JP6952316B1 - 大麦若葉搾汁乾燥粉末の青汁用飲食品組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】初摂取や摂取頻度の低い消費者であっても美味しく、飲みやすい大麦若葉搾汁乾燥粉末を提供することを目的とする。【解決手段】大麦若葉搾汁乾燥粉末に水溶性食物繊維を配合する青汁用飲食品組成物であって、大麦の品種が赤神力及び/又はベニハダカであり、大麦若葉搾汁乾燥粉末の含有量が30質量%〜70質量%であることを特徴とする青汁用飲食品組成物である。さらに、大麦の品種がベニハダカである場合において、大麦若葉搾汁乾燥粉末の含有量が10質量%〜50質量%である。【選択図】図4

Description

本発明は、大麦若葉搾汁乾燥粉末の青汁用飲食品組成物に関する。
味覚は、五感の一つであり、生理学的には「甘味、酸味、塩味、苦味、旨味」が基本の味(五味)となる。青汁の場合、五味のうち特に「苦味、塩味、酸味」の強弱が嗜好性を高める鍵となっている。青汁は「苦味、塩味、酸味」が強ければ飲みにくく、「苦味、塩味、酸味」が弱ければ飲みやすいものとなる。特に青汁を初めて摂取する消費者や、摂取頻度の低い消費者には青汁を飲むための高いハードルとなっており、青汁の旨味やコクよりも苦みや塩味の方が強く感じられ、その結果として喉越しが悪く、青葉の青臭さを感じることが問題となっている。
大麦若葉粉末は、ビタミンやミネラルなどの栄養素を補給する目的で、いわゆる「青汁」の原料として広く利用されている。大麦若葉乾燥粉末には、大麦若葉を搾汁した後、乾燥して粉末化するものと、大麦若葉を直接粉砕して粉末化するものとがある。このうち大麦若葉を搾汁して乾燥粉末化する大麦若葉搾汁乾燥粉末は、洗浄、粉砕、搾汁、濃縮、噴霧乾燥、及び造粒の工程を経て製造される。大麦若葉搾汁乾燥粉末は、搾汁工程において植物の繊維質が除去されており、大麦若葉を直接粉砕する大麦若葉乾燥粉砕末と比較して、味、食感、香りが比較的優れている。しかし、それだけでは、消費者や摂取頻度の低い消費者にとって青汁を美味しく飲むには十分なものとは言えなかった。
特許文献1には、大麦品種である「トヨノホシ」の葉及び/又は茎を使用した搾汁乾燥粉末及び乾燥粉砕末の青汁が味、食感、色、香りにおいて大麦品種の「はるか二条」、「イチバンボシ」より優れていることが記載されている。
特許文献2には、大麦品種である「倍取、シルキースノウ、サヌキハダカ、ダイシモチ及びイチバンボシ」の葉及び/又は茎を使用した少なくとも一品種の乾燥粉砕末の青汁がえぐみの弱さ及び甘さ、えぐみの弱さ及び美味しさにおいて大麦品種の「赤神力、煌二条、ニシノチカラ、羽系B0846、羽系B0866、羽系B0879、羽系B0857、羽系B0813、ニシノホシ」より優れていることが記載されている。
特許第6624661号公報 特許第5363674号公報
特許文献1の発明では、大麦若葉搾汁乾燥粉末と大麦若葉乾燥粉砕末との官能試験を行い、味(甘味、えぐみ、苦み、味の強さ、コク)、食感(喉ごし、後味、粉っぽさ、口当たり、舌触り)、色と香りについて詳細な比較試験を行っている。しかしながら、初摂取や摂取頻度の低い消費者に対する評価試験は行われておらず、初摂取や摂取頻度の低い消費者への対応としては十分なものではなかった。
特許文献2の発明では、色の鮮やかさ、えぐみの弱さ及び甘さ、えぐみの弱さ及び美味しさに関して官能試験による評価を行っているが、大麦若葉乾燥粉砕末のみを対象としており、大麦若葉搾汁乾燥粉末の評価は行われておらず、十分なものとは言えなかった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、初摂取や摂取頻度の低い消費者であっても美味しく、飲みやすい大麦若葉搾汁乾燥粉末を提供することを目的とする。
即ち、本発明は以下の発明を含む。
[発明1]
青汁用飲食品組成物の嗜好性を高める方法であって、
大麦若葉搾汁乾燥粉末に水溶性食物繊維を配合する工程を有し、
大麦の品種が赤神力及び/又はベニハダカであり、
大麦若葉搾汁乾燥粉末の含有量が10質量%〜70質量%であることを特徴とする方法。
[発明2]
大麦の品種が赤神力であることを特徴とする発明1に記載の方法
[発明3]
大麦の品種がベニハダカであることを特徴とする発明1に記載の方法
[発明4]
大麦若葉搾汁乾燥粉末の含有量が30質量%〜50質量%であることを特徴とする発明1乃至3何れか1の発明に記載の方法。
[発明5]
水溶性食物繊維が難消化性デキストリン、アカシアファイバー、及びイヌリンの中から選択される少なくとも1種類であることを特徴とする発明1乃至何れか1の発明に記載の方法
本発明の青汁用飲食品組成物は、味、食感共に優れているため、今まで青汁を敬遠していた消費者に対しても問題なく提供することができ、ひいては青汁の市場を増加させることができる。
図1は大麦品種「ベニハダカ」の系統図である。 図2は大麦若葉搾汁液を用いた「苦味、塩味、酸味」に関する大麦品種間の比較試験結果である。 図3は大麦若葉搾汁乾燥粉末を用いた「苦味、塩味、酸味」及び「甘味、旨味」に関する大麦品種間の比較試験結果であり、図3(a)は「苦味、塩味、酸味」のグラフであり、図3(b)は「甘味、旨味」のグラフである。 図4は大麦若葉搾汁乾燥粉末(赤神力)と水溶性食物繊維の含有量の違いによる味、食感、色、香りを比較した表である。 図5は大麦若葉搾汁乾燥粉末(赤神力)と水溶性食物繊維の含有量の違いによる味、食感を比較したグラフであり、図5a)は水溶性食物繊維として難消化性デキストリンを用いて評価したグラフであり、図5b)は水溶性食物繊維としてアカシアファイバーを用いて評価したグラフであり、図5c)は水溶性食物繊維としてイヌリンを用いて評価したグラフである。 図6は大麦若葉搾汁乾燥粉末(赤神力)と水溶性食物繊維の含有量の違いによる色の違いを比較したグラフであり、図6a)は水溶性食物繊維として難消化性デキストリンを用いて評価したグラフであり、図6b)は水溶性食物繊維としてアカシアファイバーを用いて評価したグラフであり、図6c)は水溶性食物繊維としてイヌリンを用いて評価したグラフである。 図7は大麦若葉搾汁乾燥粉末(ベニハダカ)と水溶性食物繊維の含有量の違いによる味、食感、色、香りを比較した表である。 図8は大麦若葉搾汁乾燥粉末(ベニハダカ)と水溶性食物繊維の含有量の違いによる味、食感を比較したグラフであり、図8a)は水溶性食物繊維として難消化性デキストリンを用いて評価したグラフであり、図8b)は水溶性食物繊維としてアカシアファイバーを用いて評価したグラフであり、図8c)は水溶性食物繊維としてイヌリンを用いて評価したグラフである。 図9は大麦若葉搾汁乾燥粉末(ベニハダカ)と水溶性食物繊維の含有量の違いによる色の違いを比較したグラフであり、図9a)は水溶性食物繊維として難消化性デキストリンを用いて評価したグラフであり、図9b)は水溶性食物繊維としてアカシアファイバーを用いて評価したグラフであり、図9c)は水溶性食物繊維としてイヌリンを用いて評価したグラフである。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討を重ねた結果、大麦の品種を選別し、当該大麦の大麦若葉搾汁乾燥粉末の含有量を一定の範囲となるように調製することで、青汁独特の苦み、えぐ味、青臭さが低減し、甘味を強く感じることを見出し、本発明を完成させた。本発明に係る大麦若葉乾燥粉末の青汁用飲食品組成物を、以下詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に記載される構成に限定されることを意図しない。
[大麦若葉搾汁乾燥粉末の青汁用飲食品組成物]
図1は大麦品種「ベニハダカ」の系統図である。本発明の青汁用飲食品組成物は、大麦若葉搾汁乾燥粉末の原料に使用する大麦品種を「赤神力」及び/又は「ベニハダカ」を選択していることから、飲みやすいのもとなっている。「赤神力」は、1923年兵庫県立農業試験場において「神力(日本在来種)」から純系淘汰された品種である。「赤神力」は、草丈が高く柔らかい、その葉は他の品種と比べて大きく幅広で肉厚であるため、搾汁に適した品種である。「ベニハダカ」は、1958年四国農業試験場において「赤神力」と「モチムギC」の交配を行った「姫系」に「ハシリハダカ」を交配して育成されたものである。
本発明の青汁用飲食品組成物は、「赤神力」及び/又は「ベニハダカ」を原料として使用した大麦若葉搾汁乾燥粉末の含有量が10質量%〜70質量%に調製される。使用する大麦品種がベニハダカの場合には、大麦若葉搾汁乾燥粉末の含有量は、好ましくは10質量%〜50質量%である。さらに好ましくは、大麦品種が「赤神力」及び/又は「ベニハダカ」の場合には、大麦若葉搾汁乾燥粉末の含有量は30質量%〜50質量%である。上記範囲に大麦若葉搾汁乾燥粉末の含有量を調整すると、「苦味、塩味、酸味」が抑えられ、青汁を初めて摂取する消費者や摂取頻度の低い消費者であっても美味しく、飲みやすいものとなる。
本発明の青汁用飲食品組成物は、水溶性食物繊維の含有量が30質量%〜90質量%である。水溶性食物繊維としては、例えば、難消化性デキストリン、イヌリン、アカシアファイバーなどを挙げることができる。
本発明の青汁用飲食品組成物は、必要に応じて、例えば賦形剤、増量剤、結合剤、増粘剤、乳化剤、着色料、香料、食品添加物、及び調味料の群から選択される少なくとも1種の添加剤を更に添加することができる。例えば、デキストリン、シクロデキストリン、ラクトース、デンブン、マルトース、マルチトール、グルコース、フラクトース等の賦形剤、食品用増量剤を、必要に応じて添加することができる。
本発明の青汁用飲食品組成物は、上記の添加剤とは別の調剤用添加剤を含むことができる。この調剤用添加剤としては、例えば、アスコルビン酸、ビオチン、パントテン酸カルシウム、カロテン、ナイアシン、ピリドキシン塩酸塩、リボフラビン、パントテン酸ナトリウム、チアミン塩酸塩、トコフェロール、ビタミンA、ビタミンB12、ビタミンD等のビタミン類;メタリン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、リン酸三ナトリウム等のリン酸ナトリウム類;ソルビン酸カルシウム、安息香酸、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム等の保存料;アラビアガム、トラガント、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、マンニット、ソルビトール、ラクトース、可溶性澱粉、アミノ酸類、グルコース、フラクトース、スクロース、ハチミツ、脂肪酸エステル、二酸化ケイ素等が挙げられる。
本発明の青汁用飲食品組成物は、食品、加工食品、飲料、医薬品、又は医薬部外品に配合することが可能である。本実施形態に係る青汁用飲食品組成物は栄養豊かで、食物繊維を多く含むため栄養補助、整腸作用の改善のために用いることが可能である。また、本実施形態に係る青汁用飲食品組成物は機能性飲食品として提供することも可能である。機能性飲食品には、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品、老人用食品、健康補助食品(バランス栄養食、サプリメント)等が挙げられる。
[大麦若葉乾燥粉末の製造方法]
大麦若葉の搾汁乾燥粉末は、大麦若葉の搾汁液を低温濃縮により所定の固形分濃度にまで濃縮し、当該濃縮液を噴霧乾燥または凍結乾燥することで製造される。これは、新鮮な生の大麦若葉の風味と栄養価を保ったまま搾汁乾燥粉末を製造するためである。以下に示す実施例の大麦若葉搾汁乾燥粉末の製造も同様の方法で行っている。大麦若葉搾汁乾燥粉末の栄養成分は、100gあたり蛋白質が9.0〜14.0g、脂質が0.1〜3.0g、炭水化物が70.0〜85.0g、ナトリウムが130〜800mg、カリウムが1700〜4000mg、ビタミンKが400〜1400μg、総クロロフィルが160〜420mg、SODが11万〜31万unitである。
以下、実施例を示して本発明をさらに詳細かつ具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[大麦若葉搾汁液を用いた「苦味、塩味、酸味」に関する大麦品種間の比較について]
図2は大麦若葉搾汁液を用いた「苦味、塩味、酸味」に関する大麦品種間の比較試験結果である。大麦若葉搾汁乾燥粉末の嗜好性を高める要因となる「苦味、塩味、酸味」の弱い大麦品種を選択するめ、各種大麦を栽培から厳格に管理し大麦若葉の搾汁から得られた搾汁液を直ちに官能試験に供した。
(大麦品種の栽培と大麦若葉搾汁液の作製方法)
大麦の栽培は、圃場(0.6a)を16区画に分けてから耕耘機により土壌を均一化した。大麦4品種「赤神力、ニシノホシ、シュンライ、ニシノチカラ」は、圃場を各々4か所ずつランダムに分けて播種した。成長度合いを揃えるため、播種の際には土の深さを約2cmとした。大麦葉の刈り取りは草丈が30〜35cmとなった時点で行った。刈り取った葉は、水道水で洗浄し水気をきり搾汁した。搾汁は搾汁装置(青汁さん、青果汁器FD−1800、PERSEE社製)に大麦若葉を6Kg投入し#60メッシュの篩で濾過し、大麦4品種の搾汁液を作製した。品種間での混入を防ぐため、搾汁するごとに搾汁装置の洗浄を行った。得られた大麦4品種の搾汁液(各250ml)は直ちに官能試験に供した。
(官能試験)
官能試験は、室温21℃〜25℃の試験室にて行い、大麦4品種から得た搾汁液を、品種名を伏せて紙コップに被検物A,B,C,Dと表記(A:赤神力、B:ニシノホシ、C:シュンライ、D:ニシノチカラ)して試飲した。評価はアンケートにより「苦味、塩味」の強さは4段階評価(0〜3点)、「酸味」の強さは2段階評価(0,3点)で行い平均点を算出した(表1.参照)。被験者は、官能試験の資質がある経験者の説明を受けた成人の健常者7人で実施した。
Figure 0006952316
試飲手順は、水で口をすすぎ吐き出してから被検物を口に含み、すぐに舌の全面に広げよく味わってから吐き出す。次に、水で口をすすぎ吐き出してから次の被検物を口に含み、すぐに舌の全面に広げよく味わってから吐き出す。この作業を繰り返し、A〜Dについて試験を行った。この作業を2〜3回繰り返した。評価は、アンケート方式で行い、被検物A〜Dのアンケートに評価を記入した。
(結果及び考察)
図2に示されるように、各大麦若葉搾汁液の「苦味、塩味、酸味」の強さの点数の平均の合計は、「赤神力」が1.72、「ニシノチカラ」が2.14、「シュンライ」が3.29、「ニシノホシ」が5.29であり、4種の大麦品種の中で「赤神力」が一番低く、「苦味、塩味、酸味」が一番少ない品種であった。
[大麦若葉搾汁乾燥粉末を用いた「苦味、塩味、酸味」及び「甘味、旨味」に関する大麦品種間の比較について]
図3は大麦若葉搾汁乾燥粉末を用いた「苦味、塩味、酸味」及び「甘味、旨味」に関する大麦品種間の比較試験結果である。大麦6品種「はるか二条、ベニハダカ、赤神力、イチバンボシ、四国裸132号、大分焼酎2号」の大麦若葉搾汁乾燥粉末について官能試験による比較試験を行った。試験項目は、青汁の嗜好性を下げる「苦味、塩味、酸味」と、青汁の嗜好性を上げる「甘味、旨味」について評価した。
(官能試験)
官能試験は、室温21℃〜25℃の試験室にて行い、品種名を伏せて紙コップに被検物A,B,C,D,E,Fと表記(A:はるか二条、B:ベニハダカ、C:赤神力、D:イチバンボシ、E:四国裸132号、F:大分焼酎2号)して試飲した。手順は、紙コップに100mlの水(10℃〜18℃)を加え、次いで3gの大麦若葉粉末を加えてよくかき混ぜ粉末を溶かした。試飲は、水で口をすすぎ吐き出してから被検物を口に含み、すぐに舌の全面に広げよく味わってから吐き出した。次いで、水で口をすすぎ吐き出してから次の被検物を口に含み、すぐに舌の全面に広げよく味わってから吐き出した。この手順を繰り返し、A〜Fについて試験を行った。評価はアンケート方式で行い、「甘味、苦味、塩味」の強さは4段階評価(0〜3点)、「酸味、旨味」の強さは2段階評価(0,3点)で行った(表2.参照)。評価は、嗜好性を下げる試験項目(苦味、塩味、酸味)と嗜好性を上げる試験項目(甘味、旨味)夫々における被験者の合計点とした。被験者は、1か月以上にわたり青汁を摂取していない者を「摂取頻度が少ない消費者(被験者)」と定義し、過去に青汁を摂取したことが無い者を「初回摂取の消費者(被験者)」と定義し試験に採用した。被験者は、官能試験の資質がある経験者の説明を受けた成人の健常者5人で実施した。
Figure 0006952316
(結果及び考察)
図3に示されるように、「苦味、塩味、酸味」の合計点は、「赤神力」が1点、「ベニハダカ」が4点、「四国裸132号」が6点、「はるか二条」が8点、「イチバンボシ」が10点、「大分焼酎2号」が12点であった。「甘味、旨味」の合計点は、「赤神力」が20点、「ベニハダカ」が13点、「はるか二条」が12点、「四国裸132号」が7点、「大分焼酎2号」が4点、「イチバンボシ」が3点であった。「苦味、塩味、酸味」が弱く、「甘味、旨味」が強い大麦品種としては「赤神力」と「ベニハダカ」が良好な結果となった。また、特許文献2では大麦若葉の乾燥粉砕末である「イチバンボシ」が「赤神力」よりも評価が高くなっているが、本願発明では、「赤神力」が「イチバンボシ」よりも評価が高くなった。これは、大麦若葉の特許文献2で実施されている「加熱乾燥粉砕粉末の製造方法」と本願発明で用いた「搾汁液の非加熱乾燥粉末の製造方法」との製造方法の違いに起因するものと考えられる。
[含有量が異なる大麦若葉搾汁乾燥粉末(赤神力)の味・食感・色・においの比較について]
図4は大麦若葉搾汁乾燥粉末(赤神力)と水溶性食物繊維の含有量の違いによる味、食感、色、香りを比較した表である。図5は大麦若葉搾汁乾燥粉末(赤神力)の含有量の違いによる味、食感を比較したグラフである。図6は大麦若葉搾汁乾燥粉末(赤神力)と水溶性食物繊維の含有量の違いによる色の違いを比較したグラフである。大麦品種である「赤神力」を用いて、大麦若葉搾汁乾燥粉末の含有量の違いによる味(甘味、味の強さ、コク、苦み、えぐみ)、食感(舌触り、口当たり、後味、のど越し)、色(緑色の鮮やかさ)、香り(大麦若葉の香り)における比較試験を行った。
(各含有量の大麦若葉搾汁乾燥粉末(赤神力)の作製)
試験に使用する大麦若葉搾汁乾燥粉末は、大麦品種「赤神力」の若葉を洗浄、粉砕、搾汁、濃縮、噴霧乾燥、造粒した製品(大麦若葉エキス末:日本薬品開発株式会社製、BGLと称す。)を使用した。大麦若葉搾汁乾燥粉末をそれぞれ70質量%、50質量%、30質量%、及び10質量%となるように3種類の水溶性食物繊維を夫々配合して試験サンプルを調製した(表3.参照)。水溶性食物繊維は難消化性デキストリン(ファイバーソル2、Lot.1801,松谷化学工業株式会社製)、アカシアファイバー(FIBREGUM TAN、Lot.210409、ネキシラ工業株式会社製)、イヌリン(アガベイヌリン、Lot.110914、株式会社アルマテラ社製)を使用した。
Figure 0006952316
(官能試験)
官能試験は、[大麦若葉搾汁乾燥粉末を用いた「苦味、塩味、酸味」及び「甘味、旨味」に関する大麦品種間の比較について]と同じ条件で味、食感、色、香りについて成人の健常者5人で試験を実施した。試験は、大麦若葉搾汁乾燥粉末が10質量%〜70質量%となるように、各水溶性食物繊維を夫々配合して調整した。評価は各サンプルを比較し、表4のアンケート用紙の様式に従って被験者が各試験項目の順位を記載した。各試験項目の順位の点数は、「大麦若葉の香りの良さ、緑の鮮やかさ、コクの良さ、舌触りの良さ、口当たりの良さ、後味の良さ、のど越しの良さ」は、1位が3点、2位が2点、3位が1点、4位が0点とした。「甘味、味の強さ」は、強い順に1位が3点、2位が2点、3位が1点、4位が0点とした。「えぐ味、苦みの強さ」は、弱い順に1位が3点、2位が2点、3位が1点、4位が0点とした。評価は、各試験項目(味、食感、色、香り)における各被験者の点を合計して比較した。
Figure 0006952316
(結果及び考察)
1.大麦若葉搾汁乾燥粉末に難消化デキストリンを配合した場合
味・食感の評価(合計値)は、図4及び図5に示されるように、大麦若葉搾汁乾燥粉末が50質量%のとき87点、30質量%のとき73点、70質量%のとき62点、10質量%のとき46点となった。色の評価は、図4及び図6に示されるように、大麦若葉搾汁乾燥粉末が50質量%とき12点、30質量%のとき8点、70質量%のとき6点、10質量%のとき4点となった。大麦若葉搾汁乾燥粉末の配合割合を10質量%〜70質量%の範囲にすると味・食感において優位となり、30質量%〜50質量%では色も非常によくさらに優位な結果となった。香りに関しては全ての香りが弱く感じられて大きな差は認められなかった。香りの良い試験サンプルとしては、50質量%の時が一番良く、70質量%、30質量%、10質量%の順位となった。
2.大麦若葉搾汁乾燥粉末にアカシアファイバーを配合した場合
味・食感の評価(合計値)は、図4及び図5に示されるように、大麦若葉搾汁乾燥粉末が50質量%のとき84点、30質量%のとき83点、10質量%のとき58点、70質量%のとき50点となった。色の評価は、図4及び図6に示されるように、大麦若葉搾汁乾燥粉末が70質量%とき12点、50質量%のとき10点、30質量%のとき8点、10質量%のとき1点となった。大麦若葉搾汁乾燥粉末の配合割合を10質量%〜70質量%の範囲にすると味・食感において優位な結果となり、10質量%〜50質量%ではさらに優位な結果となった。色に関しては、30質量%〜70質量%で優位な結果が得られた。色を考慮した全体的な評価としては、30質量%〜50質量%が最も良い結果となった。香りに関しては全ての香りが弱く感じられて大きな差は認められなかった。香りの良い試験サンプルとしては、70質量%の時が一番良く、50質量%、30質量%、10質量%の順位となった。
3.大麦若葉搾汁乾燥粉末にイヌリンを配合した場合
味・食感の評価(合計値)は、図4及び図5に示されるように、大麦若葉搾汁乾燥粉末が30質量%のとき88点、50質量%のとき79点、10質量%のとき67点、70質量%のとき37点となった。色の評価は、図4及び図6に示されるように、大麦若葉搾汁乾燥粉末が50質量%とき12点、70質量%のとき10点、30質量%のとき8点、10質量%のとき0点となった。大麦若葉搾汁乾燥粉末の配合割合を10質量%〜70質量%の範囲にすると味・食感おいて優位な結果となり、10質量%〜50質量%ではさらに優位な結果となった。色に関しては、30質量%〜70質量%で優位な結果が得られた。色を考慮した全体的な評価としては、30質量%〜50質量%が最も良い結果となった。香りに関しては全ての香りが弱く感じられて大きな差は認められなかった。香りの良い試験サンプルとしては、70質量%の時が一番良く、50質量%、30質量%、10質量%の順位となった。
3つの官能試験の結果から、大麦品種「赤神力」の若葉を原料とした大麦若葉搾汁乾燥粉末が10質量%〜70質量%含まれている場合には、摂取頻度が少ない消費者や初回摂取の消費者にとって飲みやすく、美味しいと感じられた。大麦若葉搾汁乾燥粉末が30質量%〜50質量%含まれる場合には、さらに良好な結果が得られ、摂取頻度が少ない消費者や初回摂取の消費者にとってもさらに飲みやすく、美味しいと感じられた。
[含有量が異なる大麦若葉搾汁乾燥粉末(ベニハダカ)の味・食感・色・においの比較について]
図7は大麦若葉搾汁乾燥粉末(ベニハダカ)と水溶性食物繊維の含有量の違いによる味、食感、色、香りを比較した表である。図8は大麦若葉搾汁乾燥粉末(ベニハダカ)と水溶性食物繊維の含有量の違いによる味、食感を比較したグラフである。図9は大麦若葉搾汁乾燥粉末(ベニハダカ)と水溶性食物繊維の含有量の違いによる色の違いを比較したグラフである。大麦品種である「ベニハダカ」を用いて、大麦若葉搾汁乾燥粉末の含有量の違いによる味(甘味、味の強さ、コク、苦み、えぐみ)、食感(舌触り、口当たり、後味、のど越し)、色(緑色の鮮やかさ)、香り(大麦若葉の香り)における比較試験を行った。
(各含有量の大麦若葉搾汁乾燥粉末(ベニハダカ)の作製)
試験に使用する大麦若葉搾汁乾燥粉末は、大麦品種「ベニハダカ」の若葉を洗浄、粉砕、搾汁、濃縮、噴霧乾燥、造粒したものを使用した(BGLと称す。)。大麦若葉搾汁乾燥粉末をそれぞれ70質量%、50質量%、30質量%、及び10質量%となるように3種類の水溶性食物繊維を夫々配合して試験サンプルを調製した(表3.参照)。水溶性食物繊維は難消化性デキストリン(ファイバーソル2、Lot.1801,松谷化学工業株式会社製)、アカシアファイバー(FIBREGUM TAN、Lot.210409、ネキシラ工業株式会社製)、イヌリン(アガベイヌリン、Lot.110914、株式会社アルマテラ製)を使用した。
(官能試験)
官能試験は[含有量が異なる大麦若葉搾汁乾燥粉末(赤神力)の味・食感・色・においの比較について]で実施した同じ方法を用いて行った。
(結果及び考察)
1.大麦若葉搾汁乾燥粉末に難消化デキストリンを配合した場合
味・食感の評価(合計値)は、図7及び図8に示されるように、大麦若葉搾汁乾燥粉末が30質量%のとき88点、50質量%のとき70点、10質量%のとき69点、70質量%のとき42点となった。色の評価は、図7及び図9に示されるように、大麦若葉搾汁乾燥粉末が50質量%のとき13点、30質量%のとき9点、70質量%のとき8点、10質量%のとき0点となった。大麦若葉搾汁乾燥粉末の配合割合を10質量%〜70質量%の範囲にすると味・食感において優位な結果となり、10質量%〜50質量%ではさらに優位な結果となった。色に関しては、30質量%〜70質量%で優位な結果が得られた。色を考慮した全体的な評価としては、30質量%〜50質量%が最も良い結果となった。香りに関しては全ての香りが弱く感じられて大きな差は認められなかった。香りの良い試験サンプルとしては、50質量%の時が一番良く、70質量%及び30質量%が同位で、10質量%の順位となった。
2.大麦若葉搾汁乾燥粉末にアカシアファイバーを配合した場合
味・食感の評価(合計値)は、図7及び図8に示されるように、大麦若葉搾汁乾燥粉末が30質量%のとき90点、50質量%のとき70点、10質量%のとき69点、70質量%のとき42点となった。色の評価は、図7及び図9に示されるように、大麦若葉搾汁乾燥粉末が50質量%とき12点、30質量%のとき11点、70質量%のとき7点、10質量%のとき0点となった。大麦若葉搾汁乾燥粉末の配合割合を10質量%〜70質量%の範囲にすると味・食感において優位な結果となり、10質量%〜50質量%ではさらに優位な結果となった。色に関しては、30質量%〜70質量%で優位な結果が得られた。色を考慮した全体的な評価としては、30質量%〜50質量%が最も良い結果となった。香りに関しては全ての香りが弱く感じられて大きな差は認められなかった。香りの良い試験サンプルとしては、50質量%の時が一番良く、30質量%、70質量%、10質量%の順位となった。
3.大麦若葉搾汁乾燥粉末にイヌリンを配合した場合
味・食感の評価(合計値)は、図7及び図8に示されるように、大麦若葉搾汁乾燥粉末が30質量%のとき86点、50質量%のとき79点、10質量%のとき70点、70質量%のとき34点となった。色の評価は、図7及び図9に示されるように、大麦若葉搾汁乾燥粉末が50質量%とき11点、30質量%のとき11点、70質量%のとき8点、10質量%のとき0点となった。大麦若葉搾汁乾燥粉末の配合割合を10質量%〜70質量%の範囲にすると味・食感において優位な結果となり、10質量%〜50質量%ではさらに優位な結果となった。色に関しては、30質量%〜70質量%で優位な結果が得られた。色を考慮した全体的な評価としては、30質量%〜50質量%が最も良い結果となった。香りに関しては50質量%の時が一番良く、30質量%、70質量%、10質量%の順位となった。
3つの官能試験の結果から、大麦品種「ベニハダカ」の若葉を原料とした大麦若葉搾汁乾燥粉末が10質量%〜70質量%含まれている場合には、良好な結果が得られ、10質量%〜50質量%含まれている場合には、さらに良好な結果が得られた。色を含めた全体的な評価としては、大麦若葉搾汁乾燥粉末が30質量%〜50質量%含まれる場合が一番良く、摂取頻度が少ない消費者や初回摂取の消費者にとっても飲みやすく、美味しいと感じられるものとなった。
本発明の大麦若葉乾燥粉末の青汁用飲食品組成物は、食品や健康飲食品等に好適に用いることができる。

Claims (5)

  1. 青汁用飲食品組成物の嗜好性を高める方法であって、
    大麦若葉搾汁乾燥粉末に水溶性食物繊維を配合する工程を有し、
    前記大麦の品種が赤神力及び/又はベニハダカであり、
    前記大麦若葉搾汁乾燥粉末の含有量が10質量%〜70質量%であることを特徴とする方法。
  2. 前記大麦の品種が赤神力であることを特徴とする請求項1に記載の方法
  3. 前記大麦の品種がベニハダカであることを特徴とする請求項1に記載の方法
  4. 前記大麦若葉搾汁乾燥粉末の含有量が30質量%〜50質量%であることを特徴とする請求項1乃至3何れか1項に記載の方法
  5. 前記水溶性食物繊維が難消化性デキストリン、アカシアファイバー、及びイヌリンの中から選択される少なくとも1種類であることを特徴とする請求項1乃至何れか1項に記載の方法
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