JP5907498B1 - 粒子検出センサ - Google Patents

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Abstract

粒子検出センサ(1)は、投光素子(121)と受光素子(131)と処理部(620)とを備え、処理部(620)は、検知信号の波形から抽出された複数の波高値と1以上の第一閾値との相対関係を補正し、補正後の相対関係を用いて、複数の波高値の各々について、第一閾値により区分けされた複数の波高値区分のうちのいずれの波高値区分に属するかを判定する判定処理を実行することにより、気体中の粒子の質量濃度を算出する。

Description

本発明は、粒子検出センサに関する。
従来、大気中(気体中)に浮遊する粒子(エアロゾル)によって散乱された光(散乱光)を検知することで、粒子を検出する光散乱式粒子検出センサが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の光散乱式粒子検出センサは、筐体(光学室)内に投光素子と受光素子とを備える光散乱式粒子検出センサである。当該センサは、測定対象の気体を筐体内に取り込んで、取り込んだ気体に投光素子からの光を照射し、その散乱光によって気体に含まれる粒子の有無を検出する。例えば、大気中に浮遊するホコリ、花粉、煙、PM2.5(微小粒子状物質)などの粒子を検出することができる。
特許第3731338号公報 特開平11−248629号公報
ところで、光散乱式粒子検出センサでは、気体の単位体積当たりに含まれる粒子の質量である質量濃度を算出するために、当該粒子の検出精度のさらなる向上が期待されている。
そこで、本発明は、粒子の検出精度を向上させることができる粒子検出センサを提供することを第1の目的とする。
また、光散乱式粒子検出センサとして、迷光の発生を低減するために、投光素子又は受光素子と対向する位置に光トラップが設けられたものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、このような構成では、個体ごとに特性が異なる場合がある。このような場合、同一の気体が導入された場合であっても、特性のバラつきによって、複数の粒子検出センサの検出結果にバラつきが生じる虞がある。そこで、本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、センサ個体の特性バラツキによる検出結果のバラツキを抑制し、粒子の検出精度を向上した粒子検出センサを提供することを第2の目的とする。
上記第1の目的を達成するため、本発明の一態様に係る第1の粒子検出センサは、気体中に含まれる粒子を検出する粒子検出センサであって、投光素子と、検知領域における前記粒子による前記投光素子の光の散乱光を受光する受光素子と、前記受光素子からの出力を示す検知信号を用いて前記気体中に含まれる前記粒子の質量濃度を算出する処理部とを備え、前記処理部は、前記検知信号の波形から抽出された複数の波高値と1以上の第一閾値との相対関係を補正し、補正後の相対関係を用いて、前記複数の波高値の各々について、前記第一閾値により区分けされた複数の波高値区分のうちのいずれの波高値区分に属するかを判定する判定処理を実行することにより、前記質量濃度を算出する。
また、上記第1の目的を達成するため、本発明の一態様に係る第2の粒子検出センサは、気体中に含まれる粒子を検出する粒子検出センサであって、投光素子と、検知領域における前記粒子による前記投光素子の光の散乱光を受光する受光素子と、前記受光素子からの出力を示す検知信号を用いて前記気体中に含まれる前記粒子の質量濃度を算出する処理部とを備え、前記処理部は、前記検知信号の波形から抽出された複数の波高値の各々について、1以上の第一閾値により区分けされた複数の波高値区分のうちのいずれの波高値区分に属するかを判定する判定処理と、前記複数の波高値区分の各々について判定された前記波高値の個数、及び、前記複数の波高値区分の各々において1以上の第二閾値により区分けされた複数の粒径区分の各々が含まれる含有比率を用いて、前記複数の粒径区分の各々における粒子数を推定する推定処理と、前記複数の粒径区分の各々における粒子数を用いて、前記質量濃度を算出する算出処理とを実行する。
また、上記第2の目的を達成するために、本発明の一態様に係る第3の粒子検出センサは、投光素子と受光素子とを備え、検知領域における粒子による前記投光素子の光の散乱光を前記受光素子で受光することにより気体中に含まれる粒子を検出する粒子検出センサを含む粒子検出センサであって、前記受光素子から出力された電流を電圧に変換することにより電圧信号を生成するIV変換部と、前記電圧信号を所定の帯域で増幅する増幅部と、前記増幅部で増幅された電圧信号をサンプリング及び量子化するAD変換部とを備える。
更に、当該粒子検出センサの感度に応じた補正係数を記憶している記憶部と、前記受光素子から出力された電流を電圧に変換することにより電圧信号を生成するIV変換部と、前記電圧信号を所定の帯域で増幅する増幅部と、増幅された前記電圧信号をサンプリング及び量子化するAD変換部と、前記AD変換部でサンプリング及び量子化された前記電圧信号である時系列のデジタルデータ及び前記補正係数を用いて、前記波高値区分を決定する閾値を補正する補正係数を備える。
本発明の一態様に係る粒子検出センサによれば、粒子の検出精度を向上させることができる。
図1は、実施の形態に係る粒子検出センサを備える空気清浄機の構成の一例を示すブロック図である。 図2は、実施の形態に係るセンサ部の斜視図である。 図3は、実施の形態に係るセンサ部の分解斜視図である。 図4は、実施の形態に係るセンサ部の筐体内部を示す断面図である。 図5は、実施の形態における信号変換部及びこれに関連する構成を示すブロック図である。 図6は、実施の形態に係る処理部の動作を示すフローチャートである。 図7は、実施の形態に係る受光素子から出力されるアナログ信号の一例を示す波形図である。 図8Aは、実施の形態に係る検知信号の一例を示す波形図である。 図8Bは、実施の形態に係る検知信号の一例を示す波形図である。 図8Cは、実施の形態に係る検知信号の一例を示す波形図である。 図9は、実施の形態に係る粒子検出処理を示すフローチャートである。 図10は、実施の形態に係る粒径ごとの波高値と距離との関係の一例を示す図である。 図11は、実施の形態に係る粒子検出センサの製造工程における、記憶部への補正係数の初期設定処理について説明するためのブロック図である。 図12は、実施の形態に係る粒子検出センサの製造工程における、補正係数の初期設定処理を示すフローチャートである。 図13は、実施の形態に係る書き込み部によって算出された補正係数について説明するためのグラフである。 図14は、実施の形態に係る波高値計数処理を示すフローチャートである。 図15は、実施の形態に係る波高値区分各々の波高値数の一例を示す図である。 図16は、実施の形態に係る粒径区分各々の粒子数の一例を示す図である。 図17は、実施の形態の変形例1に係る粒子検出センサを備える空気清浄機の構成の一例を示すブロック図である。 図18は、実施の形態の変形例2に係る粒子検出センサを備える空気清浄機の構成の一例を示すブロック図である。 図19は、実施の形態の変形例2に係る検知信号の一例を示す波形図である。 図20は、実施の形態の変形例2に係る粒子検出処理を示すフローチャートである。 図21は、実施の形態の変形例2に係る質量濃度算出処理を示すフローチャートである。 図22は、実施の形態の変形例2に係る粒径分布の一例を示すグラフである。 図23は、実施の形態の変形例2に係る粒子の規格化質量の一例を示すグラフである。 図24は、実施の形態の変形例3に係る粒子検出センサにおいてPM2.5の質量濃度を算出するために用いられる、一般的なPM2.5分粒装置の通過率特性を示すグラフである。 図25は、実施の形態の変形例4に係る粒子検出センサの一部の構成の一例を示すブロック図である。 図26は、実施の形態の変形例4における増幅器の構成の一例を示す回路図である。 図27Aは、実施の形態の変形例4における増幅器の出力電圧を示すグラフである。 図27Bは、実施の形態の変形例4における増幅器の出力電圧を示すグラフである。 図28は、実施の形態の変形例4における増幅器、判定部及びDA変換部の接続関係を模式的に示す模式図である。 図29は、実施の形態の変形例4における判定部の出力、及び、DA変換部の出力を示すグラフである。 図30は、実施の形態の変形例5に係る粒子検出センサの一部の構成の一例を示すブロック図である。 図31は、実施の形態の変形例5におけるIV変換部の一例を示す回路図である。 図32は、実施の形態の変形例5における増幅器の一例を示す回路図である。 図33は、実施の形態の変形例5において、微小粒子及び粗大粒子の各々について、ゲイン制御部によるAGCが行われない場合と行われる場合とのデジタルデータを模式的に示す図である。 図34は、実施の形態の変形例6に係る粒子検出センサの一部の構成の一例を示すブロック図である。 図35は、実施の形態の変形例6において、増幅部の入力電圧の波形及び出力電圧の波形を模式的に示す図である。 図36は、実施の形態の変形例6に係る粒子検出センサが奏する効果について説明するための図である。 図37は、実施の形態の変形例6に係る粒子検出センサの他の一例が奏する効果について説明するための図である。 図38は、実施の形態の変形例6に係る粒子検出センサの一部の構成の他の一例を示すブロック図である。 図39は、都市大気の粒径分布を示すグラフである。 図40は、実施の形態に係る粒子検出センサを備える空気清浄機の外観図である。 図41は、実施の形態に係る粒子検出センサを備える煙感知器の外観図である。 図42は、実施の形態に係る粒子検出センサを備える換気扇の外観図である。 図43は、実施の形態に係る粒子検出センサを備えるエアコンの外観図である。
以下では、本発明の実施の形態に係る粒子検出センサなどについて、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、並びに、ステップ及びステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する趣旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化する場合がある。
(実施の形態)
実施の形態に係る粒子検出センサについて、図1〜図16を用いて説明する。本実施の形態では、粒子検出センサが、空気清浄機に備えられている場合について説明する。
[1.空気清浄機の構成]
まず、実施の形態に係る空気清浄機の構成について説明する。図1は、実施の形態に係る粒子検出センサ1を備える空気清浄機1000の構成の一例を示すブロック図である。
同図に示すように、空気清浄機1000は、センサ部200と、信号変換部610と、処理部620と有する粒子検出センサ1を備え、本実施の形態では、さらに、操作部630と、制御部600とを備えている。また、本実施の形態では、粒子検出センサ1は、さらに、記憶部650を備える。
センサ部200は、本実施の形態では、粒子の散乱光の強度を示す信号を出力するセンサである。センサ部200の構成については、後で詳述する。
信号変換部610は、A/D変換器(アナログデジタル変換器)及びノイズフィルタを有する回路を用いて構成されている。信号変換部610は、センサ部200から出力されるアナログ信号からノイズを除去した信号をデジタル信号に変換して、処理部620に対して出力する。なお、信号変換部610は必須構成ではなく、処理部620側でA/D変換及びノイズ除去等の処理を行ってもかまわない。
処理部620は、CPU(Central Processing Unit)あるいはマイクロプロセッサ、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等のメモリを備えるコンピュータシステムである場合を例に説明する。メモリには、粒子の質量濃度の算出を行うためのコンピュータプログラムが記憶されている。CPUあるいはマイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、粒子の質量濃度の算出を行うことができる。処理部620は、検知信号を用いて気体中に浮遊する粒子の質量濃度を算出する。処理部620の動作については、後で詳述する。
操作部630は、ユーザが空気清浄機1000の設定、例えば、風量、加湿の有無、及び、タイマーの設定等を行うためのラチェット機構を利用したボタン等で構成される。
制御部600は、空気清浄機1000の動作制御を行う。制御部600は、例えば、空気清浄機1000が自動運転に設定されている場合に、処理部620から出力される質量濃度等に応じて風量の調節等を行う。また、制御部600は、空気清浄機1000の筐体に設けられた表示部(図示せず)に、現在の風量、粒子(ハウスダスト)の検出の有無等を示す表示を行わせるように構成してもかまわない。
記憶部650は、補正係数fk1を記憶している、例えばメモリである。例えば、記憶部650は、補正係数fk1として、当該記憶部650が搭載された粒子検出センサ1の感度に応じた値を記憶している。
ここで、補正係数fk1は、例えば、センサ部200に所定の粒径を有する基準粒子が導入された場合にセンサ部200から出力されたアナログ信号に基づいて算出された値であり、粒子検出センサ1の製造工程において書き込まれることにより生成されている。言い換えると、補正係数fk1は、粒子検出センサ1の製造工程において初期設定されている。なお、製造工程における補正係数の初期設定処理については、後述する。
[1−1.センサ部の全体構成]
次に、実施の形態に係るセンサ部200の構成について、図2〜図4を用いて説明する。図2〜図4はそれぞれ、実施の形態に係るセンサ部200の一例を示す斜視図、分解斜視図、及び、筐体内部の一例を示す断面図である。図4は、より詳細には、本実施の形態に係る背面カバー110及び前面カバー100の内部構造を示す概観斜視図である。
センサ部200は、流入口101が下方、流出口102が上方になるように配置される。具体的には、センサ部200は、図2に示すY軸方向が鉛直上向きになるように配置される。なお、センサ部200は、扁平な略直方体状であり、互いに直交する2つの辺に沿った方向をそれぞれX軸方向及びY軸方向とする。また、センサ部200の厚さ方向をZ軸方向とする。本実施の形態では、センサ部200は、例えば、X:52mm×Y:45mm×Z:22mmに収まる範囲の大きさである。
センサ部200は、図2及び図4に示すように、筐体10と、筐体10の内部に配置された光学系20とを備える光散乱式粒子検出センサである。本実施の形態では、センサ部200は、光散乱式粒子検出センサである。具体的には、センサ部200は、光学系20が筐体10内の検知領域DAに光を照射し、検知領域DAを通過する粒子2(エアロゾル)による光の散乱光を受光することで、粒子2の有無を検出する。また、センサ部200は、粒子2の有無に限らず、粒子2の個数及び大きさなどを検出してもよい。なお、センサ部200が検出の対象とする粒子2は、例えば、5μm以下の微小なホコリ、花粉、煙、PM2.5などの微粒子である。
筐体10は、光学系20及び検知領域DAを覆う筐体(ケース)である。筐体10は、光学系20及び検知領域DAに外光が照射されないように、光学系20及び検知領域DAを覆っている。
筐体10は、内部に粒子2が流入するための流入口101と、内部に流入した粒子2が外部に流出するための流出口102とを有する。本実施の形態では、図4の太点線の矢印で示すように、粒子2を含む気体が流入口101から流入し、筐体10の内部(例えば、検知領域DA)を通って流出口102から流出する。筐体10の詳細な構成については、後で説明する。
光学系20は、流入口101を介して筐体10内に流入し、かつ、筐体10に覆われた検知領域DAを通過する粒子2を光学的に検出する。本実施の形態では、光学系20は、筐体10に覆われた検知領域DAに互いの光軸(光軸P及び光軸Q)が交差するように配置された投光系120及び受光系130を有し、検知領域DAを通過する粒子2を、投光系120が出力する光を用いて検出する。投光系120は、投光素子121と、投光レンズ122とを備える。受光系130は、受光素子131と、受光レンズ132とを備える。光学系20の詳細な構成については、後で説明する。
なお、検知領域(光散乱部)DAは、測定対象の気体に含まれる粒子2を検知するための領域であるエアロゾル検知領域(エアロゾル測定部)である。本実施の形態では、検知領域DAは、投光系120の光軸Pと受光系130の光軸Qとが交差する交点を含む領域である。検知領域DAは、例えば、φ2mmである。測定対象の気体は、筐体10の流入口101から流入し、検知領域DAに誘導された後、流出口102から流出する。
センサ部200は、図2〜図4に示すように、さらに、ホコリ抑制壁30と、第一光トラップ40と、第二光トラップ50と、加熱装置60と、回路基板70と、コネクタ80と、第一シールドカバー90と、第二シールドカバー91とを備える。
ホコリ抑制壁30は、流入口101と検知領域DAとの間に設けられた壁であって、粒子2より大きいホコリが検知領域DAに進入するのを抑制する。ここで、検知領域DAへの進入を抑制すべき対象となるホコリ(塵埃)は、例えば、2μm以上の粒子である。
また、ホコリ抑制壁30は、流入口101と第一光トラップ40との間に設けられた壁であって、気体が第一光トラップ40に進入しないように気体を誘導する第一気体誘導壁である。ホコリ抑制壁30の詳細な構成については、後で説明する。
第一光トラップ40は、投光系120から出力されて検知領域DAを通った光をトラップする。具体的には、第一光トラップ40は、内部に一旦入射した光が外部に出射しないように吸収する。本実施の形態では、第一光トラップ40は、楔形の閉空間を有するが、ラビリンス構造であってもよい。
本実施の形態では、第一光トラップ40は、検知領域DAを介して投光系120と対向する位置に設けられている。具体的には、第一光トラップ40は、入射した光が出射することが困難な第一閉空間41及び43を有している。第一閉空間41及び43の各々には、第一開口部42及び44が設けられている。第一光トラップ40は、投光系120から出力されて検知領域DAを通った光を、複数の第一開口部42及び44の各々を通過するように分割してからトラップする。
第二光トラップ50は、第一光トラップ40にトラップされない光をトラップする。第二光トラップ50は、入射した光が出射することが困難な第二閉空間51を有している。第二閉空間には、第二開口部52が設けられている。例えば、第二光トラップ50は、投光系120から出力されて検知領域DAを通らない光(漏れ光)、及び、第一光トラップ40に一旦入射したものの再び第一光トラップ40から出射された光などをトラップする。
本実施の形態では、第二光トラップ50は、検知領域DAを介して受光系130と対向する位置に設けられている。第二光トラップ50は、例えば、複数の楔形突出部115が設けられたラビリンス構造である。
加熱装置60は、流入口101から流入した粒子2を含む気体を、検知領域DAを通るように流すことで、筐体10内に気流を生成する気流生成部の一例である。本実施の形態では、加熱装置60は、筐体10の下部に配置されて、気体を加熱するヒータである。具体的には、加熱装置60は、粒子2を含む気体を加熱することで、図4に示すように、筐体10内に上昇気流(Y軸正方向への気体の流れ)を生成し、検知領域DAに粒子2を含む気体を誘導する。加熱装置60は、例えば、低コストのヒータ抵抗である。なお、図4では、太点線の矢印で気流の一例を示している。
回路基板70は、センサ部200の制御回路が形成されたプリント配線基板である。制御回路は、例えば、投光系120による光の出力、受光系130によって受光した光信号に基づく電気信号の処理、加熱装置60による気体の加熱などの処理を制御する。例えば、制御回路は、粒子2の有無、大きさ及び個数などを検出し、コネクタ80を介して外部に検出結果を出力する。
回路基板70は、例えば、矩形の平板であり、一方の主面(表面)に筐体10が固定されている。他方の主面(裏面)には、制御回路を構成する1つ又は複数の回路素子(回路部品)が実装されている。なお、投光素子121、受光素子131及び加熱装置60(ヒータ抵抗)の各々の電極端子は、筐体10の背面カバー110及び回路基板70を貫通し、回路基板70の裏面にはんだ付けされている。これにより、投光素子121、受光素子131及び加熱装置60(ヒータ抵抗)の各々は、制御回路に電気的に接続されて、制御回路によって動作が制御される。
複数の回路素子は、例えば、抵抗、コンデンサ、コイル、ダイオード又はトランジスタなどを含む。複数の回路素子の1つである電解コンデンサ71は、図4に示すように、回路基板70の表面に設けられ、筐体10内に配置されている。
このように、筐体10内の空間を有効に利用することで、回路基板70の裏面側に配置する回路素子を少なくすることができる。これにより、回路基板70の裏面側の回路素子用の空間を小さくすることができ、第一シールドカバー90を小さくすることができる。したがって、センサ部200を小型化することができる。
コネクタ80は、センサ部200の制御回路(回路基板70)と、外部の制御回路又は電源回路とを接続するためのコネクタである。コネクタ80は、回路基板70の裏面に実装されている。例えば、センサ部200は、コネクタ80を介して外部から電力が供給されて動作する。
第一シールドカバー90は、外部ノイズから制御回路を保護するために設けられた金属製のカバーである。第一シールドカバー90は、回路基板70の裏面側に取り付けられている。
第二シールドカバー91は、外部ノイズから受光系130の受光素子131を保護するために設けられた金属製のカバーである。第二シールドカバー91は、筐体10の前面、上面及び左側面の一部であって、内部に受光素子131が配置された部分を覆っている。
なお、第一シールドカバー90及び第二シールドカバー91は、例えば、ブリキなどから構成される。
以下では、センサ部200が備える各構成要素について、詳細に説明する。
[1−2.センサ部の筐体の構成]
筐体10は、センサ部200の本体部であり、内部には、検知領域DA、光学系20、ホコリ抑制壁30、第一光トラップ40、第二光トラップ50及び加熱装置60が設けられている。本実施の形態では、筐体10は、前面カバー100と、背面カバー110との2つの部材によって構成される。
筐体10は、遮光性を有する。例えば、筐体10は、迷光を吸収させるように、少なくとも内面が黒色である。具体的には、筐体10の内面は、光の吸収率が高く、かつ、光を鏡面反射する。なお、筐体10の内面における反射は、鏡面反射でなくてもよく、光の一部が散乱反射されてもよい。
ここで、迷光は、粒子2による散乱光以外の光であり、具体的には、投光系120が出力する光のうち検知領域DAにおいて粒子2に散乱されることなく、筐体10内を進行する光である。また、迷光は、筐体10の外部から流入口101又は流出口102を介して筐体10の内部に進入した外光も含む。
筐体10は、例えば、ABS樹脂などの樹脂材料を用いた射出成形により形成される。具体的には、前面カバー100及び背面カバー110の各々が、樹脂材料を用いた射出成形により形成された後、互いに組み合わされることで筐体10を構成する。このとき、例えば、黒色の顔料又は染料を添加した樹脂材料を用いることで、筐体10の内面を黒色面にすることができる。あるいは、射出成形後に内面に黒色塗料を塗布することで、筐体10の内面を黒色面にすることができる。また、筐体10の内面にシボ加工などの表面処理を行うことによって、迷光を吸収させてもよい。
筐体10は、図2に示すように、扁平な多面体であり、前面部10aと、背面部10bと、下面部10cと、上面部10dと、左側面部10eと、右側面部10fとを有する。具体的には、筐体10は、矩形の4つの角のうち右上及び左上の角が斜めになった略七角形を底面とする角柱形状である。
前面部10a、背面部10b、下面部10c、上面部10d、左側面部10e及び右側面部10fはそれぞれ、筐体10の前面(正面)、背面、下面、上面、左側面及び右側面を形成する。前面部10aは、前面カバー100の底部であり、背面部10bは、背面カバー110の底部である。下面部10c、上面部10d、左側面部10e及び右側面部10fは、前面カバー100の側周部と背面カバー110の側周部とが組み合わされて形成される。
前面部10a及び背面部10bは、互いに略同じ形状であり、具体的には、略七角形の平板部である。下面部10cは、前面部10a及び背面部10bに垂直に設けられた略矩形の平板部である。上面部10d、左側面部10e及び右側面部10fは、前面部10a及び背面部10bに垂直に設けられ、平面視において内側に向かって屈曲した板状部である。
なお、筐体10の形状は一例であって、これに限らない。例えば、筐体10は、底面(前面部10a及び背面部10b)が矩形の直方体でもよく、あるいは、底面が円形の円柱でもよい。
筐体10の側面には、図2〜図4に示すように、流入口101と、流出口102とが設けられている。具体的には、筐体10の前面部10aに、流入口101と、流出口102とが設けられている。
流入口101は、筐体10の側面(前面部10a)に設けられた所定形状の開口であり、当該開口を介して、粒子2を含む気体が筐体10の内部に流入する。流入口101は、例えば、12mm×5.5mmの略矩形の開口であるが、流入口101の形状はこれに限らない。例えば、流入口101は、円形又は楕円形などの開口でもよい。
本実施の形態では、流入口101は、図4に示すように、検知領域DAの直下方向には設けられておらず、前面カバー100の下部の隅に設けられている。これにより、流入口101から進入する外光が検知領域DAに照射されにくくすることができる。
流出口102は、筐体10の側面に設けられた所定形状の開口であり、当該開口を介して、粒子2を含む気体が筐体10の外部に流出する。流出口102は、例えば、12mm×5mmの略矩形の開口であるが、流出口102の形状はこれに限らない。例えば、流出口102は、円形又は楕円形などの開口でもよい。流出口102の大きさは、例えば、流入口101と同じである。
本実施の形態では、流出口102は、図4に示すように、検知領域DAの直上方向であって、前面カバー100の上部の中央に設けられている。これにより、加熱装置60によって生成された気流をスムーズに流出口102から外部に放出することができる。
なお、流入口101及び流出口102は、筐体10の前面部10aに設けたが、これに限らない。例えば、流入口101は、筐体10の背面部10b、下面部10c、左側面部10e又は右側面部10fに設けてもよい。また、流出口102は、筐体10の背面部10b、上面部10d、左側面部10e又は右側面部10fに設けてもよい。
筐体10には、ホコリ抑制壁30、第一光トラップ40及び第二光トラップ50の各々を構成するための内部構造(例えば、所定形状のリブなど)が設けられている。具体的には、図3に示すように、前面カバー100は、内面から立設した第一壁103を有する。また、図4に示すように、背面カバー110は、内面から立設した第二壁111を有する。第一壁103と第二壁111とは、ホコリが筐体の内部に侵入するのを低減するホコリ抑制壁30を形成する。
背面カバー110は、さらに、内面から立設した第一光反射壁112、第二光反射壁113、第三光反射壁114及び複数の楔形突出部115を有する。第一光反射壁112は、第二壁111とともに第一光トラップ40を形成する。第二光反射壁113、第三光反射壁114及び複数の楔形突出部115は、第二光トラップ50を形成する。
第一光反射壁112は、屈曲した壁である。具体的には、図4に示すように、第一光反射壁112は、平板状の第一反射部112aと、平板状の第二反射部112bとを有する。第三光反射壁114は、平板状の第一反射部114aと、平板状の第二反射部114bとを有する。
前面カバー100は、図4に示すように、係止部106及び係止部107を有する。また、背面カバー110は、図4に示すように、被係止部118及び被係止部119を有する。前面カバー100と背面カバー110とを組み合わせることで、係止部106が被係止部118に係止し、係止部107が被係止部119に係止する。これにより、前面カバー100と背面カバー110とは固定される。なお、係止部106及び係止部107並びに被係止部118及び被係止部119の設ける位置、個数及び形状などは、いかなるものでもよい。
筐体10の前面部10aには、さらに、掃除窓108が設けられている。具体的には、掃除窓108は、前面カバー100の中央部に設けられた台形状の貫通孔である。掃除窓108は、投光レンズ122、受光レンズ132及び筐体10の内部に付着した汚れ又はホコリを取り除くために設けられている。例えば、掃除窓108から綿棒などを筐体10の内部に挿入することで、内部の掃除を行うことができる。掃除窓108は、センサ部200を動作させる際には、掃除窓108を介して外光が検知領域DAに照射されないように、図示しないカバー部材によって蓋がされる。
本実施の形態では、第一壁103、係止部106及び係止部107は、前面カバー100と一体に形成されている。また、第二壁111、第一光反射壁112、第二光反射壁113、第三光反射壁114、複数の楔形突出部115、被係止部118及び被係止部119は、背面カバー110と一体に形成されている。
[1−3.センサ部を構成する光学系の構成]
光学系20は、図2〜図4に示すように、筐体10の背面カバー110に配置されて、前面カバー100によって挟まれることで、筐体10の内部に収納されている。投光系120と受光系130とは、図4に示すように、各々の光軸(光軸P及び光軸Q)が交差するように配置されている。
投光系120は、検知領域DAに集光するように光を出力する。投光系120は、投光素子121と、投光レンズ122とを備える。
投光素子121は、所定の波長の光を発する光源(発光部)であり、例えば、LED(Light Emitting Diode)又は半導体レーザなどの固体発光素子である。投光素子121の光軸は、投光系120の光軸Pに一致し、例えば、検知領域DAを通過する。
投光素子121としては、紫外光、青色光、緑色光、赤色光又は赤外光を発する発光素子を用いることができる。この場合、投光素子121は、2波長以上の混合波を発するように構成されてもよい。本実施の形態では、粒子2による光の散乱強度に鑑みて、投光素子121として、500nm以上かつ700nm以下にピーク波長を持つ光(赤色光)を投光する、例えば砲弾型のLEDを用いる。
なお、投光素子121の発光波長が短い程、粒径の小さな粒子を検出しやすくなる。また、投光素子121の発光制御方式は特に限定されるものではなく、投光素子121から出射する光は、DC駆動による連続光又はパルス光などでもよい。また、投光素子121の出力の大きさ(光の強度)は、時間的に変化させてもよい。
投光レンズ122は、投光素子121の前方に配置されており、投光素子121から出射する光(投光ビーム)を検知領域DAに向けて進行させるように構成されている。つまり、投光素子121から出射する光は、投光レンズ122を介して検知領域DAを通過する。検知領域DAを通過する粒子2が投光素子121からの光を散乱させる。
投光レンズ122は、例えば、投光素子121から出射する光を検知領域DAに集束(集光)させる集光レンズであり、例えば、ポリカーボネート(PC)などの透明樹脂レンズ又はガラスレンズである。例えば、投光レンズ122の焦点は、検知領域DAに存在する。
受光系130は、検知領域DAにおける粒子2による投光系120からの光の散乱光を受光する。なお、図4では、太実線の矢印で光の経路の一例を示している。受光系130は、受光素子131と、受光レンズ132とを備える。
受光素子131は、検知領域DAにおける粒子2による投光素子121からの光の散乱光の少なくとも一部を受光する。受光素子131は、具体的には、受光した光を電気信号に変換する光電変換素子であり、本実施の形態では、投光素子121が投光する光に感度を有する、フォトダイオード及びフォトトランジスタの少なくとも一方を有する。なお、受光素子131は、例えば、フォトICダイオード又は光電子増倍管などを有してもよい。受光素子131の光軸は、受光系130の光軸Qに一致し、例えば、検知領域DAを通過する。
受光レンズ132は、受光素子131と検知領域DAと間に配置されており、検知領域DA側から入射する光を受光素子131に集光するように構成されている。具体的には、受光レンズ132は、検知領域DAにおいて粒子2による散乱光を、受光素子131に集束させる集光レンズであり、例えば、PCなどの透明樹脂レンズ又はガラスレンズである。例えば、受光レンズ132の焦点は、検知領域DA及び受光素子131の表面に存在する。
[2.粒子検出センサの動作]
次に、本実施の形態に係る粒子検出センサ1の動作について、説明する。
[2−1.粒子検出のメカニズム]
まず、粒子検出センサ1が粒子を検出するメカニズムについて説明する。
制御部600は、検知信号の取得に先だって、加熱装置60を用いて筐体10内の空気を加熱する。加熱装置60により空気が加熱されると、筐体10内に上昇気流が生じ、流入口101から空気が取り込まれ、流出口102から空気が筐体10の外部に流出する。これに伴い、気体中の微粒子は、流入口101から筐体10の内部に進入し、粒子の検知領域DAを通過して、流出口102から筐体10の外部に流出される。
投光素子121は、検知領域DAに向けて光を出力する。投光素子121から出力された光は、検知領域DAを通過する粒子にあたって散乱する。
受光系130に向けて散乱された散乱光(散乱光の一部)は、受光レンズ132を介して受光素子131により受光される。受光素子131は、受光した光の強さに応じた信号を信号変換部610に対して出力する。
第一光トラップ40に向けて散乱された散乱光(散乱光の他の一部)は、第一光トラップ40によりトラップされ、受光系130には入射しないように構成されている。
このような構成により、粒子検出センサ1は、気体に含まれる粒子を検出することができる。
[2−2.信号変換部の動作]
[2−2−1.アナログ信号処理]
信号変換部610は、センサ部200から出力された電流信号に対して各種の信号処理を施すことにより、当該電流信号に基づくアナログ電圧信号を出力するアナログ信号処理を行う。ここで、各種の信号処理とは、例えば、電流(I)を電圧(V)に変換するI/V変換、入力された信号の所望の周波数帯域を通過させるバンドパスフィルタ処理、及び、入力された信号を増幅して出力する増幅処理である。
なお、信号変換部610は、アナログ信号処理として、ここに例示した各処理に限らず、さらに他の信号処理(例えば、ハイパスフィルタ処理、ローパスフィルタ処理、及び、減衰処理等)を行うものであってもよい。
ここで、信号変換部610の構成について、図5を用いて説明する。図5は、本実施の形態における信号変換部610及びこれに関連する構成を示すブロック図である。具体的には、同図には、信号変換部610及び処理部620の構成が示されている。
この信号変換部610は、図5に示すように、IV変換部241と、増幅部242とを含み、上述したアナログ信号処理を行うアナログ信号処理部240を有する。また、信号変換部610は、さらに、アナログ信号処理部240から出力されたアナログ電圧信号をデジタルデータに変換するAD変換部261を含む。
[2−2−2.IV変換部]
IV変換部241は、受光素子131から出力された電流を電圧に変換(IV変換)する。つまり、IV変換部241は、センサ部200から出力された電流信号を電圧信号に変換する。このように電圧信号に変換することにより、IV変換部241の後段に接続された増幅部242の設計が容易になる。
[2−2−3.増幅部]
増幅部242は、IV変換部241で変換された電圧信号の所定の帯域を増幅する。具体的には、当該電圧信号に含まれる周波数成分のうち所定の帯域の周波数成分を、他の帯域の周波数成分よりも高い増幅率で増幅する。ここで、所定の帯域とは、例えば、中心周波数をセンサ部200の粒子流路内に流れる気体の流速v1に対応する周波数f1とし、帯域幅をfbwとする帯域である。なお、fbwは所定の周波数であってもよいし、電圧信号のノイズフロアに応じて適宜設定される周波数であってもよい。言い換えれば、増幅部242は、IV変換部241で変換された電圧信号を増幅し、粒子に対応したパルス波形を含む電圧信号に変換する。
この増幅部242は、例えば、図5に示すように、IV変換部241から出力された電圧信号に含まれる周波数成分のうち所定の帯域の周波数成分を通過するバンドパスフィルタ242aと、バンドパスフィルタ242aを通過した周波数成分からなる信号を増幅する増幅器242bとを含む。なお、バンドパスフィルタ242a及び増幅器242bの接続順はこれに限らず、増幅器242bがバンドパスフィルタ242aよりも前段に設けられていてもよい。
このような構成により、アナログ信号処理部240は、センサ部200から出力された電流信号に基づく電圧信号を出力する。
[2−2−4.AD変換部]
AD変換部261は、増幅部242で増幅された電圧信号をサンプリング(標本化)及び量子化する。言い換えると、当該AD変換部261は、アナログ信号処理部240から出力されたアナログの電圧信号をAD(Analog to Digital)変換することにより、当該電圧信号に対応する時系列のデジタルデータを生成する。つまり、AD変換部261は、センサ部200から出力された電流信号に基づく時系列のデジタルデータを生成する。
具体的には、このAD変換部261は、汎用MPUに予め組み込まれたAD変換モジュールであり、当該汎用MPUのアナログ入力端子に入力された電圧信号をデジタルデータに変換する。例えば、AD変換部261は、汎用MPUにおいてアナログ入力用に設定された端子に入力された0.0〜5.0Vの範囲の電圧信号を、所定のサンプリング周期でサンプリングし、サンプリングされた電圧信号の電圧を10ビットのデジタル値に変換することにより、デジタルデータを生成する。
なお、汎用MPUのアナログ入力端子に入力される電圧の範囲は、上記例に限らず、例えば、当該入力される電圧の最大値は、汎用MPUの外部から指定される電圧(例えば3.3V)であってもよい。また、AD変換部261で生成されるデジタルデータのビット数は、上記例に限らず、例えば8ビットであっても12ビットであってもよい。
[2−2−5.汎用MPUの構成]
汎用MPUは、さらに、処理部620を有し、アナログ信号処理部240から出力されたアナログ電圧信号を用いて、センサ部200の粒子流路内に流れる気体に含まれる粒子の粒径を算出する。この汎用MPUは、例えば、集積回路であるシステムLSIにより実現され、以下で説明する構成毎に個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
また、汎用MPUは、システムLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
このような汎用MPUは、AD変換部261で生成されたデジタルデータを用いて、センサ部200の粒子流路内に流れる気体に含まれる粒子についての種々の分析を行うことができる。この種々の分析とは、例えば、当該粒子の粒径の算出、又は、当該粒子の同定等である。
[2−2−6.電源部]
なお、特に図示していないが、粒子検出センサ1は、各構成(センサ部200、及び、信号変換部610等)に対して、電源を供給する電源部を備える。この電源部は、例えば、粒子検出センサ1の外部から供給された電圧を所望の電圧に変換するレギュレータ等により構成される。
[2−3.処理部の動作]
処理部620は、時系列のデジタルデータのピークを検出し(以下、これを「ピークサーチ」と称する)、検出したピークの値は、検出粒子に対応した波高値である。
また、処理部620は、上述したデジタルデータのピークを検出する演算(ピークサーチ)を、常時行っていてもよいし、所定の条件を満たしている場合のみに行っていてもよい。
次に、本実施の形態に係る処理部620の動作について、説明する。
図6は、実施の形態に係る処理部620の動作を示すフローチャートである。
同図に示すように、まず、処理部620は、信号変換部610から検知信号を取得する(S10)。信号変換部610は、上述したように、受光素子131から出力されるアナログ信号を、デジタル信号である検知信号に変換する。
ここで、図7は、受光素子131から出力されるアナログ信号の一例を示す波形図である。図7に示す波形には、4つの粒子の散乱光の強度を示す波形が含まれている。より具体的には、当該波形には、波高値VS1を有する波形W1と、波高値VS2を有する波形W2と、波高値VS3を有する波形W3と、波高値VS4を有する波形W4とが含まれる。また、さらに、当該波形には、ノイズフロアVNのノイズ波形WNが含まれる。
このようなアナログ信号は、信号変換部610によってノイズ波形WNの除去等のフィルタ処理及びアナログデジタル変換等を施されることにより、図8A〜図8Cに示すような検知信号へと変換され、処理部620によって取得される。図8A〜図8Cはそれぞれ、検知信号の一例を示す波形図であり、図8Bは図8Aよりも粒子検出センサ1の感度が高い場合を示し、図8Cは図8Aよりも粒子検出センサ1の感度が低い場合を示す。
同図に示す検知信号は、上記アナログ信号がサンプリング(標本化)及び量子化された信号であり、例えば、10ビットの時系列のデジタルデータである。なお、検知信号はステップ状の波形であるが、図8A〜図8Cでは、当該ステップの幅が非常に小さいものとして図示している(見た目上曲線に見える)。このようにして変換された検知信号には、受光素子131において受光された粒子からの散乱光の強度を示す波形が含まれる。
次に、処理部620は、検知信号の波形から複数の波高値を抽出する(S20)。
ここで波高値の抽出方法は任意である。上述したように、ここでの検知信号はデジタル信号であるため、判定対象のデジタル値を前後のデジタル値と比較し、判定対象のデジタル値が前後のデジタル値よりも大きい場合に、判定対象のデジタル値を波高値として抽出してもかまわない。なお、検知信号がアナログ信号の場合は、例えば、一定時間ごとにサンプリングし、判定対象のサンプリング値が前後のサンプリング値よりも大きい場合に、判定対象のサンプリング値を波高値として抽出してもかまわない。図7及び図8A〜図8Cに示す例では、4つの波高値VS1〜VS4が抽出できる。
次に、処理部620は、抽出された波高値を用いて、気体中の粒子を検出する(S30)。具体的には、気体中の粒子を検出することにより、当該気体中の粒子の質量濃度を算出する。なお、以下では、「気体中の粒子の質量濃度」を、単に「質量濃度」と記載する場合がある。
[2−4.粒子検出処理(粒子検出方法)]
以下、粒子検出処理(S30)における詳細な処理について、説明する。図9は、実施の形態に係る粒子検出処理を示すフローチャートである。
まず、処理部620は、記憶部650から補正係数fk1を読み出す(S31)。
その後、処理部620は、検知信号の波形から抽出された複数の波高値と、複数の波高値区分(後述する)を区分けする1以上の閾値(第一閾値)との相対関係を補正する(S32)。本実施の形態において、処理部620は、記憶部650から補正係数fk1を読み出すことにより当該相対関係を補正する。この処理部620による補正処理の詳細については、後述する。
次に、処理部620は、補正後の相対関係を用いて、後述する波高値区分各々について、抽出された波高値の個数を計数する(S33)。つまり、補正後の相対関係を用いて、複数の波高値の各々について、1以上(本実施の形態では4つ)の閾値により区分けされた複数の波高値区分のうちのいずれの波高値区分に属するかを判定することにより、波高値区分各々について波高値の個数を計数する。
例えば、処理部620は、波高値が抽出される度に、補正後の相対関係を用いて、抽出された波高値が複数の波高値区分のうちのどの波高値区分に属するかを判定する。その後、処理部620は、波高値区分各々の波高値数を計数する。
[2−4−1.波高値区分の設定]
ここで、波高値区分の設定について、説明する。
複数の波高値区分は、1以上の閾値(第一閾値)に応じて定められている。本実施の形態では、図8Aに示すように、4つの閾値Vt1〜Vt4により区分けされた4つの波高値区分BS1〜BS4が設定されている。つまり、閾値Vti(i=1〜4)は、隣り合う波高値区分の境界を規定している。
ここで、検知信号から抽出される波高値と検知領域DAに位置する粒子の粒径とは、所定の相関関係を有する。
図10は、粒径ごとの波高値と距離との関係の一例を示す図である。図10では、説明のため、5.0μm、2.5μm、1.0μm及び0.5μmの粒子における波高値と距離との関係を示している。波高値は、散乱光の強度に対応している。距離は、粒子が検知領域DAを通過する際に検知領域DAの中心、つまり、投光素子121から出力された光が集光される位置に最も近づいたときの距離である。距離が0になるのは、粒子が検知領域DAの中心を通過する場合である。
一般的に、図10に示すように、距離が同じである場合、粒径が大きくなるほど、波高値は大きくなる。したがって、粒径が大きくなるほど、波高値の最大値は大きくなる。さらに、図10に示すように、粒径が同じである場合、検知領域DAの中心からの距離が小さいほど、受光強度は大きくなる。
しかしながら、図10に示すように、例えば、検知領域DAの中心から距離r1の位置を通過する5.0μmの粒径を有する粒子に対応する波高値は、検知領域DAの中心を通過する2.5μmの粒径を有する粒子の波高値よりも小さい。つまり、信号強度から、直接的に粒径ごとの粒子数を導き出すのは困難である。
ただし、複数の波高値区分BS1〜BS4の各々において1以上の閾値(第二閾値)により区分けされた複数の粒径区分(後述する)の各々が含まれる含有比率は、図10に示す感度分布を用いて予め求めることができる。
そこで、本実施の形態において、処理部620は、複数の波高値区分BS1〜BS4の各々について判定された波高値の個数、及び、複数の波高値区分BS1〜BS4の各々において複数の粒径区分BPiの各々が含まれる含有比率を用いて、複数の粒径区分の各々における粒子数を推定する。なお、含有比率の詳細については、後述する。
本実施の形態では、閾値Vtiは、波高値区分BSiに、粒径区分BPiに対応する粒径以上の粒径を有する粒子が含まれ、粒径区分BPiに対応する粒径よりも小さい粒径を有する粒子が含まれないように設定される。閾値Vtiは、例えば、粒径区分BPiに属する粒子のうち、最も小さい粒子に対応する検知信号の波高値の最大値に設定される。
具体的には、本実施の形態では、検出された粒子を、5.0μm以上、2.5μm〜5.0μm、1.0〜2.5μm、及び、0.5〜1.0μmの4つの粒径区分BPiに区分する。閾値Vt1は、波高値区分BS1に、5.0μm以上の粒径の粒子が含まれ、他の粒径の粒子が含まれないように設定される。閾値Vt1は、例えば、粒径が5.0μmの粒子における検知信号の最大値に設定される。閾値Vt2は、波高値区分BS2に、粒径が2.5μm以上の粒子が含まれ、2.5μmより小さい粒子が含まれないように設定される。閾値Vt2は、例えば、粒径が2.5μmの粒子における検知信号の最大値に設定される。閾値Vt3は、波高値区分BS3に、粒径が1.0μm以上の粒子が含まれ、1.0μmより小さい粒子が含まれないように設定される。閾値Vt3は、例えば、粒径が1.0μmの粒子における検知信号の最大値に設定される。閾値Vt4は、波高値区分BS4に、粒径が0.5μm以上の粒子が含まれるように設定される。
このように設定された波高値区分を用いて、処理部620は、検知信号の波形から抽出された複数の波高値の各々について、1以上(本実施の形態では4つ)の閾値Vt1〜Vt4により区分けされた複数の波高値区分BS1〜BS4のうちのいずれの波高値区分に属するかを判定する。
[2−4−2.補正]
ここで、信号変換部610で生成されたデジタルデータである検知信号は、粒子検出センサ1の感度に依存した値である。
つまり、同一粒径の粒子が導入された場合であっても、粒子検出センサ1の感度が高い場合には、図8Bに示すように、検知信号の波形が比較的大きくなる。一方、粒子検出センサ1の感度が低い場合には、検知信号の波形が比較的小さくなる。つまり、検知信号の波形の大きさは、例えば、光学系20の設計、受光素子131の受光感度、並びに、センサ部200及び信号変換部610が有する電子部品の感度等に応じた粒子検出センサ1の感度に依存する。
したがって、粒子検出センサ1の感度によらず同一の閾値Vt1〜Vt4を用いて粒子の粒径を算出した場合、次のような問題が生じる虞がある。
具体的には、粒子検出センサ1の感度が高い場合、検知信号の波形から抽出された複数の波高値VS1〜VS4が、本来の波高値区分よりも大きい波高値区分に属すると誤判定される虞がある。一方、粒子検出センサ1の感度が低い場合、当該波高値VS1〜VS4が、本来の波高値区分よりも小さい波高値区分に属すると誤判定される虞がある。
このような誤判定が生じた場合、気体中の粒子の質量濃度を精度良く算出することが困難になる。
そこで、本実施の形態では、上述したように、検知信号の波形から抽出された複数の波高値と、複数の波高値区分BS1〜BS4を区分けする閾値との相対関係を補正する。具体的には、本実施の形態では、記憶部650から補正係数fk1を読み出して閾値を補正することにより、上記の相対関係を補正する。
[2−4−2−1.補正係数の初期設定]
まず、記憶部650への補正係数fk1の初期設定処理について、説明する。この補正係数fk1は、例えば、粒子検出センサ1の製造工程において書き込まれている。
図11は、本実施の形態に係る粒子検出センサ1の製造工程における、記憶部650への補正係数の初期設定処理について説明するためのブロック図である。
同図に示すように、製造工程において、記憶部650への補正係数fk1の書き込みは、信号変換部610及び記憶部650に接続された書き込み部700によって実行される。
書き込み部700は、検知領域DAに所定の粒径を有する基準粒子が導入された場合に信号変換部610から出力された検知信号に基づいて、粒子検出センサ1の感度に応じた補正係数fk1を算出し、算出した補正係数fk1を記憶部650に書き込む。
以下、書き込み部700による補正係数fk1の初期設定処理について、図12及び図13を用いて説明する。図12は、製造工程において書き込み部700により実行される補正係数fk1の初期設定処理を示すフローチャートである。図13は、書き込み部700によって算出された補正係数fk1について説明するためのグラフである。
まず、書き込み部700は、センサ部200の筐体10内に、所定の粒径を有する基準粒子を流入させる(S50)。つまり、検知領域DAに、当該基準粒子を導入する。なお、基準粒子の導入は書き込み部700によって実行されなくてもよく、例えば、基準粒子を含む気体で満たされたチャンバ内にセンサ部200を配置することによって実現されてもよい。
次に、書き込み部700は、基準粒子が導入された状態において信号変換部610から出力された検知信号を取得し(S10)、当該検知信号の波形から波高値を抽出する(S20)。その後、書き込み部700は、抽出した波高値に基づいて補正係数fk1を算出(S60)し、算出した補正係数fk1を記憶部650に書き込む(S70)。
単一粒子径である基準粒子として、PSL(ポリスチレンラテックス)の標準粒子を使用してもよい。また、粒子径に分布がある基準粒子として、タバコによる発煙燃焼で発生する煙粒子または綿灯芯による発煙燃焼で発生する煙粒子を使用してもよい。
例えば、書き込み部700は、抽出した波高値とノイズフロアVNとの差分を、理想的な波高値PIとノイズフロアVNとの差分で除した値を補正係数fk1として算出する。
つまり、書き込み部700は、検知信号が図13の第1検知波形の場合、すなわち、波高値抽出処理(上記のS20)で取得された波高値がP1の場合、(P1―VN)/(PI―VN)を補正係数fk1として算出する。これにより、検知信号が比較的小さい場合、すなわち感度が低い場合には、補正係数fk1として1より小さい値が算出される。
同様に、例えば、書き込み部700は、検知信号が図13の第2検知波形の場合、すなわち、波高値抽出処理(上記のS20)で取得されたピーク値がP2の場合、(P2―VN)/(PI―VN)を補正係数fk1として算出する。これにより、検知信号が比較的大きい場合、すなわち感度が高い場合には、補正係数fk1として1より大きい値が算出される。
ここで、検知信号はセンサ部200から出力される電流に対応し、当該電流はセンサ部200の感度に相当する。よって、理想的な波高値PI及び実際の波高値は、当該センサ部200の感度の基準となる基準感度及び当該センサ部200の実際の感度に相当する。
したがって、書き込み部700は、センサ部200から出力された電流が比較的小さい場合、つまり感度が低い場合には、1より小さい値を補正係数fk1として算出する。一方、センサ部200から出力された電流が比較的大きい場合、つまり感度が高い場合には、1より大きい値を補正係数fk1として算出する。
このように、書き込み部700は、基準感度に対するセンサ部200の感度に応じた補正係数fk1を記憶部650に書き込む。
なお、理想的な波高値は、筐体10に基準粒子を導入した場合に限らず、例えば、粒子検出センサ1の設計値によって定められてもよい。
また、補正係数fk1は、複数個のセンサ部200の各々において、筐体10に基準粒子を導入した場合に抽出された波高値の平均値又は中央値等であってもよい。
以上説明したような初期設定処理により、記憶部650には、補正係数fk1が書き込まれる。したがって、このように算出された補正係数fk1を用いて上述した相関関係を補正することにより、気体中の粒子の質量濃度を精度良く算出することができる。
[2−4−2−2.補正係数を用いた補正処理]
次に、上述の補正処理(S32)について、具体的に説明する。
上述したように、処理部620は、記憶部650から読み出した補正係数fk1を用いて、閾値Vt1〜Vt4を補正する。
これにより、例えば、図8Bに示すように感度が高い粒子検出センサ1では、補正後の閾値Vt11〜Vt14の各々は、対応する補正前の閾値Vt1〜Vt4よりも大きくなる。よって、粒子検出センサ1の感度が高い場合に、検知信号の波形から抽出された複数の波高値VS1〜VS4が本来の波高値区分よりも大きい波高値区分に属すると誤判定される虞を低減できる。
一方、例えば、図8Cに示すように感度が低い粒子検出センサ1では、補正後の閾値Vt21〜Vt24の各々は、対応する補正前の閾値Vt1〜Vt4よりも小さくなる。よって、粒子検出センサ1の感度が低い場合に、検知信号の波形から抽出された複数の波高値VS1〜VS4が本来の波高値区分よりも小さい波高値区分に属すると誤判定される虞を低減できる。
すなわち、検出信号から抽出された波高値が複数の波高値区分BS1〜BS4のうちのどの波高値区分に属するかを、粒子検出センサ1の感度によらず高精度に判定できる。
ここで、処理部620は、複数の波高値区分BS1〜BS4の各々における上限と下限との差の比率が当該複数の波高値区分BS1〜BS4の間で維持されるように閾値Vt1〜Vt4の各々を補正することにより、当該閾値Vt1〜Vt4と複数の波高値VS1〜VS4との相対関係を補正する。
また、具体的には、処理部620は、検知信号における任意のレベル(本実施の形態ではノイズフロアVN)を基準として閾値Vt1〜Vt4の各々を補正する。
例えば、上述したように、検知信号の波高値とノイズフロアVNとの差分VSαを信号変換部610から出力された理想的な検知信号の波高値とノイズフロアVNとの差分VSβで除した値VSα/VSβを補正係数fk1とする場合、処理部620は、閾値Vt1〜Vt4の各々とノイズフロアVNとの差分に対してfk1を乗算し、乗算結果に対してノイズフロアVNを加算する。
これにより、補正後の閾値Vt11〜Vt14の各々は、ノイズフロアVNを基準電位として補正前の閾値Vt1〜Vt4の各々が補正された値となる。また、補正の前後で、複数の波高値区分BS1〜BS4の各々における上限と下限との差の比率が当該複数の波高値区分BS1〜BS4の間で維持される。
なお、ここでは感度が大きい場合の補正後の閾値Vt11〜Vt14の各々を算出する処理について説明したが、感度が小さい場合の補正後の閾値Vt21〜Vt24の各々の算出も、同様である。
このように、処理部620は、検知領域DAに所定の粒径を有する基準粒子が導入された場合における受光素子131からの出力に基づいて、閾値Vt1〜Vt4と複数の波高値VS1〜VS4との相対関係を補正する。
[2−4−3.波高値計数処理]
次に、処理部620による波高値区分の判定及び計数処理について、説明する。処理部620は、上述のように補正された閾値Vt1〜Vt4によって区分けされる波高値区分を用いて、検知信号の波形から抽出された複数の波高値の各々について、いずれの波高値区分に属するかを判定する。
波高値区分の判定は、判定対象の波高値と、隣接する波高値区分の境界の値として設定された補正後の複数の閾値とを比較することにより行われる。
図14は、本実施の形態に係る波高値の波高値区分の判定及び波高値区分ごとの波高値数の計数の処理手順の一例を示すフローチャートである。処理部620は、まず、各変数の初期化を行う(S301)。具体的には、処理部620は、iを1(閾値の添え字の最小値)に設定する。さらに、処理部620は、波高値区分ごとの波高値数を示す変数NBSk(k=0〜波高値区分の添え字の最大数、図14では波高値区分の添え字の最大数=4)を0に設定する。処理部620は、波高値(極大値)WMと補正後の閾値Vtiとを比較する(S302)。
処理部620は、波高値WMが閾値Vtiよりも大きいと判定した場合は(S302のYes)、波高値WMが波高値区分BS(i−1)に属すると判定し、NBS(i−1)をインクリメントする(S303)。
処理部620は、波高値WMが補正後の閾値Vti以下であると判定した場合は(S302のNo)、波高値WMと全ての補正後の閾値Vtiとの比較が終了したか否かを判定する(S304)。ここでは、処理部620は、i=4のときに、波高値WMと全ての補正後の閾値Vtiとの比較が終了したと判定する。処理部620は、比較していない閾値がある場合は(S304のNo)、iをインクリメントして(S305)、ステップS302に移行する。
処理部620は、波高値WMと全ての補正後の閾値Vtiとの比較が終了したと判定した場合は(S304のYes)、波高値WMが波高値区分BS4に属すると判定し、波高値区分BS4の波高値数NBS4をインクリメントする(S306)。
上述した処理を実行することにより、図14において、波高値VS1は、波高値区分BS1に属すると判定される。波高値VS2は、波高値区分BS2に属すると判定される。波高値VS3は、波高値区分BS3に属すると判定される。波高値VS4は、波高値区分BSNに属すると判定される。
全ての波高値について、ステップS301〜306を実行する。当該処理が終了した時点におけるNBS1〜NBS4、NBSNの値が、波高値区分BS1〜BS4、BSNにおける波高値数となる。
波高値計数処理(S33)は、質量濃度換算をする時間間隔で繰り返し行われる。また、ある時間間隔で処理された波高値数を平均化処理してもよい。
ここで、検知領域DAを通過する粒子2の粒径及び個数は、経過時間に応じて変動する場合がある。このため、質量濃度換算をする時間間隔に応じて、各波高値区分BS1〜BS4、BSNにおける波高値数が変動する虞がある。特に、当該時間間隔が短い場合、各波高値区分BS1〜BS4、BSNにおける波高値数がばらつきやすくなるため、算出される質量濃度の誤差が大きくなる虞がある。
そこで、ある時間間隔で処理された波高値数を平均化処理することにより、質量濃度換算をする時間間隔が短い場合であっても、高精度に質量濃度を推定することができる。
[2−4−4.粒子数推定処理]
処理部620は、図9に示すように、波高値計数処理(S33)の後、粒径区分各々の粒子数を推定する(S34)。具体的には、処理部620は、複数の波高値区分BS1〜BS4、BSNの各々について判定された波高値の個数、及び、複数の波高値区分BS1〜BS4、BSNの各々において1以上(本実施の形態では4つ)の閾値(第二閾値)により区分けされた複数の粒径区分BPiが含まれる含有比率を用いて、当該複数の粒径区分BPiの各々における粒子数を推定する。
図15は、波高値区分BS1〜BS4各々の波高値数の一例を示す図である。なお、同図には、各波高値区分BS1〜BS4に含まれる、各粒径区分BP1〜BP4に対応する波高値数も示されている。
同図に示すように、例えば、波高値区分BS4には、粒径区分BP4以上の粒径を有する粒子の波高値が含まれる。つまり、波高値区分BSiには、粒径区分BPi以上の粒径を有する粒子の波高値が含まれる。
ただし、例えば、粒径区分BP2の場合、粒子数NBP2の波高値区分BS2〜BS4の間での比率、つまり、係数a22、a23、a24の比率は、予め求めることができる。これは、図10に示すように、粒子が通過する位置に応じて信号強度が決まること、及び、十分な数の粒子を検出した場合、粒子が検知領域DAを通過する位置は一様になると考えられるためである。
同様に、粒径区分BPiの各々について、係数aii〜ai(imax)を一意的に求めることができる。imaxは、処理部620が複数の粒径区分の各々における粒子数を測定する際に用いる波高値区分数であり、本実施の形態では4である。
これにより、複数の波高値区分BS1〜BS4の各々において複数の粒径区分BP1〜BP4の各々が含まれる含有比率が求められる。つまり、複数の波高値区分BS1〜BS4のうち一の波高値区分(例えば、波高値区分BS3)における含有比率は、当該一の波高値区分について判定された波高値の個数(ここでは、NBS3)と、当該一の波高値区分より大きい他の波高値区分(ここでは、波高値区分BS1、BS2)の各々について判定された波高値の個数(ここでは、NBS2)、及び、検知領域DA内の位置に応じた信号強度の変化とに基づく値である。
言い換えると、一の波高値区分BSiに属すると判定された波高値数NBSiには、一の粒径区分BPiに対応する粒径よりも大きい粒径区分に対応する粒径の粒子によって出現する波高値が含まれる。
そこで、処理部620は、複数の波高値区分のうち一の波高値区分(例えば、波高値区分BS3)に属すると判定された波高値の個数(ここでは、NBS3)と、上述した検知領域DA内の位置に応じた信号強度の変化(図10参照)とを用いて、当該個数のうち、複数の粒径区分のうち一の粒径区分(ここでは、粒径区分BP3)の粒子に対応する波高値の個数(ここでは、a33×NBP3)と、当該一の粒径区分より大きい他の粒径区分(ここでは、粒径区分BP2)の粒子に対応する波高値の個数(a23×NBP2)とを求める。
処理部620は、複数の波高値区分(BS1〜BS4)の各々について、このような手順を行うことにより、複数の粒径区分(BP1〜BP4)の各々における粒子数を、図16に示すように推定する。
図16は、上述した方法で推定された粒径区分BPi各々の粒子数NBPiの一例を示す図である。
このように、処理部620は、複数の波高値区分BS1〜BS4の各々について判定された波高値の個数、及び、複数の波高値区分BS1〜BS4の各々における複数の粒径区分BP1〜BP4の各々が含まれる含有比率を用いて、当該複数の粒径区分BP1〜BP4の各々における粒子数を推定する。
なお、本実施の形態では、波高値区分の数と粒径区分の数とが同じである場合を例に説明したが、これに限るものではない。
また、上記の含有比率には、任意の粒径の比率が0の場合も含まれる。例えば、本実施の形態では、波高値区分BS2における複数の粒径区分BP1〜BP4の各々が含まれる含有比率は、粒径区分BP2が含まれる比率を1とし、他の粒径区分BP1、BP3、BP4が含まれる比率を0とするが、このような含有比率も上記の含有比率の概念に含まれる。
[2−4−5.質量濃度算出処理]
次に、処理部620は、図9に示すように、粒子数推定処理(S34)で推定された複数の粒径区分BP1〜BP4の各々における粒子数を用いて、気体中の粒子の質量濃度を算出する(S35)。
気体中の粒子の質量濃度Mは、粒径区分BPiの粒子数をNBPi、当該粒径区分BPiにおける粒子1個当たりの質量に基づく係数をdiとすると、以下の式1で表すことができる。
Figure 0005907498
係数diは、例えば、粒径区分BPiに区分された粒子1個当たりの質量そのものであってもよいし、粒径区分BPiに属する粒子の質量の平均値、中央値、あるいは、平均値および中央値に粒子検出センサ1の用途に応じた重み付けを行った代表値等であってもよい。
[3.効果等]
ここで、一般的に、同一粒径に対する粒子検出センサ個体間の検知信号の大小を調整する方法としては、例えば、ボリューム抵抗等を用いて、アナログ的に出力ゲインを調整する方法が挙げられる。しかしながら、このようなアナログ的な調整方法は非常に煩雑であるという問題がある。
これに対して、実施の形態に係る粒子検出センサ1によれば、処理部620は、検知信号の波形から抽出された複数の波高値と1以上の閾値(本実施の形態では4つの閾値Vt1〜Vt4)との相対関係を補正し、補正後の相対関係を用いて、複数の波高値の各々について、閾値により区分けされた複数の波高値区分(本実施の形態では4つの波高値区分BS1〜BS4)のうちのいずれの波高値区分に属するかを判定する判定処理(本実施の形態における波高値計数処理(S33))を実行することにより、気体中に含まれる粒子の質量濃度を算出する。
これにより、アナログ的な調整をすることなく、粒子検出センサ1個体間の感度ばらつきを補正することができる。よって、例えばボリューム抵抗等を用いてアナログ的に補正する場合と比較して、部品コスト及び調整コスト等を大幅に削減できるとともに、粒子検出センサ1の感度をデジタル的に調整できるため高精度な調整が可能である。その結果、検知信号の波形から抽出された各波高値が属する波高値区分BS1〜BS4を精度良く判別することができるので、高精度に質量濃度を推定することができる。すなわち、粒子の検出精度を向上させることができる。
また、例えば、処理部620は、さらに、判定処理によって複数の波高値区分BS1〜BS4の各々について判定された波高値の個数、及び、複数の波高値区分BS1〜BS4の各々において1以上の閾値(本実施の形態では4つの閾値0.5μm、1.0μm、2.5μm、5.0μm)により区分けされた複数の粒径区分(本実施の形態では4つの粒径区分BP1〜BP4)の各々が含まれる含有比率を用いて、複数の粒径区分の各々における粒子数を推定する推定処理(S34)と、複数の粒径区分の各々における粒子数を用いて、質量濃度を算出する算出処理(S35)とを実行する。
このように、複数の波高値区分BS1〜BS4の各々において複数の粒径区分BP1〜BP4の各々が含まれる含有比率を用いることで、粒径区分BP1〜BP4の各々の個数濃度に基づき質量濃度を推定することができる。よって、分粒装置を用いることなく高精度に質量濃度を推定することができる。つまり、小型化かつ低コストで高精度に質量濃度を推定することができる。さらに、粒径区分BP1〜BP4の各々について質量濃度を推定できるので、粒径分布が変化した場合であっても、高精度に質量濃度を推定することができる。すなわち、粒子の検出精度を向上させることができる。
また、例えば、処理部620は、複数の波高値区分BS1〜BS4の各々における上限と下限との差の比率が当該複数の波高値区分BS1〜BS4の間で維持されるように閾値(第一閾値)の各々を補正することにより、上記相対関係を補正する。
また、例えば、処理部620は、判定処理において、検知信号における任意のレベルを基準として閾値(第一閾値)の各々を補正する。
これにより、ノイズによる影響を抑制して、より高精度に波高値と閾値(第一閾値)との相対関係を調整することが可能になる。例えば、粒子2による波形が検知信号に出現しない場合の検知信号のレベルを上記基準のレベルとすると、センサ部200及び信号変換部610等によって発生するノイズであるオフセットによる影響を低減して、上記相対関係を調整することができる。つまり、ノイズによる影響を抑制して、高精度に質量濃度を推定することができる。
また、例えば、処理部620は、判定処理において、検知領域DAに所定の粒径を有する基準粒子が導入された場合における受光素子131からの出力に基づいて、相対関係を補正する。
これにより、実測値に基づいて上記相対関係を補正するので、粒子検出センサ1個体間の感度ばらつきを高精度に補正することができる。
また、例えば、粒子検出センサ1は、補正係数fk1を記憶している記憶部650を備え、処理部620は、判定処理において、記憶部650から補正係数fk1を読み出すことにより相対関係を補正する。
これにより、上記相対関係を補正するための補正係数fk1のみを記憶部650に書き込めばよいため、質量濃度を算出するためのプログラムを修正して、マイコン等で実現される処理部620に書き込む必要がない。そのため、粒子検出センサ1個体間の感度ばらつきの調整に要する時間を大幅に短縮化できる。
また、例えば、投光素子121は、500nm以上かつ700nm以下にピーク波長を持つ光を投光し、1以上の閾値(第一閾値)のいずれか1つは、1.0μm以下の粒径に対応する値である。
このように、投光素子121から投光される光のピーク波長を700nm以下とすることにより、粒径が1.0μm以下の小粒径の粒子2による散乱を大きくすることができる。よって、閾値間隔を小さくすることができるため、粒子検出センサ1を構成する回路のダイナミックレンジを小さくできる。したがって、デジタル的な分解能を高くできる。また、バンドギャップを利用した受光素子131の感度は、波長が短くなると低下するため、投光素子121から投光される光のピーク波長を500nm以上とすることにより、受光素子131の感度を維持することができる。よって、感度を維持しつつ、回路のダイナミックレンジを小さくすることができるとともに、複数の波高値区分を高い分解能で設定できる。つまり、粒径が1.0μm以下の小粒径の粒子の個数を高精度に判別できるため、より高精度に質量濃度を推定することができる。
また、受光素子131は、投光素子121が投光する光に感度を有する、フォトダイオード及びフォトトランジスタの少なくとも一方を有する。
これにより、受光素子131を低コスト化できるため、低コストで粒子検出センサ1を実現できる。
(変形例1)
なお、上記実施の形態では、粒子検出センサ1は、補正係数fk1を記憶している記憶部650を備え、処理部620は、判定処理において、記憶部650から補正係数fk1を読み出すことにより相対関係を補正するとした。しかし、処理部による相対関係の補正方法はこれに限らない。
図17は、実施の形態の変形例1に係る粒子検出センサ1Aを備える空気清浄機の構成の一例を示すブロック図である。
同図に示す粒子検出センサ1Aは、実施の形態に係る粒子検出センサ1とほぼ同じであるが、記憶部650を備えずに、処理部620に代わり処理部620Aを備える点が異なる。
同図に示す処理部620Aには、補正係数fk1を含むコード621が組み込まれており、処理部620Aは、判定処理(実施の形態における波高値計数処理(S33))において、コード621を実行することにより上記相対関係を補正してもよい。
このような本変形例に係る粒子検出センサ1Aによっても、実施の形態と同様の効果が奏される。つまり、検知信号から抽出された波高値が属する波高値区分を精度よく判別できるので、高精度に質量濃度を推定することができる。
また、処理部620Aに補正係数fk1を含むコード621が組み込まれていることにより、処理部620Aが記憶部等の外部から補正係数fk1を読み込む必要がないため、演算処理の高速化を図ることができる。
(変形例2)
次に、実施の形態の変形例2について、説明する。
上記実施の形態及びその変形例1では、処理部が、波高値と第一閾値との相対関係を補正し、補正後の相対関係を用いて質量濃度を算出するとした。しかし、処理部は、当該相対関係を補正せずに質量濃度を算出してもかまわない。以下、このような処理部を備える粒子検出センサについて、説明する。
図18は、実施の形態の変形例2に係る粒子検出センサ1Bを備える空気清浄機1000の構成の一例を示すブロック図である。
[粒子検出センサの動作]
次に、本変形例に係る粒子検出センサ1Bの動作について、上記実施の形態と異なる点を中心に説明する。具体的には、本変形例では上記実施の形態と比べて処理部620Bの動作(処理)が異なる。
[処理部の動作]
以下、本変形例に係る処理部620Bの動作について、上記実施の形態と異なる点を中心に説明する。
上述したように、受光素子131から出力されるアナログ信号の波形には、波高値VS1を有する波形W1と、波高値VS2を有する波形W2と、波高値VS3を有する波形W3と、波高値VS4を有する波形W4とが含まれる。また、さらに、当該波形には、ノイズフロアVNのノイズ波形WNが含まれる。
このようなアナログ信号は、信号変換部610によってフィルタ処理及びアナログデジタル変換等を施されることにより、図19に示すような検知信号へと変換され、処理部620Bによって取得される。図19は、検知信号の一例を示す波形図である。
同図に示す検知信号は、上記アナログ信号がサンプリング(標本化)及び量子化された信号であり、例えば、10ビットの時系列のデジタルデータである。なお、検知信号はステップ状の波形であるが、図19では、当該ステップの幅が非常に小さいものとして図示している(見た目上曲線に見える)。このようにして変換された検知信号には、受光素子131において受光された粒子からの散乱光の強度を示す波形が含まれる。
[粒子検出処理(粒子検出方法)]
以下、本変形例の粒子検出処理における詳細な処理について、説明する。図20は、本変形例に係る粒子検出処理(S30B)を示すフローチャートである。
同図に示す粒子検出処理(S30B)は、上記実施の形態で説明した粒子検出処理(S30)と比べて、補正係数fk1の読み出し処理(S31)及び補正処理(S32)を行わずに波高値計数処理(S33)を行う。
具体的には、粒子検出処理において、処理部620Bは、波高値区分各々について、抽出された波高値の個数を計数する(S31)。つまり、検知信号の波形から抽出された複数の波高値の各々について、1以上(本実施の形態では4つ)の閾値(第一閾値)により区分けされた複数の波高値区分のうちのいずれの波高値区分に属するかを判定することにより、波高値区分各々について波高値の個数を計数する。
例えば、処理部620Bは、波高値が抽出される度に、抽出された波高値が複数の波高値区分のうちのどの波高値区分に属するかを判定する。その後、処理部620Bは、波高値区分各々の波高値数を計数する。
[波高値区分の設定]
波高値区分の設定については、上記実施の形態とほぼ同様であるため、簡略化して説明する。
ここで、本変形例では、閾値Vt4は、検知信号に含まれるノイズの波高値に対応するように設定される。言い換えると、1以上(本実施の形態では4つ)の閾値(第一閾値)は、検知信号に含まれるノイズの波高値に対応する閾値Vt4(以降、「ノイズ閾値Vt4」と記載する場合あり)を含む。つまり、閾値Vt4は、波高値区分BS4に、検知信号のノイズによる結果が含まれないように設定される。
このように設定された波高値区分を用いて、処理部620Bは、検知信号の波形から抽出された複数の波高値の各々について、1以上(本変形例では4つ)の閾値Vt1〜Vt4により区分けされた複数の波高値区分BS1〜BS4、BSNのうちのいずれの波高値区分に属するかを判定する。
[粒子数推定処理]
粒子数推定処理については、上記実施の形態とほぼ同様であるため、簡略化して説明する。
本変形例では、処理部620Bは、複数の波高値区分BS1〜BS4、BSNのうちノイズ閾値Vt4を上限として区分けされた波高値区分BSN以外の他の波高値区分BS1〜BS4の各々について判定された波高値の個数、及び、当該他の波高値区分BS1〜BS4の各々における上記含有比率を用いて、複数の粒径区分BP1〜BP4の各々における粒子数を推定する。
[質量濃度算出処理]
処理部620Bは、図20に示すように、粒子数推定処理(S34)で推定された複数の粒径区分BP1〜BP4の各々における粒子数を用いて、気体中の粒子の質量濃度を算出する(S35)。
図21は、質量濃度算出処理(S35)における具体的な処理を示すフローチャートである。
同図に示すように、処理部620Bは、複数の粒径区分BP1〜BP4の各々において、粒子数と当該粒径区分における質量に基づく係数とを乗ずる(S311)。具体的には、処理部620Bは、当該係数として、複数の粒径区分BP1〜BP4の各々における平均質量に基づく値を乗ずる。
ここで、各粒径区分BP1〜BP4における平均質量について、図22及び図23を用いて説明する。
図22は、本変形例に係る粒径毎の存在比率の一例を示すグラフであり、図23は、実施の形態に係る粒子の規格化質量の一例を示すグラフである。なお、図22には、所望の粒径範囲(本実施の形態では0.5μm〜2.5μm)における粒子の存在比率が一定の場合が示されている。また、図23には、粒径0.1μmの粒子の質量を質量1とした場合の規格化質量の一例が示されている。
図22に示すように、所望の粒径範囲における粒子の存在比率が一様の場合、処理部620Bは、例えば、所望の粒径範囲に含まれる粒径区分各々における粒子数に対して、当該粒径区分における平均質量に基づく値を上記係数として乗ずる。
具体的には、所望の粒径範囲が0.5μm〜2.5μmの場合、当該粒径範囲には、粒径範囲が1.0μm〜2.5μmの粒径区分BP3と、粒径範囲が0.5μm〜1.0μmの粒径区分BP4とが含まれる。そこで、処理部620Bは、粒径区分BP3について、当該粒径区分BP3の粒子数NBP3(図16参照)と、当該粒径区分BP3における平均質量に基づく係数とを乗算する。また、処理部620Bは、粒径区分BP4についても、同様に、当該粒径区分BP4の粒子数NBP4(図16参照)と、当該粒径区分における平均質量に基づく係数とを乗算する。
ここで、各粒径区分における平均質量は、例えば、図23に示す規格化質量を用いて求めることができる。具体的には、予め取得された粒径0.1μmの粒子の質量に対して、各粒径区分における粒径の中央値に対応する規格化質量を乗ずることにより、各粒径区分における平均質量を求めることができる。
このように、処理部620Bは、複数の粒径区分BP1〜BP4の各々において、粒子数と当該粒径区分における平均質量に基づく値である係数とを乗ずることにより、複数の粒径区分BP1〜BP4の各々についての質量濃度を算出する。
その後、処理部620Bは、複数の粒径区分BP1〜BP4の各々について算出された質量濃度を合算する。言い換えると、複数の粒径区分BP1〜BP4の各々における、粒子数と平均質量に基づく係数との乗算結果を合算する(S312)。これにより、気体中の粒子の質量濃度が算出される。
つまり、上記係数をdiとすると、気体中の粒子の質量濃度Mは、粒径区分BPiの粒子数NBPiを用いて上記実施の形態に示す式1で表すことができる。
ここで、処理部620Bは、所望の粒径範囲における気体中の粒子の質量濃度を算出する場合、当該所望の粒径範囲に含まれる粒径区分の各々において算出した質量濃度を合算することにより、当該粒径範囲における質量濃度を算出することができる。
なお、処理部620Bは、全ての粒径区分BP1〜BP4の各々における上記乗算結果を合算することにより、当該全ての粒径区分BP1〜BP4を含む粒径範囲における気体中の粒子の質量濃度を算出してもよい。
[効果等]
以上のように、実施の形態に係る粒子検出センサ1Bによれば、処理部620Bは、検知信号の波形から抽出された複数の波高値VS1〜VS4の各々について、1以上の閾値により区分けされた複数の波高値区分BS1〜BS4、BSNのうちのいずれの波高値区分に属するかを判定する判定処理(本変形例における波高値計数処理(S33))と、複数の波高値区分BS1〜BS4及びBSNの各々について判定された波高値の個数、及び、複数の波高値区分BS1〜BS4及びBSNの各々において複数の粒径区分BP1〜BP4の各々が含まれる含有比率とを用いて、複数の粒径区分BPiの各々における粒子数を推定する推定処理(S34)と、複数の粒径区分BP1〜BP4の各々における粒子数を用いて、気体中に含まれる粒子の質量濃度を算出する算出処理(S35)とを実行する。
このように、複数の波高値区分BS1〜BS4及びBSNの各々において複数の粒径区分BP1〜BP4の各々が含まれる含有比率を用いることで、粒径区分BP1〜BP4の各々の個数濃度に基づき質量濃度を推定することができる。よって、分粒装置を用いることなく高精度に質量濃度を推定することができる。つまり、小型化かつ低コストで高精度に質量濃度を推定することができる。さらに、粒径区分BP1〜BP4の各々について質量濃度を推定できるので、粒径分布が変化した場合であっても、高精度に質量濃度を推定することができる。すなわち、粒子の検出精度を向上させることができる。
また、例えば、複数の波高値区分BS1〜BS4のうち一の波高値区分(例えば、波高値区分BS3)における含有比率は、当該一の波高値区分について判定された波高値の個数(ここでは、NBS3)と、当該一の波高値区分より大きい他の波高値区分(ここでは、波高値区分BS1、BS2)の各々について判定された波高値の個数(ここでは、NBS2)、及び、検知領域DA内の位置に応じた信号強度の変化とに基づく値である。
これにより、含有比率を、例えば逆演算(デコンボリューション)等の複雑な処理を行うことなく求めることができる。よって、簡易な演算処理で高精度に質量濃度を算出することができる。
また、例えば、複数の波高値区分BS1〜BS4、BSNを区分けする閾値Vt1〜Vt4は、検知信号に含まれるノイズの波高値に対応するノイズ閾値Vt4を含み、処理部620Bは、推定処理において、複数の波高値区分BS1〜BS4、BSNのうちノイズ閾値Vt4を上限として区分けされた波高値区分BSN以外の他の波高値区分BS1〜BS4の各々について判定された波高値の個数、及び、当該他の波高値区分BS1〜BS4の各々における上記含有比率を用いて、複数の粒径区分BP1〜BP4の各々における粒子数を推定する。
ここで、検知信号の波形には、ノイズに起因するノイズ波形と、検知領域DAにおける粒子に起因する信号波形とが含まれる。このとき、小粒径の粒子に起因する信号や、検知領域のうち光学感度が小さな領域を通過する粒子に起因する信号は、ノイズ波形に埋もれる場合がある。この場合、ノイズ波形によって、質量濃度を高精度に算出するのが困難になる。
また、ノイズ波形は光学的、電気的な成分を含み、温度特性、外乱、経年劣化により変化するため、粒子検出センサ1Bの使用用途によっては、このようなノイズ波形の変化を考慮してノイズ波形による影響を抑制する必要がある。
そこで、ノイズの波高値に対応するノイズ閾値Vt4を上限として区分けされた波高値区分BSNを設け、処理部620Bは、推定処理において、当該波高値区分BSN以外の他の波高値区分BS1〜BS4の各々について判定された波高値の個数を用いて複数の粒径区分BP1〜BP4の各々における粒子数を推定することにより、検知信号に含まれるノイズによる精度の低下を抑制して質量濃度を算出することができる。
また、例えば、処理部620Bは、算出処理において、複数の粒径区分BP1〜BP4の各々における粒子数に対して、当該粒径区分における平均質量に基づく係数を乗ずることにより、質量濃度を算出する。
これにより、複数の粒径区分BP1〜BP4の各々において粒子の存在比率が一定の場合、各粒径区分における質量濃度を算出することができる。ここで、質量濃度を推定する粒径範囲は、粒子検出センサ1Bの用途に応じて大きく変わる。そこで、各粒径区分BP1〜BP4における質量濃度を算出することにより、所望の粒径範囲において質量濃度を推定することができるため、粒子検出センサ1Bを種々の用途に容易に展開できる。
また、例えば、処理部620Bは、算出処理において、所望の粒径範囲(本実施の形態では0.5μm〜2.5μm)に含まれる粒径区分BP3及びBP4の各々における質量濃度を算出し、算出した質量濃度を合算することにより当該所望の粒径範囲における質量濃度を算出する。
上述したように、質量濃度を推定する粒径範囲は、粒子検出センサ1Bの用途に応じて大きく変わる。そこで、所望の粒径範囲に含まれる粒径区分の各々について算出した質量濃度を合算することにより、粒子検出センサ1Bが用いられる種々の用途に応じた粒径範囲における質量濃度を算出できる。
(変形例3)
なお、上記実施の形態の変形例2では、処理部620Bは、算出処理において、複数の粒径区分の各々における粒子数に対して、当該粒径区分における平均質量に基づく係数を乗ずることにより、気体中の粒子の質量濃度を算出することとした。しかし、処理部は、算出処理において、複数の粒径区分の各々における粒子数に対して、当該粒径区分における粒子の存在比率を考慮した代表質量に基づく係数を乗ずることにより、気体中の粒子の質量濃度を算出してもよい。
ここで、一般に粒子状物質はParticulate Matter(PM)と呼ばれ、例えば、PM2.5とは空気動力学径が2.5um以下の粒子のことである。
図24は、一般的なPM2.5分粒装置の通過率特性を示すグラフである。具体的には、PM2.5とは、図24に示すような「大気中に浮遊する粒子状物質であって粒径が2.5um以下の粒子を50%の割合で分離することができる分粒装置を用いて、より粒径の大きい粒子を除去した後に採取される粒子」と定義されている。
したがって、このような空気動力学径で定義されるPM10、PM2.5、PM0.5などの質量濃度を推定する場合、粒径区分の各々について乗ずる係数は、上記の定義に基づく当該粒径範囲での粒径ごとの割合を考慮した1個あたりの代表質量に基づき設定される。
すなわち、本変形例に係る粒子検出センサがPM2.5の質量濃度の取得に用いられる場合、処理部は、算出処理において、複数の粒径区分の各々における粒子数に対して、当該粒径区分における粒子の存在比率(本変形例では図24に示す通過率特性)を考慮した代表質量に基づく係数を乗ずることにより、気体のPM2.5についての質量濃度を算出する。
ここで、各粒径区分における代表質量は、例えば、当該粒径区分における粒子の存在比率と規格化質量(図23参照)とを用いて求めることができる。具体的には、予め取得された粒径0.1μmの粒子の質量に対して、各粒径区分における粒径毎の存在比率と規格化質量とから求められる値を乗ずることにより、各粒径区分における代表質量を求めることができる。
このような本変形例に係る粒子検出センサによれば、実施の形態の変形例2に係る粒子検出センサ1Bと同様に、粒子の検出精度が向上するので、気体中の粒子の質量濃度を高精度に推定することができる。
(変形例4)
次に、実施の形態の変形例4について、説明する。
上記実施の形態において、処理部620がピークサーチを行うことについて説明した。このとき、ピーク値の誤差を低減する観点から、粒子検出センサは以下のように構成されていることが好ましい。
図25は、本変形例に係る粒子検出センサの一部の構成の一例を示すブロック図である。具体的には、同図には、信号変換部610、処理部620、判定部263及びDA変換部264の構成が示されている。
同図に示すように、本変形例に係る粒子検出センサでは、上記実施の形態に係る粒子検出センサ1と比べて、さらに、判定部263とDA変換部264とを有する。
判定部263は、増幅部242で増幅された電圧信号と予め定められた閾値との大小関係を判定する。具体的には、判定部263は、増幅部242で増幅された電圧信号の大きさと当該閾値の大きさを比較し、比較結果を示す信号を出力する、例えば比較器である。本変形例では、判定部263は、増幅部242の出力電圧(増幅部242で増幅された電圧信号)が基準電位(予め定められた閾値)未満の場合に0を出力し、増幅部242の出力電圧が基準電位より大きい場合に1を出力する。
DA変換部264は、判定部263の判定結果を用いて生成した電圧を増幅部242に出力する電圧生成部である。具体的には、DA変換部264は、判定部263の判定結果が切り替わるまでの期間、出力する電圧を単調増加又は単調減少させ、判定部263の判定結果が切り替わって以降の期間、出力する電圧を維持する。本変形例では、DA変換部264は、判定部263の出力が0の期間、出力する電圧を例えばリニアに増加させ、判定部263の出力が0から1に切り替わって以降の期間、出力する電圧を維持する。つまり、DA変換部264は、判定部263の出力が1の期間、出力する電圧を変化させない。
このような判定部263及びDA変換部264の機能はいずれも、汎用MPUに予め組み込まれた比較器、カウンタ、DA変換モジュール等を用いて実現することができる。
次に、本変形例に係る粒子検出センサが奏する効果について、本変形例に至った経緯も含めて説明する。
一般的に、増幅回路等に用いられるオペアンプでは、入力電圧が0の場合であっても出力電圧になんらかの直流電圧が現れる。このような直流電圧は、増幅回路等の特性に影響を及ぼす場合があり、粒子検出センサによる粒径の推定精度が低下するという問題がある。
以下、この推定精度の低下について、図26、図27A及び図27Bを用いて、具体的に説明する。
図26は、増幅器242bの構成の一例を示す回路図である。図27A及び図27Bは、増幅器242bの出力電圧Voutを示すグラフである。具体的には、図27Aは、増幅器242bの入力電圧VinがオペアンプOPampの入力オフセット電圧Vio未満の場合を示し、図27Bは、増幅器242bの入力電圧VinがオペアンプOPampの入力オフセット電圧Vio以上の場合を示す。なお、図26では、説明の便宜上、オペアンプOPampの入力オフセット電圧Vioを、オペアンプOPamp外部の定電圧源の電圧として示している。
図26に示すように、増幅器242bは、例えば、オペアンプOPampと、抵抗素子R1及びR2とを有する。ここで、例えば、抵抗素子R1の抵抗値が1kΩ、抵抗素子R2の抵抗値が9kΩの場合、オペアンプOPampの電圧増幅率(ゲイン)は10倍となる。このため、入力オフセット電圧Vioが−10mVの場合、図27A及び図27Bに示す出力オフセット電圧Eoは−100mVとなる。
よって、増幅器242bの出力電圧Voutは、入力電圧Vinを増幅した電圧に対して出力オフセット電圧Eo分オフセットされた電圧となる。
具体的には、図27Aに示すように、入力電圧Vinが入力オフセット電圧Vio未満の場合、増幅器242bの出力電圧Voutは、出力オフセット電圧Eo分オフセットされることにより、基準電位(例えば0V)未満となる。このため、AD変換部261で生成されるデジタルデータでは、このような信号が消失してしまうこととなり、粒径を推定することが困難になる。
また、図27Bに示すように、入力電圧Vinが入力オフセット電圧Vio以上の場合、増幅器242bの出力電圧Voutは、出力オフセット電圧Eo分オフセットされることにより、当該オフセット電圧Eo分目減り(低下)した電圧となる。このため、AD変換部261で生成されるデジタルデータでは、信号のピーク値が目減りしてしまうこととなり、粒径を精度よく推定することが困難になる。
したがって、粒径の推定精度の低下を抑制するために、オペアンプOPampの入力オフセット電圧Vioをキャンセルすることが望まれる。
本変形例によれば、上記のような構成により、入力オフセット電圧Vioをキャンセルすることができる。以下、入力オフセット電圧Vioのキャンセル動作について、図28及び図29を用いて説明する。
図28は、増幅器242b、判定部263及びDA変換部264の接続関係を模式的に示す模式図である。図29は、判定部263の出力、及び、DA変換部264の出力を示すグラフである。なお、図28では、増幅器242bを構成する各構成要素のうちオペアンプOPampのみが示され、他の構成要素については図示を省略している。また、同図では、図26と同様、説明の便宜上、オペアンプOPampの入力オフセット電圧Vioを、オペアンプOPamp外部の定電圧源の電圧として示している。
図28に示すように、判定部263は、増幅器242bの出力電圧Vout(オペアンプOPampの出力電圧Vout)が入力され、入力された出力電圧Voutと基準電位との比較結果を示す信号をDA変換部264に出力する。具体的には、判定部263は、出力電圧Voutと基準電位とを比較し、図29に示すように、出力電圧Voutが基準電位未満の場合に0を出力し、基準電位以上の場合に1を出力する。
DA変換部264は、判定部263の判定結果に応じた電圧を増幅部242に出力する。具体的には、図29に示すように、DA変換部264は、判定部263により出力電圧Voutが基準電位未満と判定されている間、つまり判定部263の出力が0の期間、出力する電圧を上昇させる。一方、DA変換部264は、判定部263により出力電圧Voutが基準電位以上と判定されている間、つまり判定部263の出力が1の期間、出力する電圧を維持(固定)する。よって、DA変換部264は、判定部263の出力が1の期間、判定部263による判定結果が0から1に切り替わったときの電圧Vfixを維持することとなる。
本変形例では、DA変換部264は、判定部263の判定結果に応じた電圧を、オペアンプOPampの2つの入力端子(非反転入力端子及び反転入力端子)のうち入力電圧Vinが入力される入力端子と異なる入力端子(ここでは反転入力端子)に入力する。これにより、オペアンプOPampの一方の入力端子には、入力電圧Vinに対してDA変換部264の出力電圧Vdaが上乗せされた電圧が印加されることとなる。このため、当該DA変換部264の出力電圧Vdaと入力オフセット電圧Vioとがキャンセル(相殺)された場合に、出力オフセット電圧Eoが0となる。
したがって、判定部263による判定結果が0から1に切り替わるとき、つまり、DA変換部264の出力電圧Vdaを上昇させることにより出力電圧Voutが基準電位に達した時点において、出力オフセット電圧Eoが0となる。よって、このときのDA変換部264の出力電圧Vfixによって、オペアンプOPampの入力オフセット電圧Vioをキャンセルすることができる。
そこで、このような出力電圧Vfixを増幅部242に出力することにより、オペアンプOPampの入力オフセット電圧Vioをキャンセルすることができる。よって、入力オフセット電圧Vioのキャンセル動作の終了後、つまり、判定部263による判定結果が0から1に切り替わって以降の期間、DA変換部264が出力電圧Vfixを出力することにより、引き続き入力オフセット電圧Vioをキャンセルすることができる。
以上のように、本変形例に係る粒子検出センサによれば、増幅部242で増幅された電圧信号(本変形例ではオペアンプOPampの出力電圧Vout)と予め定められた閾値(本変形例では基準電位)との大小関係を用いて生成された電圧(本変形例では出力電圧Vfix)を増幅部242に出力することにより、オペアンプOPampの入力オフセット電圧Vioをキャンセルすることができる。つまり、本変形例によれば、オペアンプOPampの出力オフセット電位Eoを基準電位と比較してフィードバック制御を行うことにより、当該オペアンプOPampの入力オフセット電圧Vioをキャンセルする。これにより、オペアンプOPampの入力オフセット電圧Vioによる粒径の推定精度の低下を抑制できる。
なお、本変形例では、DA変換部264は出力電圧Vdaをリニア(線形)に増加させるとしたが、非線形に単調増加させてもかまわないし、リニア又は非線形に単調減少させてもかまわない。
また、予め定められた閾値は基準電位に限らず、電圧信号のノイズフロア等に応じて適宜設定される任意の電圧であってもかまわない。
また、本変形例では、増幅部242が1つのオペアンプOPampを有する場合を例に説明したが、増幅部242はカスケード接続された複数のオペアンプを有してもかまわない。この場合、少なくとも1つのオペアンプに対して入力オフセット電圧をキャンセルすればよく、例えば、全てのオペアンプの入力オフセット電圧をキャンセルしてもかまわないし、初段のオペアンプの入力オフセット電圧をキャンセルしてもかまわない。
ただし、微小な信号成分が入力されるオペアンプ等、入力オフセット電圧の影響を受けやすいオペアンプにおいて当該入力オフセット電圧をキャンセルすることにより、増幅部242全体における入力オフセット電圧の影響を効果的に抑制できる。このため、初段のオペアンプ、つまり最も受光素子131に近いオペアンプの入力オフセット電圧をキャンセルすることが好ましい。
また、入力オフセット電圧による誤差が生じやすいオペアンプにおいて当該入力オフセット電圧をキャンセルすることにより、増幅部242全体における入力オフセット電圧の影響を効果的に抑制できる。このため、最もゲインの高いオペアンプの入力オフセット電圧をキャンセルすることが好ましい。
また、入力オフセット電圧Vioのキャンセル動作を行うタイミングは特に限定されないが、当該入力オフセット電圧Vioを高精度にキャンセルする観点から、粒子に応じた信号成分がセンサ部200から出力される電流信号に含まれない期間に行うことが好ましい。このため、例えば、当該キャンセル動作は、粒子検出センサの電源投入時の初期化期間、投光素子121の消灯期間、加熱装置60の安定温度到達までの期間等に行うことが好ましい。
(変形例5)
次に、実施の形態の変形例5について、説明する。
上記実施の形態において、処理部620がピークサーチを行うことについて説明した。このとき、気体中に含まれる粒子の量が多い場合、つまり粒子の濃度が高い場合であっても粒径の推定精度を確保する観点から、粒子検出センサは以下のように構成されていることが好ましい。
図30は、本変形例に係る粒子検出センサの一部の構成の一例を示すブロック図である。具体的には、同図には、信号変換部610、処理部620D及びゲイン制御部265の構成が示されている。
同図に示すように、本変形例に係る粒子検出センサは、上記実施の形態に係る粒子検出センサと比べて、さらにゲイン制御部265を有し、処理部620に代わり処理部620Dを有する。
ゲイン制御部265は、AD変換部261から出力されたデジタルデータを用いて、IV変換部241及び増幅部242の少なくとも一方(本変形例では両方)のゲインを制御する。具体的には、ゲイン制御部265は、デジタルデータが予め定められた閾値電圧(例えば、飽和電圧等)に達したか否かに応じて、当該ゲインを制御する。より具体的には、ゲイン制御部265は、デジタルデータが閾値に達した場合に、当該ゲインが小さくなるような制御信号をIV変換部241及び増幅部242に出力する。また、ゲイン制御部265は、上記ゲインを示す情報を処理部620Dに出力する。
なお、ゲイン制御部265は、IV変換部241及び増幅部242のいずれか一方のゲインのみを制御してもかまわない。
例えば、ゲイン制御部265は、制御信号によってIV変換部241の電流電圧変換係数を調整することにより、IV変換部241のゲインを制御する。また、ゲイン制御部265は、制御信号によって増幅部242の電圧増幅率を調整することにより、増幅部242のゲインを制御する。
図31は、本変形例におけるIV変換部241の一例を示す回路図である。なお、同図に示すIV変換部241は、さらに、センサ部200と直列接続された抵抗素子、及び、抵抗素子R11と並列接続された他の抵抗素子等を有してもかまわないが、これらについては図示を省略している。
図31に示すように、IV変換部241は、並列接続された複数の抵抗素子R11(抵抗素子R11a〜抵抗素子R11c等)と、当該複数の抵抗素子R11のうち少なくとも一部の抵抗素子R11(同図では、抵抗素子R11b及び抵抗素子R11c)と直列接続されたスイッチSW11(スイッチSW11b及びSW11c)とを有する。これらスイッチSW11は、ゲイン制御部265からの制御信号により、互いに独立にオン及びオフする。
このような構成により、IV変換部241は、ゲイン制御部265からの制御信号に応じてスイッチSW11がオン及びオフすることにより、当該IV変換部241の電流電圧変換係数が調整される。具体的には、IV変換部241は、オフしているスイッチSW11の数が多いほど、電流電圧変換係数が小さくなる。
図32は、本変形例における増幅器242bの一例を示す回路図である。なお、同図に示す増幅器242bは、さらに、オペアンプOPampの入力端子に直列接続された抵抗素子、及び、抵抗素子R22と並列接続された他の抵抗素子等を有してもかまわないが、これらについては図示を省略している。
図32に示すように、増幅器242bは、オペアンプOPampと、抵抗素子R21と、複数の抵抗素子R22(抵抗素子R22a〜抵抗素子R22c等)と、少なくとも1つのスイッチSW22(スイッチSW22b及びSW22c)とを有する。具体的には、抵抗素子R21は、オペアンプOPampのフィードバックループとグランドとの間に挿入されている。複数の抵抗素子R22は、互いに並列接続され、オペアンプOPampのフィードバックループに挿入されている。スイッチSW22は、複数の抵抗素子R22のうち少なくとも一部の抵抗素子R22(同図では、抵抗素子R22b及び抵抗素子R22c)と直列接続されており、ゲイン制御部265からの制御信号により、互いに独立にオン及びオフする。
このような構成により、増幅器242bは、ゲイン制御部265からの制御信号に応じてスイッチSW22がオン及びオフすることにより、当該増幅器242bの電圧増幅率が調整される。具体的には、増幅器242bは、オフしているスイッチSW22の数が多いほど、電圧増幅率が小さくなる。
このように、ゲイン制御部265は、IV変換部241及び増幅部242のゲインを調整することができる。また、このようなゲイン制御部265の機能は、汎用MPUに予め組み込まれた比較器、カウンタ等を用いて実現することができる。
処理部620Dは、上記実施の形態における処理部620と比べて、粒径の算出処理において、さらに、ゲイン制御部165から出力されるゲインを示す情報を用いて、当該粒径を算出する。具体的には、センサ部200から出力された電流信号の大きさが同じであっても、ゲインが小さいほど当該ゲインに応じてデジタルデータのデジタル値も小さくなる。そこで、処理部620Dは、例えば、ゲインと当該ゲインに応じた係数とを予め保持し、粒子の粒径を算出するための複数の閾値を当該係数によって補正する。
これにより、処理部620Dは、ゲイン制御部165によるゲインの制御に応じて、適切に粒子の粒径を算出することができる。なお、処理部620Dは、ゲインに応じた係数によってデジタルデータを補正することにより、粒径を算出してもよい。
次に、本変形例に係る粒子検出センサが奏する効果について、本変形例に至った経緯も含めて説明する。
一般的に、粒子検出センサでは、粒径の小さな粒子(微小粒子)から大きな粒子(粗大粒子)まで、粒径を測定できることが期待される。しかしながら、粒子検出センサを微小粒子の粒径を測定可能に調整した場合、粗大粒子について粒径を測定できない虞がある。つまり、粗大粒子についてはセンサ部200から出力される電流信号が大きくなるために、アナログ信号処理部240に用いられるオペアンプ等のアナログ素子が飽和状態となってしまい、デジタルデータが飽和する場合がある。
また、粒子の濃度が高い場合も、複数の粒子が連続してセンサ部200の内部に入ることにより電流信号が大きくなるために、粗大粒子の場合と同様に、デジタルデータが飽和する場合がある。
このような場合、電流信号のピークに応じたデジタルデータのピーク値を検出することが困難となるため、粒径の推定精度が低下するという問題がある。
そこで、本変形例では、ゲイン制御部265がデジタルデータを用いてアナログ信号処理部240のゲインを制御することにより、センサ部200から出力された電流信号が大きい場合であってもデジタルデータのピーク値を検出することができる。つまり、本変形例では、ゲイン制御部265によって自動利得制御(Automatic Gain Control:AGC)が行われることにより、微小粒子及び粗大粒子のいずれについても粒径を測定することができる。
以下、本変形例に係る粒子検出センサが奏する効果について、ゲイン制御部265によるAGCが行われない場合と対比しながら、さらに詳細に説明する。
図33は、微小粒子及び粗大粒子の各々について、ゲイン制御部265によるAGCが行われない場合(図中の「AGC無」)、及び、行われる場合(図中の「AGC有」)におけるデジタルデータを模式的に示す図である。
同図に示すように、微小粒子については、ゲイン制御部265によるAGCの有無によらずピーク値を取得することができる。
一方、粗大粒子については、ゲイン制御部265によるAGCが行われない場合、デジタルデータが飽和することによりピーク値の取得が困難となる。これに対して、ゲイン制御部265によるAGCが行われる場合、デジタルデータが閾値電圧(本変形例では飽和電圧)に達したとき(時間Tsw11)に、ゲインが小さくなるように切り替えられることにより、AGCが行われない場合に取得できなかったピーク値を取得することができる。
以上のように、本変形例に係る粒子検出センサによれば、ゲイン制御部265がAD変換部261から出力されたデジタルデータを用いてゲインを制御することにより、微小粒子及び粗大粒子のいずれについてもデジタルデータのピーク値を取得することができる。また、粒子の濃度が高い場合であっても同様に、ゲイン制御部265がゲインを制御することにより、デジタルデータのピーク値を取得することができる。したがって、ピーク値を用いて粒径を測定することができるため、粒径の推定精度の低下を抑制できる。
ここで、ゲイン制御部265は、どのような手法によってデジタルデータが飽和電圧に達したかを判断してもかまわないが、例えば、デジタルデータのピーク値の検出の成否によって判断してもよい。
すなわち、判定対象のサンプルのデジタル値と比較して、以降の所定数のサンプルにおいて連続してデジタル値が低下した場合にピーク値の検出に成功したと判断し、デジタルデータが飽和電圧に達していないと判断する。一方、当該場合以外、ピーク値の検出に失敗したと判断し、デジタルデータが飽和電圧に達したと判断する。なお、判定対象のサンプルのデジタル値と比較して、直後のサンプルのデジタル値が所定値以上低下した場合にピーク値の検出に成功したと判断し、当該場合以外、ピーク値の検出に失敗したと判断してもかまわない。
なお、本変形例では、ゲイン制御部265がゲインを切り替える閾値電圧として飽和電圧を用いたが、当該閾値電圧はこれに限らず、飽和電圧以下の任意の電圧であればよい。
また、ゲイン制御部265はゲインを小さくするだけでなく、ゲインを大きくしてもよい。例えば、ゲイン制御部265は、デジタルデータが閾値電圧に達しない期間が比較的長期間(例えば、10分間)続いた場合、ゲインを大きくしてもよい。これにより、微小粒子の粒径を高精度に測定することができる。具体的には、粒子検出センサによる粒径測定のダイナミックレンジと分解能とはトレードオフの関係にあるため、ゲインを大きくすることにより微小粒子の粒径を高精度に測定することができる。
また、本変形例では、ゲイン制御部265はデジタルデータを用いてゲインを制御することとした。しかし、ゲイン制御部265はデジタルデータを用いずにゲインを制御してもよく、例えば予め定められたゲインに制御してもよい。言い換えると、ゲイン制御部265は、アナログ信号処理部240のゲインが予め設定されたゲインになるように、当該アナログ信号処理部240を制御してもよい。例えば、ゲイン制御部265は、粒子検出センサの工場出荷時に出荷先の地域の大気汚染等に即して設定されたゲインになるようにアナログ信号処理部240を制御してもよい。
このような構成によれば、ゲイン制御部265によってゲインを制御することにより、IV変換部241及び増幅部242の構成を共通化することができるため、粒子検出センサの設計及び製造工程の煩雑化を抑制できる。当該ゲインとしては、例えば、粒子検出センサの出荷先が大気汚染の高い地域である場合には比較的小さい値が設定され、当該出荷先が大気汚染の低い地域である場合には比較的大きい値が設定される。
また、ゲイン制御部265は、ユーザの指定に応じてゲインを制御してもかまわない。
(変形例6)
次に、実施の形態の変形例6について、説明する。
上記実施の形態の変形例5では、粒子の濃度が高い場合におけるデジタルデータの電圧的な飽和について説明した。しかし、粒子の濃度が高い場合には、アナログ信号処理部を構成するフィルタ等のアナログ素子の応答に起因して、センサ部200から出力された電流信号の変動とデジタルデータの変動とが一致しない状態(時間的な飽和)が生じる場合がある。このことは、粒径の推定精度の低下の要因となり得る。
そこで、粒子の濃度が高い場合であっても粒径の推定精度の低下を抑制する観点から、粒子検出センサは以下のように構成されていることが好ましい。
図34は、本変形例に係る粒子検出センサの一部の構成の一例を示すブロック図である。具体的には、同図には、信号変換部610E、処理部620及び切替制御部267の構成が示されている。
同図に示すように、本変形例に係る粒子検出センサは、上記実施の形態に係る粒子検出センサ1と比べて、アナログ信号処理部240に代わり複数の増幅部242を有するアナログ信号処理部240Eを備え、さらに切替制御部267を有する。
アナログ信号処理部240Eは、アナログ信号処理部240と比べて、複数の増幅部242(本変形例では、2つの増幅部242A及び242B)と、IV変換部241と複数の増幅部242のうち一の増幅部242を接続するスイッチSW31を有する。また、本変形例では、アナログ信号処理部240Eは、当該一の増幅部242とAD変換部261とを接続するスイッチSW32を備える。
スイッチSW31は、切替制御部267からの制御信号に応じて、IV変換部241と複数の増幅部242のうち一の増幅部242とを接続する。スイッチSW32は、切替制御部267からの制御信号に応じて、当該一の増幅部242とAD変換部261とを接続する。
切替制御部267は、複数の増幅部242のうち一の増幅部242に電圧信号を増幅させる第一状態と、複数の増幅部242のうち他の一の増幅部242に電圧信号を増幅させる第二状態とを切り替える。具体的には、切替制御部267は、AD変換部261でサンプリング及び量子化された時系列のデジタルデータを用いて、第一状態と第二状態とを切り替える。本変形例では、切替制御部267は、スイッチSW31及びSW32の接続を制御する制御信号を切り替えることにより、第一状態と第二状態とを切り替える。このような切替制御部267の機能は、汎用MPUに予め組み込まれた比較器等の機能モジュールを用いて実現することができる。
このように、本変形例に係る粒子検出センサでは、切替制御部267が、複数の増幅部242のうち電圧信号を増幅する増幅部242を切り替える。
次に、切替制御部267の動作について、本変形例に至った経緯も含めて説明する。図35は、切替制御部267による切り替えが行われず一の増幅部242が電圧信号を増幅すると仮定し、検知領域DAに1つの粒子が導入された場合(図中の「単一粒子」)、及び、同一粒径の複数(例えば2つ)の粒子が導入された場合(図中の「複数粒子」)における、当該増幅部242の入力電圧Vamp_inの波形及び出力電圧Vamp_outの波形を模式的に示す図である。
同図に示すように、検知領域DAに1つの粒子が導入された場合について着目すると、出力電圧Vamp_outの波形には、入力電圧Vamp_inの波形には現れない低電位側へ突出する波形の乱れ、いわゆるアンダーシュートが現れている。アンダーシュートは、増幅部242を構成するフィルタ等のアナログ素子の応答に起因するため、当該アンダーシュートの発生そのものを抑制することは難しい。
このようなアンダーシュートの発生により、検知領域DAに複数の粒子が導入された場合、すなわち気体中の粒子の濃度が高いために複数の粒子が連続して検知領域DAに導入された場合に、次のような問題が生じる虞がある。
具体的には、同図に示すように、検知領域DAに同一粒径の複数の粒子が導入された場合、入力電圧Vamp_inの波形には同一のピーク値をとる2つのパルス波形が現れる。これに対して、出力電圧Vamp_outの波形には異なるピーク値を取る2つのパルス波形が現れている。これは、最初のパルス波形と次のパルス波形との時間間隔が比較的短いために、次のパルス波形に対して最初のパルス波形によって発生したアンダーシュートが合成されるためである。
このため、連続して導入された同一粒径の2つの粒子のうち、後に導入された粒子については、出力電圧Vamp_outの波形のピーク値が本来のピーク値よりも低下する場合がある。つまり、出力電圧Vamp_outに誤差が発生する場合がある。この場合、AD変換部261でAD変換されたデジタルデータにも、出力電圧Vamp_outの誤差に相当した誤差が発生するため、粒径の推定精度が低下するという問題がある。
そこで、本変形例では、切替制御部267が電圧信号を増幅する増幅部242を切り替えることにより、粒子の濃度が高い場合であっても粒径の推定精度の低下を抑制することができる。
以下、本変形例に係る粒子検出センサが奏する効果について、切替制御部267の動作の一例についても併せて述べつつ、図36を用いて説明する。
図36は、本変形例に係る粒子検出センサが奏する効果について説明するための図である。具体的には、同図は、検知領域DAに同一粒径の2つの粒子が連続して導入された場合の図であり、同図の(a)は、増幅部242Aの出力電圧を示すグラフであり、同図の(b)は、増幅部242Bの出力電圧を示すグラフであり、同図の(c)はデジタルデータを示すグラフである。なお、同図では、粒子に対応したパルス波形のみを示し、当該パルス波形以外のノイズ等については図示を省略している。
まず、切替制御部267は、複数の増幅部242のうち増幅部242Aに電圧信号を増幅させる。具体的には、切替制御部267は、スイッチSW31にIV変換部241と増幅部242Aとを接続させ、スイッチSW32に増幅部242AとAD変換部261とを接続させる。
これにより、同図の(a)に示すように、検知領域DAに粒子が導入されると、増幅部242Aの出力電圧の波形として当該粒子に対応したパルス波形が現れる。
また、切替制御部267は、上記実施の形態で説明したピークサーチを行うことにより、デジタルデータのピークを検出する。
そして、ピークを検出した後に、デジタルデータが基準値に到達した時点(時間Tsw21)、つまり増幅部242Aの出力電圧が基準電位に到達した時点で、増幅部242Aに代わり増幅部242Bに電圧信号を増幅させる。すなわち、デジタルデータが基準値に到達した時点で、増幅部242Aに電圧信号を増幅させる第一状態から増幅部242Bに電圧信号を増幅させる第二状態へと切り替える。具体的には、切替制御部267は、スイッチSW31にIV変換部241と増幅部242Bとを接続させ、スイッチSW32に増幅部242BとAD変換部261とを接続させる。
これにより、同図の(b)に示すように、検知領域DAに連続して導入された同一粒径の2つの粒子のうち後で導入された粒子について、増幅部242Bの出力電圧の波形として当該粒子に対応したパルス波形が現れる。
したがって、同図の(c)に示すように、デジタルデータには、同一のピーク値をもつ2つのパルス波形が現れることとなる。これにより、2つの粒子のうち後で導入された粒子について、推定精度の低下を抑制しつつ粒径を推定することができる。
以上のように、本変形例に係る粒子検出センサによれば、切替制御部267が、複数の増幅部242のうち一の増幅部242(本変形例では増幅部242A)に電圧信号を増幅させる第一状態と、複数の増幅部242のうち他の一の増幅部242(本変形例では増幅部242B)に電圧信号を増幅させる第二状態とを切り替える。
これにより、一の増幅部242で増幅された電圧信号と他の一の増幅部242で増幅された電圧信号とを、互いに影響されない独立の信号とすることができる。よって、一の増幅部242で増幅された電圧信号にアンダーシュートが発生している期間であっても、他の一の増幅部242で増幅された電圧信号は当該アンダーシュートの影響を受けなくなる。このため、第一状態と第二状態とを切り替えることにより、粒子の濃度が高いためにパルス波形の時間間隔が短い場合であってもパルス波形のピーク誤差を低減できる。よって、粒子の濃度が高い場合であっても粒径の推定精度の低下を抑制することができる。
なお、本変形例では、粒子検出センサは、2つの増幅部242を備えていたが、増幅部242は複数であればよく、3以上であってもよい。
また、本変形例では、切替制御部267は、ピークが検出した後にデジタルデータが基準値に到達した時点(時間Tsw21)で、第一状態から第二状態へと切り替えるとしたが、切替制御部267の切り替えタイミングはこれに限らず、例えば、図37に示すように、基準値と異なる所定値となったタイミングで切り替えてもかまわない。
図37は、本変形例に係る粒子検出センサの他の一例が奏する効果について説明するための図である。具体的には、同図は、図36と同様に、検知領域DAに同一粒径の2つの粒子が連続して導入された場合の図であり、同図の(a)は、増幅部242Aの出力電圧を示すグラフであり、同図の(b)は、増幅部242Bの出力電圧を示すグラフであり、同図の(c)はデジタルデータを示すグラフである。なお、同図の(b)及び(c)では、粒子に対応したパルス波形のみを示し、当該パルス波形以外のノイズ等については図示を省略している。
切替制御部267は、デジタルデータが所定値に到達した時点(時間Tsw22)、つまり増幅部242Aの出力電圧が閾値電位に到達した時点で、増幅部242Aに代わり増幅部242Bに電圧信号を増幅させる。すなわち、切替制御部267は、当該時点で、増幅部242Aに電圧信号を増幅させる第一状態から増幅部242Bに電圧信号を増幅させる第二状態へと切り替える。
このような構成によっても、同図の(c)に示すように、デジタルデータには、同一のピーク値をもつ2つのパルス波形が現れることとなる。よって、本変形例と同様の効果を奏することができる。
ここで、所定値は、切替制御部267の不要な切り替えを抑制する観点から、基準電位からノイズの振幅以上低い電圧に対応した値であることが好ましい。このような値にすることで、ノイズ等の影響による切替制御部267の不要な切り替えを抑制できる。
また、本変形例では、粒子検出センサは、2つの増幅部242に共通のAD変換部261を備えるとしたが、例えば、図38に示すように、各増幅部242に1つずつ対応するAD変換部261を備えていてもかまわない。
図38は、本変形例に係る粒子検出センサの一部の構成の他の一例を示すブロック図である。具体的には、同図には、信号変換部610F、処理部620F及び切替制御部267Fの構成が示されている。
同図に示す粒子検出センサは、上述した粒子検出センサと比べて、各増幅部242(増幅部242A及び242B)に1つずつ対応するAD変換部261(AD変換部261A及び261B)を備え、スイッチSW32を有さない。
本変形例における切替制御部267Fは、各AD変換部261でサンプリング及び量子化された時系列のデジタルデータを用いて、第一状態と第二状態とを切り替える。なお、切替制御部267Fが上記スイッチSW32に相当するスイッチ機能を有していてもかまわない。このような切替制御部267Fの機能は、上述した切替制御部267と同様に、汎用MPUの機能モジュールを用いて実現することができる。
このような構成によっても、一の増幅部242(本変形例では増幅部242A)で増幅された電圧信号と他の一の増幅部242で増幅された電圧信号とを、互いに影響されない独立の信号とすることができる。よって、一のAD変換部261(ここではAD変換部261A)でサンプリング及び量子化されたデジタルデータにアンダーシュートが発生している期間であっても、他の一のAD変換部261(ここではAD変換部261B)でサンプリング及び量子化されたデジタルデータは当該アンダーシュートの影響を受けなくなる。よって、このような構成によっても、上述した粒子検出センサと同様の効果を奏することができる。
また、各増幅部242はアナログ素子で構成されるため、当該アナログ素子の特性のばらつきによって、処理部620間で増幅率等の特性が異なる場合がある。この場合、同一粒径の粒子が検知領域DAに導入された場合であっても、処理部620により算出される粒径が一致しない虞がある。このため、粒子の濃度が高い場合であっても粒径の推定精度を確保する観点から、処理部620が複数の増幅部242の各々に対応する補正係数を有し、当該補正係数を用いて粒径を算出することが好ましい。例えば、処理部620は、増幅率が大きい増幅部242ほど小さくなる補正係数を有し、当該補正係数を用いて粒子の粒径を算出するための複数の閾値を補正してもよい。
(他の実施の形態等)
以上、本発明について実施の形態及び変形例に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態及び変形例に限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態及びその変形例では、処理部は、複数の波高値区分BS1〜BS4を区分けする閾値を補正することにより、波高値と閾値との相対関係を補正するとした。しかし、処理部による相対関係の補正方法はこれに限らない。
例えば、処理部は、判定処理において、抽出された複数の波高値の各々を補正することにより、相対関係を補正してもよい。また、このとき、検知信号における任意のレベル(例えば、ノイズフロアVN)を基準として複数の波高値の各々を補正してもよい。
このような粒子検出センサによっても、実施の形態と同様の効果が奏される。つまり、検知信号から抽出された波高値が属する波高値区分を精度よく判別できるので、高精度に質量濃度を推定することができる。
また、上記実施の形態及び変形例では、粒子を5.0μm以上、2.5μm〜5.0μm、1.0〜2.5μm、及び、0.5〜1.0μmの4つの粒径区分BPiに区分したが、これに限るものではない。粒径区分の数及び範囲は、粒子検出センサが搭載される機器等に応じて、任意に設定してかまわない。
同様に、波高値区分についても、粒径区分の設定あるいは粒子検出センサの精度等に応じて任意に設定してもかまわない。
図39は、都市大気の粒径分布を示すグラフである。
PM2.5の粒径分布は同図に示すような分布をもつため、例えば、粒径の検出下限が0.3μmの粒子検出センサにおいてPM2.5の質量濃度を算出する場合、粒径区分を、0.3〜0.4μm、0.4〜0.6μm、0.6〜2.5μm、及び、2.5μm以上としてもよい。
また、例えば、粒径区分の数と波高値区分の数は、必ずしも同じである必要はない。
また、上記説明では、投光素子121は、500nm以上かつ700nm以下にピーク波長を持つ光を投光するとしたが、投光素子121が投光する光のピーク波長はこれに限らず、例えば、700nm以上かつ1000nm以下であってもよい。
また、相対関係を補正するタイミングは、限定されない。つまり、処理部は、波高値計数処理(S33)の前に1回だけ相対関係を補正してもよいし、検知信号から波高値を抽出する度に相対関係を補正してもよい。
また、上記実施の形態及びその変形例における処理部、又は、上記実施の形態及びその変形例における汎用MPU内の各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
また、上記実施の形態の変形例2では、複数の波高値区分を区分けする1以上の閾値(第一閾値)は、測定対象となる粒径分布に応じて任意の個数及び間隔で設定されてもかまわない。同様に、複数の粒径区分を区分けする1以上の閾値(第二閾値)も、測定対象となる粒径分布に応じて任意の個数及び間隔で設定されてもかまわない。
このように、第一閾値及び第二閾値を測定対象の粒径分布(例えば、PM2.5の粒径分布)に応じて設定することにより、第一閾値及び第二閾値を、例えば逆演算(デコンボリューション)等を行うことなく予め設定することができる。よって、短い測定時間で、かつ、より簡易な演算処理でも高精度に質量濃度を算出することができる。
なお、第一閾値及び第二閾値は、これらの両方が測定対象となる粒径分布に応じて任意の個数及び間隔で設定されてもかまわないし、いずれか一方のみが設定されてもかまわない。
また、上記各実施の形態及びその変形例において、粒子を含む媒体は、気体(空気)としたが、気体以外の媒体(水等の液体)であってもよい。
また、上記各実施の形態及びその変形例において、センサ部の構成は、上記説明に示す構成に限らず、少なくとも、投光素子と受光素子とを備え、検知領域DAにおける粒子による投光素子の光の散乱光を受光素子で受光すればよることにより気体中に含まれる粒子を検出すればよい。このような構成であっても、当該粒子検出センサを備える粒子検出センサは、気体に含まれる粒子の粒径を測定できる。
増幅部の構成は、上記説明に示す構成に限らず、少なくともIV変換部241から出力された電圧信号を所定の帯域で増幅すればよい。つまり、増幅部はバンドパスフィルタ242aを含まなくてもよく、ハイパスフィルタ又はローパスフィルタ等を含んでもよい。また、増幅器242bは1段であっても複数段であってもよい。
汎用MPUの構成は、上記説明に示す構成に限らず、少なくとも、増幅部242で増幅された電圧信号をサンプリング及び量子化するAD変換部261を備えていればよい。このような構成であっても、当該汎用MPUを備える粒子検出センサは、AD変換部261で生成されたデジタルデータを用いて波形分析等を行うことが可能となり、気体に含まれる粒子についての種々の分析を行うことができる。よって、粒子の粒径を測定可能にする。
例えば、汎用MPUでは、AD変換部261で生成されたデジタルデータをFFT(高速フーリエ変換)することにより、電圧信号に含まれるノイズを検出し、検出したノイズを除去してもよい。
また、実施の形態において、処理部620は、上記説明に限らず、少なくともデジタルデータ及び補正係数を用いて、粒子の粒径を算出(演算)すればよい。例えば、処理部620はデジタルデータのピーク値を求め、求めたピーク値、及び、記憶部650に記憶されている補正係数fk1を用いてピーク値を補正し、補正したピーク値を用いて粒子の粒径を算出してもよい。
また、補正係数は、製造工程における書き込みにより生成されたものに限らず、例えば、センサ部200を起動してから所定時間経過する毎に生成されたものであってもよい。このように、センサ部200の起動後に生成された補正係数を用いることにより、粒子検出センサ1は、当該センサ部200を構成する部品の劣化等による粒径算出の精度の劣化を抑制できる。
また、上記説明では、記憶部650に記憶されている補正係数は、検知領域DAに基準粒子が導入された場合にセンサ部200から出力された電流に基づいて算出された値に基づくとしたが、これに限らない。当該補正係数は、少なくとも当該記憶部650が搭載された粒子検出センサに搭載されているセンサ部200の感度に応じていればよく、例えば、複数の粒子検出センサの平均感度に対する当該センサ部200の感度に対応していてもよい。
例えば、上記実施の形態及び変形例では、粒子検出センサが、例えば、図40に示す空気清浄機に備えられている場合について説明したが、これに限られるものではない。粒子検出センサは、例えば、ダストセンサ、図41に示す煙感知器、図42に示す換気扇等あるいは図43に示すエアコン等の空調機器等、他の任意の機器に搭載されていてもかまわない。
その他、各実施の形態及び変形例に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。例えば、上記実施の形態の変形例6に上記実施の形態の変形例5を組み合わせて、複数の増幅部242の各々についてゲインを制御してもかまわない。
1、1A、1B 粒子検出センサ
2、 粒子
121 投光素子
131 受光素子
241 IV変換部
242、242A、242B 増幅部
261、261A、261B AD変換部
620、620A、620B、620D、620F 処理部
650 記憶部
DA 検知領域

Claims (16)

  1. 気体中に含まれる粒子を検出する粒子検出センサであって、
    投光素子と、
    検知領域における前記粒子による前記投光素子の光の散乱光を受光する受光素子と、
    前記受光素子からの出力を示す検知信号を用いて前記気体中に含まれる前記粒子の質量濃度を算出する処理部とを備え、
    前記処理部は、
    前記検知信号の波形から抽出された複数の波高値の各々について、1以上の第一閾値により区分けされた複数の波高値区分のうちのいずれの波高値区分に属するかを判定する判定処理と、
    前記判定処理によって前記複数の波高値区分の各々について判定された前記波高値の個数、及び、前記複数の波高値区分の各々において1以上の第二閾値により区分けされた複数の粒径区分の各々が含まれる含有比率を用いて、前記複数の粒径区分の各々における粒子数を推定する推定処理と、
    前記複数の粒径区分の各々における粒子数を用いて、前記質量濃度を算出する算出処理とを実行する
    粒子検出センサ。
  2. 前記複数の波高値区分のうち一の波高値区分における前記含有比率は、当該一の波高値区分について判定された前記波高値の個数と、当該一の波高値区分より大きい他の波高値区分の各々について判定された前記波高値の個数、及び、前記検知領域内の位置に応じた信号強度の変化とに基づく値である
    請求項に記載の粒子検出センサ。
  3. 前記第一閾値及び前記第二閾値の少なくとも一方は、
    測定対象となる粒径分布に応じて任意の個数及び間隔で設定される
    請求項又はに記載の粒子検出センサ。
  4. 前記第一閾値は、前記検知信号に含まれるノイズの波高値に対応するノイズ閾値を含み、
    前記処理部は、前記推定処理において、
    前記複数の波高値区分のうち前記ノイズ閾値を上限として区分けされた波高値区分以外の他の波高値区分の各々について判定された前記波高値の個数、及び、当該他の波高値区分の各々における前記含有比率を用いて、前記複数の粒径区分の各々における粒子数を推定する
    請求項のいずれか1項に記載の粒子検出センサ。
  5. 前記処理部は、前記算出処理において、
    前記複数の粒径区分の各々における粒子数に対して、当該粒径区分における平均質量に基づく係数を乗ずることにより、前記質量濃度を算出する
    請求項のいずれか1項に記載の粒子検出センサ。
  6. 前記処理部は、前記算出処理において、
    前記複数の粒径区分の各々における粒子数に対して、当該粒径区分における粒子の存在比率を考慮した代表質量に基づく係数を乗ずることにより、前記質量濃度を算出する
    請求項のいずれか1項に記載の粒子検出センサ。
  7. 前記処理部は、前記算出処理において、
    所望の粒径範囲に含まれる粒径区分の各々における前記質量濃度を算出し、算出した質量濃度を合算することにより当該所望の粒径範囲における前記質量濃度を算出する
    請求項のいずれか1項に記載の粒子検出センサ。
  8. 前記処理部は、前記判定処理において、
    前記検知信号の波形から抽出された複数の波高値と1以上の第一閾値との相対関係を補正し、補正後の相対関係を用いて、前記複数の波高値の各々について、前記第一閾値により区分けされた複数の波高値区分のうちのいずれの波高値区分に属するかを判定する判定処理を実行することにより、前記質量濃度を算出する
    請求項1に記載の粒子検出センサ。
  9. 前記処理部は、前記判定処理において、
    前記複数の波高値区分の各々における上限と下限との差の比率が当該複数の波高値区分の間で維持されるように前記第一閾値の各々を補正することにより、前記相対関係を補正する
    請求項に記載の粒子検出センサ。
  10. 前記処理部は、前記判定処理において、
    前記検知信号における任意のレベルを基準として前記第一閾値の各々を補正する
    請求項に記載の粒子検出センサ。
  11. 前記処理部は、前記判定処理において、
    抽出された前記複数の波高値の各々を補正することにより、前記相対関係を補正する
    請求項に記載の粒子検出センサ。
  12. 前記処理部は、前記判定処理において、
    前記検知信号における任意のレベルを基準として前記複数の波高値の各々を補正する
    請求項11に記載の粒子検出センサ。
  13. 前記処理部は、前記判定処理において、
    前記検知領域に所定の粒径を有する基準粒子が導入された場合における前記受光素子からの出力に基づいて、前記相対関係を補正する
    請求項12のいずれか1項に記載の粒子検出センサ。
  14. 前記投光素子は、500nm以上かつ700nm以下にピーク波長を持つ光を投光し、
    1以上の前記第一閾値のいずれか1つは、1.0μm以下の粒径に対応する値である
    請求項1〜13のいずれか1項に記載の粒子検出センサ。
  15. さらに、前記受光素子から出力された電流を電圧に変換することにより電圧信号を生成するIV変換部と、
    前記電圧信号を所定の帯域で増幅する増幅部と、
    前記増幅部で増幅された電圧信号をサンプリング及び量子化するAD変換部とを備える
    請求項1〜14のいずれか1項に記載の粒子検出センサ。
  16. 前記粒子検出センサは、さらに、当該粒子検出センサの感度に応じた補正係数を記憶している記憶部を備え、
    前記補正係数は、前記検知領域に所定の粒径を有する標準粒子が導入された場合に前記受光素子から出力された電流に基づいて算出された値であり、
    前記処理部は、前記補正係数を用いて前記相対関係を補正する
    請求項1〜15のいずれか1項に記載の粒子検出センサ。
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