JP6959583B2 - 摩擦材用酸化鉄粒子粉末 - Google Patents

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Description

本発明は、摩擦材用酸化鉄粒子粉末に関するものであり、特に普通自動車や自動二輪車等の軽負荷に用いられる摩擦材に関するものである。
普通自動車などの軽負荷の制動装置のブレーキパッドには樹脂成型によるレジンパッドが採用されている。該レジンパッドは摩擦材、潤滑材、繊維状基材、及びそれらを結合するための熱硬化性高分子を主成分とする結合材などからなり、各材料の混和物を、型に充填した後、加圧、加熱して結合材を硬化することにより製造される。
前記繊維状基材には、ポリアミド繊維、アラミド繊維などの有機繊維及び、チタン酸カリウムなどのセラミック繊維、ロックウールなどの人造鉱物繊維、グラスウールなどのガラス繊維といった合成無機化合物繊維が用いられる。前記摩擦材には、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなどの各種無機化合物粉末や、金属粉末などが用いられる。前記潤滑材には、グラファイト、二硫化モリブデンなどの固体潤滑剤があり、ブレーキ鳴きを抑えるカシューダストなども添加される。
摩擦材として用いられる無機粒子粉末に要求される特性は、制動力が大きいこと、耐磨耗性を有すること、温度、圧力などの変化による制動力の変化が小さくて安定していること、挙動粒子(所謂、凝集粒子)の機械的強度が大きいことがある。ブレーキパッド使用時の発熱による有機物の分解でガスが発生し、それを閉じ込めることなく外部に放出する機能も、ガス流通性がある等として摩擦材に求められている。
従来、摩擦材としてマグネタイト(四三酸化鉄)粒子粉末が用いられてきた(特許文献1)。
特開2000−178538号公報
特許文献1には、摩擦材としてマグネタイト粒子の粒径と形状が規定されているが、凝集粒子の機械的強度やガス流通性に関して言及しているとは言い難い。そのため、凝集粒子の機械的強度に優れ、且つ適度な多孔度を有する酸化鉄粒子粉末が求められている。
従って、本発明は前記諸特性を満たす高強度で且つ適度な多孔度を有する酸化鉄粒子粉末を提供することを目的とする。
前記目的は、次の通りの本発明によって達成できる。
即ち、本発明は、マグネタイト結晶相が主成分であり、一次粒子の形状が針状であり、凝集粒子の平均粒径が10〜150μmであり、異種元素を0.01〜2.0wt%含むことを特徴とする摩擦材用酸化鉄粒子粉末である(本発明1)。
また、本発明は、前記異種元素がC、Si、Al、B、P、Ca、Al、Ti、Si、Mg、Zn、Ni、Mn、Cu、Coから選ばれる1種以上である本発明1記載の摩擦材用酸化鉄粒子粉末である(本発明2)。
また、本発明は、真比重が4.5〜5.4g/cmである本発明1又は2記載の摩擦材用酸化鉄粒子粉末である(本発明3)。
また、本発明は、BET比表面積が3〜60m/gである本発明1〜3のいずれかに記載の摩擦材用酸化鉄粒子粉末である(本発明4)。
また、本発明は、圧壊強度が1.0〜100MPaである本発明1〜4のいずれかに記載の摩擦材用酸化鉄粒子粉末である(本発明5)。
また、本発明は、Si,Al,Zr,Ti,Zn,Pから選ばれる一種以上の化合物又は有機系表面処理剤で被覆された本発明1〜5のいずれかに記載の摩擦材用酸化鉄粒子粉末である(本発明6)。
本発明に係る摩擦材用酸化鉄粒子粉末は、凝集粒子の機械的強度に優れ、且つ比表面積が大きな酸化鉄粒子粉末である。そのため、適度な多孔度によりガス流通性が高いものの、機械的強度が高い性質を有しており、研磨性に優れ、摩擦材として好適である。
実施例1で得られた摩擦材用酸化鉄粒子粉末の800倍の走査型電子顕微鏡の写真である。 実施例1で得られた摩擦材用酸化鉄粒子粉末の3万倍の走査型電子顕微鏡の写真である。
本発明の構成をより詳しく説明すれば次の通りである。
先ず、本発明に係る摩擦材用酸化鉄粒子粉末について述べる。
本発明に係る摩擦材用酸化鉄粒子粉末は、マグネタイト結晶相が主成分である。
本発明に係る摩擦材用酸化鉄粒子粉末は、X線回折で定量できるように、マグネタイト結晶相が50〜100wt%であることが好ましい。マグネタイト(Fe)の含有量を前記範囲に制御することによって研磨性に優れたものとすることができる。より好ましくは60〜95wt%、さらにより好ましくは70〜94wt%である。マグネタイト以外の結晶相として、ウスタイト(FeO)、ヘマタイト(α−Fe)、マグヘマイト(γ−Fe)、ゲーサイト(α−FeOOH)、α−鉄(α−Fe)等が挙げられる。ウスタイトを30wt%以下含有することが好ましく、より好ましくは20wt%以下である。さらに、ヘマタイトを10wt%以下含有してもよい。
本発明に係る摩擦材用酸化鉄粒子粉末は一次粒子の形状が針状である。一次粒子を針状にし、下記のような凝集粒子の平均粒径を制御することで、高い機械的強度と適度な多孔度を有する構造が構成できる。一次粒子の大きさは0.1〜1.2μmが好ましく、0.2〜0.8μmがより好ましい。また、一次粒子の形状は針状であり、長軸/短軸比(アスペクト比)は2〜10が好ましく、3〜8がより好ましい。
本発明に係る摩擦材用酸化鉄粒子粉末は凝集粒子の平均粒径が10〜150μmである。該平均粒径を前記範囲に制御することによって、研磨性に優れるともに、樹脂への分散性向上も期待できる。好ましい凝集粒子の平均粒径は15〜145μmであり、より好ましくは20〜140μmである。
本発明に係る摩擦材用酸化鉄粒子粉末は異種元素がC、Si、Al、B、P、Ca、Al、Ti、Si、Mg、Zn、Ni、Mn、Cu、Coから選ばれる1種以上であることが好ましい。異種元素は主に焼成時の針状の一次粒子サイズの増加を抑制することができ、高温焼成により凝集粒子の強度向上と共に、適度な多孔度で十分なガス抜け機能を保持できる。摩擦材用酸化鉄粒子粉末において、異種元素は酸化鉄結晶相に固溶するもの、非晶質として存在するもの、X線回折では検出できない結晶相として存在するものに大別されるが、いずれの形態でもよい。
本発明に係る摩擦材用酸化鉄粒子粉末は前記異種元素を0.01〜2.0wt%含んでいる。0.01未満であれば、針状の一次粒子粒成長抑制の効果が確認できず、また、2.0wt%を超えても、該抑制効果が飽和するため必要以上に添加する意味が無い。より好ましくは0.04〜1.8wt%であり、さらにより好ましくは0.08〜1.6wt%である。
本発明に係る摩擦材用酸化鉄粒子粉末は真比重が4.5〜5.4g/cmであることが好ましい。マグネタイトの真比重は5.2g/cmであり、真比重を前記範囲に制御することによって、マグネタイト結晶相を50〜100wt%に制御することが可能である。また、前記真比重の範囲であれば、マグネタイト固溶体としても該凝集粒子の高い機械的強度を得ることができ、研磨性に優れたものとなる。より好ましい真比重は4.6〜5.3g/cmであり、更により好ましくは4.7〜5.2g/cmである。
本発明に係る摩擦材用酸化鉄粒子粉末はBET比表面積が3〜60m/gであることが好ましい。BET比表面積値を前記範囲に制御することによって、摩擦材としてガス流通性に優れたものとなる。より好ましい比表面積値は4〜45m/gであり、更により好ましくは5〜40m/gである。
本発明に係る摩擦材用酸化鉄粒子粉末の凝集粒子の形状は、球状が好ましい。球状であるほど樹脂となじみやすく、また、流動性にも優れて成型しやすいためである。
本発明に係る摩擦材用酸化鉄粒子粉末は黒色で無彩色であることが好ましく、色相のうちaは−2〜+10が好ましく、bは−5〜+10が好ましい。a及びbが前記範囲外の場合には、黒色顔料とは言い難い。より好ましくは、aが−1〜+5であり、bが−4〜+5である。
本発明に係る摩擦材用酸化鉄粒子粉末は圧壊強度1.0〜100MPaであることが好ましい。該圧壊強度が1.0MPa未満、及び100MPaを超えては球状の凝集粒子を維持することが困難である。より好ましい圧壊強度は1.2〜80MPaであり、更により好ましくは3〜60MPaである。本発明に係る摩擦材用酸化鉄粒子粉末は、ブレーキパッド成型時におけるバインダー量が少なくても高い強度を維持できるので、摩擦材用として好適である。本発明においては、凝集粒子の圧壊強度は、研磨・摩擦性能に影響を及ぼすので、該圧壊強度をコントロールし、研磨・摩擦性能に調整できる。
また、本発明に係る摩擦材用酸化鉄粒子粉末は、BET換算粒径に対する凝集粒子の平均粒径D50の比(D50/BET換算粒径)が100〜3000であることが好ましい。より好ましくは150〜2500であり、更により好ましくは200〜2200である。ここで、BET換算粒径とは真球と仮定したときの粒径であり、6/(真比重×BET比表面積)で表わされる数値である。前記比率が高いほど凝集粒子内の空隙率が高いことを意味し、摩擦材として使用したとき、ガス抜けがしやすくなる。
本発明に係る摩擦材用酸化鉄粒子粉末は、Si、Al、Zr、Ti、Zn、Pから選ばれる1種以上の化合物又は有機系表面処理剤を用いて粒子粉末の表面を被覆することができる。
Si、Al、Zr、Ti、Zn、Pから選ばれる1種以上の化合物としては、アルミニウム化合物として、酢酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム等のアルミニウム塩や、アルミン酸ナトリウム等のアルミン酸アルカリ塩等が挙げられる。ケイ素化合物として、3号水ガラス、オルトケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム等が挙げられる。ジルコニウム化合物として、酢酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム等のジルコニウム塩等が使用できる。チタン化合物として、酢酸チタニウム、硫酸チタニウム、塩化チタニウム、硝酸チタニウム等のチタニウム塩等が使用できる。亜鉛化合物として、酢酸亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛等の亜鉛塩等が使用できる。りん化合物として、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素アンモニウムナトリウム、リン酸カリウム、ポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム等のリン酸塩等が使用できる。
有機系表面処理剤としては、ステアリン酸又はその塩、並びにロジン、アルコキシシラン、フルオロアルキルシラン、シラン系カップリング剤及びオルガノポリシロキサン等の有機ケイ素化合物等が挙げられる。更には、チタネート系、アルミネート系及びジルコネート系などのカップリング剤、低分子あるいは高分子界面活性剤、リン酸化合物等も挙げられる。
有機ケイ素化合物としては、具体的には、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン及びデシルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、トルフルオロプロピルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン及びトリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン等のフルオロアルキルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のシラン系カップリング剤、ポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、変性ポリシロキサン等のオルガノポリシロキサン等が挙げられる。
チタネート系カップリング剤としては、イソプロピルトリステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル・アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスフェイト)チタネート、テトラ(2−2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスフェイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート等が挙げられる。
アルミネート系カップリング剤としては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムジイソプロボキシモノエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート等が挙げられる。
ジルコネート系カップリング剤としては、ジルコニウムテトラキスアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビスアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラキスエチルアセトアセテート、ジルコニウムトリブトキシモノエチルアセトアセテート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート等が挙げられる。
低分子系界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジオクチルスルホンコハク酸塩、アルキルアミン酢酸塩、アルキル脂肪酸塩等が挙げられる。高分子系界面活性剤としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、カルボキシメチルセルロース、アクリル酸−マレイン酸塩コポリマー、オレフィン−マレイン酸塩コポリマー等が挙げられる。
リン酸化合物としては、リン酸エステル、亜リン酸エステル、酸性リン酸エステル、ホスホン酸等の有機リン化合物等が挙げられる。
表面処理剤について種々言及したが、より好ましいものは有機系表面処理剤として挙げられたカップリング剤である。また、表面処理剤の一部が酸化物、水酸化物、炭化物に変化しても本発明で得られた粉体特性への影響は少ない。
次に、本発明に係る摩擦材用酸化鉄粒子粉末の製造方法について述べる。
本発明に係る摩擦材用酸化鉄粒子粉末は、例えば、下記のようにして製造することができる。
一次粒子の平均粒径が0.01〜2.0μmのマグネタイト粒子粉末、ヘマタイト粒子粉末、マグヘマイト粒子粉末、レピドクロサイト粒子粉末及びゲータイト粒子粉末から選ばれる一種以上を出発原料として用い、該出発原料のスラリー化、噴霧乾燥を経て、所定の凝集粒子の平均粒径を有する造粒物とし、得られた造粒物を低酸素分圧下の250〜900℃の温度範囲で焼成することにより、摩擦材用酸化鉄粒子粉末を製造する。
必要により、異種元素となり得るC、Si、Al、B、P、Ca、Al、Ti、Si、Mg、Zn、Ni、Mn、Cu、Coから選ばれる1種以上を含む酸化物、水酸化物、蓚酸塩、炭酸塩等を前記出発原料として併用しても良く、該元素から選ばれる1種以上を含む酸化鉄或いは含水酸化鉄出発原料を用いても良い。
また、前記出発原料の一次粒子形態としては、針状である。該出発原料の一次粒子の平均粒径としては、0.01〜2.0μmであることが好ましく、より好ましくは0.02〜1.8μmの範囲である。すなわち、0.01μm未満では、スラリー粘度が高くなり噴霧乾燥する際に支障が生ずる傾向がみられ、2.0μmを超えると、焼結体の表面粗度が大きくなり、充填率が上がらなくなるからである。
造粒物は、常法に従って製造すればよいが、造粒物の凝集粒径制御などの点から原料を含有するスラリーの噴霧乾燥が好ましい。スラリーの固形分濃度や該乾燥装置のノズル口を調整することにより造粒物の粒径を調整することができる。該粒径は得られる摩擦材用酸化鉄粒子粉末の凝集粒径と関係が強く、凝集粒子の粒度分布をシャープにすることが可能である。
本発明に係る摩擦材用酸化鉄粒子粉末の製造過程において、出発原料のスラリー化する際に樹脂成分を用いてもよい。出発原料を100重量部として、0.3〜5重量部の樹脂成分を混合することが好ましい。具体的な樹脂成分としては、セルロース、ポリビニルアルコール(PVA)、アクリル酸、ポリアクリル酸アミド,ウレタン、でんぷん類などを用いることができる。異種元素の炭素(C)成分、及び他の異種成分(Si、Al、B、P、Ca、Al、Ti、Si、Mg、Zn、Ni、Mn、Cu、Co)もまた、熱処理時の一次粒子成長を抑制する働きもする。灰化後、残存する好ましい元素として、摩擦材用酸化鉄粒子粉末の表面を改質させる元素が好ましい。前記スラリーの溶媒としてコストの観点から水が好ましい。
また、本発明に係る摩擦材用酸化鉄粒子粉末の製造過程において、出発原料をスラリー化する際に分散剤を用いてもよい。出発原料を100重量部として、0.1〜5重量部の分散剤を混合することが好ましい。該分散剤としては、一般の界面活性剤を使用することができ、酸化鉄などの各種原料の粒子表面に有する水酸基と結合可能な官能基を有するものが好ましく、具体的には、ポリカルボン酸ナトリウム塩、アニオン性ポリカルボン酸アンモニウム塩、リグニンスルホン酸塩、メラミンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ナトリウム塩、リン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、アミン類、ポリアクリル酸の金属塩またはアンモニウム塩等があげられる。そして、焼成後の不純物元素の残渣を考慮すると、ポリカルボン酸アンモニウム塩を用いることが好ましい。
本発明に係る摩擦材用酸化鉄粒子粉末の製造に際しては、上記噴霧乾燥はスラリー濃度40〜80重量%にて行うことが好ましく、より好ましくは50〜70重量%である。すなわち、40重量%未満では、スラリー粘度が低くなり、凝集粒子の粒度分布の調整が困難になる傾向がみられ、また80重量%を超えると、スラリー粘度が高くなり、凝集粒子の球状の形状の確保が困難となる傾向がみられるからである。
噴霧乾燥の条件は、特に限定されるものではなく、スラリー濃度や粘度等によって適宜選択すればよい。
さらに、本発明においては、出発原料によって異なるが、250〜900℃程度の温度で、1〜8時間の焼成を行う。すなわち、250℃未満では、一次粒子が互いに融着しないため、得られる粒子粉末の凝集粒子強度が低下するので好ましくない。850℃を超えると、一次粒子の融着が進行し、成長する。即ち、得られる一次粒子の形状は雪だるま状となり、適度な多孔度を維持できなくなる傾向となるからである。好ましくは320〜820℃である。
焼成雰囲気は、低酸素分圧雰囲気、即ち、不活性ガス雰囲気が好ましく、窒素雰囲気が好ましく、一部、水素を混合しても良い。
前記焼成後、得られた摩擦材酸化鉄粒子粉末は、常法によって水洗、乾燥、或いは粉砕しても良い。
本発明に係る摩擦材用酸化鉄粒子粉末は、他の摩擦材や、潤滑材、繊維状基材などともに用いて、ブレーキパッドを作製することができる。
本発明に係る摩擦材用酸化鉄粒子粉末は、該表面をSi、Al、Zr、Ti、Zn、Pから選ばれる1種又は2種以上の化合物によって被覆しておいてもよい。表面処理方法は、湿式あるいは乾式方法等の常法に従って行えばよい。例えば、湿式方法は湿式分散した摩擦材用酸化鉄粒子粉末のスラリーに、前記元素から選ばれる1種又は2種以上の可溶性化合物を、酸又はアルカリでpH調整しながら添加・混合して被覆する方法である。また、乾式方法はヘンシェルミキサーなどの装置中で摩擦材用酸化鉄粒子粉末に前記元素から選ばれる1種又は2種以上のカップリング剤などにより被覆処理する方法である。
乾式方法において、混合撹拌に使用する機器としては、ブレード型混練機を用いることが好ましい。ホイール型混練機がより効果的に使用できる。前記ブレード型混練機としては、ヘンシェルミキサー、プラネタリーミキサー、ナウタミキサーがある。
本発明の代表的な実施例は、次の通りである。尚、表1に製造条件、表2に粉体特性を示す。
試料の一次粒径の平均粒径とアスペクト比は「走査型電子顕微鏡」((株)日立ハイテクノロジーズ製)の画像分析により算出した。
試料の凝集粒子の平均粒径(D50)は、「レーザー回析式粒度分布計HELOS」(SYMPATEC社製)により計測した値で示した。
試料の比表面積は、「モノソーブMS−11」(カンタクロム(株)製)を用いて、BET法により測定した値で示した。
試料の真比重は、「乾式自動密度計 アキュピックII−1340」(マイクロメリティクス製)で測定した値で示した。
試料の異種元素の炭素の量は、「炭素・硫黄分析装置 EMIA−920V2」(HORIBA製)で測定した値で示した。他の異種成分元素は「蛍光X線分析装置ZSX PRIMUS II」((株)リガク製)を使用し、JIS K0119の「けい光X線分析通則」に従って測定した。
試料の結晶相の含有量は、「Bruker AXS K.K」(ブルカー・エイエックスエス(株)製)XRD装置と付属のTOPASソフトウェアを用いて測定した。
試料の色相(a値、b値)は、試料0.5gとヒマシ油0.5mlとをフーバー式マーラーで練ってペースト状とし、このペーストにクリアラッカー4.5gを加え、混練、塗料化してキャストコート紙上に150μm(6mil)のアプリケーターを用いて塗布した塗布片(塗膜厚み:約30μm)を作製した。塗膜片について、「色彩色差計CR−300」(コニカミノルタセンシング株式会社製)を用いて測定を行い、JIS Z 8729に定めるところに従って表色指数(a値、b値)で示した。
試料の圧壊強度は、単一粒子の圧縮試験(JIS R 1639−5)によって求めた。微小圧縮試験機(島津製作所MCT−W)を用いて、任意の粒子20個の単独粒子の圧縮試験を行い、破壊試験力と粒径より圧懐強度を求め、算術平均した。
実施例1
表1記載の製造条件に従って、一次粒子の平均粒径が0.4μmの針状ゲーサイト粒子粉末1kgとポリビニルアルコール10gとポリカルボン酸アンモニウム塩5gと水1kgをボールミルで2時間混合してゲーサイト粒子粉末を含有するスラリーを得た。このスラリーをスプレードライで造粒及び乾燥を行い、複合体粒子を調整した。次に、該粒子を回転式加熱処理炉内に入れ、窒素雰囲気中、600℃で3時間加熱した。室温まで冷却した後、取り出して摩擦材用酸化鉄粒子粉末を得た。その特性を表2に示す。図1と図2に走査型の電子顕微鏡写真を示すように、凝集粒子の粒度は揃っており(即ち、粒度分布がシャープであり)、62.5μmの凝集粒子の平均粒径を有する摩擦材用酸化鉄粒子粉末を得た。図2の写真から一次粒子の平均粒径は0.5μmであり、アスペクト比は4であった。
実施例2
表1記載の製造条件に従って、ゲーサイト粉末1kgとポリビニルアルコール10gとリグニンスルホン酸塩を5gと水1kgをボールミルで2時間混合してゲーサイト粒子粉末を含有するスラリーを得た。このスラリーをスプレードライで造粒及び乾燥を行い、複合体粒子を調整した。次に、該粒子を回転式加熱処理炉内に入れ、窒素雰囲気中、750℃で3時間加熱した。室温まで冷却した後、取り出して摩擦材用酸化鉄粒子粉末を得た。その特性を表2に示す。
実施例3
表1記載の製造条件に従って、ゲーサイト粉末1kgとポリビニルアルコール25gとポリアクリル酸アンモニウムを10gと水1kgをボールミルで2時間混合してゲーサイト粒子粉末を含有するスラリーを得た。このスラリーをスプレードライで造粒及び乾燥を行い、平均粒径33.5μmの複合体粒子を調整した。次に、該粒子をプッシャ式焼成炉に入れ、窒素雰囲気中、650℃で1時間加熱した。室温まで冷却した後、取り出して摩擦材用酸化鉄粒子粉末を得た。その特性を表2に示す。
実施例4〜7
出発原料の種類と配合割合、樹脂及び分散剤の添加量、焼成温度を種々変化させた以外は実施例1と同様にして、表1記載の製造条件に従って、摩擦材用酸化鉄粒子粉末を得た。その特性を表2に示す。ここで、実施例6は異種元素として1.0wt%のSiとなるようSiOを、実施例7は異種元素として2.0wt%のCaとなるようCaCOを利用した。
実施例8
表1記載の製造条件に従って、前記実施例1で得られた酸化鉄粒子粉末1kgに、表面処理剤としてシランカップリング剤(メチルトリエトキシシラン)を15g用い、混合装置ヘンシェルミキサーを用いて表面処理を行った。得られた粉体特性を表2に示す。
実施例9〜10
表1記載の製造条件に従って、前記実施例1で得られた酸化鉄粒子粉末に種々の表面処理剤(アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、及びジルコニウムテトラキスアセチルアセトネート)を乾式混合して、摩擦材用酸化鉄粒子粉末を得た。その特性を表2に示す。
比較例1
実施例1で使用したゲーサイト粉末1kgとポリビニルアルコール10gとポリカルボン酸アンモニウム塩10gと水1kgをボールミルで2時間混合したこのスラリーをスプレードライで造粒及び乾燥を行い、未焼成のまま複合体粒子とした。得られた複合体粒子の諸特性を表2に示す。
比較例2、3
酸化鉄原料の配合割合、樹脂及び分散剤の添加量を変化させた以外は比較例1と同様にして、摩擦材用酸化鉄粒子粉末を得た。このときの製造条件を表1に、得られた摩擦材用酸化鉄粒子粉末の諸特性を表2に示す。
比較例4
酸化鉄原料の配合割合、樹脂及び分散剤の添加量、焼成温度、焼成雰囲気を変化させた以外は実施例1と同様にして、摩擦材用酸化鉄粒子粉末を得た。このときの製造条件を表1に、得られた摩擦材用酸化鉄粒子粉末の諸特性を表2に示す。
Figure 0006959583
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得られた摩擦材用酸化鉄粒子粉末は、BET換算粒径に対する凝集粒子の平均粒径D50の比(D50/BET換算粒径)が100〜3000であり、適度な多孔度を有しており、摩擦材として使用した時にガス抜けに優れていることが推定できた。
本発明に係る摩擦材用酸化鉄粒子粉末は、圧壊強度が高く、比表面積も高いため、研磨性に優れると共に十分なガス抜け性能を有し、摩擦材用酸化鉄粒子粉末として好適である。また、凝集粒子の平均粒径が大きく、該粒度分布がシャープであるため樹脂への分散性向上も期待できる。尚、本発明は摩擦材用途に限定するものではなく、研磨材として用いても構わない。

Claims (5)

  1. マグネタイト結晶相が主成分であり、一次粒子の形状が針状であり、凝集粒子の平均粒径が10〜150μmであり、異種元素を0.01〜2.0wt%含み、圧壊強度が1.5〜100MPaであることを特徴とする摩擦材用酸化鉄粒子粉末。
  2. 前記異種元素がC、Si、Al、B、P、Ca、Al、Ti、Si、Mg、Zn、Ni、Mn、Cu、Coから選ばれる1種以上である請求項1記載の摩擦材用酸化鉄粒子粉末。
  3. 真比重が4.5〜5.4g/cmである請求項1又は2記載の摩擦材用酸化鉄粒子粉末。
  4. BET比表面積が3〜60m/gである請求項1〜3のいずれかに記載の摩擦材用酸化鉄粒子粉末。
  5. Si,Al,Zr,Ti,Zn,Pから選ばれる一種以上の化合物又は有機系表面処理剤で被覆された請求項1〜のいずれかに記載の摩擦材用酸化鉄粒子粉末。
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