以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。
以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る印刷装置の全体斜視図である。図2は、図1に示す印刷装置における載置台の平面図である。図3は、図1に示す印刷装置における調整部の基材移動部品を示す図である。図4は、図1に示す印刷装置における調整部の従動部品を示す図である。図5は、印刷用の基材および位置合わせ部品の斜視図である。図6は、図5に示す位置合わせ部品の平面図である。図7は、図1に示す印刷装置におけるシャトルユニットの要部斜視図である。図8は、図7に示すシャトルユニットの要部側面図である。図9は、図1に示す印刷装置の制御ブロック図である。なお、以下の説明において、図1の矢印で示す上下左右前後を上下左右前後方向とする。
図1、図9に示すように第1実施形態に係る印刷装置1は、シャトルベースユニット2と、フラットベッドユニット3と、シャトルユニット4と、操作パネル5と、制御部6とを備える。
シャトルベースユニット2は、シャトルユニット4を支持するとともに、前後方向(副走査方向)にシャトルユニット4を移動させる。シャトルベースユニット2は、架台部11と、副走査駆動モータ12とを備える。
架台部11は、シャトルユニット4を支持する。架台部11は、矩形枠状に形成されている。架台部11の左右の枠上には、前後方向に延びる副走査駆動ガイド13A,13Bがそれぞれ形成されている。副走査駆動ガイド13A,13Bは、シャトルユニット4を前後方向に移動するようガイドする。
副走査駆動モータ12は、シャトルユニット4を前後方向に移動させる。副走査駆動モータ12は、ステッピングモータからなる。
フラットベッドユニット3は、建材や化粧パネル等からなる平面視矩形状の印刷用の基材16を支持する。フラットベッドユニット3は、載置台21と、載置台昇降駆動部22と、調整部23とを備える。
載置台21は、基材16が載置される台である。載置台21は、シャトルベースユニット2の架台部11の内側に配置されている。載置台21は、平面視矩形状に形成されている。載置台21は、平面視における互いに対向する一対の辺が主走査方向(左右方向)に平行になり、他の一対の辺が副走査方向(前後方向)に平行になるように配置されている。
載置台21の上面である載置面21aは、水平面になっている。載置面21a上に基材16が載置される。載置面21aには、基準左右線26と、基準前後線27とが形成されている。
基準左右線26は、作業者が基材16を載置台21に載置する際の、基材16の前後方向における位置の目安となる線である。基準左右線26は、載置面21aの前端辺から所定距離の位置に、左右方向に平行に形成されている。基準前後線27は、作業者が基材16を載置台21に載置する際の、基材16の左右方向における位置の目安となる線である。基準前後線27は、載置面21aの左端辺から所定距離の位置に、前後方向に平行に形成されている。
載置台21には、載置面21aに開口する複数の開口部21bが形成されている。本実施形態では、18個の開口部21bが形成されている。開口部21bは、後述する調整部23の基材移動部品31A,31Bおよび各従動部品34を、載置面21a上に突出させるために形成されているものである。
載置台昇降駆動部22は、載置台21を昇降させる。載置台昇降駆動部22は、油圧昇降機構等からなる。
調整部23は、基材16を平面視にて左回りおよび右回りに回転させて、平面視における載置台21に対する基材16の傾きを調整する。また、調整部23は、載置台21上における互いに直交する主走査方向(左右方向)および副走査方向(前後方向)における基材16の位置を調整する。なお、主走査方向(左右方向)は請求項における第1方向に相当し、副走査方向は請求項における第2方向(前後方向)に相当する。
調整部23は、基材移動部品31A,31Bと、方向転換モータ32A,32Bと、基材調整モータ33A,33Bと、複数の従動部品34と、基材昇降モータ35とを備える。ここで、本実施形態では、16個の従動部品34が設けられている。なお、基材移動部品31A,31B等の符号におけるアルファベットの添え字を省略して総括的に表記することがある。
基材移動部品31は、載置台21上における基材16の傾きおよび位置を調整するために、基材16を動かすものである。図2に示すように、基材移動部品31A,31Bは、前後方向に互いに離間して配置されている。基材移動部品31は、平面視にて、載置台21の開口部21b内に配置されている。
基材移動部品31は、図3に示すように、ローラ36と、ローラ支持部37とを備える。ローラ36は、回転することにより、基材16を水平方向に移動させる部材である。ローラ支持部37は、ローラ36を上向きにして回転可能に支持する。
基材移動部品31は、上下方向に平行な回転軸回りに回転することで、ローラ36の向きが360度回転可能に構成されている。
また、基材移動部品31は、調整位置と、調整位置の下方の格納位置との間で昇降可能に構成されている。基材移動部品31の調整位置は、図3において二点鎖線で示す位置であり、基材移動部品31のローラ36が開口部21bを介して突出高さHだけ載置面21aから上方に突出する位置である。基材移動部品31の格納位置は、図3において実線で示す位置であり、基材移動部品31が載置台21の内部に格納される位置である。
方向転換モータ32A,32Bは、それぞれ基材移動部品31A,31Bを、ローラ36の向きを転換させるために、上下方向に平行な回転軸回りに回転させる。方向転換モータ32A,32Bは、ステッピングモータからなる。
基材調整モータ33A,33Bは、基材16の傾きおよび位置の調整のために、それぞれ基材移動部品31A,31Bのローラ36を回転駆動させる。基材調整モータ33A,33Bは、ステッピングモータからなる。
従動部品34は、基材移動部品31のローラ36の駆動により基材16の傾きおよび位置を調整する際に、基材16を支持するとともに基材16の動きを滑らかにするための部品である。
図2に示すように、従動部品34は、それぞれ前後方向に従動部品34が配列された3つの列を、左右方向に並列して形成するように配置されている。ここで、左端の列および右端の列においては、それぞれ6つの従動部品34が前後方向に配列されている。中央の列においては、2つの従動部品34が基材移動部品31A,31B間に配置され、基材移動部品31Aの前方と基材移動部品31Bの後方とに従動部品34が1つずつ配置されている。従動部品34は、平面視にて、載置台21の開口部21b内に配置されている。
従動部品34は、図4に示すように、ボール38と、ボール保持部39とを備える。ボール38は、基材16の動きに従動して回転する。ボール保持部39は、ボール38が嵌まる凹球面39aを有し、凹球面39aでボール38を全方向に回転自在に保持する。
従動部品34は、調整位置と、調整位置の下方の格納位置との間で昇降可能に構成されている。従動部品34の調整位置は、図4において二点鎖線で示す位置であり、従動部品34のボール38が開口部21bを介して、基材移動部品31と同様に突出高さHだけ載置面21aから上方に突出する位置である。従動部品34の格納位置は、図4において実線で示す位置であり、従動部品34が載置台21の内部に格納される位置である。
基材昇降モータ35は、基材移動部品31A,31Bおよび各従動部品34を、調整位置と格納位置との間で昇降させる。基材昇降モータ35は、ステッピングモータからなる。基材昇降モータ35の駆動により基材移動部品31A,31Bおよび各従動部品34が格納位置から調整位置へ移動することで、基材移動部品31A,31Bおよび各従動部品34が載置面21aから基材16を持ち上げて支持する。
なお、基材移動部品31A,31Bおよび各従動部品34は、請求項の基材昇降部品に相当する。また、基材移動部品31A,31Bのローラ36は、請求項の基材移動機構に相当する。
載置台21に載置される基材16には、図5に示すように、位置合わせ部品41が取り付けられる。
位置合わせ部品41は、載置台21上の基材16の傾きおよび位置の調整のための目印となる調整線42が形成された部品である。位置合わせ部品41は、シート状の部材により形成されている。
位置合わせ部品41は、図6に示すように、平面視にて直角二等辺三角形状に形成されている。位置合わせ部品41には、斜辺以外の2辺にそれぞれ平行な2本の調整線42が形成されている。2本の調整線42は、互いの交点より位置合わせ部品41の底角側が頂角側より長くなるように、互いに交差している。ここで、位置合わせ部品41の斜辺以外の辺とそれに平行な調整線42との間隔をLaとする。また、調整線42の、他の調整線42との交点より底角側の長さをLbとする。
2つの位置合わせ部品41が、基材16に装着される。図5に示すように、2つの位置合わせ部品41は、基材16の1つの辺16aの両端の2つの角にそれぞれの頂角を合わせるように、載置台21上に載置されたときの基材16の上面側に取り付けられる。位置合わせ部品41は、例えば、粘着テープにより基材16に固定される。
ここで、位置合わせ部品41の2本の調整線42のうち、基材16に装着されたときに基材16の辺16aに直交する辺16bに平行となる方を調整前後線42Aとよび、辺16bに直交する方向に延びる(辺16aに平行となる)方を調整左右線42Bとよぶ。2つの位置合わせ部品41が基材16に装着された状態において、2本の調整前後線42Aが、基材16の辺16bに平行になり、辺16bに直交する方向に互いに離間して配置されている。
なお、調整前後線42Aが請求項の第1線に相当し、調整左右線42Bが請求項の第2線に相当する。また、基材16の辺16bが、請求項の基材の一辺に相当する。
シャトルユニット4は、基材16に画像を印刷する。図7〜図9に示すように、シャトルユニット4は、筐体51と、主走査駆動部52と、主走査移動テーブル53と、ヘッド昇降駆動部54と、昇降テーブル55と、ヘッドユニット56と、調整線センサ(請求項の検出部に相当)57とを備える。
筐体51は、ヘッドユニット56等の各部を収納する。筐体51は、フラットベッドユニット3を左右方向に跨ぐ門型に形成されている。筐体51は、シャトルベースユニット2の架台部11に支持され、副走査駆動ガイド13A,13Bに沿って移動可能になっている。
主走査駆動部52は、ヘッドユニット56を左右方向(主走査方向)に移動させるために、主走査移動テーブル53を左右方向に移動させる。主走査駆動部52は、駆動ベルト61と、一対のプーリ62A,62Bと、主走査駆動モータ63と、主走査駆動ガイド64とを備える。
駆動ベルト61は、周回移動することにより、主走査移動テーブル53を移動させる。駆動ベルト61は、プーリ62A,62B間に掛け渡されている。
プーリ62A,62Bは、駆動ベルト61を支持するとともに、駆動ベルト61を周回移動させる。プーリ62A,62Bは、筐体51の後側の壁に回転可能に支持されている。プーリ62A,62Bは、左右方向に互いに離間して、同じ高さに配置されている。プーリ62Bは、主走査駆動モータ63の出力軸に接続されており、主走査駆動モータ63の回転駆動力を駆動ベルト61に伝達する。
主走査駆動モータ63は、プーリ62Bを回転させることで、駆動ベルト61を周回移動させる。主走査駆動モータ63は、ステッピングモータからなる。
主走査駆動ガイド64は、主走査移動テーブル53を左右方向に移動するようガイドする。主走査駆動ガイド64は、左右方向に延びる長尺状に形成されている。主走査駆動ガイド64は、筐体51の後側の壁に設置されている。
主走査移動テーブル53は、ヘッド昇降駆動部54および昇降テーブル55が搭載された、左右方向に移動するテーブルである。主走査移動テーブル53は、駆動ベルト61に固定され、駆動ベルト61の周回移動により主走査駆動ガイド64に沿って移動する。
ヘッド昇降駆動部54は、ヘッドユニット56を昇降させるために、昇降テーブル55を昇降させる。ヘッド昇降駆動部54は、ねじ軸66と、ヘッド昇降モータ67と、ヘッド昇降モータ支持部68と、昇降ガイド69とを備える。
ねじ軸66は、回転することにより昇降テーブル55を昇降させる。ねじ軸66は、軸方向が上下方向に平行になるように設置されている。ねじ軸66の上端は、ヘッド昇降モータ67の出力軸に接続されている。
ヘッド昇降モータ67は、ねじ軸66を回転させる。
ヘッド昇降モータ支持部68は、ヘッド昇降モータ67を主走査移動テーブル53上で支持する。ヘッド昇降モータ支持部68には、ねじ軸66を貫通させるための貫通穴68aが形成されている。
昇降ガイド69は、昇降テーブル55を上下方向に移動するようガイドする。昇降ガイド69は、上下方向に細長い形状に形成されている。昇降ガイド69は、主走査移動テーブル53上に配置されている。
昇降テーブル55は、ヘッドユニット56が搭載された、上下方向に移動するテーブルである。昇降テーブル55には、雌ねじ孔55aが形成されている。雌ねじ孔55aには、ねじ軸66が貫通し、螺合している。これにより、ねじ軸66が回転すると昇降テーブル55が昇降するようになっている。
ヘッドユニット56は、左右方向(主走査方向)に移動しつつ、基材16へインクを吐出して画像を印刷する。ヘッドユニット56は、4つのインクジェットヘッド71を有する。
4つのインクジェットヘッド71は、左右方向に並列して配置されている。インクジェットヘッド71は、その下面であるノズル面71aに開口する、前後方向に配列された複数のノズル(図示せず)を有し、ノズルからインクを基材16へ吐出して印刷する。4つのインクジェットヘッド71は、それぞれ異なる色(例えば、シアン、ブラック、マゼンタ、イエロー)のインクを吐出する。
調整線センサ57は、基材16に装着された位置合わせ部品41の調整前後線42A、調整左右線42Bを検出するためのセンサである。調整線センサ57は、例えば、発光部および受光部を有する光学式センサからなる。調整線センサ57は、ヘッドユニット56に固定されている。このため、調整線センサ57は、ヘッドユニット56とともに左右方向(主走査方向)に移動可能である。また、調整線センサ57は、シャトルユニット4全体の前後方向(副走査方向)の移動により、前後方向に移動可能である。
操作パネル5は、各種の入力画面等を表示するとともに、作業者による入力操作を受け付ける。操作パネル5は、液晶表示パネル等を有する表示部と、各種の操作キー、タッチパネル等を有する入力部(いずれも図示せず)とを備える。
制御部6は、印刷装置1全体の動作を制御する。制御部6は、CPU、RAM、ROM、ハードディスク等を備えて構成される。
制御部6は、基材16に対する印刷を行う際に載置台21に載置された基材16に対し、後述する傾き修正処理、主走査位置修正処理、および副走査位置修正処理を実行する。これにより、載置台21に載置された基材16の傾きおよび位置が修正される。その後、制御部6は、基材16に対する印刷動作を実行する。
次に、印刷装置1の動作について説明する。
図10は、印刷装置1の動作を説明するためのフローチャートである。図10のフローチャートの処理は、印刷装置1にPC(パーソナルコンピュータ)等の外部装置から印刷ジョブが入力されることにより開始となる。
ここで、印刷装置1への印刷ジョブの送信に先立って、作業者により、印刷対象の基材16が手作業で載置台21に載置される。この際、基材16は、辺16a,16bがそれぞれ主走査方向、副走査方向に概略平行になり、かつ、それぞれ基準左右線26、基準前後線27に概略揃うように、作業者により載置台21に載置される。また、作業者により、基材16に2つの位置合わせ部品41が図5のように取り付けられる。
印刷ジョブが入力されると、図10のステップS1において、制御部6は、傾き修正処理を実行する。傾き修正処理の内容は後述する。傾き修正処理により、平面視における載置台21に対する基材16の傾きが修正される。
次いで、ステップS2において、制御部6は、主走査位置修正処理を実行する。主走査位置修正処理の内容は後述する。主走査位置修正処理により、主走査方向(左右方向)における基材16の位置が修正される。
次いで、ステップS3において、制御部6は、副走査位置修正処理を実行する。副走査位置修正処理の内容は後述する。副走査位置修正処理により、副走査方向(前後方向)における基材16の位置が修正される。
ステップS1〜S3の傾き修正処理、主走査位置修正処理、および副走査位置修正処理の結果、載置台21上の基材16の傾きおよび位置が修正され、基材16が傾きなく目的の位置に配置された状態となる。副走査位置修正処理が終了すると、作業者により基材16から位置合わせ部品41が取り外される。作業者は、基材16から位置合わせ部品41を取り外すと、位置合わせ部品41の取り外し終了を印刷装置1に通知する操作を操作パネル5に対して行う。
副走査位置修正処理(ステップS3)の終了後、ステップS4において、制御部6は、基材16からの位置合わせ部品41の取り外しが終了したか否かを判断する。ここで、制御部6は、操作パネル5に対して位置合わせ部品41の取り外し終了を通知する操作入力が行われると、位置合わせ部品41の取り外しが終了したと判断する。位置合わせ部品41の取り外しが終了していないと判断した場合(ステップS4:NO)、制御部6は、ステップS4を繰り返す。
位置合わせ部品41の取り外しが終了したと判断した場合(ステップS4:YES)、ステップS5において、制御部6は、基材16に対する印刷を実行する。具体的には、まず、制御部6は、副走査駆動モータ12を制御して、シャトルユニット4を待機位置から印刷処理開始位置へ移動させる。ここで、シャトルユニット4の待機位置は、図1において実線で示すシャトルユニット4の位置であり、シャトルベースユニット2の架台部11の後端部にある。副走査位置修正処理が終了すると、シャトルユニット4は待機位置に配置されている。シャトルユニット4の印刷処理開始位置は、図1において二点鎖線で示すシャトルユニット4の位置であり、シャトルベースユニット2の架台部11の前端部にある。
次いで、制御部6は、主走査駆動モータ63を制御してヘッドユニット56を主走査方向に移動させつつ、印刷ジョブに基づきインクジェットヘッド71を制御してノズルからインクを吐出させることで、1パス分の印刷を行う。次いで、制御部6は、副走査駆動モータ12を制御してシャトルユニット4を次のパスの印刷位置まで後方向に移動させる。制御部6は、この1パス分の印刷とシャトルユニット4の移動とを交互に繰り返すことにより、基材16に画像を形成する。
基材16への印刷が終了すると、制御部6は、シャトルユニット4を待機位置に配置する。
次いで、ステップS6において、制御部6は、今回の印刷ジョブに基づく印刷が、両面印刷であるか否かを判断する。
今回の印刷ジョブに基づく印刷が両面印刷であると判断した場合(ステップS6:YES)、ステップS7において、制御部6は、基材16への裏面印刷が終了したか否かを判断する。なお、先に印刷される面を表面、後で印刷される面を裏面とする。
ここで、基材16に対する両面印刷を行う場合、表面の印刷が終了すると、作業者により手作業で基材16が表裏反転されて載置台21に載置される。次いで、作業者により、基材16の裏面に位置合わせ部品41が図5のように取り付けられる。基材16の表裏反転および位置合わせ部品41の基材16への装着が終了すると、作業者が、操作パネル5に対して裏面印刷の開始を指示する操作を行う。
基材16への裏面印刷が終了していないと判断した場合(ステップS7:NO)、ステップS8において、制御部6は、操作パネル5に対する操作により、裏面印刷の開始指示が入力されたか否かを判断する。裏面印刷の開始指示が入力されていないと判断した場合(ステップS8:NO)、制御部6は、ステップS8を繰り返す。
裏面印刷の開始指示が入力されたと判断した場合(ステップS8:YES)、制御部6は、ステップS1に戻り、以降の処理を繰り返す。
ステップS6において、今回の印刷ジョブに基づく印刷が両面印刷ではなく片面印刷であると判断した場合(ステップS6:NO)、制御部6は、ステップS7を省略して、一連の動作を終了する。
ステップS7において、裏面印刷が終了したと判断した場合(ステップS7:YES)、制御部6は、一連の動作を終了する。
次に、上述した図10のステップS1の傾き修正処理について説明する。
傾き修正処理は、後述する線間距離PDの計測動作と基材回転動作とを交互に行いつつ、基材回転動作の前後(直前および直後)の計測動作による線間距離PDどうしの比較結果に応じて、次の基材回転動作における基材16の回転方向および回転角度を制御することで、基材16の傾きを修正する処理である。図11は、傾き修正処理のフローチャートである。
まず、図11のステップS11において、制御部6は、副走査駆動モータ12を制御して、図12に示すように、シャトルユニット4を待機位置から調整線検出位置へ移動させる。なお、傾き修正処理の開始に先立ち、基材16の種類(厚さ)に応じて、ヘッド昇降駆動部54によりインクジェットヘッド71の高さが調整されている。
シャトルユニット4の調整線検出位置は、図12において実線で示したシャトルユニット4の位置である。シャトルユニット4の調整線検出位置は、調整線センサ57が主走査方向に移動しつつ2本の調整前後線42Aを横切って検出できるように設定された、シャトルユニット4の副走査方向における位置である。
ここで、前述のように、基材16は、辺16a,16bがそれぞれ基準左右線26、基準前後線27に概略揃うように載置台21に載置される。これに対し、シャトルユニット4の調整線検出位置は、上記のように基材16が載置台21に載置されたときに、調整線センサ57が調整前後線42Aの中央付近を横切ることができる位置に設定されている。
なお、以下の傾き修正処理、主走査位置修正処理、および副走査位置修正処理の説明において、図12に示すように、前後方向(副走査方向)をX方向、左右方向(主走査方向)をY方向とする。そして、載置台21の左前の頂点を原点(X,Y)=(0,0)とし、X座標は後方向に向かうにつれて増加し、Y座標は右方向に向かうにつれて増加するものとする。
図11に戻り、ステップS12において、制御部6は、線間距離PDの計測動作を実行する。
具体的には、制御部6は、主走査駆動モータ63を制御して、図13に示すように、基材16を横切るようにヘッドユニット56および調整線センサ57を主走査方向に移動させつつ、調整線センサ57に2本の調整前後線42Aを検出させる。
この際、制御部6は、主走査駆動モータ63の駆動パルス数に基づき、調整線センサ57による左側の調整前後線42Aの検出地点P1のY座標p1と、調整線センサ57による右側の調整前後線42Aの検出地点P2のY座標p2とを取得して記憶する。そして、制御部6は、検出地点P1,P2のY座標p1,p2に基づき、下記の式(1)により、検出地点P1,P2間の間隔である線間距離PDを算出し、その結果を記憶する。
PD=p2−p1 …(1)
ここで、図14(a)に示すように基材16の傾きがない場合における線間距離PDの値をPD0とし、図14(b)に示すように基材16の傾き角度をαとすると、線間距離PDは、下記の式(2)で表される。
PD=PD0/cosα …(2)
基材16の傾き角度αは、平面視における載置台21に対する基材16の傾きの角度である。具体的には、基材16の傾き角度αは、基材16の辺16bの副走査方向に対する角度であり、また、基材16の辺16aの主走査方向に対する角度である。前述のように、基材16は、辺16a,16bがそれぞれ基準左右線26、基準前後線27に概略揃うように載置台21に載置されるため、傾き角度αは、少なくとも90度以下と想定される。この範囲では、傾き角度αが大きいほど、線間距離PDは大きい。線間距離PDの最小値はPD0であり、このとき傾き角度をαがゼロとなる。
図11に戻り、ステップS13において、制御部6は、調整部23により基材16を設定回転方向に設定回転角度θだけ回転させる基材回転動作を実行する。
ここで、設定回転方向は、基材16の傾きを修正する際に基材16を回転させる方向として設定された回転方向である。傾き修正処理の開始時には、設定回転方向は、初期設定として、左回り方向または右回り方向に設定されている。また、設定回転角度θは、基材16の傾きを修正する際の1回分の基材回転動作における回転角度として設定された角度である。傾き修正処理の開始時には、設定回転角度θは、所定の初期値に設定されている。設定回転角度θの初期値は、印刷装置1で設定可能な最小角度よりも大きな値に設定されている。
具体的には、制御部6は、基材昇降モータ35を制御して、基材移動部品31A,31Bおよび各従動部品34を、格納位置から調整位置へ移動させる。これにより、基材16が、基材移動部品31A,31Bおよび各従動部品34により載置面21aから持ち上げられて支持される。ここで、制御部6は、基材移動部品31A,31Bおよび各従動部品34を格納位置から上昇させる前に、方向転換モータ32A,32Bを制御して、基材移動部品31A,31Bのローラ36の向きを左右方向に設定しておく。
次いで、制御部6は、基材移動部品31A,31Bが基材16を設定回転方向に設定回転角度θだけ回転させるよう基材調整モータ33A,33Bを制御する。例えば、設定回転方向を左回りとすると、制御部6は、図15に示すように、基材移動部品31Aが基材16を左方向へ動かし、基材移動部品31Bが基材16を右方向へ動かすことで、基材16が左回りに設定回転角度θだけ回転するよう制御する。制御部6は、基材調整モータ33A,33Bの駆動パルス数により、基材16の回転角度を制御する。基材16が回転する際、従動部品34のボール38は、基材16の動きに従動して回転する。
基材回転動作が終了すると、制御部6は、基材昇降モータ35を制御して、基材移動部品31A,31Bおよび各従動部品34を、調整位置から格納位置へ移動させる。これにより、基材16が載置台21の載置面21a上に載置された状態となる。
図11に戻り、ステップS14において、制御部6は、上述したステップS12と同様の、線間距離PDの計測動作を実行する。
ここで、前回の線間距離PDの計測後に、図13のようにヘッドユニット56および調整線センサ57が載置台21の右方にある場合は、制御部6は、図16に示すように、ヘッドユニット56および調整線センサ57を左方向に移動させる。この際、制御部6は、主走査駆動モータ63の駆動パルス数に基づき、調整線センサ57による右側の調整前後線42Aの検出地点P2のY座標p2と、調整線センサ57による左側の調整前後線42Aの検出地点P1のY座標p1とを取得する。そして、制御部6は、検出地点P1,P2のY座標p1,p2に基づき、前述の式(1)により線間距離PDを算出し、その結果を記憶する。
図16に戻り、ステップS15において、制御部6は、今回計測された線間距離PDと前回計測された線間距離PDとを比較し、今回計測された線間距離PDが、前回計測された線間距離PD未満であるか否かを判断する。
ここで、今回の線間距離PDが前回の線間距離PD未満であることは、ステップS13における基材回転動作により、基材16の傾き角度αが縮小し、傾きがない状態に近づいたことを意味する。
そこで、今回の線間距離PDが前回の線間距離PD未満であると判断した場合(ステップS15:YES)、制御部6は、ステップS13に戻る。これにより、設定回転方向および設定回転角度θを維持したまま、次の基材回転動作が行われ(ステップS13)、以降の処理が繰り返される。
今回の線間距離PDが前回の線間距離PD以上であると判断した場合(ステップS15:NO)、ステップS16において、制御部6は、現在の設定回転角度θが、印刷装置1で設定可能な最小角度であるか否かを判断する。
現在の設定回転角度θが最小角度ではないと判断した場合(ステップS16:NO)、ステップS17において、制御部6は、設定回転角度θを、現在の設定回転角度θの1/2の角度に変更する。また、制御部6は、設定回転方向を、現在の設定回転方向に対して反転した方向に変更する。
この後、制御部6は、ステップS13に戻る。これにより、前回の基材回転動作に対して設定回転方向が反転され、設定回転角度θが1/2の角度になった基材回転動作が行われ(ステップS13)、以降の処理が繰り返される。
現在の設定回転角度θが最小角度であると判断した場合(ステップS16:YES)、ステップS18において、制御部6は、設定回転方向を反転させて、その設定回転方向に設定回転角度θだけ基材16を回転させる基材回転動作を行う。この後、制御部6は、基材昇降モータ35を制御して、基材移動部品31A,31Bおよび各従動部品34を調整位置から格納位置へ移動させ、傾き修正処理を終了する。
ここで、上述の傾き修正処理において、今回の線間距離PDが前回の線間距離PD以上(ステップS15:NO)であることは、ステップS13における基材回転動作により、基材16の傾き角度αが拡大し、傾きがない状態から遠ざかったことを意味する。
ステップS13における基材回転動作により基材16の傾き角度αが拡大する場合として、基材回転動作により基材16が当初の傾きの方向から逆方向に傾いた際に、傾き角度αが基材回転動作前より拡大している場合がある。また、基材回転動作により基材16が当初の傾きの方向から逆方向に傾いた後、さらに同じ回転方向の基材回転動作が行われることで、傾き角度αが拡大する場合がある。
このような場合には、基材16の傾きを戻す方向の基材回転動作を行う必要がある。ただし、設定回転角度θを維持したままでは、設定回転方向を反転させて基材回転動作を行うようにしても、元に戻るだけである。
このため、設定回転角度θが最小角度になるまでは、今回の線間距離PDが前回の線間距離PD以上の場合、設定回転方向を反転するとともに設定回転角度θを1/2の角度に変更して(ステップS17)、次の基材回転動作を行うようにしている。これにより、徐々に細かな設定回転角度θで基材16の傾き調整が行われる。
設定回転角度θが最小角度になっている場合(ステップS16:YES)、設定回転角度θをそれ以上小さくすることはできない。このため、設定回転方向を反転させた基材回転動作により(ステップS18)、直前の基材回転動作による回転角度分を戻し、傾き修正処理を終了している。
上述のような傾き修正処理により、計測される線間距離PDが小さくなるように、計測動作と基材回転動作とを交互に繰り返し行うことで、基材16の傾きが修正される。
次に、上述した図10のステップS2の主走査位置修正処理について説明する。
主走査位置修正処理は、基材16の傾き修正後において、調整線センサ57を主走査方向に移動させつつ2本の調整前後線42Aを検出させ、その検出地点P1,P2の位置に基づき、調整部23により主走査方向における基材16の位置を修正する処理である。図17は、主走査位置修正処理のフローチャートである。
なお、ここでは、主走査方向における基材16の中央を載置台21の中央に揃えるように、基材16の主走査方向における位置を修正する場合について説明する。
図17のステップS21において、制御部6は、主走査駆動モータ63を制御して、図18に示すように、ヘッドユニット56および調整線センサ57を主走査方向に移動させつつ、調整線センサ57に2本の調整前後線42Aを検出させる。この際、制御部6は、主走査駆動モータ63の駆動パルス数に基づき、調整線センサ57による左側の調整前後線42Aの検出地点P1のY座標p1と、調整線センサ57による右側の調整前後線42Aの検出地点P2のY座標p2とを取得して記憶する。
次いで、ステップS22において、制御部6は、下記の式(3)により、中央値p3を算出する。中央値p3は、主走査方向における検出地点P1,P2の中間位置を示す値であり、主走査方向における基材16の中央位置を示す値である。
p3=(p1+p2)/2 …(3)
次いで、ステップS23において、制御部6は、中央値p3が載置台中央値pcと等しいか否かを判断する。ここで、載置台中央値pcは、主走査方向における載置台21の中央位置を示す値である。制御部6は、載置台中央値pcを予め記憶している。
p3=pcであると判断した場合(ステップS23:YES)、主走査方向における基材16の位置が目的の位置になっているため、制御部6は、主走査位置修正処理を終了する。
p3=pcではないと判断した場合(ステップS23:NO)、ステップS24において、制御部6は、p3<pcであるか否かを判断する。
p3<pcであると判断した場合(ステップS24:YES)、ステップS25において、制御部6は、調整部23により基材16を右方向に(pc−p3)だけ移動させる。
具体的には、制御部6は、基材昇降モータ35を制御して、基材移動部品31A,31Bおよび各従動部品34を、格納位置から調整位置へ移動させる。これにより、基材16が、基材移動部品31A,31Bおよび各従動部品34により載置面21aから持ち上げられて支持される。ここで、制御部6は、基材移動部品31A,31Bおよび各従動部品34を格納位置から上昇させる前に、方向転換モータ32A,32Bを制御して、基材移動部品31A,31Bのローラ36の向きを左右方向に設定しておく。
次いで、制御部6は、基材調整モータ33A,33Bを制御して、図19に示すように、基材移動部品31A,31Bにより基材16を右方向に(pc−p3)だけ移動させる。これにより、主走査方向における基材16の位置が目的の位置に修正される。ここで、制御部6は、基材調整モータ33A,33Bの駆動パルス数により、基材16の移動量を制御する。基材16が回転する際、従動部品34のボール38は、基材16の動きに従動して回転する。
基材16の右方向への移動が終了すると、制御部6は、基材昇降モータ35を制御して、基材移動部品31A,31Bおよび各従動部品34を、調整位置から格納位置へ移動させる。これにより、基材16が載置台21の載置面21a上に載置された状態に戻り、主走査位置修正処理が終了となる。
ステップS24において、p3>pcであると判断した場合(ステップS24:NO)、ステップS26において、制御部6は、調整部23により基材16を左方向に(p3−pc)だけ移動させる。これにより、主走査方向における基材16の位置が、目的の位置に修正される。ここで、基材16を左方向に(p3−pc)だけ移動させる動作は、基材16の移動方向が逆になる以外は、ステップS25における基材16を右方向に(pc−p3)だけ移動させる動作と同様である。
基材16の左方向への移動が終了すると、制御部6は、基材昇降モータ35を制御して、基材移動部品31A,31Bおよび各従動部品34を、調整位置から格納位置へ移動させ、主走査位置修正処理を終了する。
なお、上述した主走査位置修正処理の説明では、主走査方向における基材16の中央を載置台21の中央に揃える場合について説明したが、他の位置に基材16の主走査方向における位置を修正することも可能である。この場合、上述した主走査位置修正処理における載置台中央値pcを、他の目的の位置の座標値に置き換えればよい。
次に、上述した図10のステップS3の副走査位置修正処理について説明する。
副走査位置修正処理は、基材16の傾き修正後において、調整線センサ57を副走査方向における設定位置に配置し、調整部23により基材16を副走査方向に移動させ、調整線センサ57が調整左右線42Bを検出した位置で基材16を停止させることで、副走査方向における基材16の位置を修正させる処理である。図20は、副走査位置修正処理のフローチャートである。
なお、ここでは、基材16の辺16aを載置台21の基準左右線26に揃えるように、基材16の副走査方向における位置を修正する場合について説明する。ここで、基準左右線26のX座標をpvとする。
図20のステップS31において、制御部6は、調整左右線42BのX座標pxを取得する。具体的には、制御部6は、主走査駆動モータ63を制御して、調整線センサ57が調整左右線42Bを検出可能な主走査方向の位置まで、ヘッドユニット56および調整線センサ57を移動させる。例えば、制御部6は、図21に示すように、ヘッドユニット56および調整線センサ57を載置台21の左側から右方向へ移動させ、調整線センサ57が左側の位置合わせ部品41の調整前後線42Aを検出した地点からLb/2だけ進むと停止させる。
次いで、制御部6は、副走査駆動モータ12を制御して、図22に示すように、シャトルユニット4を前方向へ移動させ、調整線センサ57が調整左右線42Bを検出すると停止させる。そして、制御部6は、副走査駆動モータ12の駆動パルス数に基づき、調整線センサ57による調整左右線42Bの検出地点PXのX座標pxを取得して記憶する。
次いで、図20のステップS32において、制御部6は、副走査駆動モータ12を制御してシャトルユニット4を移動させることで、図23に示すように、調整線センサ57を副走査方向における設定位置に移動させる。
ここで、調整線センサ57の設定位置は、基材16が副走査方向における目的の位置にあるときの調整左右線42Bを調整線センサ57が検出できる位置として設定された位置である。ここでは、副走査方向における基材16の目的の位置が、辺16aが基準左右線26に揃う位置であるため、調整線センサ57の設定位置は、図23に示すように、調整線センサ57の検出対象位置のX座標が(pv+La)となる位置である。
次いで、ステップS33において、制御部6は、(pv+La)がpx以下であるか否かを判断する。
(pv+La)≦pxであると判断した場合(ステップS33:YES)、ステップS34において、制御部6は、基材16の副走査位置修正方向を前方向に設定する。
(pv+La)>pxであると判断した場合(ステップS33:NO)、ステップS35において、制御部6は、基材16の副走査位置修正方向を後方向に設定する。
ステップS34またはステップS35で副走査位置修正方向を設定すると、ステップS36において、制御部6は、載置台昇降駆動部22を制御して、載置台21を基材移動部品31および従動部品34の突出高さHの分だけ下降させる。ここで載置台21を下降させるのは、この後で基材移動部品31および従動部品34により基材16を上昇させるときに、基材16がインクジェットヘッド71に接触することを回避するためである。
次いで、ステップS37において、制御部6は、基材昇降モータ35を制御して、基材移動部品31A,31Bおよび各従動部品34を、格納位置から調整位置へ移動させる。これにより、基材16が、基材移動部品31A,31Bおよび各従動部品34により載置面21aから持ち上げられて支持される。ここで、制御部6は、基材移動部品31A,31Bおよび各従動部品34を格納位置から上昇させる前に、方向転換モータ32A,32Bを制御して、基材移動部品31A,31Bのローラ36の向きを前後方向に設定しておく。
次いで、ステップS38において、制御部6は、基材移動部品31A,31BがステップS34またはステップS35で設定された副走査位置修正方向への基材16の移動を開始させるよう基材調整モータ33A,33Bを制御する。これにより、例えば、図21〜図23の例では、(pv+La)≦pxであるため、基材16は前方向への移動を開始する。
次いで、ステップS39において、制御部6は、調整線センサ57が調整左右線42Bを検出したか否かを判断する。調整線センサ57が調整左右線42Bを検出していないと判断した場合(ステップS39:NO)、制御部6は、ステップS39を繰り返す。
調整線センサ57が調整左右線42Bを検出したと判断した場合(ステップS39:YES)、ステップS40において、制御部6は、基材調整モータ33A,33Bを停止させることにより基材16の移動を終了させる。これにより、図24に示すように、目的の位置である、辺16aが基準左右線26に揃う位置で基材16が停止する。
次いで、ステップS41において、制御部6は、基材昇降モータ35を制御して、基材移動部品31A,31Bおよび各従動部品34を、調整位置から格納位置へ移動させる。これにより、基材16が載置台21の載置面21a上の目的の位置に配置された状態となる。
次いで、ステップS42において、制御部6は、載置台昇降駆動部22を制御して、載置台21を基材移動部品31および従動部品34の突出高さHの分だけ上昇させる。これにより、副走査位置修正処理が終了となる。副走査位置修正処理が終了すると、制御部6は、シャトルユニット4を待機位置に配置する。
なお、上述した副走査位置修正処理の説明では、基材16の辺16aを載置台21の基準左右線26に揃える場合について説明したが、他の位置に基材16の副走査方向における位置を修正することも可能である。この場合、上述した副走査位置修正処理における、設定位置に対応する調整線センサ57の検出対象位置のX座標(pv+La)を、他の目的の位置の座標値に置き換えればよい。
また、上述した副走査位置修正処理の説明では、左側の位置合わせ部品41を用いる場合を例に説明したが、右側の位置合わせ部品41を用いてもよい。
上述した傾き修正処理、主走査位置修正処理、および副走査位置修正処理の結果、載置台21に載置された基材16の、主走査方向および副走査方向における傾きと、主走査方向および副走査方向に対する位置とが修正される。
以上説明したように、印刷装置1では、制御部6は、載置台21に載置された基材16に対し、上述した傾き修正処理、主走査位置修正処理、および副走査位置修正処理を実行する制御を行う。これにより、載置台21に載置された基材16の傾きおよび位置が自動的に修正されるので、作業者が載置台21に基材16を載置する際に高精度で載置する必要性が低減する。したがって、印刷装置1によれば、印刷用の基材16を装置にセットする際の作業負荷を軽減できる。
また、裏面印刷を行う場合も、位置合わせ部品41が裏面に取り付けられた基材16に対し、傾き修正処理、主走査位置修正処理、および副走査位置修正処理を実行することで、載置台21に載置された基材16の傾きおよび位置を自動的に修正できる。これにより、裏面印刷時においても、基材16を印刷装置1にセットする際の作業負荷を軽減できるとともに、高精度で表面との整合性をとることができる。
また、印刷装置1では、調整部23は、調整位置と格納位置との間で昇降可能な基材移動部品31および従動部品34を有する。そして、基材移動部品31および従動部品34が格納位置から調整位置への移動により基材16を載置面21aから持ち上げて支持し、その状態で基材移動部品31が基材16を動かすことで、基材16の傾きおよび位置を修正する。これにより、作業者が載置台21に基材16を載置すれば、印刷装置1で基材16の傾きおよび位置の調整を自動的に行うことが可能であるので、印刷用の基材16を装置にセットする際の作業負荷を軽減できる。
[第2実施形態]
次に、上述した第1実施形態の調整部を変更した第2実施形態について説明する。
図25は、第2実施形態に係る印刷装置の全体斜視図である。図26は、図25に示す印刷装置における調整部の調整台の平面図である。図27は、図26に示す調整台の底面図である。図28は、図25に示す印刷装置における調整部の調整台移動部品を示す図である。図29は、図25に示す印刷装置における調整部の従動部品を示す図である。図30は、図25に示す印刷装置の制御ブロック図である。なお、図26、図27は、載置台に対する調整台の傾きがない状態での図である。
図25、図30に示すように、第2実施形態に係る印刷装置1Aは、上述した第1実施形態の印刷装置1のフラットベッドユニット3を、フラットベッドユニット3Aに置き換えた構成である。
フラットベッドユニット3Aは、第1実施形態のフラットベッドユニット3の載置台21、調整部23を、それぞれ載置台21A、調整部23Aに置き換えた構成である。
載置台21Aは、第1実施形態の載置台21に対し、開口部21bを省略した構成である。
調整部23Aは、調整台81と、調整台移動部品82A,82Bと、方向転換モータ83A,83Bと、移動モータ84A,84Bと、移動部品昇降モータ85と、複数の従動部品86と、吸引部87とを備える。なお、本実施形態では、16個の従動部品86が設けられている。
調整台81は、載置台21A上において基材16を支持するとともに、基材16の傾きおよび位置を調整するための移動可能な台である。調整台81は、平面視矩形状に形成されている。調整台81は、基材16を支持する平面である上面81aが水平面となるように、調整台移動部品82A,82Bおよび各従動部品86により、載置台21A上に支持される。
調整台81には、上面81aに開口する複数の吸引穴81bが形成されている。吸引穴81bは、調整台81の内部に設けられたチャンバ(図示せず)に連通されている。吸引部87の駆動によりチャンバが負圧になることで、吸引穴81bに吸着力が発生し、基材16が調整台81の上面81aに吸着保持されるようになっている。
また、調整台81には、載置台21Aの載置面21aに対向する平面である底面81cに開口する複数の開口部81dが形成されている。本実施形態では、18個の開口部81dが形成されている。開口部81dは、調整台移動部品82A,82Bおよび各従動部品86を、底面81cから下方に突出させて設けるために形成されているものである。
調整台移動部品82A,82Bは、載置台21A上で調整台81を支持するとともに、載置台21A上における基材16の傾きおよび位置を調整するために、調整台81を動かすものである。図27に示すように、調整台移動部品82A,82Bは、前後方向に互いに離間して配置されている。調整台移動部品82は、底面視にて、調整台81の開口部81d内に配置されている。
調整台移動部品82は、図28に示すように、ローラ91と、ローラ支持部92とを備える。ローラ91は、回転することにより、調整台81を水平方向に移動させる部材である。ローラ支持部92は、ローラ91を下向きにして回転可能に支持する。なお、調整台移動部品82は、第1実施形態の基材移動部品31と同様の構造のものである。
調整台移動部品82は、上下方向に平行な回転軸回りに回転することで、ローラ91の向きが360度回転可能に構成されている。
また、調整台移動部品82は、調整位置と、調整位置の上方の格納位置との間で昇降可能に構成されている。調整台移動部品82の調整位置は、図28において実線で示す位置であり、調整台移動部品82のローラ91が開口部81dを介して底面81cより下方に突出する位置である。調整位置における調整台移動部品82の底面81cからの突出量は、従動部品86の底面81cからの突出量と等しい。調整台移動部品82の格納位置は、図28において二点鎖線で示す位置であり、調整台移動部品82が調整台81の内部に格納される位置である。
方向転換モータ83A,83Bは、それぞれ調整台移動部品82A,82Bを、ローラ91の向きを転換させるために、上下方向に平行な回転軸回りに回転させる。方向転換モータ83A,83Bは、ステッピングモータからなる。
移動モータ84A,84Bは、調整台81の回転および移動により基材16の傾きおよび位置を調整するために、それぞれ調整台移動部品82A,82Bのローラ91を回転駆動させる。移動モータ84A,84Bは、ステッピングモータからなる。
移動部品昇降モータ85は、調整台移動部品82A,82Bを、調整位置と格納位置との間で昇降させる。移動部品昇降モータ85は、ステッピングモータからなる。
従動部品86は、載置台21A上で調整台81を支持するとともに、調整台81の動きを滑らかにするための部品である。
図27に示すように、16個の従動部品86は、第1実施形態の従動部品34と同様の配置で、調整台81に設置されている。従動部品86は、底面視にて、調整台81の開口部81d内に配置されている。
従動部品86は、図29に示すように、ボール93と、ボール保持部94とを備える。ボール93は、調整台81の動きに従動して回転する。ボール保持部94は、ボール93が嵌まる凹球面94aを有し、凹球面94aでボール93を全方向に回転自在に保持する。なお、従動部品86は、第1実施形態の従動部品34と同様の構造のものである。
従動部品86は、ボール93が開口部81dを介して底面81cより下方に突出するように、調整台81に設置されている。
なお、調整台移動部品82A,82Bおよび各従動部品86は、請求項の調整台支持部品に相当する。また、調整台移動部品82A,82Bのローラ91は、請求項の調整台移動機構に相当する。
吸引部87は、吸引穴81bを介して空気を吸引することで、基材16を調整台81に吸着させるものである。具体的には、吸引部87は、調整台81の内部に設けられたチャンバ(図示せず)から空気を吸引する。これにより、吸引穴81bを介してチャンバへ空気が吸引され、吸引穴81bに吸着力が発生し、基材16が調整台81に吸着される。吸引部87は、チャンバから空気を吸引するポンプ等を有する。
次に、印刷装置1Aの動作について説明する。
図31は、印刷装置1Aの動作を説明するためのフローチャートである。図31のフローチャートの処理は、印刷装置1AにPC等の外部装置から印刷ジョブが入力されることにより開始となる。
ここで、印刷装置1Aへの印刷ジョブの送信に先立って、作業者の手作業により、まず、調整台81の前端の辺、左端の辺が、それぞれ主走査方向、副走査方向に概略平行になるように、基準左右線26、基準前後線27を目安に調整される。
次いで、作業者により、印刷対象の基材16が手作業で調整台81に載置される。この際、基材16は、辺16a,16bがそれぞれ主走査方向、副走査方向に概略平行になり、かつ、それぞれ基準左右線26、基準前後線27に概略揃う位置となるように、作業者により調整台81に載置される。また、作業者により、基材16に2つの位置合わせ部品41が図5のように取り付けられる。
印刷ジョブが入力されると、図31のステップS51において、制御部6は、吸引部87の駆動を開始させる。これにより、調整台81の吸引穴81bに吸着力が発生し、基材16が調整台81に吸着されて固定される。これにより、この後の傾き修正処理等において調整台81が載置台21A上で動いても、基材16が調整台81に対して動くことが抑えられる。
次いで、ステップS52において、制御部6は、傾き修正処理を実行する。印刷装置1Aにおける傾き修正処理の内容は後述する。
次いで、ステップS53において、制御部6は、調整台傾き取得処理を実行する。調整台傾き取得処理は、調整台81の基材16に対する傾き角度を取得する処理である。調整台81の基材16に対する傾き角度は、この後の主走査位置修正処理および副走査位置修正処理において、調整台移動部品82のローラ91の向きを適切に設定するために必要なものである。調整台傾き取得処理の内容は後述する。
次いで、ステップS54において、制御部6は、主走査位置修正処理を実行する。印刷装置1Aにおける主走査位置修正処理の内容は後述する。
次いで、ステップS55において、制御部6は、副走査位置修正処理を実行する。印刷装置1Aにおける副走査位置修正処理の内容は後述する。
ステップS52,S54,S55の傾き修正処理、主走査位置修正処理、および副走査位置修正処理の結果、載置台21Aに調整台81を介して載置された基材16の傾きおよび位置が修正され、基材16が傾きなく目的の位置に配置された状態となる。
次いで、ステップS56において、制御部6は、吸引部87を停止させる。この後、第1実施形態と同様に、作業者により基材16から位置合わせ部品41が取り外され、位置合わせ部品41の取り外し終了を印刷装置1に通知する操作が操作パネル5に対して行われる。
ステップS56に続くステップS57〜S61の処理は、第1実施形態における図10のステップS4〜S8の処理と同様である。
ステップS61において、裏面印刷の開始指示が入力されたと判断した場合(ステップS61:YES)、制御部6は、ステップS51に戻り、以降の処理を繰り返す。
ステップS59において今回の印刷ジョブに基づく印刷が片面印刷であると制御部6が判断した場合(ステップS59:NO)、およびステップS60において裏面印刷が終了したと制御部6が判断した場合(ステップS60:YES)、一連の動作が終了となる。
次に、上述した図31のステップS52の傾き修正処理について説明する。
印刷装置1Aにおける傾き修正処理は、前述した第1実施形態の印刷装置1における傾き修正処理と同様に、図11のフローチャートの手順で行われる。ただし、印刷装置1Aにおける傾き修正処理では、ステップS13,S18において基材16を回転させるために行われる基材回転動作が、第1実施形態の傾き修正処理における基材回転動作とは異なる。その他の点では、印刷装置1Aにおける傾き修正処理は、第1実施形態における傾き修正処理と同様である。
印刷装置1Aにおける基材回転動作は、調整台81を回転させることで基材16を回転させる動作である。具体的には、制御部6は、調整台移動部品82A,82Bが調整台81を設定回転方向に設定回転角度θだけ回転させるよう移動モータ84A,84Bを制御する。例えば、設定回転方向を左回りとすると、制御部6は、図32に示すように、調整台移動部品82Aが調整台81を左方向へ動かし、調整台移動部品82Bが調整台81を右方向へ動かすことで、調整台81が左回りに設定回転角度θだけ回転するよう制御する。制御部6は、移動モータ84A,84Bの駆動パルス数により、調整台81の回転角度を制御する。調整台81の回転により、調整台81と同じ方向に同じ回転角度だけ、基材16も回転する。調整台81が回転する際、従動部品86のボール93は、調整台81の動きに従動して回転する。
なお、制御部6は、傾き修正処理を開始する際、移動部品昇降モータ85により調整台移動部品82A,82Bを格納位置に配置してローラ91が載置台21Aと接触していない状態で、方向転換モータ83A,83Bによりローラ91の向きを調整台基準の左右方向に設定する。その後、制御部6は、移動部品昇降モータ85により調整台移動部品82A,82Bを調整位置に下降させる。
ここで、調整台基準の左右方向とは、調整台81にとっての左右方向であり、調整台81の前側の辺および後側の辺に平行な方向である。また、調整台基準の前後方向は、調整台基準の左右方向に直交する方向である。
次に、上述した図31のステップS53の調整台傾き取得処理について説明する。
傾き修正処理により、載置台21Aに対する基材16の傾きは修正された状態となる。ただし、基材16が調整台81に対して傾いた状態で載置されたことで、図33に示すように、調整台81が基材16および載置台21Aに対して傾いた状態になっている場合がある。調整台傾き取得処理は、このような調整台81の基材16に対する傾き角度βを取得する処理である。この後の主走査位置修正処理、副走査位置修正処理において、それぞれ基材16を主走査方向、副走査方向に移動させるためのローラ91の向きを設定するために、基材16に対する調整台81の傾き角度βを取得する必要がある。
図34は、調整台傾き取得処理のフローチャートである。ここでは、左側の位置合わせ部品41を用いて傾き角度βを取得する場合で説明する。
図34のステップS71において、制御部6は、左側の位置合わせ部品41の調整前後線42AのY座標sy1を取得する。
具体的には、制御部6は、主走査駆動モータ63を制御して、図35に示すように、ヘッドユニット56および調整線センサ57を載置台21Aの左側から右方向へ移動させ、調整線センサ57に左側の位置合わせ部品41の調整前後線42Aを検出させる。この際、制御部6は、主走査駆動モータ63の駆動パルス数に基づき、調整線センサ57による左側の位置合わせ部品41の調整前後線42Aの検出地点SY1のY座標sy1を取得して記憶する。
制御部6は、調整線センサ57が左側の位置合わせ部品41の調整前後線42Aを検出してからの移動距離がLbに達する前に、ヘッドユニット56および調整線センサ57を停止させる。
次いで、図34のステップS72において、制御部6は、左側の位置合わせ部品41の調整左右線42BのX座標sx1を取得する。
具体的には、制御部6は、副走査駆動モータ12を制御して、図36に示すように、シャトルユニット4を前方向へ移動させ、調整線センサ57が調整左右線42Bを検出すると停止させる。この際、制御部6は、副走査駆動モータ12の駆動パルス数に基づき、調整線センサ57による調整左右線42Bの検出地点SX1のX座標sx1を取得して記憶する。
次いで、図34のステップS73において、制御部6は、主走査駆動モータ63および副走査駆動モータ12を制御して、ヘッドユニット56およびシャトルユニット4を、調整台傾き取得処理の開始時点の位置に戻す。
次いで、ステップS74において、制御部6は、移動モータ84A,84Bを制御して、図37に示すように、調整台移動部品82A,82Bにより調整台基準の右方向に調整台81を規定距離Mだけ移動させる。ここで、調整台基準の左右方向は、主走査方向に平行な方向である載置台基準の左右方向に対して、傾き角度βだけ傾いている。
次いで、図34のステップS75において、制御部6は、ステップS71と同様の動作により、調整台81の移動後における左側の位置合わせ部品41の調整前後線42AのY座標sy2を取得する。
次いで、ステップS76において、制御部6は、ステップS72と同様の動作により、調整台81の移動後における左側の位置合わせ部品41の調整左右線42BのX座標sx2を取得する。
次いで、ステップS77において、制御部6は、調整台81の傾き角度βを算出する。
ここで、座標sy1,sy2,sx1,sx2と、規定距離Mと、傾き角度βとの関係は、図38のようになっている。図38において破線で示す調整前後線42A、調整左右線42Bは、ステップS74による移動前の調整前後線42A、調整左右線42Bを示し、実線で示す調整前後線42A、調整左右線42Bは、移動後の調整前後線42A、調整左右線42Bを示している。図38から、傾き角度βは、下記の式(4)で算出される。
β=cos−1((sy2−sy1)/M) …(4)
なお、図33〜図38では、調整台81が基材16に対して右回りに傾いている例を示しているが、調整台81が基材16に対して左回りに傾いている場合でも同様に、傾き角度βは、上記の式(4)で算出される。
次いで、図34のステップS78において、制御部6は、ステップS72で取得した調整左右線42BのX座標sx1が、ステップS76で取得した調整左右線42BのX座標sx2より小さいか否かを判断する。
ここで、sx1<sx2の場合、図33〜図38の例のように、調整台81が基材16に対して右回りに傾いている。この場合、調整台移動部品82のローラ91の向きを載置台基準の左右方向に設定する場合、調整台基準の左右方向(主走査方向)に対し、左回りに傾き角度βだけ回転させる必要がある。同様に、ローラ91の向きを載置台基準の前後方向(副走査方向)に設定する場合、調整台基準の前後方向に対し、左回りに傾き角度βだけ回転させる必要がある。
そこで、sx1<sx2であると判断した場合(ステップS78:YES)、ステップS79において、制御部6は、ローラ調整方向を左回りに設定する。ローラ調整方向は、主走査位置修正処理において、調整台81を主走査方向に移動させるために調整台移動部品82のローラ91の向きを設定する際の、調整台基準の左右方向に対するローラ91の回転方向である。また、ローラ調整方向は、副走査位置修正処理において、調整台81を副走査方向に移動させるために調整台移動部品82のローラ91の向きを設定する際の、調整台基準の前後方向に対するローラ91の回転方向である。
一方、sx1>sx2の場合、調整台81が、図33〜図38の例における傾きの方向とは逆に、基材16に対して左回りに傾いている。この場合、sx1<sx2の場合に対し、ローラ調整方向を逆方向にする必要がある。
そこで、sx1≧sx2であると判断した場合(ステップS78:NO)、ステップS80において、制御部6は、ローラ調整方向を右回りに設定する。なお、sx1=sx2である場合、傾き角度βが0度であるため、主走査位置修正処理、副走査位置修正処理における調整台基準の左右方向、前後方向からのローラ91の向きの調整は不要となる。
ステップS79またはステップS80においてローラ調整方向が設定されると、調整台傾き取得処理が終了となる。
なお、上述の調整台傾き取得処理の説明では、左側の位置合わせ部品41を用いて傾き角度βを取得する例を示したが、右側の位置合わせ部品41を用いて傾き角度βを取得するようにしてもよい。
次に、上述した図31のステップS54の主走査位置修正処理について説明する。
印刷装置1Aにおける主走査位置修正処理は、前述した第1実施形態の印刷装置1における主走査位置修正処理と同様に、図17のフローチャートの手順で行われる。ただし、印刷装置1Aにおける主走査位置修正処理では、ステップS25,S26において基材を左右方向(主走査方向)に移動させる動作が、第1実施形態の主走査位置修正処理におけるものとは異なる。その他の点では、印刷装置1Aにおける主走査位置修正処理は、第1実施形態における主走査位置修正処理と同様である。
印刷装置1Aでは、調整台81を左右方向(主走査方向)に移動させることで、基材16を左右方向に移動させる。そのために、制御部6は、主走査位置修正処理において調整台81の移動を行う前に、調整台移動部品82のローラ91の向きを、載置台基準の左右方向(主走査方向)に設定しておく。
具体的には、まず、制御部6は、移動部品昇降モータ85により調整台移動部品82A,82Bを格納位置に配置して、ローラ91が載置台21Aと接触していない状態とする。そして、制御部6は、方向転換モータ83A,83Bによりローラ91を、調整台基準の左右方向に対して、調整台傾き取得処理で算出した傾き角度βだけ、同処理で設定したローラ調整方向に回転させる。これにより、ローラ91の向きが、載置台基準の左右方向(主走査方向)に設定される。
そして、例えば、図39に示すように、p3>pcである場合(ステップS24:NO)、制御部6は、図40に示すように、調整台移動部品82A,82Bが調整台81を左方向に(p3−pc)だけ移動させるよう移動モータ84A,84Bを制御する。上述のように、ローラ91の向きが載置台基準の左右方向(主走査方向)に設定されているので、調整台81は、載置台21Aおよび基材16に対する傾きがあっても、載置台基準の左方向へ移動する。これにより、主走査方向における基材16の位置が、目的の位置に修正される。ここで、制御部6は、移動モータ84A,84Bの駆動パルス数により、調整台81の移動量を制御する。調整台81が移動する際、従動部品86のボール93は、調整台81の動きに従動して回転する。
次に、上述した図31のステップS55の副走査位置修正処理について説明する。
図41は、印刷装置1Aにおける副走査位置修正処理のフローチャートである。
図41のステップS81〜S85の処理は、第1実施形態における図20のステップS31〜S35の処理と同様である。
ステップS84またはステップS85で副走査位置修正方向を設定すると、ステップS86において、制御部6は、移動モータ84A,84Bを制御して、設定された副走査位置修正方向への調整台81の移動を開始させる。
ここで、制御部6は、調整台81の移動開始前に、調整台移動部品82のローラ91の向きを、載置台基準の前後方向(副走査方向)に設定しておく。
具体的には、まず、制御部6は、移動部品昇降モータ85により調整台移動部品82A,82Bを格納位置に配置して、ローラ91が載置台21Aと接触していない状態とする。そして、制御部6は、方向転換モータ83A,83Bによりローラ91を、調整台基準の前後方向に対して、調整台傾き取得処理で算出した傾き角度βだけ、同処理で設定したローラ調整方向に回転させる。これにより、ローラ91の向きが、載置台基準の前後方向(副走査方向)に設定される。
そして、例えば、副走査位置修正方向が前方向である場合、制御部6は、移動モータ84A,84Bを制御して、調整台移動部品82A,82Bによる調整台81の前方向への移動を開始させる。ここで、上述のように、ローラ91の向きが載置台基準の前後方向(副走査方向)に設定されているので、調整台81は、載置台21Aおよび基材16に対する傾きがあっても、載置台基準の前方向へ移動する(図42)。
ステップS86において調整台81の移動を開始させた後、制御部6は、ステップS87の処理を行う。ステップS87の処理は、第1実施形態における図20のステップS39の処理と同様である。
調整線センサ57が調整左右線42Bを検出したと判断した場合(ステップS87:YES)、ステップS88において、制御部6は、移動モータ84A,84Bを停止させることにより調整台81の移動を終了させる。これにより、例えば、図42に示すように、目的の位置である、辺16aが基準左右線26に揃う位置で基材16が停止する。この結果、基材16が載置台21上において目的の位置に配置された状態となり、副走査位置修正処理が終了となる。
以上説明したように、印刷装置1Aでは、制御部6は、調整台81を介して載置台21Aに載置された基材16に対し、上述した傾き修正処理、主走査位置修正処理、および副走査位置修正処理を実行する制御を行う。これにより、載置台21Aに載置された基材16の傾きおよび位置が自動的に修正されるので、作業者が載置台21Aに基材16を載置する際に高精度で載置する必要性が低減する。したがって、第2実施形態によっても、第1実施形態と同様に、印刷用の基材16を装置にセットする際の作業負荷を軽減できる。
また、裏面印刷を行う場合も、位置合わせ部品41が裏面に取り付けられた基材16に対し、傾き修正処理、主走査位置修正処理、および副走査位置修正処理を実行することで、調整台81を介して載置台21Aに載置された基材16の傾きおよび位置を自動的に修正できる。これにより、印刷装置1Aにおいても、第1実施形態と同様に、裏面印刷時においても、基材16を装置にセットする際の作業負荷を軽減できるとともに、高精度で表面との整合性をとることができる。
また、印刷装置1Aでは、調整部23Aは、載置台21A上において基材16を支持する調整台81と、載置台21A上で調整台81を支持する調整台移動部品82および従動部品86とを備える。そして、調整台移動部品82が調整台81を動かすことで、基材16の傾きおよび位置を修正する。これにより、作業者が調整台81に基材16を載置すれば、印刷装置1Aで基材16の傾きおよび位置の調整を自動的に行うことが可能であるので、印刷用の基材16を装置にセットする際の作業負荷を軽減できる。
また、印刷装置1Aでは、調整台81の上面81aに複数の吸引穴81bが形成されており、吸引部87が吸引穴81bを介して空気を吸引することで、基材16を調整台81に吸着させる。これにより、調整台81が動いても、基材16が調整台81に対して動くことが抑えられる。この結果、基材16の配置の精度の低下を抑えることができる。
[その他の実施形態]
上述のように、本発明は第1および第2実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
上述した第1および第2実施形態の主走査位置修正処理では、調整線センサ57による2本の調整前後線42Aの検出地点P1,P2の位置に基づき、主走査方向における基材16の位置を修正した。しかし、1本の調整前後線42Aの検出地点に基づき、主走査方向における基材16の位置を修正するようにしてもよい。少なくとも1本の調整線の検出地点の主走査方向における位置に基づき、主走査方向における基材の位置を修正するものであればよい。
上述した第1および第2実施形態では、それぞれ調整前後線42A、調整左右線42Bが1本ずつ形成された2つの位置合わせ部品41を基材16に装着したが、いずれか1本の調整左右線42Bを省略してもよい。1つの部品に、主走査方向に互いに離間した2本の調整前後線42Aと、少なくとも1本の調整左右線42Bが形成されていてもよい。
上述した第1および第2実施形態では、主走査位置修正処理の後に副走査位置修正処理を行ったが、この順序は入れ替えてもよい。
上述した第1実施形態の従動部品34の少なくとも一部を基材移動部品31に置き換えてもよい。基材16を昇降させる複数の基材昇降部品(基材移動部品31、従動部品34)のうちの少なくとも一部の複数の基材昇降部品が、基材16を移動させる基材移動機構を有するもの(基材移動部品31)であればよい。
上述した第2実施形態の従動部品86の少なくとも一部を調整台移動部品82に置き換えてもよい。調整台81を支持する複数の調整台支持部品(調整台移動部品82、従動部品86)のうちの少なくとも一部の複数の調整台支持部品が、載置台21A上で調整台81を移動させる調整台移動機構を有するもの(調整台移動部品82)であればよい。
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
[付記]
本出願は、以下の発明を開示する。
(付記1)
印刷用の矩形の基材が載置される載置台と、
平面視において基材を回転させて前記載置台に対する基材の傾きを調整するとともに、前記載置台に対する基材の位置を調整する調整部と、
基材に装着された部品に形成された、基材の一辺に平行で前記一辺に直交する方向に互いに離間した2本の第1線、および前記一辺に直交する方向に延びる第2線を検出するための、互いに直交する第1方向および第2方向に移動可能な検出部と、
前記一辺が前記第2方向に概略平行となるように前記載置台に載置された基材に対し、前記検出部を前記第1方向に移動させつつ2本の前記第1線を検出させて前記検出部による2本の前記第1線の検出地点どうしの間隔である線間距離を計測する計測動作と、前記調整部により基材を回転させる基材回転動作とを交互に行いつつ、基材回転動作の前後の計測動作による前記線間距離どうしの比較結果に応じて、次の基材回転動作における基材の回転方向および回転角度を制御することで、平面視における前記載置台に対する基材の傾きを修正させる制御、
基材の傾き修正後において、前記検出部を前記第1方向に移動させつつ少なくとも1本の前記第1線を検出させ、前記検出部による前記第1線の検出地点の位置に基づき、前記調整部により前記第1方向における基材の位置を修正させる制御、および、
基材の傾き修正後において、前記検出部を前記第2方向における設定位置に配置し、前記調整部により基材を前記第2方向に移動させ、前記検出部が前記第2線を検出した位置で基材を停止させることで、前記第2方向における基材の位置を修正させる制御を実行する制御部と
を備えることを特徴とする印刷装置。
(付記2)
前記調整部は、
前記載置台の載置面から突出する調整位置と、前記載置台内に格納される格納位置との間で昇降可能であり、前記格納位置から前記調整位置への移動により前記載置面から基材を持ち上げて支持する複数の基材昇降部品を有し、
複数の前記基材昇降部品のうちの少なくとも一部の複数の前記基材昇降部品は、基材を移動させる基材移動機構を有し、
複数の前記基材昇降部品が前記調整位置に配置されて基材を支持している状態において、前記基材移動機構を有する前記基材昇降部品により基材を動かすことで、平面視における前記載置台に対する基材の傾きおよび基材の位置を調整することを特徴とする付記1に記載の印刷装置。
(付記3)
前記調整部は、
前記載置台上において基材を支持する調整台と、
前記調整台の前記載置台に対向する面から突出し、前記載置台上で前記調整台を支持する複数の調整台支持部品とを有し、
複数の前記調整台支持部品のうちの少なくとも一部の複数の前記調整台支持部品は、前記載置台上で前記調整台を移動させる調整台移動機構を有し、
前記調整台移動機構を有する前記調整台支持部品により前記調整台を動かすことで、平面視における前記載置台に対する基材の傾きおよび基材の位置を調整することを特徴とする付記1に記載の印刷装置。
(付記4)
印刷用の基材が載置される載置台と、
前記載置台の載置面上から突出する調整位置と、前記載置台内に格納される格納位置との間で移動可能であり、前記格納位置から前記調整位置への移動により前記載置面から基材を持ち上げて支持する複数の基材昇降部品とを備え、
複数の前記基材昇降部品のうちの少なくとも一部の複数の前記基材昇降部品は、基材を移動させる基材移動機構を有し、
複数の前記基材昇降部品が前記調整位置に配置されて基材を支持している状態において、前記基材移動機構を有する前記基材昇降部品が基材を動かすことで、平面視における前記載置台に対する基材の傾きおよび基材の位置を調整することを特徴とする印刷装置。
(付記5)
載置台と、
前記載置台上において基材を支持する調整台と、
前記調整台の前記載置台に対向する面から突出し、前記載置台上で前記調整台を支持する複数の調整台支持部品とを備え、
複数の前記調整台支持部品のうちの少なくとも一部の複数の前記調整台支持部品は、前記調整台を移動させる調整台移動機構を有し、
調整台移動機構を有する調整台支持部品が前記調整台を動かすことで、平面視における前記載置台に対する基材の傾きおよび基材の位置を調整することを特徴とする印刷装置。