従来より、多数の小物品、小部品などを被めっき物としてめっき処理を施す場合には、多数の被めっき物をバレル内に収容し、このバレルをめっき槽内のめっき液に浸漬して、バレルを回転させてバレル内の被めっき物を移動させながら電気めっき処理、無電解めっき処理を施して、被めっき物の表面上にめっき被膜を形成しているが、バレルが回転している際に、被めっき物がバレルの内壁に貼り付いてしまうという問題があった。
そこで、このような被めっき物の貼り付きを防止するため、種々の提案がなされている。特許文献1には、バレル内壁に角錐状の突起(以下ダイヤカットという)を有し、該ダイヤカット頂点間の最短距離Dと、バレルに開けられた孔の中心間の最短間隔Eと、球形メディアの直径Fが、21/2・D<F及びE<Fの関係を満足することを特徴とするバレル式電気メッキ法により、回転中に扁平形状などの被処理物がバレル内壁に貼り付くことを防止することが提案されている。特許文献2には、主として、小部品をめっきするに使用する回転バレル装置として、架台に回転自在に支持させて、周壁面に多数の通液孔を備えるバレルを設けたバレル装置において、該回転バレルの外周に、周方向に沿って多数の凸状カムを間隔を存して配設し、該凸状カムによって回転バレルに打ち当たる状態と離反する状態とを繰り返す打当部材を、架台に支持させて設けたことを特徴とする回転バレル装置により、回転バレルの回転に伴って、該打当部材が、回転バレルに打ち当たるたびに、該回転バレルに振動を与え、この振動によって、付着するワークを剥がしワークの塊に戻すことが提案されている。
特許文献3には、メッキ用バレルの回転によって浮動し舞い上がった極小部品がメッキ用バレルの内面に付着し、メッキ用バレルの内面より離れないことがあるという問題を解決するため、陽極メッキ液を透過するとともに、内部に投入された多数の極小部品を陰極に通電するメッキ用バレルと、上記メッキ用バレルを周方向に回転させる第1の駆動手段と、上記メッキ用バレルを振動させる第2の駆動手段と、上記メッキ用バレルの下部に配設され、上記極小部品を上記陽極メッキ液の液流とともに吸引する吸引手段と、を具備したことを特徴とする極小部品のメッキ用バレル装置及び透液性を有するメッキ用バレル内に多数の極小部品を投入する工程と、上記メッキ用バレルを陽極メッキ液に浸漬し、上記極小部品を陰極にする工程と、上記極小部品を陽極メッキ液の液流とともに下方に吸引するとともに、上記メッキ用バレルを回転および振動させながら、上記極小部品に電気メッキを行なう工程と、を含むことを特徴とする極小部品のメッキ方法が提案されている。特許文献4には、多角形の筒状に構成された胴部と、該胴部の回転軸方向両側に設けられた一対の側壁部と、該胴部に取り付けられた複数のパネル部とを備え、前記胴部は、多角形の角部を構成するフレーム部と、角部の間を架橋するメッシュ部とを有し、前記メッシュ部は被めっき物の流通規制用の多孔を有し、前記パネル部はめっき液の流通用の多孔を有し、前記フレーム部と前記メッシュ部とは、一体成形物として構成されており、前記パネル部は、前記フレーム部と別体であって、前記メッシュ部を覆うように取り付けられている、バレルめっき用バレルにより、メッシュの凹凸や、メッシュ同士の継ぎ目などへの被めっき物の引っ掛かりを解消することが提案されており、更に、胴部の内面と側壁部の内面とが交差する部分に、被めっき物の挟まりを防止する肉盛り部を設けることにより、被めっき物の引っ掛かり防止効果が一層高められていることが記載されている。
特許文献5には、めっき液中に水平状態で浸漬され、被めっき物を収容する筒状のドラムと、前記ドラムを回転可能に支持する支持部材と、前記ドラムを回転駆動させる駆動機構と、前記ドラムと同軸に配置され、前記ドラムと一体に回転する棒状の導電性部材と、を備えたことを特徴とするバレルめっき装置において、前記ドラムの内部にテーパ部を設けたことによってドラムの内部が滑らかに形成され被めっき物が引っ掛かりにくくなることが記載されている。特許文献6は、断面多角形の容器になる回転式のバレルに多数の被めっき部品を投入し、めっき液に浸漬した状態でバレルを回転してめっき処理するバレル式めっき装置であり、前記バレルの容器内方にはめっき処理時に投入した被めっき部品を攪拌する攪拌部材を備えたものにおいて、前記攪拌部材はその断面形状が円形、ないし楕円形の棒状体で構成し、この攪拌棒をバレル容器内の指定位置に位置決めして着脱可能に支持したことを特徴とするバレル式めっき装置に関して記載されており、バレルの回転に伴うワークの流動、攪拌性を高めるための対策として、前記バレル容器の内方周域に容器壁面と離間してワーク攪拌用の攪拌板を配置していることが記載されている。
しかしながら、上記のめっき用回転バレル装置では、バレルに振動を加えたり、バレル内部に突起物などを配設したり、メッキ液の液流とともに下方に吸引したり、バレル内で攪拌部材により攪拌すると、被めっき物の種類、形状、めっき被膜の種類などによっては、製品の仕上がりに問題が生じる可能性があるという課題があった。更に、上記のめっき用回転バレル装置では、比較的小さく、且つ薄い扁平形状の被めっき物、例えば、厚さ0.01〜1mm、縦幅0.3〜5mm、横幅0.3〜5mmの平板形状を備えた被めっき物であってもバレル内壁への被めっき物の貼り付き(製品残り)を防止するという点では、未だ改良の余地があり、被めっき物がどのような形状、大きさであっても、バレル内壁に貼り付いて、製品残りが生じるのを防止することができる技術の開発が望まれていた。
本発明は、上記課題を鑑みなされたもので、被めっき物がどのような種類、形状、大きさであっても、また、めっき被膜がどのような種類であっても、製品の仕上がりに問題が生じることなく、バレル内壁への貼り付きを防止して、製品残りが生じるのを防止することが可能なめっき用回転バレル装置及びバレルめっき方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、(1)内部に被めっき物を収容する中空筒形の形状を備えると共に、透液性を有するバレルと、該バレルを回転可能に水平状態乃至は略水平状態に支持する支持部材と、バレルを回転させる回転駆動手段と、を備え、バレルをめっき槽内のめっき液に浸漬させて回転させながら被めっき物をめっき処理するめっき用回転バレル装置であって、バレルの幅方向の表面形状に対応した下辺形状を備えた板状部材からなり、下辺が回転するバレル表面に近接するようにバレルの上方に配設された液流変更部材を備えたことを特徴とするめっき用回転バレル装置及び(2)被めっき物を該被めっき物を通過させない透液性を有する中空筒形の形状を備えるバレルに収容する収容工程と、支持部材に水平状態乃至は略水平状態に取り付けられたバレルをめっき槽内のめっき液中に浸漬させる浸漬工程と、めっき槽内でバレルを回転させて、めっき液の液流を生じさせると共に、液流をバレルの上側表面近傍で板状部材により遮ることにより液流を変えてバレル内に渦をつくりながら、バレル内の被めっき物に電気めっき処理又は無電解めっき処理を施すめっき処理工程と、を備え、上記(1)に記載のめっき用回転バレル装置を使用することを特徴とするバレルめっき方法を提供する。
本発明の(1)めっき用回転バレル装置によれば、内部に被めっき物を収容する中空筒形の形状を備えると共に、透液性を有するバレルと、該バレルを回転可能に水平状態乃至は略水平状態に支持する支持部材と、バレルを回転させる回転駆動手段と、を備え、バレルをめっき槽内のめっき液に浸漬させて回転させながら被めっき物をめっき処理するめっき用回転バレル装置であって、バレルの幅方向の表面形状、換言すると、バレルの全幅又は幅方向の一部の表面形状に対応した下辺形状を備えた板状部材からなり、下辺が回転するバレル表面に近接するようにバレルの上方に配設された、換言すると、バレルの幅方向に沿って横設された液流変更部材を備えているので、バレルの回転により生じためっき液の液流がバレル上部外側で流れが変わり、バレル内に渦がつくられることにより、液流変更部材の下辺に近接するバレル内壁周辺部への被めっき物の貼り付きを防止して、製品残りを防止することが可能となる。そして、液流変更部材がバレル上方に設けられているので、例えば、製品が舞って導通不良などの事態が生じるのを防止することもできる。
ここで、液流変更部材が支持部材に取り付けられたものであると、バレル表面と液流変更部材の下辺との離間距離を調整し易くなるので、より好適である。また、バレル表面と液流変更部材の下辺との最短離間距離が1〜30mmであると、液流を変更して適量のめっき液がバレル内に流入するように調整し易くなるので、より好適である。なお、バレル表面と液流変更部材の下辺との最短離間距離とは、例えば、バレルの胴部が円筒状であれば、バレル表面と液流変更部材の下辺との離間距離であり、バレルの胴部が多角形筒状であれば、バレル回転時にバレル角部が液流変更部材の直下に位置した時のバレル角部表面と液流変更部材の下辺との離間距離である。また、後述するように、液流変更部材の底面がテーパ状である場合は、正面視下辺(底面の下側の下辺、換言すると、下端辺)との離間距離である。更に、液流変更部材が、バレルの回転方向に対向するテーパ状の底面を備えたものである、換言すると、液流変更部材の下側の板厚部分がバレルの回転方向に対向するテーパ状になっていると、乱流が起こり難くなるので、より好適である。また、バレルが幅方向両側端側にそれぞれ端部に向かって縮径するテーパ部を備え、該テーパ部の表面形状に対応した下辺形状をそれぞれ有する液流変更部材がバレルの各テーパ部表面の上方にそれぞれ配設されていると、テーパ部のところは、被めっき物が内壁に貼り付き易く、また、一旦、内壁に貼り付いた被めっき物が剥がれ難い場合があるが、本発明の液流変更部材によって、回転しているバレルのテーパ部の上側表面でめっき液の液流が変わり、上側のテーパ部内で渦流が生じ、上記のような貼り付きを防止することができるので、より有用である。
そして、バレルが支持部材に着脱自在に取り付けられたものであると、被めっき物(製品)を取り出す際に、バレルを支持部材から外して、例えば、バレルの開口部を下向きにして振ることによって、バレル内の被めっき物(製品)を振り落すことができるので、製品残りをより有効に防止することができる。
本発明の(2)バレルめっき方法によれば、被めっき物を該被めっき物を通過させない透液性を有する中空筒形の形状を備えるバレルに収容する収容工程と、支持部材に水平状態乃至は略水平状態に取り付けられたバレルをめっき槽内のめっき液中に浸漬させる浸漬工程と、めっき槽内でバレルを回転させて、めっき液の液流を生じさせると共に、液流をバレルの上側表面近傍で板状部材により遮ることにより液流を変えてバレル内に渦、即ち、めっき液の渦流をつくりながらバレル内の被めっき物に電気めっき処理又は無電解めっき処理を施すめっき処理工程と、を備えているので、バレルの回転運動に合わせて、めっき液の渦流がバレル内壁に作用して、被めっき物の内壁への貼り付きを防止したり、また、被めっき物が内壁に貼り付いたとしても、剥がすことが可能となる。そして、めっき用回転バレル装置として本発明の(1)めっき用回転バレル装置を使用するので、液流変更部材が液流をバレルの上側表面近傍で遮る板状部材となり、上述した工程を実現することがより容易となる。
ここで、被めっき物が厚さ0.01〜1mm、縦幅0.3〜5mm、横幅0.3〜5mmの平板形状を備えるものであると、このような極薄で極小の被めっき物の場合、バレル内で舞い易く、内壁に貼り付き易いのみならず、バレルの透液性を確保するために備えられるメッシュ部、スリット、小孔の孔径などを被めっき物の通過を規制するために小さくすると、めっき液がバレル内に流入し難くなり、バレルの回転のみでは、被めっき物の内壁への貼り付きを十分に防いだり、内壁に貼り付いた被めっき物を剥がしたりし難くなりやすいが、本発明のめっき方法によれば、めっき液の液流を生じさせると共に、バレルの上側表面でめっき液流を変えてバレル内に渦をつくるので、被めっき物の内壁への貼り付きを十分に防いだり、内壁に貼り付いた被めっき物を剥がし易くなるので、より有用である。また、バレルの回転数が10rpm以下であると、バレルの回転による製品の浮きを防止し易くなるので、より好適である。
本発明によれば、被めっき物がどのような種類、形状、大きさであっても、また、めっき被膜がどのような種類であっても、製品の仕上がりに問題が生じることなく、バレル内壁への貼り付きを防止して、製品残りが生じるのを防止することが可能となる。
以下、本発明につき、図面を参照して、更に詳細に説明する。なお、以下の図面において、同一又は対応する部分については、同一の符号を付している。図1は、本発明のめっき用回転バレル装置の第一構成例を説明するために、第一構成例に係るめっき用回転バレル装置Aを配設しためっき槽を縦方向に破断してめっき用回転バレル装置Aの構成を模式的に示した一部破断概略正面図、図2は、めっき用回転バレル装置Aの液流変更部材を取付けた支持部材に支持されたバレルの構成を説明する概略拡大縦断面図、図3は、めっき用回転バレル装置Aの液流変更部材とバレルとの位置関係を説明するために図1中のa部分を拡大して示した概略拡大図、図4は、めっき用回転バレル装置Aの液流変更部材とバレルとの位置関係を説明するために図1中のX−X線に沿ってめっき用回転バレル装置を縦方向に破断して拡大して示した概略拡大断面図、図5は、めっき用回転バレル装置Aのバレルを支持部材に着脱自在に取り付ける構成を説明する模式図である。
めっき用回転バレル装置Aは、内部に被めっき物を収容する中空筒形の形状を備えた透液性を有するバレル1と、固設された液流変更部材2,2がそれぞれバレル1の幅方向両側端側のテーパ部1a,1aの上方に近接するようにバレル1を回転可能に水平状態乃至は略水平状態に支持する支持部材3と、バレル1を回転させる回転駆動手段4とを備え、図示しない搬送装置によって支持部材3に取り付けられたバレル1をめっき槽5内のめっき液6に浸漬させて回転させながら図示しない被めっき物をめっき処理するものである。
バレル1は、内部に図示しない被めっき物を収容するものであり、六角形筒形の胴部1bの幅方向(図1中の左右方向)両側端側が上述したように、側壁1c,1cに向かって縮径するテーパ部1a,1aとなっている。側壁1c,1cは胴部1bと一体成形されたものであっても、別々に成形したものを接合したものであっても良い。なお、本発明のめっき用回転バレル装置において、バレルの形状は、特に制限されるものではなく、円筒形であっても、多角形筒形であっても良く、また、テーパ部を備えない筒形形状であっても良い。バレル1は、収容する図示しない被めっき物として、厚さ0.01〜1mm、縦幅0.3〜5mm、横幅0.3〜5mmの平板形状を備えた製品に対応するものであるが、本発明において、被めっき物の大きさ、形状は、特に制限されるものではなく、被めっき物としては、例えば、断面略コ字型の板形状、上端開口部を有する箱型形状、上端及び下端にフランジを有する断面略コ字型の板形状、上端開口部にフランジを有する箱型形状を備えた製品などが挙げられる。
そして、バレル1は、上述した図示しない被めっき物は通過させず、めっき液は通過させる透液性を有するために、図2に示すように胴部1bに複数のメッシュ部1dを備えている。なお、他の図面においては、図面上、メッシュ部は省略している。ここで、本発明のめっき用回転バレル装置において、バレルの透液性を有するための手段は、特に制限されるものではなく、バレル周壁に多数のスリット又は小孔を開設したりしても良い。メッシュ部1dの孔径(メッシュの目の大きさ)は、上述した被めっき物を通過させず、且つめっき液がバレル内に流入し易い大きさであり、被めっき物の大きさなどに合わせて適宜選定することができ、特に制限されるものではないが、めっき液のバレル内への流入し易さを考慮すると、好ましくはメッシュ数の数値として70メッシュ以下、また、めっき液のバレル内への流入し易さと被めっき物の大きさを考慮すると、より好ましくは50〜70メッシュであると、より好適である。メッシュの孔径が小さすぎると、めっき液がバレル内に流入し難くなる場合があり、大きすぎると、被めっき物がバレル外に放出され易くなったり、メッシュの目につまり易くなる場合がある。なお、メッシュの孔径が小さくなり、めっき液がバレル内に流入し難くなると、バレルの回転により生じる液流のみでは、被めっき物の内壁への貼り付きを十分に防いだり、内壁に貼り付いた被めっき物を剥がしたりし難くなりやすいが、本発明の場合、液流変更部材によって、バレル内にめっき液の渦流が生じるので、被めっき物の内壁への貼り付きを十分に防いだり、内壁に貼り付いた被めっき物を剥がしたりし易くすることが可能となる。
バレル1の側壁1c,1cには、回転軸7,7がそれぞれ連結されており、図1に示すように一方(図面上右側)の回転軸7は、ギア48に連結している。回転軸7,7は、後述するように支持部材3の支持板31,31の切欠き部32,32内を摺動し、取付けられるすべり軸受8,8に挿入されている。すべり軸受8,8は、くびれ部8a,8aを備え、図5に示すように、くびれ部8aの直径rは支持板31の切欠き部32内を摺動可能となるように切欠き部32の高さhに合わせて設定されていると共に、支持板31,31の切欠き部32,32から脱落を防止するロックナット9,9とベアリング10,10がそれぞれ取り付けられている。
図中1eは、バレル1のテーパ部1aの角部であり、図3に示すように液流変更部材2の正面視下辺2aの下方にのテーパ部1aの角部1eが位置した際のバレル1のテーパ部1a表面と正面視下辺2aとの最短離間距離Lが設定される。最短離間距離Lは、バレル1が回転している際に、液流変更部材がバレル1のテーパ部1aと衝突、接触しないような空隙を有する距離であり、好ましくは1〜30mm、より好ましくは1〜10mm、更に好ましくは1〜5mmであると、より好適である。距離が短すぎると、バレルの回転時の揺れ幅によっては、バレルと液流変更部材が接触するのを予防し難くなる場合があり、距離が離れすぎると本発明の作用効果が十分に得られ難くなる場合がある。なお、バレル1は、図示しない蓋材が1箇所設けられている。
液流変更部材2,2は、正面視形状が四角形であり、正面視下辺2a,2aの形状がバレル1のテーパ部1a,1aの角部1e,1eの表面形状と対応している。そして、液流変更部材2,2は、バレル1が支持部材3に取り付けられた時に、バレル1のテーパ部1a,1a表面と液流変更部材2,2の正面視下辺2a,2aとの最短離間距離Lが上述した距離となるように、支持部材3の支持板31,31にそれぞれ固設されている。なお、本発明において、液流変更部材は、バレルの上方の全幅に亘って配設されていてもよく、又は、バレルの幅方向中間部の上方であったり、液流変更部材2,2のようにバレルの幅方向の左右側端側の上方というように、バレルの幅方向の一部の上方のみに横設されていてもよい。従って、液流変更部材の正面視下辺形状は、取付け位置のバレルの幅方向の、換言すると、バレルの全幅又は幅方向の一部の表面形状に対応した形状となる。また、バレル表面と液流変更部材の下辺との最短離間距離とは、例えば、バレルの胴部が円筒状であれば、バレル表面と液流変更部材との平均離間距離であり、バレルの胴部が多角形筒状であれば、バレル回転時にバレル角部が液流変更部材の直下に位置した時のバレル角部表面と液流変更部材との平均離間距離である。また、本発明において、液流変更部材は、バレルの上方に配設されるものであり、例えば、支持部材に取り付けられたバレルを正面視した時の高さ方向の上半分の表面の上方に配設することもできるが、液流変更部材2の配設による作用効果が十分に得やすくなることを考慮すれば、図4中の矢印Pに示すように、バレル1の高さの4分の1程度上側の上方とすると好適である。
支持部材3は、バレル1を回転可能に支持する一対の支持板31,31と支持部材31,31の下側に架設された下側連結棒33と支持部材31,31の上側に架設された上側連接棒34とを備え、支持板31,31には上述したように液流変更部材2,2がそれぞれ固設されている。そして、図2,図5に示すように、支持板31,31の切欠き部32,32にバレル1の回転軸7,7が挿入されたすべり軸受8,8のくびれ部8a,8aを切欠き部32,32の奥まで摺動させ、ロックナット9,9により支持板31,31に、バレル1が回転可能で、且つ脱落をしないように締め付け調整して、バレル1を回転可能に、且つ着脱自在に支持している。
なお、本発明において、バレル、支持部材の材質、大きさなどは、特に制限されるものではなく、従来と同様の樹脂などの材質を適宜選定することができ、大きさなどもめっき処理する対象に合わせて適宜選定することができる。また、液流変更部材の材質は支持部材に合わせると、支持部材への固設が容易となるので、より好適であり、大きさなどは、バレル、支持部材の大きさなどに合わせて適宜選定することができる。なお、液流変更部材の支持部材への固設手段は特に制限されず、例えば、材質に合わせた接着手段を適宜選定して固設することができる。
バレル1を回転させる回転駆動手段4は、バレル回転駆動モータ41と、バレル回転駆動モータ41のモータ軸42に連結されたギア43と、ギア43と噛み合うギア44と、ギア44に連結されたバレル回転駆動軸45と、バレル回転駆動軸45に連結されたギア46と、ギア46と噛み合うギア47と、ギア47と噛み合うギア48とを備え、ギア48は上述したように、バレル1の回転軸7に連結している。そして、バレル回転駆動モータ41はモータ取付部材49によりめっき槽5に取り付けられる。回転駆動機構4は、バレル回転駆動モータ41を駆動させ、バレル回転駆動モータ41のモータ軸42の回転をギア43を介してギア44に伝達してギア44を回転させ、ギア44の回転をバレル回転駆動軸45を介してギア46に伝達し、ギア46と噛み合うギア47を介してギア47と噛み合うギア48を回転させることによって、ギア48に連結したバレル1の回転軸7を回転駆動させることができる。なお、本発明のめっき用回転バレル装置において、回転駆動手段の構成は、特に制限されるものではなく、例えば、回転駆動手段のモータを支持部材の上部に取り付けた構成とすることもできる。
次に、めっき用回転バレル装置Aを使用した本発明のバレルめっき方法の実施の形態を説明する。まず、図示しない被めっき物をバレル1の図示しない蓋部を開口させて、バレル1内に収容する(収容工程)。そして、液流変更部材2,2を固設した支持部材3にバレル1を上述したように支持部材3の支持板31,31に水平状態に取り付け、支持部材3の上側連結棒34を図示しない搬送装置に引掛けてバレル1をめっき槽5内のめっき液6中に浸漬させる(浸漬工程)。ここで、めっき用回転バレル装置Aを使用しためっき方法は、電気めっき方法であっても、無電解めっき方法であっても良く、めっき方法に合わせてめっき液、めっき槽内の装置、部材などが適宜選定される。なお、電気めっき方法の場合は、一方の回転軸7を利用してバルブ1内に図示しない陰極端子を挿入する。そして、バレル1を回転駆動機構4によりめっき槽5内で回転させて、めっき液6の液流を生じさせると共に、バレル1の上側表面でめっき液流を変えてバレル1内に渦をつくりながらバレル1内の図示しない被めっき物に電気めっき処理又は無電解めっき処理を施す(めっき処理工程)。そして、図示しない搬送装置によりバレル1をめっき槽5から引き揚げ、ロックナット9,9を緩めてバレル1を支持部材3から取り外し、図示しないバレル1の蓋部を開けて、バレル1内のめっき処理された製品(図示せず)を取り出す。
このバレルめっき方法によれば、バレル1の回転運動に合わせて、めっき液6の渦流がバレル1内壁に作用して、図示しない被めっき物の内壁への貼り付きを防止したり、また、被めっき物が内壁に貼り付いたとしても、剥がすことが可能となる。そして、バレル1が支持部材3に着脱自在に取り付けられているので、被めっき物を取り出し易くなる。従って、めっき用回転バレル装置Aによれば、被めっき物がどのような種類、形状、大きさであっても、また、めっき被膜がどのような種類であっても、製品の仕上がりに問題が生じることなく、バレル内壁への貼り付きを防止して、製品残りが生じるのを防止することが可能となる。
なお、バレル1に収容する図示しない被めっき物は、上述したように、厚さ0.01〜1mm、縦幅0.3〜5mm、横幅0.3〜5mmの平板形状である。ここで、本発明のバレルめっき方法を利用する被めっき物は、その大きさ、形状が特に制限されるものではないが、本発明の目的、効果を考慮すると、厚さが好ましくは0.01〜1mm、より好ましくは0.05〜0.1mm、縦幅が好ましくは0.3〜5mm、より好ましくは1〜2mm、横幅が好ましくは0.3〜5mm、より好ましくは1〜2mmの平板形状であると、より好適である。また、バレルの回転数は特に制限されるものではないが、好ましくは10rpm以下、より好ましくは3〜8rpm、更に好ましくは5〜7rpmとすると、好適である。回転数が少なすぎると、被めっき物のバレル内壁への貼り付きを十分に防止し難くなる場合があり、多すぎると、回転の勢いで製品が浮き易くなる場合がある。
次に、本発明のめっき用回転バレル装置の第二構成例を図6を用いて説明する。図6は図4のように第二構成例に係るめっき用回転バレル装置A1をバレルのテーパ部の部分で縦方向に断面し、側方からめっき用回転バレル装置A1を視た状態を示した概略断面図であり、めっき用回転バレル装置A1は、バレル11の胴部11bが円筒形で、テーパ部11a,11a、円形の一対の側壁1c(図6では片方のみ図示している)を有し、液流変更部材21(図6では片方のみ図示している)は底面21bがバレル11の回転方向(図中の矢印Q)に対向するテーパ状となっており、正面視下辺21aがテーパ部11aの表面形状に対応している。このめっき用回転バレル装置A1の場合、バレル表面と液流変更部材との最短離間距離Lは、テーパ部11a表面と液流変更部材21の底面21bの下側の下辺(下端辺)である正面視下辺21aとの離間距離である。
上記構成のめっき用回転バレル装置A1によれば、上述しためっき用回転バレル装置Aと同様に、本発明のバレルめっき方法に好適に使用することができ、被めっき物がどのような種類、形状、大きさであっても、また、めっき被膜がどのような種類であっても、製品の仕上がりに問題が生じることなく、バレル内壁への貼り付きを防止して、製品残りが生じるのを防止することが可能となる。
なお、本発明は、上記構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更することができる。