JP6946827B2 - 尿素水噴射装置 - Google Patents

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Description

この明細書における開示は、内燃機関の尿素水噴射装置に関する。
ディーゼル機関等の内燃機関の排気管内に、尿素水を噴射弁から噴射することにより、排気を浄化する装置が知られている。このような装置では、尿素水ポンプを正回転させることにより、尿素水タンク内の尿素水を、供給管を通じて、噴射弁に圧送する。
ところで、尿素水は凍結すると体積が増加する。このため、噴射弁内や供給管内において尿素水が凍結すると、噴射弁や供給管の破損等の不具合の原因となり得る。また、このような凍結が問題となり得る寒冷地に限らず、噴射弁内や供給管内の尿素水は、腐食の原因ともなり得る。そこで、内燃機関停止後に、噴射弁及び供給管内の尿素水を、尿素水タンク側に吸い戻すことが行われる。この吸い戻し工程は、例えば、噴射弁を開弁させつつ尿素水ポンプを逆回転させることにより行われる。
尿素水吸い戻し工程後の内燃機関再始動時には、尿素水タンクから尿素水を圧送して噴射弁内に尿素水を充填する。尿素水を充填するためには、噴射弁内の空気を抜く必要がある。そこで、噴射弁を開弁させて噴孔から空気を抜く空打ちを行って、噴射弁内の空気を抜きつつ噴射弁内に尿素水を充填させている(特許文献1参照)。
特許第5653208号公報
噴射弁内に尿素水を充填することが困難な状況が有り得る。例えば、噴射弁の弁体が噴射弁ボディと固着すると、開弁困難となり、空気が抜けにくくなるので、結果として、噴射弁内の空気を抜きつつ噴射弁内に尿素水を充填することが困難となる。
このような固着の原因について本発明者が鋭意研究したところ、内燃機関停止後に尿素水吸い戻し工程を実施しても、噴射弁内の特定領域に尿素水が残留し得ることが一原因であることを見出した。尿素水が残留し得る噴射弁内の特定領域とは、弁体と噴射弁ボディとの摺動部分、この摺動部分より噴孔側に位置する弁体と噴射弁ボディとの隙間、などである。そして、例えば、ディーゼル微粒子捕集フィルタ(以下、DPF)再生中等の内燃機関停止後における高温環境下で、このような特定領域の尿素水の水分が蒸発し、尿素固体物としての結晶化尿素が生成されて、弁体を固着させる場合がある。本発明者の研究によれば、DPF再生温度は例えば650°C以上に達することがあり、DPF再生中に内燃機関を停止すると、噴射弁20の先端温度は、150°C付近まで達する場合がある。
このような尿素固体物は尿素水に溶解するので、この尿素固体物に尿素水を接触させてやれば、固着は解消し得る。しかし、従来の装置では、上記したように、弁体が固着して開弁困難となると、噴射弁内の空気を抜きつつ噴射弁内に尿素水を充填することが困難となる。したがって、噴射弁内の固着領域に尿素水が達するように、噴射弁内に尿素水を充填することが容易ではなかった。
そこで、この明細書における開示の目的の一つは、弁体が固着して開弁困難な場合であっても、噴射弁内に尿素水を容易に充填可能とする、尿素水噴射装置を提供することにある。
上記目的を達成するための第1態様の尿素水噴射装置は、
弁体(50)の開弁時に噴孔(21)と連通する弁内流路(23、24、25、26、27、40,41、51、54)を有し、開弁により内燃機関の排気管(100)内に尿素水を噴孔から噴射する噴射弁(20)と、
噴射弁に接続されて、尿素水タンク(140)内から噴射弁に向けて圧力源(150)によって圧送される尿素水を噴射弁内の弁内流路に供給する供給配管(70)と、
噴射弁に接続されて、圧力源によって尿素水タンク内から供給配管を通じて弁内流路に供給された尿素水を尿素水タンクに導く還流配管(80)と、
還流配管に設けられて、弁内流路に尿素水を充填する尿素水充填時に、尿素水タンクに向かう方向に還流配管を流れる空気を通過させるが、この方向に還流配管を流れる尿素水の通過を制限する流体通過制御機構(90、190、290)と、
を備える。
この構成によれば、尿素水充填時に、圧力源によって尿素水タンク内の尿素水が噴射弁に向けて圧送されると、供給配管及び弁内流路の空気は、圧送された尿素水に押されて、還流配管内を尿素水タンクに向かう方向に移動する。この空気は、流体通過制御機構を通過して、排出される。このようにして噴射弁内の空気が流体通過制御機構から排出されつつ噴射弁内に尿素水が充填されていき、圧送された尿素水が、流体通過制御機構に達する。流体通過制御機構は、尿素水充填時に尿素水タンクに向かって還流配管を流れる尿素水の通過を制限するので、噴射弁に充填された尿素水が流体通過制御機構を通過して尿素水タンク内に排出されることが制限される。
このようにして、尿素水噴射装置は、弁体が固着して開弁困難な場合であっても、噴射弁内に尿素水を容易に充填可能とする。その結果、尿素水結晶により弁体が固着していても、尿素水結晶が充填された尿素水に溶解することにより、固着が解消し得る。
また、上記目的を達成するための第2態様の尿素水噴射装置は、
弁体(50)の開弁時に噴孔(21)と連通する弁内流路(23、24、25、26、27、40,41、51、54)を有し、開弁により内燃機関の排気管(100)内に尿素水を噴孔から噴射する噴射弁(20)と、
噴射弁に接続されて、尿素水タンク(140)内から当該噴射弁に向けて圧力源(150)によって圧送される尿素水を当該噴射弁内の弁内流路に供給する供給配管(70)と、
弁体の閉弁時であっても弁内流路と連通する空気室(390)であって、圧力源によって供給配管を通じて噴射弁に圧送された尿素水の流れ方向において弁内流路よりも下流に位置する空気室(390)を形成する空気室形成部(31、32、34)と、
を備え、
尿素水充填時に圧力源によって噴射弁に向けて圧送される尿素水の規定圧送圧力をKとし、供給配管の容積をVpipeとすると、空気室は、Vpipe・(0.1[MPa]/K[MPa])以上の容積を有する。
この構成によれば、尿素水充填時に、圧力源によって尿素水が噴射弁に向けて規定圧送圧力で圧送されると、供給配管及び弁内流路内の空気は、下流側の空気室に向けて移動しつつ圧縮される。この空気の移動及び圧縮に伴って、供給配管と弁内流路とには、尿素水が流入する。この空気圧縮及び尿素水流入は、圧縮された空気の圧力が規定圧送圧力に等しくなるまで続く。
ここで、空気室は、Vpipe・(0.1[MPa]/K[MPa])以上の容積を有するために、圧縮された空気の圧力が規定圧送圧力に等しくなったときに、供給配管及び弁内流路に、尿素水が充填されることとなる。なお、容積を示す数式は、弁内流路の容積が供給配管の容積よりも小さいこと、及び、尿素水充填前の供給配管、弁内流路及び空気室内の空気圧力である大気圧0.1[MPa]が、尿素水の規定圧送圧力Kよりも小さいこと、を用いて近似した結果のものである。
このようにして、上記尿素水噴射装置は、弁体が固着して開弁困難な場合であっても、噴射弁内の空気を空気室に移動させつつ噴射弁内に尿素水を容易に充填可能にする。そして、尿素水結晶により弁体が固着していた場合、尿素水結晶が充填された尿素水に溶解することにより、固着が解消し得る。
上記目的を達成するための第3態様の尿素水噴射装置は、
弁体の開弁時に噴孔と連通する弁内流路を有し、開弁により内燃機関の排気管内に尿素水を噴孔から噴射する噴射弁と、
噴射弁に接続されて、尿素水タンク内から噴射弁に向けて圧力源によって圧送される尿素水を弁内流路に供給する供給配管と、
噴射弁に接続されて、圧力源によって尿素水タンク内から供給配管を通じて弁内流路に供給された尿素水を当該尿素水タンクに導く還流配管と、
還流配管に設けられた電磁弁であって、閉弁状態のとき、還流配管を流れる空気及び尿素水の通過を阻止し、開弁状態のとき、還流配管を流れる空気及び尿素水を通過させる電磁弁と、
電磁弁の開弁及び閉弁を制御する制御装置であって、弁内流路に尿素水を充填する尿素水充填時に電磁弁を開弁させ、尿素水充填後に電磁弁を閉弁させる制御装置と、
を備える。
なお、上記括弧内の参照番号は、理解を容易にすべく、後述する実施形態における具体
的な構成との対応関係の一例を示すものにすぎず、なんら技術的範囲を制限することを意
図したものではない。
排気処理システム1の全体構成を示す説明図である。 第1実施形態の尿素水噴射装置10の構成を示す図である。 第1実施形態の逆止弁90の開弁状態を示す説明図である。 第1実施形態の逆止弁90の閉弁状態を示す説明図である。 第2実施形態の尿素水噴射装置11の構成を示す図である。 第3実施形態の尿素水噴射装置12の構成を示す図である。 第4実施形態の尿素水噴射装置13の構成を示す図である。 第5実施形態のECU170が実施する制御処理の工程を示すフローチャートである。 制御処理による作動を示すタイミングチャートである。 変形例の制御処理による作動を示すタイミングチャートである。 尿素水循環中の噴射弁20の温度を、噴射弁20に入流させる尿素水量の関数として示した図である。 尿素水供給時間と、還流配管の内径と、の間の関係を示した図である。
以下、複数の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。各形態において、先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において、構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を参照し適用することができる。
(第1実施形態)
第1実施形態の尿素水噴射装置10は、排気処理システム1を構成する。以下、排気処理システム1を先ず説明し、その後、尿素水噴射装置10を説明する。
<排気処理システムの構成及び作動>
排気処理システム1は、例えばディーゼル機関である内燃機関ENGから排出された排気を浄化するシステムであり、図1に示すように、尿素水噴射装置10に加えて、酸化触媒120と、DPF130と、SCR触媒160と、を備える。
酸化触媒120は、排気流れを利用して圧縮機を駆動するターボチャージャー110の下流側に設けられる。酸化触媒120は、排気のHC成分及びCO成分、並びに排気中の粒子状物質(以下、PM)成分のうち、主に有機溶剤可溶性成分(以下、SOF)を、触媒の作用により酸化除去する。
DPF130は、酸化触媒120の排気下流側に設けられ、煤などのPM成分を捕集する。DPF130は、例えば、セラミック材料から構成されたハニカム構造のものを用いることができる。
尿素水噴射装置10は、DPF130の排気下流側において排気管100に取り付けられた噴射弁20と、電子制御装置(以下、ECU170)と、を有する。噴射弁20は、尿素水タンク140から尿素水ポンプ150によって供給された尿素水を、排気管100内に噴射する電磁弁である。ECU170は、CPU、ROM、RAM等を有するマイクロコンピュータを備え、噴射弁20の開閉、尿素水ポンプ150の作動、などを制御する制御装置である。
SCR触媒160は、噴射弁20の排気下流側に設けられた還元触媒である。SCR触媒160は、アンモニアを吸着する吸着剤と共に供される。
このような排気処理システム1は、以下のようにして排気を浄化する。内燃機関ENGが始動すると、内燃機関ENGから排気が排出される。排出された排気は、図1の矢印X1に示すように、酸化触媒120に達し、SOF成分等が浄化される。その後、排気は、図1の矢印X2に示すように、DPF130に達し、PM成分が捕集される。
DPF130を通過した排気は、図2の矢印X3に示すように、噴射弁20に向かって流れる。この排気に対して、噴射弁20から尿素水が噴出される。詳しくは、ECU170は、尿素水噴射を指示する噴射信号を信号線171に出力する。そうすると、噴射弁20は開弁して、尿素水を排気管100内に噴射する。噴射された尿素水は、加水分解して、気体のアンモニアが排気管100内に生成される。このアンモニアは、SCR触媒160と共に供される吸着剤に吸着される。吸着されたアンモニアは、SCR触媒160を触媒として、排気に含まれるNOxを還元する。
このようにして、排気処理システム1は、内燃機関ENGの排気を浄化する。浄化された排気は、図2の矢印X4に示すように、排気管100を流れ、大気に排出される。
<尿素水噴射装置の構成>
本実施形態の尿素水噴射装置10は、噴射弁20及びECU170に加えて、図2に示すように、供給配管70と、還流配管80と、逆止弁90と、を備える。
供給配管70は、一端が尿素水ポンプ150に接続され、他端が噴射弁20に接続されている。供給配管70は、内部に供給配管路71を形成する。供給配管路71を通じて、尿素水ポンプ150の吸入孔151から吸い上げられて圧送された尿素水が、噴射弁20に供給される。供給配管70には、尿素水中の不純物を除去するフィルタ72が設けられている。
噴射弁20は、噴孔21が排気管100内に露出するように、固定板3により排気管100に設置される電磁弁である。噴射弁20は、噴射弁ボディ30と、弁体50と、電磁アクチュエータ60と、を備える。
噴射弁ボディ30は、ボディ本体31と、基端側ボディ32と、先端側ボディ33と、蓋部34と、を有する。
ボディ本体31は、筒状部であり、内部に弁体50を摺動可能に保持している。図2において、摺動部分を符号C1で示している。
基端側ボディ32は、筒状部であり、内部に固定コア35を固定的に保持している。固定コア35には、弁体50を付勢する付勢バネ36が設けられている。
先端側ボディ33は、ボディ本体31の先端に設けられる有底筒状部である。先端側ボディ33の内壁面には、弁体50の先端が離着座するシート面37が形成されている。弁体50が着座している状態が、閉弁状態である。端子38を介して、電磁石としての電磁アクチュエータ60への通電が行われると、発生した電磁吸引力により、弁体50は付勢バネ36の付勢力に抗して固定コア35に向かって移動する。これにより、弁体50は、シート面37から離座し開弁する。電磁アクチュエータ60への通電が停止すると、弁体50は付勢バネ36の付勢力により閉弁する。先端側ボディの底面には、噴孔21が設けられている。
蓋部34は、噴射弁20長手方向における噴孔21と反対側において、ボディ本体31と接続されて、ボディ本体31及び基端側ボディ32を覆う。
弁体50の外周面とボディ本体31の内周面との間に、第1弁体ボディ間流路40が形成されている。第1弁体ボディ間流路40の一端は、摺動部分C1である。弁体50の外周面と先端側ボディ33の内周面との間に、第1弁体ボディ間流路40と連通する第2弁体ボディ間流路41が形成されている。弁体50が開弁状態のとき、第2弁体ボディ間流路41は、噴孔21と連通する。弁体50が閉弁状態のとき、第2弁体ボディ間流路41と噴孔21の連通は阻止される。第2弁体ボディ間流路41を、隙間C2とも呼ぶ。この隙間C2及び摺動部分C1が、尿素水吸い戻し工程後に尿素水が残留し得る特定領域である。
弁体50は、弁体内空間51を有する有底筒状に形成されている。弁体50は、その外周側面に、先端側孔52と摺動側孔53とを有する。先端側孔52は、噴射弁長手方向において、ボディ本体31と先端側ボディ33との接続部分に位置する。先端側孔52は、弁体50の弁体内空間51を、第1弁体ボディ間流路40及び第2弁体ボディ間流路41に連通させる。つまり、先端側孔52から流路が、第1弁体ボディ間流路40及び第2弁体ボディ間流路41に分岐している。摺動側孔53は、先端側孔52よりも摺動部分C1に近い場所に位置する。摺動側孔53は、弁体50の弁体内空間51を、第1弁体ボディ間流路40に連通させる。
噴射弁20は、さらに、供給配管70に接続された挿入パイプ22を有する。挿入パイプ22は、基端側ボディ32の内部空間、及び固定コア35の内部空間を貫いて、弁体50の弁体内空間51内で開口する。具体的には、挿入パイプ22の端部は、噴射弁長手方向において、摺動側孔53よりも噴孔21側で開口する。図2の例では、挿入パイプ22の端部は、噴射弁長手方向において、先端側孔52と重なる位置で開口しているが、先端側孔52よりも噴孔側で開口してもよい。弁体内空間51のうち、挿入パイプ22の他端よりも噴孔21側の領域を、先端側空間54と呼ぶ。
挿入パイプ22の外周面と、弁体50の内周面と、の間には、第1弁内還流路24が形成されている。第1弁内還流路24は、弁体50の摺動側孔53を通じて、第1弁体ボディ間流路40と連通している。挿入パイプ22の外周面と、固定コア35の内周面と、の間には、第2弁内還流路25が形成されている。挿入パイプ22の外周面と、基端側ボディ32の内周面と、の間には、第3弁内還流路26が形成されている。蓋部34の内壁面と、ボディ本体31の外壁面及び基端側ボディ32の外壁面と、の間には、蓋ボディ間空間27が形成されている。蓋ボディ間空間27は、第3弁内還流路26及び後述の還流配管路81との連通部分を除くと、密閉されている。
還流配管80は、一端が、尿素水タンク140内に位置し、他端が噴射弁20の蓋部34に接続される。還流配管80は、内部に、蓋ボディ間空間27と連通する還流配管路81を形成する。
逆止弁90は、尿素水タンク140内において尿素水の液面レベル上限よりも上方に位置するように、還流配管80の端部に設けられる。逆止弁90は、尿素水タンク140内に向かう還流配管路81内の空気を通過させるが、尿素水タンク内に向かう還流配管路81内の尿素水の通過を制限する機能を有する。このような機能を有する逆止弁90として、本実施形態では、図3及び図4に示す構成のものを用いる。
逆止弁90は、図3に示すように、逆止弁ボディ91と、バネ93と、弁体としての栓球92と、を有する。逆止弁ボディ91は、流入口94と流出口95とを有する流路96を内部に形成すると共に、バネ93及び栓球92を収容する。流入口94は、還流配管路81と連通する。流出口95は、尿素水タンク140内の尿素水液面レベル上限よりも上方で開口する解放端である。流路96内において、栓球92が流入口94側に位置し、バネ93が流出口95側に位置する。バネ93は、流出口95側の一端が逆止弁ボディ91に固定されており、流入口94側の他端が栓球92を支持する。
図3は、開弁状態の逆止弁90を示す。栓球92は、開弁状態のとき、ボディ面97から離座しており、バネ93の隙間を通じて流入口94と流出口95とを連通させ、空気を通過させる。なお、逆止弁90は、常開式である。
図4は、閉弁状態の逆止弁90を示す。栓球92は、ボディ面97へ向かう方向の力が加えられると、バネ93の反発力に抗して移動して閉弁し、流入口94と流出口95との連通を阻止する。本実施形態では、還流配管路81内の流体圧力が、流出口95の圧力と比べて、所定の閉弁圧力よりも大きい場合に、逆止弁90は閉弁するように構成されている。所定の閉弁圧力は、例えば、0.3[MPa]であり、通常の尿素水噴射作動時の圧送圧力としての規定圧力は、例えば、0.5[MPa]である。よって、尿素水ポンプ150から規定圧力で圧送された尿素水が、逆止弁90に内に流入したときに、この圧送された尿素水の圧力によって、逆止弁90は閉弁する。
<尿素水噴射装置の作動>
尿素水噴射装置10の作動について説明する。前回内燃機関停止後の尿素水吸い戻し工程により、供給配管70、噴射弁20、及び還流配管80内の尿素水が尿素水タンク内に吸い戻された状況を初期状態とする。この状態において内燃機の始動操作が行われると、ECU170は、尿素水の充填工程を実施する。充填工程における尿素水噴射装置10の作動は、以下のとおりである。
供給配管70に対して、尿素水タンク140内の尿素水が噴射弁20に向けて規定圧力で圧送されると、供給配管路71に尿素水が入流する。圧送は、尿素水ポンプ150が正回転させられることにより行われる。圧送された尿素水は、図2の矢印Y1で示される方向で供給配管70内を流れ、噴射弁20に到達する。
噴射弁20に到達した尿素水は、噴射弁20に設けられた挿入パイプ22内を通り、図2の矢印Y2で示されるように、先端側空間54に供給される。先端側空間54に供給された尿素水は、図2の矢印Y3で示されるように、先端側孔52を通って、第1弁体ボディ間流路40及び第2弁体ボディ間流路41に供給されると共に、第1弁内還流路24内を蓋部34に向かって流れる。このとき、もし第2弁体ボディ間流路41である隙間C2に尿素固体物が形成されていれば、この尿素固体物は、尿素水と接触して溶解し始めることとなる。
第1弁体ボディ間流路40に流入した尿素水は、図2の矢印Y4で示されるように、摺動部分C1に向かって流れる。このとき第1弁体ボディ間流路40内の空気が、摺動側孔53を通じて、第1弁内還流路24から排出されつつ、尿素水が摺動部分C1に到達する。つまり、摺動側孔53は、第1弁体ボディ間流路40の空気を抜きつつ、ここに尿素水を再充填可能にする。このとき、もし摺動部分C1に尿素固体物が形成されていれば、この尿素固体物は、尿素水と接触して溶解し始めることとなる。第1弁体ボディ間流路40内の尿素水は、図2の矢印Y5に示されるように、第1弁内還流路24に流入する。第1弁内還流路24内の尿素水は、図2の矢印Y6、Y7、Y8に示されるように、第2弁内還流路25、第3弁内還流路26、及び蓋ボディ間空間27内を流れ、還流配管80内に到達する。
このようにして噴射弁20内部に尿素水が充填されていく過程で、噴射弁20内部にあった空気は、図2のY9,Y10に示されるように、還流配管80内に押し出されて、逆止弁90に向かう。このとき、還流配管80内の空気は、図2の矢印Y11及び図3に示されるように、開弁状態の逆止弁90を通過して、尿素水タンク140内に排出される。噴射弁20内及び還流配管80内の空気が抜けると、圧送された尿素水が逆止弁90に到達する。尿素水ポンプ150により圧送された尿素水が逆止弁90に到達すると、図4に示すように、規定圧力で圧送された尿素水の圧力により、栓球92がボディ面97に密着する。つまり、逆止弁90が閉弁する。逆止弁90が閉弁すると、還流配管80から尿素水タンク140内に向かう尿素水の通過が阻止される。
そして、この後、尿素水噴射装置10の作動を、通常の尿素水噴射とすればよい。なお、前回内燃機関停止時の排気温度が、尿素固体物が形成されて弁体固着を招き得る閾値温度以上であれば、尿素固体物が尿素水に溶解する典型的時間待って、尿素水噴射装置10の作動を、通常の尿素水噴射としてもよい。このような典型的時間待つことを伴う充填工程は、充填溶解工程と言える。なお、上記作動から分かるように、一回の充填工程で尿素水が噴射弁20内に充填されるため、尿素水噴射装置10は短時間で尿素水を充填可能とする構成となっている。
<作用効果>
本実施形態における尿素水ポンプ150が、圧力源に相当する。挿入パイプ流路23、第1弁内還流路24、第2弁内還流路25、第3弁内還流路26、蓋ボディ間空間27、第1弁体ボディ間流路40、第2弁体ボディ間流路41、弁体内空間51、及び先端側空間54が、弁内流路に相当する。逆止弁90が、流体通過制御機構に相当する。逆止弁90の栓球92が、逆止弁の弁体に相当する。
本実施形態の尿素水噴射装置10は、
弁体50の開弁時に噴孔21と連通する弁内流路を有し、弁体50の開弁により内燃機関ENGの排気管100内に尿素水を噴孔21から噴射する噴射弁20と、
噴射弁20に接続されて、尿素水タンク140内から噴射弁20に向けて圧力源によって圧送される尿素水を弁内流路に供給する供給配管70と、
噴射弁20に接続されて、圧力源によって尿素水タンク140内から供給配管70を通じて噴射弁20に圧送された尿素水を尿素水タンク140に導く還流配管80と、
還流配管80に設けられて、弁内流路に尿素水を充填する尿素水充填時に、尿素水タンク140に向かう方向に還流配管80を流れる空気を通過させるが、この方向に還流配管80を流れる尿素水の通過を制限可能な流体通過制御機構と、
を備える。
この構成によれば、尿素水充填時に、圧力源によって尿素水タンク140内の尿素水が噴射弁20に向けて圧送されると、供給配管70及び弁内流路の空気は、圧送された尿素水に押されて、還流配管80内を尿素水タンク140に向かう方向に移動する。この空気は、流体通過制御機構を通過して排出される。このようにして噴射弁20内の空気が流体通過制御機構から排出されつつ噴射弁20内に尿素水が充填されていき、圧送された尿素水が、流体通過制御機構に達する。流体通過制御機構は、尿素水充填時に尿素水タンク140に向かって還流配管80を流れる尿素水の通過を制限するので、噴射弁20に充填された尿素水が流体通過制御機構を通過して尿素水タンク140内に排出されることが制限される。
このようにして、上記尿素水噴射装置は、弁体が固着して開弁困難な場合であっても、噴射弁内に尿素水を容易に充填可能とする。そして、尿素水結晶により弁体が固着していても、尿素水結晶が充填された尿素水に溶解することにより、固着が解消し得る。
さらに、本実施形態の尿素水噴射装置10では、
流体通過制御機構として、常開式の逆止弁90を備え、
還流配管路81における逆止弁90の噴射弁側の流体圧力が、逆止弁90の反噴射弁側の流体圧力と比べて、所定の閉弁圧力よりも大きい場合に、逆止弁90は閉弁するように構成されている。
このような逆止弁90を採用すれば、尿素水充填時に、自立式弁として、噴射弁内の空気を抜きつつ噴射弁内に尿素水を充填可能すると共に、尿素水充填後に、還流配管80を通じて尿素水が排出されてしまうことを制限できるようになる。
また、本実施形態の尿素水噴射装置は、噴射弁20を開弁させることなく、噴射弁20内の空気を流体通過制御機構から抜きつつ噴射弁20内に尿素水を充填可能とするものである。このような構成は、尿素水充填時に噴射弁20の噴孔21から尿素水が不要に排気管100に排出されることを抑制可能な構成である。不要に排気管100内に排出された尿素水は、尿素水の消費増や不要な固形物の形成を招き、ひいては、この固形物とSCR触媒160との衝突による触媒破損、又はアンモニアスリップ等を招き得るので、この観点からも本実施形態の構成は好適と言える。
(第2実施形態)
以下、第2実施形態の尿素水噴射装置11を、図5を参照して説明する。第1実施形態との相違点を中心に説明する。
<尿素水噴射装置の構成>
第1実施形態では、流体通過制御機構として、常開式の逆止弁90を用いた。これに対して、第2実施形態の尿素水噴射装置11は、図5に示すように、逆止弁90に代えて、膨潤型止水体190を備える。
膨潤型止水体190は、止水体ボディ191と、膨潤樹脂体192と、を備える。止水体ボディ191は、流入口194と流出口195とを有する流路196を内部に形成すると共に、膨潤樹脂体192を内部に収容する。流入口194は、還流配管路81と連通する。流出口195は、尿素水タンク140内の尿素水液面レベル上限よりも上方で開口する解放端である。流路196内において、流入口194と流出口195との間に、膨潤樹脂体192が設けられる。
膨潤樹脂体192は、尿素水により膨潤する、膨潤収縮な膨潤樹脂により形成されている。膨潤樹脂体192は、非膨潤状態において、流入口194と流出口195との間を流れる空気を通過させる。膨潤樹脂体192は、尿素水によって膨潤した膨潤状態では、流入口194と流出口195との間を流れる尿素水の通過を阻止する。なお、尿素水により膨潤した膨潤樹脂体192から尿素水タンク140内に、ある程度の量の尿素水が垂れる或いは浸み出してしまう。しかし、このような状態を含めて、本明細書では、膨潤状態の膨潤樹脂体192は、流入口194と流出口195との間を流れる尿素水の通過を阻止すると言う。
このような空気の通過及び尿素水の通過阻止を実現するために、例えば、膨潤型止水体190を以下のように構成すればよい。膨潤樹脂体192に、空気通過可能な貫通孔或いはスリットを形成する。貫通孔の径寸法及びスリットの幅は、膨潤時に貫通孔及びスリットが塞がれて、流入口194と流出口195との間の連通が阻止される大きさとする。或いは、膨潤樹脂体192を、止水体ボディ191の内周面の一部との間に隙間が生じるように、流路196内に設ける。隙間の大きさは、膨潤時に隙間が塞がれて、流入口194と流出口195との間の連通が阻止される大きさとする。
<尿素水噴射装置の作動>
このような膨潤型止水体190を備える尿素水噴射装置11は、尿素水の充填工程において、以下のように作動する。
供給配管70に対して、尿素水タンク140内の尿素水が噴射弁20に向けて規定圧力で圧送されて、供給配管路71に尿素水が入流する。このとき、膨潤型止水体190は、非膨潤状態である。そうすると、第1実施形態と同様に、供給配管70及び噴射弁20内の空気は、圧送される尿素水に押し出されて、膨潤型止水体190を通過して、尿素水タンク140内に排出されると共に、噴射弁20内に尿素水が充填される。これに伴い、噴射弁20内に尿素固体物が存在していた場合には、この尿素固体物は、尿素水に触れることとなる。圧送された尿素水が膨潤型止水体190に到達すると、膨潤樹脂体192を構成する膨潤樹脂の膨潤により、尿素水の通過が阻止される。噴射弁20内に尿素固体物が存在していた場合には、この尿素固体物は、尿素水に溶解することにより、尿素固体物が原因の弁体50の固着等が解消する。
<作用効果>
本実施形態の膨潤型止水体190が、流体通過制御機構に相当する。
本実施形態の尿素水噴射装置11は、
流体通過制御機構として、尿素水により膨潤する、膨潤収縮可能は膨潤樹脂により形成された膨潤樹脂体192を有する膨潤型止水体190を備え、
膨潤型止水体190は、膨潤樹脂体192の非膨潤状態において還流配管80を流れる空気を通過させるが、膨潤樹脂体192の膨潤状態において尿素水の通過を制限するように構成されている。
このような膨潤型止水体190を採用すれば、尿素水充填時に、自立的に、噴射弁20内の空気を抜きつつ噴射弁20内に尿素水を充填可能すると共に、尿素水充填後に、還流配管80を通じて尿素水が排出されてしまうことを制限できるようになる。
(第3実施形態)
以下、第3実施形態の尿素水噴射装置12を、図6を参照して説明する。説明は、第1実施形態との相違点を中心に行う。
<尿素水噴射装置の構成>
第1実施形態では、流体通過制御機構として、常開式の逆止弁90を用いたが、第3実施形態では、図6に示すように、逆止弁90に代えて電磁弁290を用いる。
電磁弁290は、ECU170の制御の下、開弁及び閉弁可能に構成される。電磁弁290は、尿素水タンク140内に位置するように還流配管80に設けられる。電磁弁290は、閉弁状態のとき、空気及び尿素水の通過を阻止し、開弁状態のとき、空気及び尿素水を通過させる。
電磁弁290は、図6に示すように、尿素水タンク140内において尿素水面より下方に位置するように設置されてもよい。或いは、尿素水タンク140内において尿素水面より上方に位置するように設置されてもよい。
<尿素水噴射装置の作動>
このような電磁弁290を備える尿素水噴射装置12は、ECU170の制御の下、尿素水の充填工程において、以下のように作動する。
供給配管70に対して、尿素水タンク140内の尿素水が噴射弁20に向けて規定圧力で圧送される。このとき、電磁弁290を開弁させる。そうすると、第1実施形態と同様に、供給配管70、噴射弁20、及び還流配管80内の空気は、圧送される尿素水に押し出されて、電磁弁290を通過して、尿素水タンク140内に排出されると共に、噴射弁20内に尿素水が充填される。これに伴い、噴射弁20内に尿素固体物が存在していた場合には、この尿素固体物は、尿素水に溶解し、尿素固体物が原因の弁体50固着等の不具合が解消する。電磁弁290は、充填工程後、噴射弁20内に尿素水が充填される典型的時間より長い期間が経過したときに、閉弁すればよい。
<作用効果>
本実施形態の電磁弁290が、流体通過制御機構に相当する。
この構成によれば、電磁弁290の開閉を制御することにより所望のタイミングで、還流配管80内を流れる空気を通過させたり、還流配管80内を流れる尿素水の通過を制限することが可能となる。よって、尿素水充填時に、噴射弁20内の空気を抜きつつ噴射弁20内に尿素水を充填可能すると共に、尿素水充填後に、還流配管80を通じて尿素水が排出されてしまうことを制限できるようになる。
(第4実施形態)
以下、第4実施形態の尿素水噴射装置13を、図7を参照して説明する。第1実施形態との相違点を中心に記載する。
<尿素水噴射装置の構成>
第1実施形態の尿素水噴射装置10は、還流配管80と、流体通過制御機構としての逆止弁90と、を備えていた。これに対して、第4実施形態の尿素水噴射装置13は、図7に示すように、還流配管80と逆止弁90とを備えず、所定容積Vth以上の容積を持つ空気室390を備える。本実施形態では、空気室390は、蓋部34の内壁面と、ボディ本体31の外壁面及び基端側ボディ32の外壁面と、の間に形成される。空気室390は、第3弁内還流路26との連通部分を除いて、密閉状態に形成される。
空気室390の容積下限である所定容積Vthは、以下の式で表される。
(数1)
Vth≧Vpipe・(0.1[MPa]/K[MPa])
ここで、Vpipeは、尿素水ポンプ150から噴射弁20に至る供給配管70の管内容積である。K[MPa]は、尿素水充填時における尿素水ポンプ150の規定圧送圧力である。0.1[MPa]は、標準大気圧である、
この所定容積Vthは、尿素水充填時に、噴射弁20を開弁させることなく尿素水を噴射弁20内に充填可能とする観点から定められたものである。詳細は、以下の通りである。
噴射弁20内における尿素水流入可能な流路のうち、空気室390を除く流路の容積をVvalveと表す。Vvalveを構成する尿素水流入可能な流路とは、具体的には、図7の例では、挿入パイプ流路23、先端側空間54、第1弁体ボディ間流路40、第2弁体ボディ間流路41、第1弁内還流路24、第2弁内還流路25、及び第3弁内還流路26である。この尿素水流入可能な流路の容積は、典型的には、供給配管70の管内容積よりも十分小さい。
尿素水の吸い戻し工程後に尿素水充填を行う場合、尿素水ポンプ150は、規定圧送圧力Kで、供給配管70に対して尿素水の圧送を開始する。このとき、供給配管70及び噴射弁20内には、大気圧Pを持つ空気が存在する。規定圧送圧力Kは、気圧よりも大きく、例えば0.5[MPa]であるので、供給配管70及び噴射弁20内の空気は、圧送される尿素水によって圧縮される。この圧縮に伴い、尿素水は、供給配管70を通り、噴射弁20内に流入する。圧縮後の空気圧力が規定圧送圧力と等しくなったときに、空気の圧縮が止まる。このとき、圧縮された空気が空気室390内に存在するが、尿素水が噴射弁20内の尿素水流路を満たす場合には、気体の状態方程式から、以下の関係式が成り立つ。
(数2)
K・Vth=P・(Vpipe+Vvalve+Vth)
上記のように、VpipeはVvalveよりも十分に大きいので、数式2は、次のように変形及び近似できる。
(数3)
Vth=P/(K−P)・Vpipe
ここで、KはPよりも大いので、数式3を以下のように近似する。
(数4)
Vthbe=P/K・Vpipe
大気圧としての0.1MPaを数式4に代入すれば、以下が得られる。
(数5)
Vth=Vpipe・(0.1[MPa]/K[MPa])
数式5は、空気圧縮後に空気室390を除く噴射弁20内に尿素水に満たされるための空気室390の容積下限値を表すので、空気室390の容積が数式1を満たせば、尿素固体物が形成され得る噴射弁20内の特定領域に尿素水が充填されることとなる。
<尿素水噴射装置の作動>
このような空気室390を有する尿素水噴射装置12は、ECU170の制御の下、尿素水の充填工程において、以下のように作動する。
供給配管70に対して、尿素水タンク140内の尿素水が噴射弁20に向けて規定圧力で圧送され、供給配管路71に尿素水が入流する。そうすると、供給配管70及び噴射弁20内の空気は、圧縮されつつ、図7の矢印Z1に示すように空気室390に向けて移動する。圧縮は、圧縮された空気の圧力が、規定圧送圧力Kに達するまで続く。空気室390の容積が数式1の関係を満たすことから、圧縮された空気の圧力が規定圧送圧力Kに達したとき、空気室390以外の噴射弁20内は尿素水に満たされることとなる。これに伴い、噴射弁20内に尿素固体物が存在していた場合には、この尿素固体物は、尿素水に溶解して、結果として、尿素固体物が原因の弁体50固着等の不具合を解消する。
<作用効果>
上記実施形態におけるボディ本体31、基端側ボディ32、及び蓋部34が、空気室形成部に相当する。挿入パイプ流路23、第1弁内還流路24、第2弁内還流路25、第3弁内還流路26、第1弁体ボディ間流路40、第2弁体ボディ間流路41、弁体内空間51、及び先端側空間54が、弁内流路に相当する。
本実施形態の尿素水噴射装置13は、
弁体50の開弁時に噴孔21と連通する弁内流路を有し、弁体50の開弁により内燃機関ENGの排気管100内に尿素水を噴孔21から噴射する噴射弁20と、
噴射弁20に接続されて、尿素水タンク140内から噴射弁20に向けて圧力源によって圧送される尿素水を噴射弁20内の弁内流路に供給する供給配管70と、
弁体の閉弁時であっても弁内流路と連通する空気室390であって、圧力源によって供給配管70を通じて噴射弁20に圧送された尿素水の流れ方向において弁内流路よりも下流に位置する空気室390を形成する空気室形成部と、
を備え、
尿素水充填時に圧力源によって噴射弁20に向けて圧送される尿素水の規定圧送圧力をKとし、供給配管70の容積をVpipeとすると、空気室は、Vpipe(0.1[MPa]/K[MPa])以上の容積を有する。
この構成によれば、尿素水充填時に、尿素水ポンプ150によって尿素水が噴射弁20に向けて規定圧送圧力で圧送されると、供給配管路71及び噴射弁20内の弁内流路の空気は、下流側に位置する空気室390に向けて移動しつつ圧縮される。この空気の移動及び圧縮に伴い、弁内流路に尿素水が流入する。この空気の圧縮と、尿素水の流入とは、圧縮された空気の圧力が規定圧送圧力に等しくなるまで続く。
ここで、空気室390は、Vpipe(0.1[MPa]/K[MPa])以上の容積を有するために、圧縮された空気の圧力が規定圧送圧力に等しくなったときに、供給配管70及び弁内流路は、尿素水に充填されることとなる。この理由は、上記の数式1〜数式5の説明で記載したとおりである。
このようにして、尿素水噴射装置13は、噴射弁20を開弁させることなく、噴射弁20内の空気を空気室390の排出しつつ噴射弁20内に尿素水を充填可能にする。そして、弁内流路に存在する尿素固体物を尿素水に溶解させることを可能とする。
(第1〜第4実施形態の変形例)
以上の第1〜第4実施形態は、様々に変形できる。
例えば、第1〜第3実施形態では、還流配管80の端部に設けられた流体通過制御機構としての逆止弁90、膨潤型止水体190、及び電磁弁290が、尿素水タンク140内に設けられていた。しかし、流体通過制御機構の位置は、これに限定されない。流体通過制御機構は、還流配管80の如何なる位置に設けてよい。例えば、尿素水タンク140外であって、噴射弁20から尿素水タンク140に至る還流配管80の途中に設けられてもよい。
第4実施形態では、空気室390を噴射弁20内に設けた。しかし、空気室390を噴射弁20外に設けてよい。
以上の実施形態は、様々に拡張できる。以下、拡張例としての実施形態を説明する。
(第5実施形態)
第5実施形態は、第1実施形態を拡張した実施形態である。以下、第5実施形態を、第1実施形態に対する拡張点を中心に説明する。
<尿素水噴射装置の構成及び作動>
第5実施形態では、尿素水ポンプ150は、電動ポンプであり、ECU170の制御の下、圧送圧力を可変に調整可能な機能を有する。圧送圧力の調整は、例えば、ポンプ回転数を調整することにより行うことができる。ポンプ回転数は、電動ポンプに供給する供給電流を制御することにより、可変にできる。さらに、噴射弁20を排気管100に設置するアダプタ(図示なし)の内部に、噴射弁冷却用流路(図示なし)が形成されている。この噴射弁冷却用流路にエンジン冷却水が、噴射弁20を冷却するための熱媒体として流れるように構成される。
第5実施形態のECU170は、噴射弁20内に尿素固体物が内燃機関停止後に析出され得るか否かを判定すると共に、尿素固体物が析出され得ると判定した場合、尿素固体物析出を抑制するための噴射弁冷却工程を実施する制御処理を行う。
以下、ECU170が実施する制御処理を、図8のフローチャートと図9のタイミングチャートとを参照しつつ説明する。この制御処理は、例えば、内燃機関ENGの運転開始時に開始される。
制御処理を開始すると、ECU170は、S10において、排気温度とエンジン冷却水温度とから、噴射弁20の温度変化を推定する。ここで言う温度変化とは、現時点或いは現時点から所定期間以内に内燃機関ENGが停止した場合において後述の噴射弁冷却工程を実施しないと仮定したときの噴射弁20のノズルの温度変化である。ノズルとは、弁体50を摺動可能に保持するボディ本体31と、噴孔21を形成する基端側ボディ32と、弁体50とからなる部分である。
噴射弁冷却工程を実施しない場合の噴射弁の温度変化の一例を、図9の比較例における噴射弁温度のグラフとして示している。この例で示されるように、温度変化は、典型的には、排気管内の排気から噴射弁20に移動する熱により噴射弁温度が上昇し、排気管内の温度低下が進むに伴って、噴射弁温度が下降に転じる変化になる。
S20において、ECU170は、この温度変化において噴射弁温度が閾値以上となるか否かを判定する。閾値は、尿素水から固形物が析出される尿素析出温度としてもよい。或いは、尿素析出温度より低い温度を、固形物が析出する可能性がある温度として、閾値として用いてもよい。図9の比較例で例示する温度変化では、噴射弁温度が閾値以上となっている。
噴射弁温度が閾値以上となると判定した場合、ECU170は、S30において析出予測フラグをONに設定し、閾値以上とならないと判定した場合、S40において析出予測フラグをOFFに設定する。
S50において、ECU170は、内燃機関ENGが停止したか否かを判定する。内燃機関停止と判定しなかった場合、S10に戻り、噴射弁温度変化の推定等の処理を再度実施する。内燃機関停止と判定した場合、S60に進む。
S60においてECU170は、析出予測フラグがONであるかOFFであるかを判定する。析出フラグがOFFである場合、処理はS80に進み、噴射弁冷却工程を実施せずに吸い戻し工程を実施して、本制御処理を終了する。析出フラグがONである場合、S70に進み、ECU170は、噴射弁冷却工程を実施する。
S70の噴射弁冷却工程において、ECU170は、尿素水ポンプ150に対して、噴射弁冷却用の低圧送圧力で尿素水を噴射弁20に向けて、圧送し続けるように指令する。具体的には、図8のタイミングチャートで示すように、尿素水ポンプ150を、噴射弁冷却用の低圧送圧力に対応する回転数で正回転するように駆動させる。噴射弁冷却用の低圧送圧力は、逆止弁90が閉弁する圧力よりも低い値が用いられる。例えば、0.2[MPa]である。
低圧送圧力で尿素水が圧送されている状態では、図8に示すように、逆止弁90は開弁状態となる。そして、尿素水タンク140内の尿素水が、供給配管70、噴射弁20、及び還流配管80内を流れ、逆止弁90を通過して、尿素水タンク140内に回収されるという尿素水還流が実現される。このように還流する尿素水によって、図8に示すように、噴射弁20が冷却されて、噴射弁温度が低下する。
尿素水還流は、噴射弁20が十分に冷却されるまで行われる。具体的には、ECU170は、尿素水還流中の噴射弁温度が冷却終了温度以下になったか否かを判定する。冷却終了温度とは、尿素水還流を停止して噴射弁冷却を停止しても、その後の排気管100側から噴射弁20への熱移動による噴射温度上昇が尿素析出温度以下に抑えられる温度である。噴射弁温度が冷却終了温度より大きい場合は、尿素水還流を継続する。噴射弁温度が冷却終了温度以下になったと判定すると、ECU170は、析出フラグをOFFに設定すると共に、尿素水ポンプ150に対して、尿素水の圧送を停止するように指令する。そして、S80に進み、ECU170は吸い戻し工程を実施する。
尿素水還流後に尿素水圧送を停止すると、ECU170は、尿素水ポンプ150に対して、ポンプ逆回転を指令すると共に噴射弁20を開弁させることにより、吸い戻し工程を実施する。吸い戻し工程を完了すると、本制御処理は終了する。
なお、S70の噴射弁冷却工程は、内燃機関停止直後ではなく一定時間経過後に実施するように構成してもよい。ただし、噴射弁冷却工程を、噴射弁温度が固形物析出温度としての閾値以上となる前に、実施することが好適である。
また、上記の制御処理では、内燃機関停止後における噴射弁温度が閾値以上となるか否かの予測に応じて、析出予測フラグをON又はOFFにした。しかし、内燃機関ENG停止後における噴射弁20温度推移が、温度と時間とで規定される固形物析出条件としての所定条件を満たすか否かの予測に応じて、析出予測フラグをON又はOFFにしてもよい。この場合、噴射弁冷却工程を、内燃機関停止後であって所定条件の成立前に、実施する構成となる。固形物析出条件としての所定条件は、固形物析出が単にある温度を境に生じるのではなく、温度履歴に依存することを考慮して予め定められる。所定条件は、例えば、ある温度以上の状態がある期間以上を継続する、温度を時間で積分した値が閾値を超える、などとすればよい。
次に、第5実施形態の変形例を、図10のタイミングチャートを参照しつつ説明する。この変形例では、流体通過制御機構として、逆止弁90に代えて電磁弁290を用いる。さらに、S70の噴射弁冷却工程が、次のように第5実施形態と異なる。
S70の噴射弁冷却工程において、ECU170は、電磁弁290を開弁させる。このとき、図10に示すように、尿素水ポンプ150に対して、内燃機関停止前の通常の噴射弁噴射動作と同じ規定圧送圧力で尿素水を噴射弁20に圧送し続けるように制御する。
このようにすると、尿素水タンク140内の尿素水が、供給配管70、噴射弁20、及び還流配管80内を流れ、逆止弁90を通過して、尿素水タンク140内に回収されるという尿素水還流が実現される。噴射弁冷却工程後の吸い戻し工程では、尿素水ポンプ150に対して、ポンプ逆回転による吸い戻しを指令すると共に、噴射弁20を開弁させる。つまり、吸い戻し工程を実施する。吸い戻し工程実施後、ECU170は、本制御処理を終了する。なお、電磁弁290が尿素水タンク内において尿素水面上方に設けられる構成の場合、吸い戻し工程において、噴射弁20を開弁させてなくてよい。図6のように、電磁弁290が尿素水タンク内において尿素水面下方に設けられる構成の場合、吸い戻し工程において、噴射弁20を開弁させて噴孔21から噴射弁20に空気を供給して吸い戻しを行う。
噴射弁冷却工程において、噴射弁温度が冷却終了温度以下になったか否かを判定するために、噴射弁温度の実測値を用いてもよい。或いは、噴射弁冷却工程開始からの計時が、噴射弁温度が冷却終了温度以下になるまでに要する時間に達したか否かに応じて、噴射弁温度が冷却終了温度以下になったか否かを推定してもよい。このような推定による判定は、任意の温度の噴射弁20と、この噴射弁20を尿素水還流によって任意の所望温度まで低下させるために要する時間と、の関係を予め定めておけば実施できる。以下、このような所定に関係について説明する。
図11は、高温(140°C)の噴射弁20に、尿素水還流によって常温(25°C)の尿素水を噴射弁20に流入させた場合の噴射弁温度変化を示している。横軸は、流入させた尿素水量を示し、縦軸は、噴射弁温度を示す。図11では、2つの初期状態について噴射弁温度変化を示している。具体的には、一の初期状態として、高温の噴射弁20に同じ温度の尿素水が充填されている場合を、「尿素FULL」としてラベルして図示している。これは、噴射弁冷却工程時の噴射弁20の状態に対応する。なお、図11は、他の初期状態として、尿素水として高温の噴射弁20に同じ温度の残留尿素水のみが存在する場合を、「残留尿素水のみ」とラベルして図示している。残留尿素水とは、吸い戻し工程後に上記した摺動部分C1や隙間C2である特定領域に残留する尿素水である。
図11に示されるように、噴射弁の温度は、流入される尿素水量が多いほど低下し、流入尿素水量から温度低下量を決めることができる。例えば、140°Cの噴射弁を80°Cまで冷却するためには、4〜6cc程度の尿素水を噴射弁20に流入させればよい、という具合である。このような関係に基づいて、任意の温度の噴射弁を所望温度にまで低下させるために噴射弁20に流入させるべき尿素水量を予め定めることができる。さらに、任意の量の尿素水を噴射弁20に流入させるのに要する時間を、図12に示すように、還流配管80の内径等の尿素水噴射装置の構造から、予め定めることができる。したがって、任意の温度の噴射弁と、これを任意の所望温度まで低下させるために要する時間と、の関係を予め定めることができる。
また、上記実施形態では、一端が供給配管70に接続され、他端が弁体50の弁体内空間51で開口する挿入パイプ22が設けた。しかし、挿入パイプ22を、一端が還流配管80に接続され、他端が弁体50の弁体内空間51で開口する構成してもよい。この場合、供給配管70から噴射弁20に供給される尿素水は、蓋ボディ間空間27、第3弁内還流路26、第2弁内還流路25、第1弁内還流路24を、この順で流れる。そして、第1弁体ボディ間流路40、第2弁体ボディ間流路41流入する共に先端側空間54に流入する。その後、挿入パイプ22を通じて、還流配管80に流入する。
このように、挿入パイプ22の一端を供給配管70又は還流配管80に接続し、他端を弁体内空間51で開口するように構成すれば、噴射弁冷却工程において、排気から熱移動により温度上昇が顕著である噴射弁先端を効率よく冷却できる。なぜなら、高温の噴射弁先端内に低温の尿素水を効率よく供給できる、或いは、高温先端内で高温となった尿素水を効率よく回収できるためである。また、このように構成すれば、内燃機関始動時の尿素水の充填工程において、尿素固体物が形成されて得る先端内に、効率よく尿素水を充填可能となる。
また、上記実施形態では、還流配管80に設けられた流体通過制御機構として、逆止弁90、及び電磁弁290を例示した。しかし、流体通過制御機構として、他の弁を用いることもできる。例えば、圧力制御弁やリリーフ弁を用いてもよい。
<作用効果>
第5実施形態におけるECU170が、制御装置に対応する。
第5実施形態では、
制御装置は、噴射弁20の開弁及び閉弁、並びに圧力源の尿素水の圧送圧力の大きさを制御可能であり、
制御装置は、噴射弁を閉弁させつつ、圧力源の圧送圧力の大きさを逆止弁90が閉弁する圧力よりも小さい圧送圧力に制御することにより、尿素水タンク140内の尿素水を供給配管70、弁内流路、還流配管80、及び逆止弁90を通過させて尿素水タンク140に還流させて噴射弁20の冷却を実施する。
この構成によれば、供給された尿素水を噴射する噴射弁20を開弁させることなく、この尿素水を用いて噴射弁20の高温化を抑制する温度調整が可能となる。したがって、噴射弁20の噴孔21から尿素水が不要に排出されることを抑制しつつ、噴射弁20が高温となることによる不具合を抑制できる。また、制御装置は、圧力源の尿素水圧送圧力の大きさを制御することにより逆止弁90の閉弁及び開弁を制御できるので、圧力源の尿素水の圧送圧力の大きさを制御することにより還流の実施及び非実施を制御できる。
このように圧力源の尿素水圧送圧力の大きさを制御するという観点からは、圧送圧力を可変な電動ポンプを圧力源として用いると好適である。
また、逆止弁90に代えて電磁弁を用いて、
制御装置を、噴射弁20の開弁及び閉弁、並びに電磁弁290の開弁及び閉弁を制御可能に構成して、
制御装置は、噴射弁を閉弁させつつ電磁弁を開弁させることにより、圧力源により圧送された尿素水タンク内の尿素水を供給配管、弁内流路、還流配管、及び電磁弁を通過させて尿素水タンクに還流させて、噴射弁20の冷却を実施しもよい。この構成によれば、逆止弁90を用いた場合のように圧力源の圧送圧力を制御せずとも、尿素水還流を実現できる。
また、制御装置は、噴射弁の温度が内燃機関の停止後において閾値温度以上に達すると予測した場合、尿素水の還流による噴射弁の冷却を、内燃機関の停止後であって噴射弁の温度が閾値温度以上に達する前に実施する。
このように構成すれば、内燃機関停止後の高温環境下で噴射弁が高温化することによる尿素固形物の析出等の不具合を抑制できる。また、尿素固形物の析出等が発生し得るか否かに応じて、固形物析出を抑制するための噴射弁冷却工程を実施できるので、噴射弁冷却工程に伴う消費電力を抑制できる。言い換えると、無駄な噴射弁冷却工程の実施を抑制できる。
また、制御装置は、内燃機関停止後における噴射弁の温度推移が、温度と時間とで規定される所定条件を満たすと予測した場合、尿素水の還流による噴射弁の冷却を、内燃機関の停止後であって所定条件が満たされる前に実施するように構成してもよい。
このようすれば、尿素水固形物の析出が、単に温度のみではなく、時間の関数としての温度履歴に依存することを考慮して、固形物析出を抑制するための噴射弁冷却工程を実施できる。
また、上記実施形態は、一端が供給配管70又は還流配管80に接続され、他端が弁体50内部の弁体内空間51で開口するように噴射弁20に挿入されている挿入パイプ22を有する。
このようにすれば、噴射弁冷却工程において、排気から熱移動による温度上昇が顕著である噴射弁先端を効率よく冷却可能となる。また、尿素水充填時には、尿素固体物が形成されて得る噴射弁先端に、効率よく尿素水を充填可能となる。
(第5実施形態の拡張例)
上記第5実施形態は、例えば、以下のように拡張できる。
<噴射装置の構成及び作動>
第5実施形態では、噴射弁20と、供給配管70と、還流配管80と、逆止弁90又は電磁弁290と、制御装置としてのECU170と、を備え、還流による噴射弁冷却工程を実施する噴射装置として、尿素水噴射装置を例示した。しかし、このような噴射装置は、尿素水噴射装置に限らず、例えば、内燃機関の気筒内に燃料を噴射する燃料噴射弁を備える噴射装置に適用可能である。或いは、尿素水噴射弁や燃料噴射弁に限らず、高温環境下で使用され得る他の噴射弁の温度制御のための構成として適用可能である。例えば、排気を浄化するために還元剤を噴射する還元剤噴射弁を備えた還元剤噴射装置に適用してもよい。
燃料噴射弁を備える噴射装置に適用する場合、供給配管を、燃料タンク内から圧力源によって圧送される燃料を燃料噴射弁に供給する配管とすればよい。還流配管を、圧力源によって供給配管を通じて噴射弁に圧送された燃料の流れ方向において燃料噴射弁よりも下流に位置して、この燃料を燃料タンクに導く配管とすればよい。逆止弁や電磁弁等の流体通過制御機構は、還流配管に設けられて、還流配管を流れる燃料の通過を制御する弁として構成すればよい。そして、制御装置は、燃料噴射弁を閉弁させつつ圧力源に燃料を圧送させて燃料タンク内の流体を供給配管、噴射弁、還流配管、及び流体通過制御機構を通過させて、燃料タンクに還流させる、冷却工程を実施する構成とすればよい。
また、燃料噴射弁に適用する場合、圧力源として、低圧ポンプと、高圧ポンプと、を利用する構成も想定できる。この場合、流体通過制御機構としての逆止弁を、低圧ポンプによる圧送では閉弁しないが高圧ポンプによる圧送では閉弁するように構成すればよい。このようにして、冷却工程において低圧ポンプによる圧送で燃料噴射弁に燃料を供給して、逆止弁を開弁状態することで、燃料還流を実現できる。また、通常の燃料噴射作動時には、高圧ポンプから吐出された高圧の燃料が燃料噴射弁に供給されるように制御すればよい。このようにすれば、通常の燃料噴射作動時には、逆止弁は閉弁状態となる。
また、噴射弁冷却工程を、内燃機関運転中に実施してもよい。例えば、内燃機関運転中に燃料噴射弁温度が、噴霧貫通力が所望貫通力よりも下回る温度以上になった、或いは下回る温度以上になると推測される場合、噴射弁冷却工程を実施してもよい。これは、燃料噴射弁の温度が上がると、噴射される噴霧の微粒化が進み、この微粒化が過度に進むと、所望貫通力が得られなくなることに鑑みた処置である。
ところで、高温環境下で使用され得る噴射弁について噴射弁の高温化を抑制する温度調整が望まれる場合があることを鑑みて、以上の第5実施形態は、噴射弁の高温化を抑制する温度調整を可能とすることを目的とした一技術的思想としての下記噴射装置が具現化されたものでもある。すなわち、一技術的思想としての噴射装置は、
開弁することにより、供給された流体を噴孔から噴射する噴射弁と、
噴射弁に接続されて、流体を貯蔵するタンク内から噴射弁に向けて圧力源によって圧送される流体を噴射弁に供給する供給配管と、
噴射弁に接続されて、圧力源によってタンク内から供給配管を通じて噴射弁に圧送された流体を該タンクに導く還流配管と、
還流配管に設けられて、還流配管を流れる流体の通過を制御する流体通過制御機構と、
噴射弁及び圧力源を制御する制御装置と、
を備え、
制御装置は、噴射弁を開弁させることなく、圧力源に流体を圧送させてタンク内の流体を供給配管、噴射弁、還流配管、及び流体通過制御機構を通過させてタンクに還流させることにより噴射弁を冷却する噴射弁冷却工程を実施するものである。
このような噴射装置によれば、タンクから供給される流体を還流させることにより、噴射弁の高温化を抑制する温度調整が可能となる。
以上、複数の実施形態を例示したが、実施形態は上記した各実施形態に限定されない。例えば、異なる実施形態に開示された技術的要素を適宜組み合わせて得られる実施形態も、本開示の実施形態である。
10〜13:尿素水噴射装置、20:噴射弁、21:噴孔、22:挿入パイプ、23:挿入ハイプ流路(弁内流路)、24:第1弁内還流路(弁内流路)、25:第2弁内還流路(弁内流路)、26:第3弁内還流路(弁内流路)、27:蓋ボディ間空間(弁内流路)、31:ボディ本体(空気室形成部)、32:基端側ボディ(空気室形成部)、34:蓋部(空気室形成部)、40:第1弁体ボディ間流路(弁内流路)、41:第2弁体ボディ間流路(弁内流路)、50:弁体)、51:弁体内空間(弁内流路)、54:先端側空間(弁内流路)、70:供給配管、80:還流配管、90:逆止弁(流体通過制御機構)、100:排気管、140:尿素水タンク、150:尿素水ポンプ(圧力源)、170:ECU(制御装置)、190:膨潤型止水体(流体通過制御機構)、192:膨潤樹脂体、290:電磁弁(流体通過制御機構)、390:空気室、S70:噴射弁冷却工程

Claims (11)

  1. 弁体(50)の開弁時に噴孔(21)と連通する弁内流路(23、24、25、26、27、40,41、51、54)を有し、開弁により内燃機関の排気管(100)内に尿素水を前記噴孔から噴射する噴射弁(20)と、
    前記噴射弁に接続されて、尿素水タンク(140)内から前記噴射弁に向けて圧力源(150)によって圧送される尿素水を前記弁内流路に供給する供給配管(70)と、
    前記噴射弁に接続されて、前記圧力源によって前記尿素水タンク内から前記供給配管を通じて前記弁内流路に供給された尿素水を当該尿素水タンクに導く還流配管(80)と、
    前記還流配管に設けられて、前記弁内流路に尿素水を充填する尿素水充填時に、前記尿素水タンクに向かう方向に前記還流配管を流れる空気を通過させるが、この方向に前記還流配管を流れる尿素水の通過を制限する流体通過制御機構(90、190、290)と、
    を備える尿素水噴射装置。
  2. 請求項1の尿素水噴射装置において、
    前記流体通過制御機構として、常開式の逆止弁(90)を備え、
    前記還流配管における前記逆止弁の噴射弁側の流体圧力が、当該逆止弁(90)の反噴射弁側の圧力と比べて、所定の閉弁圧力よりも大きい場合に、当該逆止弁(90)は閉弁するように構成されている
    尿素水噴射装置。
  3. 請求項2の尿素水噴射装置において、
    前記噴射弁の開弁及び閉弁、並びに前記圧力源の尿素水の圧送圧力の大きさを制御する制御装置(170)をさらに備え、
    前記制御装置は、前記噴射弁を閉弁させつつ、前記圧力源の圧送圧力の大きさを前記逆止弁が閉弁する圧力よりも小さい圧送圧力に制御することにより、前記尿素水タンク内の尿素水を前記供給配管、弁内流路、還流配管、及び逆止弁を通過させて前記尿素水タンクに還流させて前記噴射弁の冷却を実施する
    尿素水噴射装置。
  4. 請求項3の尿素水噴射装置において、
    前記圧力源は、前記制御装置の制御の下、前記尿素水の圧送圧力を可変な電動ポンプである
    尿素水噴射装置。
  5. 弁体(50)の開弁時に噴孔(21)と連通する弁内流路(23、24、25、26、27、40,41、51、54)を有し、開弁により内燃機関の排気管(100)内に尿素水を前記噴孔から噴射する噴射弁(20)と、
    前記噴射弁に接続されて、尿素水タンク(140)内から前記噴射弁に向けて圧力源(150)によって圧送される尿素水を前記弁内流路に供給する供給配管(70)と、
    前記噴射弁に接続されて、前記圧力源によって前記尿素水タンク内から前記供給配管を通じて前記弁内流路に供給された尿素水を当該尿素水タンクに導く還流配管(80)と、
    前記還流配管に設けられた電磁弁であって、閉弁状態のとき、前記還流配管を流れる空気及び尿素水の通過を阻止し、開弁状態のとき、前記還流配管を流れる空気及び尿素水を通過させる電磁弁(290)と、
    前記電磁弁の開弁及び閉弁を制御する制御装置であって、前記弁内流路に尿素水を充填する尿素水充填時に前記電磁弁を開弁させ、前記尿素水充填後に前記電磁弁を閉弁させる制御装置(170)と、
    を備える尿素水噴射装置。
  6. 請求項5の尿素水噴射装置において、
    前記制御装置(170)は、前記噴射弁の開弁及び閉弁も制御するものであり、
    前記制御装置は、前記噴射弁を閉弁させつつ前記電磁弁を開弁させることにより、前記圧力源により圧送された前記尿素水タンク内の尿素水を前記供給配管、弁内流路、還流配管、及び電磁弁を通過させて前記尿素水タンクに還流させて、前記噴射弁の冷却を実施する
    尿素水噴射装置。
  7. 請求項3、4、6何れか一項の尿素水噴射装置において、
    前記制御装置は、前記噴射弁の温度が前記内燃機関の停止後において閾値温度以上に達すると予測した場合、前記尿素水の還流による噴射弁の冷却を、前記内燃機関の停止後であって前記噴射弁の温度が閾値温度以上に達する前に実施する
    尿素水噴射装置。
  8. 請求項3、4、6何れか一項の尿素水噴射装置において、
    前記制御装置は、前記内燃機関の停止後における前記噴射弁の温度推移が、温度と時間とで規定される所定条件を満たすと予測した場合、前記尿素水の還流による噴射弁の冷却を、前記内燃機関の停止後であって前記所定条件が満たされる前に実施する
    尿素水噴射装置。
  9. 請求項1ないし8何れか一項の尿素水噴射装置において、
    一端が前記供給配管又は還流配管に接続され、他端が前記弁体内の弁体内空間(51)で開口する挿入パイプ(22)を、さらに備える
    尿素水噴射装置。
  10. 請求項1の尿素水噴射装置において、
    前記流体通過制御機構として、尿素水により膨潤する、膨潤収縮可能な膨潤樹脂により形成された膨潤樹脂体(192)を有する膨潤型止水体(190)を備え、
    前記膨潤型止水体は、前記膨潤樹脂体の非膨潤状態において前記還流配管を流れる空気を通過させるが、前記膨潤樹脂体の膨潤状態において尿素水の通過を阻止するように構成されている
    尿素水噴射装置。
  11. 弁体(50)の開弁時に噴孔(21)と連通する弁内流路(23、24、25、26、27、40,41、51、54)を有し、開弁により内燃機関の排気管(100)内に尿素水を前記噴孔から噴射する噴射弁(20)と、
    前記噴射弁に接続されて、尿素水タンク(140)内から当該噴射弁に向けて圧力源(150)によって圧送される尿素水を当該噴射弁内の弁内流路に供給する供給配管(70)と、
    前記弁体の閉弁時であっても前記弁内流路と連通する空気室(390)であって、前記圧力源によって前記尿素水タンクから前記供給配管を通じて前記噴射弁に圧送された尿素水の流れ方向において前記弁内流路よりも下流に位置する空気室を形成する空気室形成部(31、32、34)と、
    を備え、
    前記弁内流路に尿素水を充填する尿素水充填時に前記圧力源によって噴射弁に向けて圧送される尿素水の規定圧送圧力をKとし、前記供給配管の容積をVpipeとすると、前記空気室は、Vpipe・(0.1[MPa]/K[MPa])以上の容積を有する
    尿素水噴射装置。
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