JP6961674B2 - 非鉄金属およびその合金の線材を高い伸びを有するワイヤに焼鈍状態で変形させる方法 - Google Patents

非鉄金属およびその合金の線材を高い伸びを有するワイヤに焼鈍状態で変形させる方法 Download PDF

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Description

本発明は、非鉄金属およびその合金の線材を高い伸びを有するワイヤに焼鈍状態(annealed state)で変形させる方法に関する。
簡略化のために、以下では、線材およびそれから得られるワイヤの材料は、この材料が金属で構成されているか、またはこの材料が金属合金で構成されていても、「金属」と呼ばれる。
知られているように、一般に荒取り工程(roughing step)または単に荒取り(roughing)として知られている、電気利用のための非鉄金属、特に銅またはアルミニウムの線材の初期加工は、多段ダイプレート、単一ワイヤと二重ワイヤの両方、すなわち2本の線材を同時に平行して加工するダイプレートを用いて行われる。
ETPまたはFRHCまたは無酸素銅に関して、荒取りダイプレートが、直径8mmの線材を直径2〜1.5mmのワイヤに縮小するために実質的に使用される。
最も使用される範囲は、機械の本質的な制限の結果として、より小さな直径が過度に1時間当たりの生産を減少させるという事実のために、2〜1.8mmの直径近傍である。
アルミニウムに関して、最も一般的な出発直径、すなわち線材の直径は9.5mmであり、これは約2.5mmの最小直径に縮小される。
多段ダイプレートは、実質的に一連のダイプレートで構成されており、中間キャプスタン(drawing capstan)と交互に配置されている。ワイヤは、キャプスタンの牽引力の下でダイプレートの円錐形の穴を通過しなければならないので、より小さな直径に縮小される。
引き抜きによって生じる冷間変形は、金属の結晶格子のセル(cell)の寸法を減少させ、金属の硬化効果、すなわち、破断荷重の増加と同時に、伸び率の劇的な低下を常に生じる。
ある場合には、この効果は、ワイヤの破断荷重を増大させるために追求される。しかし、大部分の場合、ワイヤをさらに冷間加工する必要がある場合、この硬化効果は、ある伸び限界の下、ワイヤがもはや可塑性および延性がなく、ひずみの下で破断して塑性変形プロセスを受けることができないので、ワイヤが焼鈍の熱処理を受ける必要があることを意味する。
引き抜き後のワイヤの焼鈍の必要性は、機械的用途のためのアルミニウム合金および銅の加工において、「ECグレード」として知られる純アルミニウムのためよりもより重要である。これは、一般的に、銅で起こるように薄く、または極小の直径まで加工されないためである。
生産を最適化するために、工業的には、引き抜き後の組立ライン上で、アニール装置を使用して、アルミニウム合金または銅の特性を元の状態、すなわち加工性および延性の高い状態に戻す。機械的な使用のためにそれぞれの挙動を説明するにはあまりにも多くのアルミニウム合金があるため、本発明に係る方法はアルミニウム合金にも適用されることもできるが、本明細書は、主に銅を考慮する。
ラインアニール装置は、基本的に、ワイヤのヒーターとチラーであり、これは、非常に短時間の間に(通常、ジュール効果によって)再結晶温度をもたらし、その後急激な冷却を伴って周囲温度に戻される。この処理は、高温の結果として起こるワイヤの表面の酸化を防止するために、制御された雰囲気中で行われる。
この熱処理は、銅がダイプレート内の冷間変形中に受けた硬化を相殺し、ワイヤの伸びを35〜40%付近に回復させるが、ワイヤの製造コストにかなりの影響を及ぼす。
単に一例として、ETP銅の直径8mmの線材を、25m/秒の生産速度で直径2mmのワイヤに変形することができる最も知られた現代の市場の多段単線ダイプレートの1つは、ダイプレートのために約350kWの電力を、アニール装置のために約220kWを導入する必要がある。導入される電力の約70%が通常使用されている事実を考慮すると、実際の消費は引き抜きで245kWh、アニール装置で154kWhである。
時間当たりの生産速度が約2.5t/hである場合、アニール工程は、150kWhを2.5t/hで除算した付近の電力の消費、すなわち、製造される1トンのワイヤにつき約60kWhの消費を必要とする。
したがって、この種の伝統的な方法では、全体として、製造されるワイヤの1トン当たり約160kWhのエネルギーが消費される。
従来の生産技術で必要なアニール装置の使用は、その償却費と、引き抜きのために必要なエネルギーを加えられるその操作に必要なエネルギーのコストとの双方のために、生産コスト全体に相当な影響を及ぼす。
本発明の目的は、非鉄金属およびその合金の線材を、高い伸びを有するワイヤに焼鈍状態で変形する方法を開発することであり、生産の全体的なコストを大幅に削減することができる。
この目的の範囲内で、本発明の目的は、アニール装置を必要とせず、そのため、この構成要素の購入コストおよびランニングコストの両方を除去する方法を開発することである。
本発明の別の目的は、従来の装置、または、従来の装置から容易に実施できる修正を伴って得ることができる装置を用いて実施される方法を提供することである。
この目的、および以下にさらに明らかになるこれらおよび他の目的は、非鉄金属およびその合金の線材を高い伸びを有するワイヤに焼鈍状態で変形させる方法であって、線材からワイヤへ変形するために、直径の縮小が塑性変形プロセスによって行われ、塑性変形プロセスの終了時に、ワイヤを再結晶温度以上の温度にするために、塑性変形に供される金属の温度を制御することを特徴とする、非鉄金属およびその合金の線材を高い伸びを有するワイヤに焼鈍状態で変形させる方法によって達成される。
本発明のさらなる特徴および利点は、以下の好ましい詳細な説明、限定されないが、添付の図面に非限定的な例として示されている、本発明に係る方法の実施形態からより明らかになるであろう。
図1は、本発明に係る方法を実施するためのプラントの概略図である。 図2aおよび図2bは、本発明に係る方法を実施するのに使用できる圧延機のタイプの2つの連続圧延ユニットの圧延シリンダの概略横断面図である。 図2aおよび図2bは、本発明に係る方法を実施するのに使用できる圧延機のタイプの2つの連続圧延ユニットの圧延シリンダの概略横断面図である。 図3aおよび3bは、本発明に係る方法を実施するのに使用できる圧延機の別のタイプの2つの連続圧延ユニットの圧延シリンダの概略横断面図である。 図3aおよび3bは、本発明に係る方法を実施するのに使用できる圧延機の別のタイプの2つの連続圧延ユニットの圧延シリンダの概略横断面図である。
図面を参照すると、本発明に係る方法は、実質的に、機械的エネルギーの少なくとも一部を使用することに基づいており、機械的エネルギーは、その直径の縮小を実施するために加工される金属に提供され、直径を縮小する処理の終了時付近で、加工される金属を少なくとも再結晶温度にするために、熱エネルギーに変換される。すなわち、本発明に係る方法において、線材からワイヤに変形するために、直径の縮小が、塑性変形プロセスによって達成され、塑性変形後の金属の温度は、ワイヤが塑性変形プロセスの終了時に再結晶温度以上の温度になるように制御される。
好ましくは、塑性変形プロセスは、線材の横断面の面積の少なくとも85%の減少をもたらすように適合される。
本発明に係る方法における塑性変形プロセスは、引き抜きまたは圧延によって実施されてもよいが、好ましくは、圧延工程の終了時に、少なくとも金属の再結晶温度の温度をもたらすために、圧延される金属の冷却を制御する圧延プロセスである。
実際には、本発明に係る方法は、金属を焼鈍するために、圧延機の圧延ユニットを作動させ、加工される金属の内部の熱に変換される1つ以上のモータの動力を利用することに基づいている。公知の技術では、この熱は、冷却剤として、水と鉱油または合成油からなるエマルション、または水の重量に対して一般に1〜5重量%で含まれる油の割合を有する特殊な配合(formulation)を使用することによって、現在、荒取り(roughing)に使用されているダイプレートまたは圧延機の圧延ユニットの冷却回路によって完全に除去される。
代わりに、本発明に係る方法は、異なる配合を有する液体形態の冷却剤と、圧延の最終段階でその温度を上昇させることによって加工される金属からの熱の抽出を制御することができる対応する冷却回路を使用する。今日使用されているダイプレートのダイは低温で動作するように設計されているので、熱の抽出を制御するこの動作、すなわち金属の最終温度の制御は、圧延機を用いる方が容易である。
実質的に、本発明に係る方法において、圧延中の金属は、従来の圧延方法よりも高い温度で加工され、線材からワイヤへの移行における直径の縮小の完了近くで再結晶を得るのに十分である。
このように、ワイヤは最小限の硬化で、すなわち高い伸びで得られ、その後のプロセスの前に焼鈍を必要としない。
より具体的には、圧延シリンダー、ガスケットおよび機械の他の部品に対して潤滑特性をも有することが必要である従来の圧延方法で使用される冷却剤は、通常、油が水の量に対して1重量%〜5重量%の量で存在する特定の配合の水と油のエマルションである。本発明に係る方法において、冷却剤は、油と水とのエマルションによっても構成されているが、油は、水の量に対して5重量%を超え25重量%までの割合で存在する。油は水より比熱容量がはるかに小さいため、油の割合が高いこのエマルションは、油の比熱容量と水の比熱容量との比に従って、および水の割合に対する油の割合に比例して、熱の抽出をほぼ低減する。
本発明に係る方法を実施するためのプラントが図1に概略的に示されており、一般に、参照符号1で示されている。
コイル3から生じる線材2は、圧延機4に入り、ここで、参照符号2aで示されるワイヤになるまで直径の縮小を受け、上述したように、圧延の最終段階で、少なくとも再結晶温度までその温度をもたらす加熱を受ける。圧延機4から出たワイヤ2aは、非酸化性の制御された雰囲気を有するチャンバー5に入り、そこでそれはプーリー6によって案内される部分(section)に続き、チャンバー5の出口点で、それはエマルションが高速で流れる管7内で冷却される。管7からの出力では、ワイヤ2aは、それ自体公知の方法で、センサー10を介して圧延機4の速度と同期された速度を有するコイラー9によってコンテナ8内に収集される。
本発明に係る方法を実施するために使用される圧延機は、一列に配置された圧延ユニットを有する圧延機、すなわち連続して、好ましくは、2mm以下の小直径を転造する(roll)ように適合された多段精密圧延機、例えば、限定されないが、Continuus-Properzi S.p.A.によって製造されたマイクロ圧延機タイプの圧延機によって構成されている。
図2aおよび図2bは、本発明に係る方法を実施するのに用いることができる圧延機の2つの圧延ユニットを示しており、圧延中の金属に続く経路に沿って互いに順番に配置されている。各々の圧延ユニットにおいて、1ユニットあたり3つおよび線材2の軸周りに割り振られた圧延シリンダーは、歯車12を介して、駆動軸13に接続され、駆動軸13は、同様に、ジョイント15を介して、歯車変速機(gearwheel transmission)14に接続されている。歯車変速機14は、簡略化のため図示されていない従来のモータに接続され、種々の圧延ユニットを作動させる。見て分かるように、図2aに示された圧延ユニットの圧延シリンダーは、線材2に関して、丸みを帯びた頂点を有する三角形の断面を得るように輪郭が描かれているが、図2bに示された圧延ユニットの圧延シリンダは、線材2に関して、円形または丸い断面を得るように輪郭が描かれている。圧延機の圧延ユニットは、最終円まで三角形−円形−三角形の順番で線材の横断面の変形を次第に生じさせるように配置される。
図3aおよび図3bは、本発明に係る方法を実施するために使用することができる圧延機の異なるタイプの2つの圧延ユニットを示しており、圧延中の金属に続く経路に沿って互いに順番に配置されている。この場合、各圧延ユニットは、2つの互いに対向する圧延シリンダー21a、21bで構成され、これら圧延シリンダー21a、21bの間に線材2が通されている。図3aで示されている圧延ユニットにおいて、圧延シリンダー21aは、歯車22aによって相互に接続され、ジョイント23aを介して、歯車変速機25aに接続されている。歯車変速機25aは、順番に(in turn)、モータ24aに接続されている。図3bに示されている圧延ユニットにおいて、圧延シリンダー21bは、歯車22bを介して駆動軸25bに接続され、駆動軸25bは、順番に、ジョイント23bを介して対応するモータ24bに接続されている。見て分かるように、この場合、図3aに示す圧延ユニットの圧延シリンダーは、線材2に関して、楕円形の断面を得るように輪郭が描かれているが、図3bに示す圧延ユニットの圧延シリンダーは、線材2に関して、円形または丸い断面を得るように輪郭が描かれている。圧延機の圧延ユニットは、最終円まで楕円形−円形−楕円形の順番で線材の横断面の変形を次第に生じさせるように配置される。
種々の圧延ユニットにおける冷却剤の分布は最小限に抑えられ、パルス状(pulsed)および/または正弦波状(sinusoidal)にしてもよく、すなわち、エマルションの流速はゼロから最大まで調節してもよく、任意の時間間隔に沿って変化させてもよい。例えば、それは2秒でゼロから最大値に達してもよく、さらに2秒後にゼロに戻り、単位時間内のエマルションの平均流速を半分にしてもよい。この傾向は、それらが鋼または炭化物またはセラミックで作られているかどうか、および/または他の機械部品であるかどうかにかかわらず、圧延シリンダーを損傷しないようにして、同時に、金属から抽出された熱を広範囲の可能性で自由に減らすことを可能にする。C=K・P・ΔTとすると、Cは除去されるカロリー、Pはエマルションの流速、ΔTは放出点(the point of delivery)でのエマルションと出力点(the point of output)でのエマルションとの間の温度上昇、Kはエマルションの比熱容量である。前述したように、公知技術に対して、エマルション中の油の割合を増加させ、その流速を最小化することによってKを減少させることが必要である。
エマルションの分配の第2の方法は、圧延ユニットから圧延ユニットへ異なってそれを制御することである。例えば、第1の圧延ユニットではより高い流速のエマルションを使用し、最終の圧延ユニットではそれを最小限まで減らすか、またはその逆とする。
このようにして、エマルションの十分な潤滑作用が得られ、同時に、圧延ユニットを作動させる1つ以上のモータの動力の大部分が、加工される金属の温度を上昇させることに寄与することを確保することによって、冷却作用が最小限に抑えられる。
エマルションによってもたらされる冷却を制御することにより、より好ましい実施形態では25〜30m/秒の出力速度と相関し、およびモータの吸収された電力と相関し、250℃以上の所望の再結晶温度で、最終の圧延ユニットの後に直径2mmのワイヤを製造することができる。
エマルションは、必要に応じて、すべての圧延ユニットにまたはそれらの一部のみに分配されてもよい。さらに、エマルションは、霧状の形態で分配されてもよい。
任意で、圧延される金属の温度を制御するために使用されるエマルションは、ワイヤが銅からできている場合に、アルコールが酸素と結合してワイヤの表面の酸化を化学的に溶解する性質を利用するために、エマルションの全重量に対して計算された1%〜3%含まれるエチルまたはメチルまたはイソプロピルアルコールの割合で添加されてもよい。
また、実施された試験において、ワイヤが冷却される前に35%以上の伸びを有することを確実にするのに十分な再結晶化を得るのに必要な時間、ワイヤは少なくとも再結晶温度に等しい温度に留まらなければならないことが見出された。必要な時間は、少なくとも1/5秒であり、ワイヤを、非酸化制御された雰囲気を有するチャンバー5内に設置された伝送プーリー6の間の経路を進ませることによって得られる。
制御された雰囲気5を有するチャンバーから出力されたワイヤは、圧延機4内の温度を制御するのに使用されるのと同じエマルションによって構成され得るエマルションを通って管7内で最終的に冷却される。管7内の冷却を通って、ワイヤの温度は酸化温度以下にされる。
製造されたワイヤが技術的な理由よりも美観のためにさらに販売される場合、圧延を経て、±1%に等しい丸め公差を得られ得ることを見たとき、伸び率の減少を最小限に抑えて優れた表面仕上げを得るために、冷却後にプロセスライン上に依然として5%未満のわずかな減面割合でスキンパスを実施することができる。
単に例として、以下は、本発明に係る方法の2つの実施例であり、ETP銅製の直径8mmの線材を直径2mmのワイヤに25m/秒の生産速度で変形させるための現代の多段単線ダイプレートを用いた従来の方法と比較されている。
実施例1
本発明に係る方法の適用の第1の試験は、図1に示すタイプのプラントで実施され、圧延機として、線材アンワインダー(wire rod unwinder)と、冷却エマルション用の回路と、圧延機を作動させるための250kWの単一のモータと、ワイヤを集めるためのニーオフ(Niehoff)コイラーとを備えた、イタリア、ミラノのContinuus-Properzi SpAによって製造されたマイクロ圧延機を用いた。
使用される圧延機のタイプは、理論直径170mmの3つのシリンダーをそれぞれ有する8つの圧延ユニットを有する。圧延シーケンスは、直径8mmの銅線材を受け取り、三角形−円形−三角形のステップで、出力において直径2mmまでそれを縮小する。欧州市場で購入された直径8mmの標準ETP銅線材を使用した。
圧延機からの出力では、圧延機と同じ冷却エマルションを供給する冷却管に入る前に、一連の6つの伝送プーリーが、非酸化制御された雰囲気を有するチャンバー内で約6mの経路に沿ってワイヤーを押し進めた。次いで、ワイヤを公知の方法でらせん状に巻いた。
操作を安定させるためのいくつかのテストの後、すべての奇数番目の圧延ユニットへ、および2秒後に偶数番目の圧延ユニットへ、交互に供給されるエマルションと共に、直径8mmの線材を圧延し、約2,500kg/hに等しい25m/秒で2mmの最終直径とした。すなわち、各圧延ユニットは、10リットル/分の速度で2秒間エマルションを受け、エマルションなしの2秒間を交互に行った。エマルションを形成する水中の合成油の割合は、10%〜11%に維持した。コイルに集められたワイヤの伸びは、40%よりも高く常に保たれたが、同様の従来のダイプレート加工では、焼鈍前に5%以下の伸びが代わりに得られた。
上述したように、ダイプレートとアニール装置の全体的なエネルギー消費、すなわち従来型の方法を用いることは、製造業者からの提案のデータおよび集められた操作データによれば、製造されたワイヤの1トン当たり160kWh付近にある。
圧延機のマイクロ圧延機モデルを使用して実施された新しい方法は、製造されたワイヤの1トン当たりわずか83〜85kWhの消費が発生したため、約50%の試験中の平均エネルギーの節約を可能にした。
実施例2
第2の試験において、実施例1で使用したのと同じプラントを用いて実施し、同じ線材を実施例1と同じ速度で同じ最終直径に圧延した。この第2の試験において、エマルションをすべての圧延ユニットに均一に分配したが、高圧で、適切なエマルションを霧状にする噴霧器を用いて分配した。8つの圧延ユニットで45リットル/分に等しいエマルションの総流速で、40%の伸びを有する直径2mmのワイヤが(第1の試験のように)得られる平衡点に達した。最後の4つの圧延ユニットに高温ベアリング(High-temperature bearings)を使用した。
この第2の試験においても、総エネルギー消費量は、公知の方法に対して依然として非常に有利であり、製造されたワイヤ1トン当たり約85kWhで安定することが分かった。
実際に、本発明に係る方法は、アニール装置を使用する必要性を排除することによって、ワイヤの製造コストをかなり低減することができるので、規定の目的を完全に達成することが分かった。
本発明に係る方法では、アニール装置の電力が節約されるだけでなく、圧延による変形が一連の金型を介する変形よりも少ないエネルギーを必要とするため、金属の塑性変形プロセスにおいても節約が得られる。これは、2つのタイプの変形における金属結晶の変形の本質的な相違に起因し、また、金属の温度を上昇させることは、圧延中の変形に必要なエネルギーがより少ないことを意味するためである。
本発明に係る方法はまた、環境上の利点をもたらす。実際に、エマルションを冷却する工業用水回路および対応する冷却塔は、ダイプレートおよびアニール装置を備えたプラントに対して実質的に半分の熱量を環境中に放出する。
本発明に係る方法の別の利点は、よりコンパクトで静かに非鉄線材の荒取りを行うことができることである。
本発明は主として銅の加工に関連して記載されているが、線材から所望の直径のワイヤを得るために、金属の塑性変形プロセスの終了時に、加工される金属の再結晶温度以上の温度を有するワイヤを得るように金属の温度を制御することによってアルミニウム合金を加工するために使用されてもよい。
このようにして着想された方法は、多くの修正および変形が可能であり、これらはすべて添付の特許請求の範囲内にある。したがって、例えば、電動圧延シリンダーの代わりに、遊休(idle)圧延シリンダーを、加工されたワイヤを巻き込む電動キャプスタンと交互に使用してもよい。線材からワイヤへの遷移における所望の直径の減少を得るために、金属の塑性変形は、最終的には、低温で加工するように設計されていて、その結果、塑性変形の最終段階において、温度が少なくとも加工される金属の再結晶温度に等しい温度に達するよう従来のダイプレートに対して修正されている限り、ダイプレートで実施してもよい。
さらに、すべての詳細は、他の技術的に同等な要素で置き換えられてもよい。
本出願が優先権を主張するイタリア特許出願第102016000031451号(UA2016A002023)における開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
特許請求の範囲に記載された技術的特徴の後に参照符号を付されている場合、これらの参照符号は特許請求の範囲の明瞭性を高める目的のためにのみ含まれているので、その結果、そのような参照符号は、そのような参照符号によって一例として特定された各要素の解釈にいかなる限定的な影響も及ぼさない。
本明細書の開示内容は、以下の態様を含み得る。
(態様1)
非鉄金属およびその合金の線材を高い伸びを有するワイヤに焼鈍状態で変形させる方法であって、
線材からワイヤへ変形するために、直径の縮小が塑性変形プロセスによって行われ、
塑性変形プロセスの終了時に、ワイヤを再結晶温度以上の温度にするために、塑性変形に供される金属の温度を制御することを特徴とする、非鉄金属およびその合金の線材を高い伸びを有するワイヤに焼鈍状態で変形させる方法。
(態様2)
前記塑性変形プロセスは、線材の横断面の少なくとも85%に等しい面積の縮小を生じさせるように適合されることを特徴とする、態様1に記載の方法。
(態様3)
線材からワイヤへ変形するために、直径の縮小が圧延プロセスによって行われ、圧延プロセスの終了時に、少なくとも金属の再結晶温度以上の温度にするために、圧延される金属の冷却を制御することを特徴とする、態様1に記載の方法。
(態様4)
前記塑性変形プロセスに供される線材は、ETPまたはFRHCまたは無酸素銅から作られ、前記塑性変形プロセスの終了時のワイヤの温度は、少なくとも250℃であることを特徴とする、態様1〜3のいずれかに記載の方法。
(態様5)
前記塑性変形プロセスに供される線材は、アルミニウムまたはアルミニウム合金から作られ、前記塑性変形プロセスの終了時のワイヤの温度は、少なくとも線材を構成する材料の再結晶温度と等しいことを特徴とする、態様1〜3のいずれかに記載の方法。
(態様6)
圧延される金属の冷却は、圧延プロセスの冷却剤として、水の量に対して5%〜25%含まれる合成乳化性油の割合で、合成乳化性油と水とのエマルションを使用して制御されることを特徴とする、態様1〜5のいずれかに記載の方法。
(態様7)
圧延プロセスは、連続して配置された圧延ユニットからなる圧延機(4)を用いて行われ、前記エマルションは、全ての圧延ユニットに分配されることを特徴とする、態様1〜6のいずれかに記載の方法。
(態様8)
圧延プロセスは、連続して配置された圧延ユニットからなる圧延機(4)を用いて行われ、前記エマルションは、前記圧延ユニットの一部に分配されることを特徴とする、態様1〜6のいずれかに記載の方法。
(態様9)
前記エマルションは、前記圧延ユニットの少なくとも一部にパルス状に分配されることを特徴とする、態様1〜8のいずれかに記載の方法。
(態様10)
前記エマルションは、可変パルス周期で前記圧延ユニットの少なくとも一部にパルス状に分配されることを特徴とする、態様1〜9のいずれかに記載の方法。
(態様11)
前記エマルションは、霧状の形態で前記圧延ユニットの少なくとも一部に分配されることを特徴とする、態様1〜10のいずれかに記載の方法。
(態様12)
圧延プロセス後に、ワイヤが予め設定された時間非酸化性雰囲気中に保持されることを特徴とする、態様1〜11のいずれかに記載の方法。
(態様13)
圧延プロセス後に、ワイヤが少なくとも1/5秒間非酸化性雰囲気中に保持されることを特徴とする、態様1〜12のいずれかに記載の方法。
(態様14)
圧延プロセス後に、ワイヤが酸化温度より低い温度にするために冷却されることを特徴とする、態様1〜13のいずれかに記載の方法。
(態様15)
圧延プロセス後に、ワイヤが酸化温度より低い温度にするために冷却され、スキンパスに適した温度になることを特徴とする、態様1〜14のいずれかに記載の方法。
(態様16)
前記圧延プロセス後に、ワイヤは、表面仕上げ引き抜き工程が行われることを特徴とする、態様1〜15のいずれかに記載の方法。
(態様17)
圧延プロセス後に、圧延される金属の冷却を制御するために用いられるのと同じエマルションによってワイヤの前記冷却が行われることを特徴とする、態様1〜16のいずれかに記載の方法。
(態様18)
前記エマルションに、1%〜3%の割合でエチルまたはメチルまたはイソプロピルアルコールが補充されることを特徴とする、態様1〜17のいずれかに記載の方法。

Claims (16)

  1. 非鉄金属およびその合金の線材を高い伸びを有するワイヤに焼鈍状態で変形させる方法であって、
    線材からワイヤへ変形するために、直径の縮小が塑性変形プロセスによって行われ、
    塑性変形プロセスの終了時に、ワイヤを再結晶温度以上の温度にするために、塑性変形に供される金属の温度を制御し、
    線材からワイヤへ変形するために、直径の縮小が圧延プロセスによって行われ、圧延プロセスの終了時に、少なくとも金属の再結晶温度以上の温度にするために、圧延される金属の冷却を制御し、
    圧延される金属の冷却は、圧延プロセスの冷却剤として、水の量に対して5質量%〜25質量%含まれる合成乳化性油の割合で、合成乳化性油と水とのエマルションを使用して制御されることを特徴とする、非鉄金属およびその合金の線材を高い伸びを有するワイヤに焼鈍状態で変形させる方法。
  2. 前記塑性変形プロセスは、線材の横断面の少なくとも85%に等しい面積の縮小を生じさせるように適合されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記塑性変形プロセスに供される線材は、ETPまたはFRHCまたは無酸素銅から作られ、前記塑性変形プロセスの終了時のワイヤの温度は、少なくとも250℃であることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記塑性変形プロセスに供される線材は、アルミニウムまたはアルミニウム合金から作られ、前記塑性変形プロセスの終了時のワイヤの温度は、線材を構成する材料の再結晶温度以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
  5. 圧延プロセスは、連続して配置された圧延ユニットからなる圧延機(4)を用いて行われ、前記エマルションは、全ての圧延ユニットに分配されることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  6. 圧延プロセスは、連続して配置された圧延ユニットからなる圧延機(4)を用いて行われ、前記エマルションは、前記圧延ユニットの一部に分配されることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記エマルションは、前記圧延ユニットの少なくとも一部にパルス状に分配されることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記エマルションは、可変パルス周期で前記圧延ユニットの少なくとも一部にパルス状に分配されることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記エマルションは、霧状の形態で前記圧延ユニットの少なくとも一部に分配されることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  10. 圧延プロセス後に、ワイヤが予め設定された時間非酸化性雰囲気中に保持されることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  11. 圧延プロセス後に、ワイヤが少なくとも1/5秒間非酸化性雰囲気中に保持されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 圧延プロセス後に、ワイヤが酸化温度より低い温度にするために冷却されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 圧延プロセス後に、ワイヤが酸化温度より低い温度にするために冷却され、スキンパスに適した温度になることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記圧延プロセス後に、ワイヤは、表面仕上げ引き抜き工程が行われることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 圧延プロセス後に、圧延される金属の冷却を制御するために用いられるのと同じエマルションによってワイヤの前記冷却が行われることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記エマルションに、1質量%〜3質量%の割合でエチルまたはメチルまたはイソプロピルアルコールが補充されることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
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