以下、気体圧縮機の一実施形態である空気圧縮機について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材等には同一の符号を付している。
図1、図2、図3に示す空気圧縮機10は、金属製のフレーム11と、合成樹脂製または金属製のカバー12と、電動モータ13と、第1圧縮部14及び第2圧縮部15と、制御部16と、2つの空気タンク17,18と、を有する。空気タンク17,18は金属製であり、空気タンク17,18は、フレーム11に取り付けられ、空気タンク17,18は脚部19により支持されている。フレーム11は、電動モータ13、第1圧縮部14、第2圧縮部15を支持している。カバー12は、フレーム11に取り付けられており、カバー12は、電動モータ13、第1圧縮部14及び第2圧縮部15を覆う。
第1圧縮部14及び第2圧縮部15は、所定方向に間隔をおいて配置されている。第1圧縮部14及び第2圧縮部15の配置方向で、フレーム11の両端にグリップ101,102が固定されている。空気圧縮機10は可搬式であり、作業者はグリップ101,102を両手で掴んで空気圧縮機10を持ち上げ、かつ、作業場所に移動することができる。
クランクケース20がフレーム11に固定されている。回転軸21がクランクケース20の内部から外部に亘って配置されている。クランクケース20は、軸受22を介して回転軸21を回転可能に支持している。回転軸21は軸線A1を中心として回転可能である。
電動モータ13は、固定子23及び回転子24を有する。固定子23はクランクケース20に対して回転しないように設けられている。回転子24は、回転軸21に取り付けられている。電動モータ13が3相交流型のブラシレスモータである例を説明する。回転子24には、回転方向に沿って永久磁石25が複数取り付けられている。また、固定子23は、図4のように3相、具体的には、U相に対応するコイルU1、V相に対応するコイルV1、及びW相に対応するコイルW1を有する。
第1ファン26及び第2ファン27が回転軸21に取り付けられている。第1ファン26及び第2ファン27はカバー12内に設けられている。クランクケース20及び電動モータ13は、軸線A1に沿った方向で第1ファン26と第2ファン27との間に配置されている。カバー12は通気口107を有し、カバー12の内部とカバー12の外部とが通気口107を介してつながっている。
第1圧縮部14は、回転軸21に取り付けられた第1クランクアーム、第1クランクアームに取り付けられた第1コネクティングロッド、第1コネクティングロッドに取り付けられた第1ピストン、第1ピストンが収容された第1シリンダ28、第1圧縮室を形成する第1シリンダヘッド29、を有する。第2圧縮部15は、回転軸21に取り付けられた第2クランクアーム、第2クランクアームに取り付けられた第2コネクティングロッド、第2コネクティングロッドに取り付けられた第2ピストン、第2ピストンが収容された第2シリンダ30、第2圧縮室を形成する第2シリンダヘッド31を有する。
第1圧縮室と第2圧縮室とを接続する接続管32、第2圧縮室と空気タンク18とを接続する接続管33、空気タンク17と空気タンク18とを接続する接続管34が設けられている。2つの空気タンク17,18内の空気圧は同じである。空気タンク17,18内の圧力を検出して信号を出力する圧力センサ35が設けられている。
空気タンク17に高圧調整バルブ36が接続されている。高圧調整バルブ36に供給管37が接続されている。高圧調整バルブ36は、空気タンク17の空気の圧力を調整、具体的には、減圧して供給管37に吐出する。以下、高圧調整バルブ36の吐出圧力を第1吐出圧力と記載する。高圧調整バルブ36は、バルブボディ38と、バルブボディ38内に設けた第1ポートと、バルブボディ38内に設けられ、かつ、第1ポートを開閉する第1弁体と、第1弁体を弾性体を介して支持し、かつ、回転可能な第1スリーブと、第1スリーブに固定された第1ノブ39及び第1ギヤ40と、を有する。第1スリーブはバルブボディ38に対してねじ機構を介して回転可能に取り付けられている。作業者は第1ノブ39を操作、つまり、回転させて第1ポートの開度を変更可能である。第1ノブ39、第1ギヤ40及び第1スリーブは、一体で回転及び停止する。
また、高圧調整バルブ36の第1吐出圧力を自動的に制御する第1駆動モータ41が設けられている。第1駆動モータ41は、高圧調整バルブ36を制御するアクチュエータである。第1駆動モータ41は、回転子42及び固定子43を有する。固定子43は回転しないように設けられている。第1駆動モータ41が3相交流型のブラシレスモータである例を説明する。回転子42には、回転方向に沿って永久磁石44が複数固定されている。また、回転子42は、3相、具体的には、U相に対応するコイルU2、V相に対応するコイルV2、及びW相に対応するコイルW2を有する。
第1駆動モータ41は、回転子42の回転方向を第1方向と、第1方向とは逆の第2方向とに切り替え可能である。回転子42にギヤ45が連結され、ギヤ45は第1ギヤ40に噛み合っている。第1駆動モータ41の回転子42が回転すると、高圧調整バルブ36の第1ポートの開度が変更される。
また、供給管37内の空気圧を表示する圧力計46が設けられている。圧力計46は、ブルドン管圧力計、隔膜式圧力計等、公知のものである。圧力計46は、目盛、指針を有し、空気圧に応じて指針が作動する構造である。作業者は圧力計46を目視して空気圧を認識する。圧力計46は、空気圧に応じた信号を外部に出力する機能を備えていない。2個のカプラ47が供給管37に取り付けられている。作業機のエアホースは、2個のカプラ47のそれぞれに対して、別々に接続及び取り外し可能である。
空気タンク18に一般圧調整バルブ48が接続されている。一般圧調整バルブ48に供給管49が接続されている。一般圧調整バルブ48は空気タンク18の空気の圧力を調整、具体的には減圧して供給管49に吐出する。以下、一般圧調整バルブ48の吐出圧力を第2吐出圧力と記載する。
一般圧調整バルブ48は、バルブボディ50と、バルブボディ50内に設けた第2ポートと、バルブボディ50内に設けられ、かつ、第2ポートを開閉する第2弁体と、第2弁体を弾性体を介して支持し、かつ、回転可能な第2スリーブと、第2スリーブに固定された第2ノブ51及び第2ギヤ52と、を有する。第2スリーブはバルブボディ50に対してねじ機構を介して回転可能に取り付けられている。作業者は第2ノブ51を操作して第2ポートの開度を変更可能である。第2ノブ51、第2ギヤ52及び第2スリーブは、一体で回転及び停止する。
また、一般圧調整バルブ48の第2吐出圧力を自動的に制御する第2駆動モータ53が設けられている。第2駆動モータ53は、一般圧調整バルブ48を制御するアクチュエータである。第2駆動モータ53は、固定子54及び回転子55を有する。固定子54は回転しないように設けられている。第2駆動モータ53は、3相交流型のブラシレスモータであるものとする。回転子55には、回転方向に沿って永久磁石56が固定されている。また、固定子54は、3相、具体的には、U相に対応するコイルU3、V相に対応するコイルV3、及びW相に対応するコイルW3を有する。第2駆動モータ53は、回転子55の回転方向を第1方向と、第1方向とは逆の第2方向と、に切り替え可能である。回転子55にギヤ57が連結され、ギヤ57は第2ギヤ52に噛み合っている。第2駆動モータ53の回転子55が回転すると、一般圧調整バルブ48の第2ポートの開度が調整される。
また、供給管49内の空気圧を表示する圧力計58が設けられている。圧力計58は、圧力計46と同様に構成されている。2個のカプラ59が供給管49に取り付けられている。作業機のエアホースは、2個のカプラ59に対して、それぞれ別々に接続及び取り外し可能である。
空気圧縮機10の制御回路を、図4を参照して説明する。電動モータ13、第1駆動モータ41及び第2駆動モータ53は、交流電源60の電気エネルギで駆動する。空気圧縮機10は電源スイッチ61を有する。電源スイッチ61は、例えばカバー12から露出して設けられている。作業者が電源スイッチ61を操作してオン及びオフする。電源スイッチ61がオンされると、交流電源60は、第1駆動モータ41及び第2駆動モータ53に接続可能である。電源スイッチ61がオフされると、交流電源60は、第1駆動モータ41及び第2駆動モータ53から遮断される。
位相検出センサ62が設けられている。位相検出センサ62はホールIC等で構成され、位相検出センサ62は、回転子24に取り付けられた永久磁石25の磁界の強度に応じた信号を出力する。制御部16は、位相検出センサ62の信号を処理する回転子位置検出回路63、モータ回転数検出回路64を有する。回転子位置検出回路63は、回転子24の回転方向における位置を検出する。モータ回転数検出回路64は、回転子24の単位時間当たりにおける回転数を検出する。
制御部16は、更にコントローラ65を有する。コントローラ65は、入力インタフェース、出力インタフェース、中央演算処理部、記憶部、無線通信部66等を有するマイクロコンピュータである。コントローラ65は、回転子位置検出回路63から出力される信号、モータ回転数検出回路64から出力された信号を処理する。
制御部16は、インバータ回路67を有する。インバータ回路67は、電動モータ13に供給する駆動電流を制御する。インバータ回路67は、複数のスイッチング素子67Aを有し、複数のスイッチング素子67Aはそれぞれ単独でオンオフが可能である。コントローラ65は制御信号出力回路71を制御し、制御信号出力回路71はインバータ回路67を制御する。
インバータ回路67には、商用交流電源の交流電流を直流電流に整流するための整流回路68と、整流された直流電流の電圧を昇圧してインバータ回路67に供給するための力率改善回路69と、を介して電力が供給される。なお、商用交流電源と整流回路68との間には、インバータ回路67で生じたノイズを商用交流電源に伝えないようにするために、雑音対策回路70が設けられている。
制御部16は、更にモータ電流検出回路72及び電源スイッチ検出回路73を有する。モータ電流検出回路72は、電動モータ13に供給される電流を検出し、モータ電流検出回路72から出力された信号は、コントローラ65に入力される。電源スイッチ検出回路73は、電源スイッチ61のオン及びオフ検出して信号を出力し、電源スイッチ検出回路73から出力された信号は、コントローラ65に入力される。さらに、商用交流電源と制御部16とを接続する電力ケーブル97が設けられている。
制御部16は、インバータ回路84,85、インバータ駆動IC86,87を有する。インバータ回路84は第1駆動モータ41に供給する駆動電流を制御する。インバータ回路84は、複数のスイッチング素子84Aを有し、複数のスイッチング素子84Aはそれぞれ単独でオンオフが可能である。
インバータ回路85は第2駆動モータ53に供給する駆動電流を制御する。インバータ回路85は、複数のスイッチング素子85Aを有し、複数のスイッチング素子85Aはそれぞれ単独でオンオフが可能である。制御部16は制御基板100を有し、コントローラ65、制御信号出力回路71、インバータ駆動IC86,87は、制御基板100に設けられている。インバータ駆動IC86,87は、入出力インタフェース、演算処理部、記憶部を有するマイクロコンピュータである。
さらに、回転子位置検出センサ88,89が設けられている。回転子位置検出センサ88は永久磁石44の磁界の強度に応じた信号を出力する。インバータ駆動IC86は、回転子位置検出センサ88の信号を処理して、回転子42の回転方向の位置及び回転数を検出する。回転子位置検出センサ89は永久磁石56の磁界の強度に応じた信号を出力する。インバータ駆動IC87は、回転子位置検出センサ89の信号を処理して、回転子55の回転方向の位置及び回転数を検出する。
コントローラ65はインバータ駆動IC86を制御し、インバータ駆動IC86はインバータ回路84を制御する。コントローラ65はインバータ駆動IC87を制御し、インバータ駆動IC87はインバータ回路85を制御する。電力ケーブル97を商用交流電源に接続すると、インバータ回路84,85は、ACアダプタ96を介して商用交流電源に接続される。
空気圧縮機10のカバー12に図示しない圧力調整スイッチを設け、作業者が圧力調整スイッチを操作することで、制御部16を介し、第1駆動モータ41、第2駆動モータ53の回転量を間接的に操作可能としてもよい。
また、図6に示す携帯端末74が設けられている。携帯端末74は、無線通信部66との間で、互いに信号の受信及び送信が可能である。携帯端末74は、インターネット、イントラネット等のネットワークに接続可能である。携帯端末74は、被接続機器とピア・ツー・ピア接続が可能である。被接続機器は、空気圧縮機10等を含む。携帯端末74は、電話やデータ通信機能を備えた、いわゆる“スマートフォン”や“タブレット”を含む。作業者は、携帯端末74を操作して、高圧調整バルブ36及び一般圧調整バルブ48を遠隔操作できる。
携帯端末74がスマートフォンである場合を例として説明する。以下、携帯端末74をスマートフォン74と記載する。スマートフォン74は、マイクロコンピュータ105、通信部106、画面75を有する。マイクロコンピュータ105は、中央演算処理部、記憶部等を有する。スマートフォン74は、高圧調整バルブ36及び一般圧調整バルブ48を制御するために、専用のアプリケーションがダウンロードされている。スマートフォン74は、カメラ機能、各種のコードを光電的に読み取る機能を備えている。各種のコードは、バーコード、マトリックス型二次元コードを含む。また、スマートフォン74は、ICタグ、例えば、RFID(Radio frequency identification)タグから発信される電波を受信する機能を有する。
作業者がスマートフォン74を操作してアプリケーションを起動すると、スマートフォン74の画面75には、選択ボタン77、撮影ボタン78、コード読み取りボタン79、タンク圧表示部80、高圧表示部81、一般圧表示部82、送信ボタン83、着脱ボタン103が表示される。スマートフォン74における画面75の反対側に撮像部104が設けられている。
作業者は、選択ボタン77を操作して、複数種類の作業機76の何れかを選択することができる。作業者は、撮影ボタン78を操作し、撮像部104で作業機76の形状を撮影することができる。作業者は、コード読み取りボタン79を操作して、各種のコードを撮像部104で読み取ることができる。タンク圧表示部80は、空気タンク17,18内の空気圧を表示する。高圧表示部81は、高圧調整バルブ36の吐出圧力の設定範囲を表示する。一般圧表示部82は、一般圧調整バルブ48の吐出圧力の設定範囲を表示する。一般圧調整バルブ48の吐出圧力の表示範囲と、高圧調整バルブ36の吐出圧力の表示範囲とは相違する。着脱ボタン103は、高圧調整バルブ36及び一般圧調整バルブ48の吐出圧力を0Mpaにする場合に、作業者が操作する。撮像部104で認識した作業機76の形状、各種のコード、選択ボタン77の操作により選択された作業機76の種類等の信号は、マイクロコンピュータ105に送られる。
そして、マイクロコンピュータ105は、入力される信号及び記憶部に記憶されている情報に基づいて、作業機76の種類毎に異なる吐出圧力を設定する。作業機76の種類が異なると、作業機76における空気の使用圧力が異なる。マイクロコンピュータ105は、選択された作業機76における空気の使用圧力に応じて、高圧調整バルブ36の第1吐出圧力及び一般圧調整バルブ48の第2吐出圧力を設定する。例えば、第1吐出圧力は1.0Mpa〜2.5Mpaの範囲で設定され、第2吐出圧力は0.5Mpa〜1.5Mpaの範囲で設定される。第1吐出圧力の設定範囲は、第2吐出圧力の設定範囲よりも高圧である。また、第1吐出圧力の設定範囲は、第2目標圧力よりも低圧である。
さらに、制御部16は、選択された作業機76における空気の使用圧力に応じて、第1目標圧力及び第2目標圧力を変更することで、空気タンク17,18に貯留される圧縮空気の圧力を変更できる。
高圧表示部81は、設定された第1吐出圧力を表示し、一般圧表示部82は、設定された第2吐出圧力を表示する。なお、マイクロコンピュータ105は、着脱ボタン103が操作されると、第1吐出圧力及び第2吐出圧力を、共に0Mpaに設定する。作業者が送信ボタン83を操作すると、スマートフォン74は、設定した吐出圧力を制御部16に送信する。
作業機76は、作業場所において、作業者が手で持ち上げて使用する可搬式のものである。作業機76は、ハウジング90と、ハウジング90に形成した空気圧室91と、ハウジング90に連続するグリップ92と、空気圧室91の空気圧で移動する打撃子93と、ハウジング90に取り付けたノーズ部99と、を有する。マガジン94がノーズ部99に取り付けられ、マガジン94は複数の止具98を収容する。止具98はマガジン94からノーズ部99に供給される。
エアホース95は、グリップ92に対して接続及び取り外し可能である。エアホース95はカプラ47またはカプラ59に対して接続及び取り外し可能である。カプラ47は第1バルブを有し、エアホース95がカプラ47に接続されると第1バルブを開き、エアホース95がカプラ47から取り外されると、第1バルブを閉じる。
カプラ59は第2バルブを有し、エアホース95がカプラ59に接続されると第2バルブが開き、エアホース95がカプラ59から取り外されると、第2バルブが閉じられる。マガジン94からハウジング90に止具98が供給され、かつ、打撃子93が移動して止具98を対象物に打ち込む。
作業機76の種類は、止具98の打ち込み条件、例えば、止具98の長さ、止具98の太さ等を含む。止具98の打ち込み条件が異なると、作業機76で止具98を打ち込む際に、作業機76における空気の使用圧力が異なる。作業機76のグリップ92には、作業機76の種類を示すICタグ108が取り付けられている。ICタグには、各種のコード、例えば、バーコード、マトリックス型二次元コードが付与されている。
次に、空気圧縮機10の使用例を説明する。作業者が電源スイッチ61をオンすると、制御部16に電圧が印加されて空気圧縮機10の制御システムが起動する。制御部16はインバータ回路67を制御し、交流電源60の電圧が電動モータ13の固定子23に印加される。固定子23で磁気的吸引力、つまり、回転磁界が形成され、回転子24が回転する。
電動モータ13の回転子24及び回転軸21が一体回転すると、回転軸21のトルクで、第1ピストン及び第2ピストンが往復動する。このため、第1圧縮部14において空気の吸入及び圧縮が行われ、第1圧縮部14から吐出された空気は、接続管32を通り第2圧縮部15に送られる。第2圧縮部15では更に空気が圧縮され、第2圧縮部15から吐出された空気は、接続管33を介して空気タンク17,18に送られる。
空気タンク17,18内の空気は、高圧調整バルブ36により減圧されて供給管37に送られるか、または一般圧調整バルブ48により減圧されて供給管49に送られる。カプラ47にエアホース95が接続されていると、空気タンク17,18内の空気は、高圧調整バルブ36で減圧された後、供給管37、エアホース95を介して作業機76に送られる。カプラ59にエアホース95が接続されていると、空気タンク17,18内の空気は、一般圧調整バルブ48で減圧された後、供給管49、エアホース95を介して作業機76に送られる。
制御部16は、圧力センサ35の信号を処理して空気タンク17,18内の空気圧を検出し、記憶部に記憶されているデータに基づいて、電動モータ13の回転、停止、回転数及びトルクを制御する。制御部16は、電源スイッチ61がオンされていると、空気タンク17,18内の空気圧が、第1目標圧力まで上昇するように電動モータ13の回転数、トルクを制御する。制御部16は、空気タンク17,18内の空気圧が第1目標圧力になると、電動モータ13を停止する。
また、制御部16は圧力センサ35の信号の変動を監視し、空気タンク17,18内の空気圧変動が大きい場合は、作業機76がエアダスタ等の多量の圧縮空気を使用するモードであると判断する。エアダスタとは、作業機76の空気排出孔から空気を排出し、作業個所の塵埃を吹き飛ばすことである。制御部16は、作業機76の各モードに合わせた排出圧力となるよう、第1駆動モータ41や第2駆動モータ53を制御可能である。
作業機76が止具98を打ち込む動作を繰り返し、空気タンク17,18の空気圧が第1目標圧力から第2目標圧力まで低下すると、制御部16は、停止している電動モータ13を回転させる。第2目標圧力は、第1目標圧力よりも低い。
また、第1ファン26及び第2ファン27が回転軸21と共に回転すると、カバー12の外部の空気が、通気口107を介してカバー12の内部に吸入される。そして、カバー12内で空気の流れが形成され、電動モータ13、第1圧縮部14及び第2圧縮部15の温度上昇を抑制できる。カバー12の内部に進入した空気は、カバー12の通気口107からカバー12の外部に排出される。なお、電源スイッチ61がオフされると、制御部16に電圧が印加されなくなり、空気圧縮機10の制御システムの機能が停止する。
作業者が、電源スイッチ61がオフされている状態で第1ノブ39に操作力を加え、高圧調整バルブ36の第1吐出圧力を調整可能である。つまり、空気タンク17,18から高圧調整バルブ36を介して供給管37に送る空気の圧力を調整できる。また、電源スイッチ61がオフされている状態で第2ノブ51に操作力を加え、一般圧調整バルブ48の第2吐出圧力を調整可能である。つまり、空気タンク17,18から一般圧調整バルブ48を介して供給管49に送る空気の圧力を調整できる。
このように、電源スイッチ61がオフされている状態においても、空気タンク17,18内の空気圧が、作業機76における空気の使用圧力以上であれば、空気タンク17,18の圧縮空気を、高圧調整バルブ36または一般圧調整バルブ48で減圧して作業機76に送り、作業機76を使用することが可能である。
次に、制御部16が高圧調整バルブ36または一般圧調整バルブ48を制御する例を、図7のフローチャートを参照して説明する。ここでは、制御部16が高圧調整バルブ36を制御する例を説明する。電源スイッチ61がオフされている状態で、作業者が作業機76を使用した後、ステップS1で電源スイッチ61がオフからオンに切り替えられると、空気圧縮機10の制御システムが起動する。制御部16は、ステップS2で高圧調整バルブ36の第1吐出圧力が低くなるように、第1駆動モータ41の回転方向を第1方向に設定する。また、制御部16は、ステップS3でインバータ駆動IC86に対する通電を開始する。
制御部16は、ステップS3に次ぐステップS4において、第1駆動モータ41が第1方向に回転を開始しているか否かを判断する。制御部16は、ステップS4でYesと判断するとステップS5に進み、第1駆動モータ41が第1方向に回転を開始した時点からの第1駆動モータ41の回転回数をカウントする。
制御部16は、ステップS5に次ぐステップS6において、第1駆動モータ41がロックしたか否か、つまり、高圧調整バルブ36が全閉になったか否かを検出する。制御部16は、ステップS6でYesと判断するとステップS7に進み、第1駆動モータ41を停止し、かつ、カウントした第1駆動モータ41の回転回数を記憶部に保存する。
制御部16は、ステップS8において、高圧調整バルブ36の吐出圧力を上昇させるように、第1駆動モータ41の回転方向を第2方向に設定する。制御部16は、ステップS9において、インバータ駆動IC86に通電を開始する。制御部16は、ステップS10において、第1駆動モータ41が第2方向に回転しているか否かを検出する。制御部16は、ステップS10でYesと判断するとステップS11に進み、第1駆動モータ41が第2方向に回転を開始した時点からの第1駆動モータ41の回転回数をカウントする。
制御部16は、ステップS11に次ぐステップS12において、ステップS11でカウントした第1駆動モータ41の回転回数が、ステップS7で保存した第1駆動モータ41の回転回数と一致するか否かを判断する。ステップS12の趣旨は、高圧調整バルブ36の開度が、全閉にする前の開度に戻ったか否かを判断している。言い換えれば、高圧調整バルブ36の第1吐出圧力が、低下前の値に戻ったか否かを判断している。
制御部16は、ステップS12でYesと判断するとステップS13に進み、第1駆動モータ41を停止する。また、制御部16は、ステップS13において、ステップS12でYesと判断された時点でカウントした第1駆動モータ41の回転回数に応じた高圧調整バルブ36の開度を、現在における高圧調整バルブ36の開度として記憶部に保存する。
制御部16は、ステップS13に次いでステップS14に進むと、通常待機状態を保持し、図7の制御ルーチンを終了する。ここで、通常待機状態とは、スマートフォン74から制御部16に信号が入力されれば、その信号に基づいて高圧調整バルブ36を制御可能な状態を意味する。
制御部16は、ステップS6でNoと判断するとステップS15に進み、第1駆動モータ41が回転を開始した時点から、1分以内に第1駆動モータ41が停止したか否かを判断する。制御部16はステップS15でYesと判断すると、ステップS7に進む。
制御部16は、ステップS4、ステップS10、ステップS12、ステップS15の何れかでNoと判断すると、ステップS16に進んでエラー停止処理、つまり、スマートフォン74から送られる信号に基づいて、第1駆動モータ41を制御することを停止し、図7の制御ルーチンを終了する。
制御部16は、高圧調整バルブ36の第1吐出圧力が高くなるように、第1駆動モータ41の回転方向を第1方向に設定し、高圧調整バルブ36の吐出圧力を低下させるように、第1駆動モータ41の回転方向を第2方向に設定してもよい。この場合、高圧調整バルブ36のロック位置は、高圧調整バルブ36が全開の位置、もしくは、高圧調整バルブ36の排出圧力が予め規定された位置とする。
制御部16が一般圧調整バルブ48を制御する場合、図7のフローチャートの説明のうち、第1駆動モータ41を第2駆動モータ53と読み替え、高圧調整バルブ36を一般圧調整バルブ48と読み替え、インバータ駆動IC86をインバータ駆動IC87と読み替え、第1吐出圧力を第2吐出圧力と読み替え、第1ノブ39を第2ノブ51と読み替える。
このように、空気圧縮機10は第1調整作業及び第2調整作業を共に達成できる。第1調整作業は、電源スイッチ61のオフ状態で、作業者が第1ノブ39または第2ノブ51を手動で操作して高圧調整バルブ36または一般圧調整バルブ48の吐出圧力を調整することである。第2作業は、電源スイッチ61のオン状態で、作業者がスマートフォン74を操作して、高圧調整バルブ36または一般圧調整バルブ48の吐出圧力を遠隔操作することである。
可搬式の空気圧縮機10は、建築現場に持ち込んで使用されることが比較的多い。空気圧縮機10を建築物の下層階、または、地上に仮設した電源の近傍に置き、建築物の上層階で作業機76を使用することができる。この場合、作業者が実際に作業機76を使用する場所から、数メートル〜数十メートル離れた場所に空気圧縮機10を設置することとなる。空気圧縮機10から作業機76に送られる空気の吐出圧力は、作業機76で止具98を打ち込む条件によって、変更する必要がある。空気圧縮機10を用いると、作業者は現場での作業を中断せず、スマートフォン74を使用して、高圧調整バルブ36及び一般圧調整バルブ48の吐出圧力を遠隔操作で制御することができ、作業性が向上する。
また、選択された作業機76の使用圧力に応じて、第1目標圧力及び第2目標圧量を変更することで、適切な圧力の圧縮空気が空気タンク17,18に貯留される。このため、空気タンク17,18は、必要以上の圧力を常に貯留する必要がなく、空気圧縮機10の圧力補充回数が抑えられ、空気圧縮機10の消費電力が抑えられる。空気圧縮機10の圧力補充回数が抑えられるため、空気圧縮機10の稼働回数が削減でき、空気圧縮機10を長寿命化や低消費電力化を実現できる。
さらに、制御部16は、着脱ボタン103が操作された信号を受信すると、高圧調整バルブ36及び一般圧調整バルブ48の吐出圧力が、共に0Mpaとなるように、インバータ駆動IC86及びインバータ駆動IC87を制御する。つまり、高圧調整バルブ36が全閉になり、かつ、一般圧調整バルブ48が全閉になる。
その後、エアホース95が作業機76から取り外されるか、または、エアホース95がカプラ47またはカプラ59から取り外されたとしても、エアホース95内、または供給管37,49内から大気中に排出される空気圧を低減できる。したがって、空気の排出音が大きくなることを抑制できる。さらに、エアホース95をカプラ47またはカプラ59に接続する場合、または、エアホース95を作業機76に接続する際に、接続に必要な操作力を低減できる。したがって、作業性が向上する。
実施形態に記載した事項の意味を説明すると、第1圧縮部14及び第2圧縮部15は、圧縮部に相当し、高圧調整バルブ36及び一般圧調整バルブ48は、調圧器及び調圧弁に相当し、空気圧縮機10は気体圧縮機に相当する。また、第1ノブ39及び第2ノブ51は操作部に相当し、第1駆動モータ41及び第2駆動モータ53は、アクチュエータ及び電動モータに相当し、制御部16は検出部に相当し、スマートフォン74は、携帯端末に相当する。
気体圧縮機は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、圧縮する気体は、空気、不活性ガスを含む。不活性ガスは、窒素ガス、希ガスを含む。希ガスは、アルゴンガス、ヘリウムガスを含む。圧縮部は、単数または複数の何れでもよい。また、圧縮部で圧縮された気体を蓄えるタンクは、単数または複数の何れでもよい。また、圧縮部で圧縮された気体を、空気のタンクを介することなく、エアホースまたは配管を介して作業機に送る構成としてもよい。さらに、気体圧縮機は、作動部材が往復動して空気を圧縮するレシプロ形の気体圧縮機の他、作動部材が回転し、かつ、往復動作せずに空気を圧縮する回転子形の気体圧縮機を含む。
また、作業機は、空気圧により打撃子を動作させて、止具を対象物に打ち込む打込機、空気圧モータにより工具を往復動作させて対象物を切断する切断機、空気圧モータにより工具を回転させる切削機を含む。
さらに、作業機の使用圧力に応じた吐出圧力の設定は、携帯端末で設定する第1の構成、または、制御部で設定する第2の構成の何れか一方の構成でもよいし、第1の構成及び第2の構成の両方であってもよい。圧縮部は、複数でもよいし単数でもよい。操作部は、作業者の操作力が入力される要素であり、操作部は、回転するノブ、所定の範囲内で作動するレバーを含む。操作部は複数でもよいし単数でもよい。また、アクチュエータは、調圧器を作動させる動力源であり、電動モータの他、油圧モータ、空気圧モータ、ソレノイド等、任意の構成が採用可能であり、また、これらを組み合わせた構造とすることを含む。
制御部及び検出部は、電気部品または電子部品の単体でもよいし、複数の電気部品または複数の電子部品を有するユニットでもよい。電気部品または電子部品は、プロセッサ、制御回路及びモジュールを含む。携帯端末は、カバー等の空気圧縮機本体部に対して着脱可能な構成でもよく、無線接続に代えて、あるいは併用して有線接続の構成としてもよい。この場合は、携帯端末をカバー等に対して装着した場合に有線接続とし、携帯端末をカバー等から外した場合に無線接続となるように、切り替える構成としてもよい。
携帯端末を有線接続とした際に、携帯端末への給電や携帯端末の蓄電池への充電を併せて行う構成としてもよい。携帯端末は、電話機能を有するスマートフォンの他、通信機能を有する端末、例えば、タブレット型端末やノート型PC等であってもよい。また、携帯端末は、汎用型の端末だけでなく気体圧縮機専用の遠隔操作機器とすることもできる。
さらに調圧器は、気体の吐出圧力を変更する要素であり、減圧弁の他に増圧弁を含む。増圧弁はピストンを作動させて気体の吐出圧力を上昇させる公知の構造である。つまり、本開示における“調圧器の吐出圧力を変更“は、“調圧器の吐出圧力を低下“と、“調圧器の吐出圧力を上昇“と、を含む。