JP6959883B2 - オキシトシンの定量方法 - Google Patents

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Description

本発明は、試料中に含まれるオキシトシンを定量する方法に関する。
オキシトシンは、視床下部で合成され、脳下垂体後葉より分泌されるホルモンの一種でアミノ酸9個からなる分子量約1000のペプチドホルモンであり、子宮収縮、乳汁分泌、社会性活動などに関する生理活性を有することが知られている。特に近年は、オキシトシンと社会性活動との関連が注目されており、自閉症などの精神疾患に関連してその血中濃度が測定されている。
例えば、非特許文献1では、未処理のヒト血漿検体中のオキシトシン濃度と統合失調症患者の顔認知能力との関連が報告されており、オキシトシン濃度を測定することの臨床的な有用性が示唆されている。
ヒト血漿中において、オキシトシンは、本来の分子量約1000のオキシトシン(本明細書中「低分子形オキシトシン」ともいう)以外に、これよりも大きな分子量を有しつつも免疫活性を持つオキシトシン(本明細書中「高分子形オキシトシン」ともいう)が存在することが知られている(非特許文献2)。過去の報告においては、高分子形オキシトシンを含む状態でのオキシトシンの測定値の報告(非特許文献1、3、4)と、低分子形オキシトシンのみを抽出した測定値の報告(非特許文献5〜7)とが混在しており、高分子形オキシトシンを含む状態での測定値と低分子形オキシトシンのみの測定値との乖離が問題となっている。高分子形オキシトシンは、濃度的には低分子形オキシトシンの数百倍と高いことから、抽出処理なくヒト血漿中のオキシトシンを測定した場合には、濃度的に高い高分子形オキシトシンが測定されているからと考えられる。
低分子形オキシトシンの抽出には、逆相のC18 ODSのカラムが主に使用されており、低分子形オキシトシンの測定については、添加回収試験や希釈直線性試験等の定量性を担保する試験成績が良好であり、数値として信頼できる。
一方、高分子形オキシトシンを含む状態でのオキシトシンの測定については、希釈直線性が全く得られないなど、数値の信頼性が著しく低いことが問題となっている(非特許文献2)。更に、実際には測定値の定量性が低く、正確な測定ができているとは言い難い。
この問題の解決手段の一つとして、血漿中のオキシトシンを還元・アルキル化することにより希釈直線を正常化する手法が報告されているが、化学修飾という煩雑な手法にて前処理をする必要があり、また、前処理した検体をイムノアッセイにより測定した場合、キットにより測定値が大きく乖離してしまうことが報告されている(非特許文献8)。これは、当該手法が本来のオキシトシンの構造を変化させてしまうことから、抗体の交差反応性の程度によりシグナル強度が変化するためではないかと考えられる。
また、別の解決手段として、後期糖化反応生成物受容体(RAGE)とオキシトシンとの親和性を利用してオキシトシンを精製後、測定する方法が報告されている(特許文献1)。しかしながら、RAGEをリガンドとしたアフィニティークロマトグラフィー及び抗RAGE抗体をリガンドとしたアフィニティークロマトグラフィーという二段階のアフィニティークロマトグラフィーを必要とし、極めて煩雑である。更に、特許文献1では、抗RAGE抗体アフィニティークロマトグラフィーにより精製したオキシトシンのRAGEとの結合状態、乖離型と結合型のイムノアッセイにおける免疫活性の差の有無、及び処理分画を測定した際の測定値の妥当性などに関する考察が十分になされていない。
特開2016−114573号公報
Goldman, M. et al., Schizophr Res., 98(1-3), 247-255 (2008) Szeto, A. et al., Psychosom Med., 73(5), 393-400 (2011) Zak, P.J. et al., Hormones and Behavior, 48(4), 522-527 (2005) Kramer, K.M. et al., Can. J. Zool., 82, 1194-1200 (2004) Grewen K.M. et al., Psychophysiology, 47(4), 625-632 (2010) Tabak, B.A. et al., Psychoneuroendocrinology, 36(1), 115-122 (2011) Salonia, A. et al., Hormones and Behavior, 47, 164-169 (2005) Brandtzaeg, O.K. et al., Scientific Reports, 6, 31693 (2016)
本発明は、試料中に含まれるオキシトシンを正確に定量する方法を提供すること、特に、試料中に存在する免疫活性を持つ高分子形オキシトシンを正確に定量する方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、試料をトリプシン処理することによって、試料中に含まれるオキシトシンを正確に定量することが可能となること、特に、高分子形オキシトシンを正確に定量することが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のものを提供する。
[1] 試料をトリプシン処理することを含む、試料中のオキシトシンを定量する方法。
[2] 試料が高分子形オキシトシンを含む、上記[1]記載の方法。
[3] 高分子形オキシトシンを定量する方法である、上記[1]又は[2]記載の方法。
[4] トリプシン処理した試料をイムノアッセイすることを含む、上記[1]〜[3]のいずれか記載の方法。
[5] トリプシン処理に使用するトリプシンが固相化されている、上記[1]〜[4]のいずれか記載の方法。
[6] トリプシン処理前にC18 ODSカラムを用いて試料を分画することを含む、上記[1]〜[5]のいずれか記載の方法。
[7] 試料が血漿である、上記[1]〜[6]のいずれか記載の方法。
本発明によれば、試料をトリプシン処理することによって、従来不良であった希釈直線試験成績を改善し、試料中のオキシトシンを正確に定量することができる。
また、本発明によれば、免疫活性を有する高分子形オキシトシンを含む試料をトリプシン処理することによって、希釈試験に代表される妥当性試験の試験成績が大幅に改善されていることから、オキシトシンと臨床症状との関連をより明確に解析することが可能となる。
更に、本発明によれば、血漿中に含まれる高分子形オキシトシンを正確に定量することが可能であるから、血漿中オキシトシン濃度と社会行動及び精神疾患との関係についても正確な解析が可能となる。
図1は、トリプシン未処理高分子分画の希釈直線性を示すグラフである。 図2は、トリプシン処理した高分子分画の希釈直線性を示すグラフである。 図3は、固相化トリプシン処理した高分子分画の希釈直線性を示すグラフである。 図4は、トリプシン未処理血漿の希釈直線性を示すグラフである。 図5は、トリプシン処理血漿の希釈直線性を示すグラフである。
本発明の一実施態様では、試料をトリプシン処理することを含む、試料中のオキシトシンを定量する方法が提供される。
「試料」としては、オキシトシンを含みうる試料であれば特に限定されず、生物由来のものであっても工業製品由来のものであってもよい。
生物由来の試料としては、例えば、動物の血液、唾液、涙液、汗、尿、糞、胆汁、組織、細胞、これらいずれかの培養物、臓器から得られる採取物などを挙げることができる。なかでも、血液が好ましく、特に血漿が好ましい。動物としては、ヒト、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、サル、イヌ、ネコなどの哺乳動物が挙げられ、特にヒトが好ましい。
工業製品由来の試料としては、例えば、オキシトシンを含む製剤や溶液などが挙げられる。
試料は、採取したものをそのまま用いてもよいし、何らかの加工や調製を施した後に、トリプシン処理してもよい。
また、必要に応じて、定量対象であるオキシトシン以外の夾雑物を試料から取り除くための処理を、トリプシン処理前又はトリプシン処理後に行ってもよい。
例えば、血清や血漿等の血液、尿、唾液、その他の体液、組織懸濁液、培養上清などは、そのまま又は遠心操作により沈殿を除去した後そのまま分画せずに又は分画した後に、トリプシン処理を行うことができる。
分画には、逆相カラム、順相カラム、限外濾過、分子排除クロマトグラフィーなどを用いることができるが、逆相カラムを用いることが好ましく、C18 ODSカラムを用いることがより好ましく、C18遠心カラム(例えば、MonoSpin(登録商標)C18)を用いることが特に好ましい。
上記分画によって、低分子形オキシトシンと高分子形オキシトシンとを分画することができる。
本発明の別の実施態様では、試料が高分子形オキシトシンを含む、試料中のオキシトシンを定量する方法が提供される。また、本発明の好ましい実施態様では、試料中の高分子形オキシトシンを定量する方法が提供される。
本明細書において、「高分子形オキシトシン」とは、本来の分子量約1000(詳細には1007)のオキシトシン(「低分子形オキシトシン」)よりも大きい分子量を有するオキシトシン、又は他の分子と共有結合的若しくは非共有結合的に複合体を形成しつつもオキシトシンと同様の免疫活性を示す分子量約1000よりも大きい分子量を有する分子を意味する。高分子形オキシトシンが有しうる分子量の範囲は、その定量を本発明により効果的に行うことができる範囲であれば特段限定されるものではないが、例えば7万〜1万程度のものが挙げられ、一般的には7万付近の分子量を有するものが多い。
本明細書において、「トリプシン処理」とは、エンドペプチダーゼであるトリプシンを試料に加えて混和、反応させること、又は試料を固相化したトリプシンと接触させて反応させることを意味する。トリプシンは、本発明の目的を達成することができる限りその由来は特に限定されず、例えば、ブタ膵臓由来のものやウシ膵臓由来のものなどを使用することができる。また、トリプシンは、試料に加える際に、適宜、溶媒に溶解するなどして溶液にしてから用いてもよい。
トリプシン処理の具体的な方法としては、これらに限定されるわけではないが、例えば、試料にトリプシンを含む溶液を用いる方法、固相化されているトリプシンを用いる方法などが挙げられ、具体的には、試料にトリプシンを含む溶液を加えて反応させる方法、試料にトリプシンを固定化したゲルを加えて反応させる方法、トリプシンを固定化したカラム(例えば、MonoSpin(登録商標)Tripsin HP)に試料を添加しカラムを通過することで試料と反応させる方法などが挙げられる。使用するトリプシンの量又は濃度は、十分な定量精度が得られる範囲で任意に設定することができる。
また、必要に応じて、トリプシン処理の前に、試料を変性処理してもよい。変性処理を行うことにより、本発明におけるトリプシン処理の効果をより高めることができる。変性処理は、尿素やデオキシコール酸などの変性剤の添加、ジチオスレイトールなどの還元剤の添加、加温などにより行うことができるが、測定系への影響のない加温処理が望ましい。加温処理は、処理温度を50〜100℃の範囲、反応時間を10分〜2時間の範囲などの反応条件を適宜組み合わせて行うことができる。特に、血漿を試料とする場合には、変性処理を行うことが好ましい。
トリプシンを含む溶液又はトリプシンを固定化したゲルを用いるトリプシン処理は、例えば、反応温度を25〜56℃の範囲、緩衝液のpHを7.0〜9.5の範囲、反応時間を30分〜24時間の範囲などの反応条件を適宜組み合わせて行うことができる。
トリプシンを含む溶液を用いる場合には、例えば、阻害剤によって反応を終了させることができる。阻害剤としては、各種セリンプロテアーゼ阻害剤を使用することができ、4−(2−アミノエチル)ベンゼンスルホニルフルオリド(AEBSF)、アプロチニン、ベスタチン、E−64(Cayman Chemical社製)、ロイペプチン、ペプスタチンA、及びこれらを混合したインヒビターカクテル(Thermo Shientific社製)、並びに、トリプシンインヒビター(大豆由来)、フェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)、トシルリジンクロロメチルケトン(TLCK)などが挙げられる。
トリプシンを固定化したゲルを用いる場合には、例えば、遠心又はメンブランフィルターを用いてゲルに固定化されたトリプシンと試料とを分離することによって、反応を終了させることができる。
トリプシンを固定化したカラムを用いる場合には、例えば、試料を一定量の緩衝液(例えば、pH7.0〜9.5)にて希釈した後にカラムに負荷する。負荷した試料をカラムを通過させるためには、自然落下、加圧、遠心などの操作を用いることができる。また、十分に反応させるために、通過した試料を同じカラム又は別のカラムに負荷して、繰り返しカラムを通過させてもよい。
トリプシン処理を行った試料中のオキシトシンを定量する方法は、トリプシン処理を行った試料中のオキシトシンを定量可能な方法であれば特段限定されないが、イムノアッセイが好ましい。例えば、そのような定量方法としては、酵素免疫測定法(EIA)、放射性免疫測定法(RIA)、化学発光酵素免疫測定法(CLEIA)などが挙げられる。EIAを用いる方法としては、酵素基質にオルトフェニレンジアミンを用いて、490nmの吸光度を測定する方法が挙げられる。また、CLEIAを用いる方法としては、酵素基質にフェナシルリン酸を用いて、生成するフェナシルアルコールとルシゲニンとの発光強度を測定する方法が挙げられる。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
トリプシン溶液を用いたヒト血漿由来高分子形オキシトシン分画のトリプシン処理、及びオキシトシン定量における希釈試験
1.ヒト血漿由来高分子形オキシトシン分画の調製
ヒト血液をEDTA・2Na採血管にて採血後、速やかに遠心(2000×g、5分)し、血漿を分離した。得られたEDTA血漿を遠心(4℃、17000×g、15分)して沈殿を除去した後、その上清を、予めアセトニトリルと精製水でコンディショニングしたC18遠心カラム(MonoSpin(登録商標)C18、ジーエルサイエンス(株))4本に0.35mLずつ負荷した。1000×gで1分遠心し、通過した試料を4本分プールし、高分子形オキシトシン分画とした。
2.高分子形オキシトシン分画のトリプシン処理
高分子形オキシトシン分画より450μLを分取し、450μLのトリプシン溶液(1mgのトリプシンを10mLの0.1M炭酸水素ナトリウム溶液に溶解して調製)を加え、37℃で30分反応させた。10μLの阻害剤溶液(Protease Inhibitor Cocktail、Thermo Shientific社、No.87786)を加えて混和後、37℃にて30分反応させ、トリプシン処理試料とした。
3.トリプシン未処理試料の調製
高分子形オキシトシン分画より450μLを分取し、450μLの0.1M炭酸水素ナトリウム溶液と10μLの阻害剤溶液(Protease Inhibitor Cocktail、Thermo Shientific社、No.87786)を加えて混和し、トリプシン未処理試料を調製した。
4.トリプシン処理試料及び未処理試料の希釈
0.1%のBSAと0.1Mの塩化ナトリウム含む10mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.4にて2倍、4倍、8倍、16倍に希釈した。
トリプシン処理試料及びその希釈試料並びに未処理試料及びその希釈試料中のオキシトシンを、下記の酵素免疫測定法を用いて定量した。
5.オキシトシンの酵素免疫測定法
抗ウサギIgGヤギ抗体を固相化した96穴プレートに100μLのオキシトシン標準溶液又は測定試料を加え、50μLの抗オキシトシン抗体溶液を加えて混和し、4℃で16時間反応させた。50μLのビオチン標識オキシトシン溶液を加えて混和し、4℃で1時間反応させた後、0.02%のTween 20にてプレートを3回洗浄した。200μLのアビジン標識ペルオキシダーゼ溶液を加えて4℃で1時間反応させた後、0.02%のTween 20にてプレートを3回洗浄した。基質溶液として、オルトフェニレンジアミン溶液を200μLずつ各ウェルに加えて遮光下室温にて1時間反応させた後、50μLの2mol/Lの硫酸にて酵素反応を停止し、490nmの吸光度を測定した。
6.定量
各濃度のオキシトシン標準溶液の吸光度(B)を0pg/mLのオキシトシン標準溶液の吸光度(B0)で除し、B/B0を求めた。各濃度のB/B0を縦軸にとり、オキシトシン濃度を横軸にとり、オキシトシンの標準曲線を作成した。各試料の濃度は、この標準曲線より読み取った。
7.希釈直線
各試料の希釈倍率と定量値の関係を求め、図1及び2にその結果を示した。
定量法の正確性を判断する要件として、希釈試験においては希釈倍率に応じて定量値が低下し、希釈直線が原点に近いところを通ること、つまり、回帰式のy切片が傾きに比べて十分に小さいことが望ましい。トリプシン未処理の試料は、希釈しても定量値がほとんど低下せず、測定の正確性に問題があることがわかった(図1)。一方、トリプシン処理した試料では希釈倍率に応じた濃度低下が認められ、y切片(30.4)も傾き(2712.7)に比して十分に小さく、測定の正確性が極めて向上していることがわかった(図2)。
[実施例2]
固相化したトリプシンを用いたヒト血漿由来高分子形オキシトシン分画のトリプシン処理、及びオキシトシン定量の希釈試験
トリプシンを固相化したカラムであるMonoSpin(登録商標)Tripsin HP(ジーエルサイエンス(株))を4℃、1000×gで1分遠心し、カラム内部の保存液を除去した。次いで、500μLの精製水を同カラムに負荷し、4℃、2000×gで1分遠心してカラムを洗浄した。実施例1で調製した高分子形オキシトシン分画を0.1M炭酸水素ナトリウム溶液にて4倍に希釈後、同カラムに負荷し、10℃、200×gで5分間遠心した。通過した試料を再度同じカラムに負荷し、10℃、200×gで10分間遠心し、通過した試料をトリプシン処理分画とした。
トリプシン処理分画を0.1M炭酸水素ナトリウム溶液にて更に2倍、4倍に希釈し、各希釈物について、実施例1に記載したものと同様の酵素免疫測定法を用いてオキシトシンを定量し、希釈倍率と定量値の関係を求めた(図3)。
固相化トリプシンにて処理した試料においても、良好な希釈直線が得られることがわかった。
[実施例3]
ヒト血漿のトリプシン処理、及び化学発光酵素免疫測定法を用いたオキシトシン定量の希釈試験
1.ヒト血漿の調製
ヒト血液はEDTA・2Na採血管にて採血後、速やかに遠心(2000×g、5分)し、血漿を分離した。別々の被検体の血液から得られた2つの血漿(血漿1、血漿2)について、試験を行った。
2.ヒト血漿のトリプシン処理
上記ヒト血漿より250μL分取し、60℃で30分処理した後、245μLの200mMトリエタノールアミン塩酸緩衝液(pH8.0)と125μLの5μg/mLトリプシン溶液(トリプシンを200mMトリエタノールアミン塩酸緩衝液(pH8.0)に溶解して調製)を加え、45℃で120分反応させた。5μLの阻害剤溶液(Protease Inhibitor Cocktail、Thermo Shientific社、No.87786)を加えて混和後、45℃にて20分反応させた後、10000×gで5分間遠心し、上清をトリプシン処理試料とした。
3.トリプシン未処理試料の調製
上記ヒト血漿より250μL分取し、370μLの200mMトリエタノールアミン塩酸緩衝液(pH8.0)を加え、5μLの阻害剤溶液(Protease Inhibitor Cocktail、Thermo Shientific社、No.87786)を加えて混和後、10000×gで5分間遠心し、上清をトリプシン未処理試料とした。
4.トリプシン処理試料及びトリプシン未処理試料の希釈
0.1%のBSAと0.1%のアジ化ナトリウムを含む200mMトリエタノールアミン塩酸緩衝液、pH8.0にてトリプシン処理試料及びトリプシン未処理試料をそれぞれ、2倍、4倍、8倍に希釈した。
トリプシン処理試料及びその希釈試料並びにトリプシン未処理試料及びその希釈試料中のオキシトシンを、下記のCLEIAを用いて定量した。
5.オキシトシンの化学発光酵素免疫測定法
抗ウサギIgGヤギ抗体を固相化した96穴プレートに50μLのオキシトシン標準溶液又は測定試料を加え、50μLの抗オキシトシン抗体溶液を加えて混和し、室温で16時間反応させた。50μLのアルカリホスファターゼ標識オキシトシン溶液を加えて混和し、20℃で1時間反応させた後、0.01%のアジ化ナトリウムを含む0.02%のTween 20にてプレートを6回洗浄した。0.5mMフェナシルリン酸溶液を100μLずつ各ウェルに加えて室温で2時間反応させた後、50μLの0.001%ルシゲニン/0.2Mリン酸溶液を添加し混和した。プレートを発光測定機にセットし、150μLの水酸化ナトリウム溶液添加2秒後から10秒後までの発光強度を積算した。
6.定量
各濃度のオキシトシン標準溶液の発光強度(B)を0pg/mLのオキシトシン標準溶液の発光強度(B0)で除し、B/B0を求めた。各濃度のB/B0を縦軸にとり、オキシトシン濃度を横軸にとり、オキシトシンの標準曲線を作成した。各試料の濃度は、この標準曲線より読み取った。
7.希釈直線
各試料の希釈倍率と定量値の関係を求め、図4及び5にその結果を示した。
トリプシン未処理の試料は、希釈しても定量値がほとんど低下せず、y切片(70.2〜88.5)は傾き(25.2〜55.5)よりも大きかった。また、相関係数も低く(r=0.441〜0.701)、測定の正確性に問題があることがわかった(図4)。一方、トリプシン処理した試料では希釈倍率に応じた濃度低下が認められ、y切片(1.5〜6.0)は傾き(83.7〜312.8)に比べて十分に小さかった。また、相関係数が高く(r=0.998〜0.999)、測定の正確性が極めて向上していることがわかった(図5)。
以上の実施例の結果から、本発明によれば、試料中のオキシトシンを正確に定量することが可能であることが分かる。

Claims (7)

  1. 試料をトリプシン処理することを含む、試料中のオキシトシンを定量する方法。
  2. 試料が高分子形オキシトシンを含む、請求項1記載の方法。
  3. 高分子形オキシトシンを定量する方法である、請求項1又は2記載の方法。
  4. トリプシン処理した試料をイムノアッセイすることを含む、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
  5. トリプシン処理に使用するトリプシンが固相化されている、請求項1〜4のいずれか一項記載の方法。
  6. トリプシン処理前にC18 ODSカラムを用いて試料を分画することを含む、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
  7. 試料が血漿である、請求項1〜6のいずれか一項記載の方法。
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