本明細書において、ある部材又はある領域等のある構成が、他の部材又は他の領域等の他の構成の「上に(又は下に)」あるとする場合、特段の限定がない限り、これは他の構成の直上(又は直下)にある場合のみでなく、他の構成の上方(又は下方)にある場合を含み、すなわち、他の構成の上方(又は下方)において間に別の構成要素が含まれている場合も含む。
以下、本開示の実施の態様を、図面等を参照しながら説明する。但し、本開示は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の態様の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実施の態様に比べ、各部の幅、厚み、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。また、説明の便宜上、上方又は下方という語句を用いて説明する場合があるが、上下方向が逆転してもよい。
I.電子ペーパー用背面電極基材
本開示の電子ペーパー用背面電極基材は、背面基材と、上記背面基材の一方の面に、上記背面基材側から粘着層、支持層、接着層、および金属箔をこの順に有する背面電極とを有し、上記背面電極は、表示電極および接続電極を有し、上記表示電極および上記接続電極は、線状の溝部により画定され、上記溝部を介して絶縁されている。
図1(a)、(b)は、本開示の電子ペーパー用背面電極基材の一例を示す概略平面図であり、図1(b)は図1(a)の破線領域内の拡大図である。また、図2(a)~(c)はそれぞれ図1のX-X線断面図、Y-Y線断面図、Z-Z線断面図である。本開示の電子ペーパー用背面電極基材10は、背面基材1と、背面基材1の一方の面側に、背面基材1側から粘着層11、支持層12、接着層13、および金属箔14をこの順に有する背面電極2とを有する。背面電極2は、表示電極2Aおよび接続電極2Bを有し、表示電極2Aおよび接続電極2Bは、線状の溝部2Cにより画定され、溝部2Cを介して絶縁されている。背面電極2において、表示電極2Aは、表示電極部2A1と、表示電極部2A1に接続され、電圧印加手段との接続に用いられる第1端子2A2と、表示電極部2A1および第1端子2A2間を接続する第1配線2A3と、を含む。また、接続電極2Bは、透明電極用パッド2B1と、透明電極用パッド2B1に接続され、電圧印加手段との接続に用いられる第2端子2B2と、透明電極用パッド2B1および第2端子2B2間を接続する第2配線2B3と、を含む。
本開示の電子ペーパー用背面電極基材は、後述する図6に例示するような、背面電極基材10と、透明基材21および透明基材21の一方の面に配置された透明電極22を有する透明電極基材20と、背面電極基材10および透明電極基材20間に配置され、表示媒体を含む表示媒体層30と、を有する電子ペーパー100に用いることができる。
本開示の電子ペーパー用背面電極基材によれば、背面電極が金属箔を有し、金属箔は、通常、電極に用いられる金属薄膜や無機化合物膜よりも厚みが大きいことから、上記背面電極がガスバリア層として機能することができ、良好なガスバリア性を発揮することができる。また、背面電極に含まれる金属箔の厚みが大きいため、加締め具を用いて電圧印加手段と接続する場合に、金属箔と加締め具とが十分に接触して良好な電気的接続を取ることが可能なる。さらに、背面電極が、電子ペーパーにおいて透明電極と接続するための接続電極を有するため、本開示の電子ペーパー用背面電極基材を用いた電子ペーパーにおいて、上記接続電極および透明電極間で導通を取ることができる。
本開示の電子ペーパー用背面電極基材は、少なくとも本体部を有する。本体部とは、少なくとも表示電極を有し、本開示の電子ペーパーを用いた電子ペーパーの表示領域と平面視で重なる領域を含む部位であり、電子ペーパーの本体を構成する部位である。ここで、電子ペーパーの表示領域とは、背面電極基材の背面電極が有する表示電極における表示電極部と、表示媒体層と、透明電極基材の透明電極(透明電極における第1領域)とが平面視上重なる領域(後述する図6において符号DAで示す領域)をいい、それ以外の領域を電子ペーパーの非表示領域(後述する図6において符号HAで示す領域)とする。
また、本開示の電子ペーパー用背面電極基材は、背面電極がすべて本体部に設けられていてもよく、本体部および上記本体部の面方向に延出した電極取出し部を有し、本体および電極取出し部に背面電極が設けられていてもよい。上記電極取出し部は、本開示の電子ペーパー用背面電極基材を用いた電子ペーパーにおいて、電子ペーパーの本体の外側(電子ペーパーの非表示領域)に位置する部位である。なお、本開示において電極取出し部は、第1端子が配置された表示電極取出し部、第2端子が配置された接続電極取出し部の個々を意味する場合の他、表示電極取出し部および接続電極取出し部が一体となった背面電極取出し部を意味する場合がある。
図1および図3に示す電子ペーパー用背面電極基材10は、本体部10Aと、本体部10Aの面方向に延出した背面電極取出し部10Bとを有し、本体部10Aでは、表示電極部2A1および透明電極用パッド2B1が溝部2Cを介して配置されており、背面電極取出し部10Bでは、表示電極2Aの第1端子2A2および第1配線2A3、ならびに接続電極2Bの第2端子2B2および第2配線2B3が、溝部2Cを介して隣接して配置されている。電子ペーパー用背面電極基材10は、背面電極取出し部10Bにおいて電圧印加手段と接続させることができ、表示電極2Aおよび接続電極2Bに対して同時に電圧印加が可能となる。
以下、本開示の電子ペーパー用背面電極基材(以下、この項において「電子ペーパー用背面電極基材」を単に「背面電極基材」とする場合がある。)の各構成について説明する。
A.背面電極
本開示の背面電極基材における背面電極は、上記背面基材の一方の面に、上記背面基材側から粘着層、支持層、接着層、および金属箔をこの順に有する。また、上記背面電極は、表示電極および接続電極を有する。
1.背面電極の構成
上記背面電極は、上記背面基材側から順に、粘着層、支持層、接着層、および金属箔の層構成を有する。
(1)金属箔
本開示の背面電極基材における金属箔は、背面電極の導電部として機能する。また、金属箔は、本開示の背面電極基材を用いた電子ペーパーにおいて、外部のガスや水分が電子ペーパーの内へ侵入するのを防止するガスバリア層として機能することができる。
金属箔を構成する金属としては、所望の導電性を有する金属であれば特に限定されず、一般に配線に用いられる金属から選択することができる。上記金属としては、例えば、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン等が挙げられ、中でも、銅、アルミニウムが好ましい。銅、アルミニウムは、安価かつ電気抵抗が低く、また、延伸性を有するため本開示の背面電極基材を曲げた際の電気抵抗の安定性を得ることができるからである。
上記金属箔の厚みは、導電部として機能しつつ、ガスバリア性能を発揮できる大きさとすることが好ましい。上記金属箔の厚みとしては、例えば1μm以上とすることができ、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上とすることができる。また、上記金属箔の厚みは、例えば100μm以下とすることができ、好ましくは50μm以下、より好ましくは20μm以下とすることができる。金属箔の厚みが上記範囲よりも大きすぎると、金属箔の剛性が高いため加工性が低下する場合がある。一方、上記範囲よりも小さすぎると、電圧印加手段と加締め具を介して接続するときに、加締め具との接触が十分に得られない場合がある。なお、従来、背面電極には金属薄膜や無機化合物膜が使用されるが、これらの厚みは金属箔よりも小さく、具体的には15nm~200nm程度である。
(2)接着層
本開示の背面電極基材における接着層は、金属箔と支持層との間に位置し、金属箔と支持層とを接着する層である。
上記接着層を構成する樹脂は、上記接着層を形成する接着剤の樹脂成分に応じて、熱可塑性樹脂であってもよく、硬化樹脂であってもよい。硬化樹脂とは、接着剤に含まれる光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂等の硬化性樹脂が硬化した後の樹脂をいう。
上記接着層の形成に使用される接着剤は、2液硬化型接着剤であってもよく、1液硬化型接着剤であってもよい。また、接着層の形成に使用される接着剤の接着機構についても、特に制限されず、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれであってもよい。
接着剤の樹脂成分としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、共重合ポリエステル等のポリエステル系樹脂;ポリエーテル系樹脂;ポリウレタン系樹脂;エポキシ系樹脂;フェノール樹脂系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、共重合ポリアミド等のポリアミド系樹脂;ポリオレフィン、酸変性ポリオレフィン、金属変性ポリオレフィン等のポリオレフィン系樹脂;ポリ酢酸ビニル系樹脂;(メタ)アクリル系樹脂;ポリイミド系樹脂;尿素樹脂、メラミン樹脂等のアミノ樹脂;クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン-ブタジエンゴム等のゴム;シリコーン系樹脂;ふっ化エチレンプロピレン共重合体;ポリカーボネート系樹脂;セルロース系樹脂等が挙げられる。これらの接着剤成分は1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。2種以上を組み合わせた樹脂成分としては、例えば、ポリアミドと酸変性ポリオレフィンとの混合樹脂、ポリアミドと金属変性ポリオレフィンとの混合樹脂、ポリアミドとポリエステル、ポリエステルと酸変性ポリオレフィンとの混合樹脂、ポリエステルと金属変性ポリオレフィンとの混合樹脂等が挙げられる。
上記接着層は、異なる接着剤成分で多層化してもよい。例えば、金属箔側に配される接着剤成分を金属箔との接着性に優れる樹脂成分で構成された第1接着層とし、支持層側に配される接着剤成分を支持層との接着性に優れる樹脂成分で構成された第2接着層とすることで、金属箔と支持層とのラミネーション強度を向上させることができる。第1接着層の樹脂成分としては、例えば、酸変性ポリオレフィン、金属変性ポリオレフィン、ポリエステルと酸変性ポリオレフィンとの混合樹脂、共重合ポリエステルを含む樹脂等が挙げられる。
上記接着層の厚みは、金属箔と支持層とを十分に接着可能となる厚みであれば特に限定されず、例えば2μm以上、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上とすることができる。また、上記接着層の厚みは、例えば50μm以下、好ましくは25μm以下、より好ましくは10μm以下とすることができる。
(3)支持層
本開示の背面電極基材における支持層は、上記接着層の上記金属箔とは反対側に位置し、金属箔を支持する層である。上記支持層は、後述する「III.背面電極基材の製造方法」に記載の方法を用いて本開示の背面電極基材を製造する際に、背面電極形成工程において金属箔の除去を可能とする部材である。
上記支持層は、フレキシブル性を有していてもよく、フレキシブル性を有さないリジットなものであってもよい。上記支持層がフレキシブル性を有する場合、電子ペーパーを加工性に優れたものとすることができる。
上記支持層は、樹脂材料からなる樹脂層とすることが出来る。後述する「III.背面電極基材の製造方法」に記載の方法を用いて本開示の背面電極基材を製造する際に、画定工程において機械的に切込部を容易に形成することが出来るからである。樹脂層を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、環状ポリオレフィン(COP)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン(PS)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド(PI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリサルフォン(PSF)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、セルローストリアセテート(CTA)、液晶ポリマー、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ガラスエポキシ樹脂等を挙げることができる。
上記支持層の厚みは特に限定されず、適宜調整することができ、例えば10μm以上100μm以下の範囲内とすることができる。支持層の厚みが上記範囲よりも大きすぎると、金属箔を十分に支持できない場合があり、支持層の厚みが上記範囲よりも小さすぎると、本開示の背面電極基材を用いた電子ペーパーの薄型化が困難となる場合がある。
(4)粘着層
本開示の背面電極基材における粘着層は、背面基材と支持層との間に位置し、背面基材と支持層とを固定する。
上記粘着層は、粘着剤により構成される。上記粘着剤は、背面基材と支持層との貼合状態を保持できれば特に限定されず、公知の粘着剤を用いることができる。上記粘着剤を構成する樹脂成分としては、例えば、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、フッ素系樹脂等を挙げることができ、中でも、アクリル系樹脂が好ましい。
図3、図4で示すように、表示電極2Aと接続電極2Bとの間の溝部2Cに粘着層11を有する場合、上記粘着層は絶縁性を有することが好ましい。粘着層を介して溝部で導通が生じるのを防ぐことができるからである。図3は本開示の背面電極基材の他の例を示す概略平面図であり、図4は図3のX-X線断面図である。
上記粘着層の厚みは、背面基材と支持層との貼合状態を保持できる粘着力を発揮できる大きさであれば特に限定されず、例えば3μm以上、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上とすることができ、また、50μm以下、好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下とすることができる。
2.背面電極の構造
上記背面電極は、表示電極および接続電極を有し、上記表示電極および上記接続電極は、線状の溝部により画定され、上記溝部を介して絶縁されている。上記背面電極は、背面基材の表面の所望の領域を覆う、面状の電極とすることができる。
(1)接続電極
上記背面電極における接続電極は、透明電極用パッドと、透明電極用パッドに接続され、電圧印加手段との接続に用いられる第2端子と、透明電極用パッドおよび第2端子間を接続する第2配線と、を含む。接続電極は、電子ペーパーにおいて電圧印加手段および透明電極基材の透明電極と電気的に接続することができる。
上記接続電極における透明電極用パッドは、電子ペーパーにおいて、透明電極基材の透明電極と電気的な接続を取る部分である。上記透明電極用パッドの平面視形状としては、特に限定されないが、透明電極用パッドと透明電極との間に導電性接着部を配置して、上記導電性接着部を介して電気的な接続を取る場合は、上記導電性接着部と面接触可能な領域を有する形状とすることができる。中でも、電子ペーパーの平面視において、導電性接着部よりも面積が大きい領域を有する形状とすることができる。具体的な平面視形状としては、例えば、矩形、円形等が挙げられる。
上記透明電極用パッドの数は、1以上であれば特に限定されず、複数有していてもよい。透明電極用パッドを複数有することで、電子ペーパーにおいて、透明電極基材の透明電極との導通箇所を増やすことができる。
透明電極用パッドは、背面電極基材における電子ペーパーの非表示領域と平面視で重なる領域に位置する。背面電極基材における電子ペーパーの非表示領域と平面視で重なる領域とは、例えば、背面電極基材の本体部の、電子ペーパーの非表示領域と平面視で重なる領域とすることができる。また、背面電極基材が上記本体部の面方向に延出した電極取出し部(パッド電極取出し部または背面電極取出し部)を有する場合は、電子ペーパーの非表示領域と平面視で重なる領域であってもよく、上記電極取出し部であってもよい。
上記透明電極用パッドは、背面電極基材における電子ペーパーの非表示領域と平面視で重なる領域の、本体部の外周近傍にあることが好ましい。「本体部の外周近傍」とは、例えば、本体部の外周から内側に所望の幅を有する周縁領域内とすることができ、必ずしも一定の距離範囲内の領域に限定されるものではない。上記周縁領域の幅としては、例えば5mm以上30mm以内とすることができる。
中でも、透明電極用パッドは、本体部の外周近傍で、且つ、第1端子および第2端子に近いことが好ましい。その理由については、以下のとおりである。まず、透明電極用パッドが本体部の外周近傍よりも内側にあると、透明電極用パッドを画定する上記溝部も本体部の外周近傍よりも内側に設けられることになり、本体部において溝部が占める面積が大きくなる。このような背面電極基材を電子ペーパーに用いると、溝部と表示媒体層との重なる面積も大きくなり、溝部には金属箔が配置されないことから、表示媒体層が溝部において外部のガスや水分と接触して劣化しやすくなる。このため、背面電極基材による表示媒体層の劣化を抑制する効果が十分に発揮されない。これに対し、透明電極用パッドが、本体部の外周近傍で、且つ第1端子および第2端子に近い位置にある場合、溝部の位置も本体部の外周近傍に位置することが出来るため、電子ペーパーにおいて、溝部と表示媒体層とが重なる領域を小さくすることができ、背面電極基材によるガスバリア性を発揮することが出来るからである。また、透明電極用パッドが、本体部の外周近傍で、且つ第1端子および第2端子に近い位置にあると、電子ペーパーにおいて、背面電極基材と電圧印加手段との接続位置に近い位置で、透明電極基材と電気的な接続を取ることが可能となり、電子ペーパーの表示領域を大きく確保することが出来るからである。上記透明電極用パッドが電極取出し部にある場合も同様に、電極取出し部の本体部の外周近傍に配置されることが好ましい。上述した理由に加え、電極取出し部において上記透明電極用パッドが本体部寄りに位置することで、電圧印加手段との接続を確保できるからである。
上記接続電極における第2端子は、電圧印加手段と接続可能となる部分である。上記第2端子は、背面電極基材における電子ペーパーの非表示領域と平面視で重なる領域に有すればよく、本体部に有していてもよく、背面電極基材が上記電極取出し部(パッド電極取出し部または背面電極取出し部)を有する場合は、本体部または上記電極取出し部に有することができる。中でも上記電極取出し部に有することが好ましい。電子ペーパーの本体の外側で電圧印加手段と接続することができ、電子ペーパーの表示領域を広く確保することができるからである。図3では、背面電極基材10の本体部10Aの面方向に延出した背面電極取出し部10Bに第2端子2B2を有しており、図5では、背面電極基材10の本体部10Aの面方向に延出した接続電極取出し部10B1に第2端子2B2を有している。
上記第2端子は、面状とすることができ、その平面視形状は特に限定されないが、例えば、長方形や正方形等の多角形状、円形状等とすることができる。
上記接続電極における第2配線は、透明電極用パッドと第2端子と接続する部分である。上記第2配線は、背面電極基材における電子ペーパーの非表示領域と平面視で重なる領域に有すればよく、透明電極用パッドと第2端子との位置に応じて、本体部に有していてもよく、電極取出し部に有していてもよい。上記第2配線は、面状とすることができ、その平面視形状は、配線としての機能を発揮することが可能な形状であれば特に限定されない。
接続電極は、透明電極用パッド、第2端子、および第2配線が連続した一体とすることができる。
(2)表示電極
上記背面電極における表示電極は、表示画素を駆動する電極であり、表示電極部と、表示電極部に接続され、電圧印加手段との接続に用いられる第1端子と、表示電極部および第1端子間を接続する第1配線と、を含む。
上記表示電極における表示電極部は、本開示の背面電極基材を用いた電子ペーパーにおいて、電子ペーパーの表示領域に配置され、電子ペーパーの表示領域を平面視上覆う単一の導電面を有する。表示電極部における導電面とは、金属箔を有する導電部と金属箔を有さない非導電部とのパターン形状を有さず、全面に金属箔を有する導電部である面をいう。すなわち、表示電極部における導電面とは、金属箔を全域に有する面である。表示電極部における単一の導電面が「電子ペーパーの表示領域を平面視上覆う」とは、電子ペーパーの平面視において、表示領域の全面が、表示電極部における単一の金属箔に覆われることを意味する。
本開示においては、表示電極部が、電子ペーパーの表示領域を平面視上覆う単一の導電面を有することで、本開示の背面電極基材を用いた電子ペーパーにおいて、電圧の印加、非印加に応じて、電子ペーパーの表示面に設けられた印刷情報の可視不可視を切替るための電源のオンオフを行うことができる。本開示の背面電極基材を用いた電子ペーパーの表示態様については、後述する「II.電子ペーパー」の項で説明する。
上記表示電極部における導電面の平面視形状は、上記導電面が電子ペーパーの表示領域を覆う形状であれば特に限定されず、電子ペーパーの表示領域の形状、溝部の形成位置等に応じて適宜設定することができる。
上記表示電極における第1端子は、電圧印加手段と接続可能となる部分である。上記第1端子は、背面電極基材における電子ペーパーの非表示領域と平面視で重なる領域に有すればよく、本体部に有していてもよく、背面電極基材が電極取出し部(パッド電極取出し部または背面電極取出し部)を有する場合は、本体部または上記電極取出し部に有することができる。中でも電極取出し部に有することが好ましい。電子ペーパーの本体の外側で電圧印加手段と接続することができ、電子ペーパーの表示領域を広く確保することができるからである。図3では、背面電極基材10の本体部10Aの面方向に延出した背面電極取出し部10Bに第1端子2A2を有しており、図5では、背面電極基材10の本体部10Aの面方向に延出した表示電極取出し部10B2に第1端子2A2を有している。
上記第1端子は、面状とすることができ、その平面視形状は特に限定されないが、例えば、長方形や正方形等の多角形状、円形状等とすることができる。
上記表示電極における上記第1配線は、背面電極基材における電子ペーパーの非表示領域と平面視で重なる領域に有すればよく、表示電極部と第1端子とを位置に応じて、本体部に有していてもよく、電極取出し部に有していてもよい。上記第1配線は、面状とすることができ、その平面視形状は、配線としての機能を発揮することが可能な形状であれば特に限定されない。
上記表示電極は、表示電極、第1端子、および第1配線が連続した一体とすることができる。
(3)溝部
上記背面電極における溝部は、上記表示電極および上記接続電極を画定する線状の部位である。また、上記表示電極および上記接続電極は、上記溝部を介して絶縁されている。
ここで、上記溝部が「上記表示電極および上記接続電極を画定する」とは、背面電極を表示電極および接続電極の2つの電極領域に分割することをいう。また、上記溝部が線状であるとは、平面視において上記溝部が2つの末端を有することをいう。上記溝部は、その両端が背面電極基材の本体部の外周に位置してもよく、一端が背面電極基材の本体部の外周に位置し、他端が背面電極基材の本体部の面方向に延出した電極取出し部の外周に位置してもよい。また、上記溝部は、平面視において直線状であってもよく、曲線状であってもよく、凹凸状であってもよい。
上記溝部は、接続電極および表示電極の平面視形状に応じて所望のパターンを有することができる。溝部の平面視パターンは、特に限定されず、例えばI字、L字、コの字、U字、折れ線等が挙げられる。
上記溝部の幅は、上記表示電極および上記接続電極間を絶縁可能な大きさであれば特に限定されないが、少なくとも300μm以上とすることができ、好ましくは500μm以上とすることができる。また、上記幅は、3000μm以下とすることができ、好ましくは1000μm以下とすることができる。溝部の幅が小さすぎると、表示電極と接続電極との絶縁が十分に取れない場合があり、溝部の幅が大きすぎると、上記溝部には金属箔が配置されないため、背面電極を占める金属箔の面積の割合が減少し、背面電極基材全体のガスバリア性が上記溝部により損なわれる場合があるからである。なお、溝部の幅とは、図2(a)、図3においてTで示す部分とし、溝部の平面視パターンに応じて、幅が均一であってもよく、幅の異なる箇所を有していてもよい。
上記溝部においては、溝部の深さに応じて背面基材の表面が露出していてもよく、粘着層が露出していてもよい。上記溝部の深さは、少なくとも支持層、接着層、および金属箔の3層の厚みの和とすることができ、支持層、接着層、および金属箔の3層の厚みの和以上、粘着層、支持層、接着層、および金属箔の4層の厚みの和以下とすることができる。
上記背面基材が上記粘着層に対して離型性を有する場合は、上記溝部において粘着層が露出していることが好ましい。粘着層により背面電極が有する各電極が連なり、電子ペーパーにおいて、上記背面基材を剥離して上記粘着層を介して背面電極に他の部材を貼合することができるからである。
上記溝部は、背面電極基材における電子ペーパーの非表示領域と重なる領域に位置し、表示電極および接続電極の形成位置に応じて適宜設定することができ、
(4)その他
上記背面電極においては、接続電極の取出し方向と表示電極の取出し方向とが同一方向であってもよく、異なる方向であってもよい。接続電極の取出し方向と表示電極の取出し方向とが同一方向であるとは、例えば、接続電極2Bの第2端子2B2と表示電極2Aの第1端子2A2とが、背面電極基材10の本体部10Aの同一の面方向に延在していることをいい、電極取出し部を有する場合であれば、例えば、図1、図3で例示するように、接続電極2Bの第2端子2B2を有する接続電極取出し部10B1と、表示電極2Aの第1端子2A2を有する表示電極取出し部10B2とが、背面電極基材10の本体部10Aの面方向において、同一方向に延出していることをいう。また、接続電極の取出し方向と表示電極の取出し方向とが異なる方向であるとは、例えば、接続電極2Bの第2端子2B2と表示電極2Aの第1端子2A2とが、背面電極基材10の本体部10Aの面において異なる方向に延在していることをいい、電極取出し部を有する場合であれば、図5で例示するように、接続電極2Bの第2端子2B2を有する接続電極取出し部10B1と、表示電極2Aの第1端子2A2を有する表示電極取出し部10B2とが、背面電極基材10の本体部10Aの面方向において、異なる方向に延出していることをいう。中でも、接続電極の取出し方向と表示電極の取出し方向とが同一方向であることが好ましく、接続電極取出し部10B1と表示電極取出し部10B2とが、背面電極基材10の本体部10Aの面方向において、同一方向に延出していることがより好ましい。
表示電極の取出し方向と接続電極の取出し方向とが同一方向である場合、表示電極における第1端子と接続電極における第2端子とは、溝部の幅以上の間隔を有して独立していてもよく、溝部を介して並列していてもよい。電極取出し部を有する場合であれば、上述したように、表示電極における第1端子を有する表示電極取出し部と、接続電極における第2端子を有する接続電極取出し部とを、独立して有していてもよく、上記接続電極取出し部および上記表示電極取出し部を含む背面電極取出し部を有していてもよい。接続電極取出し部および表示電極取出し部を含む背面電極取出し部とは、背面電極基材の本体部の面方向に延出した背面電極取出し部を有し、上記背面電極取出し部において、少なくとも表示電極における第1端子と接続電極における第2端子とが溝部を介して隣接していることをいう。図1~図4は、背面電極取出し部10Bを有する例を示しており、表示電極2Aの第1配線2A3および第1端子2A2と、接続電極2Bの第2配線2B3および第2端子2B2とが、溝部2Cを介して隣接している。中でも、本開示の背面電極基材は、接続電極取出し部および表示電極取出し部を含む1つの背面電極取出し部を有すること、すなわち、少なくとも表示電極における第1端子と接続電極における第2端子とが溝部を介して隣接している背面電極取出し部を有していることが好ましい。1つの上記背面電極取出し部に表示電極における第1端子と接続電極における第2端子との両方が設けられているため、電子ペーパーを電圧印加手段と接続する際に、第1端子および第2端子を電圧印加手段に一括接続でき、接続間違いを防ぐことができるからである。
B.背面基材
本開示の背面電極基材における背面基材は、粘着層の上記支持層とは反対側の面に有し、背面電極を支持する。
上記背面基材は、支持層と同様に、フレキシブル性を有していてもよく、フレキシブル性を有さないリジットなものであってもよい。また、上記背面基材は、無機材料からなる無機基材であってもよく、樹脂材料からなる樹脂基材であってもよい。無機材料層を構成する無機材料としては、例えば、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、石英ガラス等のガラスが挙げられる。中でも、無アルカリガラスが好ましい。また、樹脂基材の樹脂については、「A.背面電極」の項で説明した支持層を構成する樹脂と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
上記背面基材は、上記粘着層に対して離型性を有していてもよく、離型性を有さなくてもよい。上記背面基材が上記粘着層に対して離型性を有する場合、上記背面基材が上記粘着層から剥離可能となるため、本開示の背面電極基材を用いた電子ペーパーは、上記背面基材を剥離して壁面等の他の被着体に貼合して用いることができる。また、本開示の背面電極基材を用いて電子ペーパーを製造する際に、上記背面基材を剥離して上記背面基材の代わりに例えばガスバリアフィルム等の他の部材を上記粘着層に貼付することができる。一方、上記背面基材が上記粘着層に対して離型性を有さない場合、上記背面基材は上記粘着層に固定されるため、本開示の背面電極基材を用いて電子ペーパーを製造する際に、上記背面基材をそのまま電子ペーパーの構成の一部に含めることができる。
上記粘着層に対して離型性を有する背面基材としては、例えば、上記粘着層と接する面側に、バインダ樹脂および離型剤を含む離型層を有する樹脂基材、離型剤を含有する樹脂基材等、従来公知の離型シートを用いることができる。
背面基材の厚みは、上記背面基材の一方の面に積層された各層を支持することができる程度の強度を有する厚みであれば特に限定されず、背面基材の種類や離型性の有無等に応じて適宜設定することができる。上記背面基材の厚みは、例えば10μm以上500μm以下の範囲内とすることができる。
C.任意の構成
本開示の背面電極基材は、上述した必須構成である背面電極および背面基材の他に、任意の構成を有することができる。
D.その他
本開示の背面電極基材は、背面電極基材の一方の面の全面(全域)に溝部を含む背面電極を有することができるが、溝部以外の背面電極を有さない領域があってもよい。
本開示の背面電極基材の本体部の平面視形状は、特に限定されず、電子ペーパーに応じて、例えば、正方形、長方形等の矩形状、円形状等、適宜設定することができる。
E.製造方法
本開示の背面電極基材の製造方法については、後述する「III.電子ペーパー用背面電極基材の製造方法」の項で詳細に説明する。
II.電子ペーパー
本開示の電子ペーパーは、上述した「I.電子ペーパー用背面電極基材」の項で説明した背面電極基材と、透明基材および上記透明基材の一方の面に配置された透明電極を有する透明電極基材と、上記電子ペーパー用背面電極基材および上記透明電極基材間に配置され、表示媒体を含む表示媒体層と、を有し、上記電子ペーパー用背面電極基材は、上記背面電極を有する面が上記表示媒体層側に位置し、上記透明電極基材は、上記透明電極を有する面が上記表示媒体層側に位置し、上記透明電極および上記背面電極の上記接続電極が電気的に接続されている。
図6は、本開示の電子ペーパーの一例を示す概略断面図である。図6に示すように、本開示の電子ペーパー100は、上述した「I.電子ペーパー用背面電極基材」の項で説明した背面電極基材10と、透明基材21および透明電極22を有する透明電極基材20と、背面電極基材10と透明電極基材20との間に配置され、表示媒体31を含む表示媒体層30とを有する。また、図6で例示する表示媒体層30は、表示媒体31としてツイストボールと、低極性溶媒層32とを有し、外周にスペーサ33が設けられている。また、背面電極基材10は、背面電極2を有する面が表示媒体層30側に位置し、透明電極基材20は、透明電極22を有する面が上記表示媒体層30側に位置し、透明電極22および背面電極2の接続電極2Bが電気的に接続されている。なお、図6においては、透明電極基材20の透明電極22、および背面電極基材10の背面電極2の接続電極2Bが、透明電極22および接続電極2B間に配置された導電性接着部40を介して電気的に接続されている。電子ペーパー100において、背面電極基材10の背面電極2が有する表示電極2Aにおける表示電極部と、表示媒体層30と、透明電極基材20の透明電極22(透明電極22の第1領域)とが平面視上重なる領域DAが表示領域であり、それ以外の領域が非表示領域HAである。
本開示の電子ペーパーによれば、上述した電子ペーパー用背面電極基材を有することから、上記背面電極の金属箔がガスバリア層として機能し、背面電極基材側から外部のガスや水分が侵入するのを防ぐことができる。これにより、ガスや水分との接触による表示媒体層等の劣化を防ぐことができ、電子ペーパーの耐久性の向上を図ることができる。また、本開示の電子ペーパーによれば、背面電極に含まれる金属箔の厚みが大きいため、背面電極基材と電圧印加手段とを加締め具を介して接続する場合に、金属箔と加締め具とが十分に接触して良好な電気的接続を取ることが可能なる。
以下、本開示の電子ペーパーの各構成について説明する。
A.背面電極基材
本開示の電子ペーパーにおける背面電極基材は、上述した「I.電子ペーパー用背面電極基材」の項で説明した背面電極基材であり、上記背面電極を有する面が上記表示媒体層側に位置するように配置される。背面電極基材については、上述した「I.電子ペーパー用背面電極基材」の項ですでに説明したため、説明を省略する。
B.透明電極基材
本開示の電子ペーパーにおける透明電極基材は、透明基材と、上記透明基材上に形成された透明電極を有する。本開示の電子ペーパーにおいて、透明電極基材は、上記透明電極を有する面が上記表示媒体層側に位置するように配置される。
1.透明基材
上記透明電極基材における透明基材は、所望の透明性を有するものであれば特に限定されず、一般的な電子ペーパーに用いられている透明基材と同様のものを用いることができる。中でも、上記透明基材は、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。透過率が上記範囲であることにより、本開示の電子ペーパーの表示輝度が低下すること等を防止することができるからである。ここで、透明基材の透過率は、JIS K7361-1(プラスチック-透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
上記透明基材は、ガラス基材等のフレキシブル性を有さない透明な基材であってもよく、あるいは、樹脂フィルム等のフレキシブル性を有する透明な基材であってもよい。
中でも、フレキシブルを有する透明な基材を用いることが好ましい。フレキシブルを有する透明な基材を用いることにより、本開示の電子ペーパーにフレキシブル性を付与することが可能となり、加工性を向上させることが可能となるからである。上記樹脂フィルム基材に用いられる樹脂については、上述した「I.電子ペーパー用背面電極基材」の項で説明した樹脂基材に用いられる樹脂と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
また、フレキシブル性を有する薄板ガラスを透明基材として用いてもよい。このような薄板ガラスとしては、例えば、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、石英ガラス等を用いることができ、中でも、無アルカリガラスが好ましい。
上記透明基材の厚みは、特に限定されるものではなく、本開示の電子ペーパーの用途等に応じて適宜調整することができる。具体的な透明基材の厚みとしては、10μm以上500μm以下の範囲内とすることができる。透明基材の厚みが薄すぎると、強度に問題があるおそれがあり、透明基材の厚みが厚すぎると、本開示の電子ペーパーを薄型化することが困難となる場合がある。
2.透明電極
上記透明電極は、透明基材の表示媒体層側の面を覆う面状の電極であり、電子ペーパーの表示領域に位置し、表示に用いられる第1領域と、背面電極と電気的接続を取るための第2領域と、上記第1領域および上記第2領域以外の第3領域と、を有する。ここで面状の電極とは、透明電極が、後述する導電性材料で形成された導電部と導電性材料を有さない非導電部とのパターン形状を有さず、全面が導電性材料で形成されていることをいう。上記透明電極は、透明基材の表示媒体層側の面の全面(全域)を覆う面状の電極とすることができる。
上記透明電極における第1領域は、電子ペーパーの表示領域に位置する領域(共通電極領域)である。上記透明電極は面状であることから、電子ペーパーの表示領域は、全面(全域)が上記透明電極における第1領域の導電面により覆われる。第1領域の導電面とは、後述する導電性材料で形成された導電部と導電性材料を有さない非導電部とのパターン形状を有さず、全面が導電性材料で形成された面、すなわち、導電性材料を全域に有する面である。
上記透明電極における第2領域および第3領域は、透明電極基材における電子ペーパーの非表示領域に配置される。上記第2領域は、背面電極と電気的接続を取るための領域であり、後述する導電性接着部と接触する端子として機能する領域(端子領域)である。また、上記第3領域は、第1領域および第2領域以外の領域であり、第1領域および第2領域間の配線として機能する領域(配線領域)である。上記第2領域は、透明電極基材の本体部に有していてもよく、透明電極基材が後述する透明電極取出し部を有する場合は、透明電極取出し部に有することができる。透明電極における第2領域および第3領域は、通常、第1領域と一体で形成されるが、第1領域と連続した面状となるように金属材料で別途形成されてもよい。透明電極における第2領域および第3領域の平面視形状は特に限定されず、適宜設計することができる。
上記透明電極の材料は、導電性材料であれば特に限定されるものではなく、例えば、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化アルミニウム亜鉛(AZO)等の導電性酸化物、Au、Ni等の金属、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリアルキルチオフェン誘導体、ポリシラン誘導体のような導電性高分子等を用いることができ、中でも、ITOが好適に用いられる。
上記透明電極の厚みは、所望の機能を発揮可能であれば特に限定されず、例えば15nm以上200nm以下の範囲内とすることができる。上記透明電極の厚みが小さすぎると、透明電極を均一な厚みで形成することが困難な場合があり、上記厚みが大きすぎると、透明電極の成膜に用いられる時間や材料が多くなるため、製造コストが高くなる場合がある。
上記透明電極の形成方法は、所望の厚みで形成することができる方法であれば特に限定されず、一般的な成膜方法を用いることができる。上記形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD法や、CVD法、導電ペーストを塗布する方法等が挙げられる。
3.その他
上記透明電極基材は少なくとも本体部を有する。本体部とは、透明電極における第1領域を少なくとも有し、電子ペーパーの表示領域と平面視で重なる領域を含む部位であり、電子ペーパーの本体を構成する部位である。上記透明電極基材は、透明電極がすべて本体部に設けられていてもよく、本体部および上記本体部の面方向に延出した透明電極取出し部を有し、本体部および透明電極取出し部に透明電極が設けられていてもよい。上記透明電極取出し部は、電子ペーパーの本体の外側(電子ペーパーの非表示領域)に位置する部位であり、透明電極における第2領域を少なくとも有することができる。
透明電極基材は、通常、透明基材の表示媒体層側の面の全面(全域)に透明電極を有するが、透明基材の表示媒体層側の面に透明電極を有さない領域があってもよい。
上記透明電極基材は、任意構成として補助電極を有していてもよい。補助電極とは、導電性材料を用いてメッシュ状に形成された電極であり、透明電極に積層させて形成される。上記補助電極を透明電極とともに用いることで、上記透明電極基材の導電性を向上させることが可能となる。なお、補助電極については、一般的な電子ペーパーの透明電極基材に用いられるものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
上記透明電極基材は、通常、透明電極における第2領域において、背面電極基材の接続電極と電気的に接続することができる。
C.表示媒体層
本開示の電子ペーパーにおける表示媒体層は、背面電極基材と、透明電極基材との間に配置される。具体的には、背面電極基材の表示電極における表示電極部と、透明電極基材の透明電極における第1領域との間に配置される。
上記表示媒体層は、本開示の電子ペーパーの表示方式に応じて適宜選択することができる。電子ペーパーの表示方式としては、特に限定されず、例えば、電気泳動方式、ツイストボール方式、粉体移動方式(電子粉流体方式、帯電トナー型方式)、液晶表示方式、エレクトロクロミック方式等が挙げられる。各方式の表示媒体層は、公知のものと同様とすることができるため、詳細については説明を省略する。
上記表示媒体層の厚みは、情報表示を行うことが可能であれば特に限定されず、表示媒体層の種類に応じて適宜設定することができる。上記表示媒体層の厚みとしては、例えば50μm以上、好ましくは100μm以上、より好ましくは200μm以上とすることができ、また、1000μm以下、好ましくは700μm以下、より好ましくは500μm以下とすることができる。
D.導電性接着部
本開示の電子ペーパーは、透明電極および接続電極における透明電極用パッド間に配置され、透明電極と上記背面電極の接続電極とを電気的に接続する導電性接着部を有することができる。透明電極と透明電極用パッドとの間に導電性接着部を配置することで、透明電極および透明電極用パッド間の導通を取ることができ、導電性接着部を介して背面電極基材側から透明電極を取り出すことができるからである。
ここで、「導電性接着部を介して電気的に接続」するとは、導電性接着部を介して透明電極を背面電極基材側に通電することをいう。具体的には、導電性接着部の一端を背面電極基材の背面電極と接触させ、導電性接着部の他端を透明電極と接触させ、上記導電性接着部を介して背面電極基材側から透明電極に電流を流すことを意味する。
また、上記導電性接着部が、上記透明電極および上記接続電極における透明電極用パッド間に配置されるとは、上記透明電極および上記接続電極における透明電極用パッドが平面視上重なる位置に、上記導電性接着部が配置されることをいう。透明電極は、通常、第2領域において導電性接着部と接触する。
導電性接着部は、導電性接着剤、導電性ペースト、導電性テープ等により形成することができる。
導電性接着部を構成する材料は、導電性および接着性を有する組成を有するものであれば特に限定されず、例えばバインダ樹脂および導電性材料を含む一般的な導電性接着組成物が挙げられる。バインダ樹脂としては、例えばエポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、シリコーン系樹脂等の接着剤や粘着剤に用いられる樹脂が挙げられる。また、導電性材料としては、例えば、金、アルミニウム、銀、ニッケル、銅等の金属材料、ITO、SnO2、ZnO等の導電体、グラファイト、カーボンブラック等の炭素材料当が挙げられる。上記導電性材料は、例えば粒子状とすることができる。
上記導電性接着部は、上述した導電性接着組成物により形成された単層構成であってもよく、多層構成を有していてもよい。多層構成としては、例えば、導電性材料層と上記導電性材料層の片面または両面に配置された導電性接着層とを有する構成が挙げられる。具体的には、アルミ箔や銅箔などの金属箔を上記導電性材料層とし、上記導電性材料層の片面または両面に、シリコーン系樹脂やアクリル系樹脂等を含む接着層に上述した導電性材料の粒子が分散された導電性接着層が配置された構成とすることができる。
上記導電性接着部の平面視形状は、対向する透明電極および接続電極における透明電極用パッドの両方に対して面接触が可能な形状であれば特に限定されず、例えば矩形、円形等、適宜設定することができる。上記導電性接着部の平面視形状の面積は特に限定されず、当該導電性接着部に印加される電圧の大きさ等に応じて適宜設定することができる。
上記導電性接着部の断面形状は、対向する透明電極および接続電極における透明電極用パッドの両方に対して面接触可能な形状であれば特に限定されず、通常は柱状の断面形状が挙げられる。
上記導電性接着部の厚み(高さ)は、その機能上、対向する透明電極および接続電極の両方に対して面接触可能な大きさであればよいが、表示媒体層の厚みと等しいことが好ましく、具体的には、上記導電性接着部の厚みが表示媒体層の厚み±20μmの範囲内であることが好ましく、中でも表示媒体層の厚み±10μmの範囲内であることがより好ましい。上記導電性接着部の厚みが表示媒体層の厚みよりも極端に小さいと、背面電極基材の接続電極と透明電極基材の透明電極とが上記導電性接着部を介して接触しにくくなり、一方、上記導電性接着部の厚みが、表示媒体層の厚みよりも大きすぎると、上記導電性接着部が配置された部分である背面電極基材の接続電極と透明電極基材の透明電極との接触部位が盛り上がり、どちらの場合も電気的な接触が不安定となるからである。
電子ペーパー1つあたりの上記導電性接着部の数は、1つでも2つ以上でもよく、導電性接着部に印加される電圧の大きさ、接続電極における透明電極用パッドの数等に応じて適宜設定することができる。
E.ガスバリア層
本開示の電子ペーパーは、少なくとも上記透明電極基材の表示媒体層とは反対側に第1ガスバリア層を有することができる。電子ペーパーの表示面側、すなわち透明電極基材側に第1ガスバリア層が配置されることで、電子ペーパーの表示面側では上記第1ガスバリア層のガスバリア性により、電子ペーパーの表示面と反対側では背面電極基材のガスバリア性により、表示媒体層を、外気中のガスや水分との接触から防ぐことが出来、表示媒体層の劣化を抑制して電子ペーパーの耐久性を向上させることができるからである。
中でも、図7(a)で示すように、第1ガスバリア層51が、透明電極基材20の表示媒体層とは反対側の面のみならず、透明電極基材20および表示媒体層30の側面をも覆うように配置されていることが好ましい。
なお、ガスバリア層が「面を覆う」とは、当該面が露出していないことをいい、当該面とガスバリア層とが直接接していてもよく、当該面とガスバリア層との間に隙間を有していてもよい。
第1ガスバリア層としては、所望のガスバリア性を発揮でき、電子ペーパーの視認性を阻害しないものであればよく、例えば、透明樹脂フィルムの一方の面に透明ガスバリア膜が形成されたガスバリアフィルムを用いることができる。透明ガスバリア膜の材料は、例えば、SiO2等の無機金属化合物等が挙げられる。このようなガスバリアフィルムについては、表示装置等の電子デバイスで用いられる公知のガスバリアフィルムを用いることができる。
ガスバリアフィルムは、透明樹脂フィルムよりもガスバリア膜が透明電極基材側となるように配置することが好ましい。上記の配置とすることで、透明樹脂フィルムによりガスバリア膜を外傷から保護することが出来るからである。上記ガスバリアフィルムは、ガスバリア膜の上記透明樹脂フィルムとは反対側の面に、粘着層を有していてもよい。粘着層を介してガスバリアフィルムを電子ペーパーに貼合することができ、また、後述するように、背面電極基材の表示媒体層とは反対側の面に、第2ガスバリア層としてガスバリアフィルムが配置されている場合は、電子ペーパーを介して対向する第1ガスバリア層と第2ガスバリア層との周縁を貼合することで、電子ペーパーを封止することができるからである。
図7(b)で示すように、上記背面電極基材の背面電極を有する面(背面電極側表面とする場合がある。)が、透明電極基材および表示媒体層と平面視上重ならない露出領域を有する場合は、上記第1ガスバリア層は、透明電極基材の表示媒体層とは反対側の面、ならびに透明電極基材および表示媒体層の側面に加え、さらに上記背面電極基材の背面電極側表面の上記露出領域を覆うように配置されることが好ましい。例えば、背面電極基材が本体部と、上記本体部の面方向に延出した電極取出し部とを有し、上記電極取出し部が露出領域にある場合、上記第1ガスバリア層は、上記電極取出し部の表面を覆うように配置することができる。なお、電極取出し部に有する背面電極は、金属箔を含むことから、電極取出し部の表面が第1ガスバリア層で覆われた状態で加締めても、加締め具を介して電圧印加手段と良好に電気接合を取ることができる。
また、本開示の電子ペーパーは、背面電極基材の表示媒体層とは反対側に第2ガスバリア層が配置されていてもよい。背面電極基材の背面電極が金属箔を有しており、上記金属箔がガスバリア性能を発揮することが可能であるため、別途、上記第2ガスバリア層を配置しなくてもよいが、上記第2ガスバリア層をさらに配置することで、ガスバリア性をより高めることができるからである。中でも、第2ガスバリア層が、背面電極基材の表示媒体層とは反対側の面のみならず、背面電極基材の側面をも覆うように配置されていることが好ましい。
本開示の電子ペーパーにおいて、第1ガスバリア層および第2ガスバリア層を有する態様として、より好ましくは、図7(c)で例示するように、第1ガスバリア層51が、透明電極基材20の表示媒体層30とは反対側の面、ならびに透明電極基材20および表示媒体層30の側面を覆うように配置されており、第2ガスバリア層52が、背面電極基材10の表示媒体層30とは反対側の面、および背面電極基材10の側面を覆うように配置されており、第1ガスバリア層51の周縁と第2ガスバリア層52の周縁とが貼合されている態様が挙げられる。上記態様によれば、電子ペーパーを第1ガスバリア層および第2ガスバリア層で封止することができる。
第2ガスバリア層は、図7(c)で例示するように、背面基材1の背面電極2とは反対側の面に配置されていてもよく、背面基材が粘着層に対して離型性を有する場合は、図8で例示するように、背面基材1を除去して、背面電極2の粘着層11と貼合して配置されていてもよい。
第2ガスバリア層としては、第1ガスバリア層と同様にガスバリアフィルムを用いることができる。なお、第2ガスバリア層は透明を有していてもよく、有さなくてもよい。また、第2ガスバリア層は第1ガスバリア層と同一であってもよく、異なってもよい。
F.印刷層
本開示の電子ペーパーは、図9で示すように、上記透明電極基材20の上記表示媒体層30とは反対側に印刷層60を有することができる。上記印刷層は、電子ペーパーの表示領域に設けられる。
本開示の電子ペーパーは、電源のオンオフに応じて、表示面に有する印刷層の印刷情報の可視または不可視を切り替えることができる。具体的には、電圧印加時は、図10(a)で示すように、表示領域が明るくなるため、印刷層60の印刷情報を視認することができ、一方で、電圧非印加時は、図10(b)で示すように、表示領域が暗くなるため印刷層60の印刷情報を視認できなくなる。このように、本開示の電子ペーパーは、電圧印加の有無に応じて表示を切り替えることにより、アイキャッチ効果を奏することができる。
印刷層は、例えば、図9に示すように、透明支持基材61および透明支持基材61上に設けられた絵柄部62を有することができる。透明支持基材は、透明樹脂フィルム等、一般的な印刷層に用いられる公知のものを用いることができる。また、上記絵柄部は、公知の色材を用いて形成することができる。なかでも、上記色材は、本開示の電子ペーパーの印加時または非印加時における表示領域の色と同色であることが好ましい。印加時または非印加時に、絵柄部と表示領域の色とが同色となることで、絵柄部を不可視化することが出来るからである。
上記印刷層は、透明電極基材の透明基材上に配置されていてもよく、透明基材に絵柄部が直接形成され、透明電極基材と印刷層とが一体となっていてもよい。電子ペーパーが第1ガスバリア層を有する場合は、上記印刷層は、第1ガスバリア層上に設けられる。上記の場合、印刷層は、第1ガスバリア層上に配置されていてもよく、第1ガスバリア層の透明樹脂フィルムに絵柄部が直接形成され、第1ガスバリア層と印刷層とが一体となっていてもよい。
G.電圧印加手段
本開示の電子ペーパーは、背面電極基材と電気的に接続された電圧印加手段を有することができる。背面電極基材は、電子ペーパーの非表示領域において電圧印加手段と接続することができ、背面電極基材が本体部および電極取出し部を有する場合は、上記電極取出し部において電圧印加手段と接続することができる。
電圧印加手段としては、電子ペーパーに電圧を印加することが可能なものであれば、特に限定されず、一般的に電子ペーパーの駆動に用いられるものが挙げられる。
背面電極基材と電圧印加手段とは、直接接続してもよく、背面電極基材と電圧印加手段とを加締め具を介して接続してもよい。図11に示す電子ペーパー100では、背面電極基材10の背面電極取出し部10Bと電圧印加手段110とが、加締め具111を介して接続している。上述したように、背面電極基材10が第1ガスバリア層51等の他の層に覆われる場合であっても、背面電極10に含まれる金属箔14の厚みが大きいため、加締め具111が金属箔14と十分に接触することができる。これにより、背面電極基材と電圧印加手段との間で、加締め具を介して良好な電気的接続を取ることができる。
上記加締め具は、金属箔と接触可能であり、導電性を有するものであれば特に限定されず、一般に配線基板等に用いられるものと同様とすることができる。
H.任意の構成
本開示の電子ペーパーは、上述した構成の他に、例えば、反射防止機能、低反射機能、防眩機能、のぞき見防止機能等の光学的機能を付与することが可能な光学機能層、表面保護層等の任意の構成を有することができる。通常、これらは、電子ペーパーの表示面側、すなわち透明電極基材側に設けられる。任意の構成として例示した各部材については、いずれも公知の部材と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
I.その他
本開示の電子ペーパーにおいては、背面電極基材における背面電極の取出し方向と、透明電極基材における透明電極の取出し方向が同一であってもよく異なってもよいが、同一であることが好ましい。背面電極基材における背面電極の取出し方向と、透明電極基材における透明電極の取出し方向が同一であるとは、背面電極の表示電極における第1端子および接続電極における第2端子と、透明電極における第2領域とが、各電極から電子ペーパーの面内において同一方向に延在することをいう。
中でも、上記背面電極基材が、本体部と、上記本体部の面方向に延出した背面電極取出し部とを有し、上記透明電極基材が、本体部と、上記本体部の面方向に延出した透明電極取出し部と、を有し、背面電極取出し部と透明電極取出し部とが、電子ペーパーの平面視において同一方向に延出していることが好ましく、上記背面電極取出し部と上記透明電極取出し部とが平面視上重なることがより好ましい。背面電極取出し部と透明電極取出し部とが平面視上重なることで、電圧印加手段との接続が容易となり、また、背面電極基材からの透明電極の電極取出しおよび電圧印加手段との接続を、電子ペーパーの面内の同一方向において行うことができるからである。上記背面電極取出し部と上記透明電極取出し部とが平面視上重なるとは、背面電極取出し部に配置された接続電極における第2端子と透明電極取出し部に配置された透明電極における第2領域とが、少なくとも平面視上重なることをいい、さらに、上記第2領域が、背面電極取出し部に配置された表示電極における第1端子と平面視上重なっていてもよい。
上記透明電極および上記背面電極は、上述したように、上記透明電極および上記接続電極における透明電極用パッドの間に配置された導電性接着部を介して電気的に接続することができる。透明電極は、通常、第2領域において、上記背面電極との電気的な接続を取ることが出来る。
上記透明電極および上記接続電極が、透明電極および上記接続電極における透明電極用パッド間に配置された導電性接着部を介して電気的に接続される場合、導電性接着部の位置、すなわち導通位置は、透明電極と透明電極用パッドとが平面視上重なる位置であれば特に限定されず、透明電極用パッドの位置に応じて適宜設定することができる。上記導通位置としては、電子ペーパーの非表示領域であればよく、例えば、電子ペーパーの非表示領域であり且つ透明電極基材の本体部と背面電極基材の本体部とが平面視上重なる領域とすることができる。また、上記背面電極基材が、本体部と、上記本体部の面方向に延出した背面電極取出し部とを有する場合、導電性接着部の位置としては、透明電極用パッドの位置および透明電極における第2領域の位置等に応じて適宜設定することができる。例えば、背面電極基材10が本体部10Aに透明電極用パッドを有し、透明電極基材20が本体部に第2領域を有する場合であれば、図12(a)で例示するように、非表示領域における背面電極基材10の本体部10Aと非表示領域における透明電極基材20の本体部20Aとが平面視上重なる位置とすることができる。また、背面電極基材10が背面電極取出し部10Bに透明電極用パッドを有し、透明電極基材20が透明電極取出し部20Bに第2領域を有する場合であれば、図12(b)で例示するように、背面電極基材10の背面電極取出し部10Bと透明電極基材20の透明電極取出し部20Bとが平面視上重なる位置であってもよい。なお、図12は電子ペーパーの平面視における導電性接着部の位置を説明するための説明図であり、各部材の構成については、記載を省略する。
中でも、図12(b)で例示するように、上記背面電極基材が、本体部と、上記本体部の面方向に延出した背面電極取出し部とを有し、上記透明電極基材が、本体部と、上記本体部の面方向に延出した透明電極取出し部とを有し、上記背面電極取出し部と上記透明電極取出し部とが平面視上重なる領域に上記導電性接着部を有することが好ましい。双方の電極基材の電極取出し部は、電子ペーパーの本体の外側に位置するため、電子ペーパー本体の表示領域を大きく確保することができ、また、電子ペーパーの本体におけるデッドスペースを少なくすることが出来る。
J.製造方法
本開示の電子ペーパーの製造方法については、後述する「IV.電子ペーパーの製造方法」の項で詳細に説明するため、ここでの説明は省略する。
K.用途
本開示の電子ペーパーは、例えばデジタル機器のディスプレイ、電子ブック、デジタル・サイネージ(電子看板)等に用いることができる。
III.電子ペーパー用背面電極基材の製造方法
本開示の電子ペーパー用背面電極基材の製造方法は、背面基材の一方の面に、粘着層、支持層、接着層、および金属箔をこの順に有する背面電極形成用積層体を配置する準備工程と、上記背面電極形成用積層体の厚み方向に、上記金属箔から少なくとも上記支持層まで貫通する切込部を形成し、上記切込部により溝部形成領域を画定する画定工程と、上記背面電極形成用積層体から上記溝部形成領域を除去して線状の溝部を形成し、上記溝部により上記背面電極形成用積層体を分割して、表示電極および上記表示電極と上記溝部を介して絶縁された接続電極を有する上記背面電極を形成する背面電極形成工程と、を有する、製造方法である。
図13は、本開示の電子ペーパー用背面電極基材の製造方法の一例を示す工程図である。まず、準備工程として、図13(a)で示すように、背面基材1の一方の面に、粘着層11、支持層12、接着層13、および金属箔14をこの順に有する背面電極形成用積層体2’を配置する。次に、画定工程として、図13(b)で示すように、背面電極形成用積層体2’の厚み方向に、金属箔14から少なくとも支持層12まで貫通する切込部Vを形成し、切込部Vにより溝部形成領域Pを画定する。続いて、背面電極形成工程として、図13(c)で示すように、背面電極形成用積層体2’から溝部形成領域Pを除去して線状の溝部2Cを形成し、溝部2Cにより背面電極形成用積層体2’を分割して、表示電極2Aおよび表示電極2Aと溝部2Cを介して絶縁された接続電極2Bを有する背面電極2を形成する。これにより、電子ペーパー用背面電極基材10を得ることができる。
近年、電子ペーパーの構造として、駆動の低電圧化の観点から、各電極を基材の表示媒体層側に配置した構造が検討されている。上記構造においては、背面基材の一方の面に、背面電極として、表示用の電極(表示電極)および透明電極とコンタクトを取るための接続電極を設け、上記接続電極および透明電極間を導電性接着部を介して接続し、上記接続電極を電圧印加手段と接続することで、背面電極基材側に設けられた導電性の部材を介して透明電極とを電圧印加手段と電気的に接続することができる。
ここで、通常、表示電極は、表示情報に対応して、導電部および非導電部を有するパターン形状を有することから、背面電極は、一般に、フォトリソグラフィー法やスクリーン印刷等の印刷法を用いて形成され、表示電極のパターン形成と同時に接続電極も形成される。しかし、表示電極が、表示情報の切替を行うものでなく、電子ペーパーの表示面に設けられた印刷情報の可視不可視を切替るための電源のオンオフのみを行うものである場合、上記表示電極は、パターン形状とする必要がなく、全面が導電部となる面状の電極が用いられる。この場合、面状の表示電極と接続電極とを有する背面電極を、フォトリソグラフィー法や印刷法を用いて、背面基材の同一面上に一括形成しようとすると、表示電極と接続電極とに分割するためにマスター版等を準備しなければならず、背面電極基材の製造が煩雑化するという課題がある。また、上記背面電極基材を少量多品種で製造する場合、品種毎に上記マスター版を準備しなければならず、製造コストが高くなるという問題がある。
また、上記「I.電子ペーパー用背面電極基材」の項で説明したように、電子ペーパーにおいて、背面電極基材のガスバリア性や加締め具との接触性を良好とするために、背面電極基材の背面電極は厚みが大きいことが望まれるが、パターニング方法の技術的制約から、金属薄膜や無機化合物膜の厚みを大きくすることは困難である。
これに対し、本開示の電子ペーパー用背面電極基材の製造方法(以下、この項において「電子ペーパー用背面電極基材」を単に「背面電極基材」とする場合がある。)によれば、金属箔を用いるため、ガスバリア性を有し、加締め具との接触性が良好な背面電極を形成することができる。また、金属箔を含む背面電極形成用積層体の所望の位置に切込部を形成し、上記切込部により所定の形状に画定された溝部形成領域を剥離することで、フォトリソグラフィー法や印刷法を用いずに接続電極を含む背面電極を形成することができ、製造の煩雑さを解消することができる。さらに、上記電子ペーパー用背面電極基材を少量多品種で製造する場合であっても、品種に応じて切込部を形成して溝部形成領域を画定すればよく、表示電極と接続電極とに分割するためのマスター版が不要となるため、製造コストを抑えることができる。
以下、本開示の電子ペーパー用背面電極基材の製造方法の各工程について説明する。
A.準備工程
本開示の背面電極基材の製造方法における準備工程は、背面基材の一方の面に、粘着層、支持層、接着層、および金属箔をこの順に有する背面電極形成用積層体を配置する工程である。
1.背面電極形成用積層体および背面基材
本工程における背面電極形成用積層体は、背面基材の一方の面に配置され、上記背面基材の上記一方の面側から、粘着層、支持層、接着層、および金属箔をこの順に有する。背面電極形成用積層体を構成する粘着層、支持層、接着層、および金属箔、ならびに背面基材については、「I.電子ペーパー用背面電極基材」の項で説明したため、ここでの説明は省略する。
2.背面電極形成用積層体の形成方法
本工程における背面電極形成用積層体の形成方法は、背面基材の一方の面上に粘着層、支持層、接着層、および金属箔が所定の積層順となるように形成可能な方法であれば特に限定されず、背面基材上で直接背面電極形成用積層体を形成してもよく、別工程で背面電極形成用積層体を形成し、上記背面電極形成用積層体の上記粘着層側の面と背面基材の一方に面とを貼合してもよい。背面電極形成用積層体は、通常、背面基材の一方の面の全面(全域)に形成される。
上記形成方法としては、例えば、背面基材の一方の面上に、粘着剤を所望の塗布方法で塗布し乾燥して粘着層を形成し、上記粘着層の上記背面基材とは反対側の面に支持層を貼合し、上記支持層の上記粘着層とは反対側の面に接着剤を所望の塗布方法で塗布し乾燥して接着層を形成し、上記接着層の上記支持層とは反対側の面に金属箔を貼合する方法により形成することができる。粘着剤や接着剤の塗布方法は、粘着剤や接着剤の組成等に応じて、押出法、グラビアコート法、ロールコート法、ドライラミネート法等の公知の方法を用いることができる。
B.画定工程
本開示の背面電極基材の製造方法における画定工程は、上記背面電極形成用積層体の厚み方向に、上記金属箔から少なくとも上記支持層まで貫通する切込部を形成し、上記切込部により溝部形成領域を画定する工程である。
1.切込部の形成方法
本工程における切込部の形成方法としては、上記金属箔から少なくとも上記支持層まで切断でき、所望の形状の溝部形成領域を画定することが可能な方法であれば特に限定されないが、中でも機械的切断法を用いることができる。機械的切断法とは、切断機器を用いて破壊加工により切断する方法であり、例えばカッティングプロッターを用いて形成するカッティング法等が挙げられる。
上記切込部は、上記背面電極形成用積層体の厚み方向に、上記金属箔から少なくとも上記支持層まで貫通すればよく、上記金属箔から上記接着層まで貫通してもよい。また、上記切込部は、上記背面基材まで達していてもよいが、上記背面基材を貫通しないものとする。
2.溝部形成領域
本工程において、上記切込部により所望の形状の溝部形成領域が画定される。上記溝部形成領域は、上述の「I.電子ペーパー用背面電極基材」の項で説明した溝部と対応する領域である。上記溝部形成領域の平面視形状、幅については、上述の「I.電子ペーパー用背面電極基材」の項で説明した溝部の平面視形状、幅と同様とすることができる。また、溝部形成領域の形成位置は、接続電極の位置、電子ペーパーにおいて透明電極および接続電極間で導通を取る位置に応じて適宜設定することができ、上述の「I.電子ペーパー用背面電極基材」の項で説明した溝部の位置と同様とすることができる。
C.背面電極形成工程
本開示の背面電極基材の製造方法における背面電極形成工程は、上記背面電極形成用積層体から上記溝部形成領域を除去して線状の溝部を形成し、上記溝部により上記背面電極形成用積層体を分割して、表示電極および上記表示電極と上記溝部を介して絶縁された接続電極を有する上記背面電極を形成する工程である。
溝部形成領域は、厚み方向に少なくとも支持層、接着層、および金属箔を有し、切込部の深さに応じて、粘着層をさらに含むことができる。
溝部形成領域の除去方法は、背面基材から背面電極形成用積層体の溝部形成領域を剥離可能であれば特に限定されず、例えば溝部形成領域を指でつまんで剥離する方法、剥離テープ等を用いて剥離する方法等が挙げられる。
本工程において背面電極形成用積層体から溝部形成領域を除去することで、溝部が形成され、上記溝部により背面電極形成用積層体を表示電極および接続電極に分割することができる。このとき、上記溝部は金属箔を有さないため、背面電極形成用積層体を分割すると同時に、表示電極および接続電極を絶縁することができる。溝部および背面電極については、上述の「I.電子ペーパー用背面電極基材」の項で説明したため、ここでの説明は省略する。
D.任意の工程
本開示の背面電極基材の製造方法は、上述した準備工程、画定工程および背面電極形成工程の他に任意の工程を有することができる。
E.背面電極基材
本開示の電子ペーパー用背面電極基材の製造方法を用いて形成される背面電極基材については、上記「I. 電子ペーパー用背面電極基材」の項で説明したものと同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
IV.電子ペーパーの製造方法
本開示の電子ペーパーの製造方法は、上記「III.電子ペーパー用背面電極基材の製造方法」の項で説明した電子ペーパー用背面電極基材の製造方法を用いて背面電極基材を準備する背面電極基材準備工程と、透明基材および上記透明基材の一方の面に配置された透明電極を有する透明電極基材を準備する透明電極基材準備工程と、表示媒体を含む表示媒体層を準備して、上記透明電極基材の上記透明電極および上記背面電極基材の上記背面電極の間に上記表示媒体層を配置する表示媒体層配置工程と、上記透明電極および上記背面電極の上記接続電極を電気的に接続する接続工程と、を有する、製造方法である。
図14(a)~(d)は、本開示の電子ペーパーの製造方法の一例を示す工程図である。まず、背面電極基材形成工程として、上記「III.電子ペーパー用背面電極基材の製造方法」の項で説明した方法、具体的には、図13(a)~(c)で例示した方法を用いて、図14(a)に示すように背面電極基材10を準備する。また、透明電極基材準備工程として、図14(b)に示すように、透明基材21、および透明基材21の一方の面に配置された透明電極22を有する透明電極基材20を準備する。次に図14(c)~(d)に示すように、表示媒体層配置工程として、表示媒体を含む表示媒体層30を準備して、透明電極基材20の透明電極22および背面電極基材10の背面電極2の間に表示媒体層30を配置し、接続工程として、透明電極22および背面電極2の接続電極2Bを電気的に接続する。図14(c)~(d)においては、透明電極基材20の透明電極22上に、表示媒体層30と、透明電極22上の表示媒体層30が配置されていない領域に導電性接着部40とを配置し、透明電極基材20の透明電極22側の面上に、表示媒体層30および導電性接着部40を介して、背面電極2を有する面が表示媒体層30側となるようにして背面電極基材10を配置する。このとき、透明電極22と接続電極2Bの透明電極用パッド2B1との間に導電性接着部40が配置され、上記透明電極用パッド2B1が導電性接着部40と接触するため、導電性接着部40を介して透明電極22と接続電極2Bとが電気的に接続する。これにより、電子ペーパー100を形成することができる。
本開示の電子ペーパーの製造方法によれば、上記「III.電子ペーパー用背面電極基材の製造方法」の項で説明した方法により背面電極基材を形成することで、背面電極基材を容易に形成することができる。また、背面電極に含まれる金属箔がガスバリア層として機能するため、背面電極基材側にガスバリア層を設ける工程を減らすことができる。さらにまた、上記金属箔は金属薄膜や無機化合物膜よりも厚みが大きいため、背面電極基材と電圧印加手段とを加締め具を介して接続する際に、金属箔と加締め具とが十分に接触可能となり、電気的接続を良好とすることができる。
以下、本開示の電子ペーパーの製造方法における各工程について説明する。なお、背面電極基材準備工程については、上記「III.電子ペーパー用背面電極基材の製造方法」の項で説明したため、ここでの説明は省略する。また、本工程において準備する背面電極基材については、上記「I.電子ペーパー用背面電極基材」の項で説明したものと同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
A.透明電極基材準備工程
本開示の電子ペーパーの製造方法における透明電極基材準備工程は、透明基材および上記透明基材の一方の面に配置された透明電極を有する透明電極基材を準備する工程である。本工程において準備する透明電極基材については、上記「II.電子ペーパー」の項で説明したものと同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
B.表示媒体層配置工程
本開示の電子ペーパーの製造方法における表示媒体層配置工程は、表示媒体を含む表示媒体層を準備して、上記透明電極基材の上記透明電極および上記背面電極基材の上記背面電極の間に上記表示媒体層を配置する工程である。
本工程において準備する表示媒体層については、上記「II.電子ペーパー」の項で説明したものと同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
本工程では、透明電極基材の透明電極上に表示媒体層を配置し、上記表示媒体層の透明電極基材とは反対側の面に、背面電極を有する面が表示媒体層側となるようにして背面電極基材を配置することができる。また、背面電極基材の背面電極上に表示媒体層を配置し、上記表示媒体層の背面電極基材とは反対側の面に、透明電極を有する面が表示媒体層側となるようにして透明電極基材を配置してもよい。
C.接続工程
本開示の電子ペーパーの製造方法における接続工程は、上記透明電極および上記背面電極の上記接続電極を電気的に接続する工程である。
上記透明電極および上記接続電極の接続方法としては、特に限定されないが、上記透明電極および上記接続電極における透明電極用パッド間に導電性接着部を配置して、上記導電性接着部により上記透明電極と上記接続電極とを電気的に接続する方法が好ましい。背面電極基材は、表示電極と同一面上に接続電極における透明電極用パッドを有することから、透明電極と透明電極用パッドとの間に導電性接着部を配置することで、背面電極基材の表示電極を有する面と同一面上において、導電性接着部を介して透明電極および接続電極間の導通を取ることができ、透明電極の取り出しを背面電極基材側で行うことができるからである。
導電性接着部、および上記導電性接着部による接続位置については、上記「II.電子ペーパー」の項で説明したため、ここでの説明は省略する。
導電性接着部による接続方法としては、特に限定されないが、例えば接続電極における透明電極用パッドまたは透明電極に導電性接着剤または導電性ペーストを塗布し、塗布面に透明電極または接続電極における透明電極用パッドを貼合する方法が挙げられる。また、接続電極における透明電極用パッドまたは透明電極に導電性テープを貼合し、上記導電性テープ上に透明電極または接続電極における透明電極用パッドを貼合する方法を用いることもできる。透明電極に導電性接着部を設ける場合は、透明電極における第2領域に導電性接着部を設けることができる。
導電性接着部は、透明電極基材準備工程または表示媒体層配置工程において、図14(c)で例示したように、あらかじめ透明電極基材の透明電極上の、表示媒体層が配置されない領域、具体的には、透明電極における第2領域上に設けてもよい。また、導電性接着部は、背面電極基材準備工程または表示媒体層配置工程において、あらかじめ背面電極基材の背面電極上の、表示媒体層が配置されない領域、具体的には、背面電極の透明電極用パッド上に設けてもよい。導電性接着部が透明電極基材または背面電極基材の一方に設けられていることで、表示媒体層配置工程を行うと同時に本工程を行うことができる。本工程は、通常、表示媒体層配置工程と同時に行うことができる。
D.任意の工程
本開示の電子ペーパーの製造方法は、上述した工程の他に、例えば、少なくとも透明電極基材側にガスバリア層を配置するガスバリア層配置工程、背面電極基材と電圧印加手段とを加締め具を用いて接続する加締め工程等の任意の工程を有することができる。