1つまたはそれ以上の実施形態において、鉄筋結束機は、リールが、軸受溝を備えており、リール支持機構が、リールを載置可能なリール装填室と、リールの軸受溝と係合可能な軸受部材であって、リールのリール装填室への出し入れの際にリールと干渉しない第1位置と、リールの軸受溝と係合する第2位置の間で移動可能な軸受部材を備えており、軸受部材は、使用者によるカバーを閉じる操作に連動して、第1位置から第2位置に移動するように構成されていてもよい。
上記の構成によれば、リールを着脱可能に支持する第1状態と、リールを着脱不能に支持する第2状態の間で切換可能なリール支持機構を、簡素な構成によって実現することができる。
上記の鉄筋結束機は、軸受部材の先端がテーパ形状を有しているように構成されていてもよい。
上記の構成によれば、軸受部材が第1位置から第2位置に移動する際に、軸受部材の先端のテーパ形状がガイドとなって、リールと軸受部材の位置合わせを行なうことができる。リール支持機構が第1状態でリールを支持しているときに、リールの位置決めがされていなくても、リール支持機構を第1状態から第2状態に切り換えることで、リールの軸受溝に軸受部材を確実に係合させることができる。
上記の鉄筋結束機は、カバーと軸受部材が、カム機構を介して連動するように構成されていてもよい。
上記の構成によれば、カバーと軸受部材が機械的に連動するので、カバーと軸受部材が電気回路を介して連動する場合に比べて、故障を生じにくくすることができる。
上記の鉄筋結束機は、カバーが、リール支持機構およびワイヤ送り機構の少なくとも一方の上方を少なくとも部分的に覆うように構成されていてもよい。
上記の構成によれば、カバーが開いた状態で、リール支持機構やワイヤ送り機構の上方が開口することになるので、鉄筋結束機を把持した使用者が上方からリール支持機構やワイヤ送り機構の内部を視認しやすくすることができる。
上記の鉄筋結束機は、カバーが、回動することで開閉するように構成されていてもよい。
上記の構成によれば、カバーを開閉するための機構を簡素なものとすることができる。
上記の鉄筋結束機は、カバーの回動軸が、リール支持機構に第2状態で支持されたリールの回転軸と略一致しているように構成されていてもよい。
上記の構成によれば、カバーの回動軸が鉄筋結束機の表面に配置される場合に比べて、カバーが開いた時のサイズを小さくすることができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、鉄筋結束機は、リールが、軸受溝を備えており、リール支持機構が、リールを載置可能なリール装填室と、リールの軸受溝と係合可能な軸受部材であって、リールのリール装填室への出し入れの際にリールと干渉しない第1位置と、リールの軸受溝と係合する第2位置の間で移動可能な軸受部材を備えており、軸受部材は、使用者によるカバーを開く操作に連動して、第2位置から第1位置に移動するように構成されていてもよい。
上記の構成によれば、リールを着脱可能に支持する第1状態と、リールを着脱不能に支持する第2状態の間で切換可能なリール支持機構を、簡素な構成によって実現することができる。
上記の鉄筋結束機は、カバーと軸受部材が、カム機構を介して連動するように構成されていてもよい。
上記の構成によれば、カバーと軸受部材が機械的に連動するので、カバーと軸受部材が電気回路を介して連動する場合に比べて、故障を生じにくくすることができる。
上記の鉄筋結束機は、カバーが開いており、リール支持機構が第1状態にある場合に、リールの上部が少なくとも部分的に外部に突出しているように構成されていてもよい。
上記の構成によれば、使用者がリールを取り出す際に、リールの上部が外部に突出しているので、リールを掴みやすくすることができる。
上記の鉄筋結束機は、カバーが、リール支持機構およびワイヤ送り機構の少なくとも一方の上方を少なくとも部分的に覆うように構成されていてもよい。
上記の構成によれば、カバーを開いた状態で、リール支持機構やワイヤ送り機構の上方が開口することになるので、鉄筋結束機を把持した使用者が上方からリール支持機構やワイヤ送り機構の内部を視認しやすくすることができる。
上記の鉄筋結束機は、カバーが、回動することで開閉するように構成されていてもよい。
上記の構成によれば、カバーを開閉するための機構を簡素なものとすることができる。
上記の鉄筋結束機は、カバーの回動軸が、リール支持機構に第2状態で支持されたリールの回転軸と略一致しているように構成されていてもよい。
上記の構成によれば、カバーの回動軸が鉄筋結束機の表面に配置される場合に比べて、カバーが開いた時のサイズを小さくすることができる。
(実施例)
実施例に係る鉄筋結束機2について図面を参照して説明する。図1に示す鉄筋結束機2は、複数の鉄筋RをワイヤWによって結束するための電動工具である。
図1、図2に示すように、鉄筋結束機2は、結束機本体4と、結束機本体4の下部に設けられたグリップ6と、グリップ6の下部に設けられたバッテリ取り付け部8を備えている。グリップ6の前方上部には、トリガ7が設けられている。バッテリ取り付け部8の下部には、バッテリBが着脱可能に取り付けられている。結束機本体4と、グリップ6と、バッテリ取り付け部8は、右アウタハウジング12と、左アウタハウジング14を組み合わせることにより、一体的に形成されている。また、結束機本体4は、右アウタハウジング12と左アウタハウジング14の間に、インナハウジング16を備えている。右アウタハウジング12、左アウタハウジング14およびインナハウジング16は、それぞれハウジングプレートということができる。結束機本体4の上面には、第1操作表示部18が設けられている。第1操作表示部18には、鉄筋結束機2の電源のオン/オフを切り換えるメインスイッチ20および鉄筋結束機2の電源のオン/オフの状態を表示する主電源LED22が設けられている。バッテリ取り付け部8の前方上面には、第2操作表示部24が設けられている。第2操作表示部24には、ワイヤWの送り出し量や捩り強さなどを設定する設定ボタン26および設定ボタン26によって設定された内容を表示する表示部28が設けられている。バッテリB、トリガ7、第1操作表示部18および第2操作表示部24は、後述する制御基板134に接続されている。
図3−図6に示すように、結束機本体4は、主に、リール支持機構30(図3参照)と、ワイヤ送り機構32(図3、図4参照)と、ワイヤ案内機構34(図5、図6参照)と、ブレーキ機構36(図3参照)と、ワイヤ切断機構38(図5参照)と、ワイヤ捩り機構40(図5、図6参照)と、制御基板134(図3、図5、図6参照)を備えている。なお、図示の明瞭化のため、図3では、右アウタハウジング12、カバー116(詳細は後述する)の図示を省略しており、図4では、カバー116の図示を省略しており、図6では、左アウタハウジング14、カバー116の図示を省略している。また、図3−図6では、鉄筋結束機2の内部の配線の図示も省略している。制御基板134は、結束機本体4の中央下部にインナハウジング16を跨いで配置されている。制御基板134の一部は、インナハウジング16から見て一方の側(右アウタハウジング12側)に配置されており、制御基板134の別の一部は、インナハウジング16から見て他方の側(左アウタハウジング14側)に配置されている。
図3に示すリール支持機構30は、ワイヤWが巻回されたリール10を着脱可能に支持する第1状態と、リール10を着脱不能に支持する第2状態の間で切換可能である。リール支持機構30の詳細については、後述する。
図3、図4に示すワイヤ送り機構32は、第2状態のリール支持機構30(図3参照)に支持されたリール10から供給されるワイヤWを、結束機本体4の前方のワイヤ案内機構34(図5、図6参照)へと送り出す。ワイヤ送り機構32は、ガイド部材42と、ベース部材43と、送りモータ44と、主動ギヤ46と、減速機構47と、従動ギヤ48と、リリースレバー50と、圧縮バネ52と、レバーホルダ54と、固定レバー56を備えている。ガイド部材42は、後端が広く先端が狭い円錐台形状の貫通孔42aを備えている。ガイド部材42は、ベース部材43に固定されている。主動ギヤ46と従動ギヤ48は、ガイド部材42よりも前方に配置されている。主動ギヤ46は、減速機構47を介して送りモータ44に連結されており、送りモータ44の駆動によって回転する。送りモータ44は、図示しない配線によって制御基板134に接続されている。制御基板134は、送りモータ44の動作を制御することができる。主動ギヤ46の側面には、高さ方向中央で周方向に伸びるV字形状溝46aが形成されている。図4に示すように、従動ギヤ48は、リリースレバー50のギヤアーム50aに回転可能に支持されている。従動ギヤ48の側面には、高さ方向中央で周方向に伸びるV字形状溝48aが形成されている。リリースレバー50は、ギヤアーム50aと、操作アーム50bを備える、略L字型の部材である。リリースレバー50は、揺動軸50cを介してベース部材43に揺動可能に支持されている。リリースレバー50の操作アーム50bは、圧縮バネ52を介してレバーホルダ54のバネ受け部54aに連結している。レバーホルダ54は、インナハウジング16と左アウタハウジング14に挟み込まれて固定されている。圧縮バネ52は、操作アーム50bをバネ受け部54aから離れる方向に付勢する。通常時は、圧縮バネ52の付勢力によって、リリースレバー50に従動ギヤ48を主動ギヤ46に近づける方向のトルクが作用し、従動ギヤ48が主動ギヤ46に押し当てられている。これによって、従動ギヤ48の側面の歯と主動ギヤ46の側面の歯が係合するとともに、主動ギヤ46のV字形状溝46aと従動ギヤ48のV字形状溝48aの間に、ワイヤWが挟持される。この状態で、送りモータ44が主動ギヤ46を回転させると、従動ギヤ48が逆方向に回転するとともに、主動ギヤ46と従動ギヤ48により挟持されたワイヤWがワイヤ案内機構34へと送り出され、リール10からワイヤWが引き出される。
固定レバー56は、揺動軸56aを介してレバーホルダ54に揺動可能に支持されている。固定レバー56は、図示しない捩りバネによって、リリースレバー50の操作アーム50bに当接する方向に付勢されている。固定レバー56には、リリースレバー50の操作アーム50bの先端と係合する凹部56bが形成されている。
鉄筋結束機2の使用者が、圧縮バネ52の付勢力に抗して操作アーム50bを押し込むと、リリースレバー50が揺動軸50cの周りで揺動して、従動ギヤ48が主動ギヤ46から離反する。この際に、固定レバー56が揺動軸56aの周りで揺動して、操作アーム50bの先端が凹部56bに係合することで、操作アーム50bは押し込まれた状態で保持される。リール支持機構30に支持されたリール10から伸びるワイヤWをワイヤ送り機構32にセットする際には、使用者は、操作アーム50bを押し込んで従動ギヤ48を主動ギヤ46から離反させ、その状態でリール10から引き出したワイヤWの先端をガイド部材42の貫通孔42aを通して主動ギヤ46と従動ギヤ48の間に配置させる。そして、使用者が固定レバー56を操作アーム50bから離反する方向に揺動させると、リリースレバー50が揺動軸50cの周りで揺動して、従動ギヤ48が主動ギヤ46に係合するとともに、主動ギヤ46のV字形状溝46aと従動ギヤ48のV字形状溝48aの間にワイヤWが挟持される。
図5、図6に示すワイヤ案内機構34は、ワイヤ送り機構32から送られたワイヤWを、鉄筋Rの周囲に円環状に案内する。ワイヤ案内機構34は、案内パイプ58と、上側カールガイド60と、下側カールガイド62を備えている。案内パイプ58の後方側の端部は、主動ギヤ46と従動ギヤ48の間に向けて開口している。ワイヤ送り機構32から送られたワイヤWは、案内パイプ58の内部へと送り込まれる。案内パイプ58の前方側の端部は、上側カールガイド60の内部に向けて開口している。上側カールガイド60には、案内パイプ58から送られるワイヤWを案内するための第1案内通路64と、下側カールガイド62から送られるワイヤWを案内するための第2案内通路66(図6参照)が設けられている。
図5に示すように、第1案内通路64には、ワイヤWに下向きの巻きぐせをつけるようにワイヤWを案内する複数の案内ピン68と、後述するワイヤ切断機構38の一部を構成するカッタ70が設けられている。案内パイプ58から送られたワイヤWは、第1案内通路64において案内ピン68で案内され、カッタ70を通過して、上側カールガイド60の前端から下側カールガイド62に向けて送られる。
図6に示すように、下側カールガイド62には、第3案内通路72が設けられている。第3案内通路72は、上側カールガイド60の前端から送られたワイヤWを案内する右側案内壁72aおよび左側案内壁72bを備えている。下側カールガイド62により案内されたワイヤWは、上側カールガイド60の第2案内通路66の後端に向けて送られる。
上側カールガイド60の第2案内通路66には、下側カールガイド62から送られたワイヤWを案内して、上側カールガイド60の前端から下側カールガイド62に向けて送る、上側案内壁74が設けられている。
上側カールガイド60と下側カールガイド62によって、ワイヤ送り機構32から送られたワイヤWは、鉄筋Rの周囲に円環状に巻回される。ワイヤ送り機構32は、使用者によって設定されたワイヤWの送り出し量だけワイヤWを送り出すと、送りモータ44を停止してワイヤWの送り出しを停止する。
図3に示すブレーキ機構36は、ワイヤ送り機構32がワイヤWの送り出しを停止するのと連動して、リール10の回転を停止する。ブレーキ機構36は、ソレノイド76と、リンク78と、ブレーキアーム80と、捩りバネ81を備えている。ブレーキ機構36のソレノイド76は、図示しない配線によって制御基板134に接続されている。制御基板134は、ブレーキ機構36の動作を制御することができる。リール10には、ブレーキアーム80が係合する係合部10aが、径方向に所定の角度間隔で形成されている。ソレノイド76への通電がされていない状態では、捩りバネ81の付勢力によってブレーキアーム80がリール10の係合部10aから離反している。ソレノイド76への通電がされた状態では、リンク78を介してブレーキアーム80が捩りバネ81の付勢力に抗して回動し、ブレーキアーム80がリール10の係合部10aに係合する。ブレーキ機構36は、ワイヤ送り機構32がワイヤWの送り出しを行なう際には、ソレノイド76へ通電せずに、ブレーキアーム80をリール10の係合部10aから離反させている。これにより、リール10は自由に回転することができ、ワイヤ送り機構32はリール10からワイヤWを引き出すことができる。また、ブレーキ機構36は、ワイヤ送り機構32がワイヤWの送り出しを停止する際には、ソレノイド76へ通電して、ブレーキアーム80をリール10の係合部10aに係合させる。これにより、リール10の回転が禁止される。これによって、ワイヤ送り機構32がワイヤWの送り出しを停止した後も、リール10が慣性により回転し続け、リール10とワイヤ送り機構32の間でワイヤWが弛緩してしまうことを防ぐことができる。
図5に示すワイヤ切断機構38は、ワイヤWを鉄筋Rの周囲に巻回した状態で、ワイヤWを切断する。ワイヤ切断機構38は、カッタ70と、リンク82を備えている。リンク82は、後述するワイヤ捩り機構40と連動して、カッタ70を回転させる。カッタ70が回転することによって、カッタ70の内部を通過するワイヤWが切断される。
図6に示すワイヤ捩り機構40は、鉄筋Rの周囲に巻回されたワイヤWを捩ることで、鉄筋RをワイヤWで結束する。ワイヤ捩り機構40は、捩りモータ84と、減速機構86と、スクリューシャフト88(図5参照)と、スリーブ90と、一対のフック92を備えている。
捩りモータ84の回転は、減速機構86を介して、スクリューシャフト88に伝達される。捩りモータ84は、順方向および逆方向に回転可能であり、それに応じて、スクリューシャフト88も、順方向および逆方向に回転可能である。捩りモータ84は、図示しない配線によって制御基板134に接続されている。制御基板134は、捩りモータ84の動作を制御することができる。スリーブ90はスクリューシャフト88の周囲を覆うように配置されている。スリーブ90の回転が禁止されている状態では、スクリューシャフト88が順方向に回転すると、スリーブ90が前方に向けて移動し、スクリューシャフト88が逆方向に回転すると、スリーブ90が後方に向けて移動する。また、スリーブ90の回転が許容されている状態で、スクリューシャフト88が回転すると、スリーブ90はスクリューシャフト88と共に回転する。また、スリーブ90が初期位置から所定の位置まで前進すると、ワイヤ切断機構38のリンク82がカッタ70を回転させる。一対のフック92はスリーブ90の前端に設けられており、スリーブ90の前後方向の位置に応じて開閉する。スリーブ90が前方に移動すると、一対のフック92が閉じて、ワイヤWを把持する。逆に、スリーブ90が後方に移動すると、一対のフック92が開いて、ワイヤWを解放する。
ワイヤ捩り機構40は、鉄筋Rの周囲にワイヤWが巻回された状態で、捩りモータ84を回転させる。この際、スリーブ90の回転は禁止されており、スクリューシャフト88の回転によってスリーブ90が前進するとともに一対のフック92が前進し、一対のフック92が閉じてワイヤWを把持する。そして、スリーブ90の回転が許容されると、スクリューシャフト88の回転によってスリーブ90が回転するとともに一対のフック92が回転する。これによって、ワイヤWが捩られて、鉄筋Rが結束される。ワイヤWの捩り強さは、使用者が予め設定しておくことができる。ワイヤ捩り機構40は、設定された捩り強さまでワイヤWを捩ると、捩りモータ84を逆方向に回転させる。この際、スリーブ90の回転は禁止されており、スクリューシャフト88の回転によってスリーブ90が後退するとともに一対のフック92が開きながら後退して、ワイヤWが解放される。その後、初期位置まで一対のフック92が後退するとともに、スリーブ90の回転が許容されて、一対のフック92が初期角度に戻る。
図1に示すように、使用者が、上側カールガイド60と下側カールガイド62の間に複数の鉄筋Rが位置するように鉄筋結束機2を配置して、トリガ7を引き操作すると、鉄筋結束機2は、ワイヤ送り機構32、ワイヤ案内機構34およびブレーキ機構36によって、ワイヤWを鉄筋Rの周囲に巻回するとともに、ワイヤ切断機構38およびワイヤ捩り機構40によって、ワイヤWを切断して、鉄筋Rに巻回されたワイヤWを捩る、一連の動作を実行する。
以下ではリール支持機構30の詳細について説明する。図7−図11に示すように、リール支持機構30は、リール装填室94と、固定軸受部96と、カバー保持部98と、可動軸受部100と、カバー116(図9参照)を備えている。なお、図示の明瞭化のために、図7、図8では、リール10、カバー116の図示を省略している。
リール装填室94は、内部にリール10を載置可能な形状に形成されている。リール装填室94は上方が開口しており、上方からリール10を出し入れ可能である。リール装填室94の前面は、インナハウジング16によって規定されている。リール装填室94の右面は、右アウタハウジング12と、インナハウジング16によって規定されている。リール装填室94の左面は、左アウタハウジング14によって規定されている。リール装填室94の後面および底面は、右アウタハウジング12と、左アウタハウジング14と、インナハウジング16によって規定されている。結束機本体4の前後方向に関して、リール装填室94の前面、底面および後面は、下に凸な円弧形状を形成している。このため、リール装填室94にリール10を装填すると、リール10はリール装填室94の底面の最下部に載置される。
図7に示すように、固定軸受部96は、リール装填室94の右面からリール装填室94の内部に突出するように配置されている。具体的には、固定軸受部96は、インナハウジング16の左アウタハウジング14と対向する面に、左アウタハウジング14に向けて突出するように配置されている。本実施例では、固定軸受部96はインナハウジング16と一体的に形成されている。固定軸受部96は、円筒形状の外形を有している。固定軸受部96の円筒形状の中心軸は、結束機本体4の左右方向と略一致している。固定軸受部96の先端の角部は、テーパ形状を有している。図10に示すように、リール10の固定軸受部96に対向する側の面の中央には、円筒形状の軸受溝10bが形成されている。固定軸受部96は、リール10の軸受溝10bに係合して、リール10を回転可能に支持する。
図8に示すように、カバー保持部98は、右アウタハウジング12の外面に配置されている。本実施例では、カバー保持部98は、右アウタハウジング12と一体的に形成されている。カバー保持部98は、円筒形状の外形を有している。カバー保持部98の円筒形状の中心軸は、固定軸受部96の円筒形状の中心軸と略一致している。
可動軸受部100は、リール装填室94の左面に配置されている。具体的には、可動軸受部100は、左アウタハウジング14を貫通するように配置されている。図10に示すように、可動軸受部100は、軸受部材102と、中継部材104と、カバー保持部材106と、圧縮バネ108を備えている。
図8に示すように、軸受部材102は、リール装填室94の左面からリール装填室94の内部に突出するように配置されている。軸受部材102は、円筒形状の外形を有している。軸受部材102の先端の角部は、テーパ形状を有している。軸受部材102の円筒形状の中心軸は、固定軸受部96の円筒形状の中心軸と略一致している。なお、以下では、軸受部材102の円筒形状の中心軸を、可動軸受部100の中心軸ともいう。図10に示すように、リール10の軸受部材102に対向する側の面の中央には、円筒形状の軸受溝10cが形成されている。軸受部材102は、リール10の軸受溝10cに係合して、リール10を回転可能に支持する。軸受部材102は、締結具110を介して中継部材104に固定されている。
図11に示すように、中継部材104は、左アウタハウジング14に形成された貫通穴14aを貫通して左アウタハウジング14に支持されている。中継部材104は、可動軸受部100の中心軸方向(すなわち、結束機本体4の左右方向)に摺動可能に、左アウタハウジング14に支持されている。中継部材104の外側面には、可動軸受部100の中心軸方向に沿って伸びる凸部104aが形成されており、貫通穴14aには、凸部104aに対応する凹部14bが形成されている。このため、中継部材104は、可動軸受部100の中心軸周り(すなわち、結束機本体4の左右方向周り)に回転不能に、左アウタハウジング14に支持されている。図10に示すように、中継部材104は、締結具112を介してカバー保持部材106に固定されている。
図7に示すように、カバー保持部材106は、左アウタハウジング14の外側に配置されている。カバー保持部材106は、円筒形状の外形を有している。カバー保持部材106の円筒形状の中心軸は、軸受部材102の円筒形状の中心軸と略一致している。また、カバー保持部材106の円筒形状の外側面には、径方向の所定の角度間隔で、カム突起106aが形成されている。
図10に示すように、圧縮バネ108は、左アウタハウジング14と軸受部材102を連結している。圧縮バネ108は、軸受部材102を、固定軸受部96に近づく方向に付勢する。
図9に示すように、カバー116は、カバー本体116aと、右側取付部116bと、左側取付部116cを備えている。カバー本体116aは、リール装填室94の上方と、ワイヤ送り機構32の上方を覆う形状に形成されている。より具体的には、カバー本体116aは、リール装填室94内のリール10と、ワイヤ送り機構32のガイド部材42、ベース部材43、主動ギヤ46、従動ギヤ48を、上方で覆う形状に形成されている。カバー本体116aがリール装填室94の上方を覆うことによって、ワイヤWが弛緩してリール10から外れてしまうことを防ぐとともに、外部から水、塵、砂などがリール装填室94内に侵入することを防ぐことができる。カバー本体116aがワイヤ送り機構32の上方を覆うことによって、外部から水、塵、砂などがワイヤ送り機構32に侵入することを防ぐことができる。カバー本体116aは、鉄筋結束機2の使用者がカバー116の開閉操作をしやすいように、左右から掴みやすい形状に形成されている。なお、カバー本体116aに、使用者がカバー116を後方に引き起こす際に指を掛ける凸部または凹部が形成されていてもよい。また、カバー本体116aは、カバー116を閉じた状態であっても使用者がリール10の状態を外部から視認できるように、透明な材料によって形成されている。
右側取付部116bは、図8に示すカバー保持部98の外側面に摺動可能に取付可能な円環形状に形成されている。左側取付部116cは、図7に示す可動軸受部100のカバー保持部材106の外側面に摺動可能に取付可能な円環形状に形成されている。また、左側取付部116cには、カバー保持部材106のカム突起106aに対応して、径方向に所定の角度間隔で、カム溝116dが形成されている。カム溝116dは、カバー116が完全に閉じた状態のときに、カム突起106aが完全に内部に入り込む位置および形状に形成されている。また、カム溝116dは、カバー116が完全に開いた状態のときに、カム突起106aから外れた位置となるように配置されている。カム突起106aとカム溝116dは、カム機構を構成している。
図12に示すように、カバー116が完全に閉じた状態においては、圧縮バネ108によって、軸受部材102と、中継部材104と、カバー保持部材106に、結束機本体4の右方向(すなわち、固定軸受部96に近づく方向)に向けた付勢力が作用しており、カム突起106aをカム溝116dの内部に押し込む方向の力が作用している。すなわち、カバー116が閉じた状態においては、圧縮バネ108の付勢力によって、カバー116を閉じた状態が維持されている。この状態から、鉄筋結束機2の使用者が、カバー本体116aを掴んで、圧縮バネ108の付勢力に抗してカバー本体116aを後方に引き起こすと、右側取付部116bがカバー保持部98に対して摺動しながら回動するとともに、左側取付部116cがカバー保持部材106に対して摺動しながら回動する。この際に、図13に示すように、カム突起106aがカム溝116dから徐々に押し出されていき、カバー保持部材106、中継部材104および軸受部材102が、結束機本体4の左方向(すなわち、固定軸受部96から離れる方向)に一体的に移動していく。なお、この状態で鉄筋結束機2の使用者がカバー本体116aから手を離すと、圧縮バネ108の付勢力によってカム突起106aをカム溝116dの内部に押し込む方向の力が作用し、カバー116が閉じる方向に回動して、カバー116は閉じた状態に戻る。図13に示す状態から、鉄筋結束機2の使用者が、圧縮バネ108の付勢力に抗してカバー本体116aをさらに後方に引き起こすと、図14に示すように、カム突起106aがカム溝116dから完全に抜け出た状態となり、カム突起106aは左側取付部116cのカム溝116dが形成されていない箇所に当接して摺動する。なお、この状態で鉄筋結束機2の使用者がカバー本体116aから手を離しても、カム突起106aはカム溝116dから外れた位置にあるため、圧縮バネ108の付勢力がカバー116を閉じる方向の力として作用することはなく、カバー116は現在の開き角度をそのまま維持する。図14に示す状態から、鉄筋結束機2の使用者が、カバー本体116aをさらに後方に引き起こすと、図15に示すように、カバー116が完全に開いた状態となる。
図15に示すカバー116が完全に開いた状態から、鉄筋結束機2の使用者が、カバー本体116aを掴んで、カバー本体116aを前方に押し倒すと、右側取付部116bがカバー保持部98に対して摺動しながら回動するとともに、左側取付部116cがカバー保持部材106に対して摺動しながら回動する。そして、図14、図13に示すように、カバー116の回動によって、カム突起106aがカム溝116dから完全に抜け出た状態から、カム突起106aがカム溝116dに入り込んだ状態となると、圧縮バネ108の付勢力によって、軸受部材102と、中継部材104と、カバー保持部材106が、結束機本体4の右方向(すなわち、固定軸受部96に近づく方向)に向けて一体的に移動する。また、圧縮バネ108の付勢力によって、カム突起106aをカム溝116dの内部に押し込む方向の力が作用するので、鉄筋結束機2の使用者がカバー本体116aから手を離しても、カバー116は閉じる方向に回動して、図12に示すように、カバー116は完全に閉じた状態となる。
鉄筋結束機2にリール10を装着する手順について説明する。まず、使用者は、カバー116を開いた状態として、リール10をリール装填室94の上に載置する。図16に示すように、この時点では、軸受部材102はリール10のリール装填室94への出し入れの際にリール10と干渉しない位置に配置されており、リール10は固定軸受部96や軸受部材102と係合することなく、リール装填室94の底面上に載置される。この状態において、リール10はリール支持機構30に着脱可能に支持されているといえる。その後、使用者は、リール10からワイヤWを引き出し、ワイヤ送り機構32にワイヤWをセットする。その後、使用者がカバー116を閉じると、軸受部材102が固定軸受部96に近づく方向にリール10の軸受溝10cと係合する位置まで移動し、図10に示すように、軸受部材102がリール10の軸受溝10cに係合するとともに、リール10の軸受溝10bが固定軸受部96に係合することで、リール10がリール支持機構30に着脱不能に支持される。
図10に示すように、鉄筋結束機2にリール10が装着された状態では、固定軸受部96と軸受部材102によってリール10が回転可能に支持されている。ワイヤ送り機構32によってリール10からワイヤWが引き出される際には、固定軸受部96に対してリール10が摺動し、かつ軸受部材102に対してリール10が摺動して、リール10が回転する。なお、固定軸受部96をインナハウジング16に対して回転可能として、固定軸受部96に対してリール10が摺動することなくリール10が回転するように構成してもよいし、軸受部材102に対してリール10が摺動することなくリール10が回転するように構成してもよい。
鉄筋結束機2からリール10を取り外す手順について説明する。使用者が、カバー116を開くと、軸受部材102が固定軸受部96から離れる方向に移動することで、軸受部材102がリール10の軸受溝10cから離反するとともに、リール10の軸受溝10bが固定軸受部96から離反して、リール10はリール装填室94の底面上に載置された状態となる。図16に示すように、この状態では、軸受部材102は、リール10のリール装填室94への出し入れの際にリール10と干渉しない位置まで移動している。使用者は、リール10から伸びるワイヤWをワイヤ送り機構32から取り外した後、リール10をリール装填室94から取り出すことができる。
以上のように、本実施例の鉄筋結束機2では、使用者によるカバー116の開閉操作に連動して、リール支持機構30が、リール10をリール装填室94の底面上に載置した状態、すなわちリール10を着脱可能に支持する状態と、リール10を固定軸受部96と軸受部材102によって回転可能に支持した状態、すなわちリール10を着脱不能に支持する状態の間で切り換わる。このような構成とすることによって、リール10の着脱の作業性をより向上することができる。
図15に示すように、本実施例の鉄筋結束機2では、カバー116が開いており、リール10がリール装填室94の底面上に載置されている場合に、リール10の上部が、右アウタハウジング12、左アウタハウジング14およびインナハウジング16よりも上方に突出しており、結束機本体4の外部に突出している。このような構成とすることによって、使用者がリール10を取り出す際に、リール10を掴みやすくすることができる。なお、リール装填室94の右面を規定する右アウタハウジング12およびインナハウジング16や、リール装填室94の左面を規定する左アウタハウジング14は、固定軸受部96、カバー保持部98および可動軸受部100についての支持構造となっているので、結束機本体4の前後方向に関して、固定軸受部96、カバー保持部98および可動軸受部100の中心軸の近傍では、これらのハウジングの上端の高さを大幅に低くすることはできない。しかしながら、結束機本体4の前後方向に関して、固定軸受部96、カバー保持部98および可動軸受部100の中心軸よりも前方側、あるいは後方側において、中心軸の近傍に比べて、これらのハウジングの上端の高さを低く形成しておくことで、使用者がリール10を取り出す際に、リール10をより掴みやすくすることができる。
本実施例の鉄筋結束機2では、カバー116のカバー本体116aが、リール支持機構30とワイヤ送り機構32の上方を覆う形状に形成されている。このような構成によれば、カバー116を開いた状態では、リール支持機構30やワイヤ送り機構32の上方が開口することになるので、鉄筋結束機2を把持した使用者が上方からリール支持機構30やワイヤ送り機構32の内部を視認しやすくすることができる。
本実施例の鉄筋結束機2では、カバー116の回動軸が、リール10が固定軸受部96と軸受部材102によって回転可能に支持されているときのリール10の回転軸と略一致している。この場合、カバー116の回動軸が結束機本体4の表面、例えば結束機本体4の後端に位置している場合に比べて、カバー116を開いたときのサイズを小さくすることができる。
本実施例の鉄筋結束機2では、カバー116のカバー本体116aが、リール支持機構30とワイヤ送り機構32の両方を覆う形状に形成されている。これとは異なり、カバー116のカバー本体116aは、リール支持機構30のみを覆う形状に形成されていてもよいし、ワイヤ送り機構32のみを覆う形状に形成されていてもよい。
本実施例の鉄筋結束機2では、固定軸受部96の先端と軸受部材102の先端が、それぞれテーパ形状を有している。このため、カバー116を開いて、リール10をリール装填室94の底面上に載置した状態のときに、リール10が固定軸受部96および軸受部材102に対して位置合わせされていなくても、カバー116を閉じて、軸受部材102が固定軸受部96に向けて移動する際に、軸受部材102の先端のテーパ形状がガイドとなって軸受部材102がリール10の軸受溝10cに係合するとともに、固定軸受部96の先端のテーパ形状がガイドとなって固定軸受部96がリール10の軸受溝10bに係合する。リール10をリール装填室94の底面上に載置した状態のときに、リール10が固定軸受部96および軸受部材102に対して位置合わせされていなくても、固定軸受部96と軸受部材102によって確実に支持することができる。
本実施例の鉄筋結束機2では、カバー116と軸受部材102が、カム突起106aとカム溝116dからなるカム機構を介して連動する。これとは異なり、例えば、カバー116の開閉状態を検出するセンサと、そのセンサの検出信号に応じて軸受部材102を駆動するアクチュエータを設けておいて、カバー116と軸受部材102が電気回路を介して連動する構成としてもよい。なお、本実施例の鉄筋結束機2のように、カバー116と軸受部材102が、カム突起106aとカム溝116dからなるカム機構を介して連動する場合、カバー116と軸受部材102が機械的に連動するので、カバー116と軸受部材102が電気回路を介して連動する場合に比べて、故障を生じにくくすることができる。なお、本実施例の鉄筋結束機2では、回動式で開閉するカバー116を例として説明したが、これとは異なり、例えばスライド式で開閉するカバーを用いてもよいし、取り外し可能なカバーを用いてもよい。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。