JP6955911B2 - ひび割れ幅計測方法、ひび割れ幅計測装置およびひび割れ幅計測プログラム - Google Patents

ひび割れ幅計測方法、ひび割れ幅計測装置およびひび割れ幅計測プログラム Download PDF

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本発明は、コンクリート構造物のような対象物の表面に発生したひび割れ幅を計測するのに好適なひび割れ幅計測方法、ひび割れ幅計測装置およびひび割れ幅計測プログラムに関するものである。
従来、コンクリート構造物等の維持管理においては、劣化状態を定量的に把握するための情報の一つとして、ひび割れ幅が用いられている。当該ひび割れ幅は、一般的に、クラックスケールと呼ばれる目視用のゲージを直接ひび割れに当てて、作業員による目視によって計測されている。
しかしながら、橋梁やダムなどのように大型の対象物においては、作業員が近づきにくい場所にひび割れが発生することが多く、それらのひび割れ幅をクラックスケールで計測することは困難である。そこで、例えば、特開2017−53819号公報には、撮像手段によってコンクリートの表面を撮像し、画像処理によってひび割れ幅を計測する方法が提案されている(特許文献1)。
特開2017−53819号公報
しかしながら、特許文献1に記載された発明を含め、従来のひび割れ幅の計測方法においては、ある瞬間の静止画像を画像処理するに過ぎない。このため、トラック等の車両が通過する瞬間だけ動的に変動するような橋梁や高速道路等のひび割れについては、そのひび割れ幅を正確かつ定量的に把握することができないという問題がある。
また、上述したような動的に変動するひび割れの変動幅は、0.1mmオーダーと非常に小さい。このため、大がかりな装置によって複雑な画像処理を施したとしても、精度の低い計測結果しか得られないおそれがある。さらに、ゆっくりと時間をかけて経時的に変動するようなダム等のひび割れについては、そのひび割れ幅が数ヶ月や数年に一度しか計測されない。このため、計測作業が時間的に離散して不連続となり、ひび割れ幅の経時変化に伴う連続した計測データを取得することができないという問題がある。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、簡易的な構成でありながら、離れた場所からでも動的または経時的に変動するひび割れのひび割れ幅を正確に、かつ定量的および連続的に測定することができるひび割れ幅計測方法、ひび割れ幅計測装置およびひび割れ幅計測プログラムを提供することを目的としている。
本発明に係るひび割れ幅計測方法は、簡易的な構成でありながら、離れた場所からでも動的または経時的に変動するひび割れのひび割れ幅を正確に、かつ定量的および連続的に測定するという課題を解決するために、対象物に発生したひび割れのひび割れ幅を計測するひび割れ幅計測方法であって、前記ひび割れの両側に分離して設けられた同心円状の対象パターンに対して、同心円状の基準パターンを重ね合わせて放射状のモアレ縞を形成し、前記ひび割れ幅の変動に伴う前記モアレ縞の本数の変化に基づいて前記ひび割れ幅を計測する。
また、本発明の一態様として、ひび割れ幅を正確に、かつ定量的および連続的に測定するための算出式を特定するという課題を解決するために、前記ひび割れ幅は下記式(1)によって算出されてもよい。
w=|n−α|/β ・・・式(1)
ただし、各符号は以下を表す。
w:ひび割れ幅
n:ひび割れ幅が変動した後のモアレ縞の最終本数
α:ひび割れ幅が変動する前のモアレ縞の当初本数
β:基準パターンのピッチに応じて定まる定数
さらに、本発明の一態様として、明瞭なモアレ縞を形成し、計測精度を向上するという課題を解決するために、前記基準パターンの中心は前記対象パターンの中心に略一致されているとともに、前記基準パターンのピッチ幅は前記対象パターンのピッチ幅と略同一に形成されていてもよい。
また、本発明の一態様として、モアレ縞を観測可能な角度を担保するという課題を解決するために、前記対象パターンが配置された面と前記基準パターンが配置された面とのなす角度は50度未満に設定されていてもよい。
本発明に係るひび割れ幅計測装置は、簡易的な構成でありながら、離れた場所からでも動的または経時的に変動するひび割れのひび割れ幅を正確に、かつ定量的および連続的に測定するという課題を解決するために、対象物に発生したひび割れのひび割れ幅を計測するひび割れ幅計測装置であって、前記ひび割れの両側に分離して設けられた同心円状の対象パターンを観測する観測手段を有し、前記観測手段には、前記対象パターンに重ね合わせられて放射状のモアレ縞を形成し、前記ひび割れ幅の変動に伴う前記モアレ縞の本数の変化に基づいて前記ひび割れ幅を計測するための同心円状の基準パターンが設けられている。
また、本発明の一態様として、計測結果の精度を向上するという課題を解決するために、前記ひび割れ幅が変動する前の変動前画像、および前記ひび割れ幅が変動した後の変動後画像を前記観測手段から取得するひび割れ画像取得部と、前記変動前画像における前記モアレ縞の当初本数、および前記変動後画像における前記モアレ縞の最終本数を検出するモアレ縞検出部と、前記当初本数、前記最終本数および下記式(1)に基づいて、前記ひび割れのひび割れ幅を算出するひび割れ幅算出部と、を有していてもよい。
w=|n−α|/β ・・・式(1)
ただし、各符号は以下を表す。
w:ひび割れ幅
n:ひび割れ幅が変動した後のモアレ縞の最終本数
α:ひび割れ幅が変動する前のモアレ縞の当初本数
β:基準パターンのピッチに応じて定まる定数
さらに、本発明の一態様として、明瞭なモアレ縞を形成し、計測精度を向上するという課題を解決するために、前記観測手段に前記基準パターンを設ける代わりに、前記観測手段によって観測される前記対象パターンの画像に前記基準パターンを重ねて表示する基準パターン表示部を有しており、前記基準パターン表示部は、前記基準パターンの中心を前記対象パターンの中心に略一致させるとともに、前記基準パターンのピッチ幅を前記対象パターンのピッチ幅と略同一に形成してもよい。
本発明に係るひび割れ幅計測プログラムは、簡易的な構成でありながら、離れた場所からでも動的または経時的に変動するひび割れのひび割れ幅を正確に、かつ定量的および連続的に測定するとともに、計測結果の精度を向上するという課題を解決するために、対象物に発生したひび割れの両側に分離して設けられた同心円状の対象パターンを観測する観測手段を有し、前記観測手段には、前記対象パターンに重ね合わせられて放射状のモアレ縞を形成し、ひび割れ幅の変動に伴う前記モアレ縞の本数の変化に基づいて前記ひび割れ幅を計測するための同心円状の基準パターンが設けられている、ひび割れ幅計測装置に用いられるひび割れ幅計測プログラムであって、前記ひび割れ幅が変動する前の変動前画像、および前記ひび割れ幅が変動した後の変動後画像を前記観測手段から取得するひび割れ画像取得部と、前記変動前画像における前記モアレ縞の当初本数、および前記変動後画像における前記モアレ縞の最終本数を検出するモアレ縞検出部と、前記当初本数、前記最終本数および下記式(1)に基づいて、前記ひび割れのひび割れ幅を算出するひび割れ幅算出部としてコンピュータを機能させる。
w=|n−α|/β ・・・式(1)
ただし、各符号は以下を表す。
w:ひび割れ幅
n:ひび割れ幅が変動した後のモアレ縞の最終本数
α:ひび割れ幅が変動する前のモアレ縞の当初本数
β:基準パターンのピッチに応じて定まる定数
また、本発明の一態様として、明瞭なモアレ縞を形成し、計測精度を向上するという課題を解決するために、前記観測手段に前記基準パターンを設ける代わりに、前記観測手段によって観測される前記対象パターンの画像に前記基準パターンを重ねて表示する基準パターン表示部としてコンピュータを機能させ、前記基準パターン表示部は、前記基準パターンの中心を前記対象パターンの中心に略一致させるとともに、前記基準パターンのピッチ幅を前記対象パターンのピッチ幅と略同一に形成してもよい。
本発明によれば、簡易的な構成でありながら、離れた場所からでも動的または経時的に変動するひび割れのひび割れ幅を正確に、かつ定量的および連続的に測定することができる。
本発明に係るひび割れ幅計測方法およびひび割れ幅計測装置の第1実施形態を示す図である。 第1実施形態において、(a)対象物に対象パターンが設けられた状態、(b)対象パターンに基準パターンが重ね合わされた状態、および(c)ひび割れ幅が変動した状態を示す図である。 本発明に係るひび割れ幅計測装置の第2実施形態を示すブロック図である。 第2実施形態のひび割れ幅計測方法、ひび割れ幅計測装置およびひび割れ幅計測プログラムの動作を示すフローチャートである。 実施例1における実験結果で得られたモアレ縞を示す画像である。 実施例2における実験結果で得られたモアレ縞であって、(a)パターンA、(b)パターンBおよび(c)パターンCの画像である。 実施例3を用いた供試体を示す画像である。 実施例3の実験結果を示す表である。 実施例4における、(a)ピッチ幅が0.25mmの場合、および(b)ピッチ幅が0.5mmの場合の実験結果を示すグラフである。 実施例4における、ピッチ幅が0.25mmのときに撮影した画像の一部である。 実施例5の実験結果を示す画像である。
本発明に係るひび割れ幅計測方法、ひび割れ幅計測装置およびひび割れ幅計測プログラムは、対象物に発生したひび割れのひび割れ幅を計測するものである。また、本発明において、対象物とは、橋梁やダム等のコンクリート構造物、レンガ、タイル、金属または木材等からなる各種構造物、一般住宅や大型施設等の建造物、あるいは地面や崖等の自然物のように、表面にひび割れが発生する全ての対象物を含む概念である。
以下、本発明に係るひび割れ幅計測方法、ひび割れ幅計測装置およびひび割れ幅計測プログラムの具体的な実施形態について図面を用いて説明する。
本第1実施形態では、図1に示すように、望遠鏡をひび割れ幅計測装置1Aとして構成し、ひび割れ幅計測プログラムを用いることなく、ひび割れ幅計測方法を実施した。具体的には、まず、対象物10の表面に発生したひび割れ11に架け渡すように対象パターン12を設ける。この対象パターン12は、図2(a)に示すように、径の異なる複数の円が等しいピッチ幅で描かれた同心円状の模様を有しており、その中心に関して半円状に二等分されている。そして、分割された対象パターン12のそれぞれが同心円状の模様を保ちつつ、ひび割れ11の両側に分離して設けられる。なお、本発明において、ピッチ幅とは、隣接する同心円同士の径方向の間隔である。
また、本実施形態において、対象パターン12は、シール状の透明シートに同心円を印刷することよって構成されている。しかしながら、この構成に限定されるものではなく、対象物10に予め多数の対象パターン12を直接描画乃至形成してもよい。また、対象パターン12は半円状に二等分されているが、その形状や分割割合も特に限定されない。さらに、対象パターン12は、対象物10に貼付する前に予め分離されていてもよく、対象物10に貼付された後にカッター等で切断してもよい。
つぎに、図2(b)に示すように、対象物10に設けられた対象パターン12に基準パターン13を重ね合わせて、放射状のモアレ縞14を形成する。このモアレ縞14は、周期的な模様を複数重ね合わせたときに、そのズレ量に応じて視覚的に発生する縞模様である。よって、基準パターン13は、対象パターン12と同様、等しいピッチ幅で描かれた同心円状の模様を有している。また、本発明において、重ね合わせるとは、対象パターン12と基準パターン13とが互いに接触した状態で実際に重ね合わせることと、互いに離隔した状態で見かけ上重ね合わせることの双方を含む概念である。
また、明瞭なモアレ縞14を形成するためには、対象パターン12と基準パターン13とを重ね合わせる際、基準パターン13の中心が対象パターン12の中心に略一致するように配置されているとともに、基準パターン13のピッチ幅が対象パターン12のピッチ幅と略同一に形成されていることが好ましい。なお、略一致とは、完全一致のみならず、本発明の作用効果を奏する範囲において、わずかな誤差を含む概念である。また、略同一とは、完全同一のみならず、本発明の作用効果を奏する範囲において、わずかな誤差を含む概念である。
なお、対象パターン12と基準パターン13の中心が完全に一致した状態では、モアレ縞14が発生せずに視認しにくいため、本第1実施形態では、便宜上、予め対象パターン12に対して基準パターン13を1ピッチ分だけ上方向にずらした状態で重ね合わせている。このため、図2(b)に示すように、ひび割れ幅が変動する前の状態においても、放射状のモアレ縞14が4本発生している。
なお、本発明では、後述するとおり、ひび割れ幅の変動に伴うモアレ縞14の本数の変化に基づいてひび割れ幅を計測する。このため、対象パターン12のピッチ幅は、ひび割れ11の変動幅より小さい寸法に形成されている。これにより、ひび割れ幅の変動がわずかでも、モアレ縞14の本数の変動が観察されるため、測定結果が高精細化する。モアレ縞14は、対象パターン12が基準パターン13に対して少なくとも1ピッチ分ずれたときに発生するためである。
また、本第1実施形態において、基準パターン13は、図1に示すように、ひび割れ幅計測装置1Aとしての望遠鏡内に設けられている。具体的には、望遠鏡は、観測手段2Aとしての光学系21を有しており、この光学系21を構成するレンズ(図示せず)等に基準パターン13が設けられている。このため、基準パターン13は、望遠鏡で観測したときの見かけ上のピッチ幅が対象パターン12と略同一となるように、対象パターン12との距離に応じたサイズに形成されている。
なお、対象パターン12のピッチ幅と、基準パターン13の見かけ上のピッチ幅とを同一にする方法は特に限定されるものではない。例えば、予め相似比が異なる基準パターン13を複数用意しておき、光学系21内に差し替えながら略同一になるものを探してもよい。または、対象パターン12と基準パターン13との見かけ上のピッチ幅が略同一となるように、望遠鏡の倍率を調整してもよい。
対象パターン12に基準パターン13を重ね合わせた後、対象物10に荷重がかかると、その荷重方向に応じてひび割れ幅が変動する。このため、図2(c)に示すように、分離されている対象パターン12のそれぞれがひび割れ11の変動に伴って変位し、基準パターン13との重なり具合を変化させる。これにより、モアレ縞14の本数が変化するため、当該本数の変化に基づいてひび割れ幅を計測する。
具体的には、本発明者らは、後述する実施例4の結果より、ひび割れ幅は、モアレ縞14の本数との間に線形関係を有しており、下記式(1)によって表されるひび割れ幅算出式によって算出されることを見い出した。
w=|n−α|/β ・・・式(1)
ただし、各符号は以下を表す。
w:ひび割れ幅
n:ひび割れ幅が変動した後のモアレ縞14の最終本数
α:ひび割れ幅が変動する前のモアレ縞14の当初本数
β:基準パターン13のピッチに応じて定まる定数
よって、ひび割れ幅が変動する前のモアレ縞14の当初本数と、ひび割れ幅が変動した後のモアレ縞14の最終本数とを確認し、上記ひび割れ幅算出式に代入することにより、一瞬で動的に変動するひび割れ11のひび割れ幅が正確かつ定量的に算出される。また、ゆっくりと経時的に変動するひび割れ11についても、そのひび割れ幅の経時変化に伴う連続した計測データが取得される。例えば、図2に示す例では、当初本数が4で、最終本数が12であるから、定数βが0.5の場合、ひび割れ幅は16mmと算出される。
なお、本第1実施形態では、対象物10の上面から下向きの荷重を受けているため、図2に示すように、ひび割れ幅が拡大する方向に変動している。しかしながら、ひび割れ幅が減少する方向に変動する場合も同様に算出される。また、本第1実施形態では、ひび割れ幅の変動に応じて、対象パターン12の中心が基準パターン13の中心から離れる方向に変位するため、モアレ縞14が増加している。しかしながら、ひび割れ幅の変動に応じて、対象パターン12の中心が基準パターン13の中心から近づく方向に変位すると、モアレ縞14が減少することとなり、この場合も同様に算出される。
以上のとおり、本発明に係るひび割れ幅計測方法は、ひび割れ11の両側に分離して設けられた同心円状の対象パターン12に対して、同心円状の基準パターン13を重ね合わせて放射状のモアレ縞14を形成する。そして、ひび割れ幅の変動に伴うモアレ縞14の本数の変化に基づいて、ひび割れ幅を計測するようになっている。
以上のような本第1実施形態のひび割れ幅計測方法およびひび割れ幅計測装置1Aによれば、以下のような効果を奏する。
1.簡易的な構成でありながら、離れた場所からでも動的または経時的に変動するひび割れ11のひび割れ幅を正確に、かつ定量的および連続的に測定することができる。
2.ひび割れ幅を正確かつ定量的に測定するための算出式を特定することができる。
3.明瞭なモアレ縞14を形成し、計測精度を向上することができる。
つぎに、本発明に係るひび割れ幅計測方法、ひび割れ幅計測装置およびひび割れ幅計測プログラムの第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態の構成のうち、上述した第1実施形態と同一もしくは相当する構成については同一の符号を付し、再度の説明を省略する。
本第2実施形態のひび割れ幅計測方法、ひび割れ幅計測装置1Bおよびひび割れ幅計測プログラム1bの特徴は、ひび割れ幅計測装置1Bをコンピュータによって構成するとともに、画像処理によってひび割れ幅を計測する点にある。
具体的には、本第2実施形態のひび割れ幅計測装置1Bは、タブレット端末またはスマートフォン等の携帯可能なコンピュータによって構成されている。また、ひび割れ幅計測装置1Bは、図3に示すように、主として、観測手段2Bと、表示入力手段3と、記憶手段4と、演算処理手段5とから構成されている。以下、各構成手段について詳細に説明する。
観測手段2Bは、ズーム機能を備えたデジタルカメラで構成されており、ひび割れ11を観測するためのものである。本第2実施形態において、観測手段2Bは、図3に示すように、主として、レンズ等からなる光学系21と、CCD(Charge Coupled Device)等からなる撮像素子22とを有している。そして、光学系21によってズームインされたひび割れ11の像を撮像素子22によって画像へ変換し、表示入力手段3に表示させるようになっている。
表示入力手段3は、タッチパネル等で構成されており、作業員の選択や入力等を受け付ける入力機能と、ひび割れ11の画像等を表示する表示機能とを兼ね備えたものである。なお、本第2実施形態では、表示機能および入力機能を兼ね備えた表示入力手段3を使用しているが、この構成に限定されるものではなく、表示機能のみを備えた表示手段、および入力機能のみを備えた入力手段をそれぞれ別個に有していてもよい。
記憶手段4は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等で構成されており、各種データを記憶するとともに、演算処理手段5が各種処理を行う際のワーキングエリアとして機能するものである。本第2実施形態において、記憶手段4は、図3に示すように、プログラム記憶部41と、ひび割れ幅算出式記憶部42とを有している。
プログラム記憶部41には、本第2実施形態のひび割れ幅計測装置1Bを制御するためのひび割れ幅計測プログラム1bがインストールされている。そして、演算処理手段5が、当該ひび割れ幅計測プログラム1bを実行することにより、ひび割れ幅計測装置1Bとしてのコンピュータを後述する各構成部として機能させるようになっている。
なお、ひび割れ幅計測プログラム1bの利用形態は、上記構成に限られるものではない。例えば、メモリカードやUSBメモリ等のように、コンピュータで読み取り可能な非一時的な記録媒体にひび割れ幅計測プログラム1bを記憶させておき、当該記録媒体から直接読み出して実行してもよい。また、外部サーバ等からクラウドコンピューティング方式やASP(Application Service Provider)方式等で利用してもよい。
ひび割れ幅算出式記憶部42は、モアレ縞14の本数からひび割れ幅を算出するためのひび割れ幅算出式を記憶するものである。本第2実施形態において、ひび割れ幅算出式記憶部42には、上記式(1)がひび割れ幅算出式として記憶されている。また、当該ひび割れ幅算出式における定数βは、基準パターン13のピッチ幅に対応付けてテーブルデータ化されており、任意のピッチ幅を選択すると、対応する定数βがひび割れ幅算出式にセットされるようになっている。
演算処理手段5は、CPU(Central Processing Unit)等で構成されており、記憶手段4にインストールされたひび割れ幅計測プログラム1bを実行することにより、図3に示すように、基準パターン表示部51と、ひび割れ画像取得部52と、モアレ縞検出部53と、ひび割れ幅算出部54として機能するようになっている。以下、各構成部についてより詳細に説明する。
基準パターン表示部51は、基準パターン13をソフトウエア的に画像として表示させるものである。具体的には、基準パターン表示部51は、観測手段2Bによって観測される対象パターン12の画像に基準パターン13の画像を重ねて表示するようになっている。すなわち、上述した第1実施形態では、観測手段2Bに直接基準パターン13を設けていたが、その代わりに、本第2実施形態では、ひび割れ幅計測プログラム1bによって、基準パターン13がソフトウエア的に設けられる。
また、本第2実施形態において、基準パターン表示部51は、基準パターン13を表示させる際、基準パターン13の中心を対象パターン12の中心に略一致させるとともに、基準パターン13のピッチ幅を対象パターン12のピッチ幅と略同一に形成する。これにより、明瞭なモアレ縞14が形成されやすくなり、計測精度が向上する。
なお、本第2実施形態では、基準パターン表示部51が、画像処理によって自動的に対象パターン12の中心およびピッチ幅を検出し、基準パターン13の中心を略一致させるとともにピッチ幅を略同一に形成している。しかしながら、この構成に限定されるものではなく、基準パターン表示部51は、作業員によって設定された中心およびピッチ幅に従って、基準パターン13を画像として描画するようにしてもよい。
ひび割れ画像取得部52は、計測対象となるひび割れ11の画像を取得するものである。本第2実施形態において、ひび割れ画像取得部52は、ひび割れ幅が変動する前の変動前画像、およびひび割れ幅が変動した後の変動後画像を観測手段2Bから取得する。変動前画像および変動後画像を取得するタイミングは、作業員によるシャッター操作で指定されてもよい。または、画像処理によってひび割れ幅が最小および最大となるタイミングを特定し、最小時の画像を変動前画像として取得し、最大時の画像を変動後画像として取得してもよい。
モアレ縞検出部53は、画像処理によってモアレ縞14を検出するものである。本第2実施形態において、モアレ縞検出部53は、ひび割れ画像取得部52によって取得された変動前画像および変動後画像について画像処理を実行し、変動前画像におけるモアレ縞14の当初本数、および変動後画像におけるモアレ縞14の最終本数を検出する。なお、モアレ縞14を検出するための画像処理としては、所定の閾値に基づく二値化処理等を用いることができる。
ひび割れ幅算出部54は、モアレ縞14の本数に基づいてひび割れ11のひび割れ幅を算出するものである。本第2実施形態において、ひび割れ幅算出部54は、ひび割れ幅算出式記憶部42に記憶されているひび割れ幅算出式を読み出し、モアレ縞検出部53によって検出されたモアレ縞14の当初本数および最終本数を当該ひび割れ幅算出式に代入することにより、ひび割れ11のひび割れ幅を算出するようになっている。
つぎに、本第2実施形態のひび割れ幅計測方法、ひび割れ幅計測装置1Bおよびひび割れ幅計測プログラム1bの作用について、図4を参照しつつ説明する。
本第2実施形態のひび割れ幅計測方法、ひび割れ幅計測装置1Bおよびひび割れ幅計測プログラム1bを用いて、ひび割れ11のひび割れ幅を計測する場合、事前準備として、計測対象となるひび割れ11の両側に、分離された対象パターン12を設けておく。そして、当該対象パターン12を観測手段2Bによって画像化すると、基準パターン表示部51が、当該画像上に基準パターン13の画像を重ねて表示する(ステップS1)。これにより、表示入力手段3に表示される画像上には放射状のモアレ縞14が形成されるため、簡易的な構成でありながら、離れた場所からでもひび割れ幅が計測可能となる。
また、本第2実施形態において、基準パターン表示部51は、対象パターン12の画像上に基準パターン13を表示させる際、基準パターン13の中心を対象パターン12の中心に略一致させるとともに、基準パターン13のピッチ幅を対象パターン12のピッチ幅と略同一となるように形成する。これにより、明瞭なモアレ縞14が形成されやすくなるため、計測精度が向上する。
つぎに、ひび割れ画像取得部52が、ひび割れ幅が変動する前の変動前画像を取得すると(ステップS2)、モアレ縞検出部53が、当該変動前画像におけるモアレ縞14の当初本数を検出する(ステップS3)。また、ひび割れ画像取得部52が、ひび割れ幅が変動した後の変動後画像を取得すると(ステップS4)、モアレ縞検出部53が、当該変動後画像におけるモアレ縞14の最終本数を検出する(ステップS5)。
これにより、モアレ縞14の本数が画像処理によって検出されるため、作業員が目視によって本数を数える場合と比較して、個人間のバラツキが抑制され、計測結果の精度が向上する。なお、上記ステップS2〜ステップS5の処理順序は上記に限定されるものではなく、ステップS2およびステップS4の画像取得処理を先に実行した後、ステップS3およびステップS5の本数検出処理を後から実行してもよい。
以上の処理が完了すると、ひび割れ幅算出部54が、ステップS3で検出されたモアレ縞14の当初本数、およびステップS5で検出された最終本数をひび割れ幅算出式に代入することにより、ひび割れ11のひび割れ幅を算出する(ステップS6)。これにより、一瞬で動的に変動するひび割れ11のひび割れ幅が正確かつ定量的に測定される。また、ゆっくりと経時的に変動するひび割れ11についても、そのひび割れ幅の経時変化に伴う連続した計測データが取得される。
以上のような本第2実施形態のひび割れ幅計測方法、ひび割れ幅計測装置1Bおよびひび割れ幅計測プログラム1bによれば、上述した第1実施形態の効果に加えて、以下のような効果を奏する。すなわち、第1実施形態では、作業員が目視によってモアレ縞14の本数を特定するのに対し、本第2実施形態では、画像処理によってモアレ縞14の本数を検出するため、個人間のバラツキが抑制され計測結果の精度を向上することができる。また、ひび割れ11の数が膨大であっても迅速かつ正確にひび割れ幅の計測処理を実行することができる。
つぎに、本発明に係るひび割れ幅計測方法、ひび割れ幅計測装置およびひび割れ幅計測プログラムの具体的な実施例について説明する。
本実施例1では、モアレ縞14を発生させる対象パターン12および基準パターン13の組み合わせのうち、ひび割れ幅の変動に伴うモアレ縞14の本数の変化を観測するのに適した組み合わせを特定する実験を行った。
具体的には、対象パターン12および基準パターン13のうち、一方を等ピッチ幅の同心円状パターンとし、他方を等ピッチ幅の平行直線パターンとした。そして、両者を重ね合わせると、図5に示すように、直線状のモアレ縞14が発生した。このモアレ縞14は、ひび割れ幅の変動に伴って角度は変化したものの、直線方向における変位に対しては全く変化が見られなかった。
以上の本実施例1によれば、同心円状パターンと平行直線パターンとの組み合わせは、本発明に係る対象パターン12および基準パターン13の組み合わせとしては、不適切であることが示された。
本実施例2では、引き続き、適切な対象パターン12および基準パターン13の組み合わせを特定する実験を行った。
具体的には、図6に示すように、同心円状パターン同士の組み合わせとして、以下の3つの組み合わせを想定した。
パターンA:3つの同心円状パターンを中心間に距離をもたせて配置したもの
パターンB:2つの同心円状パターンを中心間に距離をもたせて配置したもの
パターンC:2つの同心円状パターンの中心を重ね合わせて配置したもの
上記パターンA〜Cの組み合わせによって発生したモアレ縞14はいずれも、ひび割れ幅に変動が生じた全ての方向に対して、その変化が観察された。なお、多くの同心円状パターンを重ね合わせた組み合わせや、大きい円の内側に小さい円を入れた組み合わせ等についても実験したが、モアレ縞14の変化の仕方はパターンAとほぼ同じであった。
以上の本実施例2によれば、複数の同心円状パターン同士の組み合わせが、本発明に係る対象パターン12および基準パターン13の組み合わせとして適していることが示された。
本実施例3では、上記パターンA〜Cのうち、モアレ縞14を観察するのに最適な組み合わせを決定するために、上記パターンA〜Cで発生した各モアレ縞14の定性的な性質を確認する実験を行った。
具体的には、図7に示すように、RC(Reinforced Concrete)はりの模型に曲げひび割れおよびせん断ひび割れを設けた供試体(高さ14cm×長さ60cm×幅8cm)を作製した。そして、当該供試体を用いて、上記パターンA〜Cのそれぞれについて、以下の手順に従って実験を行った。
1.供試体に対象パターン12を貼り付け、その手前側に基準パターン13を設置する。
2.供試体に荷重をかける前(載荷前)、所定のひび割れ幅になるまで荷重をかけた後(載荷後)、および荷重を解除した後(除荷後)のそれぞれにおいて、モアレ縞14をデジタルカメラで撮影した。
3.載荷前、載荷後および除荷後における各画像を観察し、モアレ縞14の変化について比較評価した。
また、本実施例3では、以下に示す6つの実験パラメータを使用した。
(1)対象パターン12と基準パターン13との距離および組み合わせ(上記パターンA〜C)
(2)ひび割れ幅(0.5mm,1mm,2mm)
(3)ひび割れ11の種類(曲げひび割れ,せん断ひび割れ)
(4)デジタルカメラの位置(ひび割れ11からの距離:900mm,1200mm)
(5)基準パターン13のピッチ幅(1mm,0.5mm)
(6)基準パターン13からひび割れ11までの距離(0mm,50mm,100mm)
上記比較評価の結果を図8に示す。なお、ひび割れ11の種類および基準パターン13のピッチ幅についは、傾向及び結果に差異が見られなかったため結果を省略している。また、図8における評価は、モアレ縞14の変化が3秒以内に見分けられたものは○とし、当該見分けに3秒以上かかったものは△とし、見分けがつかなかったものは×とした。
実験の結果、パターンAについては、対象パターン12と基準パターン13との中心間に楕円状のモアレ縞14が発生した。また、対象パターン12と基準パターン13とを近接させると、直線状のモアレ縞14が発生した。そして、当該モアレ縞14は、ひび割れ幅の変動に伴って幅が変化していた。このため、図8(a)に示すように、ひび割れ幅がどの程度変動したか、およびひび割れ幅の変化に伴うモアレ縞14の変化がわかりにくいという評価に至った。
つぎに、パターンBについては、パターンAと同様、対象パターン12と基準パターン13との中心間に楕円状のモアレ縞14が発生した。そして、当該モアレ縞14の変化は、パターンAとほぼ同様であったが、図8(b)に示すように、ひび割れ幅の変動は若干わかりやすいという評価に至った。
最後に、パターンCについては、重ね合わされた対象パターン12および基準パターン13の円周方向に沿って放射状のモアレ縞14が発生した。そして、図8(c)に示すように、当該モアレ縞14の本数は観察しやすく、ひび割れ幅の拡大に伴って増加したため、定性的にも定量的にも変化が捕捉しやすいという評価に至った。
以上の本実施例3によれば、2つの同心円状パターンの中心を重ね合わせて配置したパターンCが、モアレ縞14を観察するのに好適な組み合わせであることが示された。
本実施例4では、上記パターンCの組み合わせについて、モアレ縞14の本数とひび割れ幅との関係式を導出するための実験を行った。
実験方法は、上述した実施例3とほぼ同様とした。ただし、本実施例4では、モアレ縞14の本数とひび割れ幅との関係性に焦点を絞ったため、実験パラメータは以下の2つとした。
(1)ひび割れ幅(1mmから0.5mm刻みで4.5mmまで)
(2)ピッチ幅(0.25mm,0.5mm)
そして、上記条件下で撮影した画像におけるモアレ縞14の本数を数え、ひび割れ幅に対応させてプロットした。その結果を図9に示す。また、ピッチ幅が0.25mmのときに撮影した画像の一部を図10に示す。なお、図10においては、モアレ縞14の本数の変化を観察しやすくするために、対象パターン12および基準パターン13の中心部を塗り潰している。
図9に示すように、モアレ縞14の本数とひび割れ幅との関係を回帰分析すると、両者の間には線形性が確認された。また、そのときの回帰直線は、下記式(2)によって表された。
n=βw+α ・・・式(2)
ただし、各符号は以下を表す。
w:ひび割れ幅
n:ひび割れ幅が変動した後のモアレ縞14の最終本数
α:ひび割れ幅が変動する前のモアレ縞14の当初本数
β:基準パターン13のピッチに応じて定まる定数
なお、上記式(2)は、ひび割れ幅の変動に応じて、モアレ縞14の本数が増加する場合の回帰直線である。一方、ひび割れ幅の変動に応じて、モアレ縞14の本数が減少する場合についても同様の実験を行った結果、その回帰直線は、下記式(3)によって表された。
n=−βw+α ・・・式(3)
上記式(2)からは、w=(n−α)/βという関係式が得られ、上記式(3)からは、w=(α−n)/βという関係式が得られる。よって、ひび割れ幅算出式としては、最終本数nと当初本数αとの差の絶対値を定数βによって除算した上記式(1)が成り立つことが示された。なお、定数βは、ピッチ幅が0.25mmのときは8であり、ピッチ幅が0.5mmのときは4であった。
以上の本実施例4によれば、対象物10に発生したひび割れ11のひび割れ幅は、モアレ縞14の本数との間に線形関係を有しており、上記式(1)によって表されるひび割れ幅算出式によって算出されることが示された。
本実施例5では、対象パターン12が配置された面と基準パターン13が配置された面とのなす角度について、モアレ縞14を観察可能な範囲を確認するための実験を行った。
実験方法は、上述した実施例3で使用した供試体のひび割れ11に対象パターン12を貼り付けた。そして、当該対象パターン12が配置された面に対して、基準パターン13が配置される面を変化させながら重ね合わせてモアレ縞14を撮影した。なお、対象パターン12および基準パターン13のピッチ幅は0.5mmとした。また、実験パラメータは以下の2つとした。
(1)ひび割れ幅(1mm,2mm,3mm)
(2)傾斜角度(10度,20度,30度,40度,50度)
上記実験パラメータを変えて撮影した画像を図11に示す。図11に示すように、対象パターン12が配置された面と基準パターン13が配置された面とのなす角度が10度から40度の範囲では、ひび割れ幅の変動に伴ってモアレ縞14の本数が変化していることが観察された。一方、対象パターン12が配置された面と基準パターン13が配置された面とのなす角度が50度の場合、モアレ縞14の変化はおろか、モアレ縞14自体を観察することも困難であった。
なお、図11に示す画像では、10度の場合のみ、ひび割れ11が大きくなるほど、対象パターン12と基準パターン13の中心同士が近づいたため、ひび割れ11の本数が減少している。一方、20度、30度および40度の場合は、ひび割れ11が大きくなるほど、対象パターン12と基準パターン13の中心同士が離れたため、ひび割れ11の本数が増加している。なお、30度の場合は、主に右側の領域で本数の増加が観察される。
以上の本実施例5によれば、対象パターン12が配置された面と基準パターン13が配置された面とのなす角度が50度未満であれば、モアレ縞14の本数およびその変化を確認できることが示された。
なお、本発明に係るひび割れ幅計測方法、ひび割れ幅計測装置およびひび割れ幅計測プログラムは、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
例えば、上述した各実施形態や各実施例では、対象パターン12の中心が、ひび割れ11とほぼ一致するように設けているが、この構成に限定されるものではない。すなわち、計測対象となるひび割れ11の両側に、分離された対象パターン12の一方と他方が設けられていればよい。
また、対象物10に対象パターン12を貼付する方法は、足場を築いて作業員が直接貼付する以外に、様々な方法が適用可能である。例えば、ドローンに伸縮自在なアーム機構を搭載し、当該アーム機構の先端に対象パターン12を持たせて対象物10に貼付してもよい。あるいは、矢のような飛翔体の先端に対象パターン12を取り付けて、当該飛翔体をピストルや弓等によって飛ばして貼付してもよい。これにより、作業員が近づきにくいひび割れ11に対しても対象パターン12を貼り付けることができる。
1A,1B ひび割れ幅計測装置
1b ひび割れ幅計測プログラム
2A,2B 観測手段
3 表示入力手段
4 記憶手段
5 演算処理手段
10 対象物
11 ひび割れ
12 対象パターン
13 基準パターン
14 モアレ縞
21 光学系
22 撮像素子
41 プログラム記憶部
42 ひび割れ幅算出式記憶部
51 基準パターン表示部
52 ひび割れ画像取得部
53 モアレ縞検出部
54 ひび割れ幅算出部

Claims (9)

  1. 対象物に発生したひび割れのひび割れ幅を計測するひび割れ幅計測方法であって、
    前記ひび割れの両側に分離して設けられた同心円状の対象パターンに対して、同心円状の基準パターンを重ね合わせて放射状のモアレ縞を形成し、前記ひび割れ幅の変動に伴う前記モアレ縞の本数の変化に基づいて前記ひび割れ幅の変動量を計測する、ひび割れ幅計測方法。
  2. 前記ひび割れ幅の変動量は下記式(1)によって算出される、請求項1に記載のひび割れ幅計測方法;
    w=|n−α|/β ・・・式(1)
    ただし、各符号は以下を表す。
    w:ひび割れ幅の変動量
    n:ひび割れ幅が変動した後のモアレ縞の最終本数
    α:ひび割れ幅が変動する前のモアレ縞の当初本数
    β:基準パターンのピッチに応じて定まる定数
  3. 前記基準パターンの中心は前記対象パターンの中心に略一致されているとともに、前記基準パターンの隣接する同心円同士の径方向の間隔は前記対象パターンの隣接する同心円同士の径方向の間隔と略同一に形成されている、請求項1または請求項2に記載のひび割れ幅計測方法。
  4. 前記対象パターンと前記基準パターンとのなす角度は50度未満に設定されている、請求項1から請求項3のいずれかに記載のひび割れ幅計測方法。
  5. 対象物に発生したひび割れのひび割れ幅を計測するひび割れ幅計測装置であって、
    前記ひび割れの両側に分離して設けられた同心円状の対象パターンを観測するとともに光学系を有する観測手段を有し、前記観測手段には、同心円状の基準パターンが設けられており、前記基準パターンは、前記対象パターンに重ね合わせられて放射状のモアレ縞を形成し、前記ひび割れ幅の変動に伴う前記モアレ縞の本数の変化に基づいて前記ひび割れ幅の変動量を計測する、ひび割れ幅計測装置。
  6. 前記対象パターンが設けられたひび割れのひび割れ幅が変動する前の変動前画像、および前記対象パターンが設けられたひび割れのひび割れ幅が変動した後の変動後画像を前記観測手段に設けられた撮像素子から取得するひび割れ画像取得部と、
    前記変動前画像における前記モアレ縞の当初本数、および前記変動後画像における前記モアレ縞の最終本数を検出するモアレ縞検出部と、
    前記当初本数、前記最終本数および下記式(1)に基づいて、前記ひび割れのひび割れ幅の変動量を算出するひび割れ幅算出部と、
    を有する、請求項5に記載のひび割れ幅計測装置;
    w=|n−α|/β ・・・式(1)
    ただし、各符号は以下を表す。
    w:ひび割れ幅の変動量
    n:ひび割れ幅が変動した後のモアレ縞の最終本数
    α:ひび割れ幅が変動する前のモアレ縞の当初本数
    β:基準パターンのピッチに応じて定まる定数
  7. 前記観測手段に前記基準パターンを設ける代わりに、前記観測手段によって観測される前記対象パターンの画像に前記基準パターンを重ねて表示する基準パターン表示部を有しており、
    前記基準パターン表示部は、前記基準パターンの中心を前記対象パターンの中心に略一致させるとともに、前記基準パターンの隣接する同心円同士の径方向の間隔を前記対象パターンの隣接する同心円同士の径方向の間隔と略同一に形成する、請求項6に記載のひび割れ幅計測装置。
  8. 対象物に発生したひび割れの両側に分離して設けられた同心円状の対象パターンを観測するとともに光学系を有する観測手段を有し、前記観測手段には、同心円状の基準パターンが設けられており、前記基準パターンは、前記対象パターンに重ね合わせられて放射状のモアレ縞を形成し、ひび割れ幅の変動に伴う前記モアレ縞の本数の変化に基づいて前記ひび割れ幅の変動量を計測する、ひび割れ幅計測装置に用いられるひび割れ幅計測プログラムであって、
    前記対象パターンが設けられたひび割れのひび割れ幅が変動する前の変動前画像、および前記対象パターンが設けられたひび割れのひび割れ幅が変動した後の変動後画像を前記観測手段に設けられた撮像素子から取得するひび割れ画像取得部と、
    前記変動前画像における前記モアレ縞の当初本数、および前記変動後画像における前記モアレ縞の最終本数を検出するモアレ縞検出部と、
    前記当初本数、前記最終本数および下記式(1)に基づいて、前記ひび割れのひび割れ幅の変動量を算出するひび割れ幅算出部と、
    してコンピュータを機能させる、ひび割れ幅計測プログラム;
    w=|n−α|/β ・・・式(1)
    ただし、各符号は以下を表す。
    w:ひび割れ幅の変動量
    n:ひび割れ幅が変動した後のモアレ縞の最終本数
    α:ひび割れ幅が変動する前のモアレ縞の当初本数
    β:基準パターンのピッチに応じて定まる定数
  9. 前記観測手段に前記基準パターンを設ける代わりに、前記観測手段によって観測される前記対象パターンの画像に前記基準パターンを重ねて表示する基準パターン表示部としてコンピュータを機能させ、
    前記基準パターン表示部は、前記基準パターンの中心を前記対象パターンの中心に略一致させるとともに、前記基準パターンの隣接する同心円同士の径方向の間隔を前記対象パターンの隣接する同心円同士の径方向の間隔と略同一に形成する、請求項8に記載のひび割れ幅計測プログラム。
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