1つまたはそれ以上の実施形態において、結束機は、結束線が巻回されたリールと、リールに係合してブレーキをかけるブレーキ部材と、ブレーキ部材を駆動するアクチュエータを備えていてもよい。ブレーキ部材は、リールとアクチュエータの間を遮るように配置されていてもよい。
上記の構成によれば、ブレーキ部材がリールとアクチュエータの間を遮る仕切壁の役割を果たすため、簡素な構成によって、アクチュエータが異物の影響を受けることを防止することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、ブレーキ部材は、ブレーキ部材だけでリールとアクチュエータの間を遮るように配置されていてもよい。
上記の構成によれば、結束機のハウジングにリールとアクチュエータの間を遮る仕切壁を設ける必要がないので、リールとアクチュエータを近接して配置することができ、結束機をより小型化することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、アクチュエータは、ソレノイドを備えていてもよく、ソレノイドは、長手方向がリールのソレノイドに最も近接する箇所の回転運動の接線方向と略平行となるように、配置されていてもよい。
アクチュエータがソレノイドである場合、ソレノイドを、長手方向がリールのソレノイドに最も近接する箇所の回転運動の接線方向と略平行となるように配置すると、ソレノイドをリールに近接して配置することができ、結束機をより小型化することができるが、ソレノイドの広い範囲がリールに対向することとなり、ソレノイドが異物の影響を受けやすくなる。上記の構成によれば、ブレーキ部材がリールとアクチュエータの間を遮るように配置されているので、アクチュエータが異物の影響を受けることを防止しつつ、結束機をより小型化することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、ブレーキ部材は、リールまたはアクチュエータに向かって突出するリブを備えていてもよい。
上記の構成によれば、ブレーキ部材の耐久性を向上することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、ブレーキ部材は、アクチュエータに連結される駆動アームと、リールに係合するブレーキアームを備える単一の部材であって、揺動軸周りに揺動可能であってもよく、アクチュエータが駆動アームを駆動し、ブレーキ部材に揺動軸周りのトルクが作用することで、ブレーキアームがリールに係合してもよい。
上記の構成によれば、アクチュエータがブレーキ部材を駆動するための機構を簡素化することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、結束機は、リールを収容するリール収容室をさらに備えていてもよく、リール収容室は、水抜き孔を備えていてもよい。
上記の構成によれば、リール収容室に水が流入した場合でも、水抜き孔を介してリール収容室から排水することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、水抜き孔は、ラビリンス構造に形成されていてもよい。
上記の構成によれば、水抜き孔がラビリンス構造となっているので、水抜き孔を介してリール収容室の内部に異物が侵入することを防止することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、水抜き孔は、結束機の後方からリール収容室の内部が見えない位置に配置されていてもよい。
上記の構成によれば、水抜き孔が結束機の後方から見えない位置に配置されているので、回転するリールが結束機の後方にいるユーザに対して剥き出しになることを防ぐことができる。ユーザの安全性をより高めることができる。
(実施例)
実施例に係る鉄筋結束機2について図面を参照して説明する。図1に示す鉄筋結束機2は、複数の鉄筋RをワイヤWによって結束するための電動工具である。
図1、図2に示すように、鉄筋結束機2は、結束機本体4と、結束機本体4の下部に設けられており、ユーザが把持可能なグリップ6と、グリップ6の下部に設けられたバッテリ取り付け部8を備えている。バッテリ取り付け部8の下部には、バッテリBが着脱可能である。バッテリBは、バッテリ取り付け部8に対してスライドさせることで着脱可能な、スライド式のバッテリである。バッテリBは、例えば、図示しない充電器によって充電可能な、リチウムイオンバッテリである。バッテリBがバッテリ取り付け部8に取り付けられると、鉄筋結束機2には、バッテリBから電力が供給される。図3に示すように、バッテリ取り付け部8の下面には、バッテリBと電気的に接続するバッテリ端子10が設けられている。バッテリ端子10は、結束機本体4の下部に収容された制御基板200(図8参照)に電気的に接続されている。制御基板200は、鉄筋結束機2の各種の動作を制御する。
図1、図2に示すように、鉄筋結束機2は、ハウジング12を備えている。ハウジング12は、左ハウジング14と、右ハウジング16と、側面カバーハウジング18を備えている。左ハウジング14と、右ハウジング16と、側面カバーハウジング18は、いずれも樹脂製の部材である。左ハウジング14と、右ハウジング16と、側面カバーハウジング18は、ハウジング12を構成する複数のハウジングプレートということができる。図1に示すように、左ハウジング14には、結束機本体4の左半分の外形形状と、グリップ6の左半分の外形形状と、バッテリ取り付け部8の左半分の外形形状が、一体的に形成されている。図2に示すように、右ハウジング16には、結束機本体4の右半分の外形形状の一部と、グリップ6の右半分の外形形状と、バッテリ取り付け部8の右半分の外形形状が、一体的に形成されている。左ハウジング14は右ハウジング16に対して、複数のねじによって固定されている。側面カバーハウジング18には、結束機本体4の右半分の外形形状の一部が形成されている。側面カバーハウジング18は、右ハウジング16に対して複数のねじによって固定されている。結束機本体4の後方には、ワイヤリールWR(図7参照)を収容するリール収容室20が形成されている。リール収容室20は、リールカバー22によって、上方を覆われている。リールカバー22は、左右に設けられた円環状の取り付け部22a、22bを介して結束機本体4に保持されており、左右方向を回動軸として結束機本体4に対して回動することで、リール収容室20を開閉する。
図1に示すように、結束機本体4の前後方向の中央近傍の左上部には、第1操作表示部24が設けられている。第1操作表示部24は、鉄筋結束機2の電源のオン/オフを切り換えるメインスイッチや、鉄筋結束機2の電源のオン/オフの状態を表示する主電源LED等を備えている。第1操作表示部24は、制御基板200に電気的に接続されている。第1操作表示部24は、結束機本体4を後方から見たときに、操作表示面が右上から左下へ傾斜するように配置されている。第1操作表示部24がこのように傾斜して配置されていることによって、鉄筋結束機2のユーザは、結束機本体4を左側から見た場合でも、上側から見た場合でも、第1操作表示部24を良好に視認することができる。また、第1操作表示部24がこのように傾斜して配置されていることによって、第1操作表示部24を結束機本体4の上面や側面に沿って配置する場合に比べて、結束機本体4の内部のデッドスペースを少なくして、結束機本体4を小型化することができる。
バッテリ取り付け部8の前方上面には、第2操作表示部26が設けられている。第2操作表示部26は、ワイヤWの送り出し量や捩り強さなどを設定する設定ボタンや、設定ボタンによって設定された内容を表示する7セグメントLED等を備えている。第2操作表示部26は、制御基板200に電気的に接続されている。
グリップ6の前方上部には、ユーザが引き操作可能なトリガ28と、トリガ28の後方に配置されており、トリガ28の引き操作を許可する状態と禁止する状態の間で切換可能なトリガロック30が設けられている。トリガ28は、グリップ6に対して前後方向にスライド可能となるように、左ハウジング14と右ハウジング16に保持されている。図4に示すように、トリガ28は、左ハウジング14と右ハウジング16に保持された圧縮バネ32によって、前方に向けて付勢されている。トリガ28の後方下部には、後方に向けて突出する突出部28aが形成されている。グリップ6の内部の上部には、トリガスイッチ34が配置されている。トリガスイッチ34は、制御基板200に電気的に接続されている。ユーザがトリガ28に指をかけて、圧縮バネ32の付勢力に抗してトリガ28を引き操作すると、トリガ28は後方に向けて移動し、突出部28aがトリガスイッチ34を押圧する。ユーザがトリガ28から指を離すと、圧縮バネ32の付勢力によってトリガ28は前方に向けて移動し、突出部28aがトリガスイッチ34から離反する。
図5、図6に示すように、トリガロック30は、左右方向に直線状に延びる基部30aと、基部30aの中央近傍から前方に突出する突出部30bと、基部30aの中央近傍の後面に形成された係合部30cを備えている。図1および図2に示すように、トリガロック30の基部30aの左端面30dおよび右端面30eは、それぞれ、グリップ6の左面および右面に露出するように配置されている。トリガロック30は、グリップ6に対して左右方向にスライド可能となるように、左ハウジング14と右ハウジング16に保持されている。トリガロック30は、トリガ28の引き操作を許可する許可位置と、トリガ28の引き操作を禁止する禁止位置の間で、移動可能である。図5、図6に示すように、トリガ28の上部後方には、突出部30bを受け入れ可能な凹部28bと、突出部30bの受け入れを禁止するストッパ28cが形成されている。図5に示すように、トリガロック30が許可位置にある場合、トリガロック30の左端面30dはグリップ6の左面よりも外側へ突出しており、係合部30cは左ハウジング14および右ハウジング16に形成された被係合部(図示せず)に係合している。また、トリガロック30が許可位置にある場合、トリガロック30の突出部30bはトリガ28の凹部28bと対向している。この状態では、トリガ28が後方へ移動すると突出部30bが凹部28bに受け入れられるので、トリガ28は後方への移動が可能である。すなわち、トリガロック30が許可位置にある場合、ユーザはトリガ28の引き操作が可能である。トリガロック30が許可位置にある状態から、ユーザがグリップ6の左側からトリガロック30の左端面30dを押し込むと、トリガロック30の係合部30cの係合が解除されて、トリガロック30は右方向にスライドして、禁止位置まで移動する。図6に示すように、トリガロック30が禁止位置にある場合、トリガロック30の右端面30eはグリップ6の右面よりも外側へ突出しており、係合部30cは左ハウジング14および右ハウジング16に形成された被係合部(図示せず)に係合している。また、トリガロック30が禁止位置にある場合、トリガロック30の突出部30bはトリガ28のストッパ28cと対向する。この状態では、トリガ28が後方へ移動すると突出部30bがストッパ28cと当接して、それ以上トリガ28が後方へ移動することが禁止される。すなわち、トリガロック30が禁止位置にある場合、ユーザによるトリガ28の引き操作が禁止される。なお、トリガロック30が禁止位置にある状態から、ユーザがグリップ6の右側からトリガロック30の右端面30eを押し込むと、トリガロック30の係合部30cの係合が解除されて、トリガロック30は左方向にスライドして、許可位置まで移動する。本実施例の鉄筋結束機2は、上記のようにスライド式のトリガロック30を用いているので、回動式のトリガロックを用いる場合に比べて、機械的な構成を簡素化することができ、鉄筋結束機2を小型化することができる。
図7、図8に示すように、結束機本体4は、主に、収容機構36と、送り機構38と、ブレーキ機構40と、案内機構42と、切断機構44と、捩り機構46と、制御基板200を備えている。
図7に示すように、収容機構36は、結束機本体4の後部に配置されており、リール収容室20に収容されたワイヤリールWRを、着脱可能に保持する。ワイヤリールWRは、リール収容室20において、収容機構36により回転可能に支持される。
図9、図10に示すように、収容機構36は、リール収容室20の左側に設けられた左支持機構48と、リール収容室20の右側に設けられた右支持機構50を備えている。
図10に示すように、左支持機構48は、ベース部材52と、カム部材54と、シャフト部材56と、圧縮バネ58を備えている。ベース部材52は、左ハウジング14に対して複数のねじによって固定されている。図9に示すように、ベース部材52の上面には、六角レンチHW等の、ユーザが鉄筋結束機2のメンテナンスをする際に使用する工具を収容可能な工具収容溝52aが形成されている。図10に示すように、カム部材54は、ベース部材52を貫通するように配置されており、左右方向にスライド可能にベース部材52に保持されている。カム部材54は、リール収容室20の外側に突出する円筒状のカバー保持部54aを備えている。カバー保持部54aは、リールカバー22の取り付け部22aを保持する。なお、リールカバー22の取り付け部22bは、側面カバーハウジング18に形成された円筒状のカバー保持部18aに摺動可能に保持されている。図9に示すように、カバー保持部54aの外周面には、カム突起54bが形成されている。カバー保持部54aのカム突起54bに対応して、リールカバー22の取り付け部22aの内周面には、図示しないカム突起が形成されている。図10に示すように、シャフト部材56は、リール収容室20の内側に突出する円筒状のリール保持部56aを備えている。シャフト部材56は、カム部材54に対して複数のねじによって固定されている。このため、シャフト部材56は、カム部材54と一体となって、ベース部材52に対して左右方向にスライド可能である。また、シャフト部材56は、ベース部材52に保持された圧縮バネ58によって、右方向へ(すなわち、リール収容室20の内側へ)付勢されている。通常時は、圧縮バネ58の付勢力によって、カム部材54とシャフト部材56はベース部材52に対して右側に(すなわちリール収容室20の内側に)移動している。この状態では、リール保持部56aがワイヤリールWRのシャフト受け溝WRaに入り込むとともに、カム部材54のカム突起54bが取り付け部22aのカム突起をリールカバー22が閉じる方向に押圧して、リールカバー22が閉じられている。この際に、リール保持部56aはシャフト受け溝WRaに対して相対的に摺動可能に入り込むため、ワイヤリールWRはリール保持部56aに対して回転可能に保持される。この状態から、ユーザが圧縮バネ58の付勢力に抗してリールカバー22を開くと、リールカバー22の回動に伴って、リールカバー22の取り付け部22aのカム突起がカバー保持部54aのカム突起54bを左方向へ(すなわち、リール収容室20の外側へ)押圧する。これによって、カム部材54とシャフト部材56はベース部材52に対して左側に(すなわちリール収容室20の外側に)移動し、リール保持部56aはワイヤリールWRのシャフト受け溝WRaから抜け出る。この状態で、ユーザは、ワイヤリールWRをリール収容室20から出し入れすることができる。
図10に示すように、右支持機構50は、回転台60と、内側ベアリング62と、外側ベアリング64と、磁気センサ66(図7参照)を備えている。回転台60は、内側ベアリング62と外側ベアリング64を介して、回転可能に右ハウジング16に保持されている。回転台60は、リール収容室20の内側に突出する円筒状のリール保持部60aと、リール収容室20の内側面に沿って配置された円盤状の回転検出部60bを備えている。リール保持部60aは、ワイヤリールWRのシャフト受け溝WRbと、相対的に回転不能に係合する。従って、ワイヤリールWRが回転すると、回転台60もワイヤリールWRと一体となって回転する。図11に示すように、回転検出部60bには、所定の角度間隔で複数のマグネット60cが取り付けられている。図7に示すように、磁気センサ66は、右ハウジング16の外側に配置されている。磁気センサ66は、制御基板200と電気的に接続されている。図29、図30、図31、図32に示すように、磁気センサ66は、ホールIC66aと、貫通孔66bを備えている。右ハウジング16には、磁気センサ66の貫通孔66bに対応する位置で右ハウジング16の外面から円柱状に突出するピン16eと、磁気センサ66の幅よりも狭い間隔で磁気センサ66を両側から挟み込むように配置された一対の挟持壁16fと、磁気センサ66のホールIC66aに対応する位置に形成された貫通孔16gが形成されている。磁気センサ66は、右ハウジング16のピン16eを貫通孔66bに挿通し、かつ右ハウジング16の一対の挟持壁16fの間に磁気センサ66を圧入することによって、右ハウジング16に嵌合される。磁気センサ66を右ハウジング16に取り付けた状態では、磁気センサ66は、ホールIC66aが右ハウジング16の貫通孔16gを介してマグネット60cと対向する位置に配置されている。図33に示すように、右ハウジング16に側面カバーハウジング18が取り付けられた状態では、磁気センサ66は、右ハウジング16と側面カバーハウジング18に挟持される。ワイヤリールWRが回転すると、回転台60のマグネット60cがワイヤリールWRと一体となって回転し、ホールIC66aで検出される磁気が変動する。制御基板200は、磁気センサ66のホールIC66aが検出するマグネット60cからの磁気の変動から、ワイヤリールWRの回転を検出することができる。本実施例の鉄筋結束機2では、回転台60を、内側ベアリング62と外側ベアリング64を介して、回転可能に保持する右ハウジング16に、磁気センサ66が取り付けられている。このような構成とすることによって、回転台60に取り付けられたマグネット60cと磁気センサ66を正確に位置決めすることができる。
図3に示すように、リール収容室20の最下部には、水抜き孔20aが形成されている。水抜き孔20aが形成されていることによって、リール収容室20の内部に水が入り込んだ場合でも、リール収容室20の内部から外部に水を排出することができる。水抜き孔20aは、鉄筋結束機2の後方からリール収容室20の内部が見えない位置に配置されている。従って、鉄筋結束機2の後方にいるユーザの身体に対して、回転するワイヤリールWRが剥き出しになることがなく、ユーザの安全性を確保することができる。また、図12に示すように、水抜き孔20aには、左ハウジング14に形成された仕切壁14aによって、リール収容室20の外側から内側を視認することができない、いわゆるラビリンス構造が形成されている。このような構成とすることによって、水抜き孔20aを介してリール収容室20の内部に異物が侵入することを抑制することができる。
図7に示すように、送り機構38は、結束機本体4の前後方向の中央近傍の上部に配置されており、収容機構36のワイヤリールWRから供給されるワイヤWを、結束機本体4の前方の案内機構42へと送り出す。図13に示すように、送り機構38は、ガイド部材68と、カバー部材70と、送りモータ72と、減速機構74と、ベアリング76と、主動ギヤ78と、従動ギヤ80と、リリースレバー82と、圧縮バネ84(図17参照)と、ロックレバー86を備えている。図14、図15に示すように、カバー部材70と、送りモータ72と、減速機構74と、ベアリング76と、主動ギヤ78は、ユニット化されており、さらにガイド部材68がカバー部材70にねじによって固定された状態で、右ハウジング16および側面カバーハウジング18に取り付けられている。カバー部材70は、クッション部材70aを介して、右ハウジング16および側面カバーハウジング18に挟持されている。従って、カバー部材70と右ハウジング16の間の隙間や、カバー部材70と側面カバーハウジング18の間の隙間を介して、粉塵等が移動することを抑制することができる。
図15に示すように、主動ギヤ78の側面には、高さ方向中央で径方向に伸びるV字形状溝78aが形成されている。後述するように、主動ギヤ78は、ワイヤWを送り出す送りローラとして機能する。主動ギヤ78は、減速機構74を介して、送りモータ72に連結されている。送りモータ72は、直流ブラシ付きモータである。送りモータ72は、制御基板200に電気的に接続されている。制御基板200は、送りモータ72の動作を制御することができる。減速機構74は、一対のスパーギヤ74aとスパーギヤ74bを備えている。スパーギヤ74aは、送りモータ72の出力軸72aに固定されている。スパーギヤ74bは、ねじによって主動ギヤ78に固定されている。カバー部材70には、スパーギヤ74bおよび主動ギヤ78が貫通する貫通孔が形成されている。スパーギヤ74bおよび主動ギヤ78は、カバー部材70の貫通孔を介して送りモータ72の回転を主動ギヤ78に伝達する回転伝達機構を構成している。主動ギヤ78は、ベアリング76を介してカバー部材70に回転可能に保持されている。ベアリング76は防塵仕様のベアリングであり、ベアリング76の内部に粉塵が侵入することを防止する防塵カバー76aを備えている。なお、防塵カバー76aは、ベアリング76と一体の部材であってもよいし、ベアリング76とは別の部材であってもよい。減速機構74は、カバー部材70の内部の空間に収容されている。すなわち、減速機構74は、カバー部材70から見て送りモータ72側に配置されており、送りモータ72の回転を減速して主動ギヤ78に伝達する。鉄筋結束機2においては、主動ギヤ78がワイヤWを送り出す際に、ワイヤWや主動ギヤ78の摩耗による粉塵が生じることがある。この粉塵が、送りモータ72や減速機構74に到達すると、送りモータ72や減速機構74の動作に影響を及ぼす可能性がある。本実施例の鉄筋結束機2によれば、カバー部材70の貫通孔に取り付けられたベアリング76が、貫通孔を介した主動ギヤ78側から送りモータ72側への粉塵の移動を抑制する抑制部材として機能する。これによって、送りモータ72や減速機構74が粉塵の影響を受けることを防止することができる。
図16に示すように、ガイド部材68は、ワイヤリールWRから引き出されたワイヤWを主動ギヤ78および従動ギヤ80に向けて案内する挿通孔68aを備えている。挿通孔68aは、入口側の径が大きく、出口側の径が小さい円錐を、斜めに切断した形状に形成されている。このため、ガイド部材68の挿通孔68aの入口は、上方と後方の両方に向けて開口している。挿通孔68aの入口が上方に向けて開口している、すなわち、挿通孔68aの入口がガイド部材68から見てカバー部材70側とは反対側に向けて開口しているので、鉄筋結束機2のユーザが、ワイヤリールWRから引き出したワイヤWを挿通孔68aに通す際に、ワイヤWの先端を挿通孔68aに挿入しやすくすることができる。また、ガイド部材68には、抜け止め片68bが形成されている。図14に示すように、ガイド部材68をカバー部材70にねじによって固定したときに、ガイド部材68の抜け止め片68bは、ベアリング76の上面に部分的に覆い被さるように配置される。ガイド部材68に抜け止め片68bを設けることによって、ガイド部材68を、ベアリング76がカバー部材70から外れてしまうことを防ぐ抜け止めとして利用することができる。
図13に示すように、従動ギヤ80は、リリースレバー82のギヤアーム82aに回転可能に支持されている。従動ギヤ80の側面には、高さ方向中央で径方向に伸びるV字形状溝80aが形成されている。リリースレバー82は、ギヤアーム82aと、操作アーム82bを備える、略L字型の部材である。リリースレバー82は、揺動軸82cを介して右ハウジング16に揺動可能に支持されている。図17に示すように、リリースレバー82の操作アーム82bは、右ハウジング16に保持された圧縮バネ84によって、左方向に向けて、すなわち外側に向けて付勢されている。通常時は、圧縮バネ84の付勢力によって、リリースレバー82に従動ギヤ80を主動ギヤ78に近づける方向のトルクが作用し、従動ギヤ80が主動ギヤ78に押し当てられている。これによって、従動ギヤ80の側面の歯と主動ギヤ78の側面の歯が係合するとともに、主動ギヤ78のV字形状溝78aと従動ギヤ80のV字形状溝80aの間に、ワイヤWが挟持される。この状態で、送りモータ72が主動ギヤ78を回転させると、従動ギヤ80が逆方向に回転するとともに、主動ギヤ78と従動ギヤ80により挟持されたワイヤWが案内機構42へと送り出され、ワイヤリールWRからワイヤWが引き出される。
図13に示すように、ロックレバー86は、ロックアーム86aと、バネ受けアーム86bを備える、略L字型の部材である。ロックレバー86は、揺動軸86cを介して右ハウジング16に揺動可能に支持されている。ロックレバー86のバネ受けアーム86bは、右ハウジング16に保持された図示しない圧縮バネによって、右方向に向けて付勢されている。この圧縮バネの付勢力によって、ロックレバー86には、ロックアーム86aをリリースレバー82の操作アーム82bに近づける方向のトルクが作用している。図17に示すように、ロックレバー86のロックアーム86aには係合凸部86dが形成されており、リリースレバー82の操作アーム82bには係合凸部86dと係合する係合凹部82dが形成されている。
鉄筋結束機2のユーザが、圧縮バネ84の付勢力に抗して操作アーム82bを押し込むと、リリースレバー82が揺動軸82cの周りで揺動して、従動ギヤ80が主動ギヤ78から離反する。この際に、操作アーム82bの係合凹部82dがロックアーム86aの係合凸部86dと対向する位置まで操作アーム82bが押し込まれると、ロックレバー86が揺動軸86cの周りで揺動して、ロックアーム86aの係合凸部86dが操作アーム82bの係合凹部82dに係合する。これによって、操作アーム82bは押し込まれた状態で保持される。ワイヤリールWRから伸びるワイヤWを送り機構38にセットする際には、ユーザは、操作アーム82bを押し込んで従動ギヤ80を主動ギヤ78から離反させ、その状態でワイヤリールWRから引き出したワイヤWの先端をガイド部材68の挿通孔68aを通して主動ギヤ78と従動ギヤ80の間に配置させる。そして、ユーザが圧縮バネの付勢力に抗してロックレバー86のロックアーム86aを操作アーム82bから離反する方向に揺動させると、ロックアーム86aの係合凸部86dと操作アーム82bの係合凹部82dの係合が解除されて、圧縮バネ84の付勢力によってリリースレバー82が揺動軸82cの周りで揺動して、従動ギヤ80が主動ギヤ78に係合するとともに、主動ギヤ78のV字形状溝78aと従動ギヤ80のV字形状溝80aの間にワイヤWが挟持される。
図8に示すように、案内機構42は、結束機本体4の前部に配置されており、送り機構38から送られたワイヤWを、複数の鉄筋Rの周囲に円環状に案内する(図1参照)。図7,図8に示すように、案内機構42は、案内パイプ88と、上側カールガイド90と、下側カールガイド92を備えている。図13に示すように、案内パイプ88の後方側の端部は、送り機構38の主動ギヤ78と従動ギヤ80の間に向けて開口している。送り機構38から送られたワイヤWは、案内パイプ88の内部へと送り込まれる。図20に示すように、案内パイプ88の前方側の端部は、上側カールガイド90の内部に向けて開口している。上側カールガイド90には、案内パイプ88から送られるワイヤWを案内するための第1案内通路94(図20参照)と、下側カールガイド92から送られるワイヤWを案内するための第2案内通路96(図21参照)が設けられている。
図18、図19に示すように、上側カールガイド90は、リードホルダ98と、ガイドアーム100と、コンタクトプレート102と、左ガイドプレート104と、インナガイドプレート106と、右ガイドプレート108と、ガイド部材110(図20参照)と、トッププレート112(図20参照)を備えている。
リードホルダ98は、案内パイプ88の前方側の開口が、ガイド部材110と、右ガイドプレート108と、インナガイドプレート106と、トッププレート112により形成される第1案内通路94に向けて開口するように、案内パイプ88を保持する。図20に示すように、ガイド部材110は、金属製の部材であって、その内部にワイヤWが通過するワイヤ通路110aが形成されている。ワイヤ通路110aの前端下方には、第1案内ピン114が配置されている。第1案内ピン114は、例えばタングステン等の耐摩耗性の高い金属製の部材であって、右ガイドプレート108に圧入されている。案内パイプ88から送り出されるワイヤWは、ワイヤ通路110aと第1案内ピン114によって、カッタ116へ向けて案内される。
カッタ116は、固定部材118と、揺動部材120を備えている。固定部材118は、外形が円筒形状である金属製の部材であって、その内部にワイヤWが通過するワイヤ通路118aが形成されている。固定部材118は、インナガイドプレート106に嵌合して、右ガイドプレート108とインナガイドプレート106に挟持されている。揺動部材120は、固定部材118が貫通する貫通孔120aと、ワイヤWを切断する切断片120bが形成された金属製の部材であって、固定部材118を介してインナガイドプレート106と右ガイドプレート108に揺動可能に保持されている。切断片120bは、揺動部材120が揺動したときに、ワイヤWを剪断により切断する。トッププレート112は、金属製の部材であって、右ガイドプレート108に固定されている。カッタ116を通過したワイヤWは、さらにトッププレート112の突出部112aと第2案内ピン122によって下方に向けて案内される。第2案内ピン122は、例えばタングステン等の耐摩耗性の高い金属製の部材であって、右ガイドプレート108に圧入されている。ワイヤWは、第1案内通路94を通過する際に、ワイヤ通路110aの内側の上面と第1案内ピン114と第2案内ピン122によって巻きぐせをつけられながら、下側カールガイド92に向けて送られる。
下側カールガイド92には、第3案内通路124とガード板126が設けられている。第3案内通路124は、上側カールガイド90の前端から送られたワイヤWを案内する左案内壁124aおよび右案内壁124bを備えている。ガード板126は、第3案内通路124の両側で上方に伸びる形状に形成されており、複数の鉄筋Rが捩り機構46と干渉することを防止するとともに、結束機本体4の内部に異物が侵入することを防止する。また、ガード板126は、円環状に巻回されたワイヤWを捩り機構46が捩る際に、ワイヤWが左右に暴れることを防止する。下側カールガイド92によって案内されたワイヤWは、上側カールガイド90の第2案内通路96に向けて送られる。
下側カールガイド92の後方から上側カールガイド90の後方に送られたワイヤWは、ガイドアーム100と、左ガイドプレート104と、インナガイドプレート106によって形成される第2案内通路96に送られる。図21に示すように、ガイドアーム100の前方の下面には、ワイヤWを案内する円弧状の上案内壁100aが形成されている。下側カールガイド92から上側カールガイド90に送られたワイヤWは、第2案内通路96によって案内されて、再び上側カールガイド90の前方から下側カールガイド92の前方に向けて送られる。
図18、図19に示すように、コンタクトプレート102は、略U字形状の部材であって、リードホルダ98およびガイドアーム100を跨ぐように配置されている。コンタクトプレート102は、コンタクト部102aと、揺動軸102bと、連結部102cを備えている。コンタクトプレート102は、揺動軸102bを介してリードホルダ98に揺動可能に支持されている。コンタクトプレート102の連結部102cは、リードホルダ98に保持された圧縮バネ128によって上方向に向けて付勢されている。図19に示すように、コンタクトプレート102は、マグネット130が取り付けられたマグネットアーム132を備えている。図7に示すように、結束機本体4の前方の右ハウジング16には、磁気センサ134が取り付けられている。磁気センサ134は、制御基板200に電気的に接続されている。通常時は、コンタクトプレート102のマグネット130は、磁気センサ134と対向する位置に配置されている。ユーザによって鉄筋結束機2が複数の鉄筋Rにセットされた時に、コンタクト部102aに複数の鉄筋Rが押し当てられると、圧縮バネ128の付勢力に抗して、コンタクトプレート102が揺動し、マグネットアーム132のマグネット130が磁気センサ134から外れた位置に配置される。制御基板200は、磁気センサ134の検出信号から、コンタクト部102aに複数の鉄筋Rが押し当てられているか否かを検出することができる。
図19に示すように、リードホルダ98には、1つの取り付け穴98aが形成されている。図18に示すように、ガイドアーム100には、3つの取り付け穴100b、100c、100dが形成されている。リードホルダ98の取り付け穴98aと、ガイドアーム100の1つの取り付け穴100bは、互いに重なるように配置されている。図8に示すように、結束機本体4の前方の右ハウジング16には、右ハウジング16に左ハウジング14を取り付ける際に使用されるねじボス16a、16b、16cが形成されている。上側カールガイド90は、ねじボス16aにリードホルダ98の取り付け穴98aおよびガイドアーム100の取り付け穴100bを嵌合させ、ねじボス16bにガイドアーム100の取り付け穴100cに嵌合させ、ねじボス16cにガイドアーム100の取り付け穴100dを嵌合させることで、右ハウジング16に取り付けられる。右ハウジング16に左ハウジング14を取り付ける際に使用されるねじボス16a、16b、16cを用いて上側カールガイド90を右ハウジング16に取り付けることで、部品点数を増やすことなく、上側カールガイド90を右ハウジング16に取り付けることができる。また、上側カールガイド90を右ハウジング16に対して正確に位置決めすることができる。さらに、ねじボス16a、16b、16cが形成されている箇所は、右ハウジング16の中でも比較的強度が高いので、複数の鉄筋Rとの衝突による荷重が上側カールガイド90から右ハウジング16に伝達する場合でも、高い耐久性を確保することができる。なお、上側カールガイド90を右ハウジング16に取り付ける箇所は、2箇所以上であれば何箇所であってもよい。そのうち、右ハウジング16に左ハウジング14を取り付ける際に使用されるねじボスを利用して上側カールガイド90を取り付ける箇所は、1つまたは2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。ねじボスを利用して上側カールガイド90を取り付ける箇所を、2つ以上とすることで、上側カールガイド90を右ハウジング16に対して正確に位置決めすることができる。また、ねじボスを利用して上側カールガイド90を取り付ける箇所を増やすほど、高い耐久性を確保することができる。
図8に示すように、下側カールガイド92は、左ハウジング14と右ハウジング16に、揺動軸92aを介して揺動可能に支持されている。下側カールガイド92は、図22に示す閉じた状態と、図23に示す開いた状態の間で、揺動可能である。図8に示すように、下側カールガイド92は、捩りバネ92bによって、閉じる方向に付勢されている。ユーザが鉄筋結束機2を使用する際には、下側カールガイド92は閉じた状態とされている。ユーザが鉄筋結束機2を使用中に、ワイヤWが捩り機構46に絡まってしまった場合には、ユーザは、捩りバネ92bの付勢力に抗して下側カールガイド92を開くことで、捩り機構46に絡まったワイヤWを取り除くことができる。
図22、図23に示すように、結束機本体4の前方下部には、下側カールガイド92の開閉状態を検出する開閉検出機構136が設けられている。開閉検出機構136は、右ハウジング16に取り付けられている。開閉検出機構136は、開閉検出部材138と、圧縮バネ140と、磁気センサ142を備えている。開閉検出部材138は、コンタクトアーム138aと、マグネットアーム138cを備えている。開閉検出部材138は、揺動軸138bを介して右ハウジング16に揺動可能に支持されている。また、開閉検出部材138は、右ハウジング16に保持された圧縮バネ140によって、コンタクトアーム138aが上方に向かう揺動方向に付勢されている。開閉検出部材138のマグネットアーム138cには、マグネット144(図23参照)が取り付けられている。磁気センサ142は、右ハウジング16に固定されている。磁気センサ142は、制御基板200と電気的に接続されている。下側カールガイド92の後方下部には、後方に向けて突出するコンタクト部92cが形成されている。図22に示すように、捩りバネ92bの付勢力によって下側カールガイド92が閉じた状態では、下側カールガイド92のコンタクト部92cが開閉検出部材138のコンタクトアーム138aを押し下げており、マグネットアーム138cのマグネット144は、磁気センサ142と対向する位置に配置される。図23に示すように、ユーザが、捩りバネ92bの付勢力に抗して下側カールガイド92を開くと、下側カールガイド92のコンタクト部92cが開閉検出部材138のコンタクトアーム138aから離反する。これによって、圧縮バネ140の付勢力によって開閉検出部材138が揺動し、マグネットアーム138cのマグネット144は、磁気センサ142から外れた位置に配置される。制御基板200は、磁気センサ142の検出信号から、下側カールガイド92の開閉状態を検出することができる。なお、図23に示すように、下側カールガイド92の近傍の左ハウジング14には、左ハウジング14に取り付けられた金属製のサイドプレート180から延びる剛性ストッパ180aと、弾性ストッパ182が設けられている。弾性ストッパ182は、例えばウレタンピン、ラバーピン、エラストマなどの弾性材料からなる。また、図20、図21に示すように、下側カールガイド92の近傍の右ハウジング16には、右ハウジング16に取り付けられた金属製のサイドプレート184から延びる剛性ストッパ184aと、弾性ストッパ186が設けられている。弾性ストッパ186は、例えばウレタンピン、ラバーピン、エラストマなどの弾性材料からなる。図23に示す下側カールガイド92が開いた状態から、図22に示すように下側カールガイド92が閉じられる際には、下側カールガイド92は、まず弾性ストッパ182、186と当接して、その後に剛性ストッパ180a、184aと当接する。このような構成とすることによって、下側カールガイド92が勢い良く閉じられた場合でも、大きな衝突音が発生することを抑制することができる。
図1に示すように、上側カールガイド90は複数の鉄筋Rの前方上方から下方へワイヤWを送り出し、下側カールガイド92は上側カールガイド90から送られたワイヤWを複数の鉄筋Rの後方下方から上方へ送り出す。これによって、送り機構38から送られたワイヤWは、複数の鉄筋Rの周囲に円環状に巻回される。送り機構38は、ユーザによって設定されたワイヤWの送り出し量だけワイヤWを送り出すと、送りモータ72を停止してワイヤWの送り出しを停止する。
図7に示すブレーキ機構40は、送り機構38がワイヤWの送り出しを停止するのと連動して、ワイヤリールWRの回転を停止する。図24、図25に示すように、ブレーキ機構40は、ソレノイド146と、圧縮バネ148と、ブレーキ部材150を備えている。ソレノイド146は、制御基板200に電気的に接続されている。制御基板200は、ソレノイド146の動作を制御することができる。ブレーキ部材150は、駆動アーム150aと、ブレーキアーム150cを備える単一の部材である。ブレーキ部材150は、揺動軸150bを介して右ハウジング16に揺動可能に取り付けられている。ブレーキ部材150の駆動アーム150aには、上下方向に進退するソレノイド146の出力軸が連結されている。また、ブレーキ部材150は、圧縮バネ148によって、ブレーキアーム150cがワイヤリールWRから離反する揺動方向に付勢されている。ブレーキ部材150のブレーキアーム150cは、幅広の板状に形成されたプレート部150dと、プレート部150dの先端においてワイヤリールWR側に突出する先端リブ150eと、プレート部150dの両側端においてワイヤリールWR側に突出する側端リブ150fを備えている。ワイヤリールWRには、ブレーキアーム150cの先端リブ150eが係合する係合部WRcが、周方向に所定の角度間隔で形成されている。図24に示すように、ソレノイド146への通電がされていない状態では、圧縮バネ148の付勢力によって、ブレーキアーム150cはワイヤリールWRの係合部WRcから離反している。図25に示すように、ソレノイド146への通電がされた状態では、ソレノイド146が駆動アーム150aを駆動し、ブレーキ部材150に揺動軸150b周りのトルクが作用することで、ブレーキ部材150が揺動軸150b周りに揺動して、ブレーキアーム150cの先端リブ150eがワイヤリールWRの係合部WRcに係合する。制御基板200は、送り機構38がワイヤWの送り出しを行なう際には、ソレノイド146へ通電せずに、ブレーキアーム150cをワイヤリールWRの係合部WRcから離反させている。これにより、ワイヤリールWRは自由に回転することができ、送り機構38はワイヤリールWRからワイヤWを引き出すことができる。また、制御基板200は、送り機構38がワイヤWの送り出しを停止する際には、ソレノイド146へ通電して、ブレーキアーム150cをワイヤリールWRの係合部WRcに係合させる。これにより、ワイヤリールWRの回転が禁止される。これによって、送り機構38がワイヤWの送り出しを停止した後も、ワイヤリールWRが慣性により回転し続け、ワイヤリールWRと送り機構38の間でワイヤWが弛緩してしまうことを防ぐことができる。
図7に示すように、ブレーキ機構40は、右ハウジング16の外側に配置されており、右ハウジング16と側面カバーハウジング18で区画される空間に収容されている。図9に示すように、リール収容室20の右ハウジング16には、ブレーキ部材150のブレーキアーム150cと略同程度のサイズのブレーキ用開口16dが形成されている。このような構成とすると、ワイヤリールWRとソレノイド146の間には、ブレーキ用開口16dが存在するものの、両者の間はブレーキアーム150cのプレート部150dによって遮蔽される。従って、リール収容室20の内部からブレーキ用開口16dを介して異物がソレノイド146側に移動することを防止することができる。ソレノイド146が異物の影響を受けることを防ぐことができる。なお、図9に示すように、ブレーキ部材150のブレーキアーム150cは、下部が上部に比べて左側にオフセットした位置となるように、左右方向に屈曲した形状を有している。このような構成とすることで、ソレノイド146をワイヤリールWRの係合部WRcに対して右側にオフセットした位置に配置することができる。本実施例の鉄筋結束機2では、ワイヤリールWRの前方には、後述する捩り機構46の捩りモータ170が配置されている。上記の構成によれば、捩り機構46の捩りモータ170とソレノイド146を左右方向に並べて配置して、結束機本体4を小型化することができる。
図24、図25に示すように、ソレノイド146は、その長手方向が、ワイヤリールWRのソレノイド146に最も近接する箇所の回転運動の接線方向と略平行となるように、配置されている。また、ソレノイド146は、その長手方向が、送りモータ72の軸と略平行となるように、配置されている。このような構成とすると、図7に示すように、結束機本体4の前後方向に関して、ワイヤリールWRと送りモータ72を近接して配置した場合でも、ワイヤリールWRと送りモータ72の間にソレノイド146を配置することができ、結束機本体4を小型化することができる。また、ワイヤリールWRと送りモータ72の間にソレノイド146が介在することで、送りモータ72の上方に設けられたガイド部材68とワイヤリールWRの間に、ある程度の間隔を確保することができる。ガイド部材68とワイヤリールWRの間の間隔が狭すぎると、ユーザがワイヤリールWRから引き出したワイヤWをガイド部材68の挿通孔68aに通す作業が困難なものとなってしまう。本実施例の構成によれば、ワイヤリールWRと送りモータ72を近接して配置した場合でも、送りモータ72の上方に設けられたガイド部材68とワイヤリールWRの間に、ある程度の間隔を確保することができ、ユーザの作業性を向上することができる。
なお、鉄筋結束機2において、ソレノイド146とワイヤリールWRの間を遮る仕切壁を右ハウジング16や側面カバーハウジング18に何ら設けることなく、ソレノイド146とワイヤリールWRの間をブレーキ部材150だけで遮蔽するように構成してもよい。この場合、ソレノイド146とワイヤリールWRをより近接して配置することが可能となり、結束機本体4をより小型化することができる。
本実施例の鉄筋結束機2では、ブレーキ部材150のブレーキアーム150cが、幅広の板状に形成されたプレート部150dと、プレート部150dの先端においてワイヤリールWR側に突出する先端リブ150eと、プレート部150dの両側端においてワイヤリールWR側に突出する側端リブ150fを備えている。このような構成とすることによって、ブレーキアーム150cの強度を高めて、ブレーキ部材150の耐久性を向上することができる。なお、側端リブ150fに関しては、ソレノイド146側に突出するように形成してもよい。
図8に示すように、切断機構44は、結束機本体4の前部に配置されており、ワイヤWを複数の鉄筋Rの周囲に巻回した状態で、ワイヤWを切断する。図18、図19、図20に示すように、切断機構44は、案内機構42の上側カールガイド90と、ユニット化されている。切断機構44は、プッシュプレート152と、プルプレート154と、第1リンクアーム156と、第2リンクアーム158と、カッタ116を備えている。プッシュプレート152と、プルプレート154と、第1リンクアーム156は、揺動軸160を介して、互いに揺動可能に連結されている。また、プッシュプレート152とプルプレート154は、揺動軸162を介して、ガイドアーム100に揺動可能に支持されている。第1リンクアーム156は、捩りバネ164によって、前方に向けて付勢されている。図20に示すように、第1リンクアーム156と第2リンクアーム158は、揺動軸166を介して、互いに揺動可能に連結されている。第2リンクアーム158は、揺動軸168を介してカッタ116の揺動部材120に、互いに揺動可能に連結されている。
後述する捩り機構46の動作によって、プッシュプレート152の下部が前方に向けて押されると、第1リンクアーム156と第2リンクアーム158が後方に移動することで、カッタ116の揺動部材120が固定部材118の周りで揺動する。これによって、固定部材118のワイヤ通路118aの前端において、揺動部材120の切断片120bによる剪断によりワイヤWが切断される。この状態から、捩り機構46の動作によって、プルプレート154の下部が後方に向けて押されると、第1リンクアーム156と第2リンクアーム158が前方に移動することで、カッタ116の揺動部材120が固定部材118の周りで揺動して、カッタ116は初期の状態に戻る。
図8に示す捩り機構46は、結束機本体4の前部から前後方向の中間部にかけて配置されており、複数の鉄筋Rの周囲に巻回されたワイヤWを捩ることで、複数の鉄筋RをワイヤWで結束する。図26に示すように、捩り機構46は、捩りモータ170と、減速機構172と、スリーブ174と、スリーブ174の内部に配置された図示しないスクリューシャフトと、プッシャ176と、一対のフック178を備えている。
捩りモータ170は、直流ブラシレスモータである。捩りモータ170は、制御基板200に電気的に接続されている。制御基板200は、捩りモータ170の動作を制御することができる。捩りモータ170の回転は、減速機構172を介して、スクリューシャフトに伝達される。捩りモータ170は、順方向および逆方向に回転可能であり、それに応じて、スクリューシャフトも、順方向および逆方向に回転可能である。スリーブ174はスクリューシャフトの周囲を覆うように配置されている。スリーブ174の回転が禁止されている状態では、スクリューシャフトが順方向に回転すると、スリーブ174が前方に向けて移動し、スクリューシャフトが逆方向に回転すると、スリーブ174が後方に向けて移動する。また、スリーブ174の回転が許容されている状態で、スクリューシャフトが回転すると、スリーブ174はスクリューシャフトと共に回転する。プッシャ176は、スリーブ174が前方へ移動する際には前方へ移動し、スリーブ174が後方へ移動する際には後方へ移動する。スリーブ174が初期位置から所定の位置まで前進すると、プッシャ176が切断機構44のプッシュプレート152の下部を前方に向けて押圧することで、カッタ116の揺動部材120が固定部材118の周りで揺動する。逆に、スリーブ174が前進した位置から所定の位置まで後退すると、プッシャ176が切断機構44のプルプレート154の下部を後方に向けて押圧することで、カッタ116の揺動部材120が固定部材118の周りで揺動する。一対のフック178はスリーブ174の前端に設けられており、スリーブ174の前後方向の位置に応じて開閉する。スリーブ174が前方に移動すると、一対のフック178が閉じて、ワイヤWを把持する。逆に、スリーブ174が後方に移動すると、一対のフック178が開いて、ワイヤWを解放する。
制御基板200は、複数の鉄筋Rの周囲にワイヤWが巻回された状態で、捩りモータ170を回転させる。この際、スリーブ174の回転は禁止されており、スクリューシャフトの回転によってスリーブ174が前進するとともにプッシャ176と一対のフック178が前進し、切断機構44によってワイヤWが切断されるとともに、一対のフック178が閉じてワイヤWが把持される。そして、スリーブ174の回転が許容されると、スクリューシャフトの回転によってスリーブ174が回転するとともに一対のフック178が回転する。これによって、ワイヤWが捩られて、複数の鉄筋Rが結束される。ワイヤWの捩り強さは、使用者が予め設定しておくことができる。制御基板200は、設定された捩り強さまでワイヤWを捩ると、捩りモータ170を逆方向に回転させる。この際、スリーブ174の回転は禁止されており、スクリューシャフトの回転によってスリーブ174が後退するとともに一対のフック178が開きながら後退して、ワイヤWが解放される。また、スリーブ174が後退するとともに、プッシャ176が後退して、切断機構44が初期の状態に戻る。その後、初期位置までプッシャ176と一対のフック178が後退するとともに、スリーブ174の回転が許容されて、一対のフック178が初期角度に戻る。
図1に示すように、ユーザが、上側カールガイド90と下側カールガイド92の間に複数の鉄筋Rが位置するように鉄筋結束機2をセットして、トリガ28を引き操作すると、鉄筋結束機2は、送り機構38、ブレーキ機構40および案内機構42によって、ワイヤWを複数の鉄筋Rの周囲に巻回するとともに、切断機構44および捩り機構46によって、ワイヤWを切断して、複数の鉄筋Rに巻回されたワイヤWを捩る、一連の動作を実行する。
図27に示すように、本実施例の鉄筋結束機2は、グリップ6が結束機本体4に対して、前方上方から後方下方に傾斜している。グリップ6の結束機本体4に対する傾斜角度は、65度から80度の間の角度、例えば70度から75度の間の角度である。このような構成とすることによって、鉄筋結束機2の使用時にユーザの手首にかかる負担を軽減することができる。また、本実施例の鉄筋結束機2では、バッテリBを取り付けた状態での重心位置Gが、グリップ6の結束機本体4への付け根の直上に配置されている。このような構成とすることによって、鉄筋結束機2の使用時にユーザの手首にかかる負担を軽減することができる。さらに、本実施例の鉄筋結束機2では、グリップ6の後面とバッテリ取り付け部8の後面が、段差なく滑らかに連続する形状で形成されている。このような構成とすることによって、鉄筋結束機2を下向きに使用する際に、ユーザの手のひらに滑らかな形状の箇所が当たることとなり、ユーザの手のひらにかかる負担を軽減することができる。
本実施例の鉄筋結束機2では、バッテリBの下面を基準として下方から平面視したときに、バッテリBを取り付けた状態での重心位置Gが、バッテリBの下面の内側に配置されている。このような構成とすることによって、バッテリBを取り付けた状態で、バッテリBの下面を載置面として鉄筋結束機2を載置した場合でも、鉄筋結束機2を安定して自立させることができる。また、本実施例の鉄筋結束機2では、バッテリBのスライド方向に関して、バッテリBを取り付けた時に、バッテリBの後方側の端部が、グリップ6の後方側の端部よりも前方に位置している。このような構成とすることによって、ユーザが鉄筋結束機2を用いて作業する際に、バッテリBがユーザの前腕と干渉することを抑制することができる。
本実施例の鉄筋結束機2は、下側カールガイド92の先端が、上側カールガイド90の先端とバッテリBの先端に接する平面Pを超えない形状となっている。このような構成とすると、鉄筋結束機2を落下させてしまった場合に、下側カールガイド92が地面に衝突する前に、上側カールガイド90またはバッテリBが地面に衝突する。下側カールガイド92は、結束機本体4に対して開閉する機構を備えているので、上側カールガイド90やバッテリBに比べて、衝撃に対する耐久性が低い。上記のような構成とすることによって、下側カールガイド92が衝撃により破損することを抑制することができる。なお、下側カールガイド92の先端が、上側カールガイド90の先端とバッテリBの先端に接する平面Pからわずかに突出する形状とした場合でも、その突出量が、下側カールガイド92およびその開閉機構を構成する各部品の弾性変形や、各部品間の遊びによって吸収される程度に小さいものであれば、上記と同様の効果を得ることができる。
図1、図2に示すように、本実施例の鉄筋結束機2では、リールカバー22の取り付け部22aを保持する収容機構36のカバー保持部54aの外面に弾性カバー188が設けられており、リールカバー22の取り付け部22bを保持する側面カバーハウジング18のカバー保持部18aに弾性カバー190が設けられている。弾性カバー188、190は、いずれも、エラストマ等の弾性材料からなる。これによって、鉄筋結束機2を横置きした場合であっても、弾性カバー188、190がバンパとなって、鉄筋結束機2の内部の部品を衝撃から保護することができる。
上記の実施例では、ワイヤリールWRの回転を検出するために、収容機構36が、回転台60に設けられた複数のマグネット60cと、磁気センサ66を備えている構成について説明した。これとは異なり、ワイヤリールWRに所定の角度間隔で複数のマグネットが直接取り付けられており、回転台60にはマグネット60cが取り付けられていない構成としてもよい。この場合でも、磁気センサ66によって検出されるワイヤリールWRのマグネットからの磁気の変動から、ワイヤリールWRの回転を検出することができる。
上記の実施例では、ワイヤリールWRの回転を検出するために、収容機構36が、回転台60に設けられた複数のマグネット60cと、磁気センサ66を備えている構成について説明した。これとは異なり、例えば図28に示すように、ワイヤリールWRの回転を検出するために、収容機構36が、回転台60に設けられた複数の反射板192と、光学センサ194を備える構成としてもよい。図28に示す構成では、光学センサ194は、検出用のレーザをワイヤリールWRに向けて発光する発光部194aと、反射板192で反射されたレーザを受光する受光部194bを備えている。光学センサ194の発光部194aと受光部194bは、それぞれ、制御基板200と電気的に接続されている。回転台60の回転検出部60bには、所定の角度間隔で複数の反射板192が取り付けられている。光学センサ194は、右ハウジング16の外側に配置されている。右ハウジング16には、光学センサ194の発光部194aおよび受光部194bがワイヤリールWRに対して露出するように、図示しない貫通孔が形成されている。図28に示す構成によれば、制御基板200は、光学センサ194の受光部194bが検出する光の変化から、ワイヤリールWRの回転を検出することができる。
上記の実施例では、送り機構38において、主動ギヤ78と従動ギヤ80がワイヤWを挟持して送り出す構成について説明したが、主動ギヤ78と従動ギヤ80は、それぞれ、側面に歯を備えていない主動ローラおよび従動ローラであってもよい。
上記の実施例では、複数の鉄筋RをワイヤWによって結束する鉄筋結束機2について説明したが、結束線はワイヤW以外のものであってもよいし、結束対象物は複数の鉄筋R以外のものであってもよい。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。