以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る気相成長システム100を示す図である。図1に示すように、気相成長システム100は、気相成長装置1と、気体供給装置60と、残留物排出装置80とを備える。なお、図1では、理解の便宜のため、気相成長装置1の一部については断面を表している。断面には斜線を付している。
気相成長装置1は、チャンバー3を備える。そして、気相成長装置1は、チャンバー3の内部において、化学気相成長法を実行して、基板S上で物質を成長させ、基板S上に物質(以下、「目的物質」と記載する。)を形成する。つまり、気相成長装置1は、チャンバー3の内部において、異なる複数の原料ガスGnの化学反応を起こして基板S上に目的物質を形成する。目的物質は、例えば、III−V族化合物半導体である。目的物質は、例えば、固体である。原料ガスGnは、化学反応によって目的物質を形成する気体である。つまり、原料ガスGnは、化学反応によって目的物質を生成する気体である。なお、複数の原料ガスGnを区別して説明するときは、原料ガスG1、…、GN(Nは2以上の整数)と記載する。例えば、N=2のとき、原料ガスG1は、第III族(第13族)元素を含む化合物であり、原料ガスG2は、第V族(第15族)元素を含む化合物である。
気相成長装置1は、目的物質を基板S上に形成している期間RP(以下、「反応期間RP」と記載する。)の一部又は全部において、チャンバー3の内部から外部への原料ガスGnの流出を遮断する。従って、反応期間RPの一部又は全部では、チャンバー3が密閉される。つまり、気相成長装置1は、チャンバー3の内部に異なる複数の原料ガスGnを滞留させて化学反応を起こし、基板S上に目的物質を形成する。
その結果、実施形態1によれば、一般的な気相成長装置のように原料ガスを流通させて目的物質を形成する場合と比較して、原料ガスGnの利用効率を向上できる。原料ガスGnの利用効率とは、チャンバー3に導入した原料ガスGnの量に対する反応原料ガスの量の比率のことである。反応原料ガスとは、原料ガスGnのうち化学反応を起こして目的物質の形成に寄与した原料ガスGnのことである。「量」は、例えば、物質量(モル)、質量、又は体積を示す。
また、実施形態1では、一般的な気相成長装置と比較して、気相成長装置1を小型化でき、ひいては気相成長装置1のコストを低減できる。なお、一般的な気相成長装置では、原料ガスを流通させるため、複数のゾーンを有する比較的長い反応管が必要であり、小型化が困難である。
さらに、実施形態1では、加熱部7によって基板Sの温度を制御すれば足りるため、一般的な気相成長装置のように反応管中のゾーンごとに温度を制御する場合と比較して、容易に温度制御を実行できる。
さらに、実施形態1では、異なる複数の原料ガスGnをチャンバー3の内部に導入及び滞留させて目的物質を形成するため、一般的な気相成長装置と比較して、原料ガスGnをチャンバー3の内部に導入する際の制御が容易である。なお、一般的な気相成長装置では、反応管中の複数のゾーンに原料ガスを流通させて複数の工程を実行することによって目的物質を形成するため、原料ガスを反応管に流通させる制御が複雑である。
さらに、実施形態1では、異なる複数の原料ガスGnをチャンバー3の内部に滞留させて目的物質を形成するため、一般的な気相成長装置と比較して、目的物質の成長速度がチャンバー3の構造の影響を受け難い。なお、一般的な気相成長装置では、複数のゾーンを有する比較的長い反応管によって目的物質を形成するため、目的物質の成長速度が反応管の構造の影響を受け易い。
さらに、実施形態1では、異なる複数の原料ガスGnをチャンバー3の内部に導入及び滞留させて目的物質を形成するため、一般的な気相成長装置のように原料ガスを流通させて複数の工程を実行する場合と比較して、残留物の量及び副産物の生成量を削減できる。従って、残留物の排出処理及び副産物の排気処理が容易である。
気相成長装置1は、反応期間RPの全部において、チャンバー3の内部から外部への原料ガスGnの流出を遮断することが好ましい。また、気相成長装置1は、反応期間RPの一部又は全部において、チャンバー3の内部から外部への複数の原料ガスGnの流出を遮断することが好ましい。さらに、気相成長装置1は、反応期間RPの全部において、チャンバー3の内部から外部への複数の原料ガスGnの流出を遮断することが更に好ましい。なお、気相成長装置1は、複数の原料ガスGnのうち、単数の原料ガスGnの流出を遮断してもよい。
具体的には、気相成長装置1は、チャンバー3に加えて、保持部5と、加熱部7と、複数の壁部8と、温度制御部9と、電源線11と、副産物検出部13と、副産物排気部15と、冷却部17と、複数の原料導入管Anと、キャリア導入管19と、エッチング導入管21と、電源線引出管23と、残留物排出管25と、副産物排気管27とをさらに備える。なお、複数の原料導入管Anを区別して説明するときは、原料導入管A1、…、AN(Nは2以上の整数)と記載する。
チャンバー3は、反応炉であり、内部空間SPを有する。チャンバー3は、例えば、中空の略円柱状形状を有するが、チャンバー3の形状は特に限定されない。チャンバー3は、複数の原料導入ポートGPnと、キャリア導入ポートCPと、エッチング導入ポートEPと、残留物排出ポートZPと、副産物排気ポートFPとを含む。チャンバー3は、例えば、石英により形成される。なお、複数の原料導入ポートGPnを区別して説明するときは、原料導入ポートGP1、…、GPN(Nは2以上の整数)と記載する。また、チャンバー3は、互いに対向する一対の窓WDを有する。窓WDは、透明部材によって形成され、気密状態でチャンバー3に設けられる。
複数の原料導入ポートGPnは、それぞれ、複数の原料導入管Anに対応して配置される。原料導入ポートGPnは、対応する原料導入管Anに気密状態で接続される。そして、複数の原料導入管Anは、それぞれ、互いに異なる複数の原料ガスGnを供給する。従って、複数の原料導入ポートGPnは、それぞれ、互いに異なる複数の原料ガスGnをチャンバー3に導入する。
その結果、実施形態1によれば、複数の原料ガスGnに対してそれぞれ用意された複数の原料容器から、複数の原料ガスGnをそれぞれチャンバー3に導入できる。特に、複数の原料ガスGnをチャンバー3に導入する前に予め混合する手順を削減できるため、複数の原料ガスGnをチャンバー3に導入する前の手順を簡素化できる。
キャリア導入ポートCPは、キャリア導入管19に対応して配置される。キャリア導入ポートCPは、キャリア導入管19に気密状態で接続される。そして、キャリア導入管19は、キャリアガスCGを供給する。従って、キャリア導入ポートCPは、キャリアガスCGをチャンバー3に導入する。キャリアガスCGは、例えば、不活性ガスである。不活性ガスは、例えば、窒素ガスである。実施形態1によれば、キャリアガスCGをチャンバー3に導入するため、チャンバー3の内部の複数の原料ガスGnを均一に混合できる。
エッチング導入ポートEPは、エッチング導入管21に対応して配置される。エッチング導入ポートEPは、エッチング導入管21に気密状態で接続される。そして、エッチング導入管21は、エッチングガスEGを供給する。従って、エッチング導入ポートEPは、エッチングガスEGをチャンバー3に導入する。エッチングガスEGは、例えば、ハロゲンガスである。実施形態1によれば、エッチングガスEGをチャンバー3に導入するため、チャンバー3の内壁、保持部5の表面、基板Sの表面、及び基板S上で成長している目的物質の表面を洗浄できる。
残留物排出ポートZPは、チャンバー3の内部の残留物ZGをチャンバー3の外部に排出する。残留物ZGは、例えば、気体、液体、及び/又は固体であり、基板S上で目的物質の形成が完了した後に、チャンバー3の内部に残留している物質である。具体的には、残留物排出ポートZPは、残留物排出管25に対応して配置される。残留物排出ポートZPは、残留物排出管25に気密状態で接続される。そして、残留物排出ポートZPは、残留物排出管25を通して残留物ZGをチャンバー3の内部から外部に排出する。
副産物排気ポートFPは、チャンバー3の内部の副産物FGをチャンバー3の外部に排気する。副産物FGは、例えば、気体であり、複数の原料ガスGnが化学反応を起こして生成される物質であり、目的物質と異なる。副産物FGは、例えば、目的物質の成長を阻害する気体である。目的物質の成長を阻害する気体は、例えば、物質をエッチングする気体であり、三塩化ガリウムガスとアンモニアガスとを化学反応させて、窒化ガリウムを生成する際に生成される塩化水素である。
具体的には、副産物排気ポートFPは、副産物排気管27に対応して配置される。副産物排気ポートFPは、副産物排気管27に気密状態で接続される。そして、副産物排気ポートFPは、副産物排気管27を通して副産物FGをチャンバー3の内部から外部に排気する。
電源線引出管23は、チャンバー3に気密状態で接続される。一方、電源線11は加熱部7に接続される。そして、電源線11は、電源線引出管23を通して、チャンバー3の内部から外部に引き出される。
保持部5は、チャンバー3の内部に配置される。実施形態1では、保持部5は、チャンバー3の内底面4aに設置される。保持部5は、基板Sを保持する。具体的には、保持部5は保持面HSを有する。そして、保持面HSに基板Sが設置される。保持部5は、例えば、サセプターである。サセプターは、例えば、炭化ケイ素によって形成される。基板Sは、例えば、種基板である。種基板は、例えば、種結晶基板である。基板Sは、例えば、サファイア基板である。
加熱部7は、チャンバー3の内部に配置される。加熱部7は、保持面HSに対向して、保持部5に配置される。実施形態1では、加熱部7は保持部5に固定される。そして、加熱部7は保持部5を加熱する。つまり、加熱部7は保持部5を介して基板Sを加熱する。加熱部7は、例えば、ヒーターである。なお、加熱部7は、誘導加熱によって保持部5を加熱してもよい。
加熱部7には、電源線11の一方端が接続される。従って、加熱部7には、電源線11を介して、温度制御部9から電源電圧及び電源電流が供給される。具体的には、温度制御部9は電源9aを含む。そして、電源線11の他方端は電源9aに接続される。従って、加熱部7には、電源9aから、電源電圧及び電源電流が供給される。
温度制御部9は、加熱部7に供給する電源電圧又は電源電流を制御して、加熱部7を制御する。具体的には、温度制御部9は、加熱部7を制御して、保持部5の温度を制御する。更に具体的には、温度制御部9は、加熱部7を制御して、保持部5を介して基板Sの温度を制御する。そして、温度制御部9は、加熱部7を制御して、保持部5を介して基板Sの温度を所定温度に保持する。なお、温度制御部9はプロセッサー及び記憶装置を含む。従って、プロセッサーが記憶装置に記憶されたコンピュータープログラムを実行することによって、加熱部7を制御する。
なお、気相成長装置1は、温度センサー(例えば、サーミスタ)を備えていてもよい。温度センサーは、保持部5(例えば、保持面HS)に固定される。温度センサーは、保持部5の温度を検出する。保持部5の熱伝導性が高く、更に熱平衡状態では、保持部5の温度は、基板Sの温度と等しい。従って、温度制御部9は、温度センサーから、保持部5の温度を示す信号を受信して、基板Sの温度を監視する。温度制御部9は、基板Sの温度を監視しながら加熱部7を制御して、基板Sの温度を所定温度に保持する。なお、温度センサーは、基板Sの温度を直接検出してもよい。
壁部8の各々は、加熱部7が配置された保持部5と、チャンバー3の内壁面4bとの間に配置される。壁部8の各々は、基板Sを露出させる開口10を有する。実施形態1では、開口10は、チャンバー3の内天面4cに向かって、基板Sを露出させる。壁部8の各々は、例えば、略円筒状形状を有する。壁部8の材質は、例えば、カーボン、ボロンナイトライド、又は石英である。内底面4aに対する複数の壁部8の高さは、異なっていてもよいし、同じでもよい。内底面4aに対する壁部8の高さは、内底面4aに対する保持部5の高さより高いことが好ましい。隣接する壁部8は間隔をあけて配置される。壁部8は、保持部5の側面を囲む。具体的には、複数の壁部8のうち最も内側の壁部8aは、間隔をあけて保持部5の側面を囲む。複数の壁部8のうち最も外側の壁部8bは、間隔をあけてチャンバー3の内壁面4bに対向する。なお、壁部8の数は、2個に限定されず、3個以上であってもよい。また、1個の壁部8を設けてもよい。
実施形態1によれば、壁部8を設けているため、加熱部7、保持部5、及び基板Sからの熱がチャンバー3に直接伝達されることを抑制できる。その結果、チャンバー3が高温になることを抑制でき、チャンバー3の耐久性を向上できる。また、壁部8を設けているため、基板S及び保持部5からの熱の流出が抑制され、基板Sの温度を更に精度良く一定に保持できる。
冷却部17はチャンバー3を冷却する。具体的には、冷却部17は、チャンバー3に冷却液体WT(例えば、冷却水)を循環させて、チャンバー3を冷却する。その結果、実施形態1によれば、加熱部7、保持部5、及び基板Sからの熱の影響を軽減でき、チャンバー3の耐久性を更に向上できる。
気体供給装置60は、複数の原料導入管Anに接続される。そして、気体供給装置60は、原料導入管An及び原料導入ポートGPnを通して、原料ガスGnをチャンバー3に供給する。
そして、気体供給装置60は、第1所定量M1(所定量)の原料ガスGnをチャンバー3に供給した後に、原料ガスGnの流路を遮断して、チャンバー3への原料ガスGnの供給を停止する。換言すれば、第1所定量M1の原料ガスGnがチャンバー3に導入された後に、原料ガスGnの流路が遮断されて、原料導入管An及び原料導入ポートGPnからの原料ガスGnの導入が停止される。
従って、実施形態1によれば、原料ガスGnがチャンバー3の外部に流出することを更に抑制できる。その結果、原料ガスGnの利用効率を更に向上できる。
第1所定量M1は、例えば、物質量(モル)、質量、又は体積を示す。第1所定量M1は、異なる複数の原料ガスGnが化学反応する際の化学反応式に基づいて、原料ガスGnごとに定められる。つまり、チャンバー3の内部において、原料ガスGnの各々のモル分率が一定に保持されるように、第1所定量M1は、原料ガスGnごとに定められる。本明細書において、化学反応式は、目的物質を生成するための化学反応式を示す。
従って、実施形態1によれば、複数の原料ガスGnの過不足が抑制され、適正な量の原料ガスGnをチャンバー3に導入できる。その結果、原料ガスGnの無駄を抑制できる。原料ガスGnのモル分率は、複数の原料ガスGnの物質量の合計に対する原料ガスGnの物質量の比率を示す。
また、気体供給装置60は、チャンバー3の内部での化学反応に起因する原料ガスGnの減少量に応じて、原料導入管An及び原料導入ポートGPnを通して、原料ガスGnをチャンバー3に補充する。
従って、実施形態1によれば、原料ガスGnが不足する事態を回避できるため、目的物質の成長不良を抑制できる。
また、気体供給装置60は、原料ガスGnを補充する際に、原料ガスGnの各々のモル分率がチャンバー3の内部で一定に保持されるように原料ガスGnを補充する。
従って、実施形態1によれば、複数の原料ガスGnの過不足が更に抑制され、更に適正な量の原料ガスGnをチャンバー3に導入できる。その結果、原料ガスGnの無駄を更に抑制できる。
具体的には、気体供給装置60は、チャンバー3の内部の原料ガスGnの減少量に応じて、第2所定量M2の原料ガスGnをチャンバー3に供給する。
第2所定量M2は、例えば、物質量(モル)、質量、又は体積を示す。第2所定量M2は、例えば、原料ガスGnの減少量と等しいことが好ましい。また、第2所定量M2は、異なる複数の原料ガスGnが化学反応する際の化学反応式に基づいて、原料ガスGnごとに定められる。つまり、原料ガスGnの各々のモル分率がチャンバー3の内部で一定に保持されるように、第2所定量M2は、原料ガスGnごとに定められる。
そして、気体供給装置60は、第2所定量M2の原料ガスGnが補充された後に、原料ガスGの流路を遮断して、原料導入管An及び原料導入ポートGPnを通したチャンバー3への原料ガスGnの補充を停止する。
従って、実施形態1によれば、原料ガスGnがチャンバー3の外部に流出することを更に抑制できる。その結果、原料ガスGnの利用効率を更に向上できる。
なお、気体供給装置60は、第1所定量M1の原料ガスGnが供給された後において、チャンバー3の内部での化学反応に起因する原料ガスGnの減少量に応じて、原料導入管An及び原料導入ポートGPnを通して、原料ガスGnを常時補充してもよい。この場合、原料ガスGnが減少した分だけ原料ガスGnを常時補充することで、原料ガスGnがチャンバー3の内部で常時一定量に保持される。従って、目的物質の成長を精度良く制御できる。また、原料ガスGnを補充する一方、原料ガスGnがチャンバー3の外部に流出することもないため、原料ガスGnの利用効率を向上できる。
例えば、気体供給装置60は、チャンバー3の内部の原料ガスGnの量が閾値Th1より少なくなった場合に、チャンバー3の内部の原料ガスGnの減少量に応じて、原料ガスGnを原料導入ポートGPnから常時補充してもよい。閾値Th1は、例えば、第1所定量M1と同一値に設定されることが好ましい。この場合、チャンバー3の内部において、原料ガスGnを第1所定量M1に保持できる。その結果、目的物質の成長を精度良く制御できる。
また、例えば、気体供給装置60は、原料ガスGnを常時補充する際に、原料ガスGnの各々のモル分率がチャンバー3の内部で一定に保持されるように原料ガスGnを常時補充してもよい。この場合、複数の原料ガスGnの過不足が抑制され、適正な量の原料ガスGnをチャンバー3に導入できる。その結果、原料ガスGnの無駄を抑制できる。
さらに、気体供給装置60は、キャリア導入管19と接続される。そして、気体供給装置60は、キャリア導入管19及びキャリア導入ポートCPを通して、キャリアガスCGをチャンバー3に供給する。
具体的には、気体供給装置60は、第3所定量M3のキャリアガスCGをチャンバー3に供給した後に、キャリアガスCGの流路を遮断して、チャンバー3へのキャリアガスCGの供給を停止する。
従って、実施形態1によれば、原料ガスGnがキャリア導入管19からチャンバー3の外部に流出することを抑制できる。その結果、原料ガスGnの利用効率を更に向上できる。
第3所定量M3は、例えば、物質量(モル)、質量、又は体積を示す。なお、気体供給装置60は、チャンバー3の内部のキャリアガスCGの減少量に応じて、キャリア導入管19及びキャリア導入ポートCPを通して、一定量のキャリアガスCGを補充してもよい。一定量は、例えば、キャリアガスCGの減少量と等しいことが好ましい。また、気体供給装置60は、原料ガスGnを常時補充する際に、キャリアガスCGを常時補充してもよい。
さらに、気体供給装置60は、エッチング導入管21と接続される。そして、気体供給装置60は、エッチング導入管21及びエッチング導入ポートEPを通して、エッチングガスEGをチャンバー3に供給する。
具体的には、気体供給装置60は、第4所定量M4のエッチングガスEGをチャンバー3に供給した後に、エッチングガスEGの流路を遮断して、チャンバー3へのエッチングガスEGの供給を停止する。
従って、実施形態1によれば、原料ガスGnがエッチング導入管21からチャンバー3の外部に流出することを抑制できる。その結果、原料ガスGnの利用効率を更に向上できる。
第4所定量M4は、例えば、物質量(モル)、質量、又は体積を示す。なお、気体供給装置60は、チャンバー3の内部のエッチングガスEGの減少量に応じて、エッチング導入管21及びエッチング導入ポートEPを通して、一定量のエッチングガスEGを補充してもよい。一定量は、例えば、エッチングガスEGの減少量と等しいことが好ましい。また、気体供給装置60は、原料ガスGnを常時補充する際に、エッチングガスEGを常時補充してもよい。
残留物排出装置80は、残留物排出管25に接続される。そして、残留物排出装置80は、基板S上で目的物質の形成が完了した後に、残留物排出管25及び残留物排出ポートZPを通して、残留物ZGをチャンバー3の内部から外部に排出する。その結果、実施形態1によれば、チャンバー3の内部を効果的に洗浄できる。
具体的には、残留物排出装置80は、単数又は複数のバルブと、真空ポンプとを有する。そして、残留物排出装置80は、反応期間RPでは、バルブを閉じて残留物排出管25を閉鎖し、チャンバー3の内部から外部への気体(原料ガスGn、キャリアガスCG、エッチングガス、及び副産物FG)の流出を遮断する。従って、実施形態1によれば、反応期間RPにおいて、原料ガスGnが残留物排出管25からチャンバー3の外部に流出することを抑制できる。その結果、原料ガスGnの利用効率を更に向上できる。
そして、残留物排出装置80は、基板S上で目的物質の形成が完了した後に、真空ポンプを駆動するとともに、バルブを開いて残留物排出管25を開放し、残留物ZGを排出する。なお、残留物排出装置80はプロセッサー及び記憶装置を含む。従って、プロセッサーが記憶装置に記憶されたコンピュータープログラムを実行することによって、バルブ及び真空ポンプを制御する。
副産物検出部13は、チャンバー3の内部の副産物FGの濃度を検出する。具体的には、副産物検出部13は、一対の窓WDのうちの一方の窓WDを通して、内部空間SPに存在する気体(原料ガスGn、キャリアガスCG、エッチングガス、及び副産物FG)に光を照射する。そして、副産物検出部13は、内部空間SPに存在する気体を透過して他方の窓WDから出射する光を検出する。さらに、副産物検出部13は、検出した光を処理及び分析して、副産物FGの濃度を算出する。副産物検出部13は、例えば、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)を含む。
副産物排気部15は、副産物排気管27に接続される。そして、副産物排気部15は、副産物排気ポートFP及び副産物排気管27を通して、副産物FGをチャンバー3の内部から外部に排気する。
実施形態1によれば、副産物FGを排気するため、目的物質の成長速度を向上できる。特に、副産物FGが目的物質の成長を阻害する性質(例えば、目的物質をエッチングする性質)を有する場合は、副産物FGを排気することで、目的物質の成長速度を更に向上できる。
具体的には、副産物排気部15は、副産物検出部13から副産物FGの濃度を示す情報を取得する。そして、副産物排気部15は、副産物FGの濃度に応じて副産物FGを排気する。例えば、副産物FGの濃度が閾値Th2より大きくなった場合に、副産物排気部15は、副産物FGの濃度が閾値Th2以下になるまで副産物FGを排気する。その結果、チャンバー3の内部において、副産物FGの濃度が閾値Th2以下に維持されるため、目的物質の成長速度を更に向上できる。
特に、実施形態1によれば、副産物排気部15は、副産物検出部13から取得した副産物FGの濃度に基づいて副産物FGを排気するため、無駄に動作することなく、副産物FGの量が増大したときだけ動作することが可能である。その結果、副産物排気部15の消費電力を抑制できる。
更に具体的には、副産物排気部15は、バルブ部15aと、吸引ポンプ15bと、制御部15cとを含む。バルブ部15aは、単数又は複数のバルブを含む。
制御部15cは、副産物FGの濃度が閾値Th2以下の場合に、バルブを閉じて副産物排気管27を閉鎖し、チャンバー3の内部から外部への気体(原料ガスGn、キャリアガスCG、エッチングガス、及び副産物FG)の流出を遮断する。
一方、制御部15cは、副産物FGの濃度が閾値Th2より大きくなった場合に、吸引ポンプ15bを駆動するとともに、バルブを開いて副産物排気管27を開放し、副産物FGを排気する。そして、制御部15cは、副産物FGの濃度が閾値Th2以下になった場合に、バルブを閉じて副産物排気管27を閉鎖し、吸引ポンプ15bを停止する。その結果、副産物FGの排気が停止される。
例えば、制御部15cは、副産物FGの濃度が閾値Th2より大きくなった場合に、吸引ポンプ15bを駆動するとともに、バルブを開いて副産物排気管27を開放し、チャンバー3の内部の気体(原料ガスGn、キャリアガスCG、エッチングガス、及び副産物FG)を排気する。その結果、副産物FGが、原料ガスGn、キャリアガスCG、及びエッチングガスとともに排気される。
この例では、原料ガスGn、キャリアガスCG、及びエッチングガスが副産物排気管27から排気される。そこで、気体供給装置60は、原料ガスGnの減少量に応じて、原料ガスGnをチャンバー3に補充する。気体供給装置60は、原料ガスGnを補充する際に、原料ガスGnのモル分率がチャンバー3の内部で一定に保持されるように原料ガスGnを補充する。また、気体供給装置60は、キャリアガスCGの減少量に応じて、キャリアガスCGをチャンバー3に補充する。さらに、気体供給装置60は、エッチングガスEGの減少量に応じて、エッチングガスEGをチャンバー3に補充する。
特に、この例においても、実施形態1によれば、副産物排気部15は、副産物検出部13から取得した副産物FGの濃度に基づいて副産物FGを排気するため、副産物FGの量が増大したときだけ動作することが可能である。従って、副産物FGとともに排気される原料ガスGnの量を抑制できる。その結果、原料ガスGnの利用効率を更に向上できる。
以上、図1を参照して説明したように、実施形態1によれば、異なる複数の原料ガスGnをチャンバー3の内部に導入及び滞留させて目的物質を形成するため、原料ガスGnの各々が、目的物質を生成するための化学反応式に基づくモル分率を有するように、異なる複数の原料ガスGnをチャンバー3に導入できる。つまり、チャンバー3の内部において、原料ガスGnの各々のモル分率が一定に保持されるように、異なる複数の原料ガスGnをチャンバー3に導入できる。その結果、残留物の量を抑制できる。なお、一般的な気相成長装置では、原料ガスを流通させるため、原料ガスの各々のモル分率が一定に保持されるように、原料ガスを反応管に導入することは困難である。
なお、制御部15cはプロセッサー及び記憶装置を含む。従って、プロセッサーが記憶装置に記憶されたコンピュータープログラムを実行することによって、バルブ部15a及び吸引ポンプ15bを制御する。
ここで、気体供給装置60は、異なる複数の原料ガスGnに代えて、異なる複数の希釈原料ガスDnを気相成長装置1に供給することが好ましい。希釈原料ガスDnは、原料ガスGnとキャリアガスCGとを混合し、キャリアガスCGによって原料ガスGnを希釈した気体である。例えば、複数の希釈原料ガスDnにおいて、原料ガスGnは互いに異なる一方、キャリアガスCGは同一である。なお、複数の希釈原料ガスDnを区別して説明するときは、希釈原料ガスD1、…、DN(Nは2以上の整数)と記載する。
次に、図1を参照して、原料ガスGnに代えて希釈原料ガスDnを気相成長装置1に供給する形態について、原料ガスGnを気相成長装置1供給する形態と異なる点を主に説明する。
すなわち、複数の原料導入管Anは、それぞれ、互いに異なる複数の希釈原料ガスDnを供給する。従って、複数の原料導入ポートGPnは、それぞれ、互いに異なる複数の希釈原料ガスDnをチャンバー3に導入する。
気体供給装置60は、原料導入管An及び原料導入ポートGPnを通して、希釈原料ガスDnをチャンバー3に供給する。
具体的には、気体供給装置60は、第1所定量M1の原料ガスGnを含む希釈原料ガスDnをチャンバー3に供給した後に、希釈原料ガスDnの流路を遮断して、チャンバー3への希釈原料ガスDnの供給を停止する。換言すれば、第1所定量M1の原料ガスGnを含む希釈原料ガスDnがチャンバー3に導入された後に、希釈原料ガスDnの流路が遮断されて、原料導入管An及び原料導入ポートGPnからの希釈原料ガスDnの導入が停止される。
また、気体供給装置60は、チャンバー3の内部での化学反応に起因する原料ガスGnの減少量に応じて、原料導入管An及び原料導入ポートGPnを通して、希釈原料ガスDnをチャンバー3に補充する。また、気体供給装置60は、希釈原料ガスDnを補充する際に、原料ガスGnのモル分率がチャンバー3の内部で一定に保持されるように希釈原料ガスDnを補充する。
具体的には、気体供給装置60は、チャンバー3の内部の原料ガスGnの減少量に応じて、原料導入管An及び原料導入ポートGPnを通して、第2所定量M2の原料ガスGnを含む希釈原料ガスDnをチャンバー3に供給する。
そして、気体供給装置60は、第2所定量M2の原料ガスGnを含む希釈原料ガスDnが補充された後に、希釈原料ガスDnの流路を遮断して、原料導入管An及び原料導入ポートGPnを通したチャンバー3への希釈原料ガスDnの補充を停止する。
なお、気体供給装置60は、第1所定量M1の原料ガスGnを含む希釈原料ガスDnが供給された後において、チャンバー3の内部での化学反応に起因する原料ガスGnの減少量に応じて、原料導入管An及び原料導入ポートGPnを通して、希釈原料ガスDnを常時補充してもよい。
例えば、気体供給装置60は、チャンバー3の内部の原料ガスGnの量が閾値Th1より少なくなった場合に、チャンバー3の内部の原料ガスGnの減少量に応じて、原料ガスGnを含む希釈原料ガスDnを原料導入ポートGPnから常時補充してもよい。
また、例えば、気体供給装置60は、希釈原料ガスDnを常時補充する際に、原料ガスGnの各々のモル分率がチャンバー3の内部で一定に保持されるように希釈原料ガスDnを常時補充してもよい。
さらに、気体供給装置60は、希釈原料ガスDnを常時補充する際に、キャリアガスCGを常時補充してもよい。さらに、気体供給装置60は、希釈原料ガスDnを常時補充する際に、エッチングガスEGを常時補充してもよい。
なお、副産物排気部15が、副産物FGの濃度が閾値Th2より大きくなった場合に、原料ガスGn、キャリアガスCG、及びエッチングガスとともに副産物FGを排気する場合、気体供給装置60は、原料ガスGnの減少量に応じて、希釈原料ガスDnをチャンバー3に補充する。気体供給装置60は、希釈原料ガスDnを補充する際に、原料ガスGnの各々のモル分率がチャンバー3の内部で一定に保持されるように希釈原料ガスDnを補充する。
以下、実施形態1では、特に明示しない限り、気体供給装置60は、原料ガスGnに代えて、希釈原料ガスDnを気相成長装置1に供給する。
次に、図2を参照して、気体供給装置60について説明する。図2は、気体供給装置60を示す図である。図2に示すように、気体供給装置60は、真空ポンプ61と、制御部62と、恒温槽63(温度制御部)と、複数の圧力調整ユニット64nと、複数の第1流量制御部Qn(複数の流量制御部)と、第2流量制御部72と、第3流量制御部73とを備える。圧力調整ユニット64nの各々は、希釈容器Xnと、バルブ部Yn(導入部)と、原料容器Zn(ガス容器)とを備える。そして、気体供給装置60は、気相成長装置1(図1)に気体(希釈原料ガスDn、キャリアガスCG、及びエッチングガスEG)を供給する。なお、本明細書において、バルブ部Ynは導入部の一例であり、原料容器Znはガス容器の一例である。
なお、複数の圧力調整ユニット64nを区別して説明するときは、圧力調整ユニット641、…、64N(Nは2以上の整数)と記載する。複数の第1流量制御部Qnを区別して説明するときは、第1流量制御部Q1、…、QN(Nは2以上の整数)と記載する。複数の希釈容器Xnを区別して説明するときは、希釈容器X1、…、XN(Nは2以上の整数)と記載する。複数のバルブ部Ynを区別して説明するときは、バルブ部Y1、…、YN(Nは2以上の整数)と記載する。複数の原料容器Znを区別して説明するときは、原料容器Z1、…、ZN(Nは2以上の整数)と記載する。
制御部62は、真空ポンプ61、恒温槽63、複数のバルブ部Yn、複数の第1流量制御部Qn、第2流量制御部72、及び第3流量制御部73を制御する。つまり、真空ポンプ61、恒温槽63、複数のバルブ部Yn、複数の第1流量制御部Qn、第2流量制御部72、及び第3流量制御部73は、制御部62の制御を受けて動作する。なお、制御部62はプロセッサー及び記憶装置を含む。従って、プロセッサーが記憶装置に記憶されたコンピュータープログラムを実行することによって、真空ポンプ61、恒温槽63、複数のバルブ部Yn、複数の第1流量制御部Qn、第2流量制御部72、及び第3流量制御部73を制御する。
恒温槽63は、複数の圧力調整ユニット64nの温度を制御し、複数の圧力調整ユニット64nの温度を一定温度に保持する。複数の圧力調整ユニット64nは、恒温槽63の内部に配置される。
圧力調整ユニット64nは、原料ガスGnをキャリアガスCGによって希釈して、希釈原料ガスDnを生成する。そして、圧力調整ユニット64nは、原料ガスGnを含む希釈原料ガスDnを放出する。また、圧力調整ユニット64nは、希釈原料ガスDnを生成する際に、希釈容器Xnの内部でのキャリアガスCGの分圧と原料ガスGnの分圧とを調整する。
具体的には、複数の希釈容器Xnは、それぞれ、複数の原料容器Znに対応して設けられる。複数のバルブ部Ynは、それぞれ、複数の原料容器Znに対応して設けられる。つまり、複数のバルブ部Ynは、それぞれ、複数の希釈容器Xnに対応して設けられる。
複数の原料容器Znは、それぞれ、互いに異なる複数の原料ガスGn(互いに異なる複数のガス)を収容する。原料ガスGnは、希釈されていない純粋な原料の気体であり、原料容器Znの内部で一定の圧力(蒸気圧)を有する。具体的には、原料容器Znは、固体原料を気化して、原料ガスGnを生成し、原料ガスGnを収容する。なお、原料容器Znは、液体原料を気化して、原料ガスGnを生成し、原料ガスGnを収容してもよい。例えば、恒温槽63が原料容器Znの温度を制御して、原料容器Zn内の固体原料を気化したり、原料容器Zn内の液体原料を気化したりする。
なお、本明細書において、原料ガスGnは、気体供給装置60による気相成長装置1への供給対象であるガスの一例である。従って、原料容器Znは、供給対象であるガスとしての原料ガスGnを収容している。また、気相成長装置1は、気体供給装置60によるガス供給先の一例である。さらに、キャリアガスCGは、供給対象であるガスとは異なり、例えば、供給対象であるガスを輸送したり、供給対象であるガスを希釈したり、あるいは、供給対象であるガスを攪拌したりする。
バルブ部Ynの各々は、原料ガスGnと、原料ガスGnを希釈するキャリアガスCGとを異なるタイミングで、対応する希釈容器Xnに導入する。その結果、希釈容器Xnにおいて、原料ガスGnとキャリアガスCGとを混合した希釈原料ガスDnが生成される。また、バルブ部Ynは、希釈容器Xnでの原料ガスGnの分圧とキャリアガスCGの分圧とを調整する。その結果、希釈容器Xnでは、希釈原料ガスDnの全圧pが所定全圧値に設定され、原料ガスGnの分圧pgが第1分圧値に設定され、キャリアガスCGの分圧pcが第2分圧値に設定される。p=pg+pc、である。
希釈容器Xnの各々は、対応する原料容器Znから導入された原料ガスGnとキャリアガスCGとを混合して、希釈原料ガスDn(希釈ガス)として収容する。そして、バルブ部Ynの各々は、原料ガスGnとキャリアガスCGとが混合された後に、希釈原料ガスDnを、対応する希釈容器Xnから放出する。つまり、バルブ部Ynの各々は、原料ガスGnとキャリアガスCGとが混合されて、原料ガスGnの分圧pgとキャリアガスCGの分圧pcとが調整された後に、希釈原料ガスDnを、対応する希釈容器Xnから放出する。
なお、本明細書において、希釈原料ガスDnは、気体供給装置60による気相成長装置1への供給対象であるガス(具体的には原料ガスGn)と、キャリアガスCGとを混合した希釈ガスの一例である。
複数の第1流量制御部Qnは、それぞれ、複数のバルブ部Ynに対応して設けられる。また、複数の第1流量制御部Qnは、それぞれ、複数の原料導入管An(図1)に対応して設けられる。
第1流量制御部Qnは、対応するバルブ部Ynが放出した希釈原料ガスDnの流量を制御する。そして、第1流量制御部Qnは、対応する原料導入管Anを通して、希釈原料ガスDnをチャンバー3に供給する。具体的には、第1流量制御部Qnは、層流素子(具体的には多孔質部材)を有している。層流素子は流路を上流側と下流側とに仕切る。そして、第1流量制御部Qnは、ハーゲンポアゼイユの原理を利用し、層流素子の上流側と下流側との差圧に基づいて、希釈原料ガスDnの体積流量又は質量流量を制御する。
第2流量制御部72は、キャリアガスCGの流量を制御する。そして、第2流量制御部72は、キャリア導入管19(図1)を通して、キャリアガスCGをチャンバー3に供給する。第2流量制御部72の構成は、第1流量制御部Qnの構成と同様である。
第3流量制御部73は、エッチングガスEGの流量を制御する。そして、第3流量制御部73は、エッチング導入管21(図1)を通して、エッチングガスEGをチャンバー3に供給する。第3流量制御部73の構成は、第1流量制御部Qnの構成と同様である。
以上、図2を参照して説明したように、実施形態1によれば、希釈容器XnにキャリアガスCGを導入しているため、原料ガスGnだけを希釈容器Xnに導入した場合と比較して、希釈原料ガスDnの全圧pを大きくできる。従って、原料ガスGnだけを希釈容器Xnに導入した場合と比較して、原料ガスGnは第1流量制御部Qn及び気相成長装置1に向けて容易に移動する。つまり、希釈容器Xnでの希釈原料ガスDnの全圧pによって、原料ガスGnを移動する力を確保している。一方、原料容器Znから希釈容器Xnに導入する原料ガスGnの量(物質量、体積量、又は質量)を調整することにより、希釈容器Xn中の希釈原料ガスDnに含める原料ガスGnの量(物質量、体積量、又は質量)を精度良く調整できる。
その結果、特許文献1に記載された成膜装置(以下、「従来技術」と記載する。)のようにキャリアガスを流しつつキャリアガスの流量を制御して原料ガスの供給量を調整する場合と比較して、第1流量制御部Qn及び気相成長装置1に向けてキャリアガスCGとともに移動させる原料ガスGnの量(物質量、体積量、又は質量)、つまり、原料ガスGnの供給量を精度良く調整できる。また、希釈容器Xnから希釈原料ガスDnを放出するため、従来技術のようにバブラーからガス供給先に原料ガスを直接供給する場合と比較して、原料ガスGnの供給量を精度良く調整できる。原料ガスGnの供給量を精度良く調整できるため、気相成長装置1は、品質の良い目的物質(例えば、欠陥が少なく、純度の高い目的物質)を形成できる。
また、実施形態1によれば、希釈容器Xnでの希釈原料ガスDnの全圧pによって原料ガスGnを移動する力を確保しているとともに、原料ガスGnを含む希釈原料ガスDnを希釈容器Xnから放出している。従って、従来技術と比較して、原料ガスGnの供給量が温度の影響を受け難く、温度管理が容易である。また、原料ガスGnの供給量が温度の影響を受け難いため、原料ガスGnの供給量を更に精度良く調整できる。さらに、温度管理が容易であるため、気体供給装置60のコストを低減できる。
なお、従来技術では、バブラーにキャリアガスを流して原料ガスを生成して、キャリアガスによってガス供給先に原料ガスを直接供給するため、原料ガスの流量は、バブラー内温度(原料の蒸気圧)とバブラー内圧力とキャリアガスの流量とで決定される。従って、原料ガスの流量が温度の影響を受け易い。その結果、バブラー内温度を精密に制御しないと、原料ガスの流量を精度良く制御できない。つまり、温度管理が困難である。また、従来技術において、バブラー内温度を精密に制御する場合は、バブラーの温度を制御するための温度制御装置(例えば、電子恒温槽)が高価になりコストが上昇する。また、このような温度制御装置の消費電力が比較的大きくなる可能性があり、維持コストが上昇する可能性がある。これに対して、実施形態1では、維持コストの上昇を抑制できる。さらに、このような温度制御装置の内部形状が特別な形状に限定される可能性があり、温度制御装置の内部に配置されるバブラーの形状が制限される可能性がある。これに対して、実施形態1では、原料容器Znの形状が制限されることを抑制でき、任意の形状の原料容器Znを採用できる。
また、実施形態1によれば、希釈容器Xnでの希釈原料ガスDnの全圧pによって原料ガスGnを移動する力を確保しているとともに、原料ガスGnを含む希釈原料ガスDnを希釈容器Xnから放出している。従って、従来技術と比較して、少量の原料ガスGnを容易に供給できる。
なお、従来技術では、原料ガスの流量は、バブラー内温度(原料の蒸気圧)とバブラー内圧力とキャリアガスの流量とで決定されるため、少量の原料ガスを供給する場合は、キャリアガスの流量を減少させるか、又は、バブラー内温度を下降させる必要がある。しかしながら、キャリアガスの流量を減少させると、連続的なバブル発生を実現できず、間欠的なバブル発生になり、原料ガスの供給量が不安定になる可能性がある。これに対して、実施形態1では、原料ガスGnを含む希釈原料ガスDnを希釈容器Xnから放出するため、原料ガスGnの供給量が安定している。また、従来技術では、バブラー内温度を下降させる場合、少量の原料ガスの供給が、温度制御装置(例えば、電子恒温槽)の冷却能力に依存し、少量の原料ガスの供給に限界が生じる可能性がある。これに対して、実施形態1によれば、希釈容器Xnでの希釈原料ガスDnの全圧pによって原料ガスGnを移動する力を確保しているため、少量の原料ガスGnを容易に供給できる。
また、実施形態1によれば、希釈容器XnへのキャリアガスCGの導入量を調整することによって、希釈原料ガスDnの全圧pを調整できる。つまり、原料ガスGnを移動する力を調整できる。
さらに、実施形態1によれば、希釈容器Xnでの原料ガスGnの分圧pgを調整することにより、希釈原料ガスDnに含まれる原料ガスGnの量(物質量、体積量、又は質量)を調整できる。その結果、第1流量制御部Qn及び気相成長装置1に向けて、キャリアガスCGとともに移動させる原料ガスGnの量(物質量、体積量、又は質量)を更に精度良く調整できる。
さらに、実施形態1によれば、複数の希釈容器Xnを備えているため、希釈容器Xnごとに、希釈容器Xnに導入する原料ガスGnの量を調整できる。従って、原料ガスGnの各々が、目的物質を生成するための化学反応式に基づくモル分率を有するように、希釈容器Xnの各々に原料ガスGnを導入できる。つまり、原料ガスGnを気相成長装置1に供給する際に原料ガスGnのモル分率を容易に調整できる。この場合、例えば、複数の希釈容器Xnにおいて、希釈原料ガスDnの全圧pが互いに略同一になるように、希釈容器Xnの各々にキャリアガスCGを導入する。
さらに、実施形態1によれば、複数の希釈容器Xnを備えているため、希釈容器Xnごとに、希釈原料ガスDnの全圧pを調整できる。従って、原料ガスGnの各々が、目的物質を生成するための化学反応式に基づくモル分率を有するように、希釈容器Xnの各々から、第1流量制御部Qn及び気相成長装置1に向けて、原料ガスGnを移動できる。つまり、原料ガスGnを気相成長装置1に供給する際に原料ガスGnのモル分率を容易に調整できる。この場合、例えば、目的物質を生成するための化学反応式に基づく各原料ガスGnのモル分率に基づいて、各希釈容器Xnでの希釈原料ガスDnの全圧pが決定される。そして、決定された全圧pになるように、希釈容器Xnの各々にキャリアガスCGを導入する。
さらに、実施形態1によれば、原料容器Znの内部の原料ガスGnの圧力(蒸気圧)を利用して、原料ガスGnを原料容器Znから希釈容器Xnに移動できる。従って、原料ガスGnを原料容器Znから希釈容器Xnに移動させるための能動的な装置を装備することを抑制できる。その結果、気体供給装置60の簡素化を図ることができるとともに、気体供給装置60のコストを低減できる。
さらに、実施形態1によれば、複数の原料ガスGnをチャンバー3に導入する前に予め混合する手順を削減できるため、複数の原料ガスGnをチャンバー3に導入する前の手順を簡素化できる。
さらに、実施形態1によれば、第1流量制御部Qnは、希釈原料ガスDnの全圧pを利用して、希釈原料ガスDnを気相成長装置1に容易に供給できる。
なお、第1流量制御部Qnは、対応するバルブ部Ynが原料容器Znから放出した原料ガスGnの流量を制御することもできる。そして、第1流量制御部Qnは、対応する原料導入管Anを通して、原料ガスGnをチャンバー3に供給することもできる。具体的には、第1流量制御部Qnは、ハーゲンポアゼイユの原理を利用し、層流素子の上流側と下流側との差圧に基づいて、原料ガスGnの体積流量又は質量流量を制御することもできる。
次に、図3を参照して、圧力調整ユニット64nについて説明する。図3は、圧力調整ユニット64nを示す図である。図3に示すように、圧力調整ユニット64nの各々は、温度計TMと、第1圧力計PM1(圧力計)と、第2圧力計PM2とをさらに含む。温度計TMは、希釈容器Xnの内部の温度を計測する。第1圧力計PM1は、希釈容器Xnの内部の圧力を計測する。第2圧力計PM2は圧力を計測する。第2圧力計PM2は、例えば、第1圧力計PM1よりも、低い圧力を計測できる。
バルブ部Ynは、第1バルブユニット75と、第2バルブユニット77とを含む。第1バルブユニット75は、バルブb1〜バルブb7及び管t1〜管t4を含む。第2バルブユニット77は、バルブb8及び管t5を含む。バルブb1〜バルブb8は、例えば、ストップバルブである。
管t1は、希釈容器Xnとバルブb4とを接続する。管t2は、バルブb3〜バルブb7を相互に接続する。管t3は、バルブb1〜バルブb3を相互に接続する。管t4は、バルブb7とバルブb8とを接続する。管t5は、バルブt8と原料容器Znとを接続する。なお、バルブt8と原料容器Znとが直接接続されていてもよい。バルブb4と希釈容器Xnとが直接接続されていてもよい。
引き続き図3を参照して、バルブ部Ynの制御手順を説明する。制御手順は、第1手順〜第16手順を含む。バルブ部Ynの初期状態では、バルブb1〜バルブb8は閉じている。
[真空引き及びパージ]
第1手順:真空ポンプ61を起動する。
第2手順:バルブb2、b3、b4、b7を開く。
第3手順:バルブb6を開き、バルブb3を閉じる。第2圧力計PM2は、希釈容器Xnの内部の圧力を計測する。作業者は、第2圧力計PM2によって、希釈容器Xnの内部の真空の程度を確認する。
第4手順:バルブb2、b6を閉じ、バルブb1、b3を開く。そして、キャリアガスCGをバルブb1から希釈容器Xnに導入する。その結果、キャリアガスCGによって希釈容器Xnの内部が洗浄される(パージ)。
そして、バルブ部Ynを初期状態に戻し、初期状態及び第2手順〜第4手順を繰り返す。その結果、キャリアガスCGによって希釈容器Xnの内部が繰り返し洗浄される(サイクルパージ)。希釈容器Xnの内部を繰り返し洗浄することによって、希釈容器Xnの内部の残留ガスの物質量(又は濃度)を減少させることができる。初期状態及び第2手順〜第4手順を繰り返した後、バルブ部Ynを初期状態に戻し、再び第2手順及び第3手順を実行する。
[原料ガスGnの希釈容器Xnへの導入]
第5手順:バルブb2、b6、b7を閉じ、バルブb8を開く。
第6手順:バルブb7の開閉を繰り返して、原料ガスGnを原料容器Znから希釈容器Xnに導入する。原料ガスGnを希釈容器Xnに導入する際に、バルブb7の開時間と閉時間とを調整して、希釈容器Xnの内部での原料ガスGnの圧力pgを第1分圧値に設定する。圧力pgは式(1)で表される。「V」は希釈容器Xnの内部の体積を示し、「ng」は原料ガスGnの物質量(モル)を示し、「R」は気体定数を示し、「T」は希釈容器Xnの内部の温度を示す。
pg×V=ng×R×T …(1)
体積V及び温度Tは既知であり、圧力pgは第1圧力計PM1で計測できるため、希釈容器Xnの内部での原料ガスGnの物質量は、式(1)に基づいて算出できる。
実施形態1によれば、温度計TMで希釈容器Xnの温度を監視するとともに、第1圧力計PM1で希釈容器Xnの圧力を監視することによって、希釈容器Xnの温度及び原料ガスGnの分圧pgを所望の値に制御できる。その結果、所望の物質量の原料ガスGnを希釈容器Xnに導入できる。
なお、原料ガスGnの圧力pgが低い場合は、バルブb6を開けて、第2圧力計PM2によって、圧力pgを計測してもよい。
第7手順:原料ガスGnの圧力pgが第1分圧値になった時点で、バルブb7を閉じる。
[キャリアガスCGの希釈容器Xnへの導入]
第8手順:バルブb4、b8を閉じ、バルブb2、b3、b7を開く。
第9手順:バルブb6を開く。第2圧力計PM2は、管t2、t3、t4の内部の圧力を計測する。作業者は、第2圧力計PM2によって、管t2、t3、t4の内部の真空の程度を確認する。
第10手順:バルブb2、b6を閉じ、バルブb1を開く。
第11手順:バルブb4の開閉を繰り返して、キャリアガスCGを希釈容器Xnに導入する。キャリアガスCGを希釈容器Xnに導入する際に、バルブb4の開時間と閉時間とを調整して、希釈容器Xnの内部での希釈原料ガスDnの全圧pを所定全圧値に設定する。全圧pは式(2)で表される。「V」は希釈容器Xnの内部の体積を示し、「n」は希釈原料ガスDnの物質量(モル)を示し、「R」は気体定数を示し、「T」は希釈容器Xnの内部の温度を示す。具体的には、「n」は、希釈容器Xnの内部でのキャリアガスCGの物質量(モル)と原料ガスGnの物質量(モル)との和である。
p×V=n×R×T …(2)
体積V及び温度Tは既知であり、全圧pは第1圧力計PM1で計測できるため、希釈容器Xnの内部での希釈原料ガスDnの物質量nは、式(2)に基づいて算出できる。さらに、原料ガスGnの物質量ngが分かっているため、キャリアガスCGの物質量ncは、式(3)に基づいて算出できる。
n=ng+nc …(3)
実施形態1によれば、温度計TMで希釈容器Xnの温度を監視するとともに、第1圧力計PM1で希釈容器Xnの圧力を監視することによって、希釈容器Xnの温度及び希釈原料ガスDnの全圧pを所望の値に制御できる。その結果、所望の物質量のキャリアガスCGを希釈容器Xnに導入できる。
また、式(4)から、キャリアガスCGの分圧pcを算出できる。「pg」は、希釈容器Xnの内部での原料ガスGnの圧力、つまり、原料ガスGnの分圧を示す。
p=pg+pc …(4)
全圧p、分圧pg、及び分圧pc、又は、物質量n、物質量ng、及び物質量ncに基づいて、原料ガスGnのモル分率及びキャリアガスCGのモル分率を算出できる。
第12手順:希釈原料ガスDnの全圧pが所定全圧値になった時点で、バルブb4を閉じる。つまり、キャリアガスCGの分圧pcが第2分圧値になった時点で、バルブb4を閉じる。
[希釈原料ガスDnの気相成長装置1への供給]
第13手順:バルブb5を開いてもよい。その結果、キャリアガスCGによって、バルブb5から第1流量制御部Qnまでの流路が洗浄される(パージ)。
第14手順:バルブb1、b5、b7を閉じ、バルブb2を開く。
第15手順:バルブb6を開く。第2圧力計PM2は、管t2、t3の内部の圧力を計測する。作業者は、第2圧力計PM2によって、管t2、t3の内部の真空の程度を確認する。なお、管t2、t3の流路容積が希釈容器Xnの容積よりも小さい場合は、第15手順は不要である。
第16手順:バルブb2、b3、b6を閉じ、バルブb4、b5を開く。その結果、希釈原料ガスDnが希釈容器Xnから第1流量制御部Qn(図2)に向けて放出される。
次に、図4を参照して、目的物質として窒化ガリウム(GaN)を基板S上に形成する例を説明する。図4は、気相成長システム100の一部を示す図である。図4に示すように、希釈容器X1に希釈原料ガスD1が収容される。希釈原料ガスD1は、原料ガスG1としての三塩化ガリウム(GaCl3)と、キャリアガスCGとしての窒素(N2)とを含む。また、希釈容器X2に希釈原料ガスD2が収容される。希釈原料ガスD2は、原料ガスG2としてのアンモニア(NH3)と、キャリアガスCGとしての窒素(N2)とを含む。また、第2流量制御部72には、キャリアガスCGとしての窒素(N2)が供給される。第3流量制御部73には、エッチングガスEGとしての塩素(Cl2)が供給される。
初期状態では、第1流量制御部Q1は原料導入管A1を閉鎖し、第1流量制御部Q2は原料導入管A2を閉鎖し、第2流量制御部72はキャリア導入管19を閉鎖し、第3流量制御部73はエッチング導入管21を閉鎖し、残留物排出装置80は残留物排出管25を閉鎖し、副産物排気部15は副産物排気管27を閉鎖している。
第1流量制御部Q1と第1流量制御部Q2と第2流量制御部72と第3流量制御部73とは、それぞれ、原料導入管A1と原料導入管A2とキャリア導入管19とエッチング導入管21とを開放する。その結果、希釈容器X1から希釈原料ガスD1がチャンバー3に導入され、希釈容器X2から希釈原料ガスD2がチャンバー3に導入され、キャリアガスCGとエッチングガスEGとがチャンバー3に導入される。
チャンバー3の内部では、反応式(r1)に従って、三塩化ガリウム(G1)とアンモニア(G2)とが化学反応する。その結果、基板S上に目的物質としての窒化ガリウム(GaN)が成長する。
GaCl3+NH3→GaN+3HCl …(r1)
チャンバー3には、三塩化ガリウム(G1)及びアンモニア(G2)の流出経路がないため、チャンバー3からの三塩化ガリウム(G1)及びアンモニア(G2)の流出が抑制される。従って、三塩化ガリウム(G1)及びアンモニア(G2)の利用効率を向上できる。
一方、副産物排気部15は、副産物FGとしての塩化水素(HCl)を排気する。従って、窒化ガリウムの成長速度を向上できる。また、残留物排出装置80は、基板S上での窒化ガリウムの形成が完了した後に、チャンバー3の内部の残留物ZGを排出して、チャンバー3の内部を洗浄する。
(第1変形例)
次に、図5を参照して、本発明の実施形態1の第1変形例に係る圧力調整ユニット64nAについて説明する。図5は、圧力調整ユニット64nAを示す図である。図5に示すように、第1変形例に係る圧力調整ユニット64nAは、容積変更可能な希釈容器Xnを有している点で、図3に示す圧力調整ユニット64nと異なる。その他の点では、圧力調整ユニット64nAの構成は、圧力調整ユニット64nの構成と同様である。以下、第1変形例が実施形態1と異なる点を主に説明する。
圧力調整ユニット64nAの各々は、容積変更部90と、圧力調整部91とを含む。希釈容器Xnは気体収容空間92を有する。気体収容空間92は、気体を収容可能な空間である。
容積変更部90は、希釈容器Xnの内部に配置される。そして、容積変更部90は、容積変更部90の容積を変更して、気体収容空間92の容積を変更する。その結果、気体収容空間92の容積に応じて、希釈容器Xnの内部の圧力が変更される。
具体的には、圧力調整部91は、容積変更部90の内部の圧力を調整して、容積変更部90の容積を変更する。例えば、圧力調整部91は、容積変更部90の内部に駆動用ガスBGを送り込み、容積変更部90の容積が大きくなるように容積変更部90を駆動する。この場合、希釈容器Xnの内部の圧力は上昇する。例えば、圧力調整部91は、容積変更部90の内部からガスEXを排出し、容積変更部90の容積が小さくなるように容積変更部90を駆動する。この場合、希釈容器Xnの内部の圧力は下降する。なお、容積変更部90は希釈容器Xnの内部で分離されているため、駆動用ガスBGと希釈原料ガスDnとは接触しない。
容積変更部90は、例えば、ベローズである。容積変更部90は、例えば、有底筒状部材と、有底筒状部材に挿入されるピストンとを含む。圧力調整部91は、例えば、電空変換器である。
以上、図5を参照して説明したように、実施形態1の第1変形例によれば、容積変更部90によって、希釈容器Xnの内部の圧力を所望の値に調整できる。つまり、希釈容器XnにキャリアガスCG及び原料ガスGnを導入した後でも、希釈原料ガスDnの全圧pを所望の値に調整できる。また、希釈容器XnにキャリアガスCGを導入する前において、希釈容器Xnに原料ガスGnを導入した後でも、希釈容器Xnでの原料ガスGnの圧力、つまり、分圧pgを所望の値に調整できる。
また、圧力調整部91は、第1圧力計PM1から気体収容空間92の圧力を示す情報を受信してもよい。従って、圧力調整部91は、気体収容空間92の圧力に基づいて、容積変更部90の容積を変更することもできる。その結果、フィードバック制御が実行され、気体収容空間92の圧力を精度良く調整できる。つまり、希釈原料ガスDnの全圧pを精度良く調整できる。また、原料ガスGnの分圧pgを精度良く調整できる。
なお、第1変形例では、気体供給装置60は、図3に示す圧力調整ユニット64nに代えて、図5に示す圧力調整ユニット64nAを備える。つまり、第1変形例では、気体供給装置60は、複数の圧力調整ユニット64nに代えて、複数の圧力調整ユニット64nAを備える。なお、複数の圧力調整ユニット64nAを区別するときは、圧力調整ユニット641A、…、64NA(Nは2以上の整数)と表現できる。
(第2変形例)
次に、図6を参照して、本発明の実施形態1の第2変形例に係る圧力調整ユニット64nBについて説明する。図6は、圧力調整ユニット64nBを示す図である。図6に示すように、第2変形例に係る圧力調整ユニット64nBは、1個の原料容器Znに対して複数の希釈容器Xmnを有している点で、図3に示す圧力調整ユニット64nと異なる。その他の点では、圧力調整ユニット64nBの構成は、圧力調整ユニット64nの構成と同様である。以下、第2変形例が実施形態1と異なる点を主に説明する。
圧力調整ユニット64nBの各々は、図3に示す希釈容器Xnに代えて、1個の原料容器Znに対応して複数の希釈容器Xmnを備え、希釈容器Xmnごとに、温度計TMと第1圧力計PM1(圧力計)とを備える。また、圧力調整ユニット64nBの各々は、図3に示す第1バルブユニット75に代えて、第1バルブユニット75aを備える。第1バルブユニット75aは、図3に示すバルブb4に代えて、複数の希釈容器Xmnにそれぞれ対応して複数のバルブb4を備える。また、第1バルブユニット75aは、図3に示す管t1に代えて、複数の希釈容器Xmnにそれぞれ対応して複数の管t1を備える。なお、複数の希釈容器Xmnを区別して説明するときは、希釈容器X1n、…、XMn(Mは2以上の整数)と記載する。
希釈容器Xmnの各々は、対応する管t1によって、対応するバルブb4に接続される。管t2は、バルブb3と複数のバルブb4とバルブb5とバルブb6とバルブb7とを相互に接続する。希釈容器Xmnの各々は、原料容器Znから導入された原料ガスGnと、キャリアガスCGとを混合して、希釈原料ガスDnとして収容する。
バルブ部Yn(導入部)の制御手順は、図3を参照して説明したバルブ部Ynの制御手順と同様である。
ただし、バルブ部Ynは、複数の希釈容器Xmnのそれぞれに割り当てられた異なる複数の時間帯において、希釈容器Xmnごとに、原料ガスGnとキャリアガスCGとを異なるタイミングで希釈容器Xmnに導入する。例えば、希釈容器X1nに原料ガスGnとキャリアガスCGとを導入する際には、希釈容器X1nに対応するバルブb4だけが開かれ、希釈容器X2n〜希釈容器XMnの各々に対応するバルブb4は閉じられる。
また、バルブ部Ynは、希釈容器Xmnごとに、原料ガスGnとキャリアガスCGとが混合された後に、希釈原料ガスDnを希釈容器Xmnから放出する。例えば、希釈原料ガスDnを希釈容器X1nから放出する際には、希釈容器X1nに対応するバルブb4だけが開かれ、希釈容器X2n〜希釈容器XMnの各々に対応するバルブb4は閉じられる。
以上、図6を参照して説明したように、実施形態1の第2変形例によれば、圧力調整ユニット64nBごとに複数の希釈容器Xmnが設けられる。そして、複数の希釈容器Xmnには、同じ原料ガスGnが導入される。従って、例えば、複数の希釈容器Xmnに収容された原料ガスGnの濃度が同じ場合は、ある希釈容器Xmnを、使用中の希釈容器Xmnの予備として利用できる。また、例えば、複数の希釈容器Xmnに収容された原料ガスGnの濃度が異なる場合は、1つの圧力調整ユニット64nBから、濃度の異なる希釈原料ガスDnを放出できる。
なお、第2変形例では、気体供給装置60は、図3に示す圧力調整ユニット64nに代えて、図6に示す圧力調整ユニット64nBを備える。つまり、第2変形例では、気体供給装置60は、複数の圧力調整ユニット64nに代えて、複数の圧力調整ユニット64nBを備える。なお、複数の圧力調整ユニット64nBを区別するときは、圧力調整ユニット641B、…、64NB(Nは2以上の整数)と表現できる。また、圧力調整ユニット64nBごとに希釈容器Xmnを区別するときは、圧力調整ユニット641B、…、64NBにそれぞれ対応して希釈容器Xm1、…、XmN(Nは2以上の整数)と表現できる。
(実施形態2)
図7〜図11を参照して、本発明の実施形態2に係る気相成長システム100について説明する。実施形態2では、複数の原料ガスGnを混合した混合ガスMGを気相成長装置1が導入する点で、複数の原料ガスGnを気相成長装置1が個別に導入する実施形態1と異なる。以下、実施形態2が実施形態1と異なる点を主に説明する。
図7は、本発明の実施形態2に係る気相成長システム100を示す図である。図7に示すように、気相成長システム100は、図1に示す気体供給装置60に代えて、気体供給装置60Aを備える。また、気相成長システム100は単数の原料導入管A1を備える。原料導入管A1は混合ガスMGを供給する。混合ガスMGは、異なる複数の原料ガスGnを混合した気体である。チャンバー3に導入する前の混合ガスMG中では、複数の原料ガスGnは化学反応を起こしていない。
気相成長装置1は、単数の原料導入管A1に対応して、単数の原料導入ポートGP1を備える。従って、原料導入ポートGP1は、原料導入管A1を通して、混合ガスMGをチャンバー3に導入する。
そして、気相成長装置1は、反応期間RPの一部又は全部において、チャンバー3の内部から外部への原料ガスGnの流出を遮断する。従って、反応期間RPの一部又は全部では、チャンバー3が密閉される。つまり、気相成長装置1は、チャンバー3の内部に混合ガスMG(つまり、異なる複数の原料ガスGn)を滞留させて化学反応を起こし、基板S上に目的物質を形成する。
その結果、実施形態2によれば、混合ガスを流通させて目的物質を形成する場合と比較して、混合ガスMGに含まれる原料ガスGnの利用効率を向上できる。その他、実施形態2によれば、実施形態1と同様の構成に起因して、実施形態1と同様の効果を有する。
また、実施形態2によれば、単数の原料導入ポートGP1が、単数の原料導入管A1を通して、混合ガスMGをチャンバー3に導入する。つまり、複数の異なる原料ガスGnが、単数の原料導入ポートGP1から、チャンバー3に導入される。従って、複数の原料導入ポートGPnのそれぞれから複数の原料ガスGnを導入する場合と比較して、チャンバー3の構成を簡素化できる。その結果、気相成長装置1のコストを低減できる。また、単数の原料導入管A1を設けているため、複数の原料導入管Anを設ける場合と比較して、気相成長システム100の構成を簡素化できる。その結果、気相成長システム100のコストを低減できる。
引き続き図7を参照して、気体供給装置60Aについて説明する。気体供給装置60Aは、原料導入管A1及び原料導入ポートGP1を通して、混合ガスMGをチャンバー3に供給する。
具体的には、気体供給装置60Aは、第5所定量M5の混合ガスMGをチャンバー3に供給した後に、混合ガスMGの流路を遮断して、チャンバー3への混合ガスMGの供給を停止する。換言すれば、第5所定量M5の混合ガスMGがチャンバー3に導入された後に、混合ガスMGの流路が遮断されて、原料導入管A1及び原料導入ポートGP1からの混合ガスMGの導入が停止される。
従って、実施形態2によれば、原料ガスGnがチャンバー3の外部に流出することを更に抑制できる。その結果、原料ガスGnの利用効率を更に向上できる。
第5所定量M5は、例えば、物質量(モル)、質量、又は体積を示す。第5所定量M5は、複数の原料ガスGnのそれぞれに対して定められた複数の第1所定量M1の合計である。第1所定量M1は、実施形態1の第1所定量M1と同様である。
従って、実施形態2によれば、混合ガスMGの過不足が抑制され、適正な量の混合ガスMGをチャンバー3に導入できる。その結果、混合ガスMGの無駄を抑制できる。
また、気体供給装置60Aは、チャンバー3の内部での化学反応に起因する混合ガスMGの減少量に応じて、原料導入管A1及び原料導入ポートGP1を通して、混合ガスMGをチャンバー3に補充する。
従って、実施形態2によれば、チャンバー3内で原料ガスGnが不足する事態を回避できるため、目的物質の成長不良を抑制できる。
また、気体供給装置60Aは、混合ガスMGを補充する際に、原料ガスGnの各々のモル分率がチャンバー3の内部で一定に保持されるように混合ガスMGを補充する。
従って、実施形態2によれば、原料ガスGnの過不足が抑制され、適正な量の原料ガスGnをチャンバー3に導入できる。その結果、原料ガスGnの無駄を抑制できる。
具体的には、気体供給装置60Aは、チャンバー3の内部の混合ガスMGの減少量に応じて、第6所定量M6の混合ガスMGをチャンバー3に供給する。
第6所定量M6は、例えば、物質量(モル)、質量、又は体積を示す。第6所定量M6は、複数の原料ガスGnのそれぞれに対して定められた複数の第2所定量M2の合計である。第2所定量M2は、実施形態1の第2所定量M2と同様である。第6所定量M6は、例えば、混合ガスMGの減少量と等しいことが好ましい。
そして、気体供給装置60Aは、第6所定量M6の混合ガスMGが補充された後に、混合ガスMGの流路を遮断して、原料導入管A1及び原料導入ポートGP1を通したチャンバー3への混合ガスMGの補充を停止する。
従って、実施形態2によれば、原料ガスGnがチャンバー3の外部に流出することを更に抑制できる。その結果、原料ガスGnの利用効率を更に向上できる。
なお、気体供給装置60Aは、第5所定量M5の混合ガスMGが供給された後において、チャンバー3の内部での化学反応に起因する混合ガスMGの減少量に応じて、原料導入管A1及び原料導入ポートGP1を通して、混合ガスMGを常時補充してもよい。この場合、混合ガスMGが減少した分だけ混合ガスMGを常時補充することで、混合ガスMGがチャンバー3の内部で常時一定量に保持される。従って、目的物質の成長を精度良く制御できる。また、混合ガスMGを補充する一方、混合ガスMGがチャンバー3の外部に流出することもないため、混合ガスMGの利用効率を向上できる。
例えば、気体供給装置60Aは、チャンバー3の内部の混合ガスMGの量が閾値Th3より少なくなった場合に、チャンバー3の内部の混合ガスMGの減少量に応じて、混合ガスMGを原料導入ポートGP1から常時補充してもよい。閾値Th3は、例えば、第5所定量M5と同一値に設定されることが好ましい。この場合、チャンバー3の内部において、混合ガスMGを第5所定量M5に保持できる。その結果、目的物質の成長を精度良く制御できる。
また、例えば、気体供給装置60Aは、混合ガスMGを常時補充する際に、原料ガスGnの各々のモル分率がチャンバー3の内部で一定に保持されるように混合ガスMGを常時補充してもよい。この場合、チャンバー3内での原料ガスGnの過不足が抑制され、適正な量の原料ガスGnをチャンバー3に導入できる。その結果、原料ガスGnの無駄を抑制できる。
なお、気体供給装置60Aは、混合ガスMGを常時補充する際に、キャリアガスCGを常時補充してもよい。また、気体供給装置60Aは、混合ガスMGを常時補充する際に、エッチングガスEGを常時補充してもよい。
また、副産物排気部15が、副産物FGの濃度が閾値Th2より大きくなった場合に、原料ガスGn、キャリアガスCG、及びエッチングガスとともに副産物FGを排気するときに、気体供給装置60Aは、原料ガスGnの減少量に応じて、混合ガスMGをチャンバー3に補充する。気体供給装置60Aは、混合ガスMGを補充する際に、原料ガスGnのモル分率がチャンバー3の内部で一定に保持されるように混合ガスMGを補充する。
ここで、気体供給装置60Aは、混合ガスMGに代えて、希釈混合ガスUMを気相成長装置1に供給することが好ましい。希釈混合ガスUMは、混合ガスMGとキャリアガスCGとを混合し、キャリアガスCGによって混合ガスMGを希釈した気体である。
次に、図7を参照して、混合ガスMGに代えて希釈混合ガスUMを気相成長装置1に供給する形態について、混合ガスMGを気相成長装置1供給する形態と異なる点を主に説明する。
原料導入管A1は、希釈混合ガスUMを供給する。従って、原料導入ポートGP1は、原料導入管A1を通して、希釈混合ガスUMをチャンバー3に導入する。つまり、気体供給装置60Aは、原料導入管A1及び原料導入ポートGP1を通して、希釈混合ガスUMをチャンバー3に供給する。
具体的には、気体供給装置60Aは、第5所定量M5の混合ガスMGを含む希釈混合ガスUMをチャンバー3に供給した後に、希釈混合ガスUMの流路を遮断して、チャンバー3への希釈混合ガスUMの供給を停止する。換言すれば、第5所定量M5の混合ガスMGを含む希釈混合ガスUMがチャンバー3に導入された後に、希釈混合ガスUMの流路が遮断されて、原料導入管A1及び原料導入ポートGP1からの希釈混合ガスUMの導入が停止される。
また、気体供給装置60Aは、チャンバー3の内部での化学反応に起因する混合ガスMGの減少量に応じて、原料導入管A1及び原料導入ポートGP1を通して、希釈混合ガスUMをチャンバー3に補充する。また、気体供給装置60Aは、希釈混合ガスUMを補充する際に、原料ガスGnのモル分率がチャンバー3の内部で一定に保持されるように希釈混合ガスUMを補充する。
具体的には、気体供給装置60Aは、チャンバー3の内部の混合ガスMGの減少量に応じて、原料導入管A1及び原料導入ポートGP1を通して、第6所定量M6の混合ガスMGを含む希釈混合ガスUMをチャンバー3に供給する。
そして、気体供給装置60Aは、第6所定量M6の混合ガスMGを含む希釈混合ガスUMが補充された後に、希釈混合ガスUMの流路を遮断して、原料導入管A1及び原料導入ポートGP1を通したチャンバー3への希釈混合ガスUMの補充を停止する。
なお、気体供給装置60Aは、第5所定量M5の混合ガスMGを含む希釈混合ガスUMが供給された後において、チャンバー3の内部での化学反応に起因する混合ガスMGの減少量に応じて、原料導入管A1及び原料導入ポートGP1を通して、希釈混合ガスUMを常時補充してもよい。
例えば、気体供給装置60Aは、チャンバー3の内部の混合ガスMGの量が閾値Th3より少なくなった場合に、チャンバー3の内部の混合ガスMGの減少量に応じて、混合ガスMGを含む希釈混合ガスUMを原料導入ポートGP1から常時補充してもよい。
また、例えば、気体供給装置60Aは、希釈混合ガスUMを常時補充する際に、原料ガスGnの各々のモル分率がチャンバー3の内部で一定に保持されるように希釈混合ガスUMを常時補充してもよい。
なお、気体供給装置60Aは、希釈混合ガスUMを常時補充する際に、キャリアガスCGを常時補充してもよい。また、気体供給装置60Aは、希釈混合ガスUMを常時補充する際に、エッチングガスEGを常時補充してもよい。
また、副産物排気部15が、副産物FGの濃度が閾値Th2より大きくなった場合に、原料ガスGn、キャリアガスCG、及びエッチングガスとともに副産物FGを排気するときに、気体供給装置60Aは、原料ガスGnの減少量に応じて、希釈混合ガスUMをチャンバー3に補充する。気体供給装置60Aは、希釈混合ガスUMを補充する際に、原料ガスGnのモル分率がチャンバー3の内部で一定に保持されるように希釈混合ガスUMを補充する。
以下、特に明示しない限り、実施形態2では、気体供給装置60Aは、混合ガスMGに代えて、希釈混合ガスUMを気相成長装置1に供給する。
次に、図8を参照して、気体供給装置60Aについて説明する。図7は、気体供給装置60Aを示す図である。図7に示すように、気体供給装置60Aは、真空ポンプ61と、制御部62と、恒温槽63(温度制御部)と、圧力調整ユニット64Aと、第1流量制御部Q1(流量制御部)と、第2流量制御部72と、第3流量制御部73とを備える。圧力調整ユニット64Aは、希釈容器X1と、バルブ部Y1(導入部)と、複数の原料容器Zn(複数のガス容器)とを備える。そして、気体供給装置60Aは、気相成長装置1(図7)に気体を供給する。なお、本明細書において、バルブ部Y1は導入部の一例であり、原料容器Znはガス容器の一例である。
制御部62は、真空ポンプ61、恒温槽63、バルブ部Y1、第1流量制御部Q1、第2流量制御部72、及び第3流量制御部73を制御する。つまり、真空ポンプ61、恒温槽63、バルブ部Y1、第1流量制御部Q1、第2流量制御部72、及び第3流量制御部73は、制御部62の制御を受けて動作する。なお、制御部62はプロセッサー及び記憶装置を含む。従って、プロセッサーが記憶装置に記憶されたコンピュータープログラムを実行することによって、真空ポンプ61、恒温槽63、バルブ部Y1、第1流量制御部Q1、第2流量制御部72、及び第3流量制御部73を制御する。
恒温槽63は、圧力調整ユニット64Aの温度を制御し、圧力調整ユニット64Aの温度を一定温度に保持する。圧力調整ユニット64Aは、恒温槽63の内部に配置される。
圧力調整ユニット64Aは、複数の原料ガスGnを混合した混合ガスMGをキャリアガスCGによって希釈して、希釈混合ガスUMを生成する。そして、圧力調整ユニット64Aは、混合ガスMGを含む希釈混合ガスUMを放出する。また、圧力調整ユニット64Aは、希釈混合ガスUMを生成する際に、希釈容器X1の内部でのキャリアガスCGの分圧と原料ガスGnの各々の分圧とを調整する。
具体的には、複数の原料容器Znは、それぞれ、互いに異なる複数の原料ガスGn(互いに異なる複数のガス)を収容する。原料ガスGnは、希釈されていない純粋な原料の気体であり、原料容器Znの内部で一定の圧力(蒸気圧)を有する。
バルブ部Y1は、異なる複数の原料ガスGnを異なるタイミングで、複数の原料容器Znから希釈容器X1に導入するとともに、複数の原料ガスGnを希釈するキャリアガスCGを、複数の原料ガスGnと異なるタイミングで希釈容器X1に導入する。その結果、希釈容器X1において、複数の原料ガスGnとキャリアガスCGとを混合した希釈混合ガスUMが生成される。
例えば、バルブ部Y1は、異なる複数の原料ガスGnを異なるタイミングで、複数の原料容器Znから希釈容器X1に導入する。その結果、希釈容器X1には、複数の原料ガスGnを混合した混合ガスMGが収容される。そして、バルブ部Y1は、キャリアガスCGを、複数の原料ガスGnと異なるタイミングで希釈容器X1に導入する。その結果、希釈容器X1において、混合ガスMGとキャリアガスCGとを混合した希釈混合ガスUMが生成される。
また、バルブ部Y1は、希釈容器X1での各原料ガスGnの分圧とキャリアガスCGの分圧とを調整する。その結果、希釈容器X1では、希釈混合ガスUMの全圧pが所定全圧値に設定され、原料ガスGnの分圧pgnが第1分圧値に設定され、キャリアガスCGの分圧pcが第2分圧値に設定される。第1分圧値は、異なる複数の原料ガスGnが化学反応する際の化学反応式に基づいて、原料ガスGnごとに定められる。なお、複数の分圧pgnを区別して説明するときは、分圧pg1、…、pgN(Nは2以上の整数)と記載する。従って、p=pg1+、…、+pgN+pc、である。
希釈容器X1は、複数の原料容器Znからそれぞれ導入された複数の原料ガスGnとキャリアガスCGとを混合して、希釈混合ガスUM(希釈ガス)として収容する。そして、バルブ部Y1は、複数の原料ガスGnとキャリアガスCGとが混合された後に、希釈混合ガスUMを希釈容器X1から放出する。つまり、バルブ部Y1は、複数の原料ガスGnとキャリアガスCGとが混合されて、原料ガスGnの各々の分圧pgnとキャリアガスCGの分圧pcとが調整された後に、希釈混合ガスUMを、希釈容器X1から放出する。
なお、本明細書において、希釈混合ガスUMは、気体供給装置60Aによる気相成長装置1への供給対象であるガス(具体的には混合ガスMG)と、キャリアガスCGとを混合した希釈ガスの一例である。
第1流量制御部Q1はバルブ部Y1に対応して設けられる。また、第1流量制御部Q1は原料導入管A1(図7)に対応して設けられる。
第1流量制御部Q1は、バルブ部Y1が放出した希釈混合ガスUMの流量を制御する。そして、第1流量制御部Q1は、原料導入管A1を通して、希釈混合ガスUMをチャンバー3に供給する。具体的には、第1流量制御部Q1は、ハーゲンポアゼイユの原理を利用し、層流素子の上流側と下流側との差圧に基づいて、希釈混合ガスUMの体積流量又は質量流量を制御する。
以上、図8を参照して説明したように、実施形態2によれば、希釈容器X1にキャリアガスCGを導入しているため、混合ガスMGだけを希釈容器X1に導入した場合と比較して、希釈混合ガスUMの全圧pを大きくできる。従って、混合ガスMGだけを希釈容器X1に導入した場合と比較して、混合ガスMGは第1流量制御部Q1及び気相成長装置1に向けて容易に移動する。つまり、希釈容器X1での希釈混合ガスUMの全圧pによって、混合ガスMG(つまり、原料ガスGn)を移動する力を確保している。一方、原料容器Znから希釈容器X1に導入する原料ガスGnの量(物質量、体積量、又は質量)を調整することにより、原料ガスGnごとに、希釈容器X1中の希釈混合ガスUMに含める原料ガスGnの量(物質量、体積量、又は質量)を精度良く調整できる。
その結果、従来技術のようにキャリアガスを流しつつキャリアガスの流量を制御して原料ガスの供給量を調整する場合と比較して、第1流量制御部Q1及び気相成長装置1に向けてキャリアガスCGとともに移動させる原料ガスGnの量(物質量、体積量、又は質量)、つまり、原料ガスGnの供給量を精度良く調整できる。また、希釈容器X1から希釈混合ガスUMを放出するため、従来技術のようにバブラーからガス供給先に原料ガスを直接供給する場合と比較して、原料ガスGnの供給量を精度良く調整できる。原料ガスGnの供給量を精度良く調整できるため、気相成長装置1は、品質の良い目的物質(例えば、欠陥が少なく、純度の高い目的物質)を形成できる。
また、実施形態2によれば、希釈容器X1での希釈混合ガスUMの全圧pによって原料ガスGnを移動する力を確保しているとともに、原料ガスGnを含む希釈混合ガスUMを希釈容器X1から放出している。従って、実施形態1と同様に、原料ガスGnの供給量が温度の影響を受け難く、温度管理が容易である。また、実施形態2では、実施形態1と同様の理由により、原料ガスGnの供給量を更に精度良く調整でき、また、気体供給装置60Aのコストを低減できる。さらに、実施形態2では、実施形態1と同様の理由により、維持コストの上昇を抑制でき、また、原料容器Znの形状が制限されることを抑制できる。
さらに、実施形態2によれば、実施形態1と同様に、少量の混合ガスMG(つまり、少量の原料ガスGn)を容易に供給できる。また、実施形態2では、原料ガスGnを含む希釈混合ガスUMを希釈容器X1から放出するため、実施形態1と同様に、原料ガスGnの供給量が安定している。
また、実施形態2によれば、希釈容器XnへのキャリアガスCGの導入量を調整することによって、希釈混合ガスUMの全圧pを調整できる。つまり、混合ガスMG(つまり、原料ガスGn)を移動する力を調整できる。
さらに、実施形態2によれば、希釈容器X1での原料ガスGnの分圧pgnを調整することにより、希釈混合ガスUMに含まれる原料ガスGnの量(物質量、体積量、又は質量)を調整できる。その結果、第1流量制御部Q1及び気相成長装置1に向けて、キャリアガスCGとともに移動させる原料ガスGnの量(物質量、体積量、又は質量)を更に精度良く調整できる。
さらに、実施形態2によれば、複数の原料容器Znを備えているため、原料容器Znごとに、希釈容器X1に導入する原料ガスGnの量を調整できる。従って、原料ガスGnの各々が、目的物質を生成するための化学反応式に基づくモル分率を有するように、希釈容器X1に原料ガスGnを導入できる。つまり、原料ガスGnを気相成長装置1に供給する際に原料ガスGnのモル分率を容易に調整できる。
さらに、実施形態2によれば、複数の原料容器Znからの複数の原料ガスGnを1つの希釈容器X1で混合し、さらにキャリアガスCGを導入することによって、1つの希釈容器X1で希釈混合ガスUMを生成している。従って、複数の原料容器Znに対してそれぞれ複数の希釈容器Xnを設ける場合と比較して、気体供給装置60Aの構成を簡略化できる。例えば、希釈容器Xnの数及びバルブ部Ynの数を削減できる。
さらに、実施形態2によれば、原料容器Znの内部の原料ガスGnの圧力(蒸気圧)を利用して、原料ガスGnを原料容器Znから希釈容器X1に移動できる。従って、原料ガスGnを原料容器Znから希釈容器X1に移動させるための能動的な装置を装備することを抑制できる。その結果、気体供給装置60Aの簡素化を図ることができるとともに、気体供給装置60Aのコストを低減できる。
さらに、実施形態2によれば、第1流量制御部Q1は、希釈混合ガスUMの全圧pを利用して、希釈混合ガスUMを気相成長装置1に容易に供給できる。
なお、希釈容器X1は、キャリアガスCGを導入することなく、複数の原料容器Znからそれぞれ複数の原料ガスGnを導入して、混合ガスMGを収容することもできる。この場合、第1流量制御部Q1は、バルブ部Y1が放出した混合ガスMGの流量を制御することもできる。そして、第1流量制御部Q1は、原料導入管A1を通して、混合ガスMGをチャンバー3に供給することもできる。具体的には、第1流量制御部Q1は、ハーゲンポアゼイユの原理を利用し、層流素子の上流側と下流側との差圧に基づいて、混合ガスMGの体積流量又は質量流量を制御することもできる。
次に、図9を参照して、圧力調整ユニット64Aについて説明する。図9は、圧力調整ユニット64Aを示す図である。図9に示すように、圧力調整ユニット64Aは、温度計TMと、第1圧力計PM1(圧力計)と、第2圧力計PM2と、管t1〜管t4及び複数の管t5nとをさらに含む。
バルブ部Y1は、第1バルブユニット75と、複数の第2バルブユニット77nとを含む。第1バルブユニット75は、バルブb1〜バルブb7及び管t1〜管t4を含む。第2バルブユニット77nは、バルブb8n及び管t5nを含む。バルブb1〜バルブb7及びバルブb8nは、例えば、ストップバルブである。複数の第2バルブユニット77nは、それぞれ、複数の原料容器Znに対応して設けられる。
管t1は、希釈容器X1とバルブb4とを接続する。管t2は、バルブb3〜バルブb7を相互に接続する。管t3は、バルブb1〜バルブb3を相互に接続する。管t4は、バルブb7と複数のバルブb8nとを相互に接続する。管t5nは、バルブt8nと原料容器Znとを接続する。なお、バルブt8nと原料容器Znとが直接接続されていてもよい。バルブb4と希釈容器X1とが直接接続されていてもよい。
なお、複数の第2バルブユニット77nを区別して説明するときは、第2バルブユニット771、…、77N(Nは2以上の整数)と記載する。複数のバルブt8nを区別して説明するときは、バルブt81、…、t8N(Nは2以上の整数)と記載する。複数の管t5nを区別して説明するときは、管t51、…、t5N(Nは2以上の整数)と記載する。
引き続き図9を参照して、バルブ部Y1の制御手順を説明する。制御手順は、第1手順〜第22手順を含む。バルブ部Y1の初期状態では、バルブb1〜バルブb7及びバルブb8nは閉じている。以下、理解の便宜のため、2個の原料容器Znと2個の第2バルブユニット77nとを備えるときのバルブ部Y1の制御手順を説明する。
[真空引き及びパージ]
第1手順〜第4手順は、実施形態1の第1手順〜第4手順と同様である。
[原料ガスG1の希釈容器X1への導入]
第5手順:バルブb2、b6、b7を閉じ、バルブb81を開く。
第6手順:バルブb7の開閉を繰り返して、原料ガスG1を原料容器Z1から希釈容器X1に導入する。原料ガスG1を希釈容器X1に導入する際に、バルブb7の開時間と閉時間とを調整して、希釈容器X1の内部での原料ガスG1の圧力pg1を第1分圧値に設定する。圧力pg1は式(5)で表される。「V」は希釈容器X1の内部の体積を示し、「ng1」は原料ガスG1の物質量(モル)を示し、「R」は気体定数を示し、「T」は希釈容器X1の内部の温度を示す。
pg1×V=ng1×R×T …(5)
体積V及び温度Tは既知であり、圧力pg1は第1圧力計PM1で計測できるため、希釈容器X1の内部での原料ガスG1の物質量は、式(5)に基づいて算出できる。
実施形態2によれば、温度計TMで希釈容器X1の温度を監視するとともに、第1圧力計PM1で希釈容器X1の圧力を監視することによって、希釈容器X1の温度及び原料ガスG1の分圧pg1を所望の値に制御できる。その結果、所望の物質量の原料ガスG1を希釈容器X1に導入できる。
なお、原料ガスG1の圧力pg1が低い場合は、バルブb6を開けて、第2圧力計PM2によって、圧力pg1を計測してもよい。
第7手順:原料ガスG1の圧力pg1が第1分圧値になった時点で、バルブb7を閉じる。
第8手順:バルブb4、b81を閉じ、バルブb2、b3、b7を開く。
第9手順:バルブb6を開く。第2圧力計PM2は、管t2、t3、t4の内部の圧力を計測する。作業者は、第2圧力計PM2によって、管t2、t3、t4の内部の真空の程度を確認する。
[原料ガスG2の希釈容器X1への導入]
第10手順:バルブb2、b3、b6、b7を閉じ、バルブb82を開く。
第11手順:バルブb4を開く。
第12手順:バルブb7の開閉を繰り返して、原料ガスG2を原料容器Z2から希釈容器X1に導入する。原料ガスG2を希釈容器X1に導入する際に、バルブb7の開時間と閉時間とを調整して、希釈容器X1の内部での混合ガスMGの全圧pmを第1全圧値に設定する。全圧pmは式(6)で表される。「pg1」は、希釈容器X1での原料ガスG1の圧力、つまり、原料ガスG1の分圧を示し、「pg2」は、希釈容器X1での原料ガスG2の分圧を示す。
pm=pg1+pg2 …(6)
全圧pm及び分圧pg1は計測済みであるため、式(6)に基づいて原料ガスG2の分圧pg2を算出できる。
また、全圧pmは式(7)で表される。「V」は希釈容器X1の内部の体積を示し、「ng1」は原料ガスG1の物質量(モル)を示し、「ng2」は原料ガスG2の物質量(モル)を示し、「R」は気体定数を示し、「T」は希釈容器X1の内部の温度を示す。
pm×V=(ng1+ng2)×R×T …(7)
体積V及び温度Tは既知であり、全圧pmは第1圧力計PM1で計測でき、物質量ng1は式(5)に基づいて算出できるため、希釈容器X1の内部での原料ガスG2の物質量ng2は、式(7)に基づいて算出できる。
実施形態2によれば、温度計TMで希釈容器X1の温度を監視するとともに、第1圧力計PM1で希釈容器X1の圧力を監視することによって、希釈容器X1の温度及び原料ガスG2の分圧pg2を所望の値に制御できる。その結果、所望の物質量の原料ガスG2を希釈容器X1に導入できる。
なお、原料ガスG2の圧力pg2が低い場合は、バルブb6を開けて、第2圧力計PM2によって、全圧pmを計測してもよい。
第13手順:混合ガスMGの全圧pmが第1全圧値になった時点で、バルブb7を閉じる。つまり、原料ガスG2の分圧pg2が第1分圧値になった時点で、バルブb7を閉じる。なお、第1分圧値は、原料ガスG1と原料ガスG2とで個別に定められる。
[キャリアガスCGの希釈容器X1への導入]
第14手順:バルブb4、b82を閉じ、バルブb2、b3、b7を開く。
第15手順:バルブb6を開く。第2圧力計PM2は、管t2、t3、t4の内部の圧力を計測する。作業者は、第2圧力計PM2によって、管t2、t3、t4の内部の真空の程度を確認する。
第16手順:バルブb2、b6を閉じ、バルブb1を開く。
第17手順:バルブb4の開閉を繰り返して、キャリアガスCGを希釈容器X1に導入する。キャリアガスCGを希釈容器X1に導入する際に、バルブb4の開時間と閉時間とを調整して、希釈容器X1の内部での希釈混合ガスUMの全圧pを第2全圧値(つまり、所定全圧値)に設定する。全圧pは式(8)で表される。「V」は希釈容器X1の内部の体積を示し、「n」は希釈混合ガスUMの物質量(モル)を示し、「R」は気体定数を示し、「T」は希釈容器X1の内部の温度を示す。具体的には、「n」は、希釈容器X1の内部でのキャリアガスCGの物質量(モル)と原料ガスG1の物質量(モル)と原料ガスG2の物質量(モル)との和である。
p×V=n×R×T …(8)
体積V及び温度Tは既知であり、全圧pは第1圧力計PM1で計測できるため、希釈容器X1の内部での希釈混合ガスUMの物質量nは、式(8)に基づいて算出できる。さらに、原料ガスG1の物質量ng1と原料ガスG2の物質量ng2とが分かっているため、キャリアガスCGの物質量ncは、式(9)に基づいて算出できる。
n=ng1+ng2+nc …(9)
実施形態2によれば、温度計TMで希釈容器X1の温度を監視するとともに、第1圧力計PM1で希釈容器X1の圧力を監視することによって、希釈容器X1の温度及び希釈混合ガスUMの全圧pを所望の値に制御できる。
また、式(10)から、キャリアガスCGの分圧pcを算出できる。「pg1」は、希釈容器X1の内部での原料ガスG1の圧力、つまり、原料ガスG1の分圧を示し、「pg2」は、希釈容器X1の内部での原料ガスG2の圧力、つまり、原料ガスG2の分圧を示す。
p=pg1+pg2+pc …(10)
全圧p、分圧pg1、分圧pg2、及び分圧pc、又は、物質量n、物質量ng1、物質量ng2、及び物質量ncに基づいて、原料ガスG1のモル分率、原料ガスG2のモル分率、及びキャリアガスCGのモル分率を算出できる。
第18手順:希釈混合ガスUMの全圧pが第2全圧値になった時点で、バルブb4を閉じる。つまり、キャリアガスCGの分圧pcが第2所定値になった時点で、バルブb4を閉じる。
[希釈原料ガスDnの気相成長装置1への供給]
第19手順:バルブb5を開いてもよい。その結果、キャリアガスCGによって、バルブb5から第1流量制御部Q1までの流路が洗浄される(パージ)。
第20手順:バルブb1、b5、b7を閉じ、バルブb2を開く。
第21手順:バルブb6を開く。第2圧力計PM2は、管t2、t3の内部の圧力を計測する。作業者は、第2圧力計PM2によって、管t2、t3の内部の真空の程度を確認する。なお、管t2、t3の流路容積が希釈容器X1の容積よりも小さい場合は、第15手順は不要である。
第22手順:バルブb2、b3、b6を閉じ、バルブb4、b5を開く。その結果、希釈混合ガスUMが希釈容器X1から第1流量制御部Q1(図8)に向けて放出される。
次に、図10を参照して、目的物質として窒化ガリウム(GaN)を基板S上に形成する例を説明する。図10は、気相成長システム100の一部を示す図である。図10に示すように、希釈容器X1に希釈混合ガスUMが収容される。希釈混合ガスは、原料ガスG1としての三塩化ガリウム(GaCl3)と、原料ガスG2としてのアンモニア(NH3)と、キャリアガスCGとしての窒素(N2)とを含む。また、第2流量制御部72には、キャリアガスCGとしての窒素(N2)が供給される。第3流量制御部73には、エッチングガスEGとしての塩素(Cl2)給される。
初期状態では、第1流量制御部Q1は原料導入管A1を閉鎖し、第2流量制御部72はキャリア導入管19を閉鎖し、第3流量制御部73はエッチング導入管21を閉鎖し、残留物排出装置80は残留物排出管25を閉鎖し、副産物排気部15は副産物排気管27を閉鎖している。
第1流量制御部Q1と第2流量制御部72と第3流量制御部73とは、それぞれ、原料導入管A1とキャリア導入管19とエッチング導入管21とを開放する。その結果、希釈容器X1から希釈混合ガスUMがチャンバー3に導入され、キャリアガスCGとエッチングガスEGとがチャンバー3に導入される。
図10を参照して説明した実施形態2では、図4を参照して説明した実施形態1と同様に、基板S上に目的物質としての窒化ガリウム(GaN)が成長する。そして、実施形態1と同様に、三塩化ガリウム(G1)及びアンモニア(G2)の利用効率を向上できる。また、実施形態1と同様に、窒化ガリウムの成長速度を向上できる。さらに、実施形態1と同様に、チャンバー3の内部の残留物ZGを排気して、チャンバー3の内部を洗浄できる。
(変形例)
次に、図11を参照して、本発明の実施形態2の変形例に係る気体供給装置60Aについて説明する。変形例では、希釈容器X1及び第1バルブユニット75と温度制御と、原料容器Zn及び第2バルブユニット77nの温度制御とを、個別に実行できる点で、個別に実行できない実施形態2と異なる。以下、変形例が実施形態2と異なる点を主に説明する。
図11は、気体供給装置60Aの一部を示す図である。図11に示すように、変形例に係る気体供給装置60Aは、図9に示す恒温槽63に代えて、第1恒温槽63A(第1温度制御部)と、複数の第2恒温槽63Bn(第2温度制御部)とを備える。なお、複数の第2恒温槽63Bnを区別して説明するときは、第2恒温槽63B1、…、63BN(Nは2以上の整数)と記載する。
第1恒温槽63Aは、希釈容器X1の温度及び第1バルブユニット75の温度を一括して制御し、希釈容器X1の温度及び第1バルブユニット75の温度を一定温度(例えば、第1温度)に保持する。第1恒温槽63Aは、第2恒温槽63Bnとは独立して、希釈容器X1及び第1バルブユニット75の温度を制御する。希釈容器X1及び第1バルブユニット75は、第1恒温槽63Aの内部に配置される。
第1恒温槽63Aは、希釈容器X1の内部の原料ガスGnの分圧に相当する蒸気圧が得られる温度より高い温度に、希釈容器X1及び第1バルブユニット75の温度を保持することが好ましい。原料ガスGnの液化又は固化を抑制するためである。
複数の第2恒温槽63Bnは、それぞれ、複数の原料容器Znに対応して設けられる。つまり、複数の第2恒温槽63Bnは、それぞれ、複数の第2バルブユニット77nに対応して設けられる。原料容器Zn及び第2バルブユニット77nは、対応する第2恒温槽63Bnの内部に配置される。
第2恒温槽63Bnは、対応する原料容器Znの温度及び対応する第2バルブユニット77nの温度を一括して制御し、対応する原料容器Znの温度及び対応する第2バルブユニット77nの温度を一定温度(例えば、第2温度)に保持する。第2恒温槽63Bnの各々は、互いに独立して、対応する原料容器Zn及び対応する第2バルブユニット77nの温度を制御する。また、第2恒温槽63Bnの各々は、第1恒温槽63Aとは独立して、対応する原料容器Zn及び対応する第2バルブユニット77nの温度を制御する。
以上、図11を参照して説明したように、実施形態2の変形例によれば、第1恒温槽63Aとは別に、第2恒温槽63Bnを設けているため、希釈容器X1及び第1バルブユニット75の温度に依存することなく、原料容器Znの温度を制御できる。従って、原料容器Znの内部の原料ガスGnの圧力(蒸気圧)を所望の値に調整できる。例えば、第2恒温槽63Bnは、希釈容器X1の温度よりも高い温度に、原料容器Znの温度を設定する。その結果、原料容器Znの内部の原料ガスGnの圧力(蒸気圧)を上昇させることができる。
原料容器Znの内部の原料ガスGnの圧力(蒸気圧)を所望の値に調整できると、希釈容器X1内での原料ガスGnの圧力範囲を広げることができる。その結果、希釈混合ガスUMの供給量の自由度を向上でき、目的物質を基板S上に形成する際の条件の拡充を図ることができる。また、希釈容器X1内での希釈混合ガスUMの十分な全圧pを確保でき、第1流量制御部Q1に安定して希釈混合ガスUMを供給できる。
また、変形例によれば、複数の第2恒温槽63Bnを設けているため、原料容器Znごとに、原料容器Zの温度を制御できる。従って、原料容器Znごとに、原料容器Znの内部の原料ガスGnの圧力(蒸気圧)を所望の値に調整できる。
なお、複数の原料容器Zn及び複数の第2バルブユニット77nを1つの第2恒温槽63B1の内部に配置してもよい。そして、第2恒温槽63B1が、複数の原料容器Zn及び複数の第2バルブユニット77nの温度を一括して制御してもよい。
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である(例えば、下記(1)〜(4))。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の個数等は、図面作成の都合から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(1)図5を参照して説明した容積変更部90及び圧力調整部91を、図6を参照して説明した圧力調整ユニット64nBに設けてもよいし、図9及び図11を参照して説明した圧力調整ユニット64Aに設けてもよい。また、図6を参照して説明した複数の希釈容器Xmn及び複数のバルブb4を、図9及び図11を参照して説明した圧力調整ユニット64Aに設けてもよい。さらに、図11を参照して説明した第1恒温槽63A及び第2恒温槽63B1を、図3、図5、及び図6を参照して説明した恒温槽63に代えて、図3、図5、及び図6を参照して説明した気体供給装置60に設けてもよい。その他、実施形態1、実施形態1の第1変形例、実施形態1の第2変形例、実施形態2、及び実施形態2の変形例を適宜組合せることができる。
(2)図1〜図11を参照して説明した気相成長装置1において、基板S上に形成する目的物質は、無機化合物でもよいし、有機化合物でもよいし、特に限定されない。また、目的物質は、薄膜でもよいし、バルクでもよいし、特に限定されない。さらに、原料ガスGnの種類も特に限定されない。また、副産物排気部15は、液体又は固体の副産物を排出することもできる。
なお、副産物検出部13及び副産物排気部15は設けなくてもよい。エッチング導入ポートEPからエッチングガスEGをチャンバー3に導入しなくてもよい。キャリア導入ポートCPからキャリアガスCGをチャンバー3に導入しなくてもよい。壁部8及び冷却部17を設けなくてもよい。原料導入ポートGPn、キャリア導入ポートCP、エッチング導入ポートEP、残留物排出ポートZP、及び副産物排気ポートFPの位置は、特に限定されない。保持部5の位置は特に限定されない。また、温度制御部の一例として、恒温槽63、第1恒温槽63A、及び第2恒温槽63Bnを挙げたが、温度制御部は、これらに限定されず、例えば、ヒーターであってもよい。
(3)図1〜図11を参照して説明した気相成長装置1において、複数の希釈容器Xnの容量は、同じでもよいし、異なっていてもよい。また、複数の原料容器Znの容量は、同じでもよいし、異なっていてもよい。また、図6を参照して説明した気相成長装置1において、複数の希釈容器Xmnの容量は、同じでもよいし、異なっていてもよい。また、複数の希釈容器Xmnに収容される原料ガスGnの濃度は、同じでもよいし、異なっていてもよい。従って、バルブ部Ynは、複数の希釈容器Xmnに収容される原料ガスGnの濃度が同じになるように、希釈容器Xmnごとに原料ガスGn及びキャリアガスCGを導入してもよい。また、バルブ部Ynは、複数の希釈容器Xmnに収容される原料ガスGnの濃度が異なるように、希釈容器Xmnごとに原料ガスGn及びキャリアガスCGを導入してもよい。なお、希釈容器Xn、希釈容器Xmn、又は希釈容器X1に導入するキャリアガスCGは、キャリア導入ポートCPからチャンバー3に導入されるキャリアガスCGと異なっていてもよい。
(4)図2、図3、図5、図6、図8、図9、及び図11を参照して説明した気体供給装置60及び気体供給装置60Aによるガス供給先は、気相成長装置1に限定されず、気体供給装置60及び気体供給装置60Aは、例えば、任意のガス供給先(例えば、装置又は物質)に、供給対象であるガスを供給してもよい。また、原料ガスGnの種類も特に限定されないし、原料ガスGnに代えて様々なガスを供給できる。なお、第1流量制御部Qn、第2流量制御部72、及び第3流量制御部73を、気相成長装置1が有する構成として捉えることもできる。
例えば、気体供給装置60及び気体供給装置60Aは、様々な分析機器(例えば、マイクロ分析機器)にガスを供給できる。例えば、気体供給装置60及び気体供給装置60Aは、ケミカルバイオロジー分野又は医療分野で利用できる。例えば、気体供給装置60及び気体供給装置60Aは、バイオリアクターにガスを供給したり、細胞培養装置にガスを供給したり、マイクロリアクターにガスを供給したりすることができる。
また、図2、図3、図5、及び図6参照して説明した気体供給装置60において、単数の圧力調整ユニット64nを設けてもよいし、単数の圧力調整ユニット64nAを設けてもよいし、単数の圧力調整ユニット64nBを設けてもよいし、単数の第1流量制御部Qnを設けてもよい。図8、図9、及び図11を参照して説明した気体供給装置60Aにおいて、単数の原料容器Znを設けてもよいし、単数の第2恒温槽63Bnを設けてもよい。