実施の形態1.
図1は、本発明による画像形成装置としての実施の形態1のロール紙プリンタ10の要部構成を示す要部構成図である。このロール紙プリンタ10は、ラベルロール紙に対応した電子写真方式のカラープリンタである。
同図において、ロール紙プリンタ10は、いかなる種類のものであってもよいが、ここでは、電子写真方式によって画像を形成する電子写真式プリンタであるものとして説明する。また、ロール紙プリンタ10は、モノクロ画像を形成するものであってもよく、カラー画像を形成するものであってもよいが、ここでは、中間転写方式によって媒体としてのラベルロール紙31に印刷を行うカラー印刷装置である場合について説明する。
ロール紙プリンタ10は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色のトナー画像を各々に形成する画像形成手段としての4つの独立した画像形成ユニット20Y、20M、20C、20Kを有し、これらが、後述する中間転写ベルトユニット90の中間転写体としての中間転写ベルト12が、中間転写ベルトユニット90の上部で移動する移動方向を示す矢印B方向に沿って、その上流側から順に配置されている。
尚、4つの画像形成ユニット20Y、20M、20C、20Kは、基本的に同一の構成を有するもので、使用するトナーの色のみが異なる。従って、説明上、4つの画像形成ユニット20Y、20M、20C、20Kを特に区別する必要がない場合には、単に画像形成ユニット20として説明する。更に、画像形成ユニット20が含む各部材及びその他の部材についても、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色に対応するものとして区別する必要がある場合にはY、M、C及びKの符号を付与して説明し、特に区別する必要がない場合には、Y、M、C及びKの符号を付与せずに説明する。
中間転写ベルトユニット90は、図示せぬ駆動部より駆動される駆動ローラ13、中間転写ベルト12の移動経路を定めるアイドルローラ14、コイルスプリング等の付勢手段により中間転写ベルト12に張力を付与するテンションローラ18、2次転写ローラ16aに対向して配置されて2次転写ニップ部16を構成する2次転写バックアップローラ16b、及びそれらのローラに張架された中間転写ベルト12を備える。中間転写ベルト12は、駆動ローラ13が回転駆動されることにより、矢印B方向に回転移動する。尚、2次転写ローラ16aと2次転写バックアップローラ16bが2次転写手段に相当する。
中間転写ベルトユニット90は、更に、中間転写ベルト12を介して各画像形成ユニット20の感光体ドラム11に対向して配置され、各感光体ドラム11上に形成された各色のトナー像を順次重ねて中間転写ベルト12上に1次転写するために所定の電圧を付加する4つの1次転写ローラ15等を備える。各1次転写ローラ15は、それぞれ、図示されないスプリングによって対応する感光体ドラム11に押し当てられ、1次転写部としての1次転写ニップ部を形成している。
図2は、4つの画像形成ユニット20の要部構成を示す要部構成図である。ここではブラック(K)の画像形成ユニット20Kを参照しながらその構成を説明する。
同図に示すように、画像形成ユニット20は、像担持体としての感光体ドラム11、感光体ドラム11の表面を帯電させるチャージローラ21、帯電した感光体ドラム11の表面を選択的に露光して静電潜像を書き込むLEDヘッド22、感光体ドラム11の表面の静電潜像を現像剤としてのトナーで現像する現像ローラ23、この現像ローラ23の表面にトナーを供給しつつ現像ローラ23との間でトナーを擦り付けてマイナス極性に摩擦帯電させるスポンジローラ24、現像ローラ23の表面に供給されたトナーを均一な薄層にする現像ブレード25、スポンジローラ24に所定色(ここではブラック(K))のトナーを供給するトナータンク26、及び、感光体ドラム11の表面に残留したトナーをクリーニングするクリーニングブレード27を有する。
感光体ドラム11、現像ローラ23、スポンジローラ24、チャージローラ21は、それぞれが図2に示す矢印方向に回転する。図示しない駆動手段により感光体ドラム11が回転駆動され、図示しないギアによって感光体ドラム11から現像ローラ23へ駆動が伝わり、同じく図示しないアイドルギアにより現像ローラ23からスポンジローラ24へ駆動が伝わり回転する。チャージローラ21は、感光体ドラム11に接することにより連れ周りで回転する。
感光体ドラム11と1次転写ローラ15とが、中間転写ベルト12を介して圧接する1次ニップ部では、感光体ドラム11上に形成された現像剤像としてのトナー画像の、中間転写ベルト12上への転写が行われ、中間転写ベルト12は、表面に転写されたトナー画像を担持して、2次転写ニップ部16にまで搬送する。
ラベルロール紙31は、図1に示すように、図示されない芯の周囲にあらかじめ巻き付けられたロール31´の状態で用意され、この芯を中心にして回転可能となるように、ユーザによってロール紙プリンタ10に装着される。そして、ロール31´の回転に伴って、ラベルロール紙31は繰り出されて搬送される。像形成済みのラベルロール紙31は、ロール紙プリンタ10から排出されるが、その際にカッター38によってロール31´から切り離される。
ここでラベルロール紙31について説明する。ここでは、2つのタイプのラベルロール紙31について説明する。図3は、ラベル間のラベルギャップにラベルカスがないタイプ(以後、第1のタイプと称す)のラベルロール紙31aの説明に供する図であり、図4は、ラベル間のラベルギャップにラベルカスがあるタイプ(以後、第2のタイプと称す)のラベルロール紙31bの説明に供する図である。
図3において、同図(a)は、第1のタイプのラベルロール紙31aの平面図であり、同図(b)はその側面図であり、同図(c)は、同図(b)の点線で囲んだ部分の部分拡大図である。
同図に示すように、第1のタイプのラベルロール紙31aは、長尺の台紙47上に、その長手方向に沿って等間隔に複数のラベル46を配置したもので、ラベル46の表面にトナー画像を転写して印刷を行うものである。台紙47は、長尺の帯状又はテープ状の紙、樹脂フィルム等であり、巻かれてロール31´を構成する。また、ラベル46は、接着剤等によって前記台紙47の表面に剥離可能に貼付された紙、樹脂フィルム等であって、台紙47の長手方向、又は進行方向に所定の間隔で複数枚並べて貼付される。そして、ラベル46は、印刷が完了した後、台紙47から剥がして使用される。
図4において、同図(a)は、第2のタイプのラベルロール紙31bの平面図であり、同図(b)はその側面図であり、同図(c)は、同図(b)の点線で囲んだ部分の部分拡大図である。
同図に示すように、第2のタイプのラベルロール紙31bは、長尺の台紙47の表面に、台紙47と同等の大きさの紙、樹脂フィルム等を剥離可能に貼付した後、長手方向に沿って等間隔に、その一部を所定の大きさ及び形状に型抜き、或は切り抜きすることによって形成され、型抜きした部分をラベル46とし、その周りに残存する余白部分をラベルカス48と称したものである。そして、ラベル46は、印刷が完了した後、台紙47から剥がして使用される。
更に、この第2のタイプのラベルロール紙31bにおいては、図4(c)に示すように、台紙47の裏面に、搬送方向を示す矢印A方向における各ラベル46の先端の位置を示すマークとしてのブラックマーク43が印刷によって形成されている。
第1のタイプのラベルロール紙31aは、第2のタイプのラベルロール紙31bにおいて、余白部分としてのラベルカス48を除去したものであり、従って、隣接するラベル46同士の間(ラベルギャップ)及び各ラベル46の周囲には、余白部分としてのラベルカス48が残存していない。この場合、台紙47の裏面にブラックマーク43が印刷されている場合と印刷されていない場合があるが、後述するように本実施の形態のロール紙プリンタ10の場合、どちらの場合も利用可能である。尚、第1のタイプのラベルロール紙31aと第2のタイプのラベルロール紙31bとを区別なく統合的に説明する場合には、ラベルロール紙31として説明する。
図1に示すように、ロール31´から繰り出されたラベルロール紙31は、ラベルロール紙31の給紙検知手段として、メカレバーと透過センサから構成される給紙センサ59によって検知され、給紙ローラ33とピンチローラ34とに挟まれて搬送される。ガイド35に導かれて第1ラベルギャップ検知センサ36及び第1ブラックマーク検知センサ37の位置を通過する。
第1ラベルギャップ検知センサ36は、透過型光学センサであり、発光部41と受光部42とを含み、ラベルロール紙31は、発光部41と受光部42との間を通過する。また、第1ブラックマーク検知センサ37は、反射型光学センサであり、台紙47の裏面のブラックマーク43(図4)を検知する。
ここで、第1ラベルギャップ検知センサ36及び第1ブラックマーク検知センサ37について更に説明する。
図5は、第1ラベルギャップ検知センサ36による第1のタイプのラベルロール紙31aのラベルギャップ検出の説明に供する図であり、同図(a)は、第1のタイプのラベルロール紙31aの平面図であり、同図(b)はその側面と第1ラベルギャップ検知センサ36の位置関係を示し、同図(c)は、第1ラベルギャップ検知センサ36の出力電圧信号波形を示す。
同図(b)に示すように、第1ラベルギャップ検知センサ36の発光部41と受光部42とは、ラベルロール紙31の搬送経路を挟んで、互いに対向するように配設されている。そして、搬送経路を搬送方向(矢印A方向)に搬送される第1のタイプのラベルロール紙31aの隣接するラベル46同士の間、即ち台紙47のみとなるラベルギャップが通過する際に、同図(c)に示すように第1ラベルギャップ検知センサ36の出力電圧レベルが変化するため、第1ラベルギャップ検知センサ36の出力電圧信号に基づいて、個々のラベル46の位置を検出することが可能となる。
ここで第1ラベルギャップ検知センサ36の構成について更に説明する。図7は、第1ラベルギャップ検知センサ36の構成の説明に供する図であり、同図(a)は、光が第1のタイプのラベルロール紙31aのラベルギャップを透過する状態を示す図であり、同図(b)は光がラベル46を透過する状態を示す図である。
図7に示すように、第1ラベルギャップ検知センサ36は、発光部41が上から、受光部42が下から、第1のタイプのラベルロール紙31aを挟み込んで対向する構成となっている。発光部41の内部には、図示しない回路によって駆動される発光手段としてのLED67が固定され、所定の発光量で発光する。また受光部42の内部には、図示しない回路によって駆動される受光手段としてのフォトトランジスタ68が固定され、第1のタイプのラベルロール紙31aを透過したLED67からの光を受光して、受光量に対応した電圧を出力する。
尚、発光手段はLEDに限定されるものではなく、また、受光手段もフォトトランジスタに限定されるものではなく、同様な機能を発揮する別種の素子であってもよい。また、発光部41及び受光部42の位置は、第1のタイプのラベルロール紙31aに対して光を透過して受光することができる位置であればどこでも構わない。例えば、図7の位置に対して上下逆でもよい。
更に、第1ラベルギャップ検知センサ36の出力電圧は、ここでは図5(c)に示すように、透過率が周囲より高いラベルギャップの位置で、低くなるように回路が構成されているが、必ずしもこれに限定されるものでなく、ラベルギャップの位置で出力電圧が高くなるようにしてもよい。
図6は、第1ブラックマーク検知センサ37による第2のタイプのラベルロール紙31bのブラックマーク43の検出の説明に供する図であり、同図(a)は、第2のタイプのラベルロール紙31bの平面図であり、同図(b)はその側面と第1ブラックマーク検知センサ37の位置関係を示し、同図(c)は、第1ブラックマーク検知センサ37の出力電圧信号波形を示す。
同図(b)に示すように、第1ブラックマーク検知センサ37は、ラベルロール紙31の搬送経路の一方(ここでは下方)のみに配設されている。そして、搬送経路を搬送方向(矢印A方向)に搬送される第2タイプのラベルロール紙31bの台紙47の裏面に形成されたブラックマーク43が通過する際に、同図(c)に示すように第1ブラックマーク検知センサ37の出力電圧レベルが変化するため、第1ブラックマーク検知センサ37の出力電圧信号に基づいて、個々のラベル46の位置を検出することが可能となる。
ここで第1ブラックマーク検知センサ37の構成について更に説明する。図8は、第1ブラックマーク検知センサ37の構成の説明に供する図であり、同図(a)は、第1ブラックマーク検知センサ37とその上部を通過する第2タイプのラベルロール紙31bの外観透視斜視図であり、同図(b)は、これらの側面図である。尚、同図(a)においては、第2タイプのラベルロール紙31bのラベル46及びラベルカス48(図6)は省略され、台紙47が透視された図となっている。
図8に示すように、反射型光学センサである第1ブラックマーク検知センサ37は、第2のタイプのラベルロール紙31bの下側(裏側)から、台紙47の裏面に形成されたブラックマーク43を検知する。第1ブラックマーク検知センサ37は、発光手段としてのLED65、及び受光手段としてのフォトトランジスタ66を備える。尚、発光手段はLEDに限定されるものではなく、また、受光手段もフォトトランジスタに限定されるものではなく、同様な機能を発揮する別種の素子であってもよい。
LED65は、図示しない回路によって駆動されて所定の発光強度でラベルロール紙31の裏面に光を照射し、この裏面によって反射された光は、フォトトランジスタ66によって受光される。フォトトランジスタ66は、図示しない読み取り回路に接続され、この読み取り回路は、第1ブラックマーク検知センサ37の出力電圧として、ラベルロール紙31の裏面の反射強度に対応した電圧を出力する。
第1ブラックマーク検知センサ37の出力電圧は、ここでは、図6(c)に示すように、反射率が周囲より低いブラックマーク43の位置で出力電圧が低くなるように回路が構成されているが、必ずしもこれに限定されるものでなく、ブラックマーク43の位置で出力電圧が高くなるようにしてもよい。
尚、ここでは、第1ラベルギャップ検知センサ36、及び第1ブラックマーク検知センサ37は、主としてラベルロール紙31の待機位置検出に用いられる。
第1ラベルギャップ検知センサ36及び第1ブラックマーク検知センサ37の位置を通過したラベルロール紙31は、更にガイド35に導かれて搬送方向(矢印A方向)に搬送されてカッター38の位置に到達する。カッター38は、後述する所定のタイミングでラベルロール紙31を切断することができる。続いてラベルロール紙31は、ガイド35に導かれ、第1中間搬送ローラ51とこの第1中間搬送ローラ51に対向する第1ピンチローラ53とのニップ部に噛み込まれ、第1中間搬送ローラ51に駆動されて搬送される。
続いて、ラベルロール紙31は、更に第2中間搬送ローラ52と第2ピンチローラ54とのニップ部に噛み込まれて搬送され、ガイド35に導かれて第2ラベルギャップ検知センサ55及び第2ブラックマーク検知センサ56の位置を通過する。
尚、第2ラベルギャップ検知センサ55は、発光部57と受光部58とを備え、その構成が、前記した第1ラベルギャップ検知センサ36の構成と同一なのでここでの詳細な説明は省略するが、第1ラベルギャップ検知センサ36と同様に、通過する第1のタイプのラベルロール紙31aのラベルギャップの位置で電圧が低くなる図5(c)に示す出力電圧を出力する。またラベル位置検知手段としての第2ブラックマーク検知センサ56は、その構成が、前記した第1ブラックマーク検知センサ37の構成と同一なのでここでの詳細な説明は省略するが、第1ブラックマーク検知センサ37と同様に、通過する第2のタイプのラベルロール紙31bのブラックマーク43の位置で電圧が低くなる図6(c)に示す出力電圧を出力する。
続いて、ラベルロール紙31は、更にガイド35に導かれ、2次転写ローラ16aと2次転写バックアップローラ16bとで形成され、転写手段として機能する2次転写部としての2次転写ニップ部16に噛み込まれる。ラベルロール紙31に印刷を行う際には、後述するように、各ラベル46と中間転写ベルト12上のトナー画像とが、一致したタイミングで2次転写ニップ部16に到達するように制御する必要がある。これによってトナー画像を、正しく位置決めされた状態で各ラベル46に2次転写することができる。
続いてラベルロール紙31は、定着器61に到達する。定着器61は、互いに圧接されて定着ニップを形成するアッパーローラ62及びロワーローラ63を備える。アッパーローラ62の内部には、ハロゲンランプ64が配設され、トナー画像を溶融して定着するための熱を供給している。ラベルロール紙31は、ここで定着ニップに噛み込まれて搬送される間に、各ラベル46に2次転写されたトナー画像が加圧加熱されて定着し、その後装置外まで搬送される。
ロール紙プリンタ10は、以上のようにして、ラベルロール紙31に連続的に印刷することができる構成を有する。
次に、ロール紙プリンタ10の要部制御系の構成について説明する。図9は、ロール紙プリンタ10の制御手段としての制御部70の構成を示すブロック図である。
制御部70は、同図に示すように、エンジン制御部71、画像処理手段としてのコマンド/画像処理部72、インターフェイス部73、RAM75Y、75M、75C、75K、高圧供給部77、及び記憶手段としての不揮発性メモリ78を有する。尚、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色に対応して設けた構成要素では、区別する必要がある場合にはY、M、C及びKの符号を付与して説明し、特に区別する必要がない場合には、Y、M、C及びKの符号を付与せずに説明する。
コマンド/画像処理部72は、インターフェイス部73を介して、ロール紙プリンタ10の上位装置であるホストPC74と通信を行い、このホストPC74から受信したコマンド及び画像データを処理する。そして、コマンド/画像処理部72は、ホストPC74から受信したコマンドに応じて、エンジン制御部71に指示を出力し、ホストPC74から受信した画像データを解釈してビットマップへの展開を行い、このビットマップをRAM75に書き込む。また各RAM75は、エンジン制御部71を介してそれぞれ対応するLEDヘッド22に接続されており、エンジン制御部71は、RAM75のビットマップデータを読み出し、LEDヘッド22へ転送する。
そしてエンジン制御部71は、コマンド/画像処理部72からの指示に従って、印刷動作を制御する。このためエンジン制御部71は、LEDヘッド22、高圧供給部77、ハロゲンランプ64、RAM76、第1ラベルギャップ検知センサ36、第1ブラックマーク検知センサ37、第2ラベルギャップ検知センサ55、及び第2ブラックマーク検知センサ56に接続され、更にカッター38でラベルロール紙31を切断するために図示せぬ回転刃回転モータに接続されている。
エンジン制御部71によって制御される高圧供給部77は、画像形成ユニット20、1次転写ローラ15及び2次転写ローラ16aに必要な高電圧を供給し、同じくハロゲンランプ64は、アッパーローラ62を内側から加熱する。
エンジン制御部71は、第2ラベルギャップ検知センサ55及び第2ブラックマーク検知センサ56の出力変化によりラベルギャップ又はブラックマーク位置を検出し、ラベルの周期、つまりラベルピッチを算出する。また、エンジン制御部71は、後述するように、カッター38にてラベルロール紙31を切断したタイミングを基に、どのラベルピッチ測定間にカット動作が行われたかを判断する。
具体的には、ラベルピッチ測定結果に対して、カットする前のラベルピッチ測定値、カット中のラベルピッチ測定値、カット後のラベルピッチ測定値と、3つの搬送負荷条件を識別するためのカットステータス情報を付加し、カットステータス情報を付加したラベルピッチ測定値をコマンド/画像処理部72へ通知する。コマンド/画像処理部72は、不揮発性メモリ78の一部エリアであるラベルピッチ測定値格納エリア79の3つの格納エリア79a,79b,79cに、カットステータス情報毎に分けてラベルピッチ測定値を格納する。尚、これらのラベルピッチ測定値は、タイミング情報に相当する。
尚、エンジン制御部71は、上記した制御の他にも、中間転写ベルトユニット90、給紙ローラ33、中間搬送ローラ51,52等、ロール紙プリンタ10のハードウェア動作全般を制御する。
次に、以上のように構成されたロール紙プリンタ10の動作について説明する。
先ず、コマンド/画像処理部72が、ホストPC74からラベルロール紙31に印刷するための画像データ、即ち印刷データを受信すると、ロール紙プリンタ10は、画像形成動作を開始し、コマンド/画像処理部72が、受信した印刷データを解釈し、各トナー色のビットマップデータに展開する。展開されたビットマップデータは、RAM75に保存される。また、コマンド/画像処理部72は、印刷データのビットマップデータへの展開と同時に、エンジン制御部71に印刷動作開始の指示を出す。
これによりエンジン制御部71は、ハロゲンランプ64を制御して定着器61を加熱し、定着器61の温度がトナー画像をラベルロール紙31に定着可能な温度範囲になるように制御する。そして、定着器61の温度が十分に上昇すると、エンジン制御部71は、駆動ローラ13及び各画像形成ユニット20の駆動を開始させる。また、エンジン制御部71は、同時に、高圧供給部77を制御して、画像形成ユニット20及び1次転写ローラ15に所定の高電圧バイアスを供給させる。
ここで、図1、図2を参照しながら、感光体ドラム11上へのトナー画像の形成動作について説明する。
先ず、高圧供給部77から、高電圧バイアスとして、−1000〔V〕のチャージバイアスが供給されたチャージローラ21は、感光体ドラム11の表面を−600〔V〕に帯電させる。また、高圧供給部77から、高電圧バイアスとして、現像ローラ23には−200〔V〕の現像バイアスが供給され、スポンジローラ24には−250〔V〕のスポンジバイアスが供給される。
一方、トナータンク26から供給されたトナーは、スポンジローラ24と現像ローラ23とに強く擦られてマイナス極性に摩擦帯電する。そして、マイナス極性に摩擦帯電されたトナーは、スポンジバイアスと現像バイアスとの電位差によって現像ローラ23に付着させられる。現像ローラ23に付着したトナーは、現像ブレード25によって均一な厚さにならされて、現像ローラ23上にトナー層を形成する。こうして現像ローラ23上に形成されたトナー層は、現像ローラ23の回転によって、感光体ドラム11とのニップ部に運ばれる。
またエンジン制御部71は、LEDヘッド22に、感光体ドラム11への潜像の書き込みを開始させる。この場合、エンジン制御部71は、RAM75に書き込まれた印刷データのビットマップデータを、画像の先端から順次読み出し、1ライン単位で次々とLEDヘッド22に転送する。LEDヘッド22は、転送されてきたビットマップデータに従ってLEDを点減させ、−600〔V〕に帯電された感光体ドラム11の表面を露光する。この感光体ドラム11の表面における露光された箇所は−50〔V〕に除電され、静電潜像となる。そして、感光体ドラム11の表面における静電潜像が形成された箇所は、感光体ドラム11の回転に従って、現像ローラ23とのニップ部に運ばれる。
このとき現像ローラ23上には、前記したようにマイナス帯電したトナー層が形成されており、また、現像ローラ23には−200〔V〕の現像バイアスが供給されているので、現像ローラ23と感光体ドラム11の表面における静電潜像との電位差によって、静電潜像の部分にのみトナーが選択的に付着して、静電潜像はトナー画像として現像される。
各画像形成ユニット20における感光体ドラム11上には、それぞれ対応する色のトナー画像が形成され、これらのトナー画像が、中間転写ベルト12と感光体ドラム11との接触部、すなわち、1次転写ニップ部に到達すると、高圧供給部77から1次転写ローラ15に高電圧バイアスとしての1次転写バイアスが供給されているので、各色のトナー画像は、各感光体ドラム11上から、順次中間転写ベルト12に重ねて転写される。
この時、各感光体ドラム11Y,11M,11C,及び11K上への各色トナー画像の形成は、各感光体ドラム11Y,11M,11C,及び11Kの配置間隔の分だけタイミングをずらして行われるので、中間転写ベルト12上に転写された各色トナー画像は、ずれることなく、重なり合って積層される。
(比較例)
ここで、本発明の比較例として、制御部70が、ラベル位置検知手段としての第2ラベルギャップ検知センサ55又は第2ブラックマーク検知センサ56の検知結果に基づいて、現像剤像、即ちトナー画像を中間転写ベルト12に形成するタイミングを制御する方法について説明する。
図11は、比較例において、画像形成ユニット20の画像形成タイミングとラベルロール紙31のブラックマーク43の検知タイミングとの説明に供するタイミングチャートである。
先ず、ラベルロール紙31の搬送開始方法について説明する。ここでは、説明の都合上、ラベルロール紙31が、裏面にブラックマーク43(図4)が付与された第2のタイプのラベルロール紙31bであり、これを第1ブラックマーク検知センサ37及び第2ブラックマーク検知センサ56で検知するものとする。
ラベルロール紙31は、コマンド/画像処理部72がホストPC74から画像データを受信する以前に、その先端がロール紙プリンタ10の内部に所定量だけ引き込まれて、待機している。
具体的には、ロール紙プリンタ10のユーザは、先ず、画像形成開始前にラベルロール紙31を給紙ローラ33とピンチローラ34とのニップ部に挿入する。その後エンジン制御部71は給紙センサ59にてロール紙の挿入を検知し、ラベルロール紙31の先端引き込み動作を起動させる。そしてエンジン制御部71は、第1ブラックマーク検知センサ37の出力電圧を監視しながら給紙ローラ33を駆動させ、1つ目のブラックマーク43の先端エッジが検知された後、距離LIN[Line]だけラベルロール紙31を搬送した時点で給紙ローラ33を停止させる。
このように給紙ローラ33を動作させることによって、ラベルロール紙31の1個目のブラックマーク43の先端が、第1ブラックマーク検知センサ37を距離LIN[Line]だけ通過した位置で、ラベルロール紙31が停止した状態となる。
中間転写ベルト12に沿った1次転写ニップ部から2次転写ニップ部16までの距離が最も長い画像形成ユニット20である画像形成ユニット20Yにおいて、ラベルロール紙31の先頭のラベル46に印刷するための画像形成が開始された後、ラベルロール紙31の駆動が開始されるまでの時間を、感光体ドラム11の周速で距離に換算した値(以後、予測距離と称す場合がある)LR[Line]は、次のように求められる。
LEDヘッド22Yが感光体ドラム11Yの表面を露光する位置から、感光体ドラム11Yの周面に沿って画像形成ユニット20Yの1次転写ニップ部を経由し、中間転写ベルト12の回転方向に中間転写ベルト12の表面に沿って2次転写ニップ部16まで到達する距離をLID[Line]とし、第1ブラックマーク検知センサ37からガイド35に沿って2次転写ニップ部16まで到達する距離をLSR1[Line]とすると、ラベルロール紙31の先端が第1ブラックマーク検知センサ37を距離LIN[Line]だけ通過して待機しているので、次の式(1)で表される。
LR=LID−(LSR1−LIN) ・・・(1)
ロール紙プリンタ10では、距離LID[Line]よりも距離LSR1[Line]が短いので、予測距離LR[Line]は正の値を取る。予測距離LR[Line]が正の値の場合、LEDヘッド22Yが感光体ドラム11Yの露光を開始してから、感光体ドラム11Yが予測距離LR[Line]だけ周移動した後にラベルロール紙31の搬送を開始する。尚、距離LID[Line]よりも距離LSR1[Line]が長いロール紙プリンタ10の場合、即ち、予測距離LR[Line]が負の値の場合には、ラベルロール紙31の搬送開始後、これを予測距離LR[Line]だけ搬送した段階で、LEDヘッド22Yによる感光体11Yへの露光を開始すればよい。
また、画像形成ユニット20Yよりも2次転写ニップ部16までの距離が短い画像形成ユニット20である画像形成ユニット20M、20C及び20Kにおいて、LEDヘッド22M、22C及び22Kが、感光体ドラム11M、11C及び11Kの露光を開始するタイミングは、LEDヘッド22Yが感光体ドラム11Yの露光を開始したタイミングから、感光体ドラム11Yと感光体ドラム11M、11C、11Kの各間隔に相当する時間だけ遅らせれば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色のトナー画像を、位置ずれすることなく重ねて中間転写ベルト12に転写することができる。
次に、2枚目以降のラベル46(図4)に、各色のトナー画像を、位置を合わせて2次転写する動作について説明する。
仮に、先頭のラベル46への位置合わせ動作の後、特別な制御、即ち第2ブラックマーク検知センサ56の検知結果を用いずに印刷動作を続けると、以下のような問題が発生する。
エンジン制御部71は、画像長PIM[Line]の画像に固定の空白長の初期値G0[Line]を加えたラベル画像ピッチPL0[Line]にて、各ラベル46のトナー画像を形成し続ける。一方、ラベルロール紙31上の各ラベル46が、2次転写ニップ部16に到達するマーク周期(ラベルピッチ)長PBM[Line]は、ラベル画像ピッチPL0[Line]とは一致せず、誤差△PL[Line]だけのずれを含むのが一般的である。このようなずれは、ラベル46そのものの寸法誤差であったり、搬送部材の寸法誤差によって発生するものである。
そして、トナー画像の形成ピッチ、即ちラベル画像ピッチPL0[Line]とラベル46の2次転写ニップ部16への到達ピッチ、即ちマーク周期長PBM[Line]との間に誤差△PL[Line]が存在する状態で印刷を継続すると、N枚目のラベル46にトナー画像が転写されるときには、(N−1)×ΔPL[Line]のトナー画像の位置誤差が発生する。
誤差△PL[Line]が、1/1200[inch1Line]、即ち21〔μm〕程度であっても、N=100とすれば、2次転写されるトナー画像の位置ずれは約2〔mm〕となる。これは、数百枚以上のラベル46を連続的に印刷するケースも考えられるラベルロール紙31への印刷では、許容することができない誤差である。そのため誤差△PL[Line]をより小さくすることで、位置検出センサによるマーク周期長PBM[Line]が測定されるまでの累積するずれ量を少なくする必要がある。
ここでは、不揮発性メモリ78〈図9〉に過去のマーク周期長PL(N)[Line]を一定数格納し、同一ロール紙設定である場合は、格納された過去の周期結果から、画像長PIM[Line]の画像に加える固定の空白長の初期値G0[Line]の最適化を行う。不揮発性メモリ78に印刷ロールの周期履歴が格納されていない場合は、設定されたロール紙情報から計算される固定の余白長を用いる。また、以下のように制御を行うことによって、2次転写されるトナー画像の位置ずれを抑制する。
前記したように、LEDヘッド22Yによる感光体ドラム11Yの露光とラベルロール紙31の搬送とを開始した後、LEDヘッド22Yは、画像長PIM[Line]の画像に空白長の初期値G0[Line]を追加したラベル画像ピッチPL0[Line]で、感光体ドラム11Yを露光して画像形成を繰り返す。
一方、エンジン制御部71は、第2ブラックマーク検知センサ56の出力を監視し始め、ラベルロール紙31の裏面に印刷されたブラックマーク43(図4)の先端エッジ位置を検知する。ブラックマーク43は、前記したようにその先端エッジがラベル46の先端と一致するように印刷されている。ラベルロール紙31は引き続き搬送され、第2ブラックマーク検知センサ56は、2枚目のラベル46に対応するブラックマーク43を検知する。すると、エンジン制御部71は、1枚目のラベル46の位置と2枚目のラベル46の位置との差、即ち1枚目と2枚目とのラベル46の間隔PBM2(1)[Line]を検知する。
同様にして、エンジン制御部71は、2枚目と3枚目とのラベル46の間隔PBM2(2)[Line]、3枚目と4枚目とのラベル46の間隔PBM2(3)[Line]、・・・、k枚目と(k+1)枚目とのラベル46の間隔PBM2(k)[Line]を検知し続ける。
図11に示すように、第2ブラックマーク検知センサ56が間隔PBM2(1)[Line]を検知した時には、LEDヘッド22Yは、(M+1)枚目の画像を露光中である。(M+1)枚目の画像形成までは、第2ブラックマーク検知センサ56によるラベルピッチ測定情報が得られないので、エンジン制御部71は、1枚目と2枚目との画像の空白長G(1)[Line]〜M枚目と(M+1)枚目との画像の空白長G(M)[Line]は、すべて固定された画像の空白長の初期値G0[Line]で感光体ドラム11Yに露光して画像形成を行う。
そして、第2ブラックマーク検知センサ56が間隔PBM2(1)[Line]を検出すると、エンジン制御部71は、(M+1)枚目と(M+2)枚目との間の画像の空白長G(M+1)[Line]の値を以下のように補正し、(M+2)枚目が正しい位置に印刷されるように補正する。
M枚目までの、LEDヘッド22Yよる画像形成ピッチ、即ちラベル画像ピッチPL0[Line]は、次の式(2)で表される。
PL0=PIM+G0 ・・・(2)
(M+1)枚目までは、トナー画像は、ラベル画像ピッチPL0[Line]で形成される。一方、第2ブラックマーク検知センサ56が検知した1枚目と2枚目とのラベル46のピッチは、間隔PBM2(1)[Line]なので、ラベル46の1枚当たりのラベルピッチの誤差△PL(1)[Line]は、次の式(3)で表される。
△PL(1)=PBM2(1)−PL0 ・・・(3)
従って、(M+1)枚目の画像の位置に積算されている位置誤差△D(M+1)[Line]は、次の式(4)で表される。
△D(M+1)=M×△PL(1) ・・・(4)
(M+1)枚目と(M+2)枚目との間の画像の空白長G(M+1)[Line]の正しい値は、次の式(5)で表されるように、画像の空白長の初期値G0[Line]に、(M+1)枚目の画像の位置に積算されている位置誤差△D(M+1)[Line]を加えることによって得ることができる。
G(M+1)=G0+△D(M+1) ・・・(5)
そして、ラベルロール紙31が更に搬送されると、第2ブラックマーク検知センサ56は、2枚目と3枚目とのラベル46の間隔PBM2(2)[Line]を検知する。(M+2)枚目と(M+3)枚目との間の画像の空白長G(M+2)[Line]は、次の式(6)で表されるように、画像の空白長の初期値G0[Line]に(M+2)枚目の画像の位置に積算されている位置誤差を加え、そこからG(M+1)[Line]に適用した補正分を差し引いた値として得ることができる。
G(M+2)=G0+△D(M+2)−△D(M+1)・・・(6)
ただし、位置誤差△D(M+2)[Line]の計算には、ラベル46の、間隔PBM2(1)[Line]と間隔PBM2(2)[Line]との平均値に基づいて算出される次の式(7)で表されるようなラベル46のピッチの誤差△PL(2)[Line]を用い、検知されたラベル46のピッチの値の信頼性を高めることとする。
△PL(2)=Average(PBM2(1)、PBM2(2))−PLO ・・・(7)
これにより、位置誤差△D(M+2)[Line]は、次の式(8)で表される。
△D(M+2)=(M+1)×△PL(2)
=(M+1)×(Average(PBM2(1)、PBM2(2))−PL0)
・・・・(8)
尚、ここで用いたAverage(x1、x2、x3、・・・)の意味は、x1、x2、x3、・・・の平均値を表す。
よって、(M+2)枚目と(M+3)枚目との間の画像に加える空白長G(M+2)[Line]は、上記した式(4)及び(8)を式(6)に代入して求めることができる。
以後、第2ブラックマーク検知センサ56によって検知されたラベル46のピッチの値は、過去3枚のラベル46のピッチの測定値の平均値とすれば、ラベル46の1枚当たりのラベルピッチの誤差△PL(k)、及び、位置誤差△D(M十k)は、一般に次の式(9)及び(10)のように求めることができる。
△PL(k)
=Average(PBM2(k−2)、PBM2(k−1)、PBM2(k))−PL0
・・・(9)
△D(M+k−1)=(M+k−2)×△PL(k)
=(M+k−2)×
(Average(PBM2(k−2)、PBM2(k−1)、PBM2(k))−PL0)
・・(10)
従って、一般的に、(M+k−1)枚目と(M+k)枚目との間の画像の空白長G(M+k−1)[Line]は、次の式(11)で表される。
G(M+k−1)=G0+△D(M+k−1)−△D(M+k−2)・・・(11)
この上式(11)に基づいて、画像間ギャップ、即ち画像の空白長Gを制御すれば、画像位置を各ラベル46に対して平均的に合わせ込むことができる。
上記した画像の空白長Gの制御によれば、ラベル46の搬送速度が大きく変化しない場合に、各ラベル46と、対応するラベル46に転写されるトナー画像の位置とを、平均的に合せ込むことで、位置ずれを最小におさえるように動作し、トナー画像の位置をラベル46の位置に高い精度で合致させることができる。
しかしながら、上記比較例による画像の空白長Gの制御方法では、ラベルロール紙31のカット等によりラベルの搬送速度が変動すると、すでに転写ベルト上に形成されたトナー画像長に対して、転写されるラベル46の見かけの長さに差が生じてしまい、転写後には位置ずれとなってしまう。
図12、図13は、上記比較例による制御方法において、位置ずれが生じない場合と、カット等による搬送速度変動によって位置ずれが生じる場合の説明に供する図である。
図12(a)は、ラベルロール紙31の搬送速度が変化しない場合の2次転写の例を示している。この場合、図12(b)に示すように、転写ベルト上のトナー画像101の長さと、転写するラベル紙の見かけ上の長さが等しい。そのため、ラベル紙に対する印刷されたトナー画像の位置ずれは生じない。
一方、13図(a)は、ロールカットにより、ラベルロール紙31の搬送速度が変化した場合の2次転写の例を示している。尚、この時のトナー画像は、上記した空白長Gの制御方法のように、位置検出センサで検出される、ラベルロール紙31のラベルピッチに基づくフィードバック制御によって1次転写されているものとする。
この場合、ラベルロール紙31のカット動作により搬送負荷が軽減され、2次転写ニップ部16を通過するラベルの速度が速くなると、13図(b)に示すように、見かけのラベル長さが短くなる。尚、図13において、146aは、2次転写中にカット動作が入ったラベルの見かけのラベルを示し、146bは、カット動作後に2次転写するラベルの見かけのラベルを示している。これらのラベルは、カット前のラベルに比べ、見かけ上の長さが短縮している。また、ポジションP1は、ラベルロール紙のカットタイミングを示している。
これは、トナー画像が転写された中間転写ベルト12の速度を基準に、ラベルロール紙31の搬送速度が速くなれば、ラベルの長さがトナー画像よりも短くなることに等しく、逆にラベルロール紙31の搬送速度が転写ベルト速度より遅く変化すれば、ラベルピッチがトナー画像よりも長くなることに等しくなるからである。
従って、2次転写中にラベルロール紙31がカットされると、13図(b)に示すように、予測したトナー画像のピッチと転写するラベルのピッチに差が発生し、画像の位置ズレが生じる。
次に、これらの問題を解決する、本実施の形態のラベル画像ピッチの制御方法について以下に説明する。
ここでは、中間転写ベルト12上のトナー画像を転写するラベル46が、2次転写ニップ部16に入るときに、どのような搬送負荷条件(カット前、カット中、カット後)であるかを印刷データの長さとロールカットページから判定し、該当する搬送負荷条件で計測したラベル周期情報を参照して、画像の空白長Gを調整する。以下、詳細に説明する。
図10は、カットタイミング、画像長PIM、カットステータス(カット前、カット中、カット後)情報、及び画像の空白長Gの関係の説明に供するタイミングチャートである。
ラベルロール紙31のカット時の負荷変動に対応した制御を遂行するため、以下の(1)〜(4)までの処理が行われる。
(1)コマンド/画像処理部72は、上位ホストPC74から受信した印刷データから、カットまでの連結ページ数Nの総画像長ΣPLを次式(12)で算出する。図10では、連結ページ数NがN=7のモデルを例として記載している。
ΣPL=N×PL0 ・・・(12)
尚、PLOは上式(2)で求めるように、画像長PIM[Line]の画像に固定の空白長の初期値G0[Line]加えたラベル画像ピッチである。
(2)総画像長ΣP L からカッター38と2次転写ニップ部16との距離LCR2を減算し、カットタイミング位置までの距離LCを次式(12)で算出する。
LC=(ΣPL)−(LCR2) ・・・(13)
尚、カットタイミング位置までの距離LCを上式で設定するのは以下の理由による。
ラベルロール紙31のカット位置が連結ページ数Nによって決定され、ここでは、ラベルロール紙31の先端のラベルからN枚目と(N+1)枚目の間でカットされ、連結ページ数Nの最後のページデータが、カットされたラベルロール紙31の最後のラベルに対応するように設定するためである。
(3)コマンド/画像処理部72は、最初の印刷データをビットマップに展開する前に、空白長Gを算出する。最初に設定する空白長Goは、不揮発性メモリ78に格納されている過去のラベルピッチ測定値から選択的に用いる。
ここで、不揮発性メモリ78に格納されるラベルピッチ測定値について説明する。エンジン制御部71は、印刷動作中、常に第2ブラックマーク検知センサ56からの検出データに基づいてラベルピッチを測定しており、その測定結果をコマンド/画像処理部72に通知する。その際に、測定時の搬送負荷条件、即ちカッター38によるカットが行われる前に測定した測定値なのか、カッター38によるカットが行われている最中に測定した測定値なのか、更にはカッター38によるカットが行われた後に測定した測定値なのかを示すカットステータス情報を添付する。
コマンド/画像処理部72は、通知されたラベルピッチ測定値を、添付されたカットステータス情報に基づいて、不揮発性メモリ78の3つの格納エリア、即ち第1の記憶領域としてのカット前ラベルピッチ測定値格納エリア79a、第2の記憶領域としてのカット中ラベルピッチ測定格納エリア79b、第3の記憶領域としてのカット後ラベルピッチ測定値格納エリア79cに、逐次ステータスごとに振り分けて格納する。
各格納エリアでは、それぞれに該当する過去のラベルピッチ測定値を複数格納するが、ここでは、逐次更新することによって、常に最新のN個分のラベルピッチ測定値を格納するものとする。
コマンド/画像処理部72は、必要に応じて不揮発性メモリ78の各ラベルピッチ測定値格納エリア79a、79b、79cからそれぞれN個のラベルピッチ測定値を取り出し、それらの平均値から以下に示す空白長Gを算出する。ここでは
カット前ラベルピッチ測定値格納エリア79aから算出される空白長Gを、
G=G(NC)とし、
カット中ラベルピッチ測定値格納エリア79bから算出される空白長Gを、
G=G(TC)とし、
カット後ラベルピッチ測定値格納エリア79cから算出される空白長Gを、
G=G(AC)とする。
(4)まず、コマンド/画像処理部72は、展開する最初の印刷ページのトナー画像が転写されるラベル46が、2次転写時にどのカットステータスにあるラベルなのかを判断する。
ΣPL>LCである場合、
印刷データの総画像長ΣPLはカットタイミング位置までの距離LC以上であるが、1ページ目のトナー画像は、カットする前のタイミングで一枚目のラベル46に転写されると判断する。この場合には、空白長G=G(NC)を選択して画像データを生成する。
つまり、1枚目のラベル画像ピッチPL1は、画像長PIMに対応するG(1)=G(Nc)を加えた、
PL1=PIM+G(Nc)
で画像を展開する。
コマンド/画像処理部72は、次のページの画像データがある場合、次ページの空白長を算出する。具体的には、次に展開するページまでの累積の画像長がカットタイミング位置までの距離LCに到達するか否かを判断する。
但し、判断の対象となる後端の画像データのラベル画像ピッチは、画像長PIMに空白長の初期値G0を加えた長さとする。
従って、
(PL1+PL2)=(PL1+(PIM+G0))>(LC+PIM(画像長))の場合は、カットタイミング後に2次転写ニップ部16に至るラベルに転写され、
(LC+PIM)>(PL1+(PIM+G0))>Lcの場合は、カット中に2次転写ニップ部16にあるラベルに転写され、
LC>(PL1+PL2)=(PL1+(PIM+G0))の場合は、カット前に2次転写ニップ部16に至るラベルに転写される画像と判断する。
以上のように、1ページの画像を展開する度に、そこまでの累積画像長を算出し、カットタイミング位置までの距離LCに到達するか否かを判断する。そしてその判断に基づいて、
カット前のラベルに転写されるページの印刷データと判断した場合、空白長G=G(NC)を選択して画像データを生成し、
カット中のラベルに転写されるページの印刷データと判断した場合、空白長G=G(TC)を選択して画像データを生成し、
カット後のラベルに転写されるページの印刷データ、即ちカット中ページの画像以降の印刷データと判断した場合、空白長G=G(AC)を選択して画像データを生成する。
図10のタイミングチャートの例で説明すると、4ページまでの累積画像長は、カットタイミング位置より短い。即ち
PL1+PL2+PL3+PL4<LC
であるため、これ等の画像データは空白長G=G(NC)で調整される。
但し、ここではPL4=PIM+G0である。
5ページ目の画像を累積すると
(LC+PIM)>PL1+PL2+PL3+PL4+PL5>LCとなる。
但し、ここではPL5=PIM+G0である。
このため、5ページ目の画像データは、空白長G=G(TC)で調整される。
更に、6ページ、7ページ目はカット後のラベルに相当するため、これらの画像データは、G=G(AC)で調整される。
以上のように、コマンド/画像処理部72は、カットタイミングに至るまでの累積画像長を1ページ展開毎に算出し、搬送条件に合致した画像の空白長Gを調整することで、カット前後のように、用紙の搬送速度に速度変化が発生しても、画像位置を各ラベル46に対して平均的に合わせ込むことができる。
尚、ここでは、ラベルロール紙31が、裏面にブラックマーク43(図4)が付与された第2のタイプのラベルロール紙31bであり、これを第1ブラックマーク検知センサ37及び第2ブラックマーク検知センサ56で検知する例を示したが、ラベルロール紙31が、ラベル間のラベルギャップにラベルカスがないタイプの第1のタイプのラベルロール紙31aであり、これを第1ラベルギャップ検知センサ36及び第2ラベルギャップ検知センサ55で検知する場合も全く同様に動作するものである。
以上のように、本実施の形態のロール紙プリンタ10によれば、カットタイミング位置までの距離Lcに至るまでの累積画像長を1ページ展開毎に算出し、転写されるラベルがどの搬送負荷条件で2次転写ニップ部に搬送されるかを予め算出し、算出された搬送負荷条件と、合致したラベルピッチ測定値を参照し、画像の空白長Gを制御しているため、カット前後のような、ラベルロール紙31の搬送速度変化が発生しても、画像位置を各ラベル46に対して平均的に合わせ込むことができるため、より高度な位置あわせが実現できる。