以下、本発明に係る液体燃料供給装置の第1の実施の形態について、図1を参照して詳細に説明する。
図1に示される液体燃料供給装置1は、給油所2の敷地内に設けられ、車両の燃料タンク等(図示せず)の燃料供給対象に対してガソリン、軽油等の液体燃料を供給するものである。液体燃料供給装置1は、後述の地下タンク3、筐体4、燃料供給管路5、給油ノズル8、給油ポンプ9、流量計11、継手装置13、分岐管路14、開閉弁15、逆止弁16等を含んで構成されている。
地下タンク3は、給油所2の地下に配置されている。地下タンク3内には、例えばガソリン、軽油等の液体燃料が貯留されている。地下タンク3の内部は、通常、複数個のタンクに分離され、各タンク毎に液種の異なる液体燃料(例えば、レギュラーガソリン、ハイオクガソリン、軽油等)が貯留される。なお、例えば震災、水害等の災害によって地下タンク3内の液体燃料に水分等の不純物が混入した場合には、この不純物が混入した液体燃料を車両の燃料タンク等に供給することはできない。
筐体4は、給油所2の地面から隆起したアイランド2A上に設けられている。筐体4は液体燃料供給装置1の外殻を構成するもので、例えば前面4A、後面4B、左側面4C、右側面4D、上面4Eによって囲まれた箱状をなしている。筐体4の内部には、燃料供給管路5、給油ノズル8、給油ポンプ9、流量計11、分岐管路14、開閉弁15、逆止弁16等が設けられている。また、筐体4の前面4Aには後述の表示装置12が設けられ、筐体4の左側面4Cには後述のホース継手6が設けられ、筐体4の右側面4Dには後述の継手装置13が設けられている。
燃料供給経路としての燃料供給管路5は、地下タンク3内の液体燃料を給油ノズル8に導くものである。燃料供給管路5の流入端5Aは地下タンク3内に開口し、燃料供給管路5の途中部位は筐体4内に配置されている。一方、燃料供給管路5の流出端5Bは、筐体4に設けられたホース継手6を介して給油ホース7に接続されている。筐体4内に位置する燃料供給管路5の途中部位には給油ポンプ9が設けられている。給油ホース7は可撓性を有するホースによって形成され、給油ホース7の一端は、ホース継手6を介して燃料供給管路5の流出端5Bに接続されている。給油ホース7の他端には給油ノズル8が取付けられている。
給油ノズル8は、給油ホース7の他端に取付けられている。即ち、給油ノズル8は、給油ホース7を介して燃料供給管路5の流出端5Bに接続され、地下タンク3内の液体燃料を車両の燃料タンク等(図示せず)に供給するものである。ここで、給油ノズル8は、液体燃料を吐出する吐出パイプ8Aと、給油作業員によって操作される操作レバー8Bを有している。給油ノズル8は、給油作業の待機時には筐体4に設けられたノズル掛け(図示せず)に掛止めされている。そして、給油作業員が筐体4のノズル掛けから給油ノズル8を取外し、吐出パイプ8Aを車両の燃料タンク等に挿入した状態で操作レバー8Bを操作する。これにより、地下タンク3内の液体燃料が給油ポンプ9によって吸上げられ、燃料供給管路5、給油ホース7を通じて給油ノズル8に供給され、吐出パイプ8Aから車両の燃料タンク等に対して液体燃料の供給が行われる。
給油ポンプ9は、筐体4内に位置して燃料供給管路5の途中に設けられている。即ち、給油ポンプ9の流入ポート(吸込ポート)と流出ポート(吐出ポート)には、それぞれ燃料供給管路5が接続され、給油ポンプ9内の流路は燃料供給管路5の一部を構成している。給油ポンプ9は、モータ10によって駆動されることにより、燃料供給管路5の流入端5Aから地下タンク3内の液体燃料を吸込み、この液体燃料を燃料供給管路5の流出端5Bから給油ホース7を通じて給油ノズル8に供給する。従って、燃料供給管路5の流入端5Aは、液体燃料の流れ方向における最上流位置となり、燃料供給管路5の流出端5Bは、液体燃料の流れ方向における最下流位置となる。
流量計11は燃料供給管路5の途中に設けられている。即ち、流量計11は、燃料供給管路5の流入端5Aから流出端5Bへと流れる液体燃料の流れ方向において給油ポンプ9よりも下流側に配置され、燃料供給管路5内を流通する液体燃料の流量を計測するものである。ここで、流量計11は、例えば機械式(カウンタ式)の流量計が用いられ、流量計11によって計測された液体燃料の流量の積算値は、筐体4の外側面に設けられた表示装置12に表示される。
継手装置13は、筐体4の右側面4Dに取付けられている。継手装置13は、タンクローリ車101の貯油タンク102から延びる燃料供給ホース103の先端が連結されるものである。ここで、タンクローリ車101は、例えば給油所2が震災、水害等の災害を受け、地下タンク3内の液体燃料を車両の燃料タンク等に供給することができなくなった場合に給油所2に派遣されるものである。そして、タンクローリ車101の燃料供給ホース103を継手装置13に連結し、燃料供給ホース103に設けられた燃料供給弁104を開くことにより、貯油タンク102内の液体燃料が、分岐管路14、燃料供給管路5、給油ホース7を通じて給油ノズル8に供給される構成となっている。
分岐経路としての分岐管路14は、筐体4内に配置され、燃料供給管路5から分岐して継手装置13に接続されている。即ち、分岐管路14の一端14Aは継手装置13に接続され、分岐管路14の他端14Bは、燃料供給管路5のうち液体燃料の流れ方向において給油ポンプ9よりも下流側に接続されている。即ち、分岐管路14の他端14Bは、給油ポンプ9と流量計11との間となる接続部5Cにおいて燃料供給管路5に接続されている。
開閉弁15は、継手装置13と燃料供給管路5との間に位置して分岐管路14の途中に設けられている。開閉弁15は、例えば手動操作によって開弁位置と閉弁位置とに切替えられる弁装置からなり、開弁位置では分岐管路14を開放(連通)し、閉弁位置では分岐管路14を閉塞(遮断)する構成となっている。開閉弁15は、給油ポンプ9を用いて地下タンク3内の液体燃料を給油ノズル8に供給するときには閉弁位置となって分岐管路14を閉塞し、タンクローリ車101に積載された液体燃料を給油ノズル8に供給するときには開弁位置となって分岐管路14を開放するものである。なお、開閉弁15は、手動操作によって開弁位置と閉弁位置とに切替えられる弁装置に限るものではない。即ち、例えばタンクローリ車101からの液体燃料が分岐管路14から燃料供給管路5へと流れるときには開弁し、液体燃料がこれとは逆向きに流れるときには閉弁する逆止弁を開閉弁として用いてもよい。
逆止弁16は、燃料供給管路5と分岐管路14との接続部5Cよりも地下タンク3側に位置して燃料供給管路5の途中に設けられている。即ち、逆止弁16は、燃料供給管路5のうち液体燃料の流れ方向において給油ポンプ9よりも上流側に設けられている。逆止弁16は、地下タンク3内の液体燃料、またはタンクローリ車101に積載された液体燃料が、燃料供給管路5等を通じて給油ノズル8に供給されるのを許容し、地下タンク3に向けて逆流するのを阻止するものである。なお、逆止弁16は、燃料供給管路5のうち液体燃料の流れ方向において分岐管路14との接続部5Cよりも上流側の任意の位置に設けることができる。例えば、燃料供給管路5のうち分岐管路14との接続部5Cと給油ポンプ9との間に逆止弁16を設けても良い。さらに、例えば特開2015−31265号公報に記載されたポンプ装置と同様に、給油ポンプ9内の流路に逆止弁16を設けても良い。
第1の実施の形態による液体燃料供給装置1は、上述の如き構成を有するもので、以下、地下タンク3に貯留された液体燃料を給油する平常時の給油作業と、震災、水害等の災害が発生した場合に、タンクローリ車101に積載された液体燃料を給油する非常時の給油作業について説明する。
まず、平常時の給油作業について説明する。災害が発生していない平常時においては、地下タンク3内の液体燃料が正常な状態に保たれ、かつ給油ポンプ9が適正に作動する状態にある。この平常時に給油作業を行う場合には、まず、開閉弁15を閉弁位置として分岐管路14を閉塞する。次に、給油作業員が筐体4のノズル掛け(図示せず)から給油ノズル8を取外し、給油ノズル8の吐出パイプ8Aを車両の燃料タンク等(図示せず)に挿入する。
この状態で、給油作業員が給油ノズル8の操作レバー8Bを操作する。これにより、給油ポンプ9が作動し、地下タンク3内の液体燃料が、燃料供給管路5、給油ホース7を通じて給油ノズル8に供給され、吐出パイプ8Aから吐出した液体燃料を、車両の燃料タンク等に供給することができる。このとき、燃料供給管路5を流れる液体燃料の流量は流量計11によって計測され、計測された液体燃料の流量は、筐体4の外側面に設けられた表示装置12に表示される。
次に、非常時の給油作業について説明する。震災、水害等の災害が発生した非常時においては、例えば地下タンク3内の液体燃料が枯渇したり、水分等の不純物が混入して液体燃料が使えなくなるという不具合、あるいは給油所2の電源が失陥して給油ポンプ9等の電動機器が作動できなくなるという不具合が生じる。このため、非常時においては、給油所2にタンクローリ車101が派遣され、このタンクローリ車101の貯油タンク102に貯留された液体燃料が、車両の燃料タンク等に供給される。
非常時に給油作業を行う場合には、開閉弁15を閉弁位置とした状態で、タンクローリ車101の燃料供給ホース103の先端を、筐体4に設けられた継手装置13に連結する。次に、開閉弁15を開弁位置に切替えて分岐管路14を開放する。この状態で、燃料供給ホース103の燃料供給弁104を開き、貯油タンク102に貯留された液体燃料をヘッド圧によって燃料供給ホース103から吐出させる。これにより、給油ポンプ9を用いることなく、液体燃料を分岐管路14、燃料供給管路5、給油ホース7を介して給油ノズル8に供給することができる。
従って、給油作業員が、筐体4のノズル掛け(図示せず)から給油ノズル8を取外し、給油ノズル8の吐出パイプ8Aを車両の燃料タンク等に挿入した状態で給油ノズル8の操作レバー8Bを操作することにより、タンクローリ車101の貯油タンク102に貯留された液体燃料を、車両の燃料タンク等に供給することができる。
この場合、燃料供給管路5のうち分岐管路14の接続部5Cよりも液体燃料の流れ方向の下流側には、機械式の流量計11が設けられている。このため、タンクローリ車101から給油ノズル8に供給される液体燃料の流量を、流量計11によって計測することができる。なお、電源喪失時は、流量計11による流量計測を行うことなく給油を行っても良い。
かくして、第1の実施の形態による液体燃料供給装置1によれば、タンクローリ車101の燃料供給ホース103が連結される継手装置13と、一端14Aが継手装置13に接続され他端14Bが給油ポンプ9と流量計11との間に位置して燃料供給管路5に接続された分岐管路14と、分岐管路14の途中に設けられた開閉弁15と、燃料供給管路5の途中に設けられ液体燃料が地下タンク3に向けて逆流するのを阻止する逆止弁16とを備えている。これにより、災害等がない平常時には、給油ポンプ9を用いて地下タンク3に貯留された液体燃料を給油ノズル8に供給することができる。一方、災害等によって地下タンク3内の液体燃料を給油ノズル8に供給することができない非常時には、タンクローリ車101の燃料供給ホース103を継手装置13に連結することにより、タンクローリ車101に積載した液体燃料を、そのヘッド圧を利用して分岐管路14、燃料供給管路5、給油ホース7を通じて給油ノズル8に供給することができる。この結果、平常時および非常時に拘わらず、既設の液体燃料供給装置1を用いて(可搬式の給油装置を用いることなく)給油ノズル8に液体燃料を供給することができ、液体燃料供給装置1の利便性を高めることができる。
次に、図2は本発明の第2の実施の形態を示し、第2の実施の形態の特徴は、一端が分岐経路の途中で継手装置と開閉弁との間に接続され、他端が燃料供給経路の途中で逆止弁よりも上流側に接続された戻り経路と、戻り経路の途中に設けられた第2の開閉弁とを備えたことにある。なお、第2の実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、第2の実施の形態による液体燃料供給装置21は、第1の実施の形態による液体燃料供給装置1と同様に、地下タンク3、筐体4、燃料供給管路5、給油ノズル8、給油ポンプ9、流量計11、継手装置13、分岐管路14、開閉弁15、逆止弁16等を含んで構成されている。しかし、液体燃料供給装置21は、後述する戻り管路22、第2の開閉弁23が設けられている点で、第1の実施の形態によるものとは異なるものである。
戻り経路としての戻り管路22は、分岐管路14と、燃料供給管路5のうち液体燃料の流れ方向で逆止弁16よりも上流側との間を接続して設けられている。即ち、戻り管路22の一端22Aは、継手装置13と開閉弁15との間で分岐管路14の途中に接続されている。一方、戻り管路22の他端22Bは、燃料供給管路5の流入端5Aと逆止弁16との間で燃料供給管路5の途中に接続されている。戻り管路22は、非常時にタンクローリ車101からの給油作業を行った後に、燃料供給ホース103を継手装置13から取外すときに、燃料供給ホース103内に残留した液体燃料を地下タンク3内に排出するためのものである。これにより、継手装置13から燃料供給ホース103を取外した際に、ホース内部に残留する液体燃料が流出されてしまうことを防止できる。
第2の開閉弁23は、戻り管路22の途中に設けられている。第2の開閉弁23は、例えば手動操作によって開弁位置と閉弁位置とに切替えられ、開弁位置では戻り管路22を開放(連通)し、閉弁位置では戻り管路22を閉塞(遮断)するものである。第2の開閉弁23は、地下タンク3内の液体燃料またはタンクローリ車101に積載された液体燃料を給油ノズル8に供給するときには閉弁位置となって戻り管路22を閉塞し、タンクローリ車101からの給油作業が終了して燃料供給ホース103を継手装置13から取外すときには開弁位置となって戻り管路22を開放するものである。
第2の実施の形態による液体燃料供給装置21は上述の如き構成を有するもので、以下、地下タンク3に貯留された液体燃料を給油する平常時の給油作業と、タンクローリ車101に積載された液体燃料を給油する非常時の給油作業について説明する。
まず、平常時の給油作業について説明する。平常時においては地下タンク3内の液体燃料が清浄な状態に保たれ、かつ給油ポンプ9が適正に作動する状態にある。この平常時に給油作業を行う場合には、開閉弁15を閉弁位置として分岐管路14を閉塞すると共に、第2の開閉弁23を閉弁位置として戻り管路22を閉塞する。次に、給油作業員が筐体4のノズル掛け(図示せず)から給油ノズル8を取外し、給油ノズル8の吐出パイプ8Aを車両の燃料タンク等に挿入する。
この状態で、給油作業員が給油ノズル8の操作レバー8Bを操作することにより給油ポンプ9が作動し、地下タンク3内の液体燃料が、燃料供給管路5、給油ホース7を通じて給油ノズル8に供給され、吐出パイプ8Aから吐出した液体燃料を、車両の燃料タンク等に供給することができる。このとき、燃料供給管路5を流れる液体燃料の流量は流量計11によって計測され、計測された液体燃料の流量は、筐体4の外側面に設けられた表示装置12に表示される。
次に、非常時の給油作業について説明する。非常時においては、給油所2にタンクローリ車101が派遣され、地下タンク3内の液体燃料に代えて、タンクローリ車101の貯油タンク102に貯留された液体燃料が用いられる。
非常時に給油作業を行う場合には、開閉弁15と第2の開閉弁23とを閉弁位置とした状態で、タンクローリ車101の貯油タンク102に接続された燃料供給ホース103の先端を、筐体4に設けられた継手装置13に連結する。次に、開閉弁15を開弁位置に切替えて分岐管路14を開放し、第2の開閉弁23は閉弁位置に保持する。この状態で、燃料供給ホース103の燃料供給弁104を開き、貯油タンク102に貯留された液体燃料をヘッド圧によって燃料供給ホース103から吐出させる。これにより、給油ポンプ9を用いることなく、液体燃料を分岐管路14、燃料供給管路5、給油ホース7を介して給油ノズル8に供給することができる。従って、給油ノズル8の操作に応じて車両の燃料タンク等に液体燃料を供給することができ、このときに燃料供給管路5を流れる液体燃料の流量は、流量計11によって計測することができる。
ここで、非常時にタンクローリ車101からの給油作業を行った後には、燃料供給ホース103内に液体燃料が残留している。このため、タンクローリ車101からの給油作業後に、筐体4の継手装置13から不用意に燃料供給ホース103を取外した場合には、燃料供給ホース103内に残留した液体燃料が外部に漏洩する虞がある。
このため、タンクローリ車101からの給油作業が終了した後には、燃料供給ホース103の燃料供給弁104を閉じる。次に、継手装置13から燃料供給ホース103を取外す前に、開閉弁15を閉弁位置に切替えて分岐管路14を閉塞すると共に、第2の開閉弁23を開弁位置に切替えて戻り管路22を開放する。これにより、燃料供給ホース103内に残留した液体燃料は、戻り管路22を通じて燃料供給管路5に導出され、燃料供給管路5から地下タンク3内に排出される。
そして、燃料供給ホース103内に残留した液体燃料が地下タンク3内に排出された状態で、筐体4の継手装置13から燃料供給ホース103を取外す。この場合、取外された燃料供給ホース103から液体燃料が漏洩することがないので、燃料供給ホース103を安全に取外すことができ、その作業性を高めることができる。
かくして、第2の実施の形態によれば、一端22Aが分岐管路14の途中で継手装置13と開閉弁15との間に接続され、他端22Bが燃料供給管路5の途中で逆止弁16よりも上流側に接続された戻り管路22と、戻り管路22の途中に設けられた第2の開閉弁23とを備えている。このため、タンクローリ車101からの給油作業が終了した後には、開閉弁15を閉弁位置に切替えて分岐管路14を閉塞すると共に、第2の開閉弁23を開弁位置に切替えて戻り管路22を開放することにより、燃料供給ホース103内に残留した液体燃料を、戻り管路22、燃料供給管路5を通じて地下タンク3内に排出することができる。この結果、筐体4の継手装置13から燃料供給ホース103を取外すときに、燃料供給ホース103内に残留した液体燃料が漏洩することがないので、燃料供給ホース103取外すときの安全性、作業性を高めることができる。
次に、図3は本発明の第3の実施の形態を示し、第3の実施の形態の特徴は、一端が燃料供給経路の途中で分岐経路との接続部よりも下流側に接続され、他端が燃料供給経路の途中で逆止弁よりも上流側に接続されたエア抜き経路と、エア抜き経路の途中に設けられた第3の開閉弁とを備えたことにある。なお、第3の実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、第3の実施の形態による液体燃料供給装置31は、第1の実施の形態による液体燃料供給装置1と同様に、地下タンク3、筐体4、燃料供給管路5、給油ノズル8、給油ポンプ9、流量計11、継手装置13、分岐管路14、開閉弁15、逆止弁16等を含んで構成されている。しかし、液体燃料供給装置31は、後述する戻り管路32、第2の開閉弁33、エア抜き管路34、第3の開閉弁35が設けられている点で、第1の実施の形態によるものとは異なるものである。
戻り管路32は、分岐管路14と、燃料供給管路5のうち液体燃料の流れ方向で逆止弁16よりも上流側との間を接続している。即ち、戻り管路32の一端32Aは、継手装置13と開閉弁15との間で分岐管路14の途中に接続されている。一方、戻り管路32の他端32Bは、燃料供給管路5の流入端5Aと逆止弁16との間で燃料供給管路5の途中に接続されている。戻り管路32は、非常時にタンクローリ車101からの給油作業を行った後に、燃料供給ホース103を継手装置13から取外すときに、燃料供給ホース103内に残留した液体燃料を地下タンク3内に排出するためのものである。
第2の開閉弁33は、戻り管路32の途中に設けられている。第2の開閉弁33は、例えば手動操作によって開弁位置と閉弁位置とに切替えられ、開弁位置では戻り管路32を開放し、閉弁位置では戻り管路32を閉塞するものである。第2の開閉弁33は、地下タンク3内の液体燃料またはタンクローリ車101に積載された液体燃料を給油ノズル8に供給するときには閉弁位置となって戻り管路32を閉塞し、タンクローリ車101からの給油作業が終了して燃料供給ホース103を継手装置13から取外すときには開弁位置となって戻り管路32を開放するものである。
エア抜き経路としてのエア抜き管路34は、その両端が燃料供給管路5に接続されている。即ち、エア抜き管路34の一端34Aは、液体燃料の流れ方向において燃料供給管路5のうち分岐管路14との接続部5Cよりも下流側に接続されている。エア抜き管路34の他端34Bは、液体燃料の流れ方向において燃料供給管路5のうち逆止弁16よりも上流側に接続されている。エア抜き管路34は、非常時にタンクローリ車101から液体燃料の給油作業を行うときに、タンクローリ車101の燃料供給ホース103の内部等に溜まったエアを地下タンク3に排出するためのものである。
第3の開閉弁35は、エア抜き管路34の途中に設けられている。第3の開閉弁35は、例えば手動操作によって開弁位置と閉弁位置とに切替えられ、開弁位置ではエア抜き管路34を開放(連通)し、閉弁位置ではエア抜き管路34を閉塞(遮断)するものである。第3の開閉弁35は、タンクローリ車101からの給油作業を行うときの初期段階では開弁位置となってエア抜き管路34を開放し、燃料供給ホース103内に溜まったエアをエア抜き管路34を通じて地下タンク3に排出する。また、第3の開閉弁35は、燃料供給ホース103内に溜まったエアが地下タンク3に排出された後には閉弁位置に切替えられ、エア抜き管路34を閉塞する。
第3の実施の形態による液体燃料供給装置31は上述の如き構成を有するもので、以下、地下タンク3に貯留された液体燃料を給油する平常時の給油作業と、タンクローリ車101に積載された液体燃料を給油する非常時の給油作業について説明する。
平常時に給油作業を行う場合には、開閉弁15を閉弁位置として分岐管路14を閉塞すると共に、第2の開閉弁33を閉弁位置として戻り管路32を閉塞する。また、第3の開閉弁35を閉弁位置としてエア抜き管路34を閉塞する。次に、給油作業員が筐体4のノズル掛け(図示せず)から給油ノズル8を取外し、給油ノズル8の吐出パイプ8Aを車両の燃料タンク等に挿入する。
この状態で、給油作業員が給油ノズル8の操作レバー8Bを操作することにより、給油ポンプ9が作動し、地下タンク3内の液体燃料が、燃料供給管路5、給油ホース7を通じて給油ノズル8に供給され、吐出パイプ8Aから吐出した液体燃料を、車両の燃料タンク等に供給することができる。このとき、燃料供給管路5を流れる液体燃料の流量は流量計11によって計測され、計測された液体燃料の流量は、筐体4の外側面に設けられた表示装置12に表示される。
次に、非常時にタンクローリ車101を用いた給油作業を行う場合には、開閉弁15と第2の開閉弁33とを閉弁位置とする。そして、タンクローリ車101の貯油タンク102に接続された燃料供給ホース103の先端を、筐体4に設けられた継手装置13に連結する。ここで、非常時にタンクローリ車101からの給油作業を行う場合、タンクローリ車101の燃料供給ホース103内にエアが溜まっていることがある。燃料供給ホース103内にエアが溜まった状態で給油作業を行うと、この給油作業の初期段階において、流量計11によって計測される液体燃料の流量と、実際に車両の燃料タンク等(燃料供給対象)に供給された液体燃料の流量との間に誤差(器差)が生じる。このため、タンクローリ車101からの給油作業を行う場合には、燃料供給ホース103内に溜まったエアを排出するエア抜き作業を行う必要がある。
エア抜き作業を行う場合には、開閉弁15を開弁位置に切替えて分岐管路14を開放すると共に、第2の開閉弁33を閉弁位置に保持して戻り管路32を閉塞し、さらに、第3の開閉弁35を開弁位置としてエア抜き管路34を開放する。この状態で、燃料供給ホース103の燃料供給弁104を開き、貯油タンク102に貯留された液体燃料をヘッド圧によって燃料供給ホース103から吐出させることにより、液体燃料は分岐管路14から燃料供給管路5へと流れる。この液体燃料の流れにより、燃料供給ホース103内あるいは分岐管路14内に溜ったエアが燃料供給管路5に押出され、このエアは、エア抜き管路34、燃料供給管路5のうち逆止弁16よりも上流側の部位を通じて地下タンク3内に排出される。
そして、燃料供給ホース103からの液体燃料の供給を開始した時点から一定時間が経過したときには、燃料供給ホース103内のエアが、エア抜き管路34を通じて地下タンク3内に排出されたと考えられる。従って、燃料供給ホース103からの液体燃料の供給を開始した時点から一定時間が経過した後には、第3の開閉弁35を閉弁位置に切替えることにより、エア抜き管路34を閉塞する。これにより、燃料供給ホース103から分岐管路14を通じて燃料供給管路5に導かれた液体燃料を、給油ホース7を介して給油ノズル8に供給することができる。そして、給油ノズル8に供給された液体燃料は、操作レバー8Bの操作に応じて車両の燃料タンク等に供給され、このときに燃料供給管路5を流れる液体燃料の流量は流量計11によって計測される。
この場合、タンクローリ車101を用いた給油作業の初期段階で、燃料供給ホース103内にエアが溜まっていたとしても、このエアは、エア抜き管路34を通じて地下タンク3内に排出される。従って、流量計11によって計測される液体燃料の流量と、実際に車両の燃料タンク等に供給された液体燃料の流量との間の誤差を抑えることができ、流量計11によって計測される液体燃料の流量の精度(器差精度)を高めることができる。
一方、タンクローリ車101からの給油作業が終了した後には、燃料供給ホース103を継手装置13から取外す前に、燃料供給ホース103内に残留した液体燃料を地下タンク3内に排出する必要がある。このため、燃料供給ホース103を継手装置13から取外す前には、燃料供給ホース103の燃料供給弁104を閉じ、開閉弁15を閉弁位置に切替えて分岐管路14を閉塞すると共に、第2の開閉弁33を開弁位置に切替えて戻り管路32を開放する。これにより、燃料供給ホース103内に残留した液体燃料は、戻り管路32を通じて燃料供給管路5に導出され、燃料供給管路5から地下タンク3内に排出される。そして、燃料供給ホース103内に残留した液体燃料が地下タンク3内に排出された状態で継手装置13から燃料供給ホース103を取外ことにより、燃料供給ホース103を安全に取外すことができる。
かくして、第3の実施の形態によれば、一端32Aが燃料供給管路5の途中で分岐管路14との接続部5Cよりも下流側に接続され、他端32Bが燃料供給管路5の途中で逆止弁16よりも上流側に接続されたエア抜き管路34と、エア抜き管路34の途中に設けられた第3の開閉弁35とを備えている。このため、タンクローリ車101を用いた給油作業の初期段階において、タンクローリ車101の燃料供給ホース103内にエアが溜まっていたとしても、このエアを、燃料供給ホース103から分岐管路14に吐出した液体燃料によって燃料供給管路5に押出し、エア抜き管路34、燃料供給管路5を通じて地下タンク3内に排出することができる。この結果、タンクローリ車101を用いた給油作業時に流量計11によって計測される液体燃料の流量と、実際に車両の燃料タンク等に供給された液体燃料の流量との間の誤差を抑えることができ、流量計11によって計測される液体燃料の流量の精度(器差精度)を高めることができる。
次に、図4は本発明の第4の実施の形態を示し、第4の実施の形態の特徴は、一端が分岐経路の途中に接続され他端が燃料供給経路の途中で給油ポンプよりも上流側に接続された予備経路と、分岐経路と予備経路との接続部に設けられた切替弁とを備えたことにある。なお、第4の実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、第4の実施の形態による液体燃料供給装置41は、第1の実施の形態による液体燃料供給装置1と同様に、地下タンク3、筐体4、燃料供給管路5、給油ノズル8、給油ポンプ9、流量計11、継手装置13、分岐管路14、開閉弁15、逆止弁16等を含んで構成されている。しかし、液体燃料供給装置41は、後述する予備経路42、切替弁43が設けられている点で、第1の実施の形態によるものとは異なるものである。
予備経路としての予備管路42は、分岐管路14と燃料供給管路5との間を接続して設けられている。即ち、予備管路42の一端42Aは、燃料供給管路5のうち分岐管路14との接続部5Cと開閉弁15との間で分岐管路14の途中に接続されている。予備管路42の他端42Bは、液体燃料の流れ方向において燃料供給管路5のうち逆止弁16よりも上流側に接続されている。
ここで、例えば災害等が発生した非常時には、給油ポンプ9が作動できる状態であるにも関わらず、地下タンク3内に液体燃料が無い、あるいは地下タンク3内の液体燃料に水分等の不純物が混入して使用することができないことがある。このため、タンクローリ車101の貯油タンク102に貯留された液体燃料を、分岐管路14から予備管路42を通じて燃料供給管路5に導くことにより、タンクローリ車101からの液体燃料を、給油ポンプ9によって給油ノズル8に供給することができる構成となっている。
切替弁43は、分岐管路14と予備管路42との接続部に設けられている。切替弁43は、例えば3ポート2位置の手動操作式の方向制御弁からなっている。切替弁43は、タンクローリ車101から給油ノズル8に供給される液体燃料の経路を、分岐管路14および燃料供給管路5を通じて給油ノズル8に供給する第1の経路(矢示Aの経路)と、分岐管路14、予備経路42、および燃料供給管路5を通じて給油ノズル8に供給する第2の経路(矢示Bの経路)とに選択的に切替える構成となっている。
従って、例えば電源の失陥等によって給油ポンプ9が作動しない場合には、切替弁43によって第1の経路を選択することにより、タンクローリ車101の貯油タンク102に貯留された液体燃料のヘッド圧を利用して、タンクローリ車101からの液体燃料を分岐管路14、燃料供給管路5、および給油ホース7を通じて給油ノズル8に供給することができる。一方、給油ポンプ9が作動可能な場合には、切替弁43によって第2の経路を選択することにより、給油ポンプ9を利用して、タンクローリ車101からの液体燃料を分岐管路14、予備管路42、燃料供給管路5、および給油ホース7を通じて給油ノズル8に供給することができる。
第4の実施の形態による液体燃料供給装置41は上述の如き構成を有するもので、以下、地下タンク3に貯留された液体燃料を給油する平常時の給油作業と、タンクローリ車101に積載された液体燃料を給油する非常時の給油作業について説明する。
平常時に給油作業を行う場合には、開閉弁15を閉弁位置として分岐管路14を閉塞する。次に、給油作業員が筐体4のノズル掛け(図示せず)から給油ノズル8を取外し、給油ノズル8の吐出パイプ8Aを車両の燃料タンク等に挿入する。
この状態で、給油ノズル8の操作レバー8Bを操作して給油ポンプ9を作動させることにより、地下タンク3内の液体燃料が、燃料供給管路5、給油ホース7を通じて給油ノズル8に供給される。これにより、給油ノズル8の吐出パイプ8Aから吐出した液体燃料を車両の燃料タンク等に供給することができる。燃料供給管路5を流れる液体燃料の流量は流量計11によって計測され、計測された液体燃料の流量は、筐体4の外側面に設けられた表示装置12に表示される。
次に、非常時にタンクローリ車101を用いた給油作業を行う場合には、開閉弁15を閉弁位置とした状態で、タンクローリ車101の燃料供給ホース103の先端を筐体4に設けられた継手装置13に連結する。
ここで、例えば給油所2の電源が失陥して給油ポンプ9が作動しない場合には、切替弁43によって第1の経路(矢示Aの経路)を選択する。次に、開閉弁15を開弁位置に切替えて分岐管路14を開放することにより、貯油タンク102に貯留された液体燃料をヘッド圧によって燃料供給ホース103から吐出させる。これにより、タンクローリ車101の液体燃料を、給油ポンプ9を用いることなく、分岐管路14、燃料供給管路5、給油ホース7を通じて給油ノズル8に供給することができる。従って、給油ノズル8の操作に応じて車両の燃料タンク等に液体燃料を供給することができ、このときに燃料供給管路5を流れる液体燃料の流量は、流量計11によって計測することができる。
一方、給油ポンプ9が作動可能な場合には、切替弁43によって第2の経路(矢示Bの経路)を選択する。次に、開閉弁15を開弁位置に切替えて分岐管路14を開放することにより、貯油タンク102に貯留された液体燃料を燃料供給ホース103から分岐管路14に吐出させる。これにより、液体燃料は、分岐管路14から予備管路42を通じて、燃料供給管路5のうち給油ポンプ9よりも上流側(流入側)に導かれる。この結果、液体燃料は、給油ポンプ9によって加圧された状態で、燃料供給管路5、給油ホース7を通じて給油ノズル8に供給される。給油ノズル8に供給された液体燃料は、給油ノズル8の操作に応じて車両の燃料タンク等に供給され、このときに燃料供給管路5を流れる液体燃料の流量は、流量計11によって計測される。
このように、非常時においても給油ポンプ9が作動可能であれば、タンクローリ車101からの液体燃料を、給油ポンプ9によって給油ノズル8に供給することができる。従って、タンクローリ車101の貯油タンク102に貯留された液体燃料のヘッド圧が低い場合でも、この液体燃料を円滑に給油ノズルに供給することができる。この結果、非常時にタンクローリ車101を用いた給油作業の作業性を高めることができる。
かくして、第4の実施の形態によれば、一端42Aが分岐管路14の途中に接続され、他端42Bが燃料供給経路5の途中で給油ポンプ9よりも上流側に接続された予備管路42と、分岐管路14と予備管路42との接続部に設けられた切替弁43とを備えている。このため、給油ポンプ9が作動しない場合には、切替弁43によって第1の経路を選択することにより、タンクローリ車101の貯油タンク102に貯留された液体燃料のヘッド圧を利用して、液体燃料を分岐管路14、燃料供給管路5、給油ホース7を通じて給油ノズル8に供給することができる。一方、給油ポンプ9が作動可能な場合には、切替弁43によって第2の経路を選択することにより、タンクローリ車101からの液体燃料を、そのヘッド圧に拘わらず、分岐管路14から予備管路42を通じて給油ポンプ9の上流側(流入側)に導き、給油ポンプ9によって加圧した状態で、燃料供給管路5、給油ホース7を通じて給油ノズル8に円滑に供給することができる。
なお、第2の実施の形態では、戻り管路22の他端22Bを、燃料供給管路5の流入端5Aと逆止弁16との間で燃料供給管路5の途中に接続した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば戻り管路22の他端を地下タンク3に直接的に接続(開口)させても良い。
即ち、図5に示す変形例による液体燃料供給装置21′のように、戻り管路22′の一端22A′を、継手装置13と開閉弁15との間で分岐管路14の途中に接続し、戻り管路22′の他端22B′を、地下タンク3に直接的に接続(開口)する構成としてもよい。
さらに、第3の実施の形態では、エア抜き管路34の途中に設けられる第3の開閉弁35として、手動操作によって開弁位置と閉弁位置とに切替えられる弁装置を用いた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば燃料供給ホース103から燃料供給管路5内に押出されたエアが、エア抜き管路34を通じて地下タンク3側に流れるときには開弁し、これとは逆向きに流れるときには閉弁する逆止弁を第3の開閉弁として用いてもよい。