以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態等は、一例であって本開示を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、「略**」との記載は、「略同一」を例に挙げて説明すると、全く同一はもとより、実質的に同一と認められるものを含む意図である。
なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
以下、本開示の実施の形態に係る粒子検出センサについて説明する。
(実施の形態1)
[構成]
まず、本実施の形態に係る粒子検出センサ1の概要について説明する。
図1は、実施の形態1に係る粒子検出センサ1の概観斜視図である。図2は、実施の形態1に係る粒子検出センサ1の分解斜視図である。図3は、図1のIII―III線における実施の形態1に係る粒子検出センサ1の断面図である。図4は、実施の形態1に係る粒子検出センサ1の筐体10内部を示す斜視図である。図5は、実施の形態1に係る粒子検出センサ1を示すブロック図である。
受光系130から投光系120への並び方向をX軸プラス方向と規定し、加熱装置60が発生させる上昇気流の方向をY軸プラス方向と規定し、X軸プラス方向及びY軸プラス方向と直交する背面カバー110から前面カバー100への並び方向をZ軸プラス方向と規定し、X、Y、Zの各方向を表示する。図1に示す各方向は、図2に示す各方向に対応させて表示する。X、Y、Zの各方向を表示していない図を除き、図2以降の図においても、同様である。
図1〜図4に示すように、本実施の形態では、粒子検出センサ1は、光散乱式粒子検出センサであるが、光電式粒子検出センサであってもよい。粒子検出センサ1は、光学系20が筐体10内の検知領域DAに光を照射し、検知領域DAを通過する粒子2による光の散乱光を受光することで、粒子2の有無を検出する。また、粒子検出センサ1は、粒子2の有無に限らず、粒子2の個数、大きさ、形等を検出する。なお、粒子検出センサ1が検出の対象とする粒子2は、例えば、2μm以下の微小なホコリ、花粉、煙、PM2.5等の粒子である。
粒子検出センサ1は、筐体10と、筐体10の内部に配置された光学系20と、ホコリ抑制壁30と、光トラップ40と、光トラップ50と、加熱装置60と、回路基板70と、コネクタ80と、シールドカバー90と、シールドカバー91とを備える。
[筐体]
図1及び図3に示すように、筐体10は、光学系20及び検知領域DAを覆う、扁平な略直方体状である。筐体10は、粒子検出センサ1の本体部であり、内部には、検知領域DA、光学系20、ホコリ抑制壁30、光トラップ40、光トラップ50及び加熱装置60を収容している。
筐体10は、矩形の4つの角のうち対角に位置する2つの角が斜めになった略七角形を底面とする角柱形状である。なお、筐体10の形状は一例であって、これに限らない。例えば、筐体10は、底面が矩形の直方体でもよく、あるいは、底面が円形の円柱でもよい。
筐体10は、光学系20及び検知領域DAに外光が照射されないように、光学系20及び検知領域DAを覆っている。筐体10は、遮光性を有する。例えば、筐体10は、迷光を吸収させるために、少なくとも内面が黒色である。具体的には、筐体10の内面は、光の吸収率が高く、かつ、光を鏡面反射する。なお、筐体10の内面における反射は、鏡面反射でなくてもよく、光の一部が散乱反射されてもよい。
ここで、迷光は、粒子2による散乱光以外の光であり、具体的には、投光系120が出力する光のうち検知領域DAにおいて粒子2に散乱されることなく、筐体10内を進行する光である。また、迷光は、粒子2によって散乱されなかった光だけでなく、投光系120のレンズ表面での反射光、及び、検知領域DAを通過しない光等も含む。また、迷光は、筐体10の外部から流入口101又は流出口102を介して筐体10の内部に進入した外光も含む。
本実施の形態では、筐体10は、前面カバー100と、背面カバー110との2つの部材によって構成される。筐体10は、例えば、ABS樹脂等の樹脂材料を用いた射出成形により形成される。具体的には、前面カバー100及び背面カバー110の各々が、樹脂材料を用いた射出成形により形成された後、互いに組み合わされることで筐体10を構成する。このとき、例えば、黒色の顔料又は染料を添加した樹脂材料を用いることで、筐体10の内面を黒色面にすることができる。あるいは、射出成形後に内面に黒色塗料を塗布することで、筐体10の内面を黒色面にすることができる。また、筐体10の内面にシボ加工等の表面処理を行うことによって、迷光を吸収させてもよい。
筐体10は、内部に粒子2が流入するための流入口101と、内部に流入した粒子2が外部に流出するための流出口102とを有する。本実施の形態では、図3の太点線の矢印で示すように、粒子2を含む気体が流入口101から流入し、検知領域DAを含む筐体10の内部を通って流出口102から流出する。
流入口101は、筐体10のY軸マイナス方向側の面に設けられた所定形状の開口であり、当該開口を介して、粒子2を含む気体が筐体10の内部に流入する。例えば、流入口101は、円形又は楕円形等の開口でもよい。
本実施の形態では、流入口101は、図4に示すように、検知領域DAの直下方向には設けられておらず、前面カバー100下のX軸マイナス方向側の隅に設けられている。これにより、流入口101から進入する外光が検知領域DAに照射されにくくなり、また、迷光として受光素子131に入射されるのを抑制する。
流出口102は、筐体10の側面に設けられた所定形状の開口であり、当該開口を介して、粒子2を含む気体が筐体10の外部に流出する。例えば、流出口102は、円形又は楕円形等の開口でもよい。流出口102の大きさは、例えば、流入口101と略同じである。本実施の形態では、流出口102は、検知領域DAのY軸プラス方向であって、前面カバー100のX軸方向の中央部分に設けられている。加熱装置60によって生成された気流をスムーズに流出口102から外部に放出する。
なお、流入口101及び流出口102は、筐体10の前面カバー100に設けたが、これに限らない。
筐体10には、ホコリ抑制壁30、光トラップ40及び光トラップ50の各々を構成するための内部構造が設けられている。具体的には、前面カバー100は、内面100aの底面から立設した壁103を有する。また、背面カバー110は、内面110aから立設した壁111を有する。壁103と壁111とが、ホコリ抑制壁30を形成する。
図2及び図4に示すように、背面カバー110は、筐体10のZ軸マイナス方向側に配置されている。背面カバー110は、さらに、内面110aから立設した光反射壁112、光反射壁113、光反射壁114及び複数の楔形突出部115を有する。光反射壁112は、壁111とともに光トラップ40を形成する。光反射壁113、光反射壁114及び複数の楔形突出部115は、光トラップ50を形成する。
前面カバー100は、筐体10のZ軸プラス方向側に配置されている。前面カバー100は、投光系保持部104と、受光系保持部105とを有する。同様に、背面カバー110は、投光系保持部116と、受光系保持部117とを有する。投光系保持部104及び投光系保持部116は、前面カバー100と背面カバー110とが組み合わされた場合に、投光系120を保持する。受光系保持部105及び受光系保持部117は、前面カバー100と背面カバー110とが組み合わされた場合に、受光系130を保持する。これにより、投光系120及び受光系130は、予め定められた場所に検知領域DAを形成する。
前面カバー100は、係止部106及び係止部107を有する。また、背面カバー110は、被係止部118及び被係止部119を有する。前面カバー100と背面カバー110とを組み合わせることで、係止部106が被係止部118に係止し、係止部107が被係止部119に係止する。これにより、前面カバー100と背面カバー110とは固定される。なお、係止部106及び係止部107並びに被係止部118及び被係止部119の設ける位置、個数及び形状等は、いかなるものでもよい。
図1及び図3に示すように、筐体10のY軸プラス方向側の部分には、さらに、掃除窓108が設けられている。具体的には、掃除窓108は、前面カバー100の中央部に設けられた台形状の貫通孔である。掃除窓108は、投光レンズ122、受光レンズ132及び筐体10の内部に付着した汚れ又はホコリを取り除くために設けられている。例えば、掃除窓108から綿棒等を筐体10の内部に挿入することで、内部の掃除を行うことができる。掃除窓108は、粒子検出センサ1を動作させる際には、掃除窓108を介して外光が検知領域DAに照射されないように、図示しないカバー部材によって蓋がされる。
本実施の形態において、壁103、投光系保持部104、受光系保持部105、係止部106及び係止部107は、前面カバー100と一体に形成されている。また、壁111、光反射壁112、光反射壁113、光反射壁114、複数の楔形突出部115、投光系保持部116、受光系保持部117、被係止部118及び被係止部119は、背面カバー110と一体に形成されている。
[光学系]
光学系20は、流入口101を介して筐体10内に流入し、かつ、筐体10に覆われた検知領域DAを通過する粒子2を光学的に検出する。本実施の形態では、光学系20は、検知領域DAを通過する粒子2を、投光系120が出力する光を用いて検出する。光学系20は、筐体10の背面カバー110に配置されて、前面カバー100によって挟まれることで、筐体10の内部に収納されている。
本実施の形態では、光学系20は、投光系120及び受光系130を有する。投光系120と受光系130とは、光軸P及び光軸Qが交差するように、筐体10に覆われた検知領域DAの両側に配置されている。
ここでいう検知領域DAは、測定対象の気体に含まれる粒子2を検知するための領域である。本実施の形態では、検知領域DAは、投光系120の光軸Pと受光系130の光軸Qとが交差する交点を含む領域である。検知領域DAは、例えば、φ2mmである。測定対象の気体は、筐体10の流入口101から流入し、検知領域DAに誘導された後、流出口102から流出する。
投光系120は、検知領域DAに集光するように光を出力する。投光系120は、投光素子121と、投光レンズ122とを備える。
投光素子121は、所定の波長の光を発する光源であり、例えば、LED(Light Emitting Diode)又は半導体レーザ等の固体発光素子である。投光素子121の光軸は、投光系120の光軸Pに一致し、例えば、検知領域DAを通過する。
投光素子121としては、紫外光、青色光、緑色光、赤色光又は赤外光を発する発光素子を用いることができる。この場合、投光素子121は、2波長以上の混合波を発するように構成されてもよい。本実施の形態では、粒子2による光の散乱強度に鑑みて、投光素子121として、例えば、600nm〜800nmの波長の光を出力する砲弾型のLEDを用いる。
なお、投光素子121の発光波長が短い程、粒径の小さな粒子2を検出しやすくなる。また、投光素子121の発光制御方式は特に限定されるものではなく、投光素子121から出射する光は、DC駆動による連続光等でもよい。また、投光素子121の出力の大きさは、時間的に変化させてもよい。
投光レンズ122は、投光素子121の前方に配置されており、投光素子121から出射する光を検知領域DAに向けて進行させるように構成されている。つまり、投光素子121から出射する光は、投光レンズ122を介して検知領域DAを通過する。検知領域DAを通過する粒子2が投光素子121からの光を散乱させる。
投光レンズ122は、例えば、投光素子121から出射する光を検知領域DAに集束させる集光レンズであり、例えば、ポリカーボネート等の透明樹脂レンズ又はガラスレンズである。例えば、投光レンズ122の焦点は、検知領域DAに存在する。
受光系130は、受光素子131と、受光レンズ132とを備える。
受光系130は、検知領域DAにおける粒子2による投光系120からの光の散乱光を受光する。なお、図3では、太実線の矢印で光の経路の一例を示している。受光系130は、受光素子131と、受光レンズ132とを備える。
受光素子131は、検知領域DAにおける粒子2による投光素子121からの光の散乱光の少なくとも一部を受光する。受光素子131は、具体的には、受光した光を電気信号に変換する光電変換素子であり、例えば、フォトダイオード、フォトICダイオード、フォトトランジスタ又は光電子増倍管等である。受光素子131の光軸は、受光系130の光軸Qに一致し、例えば、検知領域DAを通過する。
受光レンズ132は、受光素子131と検知領域DAとの間に配置されており、検知領域DA側から入射する光を受光素子131に集光するように構成されている。具体的には、受光レンズ132は、検知領域DAにおいて粒子2による散乱光を、受光素子131に集束させる集光レンズであり、例えば、ポリカーボネート等の透明樹脂レンズ又はガラスレンズである。例えば、受光レンズ132の焦点は、検知領域DA及び受光素子131の表面に存在する。
[ホコリ抑制壁]
ホコリ抑制壁30は、流入口101と検知領域DAとの間に設けられた壁であって、粒子2より大きいホコリが検知領域DAに進入するのを抑制する。ここで、検知領域DAへの進入を抑制すべき対象となるホコリは、例えば、2μm以上の粒子である。
また、ホコリ抑制壁30は、流入口101と光トラップ40との間に設けられた壁であって、気体が光トラップ40に進入しないように気体を誘導する気体誘導壁である。
ホコリ抑制壁30は、図4に示すように、筐体10の内部において、加熱装置60より流入口101に近い位置に設けられている。具体的には、ホコリ抑制壁30の少なくとも一部は、流入口101の縁に沿って設けられている。本実施の形態では、流入口101は略矩形の開口であり、ホコリ抑制壁30の少なくとも一部は、当該開口に沿って設けられている。
また、ホコリ抑制壁30の少なくとも一部は、加熱装置60が生成する気流に交差する方向と平行に設けられている。加熱装置60は気体を加熱することで上昇気流を生成するので、ホコリ抑制壁30の少なくとも一部は、上昇気流に直交する方向に平行に設けられている。
また、ホコリ抑制壁30は、流入口101の幅より長い。ここで、流入口101の幅は、気体が流れる方向に交差する方向における幅である。具体的には、流入口101の幅は、加熱装置60によって生成される上昇気流に交差する方向における幅であり、例えば、X軸方向における幅である。これにより、流入口101から進入する外光が検知領域DAを照射するのを抑制する。なお、ホコリ抑制壁30は、遮光性を有する。
また、ホコリ抑制壁30は、光トラップ40の幅より長い。これにより、ホコリ抑制壁30は、気体が光トラップ40に進入するのを抑制する。光トラップ40の幅は、ホコリ抑制壁30の主面に平行な方向において、光トラップ40の開口から奥までの距離である。例えば、光トラップ40の幅は、背面カバー110のX軸マイナス方向側の側面部と光反射壁112の先端との距離である。
本実施の形態では、ホコリ抑制壁30は、内面100aから立設した壁103と、内面110aから立設した壁111とを有する。壁103と壁111とは、互いに接している。具体的には、壁103及び壁111は、XZ面で互いに接している。なお、内面100a及び内面110aは、筐体10が有する内面であって、互いに対向する2つの内面である。具体的には、内面100aは、前面カバー100の内側の面であり、内面110aは、背面カバー110の内側の面である。
壁103は、流入口101の縁に沿って設けられている。壁111は、図2に示すように、流入口101の近傍に設けられている。具体的には、壁111は、壁103に沿って設けられており、直線形状を有する。本実施の形態では、壁111は、背面カバー110のZ軸マイナス方向側の背面部及び背面カバー110のX軸マイナス方向側の側面部の各々から垂直に立設した平板状の壁である。言い換えると、壁111は、X軸方向において、一方の端部は背面カバー110のX軸マイナス方向側の側面部に接続され、他方の端部は、筐体10のいずれの内面にも接続されていない。
前面カバー100と背面カバー110とを組み合わせた際に壁103と壁111とが重なることで、壁103及び壁111をY軸方向に見た場合に隙間をなくしている。これにより、ホコリ抑制壁30は、ホコリ及び外光が検知領域DAに進入するのを抑制する。
なお、壁111の立設方向であるZ軸方向における先端は、前面カバー100と背面カバー110とを組み合わせた際に、前面カバー100の内面100aに当接し、隙間が形成されないように設計されていてもよい。
[光トラップ]
光トラップ40は、投光系120から出力されて検知領域DAを通った光をトラップする。具体的には、光トラップ40は、内部に一旦入射した光が外部に出射しないように吸収する。本実施の形態では、光トラップ40は、ラビリンス構造として楔形の閉空間を有する。
光トラップ40は、検知領域DAを介して投光系120と対向する位置に設けられている。具体的には、光トラップ40は、複数の閉空間41及び閉空間43と、複数の開口部42及び44と、光反射壁112と、ホコリ抑制壁30とを有する。光トラップ40は、投光系120から出力されて検知領域DAを通った光を、光反射壁112で分割してからトラップする。
ここで、複数の開口部42及び44は、検知領域DAに向かって開口しており、投光系120から出力された光が直接通過する。具体的には、投光系120から出力されて検知領域DAを通過した後に広がった光の略全ては、筐体10の内面及び内部構造等に反射されることなく、開口部42及び44を通過する。開口部42には、光軸Pが通過している。
閉空間41は、筐体10の内部に設けられた、迷光を吸収するための閉じられた空間である。閉空間41には、迷光が入射するための開口部42が設けられている。なお、光反射壁112の端部と受光系保持部105及び117との間が開口部42に相当する。
開口部42を介して、閉空間41と検知領域DAとは連通している。つまり、検知領域DAを通過した光の一部は、開口部42を介して閉空間41へ進入する。進入した光は、閉空間41内で多重反射することで、壁面に吸収されて減衰する。
閉空間43は、筐体10の内部に設けられた、迷光を吸収するための閉じられた空間である。閉空間43には、迷光が入射するための開口部44が設けられている。なお、光反射壁112の端部とホコリ抑制壁30の端部との間が開口部44に相当する。
開口部44を介して、閉空間43と検知領域DAとは連通している。つまり、検知領域DAを通過した光の一部は、開口部44を介して閉空間43へ進入する。入射した光は、閉空間43内で多重反射することで、壁面に吸収されて減衰する。
光反射壁112は、屈曲した壁である。光反射壁112は、開口部42を通過した光を反射することで、当該光を閉空間41の奥部に進行させる。さらに、光反射壁112は、開口部44を通過した光を反射することで、当該光を閉空間43に進行させる。
以上の構成により、投光系120から出力されて検知領域DAを通過した光の一部は、開口部42を通過し、光反射壁112によって反射されて閉空間41に進行する。また、出射光の別の一部は、開口部44を通過し、ホコリ抑制壁30によって反射されて閉空間43に進行する。閉空間41及び43に進行した光は、反射の度に壁面に吸収されて減衰する。
光トラップ50は、光トラップ40にトラップされない光をトラップする。例えば、光トラップ50は、投光系120から出力されて検知領域DAを通らない漏れ光、及び、光トラップ40に一旦入射したものの再び光トラップ40から出射された光等をトラップする。
光トラップ50は、検知領域DAを介して受光系130と対向する位置に設けられている。光トラップ50は、閉空間51と、開口部52と、光反射壁113と、光反射壁114と、複数の楔形突出部115とを有するラビリンス構造である。
閉空間51は、筐体10の内部に設けられた、迷光を吸収するための閉じられた空間である。閉空間51には、検知領域DAに向かって開口した開口部52が設けられている。開口部52は、受光系130の光軸Qと交差している。光反射壁113の端部と光反射壁114の端部との間が開口部52に相当する。閉空間51は、開口部52を介して、閉空間51と検知領域DAとは連通している。つまり、閉空間51から開口部52を介して光が出射された場合、検知領域DAを通って受光系130に到達する可能性がある。このため、光トラップ50は、開口部52を介して閉空間51に進入した光が、再び開口部52を介して出射されないように形成されている。
光反射壁113は、複数の楔形突出部115の突出方向に交差し、かつ、受光系130の光軸Qと略平行に配置されている。光反射壁113は、例えば平板状の壁であり、背面カバー110の内面110aから立設している。光反射壁113は、投光系120から出力されて筐体10の内面で反射された光を、複数の楔形突出部115に向けて反射する。例えば、光反射壁113は、開口部52を略水平方向に通過する光を、複数の楔形突出部115に向けて反射する。
光反射壁114は、投光系120から出射されて光トラップ40にトラップされなかった迷光を反射する。光反射壁114は、Y軸方向における一方の端部がY軸マイナス方向側の側面部に接続され、他方の端部が筐体10のいずれの内面にも接続されていない。当該他方の端部が検知領域DAに向かうように、光反射壁114は設けられている。本実施の形態では、光反射壁114は、屈曲した壁である。
また、光反射壁114は、ホコリ抑制壁30によって誘導された気体を検知領域DAに向けて誘導する気体誘導壁である。また、光反射壁114は、流入口101と光トラップ50との間に設けられた壁であり、ホコリ抑制壁30によって誘導された気体が光トラップ50に進入しないように誘導する。このとき、光反射壁114が検知領域DAを指すように配置されているので、気体を検知領域DAに向けて効率良く誘導する。
複数の楔形突出部115は、閉空間51に設けられ、筐体10の側面から内方に向かって突出した楔形の壁である。複数の楔形突出部115は、閉空間51内において、背面カバー110の内面110aから立設している。
本実施の形態では、複数の楔形突出部115の各々の突出方向は、受光系130の光軸Qに交差している。突出方向は、例えば、楔形の先端からY軸マイナス方向側の筐体10の側面である底辺への中線の方向である。
[加熱装置]
加熱装置60は、流入口101から流入した粒子2を含む気体を、検知領域DAを通るように筐体10内に気流を生成する。本実施の形態では、加熱装置60は、筐体10の下部に配置されて、大気を加熱するヒータである。具体的には、加熱装置60は、粒子2を含む気体を加熱することで、図3に示すように、筐体10内にY軸プラス方向への気体の流れである上昇気流を生成し、検知領域DAに粒子2を含む気体を誘導する。加熱装置60は、例えば、低コストのヒータ抵抗である。なお、太点線の矢印は気流の一例を示している。
[回路基板]
図3及び図5に示すように、回路基板70は、粒子検出センサ1の制御回路が形成されたプリント配線基板である。制御回路は、例えば、投光系120による光の出力、受光系130によって受光した光信号に基づく電気信号の処理、加熱装置60による気体の加熱等の処理を制御する。例えば、制御回路は、粒子2の有無、大きさ及び個数等を検出し、コネクタ80を介して外部装置に信号を出力する。
回路基板70は、計測部71と、算出部72と、記憶部73と、リセットスイッチ74とを有する。
計測部71は、粒子検出センサ1を使用した積算期間を計測して、積算期間情報を出力する。計測部71は、例えば粒子検出センサ1の使用時間を計測するタイマである。計測部71は、使用開始時点から現在までの使用期間を積算した積算期間を算出する。計測部71は、算出した積算期間を示す積算期間情報を、期間情報として記憶部73に記憶させる。
算出部72は、受光素子131が受光した散乱光から粒子数を算出する。具体的には、算出部72は、計測部71が出力した積算期間情報が示す積算期間に基づいて第1補正値を算出する。算出部72は、第1補正値に応じて検出値を補正し、補正した検出値から粒子数を算出する。また、算出部72は、粒子検出センサ1の受光素子131が受光した信号からパルス幅を計数する。算出部72は、パルス幅から粒子数を算出する。第1補正値は補正値に含まれる。
具体的には、算出部72は、粒子2が検知領域DAを通過した際に受光素子131から出力された信号を、変換回路が矩形波からなるデジタルパルス波形に変換する。例えば、1つの粒子2が検知領域DAを通過した場合と、2つの粒子2が検知領域DAを通過した場合とでは、受光素子131が検知した信号に差異が生じる。この場合に、信号の波高は大きく変わり、第1のパルス幅を変換した矩形波、及び第2のパルス幅を変換した矩形波の数にも差異が生じる。この差異により、粒子数を算出する。これにより、算出部72は、大気に含まれる粒子2の濃度を算出する。
大気に含まれる粒子2の濃度の算出は、例えば、検知領域DAを面積Sと、大気の流速Vと、積算時間Tと、検出した粒子数nとで算出される。つまり、大気に含まれる粒子2の濃度C=n/(S×V×T)により算出することができる。大気の流速の検出には、例えば流量計等が用いられてもよく、記憶部73に予め記憶されたデータテーブルによって算出してもよく、その検出は特に限定しない。
また、大気に含まれる粒子2の濃度の算出は、例えば、検知領域DAを面積Sと、大気の流速Vと、積算時間Tと、検出した粒子数n1,n2・・・と、粒子の大きさM1,M2・・・とで算出される。つまり、大気に含まれる粒子2の濃度C={Σ(n1×M1)+(n2×M2)・・・}/(S×V×T)により算出してもよい。(n1×M1)は、所定の大きさの粒子M1がn1個存在していることを意味する。(n2×M2)もM1と異なる所定の大きさの粒子M2がn2個存在していることを意味する。
算出部72は、パルス幅に相当する矩形波の数と、その矩形波の数に相当する粒子数との関係を示すデータテーブルを内蔵した記憶部73であるRAM等を有することで実現する。
算出部72は、CPU(Central Processing Unit)あるいはマイクロプロセッサ、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等のメモリを備えるコンピュータシステムで実現してもよい。この場合、メモリには、粒子2の濃度の算出を行うためのコンピュータプログラムが記憶されている。CPUあるいはマイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、粒子2の濃度の算出を行うことができる。
次に、算出部72が行う補正値について説明する。
図6は、実施の形態1に係る粒子検出センサ1の算出部72が行う補正を示す説明図である。図6は、横軸が粒子検出センサ1の積算期間を示し、縦軸が重量式のセンサの検出値に対する粒子検出センサ1の検出値との割合を示している。実線は、粒子検出センサ1の受光素子131が出力した検出値の補正を行った場合の検出値である。また、破線は、粒子検出センサ1の受光素子131が出力した検出値の補正を行わない場合の検出値である。
破線からも判るように、光学式である粒子検出センサ1では、積算期間の経過とともに受光素子131が出力した検出値は低下する傾向がある。そこで、重量式のセンサは積算期間に関わらず一定であると仮定し、重量式のセンサの検出値に対する粒子検出センサ1の検出値との割合から、第1補正値を算出する。
こうして、算出部72は、計測部71が出力した積算期間情報が示す積算期間に基づいて第1補正値を算出し、第1補正値に応じて検出値を補正する。
記憶部73は、積算期間情報と、積算期間情報が示す積算期間に基づいて算出される第1補正値とを記憶している。記憶部73は、積算期間情報と対応する第1補正値を示すデータテーブルを記憶していてもよい。
リセットスイッチ74は、積算期間情報が示す積算期間をリセットする。例えば、掃除窓108から投光レンズ122、受光レンズ132及び筐体10の内部に付着した汚れ又はホコリを取り除いた場合、粒子検出センサ1を使用した積算期間をリセットすることで、検出値の補正もリセットされる。リセットスイッチ74は、記憶部73に記憶されている積算時間情報が示す積算時間をリセットして0にする。粒子検出センサ1を使用した積算期間をリセットしないと、検出値が補正されてしまうため、正確な検出値を得ることができない。
[動作]
次に、本実施の形態における粒子検出センサ1の動作について説明する。
図7は、実施の形態1に係る粒子検出センサ1の動作を示すフローチャートである。
図7に示すように、まず、粒子検出センサ1の投光素子121は、光を出力する(S1)。これにより、投光レンズ122は、投光素子121から出射する光を検知領域DAに集束させる。投光レンズ122の焦点は、検知領域DAに存在する。検知領域DAを通過する粒子2は、投光素子121からの光を散乱させる。
次に、粒子検出センサ1の受光素子131は、検知領域DAにおける粒子2による投光素子121からの光の散乱光の少なくとも一部を受光する。受光素子131は、受光レンズ132によって集束された散乱光を受光する。受光素子131は、受光した散乱光の検出値を出力する(S2)。
次に、計測部71は、粒子検出センサ1を使用した積算期間を計測し(S3)、積算期間を示す積算期間情報を算出部72に出力する。
次に、算出部72は、計測部71が出力した積算期間情報が示す積算期間に基づいて補正値である第1補正値を算出する(S4)。
次に、算出部72は、第1補正値に応じて検出値を補正し、補正した検出値から粒子数を算出する(S5)。そして、粒子検出センサ1は、この処理を終了する。
[作用効果]
次に、本実施の形態における粒子検出センサ1及び粒子検出方法の作用効果について説明する。
上述したように、本実施の形態に係る粒子検出センサ1は、気体に浮遊する粒子2が通過する検知領域DAに光を出力する投光素子121と、粒子2による投光素子121からの光の散乱光を受光して検出値を出力する受光素子131と、受光素子131が出力した検出値に基づいて粒子2の数を示す粒子数を算出する算出部72と、当該粒子検出センサ1を使用した積算期間を計測して積算期間情報を出力する計測部71とを備える。そして、算出部72は、計測部71が出力した積算期間情報が示す積算期間に基づいて第1補正値を算出し、第1補正値に応じて検出値を補正し、補正した検出値から粒子数を算出する。
粒子検出センサ1内に粒子2が堆積すること等により、受光素子131が受光する光の強度が所定の割合で低下しても、これによれば、算出部72は、計測部71が出力した積算期間情報が示す積算期間に基づいて第1補正値を算出し、第1補正値に応じて受光素子131が出力した検出値を補正する。このため、大気に含まれる粒子2の濃度が高い環境下でも、第1補正値に応じて受光素子131が出力した検出値を補正することで、大気に含まれる粒子2の濃度を算出することができる。これにより、補正された検出値から、大気に含まれる粒子2の濃度を精度よく導き出すことができる。
したがって、粒子検出センサ1によれば、大気に含まれる粒子2の濃度を精度よく算出することができる。
特に、この粒子検出センサ1では、検出値が低下しても検出値を補正するため、長期間の使用を実現することができる。また、所定の粒子2が堆積することを待つことなく、短期間の計測で大気に含まれる粒子2の濃度を算出することができる。さらに、この粒子検出センサ1では、従来のように分流機構及び遮断機構等を設ける必要もないため、製造コストの高騰化が抑制される。
また、本実施の形態に係る粒子検出方法は、気体に浮遊する粒子2が通過する検知領域DAに光を出力し、粒子2による光の散乱光を受光して検出値を出力し、当該粒子検出センサ1を使用した積算期間を計測して積算期間情報を出力し、出力された積算期間情報が示す積算期間に基づいて補正値を算出し、補正値に応じて検出値を補正し、補正した検出値から粒子数を算出する。
この粒子検出方法においても、上述と同様の作用効果を奏する。
また、本実施の形態に係る粒子検出センサ1は、さらに、積算期間情報が示す積算期間をリセットするリセットスイッチ74を備える。
粒子検出センサ1の内部に堆積した粒子2を取り除くといった掃除を行えば、受光素子131の検出値の出力の低下をリセットすることができる。これによれば、粒子検出センサ1は、積算期間情報が示す積算期間をリセットするリセットスイッチ74を備えることで、掃除後に第1補正値を算出することができる。このため、大気に含まれる粒子2の濃度をより精度よく算出することができる。
(実施の形態1の変形例)
本変形例に係る粒子検出センサ1について説明する。
本変形例では、積算期間情報が点灯期間情報である点で実施の形態1と異なっている。また、本変形例の粒子検出センサ1は、特に明記しない場合は、実施の形態1と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。また、粒子検出センサ1の動作についても同様であるため、詳細な説明を省略する。
記憶部73は、積算期間情報である投光素子121が点灯した期間を示す点灯期間情報と、点灯期間情報に対応する第1補正値を示す第1テーブルとを記憶している。
算出部72は、記憶部73に記憶されている、点灯期間情報と、点灯期間情報に対応する第1補正値を示す第1テーブルとから第1補正値を算出する。
このように、本変形例に係る粒子検出センサ1は、さらに、積算期間情報である投光素子121が点灯した点灯期間を示す点灯期間情報と、点灯期間情報に対応する第1補正値を示す第1テーブルとを記憶する記憶部73を備える。そして、算出部72は、第1テーブルから点灯期間に応じて第1補正値を算出する。
粒子検出センサ1内に粒子2が堆積すること等により、受光素子131が受光する光の強度は、所定の割合で低下しても、これによれば、算出部72は、記憶部73に記憶されている点灯期間情報から第1補正値を算出する。このため、粒子検出センサ1の使用期間が長くなることで、受光素子131が受光する光の強度が所定の割合で低下しても、第1補正値を算出することができる。このため、大気に含まれる粒子2の濃度をより精度よく算出することができる。
本変形例における他の作用効果についても、実施の形態1と同様の作用効果を奏する。
(実施の形態2)
[構成]
本実施の形態に係る粒子検出センサ1の構成について説明する。
本実施の形態では、第2テーブルから第2補正値をさらに算出する点で実施の形態1と異なっている。また、本実施の形態の粒子検出センサ1は、特に明記しない場合は、実施の形態1と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。また、粒子検出センサ1の動作についても同様であるため、詳細な説明を省略する。
記憶部73は、第1テーブルとの他に、点灯期間情報と、点灯期間情報に紐付けられた投光素子121の発光強度を示す強度情報との関係から導かれた投光素子121の経年劣化を示す劣化情報と、劣化情報に対応する第2補正値とを示す第2テーブルとを記憶している。
算出部72は、第1補正値の他に、第2テーブルから劣化情報に応じた第2補正値を算出する。算出部72は、第1補正値により補正した検出値を、第2補正値に応じてさらに補正する。第2補正値も補正値に含まれる。
算出部72が行う補正について説明する。
図8は、実施の形態2に係る粒子検出センサ1の投光素子121の経年劣化を示す説明図である。図8では、縦軸は投光素子121の発光強度である明るさ(%)を示し、横軸は投光素子121が点灯した積算期間である点灯期間(h)を示している。実線は、投光素子121の発光強度の寿命曲線を示している。寿命曲線は、LT70と呼ばれる、投光素子121の輝度が初期の輝度の70%となる時間を示す曲線の一例である。図8からも判るように、点灯期間が経過するに従い、投光素子121の明るさが低下していることがわかる。図8の点灯期間を示す情報は図6の積算期間を示す情報と紐付けられており、点灯期間は、積算期間と実質的に同一である。
算出部72は、投光素子121の経年劣化からくる、投光素子121の発光強度の寿命曲線に合わせて、第2補正値を算出する。具体的には、図6で粒子検出センサ1の検出値を重量式の検出値で除算して算出した第1補正値と、図8の点灯時間に対応する明るさを乗算して第2補正値とを算出する。算出部72は、検出値に第1補正値を乗算し、さらに、乗算した検出値に第2補正値を乗算することで、補正された検出値を得る。
フローチャートは省略するが、第1補正値及び第2補正値の算出は、図7のステップS4に相当する。また、算出部72が第1補正値により補正した検出値を、第2補正値に応じてさらに補正された検出値を算出する処理は、図7のステップS5に相当する。
[作用効果]
次に、本実施の形態における粒子検出センサ1の作用効果について説明する。
上述したように、本実施の形態に係る粒子検出センサ1において、記憶部73は、さらに、点灯期間情報と点灯期間情報に紐付けられた投光素子121の発光強度を示す強度情報との関係から導かれた投光素子121の経年劣化を示す劣化情報と、劣化情報に対応する第2補正値を示す第2テーブルとを記憶する。そして、算出部72は、第2テーブルから劣化情報に応じた第2補正値を算出し、第1補正値により補正した検出値を、第2補正値に応じてさらに補正する。
これによれば、算出部72は、第2テーブルから劣化情報に応じた第2補正値を算出し、第1補正値により補正した検出値を、第2補正値に応じてさらに補正する。このため、投光素子121の劣化を加味した補正をすることで、検出値をより精度よく算出することができるため、大気に含まれる粒子2の濃度をより精度よく算出することができる。
本実施の形態における他の作用効果についても、実施の形態1等と同様の作用効果を奏する。
(実施の形態3)
本実施の形態に係る粒子検出センサ1の構成について説明する。
本実施の形態では、第3テーブルから第3補正値をさらに算出する点で実施の形態1等と異なっている。また、本実施の形態の粒子検出センサ1は、特に明記しない場合は、実施の形態1と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。また、粒子検出センサ1の動作についても同様であるため、詳細な説明を省略する。
記憶部73は、積算期間情報の他に、積算期間情報に紐付けられた気体に含まれる微粒子の濃度を示す濃度情報と、濃度情報に対応する第3補正値とを示す第3テーブルとを記憶している。第3補正値は補正値に含まれる。
算出部72が行う補正について説明する。
図9は、大気塵試験が行われたPM2.5の積算値と、粒子検出センサ1による検出値と基準器による検出値との出力比との関係を示す図である。
図9は、横軸がPM2.5について大気塵試験が行われたPM2.5の積算値を示し、縦軸がたばこの煙が存在している環境下での、粒子検出センサ1の検出値と基準器の検出値との出力比(センサ/基準器)を示している。たばこの煙が存在している環境下は、600μg/m3である。
図9では、場所A〜Eまでのそれぞれ異なる場所で、この積算値と出力比とを算出した。場所A〜Eまでの初期値である白抜きのプロット点は、測定を開始した時点の積算値及び出力比を意味している。そして、場所A〜Eまでのハッチの入ったプロット点は、初期値から所定期間を経て測定された積算値及び出力比を示している。
図9では、場所A〜Eでの粒子検出センサ1の出力比の違いはさほど見られないことがわかった。また、PM2.5の積算値が大きくなるほど、出力比が低下する傾向にあることがわかった。この結果から、最小二乗法により、積算値をxとし、出力比をyとした式(1)を算出した。
y=−0.000006x+0.8876 (式1)
算出部72は、式(1)に基づいて、大気に含まれる粒子2の濃度を示す積算値xに応じて出力比yを算出する。大気に含まれる粒子2の濃度を示す積算値xが濃度情報に対応し、出力比yが第3補正値に対応する。このように、算出部72は、式(1)に基づいて、記憶部73に記憶されている第3テーブルから濃度情報に応じた第3補正値を算出する。
算出部72は、第1補正値により補正した検出値を、第3補正値に応じてさらに補正する。具体的には、算出部72は、図6で粒子検出センサ1の検出値を重量式の検出値で除算して算出した第1補正値に検出値を乗算し、さらに、乗算した検出値に第3補正値を乗算することで、補正された検出値を算出する。そして、算出部72は、第3補正値で補正された補正値から大気に含まれる粒子2の濃度を算出する。
フローチャートは省略するが、第1補正値及び第3補正値の算出は、図7のステップS4に相当する。また、算出部72が第1補正値により補正した検出値を、第3補正値に応じてさらに補正された検出値を算出する処理は、図7のステップS5に相当する。
このような粒子検出センサ1を使用するに際し、大気に含まれる粒子2の濃度が大きければ粒子検出センサ1内に粒子2が多く堆積していると考えられるため、検出値が低下することが考えられる。また、大気に含まれる粒子2の濃度が大きければ粒子検出センサ1内に粒子2が少なければ、粒子検出センサ1内に粒子2がさほど堆積していないと考えられる。そこで、第1補正値により補正した検出値を、第3補正値に応じてさらに補正することで、精度よく検出値を算出することができる。このため、大気に含まれる粒子2の濃度をより精度よく算出することができる。
[作用効果]
次に、本実施の形態における粒子検出センサ1の作用効果について説明する。
上述したように、本実施の形態に係る粒子検出センサ1は、さらに、積算期間情報に紐付けられた気体に含まれる粒子2の濃度を示す濃度情報と、濃度情報に対応する第3補正値を示す第3テーブルとを記憶する記憶部73を備える。そして、算出部72は、第3テーブルから濃度情報に応じた第3補正値を算出し、第1補正値により補正した検出値を、第3補正値に応じてさらに補正する。
これによれば、算出部72は、積算期間情報と濃度情報とから第3補正値を算出することができる。算出部72は、第3テーブルから濃度情報に応じた第3補正値を算出し、第1補正値により補正した検出値を、第3補正値に応じてさらに補正する。このため、濃度情報を加味した補正をすることで、検出値をより精度よく算出することができるため、大気に含まれる粒子2の濃度をより精度よく算出することができる。
本実施の形態における他の作用効果についても、実施の形態1等と同様の作用効果を奏する。
(実施の形態3の変形例)
本変形例に係る粒子検出センサ1について説明する。
本変形例では、第4テーブルから第4補正値をさらに算出する点で実施の形態1等と異なっている。また、本実施の形態の粒子検出センサ1は、特に明記しない場合は、実施の形態1と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。また、粒子検出センサ1の動作についても同様であるため、詳細な説明を省略する。
記憶部73は、点灯期間情報と、第1テーブルとの他に、点灯期間情報に紐付けられた気体に含まれる粒子2の濃度を示す濃度情報と、濃度情報に対応する第4補正値を示す第4テーブルとを記憶している。第4補正値は補正値に含まれる。
算出部72は、式(1)に基づいて、記憶部73に記憶されている第4テーブルから濃度情報に応じた第4補正値を算出する。
算出部72は、第1補正値により補正した検出値を、第4補正値に応じてさらに補正する。具体的には、算出部72は、図6で粒子検出センサ1の検出値を重量式の検出値で除算して算出した第1補正値に検出値を乗算し、さらに、乗算した検出値に第4補正値を乗算することで、補正された検出値を得る。そして、算出部72は、第4補正値で補正された補正値から大気に含まれる粒子2の濃度を算出する。
フローチャートは省略するが、第1補正値及び第4補正値の算出は、図7のステップS4に相当する。また、算出部72が第1補正値により補正した検出値を、第4補正値に応じてさらに補正された検出値を算出する処理は、図7のステップS5に相当する。
このように、本変形例に係る粒子検出センサ1において、記憶部73は、さらに、点灯期間情報に紐付けられた気体に含まれる粒子2の濃度を示す濃度情報と、濃度情報に対応する補正値を示す第4テーブルとを記憶する。そして、算出部72は、第4テーブルから濃度情報に応じた第4補正値を算出し、第1補正値により補正した検出値を、第4補正値に応じてさらに補正する。
これによれば、算出部72は、点灯期間情報と濃度情報とから第4補正値を算出することができる。算出部72は、第4テーブルから濃度情報に応じた第4補正値を算出し、第1補正値により補正した検出値を、第4補正値に応じてさらに補正する。このため、濃度情報を加味した補正をすることで、検出値をより精度よく算出することができるため、大気に含まれる粒子2の濃度をより精度よく算出することができる。
本変形例における他の作用効果についても、実施の形態1等と同様の作用効果を奏する。
(その他変形例等)
以上、本発明について、実施の形態1〜3、実施の形態1の変形例、及び、実施の形態3の変形例に基づいて説明したが、本発明は、上記実施の形態1〜3、実施の形態1の変形例、及び、実施の形態3の変形例に限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態1〜3、実施の形態1の変形例、及び、実施の形態3の変形例において、リセットスイッチがリセットをするタイミングは、粒子検出センサが煙感知器、空気清浄機、換気扇、エアコン等の家電機器に搭載される場合において、これら家電機器の筐体の開口を開閉する蓋を開く際に、リセットスイッチが押下されることでもよい。また、リセットスイッチがリセットをするタイミングは、使用者が掃除を行った後に任意のタイミングでリセットスイッチを押下されることでもよい。
また、上記実施の形態1〜3、実施の形態1の変形例、及び、実施の形態3の変形例において、発光素子を点灯しない状態で、粒子検出センサの初期状態における迷光量を計測し、迷光量を示す初期情報を記憶部に格納していてもよい。初期情報と現在の迷光量を示す情報とを比較して、期間の経過により迷光量が増加すれば、粒子検出センサの内部が汚れていると、算出部が判断してもよい。
また、上記実施の形態3及び実施の形態3の変形例において、検出値を第1補正値で補正した後に第3補正値又は第4補正値で補正するが、第1補正値の代わりに第3補正値を用いて検出値を補正してもよく、第4補正値の代わりに第3補正値を用いて検出値を補正してもよい。
また、上記実施の形態1〜3、実施の形態1の変形例、及び、実施の形態3の変形例に係り、粒子検出センサに含まれる各処理部は典型的に集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
また、上記実施の形態1〜3、実施の形態1の変形例、及び、実施の形態3の変形例に係り、回路基板は、電圧を増幅する増幅回路を有していてもよい。増幅回路は、算出部が算出した第1補正値に基づいて、受光素子が出力した検出値が示す出力電圧を増幅してもよい。増幅回路は、増幅した検出値の出力電圧を算出部に入力してもよい。これにより、算出部は、増幅された検出値から粒子数を算出してもよい。
また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
なお、上記各実施の形態1、2において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサ等のプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
また、上記で用いた数字は、全て本開示を具体的に説明するために例示するものであり、本開示の実施の形態は例示された数字に制限されない。
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
また、フローチャートにおける各ステップが実行される順序は、本開示を具体的に説明するために例示するためのものであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
その他、実施の形態1〜3、実施の形態1の変形例、及び、実施の形態3の変形例に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態1〜3、実施の形態1の変形例、及び、実施の形態3の変形例における構成要素および機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。