JP6949350B2 - NOおよびNO−pathway刺激によるエリスロポエチン受容体を標的とした腎性貧血に対する新規治療薬 - Google Patents

NOおよびNO−pathway刺激によるエリスロポエチン受容体を標的とした腎性貧血に対する新規治療薬 Download PDF

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Description

本発明は、硝酸薬、とりわけ硝酸イソソルビドの臨床分野での新規な用途に関する。具体的には、本発明は、硝酸イソソルビド等の硝酸薬を有効成分として含む、腎性貧血の治療薬に関する。
腎性貧血は慢性腎障害(CKD)や心血管疾患(CVD)の発症・進展因子であることが知られている。これらCKDやCVDの共通する危険因子は相互的に作用し、心腎連関(CRS)として注目されてきており、これらの因子の中でも血管内皮障害因子はCRSにおいて重要な因子であることが推察されている(非特許文献1)。アルギニン残基の非対称的なメチル化によって生産されるADMA(asymmetric dimethylarginine)は血管内皮障害因子として知られており、生体内のADMA濃度が上昇すると、血管内皮由来血管弛緩因子である一酸化窒素(NO)の合成酵素(NOS)活性を阻害し、NO産生量を低下させ、血管内皮障害を惹起し、動脈硬化、高血圧、糖尿病を始めとする、心血管疾患や腎疾患など様々な疾患の発症や進展に関わっていることが知られている(非特許文献2)。近年、本発明者らは赤血球中にメチル化タンパク質および遊離型ADMAが豊富に存在するという先行研究をもとに赤血球自身にADMA代謝系全体が存在していることを明らかとし(非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5)、さらに、腎不全モデルマウスを用いて赤血球ADMAの蓄積が体内の貧血対応メカニズムを遺伝子レベルで阻害すること、およびヒト慢性腎障害(CKD)症例において実際に赤血球ADMAが増加することを報告した(特許文献1、図7)。
腎性貧血の治療薬としては、遺伝子組み換え型の人工エリスロポエチン(ESA)が使用されており、他に有効な治療薬は存在しない。しかしながら、ESA治療を行っている患者には、ESAへの抵抗性を示す患者が一定数存在する。ESA抵抗性患者は心血管合併症が有意に多いことが知られている。さらには抵抗性ではない保存期腎不全患者でもESA治療で脳卒中とがんのリスクが上昇することが報告されている(非特許文献6)。これより2010年米国FDAより腎性貧血治療をESAのみで行うことが適切ではないと報告されたが、これらの問題に対応する新規薬剤は存在しない(非特許文献7)。
ESA以外の腎性貧血の治療薬としては、アルギニンを有効成分とするもの(特許文献2、特許文献3)、エリスロポエチン産生促進剤を腎性貧血の治療薬とするもの(特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11)、鹿茸より抽出される分画エキスを有効成分として含有するもの(特許文献12)、骨髄赤血球前駆細胞の分化促進剤としてアラニン、セリン、グルタミン、チロシンおよびアスパラギンからなる群から選ばれる少なくとも1種を有効成分として含有するもの(特許文献13)、およびイミダゾロン誘導体を有効成分として含有するもの(特許文献14)が開発されてきている。しかしながら、いずれも腎性貧血とNOとの相関については教示していない。
硝酸薬はNO供与体として働く。硝酸薬は、ニトログリセリン、硝酸イソソルビド等、構造的にR-NO2と表現できるものであり、最終的にNOを遊離して効果を発揮する。硝酸薬がNOを遊離するまでの機序は以下のとおりである。血液中に入ったR-NO2は、血液中または血管内皮細胞内において(1)酵素が関与した反応(アルデヒドデヒドロゲナーゼなどが関与)または(2)生体内の還元物質との反応(チオール基をもつ物質などが関与)により、R-SNO(ニトロソチオール)の形となって血管内皮細胞から平滑筋細胞に移行し、NOを放出して、作用を発揮する。
硝酸薬は心臓のまわりの冠動脈を広げ血流量を増やし、心臓に酸素などを補給することで、全身の血管抵抗を減らして心臓の負担を軽くする薬であり、血管が狭くなることで心臓の筋肉に十分な酸素などが届かなくなっている狭心症に有効であることが知られている。
一酸化窒素(NO)は血管の恒常性の維持に重要な役割を担い、この破綻が動脈硬化症の進展に深く関与していることが広く知られている。NOはL-arginineを基質としてNOSより産生される。NO産生不全や生物学的活性低下の原因として、NOの基質であるL-arginineの欠乏、NOSの発現低下、NOSの二量体の保持に必須である補酵素tetrahydrobioptein(BH4)の欠乏(この補酵素の欠乏によりNOSアンカップリングが生じ、NOSよりNOではなく活性酸素種(reactive oxygen species:ROS)が産生される)、ROSによるNOの不活性化、強力なラジカルであるパーオキシナイトライト(ONOO-)の生成、ADMAなどのメチル化アルギニンによる競合阻害などが挙げられる。NOは、血管平滑筋細胞ではなく、血管内皮細胞で産生される。
血管平滑筋におけるNOの作用は、(1)グアニル酸シクラーゼの活性化、および(2)Ca依存性Kチャネルの直接的開放である。(1)の経路は、(a)グアニル酸シクラーゼの活性化(ヘム部分に結合)によりGTPからcGMPが生成、(b)cGMPがミオシン軽鎖脱リン酸化酵素を活性化、(c)ミオシン軽鎖からの脱リン酸、(d)ミオシン−アクチンの架橋形成が弱まる、(e)平滑筋が弛緩、ついで(f)血管拡張のメカニズムによっている。一方、(2)の経路は、(a)Ca依存性Kチャネルの活性化、(b)K+が細胞外に流出、(c)膜の過分極、(d)平滑筋細胞が持つ電位依存性Ca2+チャネル活性が低下、(e)平滑筋の細胞内Ca2+濃度が減少し、筋が弛緩、ついで(f)血管拡張のメカニズムによっている。
これまで、腎性貧血とNOとの相関は確認されておらず、硝酸薬を腎性貧血の治療薬として用いることは知られていなかった。
特開2016-114606 再表2005/089743 再表2006/115274 再表2004/052859 特開2011-037841 特開2011-153105 特開2012-082181 特開2012-144571 再表2013/054755 特開2015-003933 特開2016-040321 特開平07-025774 特開2008-105954 特開2011-231022
Ueda S, et al., The Japan Endocrine Society, 99(10);183-190 Ueda S, et al., J Nephrol., 2010, 23; 377-386 Kang ES, Kimoto M, et al., Free Radic Res, 2001, 35 (6); 693-707 Billecke SS, Kimoto M, et al., Am J Physiol Heart Circ Physiol, 2006, 91; H1788-H1796 Yokoro M, Kimoto M, et al., Biosci Biotechnol Biochem, 2012, 76 (7); 1334-1342. N Eng J Med, 2009; 361: 2019-2032 N Engl J Med, 2010, 362; 189-192
現時点での腎性貧血に対する有効な治療薬はESAのみであり、ESA治療抵抗性患者への投薬や医療費の高騰、患者の身体的負担が問題となっていた。こうした背景から腎性貧血の新規治療薬が望まれていた。
本発明らは、既に腎不全モデルマウスを用いて、赤血球ADMAの蓄積が体内の貧血対応メカニズムを遺伝子レベルで阻害すること、およびヒト慢性腎障害(CKD)症例において実際に赤血球ADMAが増加することを見出した。今回、本発明者らは血管内皮機能においてADMAと対立的に作用する内皮型NO合成酵素(eNOS)によりL-アルギニンを基質として産生される血管拡張因子NOに着目し、腎性貧血との関連を検証した。すなわち、ADMAは前述のように一酸化窒素合成酵素(NOS)によって生産されるNOと競合することから、CKD患者において、ADMAによるNOS阻害の結果、血管内皮機能の制御因子であるNO濃度の低下により腎臓機能不全、さらには腎性貧血を引き起こすことが考えられた。これらを検証するため、5/6に腎摘出した腎不全モデルマウスにNO放出剤である硝酸イソソルビド(商品名:ニトロール)を投与した。その結果、EPO受容体発現が改善し、ESAを投与しなくてもHbが改善し、貧血が解消された。これらより、従来のESA治療によって病態の改善できなかったESA抵抗性患者において、心疾患の治療薬である硝酸薬およびその下流の可溶性グア二ル酸シクラーゼ活性やホスホジエステラーゼ5阻害薬、すなわち、NOおよびNO-pathway刺激によるエリスロポエチン受容体を標的とした新規治療薬が、ESA治療抵抗性患者を含む腎性貧血の治療薬として有用であることを見出した。
すなわち、本発明は、以下を含む。
(1)硝酸薬および薬理学的に許容しうる担体を含む医薬組成物。
(2)硝酸薬が、ニトログリセリン、硝酸イソソルビドおよび一硝酸イソソルビドよりなる群から選ばれる、前記(1)に記載の医薬組成物。
(3)硝酸薬が、硝酸イソソルビドまたは一硝酸イソソルビドである、前記(2)に記載の医薬組成物。
(4)治療学的有効量の硝酸薬を含む、腎性貧血の治療薬。
(5)硝酸薬が、ニトログリセリン、硝酸イソソルビドおよび一硝酸イソソルビドよりなる群から選ばれる、前記(4)に記載の治療薬。
(6)硝酸薬が、硝酸イソソルビドまたは一硝酸イソソルビドである、前記(5)に記載の治療薬。
本発明の治療学的有効量の硝酸薬を含む、腎性貧血の治療薬は、これまで治療手段がなかったESA抵抗性患者の腎性貧血についての新規治療薬となる他、同疾患への治療についてESA抵抗性患者以外にも治療の選択肢として提供できる。患者は身体症状によってそれぞれの副作用を考慮した治療選択が可能となり、患者の経済・身体的負担が解消される。
図1は、CKDモデルマウスにおけるNOドナー投与によって顕著に貧血が改善したことを示す図である。図1中の数字は平均±SDを示す。Mann-Whitney U test, *P<0.05 vs sham, +0.05 vs 5/6Nx 図2は、CKDモデルマウスにおけるNOドナー投与によってヘモグロビン濃度が顕著に改善したことを示す図である。 図3は、CKDモデルマウスにおけるNOドナー投与によって造血組織(脾臓)におけるEpo受容体の遺伝子発現が改善したことを示す図である。 図4は、CKDモデルマウスにおけるNOドナー投与によって造血組織における鉄利用関連遺伝子の発現は変化しなかったことを示す図である。(a)トランスフェリン受容体-1;(b)エリスロフェロン 図5は、CKDモデルマウスにおけるNOドナー投与によって肝臓のヘプシジン発現が有意ではないが1割程度の低下傾向を示したことを示す図である。 図6は、CKDモデルマウスにおけるNOドナー投与による貧血改善が腎臓におけるEpo亢進によるものではないことを示す図である。 図7は、エリスロポエチンシグナルとADMA蓄積によるエリスロポエチン受容体発現阻害を介した赤血球産生障害を示す図である。
本発明者らは、これまで心疾患の治療薬として用いられていた硝酸薬が腎性貧血の治療に有効であることを初めて見出した。腎性貧血とNOとの関連を示した報告は今までにない。
本発明において使用する硝酸薬は、NO供与体として働く。硝酸薬は、ニトログリセリン、硝酸イソソルビド等、構造的にR-NO2と表現できるものであり、最終的にNOを遊離して効果を発揮する。硝酸薬としては、ニトログリセリン(商品名:ニトロペン、ニトロダームTTS、ミオコールスプレー)、硝酸イソソルビド(商品名:ニトロール、フランドル)、一硝酸イソソルビド(商品名:アイトロール)などが挙げられるが、硝酸イソソルビドおよび一硝酸イソソルビドが好ましい。
ニトログリセリンは、肝臓の初回通過効果でほぼ消失するため、経口投与はできない。ニトログリセリン自体の半減期は5分であり、ひとつNO2基がとれた代謝物の半減期は40分である。ニトログリセリンは、舌下で使用するのが基本である。
硝酸イソソルビドは、別名、二硝酸イソソルビドとも呼ばれ、下記式で表される。
Figure 0006949350
硝酸イソソルビドはニトログリセリンよりは半減期が長く、同量であるならば、ニトログリセリンより効果が高い。ただし、肝初回通過効果の影響は強く受けるため、現状、経口投与では使えない。硝酸イソソルビドの半減期は1時間であり、2位のNO2基がとれると、一硝酸イソソルビドになり半減期は2〜4時間に延長する。
一硝酸イソソルビド(Isosorbide Mononitrate;化学名:1,4:3,6-Dianhydro-D-glucitol 5-nitrate)は、下記式で表される。
Figure 0006949350
一硝酸イソソルビドは腸管からの吸収性もよく、肝初回通過効果も受けにくいため、バイオアベイラビリティはほぼ100%である。硝酸薬の中でも、硝酸イソソルビドは錠剤やスプレー、貼付薬(テープ剤)など、多くの製剤が発売されている。一硝酸イソソルビドは、硝酸イソソルビドが代謝されることで生成される物質であり、この代謝物を薬として製剤化したものが一硝酸イソソルビド(商品名:アイトロール)である。一硝酸イソソルビドは、硝酸イソソルビドよりも肝臓での代謝を受けにくい点で優れている。
一硝酸イソソルビドの薬効薬理としては、一般に以下の作用が知られている。
1.血管拡張作用
一硝酸イソソルビドは、ウサギの摘出胸部大動脈および腹部大静脈において用量依存的な血管弛緩作用を示し、血管組織内のcGMP含量を増加させる。このような血管弛緩作用は静脈血管に対して高い選択性を有し、cGMP含量の増加も動脈より静脈において著明である。
2.血行動態に対する作用
(1)一硝酸イソソルビドは、麻酔イヌにおいて静脈血管の拡張作用に起因する静脈還流量の減少により心臓の前負荷を減少させ、また、全末梢血管抵抗の減少により後負荷を減少させる。更に、心筋収縮力に対して直接的な影響を与えず、冠血流量を用量依存的に増加させる。
(2)無麻酔イヌに一硝酸イソソルビドを経口投与した場合、用量依存的な脈圧減少作用を示し、生物学的利用率も高い。血漿中一硝酸イソソルビド濃度と脈圧減少作用の間には正の相関がみられる。
本発明の治療薬には、必要に応じさらに、マンニトール、グルコース、乳糖等の糖類、食塩、リン酸ナトリウム等の塩を添加剤として混合することができる。
本発明の医薬組成物の投与方法は、有効成分である硝酸薬の種類に応じた投与方法が採用される。例えば、硝酸薬がニトログリセリンである場合は、舌下投与が好ましい。硝酸薬が硝酸イソソルビドである場合は、経口投与、腹腔内注入、気管内注入、気管支内注入および直接的な気管支内滴注、皮下注入、経皮輸送、動脈内注入、静脈内注入、経鼻投与等が例示される。硝酸薬が一硝酸イソソルビドである場合は、経口投与、腹腔内注入、気管内注入、気管支内注入および直接的な気管支内滴注、皮下注入、経皮輸送、動脈内注入、静脈内注入、経鼻投与等が例示される。非経口投与のための医薬組成物は、一般に許容しうる担体、好ましくは水性担体中に溶解した本発明の硝酸薬の溶液を含む。様々な水性担体を用いることができ、これらはすべて当該技術分野で知られたものであって、例えば、水、緩衝水、食塩水、グリシンなどを用いることができる。これら溶液は滅菌してあり、一般に粒状物質を含まない。これら医薬組成物は、通常のよく知られた滅菌法により滅菌することができる。本発明の組成物は、一般に用いられる添加剤、例えば、安定化剤(アルギニン、ポリソルベート80、マクロゴール4000など)、賦型剤(マンニトール、ソルビトール、スクロース)などを添加し、無菌濾過、分注、凍結乾燥等の処理を行い製剤化され、注射剤としてあるいは経粘膜的に投与(経鼻、経口、舌下)される製剤とすることができる。
本発明において硝酸薬の治療上有効投与量は、被験者の病態の重篤度、年齢、体重等によって変わり、最終的には医師の裁量によって決定されるが、通常、160μg/kg〜160,000μ/kg/日、好ましくは1,600μg/kg〜16,000μg/kg/日の量を単回投与すればよい。当業者であれば、標準的な薬理学的方法を用い、必要な処置レジメを特定の疾患および処置すべき状態の重篤度に応じて決定することができるであろう。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
CKDモデルマウスにおけるNOドナー投与による貧血の改善
ワイルドタイプとしてC57BL6マウスを用い、CKDモデルは5/6腎摘を行い作成した。7週令で半腎摘、8週令でさらに2/6腎摘を行い、5/6腎摘モデルを作成した。このモデルは慢性腎不全モデルとして既に確立しており、12週後にエリスロポエチン抵抗性の腎性貧血を呈する。コントロール食(CE-2)に硝酸イソソルビド(ISDN)を配合し、0.16%NO食を経口投与した。配合剤を摂取ワイルドタイプ+コントロール食、CKDマウス+コントロール食、CKDマウス+NO食を8週令より開始し12週間投与、20週令でBUN、クレアチニン、赤血球数、Hbを比較した。なお当研究中マウスは1日平均3.35g摂取した。
その結果を図1に示す。図1から明らかなように、NOドナーである硝酸イソソルビドの投与により貧血が顕著に改善した。
CKDモデルマウスにおけるNOドナー投与によるヘモグロビン濃度の改善
実施例1と同様のマウスを用い、コントロール食(CE-2)に硝酸イソソルビド(ISDN)を配合し、0.16%NO食を経口投与した。配合剤を摂取ワイルドタイプ+コントロール食、CKDマウス+コントロール食、CKDマウス+NO食を8週令より開始し12週間投与、20週令でヘモグロビン濃度を比較した。なお当研究中マウスは1日平均3.35g摂取した。
その結果を図2に示す。図2から明らかなように、NOドナーである硝酸イソソルビドの投与によりヘモグロビン濃度が顕著に改善した。
CKDモデルマウスにおけるNOドナー投与による造血組織(脾臓)におけるEpo受容体の遺伝子発現の改善
実施例1と同様のマウスを用い、20週令で屠殺し、脾臓、肝臓を−80度で冷凍保存した。RT-PCRは、QuantiTect SYBRGreen PCRキット(Qiagen、Venlo、オランダ)を使用して、供給者の推奨に従って実施した。マウスエリスロポエチン受容体(Epor)、トランスフェリン受容体(Tfrc-1)、エリスロフェロン(Fam132b)およびヘプシジン(Hamp)遺伝子の分析に用いたプライマーおよびプローブは、それぞれMm_Epor_SG、Mm_Tfrc_1_SG、Mm_Fam132b_1_SGおよびMm_Hamp_1であった(Qiagen、Venlo、オランダ)。ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Hprt)(Mm_Hprt_1_SG)を内因性対照として用いた(Qiagen、Venlo、オランダ)。PCRサイクリング条件は以下の通りであった:95℃で15分間の初期変性ステップ、続いて変性(94℃で15秒間)、アニーリング(60℃で30秒間)および伸長(72℃で30秒間)の45サイクル。標的遺伝子mRNAの相対量は、デルタ−デルタCT法によってHprtに正規化し検討した。
その結果を図3に示す。図3から明らかなように、NOドナーである硝酸イソソルビドの投与により造血組織(脾臓)におけるEpo受容体の遺伝子発現が改善した。
CKDモデルマウスにおける造血組織における鉄利用関連遺伝子の発現
実施例1と同様のマウスを用い、20週令で屠殺し、脾臓、肝臓を−80度で冷凍保存した。RT-PCRは、QuantiTect SYBRGreen PCRキット(Qiagen、Venlo、オランダ)を使用して、供給者の推奨に従って実施した。マウスエリスロポエチン受容体(Epor)、トランスフェリン受容体(Tfrc-1)、エリスロフェロン(Fam132b)およびヘプシジン(Hamp)遺伝子の分析に用いたプライマーおよびプローブは、それぞれMm_Epor_SG、Mm_Tfrc_1_SG、Mm_Fam132b_1_SGおよびMm_Hamp_1であった(Qiagen、Venlo、オランダ)。ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Hprt)(Mm_Hprt_1_SG)を内因性対照として用いた(Qiagen、Venlo、オランダ)。PCRサイクリング条件は以下の通りであった:95℃で15分間の初期変性ステップ、続いて変性(94℃で15秒間)、アニーリング(60℃で30秒間)および伸長(72℃で30秒間)の45サイクル。標的遺伝子mRNAの相対量は、デルタ−デルタCT法によってHprtに正規化し検討した。
その結果を図4に示す。図4から明らかなように、NOドナーである硝酸イソソルビドの投与により造血組織における鉄利用関連遺伝子の発現は変化しなかった。図4(a)はトランスフェリン受容体-1、図(b)はエリスロフェロンの結果を示す。
以上より、NOはCKDにおけるEpo受容体低下を有意に改善し、血球新生に繋がるエリスロフェロンの発現を改善した。鉄関連因子はCKDによる炎症の影響を受ける。NOが貧血を改善する機序はEpo受容体発現低下を抑制することが主な作用であることが証明された。もしくは赤血球数、Hbが十分に改善し、生理的なフィードバックにより亢進する必要がないことを意味している。
CKDモデルマウスにおける肝臓のヘプシジン発現
実施例1と同様のマウスを用い、20週令で屠殺し、脾臓、肝臓を−80度で冷凍保存した。RT-PCRは、QuantiTect SYBRGreen PCRキット(Qiagen、Venlo、オランダ)を使用して、供給者の推奨に従って実施した。マウスエリスロポエチン受容体(Epor)、トランスフェリン受容体(Tfrc-1)、エリスロフェロン(Fam132b)およびヘプシジン(Hamp)遺伝子の分析に用いたプライマーおよびプローブは、それぞれMm_Epor_SG、Mm_Tfrc_1_SG、Mm_Fam132b_1_SGおよびMm_Hamp_1であった(Qiagen、Venlo、オランダ)。ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Hprt)(Mm_Hprt_1_SG)を内因性対照として用いた(Qiagen、Venlo、オランダ)。PCRサイクリング条件は以下の通りであった:95℃で15分間の初期変性ステップ、続いて変性(94℃で15秒間)、アニーリング(60℃で30秒間)および伸長(72℃で30秒間)の45サイクル。標的遺伝子mRNAの相対量は、デルタ−デルタCT法によってHprtに正規化し検討した。
その結果を図5に示す。図5から明らかなように、NOドナーである硝酸イソソルビドの投与により肝臓のヘプシジン発現が有意ではないが1割程度の低下傾向を示した。このことは、NOは鉄代謝に関与する肝臓でのヘプシジン発現に対しては影響を及ぼさない、もしくは抗炎症作用を介したヘプシジン抑制効果はないことを意味する。
CKDモデルマウスにおけるNOドナー投与による貧血改善
実施例1と同様のマウスを用い、20週令時にトサツし採血を行った。血漿エリスロポエチン濃度を、市販のEPO ELISA(R&D systems, Minneapolis, MN)を用いて評価した。
その結果を図6に示す。図6から明らかなように、NOドナーである硝酸イソソルビドの投与による貧血改善は腎臓におけるEpo亢進によるものではないことが示された。
本発明の治療学的有効量の硝酸薬を含む、腎性貧血の治療薬は、これまで治療手段がなかったESA抵抗性患者の腎性貧血についての新規治療薬となる他、同疾患への治療についてESA抵抗性患者以外にも治療の選択肢として提供できる。患者は身体症状によってそれぞれの副作用を考慮した治療選択が可能となり、患者の経済・身体的負担が解消される。

Claims (4)

  1. ニトログリセリン、硝酸イソソルビドおよび一硝酸イソソルビドよりなる群から選ばれる硝酸薬および薬理学的に許容しうる担体を含む腎性貧血の治療用医薬組成物
  2. 硝酸薬が、硝酸イソソルビドまたは一硝酸イソソルビドである、請求項に記載の腎性貧血の治療用医薬組成物。
  3. ニトログリセリン、硝酸イソソルビドおよび一硝酸イソソルビドよりなる群から選ばれる治療学的有効量の硝酸薬を含む、腎性貧血の治療薬
  4. 硝酸薬が、硝酸イソソルビドまたは一硝酸イソソルビドである、請求項に記載の治療薬。
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