JP6962017B2 - 廃酸の処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、銅製錬排ガスの処理の際に生じる廃酸の処理方法に関し、特に廃酸に含まれるカドミウムや亜鉛を分離回収することが可能な廃酸の処理方法に関する。
銅製錬プロセスにおいて発生する銅製錬排ガスは亜硫酸ガス(SO)を含んでいるため、従来、硫酸工場に送って転化工程及び吸収工程を経て硫酸を製造することが行われている。しかし、上記銅製錬排ガスは亜硫酸ガス以外にCu等の重金属の煙灰やヒュームを含んでいるため、上記転化工程で処理する前にガス精製工程で洗浄水を用いて重金属を除去した後、後段の乾燥工程で乾燥している。
上記ガス精製工程で洗浄に使用した洗浄水は、重金属を含んだ洗浄排水として連続的又は定期的に抜き出して処理することが必要になる。上記銅製錬排ガスはSO以外にSOを含んでいるため、上記の洗浄排水は当該SO由来の硫酸分を含んでいる。このため、硫酸分を含む上記洗浄排水(以降、廃酸と称する)の処理ではこれら硫酸分と重金属の処理が必要になる。かかる廃酸の処理方法として、特許文献1には、廃酸に炭酸カルシウムを添加して硫酸分を石膏として除去した後、水硫化ナトリウムを添加して重金属を硫化澱物として除去する技術が開示されている。また、特許文献2には、廃酸を希釈してから水硫化ナトリウムを添加して重金属を硫化澱物として除去した後、炭酸カルシウムを添加して不純物品位の低い石膏を製造する方法が開示されている。
近年、銅製錬工場では夾雑物を多く含む様々な原料を処理することが多くなってきている。これに伴い、上記の硫化澱物にはCu以外の重金属の占める割合が増える傾向にある。硫化澱物は一般に銅製錬工程に繰り返して処理するため、特定の重金属については系内での循環量が増大することになり、現状の廃酸の処理装置の処理能力を超えることが懸念されている。
特開2004−275895号公報 特開2005−154196号公報
本発明は、上記した従来の廃酸の処理方法がかかえる問題点に鑑みてなされたものであり、廃酸に含まれるCu以外の重金属を分離回収して製錬工程に繰り返す硫化澱物の量を減らすことが可能な廃酸の処理方法を提供することを目的としている。
本発明者らは、上記目的を達成するために検討を重ねた結果、廃酸から生成される硫化澱物には重金属(鉄以上の比重を持つ金属)として銅や砒素のほか有価金属である亜鉛やカドミウムを比較的多く含んでいるため、廃酸に対して2回に分けて硫化剤を添加して第1及び第2の硫化澱物を生成すると共に、それぞれの硫化反応条件を調整することで、第2の硫化澱物において銅や砒素の分配量を減らしつつ亜鉛とカドミウムの分配量を増やし得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る廃酸の処理方法は、銅製錬排ガスの処理の際に生じる重金属としての銅、砒素、亜鉛及びカドミウム、並びに硫酸分を含む廃酸に硫化剤を添加して該重金属を硫化させた後、得られたスラリーを第1硫化澱物と第1清澄液とに固液分離する第1硫化工程と、前記第1清澄液にカルシウム系中和剤を添加して前記硫酸分から石膏を生成させた後、この石膏を含むスラリーを石膏と石膏終液に固液分離する石膏製造工程と、前記石膏終液に硫化剤を添加して残存する重金属を硫化させた後、得られたスラリーを第2硫化澱物と第2清澄液とに固液分離する第2硫化工程とを備え、前記第1硫化工程で添加する硫化剤の量を調整することで前記第1硫化工程において酸化還元電位150〜170mV(銀−塩化銀電極基準)で硫化反応を行うことを特徴としている。
本発明によれば、廃酸に含まれるCu以外の重金属を分離回収することで製錬工程に繰り返される硫化澱物の量を減らすことができる。
本発明に係る廃酸の処理方法の一具体例を示すブロックフロー図である。 本発明に係る廃酸の処理方法の他の具体例を示すブロックフロー図である。
以下、本発明の一具体例の廃酸の処理方法について図1を参照しながら説明する。この本発明の一具体例の処理方法は、銅製錬排ガスの処理の際に生じる重金属及び硫酸分を含む廃酸に対して硫化剤を添加して重金属から硫化澱物を生成し、これを固液分離により除去する第1硫化工程と、該第1硫化工程で除去した後の処理液に炭酸カルシウムを添加して硫酸分を石膏として回収する石膏製造工程と、該石膏製造工程で石膏を回収した後の処理液に再度硫化剤を添加して残存する重金属から硫化澱物を生成し、これを固液分離により回収する第2硫化工程と、第2硫化工程で回収した硫化澱物を処理して有価金属であるカドミウムや亜鉛を回収する有価金属回収工程とで構成される。
各工程について具体的に説明すると、先ず第1硫化工程では、廃酸に硫化剤を添加して混合することで、酸化還元電位(ORP)約150〜170mV(銀−塩化銀電極基準)の条件下で硫化反応を行って硫化澱物を生成させる(第1硫化反応ステップ)。上記硫化剤には、水硫化ナトリウム(硫化水素ナトリウム)NaHS、硫化水素HS、硫化ナトリウムNaS等の一般的な硫化剤を使用することができる。これらの中では、水硫化ナトリウム及び硫化水素がコスト面において、及び石膏製造に適した硫酸濃度の石膏始液が得られる点において特に有利である。
次に、上記第1硫化反応ステップで得た硫化澱物を含む第1スラリーを固液分離手段に導入し、硫化澱物に富む第1濃縮物と第1清澄液とに固液分離する(第1固液分離ステップ)。上記の固液分離手段には比較的低コストで大量のスラリーを処理できるシックナーを用いるのが好ましい。
次に、上記第1固液分離ステップで得た硫化澱物を含む第1濃縮物を脱水手段に導入して含水率を低減させた後(第1脱水ステップ)、銅製錬工程の自熔炉、転炉などの炉に送り、熔融金属と共に処理する。上記脱水手段にはフィルタープレス、真空式ろ過機、ベルトプレス、遠心分離機等の一般的な脱水装置を使用することができる。なお、この脱水手段で上記の第1固液分離ステップと第1脱水ステップとの両方を行ってもよい。
一方、上記の第1固液分離ステップで得た第1清澄液は、上記固液分離手段では分離できなかった細かな固形分をろ過により除去した後、石膏始液として石膏製造工程の中和槽に送る。そして、この中和槽において石膏始液にカルシウム系中和剤を添加し、中和反応により石膏始液に含まれる硫酸分を石膏として析出させる。この石膏を含むスラリーを固液分離手段に導入し、石膏を除去することで硫酸分が除かれた石膏終液を得る。上記のカルシウム系中和剤としては、炭酸カルシウム(石灰石)、水酸化カルシウム、酸化カルシウムなどを粉砕したものを用いるのがコスト的な観点から好ましい。なお、上記カルシウム系中和剤は、炭酸ナトリウムや水酸化ナトリウムを不純物として含んでいても問題なく使用することができる。
次に、上記の石膏製造工程で得た石膏終液を第2硫化工程で処理する。この第2硫化工程では、第2硫化反応ステップ、第2固液分離ステップ及び第2脱水ステップの順に石膏終液を処理する。具体的には、先ず第2硫化反応ステップにおいて石膏終液に硫化剤として水硫化ナトリウム又は硫化水素を添加して混合し、硫化反応によって硫化澱物を含む第2スラリーを得る。この際、粗大な硫化澱物が多く得られるように反応条件を適宜設定することが好ましく、これにより生産性を高めることができる。具体的な反応条件としては、第2硫化工程の酸化還元電位を−110〜−5mVの範囲内にすることを挙げることができる。この酸化還元電位が−110mVよりもマイナス側になると、より微細な硫化澱物が第2スラリーに多く含まれるようになるので好ましくない。一方、この酸化還元電位が−5mVよりもプラス側になると、第2スラリーに含まれる硫化澱物の量が少なくなるので好ましくない。
なお、第1硫化工程の酸化還元電位が150〜170mVから逸脱した場合は、上記の第2硫化工程における好適な酸化還元電位が110〜−5mVよりも格段に狭くなるので、第2硫化工程の反応条件を厳密に調節することが必要になる。逆にいえば、第1硫化工程の酸化還元電位を150〜170mVに保つことで、第2硫化工程における好適な酸化還元電位の変動幅が最大△105mVまで許容されるので、第2硫化工程の反応条件の調節が容易になる。
次に、第2固液分離ステップにおいて上記第2スラリーを固液分離手段に導入し、硫化澱物に富む第2濃縮物と第2清澄液とに固液分離する。最後に、第2脱水ステップにおいて上記の第2濃縮物を脱水手段に導入して含水率を低減し、第2硫化澱物として回収する。なお、上記の第2固液分離ステップで得た第2清澄液は、活性汚泥などの一般的な排水処理工程に送って処理する。上記の第2固液分離ステップの固液分離手段及び第2脱水ステップの脱水手段には、それぞれ前述した第1固液分離ステップの固液分離手段及び第1脱水ステップの脱水手段と同様の装置を使用することが好ましい。
有価金属回収工程において、上記の第2脱水ステップで得た第2硫化澱物に対して硫黄除去工程又は硫黄酸化工程で処理することで、様々な亜鉛精製法やカドミウム精製法に適した亜鉛やカドミウムの精製用原料を得ることができる。硫黄除去工程は第2硫化澱物から硫黄を分離する工程であり、500℃以上での焙焼や真空蒸発などの一般的な方法を用いることができる。一方、硫黄酸化工程は第2硫化澱物を酸化して硫化物を硫酸塩又は亜硫酸塩に変える工程であり、例えば硫酸、酸素、空気などの酸化剤で硫黄を酸化する方法を挙げることができる。
以降は公知の精製法を用いて上記工程で得た精製用原料から亜鉛やカドミウムを回収することができる。例えば硫黄除去工程又は硫黄酸化工程と同時に、あるいはその後段において、硫酸などの浸出液で亜鉛やカドミウムを浸出し、得られた亜鉛やカドミウムを含む溶解液に対して、例えば分別蒸留などの精製手段で処理することで亜鉛とカドミウムを分離して回収することができる。
ところで、第2硫化澱物の砒素品位が高いと、硫黄除去工程や硫黄酸化工程、その後段の亜鉛精製工程やカドミウム精製工程で砒素を除去しきるのが困難になる。従って第2硫化澱物の砒素品位を下げるのが望ましく、そのためには、第1硫化工程で硫化剤を多めに添加し、砒素を第1硫化澱物として除去することが有効である。
上記のように、回収する亜鉛やカドミウムの純度を高めるには第1硫化工程で硫化剤を多めに添加することが有効であるが、この添加量が多すぎると、亜鉛やカドミウムが第1硫化澱物となって除去されてしまう。そこで本発明の一具体例の廃酸の処理方法では、第1硫化工程で添加する硫化剤の量を調整することで上記第1硫化工程において酸化還元電位(ORP)150〜170mV(銀−塩化銀電極基準)で硫化反応を行っている。
上記の範囲内に酸化還元電位を調整することで、第2硫化澱物の砒素品位を好ましくは0.1〜3.0質量%に、より好ましくは0.5〜2.0質量%にすることができ、回収する亜鉛やカドミウムの純度とその回収量とを両立させることができる。この場合、硫化剤を節約することも可能になる。また、第1硫化工程の酸化還元電位を150〜170mVにすることで、第2硫化工程の酸化還元電位を−110〜−5mVと広い範囲で調節できる。
この酸化還元電位が150mV未満では、第1硫化澱物となって除去される亜鉛やカドミウムの量が多くなりすぎる。一方、この酸化還元電位が170mVを超えると砒素が実質的に除去されなくなり、第2硫化澱物やこれを処理することで得られる亜鉛やカドミウムの精製用原料に含まれる砒素の量が多くなりすぎる。なお、第1硫化工程の酸化還元電位をより狭い150〜160mVの範囲内にすることで、第2硫化工程において酸化還元電位による調整に代えて第2硫化澱物の発生量に基づいて硫化剤を添加することが可能になる。
銅製錬プロセスで処理する原料に含まれる砒素の量が増えると廃酸中の砒素量が増えるので、上記したように第1硫化工程で硫化剤を多く添加する必要が生じる。硫化剤を多く添加した結果、当該第1硫化工程やその後段の工程が行われる反応槽などの機器から硫化水素ガスが発生しやすくなるので、問題を生じるおそれがある。
そこで、以下に示す3つ対応策の内のいずれか1つ以上を行うのがよい。なお、図2には下記第1及び第2の対応策を含んだブロックフロー図が示されている。すなわち、第1の対応策は、第1硫化工程が行われる1つ又は複数の反応槽内の処理液から発生するガスをファン等の送風機によって捕集し、この捕集ガスが含有する硫化水素を吸収剤によって吸収するものである。吸収剤としては、例えば水酸化ナトリウムなどのアルカリを使用することができるが、硫化剤を添加する前の廃酸の少なくとも一部を吸収剤として捕集ガスに気液接触させることもできる。この場合、廃酸が含有する重金属の一部は、硫化水素の一部を吸収して硫化澱物を生成するので、この硫化水素に予硫化の役割を担わせることができる。よって、硫化水素を吸収した廃酸を第1硫化反応ステップに送ることで、第1硫化工程で使用する硫化剤を削減することができる。
第2の対応策は、第1硫化反応ステップで処理する廃酸に、廃酸の酸濃度を低下させるため希釈液を添加するものである。廃酸のpHは一般に3未満なので、廃酸よりもpHが高い液を使用する。希釈液としては、例えばpHが3〜14の範囲内の水溶液が好ましく、硫化澱物を良好にろ過する観点からは、pHが3〜8の範囲内の水溶液がより好ましい。このように希釈液で廃酸を希釈することにより、次の反応を抑制できる。
[化学式1]
2NaHS+HSO→2HS↑+NaSO
[化学式2]
MS+HSO→HS↑+MSO
(式中のMは2価の金属元素を表す)
希釈液としては、例えば他工程からの排液を用いることができ、重金属を含有している廃液であっても特に問題なく好適に用いることができる。
第3の対応策は、ファンやダクトを備えてない等の事情のある反応槽に処理液を送液する場合に好適な方法であり、該送液前に処理液をエアレーション(すなわち、処理液中に空気等のガスを吹き込む)しながら、浮上して液面から発生するガスを捕集するものである。このエアレーションによって、液中の硫化水素分圧が低下すると共に気液接触が促進されるので、溶存していた硫化水素を速やかに取り除くことができる。なお、捕集したガスは、前述した第1の対応策と同様に、吸収剤であるアルカリや廃酸の少なくとも一部に気液接触させてガス中の硫化水素を吸収すればよい。
以上説明したように、本発明の廃酸の処理方法は、廃酸の浄化だけでなく亜鉛やカドミウムなどの有価金属を回収できる。特に、第2硫化工程の前段に石膏製造工程があるので石膏終液の酸濃度を低減でき、第2硫化工程において硫化水素の発生を抑えながら反応を進めることができる。また、石膏製造工程の前段に第1硫化工程があるので、石膏の品質を向上することができる。
[実施例1]
銅製錬プラントから実際に排出された重金属及び硫酸を含むpH0の廃酸を、図1に示すフローに沿って処理した。具体的には、該廃酸を300L/分の流量で第1硫化反応ステップを行う反応槽に供給し、ここに濃度25質量%の水硫化ナトリウムをORPが150mV(銀−塩化銀電極基準)となるように添加することにより第1硫化澱物を含む第1スラリーを得た。この第1スラリーを第1固液分離ステップのシックナーに導入して固液分離し、上部から第1上澄み液をオーバーフローさせながら沈降濃縮した第1濃縮物を底部から抜き出した。この第1濃縮物を貯液槽に一旦溜めた後、第1脱水ステップのフィルタープレスでろ過することにより第1硫化澱物を回収した。なお、上記の第1濃縮物を一部サンプリングして乾燥させた後、ICP発光分光法を用いて分析したところ、亜鉛及びカドミウムはほとんど含まれていなかった。
一方、第1上澄み液は、微細な粒子をフィルタープレスでろ過して除いた後、得られた石膏始液に炭酸カルシウムを添加してpH2.3に調整し、石膏を析出させた(石膏製造工程の中和ステップ)。この石膏を含むスラリーを石膏と石膏終液とに固液分離し、得られた石膏終液を第2硫化工程の反応槽に送液した。
第2硫化工程の反応槽では、第2硫化反応ステップを行うべく、上記の石膏終液に水硫化ナトリウムを添加することでORPを−5mV(銀−塩化銀電極基準)に調整しながら第2硫化澱物を含む第2スラリーを得た。この第2スラリーを第2固液分離ステップのシックナーに導入して固液分離し、上部から第2上澄み液をオーバーフローさせながら沈降濃縮した第2濃縮物を底部から抜き出した。この第2濃縮物を貯液槽に一旦溜めた後、第2脱水ステップのフィルタープレスでろ過した。フィルタープレスを開枠して、2530kgの第2硫化澱物を回収した。このようにして得た試料1の第2硫化澱物をサンプリングしてその砒素含有量をICP発光分光法を用いて分析したところ、2.5質量%(乾物基準)であった。なお、上記の第2スラリーから柄杓でサンプリングしてビーカーに注ぎ、これをそのまま1日静置させたところ、層分離により13mlの第2濃縮物が沈澱していることを目視にて確認できた。この第2濃縮物を乾燥させた後、ICP発光分光法を用いて分析したところ、亜鉛及びカドミウムが含まれていた。
[実施例2]
第1硫化反応ステップ及び第2硫化反応ステップのORPを様々に変えた以外は上記実施例1と同様にして試料2〜8の第2硫化澱物を得た。これら試料2〜8の第2硫化澱物の砒素含有量及び上記試料1の場合と同様にして第2スラリーを1日静置することで沈澱させた第2濃縮物の体積を上記実施例1の試料1の結果と共に下記表1に示す。
Figure 0006962017
上記表1の結果から分かるように、第1硫化工程のORPが180mVで第2硫化工程のORPが−5mVの試料3において、第2硫化澱物の砒素含有量が4.0質量%以上となり、それ以外の試料では全て第2硫化澱物の砒素含有量が3.0質量%以下となった。また、静置により沈澱させた第2濃縮物の体積は、第1硫化工程のORP160mV、第2硫化工程のORP10mVの試料7が9mlとなり、この値はそれ以外の試料のものに比べて顕著に少なかった。なお、第2硫化工程のORPを−110mVよりマイナス側の−120mVにした試料8では、第2スラリーに微細な浮遊物が多く見られるようになり、920kg回収した時点でフィルタープレスが目詰まりした。
上記の結果から、第2硫化澱物の砒素含有量を3.0質量%以下にするには第1硫化工程のORPを150〜170mVとするのが適しており、加えて、カドミウムや亜鉛を含む第2濃縮物を効率よく多量に回収するには第2硫化工程のORPを−110〜−5mVにするのが適していることが分かる。


Claims (2)

  1. 銅製錬排ガスの処理の際に生じる重金属としての銅、砒素、亜鉛及びカドミウム、並びに硫酸分を含む廃酸に硫化剤を添加して該重金属を硫化させた後、得られたスラリーを第1硫化澱物と第1清澄液とに固液分離する第1硫化工程と、前記第1清澄液にカルシウム系中和剤を添加して前記硫酸分から石膏を生成させた後、この石膏を含むスラリーを石膏と石膏終液に固液分離する石膏製造工程と、前記石膏終液に硫化剤を添加して残存する重金属を硫化させた後、得られたスラリーを第2硫化澱物と第2清澄液とに固液分離する第2硫化工程とを備え、前記第1硫化工程で添加する硫化剤の量を調整することで前記第1硫化工程において酸化還元電位150〜170mV(銀−塩化銀電極基準)で硫化反応を行うことを特徴とする廃酸の処理方法。
  2. 前記第2硫化工程で添加する硫化剤の量を調整することで前記第2硫化工程において酸化還元電位−110〜−5mV(銀−塩化銀電極基準)で硫化反応を行うことを特徴とする、請求項1に記載の廃酸の処理方法。


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