JP6139224B2 - 高強度薄肉伝熱管ならびにその製造方法および伝熱管製造装置 - Google Patents

高強度薄肉伝熱管ならびにその製造方法および伝熱管製造装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6139224B2
JP6139224B2 JP2013078561A JP2013078561A JP6139224B2 JP 6139224 B2 JP6139224 B2 JP 6139224B2 JP 2013078561 A JP2013078561 A JP 2013078561A JP 2013078561 A JP2013078561 A JP 2013078561A JP 6139224 B2 JP6139224 B2 JP 6139224B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tube
heat transfer
transfer tube
austenitic
heat
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013078561A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014202409A (ja
Inventor
阿部 由美子
由美子 阿部
顕生 佐谷野
顕生 佐谷野
貴広 林
貴広 林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP2013078561A priority Critical patent/JP6139224B2/ja
Publication of JP2014202409A publication Critical patent/JP2014202409A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6139224B2 publication Critical patent/JP6139224B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Heat Treatment Of Steel (AREA)
  • Heat Treatment Of Articles (AREA)

Description

本発明は、耐SCC性および耐腐食性に優れ、伝熱管の高強度化および薄肉化が図れる高強度薄肉伝熱管ならびにその製造方法および伝熱管製造装置に関する。
加圧水型原子炉(PWR)を構成する蒸気発生器(SG)の伝熱管は、応力腐食割れ(SCC)の抑制を優先課題とし、オーステナイト系合金からなる伝熱管材料は、SUS316LからAlloy600を経てAlloy690TTまたはAlloy800へと材料変遷が行なわれている。
一方、伝熱管材料の伝熱特性に着目すると、現状使用のAlloy690およびAlloy800は、Alloy600のオーステナイト系合金材料に較べ、熱伝導率が低いことが分かっている。伝熱管材料としてのAlloy600は、高温水環境下の使用において、SCCや粒界腐食が原因で割れが生ずることがあった。
また、SG伝熱管1は、図1に示す縦断面および平断面に基づいて、SG伝熱管1の熱伝達率を説明すると、SG伝熱管1の熱伝達率は、通過熱量qおよび熱通過率(総括伝熱係数)Kを示す式(1)および(2)から、熱伝導率λが関わっていることが分かる。SG伝熱管1の熱効率向上を考慮すると、伝熱管材料に熱伝導率λの良い材料を使用することが好ましいことを理解できる。
しかし、伝熱管の耐SCC性および耐腐食性を考慮すると、高温水環境下で長時間使用される伝熱管材料に熱伝導率の高い材料を使用することは難しい。
一方、特許文献1には、耐食性に優れたNi基合金の母材に、Cr主体の第1層とCrの第2層の酸化皮膜を施して、高温水環境下でNiの溶出を防止する技術が開示されている。
また、特許文献2には、耐食性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼を用いて、応力腐蝕割れ(SCC)を抑制し、構造物の健全性を維持する技術が開示されている。
特開2002−121630号公報 特開2009−161802号公報
伝熱管1の熱通過率である総括伝熱係数Kを改善するには、図1に示すように、熱伝達率の高い材料を使用する以外に伝熱管1の薄肉化することも1つの改善方法となる。伝熱管1を薄肉化するためには、材料の強度を向上させることが必要となる。
オーステナイト系合金は、冷間加工により塑性歪を蓄えた状態で急速加熱し、再結晶させると、結晶粒径が微細化し、材料強度を高め得ることが知られている。
しかしながら、オーステナイト系合金材料からなる伝熱管を急速加熱するためには、溶融塩浴を用いた加熱が必要であり、伝熱管のような長尺な管製品の急速加熱には大きなプールの溶融塩浴を用いなければならず、溶融塩浴を用いた急速加熱は困難であった。
また、従来の特許文献には、オーステナイト系合金の伝熱管材料に冷間加工と急速加熱とを組み合せて結晶粒径の微細化を示す記載は存在せず、管材料の強度を高めて薄肉化を図る高強度薄肉伝熱管の製造技術を開示する記載もない。
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、耐SCC性および耐腐食性に優れ、伝熱管の高強度化および薄肉化を図ることができる高強度薄肉伝熱管ならびにその製造方法および伝熱管製造装置を提供することを目的とする。
本発明は、上述した課題を解決するために、伝熱管材料が、Crを13重量%以上含有するNi基合金のオーステナイト系Ni基合金、またはCrを13重量%以上含有するFe基合金のオーステナイト系Fe基合金であり、オーステナイト系合金からなる前記伝熱管材料の素管に、薄肉化の冷間加工処理と温度上昇速度10℃〜100℃/秒の急速な加熱処理とを組み合せて平均結晶粒径を20μm以下に微細化し、管材料強度を高めて薄肉化した伝熱管を構成したことを特徴とする高強度薄肉伝熱管である。
また、本発明は、上述した課題を解決するために、伝熱管材料が、Crを13重量%以上含有するNi基合金のオーステナイト系Ni基合金、またはCrを13重量%以上含有するFe基合金のオーステナイト系Fe基合金であり、オーステナイト系合金からなる前記伝熱管材料の素管に冷間加工処理を加えて引抜き成形あるいは押出し成形し、薄肉化した成形管を製作する管成形装置と、前記管成形装置で製作された成形管を、800℃以上1000℃以下に加熱して平均結晶粒径を20μm以下に微細化する再結晶処理装置とを有し、前記再結晶処理装置は、前記管成形装置で冷間加工処理された成形管を加熱して結晶粒径を微細化し、管材料温度を高めて薄肉化した伝熱管を製造することを特徴とする伝熱管製造装置である。
さらに、本発明は、上述した課題を解決するために、伝熱管材料が、Crを13重量%以上含有するNi基合金のオーステナイト系Ni基合金、またはCrを13重量%以上含有するFe基合金のオーステナイト系Fe基合金であり、オーステナイト系合金からなる前記伝熱管材料の素管を製作し、製作された前記伝熱管材料の素管に冷間加工処理を施して、薄肉化した成形管を成形し、成形された前記成形管に、加熱処理を加えて平均結晶粒径を20μm以下に微細化した伝熱管を製作し、結晶粒径が微細化された伝熱管は管材料強度を高めて薄肉化することを特徴とする高強度薄肉伝熱管の製造方法である。
本発明においては、オーステナイト系合金材料の素管に薄肉化の冷間加工処理と急速な加熱処理とを組み合せて平均結晶粒径を20μm以下に微細化し、管材料強度を高めて薄肉化した伝熱管が得られるので、耐SCC性および耐腐食性に優れ、伝熱管の高強度化および薄肉化を図ることができ、伝熱管を薄肉化しても管材料強度を充分に良好に維持して、熱伝導率を向上させることができる。
(A)および(B)は、蒸気発生器(SG)に用いられる伝熱管の縦断面と平断面を示してSG伝熱管の熱伝達率の関係を説明する説明図。 本発明に係る高強度薄肉伝熱管を製造する伝熱管製造装置の第1の実施形態を示す説明図。 伝熱管に用いられるオーステナイト系合金材料のSUS310Sの冷間加工率(%)と結晶粒径(μm)との関係を示す説明図。 オーステナイト系合金であるSUS310Sの再結晶熱処理温度と結晶粒径の関係を示すグラフ。 図2の伝熱管製造装置に用いられる再結晶処理装置に代えて通電加熱による熱処理装置を示す構成図。 伝熱管に用いられるオーステナイト系合金材料の化学成分組成の例をそれぞれ示す図。 伝熱管材料を構成するオーステナイト系合金のSUS310SとSUS304Lとの結晶粒径と引張強度の関係を示す図。 伝熱管材料を構成するオーステナイト系合金材料の結晶粒径と引張強度の関係を示す図。 本発明に係る伝熱管製造装置の第2の実施形態を示すもので、図2に示す再結晶処理装置に誘電加熱による熱処理装置を示す構成図。
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
図2は、本発明に係る高強度薄肉伝熱管を製造する伝熱管製造装置の第1の実施形態を示す説明図である。
伝熱管製造装置10は、オーステナイト系合金の被加工材である長尺な素管11を伝熱管材料として予め製作する。伝熱製造装置10は、製作された被加工材の素管11を冷間加工を加えて引抜き加工を行なう冷間圧延機としての管成形装置12と、製造された成形管(加工管)13に熱処理(加熱)と冷却処理(冷却)を実施する再結晶処理装置14とから構成される。管成形装置12は、素管11を引抜き加工に代えて押出し加工により成形してもよい。
管成形装置12は、ダイス15、中子16付きプラグ17およびキャリッジ18を備えて構成され、マンドレル引抜き方法やピルガ圧延方法を利用して成形管13が製造される。管成形装置12は、例えば引抜き成形時に、被加工材の素管11を再結晶温度以下の塑性加工を行なう冷間加工を加えて引抜き加工が行なわれる。このとき、被加工材である素管11の冷間加工率は、最終加工率が40%以下となるように設定され、成形管13が成形される。
図3は、オーステナイト系合金であるSUS310Sの冷間加工率(%)と結晶粒径の関係を示すグラフである。図3からオーステナイト系合金の場合、被加工材である素管11から成形管13の製造は、最終冷間加工率が40%以上にならないと、結晶粒径は目標となる粒径20μmを達成できないことが分かった。冷間加工率は、冷間加工工程を複数回繰り返して行なう場合、繰り返される被加工材の最終加工率が40%以上となればよい。例えば、冷間加工工程を2回に分けて行なう場合は、1回につき20%の冷間加工が得られることが必要となる。
また、再結晶処理装置14では、管成形装置12で製造された成形管(加工管)13に温度800℃以上、1000℃以下の熱処理が実施される。オーステナイト系合金の成形管13では、熱処理温度が900℃以上、1000℃以下とすることで、結晶粒径20μmの伝熱管20を得るために望ましい。
図4は、オーステナイト系合金であるSUS310Sの再結晶熱処理温度と結晶粒径の関係を示すグラフである。図4によると、再結晶温度が900℃以上1000℃以下で結晶粒径を20μm以下にすることができる。しかし、オーステナイト系合金の再結晶化が終了する温度は、800℃程度であるので、オーステナイト系合金の熱処理は800℃以上1000℃以下の熱処理温度が用いられる。
また、再結晶処理装置14には、図5に示す通電加熱による熱処理装置21Aが用いられる。熱処理装置21Aは、管移送方向に沿って冷却コイル22、電極を兼ねた管送りローラ23、温度センサ24、電極を兼ねた管送りローラ25および冷却コイル26が順次配設されて構成される。電極を兼ねた管送りローラ23,25は、CuおよびCu合金等の電極材料が用いられ、両管送りローラ23,25間に加熱ゾーンが形成される。電圧印加装置28により両管送りローラ23,25間に電圧が印加され、成形管13に電流を流すことにより、管内部抵抗により加熱ゾーンの成形管13は急速に通電加熱される。
オーステナイト系合金である成形管13の再結晶化を目指した熱処理は、加熱材である成形管13に電圧を印加させることで管内部抵抗により急速加熱し、成形管13は管送りローラ23,25で連続的に送られつつ、所定温度、例えば、900℃以上1000℃以下まで、急速加熱される。電圧印加装置28による温度の制御は、非接触式温度センサ24の計測値を基に電圧印加装置28による電圧印加値を調整することにより行なわれる。このとき、被加工材である成形管(加圧管)13の温度上昇速度は、10℃〜100℃/秒に設定され、急速加熱される。
この熱処理装置21Aでは、熱処理前に被加工材である成形管13の温度上昇を防ぐために、冷却器としての冷却コイル22が用いられる。冷却コイル22内に冷却水が通されて成形管(加圧管)13の熱処理前の温度上昇を防止している。また、熱処理後にも、冷却器としての冷却コイル22を用いて成形管13を冷却する。このように熱処理装置21Aは、両管送りローラ23,25間の加熱ゾーンの前後に冷却器として冷却コイル22,26が設置されて、成形管13を冷却している。
熱処理装置21Aは、電圧印加装置28から電圧印加により成形管13を管送りローラ23,25間の加熱ゾーンで連続的に急速加熱する熱処理が行なわれる。熱処理前は冷却コイル22に冷却水を流して成形管(加工管)13が温度上昇するのを防ぎ、また、熱処理後には、加熱された成形管(加工管)13を冷却コイル26を用いて冷却する。このように、熱処理装置21Aは、成形管13を急速加熱させる加熱ゾーンの前後で冷却器としての冷却コイル22,26により冷却される。
第1の実施形態に示される伝熱管製造装置10は、オーステナイト系合金材料からなる被加工材の素管11に、管成形装置12により冷間加工して薄肉化し、塑性歪を蓄えた状態で熱処理装置21Aにより急速加熱して再結晶させることで結晶粒が微細化し、材料強度が高められる。被加工材の素管11から製作される成形管13は、オーステナイト系合金材料の材料成分を変えることなく、高強度で薄肉化した伝熱管20を製造することができる。
図6は、オーステナイト系合金材料の化学成分組成例を示す図である。図6に示すオーステナイト系合金材料は、SUS304L,SUS310S,Alloy690およびAlloy800のオーステナイト系ステンレス鋼材料の化学成分例をそれぞれ示すものである。オーステナイト系ステンレス鋼は、マルテンサイト系やフェライト系ステンレス鋼に比べ耐食性が優れているが、Cr含有量が13重量%未満のオーステナイト系合金材料では高温水環境下での使用によりSCCによる割れの発生問題があった。このため、オーステナイト系合金材料では、Cr含有量が13重量%以上であることが望ましい。すなわち、オーステナイト系合金材料はNi合金の場合も、Fe基合金の場合も、Cr含有量が13重量%以上であることが好ましい。
図7は、オーステナイト系合金であるSUS304LおよびSUS310Sの結晶粒径と引張強度の関係を、図8は、オーステナイト系合金であるAlloy690の結晶粒径と引張強度の関係をそれぞれ示す。
図7によると、オーステナイト系合金のSUS304LおよびSUS310Sの常温における結晶粒径と引張強度の関係では、結晶粒径を20μm以下に微細化すると引張強度(MPa)が上昇することが確かめられた。また、ホールペッチの法則によると、結晶粒径が小さくなるに従って材料強度が向上することが知られている。図7では、SUS304LおよびSUS310Sのオーステナイト系合金では、結晶粒径が20μmから数μm以下、例えば、5μm〜3μmと小さくなり、微細化するほど、引張強度は急速に上昇することが分かった。したがって、オーステナイト系合金では、冷間加工処理により、平均結晶粒径を20μm以下に微細化すると、材料強度を高め得ることを知見した。
また、図8は、オーステナイト系Ni基合金であるAlloy690の引張強度と結晶粒径との関係は、結晶粒径が100μm以上の場合と、微細化された結晶粒径5μmの場合とを比較して示すものである。この場合も、ホールペッチの法則に従い、微細化された結晶粒径5μmのAlloy690の方が、結晶粒径100μm以上のAlloy690より引張強度値が大きいことが分かる。オーステナイト系Fe基合金であるAlloy800の場合も、ホールペッチの法則により、結晶粒径を微細化させると強度が高くなることが確認されているので、Alloy690と同様であると推測される。
次に、高強度薄肉伝熱管の製造方法を説明する。
高強度薄肉伝熱管20の製造は、図2に示す伝熱管製造装置10を用いて行なわれる。初めに、長尺な伝熱管材料であるオーステナイト系合金材料(被加工材)の素管11が製作されて用意される。製作された被加工材の素管11は、続いて冷間圧延機としての管成形装置12に送られ、この管成形装置12により、冷間加工により引抜き成形(押出し成形でもよい。)され、成形管(加工管)13が得られる。
管成形装置12による素管11の冷間加工では、塑性歪を蓄えた状態で冷間加工率は、最終加工率が40%以上となるように塑性変形され、薄肉化が図られる。例えば、素管11の外径が10mmφ、内径8mmφ、肉厚1mmの場合、成形管13の肉厚が0.6mm以下となるように加工される。冷間加工率が40%以上にならないと、目標となる結晶粒径20μmが得られないので、成形管13の最終的な冷間加工率が40%以上となるように、冷間加工は複数回繰り返される。例えば、1回が20%の冷間加工では、成形管13は冷間加工が2回繰り返され、最終的に伝熱管材料の素管11に対し、冷間加工率が40%以上になるようにセットされる。伝熱管20の薄肉化により、肉厚0.7mm〜1.0mm、好ましくは、0.8mm〜1.0mm程度のものが多く用いられる。伝熱管20の肉厚は通常0.7mm〜2.0mm程度のものが用いられる。
管成形装置12により、冷間加工が加えられて引抜き成形あるいは押出し成形された成形管(加工管)13は、続いて両結晶処理装置14に案内され、温度900℃以上1000℃以下の熱処理が行なわれる。
再結晶処理装置14は、熱処理装置21Aにより、成形管13を通電加熱により連続的に急速加熱する熱処理が行なわれる。熱処理装置21Aは、熱処理前に冷却コイル22により成形管13の温度上昇を防止する一方、温度900℃以上1000℃以下で再結晶化を目指した熱処理は、管送りローラ23,25で成形管13が管移送される間に電流を流して管内部抵抗により発熱させ、所要の温度まで急速に加熱して実施される。加熱温度は、非接触式の温度センサ24の検出値を基に電圧印加装置28で電圧値を調整することにより行なわれる。管送りローラ23,25間で加熱され、熱処理された後は、成形管13は冷却コイル26を用いて冷却することで、成形管13の結晶粒が微細化される。成形管13の結晶粒径を微細化し、20μm以下とすることで、材料強度を向上させることができる。したがって、伝熱管20は素管11の肉厚を、より薄肉化しても、材料強度を充分に維持することができる。
成形管13を熱処理装置21Aで熱処理して製造された伝熱管20は、続いてPWRの蒸気発生器(SG)等の伝熱管として用いるために、次工程22に送られ、次工程22で長尺の伝熱管20は、例えばU字状に曲げ加工等が施され、蒸気発生器に適した形状の伝熱管が製作される。
このように、伝熱管材料であるオーステナイト系合金材料(被加工材)の素管11を管成形装置12により冷間加工で成形し、成形された成形管13を再結晶処理装置14としての熱処理装置21Aで通電加熱により連続的に急速加熱させることで、伝熱管20を製造できる。伝熱管20を構成するオーステナイト系合金材料は平均結晶粒径を20μm以下に微細化することができ、材料強度が高められるので薄肉化が可能となる。伝熱管20を薄肉化しても材料強度を充分に維持することができる。その際、伝熱管材料は、Cr含有量が13重量%以上のオーステナイト系合金材料が用いられる。伝熱管20は、13重量%以上含有するオーステナイト系合金材料、例えばCr含有量30重量%のAlloy690のオーステナイト系Ni基合金材料や、Cr含有量21重量%のAlloy800のオーステナイト系Fe基合金材料が用いられ、高温強度および高温耐食性を高めたNi基超耐熱合金やFe基超耐熱合金が得られる。
[第2の実施形態]
次に、本発明に係る第2の実施形態について、図9を参照して説明する。
図9は、本発明に係る高強度薄肉伝熱管を製造する伝熱管製造装置10Aの第2の実施形態を示すものである。この伝熱管製造装置10Aは、図2に示す伝熱管製造装置10の再結晶処理装置14として、通電加熱の熱処理装置21Aに代えて、図9に示す誘電加熱による熱処理装置21Bを用いたものである。他の構成は、図2〜図8に示す伝熱管製造装置10と異ならないので、同じ構成には同一符号を付して重複説明を省略ないし簡略化する。
第2の実施形態に用いられる伝熱管製造装置10Aは、図2に示される再結晶処理装置14に誘導加熱による熱処理装置21Bを用いたものである。この熱処理装置21Bは、成形管13の管移送方向に沿って、冷却コイル22、管送りローラ23A、誘電コイル29、管送りローラ25Aおよび冷却コイル26を順次配設して構成される。誘電コイル29のコイル両端部に電源等の電圧印加装置30から電圧を印加させ、加熱ゾーンが構成される。電圧印加により加熱される誘電コイル29の加熱温度は、非接触式の温度センサ24で検出される。温度センサ24で検出される温度検出値に基づき、電圧印加装置30により誘電コイル29内で誘電加熱される成形管(加工管)13の加熱温度が調整される。
この熱処理装置21Bは、誘電コイル29による加熱処理前に、成形管13の温度が上昇するのを防ぐために、冷却コイル22に冷却水を流して成形管13を冷却する。熱処理装置21Bは管送りローラ23A,25Aにより成形管13が誘電コイル29内を移送される。成形管13は誘電コイル29の加熱ゾーン内で、電圧印加装置30により電圧印加されて急速に加熱される。この誘電コイル29の加熱により誘電コイル29内を通される成形管13は連続的にかつ急速に所定温度まで誘電加熱される。誘電コイル29による加熱保持時間は、オーステナイト系合金である成形管13が温度900℃以上1000℃以下の熱処理を実施する所要温度に維持させる時間であり、例えば、数秒から数十秒である。
誘電コイル29の加熱による成形管13は温度900℃以上、1000℃以下の再結晶化熱処理温度で熱処理が実施され、成形管13の平均結晶粒径が20μm以下に微細化された伝熱管20が製作される。
熱処理装置21Bの誘電コイル29により成形管13が連続的に加熱処理された後、成形管13は冷却コイル26を用いて冷却水により急速に冷却される。熱処理装置21Bにより加熱と冷却を行なうことで、伝熱管20は、伝熱管20のオーステナイト系合金材料の化学組成成分を変えることなく、結晶粒径を微細化し、材料強度を、第1の実施形態の伝熱管と同様、高強度の薄肉伝熱管20を製造することができ、伝熱管20の薄肉化を図ることができる。このようにして、高強度薄肉の伝熱管20が得られる。
なお、本発明の各実施形態の説明では、PWRの蒸気発生器(SG)に用いられる伝熱管の例を説明したが、この伝熱管は高強度薄肉伝熱管とすることができるので、火力発電プラントのボイラに用いられる伝熱管や、BWRの熱交換器等に用いることもできる。
10,10A…伝熱管製造装置、11…素管、12…管成形装置、13…成形管(加工管)、14…再結晶処理装置、15…ダイス、16…中子、17…プラグ、18…キャリッジ、20…伝熱管、21A,21B…熱処理装置、22,26…冷却コイル、23,25…(電極を兼ねた)管送りローラ、23A,25A…管送りローラ、24…温度センサ、28…電圧印加装置、29…誘電コイル、30…電圧印加装置。

Claims (10)

  1. 伝熱管材料が、Crを13重量%以上含有するNi基合金のオーステナイト系Ni基合金、またはCrを13重量%以上含有するFe基合金のオーステナイト系Fe基合金であり、
    オーステナイト系合金からなる前記伝熱管材料の素管に、薄肉化の冷間加工処理と温度上昇速度10℃〜100℃/秒の急速な加熱処理とを組み合せて平均結晶粒径を20μm以下に微細化し、
    管材料強度を高めて薄肉化した伝熱管を構成したことを特徴とする高強度薄肉伝熱管。
  2. 前記冷間加工処理は、前記伝熱管材料の素管の最終加工率を40%以上とする成形管が用いられる請求項1に記載の高強度薄肉伝熱管。
  3. 前記急速な加熱処理は、前記冷間加工処理で製作された成形管を通電加熱あるいは誘電加熱することにより構成される請求項2に記載の高強度薄肉伝熱管。
  4. 前記急速な加熱処理は、前記冷間加工処理で製作された成形管の熱処理温度を800℃以上1000℃以下で加熱処理される請求項3に記載の高強度薄肉伝熱管。
  5. 伝熱管材料が、Crを13重量%以上含有するNi基合金のオーステナイト系Ni基合金、またはCrを13重量%以上含有するFe基合金のオーステナイト系Fe基合金であり、
    オーステナイト系合金からなる前記伝熱管材料の素管に冷間加工処理を加えて引抜き成形あるいは押出し成形し、薄肉化した成形管を製作する管成形装置と、
    前記管成形装置で製作された成形管を、800℃以上1000℃以下に加熱して平均結晶粒径を20μm以下に微細化する再結晶処理装置とを有し、
    前記再結晶処理装置は、前記管成形装置で冷間加工処理された成形管を加熱して結晶粒径を微細化し、管材料強度を高めて薄肉化した伝熱管を製造することを特徴とする伝熱管製造装置。
  6. 前記再結晶処理装置は、前記成形管を通電加熱する熱処理装置あるいは前記成形管を誘電加熱する熱処理装置であり、前記熱処理装置は加熱ゾーンの前後に冷却器が設置された請求項5に記載の伝熱管製造装置。
  7. 前記再結晶処理装置は、前記成形管を加熱する熱処理装置の加熱ゾーンに非接触式温度センサを設置し、この温度センサにて検出される検出信号により前記成形管を加熱する前記熱処理装置の加熱温度を制御する請求項6に記載の伝熱管製造装置。
  8. 伝熱管材料が、Crを13重量%以上含有するNi基合金のオーステナイト系Ni基合金、またはCrを13重量%以上含有するFe基合金のオーステナイト系Fe基合金であり、オーステナイト系合金からなる前記伝熱管材料の素管を製作し、
    製作された前記伝熱管材料の素管に冷間加工処理を施して薄肉化した成形管を成形し、
    成形された前記成形管に、加熱処理を加えて平均結晶粒径を20μm以下に微細化した伝熱管を製作し、
    結晶粒径が微細化された伝熱管は管材料強度を高めて薄肉化することを特徴とする高強度薄肉伝熱管の製造方法。
  9. 前記伝熱管材料の素管は、管成形装置により最終加工率が40%以上の成形管を、冷間加工処理により薄肉化して成形する請求項8に記載の高強度薄肉伝熱管の製造方法。
  10. 前記伝熱管材料の成形管は、冷間加工処理された後、再結晶処理装置により、800℃以上1000℃以下に連続的に温度上昇速度10℃〜100℃/秒で急速加熱処理されて平均結晶粒径20μm以下に微細化する請求項8または9に記載の高強度薄肉伝熱管の製造方法。
JP2013078561A 2013-04-04 2013-04-04 高強度薄肉伝熱管ならびにその製造方法および伝熱管製造装置 Active JP6139224B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013078561A JP6139224B2 (ja) 2013-04-04 2013-04-04 高強度薄肉伝熱管ならびにその製造方法および伝熱管製造装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013078561A JP6139224B2 (ja) 2013-04-04 2013-04-04 高強度薄肉伝熱管ならびにその製造方法および伝熱管製造装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014202409A JP2014202409A (ja) 2014-10-27
JP6139224B2 true JP6139224B2 (ja) 2017-05-31

Family

ID=52353009

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013078561A Active JP6139224B2 (ja) 2013-04-04 2013-04-04 高強度薄肉伝熱管ならびにその製造方法および伝熱管製造装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6139224B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11136660B2 (en) * 2015-10-29 2021-10-05 Electric Power Research Institute, Inc. Methods for creating a zinc-metal oxide layer in metal components for corrosion resistance

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4336079A (en) * 1979-10-09 1982-06-22 Combustion Engineering, Inc. Stabilization of carbon in austenitic alloy tubing
CH661455A5 (de) * 1982-02-18 1987-07-31 Bbc Brown Boveri & Cie Verfahren zur herstellung eines feinkoernigen werkstuecks als fertigteil aus einer warmfesten austenitischen nickelbasislegierung oder aus der legierung a 286.
JPS62200196A (ja) * 1986-02-28 1987-09-03 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 熱交換器の伝熱管
JPS63115654A (ja) * 1986-11-05 1988-05-20 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 金属薄板鋳造方法及び装置
JP2007262469A (ja) * 2006-03-28 2007-10-11 Jfe Steel Kk 鋼管およびその製造方法
JP2008095123A (ja) * 2006-10-05 2008-04-24 Toshiba Corp 炭素鋼配管、その製造方法および炭素鋼配管の腐食低減方法
US20100116382A1 (en) * 2007-04-27 2010-05-13 Japan Atomic Energy Agency Austenitic stainless steel excellent in intergranular corrosion resistance and stress corrosion cracking resistance, and method for producing austenitic stainless steel material
JP4770922B2 (ja) * 2008-12-08 2011-09-14 住友金属工業株式会社 エアバッグ用鋼管とその製造方法
JP2012206165A (ja) * 2011-03-30 2012-10-25 Jfe Steel Corp プレス成形鋼板の製造方法およびその製造設備列
JP5589965B2 (ja) * 2011-06-10 2014-09-17 新日鐵住金株式会社 オーステナイト系ステンレス鋼管の製造方法及びオーステナイト系ステンレス鋼管

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014202409A (ja) 2014-10-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10287655B2 (en) Nickel-base alloy and articles
CN105112811A (zh) 一种铅铋快堆用奥氏体不锈钢包壳管及其制备方法
JPS61186462A (ja) 継目なし管の製造方法
CN103341583B (zh) 超级双相不锈钢大型管板锻件的锻造方法
CN106637012A (zh) 低应力gh4169高温合金环件制造方法
Furushima et al. Effects of oxidation and surface roughening on drawing limit in dieless drawing process of SUS304 stainless steel microtubes
EP2857119A1 (en) Expanded metal tube manufacturing method
Guo et al. Numerical simulations and experiments on fabricating bend pipes by push bending with local induction-heating process
JPS5822364A (ja) ジルコニウム基合金の製造法
CN107363096B (zh) 大直径厚壁铠装热电偶的制作方法
CN108160743A (zh) 一种燃料用不锈钢包壳管制造工艺
JP6139224B2 (ja) 高強度薄肉伝熱管ならびにその製造方法および伝熱管製造装置
JPH04107214A (ja) 空気焼入れ性シームレス鋼管のインライン軟化処理法
KR101624736B1 (ko) 열전도도가 향상된 Alloy 690 규칙화 합금의 제조방법 및 이에 의해 제조된 Alloy 690 규칙화 합금
JPH07100526A (ja) 非鉄金属の継ぎ目なし管の製造方法
US8163112B2 (en) Method of fabricating a uranium-bearing foil
Burkin et al. Effect of electrocontact heating with simultaneous tension on the residual stresses in stainless-steel pipes
CN113613807B (zh) 锆合金管状产品制造方法
Neminathan et al. Development of ring forgings in Ti-6Al-4V alloy for aero-engine applications
Dubey et al. Comparative Study of Heat Treatment of Ni–Cr–Mo Alloy Tubes Using Resistance and Induction Heating Furnaces
Tang et al. Investigation into the local continuous heating calibration process of a 304 stainless steel pipe by electrically assisted roll bending
JPS6137924A (ja) 管状物体の均一冷却方法
JPS63160718A (ja) 金属管の冷間引抜加工方法
RU2463138C1 (ru) Способ изготовления биметаллических прутков
RU2263015C1 (ru) Способ изготовления трубчатых переходников из циркониевых и стальных втулок

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160209

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20161117

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161129

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170127

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170404

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170427

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6139224

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151