JP6956518B2 - 加水分解ペプチドおよび乳を含有する飲料 - Google Patents
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Description
本発明は、加水分解ペプチドおよび乳を含有する飲料においてペプチド臭が感じられるのを抑えることができる新規な技術を提供することを目的とする。
[1] 加水分解ペプチドと乳とを含有する飲料であって、
セリ科野菜、ホウレンソウおよびアスパラガスからなる群から選択される1種または2種以上の野菜汁を含有する飲料。
[2] 飲料全体に対し前記野菜汁を0.1〜30質量%含有する[1]に記載の飲料。
[3] 前記野菜汁として、セロリ、パセリ及びニンジンからなる群から選択される1種または2種以上の野菜汁を含有する[1]または[2]に記載の飲料。
[4] 前記加水分解ペプチドとしてカゼイン加水分解物を含む[1]から[3]のいずれか一つに記載の飲料。
[5] 前記野菜汁として、セロリおよび/またはパセリの野菜汁を含有する[1]から[4]のいずれか一つに記載の飲料。
[6] 前記加水分解ペプチドに対する前記野菜汁の質量比が0.04以上である[1]から[5]のいずれか一つに記載の飲料。
[7] 飲料中に含まれる無脂乳固形分が0.1質量%〜10質量%である[1]から[6]のいずれか一つに記載の飲料。
[8] 加水分解ペプチドと乳とを原料として含有する飲料の製造においてセリ科野菜、ホウレンソウおよびアスパラガスからなる群から選択される1種または2種以上の野菜汁を配合することを含む、前記飲料を飲んだときに感じられるペプチド臭の抑制方法。
本実施形態は、加水分解ペプチドと乳とを原料として含有し、飲んだとき(口にしたとき)に感じられるペプチド臭が抑えられている飲料に関し、加水分解ペプチドと乳に加えて、セリ科野菜、ホウレンソウおよびアスパラガスからなる群から選択される1種または2種以上の野菜汁を原料として含有する。
一方、加水分解ペプチドの含有割合の下限値についても特に限定されないが、ペプチド臭が感じられる場合が多くなる0.05質量%以上において本実施形態に係るセリ科等野菜汁添加によるペプチド臭抑制が適用されるのが好ましく、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上とすることができる。
加水分解ペプチドの含有量は、ケルダール法で分析することができる。その際、乳または野菜汁由来のタンパク質など、加水分解ペプチドに由来しないタンパク質は、加水分解ペプチドの含有量に含めない。
乳の形態は特に限定されず、例えば、全脂乳、脱脂乳、乳清、乳蛋白濃縮物、バターミルク粉、無糖練乳、脱脂加糖練乳、全脂加糖練乳が挙げられ、また、粉乳や濃縮乳から還元した乳も使用できる。
本実施形態の飲料において、乳の含有割合は特に限定されず当業者が適宜設定できるが、本実施形態の飲料あたりの無脂乳固形分量が0.1〜10.0質量%であることが、香味及びタンパクの安定性の観点から好ましい。その下限はより好ましくは0.3質量%、さらにより好ましくは0.5質量%である。またその上限はより好ましくは5.0質量%、さらにより好ましくは3.0質量%、特に好ましくは1.5質量%である。なお、無脂乳固形分量は、「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」(昭和26年12月27日厚生省令第52号)に記載された方法により測定することができる。
該セリ科等野菜汁を含有することで、セリ科等野菜汁未配合の場合と比較して、飲んだときにペプチド臭が感じられるのを抑えることができる。該セリ科等野菜によるペプチド臭の抑制作用は、未保存等の飲料劣化が進行していないときに加えて、ペプチド臭が強まる傾向がある加熱劣化(例えば実施例に示す条件と同等の加熱劣化)の状態にある飲料においても確認できる。
さらに、加水分解ペプチドおよび乳を含有する飲料に該セリ科等野菜汁を配合することで、濃度にもよるが、苦味についても感じられるのを抑えることができる。
具体的には、野菜汁として、野菜の搾汁液(ストレート汁)、上記搾汁液を濃縮した濃縮汁、上記濃縮汁をさらに希釈した還元汁等が挙げられる。また、野菜汁は、精密濾過法、酵素処理法、限外濾過法等の手法により清澄処理した透明汁であっても、不溶性固形分を含む野菜汁であってもよい。上記不溶性固形分を含む野菜汁は、一般に、混濁汁、コミニュテッド汁、又はピューレと呼ばれる野菜汁を指す。上記混濁汁は、透明汁を得るために実施されるペクチン分解酵素処理を行うことなく得られた、果実由来のペクチンやパルプ分などがコロイド状をなして混濁している野菜汁を指す。上記コミニュテッド汁は、混濁汁の中でも、粉砕された野菜果皮やオイル分も含む野菜汁である。また、ピューレは、野菜の搾汁液を裏ごししたものを指す。
なお、野菜汁の原料となる野菜の部分については特に限定されないが通常食されている部分が原料に含まれるようにすることを例示することができる。当該部分として、例えばセロリ、パセリ、セリ、ミツバ、アシタバ、コリアンダー、ホウレンソウ、アスパラガスについては地上部を、ニンジンについては地下部を挙げることができる。
他の成分として、具体的には、クエン酸などの酸味料、糖度調整剤、果汁、安定化剤、高甘味度甘味料、香料、色素等、等を挙げることができる。
また、pHも特に限定されないが、好ましくは2.0〜5.0であり、より好ましくは3.0〜4.6であり、さらに好ましくは、3.2〜4.2である。
本実施形態の飲料においてpHの調整は、例えば、酸味料を使用する方法、発酵乳を使用する方法、野菜汁を使用する方法、またはこれらの方法を併用する方法により行うことができるが、所望のpHとすることができれば特に限定されない。酸味料、発酵乳及び野菜汁としては上述のものが使用できる。
このうち、セロリ、ニンジン、パセリの少なくともいずれかの野菜汁を含有する場合には上述のとおりペプチド臭に加えて光劣化臭についても感じられるのをより抑えることができる。そのため、透明性の高い容器を用いる場合にこれら1種または2種以上の野菜汁が含有されるように飲料が構成されることが好ましい。
具体的には、加水分解ペプチド、乳、セリ科等野菜汁、液体原料、および必要に応じて用いられる他の原料を混合し本実施形態の飲料を製造することができる。液体原料は水のほか、上述の他の成分の溶液や分散液であってもよい。原材料の混合する順序なども特に限定されず、当業者が適宜設定することができる。
均質化処理は、通常、ホモゲナイザーを用いて行うことができる。均質化条件は特に限定されないが、温度5〜25℃で圧力10〜50Mpaの条件が好ましく挙げられる。また、均質化処理は、殺菌処理の前後のいずれか、もしくは両方で行うことができる。
殺菌処理は、例えば、65℃で10分間と同等以上の殺菌価を有する加熱殺菌により行うことができる。殺菌処理の方法は特に制限されず、通常のプレート式殺菌、チューブラー式殺菌、レトルト殺菌、バッチ殺菌、オートクレーブ殺菌等の方法を採用することができる。また、殺菌処理は、均質化処理の前後のいずれか、もしくは両方で行うか、または容器充填前後のいずれか、もしくは両方で行うことができる。
殺菌処理後の本実施形態の飲料を容器詰飲料とする方法としては、例えば、容器に飲料をホットパック充填し、充填した容器を冷却する方法、又は容器充填に適した温度まで飲料を冷却して、予め洗浄殺菌した容器に無菌充填する方法などにより行うことができ、特に限定されない。
以下の表1に示す成分について混合した。得られた混合液を96℃に達するまで加熱した後、PET200mlボトルに充填し、その後冷却して実施例および比較例の容器詰飲料を得た。
なお、使用した野菜汁は、実施例1:セロリ(セリ科)、実施例2:ニンジン(セリ科)、実施例3:パセリ(セリ科)、実施例4:ホウレンソウ(ヒユ科)、実施例5:アスパラガス(キジカクシ科)、比較例1:キャベツ(アブラナ科)である。各飲料に含まれる無脂乳固形分は1.5質量%であり、また、野菜汁/加水分解ペプチドは9.35である。また、各飲料の糖度、酸度、pHを表2に示す。
5名の評価パネルにより、各飲料(未保存品、熱劣化品、または光照射品)の飲んだときに感じられるペプチド臭、苦味の強さを評価した。また、光照射品については光劣化臭も評価を行った。
いずれの評価項目についても、対照(野菜汁無添加)と同等の評価を4と、また、全く感じられないものの評価を0とする、0〜8の9段階で評価した。
結果を表3、4、5に示す。
加えて、表5から、実施例1〜3についてはペプチド臭に加えて光劣化臭についてもより抑制されていることが理解できる。
野菜汁を表6に示す含有割合に変更した以外は実施例1または3と同様の方法で飲料を製造した。各飲料の糖度、酸度、pHを表6に示す。
試験例1と同様の方法で実施例1、1a、1b、3、3a、3bについて評価を行った。結果を表7、8、9に示す。
表10、11に記載の原料、含有割合で混合した以外は実施例1と同様の方法で飲料を調製した。得られた各飲料の糖度、酸度、pHを表11に示す。
試験例1と同様の方法で未保存品である実施例1−1〜4について評価を行った。結果を表12に示す。
表13、14に記載の原料、含有割合で混合した以外は実施例1と同様の方法で飲料を調製した。得られた各飲料の糖度、酸度、pHを表14に示す。
試験例1と同様の方法で未保存品である実施例1−5〜8について評価を行った。結果を表15に示す。
表16に記載の原料、含有割合で混合した以外は実施例1と同様の方法で飲料を調製した。各飲料に含まれる無脂乳固形分は1.5質量%であり、また、野菜汁/加水分解ペプチドは9.35である。得られた飲料の糖度、酸度、pHを表17に示す。
試験例1と同様の方法で実施例6について評価を行った。結果を表18〜20に示す。
表21に記載の原料、含有割合で混合した以外は実施例1と同様の方法で飲料を調製した。各飲料に含まれる無脂乳固形分は1.5質量%であり、また、野菜汁/加水分解ペプチドは9.35である。得られた飲料の糖度、酸度、pHを表22に示す。
試験例1と同様の方法で実施例7について評価を行った。結果を表23〜25に示す。
Claims (5)
- 加水分解ペプチドと乳とを含有する飲料であって、
セロリおよび/またはパセリの野菜汁を含み、
飲料全体に対し前記野菜汁を0.1〜30質量%含有し、
飲料全体に対し前記加水分解ペプチドを0.05〜8質量%含有する、飲料。 - 前記加水分解ペプチドとしてカゼイン加水分解物を含む請求項1に記載の飲料。
- 前記加水分解ペプチドに対する前記野菜汁の質量比が0.04以上である請求項1または2に記載の飲料。
- 飲料中に含まれる無脂乳固形分が0.1〜10質量%である請求項1から3のいずれか一つに記載の飲料。
- その含有量が飲料全体に対し0.05〜8質量%である加水分解ペプチドと乳とを原料として含有する飲料の製造においてセリ科野菜、ホウレンソウおよびアスパラガスからなる群から選択される1種または2種以上の野菜汁を飲料全体に対し0.1〜30質量%配合することを含む、前記飲料を飲んだときに感じられるペプチド臭の抑制方法。
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