0.5mmより小さい(たと
えば、0.1〜0.2mm、0.2〜0.3mm、0.3〜0.4mm、0.4〜0.5mm、0.5〜0.6mm、0.6〜0.7mm、0.7〜0.8mm、0.8〜0.9mm、0.9〜1.0mm、上記範囲の間の値、0.1mmより小さい、1mmより大きい等)場合がある。
いくつかの実施形態によれば、本明細書においてより詳細に考察するように、図2Aに示すもの等、高分解能(たとえば、スプリットチップ)電極設計で対象者の標的組織を適切に焼灼しまたは加熱もしくは処理するために、2つの電極または電極部分30A、30Bは、RF治療(たとえば、アブレーション)周波数で互いに電気的に接続される。したがって、2つの電極または電極部分は、有利には、RF治療周波数で単一のより長い電極として機能することができる。
図示するように、電極部分のうちの一方(たとえば、遠位側電極)30Aは、エネルギー送達モジュール40(たとえば、RF発生器)に電気的に接続することができる。本明細書において考察するように、モジュール40は、たとえば、エネルギー部材(たとえば、RF電極)に選択的に通電しかつ/またはそれを活性化するように構成されたエネルギー発生装置、1つまたは複数の入出力デバイスまたはコンポーネント、治療システムの1つまたは複数の態様を調節するように構成されるプロセッサ(たとえば、処理または制御デバイス)、メモリ等、1つまたは複数の構成要素または特徴を有することができる。さらに、こうしたモジュールは、要求または必要に応じて、手動でまたは自動的に操作されるように構成することができる。
図2Bおよび図2Cは、高分解能チップ設計を組み込んだカテーテルシステム100、200の異なる実施形態を示す。たとえば、図2Bでは、電極の遠位端に沿った電極(または高周波電極)は、第1または遠位側電極または電極部分110と第2または近位側電極または電極部分114とを含む。図示し他の構成に関して本明細書においてより詳細に考察するように、高分解能チップ設計100は、第1電極または電極部分110と第2電極または電極部分114との間にギャップGを含む。いくつかの構成では、第2または近位側電極または電極部分114は、概して、第1または遠位側電極または電極部分110より長い。たとえば、近位側電極114の長さは、要求または必要に応じて、遠位側電極110の長さの1〜20倍(たとえば、1〜2倍、2〜3倍、3〜4倍、4〜5倍、5〜6倍、6〜7倍、7〜8倍、8〜9倍、9〜10倍、10〜11倍、11〜12倍、12〜13倍、13〜14倍、14〜15倍、15〜16倍、16〜17倍、17〜18倍、18〜19倍、19〜20倍、上記範囲の間の値等)であり得る。他の実施形態では、近位側電極の長さは、遠位側電極の20倍より大きい(たとえば、20〜25倍、25〜30倍、30倍より大きい等)場合がある。さらに他の実施形態では、遠位側電極および近位側電極の長さは略等しい。しかしながら、いくつかの実施形態では、遠位側電極110は、(たとえば、1〜2倍、2〜3倍、3〜4倍、4〜5倍、5〜6倍、6〜7倍、7〜8倍、8〜9倍、9〜10倍、10〜11倍、11〜12倍、12〜13倍、13〜14倍、14〜15倍、15〜16倍、16〜17倍、17〜18倍、18〜19倍、19〜20倍、上記範囲の間の値等、1〜20倍)近位側電極114より長い。
図2Bに図示しかつ上述したように、電極または電極部分110、114は、それらの正確な設計、相対長さ径、向きおよび/または他の特徴に関わらず、ギャップGで分離することができる。ギャップGは、相対的に小さい絶縁ギャップまたは空間を含むことができる。いくつかの実施形態では、第1電極または電極部分110と第2電極または電極部分114との間に絶縁セパレータ118を隙間なく配置することができる。いくつかの実施形態では、セパレータ118は、約0.5mmの長さを有することができる。しかしながら、他の実施形態では、セパレータ118の長さは、要求または必要に応じて、0.5mmより大きいかまたは小さい(たとえば、0.1〜0.2mm、0.2〜0.3mm、
0.3〜0.4mm、0.4〜0.5mm、0.5〜0.6mm、0.6〜0.7mm、0.7〜0.8mm、0.8〜0.9mm、0.9〜1.0mm、上記範囲の間の値、0.1mmより小さい、1mmより大きい等)場合がある。セパレータは、1つまたは複数の絶縁材料(たとえば、金属または合金の導電率より約1000以下(たとえば、500〜600、600〜700、700〜800、800〜900、900〜1000、1000〜1100、1100〜1200、1200〜1300、1300〜1400、1400〜1500、上記範囲の間の値、500より小さい、1500を超える等)低い導電性を有する材料)を含むことができる。セパレータは、たとえば、テフロン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリオキシメチレン、アセタール樹脂またはポリマー等の1つまたは複数の絶縁材料を含むことができる。
図2Bに示すように、セパレータ118は、形状を円筒状とすることができ、隣接する電極または電極部分110、114と同一かまたは同様の直径および構成を有することができる。したがって、いくつかの実施形態では、電極または電極部分110、114およびセパレータ118によって形成される外面は、概して均一または平滑であり得る。しかしながら、他の実施形態では、セパレータ118の形状、サイズ(たとえば直径)および/または他の特徴は、特定の用途または使用に対する要求または必要に応じて、隣接する電極または電極部分110、114のうちの1つまたは複数と異なる可能性がある。
図2Cは、対応するギャップG1、G2によって分離された3つ以上の電極または電極部分210、212、214を有するシステム200の実施形態を示す。こうした追加のギャップ、したがって、物理的に(たとえばギャップにより)分離されているが互いに近接している追加の電極または電極部分210、212、214の使用により、システムの高分解能マッピング能力に対する追加の利益を提供することができる。たとえば、2つ(または3つ以上)のギャップを使用することにより、治療されている組織に関するより正確な高分解能マッピングデータを提供することができる。こうした複数のギャップは、心臓信号伝播の指向性に関する情報を提供することができる。さらに、複数のギャップを含む高分解能電極部分による高分解能マッピングにより、アブレーションプロセス中の損傷部の進行のより広範な観察と、標的治療容積内に生存組織ストランドが残されていないというより高い確実性とを提供することができる。いくつかの実施形態では、複数のギャップを含む高分解能電極は、焼灼された組織の表面に対するマッピングされた組織の表面の比を最適化することができる。好ましくは、こうした比は、0.2〜0.8の範囲(たとえば、0.2〜0.3、0.3〜0.4、0.4〜0.5、0.5〜0.6、0.6〜0.7、0.7〜0.8、上記範囲の間の比等)である。図2Cは、合計3つの電極または電極部分210、212、214(したがって、2つのギャップG1、G2)を有する実施形態を示すが、さらなる電極または電極部分、したがってさらなるギャップを含むように、システムを設計しまたは変更することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、アブレーションまたは他の治療システムは、要求または必要に応じて、4つ以上(たとえば、5、6、7、8、9つ以上等)の電極または電極部分(したがって、3つ以上、たとえば3、4、5、6、7つのギャップ、8つ以上のギャップ等)を含むことができる。こうした構成では、図2〜図4に示す実施形態に従って、隣接する電極または電極部分間にギャップ(および/または電気的セパレータ)を配置することができる。
図2Bおよび図2Cに示すように、カテーテル(明確にするために図示せず)の内部に灌注チューブ120、220を通すことができる。いくつかの実施形態では、灌注チューブ120、220は、カテーテルの近位部分(たとえば、流体ポンプと流体連通して配置することができる場所)からシステムの遠位端まで延在することができる。たとえば、いくつかの構成では、図2Bおよび図2Cの側面図に示すように、灌注チューブ120、220は、延在し、遠位側電極110、210を通って半径方向外側に延在する1つまたは複数の流体ポート211と流体連通している。したがって、いくつかの実施形態では、治療システムは、開放灌注設計を含み、そこでは、生理食塩水および/または他の流体が、カテーテルを通して(たとえば、流体チューブ120、220内で)かつ電極110、210の1つまたは複数の出口ポート111、211を通って半径方向外側に選択的に送達される。こうした生理食塩水または他の流体の送達は、電極および/または治療されている組織から熱を除去するのに役立つことができる。いくつかの実施形態では、こうした開放灌注システムは、特に電極が接触する組織に沿って、標的組織の過熱を防止するのに役立つことができる。開放灌注設計はまた、図2Aに概略的に示すシステムにも組み込まれる。たとえば、図2Aに示すように、遠位側電極または電極部分34は、複数の出口ポート36を含むことができ、そこを通って、生理食塩水または他の生体適合性灌注流体が出ることができる。
いくつかの実施形態によれば、カテーテルは、長手方向のギャップに加えてまたはその代わりに、円周方向に(たとえば、半径方向に)1つまたは複数のギャップを含む高分解能チップ電極設計を含むことができる。図2Dに、1つまたは複数の電極310A、310Bを含むシステム300の一実施形態を示す。図示するように、2つ以上の電極が含まれる構成では、電極310A、310Bを互いに長手方向にまたは軸方向にずらすことができる。たとえば、いくつかの実施形態では、電極310A、310Bは、カテーテルの遠位端に沿ってまたはその近くに配置される。いくつかの実施形態では、電極310A、310Bは、カテーテルまたは他の医療器具の外側部分に沿って配置される。しかしながら、他の構成では、要求または必要に応じて、カテーテルまたは他の医療器具の異なる部分に沿って(たとえば、少なくともカテーテルの内側部分に沿って)、電極のうちの1つまたは複数を配置することができる。
続けて図2Dを参照すると、各電極310A、310Bは、2つ以上のセクション320A、322Aおよび/または320B、322Bを含むことができる。図示するように、いくつかの実施形態では、各セクション320A、322Aおよび/または320B、320Bは、カテーテルの直径を半周して(たとえば、180度)延在することができる。しかしながら、他の実施形態では、各セクションの円周方向の広がりは、180度より小さいことができる。たとえば、各セクションは、それが取り付けられているカテーテルの円周に0〜180度(たとえば、15度、30度、45度、60度、75度、90度、105度、120度、上記値の間の角度等)で延在することができる。したがって、いくつかの実施形態では、電極は、要求または必要に応じて、2、3、4、5、6または7つ以上の円周方向セクションを含むことができる。
円周方向電極セクションがどのように設計されかつ向けられるかに関わらず、本明細書に開示するさまざまな実施形態に従って、高分解能マッピングを行うために電極を使用し得ることを促進するように、隣接するセクション間に絶縁ギャップGを設けることができる。さらに、図2Dの実施形態に示すように、要求または必要に応じて、特定のシステム300に、2つ以上の円周方向または半径方向セクションを有する2つ以上(たとえば、3、4、5、6つ以上等)の電極310A、310Bを含めることができる。
代替実施形態では、本明細書に開示する高分解能チップ設計のさまざまな実施形態またはそれらの変形形態を、非灌注式システムまたは閉鎖灌注システム(たとえば、生理食塩水および/または他の流体が、1つまたは複数の電極を通してまたはその中でそこから熱を選択的に除去するために循環するシステム)で使用することができる。したがって、いくつかの構成では、カテーテルは、2つ以上の灌注チューブまたは導管を含むことができる。たとえば、1つのチューブまたは他の導管を用いて、流体を電極に向かってまたは電極の近くに送達することができ、第2チューブまたは他の導管を用いて、カテーテルを通して反対方向に流体を戻すことができる。
いくつかの実施形態によれば、高分解能チップ電極は、さまざまな電極または電極部分間で電流負荷を平衡させるように設計される。たとえば、治療システムが注意深く構成されていない場合、電気負荷は、高分解能チップシステムの電極または電極部分のうちの1つまたは複数(たとえば、短いかまたは小さい方の遠位側電極または電極部分)に主に送達される可能性がある。これにより、電極の望ましくない不均一な加熱、したがって、対象者の隣接する組織の不均一な加熱(たとえば、アブレーション)に至る可能性がある。したがって、いくつかの実施形態では、システムのさまざまな電極または電極部分に沿った加熱が概して平衡することを確実にするのに役立つように、1つまたは複数の負荷平衡構成を用いることができる。その結果、高分解能チップ設計は、不均衡な電気負荷を受ける(したがって、対象者の標的組織に不均衡な量の熱またはレベルの治療を送達する)2つ以上の電極とは対照的に、より長い単一の電極のように有利に機能することができる。
図2Eに、高分解能チップ設計で電極または電極部分の各々に送達される電流負荷を平衡させるために使用することができる構成の一実施形態を概略的に示す。図示するように、電極のうちの1つ(たとえば、遠位側電極)30Aをエネルギー送達モジュール40(たとえば、RF発生器)に電気的に接続することができる。本明細書において考察するように、モジュール40は、たとえば、エネルギー部材(たとえば、RF電極)を選択的に通電しかつ/または活性化するように構成されたエネルギー発生装置、1つまたは複数の入出力デバイスまたはコンポーネント、治療システムの1つまたは複数の態様を調節するように構成されるプロセッサ(たとえば、処理または制御ユニット)、メモリ等、1つまたは複数の構成要素または特徴を有することができる。さらに、こうしたモジュールは、要求または必要に応じて、手動でまたは自動的に操作されるように構成することができる。
図2Eおよび/または図3を参照すると、遠位側電極30Aに対して、1つまたは複数の導体82(たとえば、ワイヤ、ケーブル等)を用いて通電することができる。たとえば、いくつかの構成では、灌注チューブ38の外側は、1つまたは複数の導電性材料(たとえば、銅、他の金属等)を含みかつ/またはそれによってコーティングされる。したがって、図2Eに示すように、1つまたは複数の導体82は、電極または電極部分30Aをエネルギー送達モジュール(たとえば、図1のエネルギー送達モジュール40)に電気的に接続するように、灌注チューブ38のこうした導電性面または部分と接触するように配置することができる。しかしながら、エネルギー送達モジュールと電気的に通信するように電極または電極部分30Aを配置する1つまたは複数の他の装置および/または方法を用いることができる。たとえば、1つまたは複数のワイヤ、ケーブルおよび/または他の導体を、灌注チューブ38を用いることなく、電極に直接または間接的に接続することができる。エネルギー送達モジュールは、接触を判断するのに有用な周波数(たとえば、5kH〜1000kHz)で電磁エネルギーを送達するように構成することができる。
続けて図2Eを参照すると、コンデンサ、フィルタ回路等、1つまたは複数のバンドパスフィルタリング素子84を用いて、第1もしくは遠位側電極または電極部分30Aを第2もしくは近位側電極または電極部分30Bに電気的に接続することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、バンドパスフィルタリング素子84は、システムに高周波電流が印加されるとき、2つの電極または電極部分30A、30Bを電気的に接続する、コンデンサを含む。一実施形態では、コンデンサ84は、いくつかの構成によれば、RFアブレーションの目標周波数である500kHzで、約3Ωより低い直列インピーダンスを導入する100nFコンデンサを含む。しかしながら、他の実施形態では、システムに組み込まれるコンデンサまたは他のバンドパスフィルタリング素子84の静電容量は、要求または必要に応じて、動作RF周波数に従って、100nFより大きいかまたは100nFより小さい、たとえば、5nF〜300nFであり得る。いくつかの実施形態では、フィルタリング素子84の静電容量は、特定の周波数または周波数範囲における目標インピ
ーダンスに基づいて選択される。たとえば、いくつかの実施形態では、200kHz〜10MHzの周波数(たとえば、200〜300kHz、300〜400kHz、400〜500kHz、500〜600kHz、600〜700kHz、700〜800kHz、800〜900kHz、900〜1000kHz、最大10MHz、または上記範囲の間の高い方の周波数等)でシステムを動作させることができる。したがって、隣接する電極または電極部分を互いに接続するコンデンサは、特定の周波数に対する目標インピーダンスに基づいて選択することができる。たとえば、100nFコンデンサは、500kHzの動作アブレーション周波数で約3Ωの結合インピーダンスを提供する。
いくつかの実施形態では、電極または電極部分30A、30Bを横切る3Ωの直列インピーダンスは、約5Ω〜10Ωであり得る導体82(たとえば、ワイヤ、ケーブル等)のインピーダンス、および約100Ωであり得る組織のインピーダンスと比較した場合、十分に低く、それにより、システムが使用されるとき、結果として取得される組織加熱プロファイルは悪影響を受けない。したがって、いくつかの実施形態では、フィルタリング素子は、電極または電極部分の直列インピーダンスが、電極にRFエネルギーを供給する導体のインピーダンスより低いように選択される。たとえば、いくつかの実施形態では、フィルタリング素子の挿入インピーダンスは、導体82のインピーダンスの50%もしくはそれより低く、または均等な組織インピーダンスの10%もしくはそれより低い。
いくつかの実施形態では、装置または付随するシステムの種々の位置にフィルタリング素子(たとえば、コンデンサ、フィルタ回路等)を配置することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、フィルタリング素子は、カテーテル上またはその中に(たとえば、カテーテルの遠位端の近くに、電極に隣接して、等)配置される。しかしながら、他の実施形態では、フィルタリング素子は、カテーテルから分離されている。たとえば、カテーテルが固定されるハンドル内にまたはそれに沿って、発生器または他のエネルギー送達モジュール内に、別個のプロセッサまたは他のコンピューティングデバイスまたはコンポーネント内等に、フィルタリング素子を配置することができる。
同様に、図2Fの概略図を参照すると、円周方向に配置された部分320、322を含む電極310にフィルタリング素子384を含めることができる。図2Fでは、フィルタリング素子384により、電極310全体に対して(たとえば、電極が焼灼するように活性化されるときに)RF周波数範囲内で通電することができる。1本または複数本のRFワイヤまたは他の導体344を用いて、発生器または電源から電極に電力を送達することができる。さらに、別個の導体340を用いて、マッピングの目的で電極310に電気的に接続することができる。
高分解能チップ設計(たとえば、図2C)が3つ以上の電極または電極部分を含む実施形態では、さらなるフィルタリング素子(たとえば、コンデンサ)を用いて、電極または電極部分を互いに電気的に接続することができる。こうしたコンデンサまたは他のフィルタリング素子は、高分解能チップ電極の全長に沿って概して均一な加熱プロファイルをもたらすように選択することができる。本明細書においてさらに詳細に記すように、本明細書に開示する実施形態のうちの任意のものまたはその変形形態に対して、フィルタリング素子は、コンデンサ以外の何らかのものを含むことができる。たとえば、いくつかの配置では、フィルタリング素子は、LC回路(たとえば、共振回路、タンク回路、同調回路等)を含む。こうした実施形態は、RFエネルギーの印加およびEGM記録の測定を同時に行うことができるように構成することができる。
上述したように、隣接する電極または電極部分30A、30B間の比較的小さいギャップGを用いて、標的組織の高分解能マッピングを促進することができる。たとえば、続けて図2Eの概略図を参照すると、別個の電極または電極部分30A、30Bを用いて、治
療されている組織の局所電位を正確に反映する電位図を生成することができる。したがって、治療システムを用いる医師または他の専門家は、処置の前、処置中および/または処置の後、標的組織へのエネルギー送達の影響をより正確に検出することができる。たとえば、こうした構成からもたらされるより正確な電位図データにより、医師は、適切に焼灼されなかったかまたは治療されなかった標的解剖学的領域の任意のギャップまたは部分を検出することができる。具体的には、高分解能チップ設計の使用により、心臓電気生理学者は、結果としての電位図の形態、それらの振幅および幅をより正確に評価し、かつ/またはペーシング閾値を求めることができる。いくつかの実施形態では、形態、振幅およびペーシング閾値は、アブレーションまたは他の熱治療処置の転帰に関する有用な情報を提供する、許容されかつ信頼性の高いEPマーカである。
図3は、異なる周波数で、分離した電極または電極部分30A、30B間の双極インピーダンスを測定することにより、接触検知または判断を行うために使用することができる、複合またはスプリットチップ電極アセンブリを概略的に示す。オームの法則、すなわち電圧=電流×抵抗、すなわちV=IRに基づいて、電圧および電流から抵抗値を求めることができる。したがって、抵抗は、電圧を電流で割った値に等しい。同様に、電極間のインピーダンスが複素数である場合、複素電圧および電流を測定することができ、V_複素=I_複素×Z_複素によってインピーダンス(Z)を求めることができる。この場合、インピーダンスに対する大きさおよび位相の両方の情報を周波数の関数として求めることができる。エネルギー送達モジュールによって(たとえば、図1のエネルギー送達モジュール40のエネルギー発生装置42によって)、または接触検知サブシステム(図1のシステム10の接触検知サブシステム50等)により、スプリットチップ電極アセンブリに異なる周波数を印加することができる。電圧値および電流値は既知であるかまたは測定することができるため、オームの法則を用いて電圧値および電流値から抵抗値および/または複素インピーダンス値を求めることができる。したがって、インピーダンス測定値を直接取得するのではなく、いくつかの実施形態によれば、測定された電圧値および/または電流値に基づいてインピーダンス値を計算することができる。
図4Aは、ある周波数の範囲(5kHz〜1000kHz)にわたる、血液(または血液/生理食塩水の組合せ)および心臓組織の抵抗値または大きさインピーダンス値を示すプロットである。インピーダンス値は、測定されたインピーダンスの大きさを最大のインピーダンスの大きさの値によって割ることによって正規化されている。図示するように、血液(または血液/生理食塩水の組合せ)の正規化されたインピーダンスは、周波数の範囲全体にわたって著しく変化しない。しかしながら、心臓組織の正規化されたインピーダンスは、周波数のその範囲にわたって著しく変化し、概して「s字型」の曲線を形成する。
一実施形態では、所定の周波数範囲内の2つ、3つ、4つ、5つ、6つまたは7つ以上の異なる離散的な周波数で抵抗測定値またはインピーダンス測定値を取得することができる。いくつかの実施形態では、周波数の範囲は、標的組織を焼灼するかまたは加熱するために使用される周波数の範囲に及ぶことができる。たとえば、その周波数の範囲内の2つの異なる周波数f1およびf2(f2はf1より大きい)において、抵抗測定値またはインピーダンス測定値を取得することができる。周波数f1はまた、アブレーション周波数範囲より小さい場合があり、f2は、アブレーション周波数を超える場合がある。他の実施形態では、f1および/またはf2は、アブレーション周波数の範囲内にある場合がある。一実施形態では、f1は20kHであり、f2は800kHzである。さまざまな実施形態において、f1は10kHz〜100kHzであり、f2は400kHz〜1000kHzである。処理デバイス(たとえば、図1のプロセッサ46に接続されるかまたはそれによって実行可能な接触検知サブシステムまたはモジュール)は、異なる周波数で取得されたインピーダンスの大きさの値を比較することにより、非一時的コンピュータ可読
記憶媒体に格納された所定のプログラム(機械可読)命令の実行時に、電極部分30Aが組織(たとえば、心臓組織)と接触しているか否かを判断するように適合される。処理デバイスは、データを処理するためにモジュール(たとえば、接触検知モジュール)と通信しかつそれを実行するように適合され、モジュールはメモリに格納される。モジュールは、アルゴリズムまたは機械可読命令の形態のソフトウェアを含むことができる。
たとえば、低い方の周波数f
1で取得されるインピーダンスの大きさの値に対する高い方の周波数f
2で取得されるインピーダンスの大きさの値の比rが、所定閾値より小さい場合、処理デバイスは、電極部分30Aが(たとえば、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に格納された所定のプログラム命令の実行時に)心臓組織または他の標的領域と接触していると判断することができる。しかしながら、低い方の周波数f
1で取得されるインピーダンスの大きさの値に対する高い方の周波数f
2で取得されるインピーダンスの大きさの値の比rが、所定閾値を超える場合、処理デバイスは、電極部分30Aが心臓組織とは接触していないが、代わりに血液または血液/生理食塩水の組合せと接触していると判断することができる。接触判断は、以下のように表すことができる。
さまざまな実施形態において、所定閾値は、0.2〜1より小さい(たとえば、0.2〜0.99、0.3〜0.95、0.4〜0.9、0.5〜0.9、またはそれらの部分的に重なる範囲)の値を有する。
さまざまな実施形態では、図4Bに示すように、抵抗測定値またはインピーダンス測定値は、対象周波数を含むマルチトーン信号である電源電圧または電流波形を利用することにより、異なる周波数(たとえば、2つ、3つ、4つまたは5つ以上の異なる周波数)で周期的にまたは連続的に取得される。マルチトーン信号または波形は、時間領域でサンプリングし、その後、図4Cに示すように、周波数領域に変換して、対象周波数で抵抗またはインピーダンスを抽出することができる。いくつかの実施形態では、接触を示す測定値または判断は、周波数領域の代わりに時間領域で取得することができる。周波数の異なる信号または波形を使用することができる。いくつかの実施形態によれば、接触検知動作の実行は、複合またはスプリットチップ電極アセンブリの電位図(EGM)機能にほとんどまたはまったく影響を与えないように設計される。たとえば、図4Dに示すようなインピーダンス測定回路の経路において、コモンモードチョークおよびDCブロック回路を利用することができる。この回路はまた、患者への最大電流を制限する基準抵抗器Rとともに、インピーダンス測定値の精度を向上させるように二重電圧サンプリング点V1およびV2も含むことができる。さらに、図4Dに示すように、EGM記録システムの経路において、(たとえば、カットオフ周波数が7kHzである)ローパスフィルタ回路を利用することができる。いくつかの実施形態では、図4Dに示す回路のすべてまたは一部は、図1の接触検知サブシステム50または図6の接触検知サブシステム650等、接触検知サブシステムで使用される。接触検知に使用される周波数は、EGM記録またはマッピング周波数の少なくとも5倍を超え、少なくとも6倍を超え、少なくとも7倍を超え、少なくとも8倍を超え、少なくとも9倍を超え、少なくとも10倍を超える可能性がある。接触検知サブシステムは、たとえば、アナログ−デジタル変換器(ADC)およびマイクロコン
トローラ(MCU)を含む処理デバイスによって制御することができる。処理デバイスは、図1の処理デバイス46と一体的であり得るか、または別個の独立型処理デバイスであり得る。別個の処理デバイスが使用される場合、その別個の処理デバイスを図1の処理デバイス46に通信可能に接続することができる。
さまざまな実施形態では、抵抗測定値またはインピーダンス測定値(たとえば、複素インピーダンスの総インピーダンスまたは構成部分)は、異なる周波数(たとえば、2つまたは3つの異なる周波数)で、その異なる周波数を切り替えることにより周期的にまたは連続的に取得される。いくつかの実施形態によれば、接触検知動作の実行は、複合電極またはスプリットチップアセンブリの電位図(EGM)機能にほとんどまたはまったく影響を与えないように設計することができる。したがって、異なる周波数の切替は、有利には、図5Aに示すように、AC信号波形のゼロ交差と同期することができる。いくつかの実施形態では、周波数切替がゼロ交差で発生しない場合、電位図にアーチファクトが引き起こされる可能性があり、それにより、電位図の品質が低下する。いくつかの実施形態では、インピーダンス測定値(たとえば、双極インピーダンス測定値)は、複数の周波数で同時に取得される。他の実施形態では、インピーダンス測定値は、複数の周波数で逐次取得される。
別の実施形態では、接触検知または判断は、fmin〜fmax(たとえば、5kHz〜1MHz、10kHz〜100kHz、10kHz〜1MHz)の周波数の全範囲にわたって抵抗測定値またはインピーダンス測定値を取得することによって行われる。こうした実施形態では、周波数の範囲にわたる周波数応答またはインピーダンス測定値の変動は、電極部分30Aが組織(たとえば、心臓組織)と接触しているか否かを示す。
モデルに、インピーダンス測定値を適用することができる。たとえば、周波数応答関数r(f)を生成し、多項式または他のフィッティング関数に当てはめることができる。関数は、たとえば、以下の形態をとることができる。
式中、a、b、cおよびdは、r(f)の応答を測定データに整合させる多項式関数に対する項である。したがって、多項式の項に閾値を設定して、電極が組織と接触しているか否かを判断することができる。たとえば、大きいd項は、組織接触を示す可能性がある。同様に、大きいc項は、同じく組織接触を示す、インピーダンスの大きい勾配を示す可能性がある。高次の項を利用するほど、組織接触を示すインピーダンス応答の他のわずかな差を示すことができる。
いくつかの実施形態では、図5Bに示すもののような回路モデルを用いて、周波数応答関数r(f)が求められる。モデルは、組織および組織−電極接触面の応答を予測する抵抗器およびコンデンサを含むことができる。この手法では、測定データに最良適合するR値およびC値を求めることができ、R値およびC値に基づいて閾値を利用して、電極が組織と接触しているか否かを判断することができる。たとえば、小さい静電容量(C2)の値は、組織接触の状態を示すことができ、大きい値は非接触を示すことができる。要求および/または必要に応じて、電極インピーダンスの挙動をモデル化するために、他の回路構成も可能である。
いくつかの実施形態では、接触検知または接触判断評価は、焼灼エネルギー送達の開始前に行われるが、エネルギー送達中には行われない。この場合、図5Cに示すように、ス
イッチングを利用して、焼灼エネルギーから接触インピーダンス測定回路を分離することができる。この実施形態では、スイッチSW1が開かれて、スプリットチップコンデンサ(CST)が分離され、高い方の周波数範囲でのインピーダンスの測定が可能になり、そこでは、CSTは、短絡(または測定値と並列の低インピーダンス)を表す可能性がある。同時に、スイッチSW2およびSW3は、インピーダンス測定回路または接触検知サブシステムに接続するように設定される。図5Cに示すように、インピーダンス測定回路または接触検知サブシステムは、図4Dに示すものと同じである。アブレーションが行われるとき、SW2およびSW3は、チップ電極を焼灼エネルギー源(たとえば、図5CにおいてRFとして標識されるRF発生器)に接続し、インピーダンス測定回路を切断する。SW1もスプリットチップコンデンサCSTを接続するために切り替えられ、それにより、電極の対を、低インピーダンス経路を介して電気的に接続することができる。一実施形態では、スプリットチップコンデンサCSTは、いくつかの構成によれば高周波アブレーションの目標周波数である460kHzで、約4オームより低い直列インピーダンスを導入する100nFコンデンサを含む。図5Cがまた示すように、アブレーション電流経路は、両電極から共通の接地パッドまでである。インピーダンス測定経路は、2つの電極間にあるが、インピーダンス測定用の他の電流経路も可能である。一実施形態では、スイッチは、電磁リレー等のリレーである。他の実施形態では、他のタイプのスイッチ(たとえば、固体、MEMS等)が利用される。
いくつかの実施形態では、上述した接触検知または接触判断評価は、焼灼エネルギーまたは電力(たとえば、焼灼高周波エネルギーまたは電力)が送達されている間に行うことができ、それは、接触検知に使用されている周波数は、アブレーション周波数の範囲外(超えるかもしくはより小さい、または両方)であるためである。
図6は、高分解能、複合電極、またはスプリットチップ電極カテーテルを含むシステム600を概略的に示し、システムは、アブレーション処置および接触検知または判断手順を同時に行うように適合されている。スプリットチップ電極アセンブリ615は、ギャップによって分離される2つの電極または2つの電極部材または部分630A、630Bを含むことができる。セパレータが、電極または電極部分630A、630B間のギャップG内に配置される。スプリットチップ電極アセンブリ615は、図2A〜図2Fに関連して上述したスプリットチップ電極アセンブリの特徴のうちの任意のものを含むことができる。接触検知サブシステム650(図4Dに示す接触検知サブシステム等)が、接触検知または判断評価を行うために使用される異なる周波数範囲(たとえば、5kHz〜1000kHz)で、低出力信号607をスプリットチップ電極アセンブリ615に送達している間に焼灼範囲(たとえば、高周波エネルギー200kHz〜800kHz、名目上460kHz)で信号を生成し、送達し、かつ/または印加するように、エネルギー送達モジュール(図示せず、図1のエネルギー送達モジュール40等)または他の信号源605を構成することができる。低出力信号607は、周波数の異なるマルチトーン信号もしくは波形または別個の信号を含むことができる。接触検知サブシステム650は、図4Dに示す素子とともに、アブレーション周波数を遮断するノッチフィルタ回路(たとえば、460kHzアブレーション周波数が使用される場合、460kHzノッチフィルタ)を含むことができる。この構成では、フィルタ684を利用して、接触検知周波数およびアブレーション周波数が分離される。
フィルタ684は、たとえば、LC回路素子、またはインダクタのない1つもしくは複数のコンデンサを含むことができる。フィルタ684の構成要素の素子および値は、標的組織のアブレーションを行うようにエネルギー送達モジュールによって送達される焼灼周波数の中心周波数に最小インピーダンスの中心があるように選択することができる。いくつかの実施形態では、フィルタリング素子684は、高周波電流がシステムに印加されるときに2つの電極または電極部分630A、630Bを電気的に接続する単一コンデンサ
を含む。一実施形態では、コンデンサは、いくつかの構成によれば、アブレーション(たとえば、RFアブレーション)の目標周波数である460kHzで、約4Ωより低い直列インピーダンスを導入する100nFコンデンサを含む。しかしながら、他の実施形態では、システムに組み込まれるコンデンサまたは他のバンドパスフィルタリング素子の静電容量は、要求または必要に応じて、動作アブレーション周波数に従って、100nFを超えるかまたは100nFより小さい、たとえば5nF〜300nFであり得る。この場合、接触検知インピーダンス周波数は、すべて、アブレーション周波数範囲より小さいが、他の実施形態では、接触検知インピーダンス周波数のうちの少なくともいくつかは、アブレーション周波数範囲内またはそれを超える。
図7は、たとえば、フィルタ684を構成するLC回路素子のインピーダンスのプロットを示す。図示するように、最小インピーダンスは、焼灼RF周波数の中心周波数(一例として460kHz)に中心があり、インピーダンスは、EGM信号または接触検知測定値に影響を与えないように、EGMスペクトルの周波数において高い。さらに、接触インピーダンス測定は、RF周波数を超えてかつ/またはRF周波数未満で(かつEGMスペクトルを超えて)存在する周波数で行われる。たとえば、2つの周波数f1およびf2を利用することができ、ここでは、f1=20kHzであり、f2=800kHzである。これらの周波数で、LC回路は、電極と並列に大きいインピーダンスを有し、それにより、インピーダンスを測定することができる。一実施形態では、インダクタLは、240μHのインダクタンス値を有し、コンデンサCは、5nFの静電容量値を有する。しかしながら、他の実施形態では、インダクタLは、30〜1000μHの範囲(たとえば、30〜200μH、200〜300μH、250〜500μH、300〜600μH、400〜800μH、500〜1000μH、またはそれらの部分的に重なる範囲)とすることができ、コンデンサCは、0.12nF〜3.3μF(たとえば、0.12〜0.90nF、0.50〜1.50nF、1nF〜3nF、3nF〜10nF、5nF〜100nF、100nF〜1μF、500nF〜2μF、1nF〜3.3μF、それらの部分的に重なる範囲)とすることができる。さまざまな実施形態では、f1は、10kHz〜100kHzであり、f2は、400kHz〜1000kHzである。
いくつかの実施形態によれば、接触検知に使用されるものと同じハードウェアおよび実施形態を使用して、アブレーションが成功したか否かを確認するように、組織タイプ(たとえば、生存組織対焼灼された組織)を判断することができる。図8は、ある周波数範囲にわたる焼灼された組織、生存組織および血液に対する、抵抗、またはインピーダンスの大きさの値を示すプロットである。図示するように、焼灼された組織の抵抗は、高抵抗値(200Ω)で開始し、実質的に平坦または安定したままであり、その周波数範囲にわたってわずかに低下する。血液の抵抗は、それより低い抵抗(125Ω)で開始し、同様に実質的に平坦または安定したままであり、その周波数範囲にわたってわずかに低下する。しかしながら、生存組織の抵抗は、高抵抗値(250Ω)で開始し、その周波数範囲にわたって著しく低下し、概して「s字型」曲線を形成する。焼灼された組織と生存組織との間で抵抗応答が異なる理由は、少なくとも部分的に、生存細胞(たとえば、心臓細胞)が、低周波数信号を遮断し高周波信号の通過を可能にするハイパスコンデンサとして作用する膜によって包囲され、焼灼された組織の細胞は、焼灼されている結果としてこうした膜を有していないという事実による。血液抵抗に対する応答が実質的に平坦である理由は、血液の大部分が、事実上、単なるインピーダンスの低い電解質である血漿から構成されているということである。赤血球は、幾分かの変動を与え、それは、生存心臓細胞と同様の、コンデンサとして作用する膜を有するためである。しかしながら、赤血球は、血液組成のそうしたわずかな割合を構成するため、赤血球の影響はわずかである。
上述した接触検知評価と同様に、2つ以上の周波数(たとえば、20kHおよび800kHz)で抵抗またはインピーダンスの大きさ、値を取得することができ、それらの値を
互いに比較して比を求めることができる。いくつかの実施形態では、低い方の周波数f1でのインピーダンスの大きさの値に対する、高い方の周波数f2でのインピーダンスの大きさの値の比が閾値未満である場合、処理デバイス(たとえば、データを処理するために組織タイプ判断モジュールを実行することができる処理デバイス624、モジュールはメモリに格納され、アルゴリズムまたは機械可読命令を含む)は、接触した組織が生存可能組織であると判断し、低い方の周波数f1でのインピーダンスの大きさの値に対する、高い方の周波数f2でのインピーダンスの大きさの値の比が閾値より大きい場合、処理デバイス624は、接触した組織が焼灼された組織であると判断する。さまざまな実施形態において、所定閾値は、0.5〜0.8の値(たとえば、0.50、0.55、0.60、0.70、0.75、0.80)を有する。
いくつかの実施形態では、周波数f2およびf1でのインピーダンスの大きさの差とインピーダンスの大きさの比の差との組合せを利用して、接触状態(たとえば、接触対血液中)とともに組織タイプ(たとえば、生存組織対焼灼された組織)が判断される。いくつかの実施形態では、接触状態および組織タイプの判断は、エネルギー送達または他の治療処置中には行われない。他の実施形態では、接触状態および/または組織タイプの判断は、異なる周波数信号を分離するフィルタならびに/または他の信号処理技法および機構を用いて、エネルギー送達または他の治療処置中に行われる。
インピーダンスの大きさに加えて、接触検知に使用されるものと同じハードウェアおよび実施形態(たとえば、接触検知サブシステム50、650)を利用して、電極部分におけるインピーダンス(たとえば、複素インピーダンス)の位相を計算することができる。一実施形態では、異なる接触状態(たとえば、接触対血液中)とともに異なる組織状態(たとえば、生存組織対焼灼された組織)を判断するアルゴリズムに、インピーダンスの位相を追加することができる。図9は、生存組織、焼灼された組織および血液に対する、電極部分におけるインピーダンスの位相対周波数の例を示す。位相は、血液の方が大きく(0度に近く)なり、生存(焼灼されていない)組織の方が小さい傾向がある。焼灼された組織の場合、位相は、血液と生存組織との間にあり得る。一実施形態では、単一周波数での負の位相シフトは、(生存または焼灼された)組織との接触を示す。より大きい負の位相シフトは、生存組織との接触を示す可能性がある。一実施形態では、800kHzで−10度より小さい位相は、(生存または焼灼された)組織との接触を示す。一実施形態では、800kHzでの−20.5度より小さい位相は、生存組織との接触を示す。他の実施形態では、他の周波数または周波数の組合せでの位相を利用して、接触状態および組織タイプが判断される。いくつかの実施形態では、インピーダンスの大きさおよび位相が、ベクトル量として合わせて利用され、異なる周波数に対するベクトルの差を利用して、接触状態および組織タイプが判断される。
いくつかの実施形態では、周波数f2およびf1でのインピーダンスの大きさの差、インピーダンスの大きさの値の比の差、およびインピーダンスの位相の差の組合せを合わせて利用して、接触状態(たとえば、接触対血液中)とともに組織タイプ(たとえば、生存組織対焼灼された組織)が判断される。一実施形態では、図10に示す判断プロセス1000を利用して、接触状態とともに組織タイプが判断される。この実施形態では、ブロック1005において、20kHzで150Ωのインピーダンスの大きさの閾値を利用して、非接触と組織接触との間が線引きされる(値が大きい場合、接触を示す)。ブロック1005において接触していると判断されると、ブロック1010において、f2=800kHzおよびf1=20kHzでのインピーダンスの大きさの比が計算され、0.6より小さい値は、焼灼されていない、すなわち生存組織との接触を示す。上述した比が0.6を超える場合、ブロック1015において、800kHzでのインピーダンスの位相が利用され、20.5度を超える(絶対)値は、焼灼された組織との接触を示す。20.5度より小さい(絶対)値は、焼灼されていない、すなわち生存組織との接触を示す。
いくつかの実施形態では、接触検知サブシステム50またはシステム10(たとえば、その処理デバイス)は、図4Bに示す波形に対するまたは均等な波形に対する時間領域応答を解析する。いくつかの実施形態によれば、接触検知または組織タイプの判断は、電極または電極部分の対(たとえば、電極対630A、630B)に印加される信号に対する応答の処理に基づいて、信号は、逐次印加される複数の周波数またはいくつかの周波数を含む。いくつかの実施形態では、処理デバイス624は、時間領域または周波数領域における応答を処理することができる。たとえば、血液が大部分抵抗性であって容量性の特徴がわずかである場合、立上りまたは立下り時間、ラグもしくはリードタイム、印加された信号402(たとえば、図4DにおけるI)と処理された応答404(たとえば、図4DにおけるV2)との間の遅延等の時間領域特徴が、低い値を示すことが予測される。逆に、図6の電極対630A、630Bが組織と接触している場合、組織が容量性の特徴の増大を示すとすると、立上りまたは立下り時間、ラグもしくはリードタイム、印加された信号402(たとえば、図4DにおけるI)と処理された応答404(たとえば、図4DにおけるV2)との間の遅延等の時間領域特徴が、より高い値を示すことが予測される。限定されないが、立上り時間もしくは立下り時間、遅延時間もしくはリード時間、または印加信号402と処理応答404との間の遅延等のパラメータを処理するアルゴリズムは、パラメータが閾値を超える場合、組織との接触を示すかもしくは宣言することができ、または逆にパラメータが閾値未満の値を有する場合、組織との非接触を示すかまたは宣言することができる。たとえば、信号402が800kHz周波数の正弦波電流によって表されると想定すると、応答404が0.035μsを超えて遅延する場合、アルゴリズムは組織との接触を宣言することができる。逆に応答404が0.035μs未満遅延する場合、アルゴリズムは組織と接触していないことを宣言することができる。同様に、信号402の周波数が400kHzであった場合、アルゴリズムは、
− 遅延時間が0.07μs未満である場合、組織と非接触であり、
− 遅延時間が0.07μs〜0.13μsである場合、焼灼された組織と接触しており、
− 遅延時間が0.13μsより大きい場合、生存可能または焼灼されていない組織と接触している
と判断することができる。判断閾値または基準は、信号402の波形によって決まる。他のタイプの波形に対する閾値または判断基準も導出するか求めることができる。
いくつかの実施形態では、プロセッサ(たとえば、接触検知サブシステム50、650のプロセッサ)によって実行可能な接触検知または接触表示モジュールまたはサブシステムによって複数の入力を結合して、接触対非接触の表示、接触の量の表示(たとえば、接触のレベル、接触状態または接触力の定性的または定量的表示)、および/または組織タイプ(たとえば、焼灼された組織対生存(焼灼されていない)組織)の表示を提供するために使用することができる接触関数を生成することができる。たとえば、(i)第1周波数f1でのインピーダンスの大きさ、(ii)2つの周波数f2およびf1でのインピーダンスの大きさの比(勾配として定義される)、または2つの周波数でのインピーダンスの大きさのデルタもしくは変化、および/または(iii)第2周波数f2での複素インピーダンスの位相の組合せを合わせて利用して、接触状態(たとえば、組織接触対血液中)を示す接触関数が生成される。代替的に、勾配の代わりに、周波数に対するインピーダンスの導関数を使用することができる。いくつかの実施形態によれば、インピーダンス測定値または値は、電極部材の対の間の双極インピーダンス測定値を含む。
一実施形態では、f1でのインピーダンスの大きさに対して最小閾値|Z|minが定義され、f1でのインピーダンスに対して最大閾値|Z|maxが定義される。f1で接触検知サブシステム50、650によって測定されるインピーダンスの大きさは、測定された結果が|Z|min以下である場合、インピーダンスの大きさが0であり、測定され
た結果が|Z|max以上である場合、インピーダンスの大きさが1であるように、正規化することができる。|Z|minと|Z|maxとの間の結果を、0〜1の値に線形マッピングすることができる。同様に、勾配(f2とf1との間のインピーダンスの大きさの比)に対して、最小閾値Sminおよび最大閾値Smaxを定義することができる。周波数に対するインピーダンスの導関数が使用される場合、同様の最小閾値および最大閾値を定義することができる。接触検知サブシステム50によって測定される勾配は、測定された結果がSmin以上である場合、勾配が0であり、測定された結果がSmax以下である場合、勾配が1であるように、正規化することができる。SminとSmaxとの間の結果を、0〜1の値に線形マッピングすることができる。f2での複素インピーダンスの位相に対して、最小閾値Pminおよび最大閾値Pmaxも定義することができる。f2で接触検知サブシステム50によって測定される位相は、測定された結果がPmin以上である場合には位相が0であり、測定された結果がPmax以下である場合には1であるように正規化することができる。
いくつかの実施形態によれば、大きさ、勾配および位相に対する結果としての3つの正規化された項は、各々に対する重み付け係数を利用して結合される。3つの項の加算の結果がゼロ〜1のスケールとなる接触指標であるように、重み付け係数の和を1に等しくすることができる。したがって、以下の式により、重み付けされた接触関数(CF)を記載することができる。
式中、|Z|
f1は、上述したように|Z|
minという最小値および|Z|
maxという最大値にクリップされた、第1周波数f
1での測定されたインピーダンスの大きさであり、Sは、上述したようにS
minという最小値およびS
maxという最大値にクリップされた、f
1でのインピーダンスの大きさに対する第2周波数f
2でのインピーダンスの大きさの比であり、P
f2は、上述したようにP
minという最小値およびP
maxという最大値にクリップされた、周波数f
2でのインピーダンスの位相である。大きさ、勾配および位相の測定値に重み付け係数WF1、WF2およびWF3をそれぞれ適用することができる。上述したように、接触関数の出力が常に0〜1の範囲の値を与えるように、重み付け係数WF1+WF2+WF3は合計して1とすることができる。別法として、1を超える値に対して、患者に対してそれ以上の組織−電極の接触が危険となる可能性がある状況に関して、使用者に対する警告の生成を促進するのを可能にすることができる。こうした警告は、危険なレベルの接触力が加わるのを防止するのに役立つことができる。たとえば、1〜1.25の範囲のCF値に対して、「接触警告」としてフラグをたてることができ、それにより、接触検知サブシステムは、使用者に表示するかまたは出力するために警告を生成することができる。警告は、視覚、触覚および/または可聴であり得る。重み付け係数は、カテーテル設計、接続ケーブル、身体的な患者パラメータ等によって変更することができる。重み付け係数をメモリに格納し、さまざまなパラメータに応じて調整または変更する(たとえば相殺する)ことができる。いくつかの実施形態では、初期インピーダンス測定値および/または患者パラメータ測定値に基づいて、重み付け係数を調整することができる。
上述した接触関数は、組織(たとえば、心房組織または心室組織等、心臓組織)との接触の量の信頼性の高い指標を提供するように最適化する(たとえば、強化するかまたは改善する)ことができる。最適化は、組織との非接触から最小組織接触に対応する最小閾値Zmin、SminおよびPminとともに、最大組織接触に対応する閾値Zmax、SmaxおよびPmaxを定義することによって達成することができる。重み付け項はまた、接触に対するロバストな応答性に対して最適化する(たとえば、強化するかまたは改善
する)ことも可能である。いくつかの実施形態では、測定ノイズを低減させるように、接触関数に窓平均または他の平滑化技法を適用することができる。
一例として、(たとえば、心房または心室の心臓組織に対して)組織接触の量を表すために、f1=46kHzおよびf2=800kHz、値Zmin=115オーム、Zmax=175オーム、Smin=0.9、Smax=0.8、Pmin=−5.1度、Pmax=−9度、WF1=0.75、WF2=0.15およびWF3=0.1が望ましい(たとえば、最適である)。他の実施形態では、Zminは、90オーム〜140オーム(たとえば、90オーム〜100オーム、95オーム〜115オーム、100オーム〜120オーム、100オーム〜130オーム、115オーム〜130オーム、130オーム〜140オーム、それらの部分的に重なる範囲、または90オーム〜140オームの任意の値)の範囲とすることができ、Zmaxは、150オーム〜最大320オーム(たとえば、150オーム〜180オーム、160オーム〜195オーム、180オーム〜240オーム、200オーム〜250オーム、225オーム〜260オーム、240オーム〜300オーム、250オーム〜280オーム、270オーム〜320オーム、それらの部分的に重なる範囲、または150オーム〜320オームの任意の値)の範囲とすることができ、Sminは、0.95〜0.80(たとえば、0.95〜0.90、0.90〜0.85、0.85〜0.80、それらの部分的に重なる範囲、または0.95〜0.80の任意の値)の範囲とすることができ、Smaxは、0.85〜0.45(たとえば、0.85〜0.75、0.80〜0.70、0.75〜0.65、0.70〜0.60、0.65〜0.55、0.60〜0.50、0.55〜0.45、それらの部分的に重なる範囲、または0.85〜0.45の任意の値)の範囲とすることができ、Pminは、0〜−10度(たとえば、0度、−1度、−2度、−3度、−4度、−5度、−6度、−7度、−8度、−9度、−10度、または0〜−5度、−2〜−6度、−4〜−8度、−5〜−10度等、範囲の任意の組合せ)の範囲とすることができ、Pmaxは、−5〜−25度(たとえば、−5〜−10度、−7.5〜−15度、−10〜−20度、−15〜−25度、それらの部分的に重なる範囲、または−5〜−25度の任意の値)の範囲とすることができる。重み付け係数WF1、WF2およびWF3は、0〜1の範囲を包含することができる。いくつかの実施形態では、要求または必要に応じて、提供される範囲を超えるかまたはそれより小さい値を使用することができる。これらのパラメータに対する適切な値は、電極の形状と、測定に使用される周波数f1およびf2とによって決まる可能性がある。電極形状、身体的な患者パラメータ、接続ケーブルおよび周波数の変化は、上記値に対して異なる範囲を必要とする可能性がある。
いくつかの実施形態では、接触関数または接触基準は、条件付き判断基準に少なくとも部分的に基づいて求めることができる。一例としての条件付き判断基準を、ここで再現する:
CC=IF(|ZMAG|>ZTHR1,Best,IF(AND(ZTHRI>|ZMAG|,|ZMAG|≧ZTHR2),Good,IF(AND(ZTHR2>|ZMAG|,|ZMAG|≧ZTHR3),Medium,IF(AND(ZTHR3>|ZMAG,|ZMAG|≧ZTHR4),Low,No_Contact))))+IF(|ZMAG|>ZTHR1,0,IF(AND(SLOPE≦STHR1),Good,IF(AND(STHR1<SLOPE,SLOPE≦STHR2),Medium,IF(AND(STHR2<SLOPE,SLOPE≦STHR3),Low,No_Contact))))+IF(|ZMAG|>ZTHR1,0,IF(AND(PHASE≦PTHR1),Good,IF(AND(PTHR1<PHASE,PHASE≦PTHR2),Medium,IF(AND(PTHR2<PHASE,PHASE≦PTHR3),Low,No_Contact))))。
図11は、上記条件付き判断基準に対応する接触基準プロセス1100の実施形態を示
す。接触基準プロセス1100は、プロセッサにより、メモリまたは非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に格納された命令の実行時に実行することができる。判定ブロック1105において、(たとえば、直接インピーダンス測定値に基づく、または2つの電極部分を含む複合電極アセンブリによって取得される電圧および/または電流測定値に基づく)測定されたまたは計算されたインピーダンスの大きさの値が、所定の閾値インピーダンスと比較される。測定されたまたは計算されたインピーダンスの大きさの値|ZMAG|が第1閾値ZTHR1(たとえば、350Ω)を超える場合、接触基準(CC)に対して、「最良」または最高値が割り当てられる。しかしながら、測定されたまたは計算されたインピーダンスの大きさの値|ZMAG|が第1閾値ZTHR1より小さい場合、プロセス1100はブロック1110に進み、そこで、インピーダンスの大きさ、勾配および位相に対する個々のサブ値が求められる。ブロック1115において、個々のサブ値が結合されて(たとえば、合計されて)、接触状態を示す全体値になる。いくつかの実施形態では、上述したように、組合せは重み付けされた組合せの和である。
プロセス1100は、ブロック1120において、任意選択的に出力を生成することができる。たとえば、判定ブロック1105において、測定されたまたは計算されたインピーダンスの大きさの値|ZMAG|が第1閾値ZTHR1を超える場合、プロセスは、使用者に対して、カテーテルまたは他の医療器具のそれ以上の操作が組織接触をそれ以上改善しない可能性があり、代わりに、患者の安全を損なう可能性があるという警告を生成することができる。たとえば、使用者が、カテーテルまたは他の医療器具を強く押しすぎる場合、追加の圧力は、組織接触に対してほとんど改善を達成することができず、組織穿孔(たとえば、心臓壁穿孔)のリスクを増大させる可能性がある。出力は、本明細書において(たとえば、図12に関連して)さらに詳細に記載するように、定性的または定量的出力を含むことができる。
図11Aは、測定されたまたは計算されたインピーダンスの大きさの値|ZMAG|が第1閾値ZTHR1より小さいときに行われるプロセス1100の個々のサブ値サブプロセス1110の実施形態を示す。接触基準(CC)全体の値は、インピーダンスの大きさ(|ZMAG|)、勾配(S)および位相(P)を、良好接触レベル、中間接触レベル、低接触レベル、非接触レベルに対応する区間にくくることにより、計算することができる。良好、中間、低または非接触のいずれかに対応するサブ値は、さまざまな所定閾値に対する比較に応じて、インピーダンスの大きさ成分、勾配成分および位相成分の各々に対して求められる。サブ値を結合して接触状態値全体を求めることができる。上記case条件付き基準例では、CCは、3つのパラメータ(|ZMAG|、S、P)各々により、それらの対応する接触レベル(たとえば、良好、中間、低または非接触)に従って受け取られる個々の値の和である。たとえば、Good=3、Medium=2、Low=1およびNo_Contact=0である場合、CC全体は、非接触または低接触に対して0〜2、不十分な接触に対して3〜4、中間接触に対して5〜6、良好な接触に対して7〜9となる可能性がある。一実施形態では、|ZMAG|が第1閾値ZTHR1を超えると、組織接触の「良好」または「最適」レベルが達成されたことを示すものとして、CC=10となる。
いくつかの実施形態では、組織接触または組織タイプの検出に対して3つ以上の周波数(たとえば、3つまたは4つの周波数)が使用される。上述した計算は、インピーダンスの大きさ、勾配および位相を用いて提示されているが、他の実施形態では、複素インピーダンスの他の特徴を使用することができる。たとえば、インピーダンスの実数成分および虚数成分の解析を使用することができる。アドミッタンスパラメータまたは散乱パラメータの解析も使用することができる。いくつかの実施形態では、図4〜図6に記載する電圧および電流の直接解析(たとえば、電圧もしくは電流の大きさ、周波数変化または相対位相の処理)を使用することができる。電圧または電流の解析は、時間領域または周波数領
域で行うことができる。インピーダンス測定値または値は、電圧および電流の測定値に基づいて計算することができ、または直接測定することができる。たとえば、位相測定値は、測定された電圧と測定された電流との間の位相の差を含むことができ、または実際のインピーダンス位相測定値であり得る。
いくつかの実施形態では、接触指標または接触関数は、入出力インタフェースまたはデバイスを介して、出力と関連付けられる。出力は、接触検知サブシステム50に通信可能に接続されたグラフィカルユーザインタフェースまたはディスプレイデバイスに表示されるように提示することができる。出力は、図12に示すように、定性的(たとえば、色、尺度またはゲージによって表されるような接触の相対的なレベル)および/または定量的(たとえば、グラフ、スクロール波形または数値によって表される)であり得る。
図12は、接触検知サブシステム50に通信可能に接続されたディスプレイデバイスのグラフィカルユーザインタフェースの画面表示1200の実施形態を示す。画面表示1200は、経時的な周波数f1のインピーダンスの大きさを示すグラフまたは波形1210とともに、インピーダンスの大きさのリアルタイム数値を示すボックス1211を含む。画面表示1200はまた、経時的な勾配のグラフまたは波形1220(f2からf1)とともに、勾配のリアルタイム数値を示すボックス1221も含む。画面表示1200は、経時的な周波数f2での位相を示すグラフまたは波形1230とともに、位相のリアルタイム数値を示すボックス1231をさらに含む。3つの測定値(大きさ、勾配および位相)は、上述したように結合されて接触関数になり、グラフまたは波形1240に示すように、経時的な接触関数または指標として表すことができる。接触関数のリアルタイムまたは瞬間数値も表示することができる(ボックス1241)。
いくつかの実施形態では、図12に示すように、臨床医が容易に識別することができるように接触状態または接触のレベルの定性的評価を(単独でまたは定性的評価に加えて)提供する仮想ゲージ1250として、接触関数または指標を表すことができる。ゲージ1250は、接触の質または接触状態の種々の分類または特徴を表す、たとえば4つのセグメントまたは領域に区分することができる。たとえば、(たとえば、0〜0.25の接触関数値からの)第1セグメントは、色が赤色であり、非接触を表すことができ、(たとえば、0.25〜0.5の接触関数値からの)第2セグメントは、色がオレンジ色であり、「軽い」接触を表すことができ、(たとえば、0.5〜0.75の接触関数値からの)第3セグメントは、色が黄色であり、「中間」または「適度な」接触を表すことができ、(たとえば、0.75〜1の接触関数値からの)第4セグメントは、色が緑色であり、「良好な」または「堅固な」接触を表すことができる。他の実施形態では、4つより小さいセグメントまたは5つ以上のセグメント(たとえば、2つのセグメント、3つのセグメント、5つのセグメント、6つのセグメント)を使用することができる。一実施形態では、3つのセグメントが提供され、非接触または不十分な接触に1つのセグメント、適度な接触に対して1つのセグメント、良好なまたは堅固な接触に対して1つのセグメントが提供される。セグメントは、等しく、または要求および/もしくは必要に応じて分割することができる。要求に応じて、他の色、パターン、目盛りおよび/または他の視覚的指標を用いることができる。さらに、使用者に対して、カテーテルまたは他の医療器具を係合させる力が大きすぎる(たとえば、1を超える接触関数値)ことに関して警告するように、「接触警告」の色またはゲージ目盛りを提供することができる。ゲージ1250は、ゲージ1250の上に接触関数のリアルタイムまたは瞬間値を示すために使用されるポインタ要素を含むことができる。
いくつかの実施形態では、定性的指標1260は、接触が治療(たとえば、アブレーション)処置を開始するのに十分であるか否か、接触のレベル、組織タイプ、および/または接触が安全のために所望の接触を超えるか否かを示す。定性的指標1260は、二値表
示(たとえば、十分な接触対不十分な接触、接触または非接触、焼灼された組織対生存組織)、またはゲージ1250によって提供されるもの等、複数レベルの定性的表示を提供することができる。一実施形態では、定性的指標1260は、現接触関数値に対応する色をゲージ1250に表示する。使用者に接触の質を伝えるために、接触関数とともに、水平または垂直バー、他のメータ、ビーコン、色変化インジケータまたは他のタイプのインジケータ等、他のタイプのインジケータを利用することも可能である。インジケータは、接触(または十分なレベルの接触)時または接触がなくなった時に駆動されるように適合された1つまたは複数の発光ダイオード(LED)を含むことができる。LEDは異なる色とすることができ、各色は、異なるレベルの接触を表す(たとえば、非接触に対する赤色、不十分な接触に対するオレンジ色、中間の接触に対する黄色、および良好な接触に対する緑色)。LEDは、カテーテルハンドルに、ディスプレイもしくは患者モニタに、またはシステムに通信可能に接続された他の任意の別個のデバイスに配置することができる。
グラフ式出力または視覚的出力に加えて、接触検知サブシステム50、650はまた、接触、非接触もしくは過度の接触を示す可聴出力、またはハプティックもしくは触覚フィードバックもしくは出力等、他のタイプの出力を生成するようにも適合させることができる。出力はまた、組織タイプ(たとえば、焼灼された組織対生存可能組織)の表示も提供することができる。可聴出力は、1つまたは複数のスピーカを介して生成される1つまたは複数の音、音声命令または警報を含むことができる。
ハプティックフィードバックは、ハプティック出力またはハプティックフィードバック機構またはシステムを用いて実装することができる。たとえば、ハプティックフィードバックは、使用者に情報を伝達するために、振動モータまたは他の触覚部材によって生成される力、振動もしくは他の運動または触覚フィードバックの形態で提供することができる。使用者が触感を知覚または感知するように、さまざまなタイプのモータ(たとえば、圧電モータ、超音波モータ、回転モータ、縦またはリニアモータ)を設けることができる。複数のモータを異なる軸に沿って向けることができる。ハプティックフィードバック装置(たとえば、モータ、アクチュエータまたは他の触覚部材)は、アブレーションカテーテルまたは他の医療器具のハンドル内もしくはハンドルに沿って、または使用者が保持する別個のデバイス(たとえば、ジョイスティック、ウェアラブルグローブまたは他の器具)に配置することができる。いくつかの実施形態によれば、ハプティックフィードバックは、有利には、視覚的フィードバックまたは出力より迅速な応答時間または知覚を提供し、使用者がフィードバックまたは表示を受け取るために視覚的フィードバックまたは出力のディスプレイを見る必要なしに、フィードバックまたは表示を提供する。したがって、使用者は、別個のディスプレイ(たとえば、蛍光透視ディスプレイ、または心内超音波ディスプレイ)を見るかまたは患者もしくは患者の体内に挿入されている器具類を見るのにより多くの時間を費やすことができる。
一実施形態では、ハプティックフィードバック(たとえば、振動または他の触覚出力)は、接触検知サブシステムが、接触(または十分なレベルの接触もしくは閾値レベルの接触)が達成されたと判断するまで使用者に提供され、そのように判断された時点でハプティックフィードバック(たとえば、振動または他の触覚出力)が終了する。
いくつかの実施形態では、ハプティック出力(たとえば、振動、力または他の運動)は、接触検知サブシステムが、接触(十分なレベルの接触または閾値レベルの接触)が達成されたと判断するまで提供されず、そのように判断された時点で、ハプティック出力は、使用者に対し、接触(または十分なレベルの接触)が達成されたという表示を提供する。この実施形態では、ハプティック出力は、繰返しパルスまたは非常に短い持続時間(たとえば、0.5秒〜5秒、0.5秒〜1秒、1秒〜2秒、2秒〜3秒、3秒〜4秒、4秒〜
5秒、それらの部分的に重なる範囲、5秒より大きい、0.5秒未満、または0.5秒〜5秒の任意の値)の振動であり得る。
いくつかの実施形態では、ハプティックフィードバックは連続的に提供され、プロファイルまたは1つもしくは複数のパラメータ(たとえば、ハプティックフィードバックの強度、周波数および/またはパターン)は、接触、接触の質またはレベル、接触力、非接触、組織タイプ(たとえば、焼灼された組織対生存可能組織)を示すように調整することができる。強度、周波数、パターンおよび/または他のパラメータの変化は、漸進的である場合もあれば、または離散的な閾値で変化する場合もある。たとえば、振動周波数またはパターンは、上述した接触関数または接触指標から求めることができる、接触の量またはレベルが増大すると、(漸進的に、または「不十分な」接触、「中間の」接触および「良好な」接触の閾値等、離散的な閾値で)増大することができる。別の例として、組織タイプに応じてハプティック出力を調整することができる。一実施形態では、接触検出または検知サブシステムによって生存可能組織が検出される場合、第1周波数またはパターンの振動が使用者に提供され、焼灼された組織が検出される場合、第1周波数またはパターンの振動と異なる第2周波数またはパターンの振動が使用者に提供される。
いくつかの実施形態では、器具の遠位チップが血液中にある間、ハプティックフィードバックは提供されず、接触が開始すると第1レベルのハプティック出力(たとえば、第1強度または第1周波数の振動)が提供され、「良好な」接触を示す閾値レベルの接触が達成されると、第2レベルのハプティック出力が(たとえば、第1強度より大きい第2強度、または第1周波数と異なり、第1周波数より大きいかまたは小さい第2周波数で)提供される。一実施形態では、ハプティック出力(たとえば、振動、力または他の運動)は、本明細書に記載する接触検知または検出サブシステムにより非接触(または閾値量を下回る接触レベル)と判断されるときにのみ開始される。
いくつかの実施形態では、ハプティックフィードバックまたは出力は、カテーテルの少なくとも一部(たとえば、操縦可能遠位チップまたは近位ハンドル)が動いている(使用者が、組織との接触を確立しようとするかまたは組織とのより高レベルの接触を確立しようとしていることを示す)と判断されたときにのみ提供される。たとえば、ハプティックフィードバックシステムを加速度計と組み合わせることができ、それにより、加速度計がカテーテルの少なくとも一部の動きを検出したときにのみハプティックフィードバックが提供される。一実施形態では、加速度計はカテーテルの操縦可能遠位チップに配置されて、遠位チップが操縦されているかまたは動かされているという指標を提供する。別の実施形態では、加速度計はカテーテルの近位ハンドルに配置されて、より高レベルの接触を確立し、再確立し、または取得するための移動を示す可能性がある近位ハンドルの移動を検知する。一実施形態では、ハプティックフィードバックまたは出力は、カテーテルハンドルにおける使用者の手または指の検出時にのみ提供される。たとえば、ハンドルは、ハプティックフィードバックシステムのオンおよびオフを切り替えるタッチセンサ(たとえば、圧力センサまたは接触センサ)を含むことができる。
いくつかの実施形態では、ハプティックフィードバックまたは出力は、アブレーションまたは他の治療処置中(たとえば、RFエネルギーが送達されている間)に提供される。たとえば、ハプティックフィードバックまたは出力は、非接触、または非接触の可能性があるかもしくは間もなく非接触になることを示すことができる。いくつかの実施形態では、ハプティックフィードバックまたは出力は、閾値接触レベル未満の接触レベルを示すか、または非接触状態の発生を示す。たとえば、一実施形態では、接触検知サブシステムの処理デバイスは、コンピュータ可読媒体に格納されているかまたは符号化されている所定命令の実行時に、接触状態または接触のレベルを(たとえば、本明細書に記載する接触関数または接触表示値に基づいて)モニタリングし、求められた(たとえば、本明細書に記
載するようにインピーダンス測定値に基づいて計算されるかまたは求められた)接触レベルに応じてハプティックフィードバックまたは出力を提供するように適合されている。
いくつかの実施形態では、非接触を示す状態が発生した場合、処理デバイスは、非接触を示すように使用者に対してハプティックフィードバック(たとえば、ハンドルまたは別個のハプティックデバイスの振動)または他の警報を生成する。他の実施形態では、ハプティックフィードバックまたは他の警報が生成されるようにするために、複数の別個の閾値条件が発生しなければならない。
いくつかの実施形態によれば、ハプティックフィードバックは、別法としてまたは振動フィードバックに加えて、パワーステアリングを採用する車両の運転手がハンドルを回すときに経験する抵抗と同様の、操縦つまみ、プランジャまたは他の操縦機構を介してカテーテルの遠位端を手動で操縦するときに使用者の手が経験する反対または抵抗の量として提供することができる。反力または抵抗の量は、接触の定量的または定性的尺度(たとえば、接触検知または接触表示サブシステムまたはモジュールによって求められる接触関数または指標)に対して比例することができる。
図13は、治療処置(たとえば、心臓アブレーション処置)中に接触または接触レベルを示すハプティックまたは触覚フィードバックを使用者に提供し、操縦アクチュエータの手動作動に応じて操縦可能医療器具の電子操縦を提供するように適合された、「パワーステアリング」システム1300の実施形態を示す。パワーステアリングシステム1300は、操縦可能カテーテル1320および制御ユニット1330を含む。制御ユニット1330は、操縦可能カテーテル1320の構成要素と制御ユニット1330との間の電気接続および信号の転送を提供するように、カテーテルケーブル1340および電気コネクタ1350を介して操縦可能カテーテル1320に接続される。
操縦可能カテーテル1320は、近位ハンドル1321および操縦可能遠位端部分1322を含む。操縦可能カテーテル1320の遠位端部分1322は、操縦可能カテーテル1320の操縦機構またはアセンブリによって操縦することができる。操縦機構またはアセンブリは、操縦可能遠位端部分1322に沿って配置された操縦プレート1324と、近位ハンドル1321内に配置された操縦キャプスタンまたは他の回転部材1325と、操縦プレート1324と操縦キャプスタン1325との間に延在する1つまたは複数の操縦ワイヤまたはプルワイヤ1326とを含むことができる。近位ハンドル1321は、使用者がアクセス可能でありかつ制御可能である操縦つまみまたはアクチュエータ1327と、第1モータM1と、第2モータM2と、センサS1とをさらに含むことができる。使用者の指によって操縦つまみまたはアクチュエータ1327に加えられる操縦方向および角度量、すなわち回転は、センサS1によって検知される。センサS1は、回転センサ(たとえば、モータ、光学エンコーダ、ホール効果センサ等)であり得る。センサS1は、単一センサまたは複数のセンサから構成されるかまたはそれを含むことができる。操縦方向および回転情報は、制御ユニット1330によって処理され、その後、操縦可能カテーテル1320の遠位端部分1322をパワーステアリング式に操縦するように第2モータM2が駆動される。第2モータM2は、操縦プレート1324の移動を制御するように操縦キャプスタン1325および操縦ワイヤ1326を駆動し、それにより、遠位端部分1322の偏向をもたらす。一実施形態では、操縦つまみ1327の代わりに操縦プランジャ機構が使用され、センサS1は、操縦可能遠位端部分1322の移動をもたらすようにプランジャの押しまたは引きの量を求める力または圧力センサであり得る。使用される操縦機構のタイプとは無関係に、使用者によって提供される手動操縦は、カテーテルのハンドルおよび/または別個の制御ユニットにおける電子回路の結果としてパワーステアリングになる。一実施形態では、カテーテルのハンドルは、接触検出または検知サブシステムから情報を受け取り、かつ受け取った情報に基づいてハプティック出力を開始するように
構成された、マイクロコントローラまたはマイクロプロセッサを含む。
いくつかの実施形態では、操縦可能カテーテル1320の遠位端部分1322は、複数の電極または電極部材D1、D2を含む。複数の電極または電極部材D1、D2は、高分解能複合電極アセンブリ(たとえば、本明細書に記載する電極部材または部分30A、30Bまたは630A、630B)を形成することができる。電極部材D1、D2は、他のエネルギー送達部材に置き換えることができ、または3つ以上の電極部材を含むことができる。いくつかの実施形態では、操縦可能カテーテル1320は、電極または電極部材D1、D2の近位側に配置された追加のマッピングまたは検知電極を含む。
制御ユニット1330は、プロセッサ1332(たとえば、マイクロコントローラまたはマイクロプロセッサ)、電力送達モジュール1333、接触検出サブシステムまたはモジュール1335、検知モジュールまたは回路1337、および1つまたは複数のモータドライバ1339を含む。電極または電極部材D1、D2は、カテーテルケーブル1340および電気コネクタ1350を通って延びる1本または複数本の電線1336により、制御ユニット1330の電力送達モジュール1333にかつ接触検出サブシステムまたはモジュール1335に接続される。電力送達モジュール1333はまた、戻り高周波電極1338にも電気的に接続することができる。上述したように、電極または電極部材D1、D2を用いて、接触検出を容易にするように接触検出サブシステムまたはモジュール1335に対する入力信号を取得することができる。接触検出サブシステムまたはモジュール1335は、本明細書に記載する他の接触検出サブシステムまたは接触関数もしくは接触表示特徴(たとえば、接触検知サブシステム50、650)に関連して記載した特徴、構成要素または方法のうちの任意のものを組み込むことができる。電極または電極部材D1、D2はまた、本明細書に記載したように、治療処置(たとえば、高周波心臓アブレーション療法)を提供するようにも使用することができる。プロセッサ1332は、データを処理するためにモジュール(たとえば、接触検出または検知モジュール)と通信しかつそれを実行するように適合され、モジュールはメモリに格納されている。モジュールは、アルゴリズムまたは機械可読命令の形態のソフトウェアを含むことができる。
接触検出サブシステムまたはモジュール1335によって求められるような、電極または電極部材D1、D2によって検知される接触の大きさまたはレベルに応じて、使用者が操縦つまみ1327を駆動している間、第1モータM1は、使用者の指に対する反力を提示するように1つまたは複数のモータドライバ1339によって駆動され、それにより、電極または電極部材D1、D2により、かつ接触検出サブシステムまたはモジュール1335により検出されるように、幾分かのカテーテルチップと組織との接触に応じて、幾分かの反対の知覚可能な感覚または触感を提供する。
制御ユニット1330は、入出力ドライバまたはインタフェースを介して、ディスプレイまたは患者モニタ1360およびユーザインタフェース1370に通信可能に接続することができる。制御ユニット1330は、ディスプレイモニタ1360に表示するための出力を生成することができ、ユーザインタフェース1370を通してユーザ入力を受け取ることができる。制御ユニットからの出力を用いて、インピーダンス情報等の他の変量に加えて、温度情報(T)、電力情報(P)および接触関数または接触表示情報(CI)を表示することができる。ディスプレイモニタ1360は、独立型コンポーネントとすることができ、または制御ユニット1330と一体化することができる。同様に、図示するモジュールまたはシステムブロック(たとえば、電力送達モジュール1333、接触検出サブシステムまたはモジュール1335、検知回路1337およびモータドライバ1339)は、独立型コンポーネントとすることができ、または1つのシステムに一体化することができる。いくつかの実施形態では、制御ユニット1330は、フィルタリングされた電位図(EGM)を電極または電極部材D1、D2から電気生理学記録システムに送信する
。ユーザインタフェース1370は、独立型コンポーネント(たとえば、キーボード)を含むことができ、またはディスプレイモニタもしくは制御ユニットと一体化することができる(たとえば、制御ユニット1330のフロントパネルのタッチパッド)。
(たとえば、高周波発生器ユニット等のエネルギー送達モジュール40内にあり得るか、または別個の独立型コンポーネントであり得る)接触検出サブシステムまたはモジュール1335によって取得される電気測定値(たとえば、インピーダンスの大きさ、インピーダンス位相、および/または異なる周波数でのインピーダンスの大きさの間の勾配等のインピーダンス測定値)は、ネットワークパラメータ回路(たとえば、インピーダンス測定回路)、または接触検出サブシステムもしくはモジュール1335とアブレーションカテーテルもしくは他の治療デバイスの高分解能電極アセンブリもしくはスプリットチップ電極アセンブリの電極D1、D2との間に配置されたネットワークにおけるハードウェアコンポーネントによって影響を受ける可能性がある。たとえば、タイプ(たとえば、ブランド、長さ、材料)の異なるケーブルまたはワイヤは、電気測定値(たとえば、電圧、電流および/またはインピーダンス測定値)に異なる影響を与える異なるネットワークパラメータおよび/または他のパラメータを有する可能性があり、またはケーブルもしくはワイヤの巻きが電気測定値に影響を与える可能性がある。さらに、いくつかの実装形態では、接触検出サブシステムまたはモジュール(たとえば、接触検出サブシステムモジュール1335)とエネルギー送達カテーテルまたは他の治療デバイスの高分解能電極アセンブリもしくはスプリットチップ電極アセンブリの電極もしくは電極部分D1、D2との間のネットワークパラメータ回路に沿ったいずれかの箇所で、カテーテルインタフェースユニットを接続することができる(またはカテーテルインタフェースユニットは電気経路に存在することができる)。カテーテルインタフェースユニットは、さまざまな周波数を有する信号をフィルタリングするように適合されたフィルタ(たとえば、ハードウェアまたはソフトウェアで実装されるローパスフィルタ、バンドパスフィルタ、ハイパスフィルタ)を含む場合もあれば含まない場合もある。一例として、カテーテルインタフェースユニットは、高周波発生器および電気解剖学的マッピングシステムの両方を、複数の電極部分または部材を有する高分解のマッピングおよびエネルギー送達カテーテル(アブレーションカテーテルまたは本明細書に記載する他のエネルギー送達装置等)に接続するのを容易にするように適合されたハードウェアモジュールまたはユニットを含むことができ、それは、ネットワークパラメータ回路(たとえば、インピーダンス測定回路)に沿ったいずれかの箇所で接続されるか、または間隔を空けて配置された電極部材の電気経路に存在する。カテーテルインタフェースユニットもしくは他のハードウェアモジュールもしくはユニットの存在もしくは不在、または使用されるケーブル、発生器もしくはワイヤのネットワークパラメータの差により、ネットワークパラメータ(たとえば、散乱パラメータ、または電圧および電流測定値によって直接決まるかもしくは電圧および電流測定値からのインピーダンス測定値等の電気パラメータ)のばらつきがもたらされる可能性があり、または高分解能電極アセンブリの2つの電極間の実際のネットワークパラメータ値(たとえば、インピーダンス)を正確に反映しないネットワークパラメータ(たとえば、インピーダンス測定値または値等の電気測定値または値)がもたらされる可能性があり、それにより、接触表示値がより正確でなくなりかつ/または一貫しなくなる。したがって、正確さまたは一貫性の欠如は、治療転帰またはパラメータに悪影響を及ぼす可能性があり、安全性および/または有効性に関連する有害な結果を有する可能性がある。したがって、本明細書では、複合電極アセンブリ(たとえば、間隔を空けて配置された電極部材または部分の高分解能またはスプリットチップ電極構成)を含むアブレーションシステムによって取得されるネットワークパラメータ値(たとえば、インピーダンスの大きさ、勾配もしくは位相の値、または電圧もしくは電流測定値等の電気測定値)の正確さおよび一貫性を向上させる、いくつかの実施形態について開示する。
いくつかの実施形態によれば、アブレーションシステムのケーブル、発生器、ワイヤお
よび/または他の任意の構成要素(および/またはアブレーションシステムに動作可能に接続された構成要素)により、またはエネルギー送達およびマッピングシステムのカテーテルインタフェースユニットもしくは他のハードウェアコンポーネントの存在もしくは不在によりもたらされる影響を取り除く、除去する、または補償するいくつかの実施形態、システムおよび方法が提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示するシステムおよび方法により、有利には、高分解能電極アセンブリの電極にわたる実際のネットワークパラメータ値(たとえば、インピーダンス)をより密に表す、ネットワークパラメータ値(たとえば、インピーダンス値)に基づく接触表示値がもたらされる。したがって、本明細書に記載する補償または校正システムおよび方法の結果として、臨床医は、接触表示値が正確であり、システムまたはネットワークパラメータ回路で使用されているかまたはそれに接続されているハードウェアまたは機器の変動に影響を受けないことをより確信することができる。たとえば、パラメータまたは測定値は、標的領域(たとえば、患者の心臓の標的組織)に関連しない環境またはハードウェアの影響を受けないようにすることができる。いくつかの構成では、本明細書に開示する補償または校正実施形態を用いるシステムによって取得されるネットワークパラメータ値(たとえば、散乱パラメータ値またはインピーダンス測定値)は、複合電極アセンブリの電極部材にわたる実際のネットワークパラメータ値(たとえば、散乱パラメータ値またはインピーダンス値)の±10%の範囲内(たとえば、±10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%の範囲内)であり得る。たとえば、インピーダンスの大きさ、インピーダンス勾配(2つの周波数におけるインピーダンスの大きさの比)およびインピーダンスの位相は、それぞれ個々に、この手法を用いて±10%以内またはそれより適切に測定することができる。その結果、接触関数または接触指標は、有利には、±10%またはそれより優れた精度で組織接触の正確な表現を提供することができる。
図14Aは、ネットワークパラメータ測定回路1400(たとえば、組織接触インピーダンス測定回路)の実施形態の概略ブロック図を示す。ネットワークパラメータ測定回路1400は、接触検知信号源1405と、アブレーションカテーテルの遠位端部分における高分解能電極アセンブリの2つの電極D1、D2間の負荷1410と、発生器1415、カテーテルインタフェースユニットケーブル1420A、1420B、カテーテルインタフェースユニット1425、発生器ケーブル1430およびカテーテルワイヤ1435を表す複数の2ポートネットワークのチェーンとを含む。いくつかの構成では、ネットワークパラメータ値(たとえば、散乱パラメータ、または電圧、電流もしくはインピーダンスの測定値等の電気測定値)は、発生器1415のレベルでチェーンの最初に取得され、測定されたネットワークパラメータ値は、信号源1405と電極部材D1、D2との間のネットワークパラメータ回路のコンポーネントの影響により、2つの間隔を空けて配置された電極部材D1、D2間の実際のネットワークパラメータ値(たとえば、インピーダンス値)とは著しく異なる可能性がある。インピーダンス値は、インピーダンスの大きさ、異なる周波数のインピーダンスの大きさの間の勾配、および/またはインピーダンス位相の値を含むことができる。たとえば、周波数f1での検出されたインピーダンスの大きさは、周波数f1での実際のインピーダンスの大きさとは±25%程度異なる可能性がある。同様に、検出された勾配(周波数f2およびf1でのインピーダンスの比)は、実際の勾配と±50%程度異なる可能性がある。さらに、検出された位相は、実際の位相と±30度程度異なる可能性がある。これらの不正確さが結合される結果、接触関数(CF)または接触表示値は、意図された接触関数または接触表示値と−100%または+150%程度異なる可能性があり、それにより、組織接触の判断において接触関数が無効になる。いくつかの実施形態によれば、本明細書に開示する補償または校正実施形態は、有利には、接触関数または接触表示値の精度を向上させることができる。
ネットワークパラメータ測定回路1400におけるマルチポート(たとえば、2ポート)ネットワークの各々のネットワークパラメータを取得して(たとえば、測定して)、測
定されたネットワークパラメータ値(たとえば、散乱パラメータ、またはインピーダンス等の電気パラメータ)を補正された(実際の)値(たとえば、インピーダンス値)に変換するために利用することができる。いくつかの実施形態では、2ポートネットワークアナライザを使用して、2ポートネットワークの各々の入力および出力において散乱パラメータ(Sパラメータ)が直接測定される。他の実施形態では、ネットワークパラメータ測定回路1400の複数のコンポーネントを結合してコンポーネント群にし、合わせて測定することができる。個々のコンポーネントまたはコンポーネント群のパラメータを結合して、ネットワークパラメータ値に対する2ポートネットワークのチェーンの総合的な影響を求めることができる。いくつかの実施形態では、コンポーネントのうちの少なくともいくつかの散乱パラメータを、測定されるかまたは取得される測定値の数を低減させるように(たとえば、数個の測定サンプルに基づく平均値を用いて)ソフトウェアプログラムにハードコーディングすることができる。
一実施形態によれば、2ポートネットワークまたは2ポートネットワーク群の各々に対するSパラメータ行列を、全体的な伝送行列に変換することができる。その後、全体的な伝送行列を再びSパラメータ(または他の何らかのパラメータ)に変換して、全体的なネットワークに対するSパラメータ(または別のタイプの)行列を生成することができる。したがって、全体的なSパラメータ行列からのSパラメータを用いて、測定された入力反射係数からSパラメータを取り除くか、校正するかまたは補償して、補正された(実際の)反射係数をもたらすことができる。したがって、実際の反射係数を、高分解能電極アセンブリの2つの電極部分D1、D2間の実施のインピーダンスをより厳密に示す補正されたインピーダンス値に変換することができる。いくつかの実施形態では、補正されたインピーダンス値は、上述したように、接触関数(CF)、または接触評価アルゴリズムもしくは関数の他の接触表示もしくはレベルに対する入力として使用される。たとえば、補正されたインピーダンス値を用いて、上述した重み付けされた接触関数(CF)におけるZ、SおよびPの値を求めることができる。
ネットワークパラメータ測定回路(たとえば、インピーダンス測定回路)1400のハードウェアコンポーネントの影響は、最初に使用する前に、特定のシステム(たとえば、インピーダンス測定回路)セットアップのハードウェアコンポーネントまたはハードウェアコンポーネントの相違の影響を低減させるかまたは除去するように、補償し、取り除き、または校正することができるが、異なるハードウェアコンポーネント(たとえば、発生器、ケーブル、カテーテル等)が使用されるため、または電気解剖学的マッピングを容易にするカテーテルインタフェースユニットまたは他のハードウェアコンポーネントがプラグ接続されるかまたは除去されるため、ネットワークパラメータ回路のコンポーネントは、異なる処置に対して異なる可能性があり、それにより、補償されなかった場合に不整合がもたらされる。いくつかの実施形態では、全体的なシステムSパラメータ行列は、ネットワークパラメータ測定回路1400内の接続が(たとえば、カテーテルインタフェースが電気経路にプラグ接続されるかまたはそこから除去されるとき、ケーブルが切り替えられるとき等に)変化する場合のみ更新することができる。
いくつかの実施形態では、接続が変化するときにいくつかの回路コンポーネントのインピーダンスに対する影響を手動で取り除くことを必要とする(それは、時間がかかり、使用者のエラーの可能性を増大させる可能性がある)代わりに、さまざまなコンポーネント(たとえば、発生器1415、カテーテルインタフェースユニットケーブル1420A、1420Bおよびカテーテルインタフェースユニット1425)のサブセットのネットワークパラメータが自動的に測定されて、これらの要素の影響を、ネットワークパラメータ(たとえば、散乱パラメータまたはインピーダンスパラメータ)から取り除くか、または補償または校正することができる。図14Bは、ネットワークパラメータ回路1400のいくつかのハードウェアコンポーネントの影響を自動的に取り除くかまたは補償するため
に使用することができる回路1450の実施形態を示す。一実施形態では、自動校正回路1450は、発生器ケーブル1430およびカテーテルワイヤ1435の前のカテーテルインタフェースユニットケーブルの遠位端に配置される。回路1450は、有利には、高分解能電極アセンブリの電極部材D1、D2を発生器ケーブル1430およびカテーテル1435から分離し、D1とD2との間に既知の負荷を接続するのを可能にすることができる。
この実施形態では、自動校正回路1450は、発生器ケーブル1430およびカテーテルワイヤ1435コンポーネントのネットワークパラメータが既知であり、一定であると想定することができると想定することができる。しかしながら、発生器ケーブル1430および/またはカテーテルワイヤ1435が、部品によって著しく変化すると判断される場合、要求または必要に応じて、発生器ケーブル1430の遠位端に、カテーテルチップに、または他の任意の位置に、回路1450を実装することができる。いくつかの実施形態では、自動校正回路1450の既知の負荷は、校正抵抗器Rcalおよび校正コンデンサCcalを含む。スイッチを用いて、負荷としてのRcal、負荷としてのCcal、および負荷として並列のRcalおよびCcal両方を接続することができる。既知の負荷として、他の素子(インダクタ、抵抗器、インダクタおよび/もしくはコンデンサの組合せ、または短絡回路もしくは開回路等)を利用することができる。図14Bに示すように、発生器1415、カテーテルインタフェースユニットケーブル1420A、1420Bおよびカテーテルインタフェースユニット1425の結合ネットワークパラメータは、単一の結合ネットワーク(ネットワーク1)として表される。
この実施形態では、ネットワーク1のネットワークパラメータ(たとえば、Sパラメータ)は、ネットワークパラメータ回路を用いて直接測定され、ネットワークパラメータからSパラメータ行列が生成される。Sパラメータ行列における要素の各々は、複素数であり、周波数に依存する。Sパラメータは、複数の異なる周波数(たとえば、5kHz〜20kHzの第1周波数、25kHz〜100kHzの第2周波数および500kHz〜1000kHzの第3周波数等、kHz範囲の3つの異なる周波数)で測定することができる。一実施形態では、抵抗器Rcalが接続されコンデンサCcalが切断された状態で、コンデンサCcalが接続され抵抗器Rcalが切断された状態、抵抗器RcalおよびコンデンサCcalの両方が並列に接続された状態で、複素インピーダンスが測定される。測定された複素インピーダンス、ネットワーク1のSパラメータおよび既知の負荷の間の関係は、3つの式として表すことができ、それを用いて、ネットワーク1のSパラメータを解くことができる。Sパラメータが特徴付けられると、それらを(たとえば、伝送行列手法を用いて)発生器ケーブル1430およびカテーテルワイヤ1435の既知のネットワークパラメータと結合して、カテーテルの遠位端部分において(たとえば、複合電極アセンブリの2つの間隔を空けて配置された電極部分にわたって)補正された(実際の)インピーダンス測定値を提供することができる。
本明細書に記載する自動校正技法およびシステムにより、有利には、使用されている発生器、ケーブル、カテーテルまたは他の機器に関わらず、かつ同時の電気解剖学的マッピングを容易にするハードウェアコンポーネント(たとえば、カテーテルインタフェースユニット)が接続されているか否かに関わらず、接触表示値の信頼度の上昇が可能になる。さまざまな測定は、プロセッサによって実行されるコンピュータ可読記憶媒体に格納された命令の実行時に自動で実行することができ、または手動で実行することができる。
本明細書に記載する自動校正システムおよび方法はまた、システムの1つまたは複数のハードウェアコンポーネント(たとえば、発生器回路、ケーブルおよびカテーテル配線)に対する等価回路モデルを用いて実施することも可能である。こうした実装形態では、等価回路モデルは、表されている1つまたは複数のハードウェアコンポーネントの実際の応
答を近似する1つもしくは複数の抵抗器、1つもしくは複数のコンデンサ、および/または1つもしくは複数のインダクタを含む。一例として、発生器ケーブルコンポーネント1430を、図14Cに示すように、伝送ライン等価RLCモデルによって表すことができ、インピーダンスZ
measの測定はポート1で実行され、所望の実際の(補正された)インピーダンスZ
actはポート2にある。この例では、インピーダンス測定回路がインピーダンスZ
measを測定している場合、回路解析技法を用いることによって実際のインピーダンス測定値Z
actを抽出することができる。2つのインピーダンスに関する式は、以下によって与えられる。
R、LおよびCに対する実際の値は、ネットワークパラメータ測定値から抽出することができる。たとえば、このネットワークのインピーダンス(Z)パラメータを測定する場合、以下の関係を導出することができる。
式中、1および2は回路のポート番号を示し、V
1、I
1、V
2およびI
2は、それぞれのポートの各々における電圧および電流を表す。R、LおよびCに対する値はまた、測定ツール(たとえば、マルチメータ)を利用して測定することも可能である。上述した等価回路モデル手法は、この概念の一例である。他の実装形態では、より複雑な回路モデルを利用してシステムのさまざまな要素を表すことができる。
いくつかの実施形態では、システムは、(複数の特徴とは対照的に)単一の特徴として存在するさまざまな特徴を有する。たとえば、一実施形態では、システムは、焼灼電力および接触検知の両方に対して単一のアブレーションカテーテルおよび単一の信号源を含む。代替実施形態では、複数の特徴または構成要素が提供される。
いくつかの実施形態では、システムは、以下のうちの1つまたは複数を含む。すなわち、組織調整手段(たとえば、アブレーションまたは他のタイプの調整カテーテルまたは送達装置)、エネルギーを発生させる手段(たとえば、発生器または他のエネルギー送達モジュール)、エネルギーを発生させる手段を組織調整手段に接続する手段(たとえば、インタフェースまたは入出力コネクタまたは他の結合部材)、組織接触検知および/または組織タイプ判断を行う手段、組織接触検知および/または組織タイプ判断を行う手段によって生成される出力を表示する手段、ハプティックフィードバックを生成する手段、組織との接触のレベルを求める手段、接触検知手段に関連してネットワークパラメータ測定値
を校正する手段等である。
本明細書に記載する任意の方法を、メモリに格納され、かつ1つまたは複数のプロセッサまたは他のコンピューティングデバイスによって実行されるソフトウェアコードモジュールで具現化し、かつそれを介して部分的にまたは完全に自動化することができる。それらの方法は、有形のコンピュータ可読媒体から読み出されるソフトウェア命令または他の実行可能機械可読コードの実行に応じて、コンピューティングデバイスにおいて実行することができる。有形のコンピュータ可読媒体は、コンピュータシステムによって読取可能なデータを格納することができるデータ記憶デバイスである。コンピュータ可読媒体の例としては、リードオンリメモリ(たとえば、EEPROM)、ランダムアクセスメモリ、他の揮発性または不揮発性メモリデバイス、CD−ROM、磁気テープ、フラッシュドライブおよび光学データ記憶デバイスが挙げられる。本明細書に記載するモジュール(たとえば、接触検出または検知モジュール)は、構造的ハードウェア要素、および/またはメモリに格納された非構造的ソフトウェア要素(たとえば、処理またはコンピューティングデバイスによって実行可能なアルゴリズムまたは機械可読命令)を含むことができる。
さらに、実施形態は、1つまたは複数の有形のコンピュータ記憶媒体に格納されたコンピュータ実行可能命令として実施することができる。当業者には理解されるように、有形のコンピュータ記憶媒体に格納されたこうしたコンピュータ実行可能命令は、コンピュータプロセッサ等のコンピュータハードウェアによって実行される具体的な関数を定義する。概して、こうした実施形態では、コンピュータ実行可能命令は、少なくとも1つのコンピュータプロセッサ(たとえば、プログラム可能なマイクロプロセッサもしくはマイクロコントローラまたは特定用途向け集積回路)によってアクセス可能なメモリにロードされる。したがって、少なくとも1つのコンピュータプロセッサはそれらの命令を実行し、コンピュータハードウェアに対して、コンピュータ実行可能命令によって定義された具体的な関数を実行させる。当業者には理解されるように、コンピュータ実行可能命令のコンピュータによる実行は、具体的な機能を実行するように配線されるハードウェア回路を含む電子ハードウェアによる同じ機能の実行と均等である。したがって、本明細書に例示する実施形態は、典型的には、コンピュータハードウェアおよびコンピュータ実行可能命令の何らかの組合せとして実施されるが、本明細書に例示する実施形態は、本明細書に例示する具体的な関数を実行するように配線された1つまたは複数の電子回路として実施することも可能である。
本明細書に開示するさまざまなシステム、装置および/または関連方法を用いて、限定なしに、心臓組織(たとえば、心筋、心房組織、心室組織、弁等)、体腔(たとえば、静脈、動脈、気道、食道または他の消化管腔、尿道および/または他の尿路管もしくは管腔、または管腔、他の管腔等)、括約筋、前立腺、脳、胆嚢、子宮、他の器官、腫瘍および/または他の増殖、神経組織および/または解剖学的構造の他の任意の部分を含む、対象者の解剖学的構造の1つまたは複数の部分を、少なくとも部分的に焼灼しかつ/もしくは焼灼し、加熱し、または熱的に治療することができる。こうした解剖学的位置の選択的アブレーションおよび/または他の加熱を用いて、たとえば、心房細動、僧帽弁逆流、他の心臓疾患、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、良性もしくは癌の肺結節を含む他の肺もしくは呼吸疾患、高血圧、心不全、脱神経、腎不全、肥満、糖尿病、胃食道逆流症(GERD)、他の胃食道障害、他の神経関連疾患、腫瘍もしくは他の増殖、痛みおよび/または他の任意の疾患、症状もしくは病気を含む、1つまたは複数の疾患または症状を治療することができる。
本明細書に開示する実施形態のうちの任意のものでは、プロセッサ、コンピュータ可読媒体もしくは他のメモリ、コントローラ(たとえば、ダイヤル、スイッチ、つまみ等)、接触検知サブシステム、ディスプレイ(たとえば、温度ディスプレイ、タイマ等)等を含
む1つまたは複数の構成要素が、発生器、灌注システム(たとえば、灌注ポンプ、リザーバ等)および/またはアブレーションもしくは他の調整もしくは処置システムの他の任意の部分の1つまたは複数のモジュールに組み込まれ、かつ/または(たとえば、可逆的にまたは非可逆的に)接続される。
本明細書では、いくつかの実施形態および例を開示しているが、本出願は、具体的に開示した実施形態を越えて本発明の他の代替実施形態および/または使用ならびにその変更形態および均等物まで広がる。実施形態の具体的な特徴および態様のさまざまな組合せまたは部分的組合せが作成され得、それらは、依然として本発明の範囲内にあり得ることも企図される。したがって、開示した本発明のさまざまな態様を形成するために、開示した実施形態のさまざまな特徴および態様を互いに組み合わせ得るかまたは置き換え得ることが理解されるべきである。したがって、本明細書に開示する本発明の範囲は、上述した特定の開示した実施形態によって限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲の公正な解釈によってのみ判断されるべきであることが意図されている。
本明細書に開示する実施形態は、さまざまな変更形態および代替形態が可能であるが、その具体的な例が図面に示されおり、本明細書において詳細に記載されている。しかしながら、本発明は、開示した特定の形態または方法に限定されるべきではなく、逆に、本発明は、記載されたさまざまな実施形態および添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内にあるすべての変更形態、均等物および代替形態を包含するものであることが理解されるべきである。本明細書に開示したいかなる方法も、列挙した順序で必ずしも行われる必要はない。本明細書に開示した方法は、実践者によって行われるいくつかの行為を含むが、それらは、明示的にまたは暗示的に、それらの行為の任意の第3者の命令も含むことができる。たとえば、「カテーテルを前進させること」または「アブレーション部材にエネルギーを送達すること」等の行為は、それぞれ「カテーテルを前進させるように命令すること」または「アブレーション部材にエネルギーを送達するように命令すること」を含む。本明細書に開示する範囲はまた、そのあらゆる部分的重なり、部分的範囲およびその組合せも包含する。「最大」、「少なくとも」、「〜より大きい」、「より小さい」、「間」等の文言は、列挙される数字を含む。「約」または「およそ」等の用語に続く数字は、列挙される数字を含む。たとえば、「約4オーム」は「4オーム」を含む。「実質的に」等の用語に続く用語または句は、列挙される用語または句を含む。たとえば、「実質的に平行」は「平行」を含む。