JP6959796B2 - コンクリート組成物及びコンクリート硬化体 - Google Patents

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Description

本発明は、コンクリート組成物及びコンクリート硬化体に関する。
従来、モルタルやコンクリートの性能向上を目的として、セメント複合材料に繊維を混ぜることが知られている。
例えば非特許文献1及び2には、鋼繊維の形状や寸法の違い又は混入率がセメント複合材料の特性に及ぼす影響が開示されている。
例えば特許文献1には、高強度と施工性の両立を目的として、平均長の異なる2種類以上の繊維を混ぜた繊維補強セメント系混合材料が開示されている。
例えば特許文献2には、延性の向上を目的として、長さ15〜25mm、直径0.25〜0.30mm、引張強度1500MPa超の線引スチール繊維と、長さ5〜10mm、直径0.15〜0.2mm、引張強度1500MPa超の線引スチール繊維と、長さ3mm未満の短繊維とを混ぜた繊維/セメント複合材が開示されている。
例えば特許文献3には、火災時の耐爆裂性能の向上を目的として、有機繊維及び無機繊維を混ぜた耐爆裂性コンクリートが開示されている。
例えば特許文献4には、セメントと複数種類の繊維とワラストナイト及びマイカから選ばれる補強材とを混合した水硬性材料が開示されており、圧縮強度、引張強度及び靱性に優れる硬化体を得る目的で、水硬性材料に両端フック型鋼繊維が混合されている。
特開2005−320209号公報 特表2003−527289号公報 特許第4071983号 特開2014−141370号公報
石関嘉一ほか「鋼繊維の種類が高強度高じん性セメント複合材料の引張特性に及ぼす影響」コンクリート工学年次論文集,Vol.32,No.1,p215〜p220,2010 松原功明ほか「超高強度繊維補強コンクリートの諸特性に及ぼす鋼繊維の影響」コンクリート工学年次論文集,Vol.28,No.1,p1253〜p1258,2006
特許文献1〜3に記載されているコンクリート組成物又は硬化体に混合されている金属繊維はいずれも直線状の金属繊維である。コンクリート硬化体の機械的強度をより向上させるためには、変形型鋼繊維、例えば、特許文献4に開示されている両端フック型鋼繊維を用いることが好ましい。
しかし、変形型鋼繊維を含有するコンクリート組成物は、変形型鋼繊維を含有しないコンクリート組成物に比べて、フレッシュ状態の流動性が低い傾向があり、施工性に劣る場合がある。なお、特許文献4の実施例は、粗骨材の量が通常のコンクリート組成物に比較して少ない水硬性材料であり、このため、施工性に問題のない流動性が確保されているものと推測される。特許文献4においては、粗骨材を比較的多く含む組成物についての具体的な検討はなされていない。(特許文献4の実施例においては、セメント1質量部に対して粗骨材の量が0質量部〜0.3質量部であり、出来上がりの硬化体1mあたりの粗骨材の量は0L〜120L程度である。)
非特許文献1においては、直線状の鋼繊維と、両端に波型形状が施された鋼繊維とを混合したモルタルについてフレッシュ性状や力学的特性が調べられているが、粗骨材を含む組成物についての具体的な検討はなされていない。また、非特許文献2において検討されているのは、直線状の鋼繊維の長さ及び混入率がセメント複合材料の特性に及ぼす影響であり、変形型鋼繊維についての記載はない。
一般的に、コンクリート組成物を構造材に使用する場合には、セメントの水和熱によるコンクリートの発熱を抑制する目的、コンクリートの収縮を低減する目的、コンクリートの製造コストを抑える目的などで、ある程度以上の量の粗骨材を含有させる。このため、粗骨材を一般的な量にて含有するコンクリート組成物に変形型鋼繊維を混ぜる場合において、フレッシュ状態の流動性が確保され施工性が良好なコンクリート組成物が求められている。
さらに、コンクリートを高強度化する場合は、火災時の耐爆裂性が課題となる。コンクリートの爆裂は強度が高いほど発生しやすい傾向にあると言われている。従来、高温下に減容する有機繊維をコンクリートに混入させ、火災時に発生した水蒸気の脱出経路を生じさせる対策が行われているが、耐爆裂性の更なる向上が望まれている。
本開示は、上記状況のもとになされた。
本開示は、フレッシュ状態の流動性が良好であり、圧縮強度、曲げ強度及び耐爆裂性に優れるコンクリート硬化体が得られるコンクリート組成物を提供することを目的とし、これを解決することを課題とする。
また本開示は、圧縮強度、曲げ強度及び耐爆裂性に優れるコンクリート硬化体を提供することを目的とし、これを解決することを課題とする。
本開示のコンクリート組成物は、変形型鋼繊維と直線型鋼繊維とを併用するコンクリート組成物である。変形型鋼繊維と直線型鋼繊維とを容量比1:0.5〜1:2で併用することにより、フレッシュ状態の流動性が良好であり、硬化後は圧縮強度、曲げ強度及び耐爆裂性に優れるコンクリート硬化体となる。
前記課題を解決するための具体的手段には、下記の態様が含まれる。
[1] 水と、セメントと、細骨材と、絶対容積が150L/m〜300L/mの粗骨材と、変形部がある変形型鋼繊維と、変形部がない直線型鋼繊維と、を含有し、前記変形型鋼繊維と前記直線型鋼繊維との含有量比(変形型鋼繊維:直線型鋼繊維)が容量基準で1:0.5〜1:2である、コンクリート組成物。
[2] 前記変形型鋼繊維が、直線部と前記直線部の両端部から前記直線部と角度を持つように折り曲げられた第1フック部と前記第1フック部の端部を互いに離れる方向へ折り曲げて前記直線部と平行とした第2フック部とを有する両端フック型鋼繊維である、[1]に記載のコンクリート組成物。
[3] 前記変形型鋼繊維の平均長が20mm〜40mmであり、前記直線型鋼繊維の平均長が5mm〜25mmである、[1]又は[2]に記載のコンクリート組成物。
[4] さらに有機繊維を含有する、[1]〜[3]のいずれか1項に記載のコンクリート組成物。
[5] [1]〜[4]のいずれか1項に記載のコンクリート組成物の硬化物であるコンクリート硬化体。
本開示によれば、フレッシュ状態の流動性が良好であり、圧縮強度、曲げ強度及び耐爆裂性に優れるコンクリート硬化体が得られるコンクリート組成物が提供される。
また本開示によれば、圧縮強度、曲げ強度及び耐爆裂性に優れるコンクリート硬化体が提供される。
本開示のコンクリート組成物に使用される変形型鋼繊維の例を示す概略図である。 本開示のコンクリート組成物に使用される変形型鋼繊維の別の例を示す概略図である。 本開示のコンクリート組成物に使用される両端フック型鋼繊維の一例を示す概略正面図である。 実施例及び比較例のコンクリート組成物の空気量、スランプフロー及びフロー時間を示すグラフである。 実施例及び比較例のコンクリート硬化体の圧縮強度及びヤング率を示すグラフである。 実施例及び比較例のコンクリート硬化体の曲げ強度及び曲げタフネスを示すグラフである。 実施例及び比較例のコンクリート硬化体の曲げタフネス試験における荷重−CMOD関係を示すグラフである。
以下に、発明の実施形態を説明する。これらの説明及び実施例は実施形態を例示するものであり、発明の範囲を制限するものではない。
本開示において組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
本開示において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
<コンクリート組成物及びコンクリート硬化体>
本開示のコンクリート組成物は、水と、セメントと、細骨材と、絶対容積が150L/m〜300L/mの粗骨材と、変形部がある変形型鋼繊維と、変形部がない直線型鋼繊維と、を含有し、変形型鋼繊維と直線型鋼繊維との含有量比(変形型鋼繊維:直線型鋼繊維)が容量基準で1:0.5〜1:2である。
本開示のコンクリート組成物は、フレッシュ状態のコンクリートであり、本開示のコンクリート組成物が硬化して本開示のコンクリート硬化体が得られる。
本開示において変形型鋼繊維とは、コンクリート組成物の練り混ぜ前において変形部がある鋼繊維であり、素材自体に突起部等の変形部を有する鋼繊維、及び、素材に変形加工を加え折れ曲がり部、湾曲部等の変形部を形成した鋼繊維を指す。変形型鋼繊維には、直線型鋼繊維がコンクリート組成物の練り混ぜ中又は打込み中に力を受けて折れ曲がるなど変形した鋼繊維は含まれない。
本開示において直線型鋼繊維とは、コンクリート組成物の練り混ぜ前において変形部がない鋼繊維であり、突起部、折れ曲がり部、湾曲部等の変形部を有しない直線状の鋼繊維を指す。直線型鋼繊維には、上記の鋼繊維がコンクリート組成物の練り混ぜ中又は打込み中に力を受けて折れ曲がるなど変形した鋼繊維も含まれる。
本開示のコンクリート組成物は、変形型鋼繊維と直線型鋼繊維とを併用することにより、フレッシュ状態の流動性が良好であり、硬化して圧縮強度、曲げ強度及び耐爆裂性に優れるコンクリート硬化体となる。その機序は、必ずしも明らかではないが、下記が推定される。
変形型鋼繊維は、素材が鋼製の繊維であることと、形状が圧縮及び曲げに抵抗することとにより、コンクリート硬化体の圧縮強度及び曲げ強度を向上させる。一方で、変形型鋼繊維は、形状が直線状ではない故に、互いに絡み合いやすく又は引掛りやすく、フレッシュ状態の流動性を低下させる。
これに対して、本開示のコンクリート組成物は、変形型鋼繊維と直線型鋼繊維とを併用したコンクリート組成物、言い換えると、変形型鋼繊維の一部を直線型鋼繊維に置き換えたコンクリート組成物である。直線型鋼繊維も鋼製の繊維であるので、コンクリート硬化体の圧縮強度及び曲げ強度の向上に寄与しつつ、形状が直線状であるので、変形型鋼繊維に比べて互いに絡み合いにくく又は引掛りにくく、フレッシュ状態の流動性を確保しやすい。
上記の機序により、本開示のコンクリート組成物は、フレッシュ状態の流動性が良好であり、硬化後は圧縮強度及び曲げ強度に優れると推定される。
さらに、本開示のコンクリート組成物は、変形型鋼繊維の一部が直線型鋼繊維に置き換えられていることにより、鋼繊維として変形型鋼繊維のみを含有する場合に比べて、鋼繊維の絡み合い又は引掛りが抑制されており鋼繊維が均一性高く分散しているものと推定される。したがって、本開示のコンクリート組成物の硬化物においても、鋼繊維が均一性高く分散しており、その結果、耐爆裂性が向上するものと推定される。
また、コンクリートの補強材として用いられる一般的な鋼繊維において直線型鋼繊維は変形型鋼繊維に比べて細くて短いため、変形型鋼繊維の一部が直線型鋼繊維に置き換えられていることにより鋼繊維の総本数が増え、コンクリート表層の爆裂に抵抗する鋼繊維が多くなるため、耐爆裂性が向上するものと推定される。
本開示のコンクリート組成物は、変形型鋼繊維と直線型鋼繊維との含有量比が容量基準で1:0.5〜1:2である。両繊維の含有量比がこの範囲であることにより、フレッシュ状態の流動性と、硬化後の圧縮強度、曲げ強度及び耐爆裂性とが両立される。
上記の含有量比よりも直線型鋼繊維が少ないと、フレッシュ状態の流動性を確保しにくく、また、耐爆裂性があまり向上しない。
上記の含有量比よりも直線型鋼繊維が多いと、コンクリート組成物に混合可能な鋼繊維総量に占める変形型鋼繊維の割合が少なくなり、硬化後の圧縮強度及び曲げ強度が構造材として充分でない場合がある。
本開示のコンクリート組成物は、粗骨材の量が、絶対容積として150L/m〜300L/mである。
本開示のコンクリート組成物は、粗骨材の量が、絶対容積として150L/m以上であることにより、セメントの水和熱によるコンクリートの発熱を抑制すること、コンクリートの収縮を低減すること、コンクリートの製造コストを抑えることができる。
本開示のコンクリート組成物は、フレッシュ状態の流動性を確保しやすい観点から、粗骨材の量が、絶対容積として300L/m以下である。
以下、本開示のコンクリート組成物及びコンクリート硬化体を構成する材料を詳細に説明する。
[変形型鋼繊維]
本開示において変形型鋼繊維とは、コンクリート組成物の練り混ぜ前において変形部がある鋼繊維であり、素材自体に突起部等の変形部を有する鋼繊維、及び、素材に変形加工を加え折れ曲がり部、湾曲部等の変形部を形成した鋼繊維を指す。変形型鋼繊維には、直線型鋼繊維がコンクリート組成物の練り混ぜ中又は打込み中に力を受けて折れ曲がるなど変形した鋼繊維は含まれない。
図1A及び図1Bに、変形型鋼繊維の例である変形型鋼繊維(a)〜(k)を示す。変形型鋼繊維(a)〜(k)の断面形状は、特に制限されず、例えば、円形、楕円形、三角形、四角形、五角形、六角形、八角形などのいずれでもよい。変形型鋼繊維(i)は、両端がパドル型である(軸方向に見た端部の形状を右側に示す。)。変形型鋼繊維(j)は、両端がスプーン型である(軸方向に見た端部の形状を右側に示す。)。変形型鋼繊維(k)は、片方の端部に変形部を有する。
ただし、本開示のコンクリート組成物に使用される変形型鋼繊維は、図1A及び図1Bに示す変形型鋼繊維(a)〜(k)によって限定的に解釈されるべきではない。
変形型鋼繊維としては、図1Aに示す変形型鋼繊維(a)、変形型鋼繊維(b)又は変形型鋼繊維(c)のように、両端にフック部を有する両端フック型鋼繊維が好ましい。両端フック型鋼繊維は、鋼製の繊維であること、並びに、両端のフック部が圧縮及び曲げに抵抗することにより、コンクリート硬化体の圧縮強度及び曲げ強度を向上させる。
変形型鋼繊維(a)は、直線部と、前記直線部の両端部から前記直線部と角度を持つように折り曲げられた第1フック部と、前記第1フック部の端部を互いに離れる方向へ折り曲げて前記直線部と平行とした第2フック部と、を有する両端フック型鋼繊維である。
以下、(a)に例示されるタイプの両端フック型鋼繊維を「第1の両端フック型鋼繊維」という。
変形型鋼繊維(b)は、直線部と、前記直線部の両端部から前記直線部と角度を持つように折り曲げられた第1フック部と、前記第1フック部の端部を互いに離れる方向へ折り曲げて前記直線部と平行とした第2フック部と、前記第2フック部の端部から前記第2フック部と角度を持つように折り曲げられた第3フック部と、を有する両端フック型鋼繊維である。
以下、(b)に例示されるタイプの両端フック型鋼繊維を「第2の両端フック型鋼繊維」という。
変形型鋼繊維(c)は、直線部と、前記直線部の両端部から前記直線部と角度を持つように折り曲げられた第1フック部と、前記第1フック部の端部を互いに離れる方向へ折り曲げて前記直線部と平行とした第2フック部と、前記第2フック部の端部から前記第2フック部と角度を持つように折り曲げられた第3フック部と、前記第3フック部の端部を互いに離れる方向へ折り曲げて前記第2フック部と平行とした第4フック部と、を有する両端フック型鋼繊維である。
以下、(c)に例示されるタイプの両端フック型鋼繊維を「第3の両端フック型鋼繊維」という。
変形型鋼繊維は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
変形型鋼繊維の直径(切断面の円相当径)、長さ(一方の端から他方の端までの距離)、鋼繊維の引張強度、及びこれら寸法又は物性の平均値について、その好ましい範囲は、後述する両端フック型鋼繊維と同様である。
変形型鋼繊維の表面には、セメントとの密着性を高める目的で、プライマー処理、表面粗面化処理などの化学的又は物理的な表面処理を施してもよい。
本開示のコンクリート組成物に含まれる変形型鋼繊維の量は、コンクリート硬化体の強度を高める観点とフレッシュ状態の流動性を確保する観点とから、コンクリート組成物全量に対して0.1容量%〜1.5容量%が好ましく、0.3容量%〜1.0容量%がより好ましい。
以下、両端フック型鋼繊維について説明する。
[両端フック型鋼繊維]
第1の両端フック型鋼繊維は、直線部と、前記直線部の両端部から前記直線部と角度を持つように折り曲げられた第1フック部と、前記第1フック部の端部を互いに離れる方向へ折り曲げて前記直線部と平行とした第2フック部と、を有する。第1の両端フック型鋼繊維には、例えば前記直線部がコンクリート組成物の練り混ぜ中又は打込み中に力を受けて折れ曲がるなど変形した鋼繊維も含まれる。
以下、第1の両端フック型鋼繊維の具体例を挙げて形状を詳細に説明するが、本開示のコンクリート組成物及びコンクリート硬化体は、以下に示す具体例によって限定的に解釈されるべきではない。
図2は、第1の両端フック型鋼繊維の一例である両端フック型鋼繊維10を示す正面図である。両端フック型鋼繊維10は、鋼繊維であって、直線部12と、第1フック部14A及び第1フック部14Bと、第2フック部16A及び第2フック部16Bとを有する。
第1フック部14A及び第1フック部14Bは、直線部12の両端において直線部12と角度をなすように屈曲した部位である。
第2フック部16A及び第2フック部16Bは、第1フック部14Aの端部と第1フック部14Bの端部とを互いに離れる方向へ折り曲げて直線部12と平行とした部位である。
両端フック型鋼繊維10の断面形状は、特に制限されず、例えば、円形、楕円形、三角形、四角形、五角形、六角形、八角形などのいずれでもよい。
両端フック型鋼繊維10は、例えば、太さが長さ方向に一定である。両端フック型鋼繊維10は、例えば、直線部12の中央を通る直線を対称軸にして線対称な形状である。本開示のコンクリート組成物に用いられる両端フック型鋼繊維は、両端フック型鋼繊維10のような対称性の高い形状に限られるものではないが、コンクリート組成物中に均一性高く分散する観点からは、対称性の高い形状が好ましい。
両端フック型鋼繊維10の幾何学的諸量は下記のとおりである。
直径φは、両端フック型鋼繊維10を構成する鋼繊維の直径であり、鋼繊維の直径とは、切断面と同じ面積をもつ円の直径(いわゆる円相当径)である。
長さlは、両端フック型鋼繊維10の長さであり、第2フック部16Aの端から第2フック部16Bの端までの距離を指す。
長さlは、第2フック部16Aの長さ、及び、第2フック部16Bの長さであり、第1フック部14Aの折り曲げ位置から第2フック部16Aの端までの距離、及び、第1フック部14Bの折り曲げ位置から第2フック部16Bの端までの距離を指す。
長さlは、直線部12の長さであり、第1フック部14Aの折り曲げ位置から第1フック部14Bの折り曲げ位置までの距離を指す。
曲げ高さhは、第2フック部16Aにおける鋼繊維の中心線と、直線部12における鋼繊維の中心線との距離、及び、第2フック部16Bにおける鋼繊維の中心線と、直線部12における鋼繊維の中心線との距離を指す。
曲率半径rは、第1フック部14Aと第2フック部16Aとの折り曲げ部の内側面が形成するR部の曲率半径、及び、第1フック部14Bと第2フック部16Bとの折り曲げ部の内側面が形成するR部の曲率半径を指す。
曲率半径rは、直線部12と第1フック部14Aとの折り曲げ部の内側面が形成するR部の曲率半径、及び、直線部12と第1フック部14Bとの折り曲げ部の内側面が形成するR部の曲率半径を指す。
直径φは、所望の補強効果を得る観点と加工精度を確保する観点とから、50μm〜800μmが好ましく、100μm〜700μmがより好ましく、120μm〜600μmが更に好ましく、150μm〜500μmが更に好ましく、200μm〜400μmが更に好ましい。
長さlは、所望の補強効果を得る観点とフレッシュ状態の流動性を確保する観点とから、5mm〜50mmが好ましく、10mm〜45mmがより好ましく、20mm〜40mmが更に好ましく、25mm〜35mmが更に好ましい。
両端フック型鋼繊維10のアスペクト比(長さl/直径φ)は、所望の補強効果を得る観点とフレッシュ状態の流動性を確保する観点とから、20〜200が好ましく、40〜150がより好ましく、60〜100が更に好ましい。
長さlは、1mm以上が好ましく、直径φが50μm以上の場合には2.5mm以上が好ましい。長さlが短過ぎると曲げに対する耐性に劣る。長さlの上限には特に制限はないが、コンクリート組成物の材料を混合する際の作業性の観点から、5mm以下であることが好ましい。
長さlと長さlとの関係は、下記の式(1)を満たすことが好ましい。
式(1):6×l<l
直線部12と、第2フック部16A及び第2フック部16Bとが、式(1)を満たす長さのバランスを有することで、コンクリート硬化体中における両端フック型鋼繊維10の曲げ耐性が向上し、コンクリート硬化体の曲げ強度がより優れる。
直径φと長さlとの比l/φは、所望の補強効果を得る観点と加工精度を確保する観点とから、3〜25が好ましい。
曲げ高さhは、曲げに対する耐性を得る観点から、0.3mm以上が好ましく、直径φが300μm以上の場合には0.8mm以上が好ましい。曲げ高さhの上限には特に制限はないが、コンクリート組成物の材料を混合する際の均一な混合を容易にする観点から、3mm以下であることが好ましい。
直径φと曲げ高さhとの比h/φは、所望の補強効果を得る観点と加工精度を確保する観点とから、2〜10が好ましく、3〜6がより好ましい。
曲率半径rは、所望の補強効果を得る観点と加工精度を確保する観点とから、0.5mm〜3mmが好ましい。
曲率半径rは、所望の補強効果を得る観点と加工精度を確保する観点とから、0.5mm〜5mmが好ましい。
両端フック型鋼繊維10を構成する鋼繊維は、引張強度が800MPa〜5000MPaであることが好ましい。鋼繊維の強度が高いほどコンクリート硬化体の補強繊維としては有効であり、この観点から、鋼繊維の引張強度は1000MPa以上がより好ましく、2000MPa以上が更に好ましい。一方、鋼繊維の加工性を考慮すると、鋼繊維の引張強度は5000MPa以下が好ましい。鋼繊維の引張強度は、土木学会「コンクリート用鋼繊維品質規格(案)(JSCE−E101−2007)の付属書(規定)「鋼繊維の引張強度試験方法」に準じて評価する。
両端フック型鋼繊維10を構成する鋼繊維としては、上記範囲の引張強度を示す観点から、JIS G 7305「ばね用鋼線−第2部:冷間引抜炭素鋼線(ISO仕様)」、JIS G 7306「ばね用鋼線−第3部:オイルテンパー線(ISO仕様)」、JIS G 3522「ピアノ線」、JIS G 3521「硬鋼線」等が好ましい。
両端フック型鋼繊維10が備える第1フック部14A及び14Bと第2フック部16A及び16Bとは、精密バネ加工用のコイリングマシンを用いて成形することができる。大量に生産する場合には、特開平5−337727号公報に示される歯車式の成型装置などで製造してもよい。
両端フック型鋼繊維10の表面には、セメントとの密着性を高める目的で、プライマー処理、表面粗面化処理などの化学的又は物理的な表面処理を施してもよい。
両端フック型鋼繊維10の単位重量当たりの表面積は、セメントへの付着力を向上させる観点とフレッシュ状態の流動性を確保する観点とから、0.5m/kg〜6.0m/kgが好ましく、0.7m/kg〜3.0m/kgがより好ましい。
第2の両端フック型鋼繊維は、直線部と、前記直線部の両端部から前記直線部と角度を持つように折り曲げられた第1フック部と、前記第1フック部の端部を互いに離れる方向へ折り曲げて前記直線部と平行とした第2フック部と、前記第2フック部の端部から前記第2フック部と角度を持つように折り曲げられた第3フック部と、を有する。
つまり、第2の両端フック型鋼繊維は、第1の両端フック型鋼繊維にさらに第3フック部を設けた鋼繊維である。
第2の両端フック型鋼繊維には、例えば前記直線部がコンクリート組成物の練り混ぜ中又は打込み中に力を受けて折れ曲がるなど変形した鋼繊維も含まれる。
第2の両端フック型鋼繊維における第1フック部及び第2フック部は、第1の両端フック型鋼繊維における第1フック部及び第2フック部とそれぞれ同様の形状及び寸法であることが好ましい。第2の両端フック型鋼繊維における第3フック部は、第2の両端フック型鋼繊維における第1フック部と同様の形状及び寸法であることが好ましい。
第2の両端フック型鋼繊維の直径(切断面の円相当径)、長さ(一方の第3フック部の端から他方の第3フック部の端までの距離)、及び鋼繊維の引張強度の好ましい範囲は、第1の両端フック型鋼繊維と同様である。
第3の両端フック型鋼繊維は、直線部と、前記直線部の両端部から前記直線部と角度を持つように折り曲げられた第1フック部と、前記第1フック部の端部を互いに離れる方向へ折り曲げて前記直線部と平行とした第2フック部と、前記第2フック部の端部から前記第2フック部と角度を持つように折り曲げられた第3フック部と、前記第3フック部の端部を互いに離れる方向へ折り曲げて前記第2フック部と平行とした第4フック部と、を有する。
つまり、第3の両端フック型鋼繊維は、第1の両端フック型鋼繊維にさらに第3フック部及び第4フック部を設けた鋼繊維である。
第3の両端フック型鋼繊維には、例えば前記直線部がコンクリート組成物の練り混ぜ中又は打込み中に力を受けて折れ曲がるなど変形した鋼繊維も含まれる。
第3の両端フック型鋼繊維における第1フック部及び第2フック部は、第1の両端フック型鋼繊維における第1フック部及び第2フック部とそれぞれ同様の形状及び寸法であることが好ましい。第3の両端フック型鋼繊維における第3フック部及び第4フック部は、第3の両端フック型鋼繊維における第1フック部及び第2フック部とそれぞれ同様の形状及び寸法であることが好ましい。
第3の両端フック型鋼繊維の直径(切断面の円相当径)、長さ(一方の第4フック部の端から他方の第4フック部の端までの距離)、及び鋼繊維の引張強度の好ましい範囲は、第1の両端フック型鋼繊維と同様である。
以下、本開示のコンクリート組成物に含まれる両端フック型鋼繊維の寸法又は物性の平均値について述べる。本開示において両端フック型鋼繊維の寸法又は物性の平均値とは、少なくとも10個の両端フック型鋼繊維の寸法又は物性の算術平均である。
両端フック型鋼繊維の平均長は、5mm〜50mmが好ましく、10mm〜45mmがより好ましく、20mm〜40mmが更に好ましく、25mm〜35mmが更に好ましい。
両端フック型鋼繊維の平均径は、50μm〜800μmが好ましく、100μm〜700μmがより好ましく、120μm〜600μmが更に好ましく、150μm〜500μmが更に好ましく、200μm〜400μmが更に好ましい。
両端フック型鋼繊維を構成する鋼繊維の引張強度の平均値は、800MPa〜5000MPaが好ましく、1000MPa〜5000MPaがより好ましく、2000MPa〜5000MPaが更に好ましい。
本開示のコンクリート組成物に含まれる両端フック型鋼繊維の量は、コンクリート硬化体の強度を高める観点とフレッシュ状態の流動性を確保する観点とから、コンクリート組成物全量に対して0.1容量%〜1.5容量%が好ましく、0.3容量%〜1.0容量%がより好ましい。
[直線型鋼繊維]
本開示において直線型鋼繊維とは、コンクリート組成物の練り混ぜ前において変形部がない鋼繊維であり、突起部、折れ曲がり部、湾曲部等の変形部を有しない直線状の鋼繊維を指す。直線型鋼繊維には、上記の鋼繊維がコンクリート組成物の練り混ぜ中又は打込み中に力を受けて折れ曲がるなど変形した鋼繊維も含まれる。
直線型鋼繊維の断面形状は、特に制限されず、例えば、円形、楕円形、三角形、四角形、五角形、六角形、八角形などのいずれでもよい。直線型鋼繊維は、コンクリート組成物中に均一性高く分散する観点から、太さが長さ方向に一定であることが好ましい。
直線型鋼繊維は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
直線型鋼繊維の長さは、所望の補強効果を得る観点とフレッシュ状態の流動性を確保する観点とから、5mm〜30mmが好ましく、5mm〜25mmがより好ましく、8mm〜25mmが更に好ましく、10mm〜20mmが更に好ましい。直線型鋼繊維の長さとは、直線型鋼繊維の一端から他端までの距離である。
直線型鋼繊維は、練り混ぜの際に屈曲しない強度を備える観点と、所望の補強効果を得る観点とからは、細過ぎないことが好ましく、単位重量当たりの表面積を大きくしセメントへの付着力を向上させる観点からは、太過ぎないことが好ましい。これら観点から、直線型鋼繊維の直径は、50μm〜300μmが好ましく、80μm〜280μmがより好ましく、100μm〜250μmが更に好ましい。直線型鋼繊維の直径とは、切断面と同じ面積をもつ円の直径(いわゆる円相当径)である。
直線型鋼繊維のアスペクト比(長さ/直径)は、所望の補強効果を得ること、単位重量当たりの表面積を大きくしセメントへの付着力を向上させること、フレッシュ状態の流動性を確保することのバランスにより、20〜300が好ましく、30〜200がより好ましく、40〜100が更に好ましい。
直線型鋼繊維を構成する鋼繊維の引張強度は、所望の補強効果を得る観点と加工性を確保する観点とから、800MPa〜5000MPaが好ましく、1000MPa〜5000MPaがより好ましく、2000MPa〜5000MPaが更に好ましい。
直線型鋼繊維を構成する鋼繊維としては、上記範囲の引張強度を示す観点から、JIS G 7305「ばね用鋼線−第2部:冷間引抜炭素鋼線(ISO仕様)」、JIS G 7306「ばね用鋼線−第3部:オイルテンパー線(ISO仕様)」、JIS G 3522「ピアノ線」、JIS G 3521「硬鋼線」等が好ましい。
直線型鋼繊維の表面には、セメントとの密着性を高める目的で、プライマー処理、表面粗面化処理などの化学的又は物理的な表面処理を施してもよい。
直線型鋼繊維の単位重量当たりの表面積は、セメントへの付着力を向上させる観点と所望の補強効果を得る観点とから、1.0m/kg〜12.0m/kgが好ましく、2.0m/kg〜6.0m/kgがより好ましい。
以下、本開示のコンクリート組成物に含まれる直線型鋼繊維の寸法又は物性の平均値について述べる。本開示において直線型鋼繊維の寸法又は物性の平均値とは、少なくとも10個の直線型鋼繊維の寸法又は物性の算術平均である。
直線型鋼繊維の平均長は、5mm〜30mmが好ましく、5mm〜25mmがより好ましく、8mm〜25mmが更に好ましく、10mm〜20mmが更に好ましい。
直線型鋼繊維の平均径は、50μm〜300μmが好ましく、80μm〜280μmがより好ましく、100μm〜250μmが更に好ましい。
直線型鋼繊維を構成する鋼繊維の引張強度の平均値は、800MPa〜5000MPaが好ましく、1000MPa〜5000MPaがより好ましく、2000MPa〜5000MPaが更に好ましい。
本開示のコンクリート組成物に含まれる直線型鋼繊維の量は、変形型鋼繊維の凝集を抑制してフレッシュ状態の流動性を良化する観点から、コンクリート組成物全量に対して0.1容量%〜1.0容量%が好ましく、0.3容量%〜0.8容量%がより好ましい。
本開示のコンクリート組成物に含まれる変形型鋼繊維と直線型鋼繊維との含有量比は容量基準で、変形型鋼繊維:直線型鋼繊維=1:0.5〜1:2であり、1:0.7〜1:1.5がより好ましく、1:0.9〜1:1.2が更に好ましい。この含有量比であると、フレッシュ状態の流動性と、硬化後の圧縮強度、曲げ強度及び耐爆裂性とを両立しやすい。
本開示のコンクリート組成物が変形型鋼繊維として両端フック型鋼繊維を含有する場合、本開示のコンクリート組成物に含まれる両端フック型鋼繊維と直線型鋼繊維との含有量比は容量基準で、両端フック型鋼繊維:直線型鋼繊維=1:0.5〜1:2であり、1:0.7〜1:1.5がより好ましく、1:0.9〜1:1.2が更に好ましい。この含有量比であると、フレッシュ状態の流動性と、硬化後の圧縮強度、曲げ強度及び耐爆裂性とを両立しやすい。
本開示のコンクリート組成物に含まれる変形型鋼繊維と直線型鋼繊維との総含有量は、コンクリート組成物全量に対して0.5容量%〜2.0容量%が好ましく、0.7容量%〜1.5容量%がより好ましく、0.9容量%〜1.2容量%が更に好ましい。
本開示のコンクリート組成物が変形型鋼繊維として両端フック型鋼繊維を含有する場合、本開示のコンクリート組成物に含まれる両端フック型鋼繊維と直線型鋼繊維との総含有量は、コンクリート組成物全量に対して0.5容量%〜2.0容量%が好ましく、0.7容量%〜1.5容量%がより好ましく、0.9容量%〜1.2容量%が更に好ましい。
本開示のコンクリート組成物は、所望の補強効果を得る観点から、変形型鋼繊維の平均長が、直線型鋼繊維の平均長と同じか、又は、直線型鋼繊維の平均長よりも長いことが好ましい。
変形型鋼繊維の平均長と直線型鋼繊維の平均長との比は、所望の補強効果を得る観点および変形型鋼繊維の凝集を抑制してフレッシュ状態の流動性を良化する観点から、変形型鋼繊維:直線型鋼繊維=1:0.3〜1:1が好ましく、1:0.3〜1:0.6がより好ましく、1:0.4〜1:0.5が更に好ましい。
本開示のコンクリート組成物が変形型鋼繊維として両端フック型鋼繊維を含有する場合、所望の補強効果を得る観点から、両端フック型鋼繊維の平均長が、直線型鋼繊維の平均長と同じか、又は、直線型鋼繊維の平均長よりも長いことが好ましい。
両端フック型鋼繊維の平均長と直線型鋼繊維の平均長との比は、所望の補強効果を得る観点および両端フック型鋼繊維の凝集を抑制してフレッシュ状態の流動性を良化する観点から、両端フック型鋼繊維:直線型鋼繊維=1:0.3〜1:1が好ましく、1:0.3〜1:0.6がより好ましく、1:0.4〜1:0.5が更に好ましい。
[セメント]
セメントは、公知の各種セメント類の中から目的に応じて選択すればよい。セメントとしては、例えば、普通ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント等が挙げられる。
セメントは、シリカフュームを含有するセメントでもよい。シリカフュームは、粉体状及び顆粒状のいずれの形態でもよい。シリカフュームとしては、フェロシリコン、電融ジルコニア又は金属シリコンの製造時に副成されるシリカフュームが好ましい。シリカフュームの平均粒径は0.1μm〜0.2μmが好ましい。シリカフュームの平均粒径は、BET法で求めた比表面積と、粒子密度とから、粒子形状を球に仮定して算出した値である。
セメントの全結合材に占めるシリカフュームの割合は、コンクリート組成物の流動性向上とコンクリート硬化体の強度向上の観点から、5質量%〜35質量%が好ましく、10質量%〜30質量%がより好ましい。
シリカフュームを含有するポルトランドセメントは、市販品として入手可能であり、例えば、「シリカフュームセメントスーパー」(宇部三菱セメント)、「シリカフュームプレミックスセメント」(太平洋セメント)等が挙げられる。
セメントは、結晶質シリカを微粉砕したシリカ微粉末、高炉スラグ微粉末、石灰石微粉末、フライアッシュ等が混合されたセメントでもよい。
[細骨材]
細骨材としては、天然砂、砕砂、加工砂が挙げられる。細骨材の種類と含有量は、目標とするコンクリート硬化体の機械的強度に応じて選択すればよい。細骨材としては、良質で堅固な天然砂が好ましい。細骨材として砕砂又は加工砂を使用する場合は、角を処理した砕砂又は加工砂、粒度を調整した砕砂又は加工砂が好ましい。
本開示のコンクリート組成物は、コンクリート硬化体の機械的強度の観点から、細骨材の量が150L/m〜400L/mであることが好ましく、175L/m〜375L/mがより好ましく、200L/m〜350L/mが更に好ましい。
[粗骨材]
粗骨材としては、最大寸法(最大粒径)20mm以下が好ましく、最大寸法(最大粒径)15mm以下がより好ましい。粗骨材の岩種は、硬質砂岩、安山岩、流紋岩などから目標とするコンクリート硬化体の機械的強度に応じて選択すればよい。
本開示のコンクリート組成物における粗骨材の量は、セメントの水和熱によるコンクリートの発熱を抑制する観点、コンクリートの収縮を低減する観点、及びコンクリートの製造コストを抑える観点から、絶対容積として150L/m以上が好ましい。
本開示のコンクリート組成物における粗骨材の量は、フレッシュ状態の流動性を確保する観点から、絶対容積として300L/m以下が好ましく、250L/m以下がより好ましく、200L/m以下が更に好ましい。
本開示のコンクリート組成物は、構造材として充分な圧縮強度を得る観点とフレッシュ状態の流動性を確保する観点とから、セメント1質量部に対して粗骨材を0.20質量部〜0.90質量部含有することが好ましく、0.30質量部〜0.80質量部がより好ましく、0.45質量部〜0.70質量部が更に好ましい。
[有機繊維]
本開示のコンクリート組成物は、有機繊維を含有してもよい。
有機繊維としては、ビニロン繊維、ポリエチレン繊維、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリビニリデン繊維、ポリ乳酸繊維などが挙げられる。有機繊維は、耐久性と強度を考慮して選択すればよい。有機繊維は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
有機繊維は、コンクリート組成物中で凝集することなく均一性高く分散することが可能であれば、モノフィラメントでもよく、ストランド状でもよい。モノフィラメントは、コンクリート組成物中で均一性高く分散することが可能であれば、円柱状線維、中空繊維、異形断面繊維、表面に細孔が存在する繊維、微細な分岐が存在する繊維のいずれでもよい。
コンクリート硬化体に耐爆裂性を付与する観点からは、温度180℃で溶融するか又は質量が50%以上減少する有機繊維が好ましい。この熱特性を示す有機繊維は、火災時に速やかに減容しコンクリート硬化体内に空隙を形成する。有機繊維の減容によってコンクリート硬化体内に形成された空隙が、発生した水蒸気の脱出経路となり、コンクリート硬化体の爆裂が抑制される。
有機繊維が溶融するとは、繊維が液状化又は気化している状態を指す。有機繊維の質量が50%以上減少したことの確認は、窒素ガス雰囲気下、数mgの試料を昇温速度5℃/分程度で加熱しながら試料の質量を天秤で測定し、180℃となった時点の質量と加熱前の質量とを対比することで行う。
耐爆裂性を付与し得る有機繊維としては、例えば、ポリプロピレン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリビニリデン繊維、ポリ乳酸繊維などが挙げられる。このような有機繊維は、市販品として入手可能であり、例えば、「ダイワボウポリプロ」(ダイワボウポリテック社)等が挙げられる。
コンクリート硬化体に耐爆裂性を付与する観点から有機繊維を用いる場合、本開示のコンクリート組成物に含まれる有機繊維の量は、コンクリート組成物全量に対して0.1容量%〜1.0容量%が好ましい。
有機繊維の直径は、コンクリート硬化体の機械的強度を向上する観点とコンクリート硬化体に耐爆裂性を付与する観点とから、5μm〜500μmが好ましく、10μm〜400μmがより好ましく、20μm〜300μmが更に好ましい。
有機繊維の長さは、コンクリート硬化体に耐爆裂性を付与する観点とコンクリート組成物中での分散性の観点とから、1mm〜40mmが好ましく、2mm〜30mmがより好ましく、3mm〜20mmが更に好ましい。
[その他の材料]
本開示のコンクリート組成物は、目的に応じて、減水剤、遅延剤、界面活性剤等のコンクリート組成物に通常用いられる化学混和剤;炭素繊維、ガラス繊維、バサルト繊維などの非金属無機繊維;などを含んでもよい。
[水結合材比]
本開示のコンクリート組成物の水結合材比(質量基準)は、特に制限されるものではないが、得られるコンクリート硬化体の強度がより高いという観点から、8%〜30%が好ましく、8%〜20%がより好ましく、8%〜17%が更に好ましい。
[コンクリート硬化体の強度]
本開示のコンクリート硬化体は、圧縮強度が60N/mm〜400N/mmであることが好ましく、120N/mm〜400N/mmであることがより好ましい。
本開示のコンクリート硬化体は、曲げ強度が10N/mm以上であることが好ましく、12N/mm以上であることがより好ましい。
[コンクリート硬化体補強用繊維混合材料]
本開示は、コンクリート硬化体補強用繊維混合材料(以下、単に「繊維混合材料」ともいう。)を提供する。本開示の繊維混合材料は、変形型鋼繊維と直線型鋼繊維とを含有し、変形型鋼繊維と直線型鋼繊維との含有量比が容量基準で1:0.5〜1:2である。
本開示の繊維混合材料を、コンクリート組成物に含有させることにより、コンクリート組成物を硬化させて得られるコンクリート硬化体の圧縮強度、曲げ強度及び耐爆裂性を向上させることができる。
本開示の繊維混合材料を適用することができるコンクリート組成物には、特に制限はない。本開示の繊維混合材料は、例えば、本開示のコンクリート組成物の材料として用いることができる。
本開示の繊維混合材料に含まれる変形型鋼繊維及び直線型鋼繊維の、形状、寸法、物性、寸法及び物性の平均値、並びに好ましい形態は、前述したとおりである。
本開示の繊維混合材料に含まれる変形型鋼繊維と直線型鋼繊維との含有量比は容量基準で、変形型鋼繊維:直線型鋼繊維=1:0.5〜1:2である。
上記の含有量比よりも直線型鋼繊維が少ないと、コンクリート組成物の流動性を確保しにくく、また、硬化後の耐爆裂性があまり向上しない。
上記の含有量比よりも直線型鋼繊維が多いと、コンクリート組成物に混合可能な鋼繊維総量に占める変形型鋼繊維の割合が少なくなり、硬化後の圧縮強度及び曲げ強度が構造材として充分でない場合がある。
上記の観点から、変形型鋼繊維と直線型鋼繊維との含有量比は、1:0.7〜1:1.5がより好ましく、1:0.9〜1:1.2が更に好ましい。
本開示の繊維混合材料に含まれる変形型鋼繊維としては、両端フック型鋼繊維が好ましい。両端フック型鋼繊維の形状、寸法、物性、寸法及び物性の平均値、並びに好ましい形態は、前述したとおりである。
本開示の繊維混合材料が変形型鋼繊維として両端フック型鋼繊維を含有する場合、本開示の繊維混合材料に含まれる両端フック型鋼繊維と直線型鋼繊維との含有量比は容量基準で、両端フック型鋼繊維:直線型鋼繊維=1:0.5〜1:2であることが好ましい。
上記の含有量比よりも直線型鋼繊維が少ないと、コンクリート組成物の流動性を確保しにくく、また、硬化後の耐爆裂性があまり向上しない。
上記の含有量比よりも直線型鋼繊維が多いと、コンクリート組成物に混合可能な鋼繊維総量に占める両端フック型鋼繊維の割合が少なくなり、硬化後の圧縮強度及び曲げ強度が構造材として充分でない場合がある。
上記の観点から、両端フック型鋼繊維と直線型鋼繊維との含有量比は、1:0.7〜1:1.5がより好ましく、1:0.9〜1:1.2が更に好ましい。
本開示の繊維混合材料は、コンクリート硬化体の耐爆裂性を向上させる観点から、さらに有機繊維を含有してもよい。有機繊維の詳細および好ましい形態は、前述したとおりである。
<コンクリート組成物の製造方法>
本開示のコンクリート組成物は、既述の各材料を混合して得られる。各材料の混合は、例えばミキサを用いた練り混ぜにより行うことができる。
本開示のコンクリート組成物の製造方法の一例として、本開示の繊維混合材料を用いた製造方法が挙げられる。例えば、水とセメントと細骨材と粗骨材とを含有するスラリーを調製し、このスラリーに本開示の繊維混合材料を混合してコンクリート組成物を得る。
コンクリート組成物を調製する際における材料の混合順は、特に制限されない。例えば、まずセメントと細骨材とを混ぜ、次いで水及び化学混和剤を投入して練り混ぜ、次いで粗骨材を投入して練り混ぜ、次いで繊維材料を投入して練り混ぜてコンクリート組成物を得る。
本開示のコンクリート組成物の製造方法の一実施形態として、少なくとも水とセメントと直線型鋼繊維とを含有するスラリーを調製し、このスラリーに変形型鋼繊維を混合する形態が挙げられる。直線型鋼繊維は互いに絡み合いにくい及び引掛りにくいのでスラリーに均一性高く分散することができ、後から混合される変形型鋼繊維が互いに絡み合うこと又は引掛ることを抑制するものと推測される。したがって、上記の一実施形態によれば、変形型鋼繊維の凝集をより抑制してコンクリート組成物の流動性をより良化することができる。
<コンクリート硬化体の製造方法>
本開示のコンクリート硬化体は、本開示のコンクリート組成物を硬化させることで得られる。具体的には、コンクリート組成物を型枠内に投入し硬化させてコンクリート硬化体を得る。型枠内に投入されたコンクリート組成物に対して、常法に従い脱泡などの工程を行ってもよい。型枠内に投入されたコンクリート組成物は、自己発熱を伴い硬化して硬化体を形成する。コンクリート硬化体の機械的強度を高める観点からは、コンクリート硬化体に養生を施すことが好ましい。
本開示のコンクリート硬化体に適用可能な養生方法に特に制限はない。養生方法としては、例えば、温度を20±3℃に維持した、水中、湿砂中又は飽和蒸気中で行う標準養生が挙げられる。コンクリート硬化体の機械的強度を高める観点から、標準養生に他の養生を1種類以上組み合わせて実施することも好ましい。他の養生としては、70℃〜100℃の温度範囲で2時間〜72時間蒸気養生する蒸気養生、100℃〜400℃の温度範囲で2時間〜72時間加熱する高温養生、オートクレーブ等による高温高圧養生が挙げられる。
養生工程は、コンクリート組成物が硬化した後であれば、いずれのタイミングで行ってもよい。例えば、硬化後に直ちに行ってもよく、硬化してある程度経時した後に行ってもよい。
以下、実施例により発明の実施形態を詳細に説明するが、発明の実施形態は、これら実施例に何ら限定されるものではない。
1.流動性および強度の検討
1−1.コンクリート組成物の製造
表1及び表2に示す材料を用意し、表3に示す調合にて混合し、比較例1〜3及び実施例1の各コンクリート組成物を製造した。
表3に示す調合は、コンクリート組成物における水結合材比を15.4%に設定し、空気量の目標値を2.0±1.0%に設定し、スランプフローの目標値を60±10cmに設定した調合である。比較例3及び実施例1は、鋼線維の特性及び使用量がコンクリート組成物の流動性を低くすると予想されたため、比較例1〜2よりも粗骨材かさ容積を小さく計画した。
材料の練り混ぜには強制二軸ミキサを用いた。強制二軸ミキサにセメント及び細骨材を投入し、30秒間空練りを行い、次いで、練り混ぜ水及び化学混和剤を投入し、120秒間練り混ぜた。次いで、粗骨材を投入して120秒間練り混ぜた。次いで、有機繊維と、両端フック型鋼繊維と、直線型鋼繊維とを同時投入し、これら繊維の投入完了後さらに180秒間練り混ぜた。
Figure 0006959796
Figure 0006959796
Figure 0006959796
1−2.コンクリート硬化体の製造
試験体(コンクリート硬化体)として、比較例1〜3及び実施例1の各コンクリート組成物を硬化させ、φ100mm×200mmの円柱と、100mm×100mm×400mmの直方体を製造した。封緘養生を2日間行った後、最高温度75℃として24時間の蒸気養生を行った。蒸気養生後は各試験材齢まで室内にて気中養生を行った。
1−3.試験
コンクリート組成物に対するフレッシュ試験として、練上り直後に空気量とスランプフローの測定を行った。比較例2〜3については、50cmフロー到達時間及び停止時間の測定も行った。
試験体(コンクリート硬化体)に対する強度試験として、材齢14日において圧縮試験、曲げ試験及び曲げタフネス試験を行った。
圧縮試験は、円柱の試験体を用い、JIS A 1108:2006に準拠して行った。試験体の側面にひずみゲージを張り付けて載荷時のひずみを測定し、ヤング率を算出した。
曲げ試験は、直方体の試験体を用い、JIS A 1106:2006に規定されている3等分点載荷法による曲げ試験を行った。
曲げタフネス試験は、切欠きを設けた直方体の試験体を用い、JCI−SF4(繊維補強コンクリートの曲げ強度及び曲げタフネス試験方法)に準拠して行った。CMOD(ひび割れ肩口開口変位)2mmまでの荷重−CMOD曲線下の面積として算出した。
1−4.結果
各試験の結果を表4及び図3〜6に示す。曲げタフネス試験は3体ずつ試験を行ったが、図6には代表としてそれぞれ1体の結果を示す。
Figure 0006959796
1−4−1.フレッシュ試験
比較例1〜3及び実施例1すべてにおいて、空気量の目標値及びスランプフローの目標値を満足するコンクリート組成物が得られた。
比較例3のコンクリート組成物は、比較例2のコンクリート組成物と比較して、スランプフロー値が低く、50cmフロー到達時間が大幅に長かった。このことから、両端フック型鋼繊維を単独で多量に使用するとコンクリート組成物の流動性が低下することが分かった。両端フック型鋼繊維は、コンクリート組成物中において互いに絡み合って流動性を低下させるものと推測された。
実施例1のコンクリート組成物は、比較例2のコンクリート組成物とスランプフロー値が同程度であり、流動性が良好であった。比較例3と実施例1の結果は、両端フック型鋼繊維の一部を直線型鋼繊維に置き換えることにより、コンクリート組成物の流動性が改善することを示している。
1−4−2.圧縮試験
比較例1〜3は、圧縮強度が185〜195N/mm程度であり、ヤング率が48kN/mm程度であり、高強度のコンクリート硬化体であった。
実施例1のコンクリート硬化体は、圧縮強度、ヤング率ともに比較例1〜3のコンクリート硬化体よりも若干低かったが、高強度構造材として充分な圧縮強度を示した。
1−4−3.曲げ試験、曲げタフネス試験
比較例1〜3の結果から、鋼繊維の引張強度が高いほど、鋼繊維の含有量が多いほど、コンクリート硬化体の曲げ強度及び曲げタフネスがより高くなることが示された。
実施例1のコンクリート硬化体は、鋼繊維の総含有量が同じである比較例3のコンクリート硬化体と比較して、曲げ強度、曲げタフネスともに高かった。これは、下記の理由によるものと推測される。
載荷初期の荷重−CMOD曲線(図6左)において、鋼繊維として両端フック型鋼繊維を単独で用いた比較例1〜3では、荷重13〜15kN付近で試験体にひび割れが発生した際に数kNの荷重低下が見られる。一方で、両端フック型鋼繊維FHと直線型鋼繊維SHとを同量ずつ併用した実施例1では、同様の挙動はほとんど見られない。これは、直線型鋼繊維SHが両端フック型鋼繊維FHに比べて単位重量当たりの表面積が大きいのでセメントへの付着力が大きく、その結果、直線型鋼繊維SHが両端フック型鋼繊維FHよりも、載荷初期におけるひび割れ拡大に対して大きな抵抗性を示すことによるものと推察される。一方で、変位が大きくなると両端フック型鋼繊維FHの形状がひび割れ拡大に対して直線型鋼繊維SHよりも抵抗性を発揮するものと推察される。
以上の実施例に現れているとおり、本開示のコンクリート組成物は、フレッシュ状態の流動性が良好であり、硬化後は圧縮強度及び曲げ強度に優れるコンクリート硬化体となる。
2.耐爆裂性の検討
2−1.コンクリート組成物の製造
表5に示す材料を用意し、表6に示す調合にて混合し、比較例11及び実施例11〜12の各コンクリート組成物を製造した。
表6に示す調合は、コンクリート組成物における水結合材比を12%に設定し、スランプフローの目標値を65cmに設定した調合である。
材料の練り混ぜには強制二軸ミキサを用いた。強制二軸ミキサにセメント、細骨材及び粗骨材を投入し、30秒間空練りを行い、次いで、練り混ぜ水、化学混和剤及び消泡剤を投入し、300秒間練り混ぜた。次いで、ポリプロピレン繊維(PP)と、ビニロン繊維(PVA)と、両端フック型鋼繊維と、直線型鋼繊維とを同時投入し、これら繊維の投入完了後さらに300秒間練り混ぜた。
Figure 0006959796
Figure 0006959796
2−2.コンクリート硬化体の製造
試験体(コンクリート硬化体)として、比較例11及び実施例11〜12の各コンクリート組成物を用いて、φ15cm×30cmの円柱を打設した。温度20℃の湿潤状態にて硬化させ、硬化を確認して脱型した。脱型後、下記の養生(1)又は養生(2)を行った。養生(1)又は養生(2)の後、試験まで室温にて封緘養生とした。
養生(1):蒸気養生槽にて、温度90℃にて72時間保持(その前後に、昇温速度15℃/hの昇温および降温速度10℃/hの降温)する蒸気養生。
養生(2):養生(1)後に、温度180℃にて24時間保持(その前後に、昇温速度100℃/hの昇温および降温速度100℃/hの降温)する加熱養生。
2−3.試験
試験体(コンクリート硬化体)を防耐火性能試験用加熱試験装置の炉内に置き、ISO834−1の標準炉内温度曲線(T=345log10(8t+1)+20、T:平均炉内温度(℃)、t:試験経過時間(分))に基づいて加熱した。加熱時間は、当初1時間を予定していたが、予備試験において養生(1)の試験体の爆裂が25分ほどで終了したことから、35分とした。
[爆裂度合]
爆裂後の試験体を目視し、下記の5段階に分類した。
1:拘束鉄筋しか残っていない。
2:原型を留めていない。
3:爆裂面積100%。
4:爆裂している部分もある。
5:ほとんど爆裂していない。
[重量減少率]
爆裂前後の試験体の重量を重量計にて測定し、重量減少率(%)を算出した。
[爆裂深さ]
爆裂後の試験体において、45°ずつ回転した8方向(5.9cm刻み)を高さ方向5cmピッチでノギスにて測定し、爆裂深さ(mm)を求めた。
2−4.結果
各試験の結果を表7に示す。
Figure 0006959796
実施例11のコンクリート硬化体は、比較例11のコンクリート硬化体と比較して、爆裂度合の程度が小さく、重量減少率が少なく、爆裂深さが浅かった。このことから、両端フック型鋼繊維と直線型鋼繊維とを併用することにより、コンクリート硬化体の耐爆裂性が向上することが分かった。
実施例12のコンクリート硬化体は、実施例11のコンクリート硬化体と比較して、爆裂度合の程度が小さく、重量減少率が少なく、爆裂深さが浅かった。このことから、有機繊維を含有させることにより、コンクリート硬化体の耐爆裂性がより向上することが分かった。
以上の実施例に現れているとおり、本開示のコンクリート硬化体は耐爆裂性に優れる。

Claims (5)

  1. 水と、
    セメントと、
    細骨材と、
    絶対容積が150L/m〜300L/mの粗骨材と、
    変形部がある変形型鋼繊維であって平均長20mm〜50mmの変形型鋼繊維と、
    変形部がない直線型鋼繊維であって平均長5mm〜20mmの直線型鋼繊維と、を含有し、
    前記変形型鋼繊維と前記直線型鋼繊維との含有量比(変形型鋼繊維:直線型鋼繊維)が容量基準で1:0.5〜1:2であ
    ワラストナイト及びマイカを含有しない、
    コンクリート組成物。
  2. 水と、
    セメントと、
    細骨材と、
    絶対容積が150L/m〜300L/mの粗骨材と、
    変形部がある変形型鋼繊維であって平均長25mm〜50mmの変形型鋼繊維と、
    変形部がない直線型鋼繊維であって平均長5mm〜25mmの直線型鋼繊維と、を含有し、
    前記変形型鋼繊維と前記直線型鋼繊維との含有量比(変形型鋼繊維:直線型鋼繊維)が容量基準で1:0.5〜1:2であ
    ワラストナイト及びマイカを含有しない、
    コンクリート組成物。
  3. 前記変形型鋼繊維が、
    直線部と前記直線部の両端部から前記直線部と角度を持つように折り曲げられた第1フック部と前記第1フック部の端部を互いに離れる方向へ折り曲げて前記直線部と平行とした第2フック部とを有する両端フック型鋼繊維である、請求項1又は請求項2に記載のコンクリート組成物。
  4. さらに有機繊維を含有する、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のコンクリート組成物。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のコンクリート組成物の硬化物であるコンクリート硬化体。
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