JP6946914B2 - 電子制御装置 - Google Patents
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Description
図1から図6は第1実施形態の説明図を示している。図1は本実施形態を説明する電気的構成ブロック図を示している。電子制御装置(Electronic Control Unit:以下、ECUと称す)1には、センサ装置2が接続されている。このセンサ装置2は、センサ電源3に固定抵抗4及びサーミスタ5を直列接続した温度センサにより構成されており、温度測定対象の近隣にサーミスタ5が設置されることで当該温度測定対象の温度を測定する。
この固定抵抗4とサーミスタ5との間のノードN1が、ECU1に入力されることで当該ECU1に温度情報が入力されている。ノードN1にはECU1のアナログ入力回路6が接続されており、このアナログ入力回路6の出力はマイコン7の入力ポートIn1に接続されている。
アナログ入力回路6は、入力コンデンサCi及びローパスフィルタ8を備える。入力コンデンサCiは、静電気からECU1の入力を保護するサージ対策用に設けられている。ローパスフィルタ8は、ノードN1に直列に接続される抵抗9とコンデンサ10とをローパス接続して構成され、ローパスフィルタ8の処理後の信号をマイコン7の入力ポートIn1に出力する。
CPU11は内部タイマ(図示せず)を備え、この内部タイマによりA/D変換器14のサンプリングトリガを生成するためのサンプリングトリガ生成部18としての機能を備える。またCPU11はA/Dサンプリング判定部17としての機能も備える。このA/Dサンプリング判定部17は、A/D変換器14によるアナログ信号のA/D変換結果を参照して所定の期待範囲(後述参照)に入っているか否かを判定し、これによりサンプリングトリガ生成部18のトリガのサンプリング間隔が異常であるか否かを判別する異常判別部としての機能を実現するブロックである。
ポートIO1,IO2は、マイコン7が内部から入出力切替可能なポートである。またこれらの抵抗19,20は、時定数調整用の抵抗である。これにより、ポートIO1,IO2の出力ノードとA/D変換器14の入力ノードとの間に、抵抗19又は20とコンデンサ10とによるCRローパスフィルタ回路21が構成されている。
<異常検出処理>
図2はサンプリング間隔の異常検出処理をフローチャートで示している。この異常検出処理では、図2のS1〜S10に示すように、サンプリング値が許容範囲に入っているか否かのサンプリング診断処理をサンプリング診断回数だけ繰り返し、この繰り返し回数のうち正常の戻り値、すなわち正常のサンプリング診断結果、が返ってきた回数が正常判定回数閾値を超えたか否かによりサンプリング間隔が正常か否かを判定している。サンプリング診断回数は、サンプリング診断処理が行われる回数を示す。正常判定回数閾値は、サンプリング診断回数の中でサンプリング異常ではないと判別する正常判定の回数の閾値を示す。
サンプリング診断回数及び正常判定回数閾値は、サンプリング周期と環境温度とに応じて設定される値であり、CPU11は、図2のS1においてサンプリング診断回数及び正常判定回数閾値を設定する。図3はこれらの設定値の例を示している。マイコン7のメモリ15には、図3に示すように、サンプリング周期と環境温度とに応じたサンプリング診断回数及び正常判定回数閾値がテーブルとして記憶されている。ここでは、横方向にサンプリング周期を示し、縦方向に環境温度を示しており、この組み合わせに応じたサンプリング診断回数及び正常判定回数閾値の設定数の一例を示している。
図4は、図2のS4におけるサンプリング診断を詳細に示すフローチャートである。この図4に示すように、CPU11は、S21において戻り値の初期値を正常と設定した後、S22においてポートIO1又はIO2の何れか(例えばIO1とする)を出力設定に変更し、その後、S23においてポートIO1に診断用出力を開始し、S24において診断用のサンプリングを開始する。
例えば、診断入力1の期待値上限Max及び期待値下限Minは、ポートIO1から診断パルス信号を入力ポートIn1に出力したときの上限及び下限を示し、診断入力2の期待値上限Max及び期待値下限Minは、ポートIO2から診断パルス信号を入力ポートIn1に出力したときの上限及び下限を示しているが、これらの値はそれぞれの通電経路の回路に応じて異なる値が設定されている。
例えば、抵抗19の抵抗値が抵抗20の抵抗値よりも大きいときには、抵抗19及びコンデンサ10によるCR回路の時定数が抵抗20及びコンデンサ10によるCR回路の時定数よりも大きくなるため、図5に示すように、診断入力1の期待値上限Max及び期待値下限Minは診断入力2の期待値上限Max及び期待値下限Minに比較して低い値を制限値としている。
図6は、各ポートIO1、IO2から1回サンプリング診断するときの各部電圧等の変化をタイミングチャートで示している。この図6に示すように、通常制御期間T1中には診断用のポートIO1,IO2は、CPU11により入力設定とされることでハイインピーダンス状態とされている。図6中のポートIO1、IO2の×印は、ハイインピーダンス状態を示している。このときセンサ装置2の出力信号は入力ポートIn1に入力されることで、A/D変換器14がサンプリングトリガ生成部18の生成トリガに応じてセンサ装置2の出力値をサンプリングする。ポートIO1,IO2に直列接続された抵抗19及び20の影響を受けることはない。
このときCPU11及びタイマ12は、0Vの一定時間波形と5Vのワンショットパルスの波形を出力し、図4のS23においてポートIO1から出力開始する。図6のポートIO1の制御期間T2参照。
すなわち、この図4に示す流れの場合、期待値上限Max及び期待値下限Minの間の期待範囲に入っているときには初期値の正常のまま保持するが、一回でも期待範囲から外れたときには戻り値を初期値の正常から異常に変更設定する。マイコン7は、図4のS27〜S30の処理を診断パルス信号のワンショットパルスのサンプル数分繰り返し、サンプル数分繰り返したらS31にてサンプリング終了し、S32にてポート出力終了し、設定された戻り値を返す。
なお、この図2においてマイコン7が正常判定回数閾値を1に設定し、サンプリング診断結果のうち少なくとも1回でも正常であると判定したときにはサンプリング間隔を異常ではない、すなわち正常であると判別するようにしても良い。この場合、処理を簡単化できる。
なお、一般に、外部の監視部の故障率はマイコンの故障率に比較して高く、またCR回路の適正判断するときに当該回路構成素子のバラつき及び温度特性の影響を考慮すると、CR回路が本当に適正動作しているか不確実性が大きくなる。このため、例えば特許文献1の技術を適用しても、サンプリング間隔の適正診断を的確に行うことができない。
本実施形態によれば、マイコン7のCPU11は、A/D変換器14の通常動作期間T1を外れた期間中T2、T3に、ワンショットトリガによる診断パルス信号を出力してA/D変換器14の入力部にアナログ信号を入力させ、A/D変換器14がアナログ信号を複数回に分けてサンプリングする度に得るサンプリング値が当該サンプリング毎に定められる所定の期待値上限Maxと期待値下限Minとの間の期待範囲に入っているか否かを判定するサンプリング診断を行い、このサンプリング診断結果に応じてサンプリング間隔が異常であるか否かを判別している。
このような処理を行うことで、サンプリング間隔が正常であると判別できれば、サンプリングトリガ生成部18により生成されるタイマ割込みによるサンプリング間隔が適切であることを保証できる。特に、自動車分野の機能安全規格ISO26262の適用対象となる制御処理にAD変換データを使用する場合であっても、サンプリングトリガ生成部18により生成されるタイマ割込みによるサンプリング間隔が適切であることを保証できる。
マイコン7は、サンプリング診断回数及び正常判定回数閾値を、A/D変換器14の入力経路のバラつき要因となるパラメータに応じて設定しているため、当該パラメータに応じて変更した設定値に応じてサンプリング間隔が異常であるか否かを判別できるようになり、この結果、検出性能を向上することができ、誤検出の可能性を低くできる。また、CRローパスフィルタ回路21の時定数を変更してサンプリング間隔が正常であるか異常であるか判別しているため、正常/異常の判別信頼性をさらに高めることができる。
図7及び図8は第2実施形態の追加説明図を示している。図7は図2に代えて示す異常検出処理の流れをフローチャートで示し、図8は図3に代えてサンプリング診断回数及び異常判定回数閾値の設定方法を示している。第1実施形態の図2の異常検出処理では、正常カウンタと正常判定回数閾値との比較に応じてサンプリング間隔が正常であるか異常であるかを判定したが、第2実施形態の図7の異常検出処理では正常カウンタに代えて異常カウンタを別途設け、異常カウンタと異常判定回数閾値との比較に応じてサンプリング間隔が正常であるか異常であるかを判定する。
また、この図7の処理において、異常判定回数閾値をサンプリング診断回数に等しく設定することで、全サンプリング診断結果が正常でないとサンプリング間隔を異常と判定する、すなわちサンプリング診断結果が1回でも正常でないと判定したときサンプリング間隔を異常と判別するようにしても良い。このような診断処理を行うことで診断を単純化できる。
本実施形態によれば、正常カウンタに代えて異常カウンタを設けても第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
図9は第3実施形態の追加説明図を示している。図9は図2又は図7に代えて示す異常検出処理の流れをフローチャートで示している。第1実施形態の図2の異常検出処理では正常カウンタと正常判定回数閾値との比較に応じて正常であるか異常であるかを判定したが、第3実施形態の図9の異常検出処理では正常カウンタと共に異常カウンタを設け、正常カウンタと異常カウンタとの比較に応じてサンプリング正常であるかサンプリング異常であるかを判別する。
前述実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に示す変形又は拡張が可能である。
ポートIO1,IO2から入力ポートIn1に至るまでの回路をCRローパスフィルタ回路21により構成した形態を示しているが、どのような形態の回路(例えば受動回路)を用いても良い。また、複数の出力ポートIO1,IO2から入力ポートIn1に至るまでの回路として共にCRローパスフィルタ回路21を用いたときに、その時定数は同一であっても異なっていても良い。ワンショットトリガを診断パルス信号とした形態を示したが、例えば図6の期間T2又はT3の間に出力する診断パルス信号はワンパルスではなく複数パルスであっても良い。また、図4のサンプリング診断の判定方法では1つでもサンプリング結果が期待範囲から外れた時点で異常と判定するが、1以上の所定回数まで期待範囲から外れることを許容する構成としても良い。
Claims (7)
- アナログ信号を入力部に入力してA/D変換するA/D変換器(14)を備える電子制御装置(1)であって、
前記A/D変換器の入力部に診断パルス信号を出力する診断パルス信号出力部(22)と、
前記診断パルス信号出力部が、前記A/D変換器の通常動作期間を外れた期間中に、診断パルス信号を出力することで前記A/D変換器の入力部に前記アナログ信号を入力させ、前記A/D変換器が前記アナログ信号を複数回に分けてサンプリングする度に得るサンプリング値が当該サンプリング毎に定められる所定の期待値上限と期待値下限との間の期待範囲に入っているか否かを判定するサンプリング診断を行い、これらのサンプリング診断結果に応じてサンプリング間隔が異常であるか否かを判別する異常判別部(17)と、
を備える電子制御装置。 - 前記異常判別部は、前記サンプリング診断を行う回数を示すサンプリング診断回数、及び、前記サンプリング診断回数の中で前記異常判別部がサンプリング異常ではないと判別する正常判定又はサンプリング異常と判定する異常判定の回数の閾値を示す判定回数閾値、を、前記A/D変換器の入力経路のバラつき要因となるパラメータに応じて設定し、この設定値に応じてサンプリング間隔が異常であるか否かを判別する請求項1記載の電子制御装置。
- 前記異常判別部は、前記サンプリング診断結果が1回でも正常でないと判定したときサンプリング間隔を異常とする請求項1記載の電子制御装置。
- 前記異常判別部は、前記サンプリング診断結果が1回でも正常であると判定したときサンプリング間隔を異常ではないと判別する請求項1記載の電子制御装置。
- 前記異常判別部は、前記サンプリング診断結果が異常でない回数が異常である回数を上回ったときサンプリング間隔を異常ではないと判別する請求項1記載の電子制御装置。
- 前記診断パルス信号出力部の出力ノードと前記A/D変換器の入力ノードとの間に構成されたCRローパスフィルタ回路(21)をさらに備える請求項1から5の何れか一項に記載の電子制御装置。
- 前記異常判別部は、前記CRローパスフィルタ回路の時定数を変更して異常判別する請求項6記載の電子制御装置。
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