本明細書において、ある部材又はある領域等のある構成が、他の部材又は他の領域等の他の構成の「上に(又は下に)」あるとする場合、特段の限定がない限り、これは他の構成の直上(又は直下)にある場合のみでなく、他の構成の上方(又は下方)にある場合を含み、すなわち、他の構成の上方(又は下方)において間に別の構成要素が含まれている場合も含む。
以下、本開示の実施の態様を、図面等を参照しながら説明する。但し、本開示は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の態様の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実施の態様に比べ、各部の幅、厚み、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。また、説明の便宜上、上方又は下方という語句を用いて説明する場合があるが、上下方向が逆転してもよい。
本開示の電子ペーパーは、透明基材および上記透明基材の一方の面に配置された透明電極を有する透明電極基材と、背面基材および上記背面基材の一方の面に接着層を介して配置された、金属箔である背面電極を有する背面電極基材と、上記透明電極基材および上記背面電極基材の間に配置され、表示媒体を含む表示媒体層と、を有し、上記透明電極基材の上記透明電極側の面、および上記背面電極基材の上記背面電極側の面が、上記表示媒体層を介して対向する、電子ペーパーであって、上記背面電極基材は、上記透明電極基材および上記表示媒体層と平面視上重なる本体部と、上記本体部から延出する背面電極取出部と、を有し、上記電子ペーパーは、上記透明電極基材の上記透明電極と、上記表示媒体層と、上記背面電極基材の上記本体部に位置する上記背面電極とが平面視上重なる領域に、上記背面電極基材および上記表示媒体層を厚み方向に貫通する貫通孔を有し、上記貫通孔には、上記透明電極と接触して電気的に接続され、かつ上記背面電極と絶縁された導電性接続部材が配置されており、上記背面電極基材の上記背面基材側の面には、少なくとも金属箔を有する透明電極取出部材が配置されており、上記導電性接続部材と上記透明電極取出部材の上記金属箔とが接触して電気的に接続されており、上記透明電極取出部材は、上記背面電極取出部の延出方向に延び、上記透明電極取出部材および上記背面電極取出部は、上記延出方向と交差する方向に間隔を空けて並列する。
図1は、本開示の電子ペーパーの一例を示す概略平面図であり、透明電極基材側から見た上面図である。また、図2は、図1に例示する電子ペーパーの背面電極基材側から見た下面図である。図3および図4は、それぞれ図1のX−X線断面図およびY−Y線断面図である。本開示の電子ペーパー100は、透明基材11および透明基材11の一方の面に配置された透明電極12を有する透明電極基材10と、背面基材21および背面基材21の一方の面に接着層23を介して配置された、金属箔である背面電極21を有する背面電極基材20と、透明電極基材10および背面電極基材20の間に配置され、表示媒体を含む表示媒体層30と、を有し、透明電極基材10の透明電極12側の面、および背面電極基材20の背面電極22側の面が、表示媒体層30を介して対向する。背面電極基材20は、透明電極基材10および表示媒体層30と平面視上重なる本体部20Aと、本体部20Aから延出する背面電極取出部20Bと、を有する。電子ペーパー100は、透明電極基材10の透明電極12と、表示媒体層30と、背面電極基材20の本体部20Aに位置する背面電極22とが平面視上重なる領域に、背面電極基材20および表示媒体層30を厚み方向に貫通する貫通孔40を有する。貫通孔40には、透明電極12と接触して電気的に接続され、かつ背面電極22と絶縁された導電性接続部材41が配置されている。背面電極基材20の背面基材21側の面には、少なくとも金属箔52を有する透明電極取出部材50が配置されており、導電性接続部材41と透明電極取出部材50の金属箔52とが接触して電気的に接続されている。なお、図1〜4における透明電極取出部材50は、導電性接続部材41側から金属箔52、接着層53、および支持基材51をこの順に有する。また、図示しないが、透明電極取出部材50は接着層を介して背面電極基材20に配置されている。そして、透明電極取出部材50は、背面電極取出部20Bの延出方向Eに延び、透明電極取出部材50および背面電極取出部20Bは、延出方向Eと交差する方向に間隔Dを空けて並列する。
本開示の電子ペーパーは、表示媒体層中の表示媒体により、透明電極基材の透明電極と、表示媒体層と、背面電極基材の本体部に位置する背面電極とが平面視上重なる領域(以下、重複領域とする。)の全域を、表示媒体の色に応じた所望の単一色で表示することができる。また、電圧印加の有無に応じて表示媒体が駆動することで、電圧印加時と非印加時とで、上記重複領域の表示色を切り替えることができる。これにより、透明電極基材側の表示面に印刷層を配置したときに、表示媒体の駆動により上記重複領域が呈する表示色により、印刷層が有する画像情報を電圧印加・非印加に応じて可視化・不可視化することができる。すなわち、上記重複領域において、電圧の印加・非印加に応じて、上記印刷層が有する画像情報の表示切替を行うことができる。例えば、電圧の印加または非印加により、重複領域の表示色が明淡色になると、後述する図10(a)で例示するように、印刷層60が有する画像情報を可視化することができる。一方、電圧の印加または非印加により、重複領域の表示色が暗濃色になると、後述する図10(b)で例示するように、印刷層60が有する画像情報を不可視化することができる。
本開示の電子ペーパーによれば、背面電極基材の背面電極取出部に配置された背面電極が取出配線として機能することができる。また、貫通孔に配置された導電性接続部材により、透明電極基材および透明電極取出部材間で導通を取ることができ、上記導電性接続部材および上記透明電極取出部材を介して、背面電極基材側から透明電極の取出しが可能となる。このため、背面電極基材および透明電極基材において、パターニングによる取出配線の形成が不要となることから、安価な電子ペーパーを提供することができる。
また、本開示の電子ペーパーによれば、背面電極基材における背面電極である金属箔、および透明電極取出部材が有する金属箔は、ガスや水分に対して高バリア性能を発揮するため、背面電極基材側から外部のガスや水分が侵入するのを抑制することができる。これにより、ガスや水分との接触による表示媒体層等の劣化を抑制し、電子ペーパーの耐久性の向上を図ることができる。
さらに、本開示の電子ペーパーによれば、上記背面電極である金属箔および透明電極取出部材が有する金属箔の厚みは、電極として用いられる蒸着膜等の厚みよりも大きいため、背面電極取出部および透明電極取出部材と電圧印加手段とを加締め具を介して接続する際に、金属箔と加締め具とが十分に接触して良好な電気的接続を取ることが可能となる。
以下、本開示の電子ペーパーの各構成について説明する。
A.貫通孔および導電性接続部材
本開示の電子ペーパーにおける貫通孔は、上記透明電極基材の上記透明電極と、上記表示媒体層と、上記背面電極基材の上記本体部に位置する上記背面電極とが平面視上重なる領域(重複領域)に形成され、上記背面電極基材および上記表示媒体層を厚み方向に貫通する。また、本開示の電子ペーパーにおける導電性接続部材は、上記貫通孔に配置され、上記透明電極と接触して電気的に接続され、かつ上記背面電極と絶縁された部材である。
1.貫通孔
上記貫通孔の平面視形状は、特に限定されないが、導電性接続部材を配置することができ、上記導電性接続部材により透明電極基材および透明電極取出部材を安定的に接続可能な形状とすることができる。このような貫通孔の平面視形状としては、例えば、円形状、楕円形状、多角形状、矩形状等の任意の形状とすることができる。
また、上記貫通孔の平面視形状は、上記重複領域の周縁に沿って延在する形状とすることができる。例えば、図5(a)で例示するように、長辺が重複領域の周縁に延在する長方形、図示しないが、長軸が重複領域の周縁に沿って延在する楕円形状とすることができる。上記貫通孔が上記重複領域の周縁に沿って延在する場合、上記貫通孔は、上記重複領域の周縁の中でも、透明電極取出部材と交差する縁に沿って延在する形状であることが好ましい。このような形状とすることで、貫通孔による表示阻害を抑制しつつ、導電性接続部材による導通面積を大きく取ることができる。
さらに、上記貫通孔の平面視形状は、例えば文字、絵柄等の意匠性を有する形状であってもよい。図5(b)で例示する貫通孔40は、平面視形状が星形の意匠性を有する形状である。本開示の電子ペーパーにおいて、上記貫通孔が形成された部分には、表示媒体層および背面電極が存在しないため、電圧印加の有無によらず、上記貫通孔の形状を一定して表示可能となる。これにより、例えば、後述する図10(a)、(b)で示すように、電圧印加の有無に応じて、印刷層60が有する画像情報と貫通孔40の形状とを組み合わせた意匠性を発現することができる。
なお、図5は(a)、(b)は、透明電極基材側から見た貫通孔および導電性接続部を説明する模式図であり、透明電極基材については図示を省略している。また、図10(a)、(b)については後で説明する。
平面視における上記貫通孔の面積は、特に限定されないが、平面視で所望の面積を有する導電性接続部材を配置することが可能となる大きさに適宜設定することができる。上記貫通孔の面積は、例えば5mm2以上とすることができ、好ましくは25mm2以上とすることができる。また、上記面積は、例えば100mm2以下とすることができ、好ましくは50mm2以下とすることができる。上記貫通孔の面積が上記範囲よりも大きすぎると、表示媒体の駆動による表示切替面積が小さくなる場合がある。一方、上記貫通孔の面積が上記範囲よりも小さすぎると、抵抗が大きくなり、透明電極と透明電極取出部材との間で導通を取ることが困難となる場合がある。
上記貫通孔の数は、特に限定されないが、通常は1つである。
上記貫通孔は、上記重複領域内の所望の位置に有することができ、その位置は特に限定されないが、例えば、上記重複領域の周縁から上記重複領域の中心側に所望の幅を有する周縁領域内に位置していてもよく、上記周縁領域よりも上記重複領域の中心側の領域内に位置していてもよい。
上記貫通孔が周縁領域内に位置することで、貫通孔による表示阻害を抑制することができる。また、上記貫通孔の平面視形状が、上記重複領域の周縁に沿って延在する形状であれば、表示阻害の抑制に加えて、貫通孔の面積および上記貫通孔に配置される導電性接続部材による導通面積を大きく確保することができる。このとき、上記周縁領域よりも上記重複領域の中心側の領域内に印刷層を配置し、上記周縁領域を遮蔽することにより、上記重複領域の中心側の領域内において、上記印刷層の画像情報を明瞭に表示することが可能となる。
一方、上記貫通孔が、上記周縁領域よりも上記重複領域の中心側の領域内に位置することで、電子ペーパーの表示において、上述したように貫通孔の形状を利用した意匠性を発現することができる。
上記周縁領域は、図1〜図4中の符号Pで示す領域をいい、上記重複領域の周縁から上記重複領域の中心側に所望の幅を有するが、必ずしも一定の距離範囲内の領域に限定されるものではない。上記周縁領域の幅(図1〜図4中の符号t)としては、特に限定されないが、表示切替領域の面積を確保する観点から小さいほど好ましく、例えば0.5cm以上2cm以内とすることができる。
上記貫通孔が上記周縁領域内にあるとき、上記貫通孔は背面電極取出部の近傍に位置することがより好ましい。透明電極取出部材は、導電性接続部材と接して貫通孔を塞ぎ、かつ背面電極取出し部と並列可能となるための大きさを要するところ、上記貫通孔が背面電極取出部の近傍に位置することで、上記貫通孔から背面電極取出部までの距離が短くなり、透明電極取出部材のサイズを小さくすることができるからである。
本開示の電子ペーパーにおいては、後述するように、透明電極基材が第1領域と第1領域よりも小さい第2領域とを有し、背面電極基材の本体部が、透明電極基材の第1領域と平面視上重なる本体部第1領域と、透明電極基材の第2領域と平面視上重なり、上記本体部第1領域よりも小さい本体部第2領域とを有することができる。この場合、本開示の電子ペーパーは、透明電極基材の第1領域、表示媒体層、および背面電極基材の本体部における本体部第1領域が平面視上重なる表示切替用領域と、透明電極基材の第2領域、表示媒体層、および背面電極基材の本体部における本体部第2領域が平面視上重なる導通用領域と、を有することができ、上記貫通孔は、上記導通用領域に有することができる。
図6(a)、(b)は、それぞれ、本開示の電子ペーパーの他の例を示す概略上面図、下面図であり、図7は図6(a)のY−Y線断面図である。図6(a)、(b)および図7で例示する電子ペーパー10は、透明電極基材10が第1領域10aと第1領域10aよりも小さい第2領域10bとを有し、背面電極基材20の本体部20Aが、透明電極基材10の第1領域10aと平面視上重なる本体部第1領域20Aaと、透明電極基材10の第2領域10bと平面視上重なり、本体部第1領域20Aaよりも小さい本体部第2領域20Abとを有する。透明電極基材10の第1領域10aと、表示媒体層30と、背面電極基材20の本体部20Aにおける本体部第1領域20Aaと、が平面視上重なる領域Rが表示切替用領域である。また、透明電極基材10の第2領域10bと、表示媒体層30と、背面電極基材20の本体部20Aにおける本体部第2領域20Abと、が平面視上重なる領域Qが導通用領域である。貫通孔40は、導通用領域Qに有する。
本開示の電子ペーパーは、透明電極基材側の表示面に印刷層を配置したときに、表示媒体の駆動により上記印刷層の画像情報の表示切替を行うための表示切替用領域と、貫通孔を形成するための導通用領域とが区別された上記の構造を有することで、表示切替面積を大きく確保することができ、表示切替用領域内に貫通孔が形成されないため、上記貫通孔の存在による表示阻害を抑制することができる。
なお、本開示の電子ペーパーが、上述した表示切替用領域と導通用領域とを有する場合、電子ペーパーの平面視において、上記導通用領域は遮蔽されることが好ましい。上記導通用領域が遮蔽されるとは、本開示の電子ペーパーの表示情報を視認する者から上記導通用領域が視認されにくいことをいう。上記導通用領域の遮蔽は、例えば電子ペーパーの透明電極基材側の、上記導通用領域と平面視上重なる位置に、例えば印刷層等により形成された非透明部材を配置することにより実現可能である。
上記背面電極基材および表示媒体層への貫通孔の形成方法は、特に限定されないが、例えば、予め背面電極基材の本体部に貫通孔を形成し、背面電極基材の本体部と表示媒体層とを貼合した後で、背面電極基材に形成された貫通孔と平面視上重なる位置にある表示媒体層を除去して貫通孔を形成することができる。表示媒体層の除去方法としては、例えば、炭酸ガスレーザー等のレーザー照射による除去方法、溶剤での拭き取り除去方法等が挙げられる。また、背面電極基材に貫通孔を形成する方法としては、例えばカッティングプロッターによる打ち抜き加工、炭酸ガスレーザー等のレーザー照射によるレーザー加工等、汎用の穿孔加工方法を用いることができる。
2.導電性接続部材
上記導電性接続部材は、導電性を有するものであれば特に限定されず、上記背面電極基材および上記表示媒体層の厚み方向と面方向とに導電する等方導電性を有していてもよく、上記背面電極基材および上記表示媒体層の厚み方向に異方的に導電する異方導電性を有していてもよい。このような上記導電性接続部材としては、例えば導電性両面テープ、導電性フィルム、異方導電性フィルム(ACF)、導電性接着剤、異方導電性接着剤(ACA)、導電性ペースト、異方導電性ペースト(ACP)、導電性ゴム、異方導電性ゴム、導電性インク、異方導電性インク、金属ろう材等が挙げられる。中でも、材料選択の制限が少ないことから、導電性接続部材は等方導電性を有することが好ましく、安価かつ加工性が高いという理由から、導電性接続部材は導電性両面テープであることがより好ましい。
上記導電性接続部材は、上記貫通孔において、上記背面電極と絶縁されるように配置される。このような導電性接続部材の配置態様としては、特に限定されないが、例えば、図8(a)に例示するように、貫通孔40と導電性接続部材41との間に空隙42を有する配置態様、図8(b)に例示するように、貫通孔40と導電性接続部材41との間に絶縁層42が配置されている配置態様等が挙げられる。貫通孔と導電性接続部材との間に配置される絶縁層としては、例えば樹脂層、接着剤層等が挙げられる。上記樹脂層に用いられる樹脂材料としては、絶縁性を示す材料であればよく、例えば後述する透明基材に用いられる樹脂材料と同様とすることができる。一方、上記接着剤層に用いられる接着剤としては、絶縁性を示す組成からなる公知の接着剤を用いることができる。上記絶縁層は、例えば貫通孔の内壁に樹脂材料や接着剤を塗布等して形成することができる。また、図示しないが、上記導電性接続部材の配置態様として、絶縁性材料で形成され上面および下面が開口した筒状の成形体を上記貫通孔に配置し、上記成形体の中に導電性接続部材を充填配置する配置態様とすることもできる。さらに導電性接続部材が異方導電性であれば、図8(c)に例示するように、貫通孔40に導電性接続部材41を充填配置する配置態様とすることができる。この場合、異方導電性の導電性接続部材は、上記背面電極基材および上記表示媒体層の厚み方向にのみ導電性を有するため、貫通孔の内壁と接して配置することができ、且つ上記背面電極と絶縁することができる。
上述した配置態様の中でも、貫通孔と導電性接続部材との間に空隙を有する態様が好ましい。導電性接続部材の材料に制限が少なく、上記導電性接続部材と上記背面電極とを容易に絶縁させることができるからである。上記空隙の間隔として、導電性接続部材と背面電極とが絶縁可能な大きさであれば特に限定されず、上記貫通孔の面積、ならびに上記導電性接続部と透明電極基材における透明電極および透明電極取出部における金属箔との接触面積に応じて、適宜設定することができる。
上記導電性接続部材の平面視形状としては、上記貫通孔に配置可能な形状であれば特に限定されず、例えば、円形状、楕円形状、多角形状、矩形状等の任意の形状とすることができる。また、上記導電性接続部材の平面視形状は、上記重複領域の周縁に沿って延在する形状とすることができる。さらに、上記導電性接続部材の平面視形状は、文字、絵柄等、意匠性を有する形状であってもよい。上記導電性接続部の平面視形状は、貫通孔の平面視形状と同一であってもよく、異なってもよい。
上記導電性接続部材は、平面視において上記貫通孔内で透明電極基材および透明電極取出部材間で容易に導通を取ることが可能な面積を有することが好ましい。このような導電性接続部材の面積、すなわち、透明電極基材における透明電極との接触面積、および透明電極取出部における金属箔との接触面積としては、例えば4mm2以上とすることができ、好ましくは30mm2以上とすることができる。また、上記面積は、例えば90mm2以下とすることができ、好ましくは40mm2以下とすることができる。上記導電性接続部材の面積が上記範囲よりも大きすぎると、電子ペーパーの表示領域において、表示媒体の駆動による表示切替面積が小さくなる場合がある。一方、上記導電性接続部材の面積が上記範囲よりも小さすぎると、抵抗が大きくなり、透明電極と透明電極取出部材との間で導通を取ることが困難となる場合がある。透明電極基材と透明電極との接触面積、および透明電極取出部と金属箔との接触面積は、同一であってもよく異なっていてもよいが、通常、同一である。
B.透明電極取出部材
本開示の電子ペーパーにおける透明電極取出部材は、上記背面電極基材の上記背面基材側の面に配置される、少なくとも金属箔を有する部材である。上記透明電極取出部材は、上記導電性接続部材と上記透明電極取出部材の上記金属箔とが接触して電気的に接続されている。また、上記透明電極取出部材は、上記背面電極取出部の延出方向に延び、上記透明電極取出部材および上記背面電極取出部は、上記延出方向と交差する方向に間隔を空けて並列する。
上記透明電極取出部材は、少なくとも金属箔を有する。上記透明電極取出部材において、上記金属箔は、面状の取出電極とすることができる。後述するように、上記透明電極取出部材が支持基材を有する場合、上記金属箔は、上記支持基材の導電性接続部材側の面を覆うように配置された面状の取出電極とすることができる。
上記透明電極取出部材は、少なくとも金属箔を有することで、電圧印加手段と加締め具を介して接続する際に、金属箔と加締め具とが十分に接触して良好な電気的接続を取ることが可能となる。また、上記透明電極取出部材は、金属箔によりガスや水分に対して高バリア性能を発揮することができる。
上記透明電極取出部材における金属箔の種類については、後述する背面電極基材における背面電極の金属箔と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
上記透明電極取出部材における金属箔の厚みは、特に限定されないが、例えば、取出電極としての機能およびバリア層としての機能の両方の機能を発揮可能な厚みであることが好ましい。上記金属箔の厚みとしては、例えば1μm以上とすることができ、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上とすることができる。また、上記金属箔の厚みは、例えば100μm以下とすることができ、好ましくは50μm以下、より好ましくは20μm以下とすることができる。金属箔の厚みが上記範囲よりも大きすぎると、金属箔の剛性が高いため加工性が低下する場合がある。一方、金属箔の厚みが上記範囲よりも小さすぎると、電圧印加手段と加締め具を介して接続するときに、加締め具との接触が十分に得られない場合がある。また、上記透明電極取出部材において、水分やガスに対するバリア性能が十分に発揮されない場合がある。なお、上記透明電極取出部材における金属箔の厚みは、背面電極基材における背面電極の金属箔の厚みと同じであってもよく、異なってもよい。
上記透明電極取出部材は、金属箔の他に、支持基材を有することができる。また、金属箔と支持基材との間には、接着層を有することができる。上記透明電極取出部材が支持基材を有する場合、本開示の電子ペーパーにおいて、上記透明電極取出部材は、上記背面電極基材側から金属箔、接着層、および支持基材の順に配置される。上記透明電極取出部材における支持基材および接着層については、後述する背面電極基材における背面基材および接着層と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
上記透明電極取出部材は、少なくとも上記導電性接続部材と接触して電気的に接続されるが、中でも上記導電性接続部材と接触し、かつ上記貫通孔を覆うことが好ましい。導電性接続部材と接触して電気的接続を取ることに加えて、上記貫通孔からのガスや水分の侵入を防ぐことができるからである。このとき、上記透明電極取出部材は金属箔を有することから、上記金属箔がバリア層としても機能することができる。透明電極取出部材が貫通孔を覆うとは、本開示の電子ペーパーを背面電極基材側から見たときに、貫通孔が視認されないように透明電極取出部材が配置されていることをいう。
上記透明電極取出部材は、上記背面電極基材の上記背面基材側の面に配置されるが、上記背面電極基材の本体部の、上記背面基材側の面の一部に配置されていてもよく、上記背面電極基材の本体部の、上記背面基材側の面の全面に配置されていてもよい。上記透明電極取出部材が、上記背面電極基材の本体部の、上記背面基材側の面の全面に配置される場合、透明電極取出部材が有する金属箔により、上記背面電極基材の本体部の上記背面基材側の面の全面が覆われるため、貫通孔からのガスや水分の侵入を、より効果的に防ぐことができる。
上記透明電極取出部材の平面視形状は、少なくとも上記導電性接続部材と接触可能であり、上記背面電極取出部と並列し、且つ上記背面電極取出部と絶縁して透明電極の取出しが可能となる形状とすることができる。このような上記透明電極取出部材の平面視形状としては、特に限定されないが、例えば、矩形状、多角形状等とすることができ、具体的には、I字形状、L字形状、T字形状等とすることができる。また、図示しないが、上記透明電極取出部材は、背面電極基材の本体部の、上記背面基材側の面の全面を覆うことが可能な透明電極取出部材本体部と、上記透明電極取出部材本体部から上記背面電極取出部の延出方向と同一方向に延出する透明電極取出部とをする形状であってもよい。
上記透明電極取出部材は、少なくとも上記導電性接続部材と接触し、上記背面電極取出部と並列可能な大きさを有する。上記透明電極取出部材の大きさについては、上記透明電極取出部材の形状、貫通孔および導電性接続部材の形成位置や大きさ等に応じて適宜設定することができるが、中でも上記貫通孔を覆うことが可能な大きさを有することが好ましい。貫通孔からの水分やガスの侵入を抑制することができるからである。
上記透明電極取出部材は、上記背面電極取出部の延出方向に延び、上記透明電極取出部材および上記背面電極取出部は、上記延出方向と交差する方向に間隔を空けて並列する。透明電極取出部材が上記背面電極取出部の延出方向に延び、背面電極取出部と間隔を空けて並列することで、上記透明電極取出部材および上記背面電極取出部は、電気的に絶縁され、かつ双方の取出方向を同一方向とすることができる。これにより、本開示の電子ペーパーを電圧印加手段と接続する際に、透明電極取出部材および背面電極取出部を電圧印加手段に一括接続することができ、接続間違いを防ぐことができる。透明電極取出部材および背面電極取出部間の間隔(図1〜2および図6中の符号D)としては、上記透明電極取出部材および上記背面電極取出部の短絡を防ぎ、電気的に絶縁可能な大きさとすることができ、その大きさは特に限定されないが、例えば0.1mm以上5mm以下とすることができる。
上記透明電極取出部材の形成方法は、特に限定されず、上記透明電極取出部材の構成に応じた形成方法を用いることができる。上記透明電極取出部材が支持基材を有する場合であれば、例えば、後述する背面電極基材の形成方法と同様の方法により、透明電極取出部材を形成することができる。
上記透明電極取出部材の配置方法としては、特に限定されないが、例えば、貫通孔の平面視形状よりも大きい穴を有する接着層や粘着層を、上記穴が貫通孔と平面視上重なるように配置し、上記接着層や粘着層に透明電極取出部材の金属箔側の面を貼合する方法を用いることができる。
C.背面電極基材
本開示の電子ペーパーにおける背面電極基材は、背面基材および上記背面基材の一方の面に接着層を介して配置された、金属箔である背面電極を有する。また、上記背面電極基材は、上記透明電極基材および上記表示媒体層と平面視上重なる本体部と、上記本体部から延出する背面電極取出部と、を有する。上記背面電極基材は、上記背面電極基材の上記本体部において、厚み方向に貫通する貫通孔を有する。
1.背面電極
上記背面電極基材における背面電極は、金属箔である。金属箔は、ガスや水分に対するバリア性能が高いことから、上記背面電極は、外部のガスや水分が電子ペーパーの内へ侵入するのを抑制するバリア層としての機能も有することができる。また、金属箔は、蒸着膜等よりも厚膜とすることができるため、背面電極取出部と電圧印加手段とを加締め具を介して接続する際に、加締め具と十分に接触して良好な電気的接続を取ることができる。
上記背面電極は、背面基材の表示媒体層側の面を覆う面状の電極である。中でも、上記背面電極は、背面基材の表示媒体層側の面の全面(全域)を覆うことが好ましい。本開示の電子ペーパーにおいて、表示媒体の駆動による表示切替面積を大きくすることができ、また、表示媒体層の広い範囲を上記背面電極で覆うことで、表示媒体層をガスや水分との接触から保護することができるからである。
上記金属箔を構成する金属としては、特に限定されず、一般に配線に用いられる金属から選択することができる。上記金属としては、例えば、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン等が挙げられる。中でも、銅、アルミニウムが好ましい。これらは、安価かつ電気抵抗が低く、また、延伸性を有するため、本開示の電子ペーパーを曲げた際の電気抵抗の安定性を得ることができるからである。
上記金属箔の厚みは、特に限定されないが、電極としての機能およびバリア層としての機能の両方の機能を発揮可能な厚みであることが好ましい。上記金属箔の厚みとしては、例えば1μm以上とすることができ、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上とすることができる。また、上記金属箔の厚みは、例えば100μm以下とすることができ、好ましくは50μm以下、より好ましくは20μm以下とすることができる。金属箔の厚みが上記範囲よりも大きすぎると、金属箔の剛性が高いため加工性が低下する場合がある。一方、金属箔の厚みが上記範囲よりも小さすぎると、水分やガスに対するバリア性能が十分に発揮されない場合や、電圧印加手段と加締め具を介して接続するときに、加締め具との接触が十分に得られない場合がある。
2.背面基材
上記背面電極基材における背面基材は、通常、絶縁性を有する。また、上記背面基材は、フレキシブル性を有していてもよく、フレキシブル性を有さなくてもよい。上記背面基材がフレキシブル性を有する場合、電子ペーパーを加工性に優れたものとすることができる。
上記背面基材としては、樹脂基材を用いることができる。貫通孔を容易に形成可能となるからである。樹脂基材を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、環状ポリオレフィン(COP)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン(PS)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド(PI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリサルフォン(PSF)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、セルローストリアセテート(CTA)、液晶ポリマー、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ガラスエポキシ樹脂等を挙げることができる。
上記背面基材の厚みは、特に限定されず、適宜調整することができる。上記背面基材の厚みとしては、例えば10μm以上100μm以下とすることができる。背面基材の厚みが上記範囲よりも大きすぎると、本開示の電子ペーパーの薄型化が困難となる場合があり、支持層の厚みが上記範囲よりも小さすぎると、背面電極基材の強度が不足する場合がある。
3.接着層
上記背面電極基材においては、上記金属箔は上記背面基材の上記一方の面に接着層を介して配置されている。
上記接着層を構成する樹脂は、上記接着層を形成する接着剤の樹脂成分に応じて、熱可塑性樹脂であってもよく、硬化樹脂であってもよい。硬化樹脂とは、接着剤に含まれる光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂等の硬化性樹脂が硬化した後の樹脂をいう。
上記接着層の形成に使用される接着剤は、特に限定されず、2液硬化型接着剤であってもよく、1液硬化型接着剤であってもよい。また、接着層の形成に使用される接着剤の接着機構についても、特に制限されず、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれであってもよい。
上記接着剤の樹脂成分としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、共重合ポリエステル等のポリエステル系樹脂;ポリエーテル系樹脂;ポリウレタン系樹脂;エポキシ系樹脂;フェノール樹脂系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、共重合ポリアミド等のポリアミド系樹脂;ポリオレフィン、酸変性ポリオレフィン、金属変性ポリオレフィン等のポリオレフィン系樹脂;ポリ酢酸ビニル系樹脂;(メタ)アクリル系樹脂;ポリイミド系樹脂;尿素樹脂、メラミン樹脂等のアミノ樹脂;クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等のゴム;シリコーン系樹脂;ふっ化エチレンプロピレン共重合体;ポリカーボネート系樹脂;セルロース系樹脂等が挙げられる。これらの接着剤成分は1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。2種以上を組み合わせた樹脂成分としては、例えば、ポリアミドと酸変性ポリオレフィンとの混合樹脂、ポリアミドと金属変性ポリオレフィンとの混合樹脂、ポリアミドとポリエステル、ポリエステルと酸変性ポリオレフィンとの混合樹脂、ポリエステルと金属変性ポリオレフィンとの混合樹脂等が挙げられる。
上記接着層は、異なる接着剤成分で多層化してもよい。例えば、金属箔側に配される接着剤成分を金属箔との接着性に優れる樹脂成分で構成された第1接着層とし、背面基材側に配される接着剤成分を背面基材との接着性に優れる樹脂成分で構成された第2接着層とすることで、金属箔と背面基材とのラミネーション強度を向上させることができる。第1接着層の樹脂成分としては、例えば、酸変性ポリオレフィン、金属変性ポリオレフィン、ポリエステルと酸変性ポリオレフィンとの混合樹脂、共重合ポリエステルを含む樹脂等が挙げられる。
上記接着層の厚みは、特に限定されず、金属箔と背面基材とを十分に接着可能となる厚みとすることができる。上記接着層の厚みとしては、例えば2μm以上、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上とすることができる。また、上記接着層の厚みは、例えば50μm以下、好ましくは25μm以下、より好ましくは10μm以下とすることができる。
4.その他
上記背面電極基材は、上記透明電極基材および上記表示媒体層と平面視上重なる本体部と、上記本体部から延出する背面電極取出部と、を有する。
上記背面電極基材において本体部は、上記透明電極基材および上記表示媒体層と平面視上重なる部位である。上記本体部における背面電極は、表示媒体を駆動させるための表示電極として機能することができる。上記透明電極基材が、第1領域と、上記第1領域よりも小さい第2領域とを有する場合、上記本体部は、上記透明電極基材の第1領域および第2領域と対応するように、透明電極基材の第1領域と平面視上重なる本体部第1領域、および透明電極基材の第2領域と平面視上重なり、上記本体部第1領域よりも小さい本体部第2領域を有することができる。
上記背面電極基材において背面電極取出部は、通常、上記透明電極基材および表示媒体層とは平面視上重ならない部位とすることができる。上記背面電極取出部における背面電極は、取出配線として機能することができる。
本開示の電子ペーパーにおいて、上記背面電極基材は、上記背面電極側の面が表示媒体層側となるように配置される。
上記背面電極基材は、本体部において厚み方向に貫通する貫通孔を有する。貫通孔については、既に詳細に説明したため、ここでの説明は省略する。
上記背面電極基材の形成方法は、特に限定されないが、例えば、本体部に相当する領域および背面電極取出部に相当する領域を有する形状の背面基材を準備し、上記背面基材の一方の面に、接着層を公知の方法により形成し、上記背面基材の上記一方の面を覆うように、上記接着層上に金属箔を配置することで形成することができる。
D.透明電極基材
本開示の電子ペーパーにおける透明電極基材は、透明基材および上記透明基材の一方の面に配置された透明電極を有する。
1.透明電極
上記透明電極基材における透明電極は、透明基材の表示媒体層側の面を覆う面状の電極である。中でも上記透明電極は、透明基材の表示媒体層側の面の全面(全域)を覆うことが好ましい。本開示の電子ペーパーにおいて、表示媒体の駆動による表示切替面積を大きくすることができるからである。
上記透明電極を構成する導電性材料としては、特に限定されないが、例えば、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化アルミニウム亜鉛(AZO)等の導電性酸化物、Au、Ni等の金属、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリアルキルチオフェン誘導体、ポリシラン誘導体等の導電性高分子を用いることができ、中でも、ITOが好適に用いられる。
上記透明電極の厚みは、特に限定されないが、例えば15nm以上200nm以下とすることができる。上記透明電極の厚みが小さすぎると、透明電極を均一な厚みで形成することが困難な場合があり、上記厚みが大きすぎると、透明電極の成膜に用いられる時間や材料が多くなるため、製造コストが高くなる場合がある。
上記透明電極の形成方法は、特に限定されず、一般的な成膜方法を用いることができる。上記形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD法や、CVD法、導電ペーストを塗布する方法等が挙げられる。
2.透明基材
上記透明電極基材における透明基材としては、一般的な電子ペーパーに用いられている透明基材を用いることができる。
上記透明基材は、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。上記透明基材の透過率が上記範囲であることにより、電子ペーパーの表示輝度の低下等を抑制することができるからである。ここで、透明基材の透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
上記透明基材は、通常、絶縁性を有する。また、上記透明基材は、フレキシブル性を有していてもよく、有さなくてもよい。フレキシブル性を有する透明基材としては、例えば透明樹脂基材、フレキシブル性を有する薄板ガラス等が挙げられる。また、フレキシブル性を有さない透明基材としては、例えばガラス基材等が挙げられる。中でも、上記透明基材は、フレキシブルを有することが好ましい。本開示の電子ペーパーにフレキシブル性を付与することが可能となり、加工性を向上させることが可能となるからである。
上記透明樹脂基材としては、透明樹脂で形成されたフィルムやシートを用いることができる。上記透明樹脂基材を構成する透明樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂等を挙げることができる。
また、上記フレキシブル性を有する薄板ガラスとしては、例えば、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、石英ガラス等を用いることができ、中でも、無アルカリガラスが好ましい。
上記透明基材の厚みは、特に限定されず、本開示の電子ペーパーの用途等に応じて適宜調整することができる。上記透明基材の厚みとしては、例えば10μm以上500μm以下とすることができる。透明基材の厚みが小さすぎると、強度不足のおそれがあり、一方、透明基材の厚みが大きすぎると、本開示の電子ペーパーの薄型化が困難となるおそれがある。
3.その他
上記透明電極基材は、図6、図7で示したように、第1領域と上記第1領域よりも小さい第2領域とを有していてもよい。上記第1領域に位置する透明電極を、表示媒体の駆動に用いることができ、上記第2領域に位置する透明電極を、透明電極取出部材との導通を取るために用いることができる。これにより、本開示の電子ペーパーを、上記透明電極基材の第1領域を含む表示切替用領域と、上記透明電極基材の第2領域を含む導通用領域と、に区別された構造を有することができる。
本開示の電子ペーパーにおいて、上記透明電極基材は、上記透明電極側の面が表示媒体層側となるように配置される。
上記透明電極基材は、透明基材上に透明電極を面状に形成する方法を用いて形成することができる。上記方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
E.表示媒体層
本開示の電子ペーパーにおける表示媒体層は、上記透明電極基材および上記背面電極基材の間に配置され、表示媒体を含む。上記表示媒体層は、厚み方向に貫通する貫通孔を有する。
上記表示媒体層は、本開示の電子ペーパーの表示方式に応じて適宜選択することができる。電子ペーパーの表示方式としては、特に限定されず、例えば、電気泳動方式、ツイストボール方式、粉体移動方式(電子粉流体方式、帯電トナー型方式)、液晶表示方式、エレクトロクロミック方式等が挙げられる。各方式の表示媒体層は、公知のものと同様とすることができるため、詳細については説明を省略する。
上記表示媒体層の厚みは、特に限定されず、表示媒体層の種類に応じて適宜設定することができる。上記表示媒体層の厚みとしては、例えば10μm以上、好ましくは50μm以上、より好ましくは100μm以上とすることができ、また、上記厚みとしては、1000μm以下、好ましくは700μm以下、より好ましくは500μm以下とすることができる。
上記表示媒体層は、厚み方向に貫通する貫通孔を有する。上記表示媒体層における貫通孔については、既に詳細に説明したため、ここでの説明は省略する。また、上記表示媒体層は、表示媒体層用基材、シール剤等の任意の構成を含んでいてもよい。
上記表示媒体層は、上記透明電極基材および上記背面電極基材の間に配置される。具体的には、上記透明電極基材の上記透明電極側の面、および上記背面電極基材における上記本体部の上記背面電極側の面の間に配置される。また、上記表示媒体層は、通常、上記背面電極基材における背面電極取出部には配置されない。
上記表示媒体層の形成方法としては、特に限定されず、上記表示媒体層の種類に応じて公知の方法により形成することができる。
F.表示面側バリア層
本開示の電子ペーパーは、上記透明電極基材の上記表示媒体層側の面とは反対側の面に表示面側バリア層が配置されていてもよい。上記表示面側バリア層は、水分やガスに対するバリア性能を有する層である。本開示の電子ペーパーにおいて、上記透明電極基材の表示媒体層とは反対側、すなわち電子ペーパーの表示面側に表示面側バリア層が配置されることで、電子ペーパーの表示面側では表示面側バリア層により、電子ペーパーの表示面とは反対側の面(電子ペーパーの背面とする。)側では背面電極基材が有する金属箔により、それぞれ外気中のガスや水分が電子ペーパー内に侵入して表示媒体層と接触することを抑制できる。これにより、電子ペーパーの耐久性を向上させることができる。
上記表示面側バリア層は、水分やガスに対して所望のバリア性を発揮でき、電子ペーパーによる情報表示の視認性を阻害しにくいものが好ましい。このような表示面側バリア層としては、透明性を有するものが好ましく、例えば、透明樹脂フィルムの一方の面に透明バリア膜が形成されたバリアフィルムを用いることができる。透明バリア膜の材料は、例えば、SiO2等の無機金属化合物等が挙げられる。このようなバリアフィルムについては、表示装置等の電子デバイスで用いられる公知のバリアフィルムを用いることができる。
上記バリアフィルムは、透明樹脂フィルムよりもバリア膜が表示媒体層側となるように配置することが好ましい。透明樹脂フィルムによりバリア膜を外傷から保護することが出来るからである。上記バリアフィルムは、バリア膜の上記透明樹脂フィルムとは反対側の面に、粘着層を有していてもよい。粘着層を介してバリアフィルムを電子ペーパーに貼合することができるからである。また、本開示の電子ペーパーの背面側にも背面側バリア層としてバリアフィルムが配置されている場合は、表示面側バリア層と背面側バリア層とで電子ペーパーを封止することができるからである。
上記表示面側バリア層は、少なくとも上記透明電極基材の表示媒体層とは反対側に配置することができるが、中でも上記透明電極基材の透明基材側の面、ならびに透明電極基材および表示媒体層の側面を覆うように配置されていることが好ましい。透明電極基材の側面からのガスや水分の侵入、および表示媒体層の側面とガスや水分との接触を抑制することができるからである。
上記表示面側バリア層は、上記透明電極基材の透明基材側の面、透明電極基材および表示媒体層の側面、ならびに上記背面電極取出部の金属箔側の面および透明電極取出部材の金属箔側の面を覆うように配置されていることがより好ましい。背面電極基材の金属箔と表示面側バリア層により、透明電極基材および表示媒体層が封止されるため、透明電極基材側からのガスや水分の侵入、および表示媒体層とガスや水分との接触をより効果的に抑制することができるからである。また、上記背面電極取出部および透明電極取出部材は、金属箔を含むことから、上記背面電極取出部および透明電極取出部材を、表示面側バリア層で覆われた状態で加締めても、加締め具を介して電圧印加手段と良好に電気接合を取ることができるからである。なお、バリア層が「面を覆う」とは、当該面が露出していないことをいう。
G.背面側バリア層
本開示の電子ペーパーは、上記背面電極基材の表示媒体層側の面とは反対側の面、すなわち、本開示の電子ペーパーの背面側に、背面側バリア層が上記透明電極取出部材を介して配置されていてもよく、配置されていなくてもよいが、配置されていることが好ましい。本開示の電子ペーパーは、背面電極基材の背面電極が金属箔であるため、別途、背面側バリア層を配置しなくても、上記金属箔がバリア層としての機能を発揮することができるが、背面側バリア層をさらに配置することで、背面側のバリア性能をさらに高めることができるからである。
本開示の電子ペーパーにおいては、背面電極基材の背面基材側の面に透明電極取出部材が配置されているため、上記背面側バリア層は、上記透明電極取出部材を介して背面電極基材の背面基材側に配置される。
上記背面側バリア層は、上記背面電極基材の表示媒体層側の面とは反対側の面に、上記透明電極取出部材を介して配置され、上記背面側バリア層が、貫通孔を覆うことができればよく、少なくとも上記貫通孔およびその周囲を覆うことが好ましく、中でも上記背面電極基材の表示媒体層側の面とは反対側の面の全面を覆うことが好ましく、特に上記背面電極基材の表示媒体層側の面とは反対側の面の全面および上記背面電極基材の側面を覆うことが好ましい。貫通孔からのガスや水分の侵入を十分に抑制することができるからである。
上記背面側バリア層の構成等については、上述した表示面側バリア層と同様とすることができる。上記背面側バリア層は、表示面側バリア層と同一であってもよく、異なってもよい。また、背面側バリア層は透明を有していてもよく、有さなくてもよい。
H.印刷層
本開示の電子ペーパーは、上記透明電極基材の上記表示媒体層とは反対側に印刷層を有することができる。上記印刷層は、上記透明電極基材の上記透明電極と、上記表示媒体層と、上記背面電極基材の上記本体部に位置する上記背面電極とが平面視上重なる領域(重複領域)に少なくとも設けられる。
図9は、本開示の電子ペーパーの他の例を示す概略断面図であり、透明電極基材10の表示媒体層30とは反対側に、印刷層60として、透明支持基材61および透明支持基材61上に設けられた絵柄部62を有する印刷層が設けられている例を示している。
本開示の電子ペーパーは、電圧印加により表示媒体が駆動することで、電圧印加時と非印加時とで、印刷層の画像情報の表示態様を切り替えることができる。例えば、表示媒体層に明淡色および暗濃色の2種類の表示媒体が含まれ、電圧の印加・非印加によって表示媒体層の色が明淡色または暗濃色に切り替わる場合、上記重複領域の表示色が明淡色であるときは、印刷層の背面が明るくなり、図10(a)で示すように、印刷層60の画像情報が可視化され、視認することができる。一方で上記重複領域の表示色が暗濃色のときは、印刷層の背面が暗くなり、図10(b)で示すように、印刷層60の画像情報が不可視化され、視認することが困難となる。このように、本開示の電子ペーパーは、電圧印加・非印加に応じて、印刷層が有する画像情報の表示切替が可能となり、アイキャッチ効果を奏することができる。
上記印刷層としては、例えば、透明支持基材および上記透明支持基材上に設けられた絵柄部を有する構造が挙げられる。上記絵柄部は、印刷層の画像情報を構成する部分である。画像情報は、特に限定されず、例えば文字、絵図、写真等が挙げられる。
上記印刷層における透明支持基材は、透明樹脂フィルム等、一般的な印刷層に用いられる公知の基材を用いることができる。
上記印刷層における絵柄部は、色材を含む公知のインクを用いて各種印刷法を用いて形成することができる。多色刷りの場合は、複数のインクを用いることができる。上記絵柄部は、本開示の電子ペーパーの印加時または非印加時における上記重複領域の表示色と同等の色であってもよく、異なる色であってもよい。上記絵柄部が、本開示の電子ペーパーの印加時または非印加時における上記重複領域の表示色と同等の色である場合、印加時または非印加時に、上記絵柄部が上記重複領域と同化して上記絵柄部を容易に不可視化することができる。
上記絵柄部は、光透過性を有していてもよく、光透過性を有さなくてもよい。また、上記絵柄部は、透明であってもよく、半透明であってもよく、不透明であってもよい。上記絵柄部が、光透過性を有し、透明または半透明である場合、電子ペーパーの重複領域における光の反射や透過の有無を利用して上記絵柄部の可視化・不可視化を容易に行うことができる。具体的には、電圧の印加または非印加により上記重複領域の表示色が明淡色になると、光の反射や透過が生じて上記絵柄部を可視化することができる。一方、電圧の印加または非印加により重複領域の表示色が暗濃色になると、光の反射が生じにくくなり上記絵柄部を不可視化することができる。
上記印刷層は、透明電極基材の透明基材側の面に配置されていてもよく、透明電極基材と印刷層とが一体で形成されていてもよい。透明電極基材と印刷層とが一体で形成されているとは、透明基材に絵柄部が直接形成されており、上記透明基材が上記印刷層における透明支持基材を兼ねることをいう。また、上記印刷層は、透明電極基材の透明基材側の面に交換可能に配置されていてもよい。
また、本開示の電子ペーパーが表示面側バリア層を有する場合は、上記印刷層は、表示面側バリア層の、透明電極基材側の面とは反対側の面上に設けることができる。この場合、上記印刷層は、表示面側バリア層の、透明電極基材側の面とは反対側の面上に別途配置されていてもよく、上記表示面側バリア層と一体で形成されていてもよい。上記印刷層が上記表示面側バリア層と一体で形成されるとは、例えば表示面側バリア層の透明樹脂フィルムに絵柄部が直接形成されることをいう。
上記印刷層は、上記重複領域に少なくとも設けられるが、上記重複領域および上記重複領域以外にも設けられていてもよい。
I.電圧印加手段
本開示の電子ペーパーは、上記透明電極取出部材および上記背面電極取出部と電気的に接続された電圧印加手段を有することができる。電圧印加手段としては、電子ペーパーに電圧を印加することが可能なものであれば、特に限定されず、一般的に電子ペーパーの駆動に用いられるものが挙げられる。
上記透明電極取出部材および上記背面電極取出部と電圧印加手段とは、直接接続してもよく、加締め具を介して接続してもよい。図11(a)〜(c)に示す電子ペーパー100では、透明電極取出部材50および背面電極取出部20Bと電圧印加手段110とが、それぞれ加締め具111を介して接続している。図11(a)は本開示の電子ペーパーの一例を示す概略平面図であり、図11(b)、(c)はそれぞれ図11(a)のY1−Y1線断面図、Y2−Y2線断面図である。
中でも、上記透明電極取出部材および上記背面電極取出部と電圧印加手段とが、加締め具を介して接続することが好ましい。上記背面電極である金属箔および透明電極取出部材が有する金属箔の厚みは、電極として用いられる蒸着膜等の厚みよりも大きいため、金属箔と加締め具とが十分に接触可能となる。このため、上記透明電極取出部材および上記背面電極取出部と電圧印加手段との間で、加締め具を介して良好な電気的接続を取ることができるからである。なお、上記の効果は、上記透明電極取出部材および上記背面電極取出部が、バリア層等の他の層に覆われる場合であっても、同様に奏することができる。
上記加締め具としては、特に限定されないが、上記透明電極取出部材および上記背面電極取出部が有する金属箔と接触可能であり、導電性を有するものを用いることができる。具体的には、一般に配線基板等に用いられる加締め具を用いることができる。
J.任意の構成
本開示の電子ペーパーは、上述した構成の他に、例えば、反射防止機能、低反射機能、防眩機能、のぞき見防止機能等の光学的機能を付与することが可能な光学機能層、表面保護層等の任意の構成を有することができる。通常、これらは、電子ペーパーの表示面側に設けられる。任意の構成として例示した各部材については、いずれも公知の部材と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
K.製造方法
本開示の電子ペーパーの製造方法としては、特に限定されないが、例えば、図12(a)〜(f)に示す工程を経て製造することができる。まず、本体領域および背面電極取出領域を有する背面基材21の一方の面に接着層23を形成し、背面基材21の一方の面を覆うように、接着層23上に背面電極22として面状の金属箔を貼り合わせ、本体部および背面電極取出部を有する貫通孔形成前の背面電極基材を形成する。次に、背面電極基材20の本体部の所望の位置に、上記「A.貫通孔および導電性接続部材」の項で説明した貫通孔40を形成する。これにより、上記「C.背面電極基材」の項で説明した、本体部および背面電極取出部を有し、本体部に貫通孔40を有する背面電極基材20を形成する(図12(a)、背面電極基材準備工程)。また、透明基材11の一方の面上に、公知の方法により面状の透明電極12を形成して、上記「D.透明電極基材」の項で説明した透明電極基材10を準備し(図12(b)、透明電極基材準備工程)、得られた透明電極基材10の透明電極12側の面に、上記「E.表示媒体層」の項で説明した表示媒体層30を配置する(図12(c)、表示媒体層配置工程)。そして、表示媒体層30の透明電極基材10とは反対側の面に、背面電極基材20を背面電極22側の面が表示媒体層30側となるようにして配置し、背面電極基材10に形成された貫通孔40と平面視上重なる位置にある表示媒体層30を、溶剤で拭き取る等により除去し、表示媒体層30に上記「A.貫通孔および導電性接続部材」の項で説明した貫通孔40を形成する(図12(d)、表示媒体層貫通孔形成工程)。貫通孔40に上記「A.貫通孔および導電性接続部材」の項で説明した導電性接続部材41を配置して、導電性接続部材41と透明電極12とを接触させる(図12(e)、導電性接続部材配置工程)。その後、背面電極基材20の背面基材21側の面に、上記「B.透明電極取出部材」の項で説明した透明電極取出部材50を、金属箔52側の面が導電性接続部材41と接触し、かつ、背面電極取出部と間隔を空けて並列するように配置する(図12(f)、透明電極取出部材配置工程)。透明電極取出部材50は、上述した背面電極基材20の形成方法と同様とすることができる。以上の工程を行うことにより、本開示の電子ペーパー100を得ることができる。
L.用途
本開示の電子ペーパーの用途は、特に限定されないが、例えばデジタル機器のディスプレイ、電子ブック、デジタル・サイネージ(電子看板)、空間装飾等に用いることができる。