本明細書で説明する実施形態を用いて、試料調製及び/又は生化学的解析のために、指定された反応を起こすことができる。用語「生化学的解析」には、生物学的解析又は化学的解析の少なくとも一方を含むことができる。図1Aは、生化学的解析及び/又は試料調製を行うように構成されるシステム100の概略図である。システム100は、基礎器具102と、基礎器具102に分離可能に係合するように構成される取外可能カートリッジ104とを備える。基礎器具102及び取外可能カートリッジ104を、互いに相互作用して、生物試料をシステム100内の様々な位置へ運び、後の解析のための生物試料を調製するために、生物試料を含む指定の反応を行うように構成することができる。任意に、基礎器具102及び取外可能カートリッジ104を、生物試料に関する1つ以上の事象を検出するように構成することができる。当該事象は、生物試料に関して指定の反応が起きていることを示すことができる。いくつかの実施形態において、取外可能カートリッジ104は、(図24に示す)統合微少流体カートリッジ1100又は(図25及び26に示す)微少流体カートリッジアセンブリ1200に類似する。
図1Aに示す基礎器具102及び取外可能カートリッジ104に関して以下説明を行うが、基礎器具102及び取外可能カートリッジ104はシステム100の単なる例示的一実施形態に過ぎず、他の実施形態が存在する。例えば、基礎器具102及び取外可能カートリッジ104は、生物試料を調製する及び/又は生物試料を解析するための、多数の作業を合わせて実行する様々な構成要素及び構成を備える。図示の実施形態では、基礎器具102及び取外可能カートリッジ104のそれぞれは、特定の機能を行うことができる。しかしながら、基礎器具102及び取外可能カートリッジ104は様々な機能を実施することができ、及び/又はかかる機能を協働することができることが理解される。例えば、図示の実施形態では、取外可能カートリッジ104を、撮像装置を用いて指定の反応を検出するように構成する。代替的実施形態では、基礎器具102は撮像デバイスを備えることができる。他の例として、図示の実施形態では、基礎器具102を、取外可能カートリッジ104に対して液体を供給、受入又は交換しない、「乾式の」器具とする。代替的実施形態では、基礎器具102は例えば、試薬又は他の液体を取外可能カートリッジ104に供給でき、取外可能カートリッジ104は後に試薬又は他の液体を消費する(例えば指定の反応に使用される)。
本明細書で使用するような生物試料には、例えばヌクレオシド、核酸、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、タンパク質、酵素、ポリペプチド、抗体、抗原、リガンド、レセプター、多糖類、炭水化物、ポリリン酸塩、ナノポア、細胞小器官、油層、細胞、組織、有機体、及び/又は生物活性化学物質(上述した種類の類似体又は模倣物)等の、1つ以上の生体物質又は化学物質を含むことができる。いくつかの実施例において、生物試料には、全血、リンパ液、血清、血漿、汗、涙、唾液、痰、脳脊髄液、羊水、精液、膣分泌物、漿液、滑液、心膜液、腹水、胸水、濾出液、浸出液、嚢胞液、胆汁、尿、胃液、腸液、糞便試料、1つ以上の細胞を含む液体、細胞小器官を含む液体、流動組織(fluidized tissues)、流動有機体、多セル有機体を含む液体、生物学的スワブ及び生物学的ウォッシュを含むことができる。
いくつかの実施形態において、生物試料には、水、脱イオン水、食塩水、酸性溶液、塩基性溶液、清浄液及び/又はpH緩衝液等の添加材を含めることができる。この添加材には、指定のアッセイプロトコールの間に使用して生化学的反応を行う試薬も含めることができる。例えば、添加された液体には、生物試料に関して複数のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のサイクルを行うための材料を含めることができる。
しかしながら、解析される生物試料の形状又は状態を、システム100内に入れた生物試料とは異なるものとすることができることが理解されるであろう。例えば、システム100内に入れた生物試料は、調製された核酸を提供するために後に処理される(例えば分離又は増幅処置によって)、全血又は唾液を含むことができる。システム100は、調製された核酸をその後解析する(例えばPCRによって定量化され又はSBSによって順番に並べられる)ことができる。したがって、用語「生物試料」が、第1の作業(例えばPCR)を説明する際に使用され、第2の作業(例えばシーケンシング)を説明する際に再び使用される場合に、第1の作業の前又は第1の作業の間における生物試料に関して、第2の作業において当該生物試料を修飾することができる。例えば、前の増幅ステップ(例えばPCR)で増幅されたテンプレート核酸から生成されたアンプリコンの核酸について、シーケンシングステップ(例えばSBS)を実行することができる。この場合には、アンプリコンはテンプレートの複製であり、テンプレートと比較してアンプリコンは大量に存在する。
いくつかの実施形態において、システム100は、生化学的解析のために、ユーザが提供した物質(例えば全血又は唾液)に基づいて試料を自動的に調製することができる。しかしながら、他の実施形態では、システム100は、ユーザによって部分的に又は予備的に解析用に調製された生物試料を解析することができる。例えば、ユーザは、既に全血から分離及び/又は増幅された核酸を含む溶液を提供することができる。
本明細書で用いる場合、「指定の反応」には、対象となる検体の化学的、電気的、物理的、または光学的特性(もしくは、質)のうち少なくとも1つの変化を含む。特定の実施形態において、指定の反応は、会合結合事象(例えば、蛍光標識生体分子の、対象となる検体との混合)である。指定の反応は、解離結合事象(例えば、蛍光標識生体分子の、対象となる検体からの解放)とすることができる。指定の反応は、化学的変換、化学的変化、または化学的相互作用とすることができる。指定の反応は、電気的特性の変化とすることもできる。例えば、指定の反応は、溶液中のイオン濃度の変化とすることができる。代表的な反応には、(還元、酸化、付加、脱離、転位、エステル化、アミド化、エステル化、環化、または置換などの)化学的反応、第1化学物質が第2化学物質に結合する結合相互作用、2つ以上の化学物質が互いに分離する解離反応、蛍光、発光、生物発光、化学発光、及び(核酸複製、核酸増幅、核酸ハイブリダイゼーション、核酸ライゲーション、リン酸化反応、酵素触媒反応、受容体結合、またはリガンド結合などの)生物学的反応を含むが、これに限定されるわけではない。指定の反応は、例えば、周囲の溶液または環境のpH変化として検出可能である、陽子の付加または脱離とすることもできる。追加の指定の反応は、例えば、膜(例えば、天然の、または、合成の、二層膜)を通るイオンの流れを検出することができ、例えば、イオンが膜を通って流れる際に流れを妨害し、その妨害を検出することができる。荷電ガスの電界センシングをサーマルセンシングとして使用することもでき、当業者が既知の他の解析センシング技術を使用することもできる。
特定の実施形態において、指定の反応には蛍光標識分子の検体への導入を含む。検体はオリゴヌクレオチドとすることができ、蛍光標識分子はヌクレオチドとすることができる。指定の反応は、励起光を、標識ヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドに誘導し、フルオロフォアが検出可能な蛍光信号を放射する場合に検出することができる。代替的な実施形態では、検出される蛍光は、化学発光または生物発光の結果である。指定の反応はまた、蛍光(つまり、フェルスター(Forster))共鳴エネルギー移動(FRET)を、例えば、ドナーフルオロフォアをアクセプタフルオロフォアに近接させることにより増大するか、ドナーフルオロフォアおよびアクセプタフルオロフォアを分離することによりFRETを低減するか、フルオロフォアから消光剤を分離することにより蛍光を増強するか、又は、消光剤とフルオロフォアを同一場所に位置させることにより蛍光を弱めることができる。
本明細書で用いる場合、「反応成分」には、指定の反応を得るために用いることができる任意の物質を含む。例えば、反応成分には、試薬、酵素等の触媒、反応させるための反応物質、試料、反応の生成物、他の生体分子、塩類、金属補因子、キレート剤及びpH緩衝液(例えば水素化緩衝液)を含む。反応成分を、それぞれの溶液で又は1つ以上の混合物で、流体ネットワークの様々な位置に送達することができる。例えば、反応成分を反応室に送達することができ、反応室で生物試料は固定化される。反応成分は、生物試料と直接的又は間接的に相互作用することができる。いくつかの実施形態では、取外可能カートリッジ104に、指定されたアッセイプロトコールを行うのに必要な1つ以上の反応成分を前もって入れる(プレローディングする)。ユーザがカートリッジ104を(例えば顧客施設で)受け取る前にプレローディングをある場所(例えば製造施設)で行うことができる。
いくつかの実施形態では、基礎器具102を、セッションごとに1つの取外可能カートリッジ104と相互作用するように構成することができる。セッションの後に、取外可能カートリッジ104を、別の取外可能カートリッジ104と交換することができる。他の実施形態では、基礎器具102を、セッションごとに複数の取外可能カートリッジ104と相互作用するように構成することができる。本明細書で用いる場合、用語「セッション」には、試料調製及び/又は生化学的解析プロトコールの少なくとも一方を実施するステップを含む。試料調製には、調製された生物試料を解析に適切なものとするために、生物試料の1つ以上の成分を分離、修飾及び/又は増幅するステップを含むことができる。いくつかの実施形態では、セッションに、(a)指定された数の反応が行われるまで、(b)指定された数の事象が検出されるまで、(c)指定されたシステムタイムの期間が経過したとき、(d)信号雑音比が指定のしきい値になるまで、(e)目標成分が確認されるまで、(f)システム障害又は不調が検出されるまで、及び/又は(g)反応を行うための1つ以上の資源を使い果たすまで、多数の制御された反応を行う連続的活動を含むことができる。あるいは、セッションは、システムの活動をある期間(例えば数分、数時間、数日、数週間)の間休止し、その後(a)−(g)の少なくとも1つが起きるまでにセッションを完了するステップを含むことができる。
アッセイプロトコールには、指定の反応を行い、指定の反応を検出し、及び/又は指定された反応を解析するための、一連の作業を含むことができる。取外可能カートリッジ104及び基礎器具102は、様々な作業を行うために必要な構成要素を集合的に備えることができる。アッセイプロトコールの作業には、流体的作業、熱制御作業、検出作業及び/又は機械的作業を含むことができる。流体的作業には、基礎器具102及び/又は取外可能カートリッジ104によって駆動される、システム100を通る流体(例えば液体又は気体)の流量制御を含むことができる。例えば流体的作業には、ポンプを制御して生物試料又は反応成分の検出領域への流れを起こすステップが含まれる。温度制御作業には、システム100の指定された部分の温度を制御するステップを含むことができる。例として、温度制御作業は、生物試料を含む液体が蓄えられたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)領域の温度を上昇又は低下させるステップを含むことができる。検出作業は、検出器の活性化を制御するステップ、又は検出器の活動を監視して生物試料の既定の特性、品質若しくは特徴を検出するステップを含むことができる。1つの例として、検出作業は、生物試料を含む指定された領域の画像を撮像して、当該指定された領域からの蛍光発光を検出するステップを含むことができる。検出作業は、光源を制御して生物試料を照射するステップ、又は検出器を制御して生物試料を観察するステップを含むことができる。機械的作業には、指定された構成要素の運動又は位置を制御するステップを含むことができる。例えば、機械的作業は、モータを制御して、取外可能カートリッジ104の回動可能バルブに動作可能に係合する、基礎器具102のバルブ制御要素を動かすステップを含むことができる。いくつかの場合には、様々な作業の組み合わせを同時に行うことができる。例えば、ポンプが検出領域を通る流体の流量を制御している間、検出器は検出領域の画像を撮像することができる。いくつかの場合には、様々な生物試料に向けた様々な作業を同時に行うことができる。例えば、第1の生物試料を増幅する間(例えばPCR中)に、第2の生物試料を検出することができる。
本明細書において「液体」とは、比較的非圧縮性であり、流動することができる物質であり、当該物質を保持する容器又はチャンネルの形状と一致する物質である。液体を水性とすることができ、液体は、当該液体を一体に保持する表面張力を示す、極性分子を含むことができる。液体は、非極性分子を含むこともできる。そのような分子は例えば油性又は非水性の物質である。本願において、液体と言及することは、2つ以上の液体の混合物から形成される液体に言及することを含み得る。例えば、別個の試薬液を後で混合して、指定の反応を行うことができる。
取外可能カートリッジ104を、基礎器具102に、分離可能に係合し又は取外可能に結合するように構成する。本明細書において、「分離可能に係合する」又は「取外可能に結合する」との表現(又は類似の表現)を用いて、取外可能カートリッジと基礎器具との間の関係を説明し、また、これらの表現は取外可能カートリッジと基礎器具との間の接続を、基礎器具を破壊することなく容易に分離可能であることを意図するものである。したがって、取外可能カートリッジは基礎器具に、基礎器具の電気的接点が破壊されないような電気的方法で分離可能に係合することができる。取外可能カートリッジは基礎器具に、基礎器具が取外可能カートリッジを保持する構成が破壊されないような機械的方法で分離可能に係合することができる。取外可能カートリッジは基礎器具に、基礎器具のポートが破壊されないような流体的方法で分離可能に係合することができる。例えば、構成要素に対して、単純な調整(例えば再調整)又は単純な交換(例えばノズルの交換)のみが要求される場合には、基礎器具は「破壊されない」と考えられる。構成要素(例えば取外可能カートリッジ104及び基礎器具102)を互いに分離する際に、過度の労力又は著しい量の時間を必要としない場合に、当該構成要素を容易に分離することができるといえる。いくつかの実施形態では、取外可能カートリッジ104及び基礎器具102を、取外可能カートリッジ104又は基礎器具102の何れかを破壊することなく、容易に分離することができる。
いくつかの実施形態では、基礎器具102とのセッションの間に、取外可能カートリッジ104を永久的に変更する又は部分的に損傷させることができる。例えば、液体を保持する容器が、箔のカバーを含み、当該カバーを穿刺して液体をシステム100内で流動させることができる。かかる実施形態では、損傷した容器を別の容器と交換する必要が生じるように、箔のカバーを損傷することができる。特定の実施形態において、取外可能カートリッジ104を使い捨てカートリッジとして、取外可能カートリッジ104を交換することができ、任意に1度の使用後廃棄することができる。
他の実施形態では、取外可能カートリッジ104が基礎器具102と係合している間、取外可能カートリッジ104を複数のセッションに対して使用することができる。これとともに又はこれに代えて、取外可能カートリッジ104を基礎器具102から取り外し、取外可能カートリッジ104に試薬を再度入れて、取外可能カートリッジ104を基礎器具102と再度係合させて、更なる指定の反応を行うことができる。したがっていくつかの場合には、取外可能カートリッジ104を再生して、同一の取外可能カートリッジ104を別の消費品(例えば反応成分及び生物試料)とともに使用することができる。消費者の施設でカートリッジを基礎器具から取り外した後、当該再生を製造施設で行うことができる。
図1Aに示すように、取外可能カートリッジ104は、流体(例えば液体又は気体)を保持できるとともに、取外可能カートリッジ104を通る流体を導くことができる、流体ネットワーク106を含む。流体ネットワーク106は、流体を蓄えることができ及び/又は流体を流体ネットワーク106で流すことができる、複数の相互接続された流体要素を含む。流体要素の非限定的な例には、チャンネル、チャンネルのポート、空洞、貯蔵モジュール、貯蔵モジュールの容器、反応室、廃棄物容器、貯水槽、検出室、反応検出用多目的室等が含まれる。システム100が試料調製及び/又は解析を行うことができるように、複数の流体要素を指定された方法で互いに流体的に結合することができる。
本明細書において、「流体的に結合する」(又は類似の表現)は、2つの空間的領域が互いに接続され、液体又は気体が2つの空間的領域の間で導かれることをいうものとする。いくつかの場合では、流体的接続により、流体は2つの空間的領域の間で行き来することができる。他の場合には、流体的接続は単一方向であり、2つの空間的領域の間で一方向のみに流れる。例えば、アッセイの容器をチャンネルと流体的に結合して、液体をアッセイの容器からチャンネル内へ運ぶことができる。ただし、いくつかの実施形態では、チャンネル内の流体がアッセイの容器へ逆流しないようにできる。特定の実施形態では、流体ネットワーク106を、生物試料を受け入れるとともに、当該生物試料に対して試料調製及び/又は試料解析を行うように構成する。流体ネットワーク106は、生物試料及び他の反応成分を廃棄物容器に導くことができる。
1つ以上の実施形態では、生物試料(例えばテンプレート核酸)を、当該生物試料が解析される指定箇所で保持するステップを含むことができる。本明細書において、生物試料に関して「保持する」とは、生物試料をある表面に実質的に付着させること、又は生物試料を指定のスペース内に実質的に留めることを含む。本明細書において、生物試料に関して「固定化する」とは、固形の支持体内の又は固形の支持体上の表面に、生物試料を実質的に付着させることを含む。固定化は、生物試料を表面にある分子レベルで付着させるステップを含むことができる。例えば、非供給相互作用(例えば静電力、ファンデルワールス力、疎水性界面の脱水)を含む吸着技術と、官能基又はリンカーが生物試料の表面への付着を促進する共有結合技術とを使用して、生物試料を基板の表面に固定化することができる。基板表面の特性と、生物試料を含む液体培地と、生物試料自体の特性とに基づいて、生物試料を基板表面に固定化することができる。いくつかの場合では、基板の表面を機能化して(例えば化学的又は物理的に修飾して)、生物試料の基板の表面への固定化を促進することができる。基板の表面をまず修飾して、当該表面に結合する官能基を持たせることができる。その後官能基を生物試料に結合させて、生物試料を官能基上に固定することができる。いくつかの場合には、例えば米国特許出願公開第2011/0059865号明細書及び米国特許出願公開第2014/0079923号明細書に説明されるように、ゲルによって生物試料を表面に固定化することができる。これら明細書のそれぞれの全内容を、参照により本明細書に援用するものとする。
いくつかの実施形態において、核酸を表面に固定化することができ、架橋増幅(bridge amplification)を用いて核酸を増幅することができる。効果的な架橋増幅方法については、例えば米国特許第5,641,658号明細書、国際公開第07/010251号パンフレット、米国特許第6,090,592号明細書、米国特許出願公開第2002/0055100号明細書、米国特許第7,115,400号明細書、米国特許出願公開第2004/0096853号明細書、米国特許出願公開第2004/0002090号明細書、米国特許出願公開第2007/0128624号明細書、及び米国特許出願公開第2008/0009420号明細書で説明されている。これら文献のそれぞれの全体を本明細書に援用する。核酸を表面上で増幅する他の効果的な方法にRolling Circle Amplification(ローリングサークル増幅法、RCA)法があり、例えば以下更に詳細に説明する方法を用いて行われる。いくつかの実施形態では、核酸を表面に付着させることができ、1つ以上のプライマー対を用いて核酸を増幅することができる。例えば、プライマーの一方を溶液中に存在させることができ、プライマーの他方を表面上に固定化する(例えば 5' に付着させる)ことができる。例として、固定化プライマーを伸長させた後に、核酸分子を表面上のプライマーの一方にハイブリダイズして、核酸の第1のコピーを生成することができる。その後、核酸の第1のコピーをテンプレートとして使用して伸長させることができる溶液中のプライマーを、核酸の第1のコピーにハイブリダイズする。任意に、核酸の第1のコピーを生成した後に、元の核酸分子を表面上の第2の固定化プライマーにハイブリダイズすることができ、溶液中のプライマーの伸長と同時又は伸長後に、元の核酸分子を伸長させることができる。任意の実施形態において、固定化されたプライマー及び溶液中のプライマーを用いて、伸長(例えば増幅)を繰り返すことで、核酸の複数のコピーを生成する。いくつかの実施形態では、生物試料を、生物試料を増幅(例えばPCR法で)している間使用されるように構成される反応成分を含む、既定のスペース内に留めることができる。
図示の実施形態では、取外可能カートリッジ104は、複数のハウジング面111−114を有するカートリッジハウジング110を含む。ハウジング面111−114は、非結合面111−113と結合面114とを含む。結合面114は、基礎器具102に係合するように構成される。図示の実施形態では、カートリッジハウジング110は実質的に一体構造を形成する。代替的な実施形態では、システム100のユーザによって結合される、1つ以上のサブコンポーネントによって、カートリッジハウジング110を構成することができる。取外可能カートリッジ104を基礎器具102に分離可能に係合する前に、又はサブコンポーネントの1つを基礎器具102に分離可能に係合した後に、サブコンポーネントを結合させることができる。例えば、第1サブハウジング(図示せず)は、貯蔵モジュール150を保持することができ、取外可能カートリッジ104の残り部分(例えば流体ネットワーク及び撮像装置)に、第2サブハウジング(図示せず)を含むことができる。第1サブハウジング1と第2サブハウジングとを結合して、カートリッジハウジング110を形成することができる。
流体ネットワーク106は、カートリッジハウジング110によって保持され、非結合面112に対して開口する複数の試料ポート116を含む。代替的な実施形態では、試料ポート116を非結合面111若しくは113に沿って配置することができ、又は試料ポート116を結合面114に沿って配置することができる。試料ポート116のそれぞれを、生物試料を受け入れるように構成する。単なる例として、生物試料を全血又は唾液とすることができる。いくつかの実施形態では、生物試料を、PCRを行うための核酸及び他の物質(例えば試薬、バッファ)とすることができる。図1Aでは3つの試料ポート116を示しているが、ある実施形態では1つのみの試料ポート、2つの試料ポート又は4つ以上の試料ポートを含むことができる。
流体ネットワーク106は結合面114に対して開口する流体接続ポート118も含み、流体ネットワーク106はカートリッジハウジング110の外面に露出する。流体接続ポート118は、基礎器具102のシステムポンプ119に流体的に接続されるように構成される。流体接続ポート118は、流体ネットワーク106の一部であるポンプチャンネル133と流体連通する。システム100の動作中に、システムポンプ119は、ポンプチャンネル133及び流体ネットワーク106の残りの部分を通る流体の流れを起こす負圧をもたらすように構成される。例えば、システムポンプ119は試料ポート116から試料調製領域132までの生物試料の流れを起こすことができ、後の解析のために生物試料は調製され得る。システムポンプ119は試料調製領域132から反応室126までの生物試料の流れを起こすことができ、検出作業が行われて生物試料のデータ(例えば画像データ)が取得される。システムポンプ119は、貯蔵モジュール150の容器151、152から反応室126までの流体の流れも起こすことができる。検出作業を行った後に、システムポンプ119は廃棄物容器128への流体の流れを起こすことができる。
取外可能カートリッジ104は、流体ネットワーク106に加えて、基礎器具102によって制御可能な1つ以上の機械的インタフェース117を備えることができる。例えば、取外可能カートリッジ104は、流体ネットワーク106に動作可能に連結する複数の流量制御バルブ121−123を有するバルブアセンブリ120を備えることができる。流量制御バルブ121−123のそれぞれには、基礎器具102によって制御される機械的インタフェース117を設けることができる。例えば、基礎器具102は、流量制御バルブ121−123を選択的に起動又は制御することができ、システムポンプ119を選択的に起動することと合わせて、流体ネットワーク106内の流体の流量を制御することができる。
例えば図示した実施形態では、流体ネットワーク106が、試料ポート116のすぐ下流に存在し、試料ポート116と流体連通する試料チャンネル131を含む。単一の試料チャンネル131のみを図1Aに示しているが、代替的な実施形態では複数の試料チャンネル131を含むことができる。試料チャンネル131は、試料調製領域132を含むことができる。バルブアセンブリ120は、1組のチャンネルバルブ121、122を含む。基礎器具102は、チャンネルバルブ121、122を選択的に起動して、試料チャンネル131を通る流体の流れを妨げ又は塞ぐことができる。特定の実施形態では、チャンネルバルブ121、122を起動して、指定の体積の液体を試料チャンネル131の試料調製領域132内に保持するシールを形成することができる。試料調製領域132内の指定の体積の液体には、生物試料を含むことができる。
バルブアセンブリ120は、可動バルブ123を備えることもできる。可動バルブ123を、回動可能バルブアセンブリ1410(図27A、27Bに示す)と類似させることができる。可動バルブ123は、対応ポートの間に延びる少なくとも1つの流路140を含むことができる、バルブ本体138を有する。バルブ本体138は、様々な位置に移動することができ、ポートを、流体ネットワーク106の対応ポートと位置合わせできる。例えば、可動バルブ123の位置によって、反応室126へ流れる流体の種類を決めることができる。第1の位置では、可動バルブ123は、試料チャンネル131の対応ポートと位置合わせして、生体試料を反応室126に供給することができる。第2の位置では、可動バルブ123は、貯蔵モジュール150の容器151、152とそれぞれ流体連通する、容器チャンネル161、162の1つ以上の対応ポートと位置合わせすることができる。容器151、152を、指定された反応を行うために使用することができる反応成分を貯蔵するように構成する。容器チャンネル161、162をそれぞれ、容器151、152の下流に配置し、容器151、152と流体連通させる。いくつかの実施形態では、可動バルブ123は、様々な位置に単独で移動して、容器チャンネルの対応ポートと位置合わせすることができる。
図示の実施形態では、可動バルブ123は、軸142まわりで回動するように構成される回動可能なバルブである。したがって、可動バルブ123を以下、回動可能バルブ123と呼ぶ。しかしながら、代替的な実施形態では、様々な位置に回動しない可動バルブを含むことが理解されるはずである。かかる実施形態では、可動バルブは、1つ以上の直線方向で摺動して、対応するポートと位置合わせすることができる。本明細書で説明する回動可能バルブ及び直線移動バルブを、2013年3月15日に出願したPCT国際出願第PCT/US2013/032309号で説明した装置に類似させることができる。このPCT国際出願の全内容を参照により本明細書に援用するものとする。
いくつかの実施形態では、生物試料を基礎器具102の光源158によって照射する。あるいは、光源158を取外可能カートリッジ104に組込むことができる。例えば、生物試料は、適切な波長の光により励起されたときに発光する、1つ以上の蛍光体を含むことができる。図示の実施形態において、取外可能カートリッジ104は光路154を持つ。基礎器具102の光源158からの照明光156を、反応室126内の生物試料に投射させるように、光路154を構成する。したがって反応室は、1つ以上の光透過性の面又は窓を持つことができる。光路154には、光路156を反応室126に能動的に向ける、1つ以上の光学素子(例えばレンズ、反射鏡及びファイバーライン等)を含むことができる。例示的実施形態では、光源158を発光ダイオード(LED)とすることができる。しかしながら、代替的実施形態では、光源158は、レーザ又はランプ等の他の種類の発光装置を備えることができる。
いくつかの実施形態では、検出アセンブリ108は、撮像検出器109と反応室126とを含む。撮像検出器109を、反応室126内の指定の反応を検出するように構成する。撮像検出器109を、CMOS撮像センサ262(図40に示す)に類似させることができる。いくつかの実施形態では、撮像検出器109を、反応室126からの光情報(例えば吸収、反射/屈折、又は発光)を検出するように、反応室126に対して配置することができる。撮像検出器109は、1つ以上の撮像装置(例えば電荷結合素子(CCD)カメラ又は相補型金属酸化膜半導体(CMOS)撮像素子)を備えることができる。いくつかの実施形態では、撮像検出器109は、化学発光から出た光情報を検出することができる。更に他の実施形態では、検出アセンブリ108は、撮像に限定されないものとすることができる。例えば、検出アセンブリ108を、液体の電気的性質を検出する1つ以上の電極とすることができる。
本明細書で説明するように、基礎器具102は、取外可能カートリッジ104に動作可能に係合するように構成され、取外可能カートリッジ104内の様々な作業を制御して、指定の反応を行い及び/又は生物試料のデータを取得する。この目的を達成するために、基礎器具102が取外可能カートリッジ104の1つ以上の構成要素の作業を制御できるように、結合面114を構成する。例えば、結合面114は、基礎器具102がバルブ121−123を制御できるようにする、複数のアクセス開口部171−173を含むことができる。結合面114は、基礎器具102のサーマルブロック206を受け止めるように構成されるアクセス開口部174を含むこともできる。アクセス開口部174は、試料チャンネル131に沿って延びる。図示したように、アクセス開口部171−174は結合面114に対して開口する。
基礎器具102は、取外可能カートリッジ104の結合面114に分離可能に係合するように構成される制御面202を有する。取外可能カートリッジ104の結合面114と基礎器具102の制御面202とは、合わせてシステムインタフェース204を定める。システムインタフェース204は、取外可能カートリッジ104と基礎器具102との間の共通の境界を表し、当該共通の境界を通じて基礎器具102と取外可能カートリッジ104とを動作可能に係合する。すなわち、基礎器具102と取外可能カートリッジ104とは、システムインタフェース204に沿って動作可能に係合され、基礎器具102は、結合面114を通じて取外可能カートリッジ104の様々な特徴を制御できる。例えば、基礎器具102は、取外可能カートリッジ104の対応構成要素を制御する、1つ以上の制御可能な構成要素を有することができる。
いくつかの実施形態では、基礎器具102と取外可能カートリッジ104とが、システムインタフェース204において、システムインタフェース204を通じてもたらされる、電気的結合、熱的結合、光学的結合、バルブ結合又は流体的結合の少なくとも1つによって互いに固定されるように、基礎器具102と取外可能カートリッジ104とは動作可能に係合される。図示した実施形態では、基礎器具102と取外可能カートリッジ104とが、電気的結合、熱的結合、バルブ結合及び光学的結合を有するように構成される。すなわち、基礎器具102と取外可能カートリッジ104とは、電気的結合によって、データ通信することができ及び/又は電力を伝えることができる。基礎器具102と取外可能カートリッジ104とは互いに、熱的接合によって、一方向又は双方向で、熱エネルギーを伝えることができる。また、基礎器具102と取外可能カートリッジ104とは、光学的結合によって、光情報(例えば照明光)通信を行うことができる。
図示の実施形態では、システムインタフェース204は、単面(single-sided)インタフェース204である。例えば、制御面202及びハウジング面114は一般に向き合う方向を向いている。システムインタフェース204は単面であり、取外可能カートリッジ104と基礎器具102とを、結合面114及び制御面202のみを通じて互いに動作可能に結合する。代替的な実施形態では、システムインタフェースを複数面(multi-sided)インタフェースとすることができる。例えば、取外可能カートリッジの少なくとも2つ、3つ、4つ又は5つの面を、基礎器具と結合するように構成される結合面とすることができる。この複数面を平面とすることができ、互いに直交して又は互いに反対側に(例えば直方体形状の一部又は全部を取り巻くように)配置することができる。
取外可能カートリッジ104の作業を制御するために、基礎器具102は、流量制御バルブ121−123に動作可能に係合するように構成されるバルブアクチュエータ211−213と、熱エネルギーを試料調製領域132に与え及び/又は試料調製領域132から熱エネルギーを奪うように構成されるサーマルブロック206と、電気的接点209の接点アレイ208とを備えることができる。基礎器具102は、制御面202に沿って配置された光源158を備えることもできる。基礎器具102は、制御面202に沿って配置された制御部210を有するシステムポンプ119を備えることもできる。
システム100は、ロッキング機構176を備えることもできる。図示の実施形態では、ロッキング機構176は、取外可能カートリッジ104のラッチ係合要素178に係合するように構成される回動可能ラッチ177を含む。あるいは、取外可能カートリッジ104が回動可能ラッチ177を含むことができ、基礎器具102がラッチ係合要素178を含むことができる。取外可能カートリッジ104が基礎器具102に取り付けられる場合、ラッチ177を回動させてラッチ係合要素178に係合させることができる。ロッキング機構176が生み出すカム効果(a camming effect)により、取外可能カートリッジ104を基礎器具102へ押し又は駆動させて、取外可能カートリッジ104を基礎器具102に固定することができる。
基礎器具102は、アッセイプロトコールを行うためのユーザの入力を受け取るように構成され、及び/又はユーザとアッセイに関する情報通信を行うように構成される、ユーザインタフェース125を備えることができる。ユーザインタフェース125を、基礎器具102に組込むことができる。例えば、ユーザインタフェース125は、基礎器具102のハウジングに取り付けられたタッチスクリーンを備えることができ、当該タッチスクリーンは、ユーザが接触したことと、タッチスクリーンに表示される情報に対する接触位置とを認識するように構成される。あるいは、ユーザインタフェース125を基礎器具102に対して遠隔に配置することができる。
基礎器具102は、バルブアクチュエータ211−213、サーマルブロック206、接点アレイ208、光源158又はシステムポンプ119の少なくとも1つの動作を制御するように構成されるシステムコントローラ220を備えることもできる。システムコントローラ220を電気回路モジュールの集まりとして概念的に示すが、専用ハードウェア基板、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、プロセッサ等の任意の組み合わせを用いてシステムコントローラ220を実装することができる。あるいは、単一又は複数のプロセッサを有する既製のパーソナルコンピュータを用いてシステムコントローラ220を実装することができる。プロセッサが複数の場合には、機能的動作がプロセッサ間で分配される。更なる選択肢として、専用ハードウェアを用いて特定のモジュール式機能を実行する一方、既製のパーソナルコンピュータ等を用いて残りのモジュール式機能を実行する、ハイブリッド構成を利用して、以下説明する電気回路モジュールを実装することができる。
システムコントローラ220は、基礎器具102及び/又は取外可能カートリッジ104の特定の構成要素の動作を制御するように構成される複数の電気回路モジュール221−224を含むことができる。例えば、電気回路モジュール221を、流体ネットワーク106を通る流体の流量を制御するように構成される流量制御モジュール221とすることができる。流量制御モジュール221を、バルブアクチュエータ211−213及びシステムポンプ119に動作可能に結合することができる。流量制御モジュール221は、バルブアクチュエータ211−213及びシステムポンプ119を選択的に起動して、1つ以上の流路を通る流体の流れを起こすことができ、及び/又は1つ以上の流路を通る流体を遮ることができる。
単なる例として、バルブアクチュエータ213は、回動可能なバルブ123に回動可能に係合することができる。バルブアクチュエータ213は、バルブアクチュエータ213を駆動する(例えば回動させる)ように構成される回動モータ214を備えることができる。流量制御モジュール221は、バルブアクチュエータ213を駆動して、回動可能バルブ123を第1回動位置に動かすことができる。回動可能なバルブ123が第1回動位置に存在するとき、流量制御モジュール221はシステムポンプ219を駆動することによって、生物試料を試料調製領域132から反応室126へ引き込むことができる。流量制御モジュール221はその後バルブアクチュエータ213を駆動して、回動可能バルブ123を第2回動位置に動かすことができる。回動可能バルブ123が第2回動位置に存在するとき、流量制御モジュール221はシステムポンプ219を駆動することによって、1つ以上の反応成分を対応する容器から反応室126へ引き込むことができる。いくつかの実施形態では、システムポンプ219を、正圧を発生させるように構成して、流体を反対方向に能動的にくみ出すことができる。かかる動作を用いて、複数の液体を共通の容器に加えることによって、容器内で複数の液体を混合することができる。したがって、流体結合ポート118は、流体(例えば気体)をカートリッジハウジング110から出すことができ、流体をカートリッジハウジング110内に受け入れることができる。
システムコントローラ220は、熱制御モジュール222を含むこともできる。熱制御モジュール222は、サーマルブロック206を制御して、試料調製領域132に熱エネルギーを供給し及び/又は試料調製領域132から熱エネルギーを奪うことができる。特定の実施例では、サーマルブロック206は、試料チャンネル131内で生物試料に与える温度を、PCRプロトコールに従って上昇及び/又は減少させることができる。図示はしていないが、システム100は、試料調製領域132に隣接した追加の熱装置を備えることができる。例えば、取外可能カートリッジ104は、軟性プリント基板ヒータ1412(図27A、27Bに示す)に類似した熱装置を備えることができる。
システムコントローラ220は、検出アセンブリ108を制御して生物試料に関するデータを取得するように構成される検出モジュール223を備えることもできる。検出モジュール223は、接点アレイ208を通じて検出アセンブリ108の動作を制御することができる。例えば、検出アセンブリ108を、結合面114に沿った電気的接点196の接点アレイ194に通信可能に係合させることができる。いくつかの実施形態では、電気的接点196を、結合面114に再配置でき又は結合面114から再配置できる、軟性の接点(例えばポゴコンタクト(pogo contacts)又はコンタクトビーム)とすることができる。電気的接点196を、カートリッジハウジングの外面に対して露出し、検出アセンブリ108に電気的に結合する。電気的接点196を、入出力(I/O)接点と呼ぶことができる。基礎器具102と取外可能カートリッジ104とが動作可能に係合しているときに、検出モジュール223は検出アセンブリ108を制御して、既定の時間で又は既定の期間のデータを取得することができる。例として、生物試料が反応室126に付着した蛍光体を有するときに、検出モジュール223は検出アセンブリ108を制御して反応室126の画像を撮像することができる。多数の画像を取得することができる。
任意に、システムコントローラ220は、データを解析して、少なくとも部分的な結果をシステム100のユーザに提供するように構成される解析モジュール224を備える。例えば、解析モジュール224は、撮像検出器109が撮像した撮像データを解析することができる。この解析は、生物試料の核酸の配列を特定するステップを含むことができる。
システムコントローラ220及び/又は電気回路モジュール221−224は、1つ以上のマイクロコントローラ、プロセッサ、縮小命令セットコンピュータ(RISC)、特定用途向け集積回路(ASICs)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGAs)、論理回路及び本明細書で説明する機能を実行できる他の任意の電気回路を含む、1つ以上の論理型デバイスを備えることができる。例示的実施形態において、システムコントローラ220及び/又は電気回路モジュール221−224は、1つ以上のアッセイプロトコールを行うために、当該要素に格納された一式の命令を実行する。記憶要素を、基礎器具102及び/又は取外可能カートリッジ104内の、情報源又は物理メモリ要素の形態とすることができる。アッセイシステム100が行うプロトコールは例えば、DNA又はRNAの定量分析、タンパク質分析、DNAシークエンシング(Sequencing By Synthesis (SBS) 法等)、試料調製及び/又はシークエンシングのためのフラグメントライブラリの調製を実行することができる。
一式の命令には、システム100に特定の作業(例えば本明細書で説明する様々な実施形態の方法及び処理)を行うよう命令する様々なコマンドを含むことができる。一式の命令は、ソフトウェアプログラムの形態をとることができる。本明細書において、用語「ソフトウェア」及び「ファームウェア」は交換可能であり、メモリに格納され、コンピュータが実行する任意のコンピュータプログラムを含む。このメモリには、RAMメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ及び不揮発性RAM(NVRAM)メモリが含まれる。上述したメモリの種類は単なる例示であり、したがってコンピュータプログラムを格納するために使用できるメモリの種類を限定するものではない。
ソフトウェアを、システムソフトウェア又はアプリケーションソフトウェア等の様々な形態とすることができる。さらに、ソフトウェアを、別個のプログラムの集合の形態とすることができ、又はより大きなプログラム内のプログラムモジュールとすることができ、又はプログラムモジュールの一部とすることができる。ソフトウェアは、オブジェクト指向プログラミングの形態のモジュラープログラミングを含むこともできる。検出データを取得した後、システム100は、ユーザの入力に応答して処理された又は他の処理装置(例えば通信リンクを通じた遠隔からの要求)が行う要求に応答して処理された、検出データを自動的に処理することができる。
システムコントローラ220を、通信リンク経由で、システム100の他の構成要素又はサブシステムに接続することができる。通信リンクは、有線又は無線とすることができる。システムコントローラ220を、オフサイトのシステム又はサーバに通信可能に接続することができる。システムコントローラ220は、ユーザインタフェース(図示せず)から、ユーザの入力又はコマンドを受け取ることができる。ユーザインタフェースは、キーボード、マウス、タッチスクリーンオパネル及び/又は音声認識システム等を備えることができる。
システムコントローラ220を、ソフトウェア命令の記憶、解釈及び/又は実行等の能力を発揮するとともに、システム100全体の作業を制御するのに役立てることができる。システムコントローラ220を、データを制御し及び/又は様々な性質の構成要素に給電するように、構成しプログラムすることができる。図1Aでは、システムコントローラ220を単一の構造として表したが、システムコントローラ220が、システム100の至る所に分布する複数の別個の構成要素(例えばプロセッサ)を含むことができることが理解される。いくつかの実施形態では、1つ以上の構成要素を基礎器具に集約することができ、1つ以上の構成要素を基礎器具に対して遠隔に配置することができる。
図1Bは、試料調製又は試料解析の少なくとも一方を実施するために、指定の反応を行う方法180を示すフローチャートである。特定の実施形態では、方法180は、核酸のシークエンシングを含むことができる。方法180は、本明細書で説明する(例えばシステム及び/又は方法の)様々な実施形態の構造又は態様を用いることができる。様々な実施形態において、特定のステップを除外若しくは付加することができ、特定の複数ステップを組み合わせることができ、特定の複数ステップを同時に行うことができ、特定の複数ステップを共に行うことができ、特定のステップを複数ステップに分けることができ、特定の複数ステップを異なる順序で行うことができ、又は特定のステップ若しくは一連のステップを反復的に再実行することができる。
例えば、方法180は、182において、カートリッジハウジングを有する取外可能カートリッジを設けるステップを含むことができる。取外可能カートリッジは、カートリッジハウジング内に配置された流体ネットワークを含むことができる。取外可能カートリッジは、流体ネットワークに動作可能に結合され、流体ネットワークに対して移動できる流量制御バルブを含むこともできる。流量制御バルブを例えば、チャンネルバルブ又は可動バルブ(回動可能なバルブ等)とすることができる。カートリッジハウジングは、取外可能カートリッジの外面を画定するハウジング面を含むことができる。
方法180は、184で、取外可能カートリッジを基礎器具に取付ける(例えば接触させる)ステップを含むこともできる。取外可能カートリッジのハウジング面は、基礎器具の制御面に分離可能に係合して、共同してシステムインタフェースを定めることができる。基礎器具は、システムインタフェースを通じて流量制御バルブに係合するバルブアクチュエータを備える。例えば、バルブアクチュエータは、制御面を通過するとともに、取外可能カートリッジのハウジング面に沿うアクセス開口部内へ挿入される、長尺の本体を含むことができる。任意に、バルブアクチュエータは、流量制御バルブの一部と直接係合する。
186において、取外可能カートリッジは、1つ以上の生物試料を受け入れることができる。例えば、ユーザは、ピペッタを使用して、生物試料を、流体ネットワークに流体連通する試料ポートに添加することができる。186における当該受け入れステップを、184における接触の前又は後に行うことができる。方法180は、188で、生物試料を流体的に送り、取外可能カートリッジの流体ネットワークを通って流し、カートリッジ内で試料解析又は試料調製の少なくとも一方を行うステップを含むことができる。例えば、生物試料を流体ネットワークの試料調製領域へ送ることができ、生物試料の流れを流量制御バルブ上のバルブアクチュエータの動作によって制御する。生物試料が試料調製領域内に密封されている間に、生物試料に増幅処理(PCR法等)を行うことができる。他の例として、生物試料を反応室へ流すことができ、生物試料の流れは流量制御バルブ上のバルブアクチュエータの動作によって制御される。
任意に、方法180は、190で、検出室に向けた撮像検出器を用いて、生物試料を検出するステップを含む。基礎器具の取外可能カートリッジの少なくとも1つは、検出アセンブリを保持することができる。例えば、検出アセンブリを、取外可能カートリッジ内に組込むことができる。基礎器具を、検出アセンブリに電気的に結合して、検出アセンブリの動作を制御することができる。任意に、186で生物試料を流体的に送るステップ、及び/又は190で生物試料を撮像するステップを、既定のスケジュール又はシークエンスに従って複数回繰り返すことができる。
いくつかの実施形態では、方法180は、192で、取外可能カートリッジを基礎器具から取り外すステップを含む。アッセイプロトコールが完了した後、取外可能カートリッジを基礎器具から取り外すことができる。いくつかの場合では、取外可能カートリッジに補充することができ、又は取外可能カートリッジを再生することができる。例えば、取外可能カートリッジを浄化及び/又は滅菌することができ、使用済み貯蔵モジュールを新しい貯蔵モジュールと交換することができる。その後方法180では、182に戻ることができ、他の取外可能カートリッジが提供されて、184で同じ基礎器具に対して取り付けられる。第1取外可能カートリッジと類似する方法で、第2取外可能カートリッジのハウジング面を、基礎器具の制御面に分離可能に係合して、共同してシステムインタフェースを定めることができる。
図2は、生化学的解析又は試料調製の少なくとも一方を行うように構成されるシステム300の概略図である。システム300は、システム100(図1)と同じ構成又はシステム100に類似する構成を備えることができる。例えばシステム300は、基礎器具302と、基礎器具302に分離可能に係合するように構成される取外可能カートリッジ304とを備える。基礎器具302及び取外可能カートリッジ304はそれぞれ、基礎器具102及び取外可能カートリッジ104(図1Aに示す)と類似する構成を持つことができる。図2に示すように、基礎器具302は、器具面306と、器具面306に対して開口するカートリッジ受入スロット308とを含む器具ハウジング303を有する。いくつかの実施形態では、器具面306を、基礎器具302の重力に対する上面とすることができ、器具面306は器具ハウジング303の外面を部分的に形成することができる。図示した実施形態では、カートリッジ受入スロット308は、器具ハウジング303の内側ドッキング又は制御面311−313によって画定される。制御面311及び313は互いに対向し、制御面312は制御面311と制御面313との間に延在する。制御面312は、カートリッジ受入スロット308に対する開口部316に面することができる。
取外可能カートリッジ304は、カートリッジ受入スロット308内に配置できる寸法及び形状であり、基礎器具302に動作可能に係合する。図示したように、取外可能カートリッジ304は、ハウジング面321−324を有するカートリッジハウジング304を含む。ハウジング面321−323は、ドッキング又は制御面311−313に動作可能に係合するように構成され、基礎器具302と取外可能カートリッジ304とは、電気的結合、熱的結合、光学的結合及び/又は流体的結合の少なくとも1つがなされている。そうであるから、以下ハウジング面321−323を結合面321−321と呼ぶ。ハウジング面324は、基礎器具302と動作可能に係合しない。したがって、ハウジング面324を、非結合面324と呼ぶことができる。
取外可能カートリッジ104(図1A)に類似して、取外可能カートリッジ304は、取外可能カートリッジ304内の作業を制御して指定の反応を行う複数の構成及び要素を備える。例えば、取外可能カートリッジ304は、非結合面324に対して開口する試料ポート330を有し、1つ以上の生物試料を受け入れるように構成される。あるいは、試料ポート330は、結合面321−323の1つに対して開口することができる。かかる実施形態では、取外可能カートリッジ304をカートリッジ受入スロット308内に入れる前に、生物試料を試料ポート330内に配置することができる。
取外可能カートリッジ304は、試料調製領域334を有する流体ネットワーク332を備えることもできる。流体ネットワーク332は、取外可能カートリッジ304の多数の他の要素(貯蔵モジュール336、可動バルブ338、撮像検出器342を有する検出アセンブリ340及び廃棄物容器344等)を備えることができ、又は当該要素と流体的に相互に接続することができる。任意に、取外可能カートリッジ304は、光路346及び接点アレイ348を含むこともできる。取外可能カートリッジ304の構成要素を、取外可能カートリッジ304に関して上述した構成要素に類似させることができる。
基礎器具302は、取外可能カートリッジ304に動作可能に係合して指定の反応を行う、対応構成要素を有することができる。例えば、基礎器具302は、サーマルブロック350、バルブアクチュエータ352、光源356、接点アレイ358及びシステムポンプ360を備える。取外可能カートリッジ304をカートリッジ受入スロット308に装着するとき、又は取外可能カートリッジ304をカートリッジ受入スロット308に装着した後に、取外可能カートリッジ304及び基礎器具302の様々な構成要素は、互いに係合することができる。すなわち、取外可能カートリッジ304を基礎器具302に動作可能に装着するときに、サーマルブロック350を試料調製領域334付近に配置することができ、バルブアクチュエータ352は可動バルブ338に動作可能に係合することができ、光源356は光路346に通信可能に結合することができ、接点アレイ358は接点アレイ348に電気的に係合することができ、システムポンプ360は流体ネットワーク332に連通可能に係合することができる。したがって、基礎器具102が取外可能カートリッジ104を制御する方法と類似する方法で、基礎器具302は取外可能カートリッジ304を制御することができる。
取外可能カートリッジ304をカートリッジ受入スロット308に、制御面311−313又は結合面321−323に配置された構成要素を損傷させることなく自由に挿入できるように、基礎器具302を構成することができる。例えば、基礎器具302の1つ以上の構成要素を、取外可能カートリッジ304の方へ偏らせ又は移動させる。いくつかの実施形態では、サーマルブロック350及びバルブアクチュエータ352を要素支持部362に固定する。要素支持部362を結合面321の方へ偏らせることができ、又は、取外可能カートリッジ304をカートリッジ受入スロット308内に配置した後に、要素支持部362を結合面321の方へ移動させることができる。同様の方法で、システムポンプ360を要素支持部364に固定することができる。要素支持部364を結合面323の方へ偏らせることができ、又は、取外可能カートリッジ304をカートリッジ受入スロット308内に配置した後に、要素支持部364を結合面323の方へ移動させることができる。
システムコントローラ370は、要素支持部362、364を自動的に起動することができる。例えば、システムコントローラ370は、取外可能カートリッジ304がカートリッジ受入スロット308内に装着される又は既に装着されていると判定することができる。システムコントローラ370はその後、1つ以上の駆動機構を起動して、要素支持部362、364を結合面321、323の方へ駆動することができる。あるいは、要素支持部362、364を1つ以上のオペレータ制御機構と動作可能に連結させることができ、システム300のユーザによってオペレータ制御機構が起動されると、オペレータ制御機構は要素支持部362、364をそれぞれ結合面321、323の方へ駆動することができる。したがって、取外可能カートリッジ304をカートリッジ受入スロット308内に自由に(例えば実質的に妨害されたり当ったりせずに)前進させるように、基礎器具302を構成することができる。
本明細書で説明する実施形態には、取外可能カートリッジ及び基礎器具が複面のシステムインタフェースを形成するシステムを含む。例えば、結合面321−323のそれぞれを、カートリッジ受入スロット308を画定する対応制御面に動作可能に係合する。結合面321−323及び対応制御面311−313は共同してシステムインタフェースを定め、当該システムインタフェースを複面インタフェースと呼ぶことができる。かかる実施形態は、取外可能カートリッジ304が受ける力を相殺させる点で望ましいことがある。例えば、サーマルブロック350及びバルブアクチュエータ352は、(矢印で示すような)第1の方向に、力374を加えることができる。システムポンプ360は、(矢印で示すような)反対の第2の方向に、力376を加えることができる。接点アレイ348と358との間の相互作用により、力376の一部をもたらすこともできる。
いくつかの実施形態では、力374、376の少なくとも1つが、対応する構成要素間の密着を促進する。例えば、力374は、サーマルブロック350と試料調製領域334との間を密着させて、試料調製領域334の熱的制御を可能にすることができる。また力374は、バルブアクチュエータ352が可動バルブ338を選択的に制御するように、バルブアクチュエータ352及び可動バルブ338を互いに適切に係合させる。力376は、接点アレイ348、358の対応する電気的接点の間を密着させることができる。
図3及び図4は、対応する基礎器具及び取外可能カートリッジを有する異なるシステムを示し、特に1つ以上の実施形態が使用できる異なる複面インタフェースを示す。例えば、図3は、基礎器具402と取外可能カートリッジ404とを備えるシステム400の端面図である。基礎器具402は、取外可能カートリッジ404を受け止める寸法及び形状のオープンサイドの凹部406を含む。図示したように、オープンサイドの凹部406は、互いに直交する方向を向く第1制御面411及び第2制御面412によって形成される。すなわち、第1制御面411及び第2制御面412は、L字型の凹部を形成する。第1制御面411及び第2制御面412はそれぞれ、取外可能カートリッジ404の第1結合面413及び第2結合面414と動作可能に係合する。複面インタフェース415が、第1制御面411と第1結合面413との間、及び第2制御面412と第2結合面414との間で共同して形成される。すなわち、第1結合面413及び第2結合面414のそれぞれに沿って、バルブ結合、流体的結合、電気的結合、光学的結合又は熱的結合の少なくとも1つがもたらされる。
図4は、基礎器具422と取外可能カートリッジ424とを備えるシステム420の上面図である。基礎器具422は、カートリッジ受入スロット308(図2)と類似することができ又は同じとすることができる、カートリッジ受入スロット426を含む。カートリッジ受入スロット426は、取外可能カートリッジ424を受け入れるような寸法及び形状である。図示したように、カートリッジ受入スロット426は制御面431−434によって形成される。制御面431、433は互いに対向し、また制御面432、434は互いに対向する。制御面431−434はそれぞれ、取外可能カートリッジ424の結合面441−444に動作可能に係合する。複面インタフェース427が、取外可能カートリッジ424及び基礎器具422の対応面の間で共同して形成される。
図5−12は、様々なバルブ機構を示す図であり、これらバルブ機構によって基礎器具が取外可能カートリッジの流体ネットワークを通過する流量を制御(例えば調整)できる。図5−12のそれぞれは、基礎器具と取外可能カートリッジとの間にシステムインタフェースによるバルブ連結がもたらされている、システムの断面図である。図5−12のそれぞれはチャンネルバルブを示し、基礎器具はチャンネルバルブを駆動して対応チャンネルを開閉することができる。例えば図5及び6は、上述したシステム(例えば図1Aのシステム100、図2のシステム300、図3のシステム400、図4のシステム420)と類似させることができる、システム500の一部を示す。
図5及び6は、システムインタフェース506に沿って動作可能に係合する、基礎器具502と取外可能カートリッジ504とを有する、システム500の一部の断面図である。図示したように、取外可能カートリッジ504は、カートリッジハウジング508と、カートリッジハウジング508が保持する微少流体本体510とを有する。図示した実施形態では、微少流体本体510は、平行に積み重ねられた複数層521−523を含む。層521−523をプリント基板(PCB)の層、例えば図14−75について以下説明するプリント基板(PCB)の層とすることができる。層5212−523が平行に積み重なるときに、微少流体本体510が試料チャンネル526を形成するように、層521−523の1つ以上をエッチングすることができる。試料チャンネル526は、流体ネットワーク(図1Aの流体ネットワーク106等)の一部であり、バルブ又は内側空洞528を含む。
取外可能カートリッジ504は、試料チャンネル526を流れる流体の流量を調整するように構成される、チャンネルバルブ530を備える。例えばチャンネルバルブ530は、流体の流れが妨げられないように、最大限の隙間を有することができる。チャンネルバルブ530は、チャンネルバルブ530を通る流体の流れを妨げることもできる。本明細書において、用語「妨げる」とは、流体の流れを減速させること、又は流体の流れを完全に遮断することを含む。図示したように、試料チャンネル530は、バルブ空洞528と流体連通する第1ポート532及び第2ポート534を含む。流体が、第1ポート532を通ってバルブ空洞528内へ流れ、第2ポート534を通ってバルブ空洞528から出るように構成される。図示した実施形態では、チャンネルバルブ530は、第1の状態と第2の状態の間で曲がることができる、軟性の薄膜を構成する。図5では軟性薄膜は第1の状態であり、図6では軟性薄膜は第2の状態である。特定の実施形態では、軟性薄膜は、軟性層(例えば図23A、23Bに示す薄膜層918)である。軟性層は、バルブ空洞582内に押し込まれて、バルブ空洞582を通る流体の流れを塞ぐように構成される。代替的な実施形態では、チャンネルバルブ530を、様々な状態又は位置の間で移動して流体の流量を調整することができる、別の物理的構成要素とすることができる。
また図示するように、基礎器具502は、チャンネルバルブ530を起動するように構成されるバルブアクチュエータ540を含む。例えば、バルブアクチュエータ540は、軟性薄膜を第1の状態と第2の状態の間で曲げることができる。バルブアクチュエータ540は、システムインタフェース506を通って延在する長尺本体542(ポスト又はロッド等)を含む。すなわち、長尺本体542は、基礎器具502の制御面544を通過する。取外可能カートリッジ504は、バルブアクチュエータ540を受け入れるアクセス開口部546を有する。アクセス開口部546は、取外可能カートリッジ504の結合面548に対して開口する。図示したように、長尺本体542は、制御面544から結合面548のアクセス開口部546内へ突出する。アクセス開口部546によって、バルブアクチュエータ540はチャンネルバルブ530と直接係合できる。図示した実施形態では、チャンネルバルブ530は軟性薄膜である。図5において、バルブアクチュエータ540は第1の状態又は位置にある。図6において、バルブアクチュエータ540は第2の状態又は位置にある。第2の位置において、バルブアクチュエータ540は、チャンネルバルブ530に向かってある距離移動しており、チャンネルバルブ530に係合する。バルブアクチュエータ540は、チャンネルバルブ530が第1ポート532を覆うように、チャンネルバルブ530を変形させることができる。このようにしてチャンネルバルブ530は、第1ポート532を通る流体の流れを塞ぐ。
いくつかの実施形態では、システム500は、図5及び6に示すチャンネルバルブ530と類似する又は同一である、第1チャンネルバルブ及び第2チャンネルバルブを有することができる。第1チャンネルバルブは流体ネットワークの試料調製領域(図示せず)の上流に配置され、第2チャンネルバルブは流試料調製領域の下流に配置される。このようにして、第1チャンネルバルブ及び第2チャンネルバルブは、流体を試料調製領域内に効果的に密封することができる。この流体は、生物試料を含むことができる。それから、生物試料を有する液体を加熱して、流体に対して増幅プロトコール(PCRプロトコール等)を行うことができる。
図7及び8は、システムインタフェース556に沿って動作可能に係合する、基礎器具552と取外可能カートリッジ554とを有するシステム550の一部の断面図である。基礎器具552及び取外可能カートリッジ554をそれぞれ、図5と6とに示す基礎器具502及び取外可能カートリッジ504と類似させることができる。基礎器具552は、基礎器具552の制御面594を通過し、取外可能カートリッジ554の結合面598のアクセス開口部596内に挿入される、長尺本体592(ノズル等)を有するバルブアクチュエータ590を備える。バルブアクチュエータ590は、システムインタフェース556を通って延在する。任意に、基礎器具552は、長尺本体592を囲んでアクセス開口部596を密封して、密封空間をもたらす密封部材595(Oリング等)を備えることができる。例示的実施形態では、取外可能カートリッジ554は、チャンネルバルブ580を含む。チャンネルバルブ580を、軟性薄膜とすることができ、バルブアクチュエータ590によって空気の作用で作動させることができる。すなわち、流体(空気等)を供給して、密封空間内の圧力を上昇させることによって、チャンネルバルブ580を変形させるように、バルブアクチュエータ590を構成する。チャンネルバルブ580が変形しているときに、チャンネルバルブは試料チャンネル576の第1ポート582を覆うことによって、試料チャンネル576を通る流れを塞ぐことができる。
図9−10は、システム500及び550に類似するシステム600を示す。すなわち、図9及び10は、システムインタフェース606に沿って動作可能に係合する、基礎器具602と取外可能カートリッジ604とを有するシステム600を示す。取外可能カートリッジ604は、基礎器具602のバルブアクチュエータ640によって回動可能に係合された可動バルブ630を含む。可動バルブ630は、第1回動位置(図9に示す)に存在するときに、流体を試料チャンネル626で流すことができるとともに、第2回動位置(図10に示す)に存在するときに、試料チャンネル626を通る流れを塞ぐことができる形状の平面物体である。すなわち、可動バルブ630は、第2回動位置に存在するときに、ポート632を覆うことができる。
図11は、微少流体本体702と回動可能バルブ704とを有する取外可能カートリッジ700の露出部分の斜視図である。取外可能カートリッジ700を、取外可能カートリッジ104(図1)や、本明細書で説明する他の取外可能カートリッジに類似させることができる。回動可能バルブ704を、回動可能バルブ123(図1)に類似させることができる。回動可能バルブ704は、微少流体本体702の本体面又は表面706に回動可能に装着されるように構成される。回動可能バルブ704は、回動可能バルブ704を軸線710まわりに回動したときに、本体面706に摺動可能に係合するように構成される流体面708を有する。微少流体本体702は、複数の試料チャンネル763、764と、複数の容器チャンネル765と、供給チャンネル766とを有する、流体ネットワーク760を含むことができる。チャンネル763−766を分離したチャンネルとする。例えば、回動可能バルブ704の回転位置に基づいて、チャンネル763−766を分離することができる。
チャンネル763−766は、本体面706に対して開口する対応ポートを有する。図示した実施形態では、4つの試料チャンネル763が、単一の試料チャンネル764と流体連通する。かくして、試料チャンネル763をチャンネル部分と呼ぶことができ、試料チャンネル764を共通試料チャンネルと呼ぶことができる。試料チャンネル763のそれぞれを、1組のチャンネルバルブ761、762に動作可能に連結する。チャンネルバルブ761、762を、本明細書で説明するチャンネルバルブ(例えばチャンネルバルブ530)に類似させることができる。チャンネルバルブ761、762は、対応する閉鎖位置に存在するときに、対応する生物試料を含む液体を密封することができる。いくつかの実施形態では、試料チャンネル763は、熱制御領域770に隣接して延びる。生物試料が対応する試料チャンネル763内に密封されているときに、加熱要素(図示せず)及びサーマルブロック(図示せず)は、熱制御領域770に隣接して配置される。加熱要素及びサーマルブロックは協調して、試料チャンネル763内で生物試料に与える温度を上昇及び/又は減少させることができる。かかる実施形態では、試料チャンネル763は試料調製領域を構成することができる。
供給チャンネル766は反応室716と流体連通し、容器チャンネル765は貯蔵モジュール(図示せず)の対応する容器(図示せず)と流体連通することができる。試料チャンネル764はネットワークポート721を有し、供給チャンネル766は供給ポート722を有し、容器チャンネル765は対応する容器ポート723を有する。ネットワークポート721、供給ポート722及び容器ポート723は、本体面706に対して開口する。容器ポート723は、対応する容器チャンネル765を通じて、対応するモジュールポート724と流体連通する。図示したように、モジュールポート724を、供給ポート722又は軸線710から、本体面706沿いの様々な位置に、配置することができる。モジュールポート724を、容器(図示せず)に流体的に連結するように構成する。モジュールポート724の位置を、容器の寸法に基づいて定めることができる。
図示の実施形態では、微少流体本体702は、回動可能バルブ704に直接相互接続する総計15のチャンネルを有する。すなわち、唯一の試料チャンネル764と、唯一の供給チャンネル766と、対照的に13の容器チャンネル765とは、回動可能バルブ704に(流体的に)直接相互接続する。他の実施形態では、微少流体本体702は、回動可能バルブ704と直接相互接続する、複数の試料チャンネル764及び/又は複数の供給チャンネル766を含むことができる。試料チャンネル763のそれぞれは、ユーザからの生物試料を受け入れるように構成される、対応試料ポート(図示せず)に流体的に連結することができる。
流体面708は、バルブ受入領域728で、本体面706に摺動可能に係合するように構成される。回動可能バルブ704は、流体面708がバルブ受入領域728と本体面706沿いのポート721−723の1つ以上とを覆うような寸法及び形状である。回動可能バルブ704は、供給ポート722をポート721、723の1つ以上に流体的に相互接続するように構成される、流れチャンネル744(図12に示す)を含む。回動可能バルブ704は、回動可能バルブ704の位置及び配置に基づいて、1つ以上のポートを通る流れを塞ぐとともに、1つ以上の他のポートを通して流体を流すことができる。
図12は、バルブアクチュエータ730と動作可能に係合する回動可能バルブ704の断面図である。すなわち、回動可能バルブ704は、流体面708と動作面734とを有するバルブ本体732を含む。動作面734は、バルブアクチュエータ730に係合するように構成される機械的インタフェース736を含むことができる。図示した実施形態では、機械的インタフェース736は、軸線710と一致する平面本体又はフィンを含む。バルブアクチュエータ730は、機械的インタフェース736を受け止めるように構成されるスロット738を含み、バルブアクチュエータ730は回動可能バルブ704に動作可能に係合する。すなわち、バルブアクチュエータ730は、バルブアクチュエータ704が軸線710のまわりを回動できるように、回動可能バルブ704に係合することができる。
流体面708は、複数のバルブポート740、742と、バルブポート740及び742の間を延びる流れチャンネル744とを含む。流体面708は、バルブ受入領域728で、本体表面706に摺動可能に係合する。図示した実施形態では、回動可能バルブ704は、2つのみのバルブポート740、742と、1つのみの流れチャンネル744とを含む。他の実施形態では、回動可能バルブ704は、3つ以上のバルブポート及び/又は2つ以上の流れチャンネルを含むことができる。
図12に示すように、供給ポート722は、バルブポート740と流体的に位置合わせされ、バルブポート740に流体的に連結される。またバルブポート742は、ネットワークポート721と流体的に位置合わせされ、ネットワークポート721に流体的に連結される。回動可能バルブ704の回動位置に基づいて、バルブポート742を要素ポート723の1つに流体的に連結することもできる。上述したように、回動可能バルブ704は、軸線710のまわりを回動するように構成される。いくつかの実施形態では、供給ポート722及びバルブポート740が軸線710と位置合わせされるように、供給ポート722及びバルブポート740が配置される。すなわち、軸線710は、供給ポート722及びバルブポート740のそれぞれを通って延びる。
バルブアクチュエータ730が回動可能バルブ704に動作可能に係合しているときに、バルブアクチュエータ730は、本体面706に向かう方向に、アクチュエータ力748を加えることができる。かかる実施形態では、アクチュエータ力748を、流れチャンネル744をバルブポート740と742との間で密封するのに十分なものとすることができ、容器ポート723及び/又はネットワークポート721を密封するのに十分なものとすることができる。
したがって、回動可能バルブ704は、第1回動位置において、供給ポート722及びネットワークポート721を流体的に連結することができ、第2回動位置において、供給ポート722及び対応容器ポート723を流体的に連結することができる。回動可能バルブ704が様々な回動位置の間で回動するときに、回動可能バルブ704は流体ネットワークの流路を効果的に変更する。
流体は、流れチャンネル744を通っていずれかの方向に流れることができる。例えば、システムポンプ(図1のシステムポンプ119等、図12には示さず)は、供給ポート722と流体連通することができる。システムポンプは、ネットワークポート721(又は対応容器ポート723)を通して流体を吸引し、その後流体を流れチャンネル744に流し、そして流体を供給ポート722に通す吸引力を生成することができる。あるいは、流体が、供給ポート722を通り、流体チャンネル744を流れ、ネットワークポート721(又は対応容器ポート723)を通るように、システムポンプは流体を流れチャンネル744内に動かす正圧をもたらすことができる。
図13は、ネットワークポート721、供給ポート722及び容器ポート723を示す本体面706の上面図である。2つの異なる回動位置における流れチャンネル744を示す。容器ポート723は、容器ポート723A−723Dを含むことができる。容器ポート723A−723Dのそれぞれを、対応する容器チャンネル765(図10)を通じて、対応する容器に流体的に連結する。すなわち、容器チャンネル723Aを水素添加バッファに流体的に連結し、容器ポート723Bをヌクレオチド溶液に流体的に連結し、容器ポート723Cを洗浄液に流体的に連結し、容器ポート723Dを切断溶液(a cleaving solution)に流体的に連結する。上述したように、回動可能バルブ704(図11)の回動位置に基づいて、流れチャンネル744は、供給ポート722を、試料チャンネル763、764又は対応容器に流体的に連結することができる。
表1は、Sequencing by Synthesis(SBS)プロトコールの様々なステージを示すが、他のアッセイプロトコールを実施することもできることが理解される。ステージ1では、流れチャンネル744の回動位置は、ネットワークポート721及び供給ポート722を流体的に連結するものである。ステージ1では、チャンネルバルブ(図示せず)を選択的に起動して、第2、第3及び第4生物試料を対応試料調整領域内で密封することができるが、第1生物試料はネットワークポート721を通って流れることができる。したがって、ステージ1において、システムポンプは第1生物試料を流れチャンネル744内へ吸引する吸引力を加えることができる。ステージ2において、第1の生物試料が流れチャンネル744内に貯蔵されている間に、流れチャンネル744が容器ポート723A及び供給ポート722を流体的に連結するように、回動可能バルブ704は、第2回動位置に回動する。第2回動位置において、システムポンプは、容器ポート723Aを通して水素添加バッファ容器内へ第1生物試料を押し込む、正の変位力をもたらすことができる。
ステージ3において、回動可能バルブ704を回動させて第1回動位置に戻し、第2生物試料を流れチャンネル744内へ引き出せるように、チャンネルバルブを選択的に起動する。ステージ4において、第1生物試料が流れチャンネル744内に貯蔵されている間に、回動可能バルブ704を回動させて第2回動位置に戻し、第1生物試料を含む水素添加バッファに第2生物試料を加える。ステージ5−8の間、第3及び第4生物試料を対応試料調製領域から取り出し、水素添加バッファに加える。したがって、水素添加バッファを有する単一の容器内に4つの生物試料を貯蔵することができる。生物試料と、SBSシークエンシングのために生物試料を調製する水素添加バッファとによって、反応を起こすことができる。
ステージ9において、容器ポート723A、流れチャンネル744、供給ポート722を通じて反応室(図示せず)内へ、混合生物試料/水素添加バッファを引き出す。生物試料を、反応室を画定する表面に固定化することができる。例えば、生物試料を含むクラスタを形成することができる。ステージ10−13は、シークエンシングのサイクルを表す。ステージ10において、流れチャンネル744を通り反応室内へヌクレオチド溶液を引き出すことができるように、回動可能バルブ704を第3回動位置に回動することができる。この時に、塩基を対応生物試料(例えばテンプレート核酸)に組入れることができる。ステージ11において、洗浄液が反応室を通って流れて、洗浄液がヌクレオチド溶液を反応室から洗い去ることができるように、回動可能バルブ704を第4回動位置に配置することができる。ステージ11の後に、撮像検出器は反応室を撮像することができる。クラスタが発光する光の色を用いて、クラスタにより組込まれた塩基を特定することができる。ステージ12において、切断溶液が反応室を通って流れ、蛍光体(及び存在する場合にはリバーシブルターミネータ部分)をクラスタから取り除くことができるように、回動可能バルブ704を第4回動位置に配置することができる。ステージ13において、回動可能バルブ704を回動して第3回動位置に戻すことができ、洗浄液は反応室を通って流れて切断液を取り除くことができる。シーケンシングが完了するまで及び/又は試薬を使い果たすまで、ステージ10−13を繰り返すことができる。
上述した実施形態を、米国特許仮出願第61/951,462号(法定代理人事件整理番号IP-1210-PRV_296PRV2、以下“’462Application”と呼ぶ)の主題と合わせて使用することができる。当該出願の全内容を参照により本明細書に援用するものとする。以下’462Applicationの少なくとも一部を提示する。
本明細書で説明する方法を、様々な核酸シークエンシング技術と合わせて使用することができる。特に効果がある技術は、核酸をアレイの固定位置に付着させて、核酸の相対位置が変化せずに、アレイが繰り返し検出又は撮像される技術である。画像を様々なカラーチャンネルで取得する実施形態であり、例えばあるヌクレオチドの塩基の種類を、別のヌクレオチドの塩基の種類と区別するために使用される様々なラベルを符合させる実施形態は、特に効果がある。いくつかの実施形態では、標的核酸のヌクレオチドシーケンスを決定する処理を、自動化された処理とすることができる。好ましい実施形態には、Sequencing by Synthesis(“SBS”)技術が含まれる。
「Sequencing by Synthesis(“SBS”)技術」は一般に、鋳型鎖に対するヌクレオチドの反復付加による新生核酸鎖の酵素的伸長を含む。従来のSBS法において、それぞれ輸送されるポリメラーゼが存在するときに、単一のヌクレオチドモノマーを標的核酸に供給することができる。しかしながら、本明細書で説明する方法では、それぞれ輸送されるポリメラーゼが存在するときに、2つ以上の種類のヌクレオチドモノマーを標的核酸に供給することができる。
SBSは、ターミネータ部分を有する又はターミネータ部分が無い、ヌクレオチドモノマーを利用することができる。ターミネータが無いヌクレオチドモノマーを利用する方法には、例えば以下更に詳細を説明するような、ガンマフォスフェート標識ヌクレオチドを用いたパイロシークエンス又はシークエンシングが含まれる。ターミネータが無いヌクレオチドモノマーを使用する方法では、各サイクルで付加されるヌクレオチドの数は一般に可変であり、鋳型配列及びヌクレオチド輸送のモードに左右される。ターミネータ部分を有するヌクレオチドモノマーを利用するSBS技術に関して、ターミネータを、ジデオキシヌクレオチドを利用する従来のサンガーシークエンシングの場合等で使用されるシークエンシング状態下で、実質的に不可逆的とすることができ、また、ターミネータを、Solexa(現在はIllumina(登録商標) Inc.)が開発したシークエンシング法の場合のように、可逆的とすることができる。
SBS技術は、標識部分を持つ又は標識部分が無い、ヌクレオチドモノマーを利用することができる。したがって、例えば、標識の特性(標識の蛍光性等)、ヌクレオチドモノマーの特性(分子量又は電荷等)、ヌクレオチドの組み込みの副産物(陽子又はピロリン酸の放出等)に基づいて、組み込みイベントを検出することができる。実施形態において、シークエンシング試薬内に2つ以上の異なるヌクレオチドが存在する場合に、2つ以上の異なるヌクレオチドを互いに区別可能とすることができ、あるいは、使用される検出技術下で2つ以上の異なる標識を識別不可とすることができる。例えば、シークエンシング試薬内に存在する複数の異なるヌクレオチドは、異なる標識を有することができ、適切な光学素子を用いて、例えばSolexa(現在はIllumina Inc.)が開発したシークエンシング法によって、異なる標識を識別することができる。
SBS種類の他の例では、例えば国際公開第04/018497号パンフレット及び米国特許第7,057,026号明細書で説明される、切断可能な又は光退色可能な色素標識を含む、可逆的ターミネータヌクレオチドの段階的付加によってサイクルシークエンシング法を達成する。これらの文献を参照により本明細書に援用する。この方法はIllumina Inc. によって営利化されており、また国際公開第91/06678号パンフレット及び国際公開第07/123,744号パンフレットで説明されている。これらの文献のそれぞれを参照により本明細書に援用する。終結を可逆的とすることができまた蛍光標識を切断できる蛍光標識ターミネータにより、循環可逆的終結(CRT)シークエンシングを効率的に行うことができる。ポリメラーゼを相互に処理(be co-engineered)して、これら修飾されたヌクレオチドを効率的に組込み伸長させることもできる。
可逆的ターミネータを基にしたシークエンシングの実施形態において、好ましくは、標識が、SBS反応条件の下で、伸長を実質的に抑制しない。しかしながら、検出標識を、例えば切断又は分解することで、除去することができる。標識を核酸アレイの構成に組込んだ後に、画像を撮像することができる。特定の実施形態では、各サイクルには、それぞれ異なるスペクトルの標識を有する、4つの異なる種類のヌクレオチドをアレイに同時に輸送することが含まれる。その後、4つの異なる標識のそれぞれ1つに対して選択された検出チャンネルを用いて、4つの画像を取得することができる。あるいは、異なる種類のヌクレオチドを順次付加して、それぞれの付加ステップの間に画像のアレイを取得することができる。かかる実施形態では、各画像は、組込まれた特定の種類のヌクレオチドを有する核酸構成を表す。様々な画像中に様々な構成が存在するかどうかによって、各構成の様々な配列の中身がわかる。しかしながら、画像中の構成の相対位置は変わらない。このような可逆的ターミネータSBS法から得られた画像を、本明細書で説明するように記憶し、処理し及び/又は解析することができる。画像撮像ステップに続いて、次のクレオチド付加検出サイクルのために、標識を除去することができ、可逆的ターミネータ部分を除去することができる。特定のサイクルで検出された後、かつ次のサイクルの前に、標識を除去することで、バックグラウンド信号及びサイクル間の混信を低減する効果を得ることができる。有益な標識及び除去方法の例を、以下説明する。
特定の実施形態では、ヌクレオチドモノマーの一部又は全部は、可逆的ターミネータを含むことができる。かかる実施形態では、可逆的ターミネータ/切断可能な蛍光は、3'エステル結合によってリボース部分に結合される蛍光を含むことができる(Metzker, Genome Research, 15: 1767-1776 (2005)、当該文献を本明細書に参照により援用する)。他の方法は、ターミネータ法を蛍光標識の切断から分離するものである(Ruparel et al., Proc Natl Acad Sci USA 102: 5932-7 (2005)、当該文献の全体を本明細書に参照により援用する)。Ruparelらは、小さい3'アリル基を使用して伸長を妨げる可逆的ターミネータを開発したと説明しているが、可逆的ターミネータはパラジウム触媒を用いた短い処理によって容易に非ブロック化されることがあった。長波長の紫外光を30秒当てることで容易に切断可能である、光切断可能なリンカーによって蛍光体を塩基に付着させていた。したがって、ジスルフィド還元又は光切断を、切断可能なリンカーとして使用することができる。可逆的ターミネータに対する他の方法は、dNTP上にバルキー染料を配置した後に自然消滅(natural termination)を使用するものである。dNTP上に存在する荷電バルキー染料は、立体的及び/又は静電的な障害のために、効果的なターミネータとしてふるまうことができる。ある組み込みイベントによって、染料が除去されない限り、更なる組み込みが妨げられる。染料の切断により、蛍光を除去し、終結を効果的に逆にする(reverse)。修飾されたヌクレオチドの例はまた、米国特許第7,427,673号明細書及び米国特許第7,057,026号明細書に記載されており、これら文献の全体を参照により本明細書に援用する。
本明細書で説明する方法及びシステムと共に利用できる、更なる例示的なSBSシステム及びSBS法が、米国特許出願公開第2007/0166705号明細書、米国特許出願公開第2006/0188901号明細書、米国特許第7,057,026号明細書、米国特許出願公開第2006/0240439号明細書、米国特許出願公開第2006/0281109号明細書、国際公開第05/065814号パンフレット、米国特許出願公開第2005/0100900号明細書、国際公開第06/064199号パンフレット、国際公開第07/010251号パンフレット、米国特許出願公開第2012/0270305号明細書及び米国特許出願公開第2013/0260372号明細書に記載されている。これら文献の全体を参照により本明細書に援用する。
いくつかの実施形態では、4つ未満の標識を用いて、4つの異なるヌクレオチドを検出することができる。例えば、本明細書に援用される米国特許出願公開第2013/0079232号明細書に記載された方法及びシステムを利用してSBSを行うことができる。第1の例として、1組のヌクレオチドの種類を同じ波長で検出することができるが、当該組のある要素と他の要素との強度の違いに基づいて、又は、信号の明滅を引き起こす当該組の一方の要素の変化(例えば化学的修飾、光化学的修飾又は物理的修飾)に基づいて、信号を当該組の他方の要素で検出された信号と比較して、一方の要素を他方の要素と区別することができる。第2の例として、特定の条件下で、4種類の異なるヌクレオチドのうちの3種類を検出することができる。標識を持たない「暗状態」の4番目のヌクレオチドの種類を、当該条件下で検出することができ、又は当該条件下で最小限検出することができる(例えばバックグラウンド蛍光体によって最小限検出する)。最初の3つのヌクレオチドの種類が核酸に組込まれたことを、それぞれの信号に基づいて判定することができ、4番目のヌクレオチドの種類が核酸に組込まれたことを、信号が検出されないこと又は最小限の信号のみが検出されたことに基づいて判定することができる。第3の例として、あるヌクレオチドの種類が2つの異なるチャンネルで検出される標識を含むことができるのに対し、他のヌクレオチドの種類は1つのみのチャンネルで検出される。上述した3つの例示的な構成は互いに排他的なものではなく、様々な組み合わせで使用することができる。3つの例すべてを組み合わせた例示的な実施形態は、第1のチャンネルで検出される第1のヌクレオチドの種類(例えば第1励起波長で励起されたときに第1のチャンネルで検出される標識を有するdATP)と、第2のチャンネルで検出される第2のヌクレオチドの種類(例えば第2励起波長で励起されたときに第2のチャンネルで検出される標識を有するdCTP)と、第1及び第2両方のチャンネルで検出される第3のヌクレオチドの種類(例えば第1及び/又は第2励起波長で励起されたときに両方のチャンネルで検出される少なくとも1つの標識を有するdTTP)と、標識を持たず、いずれのチャンネルでも検出されない又は最小限のみ検出される第4のヌクレオチドの種類(例えば標識を持たないdGTP)とを使用する、蛍光に基づくSBS法である。
さらに、本明細書に援用される米国特許出願公開第2013/0079232号明細書に記載されるように、単一のチャンネルを用いてシークエンシングデータを取得することができる。このようないわゆる1染料シークエンシング法において、第1のヌクレオチドの種類を標識するが、第1画像を生成した後標識を除去し、第1画像を生成した後のみで第2のヌクレオチドの種類を標識する。第3のヌクレオチドの種類は第1画像及び第2画像の両方で標識を保持し、第4のヌクレオチドの種類は両方の画像で標識されない。
いくつかの実施形態は、ライゲーション技術によるシークエンシングを利用することができる。かかる技術はDNAリガーゼを利用してオリゴヌクレオチドを組み込み、このオリゴヌクレオチドの組み込みを確認する。オリゴヌクレオチドは一般に、オリゴヌクレオチドがハイブリダイズする配列の特定のヌクレオチドの特定に関する様々な標識を有する。他のSBS法と同様に、標識されたシークエンシング試薬を有する核酸構成のアレイの処理の次に、画像を取得することができる。各画像は、特定の種類の組込まれた標識を有する核酸構成を示す。各構成の配列の中身が異なることにより、様々な画像には、様々な構成の有無が現われるが、画像中の構成の相対位置は変わらない。ライゲーションに基づくシークエンシング法から得られた画像を、本明細書で説明するように記憶し、処理し及び解析することができる。本明細書で説明する方法及びシステムと共に利用できる、例示的なシークエンシングシステム及び方法が、米国特許第6,969,488号明細書、米国特許第6,172,218号明細書及び米国特許第6,306,597号明細書に記載されている。これら文献の全体を参照により本明細書に援用する。
いくつかの実施形態では、ナノポアシークエンシング(Deamer, D. W. & Akeson, M. “Nanopores and nucleic acids: prospects for ultrarapid sequencing.” Trends Biotechnol. 18, 147-151 (2000)、Deamer, D. and D. Branton, “Characterization of nucleic acids by nanopore analysis”. Acc. Chem. Res. 35:817-825 (2002)及びLi, J., M. Gershow, D. Stein, E. Brandin, and J. A. Golovchenko, “DNA molecules and configurations in a solid-state nanopore microscope” Nat. Mater. 2:611-615 (2003)、これら文献の全体を参照により本明細書に援用する)を利用することができる。かかる実施形態では、標的核酸はナノポアを通過する。ナノポアを、合成ポア又は生物的薄膜タンパク質(例えばアルファ溶血素)とすることができる。標的核酸がナノポアを通過するとき、ポアの電気コンダクタンスの変動を測定することで、各塩基対を特定することができる(米国特許第7,001,792号明細書、Soni, G. V. & Meller, “A. Progress toward ultrafast DNA sequencing using solid-state nanopores.” Clin. Chem. 53, 1996-2001 (2007)、Healy, K. “Nanopore-based single-molecule DNA analysis.” Nanomed. 2, 459-481 (2007)及びCockroft, S. L., Chu, J., Amorin, M. & Ghadiri, M. R. “A single-molecule nanopore device detects DNA polymerase activity with single-nucleotide resolution.” J. Am. Chem. Soc. 130, 818-820 (2008)、これら文献の全体を参照により本明細書に援用する)。他の実施形態では、エンドヌクレアーゼをナノポアと連結させて、エンドヌクレアーゼによって核酸の端部から連続的に放出されるヌクレオチドを、ヌクレオチドがナノポアを通過するときに検出する。塩基部の相違に基づいて、又は付加部分に基づいて、各ヌクレオチドを区別することができる。ナノポアシークエンシングから得られたデータを、本明細書で説明するように記憶し、処理し及び解析することができる。特に、本明細書で説明する光学画像及び他の画像の例示的処理に従って、データを画像として処理することができる。
いくつかの実施形態では、DNAポリメラーゼの活動をリアルタイムで監視するステップを含む方法を利用することができる。例えば米国特許第7,329,492号明細書及び米国特許第7,211,414号明細書(これら文献を参照により本明細書に援用する)に記載されるように、蛍光体を有するポリメラーゼと、ガンマフォスフェート標識ヌクレオチドとの間の蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)相互作用によって、ヌクレオチドの組み込みを検出することができる。または、例えば米国特許第7,315,019号明細書(この文献を参照により本明細書に援用する)に記載されるように、Zero-mode waveguides(ゼロモード導波路)法によってヌクレオチドの組み込みを検出することができる。また、例えば米国特許第7,405,281号明細書及び米国特許出願公開第2008/0108082号明細書(これらの文献を参照により本明細書に援用する)に記載されるように、蛍光ヌクレオチド類似物及び処理されたポリメラーゼを使用することができる。照射を、表面が連結されたポリメラーゼ(a surface-tethered polymerase)周囲のzeptoliterスケール体積に限定して、蛍光標識されたヌクレオチドの組み込みを低バックグラウンドで観察することができる(Levene, M. J. et al. “Zero-mode waveguides for single-molecule analysis at high concentrations.” Science 299, 682-686 (2003)、Lundquist, P. M. et al. “Parallel confocal detection of single molecules in real time.” Opt. Lett. 33, 1026-1028 (2008)及びKorlach, J. et al. “Selective aluminum passivation for targeted immobilization of single DNA polymerase molecules in zero-mode waveguide nano structures.” Proc. Natl. Acad. Sci. USA 105, 1176-1181 (2008)、これらの文献の全体を参照により本明細書に援用する)。このような方法から得られた画像を、本明細書で説明するように記憶し、処理し及び解析することができる。
いくつかのSBSの実施形態は、ヌクレオチドを伸長生産物に組込む際に放出される陽子を検出するステップを含む。例えば、放出された陽子の検出に基づくシークエンシングは、Ion Torrent社(コネチカット州Guilford、Life Technologies社の子会社)から市販されている電気的検出器及び関連技術、又は米国特許出願公開第2009/0026082号明細書、米国特許出願公開第2009/0127589号明細書、米国特許出願公開第2010/0137143号明細書若しくは米国特許出願公開第2010/0282617号明細書(これら文献のそれぞれを参照により本明細書に援用する)に記載されるシークエンシング方法及びシステムを使用することができる。
上述したSBS法を、多様なフォーマットで有利に実施して、複数の異なる標的核酸を同時に処理することができる。特定の実施形態において、様々な標的核酸を、共通の反応槽又は特定の基板の表面で処理することができる。このことで、シークエンシング試薬の輸送、未到達試薬の除去及び組み込みイベントの検出を多様な方法で便利に行うことができる。表面結合標的核酸を用いる実施形態では、目標核酸をアレイフォーマットとすることができる。アレイフォーマットでは一般に、目標核酸を、空間的に区別可能な方法で、表面に結合することができる。直接共有結合によって、ビード若しくは他の粒子に付着することによって、又は表面に付着するポリメラーゼ若しくは他の分子に結合することによって、目標核酸を結合することができる。アレイは、各位置(構成ともいう)での標的核酸の単一の複製を備えることができ、又は、同じ配列を有する複数の複製が各位置若しくは構成において存在できる。以下更に詳細に説明するように、複数の複製を増幅法(ブリッジ増幅又はエマルジョンPCR等)によって生成することができる。
本明細書で説明する方法は、例えば少なくとも10 features/cm2、100 features/cm2、500 features/cm2、1,000 features/cm2、5,000 features/cm2、10,000 features/cm2、50,000 features/cm2、100,000 features/cm2、1,000,000 features/cm2又は5,000,000 features/cm2以上を含む、任意の様々な密度で構成(features)を有するアレイを使用することができる。本明細書で使用する方法及び装置は、これらの例示した密度の少なくとも1つ以上で個々の構成を解像するのに少なくとも十分な分解能の、検出要素又はデバイスを含むことができる。
本明細書で説明する方法の効果は、複数の目標核酸を並行に、高速かつ効率的に検出できることである。したがって、本明細書は、上述したような当業者が既知の技術を用いて、核酸を調製及び検出できる統合システムを提供するものである。したがって、本明細書の統合システムは、増幅試薬及び/又はシークエンシング試薬を1つ以上の固定化されたDNA断片に輸送することが可能な流体要素を含むことができる。当該システムは、ポンプ、バルブ、容器及び流体管等の構成要素を備える。標的核酸を検出する統合システムにおいて、フローセルを構成及び/又は使用することができる。フローセルは、例えば米国特許出願公開第2010/0111768号明細書及び米国特許出願第13/273666号明細書に記載されている。これら文献を参照により本明細書に援用する。フローセルについて例示すると、統合システムの1つ以上の流体要素を増幅法及び検出方法に使用することができる。核酸シークエンシングの実施形態を例示すると、統合システムの1つ以上の流体要素を本明細書で説明する増幅法に使用することができ、シークエンシング法(例えば上述した方法)のシークエンシング試薬の輸送に使用することができる。あるいは、統合システムは、増幅法を実行するとともに検出方法を実行するための別個の複数の流体システムを含むことができる。本発明を限定するものではないが、増幅された核酸を生成でき、また核酸の配列を判定することができる統合シークエンシングシステムの例には、MiSeq(商標)プラットフォーム若しくはNextSeq(登録商標)プラットフォーム(Illumina(登録商標) Inc.、カリフォルニア州サンディエゴ)、又は米国特許出願公開第2012/0270305号明細書又は米国特許出願公開第2013/0260372号明細書(これら文献のそれぞれを参照により本明細書に援用する)に記載された装置が含まれる。
「活動検出器」とは、特定の反応又は処理を示す活動を検出することができる、任意の装置又は構成要素を意味する。活動検出器は、既定の体積又は領域内の既定のイベント、特性、量又は特性を検出することができる。例えば、活動検出器は、既定の体積又は領域の画像を撮像することができる。活動検出器は、溶液の既定の体積内の又は既定の領域に沿ったイオン濃度を検出することができる。例示的な活動検出器には、電荷結合素子(CCD's、例えばCCDカメラ)、光電子増倍管(PMT's)、(例えばナノポアで使用される)分子特性評価装置又は検出器、マイクロサーキット配置(例えば米国特許第7,595,883号明細書に記載され、この文献の全体を参照により本明細書に援用する)、電界効果トランジスタ(FET's)を有しCMOSで製造されたセンサが含まれる。電界効果トランジスタには、化学的感応電界効果トランジスタ(chemFET)、イオン感応性電界効果トランジスタ(ISFET)及び/又は金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)が含まれる。活動検出器は、例えば国際公開第2012/058095号パンフレットに記載されている。
用語「バイオセンサ」は、複数の反応位置を有する任意の構造を含む。バイオセンサには、ソリッドステートの撮像装置(例えばCCD又はCMOS撮像素子)及び任意に当該撮像装置に取り付けられたフローセルを含むことができる。フローセルは、反応位置と流体連通する少なくとも1つの流れチャンネルを含むことができる。具体例として、バイオセンサは、バイオアッセイ系に流体的及び電気的に連結するように構成される。バイオアッセイ系は、既定のプロトコール(例えばSequencing By Synthesis)に従って反応物を反応位置に輸送することができ、複数の撮像イベントを行うことができる。例えば、バイオアッセイ系は、溶液を反応位置に沿って流すことができる。溶液の少なくとも1つに、同じ又は異なる蛍光標識を有する4種類のヌクレオチドを含むことができる。ヌクレオチドは、反応位置に存在する対応オリゴヌクレオチドに結合することができる。バイオアッセイ系はその後、励起光源(例えば発光ダイオードすなわちLED等のソリッドステート光源)を用いて反応位置を照射することができる。励起光源は、既定の1つ以上の波長を持つことができ、この波長にはある範囲の波長も含む。励起された蛍光標識は、光検出器が検出できるエミッション信号を供給する。
ある態様では、ソリッドステート撮像素子は、エミッション信号を検出するように構成される光検出器のアレイを備えるCMOS撮像センサを含む。いくつかの実施形態では、光検出器のそれぞれは、単一の画素のみを有し、フィルター壁が定める検出路に対する画素の比率を、実質的に1対1とすることができる。バイオセンサは、例えば米国特許出願第13/833,619号明細書に記載されている。
「検出表面」は、光学検出器を含む任意の表面を意味する。検出器は、任意の適切な技術、例えば電荷結合素子(CCD)又は相補型金属酸化膜半導体(CMOS)に基づくことができる。例えば特定の実施形態では、単一光子アバランシェ・ダイオードを有するCMOS(CMOS-SPAD)撮像素子を使用して、蛍光寿命画像顕微法(FLIM)によって蛍光体を区別することができる。FLIMに使用することができるCMOSに基づくシステムは、例えば米国特許出願公開第2008/0037008号明細書、Giraud et al., Biomedical Optics Express 1: 1302-1308 (2010)又はStoppa et al., IEEE European Solid-State Device Conference (ESSCIRC), Athens, Greece, IEEE, pp. 204-207 (2009) に記載されている。当該各文献の全体を参照により本明細書に援用する。他の有用かつ使用可能な検出装置には、例えば米国特許第7,329,860号明細書及び米国特許出願公開第2010/0111768号明細書に記載される検出装置を含むことができる。当該各文献の全体を参照により本明細書に援用する。
また、当業者が既知の他の信号検出装置を用いて、本明細書で説明する方法で生成される信号を検出することができることを理解できる。例えば、蛍光体又は光子を検出するために使用される検出器が特に有用である。検出器、例えばコネチカット州Branford の454 Life Sciences社(ロシュ社)が市販する検出器又は米国特許出願公開第2005/0244870号明細書に記載された検出器を用いて、蛍光体の放出を検出することができる。当該文献の全体を参照により本明細書に援用する。光子の放出に基づくプライマー伸長を検出するシステムは例えば、コネチカット州Guilford のIon Torrent社(ThermoFisherの子会社)が市販するシステム、又は米国特許出願公開第2009/0026082号明細書、米国特許出願公開第2009/0127589号明細書、米国特許出願公開第2010/0137143号明細書、米国特許出願公開第2010/0282617号明細書に記載されたシステムを含む。当該各文献の全体を参照により本明細書に援用する。検出表面及び検出器は、例えば米国特許出願公開第2013/0116128号明細書に記載されている。当該文献を参照により本明細書に援用する。
「シークエンシングモジュール」は、シークエンシングでの使用に適合したCMOSチップを意味する。当該モジュールは、疎水性部分に囲まれた、核酸を付着させ増幅させる親水性部分の基板を備える表面を含むことができる。例えば上述したような、疎水性パッチを有する動的パッドを使用することができる。あるいは又はこれに加えて、取り囲むパッドが疎水性状態である間は、親水性状態である部分を含む動的パッドの集合により、疎水性領域に囲まれた親水性領域を形成することができる。核酸が付着した表面は任意に、複数の分離された領域を含み、それぞれの分離された領域は、好ましくはシークエンシングに関する1つの核酸分子に由来する、複数の核酸分子を含む。例えば、親水性領域はゲルを含むことができる。親水性領域を例えば、平滑とし、粗くし、多孔性とし又は非多孔性とすることができる。疎水性領域を好ましくは複数の親水性領域の間に配置する。試薬は、任意の数の力によって、表面の至る所に移動する。
本明細書で説明する主題には、1つ以上の実施形態における、使い捨ての統合微少流体カートリッジ並びに当該カートリッジを製造及び使用する方法を含む。使い捨ての統合微少流体カートリッジを製造する方法は任意に、CMOS技術及びデジタルフルイディクスによるモノリシック集積化のために、軟性プリント基板(PCB)及びロール・ツー・ロール(R2R)印刷された電子機器を利用する。すなわち、使い捨ての統合微少流体カートリッジは、CMOSセンサが統合される、流体制御層の積み重ねを含む。全ての流体制御層は、ハウジング内に設置される。したがって、従来の射出成形流体工学を、軟性PCB技術と統合することができる。電子機器のR2R印刷プロセスで使用するのに適切な材料を用いて、流体制御層を形成する。さらに、流体制御層は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)領域及び試薬混合分配領域を含む。流体制御層は、PCR領域を完全に密封することができる薄膜バルブのセットも含む。
使い捨ての統合微少流体カートリッジを使用する方法には、シークエンシングに関して必要な、マルチプレックスPCR及び下流混合を実施するステップが含まれる。
本明細書で説明する実施形態には、CMOSフローセルが含まれる。ここでバイオセンサアクティブ領域の大部分又は約100%は、試薬輸送及び照射のためにアクセス可能である。
図14は、CMOS技術及びデジタルフルイディクスによるモノリシック集積化のために、軟性プリント基板(PCB)及びロール・ツー・ロール(R2R)印刷された電子機器を使用する方法100の例の流れ図を示す。すなわち、方法100を使用して、多層積層流体工学を、軟性PCB技術と統合することができる(図15参照)。さらに、方法100を用いて形成される構造を使用して、従来の射出成形流体工学を、軟性PCB技術と統合することができる(図26−45参照)。方法100は以下のステップを含むことができるが、これらのステップに限定されるものではない。
ステップ110において、流体制御層を形成し、その後流体制御層を積層して接着する。例えば、図15は、このステップで積層され接着され得る流体制御層200のセットの分解図を示す。この例では、流体制御層200は、順番に、出入口ポート層210と、流体制御チャンネル層220と、軟性PCB層260と、シークエンシング室底部層280と、シーケンシング室層250と、シークエンシング室上部層290と同一平面上の薄膜層240とを含む。出入口ポート層210、流体制御チャンネル層220、軟性PCB層260、シークエンシング室底部層280、シーケンシング室層250、薄膜層240及びシークエンシング室上部層290は、電子機器のR2R印刷プロセスを用いた成形に適している。
出入口ポート層210を例えば、ポリカーボネート、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)、環状オレフィン系共重合体(COC)及び/又はポリイミドから形成することができる。出入口ポート層210の厚さを、ある例では約25μmから約1000μmの厚さとすることができ、又はある例では約250μmの厚さとする。出入口ポート層210に開口部(又は穴)を設ける。開口部(又は穴)によって、例えば様々な液体供給容器(図示せず)に対する、入口ポート及び/又は出力ポートとすることができる流路をもたらすことができる。図55A及び55Bを参照して、出入口ポート層210を以下より詳細に示し説明する。
流体制御チャンネル層220を例えば、ポリカーボネート、PMMA、COC及び/又はポリイミドから形成することができる。流体制御チャンネル層220の厚さを、ある例では約25μmから約1000μmの厚さとすることができ、又はある例では約250μmの厚さとする。流体制御チャンネル層220には、流体制御チャンネルが設けられる。流体制御チャンネルによって、流体制御層200沿いに、ある目的地から他の目的地までの流路がもたらされる。流体制御チャンネル層220は出入口ポート層210と軟性PCB層260との間に挟まれているため、下方の出入口ポート層210と上方の軟性PCB層260とによって、流体を流体制御チャンネル内に閉じ込めることができる。ある例では、流体制御チャンネル層220を用いて、シーケンシングに関して必要なPCR及び下流混合を行う。図56A及び56Bを参照して、流体制御チャンネル層220を以下より詳細に示し説明する。
軟性PCB層260を例えば、ポリカーボネート、PMMA、COC及び/又はポリイミドから形成することができる。軟性PCB層260の厚さを、ある例では約30μmから約300μmの厚さとすることができ、又はある例では約200μmの厚さとする。軟性PCB層260に開口部(又は穴)を設ける。開口部(又は穴)によって、流体制御チャンネル層220の流体制御チャンネル内の液体の流量を制御するために使用される、薄膜バルブの入口及び/又は出力とすることができる流路をもたらす。図57A及び57Bを参照して、軟性PCB層260を以下より詳細に示し説明する。
シークエンシング室底部層280を例えば、ポリカーボネート、PMMA、COC及び/又はポリイミドから形成することができる。シークエンシング室底部層280の厚さを、ある例では約25μmから約1000μmの厚さとすることができ、又はある例では約250μmの厚さとする。流体制御層200の積層内に薄膜バルブを形成するために、開口部をシークエンシング室底部層280に設ける。シークエンシング室底部層280は、CMOSデバイス、例えばシークエンシング室層250のシークエンシング室の近くに配置されたCMOS撮像センサ262も含む。シークエンシング室底部層280は、CMOSデバイスと同一平面上に存在し、シークエンシング室層250のシ―クエンシング室の入口/出口に流体接続する層として機能する。図58A及び58Bを参照して、シークエンシング室底部層280を以下より詳細に示し説明する。
シークエンシング室層250を例えば、ポリカーボネート、PMMA、COC及び/又はポリイミドから形成することができる。シークエンシング室層250の厚さを、ある例では約50μmから約300μmの厚さとすることができ、又はある例では約100μmの厚さとする。流体制御層200の積層内に薄膜バルブを形成するために、開口部をシークエンシング室層250に設ける。シークエンシング室層250は、シークエンシング室も含む。図59A及び59Bを参照して、シークエンシング室層250を以下より詳細に示し説明する。
薄膜層240を例えば、シリコーンエラストマから形成することができる。薄膜層240の厚さを、ある例では約25μmから約1000μmの厚さとすることができ、又はある例では約250μmの厚さとする。薄膜層240は、流体制御層200の積層内で薄膜バルブを開閉する弾性薄膜として働く。ここで軟性PCB層260と、シークエンシング室底部層280と、シーケンシング室層250と、薄膜層240とを順番に組み合わさることによって薄膜バルブが生み出される。図22A、22B、23A及び23Bを参照して、薄膜バルブを以下より詳細に示し説明する。図60A及び60Bを参照して、薄膜層240を以下より詳細に示し説明する。
シークエンシング室上部層290を、良好な光学的性質を持つ低自家蛍光材料(COC等)から形成する。シークエンシング室上部層290の厚さを、ある例では約25μmから約1000μmの厚さとすることができ、又はある例では約250μmの厚さとする。シークエンシング室上部層290を使用して、シークエンシング室層250のシークエンシング室を覆う。図60A及び60Bを参照して、シークエンシング室上部層290を以下より詳細に示し説明する。
次に図14を再度参照して、ステップ115において、CMOSデバイスを軟性プリント基板に取り付ける。例えば、CMOS撮像センサ262(図15参照)を、流体制御層200のシークエンシング室底部層280に取り付ける。図16は、CMOS撮像センサ262の例の斜視図を示す。ある例では、CMOS撮像センサ262の長さは約9200μmであり、幅は約8000μmであり、厚さは約800−1000μmであり、50個の入出力パッドを有することができる。CMOS撮像センサ262は、画素アレイを備えることができる。ある例では、画素アレイは4384 x 3292画素であり、全体寸法は7272 μm x 5761 μm である。CMOSダイは広い範囲の寸法をとることができ、CMOSダイの入出力パッドの総数も広い範囲からとることができることを理解できる。例えば、長方形(例えば細長く見える非正方形の寸法)のダイをデジタルフルイディクスとともに使用して、所与の任意の解析プロトコールにおいてダイの一部のみを利用することができる。
ステップ115をさらに説明すると、図17A、17B、18、19及び20は、CMOSデバイスを軟性プリント基板に取り付けるプロセスの例を表す、構造400の側面図を示す。構造400は多層構造である。次に図17Aを参照して、構造400の初期形態は軟性プリント基板から始まる。例えば、軟性基板は、ポリイミド層410と、PCBヒータ層412と、ポリイミド層414と、PCB配線層416と、ポリイミド層418とを順番に含む。すなわち、図17は、PCBヒータ層とPCB配線層とを有する軟性プリント基板(PCB)、別名クーポンホイルを示す。
次に図17Bを参照して、低温等方導電性接着剤(low-temp ICA)420をポリイミド層418の上に分注する。
次に図18を参照して、CMOSデバイス(CMOS撮像センサ262等)をクーポンホイルの上、すなわち低温等方導電性接着剤420上に配置する。ある例では、CMOS撮像センサ262を、ピック及び周知の配置プロセスを用いて、低温等方導電性接着剤420上に配置する。図18は、等方導電性接着剤420と接触し、それによってPCB配線層416に電気的に接続される、CMOS撮像センサ262の入出力パッド422を示す。他の取り付けオプションも存在し、当該オプションは以下に限定されるものではないが、制御されたコラップス/フリップチップボンディング及びワイヤビンディング等を含む。図18は、ポリイミド層418から離れて面するバイオ層424を含むCMOS撮像センサ262も示す。使用する準備ができるまで、保護フィルム426をバイオ層424上に配置することができる。
次に図19を参照して、軟性プリント基板のポリイミド層418上に、流体制御層428のセットを設ける。すなわち、積層ポリカーボネートフィルムをCMOS表面と同一表面上に設ける。流体制御層428の例は、図15に示される流体制御層200である。
これから図20を参照して、CMOS撮像センサ262周囲の隙間にアンダーフィルエポキシ接着剤430を分注することによって、CMOS撮像センサ262のクーポンホイル上へのフリップチップボンディングが完了する。
次に図14を再度参照して、ステップ120において、一緒に統合された流体制御層及びCMOSデバイスを含む、微少流体カートリッジの最終組立てを行う。例えば、図21は微少流体カートリッジ800の例の側面図を示す。微少流体カートリッジ800は、図20に示す構造400に基づく、流体制御部810とCMOS部812とを含む。最終組立ステップは例えば、アンダーフィルエポキシ接着剤430を分注(印刷)するステップと、保護フィルム426を除去するステップと、CMOS部812で低温非伝導性接着剤814(例えば紫外線又は熱非伝導性接着剤)を積層するステップと、低自家蛍光環状オレフィン系共重合体(COC)層816を微少流体カートリッジ800のCMOS部812に積層するステップと、軟性PCBヒータ818を流体制御部810の両側で積層するステップとを含むことができる。微少流体カートリッジ800を形成するプロセスにおいて、CMOSデバイス表面及び流体制御層表面が互いに同一平面上に配置されるように自己整合プロセスフローを使用することが重要となる。
微少流体カートリッジ800を通る流路が形成される。すなわち、流体制御部810のインプットにおいて試料入口820を設け、CMOS部812の下流にアウトプット822を設ける。試料入口820は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)室824に供給する。PCR室824は試薬分配領域826に供給する。その後試薬分配領域826はシークエンシング室828に供給する。CMOS撮像センサ262のバイオ層424はシークエンシング室828を向いている。その後シークエンシング室828は出口822に供給する。さらに、微少流体カートリッジ800は、PCR室824に出入りする液体の流量を制御する特定の薄膜バルブ830を含む。
図22A及び22Bは、例えば流体制御層200内に統合できる、薄膜バルブ830の例の斜視図を示す。薄膜バルブ830の斜視図である図22Aを参照する。この例では、薄膜バルブ830は、ベース層910と、流体制御チャンネル層912と、容器層914とを順番に含む。ベース層910と、流体制御チャンネル層912と、容器層914とを、例えばポリカーボネート、PMMA、COC及び/又はポリイミドから形成することができる。容器層914には、容器層914内に小さな容器916を生み出す凹部が形成される。薄膜層918は、容器916にわたって張り渡される。容器916は、入口920と出口922とを持ち、入口920及び出口922は各流体制御チャンネル924への流路をもたらす。容器916、入口920及び出口922の構成をより詳細に示すため、図22Bは、容器916を覆う薄膜層918を除いた薄膜バルブ830を示す。薄膜層918を、柔軟で伸縮性があるエラストマ膜材料(例えばシリコーンエラストマ)から形成する。
図23A及び23Bはそれぞれ、図22Aの線A−Aに沿う、薄膜バルブ830の断面図を示す。アクチュエータ(例えばアクチュエータ1010)を用いて、薄膜バルブ830を開閉することができる。例えば、図23Aは、アクチュエータ1010が薄膜層830と係合していない開放状態の、薄膜バルブ830を示す。対照的に、図23Bは、アクチュエータ1010が薄膜層918と係合している、閉鎖状態の薄膜バルブ830を示す。すなわち、アクチュエータ1010の先端部を用いて、薄膜層918の中央部を出口922に押し付け、それにより出口922を通る流体の流れを塞ぐ。機械的又は空気的動作等を用いて、例えばソレノイド又は空気ポンプによって、薄膜バルブ830(すなわち薄膜バルブ242、244及び246)を駆動することができる。
図24は、CMOS技術及びデジタルフルイディクスが共に統合された、微少流体カートリッジ1100の例の概略図を示す。すなわち、微少流体カートリッジ1100は、4つの試料供給部1110(例えば試料供給部1110a、1110b、1110c、1110d)と、13個の試薬供給部1112(例えば試薬供給部1112a−1112m)と、出口ポンプ1114とに流体的かつ動作可能に接続される流体制御層200を含む。流体制御層200は、PCR領域270及び試薬混合分配領域275を含む。PCR領域270は例えば、4つのPCRチャンネル222(例えばPCRチャンネル222a、222b、222c、222d)を含む。試料供給部1110a、1110b、1110c、1110dはそれぞれ、PCRチャンネル222a、222b、222c、222dの入口に供給する。微少流体カートリッジ1100が、4つの試料供給部1110が供給する4つのPCRチャンネル222を含むため、微少流体カートリッジ1100は4重に試料を多重化するように構成される。
4つの薄膜バルブ242を用いて、4つのPCRチャンネル222のインプットを制御する。すなわち、薄膜バルブ242a、242b、242c、242dをそれぞれ用いて、PCRチャンネル222a、222b、222c、222dのインプットを制御する。同様に、4つの薄膜バルブ244を用いて、4つのPCRチャンネル222のアウトプットを制御する。すなわち、薄膜バルブ244a、244b、244c、244dをそれぞれ用いて、PCRチャンネル222a、222b、222c、222dのアウトプットを制御する。4つのPCRチャンネル222のアウトプットは共通のPCRアウトプットチャンネル224に供給し、共通のPCRアウトプットチャンネル224は試薬混合分配領域275に供給する。流体制御層200内に薄膜バルブ242及び薄膜バルブ244が存在することによって、PCR領域270を完全に密封することができる。
試薬混合分配領域275に、13の試薬チャンネル226(例えば試薬チャンネル226a−226m)が配置されている。さらに、13の試薬供給部1112a−1112mはそれぞれ、13の試薬チャンネル226a−226mに供給する。回動可能なバルブアセンブリ(図示せず)を用いて、特定のPCRチャンネルを特定の試料供給部1112に流体的に接続する。これにより、特定のPCR混合物(a certain PCR Mix)を生み出すことができる。また回動可能なバルブアセンブリ(図示せず)を用いて、特定のPCR混合物をシークエンシング供給チャンネル228に流体的に接続する。シークエンシング供給チャンネル228は、シークエンシング室258の入口に供給する。さらに、シークエンシング室258にCMOS撮像センサ262を配置する。
シークエンシング室258の出口に、シークエンシング出口チャンネル230を設ける。出口ポンプ1114をシークエンシング出口チャンネル230に流体的かつ動作可能に接続する。出口ポンプ1114を使用して、液体を流体制御層200の流路に沿って任意の方向に移動させるために、正圧又は負圧をもたらす。さらに、連続した3つの薄膜バルブ246を、シークエンシング出口チャンネル230の長さに沿って設ける。図22A、22B、23A及び23Cに示し説明した薄膜バルブ830によって、薄膜バルブ242、244及び246を実装することができる。
シークエンシング出口チャンネル230の3つの薄膜バルブ246を、出口ポンプ1114の代わりのポンプとして、又は出口ポンプ1114と共同するポンプとして使用することができる。したがって、ある実施形態では、微少流体カートリッジ1100は、出口ポンプ1114のみを含み、3つの薄膜バルブ246が省略される。他の実施形態では、微少流体カートリッジ1100は、3つの薄膜バルブ246のみを含み、出口ポンプ1114が省略される。さらに別の実施形態では、微少流体カートリッジ1100は、出口ポンプ1114及び3つの薄膜バルブ246の両方を含む。さらに別の実施形態では、微少流体カートリッジ1100は、出口ポンプ1114及び/又は3つの薄膜バルブ246の代わりに、任意の他の種類のポンピング機構を含む。図25から60Bを参照して、微少流体カートリッジ1100の実装例を以下より詳細に示し説明する。
図25及び26は、図24に示す統合微少流体カートリッジ1100の物理的具体化の一例である、微少流体カートリッジアセンブリ1200の斜視図を示す。微少流体カートリッジアセンブリ1200は、軟性プリント基板技術と統合された従来の射出成形流体工学の一例である。この例では、微少流体カートリッジアセンブリ1200は、ベースプレート1212上に固定されたハウジング1210を含む多区画微少流体カートリッジである。ハウジング1210及びベースプレート1212を例えば、成形されたプラスチックから形成することができ、ねじによって一緒に固定することができる(図32参照)。微少流体カートリッジアセンブリ1200の全体の高さを、例えば約12mm〜約100mmとすることができる。微少流体カートリッジアセンブリ1200の全体の長さを、例えば約100mm〜約200mmとすることができる。微少流体カートリッジアセンブリ1200の全体の幅を、例えば約100mm〜約200mmとすることができる。
ハウジング1210の内側に、図27A及び27Bに示す流体制御アセンブリ1400が存在する。すなわち、図27A及び27Bは、図25及び28に示す微少流体カートリッジアセンブリ1200に装着される流体制御アセンブリ1400の例の斜視図である。流体制御アセンブリ1400は、図24に示す統合微少流体カートリッジ1100に基づく。つまり、流体制御アセンブリ1400は、図15及び24に示され説明される流体制御層200を含む。流体制御アセンブリ1400は、流体制御層200の試薬混合分配領域275内の13の試薬チャンネル226−226mに関連して配置される、回動可能バルブアセンブリ1410も含む。流体制御層200の長さを、例えば約100mmから約200mmとすることができる。流体制御層200の幅を、例えば約100mmから約200mmとすることができる。
さらに、流体制御アセンブリ1400は、流体制御層200のPRC領域270の両側のまわりを覆う、軟性プリント基板(PCB)ヒータ1412を含む。2つの個々に制御されたヒータトレースが軟性PCB基板ヒータ1412に設けられ、1つのヒータトレースはPCR領域270の一方側に存在し、もう1つのヒータトレースはPCR領域270の他方側に存在する。軟性PCBヒータ1412は、図21に示す微少流体カートリッジ800の軟性PCBヒータ818の例である。図28A及び28Bを参照して、ヒータトレースの例を以下より詳細に示し説明する。図54A、54B及び54Cを参照して、軟性PCBヒータ1412の例を以下より詳細に示し説明する。
次に図25及び26を再度参照して、微少流体カートリッジアセンブリ1200のハウジング1210は、流体制御層200の4つのPCRチャンネル222(例えばPCRチャンネル222a、PCRチャンネル222b、PCRチャンネル222c、PCRチャンネル222d)のインプットと実質的に位置合わせされている、4つの試料投入ポート1214(例えば試料投入ポート1214a、1214b、1214c、1214d)も含む。微少流体カートリッジアセンブリ1200のハウジング1210は、流体制御層200の13の試薬チャンネル226(例えば試薬チャンネル226a−226m)に供給する、13の試薬容器1216も含む。13の試薬容器1216を同じ寸法とすることも、異なる寸法とすることもできる。例えば、試薬容器1216は、約0.001mlから約0.150mlの範囲の体積の液体を保持することができる。
微少流体カートリッジアセンブリ1200のハウジング1210は、シークエンシング出口チャンネル230が供給する、廃棄物容器1218も含む。廃棄物容器1218は、例えば約25mlから約100mlの範囲の体積の液体を保持することができる。図26は、試薬容器1216及び廃棄物容器1218を、例えば箔シール1220で覆い密封することができることを示す。
図28A及び28Bはそれぞれ、図27Aと27Bとに示す流体制御アセンブリ1400に装着することができる、ヒータトレース1500の例の平面図及び断面図を示す。すなわち、図28Aは、蛇行する型のレイアウトを有する、ヒータトレース1500の例の平面図を示す。図28Bは、ヒータトレース1500を含む、流体制御アセンブリ1400の軟性PBCヒータ1412の一方側の断面図を示す。軟性PBCヒータ1412は、例えば軟性片面銅層1510と、接着層1512と、誘電層1514と、ヒータトレース1500が模様付けられた銅ヒータ層1516と、カプトン(登録商標)層1518とを順番に含む、多層構造である。図28Bの銅ヒータ層1516は、図28Aの線A−Aに沿う、ヒータトレース1500の断面を表す。
図29、30、31、32、33A及び33Bは、図25の微少流体カートリッジアセンブリ1200の他の様々な図であり、これらの図は微少流体カートリッジアセンブリ1200をより詳細に示す。すなわち、図29は微少流体カートリッジアセンブリ1200のハウジング1210側の斜視図であり、図30は微少流体カートリッジアセンブリ1200のハウジング1210側の平面図である。これらの図は13の試薬容器1216及び廃棄物容器1218の構成の詳細を示す。図31は、箔シール1220が取り付けられた、微少流体カートリッジアセンブリ1200のハウジング1210側の平面図を示す。箔シール1220は、4つの試料投入ポート1214が依然として露出しアクセス可能であるような、開口部を有する。
図32は、微少流体カートリッジアセンブリ1200のベースプレート1212側の斜視図を示す。図33Aは、微少流体カートリッジアセンブリ1200のベースプレート1212側の平面図を示す。図33Bは、微少流体カートリッジアセンブリ1200の側面図を示す。図32、33A及び33Bは、ベースプレート1212をより詳細に示す。すなわち、ベースプレート1212は、流体制御アセンブリ1400の流体制御層200のPCR領域270の一部を露出させる、開口部1222及び開口部1224を含む。開口部1224を通じて、流体制御アセンブリ1400の軟性PCBヒータ1412に接触する入出力パッド1226のセットが見える。
流体制御アセンブリ1400の流体制御層200の4つの薄膜バルブ242にアクセスし作動させるための4つの開口部1228が、開口部1222の1つの縁に沿って存在する。すなわち、開口部1228aは薄膜バルブ242aと実質的に位置合わせされている。開口部1228bは薄膜バルブ242bと実質的に位置合わせされている。開口部1228cは薄膜バルブ242cと実質的に位置合わせされている。開口部1228dは薄膜バルブ242dと実質的に位置合わせされている。
流体制御アセンブリ1400の流体制御層200の4つの薄膜バルブ244にアクセスし作動させるための4つの開口部1230が、開口部1222の反対側の縁に沿って存在する。すなわち、開口部1230aは薄膜バルブ244aと実質的に位置合わせされている。開口部1230bは薄膜バルブ244bと実質的に位置合わせされている。開口部1230cは薄膜バルブ244cと実質的に位置合わせされている。開口部1230dは薄膜バルブ244dと実質的に位置合わせされている。
また、ベースプレート1212は、流体制御アセンブリ1400の流体制御層200の薄膜バルブ246にアクセスし作動させるための開口部1232も含む。ベースプレート1212は、シークエンシング室258において開口部1234も含む。ベースプレート1212の1つの角には面取り部1236が形成されている。面取り部1236を使用して、微少流体カートリッジアセンブリ1200の向きを、例えば流体制御システム(図示せず)の機器デッキに合わせる。図32及び33Aは、ベースプレート1212をハウジング1210に固定するために使用される、4つのねじ1238も示す。さらに、流体制御アセンブリ1400の流体制御層200の試薬混合分配領域275に関連する、回動可能バルブアセンブリ1410を示す。回動可能バルブアセンブリ1410は、グリップ部1240を有するノブを含み、グリップ部1240によって、ユーザ又は機器は流量コントローラ部1242を回すことができる(図35参照)。
図34から42は、ベースプレート1212側を上方に向けた微少流体カートリッジアセンブリ1200で始まり、当該アセンブリ1200の内部構成要素の配置及び導入を明らかにするために、当該アセンブリ1200を段階的に解体した様子を基本的に示す。まず図34は、流体制御アセンブリ1400を明らかにするために、ベースプレート1212を除いた微少流体カートリッジアセンブリ1200を示す。ベースプレート1212を除くことで、流体制御層200の軟性プリント基板(PCB)層260側が見える。さらに、軟性PCBヒータ1412の一方側が見える。流体制御層200とベースプレート1212との間にスペーサ1244も示されている。図34には、薄膜バルブ242、244及び246も見える。
次に図35では、流量コントローラ部1242が見えるように、回動可能バルブアセンブリ1410のグリップ部1240を除いている。グリップ部1240の下側(図示せず)は流量コントローラ部1242と係合するように設計され、その結果流量コントローラ部1242を回動させて13の試薬チャンネル226の1つを通る液体の流れを導くことができる。
次に図36では、流体制御層200のPCRアウトプットチャンネル224、試薬チャンネル226及びシークエンシング供給チャンネル228に関連する流路が見えるように、回動可能バルブアセンブリ1410の流れコントローラ部1242を除いている。
次に図37では、微少流体カートリッジアセンブリ1200内の流路が見えるように、流体制御層200を透明に示す。
次に図38では、流体制御層200を除き、ハウジング1210内の軟性PCBヒータ1412のみを示す。そして図39では、軟性PCBヒータ1412を除き、ハウジング1210内の流体制御層200のみを示す。
次に図40では、ハウジング1210から、流体制御層200及び軟性PCBヒータ1412の両方を除いている。この図では、試料投入ポート1214、13個の試薬容器1216及び廃棄物容器1218と関連するハウジング1210の流路が見える。例えば、ハウジング1210は、試料投入ポート1214に達する開口部1246と、13個の試薬容器1216に達する開口部1248と、廃棄物容器1218に達する開口部1250とを含む。図40は、ねじ1238を受け入れる4つのねじ穴1252も示す。さらに、図40はCMOS撮像センサ262と、CMOS撮像センサ262を覆う保護キャップ1254の一部とを示す。次に図41では、保護キャップ1254が完全に見えるように、CMOS撮像センサ262を除いている。そして図42では、保護キャップ1254を除き、CMOS撮像センサ262と関連するハウジング1210内のクリアランス領域1256を示す。
図43は、試料投入ポート1214と試薬容器1216と廃棄物容器1218と関連する開口部の位置を示すため、微少流体カートリッジアセンブリ1200のハウジング1210の透明斜視図を示す。すなわちこの図には、試料投入ポート1214に関連する開口部1246の位置と、試薬容器1216に関連する開口部1248の位置と、廃棄物容器1218に関連する開口部1250の位置とを見ることができる。
図44は、様々な流体制御チャンネルを重ねた、微少流体カートリッジアセンブリ1200のハウジング1210の透明斜視図を示す。すなわちこの図には、試料投入ポート1214と試薬容器1216と廃棄物容器1218とに関連する様々な流体制御チャンネルの位置を見ることができる。図45は、図25の微少流体カートリッジアセンブリ1200の断面図であり、当該アセンブリ1200をより詳細に示す。
図46A、46B、47A、47B及び48は、図25の微少流体カートリッジアセンブリ1200のハウジング1210の様々な図であり、これらの図はハウジング1210をより詳細に示す。すなわち、図46A及び46Bはそれぞれハウジング1210の平面図及び側面図を示す。ある例では、ハウジング1210の高さは約12mmから約100mmであり、長さは約100mmから約200mmであり、幅は約100mmから約200mmである。図47Aは、取り付けられる箔シール1220を除いた、ハウジング1210の斜視図を示す。図47Bは、取り付けられる箔シール1220を含む、ハウジング1210の斜視図を示す。図46A、46B、47A及び47Bがハウジング1210の外側を示すのに対し、図48はハウジング1210の内側を示す平面図である。
図49、50、51A、51B及び52は、図25の微少流体カートリッジアセンブリ1200のベースプレート1212の様々な図であり、これらの図はベースプレート1212をより詳細に示す。すなわち、図49及び50はそれぞれ、ベースプレート1212の外側及び内側の斜視図を示す。図41Aはベースプレート1212の外側の平面図を示す一方、図41Bはベースプレート1212の側面図を示す。図49、50、51A、38B及び39には、ベースプレート1212が、ねじ1238を受け止める4つの穴1258と、回動可能バルブアセンブリ1410のグリップ部1240及び流量コントローラ部1242を受け止める開口部1262を中央に含む凹部1260とを更に含むことが示される。
図53A及び53Bは、微少流体カートリッジアセンブリ1200の流体制御アセンブリ1400の他の斜視図であり、これらの図は流体制御アセンブリ1400をより詳細に示す。すなわち、図53A及び53Bはそれぞれ流体制御アセンブリ1400の斜視図を示す。図53Aは軟性PCBヒータ1412を除いた流体制御アセンブリ1400を示すのに対し、図53Bは軟性PCBヒータ1412が装着された流体制御アセンブリ1400を示す。さらに、流体制御層200の1つの縁でありPCR領域270に、切欠き1414が存在する。切欠き1414は、軟性PCBヒータ1412を受け止めるように設計される。
図54A、54B及び54Cは、微少流体カートリッジアセンブリ1200の流体制御アセンブリ1400の軟性PCBヒータ1412をより詳細に示す様々な図である。すなわち、図54A及び54Bは軟性PCBヒータ1412の各側面の斜視図を示す一方、図54Cは軟性PCBヒータ1412の側面図を示す。軟性PCBヒータ1412は、U字型ラップアラウンドパネル1416と側方に延びるパネル1418とを含む。これらパネルはいずれもPCB技術を用いて形成される。U字型ラップアラウンドパネル1416は、パネル1420及びパネル1422を含み、パネル1420及びパネル1422はそれぞれのパネルに模様付けされたヒータトレース1500(例えばヒータトレース1500a及び1500b)を有する。ヒータトレース1500の例を、図28A及び28Bに示す。図53Bに示すように、パネル1420とパネル1422との間にスペースを設けて、軟性PCBヒータ1412を流体制御層200のPCR領域270に圧入するとともに切欠き部1414に圧入することができる。図54B及び41Cは、2つのヒータトレース1500及びCMOS撮像センサ262への電気的接続をもたらす、入出力パッド1226も示す。
側方に延びるパネル1418は、パネル1420の、U字型ラップアラウンドパネル1416の屈曲部付近から延在する。側方に延びるパネル1418は、CMOS撮像センサ262に向かって延びるように設計される。図53Bに示すように、側方に延びるパネル1418の、U字型ラップアラウンドパネル1416から最も遠い端部は、CMOS撮像センサ262に対して適合するように成形される。側方に延びるパネル1418の目的は、硬性又は軟性PBC上に組立てられる、CMOS撮像センサ262に対して電気的接続をもたらすことである。
図55A及び55Bはそれぞれ、図15と図27とに示す流体制御層200の出入口ポート層210の斜視図及び平面図を示す。再度説明すると、出入口ポート層210を例えば、ポリカーボネート又はR2Rプロセスで使用するのに適切な他の任意の材料から形成することができる。出入口ポート層210は、微少流体カートリッジアセンブリ1200の流体制御層200とハウジング1210との間のインタフェースを提供する。すなわち、出入口ポート層210は、ハウジング1210の試料投入ポート1214、13個の試薬容器1216及び破棄物容器1218から、流体制御層200の流体制御チャンネル層220までの流路を提供する。例えば、出入口ポート層210は、ハウジング1210の試料投入ポート1214の開口部1246と実質的に位置合わせされている開口部212のセットを含む。出入口ポート層210は、ハウジング1210の試薬容器1216の開口部1248と実質的に位置合わせされている開口部214のセットを含む。出入口ポート層210は、ハウジング1210の廃棄物容器1218の開口部1250と実質的に位置合わせされている開口部216も含む。
図56A及び56Bはそれぞれ、図15と図27とに示す流体制御層200の流体制御チャンネル層220の斜視図及び平面図を示す。再度説明すると、流体制御チャンネル層220を例えば、ポリカーボネート又はR2Rプロセスで使用するのに適切な他の任意の材料から形成することができる。流体制御チャンネル層220は、すべての液体の流れを促進する、流体制御層200の層である。すなわち、全てのPCR及びシークエンシング作業は、流体制御チャンネル層220で行われる。PCR作業は、PCR領域270のPCRチャンネル222で行われる。PCRアウトプットチャンネル224は、試薬混合分配領域275に供給する。試薬の分配は、試薬混合分配領域275で試薬チャンネル226を用いて行われる。13個の試薬チャンネル226は、回動可能バルブアセンブリ1410に供給するように模様付けられる。シークエンシング供給チャンネル228は、図58A及び58Bに示すシークエンシング室層250のシークエンシング室258の入口に供給する。それから出口チャンネル230は、シークエンシング室258の出口に流体的に接続される。
図57A及び57Bはそれぞれ、図15と図27とに示す流体制御層200の軟性PCB層260の斜視図及び平面図を示す。再度説明すると、軟性PCB層260を例えば、ポリイミド又はR2Rプロセスで使用するのに適切な他の任意の材料から形成することができる。軟性PCB層260は、薄膜バルブ242の出入口に関連する開口部(又は穴)264のセットを含む。軟性PCB層260は、薄膜バルブ244の出入口に関連する開口部(又は穴)266のセットも含む。薄膜バルブ246が存在する場合には、軟性PCB層260は、薄膜バルブ246の出入口に関連する開口部(又は穴)267のセットを含む。さらに、軟性PCB層260は、回動可能バルブアセンブリ1410と実質的に位置合わせされるとともに回動可能バルブアセンブリ1410への流路をもたらす、開口部268のセットを含む。
図58A及び58Bはそれぞれ、図15と図27とに示す流体制御層200のシークエンシング室底部層280の斜視図及び平面図を示す。再度説明すると、シークエンシング室底部層280を例えば、ポリカーボネート又はR2Rプロセスで使用するのに適切な他の任意の材料から形成することができる。流体制御層200の積層内に薄膜バルブ242を形成するために、シークエンシング室底部層280は開口部282のセットを含む。流体制御層200の積層内に薄膜バルブ244を形成するために、シークエンシング室底部層280は開口部284のセットも含む。薄膜バルブ246が存在する場合には、流体制御層200の積層内に薄膜バルブ246を形成するために、シークエンシング室底部層280は開口部286のセットを含む。さらに、シークエンシング室底部層280は、回動可能バルブアセンブリ1410と実質的に位置合わせされるとともに回動可能バルブアセンブリ1410への流路をもたらす、開口部288のセットを含む。また、シークエンシング室底部層280は、シークエンシング室層250のシークエンシング室258に流体的に連結する、開口部289の組を含む。
シークエンシング室底部層280は、CMOS技術が統合された、流体制御層200の層である。すなわち、CMOS撮像センサ262がシークエンシング室底部層280に装着される。CMOS撮像センサ262の位置は実質的に、シークエンシング室層250のシークエンシング室258の位置に対応する。
図59A及び59Bはそれぞれ、図15と図27とに示す流体制御層200のシークエンシング室層250の斜視図及び平面図を示す。再度説明すると、シークエンシング室層250を例えば、ポリカーボネート又はR2Rプロセスで使用するのに適切な他の任意の材料から形成することができる。シークエンシング室層250は、シークエンシング作業が行われる、すなわちシーケンシング室258を使用する、流体制御層200の層である。
流体制御層200の積層内に薄膜バルブ242を形成するために、シークエンシング室層250は開口部252のセットを含む。流体制御層200の積層内に薄膜バルブ244を形成するために、シークエンシング室層250は開口部254のセットも含む。薄膜バルブ246が存在する場合には、流体制御層200の積層内に薄膜バルブ246を形成するために、シークエンシング室層250は開口部255のセットを含む。さらに、シークエンシング室層250は、回動可能バルブアセンブリ1410と実質的に位置合わせされるとともに回動可能バルブアセンブリ1410への流路をもたらす、開口部256のセットを含む。
図60A及び60Bはそれぞれ、図15と図27とに示す流体制御層200の薄膜層240及びシークエンシング室上部層290の斜視図及び平面図を示す。薄膜層240を例えばシリコーンエラストマから形成することができる一方、シークエンシング室上部層290を例えば環状オレフィン系共重合体から形成することができる。薄膜層240は、流体制御層200の積層内で薄膜バルブ242、244及び246を開閉する弾性薄膜として働く。ここで軟性PCB層260と、シークエンシング室底部層280と、シーケンシング室層250と、薄膜層240とを順番に組み合わることによって薄膜バルブ242、244及び246が生み出される。図60A及び60Bは、シークエンシング室層250のシークエンシング室258を覆うために使用される、シークエンシング室上部層290も示す。
図61A及び61Bは、微少流体カートリッジアセンブリ1200を使用して、シークエンシングに関して必要な、マルチプレックスPCR及び下流混合を実施する方法4800の例の流れ図を示す。微少流体カートリッジアセンブリ1200は、図24に示す微少流体カートリッジ1100に基づくため、微少流体カートリッジアセンブリ1200は、4重の試料多重化のために構成される。さらに、方法4800では、13個の試薬容器1216を、1216a、1216b、1216c、1216d、1216e、1216f、1216g、1216h、1216i、1216j、1216、1216l及び1216mと呼ぶ。さらに方法4800は、微少流体カートリッジアセンブリ1200に流体的に連結された、出口ポンプ1114を利用する。出口ポンプ1114は、シークエンシング室258の下流に配置される。出口ポンプ1114は、正圧及び負圧(すなわち真空圧)の両方をもたらすことができる。方法4800は以下のステップを含むが、本発明は以下のステップに限定されるものではない。
ステップ4810では、使用する準備ができている微少流体カートリッジアセンブリ1200を設ける。すなわち、微少流体カートリッジアセンブリ1200に、所望の液体が入った1つ以上の容器を提供する。例えば、試薬容器1216に同じ又は異なる液状試薬を充填することができる。ある例では、試薬容器1216a−mのすべてに水素添加バッファ(HT1)を充填する。方法4800はステップ4815に進む。
ステップ4815では、全ての薄膜バルブを閉鎖し、試料/PCR混合物(samples/PCR MIX)を投入する。「PCR混合物」とは、定期的なPCRで使用してDNAテンプレートを増幅するために最適化されたPCRマスター混合物(PCR Master Mix)を意味する。このステップでは、薄膜バルブ242a及び244aを閉鎖し、薄膜バルブ242b及び244bを閉鎖し、薄膜バルブ242c及び244cを閉鎖し、並びに薄膜バルブ242d及び244dを閉鎖する。このようにして、PCRチャンネル222a、222b、222c及び222dの全てを完全に密封する。それから、第1液体試料をPCR混合物と混合し(以下sample/PCR_MIX1と呼ぶ)、試料投入ポート1214aに投入する。第2液体試料をPCR混合物と混合し(以下sample/PCR_MIX2と呼ぶ)、試料投入ポート1214bに投入する。第3液体試料をPCR混合物と混合し(以下sample/PCR_MIX3と呼ぶ)、試料投入ポート1214cに投入する。第4液体試料をPCR混合物と混合し(以下sample/PCR_MIX4と呼ぶ)、試料投入ポート1214dに投入する。このステップの完了時に、ある体積の試料を試料/PCR混合物は、試料投入ポート1214のそれぞれに位置し、処理の準備ができている。方法4800は、ステップ4820に進む。
ステップ4820では、第1試料に対する薄膜バルブを開放する。その後、第1試料を出してPCR領域に入れる。そして、第1試料に対する薄膜バルブを閉鎖する。例えば、PCRチャンネル222aに対する薄膜バルブ242a及び244aを開放する。その後、出口ポンプ1114を使用して、sample/PCR_MIX1を出してPCRチャンネル222aに入れる。そして、PCRチャンネル222aに対する薄膜バルブ242a及び244aを閉鎖し、ある体積のsample/PCR_MIX1をPCRチャンネル222aの内部に目下密封する。方法4800は、ステップ4825に進む。
判定ステップ4825では、PCR領域に(すなわちPCR領域270に)投入する他の試料が用意されているか判定する。他の試料が用意されている場合には、方法4800はステップ4830に進む。他の試料が用意されていない場合には、方法4800はステップ4835に進む。
ステップ4830では、次の試料に対する薄膜バルブを開放する。その後、次の試料を出してPCR領域に入れる。そして、次の試料に対する薄膜バルブを閉鎖する。ある例では、PCRチャンネル222bに対する薄膜バルブ242b及び244bを開放する。その後、出口ポンプ1114を使用して、sample/PCR_MIX2を出してPCRチャンネル222bに入れる。そして、PCRチャンネル222bに対する薄膜バルブ242b及び244bを閉鎖し、ある体積のsample/PCR_MIX2をPCRチャンネル222bの内部に目下密封する。
他の例では、PCRチャンネル222cに対する薄膜バルブ242c及び244cを開放する。その後、出口ポンプ1114を使用して、sample/PCR_MIX3を出してPCRチャンネル222cに入れる。そして、PCRチャンネル222cに対する薄膜バルブ242c及び244cを閉鎖し、ある体積のsample/PCR_MIX3をPCRチャンネル222cの内部に目下密封する。
更に他の例では、PCRチャンネル222dに対する薄膜バルブ242d及び244dを開放する。その後、出口ポンプ1114を使用して、sample/PCR_MIX4を出してPCRチャンネル222dに入れる。そして、PCRチャンネル222dに対する薄膜バルブ242d及び244dを閉鎖し、ある体積のsample/PCR_MIX4をPCRチャンネル222dの内部に目下密封する。
方法4800は、ステップ4825に戻る。
ステップ4835では、PCRチャンネル222a内のsample/PCR_MIX1、PCRチャンネル222b内のsample/PCR_MIX2、PCRチャンネル222c内のsample/PCR_MIX3及びPCRチャンネル222d内のsample/PCR_MIX4によって、PCR作業を実施する。PCR作業の完了時における、sample/PCR_MIX1を以下PCR_MIX1と呼び、sample/PCR_MIX2を以下PCR_MIX2と呼び、sample/PCR_MIX3を以下PCR_MIX3と呼び、及びsample/PCR_MIX4を以下PCR_MIX4と呼ぶ。方法4800はステップ4840に進む。
ステップ4840において、回動可能バルブを第1PCR混合物位置に回動する。例えば、回動可能バルブアセンブリ1410のグリップ部1240を回動することによって、回動可能バルブアセンブリ1410の位置を、PCR_MIX1を保持する、PCRチャンネル222aに設定する。方法4800はステップ4845に進む。
ステップ4845では、第1PCR混合物に対する薄膜バルブを開放する。その後、第1PCR混合物を、回動可能バルブを通じてCMOSデバイスに向けて引出す。そして、第1PCR混合物に対する薄膜バルブを閉鎖する。例えば、第1チャンネル222aに対する薄膜バルブ242a及び244aを開放する。その後、出口ポンプ1114を使用して、PCR_MIX1を、PCRチャンネル222aから回動可能バルブアセンブリ1410を通じてPCRアウトプットチャンネル224に引出す。そして、薄膜バルブ242a及び244aを閉鎖する。方法4800は、ステップ4850に進む。
ステップ4850では、回動可能バルブを水素添加バッファ(HT1)位置に、すなわちHT1を保持する試薬容器1216に回動する。方法4800では、少なくとも1つの試薬容器1216がHT1を保持する。例として、試薬容器1216kは、ある体積のHT1を保持する。したがって、回動可能バルブアセンブリ1410のグリップ部1240を回動することによって、回動可能バルブアセンブリ1410の位置は、HT1を保持している、試薬容器1216kに目下設定される。方法4800はステップ4855に進む。
ステップ4855では、第1PCR混合物をHT1容器へ押込む。例えば、出口ポンプ1114を使用して、PCR_MIX1を回動可能バルブアセンブリ1410を通じて試薬容器1216kに押込み、試薬容器1216kでPCR_MIX1をHT1と混合する。方法4800は、ステップ4860に進む。
判定ステップ4860では、HT1と混合する他のPCR混合物が用意されているか判定する。他のPCR混合物が用意されている場合には、方法4800はステップ4865に進む。他のPCR混合物が用意されていない場合には、方法4800はステップ4885に進む。
ステップ4865において、回動可能バルブを次のPCR混合物位置に回動する。ある例では、回動可能バルブアセンブリ1410のグリップ部1240を回動することによって、回動可能バルブアセンブリ1410の位置を、PCR_MIX2を保持する、PCRチャンネル222bに設定する。他の例では、回動可能バルブアセンブリ1410のグリップ部1240を回動することによって、回動可能バルブアセンブリ1410の位置を、PCR_MIX3を保持する、PCRチャンネル222cに設定する。更に他の例では、回動可能バルブアセンブリ1410のグリップ部1240を回動することによって、回動可能バルブアセンブリ1410の位置を、PCR_MIX4を保持する、PCRチャンネル222dに設定する。方法4800はステップ4870に進む。
ステップ4870では、次のPCR混合物に対する薄膜バルブを開放する。その後、次のPCR混合物を、回動可能バルブを通じてCMOSデバイスに向けて引出す。そして、次のPCR混合物に対する薄膜バルブを閉鎖する。ある例では、PCRチャンネル222bに関する薄膜バルブ242b及び244bを開放する。その後、出口ポンプ1114を使用して、PCR_MIX2を、PCRチャンネル222bから回動可能バルブアセンブリ1410を通じてPCRアウトプットチャンネル224に引出す。そして、薄膜バルブ242b及び244bを閉鎖する。他の例では、PCRチャンネル222cに対する薄膜バルブ242c及び244cを開放する。その後、出口ポンプ1114を使用して、PCR_MIX3を、PCRチャンネル222cから回動可能バルブアセンブリ1410を通じてPCRアウトプットチャンネル224に引出す。そして、薄膜バルブ242c及び244cを閉鎖する。更に他の例では、PCRチャンネル222dに対する薄膜バルブ242d及び244dを開放する。その後、出口ポンプ1114を使用して、PCR_MIX4を、PCRチャンネル222dから回動可能バルブアセンブリ1410を通じてPCRアウトプットチャンネル224に引出す。そして、薄膜バルブ242d及び244dを閉鎖する。方法4800は、ステップ4875に進む。
ステップ4875において、回動可能バルブをHT1位置に回動する。例えば、回動可能バルブアセンブリ1410のグリップ部1240を回動することによって、回動可能バルブアセンブリ1410の位置を、HT1を保持する、試薬容器1216kに戻す。方法4800はステップ4880に進む。
ステップ4880では、次のPCR混合物をHT1容器に押込む。ある例では、出口ポンプ1114を使用して、PCR_MIX2を回動可能バルブアセンブリ1410を通じて試薬容器1216kに押込み、試薬容器1216kでPCR_MIX2をHT1と混合する。他の例では、出口ポンプ1114を使用して、PCR_MIX3を回動可能バルブアセンブリ1410を通じて試薬容器1216kに押込み、試薬容器1216kでPCR_MIX3をHT1と混合する。更に他の例では、出口ポンプ1114を使用して、PCR_MIX4を回動可能バルブアセンブリ1410を通じて試薬容器1216kに押込み、試薬容器1216kでPCR_MIX4をHT1と混合する。方法4800は、ステップ4860に戻る。
ステップ4885において、HT1容器からの混合物をシークエンシング室へ引出し、クラスタリング/シークエンシング法を実行する。例えば、試薬容器1216kはHT1、PCR_MIX1、PCR_MIX2、PCR_MIX3及びPCR_MIX4の混合物を目下保持しており、この混合物を試薬容器1216kから引出して、シークエンシング供給チャンネル228に沿ってシークエンシング室258に引き出す。その後、CMOS撮像センサ262を使用して、クラスタリング/シークエンシング法を実行する。以上をもって方法4800が終了する。
1つ以上の実施形態には、アクセス可能なバイオセンサアクティブ領域を有するCMOSフローセルを含むことができる。例えば、CMOSフローセルを、使い捨ての消耗品として設計することができる。このことは、CMOSフローセルを小型で安価なデバイスとするのに有利となり得る。小型CMOSフローセルにおいて、できるだけ多くのバイオセンサアクティブ領域を使用することが重要である。しかしながら、原行のCMOSフローセルの設計では、バイオセンサアクティブ領域を100%利用することができない。したがって、CMOSフローセルにおけるバイオセンサアクティブ領域をより一層利用できる新たな方法が求められている。本明細書で説明する実施形態には、図62から75を参照して以下示し説明するように、バイオセンサアクティブ領域の大部分又は最大約100%が試薬輸送及び照射のためにアクセス可能である、CMOSフローセルを含むことができる。
図62は、バイオセンサアクティブ領域の大部分又は最大約100%が試薬輸送及び照射のためにアクセス可能である、CMOSフローセル4900の例の側面図を示す。CMOSフローセル4900は、例えば軟性PCB基板である、PCB基板4910を含む。CMOSバイオセンサデバイス4920がPCB基板4910上に存在する。CMOSバイオセンサデバイス4920はCMOS撮像センサであり、CMOS撮像センサ上にバイオ層を含む。またラミネートフィルム4930が、PCB基板4910上に、CMOSバイオセンサデバイス4920を囲んで存在する。ラミネートフィルム4930を例えば、エポキシ、ポリイミド又は他のプラスチックフィルム、シリコン、カプトン(登録商標)及びビスマレイミドトリアジン(BT)基板等から形成することができる。PCB基板4910及びラミネートフィルム4930を、軟性PCB技術を使用して形成することができる。PCB平面に空洞を機械加工することによって、平坦化された表面を生み出すこともできる。
ラミネートフィルム4930の目的は、CMOSバイオセンサデバイス4920の周りに、CMOSバイオセンサデバイス4920の上面と実質的に同一平面である、拡張された平面を提供することである。ある例では、CMOSバイオセンサデバイス4920のダイの厚さは約100μmである場合に、ラミネートフィルム4930の厚さは約100μm±約5μmである。
PCB基板4910とラミネートフィルム4930との間の細い隙間の、CMOSバイオセンサデバイス4920の周りには、トレンチ又はチャンネル4950が形成される。トレンチ又はチャンネル4950の幅を例えば、約100μmから約1000μmとすることができる。トレンチ又はチャンネル4950には、CMOSバイオセンサデバイス4920及びラミネートフィルム4930の両方にわたって実質的に連続した平面を形成するために、充填材4952が充填される。充填材4952は、CMOSバイオセンサデバイス4920上で起きる反応を妨げない材料である。充填剤4952を例えば、紫外線(UV)硬化性エポキシ又は熱硬化性エポキシ等とすることができる。
CMOSバイオセンサデバイス4920及びラミネートフィルム4930の上に、流れチャンネル4942が統合されるフローセル蓋4940が存在する。さらに、フローセル蓋4940は、流れチャンネル4942に対する出入口ポートを提供する第1ポート4944及び第2ポート4946を含む。フローセル蓋4940を、光透過性であり、解析検出で使用されるスペクトル部分で自己蛍光が僅か又は自己蛍光しない材料から形成する。当該材料を例えば環状オレフィン系共重合体(COC)とすることができるが、これに限定されるものではない。フローセル蓋4940の全体の厚さを、例えば約300mmから約1000mmとすることができる。フローセル蓋4940をラミネートフィルム4930に接着する接着領域が、流れチャンネル4942の外側に存在する。低自家蛍光接着剤によって接着することができる。
CMOSバイオセンサデバイス4920及びラミネートフィルム4930の両方にわたって実質的に連続する平面が存在するため、フローセル蓋4940内の流れチャンネル4942の領域を、CMOSバイオセンサデバイス4920の全体にわたって広がる寸法とすることができる。すなわち、フローセル蓋4940内の流れチャンネル4942の領域は、バイオセンサアクティブ領域の約100%に広がることができる。ある例では、CMOSバイオセンサデバイス4920のダイの寸法が約 8 mm x 9 mmである場合、アクティブ領域は約 7 mm x 8 mmである。しかしながら、CMOSバイオセンサデバイス4920のダイの寸法を例えば、最大約 25 mm x 25 mm とし、アクティブ領域を比例してより大きくすることができる。
図62は例えば、流れチャンネル4942を満たす試薬液4954を示す。CMOSバイオセンサデバイス4920上の、流れチャンネル4942の試薬液4954で化学反応が起こる。CMOSバイオセンサデバイス4920がフローセル蓋4940を通過して照射されるときに、CMOSバイオセンサデバイス4920を用いて流れチャンネル4942内で起きる化学反応を感知する。CMOSバイオセンサデバイス4920からの信号を取得するために、PCB基板4910を通る電気的接続(図示せず)を設ける。CMOSフローセル4900では、試薬輸送及び照射のために、CMOSバイオセンサデバイス4920のバイオセンサアクティブ領域の約100%にアクセスすることができる。
図63は、図62に示すCMOSフローセル4900の一具体化例の分解図を示す。図63は、CMOSバイオセンサデバイス4920がアクティブ領域4922を含むことを示す。CMOSバイオセンサデバイス4920のアクティブ領域4922の外側の任意の領域は非アクティブ領域4924である。例えばフリップチップ技術を使用して、CMOSバイオセンサデバイス4920をPCB基板4910に取り付けることができる。さらに、ラミネートフィルム4930は、ラミネートフィルム4930がPCG基板4910に対して積層されたときに、CMOSバイオセンサデバイス4920を受け入れる寸法の開口部又は窓4932を含む。ラミネートフィルム4930をPCB基板4910に積層するのに先立って、ラミネートフィルム4930に開口部又は窓4932を設ける。フローセル蓋4940をラミネートフィルム4930に接着するときに、流れチャンネル4942をCMOSバイオセンサデバイス4920と実質的に位置合わせし、流れチャンネル4942の領域がCMOSバイオセンサデバイス4920の領域を越えて延在する。図63では、フローセル蓋4940を透明に示す。図64及び65はそれぞれ、図63に示すCMOSフローセル4900が完全に組立てられた際の斜視図及び側面図を示す。
図66は、図63、64及び65に示すCMOSフローセル4900のフローセル蓋4940の例の斜視図を示す。すなわち、図66は、図63、64及び65に示すCMOSフローセル4900のフローセル蓋4940の上面斜視図及び底面斜視図を示す。この例では、第1ポート4944及び第2ポート4946の直径を約750μmとすることができる。さらに、流れチャンネル4942の深さ又は高さを約100μmとすることができる。
図67、68、69及び70は、CMOSフローセルにおいて拡張された平面をもたらすプロセスの例を示す。当該平面上にフローセル蓋を取り付けることができる。
これから図67を参照して、第1ステップでは、ラミネートフィルム4930及びCMOSバイオセンサデバイス4920をPCB基板4910上に設ける。トレンチ又はチャンネル4950がCMOSバイオセンサデバイス4920の周りに存在する。ラミネートフィルム4930の開口部又は窓4932が、CMOSバイオセンサデバイス4920よりもわずかに大きいために、トレンチ又はチャンネル4950が存在する。
図68を参照して、次のステップでは、トレンチ又はチャンネル4950の上側を、例えばトレンチ又はチャンネル4950に対して密着する構成の光透過性エラストマ4960で密封する。エラストマ4960は光透過的であり、紫外光はエラストマ4960を通過できる。エラストマ4960の目的は、充填に備えてトレンチ又はチャンネル4950の上部を塞ぐことである。
図69を参照して、次のステップでは、トレンチ又はチャンネル4950を、例えばPCB基板4910の貫通孔4916の組を使用して、充填材4952で充填する。充填材4952は例えば紫外線硬化性エポキシであり、この構成がエラストマ4960を光透過的とする理由である。
図70を参照して、次のステップでは、充填材4952を硬化させた後に、エラストマ4960を取り除いて、フローセル蓋(例えばフローセル蓋4940)を受け止めるフローセルにおいて実質的に連続する平面が目下現われる。
図71A、71B、71C及び71Dは、その上にフローセル蓋を取り付けることができる、CMOSフローセルにおいて拡張された平面をもたらすプロセスの他の例を示す。
これから図71Aを参照して、第1ステップでは、CMOSバイオセンサデバイス4920をPCB基板4910上に設ける。
図71Bを参照して、次のステップでは、CMOSバイオセンサデバイス4920及びPCB基板4910の周りに、鋳型5510(例えばクラムシェル型鋳型)を設置する。鋳型5510は、PCB基板4910上のCMOSバイオセンサデバイス4920周りに、スペース又は隙間5512をもたらす。
図71Cを参照して、次のステップでは、例えば低圧射出成形プロセス又は反応射出成形プロセスを使用して、鋳型5510のスペース又は隙間5512を充填材4952(例えば紫外線硬化性又は熱硬化性エポキシ)で充填する。
図71Dを参照して、次のステップでは、充填材4952を硬化させ、鋳型5510を外すと、フローセル蓋(例えばフローセル蓋4940)を受け止めるフローセルにおいて実質的に連続する平面が目下現われる。
図72、73、74及び75は、その上にフローセル蓋を取り付けることができる、CMOSフローセルにおいて拡張された平面をもたらすプロセスの更に他の例を示す。
これから図72を参照して、第1ステップでは、CMOSバイオセンサデバイス4920をPCB基板4910上に設ける。また、機械的材片5910をPCB基板4910上のCMOSバイオセンサデバイス4920の一端部に設ける。同様に、機械的材片5912をPCB基板4910上のCMOSバイオセンサデバイス4920の他端部に設ける。機械的材片5910及び5912を例えばブランクシリコン(blank silicon)、ガラス又はプラスチックとすることができる。トレンチ又はチャンネル5914が、機械的材片5910とCMOSバイオセンサデバイス4920との間に存在する。他のトレンチ又はチャンネル5914が、機械的材片5912とCMOSバイオセンサデバイス4920との間に存在する。
図73を参照して、次のステップでは、バリア5916のセットをトレンチ又はチャンネル5914の端部に設ける。例えば、充填に備えて、バリア5916a及び5916bはトレンチ又はチャンネル5914の両端部を塞ぎ、バリア5916c及び5916dは他のトレンチ又はチャンネル5914の両端部を塞ぐ。
図74を参照して、次のステップでは、トレンチ又はチャンネル5914を充填材4952(紫外線硬化性エポキシ又は熱硬化性エポキシ等)で満たす。充填剤4952は、バリア5916aとバリア5916bとの間、及びバリア5916cとバリア5916dとの間に留まる。
図75を参照して、次のステップでは、充填材4952を硬化させると、フローセル蓋(例えばフローセル蓋4940)を受け止めるフローセルにおいて実質的に連続する平面が目下現われる。
本開示の様々な態様を、方法、システム、コンピュータ可読媒体及び/又はコンピュータプログラム製品として具体化できることを理解できる。本開示の態様は、ハードウェアの実施形態、(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコード等を含む)ソフトウェアの実施形態、又は、本明細書で一般に「回路」、「モジュール」又は「システム」と呼ばれる、ソフトウェア及びハードウェアの態様を組み合わせた実施形態の形態をとることができる。さらに、本開示の方法は、コンピュータ使用可能記憶媒体で具体化されたコンピュータ使用可能プログラムコードを有する、コンピュータ使用可能記憶媒体のコンピュータプログラム製品の形態をとることができる。
任意の適切なコンピュータ使用可能媒体を、本開示のソフトウェアの態様に対して使用することができる。コンピュータ使用可能媒体又はコンピュータ読取可能媒体を、例えば電子的、磁気的、光学的、電磁気的、赤外的又は半導体の、システム、機器、デバイス又は伝達媒体とすることができるが、これらに限定されるものではない。コンピュータ読取可能媒体は、一時的及び/又は非一時的な実施形態を含むことができる。コンピュータ読取可能媒体のより具体的な例(非包括的なリスト)には、一本以上のワイヤを含む電気的接続、ポータブルコンピュータのディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブルROM(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバ、ポータブル読取専用コンパクト記憶ディスク(CDROM)、光記憶装置、例えばインターネット若しくはイントラネットを維持する伝送媒体又は磁気記憶装置の一部又は全部を含むことができるが、これらに限定されるものではない。なお、コンピュータ使用可能又はコンピュータ読取可能媒体を、プログラムが印刷された、紙又は他の適切な媒体とすることさえもできる。これは、例えば紙又は他の媒体を光学読み取りすることで、当該プログラムを電気的に取り込み、コンパイルし、解釈し又は適切な方法で処理し、その後必要に応じてコンピュータのメモリ内に格納することができるからである。本明細書の文脈において、コンピュータ使用可能媒体又はコンピュータ読取可能媒体を、命令実行システム、機器若しくはデバイスが使用する又はこれらに関連する、プログラムを含む、格納する、伝達する若しくは伝送することができる任意の媒体とすることができる。
本明細書で説明する方法及び機器の作業を実行するプログラムコードを、オブジェクト指向プログラミング言語(Jave、Smalltalk又はC++等)で記述することができる。しかしながら、本明細書で説明する方法及び機器の作業を実行するプログラムコードを、従来の手続き型プログラミング言語(例えば“C”プログラミング言語又は類似のプログラミング言語)で記述することもできる。プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)又はプログラムコードを実行する他の構成要素によって、プログラムコードを実行することができる。プログラムコードを単に、メモリ(例えば上述したコンピュータ読取可能媒体)に格納されるソフトウェアアプリケーションと呼ぶことができる。プログラムコードは、プロセッサ(又は任意のプロセッサ制御デバイス)にグラフィカルユーザーインターフェース(「GUI」)を生成させることができる。グラフィカルユーザーインターフェースをディスプレイ装置に視覚的に生成することができ、またグラフィカルユーザーインターフェースは可聴式となる構成を備えることもできる。しかしながら、プログラムコードは、任意のプロセッサ制御デバイス(例えばコンピュータ、サーバ、携帯情報端末、電話、テレビジョン、又はプロセッサ及び/若しくはデジタル信号プロセッサを利用する任意のプロセッサ制御デバイス)で動作することができる。
プログラムコードをローカルで及び/又はリモートで実行することができる。プログラムコードを例えば、プロセッサ制御デバイスのローカルメモリに完全に又は部分的に格納することができる。しかしながら、プログラムコードを少なくとも部分的に遠隔に格納しアクセスし、プロセッサ制御デバイスにダウンロードすることができる。ユーザのコンピュータは例えば、プログラムコードを完全に実行することができ、又はプログラムコードを部分的にのみ実行することができる。プログラムコードを、ユーザのコンピュータに少なくとも部分的に存在する、及び/若しくは、リモートコンピュータで部分的に実行する、又はリモートコンピュータ若しくはサーバで完全に実行する、スタンドアローンのソフトウェアパッケージとすることができる。後者のシナリオでは、通信ネットワークを通じて遠隔のコンピュータをユーザのコンピュータに接続することができる。
本明細書で説明する方法及び装置を、ネットワーキング環境の有無に関わらず適用することができる。通信ネットワークを、無線周波数ドメイン及び/又はインターネットプロトコル(IP)ドメインで動作するケーブルネットワークとすることができる。しかしながら、通信ネットワークは、インターネット(あるいはワールドワイドウェブとして知られているもの)、イントラネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)及び/又は広域ネットワーク(WAN)等の分散コンピューティングネットワークを含むこともできる。通信ネットワークは、同軸ケーブル、銅線、光ファイバーライン及び/又はハイブリッド同軸ラインを含むことができる。通信ネットワークは、電磁スペクトルの任意の部分、及び任意の信号標準方式(例えばIEEE 802標準ファミリ、GSM/CDMA/TDMA又は任意の無線規格及び/又はISMバンド)を利用する無線部分を含むことさえできる。通信ネットワークは、信号が電気配線によって伝達される、パワーライン部を含むことさえできる。本明細書で説明する方法及び装置を、物理的な構成部分、物理的な構成又は通信規格に関わらず、任意の無線/有線通信ネットワークに適用することができる。
本開示の特定の態様を、様々な方法及び方法のステップに関して説明する。それぞれの方法のステップをプログラムコード及び/又は機械語命令によって実装できることを理解するであろう。プログラムコード及び/又は機械語命令は、当該方法で特定される機能/行為を実装する手段を与えることができる。
プロセッサ、コンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理機器に、コンピュータ読取可能メモリに格納されたプログラムコードが当該方法のステップの様々な態様を実装する命令手段を含む製品を製造又は変形するような特定の方法で動作するよう指示することができる、プログラムコードを、コンピュータ読取可能メモリに格納することもできる。
プログラムコードをコンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理機器にロードして、一連の動作ステップを実施して、プログラムコードが本開示の方法で特定された様々な機能/行為を実装するステップをもたらすように、プロセッサ/コンピュータに実装された処理を生じさせることもできる。
一実施形態では、カートリッジハウジングを有する取外可能カートリッジを備えるシステムが提供される。取外可能カートリッジは、カートリッジハウジング内に配置される流体ネットワークも含む。流体ネットワークは、生物試料を受け入れ流体的に送り、試料解析又は試料調製の少なくとも一方を行うように構成される。取外可能カートリッジは、流体ネットワークに動作可能に接続され、流体ネットワークに対して相対移動可能であり、流体ネットワークを通る生物試料の流量を制御する流量制御バルブも含む。カートリッジハウジングは、取外可能カートリッジの外面を画定するとともに流量制御バルブの動作に対するアクセスを可能とするハウジング面を含む。システムは、取外可能カートリッジのハウジング面に分離可能に係合するように構成される制御面を有する基礎器具も含む。ハウジング面及び制御面は合わせてシステムインタフェースを定める。基礎器具はシステムインタフェースを通じて流量制御バルブに係合するバルブアクチュエータを含む。取外可能カートリッジは、取外可能カートリッジ又は基礎器具の少なくとも一方によって保持される検出アセンブリも含む。検出アセンブリは、撮像検出器、及び流体ネットワークと流体連通する反応室を含む。撮像検出器は反応室内の指定の反応を検出するように構成される。
一態様では、本明細書で説明する基礎器具の制御面及び本明細書で説明する取外可能カートリッジのハウジング面は、全体的に平坦であるとともに互いに向かい合う。システムインタフェースを、基礎器具及び取外可能カートリッジがハウジング面及び制御面のみを通じて動作可能に互いに結合する単面インタフェースとすることができる。任意に、基礎器具及び取外可能カートリッジがシステムインタフェースにおいてシステムインタフェースを通じてもたらされる、流体的結合、電気的結合又は熱的結合の少なくとも1つによって互いに固定されるように、基礎器具及び取外可能カートリッジは動作可能に結合することができる。
他の態様では、重力に関して、本明細書で説明する基礎器具の制御面は基礎器具の上面を表すことができ、取外可能カートリッジが、基礎器具に据わり、基礎器具によって支持される。
他の態様では、本明細書で説明する基礎器具のバルブアクチュエータは、ハウジング面を通ってカートリッジ内へ延在する、細長いアクチュエータ本体を含むことができる。
他の態様では、本明細書で説明する取外可能カートリッジの流量制御バルブは、制御面を通って基礎器具内へ延在する、細長いアクチュエータ本体を含むことができる。
他の態様では、本明細書で説明する基礎器具は、制御面に対して反対方向を向く器具面を有することができる。基礎器具及び取外可能カートリッジの結合部の寸法を、基礎器具における、制御面と器具面との間に延在する器具の寸法よりも大きくすることができる。
他の態様では、取外可能カートリッジ及び基礎器具のそれぞれは、電気的接点の接点アレイを含むことができる。接点アレイを、システムインタフェースにおいて互いに電気的に結合することができる。
他の態様では、本明細書で説明する取外可能カートリッジのハウジング面を第1ハウジング面とすることができ、カートリッジハウジングは第2ハウジング面を含むこともできる。第1ハウジング面及び第2ハウジング面は異なる方向を向く。システムインタフェースは、基礎器具及び取外可能カートリッジが第1ハウジング面及び第2ハウジング面のそれぞれに沿って動作可能に互いに結合する複面インタフェースである。
任意に、本明細書で説明する取外可能カートリッジの第1ハウジング面及び第2ハウジング面が互いに全体的に直角をなすことができる。基礎器具は、直交する方向を向くとともに基礎器具のオープンサイドの凹部を形成する、第1制御面及び第2制御面を含む器具ハウジングを有することができる。取外可能カートリッジの少なくとも一部はオープンサイドの凹部内に配置され、第1ハウジング面及び第2ハウジング面が第1制御面及び第2制御面に係合することができる。
ある態様では、本明細書で説明する基礎器具のバルブアクチュエータは、システムインタフェースを通って第1ハウジング面と第2制御面との間で延在する細長い本体を含むことができる。第2ハウジング面及び第2制御面はそれぞれ電気的接点の接点アレイを含むことができる。それぞれの接点アレイをシステムインタフェースに沿って互いに電気的に結合することができる。
他の態様では、本明細書で説明する取外可能カートリッジの第1ハウジング面及び第2ハウジング面は全体的に反対方向を向く。基礎器具は器具面と器具面に対して開口するカートリッジ受け入れスロットとを有することができる。取外可能カートリッジをカートリッジ受け入れスロット内に配置することができる。
他の態様では、取外可能カートリッジ及び基礎器具は、第1ハウジング面に沿って流体的に結合され、第2ハウジング面に沿って電気的に結合される。任意に、基礎器具は、第1ハウジング面又は第2ハウジング面の少なくとも一方に係合して、取外可能カートリッジを基礎器具内に保持するロッキング機構を含む。
他の態様では、取外可能カートリッジ及び基礎器具のそれぞれは流れポートを含むことができる。それぞれの流れポートはシステムインタフェースにおいて互いに流体的に結合する。
他の態様では、本明細書で説明するシステムは、取外可能カートリッジ又は基礎器具の少なくとも一方に取付けられるロッキング機構を更に含むことができる。ロッキング機構はカートリッジハウジングを基礎器具に取外可能に固定するように構成される。
他の態様では、基礎器具は本明細書で説明するシステムの撮像検出器を保持することができ、取外可能カートリッジは反応室を保持することができる。
他の態様では、本明細書で説明する取外可能カートリッジの流量制御バルブは流体ネットワークを通る生物試料の流量を制御するように構成される軟性薄膜を含むことができる。バルブアクチュエータは軟性薄膜を第1の状態と第2の状態との間で曲げることができる。
他の態様では、本明細書で説明する取外可能カートリッジのカートリッジハウジングのハウジング面は、ハウジング面を通るとともにバルブアクチュエータを受け入れるアクセス開口部を含むことができる。
他の態様では、本明細書で説明する基礎器具の流量制御バルブは流体ネットワークを通る流体の流量を制御するように構成される回動可能バルブを含むことができる。バルブアクチュエータは回動可能バルブを回動することができる。
他の態様では、本明細書で説明する基礎器具はサーマルブロックを含むことができ、カートリッジハウジングの流体ネットワークは、生物試料により指定の反応が起こる試料チャンネルを含むことができる。ハウジング面は、試料チャンネルに沿って延びるとともに試料チャンネルの温度を変えるためのサーマルブロックを受け入れるように構成されるアクセス開口部を含むことができる。
他の態様では、本明細書で説明する取外可能カートリッジの流体ネットワークは複数のチャンネルと貯蔵モジュールとを含むことができる。貯蔵モジュールは、試料調製又は試料解析の少なくとも一方のために使用される試薬を貯蔵する複数の容器を含むことができる。
他の態様では、本明細書で説明する基礎器具は、バルブアクチュエータの動作を制御して、流体ネットワークを通る生物試料の流量を制御するように構成される、バルブ制御モジュールを有するシステムコントローラを含む。
一実施形態では、核酸の配列を決定する方法が提供される。核酸の配列を決定する方法は、カートリッジハウジング、カートリッジハウジング内に配置される流体ネットワーク、及び流体ネットワークに動作可能に結合されるとともに流体ネットワークに対して相対移動可能である流量制御バルブを有する、取外可能カートリッジを設ける設置ステップを含む。カートリッジハウジングは、取外可能カートリッジの外面を画定するハウジング面を含む。核酸の配列を決定する方法は、取外可能カートリッジを基礎器具に接触させる接触ステップも含む。取外可能カートリッジのハウジング面が基礎器具の制御面に分離可能に係合して、共同してシステムインタフェースを定める。基礎器具は、システムインタフェースを通じて流量制御バルブに係合するバルブアクチュエータを備える。核酸の配列を決定する方法は、生物試料を取外可能カートリッジの流体ネットワークを通じて流体的に流し、試料解析又は試料調製の少なくとも一方を取外可能カートリッジで行う流動ステップも含む。生物試料を反応室内へ流し、生物試料の流れを流量制御バルブに係合するバルブアクチュエータの動作によって制御する。核酸の配列を決定する方法は、反応室に向けた撮像検出器を用いて、生物試料を検出する検出ステップも含み、検出アセンブリは取外可能カートリッジ又は基礎器具の少なくとも一方によって保持される。
ある態様では、本明細書で説明する方法は、取外可能カートリッジを基礎器具から取り外す取外ステップを含むこともできる。第2の取外可能カートリッジを基礎器具と機能的に結合させることによって、取外可能カートリッジを交換することができる。いくつかの取外可能カートリッジを、基礎器具と順次結合することができる。取外可能カートリッジが基礎器具と結合している間に、取外可能カートリッジを用いて試料を調製及び/又は解析し、その後基礎器具から取外す。
それゆえに、核酸の配列を決定する方法は、第2の取外可能カートリッジを基礎器具と接触させるステップを更に含むことができ、第2の取外可能カートリッジのハウジング面が、基礎器具の制御面に分離可能に係合して、共同してシステムインタフェースを定める。
他の態様では、本明細書で説明する方法は、取外可能カートリッジを基礎器具から取外すステップを含む。任意に、核酸の配列を決定する方法は、第2の取外可能カートリッジを基礎器具と接触させるステップを含み、第2の取外可能カートリッジのハウジング面は、基礎器具の制御面に分離可能に係合して、共同してシステムインタフェースを定める。
本明細書で説明する方法の他の態様では、単一の取外可能カートリッジにおいて、流動ステップと撮像ステップとを順番通り複数回繰り返す。
他の態様では、本明細書で説明する方法は、生物試料を流体ネットワークの試料調製領域に密封する密封ステップと、密封ステップの間に生物試料を増幅する増幅ステップと、を含む。
他の態様では、本明細書で説明する方法で使用される流量制御バルブは、複数バルブポートの間で延びる少なくとも1つの流れチャンネルを有する可動バルブを含み、バルブアクチュエータは、可動バルブを異なる位置の間で移動させるように構成される。
他の態様では、生物試料が流れチャンネルを通って反応室へ流れるときに、本明細書で説明する方法で使用される可動バルブが試料位置に存在しており、当該方法は、可動バルブを成分位置に移動させ、試薬を流れチャンネルを通って反応室へ流すステップを更に含み、反応室内で試薬は生物試料と反応する。
本明細書で説明する方法の他の態様では、成分位置は、複数の成分位置を含み、当該方法は、既定のシーケンスに従って可動バルブを複数の成分位置の間で移動させて、異なる試薬を反応室内へ流すステップを更に含む。
他の態様では、本明細書で説明する方法で使用される生物試料は核酸を含み、既定のシーケンスはSequencing By Synthesis(SBS)プロトコールに従う。
他の態様では、本明細書で説明する方法で使用されるフローセルは反応室を含む。生物試料はフローセルの1つ以上の表面に固定化される。
一実施形態では、カートリッジハウジングであり、カートリッジハウジングの外面に開口するとともに生物試料を受け入れるように構成される試料ポートを有するカートリッジハウジングを備える取外可能カートリッジが提供される。カートリッジハウジングは、電気的接点のアレイ及び外面に露出する機械的インタフェースを有する。カートリッジハウジングは、基礎器具に取外可能に結合するように構成される。取外可能カートリッジは、複数のチャンネル、反応室及び貯蔵モジュールを有する流体ネットワークを含むこともできる。貯蔵モジュールは試薬を貯蔵する複数の容器を含む。流体ネットワークは試薬を容器から反応室に送るように構成され、機械的インタフェースは流体ネットワークに対して相対移動して流体ネットワークを通る流体の流量を制御することができる。システムは、カートリッジハウジング内に配置されるとともに反応室内の指定の反応を検出するように位置付けられる撮像デバイスも含む。撮像デバイスは、基礎器具と通信するために電気的接点のアレイに電気的に結合する。機械的インタフェースを、取外可能カートリッジが基礎器具に結合しているときに、基礎器具によって移動されるように構成することができる。
ある態様では、本明細書で説明する取外可能カートリッジの機械的インタフェースは、流体ネットワークのチャンネルの1つを通る流体の流量を制御するように構成されるチャンネルバルブを含むことができる。
他の態様では、本明細書で説明する取外可能カートリッジのカートリッジハウジングは、機械的インタフェースに対するアクセスを可能にするアクセス開口部を含むことができる。任意に、機械的インタフェースは回動可能バルブを含む。
他の態様では、本明細書で説明する取外可能カートリッジのカートリッジハウジングは外面に露出するアクセス開口部を含むことができ、チャンネルは試料ポートと流体連通する試料チャンネルを含む。アクセス開口部は試料チャンネルに沿って延びることができるとともに試料チャンネルの温度を制御するサーマルブロックを受け入れるように構成され得る。
他の態様では、本明細書で説明する取外可能カートリッジのカートリッジハウジングは外面に露出する流体的結合ポートを含むことができ、流体的結合ポートは流体ネットワークと流体連通する。流体的結合ポートは器具ポートに係合して器具ポートを通る流体を受け入れるように構成される。
他の態様では、本明細書で説明する取外可能カートリッジのカートリッジハウジングは、反対方向を向く第1ハウジング面及び第2ハウジング面を含むことができる。第1ハウジング面は電気的接点のアレイを含むことができる。第2ハウジング面は機械的インタフェースを含むことができる。
他の態様では、取外可能カートリッジは、カートリッジハウジングに取付けることができるロッキング機構も備える。ロッキング機構はカートリッジハウジングを基礎器具に取外可能に固定するように構成され得る。
一実施形態では、カートリッジハウジングであり、カートリッジハウジングの外面に開口するとともに生物試料を受け入れるように構成される試料ポートを有するカートリッジハウジングを含む取外可能カートリッジが提供される。取外可能カートリッジは、カートリッジハウジング内に配置される回動可能バルブを含むこともできる。回動可能バルブは、流体面及び流体面で開口する複数のバルブポートを有する。回動可能バルブは、複数のバルブポートの間で延びる少なくとも1つの流れチャンネルを有し、回動可能バルブは異なる回動位置の間で回動可能である。取外可能カートリッジは、回動可能バルブの流体面に摺動可能に結合する本体面を有する微少流体本体を含むこともできる。微少流体本体は、少なくとも部分的に流体ネットワークを画定することもできる。流体ネットワークは、試料ポートと流体連通する試料チャンネルを含む。試料チャンネルは、微少流体本体の本体面に開口するネットワークポートを有する。流体ネットワークは、試薬を保持するように構成される容器を含むこともできる。容器は、微少流体本体の流体面に開口する容器ポートと流体連通する。流体ネットワークは、流体ネットワークの反応室と流体連通する供給チャンネルも含む。供給チャンネルは、微少流体本体の本体面に開口する供給ポートを有する。回動可能バルブは、第1回動位置と第2回動位置との間で回動するように構成される。回動可能バルブが第1回動位置に存在するときに、ネットワークポートは供給ポートに回動可能バルブを通じて流体的に結合される。回動可能バルブが第2回動位置に存在するときに、容器ポートは供給ポートに回動可能バルブを通じて流体的に結合される。
ある態様では、本明細書で説明する取外可能カートリッジのカートリッジハウジングは、基礎器具と係合するように構成される外側面を有することができる。回動可能バルブは、外側面でアクセス可能であるとともに基礎器具に係合するように構成される機械的インタフェースを含むことができる。
他の態様では、本明細書で説明する取外可能カートリッジにおいて、吸引力が液体試料を供給ポートに向かって引き寄せるときに、回動可能バルブは第1回動位置において液体試料を受け入れるように構成され得る。変位力が液体試料を供給ポートから容器内へ押込むときに、回動可能バルブは第2回動位置において液体試料を容器内へ変位させるように構成され得る。
他の態様では、本明細書で説明する取外可能カートリッジの回動可能バルブが軸線周りに回動する。供給ポートを軸線と位置合わせすることができる。
一実施形態では、カートリッジハウジングであり、カートリッジハウジングの外面に開口するとともに生物試料を受け入れるように構成される試料ポートを有するカートリッジハウジングを含む取外可能カートリッジが提供される。カートリッジハウジングは、基礎器具を向くとともに基礎器具に取外可能に結合するように構成される結合面を含むことができる。取外可能カートリッジは、カートリッジハウジング内に配置される流体ネットワークも含む。流体ネットワークは、試料ポートと流体連通する試料チャンネルを含む。取外可能カートリッジは、第1位置と第2位置との間で移動するように構成される軟性部材を有するチャンネルバルブも含む。軟性部材は、第1位置において試料チャンネルを通る流れを塞ぎ、第2位置において試料チャンネルを通る流れを許容する。カートリッジハウジングの結合面は、チャンネルバルブをカートリッジハウジングの外面に露出させるアクセス開口部を含む。アクセス開口部は、軟性部材を第1位置と第2位置との間で移動させる基礎器具のアクチュエータを受け入れるように構成される。
他の態様では、本明細書で説明する取外可能カートリッジの軟性部材は、流体ネットワークの内側空洞を覆う軟性層を含むことができる。軟性層は、内側空洞内に押込まれて内側空洞を通る流れを塞ぐように構成され得る。
他の態様では、取外可能カートリッジはカートリッジハウジング内に配置される回動可能バルブも備える。回動可能バルブは異なる位置の間で回動して流体ネットワークの流路を変えるように構成される。回動可能バルブは結合面に沿ってアクセスできる機械的インタフェースを含むことができる。
他の態様では、本明細書で説明する取外可能カートリッジの流体ネットワークは、試料チャンネルと流体連通するネットワークポートと、反応室と流体連通する供給ポートと、試薬を貯蔵するように構成される容器と流体連通する容器ポートとを含むことができる。取外可能カートリッジはカートリッジハウジング内に配置される回動可能バルブを備えることもできる。回動可能バルブは、第1回動位置に存在するときに供給ポート及びネットワークポートを流体的に結合し、第2回動位置に存在するときに供給ポート及び容器ポートを流体的に結合することができる。
他の態様では、本明細書で説明する取外可能カートリッジの結合面を第1結合面とすることができ、取外可能カートリッジは第2結合面を含むことができる。第1結合面及び第2結合面は反対方向を向く。第2結合面は基礎器具に機械的、流体的又は熱的に係合するように構成される。
一実施形態では、取外可能カートリッジに係合するように構成される制御面を有するシステムハウジングを備える基礎器具が提供される。基礎器具は、取外可能カートリッジの回動可能バルブに係合するように構成される回動モータも備える。基礎器具は更に、取外可能カートリッジのチャンネルバルブに係合するように構成されるアクチュエータと、取外可能カートリッジに電気的に連結するように構成される電気的接点のアレイとを備える。基礎器具は、回動モータ及びアクチュエータを制御して、取外可能カートリッジ内でアッセイプロトコールを行うように構成されるシステムコントローラも備える。システムコントローラは、取外可能カートリッジから電気的接点のアレイを通じて撮像データを受取るように構成される。任意に、基礎器具は、取外可能カートリッジの一部を加熱するサーマルブロックを備える。
一実施形態では、カートリッジハウジングであり、カートリッジハウジングの外面に開口するとともに生物試料を受け入れるように構成される試料ポートを有するカートリッジハウジングを備える取外可能カートリッジが提供される。カートリッジハウジングは、基礎器具を向くとともに基礎器具に取外可能に結合するように構成される結合面を含む。取外可能カートリッジは、カートリッジハウジング内に配置される微少流体本体も含む。微少流体本体は、本体面を有し、流体ネットワークを含む。流体ネットワークは、複数の分離したチャンネル、及び本体面のバルブ受入領域で開口する対応ポートを有する。取外可能カートリッジは、カートリッジハウジング内に配置される回動可能バルブも備える。回動可能バルブは、流体面、及び複数のバルブポートの間で延びる少なくとも1つの流れチャンネルを有する。バルブポートは流体面に開口する。流体面を、微少流体本体の本体面のバルブ受入領域に回動可能に結合し、回動可能バルブは異なる回動位置の間を移動して、分離したチャンネルに流体的に結合することができる。回動可能バルブは結合面に沿ってアクセス可能であるとともに基礎器具に係合するように構成される機械的インタフェースを有し、基礎器具は回動可能バルブを制御する。
一実施形態では、カートリッジハウジングであり、カートリッジハウジングの外面に開口するとともに生物試料を受け入れるように構成される試料ポートを有するカートリッジハウジングを備える取外可能カートリッジが提供される。カートリッジハウジングは、基礎器具に取外可能に結合するように構成される結合面を有する。取外可能カートリッジは、カートリッジハウジング内に配置されるとともに、複数の積層プリント基板(PCB)層を含む微少流体構造体も備える。プリント基板層が積層されているときにプリント基板層はチャンネル及び反応室を画定する流体制御層を含む。プリント基板層は配線層も含む。取外可能カートリッジは、微少流体構造体に装着されるように構成され、配線層に電気的に結合されるCMOS撮像素子も備える。CMOS撮像素子は、反応室内の指定の反応を検出する方向を向く。
ある態様では、取外可能カートリッジは、カートリッジハウジングの外面に露出する入出力(I/O)接点を含む。入出力接点は、CMOS撮像素子に電気的に結合することができる。
ある態様では、本明細書で説明する取外可能カートリッジの微少流体構造体はチャンネルバルブを含み、チャンネルバルブの少なくとも一部はプリント基板によって画定される。チャンネルバルブは、作動してチャンネルの1つを通る流れを塞いだり通したりするように構成される。
本明細書で用いる場合、単語 “a” 又は “an” に続いて単数形で記載される構成要素又はステップは、当該構成要素又はステップが複数存在することを除外すると明記されていない限り、当該構成要素又はステップが複数存在することを除外すると理解すべきではない。なお、「一実施形態」との記載は、記載された構成も組込まれる付加的な実施形態の存在を除外するように解釈されることを意図するものではない。さらに、特定の特性を持つ1つ以上の構成要素を「備える」又は「有する」実施形態は、当該特性の有無に関わらず、付加的な構成要素を含まないと明記されていない限り、付加的な構成要素を含むことができる。
なお、図示された実施形態の構成要素の特定の配置(例えば数、種類又は位置等)を、様々な代替的実施形態において変更することができる。様々な実施形態において、様々な数の所与のモジュール若しくはユニットを用いることができ、様々な種類の所与のモジュール若しくはユニットを用いることができ、所与のモジュール若しくはユニットを追加することができ、又は所与のモジュール若しくはユニットを省くことができる。
上述した説明は、例示的なものであり、限定的なものと解すべきではない。例えば、上述した複数の実施形態(及び/又は当該実施形態の態様)を、互いに組み合わせて用いることができる。さらに、様々な実施形態における教示に対して、当該教示の範囲から逸脱せずに、多数の変形を行って特定の状況又は材料に適合させることができる。寸法、材料の種類、様々な構成要素の向き、並びに本明細書で説明する様々な構成要素の数及び位置は、特定の実施形態における限定要素を定めることを意図するものであり、決して限定することを意図するものではなく、実施形態における単なる例示である。上述した説明を参照して、特許請求の範囲の精神及び範囲内に存在する、多数の他の実施形態及び変形が当業者にとって明らかである。したがって、特許権の権利範囲は、添付の特許請求の範囲に関連して決定され、特許請求の範囲の均等物の十分な範囲にも及ぶ。
本明細書で用いる場合、「例示的な実施形態において」等の表現は、説明した実施形態が単なる一例であることを意味する。当該表現は、実施形態に対する発明の主題を限定することを意図するものではない。発明の主題の他の実施形態は、記載した構成又は構造を含まないことがある。添付の特許請求の範囲において、用語「備える」、「であり(wherein)」の平易な英語の同等物として、用語「含む」及び「おいて(in which)」を使用する。さらに特許請求の範囲において、用語「第1」、「第2」及び「第3」等は単にラベルとして使用され、当該用語の対象に数の要件を課すことを意図するものではない。さらに、特許請求の限定は、表現 ”means for” を明確に使用して当該表現に続く更なる機能における構造の記載が欠けている場合を除いて、ミーンズ・プラス・ファンクションのフォーマットで記載されたものではなく、米国特許法112条(f)項に基づいて解釈されることを意図するものではない。