JP6960812B2 - セルロース含有固形物およびスピーカーボックス - Google Patents

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Description

本発明は、セルロースナノファイバーを含むセルロース含有固形物、および当該セルロース含有固形物を成型したスピーカーボックスに関する。
セルロース分子が繊維状に集合した構造を有し、繊維幅(繊維の直径、繊維径)が200nmないし100nm以下で、アスペクト比が100以上のセルロース繊維は、セルロースナノファイバー(以下、CNFと称する場合がある)と呼ばれている。
このセルロースナノファイバーは、軽量、高強度、低熱膨張率等の優れた性質を有することで知られている(たとえば、特許文献1)。
セルロースナノファイバーは、水に対する分散性が高く、安定した分散液を形成することが知られており(特許文献1)、たとえば、水分散状態のパルプ等を微細化することにより得ることができる(特許文献2)。
このように、セルロースナノファイバーは水分散状態で市場に供給される場合が多いため、セルロースナノファイバーを含有する固形物を得るためには、セルロースナノファイバーの水分散体(以下、CNFスラリーと称する場合がある)を乾燥させる必要がある。
そこで、CNFスラリーを濃縮して成型し、これを乾燥させて、セルロースナノファイバーを含有する固形物(成型体)を得ることが考えられる。しかし、CNFスラリーは、水素結合により強く凝集する性質を持ち(特許文献2)、比較的低い固形分濃度において流動性を失いゲル化してしまう。そのため、CNFスラリーを濃縮した後に、所望の形状の固形物を得るのは容易ではない。
したがって、水分散体として製造されたセルロースナノファイバーを用いて固形物を得るためには、高含水率のCNFスラリー(たとえば95質量%の水分を含有)を成型してこれを乾燥し、固形物とする必要があった。しかし、多量の水分の乾燥に伴う成型物の収縮やひずみ等の変形や、変形に伴うひび割れなどの、いわゆる成型不良が生じ、問題となっていた。
そこで、CNFスラリーを型に充填した状態で多孔質素材を介して脱水、乾燥する工夫が提案されている(特許文献3)。
このようなセルロースナノファイバーを含む固形物の利用例をみると、セルロースナノファイバーなどのセルロースを含む固形物は、その内部損失が大きく、音響装置を形成する材料に好適であることが知られている(特許文献4)。
特開2013−011026号公報 特開2017−101184号公報 特開2016−094683号公報 特開2017−046258号公報
上記のように、セルロースナノファイバーを含むセルロース含有固形物を得る場合には、成型不良が問題となっていた。そのため、セルロースナノファイバーを含む、成型性のよいセルロース含有固形物の提供が望まれる。
また、内部損失の大きい固形物で形成された、スピーカーボックスなどの音響装置の提供が望まれる。
本発明は、かかる実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、セルロースナノファイバーを含む、成型性のよいセルロース含有固形物を提供することにある。
また、本発明は、内部損失の大きい固形物で形成されたスピーカーボックスを提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係るセルロース含有固形物の特徴構成は、
吸水性の多孔質粒子と、セルロースナノファイバーとを含む点にある。
上記構成によれば、セルロースナノファイバーを含む、成型性のよいセルロース含有固形物を提供することができる。
セルロース含有固形物を、吸水性の多孔質粒子と、セルロースナノファイバーとを含むようにすることで、セルロースナノファイバーを含むセルロース含有固形物を製造する際に、含水率が高く流動性が高い状態のCNFスラリーと、吸水性の多孔質粒子とを混合し、その後、金型などで所望の形状に整えるようにすることができるようになる。
セルロース含有固形物を製造する際にCNFスラリーと吸水性の多孔質粒子とを混合した直後においては、その混合物スラリーは、含水率が高いため、流動性が高い状態にある。つまり、当該混合物スラリーを、金型などに充填して所望の形状に整えることが可能であるが、その形状を保持できない状態になっている。
しかし、この混合物スラリーを所望の形状に整えた後、当該混合物スラリーにおけるCNFスラリーが含む水分は、次第に吸水性の多孔質粒子に吸収される。そして、混合物スラリーの流動性は低下して、半固形状の(ゲル状の、または、ゲル状態に近い)前駆体になる。つまりこの混合物スラリーは、金型などに充填して所望の形状に整えた後に、自然とその流動性が低下して、ある程度その形状を保つことができるようになる。
その後、当該前駆体を乾燥させると、所望の形状の、セルロースナノファイバーを含むセルロース含有固形物を得ることができるのである。
上記の前駆体について補足する。
混合物スラリー中のCNFスラリーから水分が奪われると、CNFスラリーが減容(収縮)するため、この前駆体は、多孔質粒子の粒子間に、濃縮された(低含水率の)CNFスラリー(ないしゲル化したCNFスラリー)が架橋した構造のものとなる。
そして、このような前駆体を乾燥すると、多孔質粒子の間にセルロースナノファイバーの構造体が架橋した状態で乾燥固化して固定される。そして、多孔質粒子同士がセルロースナノファイバーで強固に結合されたセルロース含有固形物を得ることができる。
ここで、多孔質粒子は減容しないから、前駆体の乾燥中に伴って、多孔質粒子同士の粒子間距離が徐々に小さくなる(粒子間距離が近づく)。多孔質粒子同士がある程度近づくと、それぞれの多孔質粒子は、立体障害により、互いの位置関係をおよそ維持するようになる。そのため、この前駆体は、乾燥に伴う収縮やひずみ等の変形を生じにくいものとなる。またこの前駆体は、変形を生じにくいため、変形に伴うひび割れも生じにくい。
そのため、収縮やひずみ等の変形や、変形に伴うひび割れを有しないセルロース含有固形物を得ることができる。
したがって上記構成によれば、セルロースナノファイバーを含む、成型性のよいセルロース含有固形物を提供することができるのである。
本発明に係るセルロース含有固形物の更なる特徴構成は、
前記多孔質粒子が、セルロースで形成されている点にある。
上記構成によれば、内部損失の大きなセルロースリッチであり、セルロースナノファイバーで補強された、耐久性のよいセルロース含有固形物を得ることができる。
また、セルロースは水に対する親和性が高いから、セルロースで形成された多孔質粒子は高い吸水性を発揮する。そのため、セルロースで形成された多孔質粒子を含む混合物スラリーは、金型などで所望の形状に整えた際に、その形状をより良く保持できるものとなる。
さらに、多孔質粒子とCNFスラリーとがともにセルロースを主体としたものとなるから、多孔質粒子とセルロースナノファイバーとが互いに高い親和性、すなわち、濡れ性が高く、また、界面の密着性が高いものとなる。そのため、多孔質粒子同士がセルロースナノファイバーの架橋部分を介してより強固に結合されたセルロース含有固形物を得ることができる。
本発明に係るセルロース含有固形物の更なる特徴構成は、
前記セルロースナノファイバーを、1体積%以上10体積%未満含有する点にある。
上記構成によれば、収縮やひずみ等の変形や、変形に伴うひび割れ有さず、適切な強度、例えば、引張強さの目安である破断強度(引張強度)が100MPa以上のセルロース含有固形物を得ることができる。
なぜならば、セルロースナノファイバーを、1体積%以上10体積%未満含有する場合には、多孔質粒子同士がそれぞれ互いに近接する状態で、セルロースナノファイバーで架橋されるためである。
すなわち、混合物スラリーが乾燥すると、多孔質粒子同士がセルロースナノファイバーで架橋された状態のセルロース含有固形物を得ることができる。この混合物スラリーの乾燥の過程において、多孔質粒子同士がそれぞれ互いに近接する状態で乾燥が進行するため、多孔質粒子同士の立体障害が生じることになる。そしてこの多孔質粒子同士の立体障害により、乾燥過程にある混合物スラリー(半固形物)は、収縮やひずみ等の変形や、変形に伴うひび割れを回避する。このようにひび割れを回避しながら、多孔質粒子同士がセルロースナノファイバーを介して密着していく。その結果、セルロース含有固形物は、成型不良を回避するのである。
しかし、セルロースナノファイバーが1体積%未満になると、多孔質粒子の粒子間に存在するセルロースナノファイバーの体積が不足して、多孔質粒子の粒子間の架橋が不十分になり、多孔質粒子同士を適切に結合できない場合がある。たとえば、多孔質粒子の粒子間を架橋できなかった部分は割れることがある。また、一部が架橋し、一部が架橋不十分となると、乾燥過程にある混合物スラリー(半固形物)中で応力のバラつきが生じて変形の原因になることがある。このように、セルロースナノファイバーが1体積%未満になると、セルロース含有固形物の成型不良が生じる。
一方、セルロースナノファイバーを10体積%以上含む場合には、多孔質粒子の粒子間の架橋は十分に行われる。しかし、セルロースナノファイバーを過剰に含むことになり、互いに距離を隔てて存在する多孔質粒子が増加する。そうすると、互いに距離を隔てて存在する多孔質粒子の間に存在するCNFスラリーが、乾燥中に大きく収縮するため、乾燥過程にある混合物スラリー(半固形物)は、収縮やひずみ等の変形や、変形に伴うひび割れを生じることがある。また、セルロースナノファイバーと多孔質粒子との密着性が低下する。このように、セルロースナノファイバーを10体積%以上含む場合には、セルロース含有固形物の成型不良が生じるおそれがある。
本発明に係るセルロース含有固形物の更なる特徴構成は、
前記セルロースナノファイバーの繊維長が、50μm以上300μm未満である点にある。
上記構成によれば、収縮やひずみ等の変形や、変形に伴うひび割れ有さず、適切な強度のセルロース含有固形物を得ることができる。
セルロースナノファイバーの繊維長が50μm以上あれば、セルロースナノファイバーの繊維同士が良く絡まってその固形物が十分な強度を有することになる。そのため、セルロース含有固形物中において、セルロースナノファイバーが多孔質粒子同士を強固に結合させて、セルロース含有固形物の成型不良を回避し、またセルロース含有固形物の強度を十分なものとすることができる。
セルロースナノファイバーの繊維長が、50μm未満になると、セルロース含有固形物が成型不良を生じる場合や、十分な強度を有さない場合がある。
セルロースナノファイバーの繊維長が300μm以上になる場合は、セルロース含有固形物の成型不良が直ちに生じたりするわけではない。しかし、このような繊維長を有するCNFスラリーは一般に高価になる。そのため経済的に不利になる場合がある。また、セルロースナノファイバーの繊維長が300μm以上となっても、セルロース含有固形物の成型性が著しく向上したり、強度が有意に向上したりするわけではない。むしろ、強度が低下する場合もある。
上記目的を達成するための本発明に係るスピーカーボックスの特徴構成は、
上記に記載のセルロース含有固形物を成型した点にある。
上記構成によれば、セルロースナノファイバーを含むセルロース含有固形物を、内部損失の大きい材料として用いてスピーカーボックスを形成し、内部損失の大きい固形物で形成されたスピーカーボックスを提供することができる。
このように、スピーカーボックスを内部損失の大きい固形物を材料として形成することで、当該スピーカーボックスに収容したスピーカーが発する音の共振を抑制し、クリアな音を発するスピーカーユニットの提供が可能になる。
また、上記に記載のセルロースナノファイバーを含むセルロース含有固形物は、比重(見かけの密度)が軽いため、スピーカーボックスを軽量化することもできる。
セルロース含有固形物およびスピーカーボックスの概略構成図 多孔質粒子の構造の説明図 混合物スラリーの説明図 CNFの含有量が適量である場合の乾燥前の状態説明図 CNFの含有量が適量である場合の乾燥後の状態説明図 CNFの含有量が不足である場合の乾燥前の状態説明図 CNFの含有量が不足である場合の乾燥後の状態説明図 CNFの含有量が過剰である場合の乾燥前の状態説明図 CNFの含有量が過剰である場合の乾燥後の状態説明図 CNFの含有量が過剰である場合の成型体の状態説明図 CNFの含有量が不足である場合の成型体の状態説明図 金型に混合物スラリーを投入した状態の説明図 金型で混合物スラリーを成型している状態の説明図 金型中で成型体を乾燥している状態の説明図
図1から図14に基づいて、本発明の実施形態に係るセルロース含有固形物としての成型体100およびスピーカーボックス200について説明する。
以下では、セルロース含有固形物でスピーカーボックス200を形成する場合を例示して説明する。
〔概略構成〕
まず、セルロース含有固形物としての成型体100、および、セルロース含有固形物で形成したスピーカーボックス200の概要を説明する。
本実施形態に係る成型体100は、図1に示すように、吸水性の多孔質粒子2と、セルロースナノファイバー1とを含んでいる。
本実施形態に係るスピーカーボックス200は、図1に示すように、セルロース含有固形物を成型したものである。
本実施形態では、スピーカーボックス200が、所定の厚みを有する半球形状に形成された成型体100である場合を示している。
この成型体100は、図12から図14に示すように、セルロースナノファイバー1が分散された水分散液であるCNFスラリー11と、吸水性の多孔質粒子2(共に図3参照)とを混合して分散液3(図12参照)を調製し、その後、これを金型5に投入し、分散液3の水分を多孔質粒子2に吸水させながら分散液3をゲル化して金型5で形状を整えて半固形物3aとし(図13参照)、半固形物3aを乾燥して(図14参照)することで成型される。
以下、成型体100について詳細を説明する。
〔構成の詳細な説明〕
〔成型体についての説明〕
セルロースナノファイバー1は、微細なセルロース繊維である。
セルロースナノファイバー1は、本実施形態では、繊維幅(繊維の直径、以下では繊維径と称する)が10nm以上150nm以下で、アスペクト比が500以上のセルロース繊維を用いることが好ましい。
具体的には、セルロースナノファイバー1の繊維長は、50μm以上300μm未満であるとよい。セルロースナノファイバー1がこの範囲の繊維長であれば、成型不良を起こすことなく、セルロース含有固形物を成型して成型体100を得ることができるためである。
本実施形態では、セルロースナノファイバー1として、平均の繊維長がおよそ100μmで、平均の繊維径がおよそ100nmのセルロース繊維を用いている。
セルロースナノファイバー1の平均の繊維長は、たとえば電子顕微鏡(SEM)による画像解析によって計測(解析)することができる。
セルロースナノファイバー1の平均の繊維径は、上記繊維長と同様に、電子顕微鏡(SEM)による画像解析によって計測(解析)することができる。
セルロースナノファイバー1は、たとえば、パルプ(パルプ繊維)等の植物原料を解繊して得られるものを用いることができる。セルロースナノファイバー1としては、たとえば、木材繊維、竹繊維、サトウキビ繊維、葉繊維等の天然の植物を含む多糖由来のものを、単独で、または、二種以上を混合して用いることができる。
セルロースナノファイバー1の原料となるパルプの具体例としては、たとえば広葉樹晒クラフトパルプ、広葉樹未晒クラフトパルプ等の広葉樹クラフトパルプ、針葉樹晒クラフトパルプ、針葉樹未晒クラフトパルプ等の針葉樹クラフトパルプ等の化学パルプや、ストーングランドパルプ、加圧ストーングランドパルプ、リファイナーグランドパルプ、ケミグランドパルプ、サーモグランドパルプ、グランドパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ、晒サーモメカニカルパルプ等の機械パルプや、茶古紙、クラフト封筒古紙、雑誌古紙、新聞古紙、チラシ古紙、オフィス古紙、段ボール古紙、上白古紙、ケント古紙、模造古紙、地券古紙、更紙古紙等から製造される古紙パルプや、古紙パルプを脱墨処理した脱墨パルプなどが挙げられる。
セルロースナノファイバー1を得るためのパルプ等の解繊方法としては、たとえば、高圧ホモジナイザーなどの機械的処理、あるいはTEMPO酸化やカチオン化などの化学的処理を用いることができる。
本実施形態で用いるセルロースナノファイバー1は、多糖を含む原料スラリーを、高圧ホモジナイザーで、250MPaに加圧して解繊して作成したものを用いている。
そのため、セルロースナノファイバー1は、水分散されたCNFスラリー11として供給される。CNFスラリー11は、たとえば、その粘度が2000から4000mPas程度(B型粘度計で計測した値)の流動性のよいペースト状のスラリーである。
セルロースナノファイバー1の水分散されたCNFスラリー11における、セルロースナノファイバー1の含有量は、0.5質量%以上10%未満とするのが良く、特に2質量%以上6質量%未満とするのが好ましい。
CNFスラリー11における、セルロースナノファイバー1の含有量が2質量%以上6質量%未満であると、分散液3得る際に、CNFスラリー11と多孔質粒子2との混合を適切に行えるため好ましい。また、分散液3を得た後に、形状を整えることが可能な程度に適切に流動性を低下させた半固形物3aを得ることができるため好ましい。
本実施形態で説明しているCNFスラリー11の粘度は、たとえばセルロースナノファイバー1の含有量が2質量%の場合、約2000mPasである。
CNFスラリー11における、セルロースナノファイバー1の含有量が10質量%以上であると、分散液3を得る場合に、CNFスラリー11と多孔質粒子2との混合が適切に行えなくなる。CNFスラリー11は、セルロースナノファイバー1の含有量が10質量%以上になると、流動性がきわめて低下するためである。
なお、CNFスラリー11における、セルロースナノファイバー1の含有量が6質量%以上10質量%未満であると、やや粘度が高く、また流動性の悪いものとなる。そのため、CNFスラリー11と多孔質粒子2とを混合する際に、気泡が生じやすく、また、生じた気泡が消失しにくくなる。したがって、成型不良を起こすおそれが生じやすくなる。
一方、CNFスラリー11における、セルロースナノファイバー1の含有量が0.5質量%未満になると、分散液3を得た後に、形状を整えることが可能な程度に流動性を低下させた半固形物3aを得ることができない場合がある。分散液3の水分量が過剰になって、多孔質粒子2が吸水しても、分散液3を適切にゲル化できないためである。
なお、CNFスラリー11における、セルロースナノファイバー1の含有量が0.5質量%以上2質量%未満であると、半固形物3aを得た後これを乾燥させる際に、乾燥にともなう半固形物3aの収縮量が大きくなって成型不良を起こすおそれが生じやすくなる。
多孔質粒子2は、水分を保持する機能、すなわち吸水性を有する粒子である。
多孔質粒子2は、図2に示すように、多孔質粒子2の本体部分であり、その粒子を形成する基材となる基材部21と、基材部21の内部に形成された複数の細孔22を空隙として有する。
多孔質粒子2は、およそ球形の粒子である。なお、本実施例における、およそ球形の粒子とは、その粒子の長軸径と短軸径との比(長軸径/短軸径)が、3以下のものを言う。
多孔質粒子2の粒子径は、0.5mm以上5mm未満であるとよい。
特に多孔質粒子2の粒子径が1mm以上3mm未満であると分散液3を得た後に、形状を整えることが可能な程度に適切に流動性を低下させた半固形物3aを得ることができ好ましく、また、成型体100を得る場合にも、収縮やひずみ等の変形や、変形に伴うひび割れなどの成型不良を生じないため好ましい。
多孔質粒子2の粒子径は2mm程度が特に好ましい。分散液3を特に調製しやすく、また、成型不良を特に生じにくいためである。
多孔質粒子2の粒子径が0.5mm未満であると、多孔質粒子2全体の表面積が増大するため、相対的にセルロースナノファイバー1が不足して、多孔質粒子2のそれぞれの粒子間を、セルロースナノファイバー1で適切に架橋できなくなり、成型体100を成型する場合に、収縮やひずみ等の変形や、変形に伴うひび割れなどの成型不良を生じる場合がある。
多孔質粒子2の粒子径が5mm以上であると、5mmよりも薄い厚みの成型体100を製造できないばかりでなく、成型体100における、それぞれの多孔質粒子2同士の接点が減少し、また、多孔質粒子2同士の架橋に供するセルロースナノファイバー1の量が相対的に減少し、形状を整えることが可能な程度に適切に流動性を低下させた半固形物3aを得ることができない場合がある。また、成型不良を生じたり、成型体100の強度が低下したりする場合がある。
細孔22は、多孔質粒子2が水分を保持するための水の容器部分である。
細孔22は、多孔質粒子2の本体である基材部21の表面に開口部23を備える。そして細孔22は、基材部21の壁部21aで囲われた、多孔質粒子2の内側に向けて設けられた空間部分24として形成されている。
多孔質粒子2の外側に存在する水分は、開口部23を介して粒子内部(細孔22)に取り込まれ、空間部分24に保持される。細孔22に取り込まれた水分は、空間部分24を囲う壁部21aに対して分子間力などで吸着された状態で保持される。
本実施形態では、細孔22は、多孔質粒子2のおよそ中心部分から粒子の表面に向けて広がるような放射形状に形成されている。
基材部21は、親水性の有機物で形成することが好ましい。
基材部21は、親水性の有機物で形成すると、多孔質粒子2の吸水性を高めることができるためである。多孔質粒子2の吸水性が高まると、分散液3を効率よくゲル化して成型することができる。
本実施形態では、基材部21は、親水性の有機物であるセルロースで形成されている。
壁部21aは、親水性の表面であることが好ましい。
壁部21aが親水性であれば、細孔22に、より多くの水分を保持し、多孔質粒子2の吸水性を高めることができるためである。
壁部21aは、たとえば、親水性の有機物で形成し、親水性の表面とすることができる。
本実施形態においては、基材部21が親水性の有機物であるセルロースで形成されているため、壁部21aは、セルロースでなる表面となっている。そのため、壁部21aは、親水性の表面である。
多孔質粒子2の粒子表面29は、親水性の表面であることが好ましい。
粒子表面29が親水性であると、分散液3を調製する際に、多孔質粒子2とCNFスラリー11を適切に混合し、多孔質粒子2をCNFスラリー11に対して分散することができる。また、分散液3を調製する際に、多孔質粒子2の粒子表面29とCNFスラリー11との界面に気泡を生じることを抑制し、成型体100の強度を向上させることができる。
粒子表面29は、たとえば、親水性の有機物で形成し、親水性の表面とすることができる。
本実施形態においては、基材部21が親水性の有機物であるセルロースで形成されているため、粒子表面29は、セルロースでなる表面となっている。そのため、粒子表面29は、親水性の表面である。
多孔質粒子2がセルロースであって、球状の粒子である場合、多孔質粒子2の粒子群としてのかさ密度は、およそ0.1kg/Lから0.3kg/Lとするとよい。
このようにすると、多孔質粒子2が十分な細孔22を有し、多孔質粒子2が十分な吸水性を有することになる。多孔質粒子2の細孔22は、粒子の空隙率としてみた場合、およそ75%から95%の空隙率であるとよい。この場合、多孔質粒子2は、多孔質粒子2の質量1gあたり、およそ3.5g程度の水分を吸収して保持できる。なお、この実施形態において、粒子の空隙率とは、粒子の外部の形状に規定される粒子体積のうち、空隙に相当する部分の割合のことを言う。言い換えると、粒子の外部の形状に規定される粒子体積に対する、中実である部分の体積の差分に相当する体積の割合をいう。
このようなセルロースで成る多孔質粒子2は、たとえば、ビスコースと、炭酸カルシウムとを含む混合水溶液を所定の内径(たとえば、所定の内径が0.2mmから2.0mm)の吐出孔から所定の線速度(たとえば所定の線速度が0.05m/sから0.5m/s)で連続的に押出し、当該混合水溶液の表面張力により、微小液滴を形成させ、この微小液滴を塩酸、リン酸、硫酸などの酸性水溶液と接触させて、当該微小液滴を凝固・再生させるとともに炭酸カルシウムを発泡させることにより製造したものを用いることができる。
多孔質粒子2としては、上記のセルロースで形成された粒子の他、ポリアクリル酸塩系、ポリスルホン酸塩系、無水マレイン酸塩系、ポリアクリルアミド系、ポリビニルアルコール系、ポリエチレンオキシド系、ポリアスパラギン酸塩系、ポリグルタミン酸塩系、ポリアルギン酸塩系、デンプン系のようなその他の有機物で形成された粒子を用いることができる。
また、多孔質粒子2としては、活性炭や、メソポーラスシリカなどの多孔質シリカ粒子のような無機系の微粒子を用いることもできる。
成型体100における、セルロースナノファイバー1の含有量は、10質量%から40質量%程度が好ましい。
セルロースナノファイバー1の含有量が上記範囲内であれば、分散液3を調製した際には、多孔質粒子2のそれぞれの粒子間がセルロースナノファイバー1でおよそ満たされて適切に架橋する(図4参照)。また、分散液3ないし半固形物3aが乾燥する過程においては、CNFスラリー11の架橋部分CLが収縮して適度に多孔質粒子2のそれぞれの粒子間が近づいて立体障害を生じながら、多孔質粒子2のそれぞれの粒子間がセルロースナノファイバー1で適切に架橋された状態を保つことができる(図5参照)。そのため、それぞれの多孔質粒子2は、立体障害で互いの位置関係を拘束されるので、それぞれの多孔質粒子2の粒子間に存在するCNFスラリー11の架橋部分CLの収縮やずりの影響を受けることがない。そして架橋部分CLがその架橋状態を維持したまま乾燥固化して結合部CSになると、収縮やひずみ等の変形や、変形に伴うひび割れを有しない状態で、セルロースナノファイバー1の固形物10と多孔質粒子2とで成る成型体100を得ることができる(図1参照)。
ここで、成型体100における、セルロースナノファイバー1の含有量が10質量%から40質量%程度となるのは、成型体100中に、セルロースナノファイバー1を、およそ1体積%以上10体積%未満含有する場合である。
セルロースナノファイバー1の含有量が10質量%未満になると、十分な強度の成型体100を得られない場合がある。
CNFスラリー11は乾燥に伴い収縮する。そのため、分散液3を調製した際には多孔質粒子2同士がCNFスラリー11で架橋していても(図6参照)、分散液3ないし半固形物3aが乾燥する過程で、成型体100における、多孔質粒子2のそれぞれの粒子間の空隙が増加する。また、一部は架橋が破壊されて多孔質粒子2のそれぞれの粒子間をセルロースナノファイバー1で適切に架橋できない(図7参照)。その結果、セルロースナノファイバー1の固形物10と多孔質粒子2とで成る成型体100を成型する場合に、収縮やひずみ等の変形や、変形に伴うひび割れなどの成型不良を生じる場合がある(図10参照)。
セルロースナノファイバー1を10体積%以上含む場合には、多孔質粒子2の粒子間の架橋は十分に行われる。しかし、成型体100を得る際に、多量の水分を含むCNFスラリー11は、乾燥中に大きく収縮する。
つまり、成型体100がセルロースナノファイバー1を10体積%以上含むように成型する場合には、相対的に多量のCNFスラリー11を使用することになる。この場合、乾燥過程にある分散液3ないし半固形物3aにおいて、多孔質粒子2のそれぞれの粒子間は過剰なCNFスラリー11で満たされる(図8参照)。そして、その乾燥にともなってCNFスラリー11が収縮して多孔質粒子2の粒子間距離が縮まるが、多孔質粒子2の粒子間距離は比較的大きいままに留まることになる(図9参照)。そのため、それぞれの多孔質粒子2は、立体障害で互いの位置関係を拘束されない。したがって、CNFスラリー11が乾燥固化して結合部CSを生ずるまでの期間に、多孔質粒子2の粒子間に存在するCNFスラリー11の収縮やずりの影響を受けて、セルロースナノファイバー1の固形物10と多孔質粒子2とで成る成型体100は収縮やひずみ等の変形を生じやすくなる(図11参照)。その結果、成型体100に成型不良が生じることがある。
〔成型体の製造方法の説明〕
〔金型の説明〕
成型体100を製造する方法について図12から図14をもとに詳述する。
まず、金型5について説明する。
金型5は、成型体100を形作る(成型する)押型である。
本実施形態では、金型5は、成型体100を半球状のスピーカーボックス200として成型するための、金型である場合を示している。
金型5は、たとえば曲面の内側が球状一部を成す形状(およそ半球状)の第一金型51と、曲面の外側が球状一部を成す形状(およそ半球状)であって、その半球の径が第一金型51よりも小さな径の第二金型52とで構成される。
金型5は、第一金型51の曲面の内側に第二金型52の曲面の外側を嵌めて、成型体100を成型する。つまり、第一金型51の半球の内曲面と第二金型52の半球の外曲面との間に分散液3(半固形物3a)を挟み込むようにして、半球状の成型体100を成型する。
本実施形態では、第一金型51が半径105mmの半球状を成す形状であり、第二金型52が半径95mmの半球状を成す形状である場合を説明している。
なお、この金型5の形状は、説明のための例示であって、所望の成型体100の形状に合わせて設定されるべきものである。
金型5は、可塑性を有する基材で形成されたものを用いるとよい。
このようにすると、金型5から半固形物3aないし成型体100を取り出す際に、金型5を外部から変形させて、半固形物3aないし成型体100を金型5から剥離しやすくなる。
本実施形態では、金型5は、可塑性の樹脂であるポリエチレンテレフタレートで形成されている場合を示している。
本実施形態では、第一金型51の半球の内曲面の表面には、撥水加工を施してある。また、本実施形態では、第二金型52の半球の外曲面の表面には、撥水加工を施してある。
このようにすると、金型5から半固形物3aないし成型体100を取り出す際に離型性が向上して、半固形物3aないし成型体100を金型5から剥離しやすくなる。
本実施形態では、撥水加工として、シランカップリング処理を行った場合を示している。
本実施形態では、第一金型51の半球の内曲面の表面には、凹凸加工を施してある。また、本実施形態では、第二金型52の半球の外曲面の表面には、凹凸加工を施してある。この凹凸加工は、たとえば1mmから3mm程度の直径の円形範囲を、外側に向けた曲面状の凸形状として、たとえば三角千鳥格子状に配列した加工とすることができる。なお、凸形状の突起の高さは、たとえば0.1mmから0.3mm程度かつ、円形範囲の3%から10%の大きさとすることができる。
このようにすると、金型5から半固形物3aないし成型体100を取り出す際に離型性が向上して、半固形物3aないし成型体100を金型5から剥離しやすくなる。
本実施形態では、この凹凸加工として、2mmの直径で高さが0.2mmの曲面状突起として設けた場合を例示(図示せず)している。
〔原料の説明〕
分散液3について説明する。
分散液3は、CNFスラリー11と、多孔質粒子2とを混合して調製する。
CNFスラリー11は、粘度の低いスラリーである。そのため、CNFスラリー11は、そのままでは形状を保つことができない。しかし、CNFスラリー11と多孔質粒子2とを混合して分散液3とすると、CNFスラリー11の水分の一部が、多孔質粒子2に吸収されて、分散液3の粘度(粘性)が次第に増加し、分散液3は半固形物3aになる。ここで、分散液3から半固形物3aに変成する過程は連続的なものである。
CNFスラリー11と、多孔質粒子2との混合比は、体積比で1:1から2:1の範囲で定めるとよい。この混合比をこの範囲で定めると、成型体100中に、セルロースナノファイバー1を、およそ1体積%以上10体積%未満含有することができる。
CNFスラリー11は乾燥すると、たとえば4分の1程度に収縮する。
本実施形態では、多孔質粒子2はセルロースであるため、およそ3分前後で分散液3の変性(半固形化)は収束する。
本実施形態では、第一金型51の半球の弧の内側に、CNFスラリー11と多孔質粒子2とを直接投入し、第一金型51の内側でこれらを混合して分散液3(図12参照)を得ている。
分散液3を調製し、脱泡(脱気)した後、図13に示すように、第一金型51に第二金型52を嵌めると、分散液3ないし半固形物3aの形状が、第一金型51の内側と、第二金型52の外側の円弧に沿う形状に整えられる。なお、脱泡する際には、真空下で脱泡(脱気)すると気泡の消失が促進されるため好ましい。
分散液3が半固形物3aとなった後に、第二金型52を取り外す。
半固形物3aは、その後乾燥に供する。
〔乾燥方法の説明〕
本実施形態では、半固形物3aの乾燥操作として、図14に示すように、半球状に形成された半固形物3aの弧の内側に吸湿剤6を充填した状態で室内に放置して、乾燥を促進させている。本実施形態では、吸湿剤6を充填した状態で室内に4日間放置する。
また、本実施形態では、第一金型51から取り出しても半固形物3aがその形状を保持できる程度に固化した後に、さらに室内で自然乾燥させて成型体100を得る。本実施形態では、自然乾燥として室内に7日間放置する。
このようにすると、たとえば、半径80mmで、厚みがおよそ8.5mmの半球状の成型体100を得ることができる。
そしてこの成型体100を、スピーカーボックス200として用いる。
〔実施例の説明〕
以下では本実施形態に係る実施例を具体例として説明する。
〔実施例1〕
セルロースナノファイバー1を含有するCNFスラリー11として、モリマシナリー株式会社製CNFペースト(CNF100)を準備した。このCNFスラリー11のセルロースナノファイバー1の含有量は5質量%である。また、CNFの繊維長は、約100μmである。
多孔質粒子2として、レンゴー株式会社製のセルロース粒子(ビスコパール:AH−2050L)を準備した。このセルロース粒子は、粒子径が2mmで、粒子群のかさ密度は0.1kg/L、粒子の空隙率は93%である。
そしてCNFスラリー11を0.40L、多孔質粒子2を0.80L計量し、これらを混合して分散液3を得た。つまり、CNFスラリー11と多孔質粒子2とを、体積比で2:1として、分散液3を得た。
そして上記の成型体の製造方法の説明に沿い、成型体100を得た。
その結果、半径80mmの半球状の良好な成型体100を得ることができた。この成型体100の比重(本実施形態では見かけの密度)は約0.35kg/Lで、樹脂や木材に比べて軽量である。また、この成型体100の破断強度(引張強度)は約500MPa(0.5GPa)であり、一般の樹脂に比べて極めて強い。
〔実施例2〕
CNFスラリー11と多孔質粒子2とを、体積比で1:1として混合して分散液3を得た以外は実施例1と同様に成型体100を得た。
半径70mmの半球状の良好な成型体100を得ることができた。ただし、実施例1で得た成型体100よりもやや強度は低かった。
〔比較例1〕
モリマシナリー株式会社製CNFペースト(CNF100)を予め濃縮し、セルロースナノファイバー1の含有量を10質量%としたもとをCNFスラリー11として用いた以外は、実施例1と同じとして成型体100を得ることを試みた。
しかし、CNFスラリー11と多孔質粒子2との混合や成型は可能であるものの、空隙が多くなり、十分な強度を有する成型体100を得られなかった。
〔比較例2〕
多孔質粒子2の粒子径を0.7mmとした以外は、実施例1と同じとして成型体100を得ることを試みた。しかし、得られた成型体100の強度は極端に低いものであった。
〔スピーカーボックスとしての評価〕
実施例1で得た成型体100を、スピーカーボックス200とした。
スピーカーボックス200の音響特性として、内部損失(tanδ)を、スピーカーボックス200の任意の5カ所で計測したところ、その値の平均値は約0.08であり、大きな内部損失を有していた。
したがって、このスピーカーボックス200は、その内部に収容したスピーカーが発する音の共振を適切に抑制することができる。そして、このスピーカーボックス200を用いると、クリアな音を発するスピーカーユニットを提供することができる。
以上のようにして、本発明に係るセルロース含有固形物は、セルロースナノファイバーを含む、成型性のよいセルロース含有固形物を提供することができる。そして、このセルロースナノファイバーを含むセルロース含有固形物によれば、内部損失の大きい固形物で形成されたスピーカーボックスを提供することができる。
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、多孔質粒子2がセルロースで成る場合を例示した。
しかしながら、多孔質粒子2は他の吸水性の多孔質粒子、たとえば、メソポーラスシリカとすることもできる。
(2)上記実施形態では、セルロースナノファイバー1を含有するCNFスラリー11が水分散体である場合を例示した。
しかしながら、CNFスラリー11は、水とともに、有機溶剤、たとえばエタノールやメタノールなどのアルコールを含有することもできる。CNFスラリー11がエタノールやメタノールなどのアルコールを含有すると、半固形物3aを乾燥する場合に、乾燥速度を向上させることができる場合がある。
(3)上記実施形態では、金型5が可塑性を有する樹脂で形成される場合を例示した。
しかしながら、金型5は、必ずしも可塑性を有する必要はなく、たとえば固い金属で形成することもできる。また、金型5は、多孔質で通気性のある材質、たとえば焼き物(セラミックス)で形成することもできる。
金型5を、多孔質で通気性のある材質で形成すると、半固形物3aを乾燥する場合に、乾燥速度を向上させることができる場合がある。
また、金型5を、半透膜で形成することもできる。金型5を、半透膜で形成すると、浸透圧を利用して、半固形物3aから脱水して乾燥を促進することができる場合がある。
このように金型5を、多孔質で通気性のある材質で形成したり、金型5を、半透膜で形成したりした場合、ビーズ状の高分子吸収材を利用して、金型5を介した脱水を促進することもできる。
(4)上記実施形態では、半固形物3aを乾燥する場合に、室内に放置する場合を例示した。
しかしながら、半固形物3aを乾燥する場合に、半固形物3aを加熱して乾燥を促進する場合がある。半固形物3aを加熱する方法としては、熱風を利用(たとえば、熱風を吹き付ける)したり、マイクロ波を照射したりする方法を採用することができる。また、半固形物3aを乾燥する場合に、減圧環境下で乾燥を促進する場合もある。
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
本発明は、セルロースナノファイバーを含むセルロース含有固形物に適用できる。
また、本発明は、スピーカーボックスに適用できる。
1 :セルロースナノファイバー
2 :多孔質粒子
100 :成型体(セルロース含有固形物)
200 :スピーカーボックス

Claims (5)

  1. 吸水性の多孔質粒子と、セルロースナノファイバーとを含み、
    前記多孔質粒子が、セルロースで形成されているセルロース含有固形物。
  2. 前記セルロースナノファイバーを、1体積%以上10体積%未満含有する請求項に記載のセルロース含有固形物。
  3. 前記セルロースナノファイバーの繊維長が、50μm以上300μm未満である請求項1または2に記載のセルロース含有固形物。
  4. 吸水性の多孔質粒子と、セルロースナノファイバーとを含むセルロース含有固形物を成型したスピーカーボックス。
  5. 請求項1からのいずれか一項に記載のセルロース含有固形物を成型したスピーカーボックス。
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