JP6953479B2 - 部材の打ち抜き加工方法およびダイのチャンファの形状設定方法 - Google Patents

部材の打ち抜き加工方法およびダイのチャンファの形状設定方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6953479B2
JP6953479B2 JP2019120850A JP2019120850A JP6953479B2 JP 6953479 B2 JP6953479 B2 JP 6953479B2 JP 2019120850 A JP2019120850 A JP 2019120850A JP 2019120850 A JP2019120850 A JP 2019120850A JP 6953479 B2 JP6953479 B2 JP 6953479B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
chamfer
die
punching
angle
metal element
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019120850A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021006353A (ja
Inventor
矢ケ崎 徹
徹 矢ケ崎
智美 白鳥
智美 白鳥
和馬 藤原
和馬 藤原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP2019120850A priority Critical patent/JP6953479B2/ja
Publication of JP2021006353A publication Critical patent/JP2021006353A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6953479B2 publication Critical patent/JP6953479B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Analysing Materials By The Use Of Radiation (AREA)
  • Punching Or Piercing (AREA)

Description

本発明は、刃先にチャンファが形成されたダイと、前記ダイに嵌合するパンチとにより、板状の材料から部材を打ち抜き加工する部材の打ち抜き加工方法と、その方法に使用するダイのチャンファの形状設定方法とに関する。
無段変速機用の金属エレメントを金型により板状の材料から打ち抜き加工する際に、プーリのV面に当接する金属エレメントのプーリ当接面の加工精度を高めるために、金型のダイの刃先およびパンチの刃先間のクリアランスを比較的に小さい寸法(材料の板厚の0%〜1%)に設定するものが、下記特許文献1により公知である。
特許第3676192号公報
ところで、金型のダイの刃先およびパンチの刃先間のクリアランスを殆どゼロに設定するゼロクリアランス設定を採用した精密打ち抜き加工においても、工程前期の一次剪断面と工程後期の二次剪断面との間に停留亀裂が発生してしまい、打ち抜き加工面の全域で高精度な剪断面を得ることが難しいという問題があった。
またゼロクリアランス設定を採用した上で、ダイの刃先に微小Rを付与した金型を用いると剪断面は安定するものの、ダイおよびパンチの刃先どうしが干渉してチッピングが発生し易くなり、金型の寿命が低下する問題があった。
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、板状の材料から部材をダイおよびパンチで打ち抜き加工する際に、金型の寿命を確保しながら部材の打ち抜き加工面の精度を高めることを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、刃先にチャンファが形成されたダイと、前記ダイに嵌合するパンチとにより、板状の材料から部材を打ち抜き加工する部材の打ち抜き加工方法であって、チャンファの近傍において、打ち抜き加工時における材料のある部位と隣り合った部位とにおける結晶の方位差の分布を材料の型抜き方向に対して直交する方向からみたときの、前記方位差が小さい部分と大きい部分との間の境界線の方向を材料流動角と定義したときに、この材料流動角に応じて定められる、型抜き方向に直交する方向に対して前記チャンファが成すチャンファ角、打ち抜き加工時における前記チャンファ近傍の前記材料流動角よりも小さく設定ることを特徴とする部材の打ち抜き加工方法が提案される。
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記部材はベルト式無段変速機の金属エレメントであり、前記チャンファは前記パンチに向かって前記チャンファ角が次第に増加するように多段に形成されており、全ての段において前記材料流動角よりも前記チャンファ角が小さく設定されることを特徴とする部材の打ち抜き加工方法が提案される。
また請求項3に記載された発明によれば、請求項の構成に加えて、前記部材はベルト式無段変速機用の金属エレメントであり、該金属エレメントの打ち抜き加工面は山部および溝部を有しており、前記山部に対応する前記チャンファの山部成形部は、前記パンチに向かって前記チャンファ角が次第に増加するように多段に形成され、前記溝部に対応する前記チャンファの溝部成形部は、前記パンチに向かって前記チャンファ角が次第に増加する多段の前記チャンファの先端に、型抜き方向に対して成すチャンファ角が型抜き方向からみたときの材料流動角よりも大きく設定される別の段を有することを特徴とする部材の打ち抜き加工方法が提案される。
また請求項4に記載された発明によれば、請求項1〜請求項3の何れかの構成に加えて、前記材料流動角をEBSD(電子線後方散乱解析:Electron Back Scattered Diffraction Pattern)分析法のKAM(Kernel Average Misorientation)値に基づいて測定することを特徴とする部材の打ち抜き加工方法が提案される。
また請求項5に記載された発明によれば、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の部材の打ち抜き加工方法に使用するダイのチャンファの形状設定方法であって、前記部材の打ち抜き加工時における前記材料のダメージ値に基づいて、該ダメージ値を最小にするように前記チャンファの形状を設定することを特徴とするダイのチャンファの形状設定方法が提案される。
なお、実施の形態の金属エレメント23は本発明の部材に対応し、実施の形態の金属エレメント素材23′は本発明の材料に対応し、実施の形態のプーリ当接面31は本発明の打ち抜き加工面に対応し、実施の形態のメインパンチ44は本発明のパンチに対応する。
また、部材の打ち抜き加工時における材料のダメージ値とは、FEM解析において、材料内の各物体点において破壊条件式によって定義される損傷値を計算し、それをひずみ履歴に沿って積分した値が材料固有の限界値に達した段階で破壊を認定する際に計算される損傷値をいう。
請求項1の構成によれば、部材は刃先にチャンファが形成されたダイと、ダイに嵌合するパンチとにより、板状の材料から打ち抜き加工される。チャンファの近傍において、打ち抜き加工時における材料のある部位と隣り合った部位とにおける結晶の方位差の分布を材料の型抜き方向に対して直交する方向からみたときの、前記方位差が小さい部分と大きい部分との間の境界線の方向を材料流動角と定義したときに、この材料流動角に応じて定められる、型抜き方向に直交する方向に対してチャンファが成すチャンファ角、打ち抜き加工時におけるチャンファ近傍の材料流動角よりも小さく設定したので、部材の打ち抜き加工面のダメージが減少して加工精度が高められるだけでなく、ダイのチャンファにより、ダイおよびパンチの刃先どうしの干渉によるチッピングが防止されて金型の寿命が確保される。
また請求項2の構成によれば、部材はベルト式無段変速機の金属エレメントであり、チャンファはパンチに向かってチャンファ角が次第に増加するように多段に形成されており、全ての段において材料流動角よりもチャンファ角が小さく設定されるので、金属エレメントの打ち抜き加工面の加工精度が更に高められる。
また請求項3の構成によれば、金属エレメントの打ち抜き加工面は山部および溝部を有しているので、浅いチャンファにより加工される金属エレメントの山部には小さいバリが発生し、深いチャンファにより加工される金属エレメントの溝部には大きいバリが発生し易くなる。しかしながら、チャンファにおける溝部に対応する部分は多段のチャンファの先端に、型抜き方向に対してチャンファが成すチャンファ角が、型抜き方向からみたときの材料流動角よりも大きく設定される別の段を有するので、山部が剪断されるのに対して溝部が破断されることで、溝部に発生するバリを山部に発生するバリよりも小さくすることができ、その結果として山部および溝部に発生するバリの大きさを平均化し、極端に大きいバリの発生を防止することができる。
また請求項4の構成によれば、材料流動角をEBSD分析法のKAM値に基づいて測定するので、材料流動角を容易かつ的確に測定することができる。
また請求項5の構成によれば、部材の打ち抜き加工時における材料のダメージ値に基づいて、該ダメージ値を最小にするようにチャンファの形状を設定するので、部材の打ち抜き加工面の加工精度を高めることが可能なダイのチャンファの形状を的確に設定することができる。
ベルト式無段変速機の全体構成を示す図である。 金属ベルトおよび金属エレメントの斜視図である。 金属エレメントを打ち抜き加工する金型の断面図である。 ダイの斜視図である。 金属エレメントのプーリ当接面を成形するダイおよびパンチの刃先付近の形状を示す概念図である。 チャンファを持たないダイの刃先形状を示す断面図である。 実施の形態のダイの刃先形状を示す断面図である。 金属エレメントのダレとチャンファ角との関係の説明図である。 金属エレメントの打ち抜き加工時における材料のダメージ値Cの算出ポイントを示す図である。 金属エレメントの打ち抜き加工時における材料のダメージ値Cを比較するグラフである。
以下、図1〜図10に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1は自動車に搭載されたベルト式無段変速機Tの概略構造を示すもので、ベルト式無段変速機Tはエンジンに接続されるドライブシャフト11と、駆動輪に接続されるドリブンシャフト12とを備えており、ドライブシャフト11に設けたドライブプーリ13とドリブンシャフト12に設けたドリブンプーリ14とに無端状の金属ベルト15が巻き掛けられる。ドライブプーリ13は、ドライブシャフト11に固設された固定側プーリ半体16と、この固定側プーリ半体16に対して接離可能な可動側プーリ半体17とを備えており、可動側プーリ半体17は油室18に作用する油圧で固定側プーリ半体16に向けて付勢される。ドリブンプーリ14は、ドリブンシャフト12に固設された固定側プーリ半体19と、この固定側プーリ半体19に対して接離可能な可動側プーリ半体20とを備えており、可動側プーリ半体20は油室21に作用する油圧で固定側プーリ半体19に向けて付勢される。
図2に示すように、金属ベルト15は左右一対の金属リング22に多数の金属エレメント23を支持したもので構成される。本明細書において、金属ベルト15が走行する方向を前後方向の前方と定義し、金属ベルト15がドライブプーリ13およびドリブンプーリ14に巻き付いた状態で、ドライブプーリ13およびドリブンプーリ14の外周側を径方向の外側と定義し、前後方向および径方向に直交する方向を左右方向と定義する。
金属エレメント23は、左右方向に延びるボディ部24と、ボディ部24の左右方向中央から径方向外側に延びるネック部25と、ネック部25の径方向外端に接続される略三角形のイヤー部26とを備えており、ボディ部24、ネック部25およびイヤー部26間に左右方向外側に開放して金属リング22が嵌合する一対のリングスロット27が形成される。リングスロット27に臨むボディ部24の径方向外端には金属リング22の内周面が着座するサドル面28が形成され、ボディ部24の前面の径方向外端には左右方向に延びるロッキングエッジ29が形成され、ボディ部24の前面にはロッキングエッジ29から径方向内向きかつ後向きに傾斜する傾斜面30が形成される。ロッキングエッジ29はサドル面28の前縁と重なっており、従ってロッキングエッジ29はボディ部24の前面の径方向外端に位置している。
金属エレメント23のボディ部24の左右両端には、ドライブプーリ13およびドリブンプーリ14のV面に当接するプーリ当接面31が形成される。また金属エレメント23のイヤー部26の前面には、イヤー部26の後面に形成した円錐台状のホール33に嵌合可能な円錐台状のノーズ32が形成される。金属エレメント23のプーリ当接面31には、前後方向に延びる複数の山部31aと、隣接する山部31aに挟まれて前後方向に延びる複数の溝部31bとが平行に形成される。プーリ当接面31の山部31aは、ドライブプーリ13およびドリブンプーリ14のV面に当接するため、その表面の加工精度が高いことが要求される。またプーリ当接面31の溝部31bは、ドライブプーリ13およびドリブンプーリ14のV面との間に潤滑油を保持する機能を有している。
図3に示すように、板状の金属エレメント素材23′から金属エレメント23を成形および打ち抜きする打ち抜き加工装置41は、金属エレメント素材23′を前後方向に挟んで固定するダイ42および板押さえ43と、ダイ42に形成された金属エレメント23の外形形状と同形状の穴に摺動自在に嵌合して金属エレメント23の後面に当接するメインパンチ44と、金属エレメント23の外形形状と同形状の穴に摺動自在に嵌合して金属エレメント23の前面に当接するカウンタパンチ45とを備えており、メインパンチ44およびカウンタパンチ45は図示せぬ油圧シリンダでダイ42および板押さえ43に対して前後方向に相対移動可能である。
図4に示すように、ダイ42の刃先には面取り形状のチャンファ42aが形成されており、チャンファ42aに連なるダイ42の内面には、金属エレメント23のプーリ当接面31の山部31aを成形する山部成形部42bと、金属エレメント23のプーリ当接面31の溝部31bを成形する溝部成形部42cとが設けられており、溝部成形部42cは山部成形部42bに対して突出している。
上記構成を備えた打ち抜き加工装置41により、まずダイ42および板押さえ43間に金属エレメント素材23′を挟持して固定し、続いてメインパンチ44およびカウンタパンチ45間に金属エレメント素材23′を挟圧してプレス加工しながら、メインパンチ44およびカウンタパンチ45をダイ42および板押さえ43に対して相対移動させることで、金属エレメント素材23′から金属エレメント23が打ち抜かれる。
図5(A)に概念的に示すように、ダイ42の刃先には面取り形状のチャンファ42aが形成される。金属エレメント23のプーリ当接面31に対応する部分で、ダイ42のチャンファ42aは直線形状に切り欠かれており、打ち抜き加工装置41の型抜き方向に対して直交する方向から測ったチャンファ42aの傾斜角(チャンファ角)はαである。実施の形態において、型抜き方向に対して直交する方向に沿うチャンファ42aの幅は180μmである。
図6に示すように、比較例であるチャンファ42aを持たないダイ42の刃先には、ダイ42の製作時に発生してしまう隅Rが存在する。隅Rの半径は一般的に20μmであり、チャンファ42aの幅を180μmとすると、チャンファ42aを有さずに隅Rを有するダイ42の仮想チャンファ角α´は6.3゜となる。チャンファ42aを有する本発明のダイ42は、少なくとも6.3゜よりも大きいチャンファ角αを有するものとする。
EBSD(電子線後方散乱解析:Electron Back Scattered Diffraction Pattern)法は、材料に照射されて反射した電子線を走査電子顕微鏡に組み合わせたCCDカメラで観測し、材料の結晶構造の情報を基に連続的に取り込んだパターンの結晶方位を算出することにより、結晶粒の方位分析、集合組織や結晶相分布を解析する手法である。EBSD法により得られるKAM(Kernel Average Misorientation)マップは、材料のある測定点と隣り合った部位との方位差の分布を示すもので、材料の歪みが大きいと方位差が大きくなり、無歪の場合は方位差はゼロになる。
図5(B)には、打ち抜き加工中におけるダイ42のチャンファ42aの近傍における材料のKAMマップが示されており、白い部分はKAM値が小さい部分(材料の流動が小さくて歪みが小さい部分)に対応し、黒い部分はKAM値が大きい部分(材料の流動が大きくて歪みが大きい部分)に対応する。KAMマップにおいて、チャンファ42aの近傍におけるKAM値が小さい部分とKAM値が大きい部分との間に境界線(材料流動線)を引くことができ、打ち抜き加工装置41の型抜き方向に対して直交する方向から測った材料流動線の方向が材料流動角βと定義される。
本発明では、図4に示すダイ42のチャンファ42aの山部成形部42bに対応する断面位置において、チャンファ角αが材料流動角βよりも小さく設定される。その結果、ダイ42のチャンファ42aと前記境界線とに挟まれた領域(図5(B)のKAMマップの白い部分)で材料の流動が小さく抑えられ、剪断により打ち抜かれた金属エレメント23のプーリ当接面31の山部31aの表面における材料のダメージを、その内部のダメージよりも小さくすることができ、ダメージが小さいプーリ当接面31の山部31aの表面の加工精度が高められる。
図7には、図5(A)で概念的に示したダイ42の刃先形状を具体化した実施の形態の刃先形状が示される。本実施の形態では、チャンファ42aの山部成形部42bが3段の折れ線で構成されており、1段目のチャンファ角α1は対応する材料流動角β1よりも小さく設定され、2段目のチャンファ角α2は対応する材料流動角β2よりも小さく設定され、3段目のチャンファ角α3は対応する材料流動角β3よりも小さく設定されているため、プーリ当接面31の山部31aの表面の加工精度が更に高められる。
またダイ42のチャンファ42aの溝部成形部42cは、上述した3段の折れ線よりなる山部成形部42bに4段目を加えた形状を有しており、この4段目によりプーリ当接面31の溝部31bが成形される。そして4段目のチャンファ角α4は対応する材料流動角β4よりも大きく設定される。すなわち、チャンファ42aの山部成形部42bではチャンファ角αが材料流動角βよりも小さく設定されるのに対し、チャンファ42aの溝部成形部42cでは逆にチャンファ角αが材料流動角βよりも大きく設定される。
チャンファ角αが材料流動角βよりも小さい山部成形部42bは、プーリ当接面31の山部31aを剪断により打ち抜くのに対し、チャンファ角αが材料流動角βよりも大きい溝部成形部42cは、プーリ当接面31の溝部31bを破断により打ち抜くので、プーリ当接面31の溝部31bは表面が粗くなって精度が低下するが、プーリ当接面31の溝部31bはドライブプーリ13およびドリブンプーリ14のV面に直接当接しないため、表面が粗くなっても特に支障はない。そしてプーリ当接面31の溝部31bを破断により打ち抜くことで、以下のような効果を得ることができる。
すなわち、チャンファ42aの山部成形部42bの深さに対して溝部成形部42cの深さは大きいため、打ち抜かれた金属エレメント23の溝部31bには山部31aに比べて大きなバリが発生する傾向がある。一方、破断により打ち抜かれる溝部31bは、剪断により打ち抜かれる山部31aに比べて発生するバリが小さくなる傾向があるため、上記二つの傾向が相殺することで、山部31aに発生するバリの大きさと溝部31bに発生するバリの大きさとを均等化し、極端に大きいバリが発生するのを防止してバリ取り作業を容易化することができる。
またチャンファ42aを有するダイ42を用いて金属エレメント素材23′から金属エレメント23を打ち抜き加工するとき、材料の一部がダイ42のチャンファ42aの空間に引き込まれるため、その分の材料が不足して打ち抜かれた金属エレメント23のエッジにダレが発生する。チャンファ角αが大きいほど、チャンファ42aのボリュームが大きくなるため、ダレの大きさも増加する。
図8(A)は、材料流動角β>チャンファ角αである実施の形態、つまりチャンファ角αが小さい場合であり、図8(B)は、材料流動角β<チャンファ角αである比較例、つまりチャンファ角αが大きい場合であり、チャンファ角αが小さい実施の形態の方がダレは減少していることが分かる。
Figure 0006953479
数1は、材料のダメージ値(FEM解析において、材料内の各物体点において破壊条件式によって定義される損傷値を計算し、それをひずみ履歴に沿って積分した値が材料固有の限界値に達した段階で破壊を認定する際に計算される損傷値)Cを算出するための破壊条件式であり、算出したダメージ値Cが破壊限界値Ccrt に達したときに材料の破壊が発生すると判定することができる。
図9は、板厚1.5mmの金属エレメント素材23′をダイ42およびメインパンチ44で打ち抜き加工する途中の状態、すなわちメインパンチ44が1.0mmストロークし、金属エレメント素材23′および金属エレメント23が未だ0.5mm繋がっている状態を示している。金属エレメント素材23′の0.5mmの未切断部分におけるダイ42からメインパンチ44を結ぶ、ある幅を持った直線領域において、0.00mm位置(a点参照)、0.25mm位置(b点参照)および0.50mm位置(c点参照)における金属エレメント素材23′のダメージ値Cを数1により算出した結果が図10に示される。
図10(A)は、チャンファ42aを持たずに隅Rだけを持つ比較例(図6参照)であり、図10(B)は、チャンファ幅=180μm、チャンファ角α=20゜の一段のチャンファ42aを持つ実施の形態、図10(C)は、チャンファ幅=180μm、チャンファ角α=20゜および60゜の二段のチャンファ42aを持つ実施の形態、図10(C)は、チャンファ幅=200μm、チャンファ角α=21゜および52゜および78゜の三段のチャンファ42aを持つ実施の形態に対応する。
材料の未切断部分の0.00mm位置(a点)では、全ての実施の形態で材料のダメージ値Cが比較例を下回っており、材料の未切断部分の0.25mm位置(b点)では、図10(B)の実施の形態のダメージ値Cだけが比較例と同等であるが、他の二つの実施の形態でダメージ値Cが比較例を下回っており、材料の未切断部分の0.50mm位置(c点)では、図10(B)の実施の形態のダメージ値Cだけが比較例と同等であるが、他の二つの実施の形態でダメージ値Cが比較例を下回っていることが確認される。そして二段のチャンファ42aを持つ実施の形態(図10(C)参照)および三段のチャンファ42aを持つ実施の形態(図10(D)参照)において、ダメージ値Cの低減効果が特に大きいことが分かる。
したがって、金属エレメント23の打ち抜き加工時における材料のダメージ値Cが最小になるようにダイ42のチャンファ42aの形状を設定すれば、打ち抜き加工面のダメージが小さい金属エレメント23を製造可能な打ち抜き加工装置41を得ることが可能となる。
以上のように、本実施の形態によれば、金属エレメント23を金属エレメント素材23′から打ち抜き加工する際に、そのプーリ当接面31の表面のダメージを軽減して加工精度を高めることができる。
しかも、ダイ42の刃先にチャンファ42aを設けたことで、ダイ42の刃先およびメインパンチ44の刃先の干渉を防止して打ち抜き加工装置41の耐久性を高めることができる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、本発明の部材は実施の形態の金属エレメント23に限定されるものではなく、本発明は打ち抜き加工される任意の部材に対して適用可能である。
また実施の形態では、本発明を金属エレメント23のプーリ当接面31を打ち抜くダイ42のチャンファ42aに適用しているが、ダイ42のチャンファ42aの任意の部分に本発明を適用することができる。特に本発明は、金属エレメント23のプーリ当接面31だけでなく、金属リング22に当接する金属エレメント23のサドル面28を打ち抜くダイ42のチャンファ42aにも好適に適用可能である。
また実施の形態のチャンファ42aは山部成形部42bおよび溝部成形部42cを備えているが、溝部成形部42cは必ずしも必要ではない。
また実施の形態ではチャンファ42aの山部成形部42bが3段の折れ線で構成されているが、段のない直線、2段の折れ線、4段以上の折れ線で構成されていても良い。
また本発明は隅Rだけを有するダイ42には適用されず、チャンファ42aを有するダイ42が前提となっている。本発明におけるチャンファ42aのチャンファ角αは、隅Rに相当する仮想チャンファ角α´である6.3゜よりも大きいことが必要である(図6参照)。
23 金属エレメント(部材)
23´ 金属エレメント素材(材料)
31 プーリ当接面(打ち抜き加工面)
31a 山部
31b 溝部
42 ダイ
42a チャンファ
42b 山部成形部
42c 溝部成形部
44 メインパンチ(パンチ)
α チャンファ角
β 材料流動角

Claims (5)

  1. 刃先にチャンファ(42a)が形成されたダイ(42)と、前記ダイ(42)に嵌合するパンチ(44)とにより、板状の材料(23´)から部材(23)を打ち抜き加工する部材の打ち抜き加工方法であって、
    チャンファ(42a)の近傍において、打ち抜き加工時における材料のある部位と隣り合った部位とにおける結晶の方位差の分布を材料の型抜き方向に対して直交する方向からみたときの、前記方位差が小さい部分と大きい部分との間の境界線の方向を材料流動角(β)と定義したときに、この材料流動角(β)に応じて定められる、型抜き方向に直交する方向に対して前記チャンファ(42a)が成すチャンファ角(α)、打ち抜き加工時における前記チャンファ(42a)近傍の前記材料流動角(β)よりも小さく設定ることを特徴とする部材の打ち抜き加工方法。
  2. 前記部材(23)はベルト式無段変速機用の金属エレメント(23)であり、前記チャンファ(42a)は前記パンチ(44)に向かって前記チャンファ角(α)が次第に増加するように多段に形成されており、全ての段において前記材料流動角(β)よりも前記チャンファ角(α)が小さく設定されることを特徴とする、請求項1に記載の部材の打ち抜き加工方法。
  3. 前記部材(23)はベルト式無段変速機用の金属エレメント(23)であり、該金属エレメント(23)の打ち抜き加工面(31)は山部(31a)および溝部(31b)を有しており、前記山部(31a)に対応する前記チャンファ(42a)の山部成形部(42b)は、前記パンチ(44)に向かって前記チャンファ角(α1〜α3)が次第に増加するように多段に形成され、前記溝部(31b)に対応する前記チャンファ(42a)の溝部成形部(42c)は、前記パンチ(44)に向かって前記チャンファ角(α1〜α3)が次第に増加する多段の前記チャンファ(42a)の先端に、型抜き方向に対して成すチャンファ角(α)が型抜き方向からみたときの材料流動角(β)よりも大きく設定される別の段を有することを特徴とする、請求項1に記載の部材の打ち抜き加工方法。
  4. 前記材料流動角(β)をEBSD分析法のKAM値に基づいて測定することを特徴とする、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の部材の打ち抜き加工方法。
  5. 請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の部材の打ち抜き加工方法に使用するダイのチャンファの形状設定方法であって、
    前記部材(32)の打ち抜き加工時における前記材料(23′)のダメージ値に基づいて、該ダメージ値を最小にするように前記チャンファ(42a)の形状を設定することを特徴とするダイのチャンファの形状設定方法。
JP2019120850A 2019-06-28 2019-06-28 部材の打ち抜き加工方法およびダイのチャンファの形状設定方法 Active JP6953479B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019120850A JP6953479B2 (ja) 2019-06-28 2019-06-28 部材の打ち抜き加工方法およびダイのチャンファの形状設定方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019120850A JP6953479B2 (ja) 2019-06-28 2019-06-28 部材の打ち抜き加工方法およびダイのチャンファの形状設定方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021006353A JP2021006353A (ja) 2021-01-21
JP6953479B2 true JP6953479B2 (ja) 2021-10-27

Family

ID=74165371

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019120850A Active JP6953479B2 (ja) 2019-06-28 2019-06-28 部材の打ち抜き加工方法およびダイのチャンファの形状設定方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6953479B2 (ja)

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
NL1024530C2 (nl) * 2003-10-14 2005-04-15 Bosch Gmbh Robert Het voorkomen van braamvorming bij een stansproces van een dwarselement voor een duwband voor een continu variabele transmissie.
JP2008132509A (ja) * 2006-11-27 2008-06-12 Toyota Motor Corp 打ち抜きダイ及びそれを用いた打ち抜き品の製造方法
JP2010023075A (ja) * 2008-07-18 2010-02-04 Aisin Aw Co Ltd Cvtベルト用エレメントの打抜き加工方法及び打抜き加工用金型
JP6237894B2 (ja) * 2014-05-08 2017-11-29 新日鐵住金株式会社 せん断加工部品の製造方法及び製造装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021006353A (ja) 2021-01-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3720362B2 (ja) 鋸刃の歯形及びそのための方法
JP3676192B2 (ja) 無段変速機用ベルトのエレメントの打抜き加工方法
EP3258125A1 (en) Thrust bearing
KR20150139453A (ko) 절삭 공구의 제조 방법 및 절삭 공구
JP6953479B2 (ja) 部材の打ち抜き加工方法およびダイのチャンファの形状設定方法
CN103732932A (zh) 滑动构件、使用该滑动构件的对开式滑动轴承和对开式滑动轴承的制造方法
JP2010023075A (ja) Cvtベルト用エレメントの打抜き加工方法及び打抜き加工用金型
JP2003001337A (ja) 打ち抜き加工装置
JP5224747B2 (ja) せん断加工方法
JP6856710B2 (ja) 無段変速機用金属エレメントおよび無段変速機用金属エレメントの製造方法
CN110740830B (zh) 锯片及其制造方法
JPH06344049A (ja) プレス機械による剪断加工方法
US20220297249A1 (en) Method of forming teeth of a cutting blade or guard
JP2016124020A (ja) 無段変速機用ベルトのエレメント形成方法及び装置
TW201910026A (zh) 具有切屑形成配置的負精車削嵌件
KR101667645B1 (ko) 금속 부품 챔퍼 가공 방법
JP2007105791A (ja) 抜き型
JP2005253856A (ja) 往復式電気かみそりの内刃製造方法
JP5651353B2 (ja) シェービング金型
US4970923A (en) Shaping die
JP2006312980A (ja) コンロッドの製造方法
KR20180077055A (ko) 스크라이빙 휠
CN109570587B (zh) 一种曲线式微通道冷板的加工方法
CN212792646U (zh) 冲裁模
CN112672867B (zh) 轮胎用模具的制造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20200424

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200508

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20200424

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210416

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210428

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20210623

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210721

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20210721

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210901

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210929

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6953479

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150