実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
まず、実施例1に係る現金管理システムにおける保守処理の概要について説明する。
図1は、実施例1に係る現金管理システムにおける保守処理の概要を説明する図である。
本実施例1における保守処理においては、現金を調整すべき(現金を回収又は現金を装填すべき)現金処理装置が複数の店舗に跨って存在する場合には、回収装填用カセットOB(調整用カセット:単にカセットともいう)を現金管理センタ20から各店舗に運搬し、各店舗において、カセットを用いて現金処理装置の現金の量を調整するようにしている。その際に、各店舗の現金処理装置の有高情報に基づくルートで巡回することで、効率的な保守処理を実現するものである。
具体的には、まず、現金管理センタ20の現金管理装置30が、各店舗に設置している現金処理装置の現金(例えば、紙幣)の残枚数(有高情報)から、現金処理装置における適切な枚数の範囲(適切枚数範囲)を超過している状態や、適切枚数範囲に対して枚数不足となっている状態の現金処理装置を把握し、把握した内容に基づいて、回収装填用カセットOB(調整用カセット:単にカセットともいう)の個数や、カセットに収容すべき現金量や、店舗10を回る順序等を決定した保守計画表を作成し、保守計画表を画面表示したり、帳票として出力したりする(図1(1))。以降の保守処理は、この保守計画表に従って実行されることとなる。本実施例では、保守計画表には、店舗を回る順序として、現金管理センタ20を出発し、入金過多(現金を要回収)である店舗A、入金過多である店舗B、出金過多(現金を要装填)である店舗Cを回って、現金管理センタ20に戻ってくる順序が設定されているものとする。
まず、保守員は、保守計画表に従って使用する個数のカセットOBを準備する(図1(2))。なお、保守計画表に初期時に装填しておくべき現金の指定がある場合には、指定された量の現金をカセットOBに装填する。本例においては、金種1の紙幣を回収及び装填可能なカセット1と、金種2の紙幣を回収及び装填可能なカセット2が指定されているものとして、以下を説明する。
次いで、保守員は、準備したカセットOBを、保守計画表に指定された最初の順序となる店舗(図1の例では、店舗A)に運搬する(図1(3))。
店舗Aにおいては、保守員は、現金処理装置にカセット1を装着し、金種1の余分な枚数の現金をカセット1に回収し(図1(4))、現金処理装置にカセット2を装着し、金種2の余分な枚数の現金をカセット2に回収する(図1(5))。この後、保守員は、2つのカセット1、カセット2を、保守計画表に従って、次の順序の店舗Bに運搬する(図1(6))。
店舗Bにおいては、保守員は、現金処理装置にカセット1を装着し、金種1の余分な枚数の現金をカセット1に回収し(図1(7))、現金処理装置にカセット2を装着し、金種2の余分な枚数の現金をカセット2に回収する(図1(8))。この後、保守員は、2つのカセット1、カセット2を、保守計画表に従って、次の順序の店舗Cに運搬する(図1(9))。
店舗Cにおいては、保守員は、現金処理装置にカセット1を装着し、金種1の不足している枚数の現金をカセット1から現金処理装置に装填し(図1(10))、現金処理装置にカセット2を装着し、金種2の不足している枚数の現金をカセット2から現金処理装置に装填する(図1(11))。この後、保守員は、2つのカセット1、カセット2を、保守計画表に従って、次の順序の現金管理センタ20に運搬する(図1(12))。
現金管理センタ20に到着した後には、保守員が持ち帰ったカセット1、カセット2から現金を取り出し(図1(13))、取り出した紙幣を計数し(図1(14))、計数した紙幣を金庫に入庫し(図1(15))、金庫に紙幣を保管する(図1(16))。これにより、一連の保守処理が終了する。
このように、本実施例に係る保守計画表に従って保守処理を行うようにすると、例えば、或る店舗の枚数が超過している現金処理装置から回収した紙幣を、別の店舗の枚数が不足している状態となっている現金処理装置に装填することができるので、現金管理センタに持ち帰って保管する紙幣枚数を低減することができるとともに、現金管理センタから持ち出す紙幣枚数を低減することができる。このため、現金管理センタでの紙幣の保管や管理に要する保管コストや金利コスト、紙幣を計数する作業コストを低減することができる。また、運搬するカセット数を低減したり、保守員の出動回数を低減したりすることも可能となる。
次に、本実施例に係る現金管理システムについて説明する。
図2は、実施例1に係る現金管理システムの構成図である。
現金処理システム100は、複数の店舗10に配置される複数の現金処理装置11と、現金管理センタ20に配置される現金管理装置30とを備える。現金処理装置11と、現金管理装置30とは、ネットワーク15を介して通信可能に接続される。ネットワーク15は、例えば、有線ネットワークであっても、無線ネットワークであっても、有線ネットワークと無線ネットワークとを含むネットワークであってもよい。
現金処理装置11は、例えば、複数の金種の紙幣の入金及び出金が可能な現金処理装置である。現金処理装置11は、例えば、所定の金種の紙幣を入出金可能な1以上の図示しないカセットを備えている。現金処理装置11は、調整用カセットOBを装着可能であり、調整用カセットOBから紙幣を計数しながら内部に取り込むことや、紙幣を計数しながら内部から調整用カセットOBへ紙幣を排出することが可能となっている。現金処理装置11は、通信部12を有している。通信部12は、ネットワーク15を介して現金管理装置30との間の通信を仲介する。現金処理装置11は、通信部12を介して、現金処理装置11が設置されている店舗の情報や、現金処理装置11の各種情報を送信する。現金処理装置11が送信する情報としては、例えば、現金処理装置11のカセット毎の金種と残枚数、金種毎の残枚数、現金処理装置11によるエンドユーザの取引に関する情報等がある。
現金管理装置30は、例えば、汎用サーバやPC(Personal Computer)等のコンピュータにより構成されており、通信部31と、制御部32と、メモリ33と、記憶装置34と、入力装置35と、表示装置36とを備える。通信部31、制御部32、メモリ33、記憶装置34、入力装置35、及び表示装置36は、内部バス37を介して接続されている。
通信部31は、例えば、有線LANカードや無線LANカードなどのインターフェースであり、ネットワーク15を介して他の装置(現金処理装置11)と通信する。
入力装置35は、例えば、マウス、キーボード等のユーザによる操作入力を受け付ける装置である。表示装置36は、例えば、ディスプレイ等の各種情報を表示出力する装置である。
制御部32は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、メモリ33及び/又は記憶装置34に格納されているプログラムに従って各種処理を実行する。
メモリ33は、例えば、RAM(RANDOM ACCESS MEMORY)であり、制御部32で実行されるプログラムや、必要な情報を記憶する。メモリ33は、制御部32により実行されることにより、有高情報取得部、緊急度判定部、及び移動時間情報取得部の一例としての情報取得部331と、調整量決定部及び保守計画生成部の一例としての保守計画算出部332と、出力部の一例としての結果出力部333と、作業内容記録処理部334とを構成するプログラム(現金管理プログラム)を記憶する。なお、図2においては、メモリ33に記憶されたプログラムを制御部32が実行することにより構成される各機能部を便宜的にメモリ33の内部に表記している。
情報取得部331は、現金処理装置11から各種情報を取得し、取得した情報を記憶装置34の店舗情報記録部341又は保守作業記録部342に格納する。保守計画算出部332は、店舗情報記録部341に格納されている情報に基づいて、保守計画表700(図4参照)を作成(算出)し、後述する保守作業記録部342に格納する。結果出力部333は、保守計画算出部332により作成された保守計画表を表示装置36に表示出力する。なお、結果出力部333は、保守計画表を現金管理装置30とは別の端末(例えば、保守作業者のモバイル端末等)に送信して表示させるようにしてもよい。作業内容記録処理部334は、情報取得部331が取得した作業内容を保守作業記録部342の保守計画表700に反映させる処理を行う。
記憶装置34は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などであり、制御部32で実行されるプログラムや、制御部32に利用されるデータを記憶する。本実施例では、記憶装置34は、店舗情報記録部341と、保守作業記録部342として機能する。店舗情報記録部341は、管理テーブル300を記憶する。また、保守作業記録部342は、保守計画表700を記憶する。
次に、管理テーブル300について詳細に説明する。
図3は、実施例1に係る管理テーブルの一例の構成図である。
管理テーブル300は、各店舗10の状況や、各店舗における現金処理装置11の状況を管理するためのテーブルである。管理テーブル300のエントリは、店舗301と、店舗緯度経度302と、設置現金処理装置303と、カセット毎の金種と残枚数304と、直近一時間における取引状況305と、店舗に対する回収装填要否と緊急度306と、回収装填の対象装置307とのフィールドを含む。
店舗301には、エントリに対応する店舗を識別するための情報(店舗識別情報)が格納される。店舗緯度経度302には、エントリに対応する店舗の緯度及び経度(位置情報の一例)が格納される。この緯度及び経度の情報は、複数の店舗間の移動ルートを作成するために使用される。なお、店舗緯度経度302に、緯度経度に代えて、店舗の住所を格納するようにしてもよい。この位置情報によると、例えば、地図データから得られる渋滞情報を特定することもでき、位置情報と渋滞情報とに基づいて、複数の店舗間の移動ルートを作成したり、移動時間を決定したりすることができる。なお、店舗の緯度経度の情報に代えて、例えば、複数の店舗間の全ての組合せに関する移動時間を事前に登録するようにし、その移動時間により、店舗間の移動時間を特定するようにしてもよい。
設置現金処理装置303には、エントリに対応する店舗に設置されている現金処理装置11を識別する識別情報が格納される。店舗301、店舗緯度経度302、設置現金処理装置303には、現金管理装置30において、予め情報を登録するようにしておき、対応する情報が変更された場合には、それに合わせて更新するようにすればよい。カセット毎の金種と残枚数304には、エントリに対応する現金処理装置11が保有する各カセットの金種と、残枚数に関する情報が格納される。図3の例では、現金処理装置11には、4つのカセット(カセット1〜4)が装着され、各カセットは、異なる金種(金種1〜4のいずれか)が管理される場合の例が示されており、カセット毎の金種と残枚数304は、カセット1の金種と残枚数304aと、カセット2の金種と残枚数304bと、カセット3の金種と残枚数304cと、カセット4の金種と残枚数304dとのフィールドを含む。
カセット1の金種と残枚数304aと、カセット2の金種と残枚数304bと、カセット3の金種と残枚数304cと、カセット4の金種と残枚数304dとにおいては、そのフィールドに対応するカセットの紙幣の残枚数が、想定されている適切な範囲(適切範囲)に収まっている場合には、「OK」が設定され、カセットの最大容量枚数に対して適切範囲の上限(例えば、85%)を超え、上限よりも高い第1割合(例えば95%)未満の紙幣が入っている場合には、「NearFull」が設定され、第1割合以上の紙幣が入っている場合には、「Full」が設定され、カセットの最大容量枚数に対して適切範囲の下限(例えば、15%)未満であり、且つ下限よりも低い第2割合(例えば5%)より多い紙幣が入っている場合には、「NearEmpty」が設定され、第2割合以下の紙幣しか入っていない場合には、「Empty」が設定される。また、本実施例においては、残枚数に関する情報として、「Full」、「Empty」を設定する場合には、カセットは、紙幣の回収又は装填の対象となるため、そのカセットの残枚数の値も合わせて格納される。
なお、「OK」、「Full」、「NearFull」、「Empty」、「NearEmpty」を判断する閾値は任意に設定してもよい。残枚数に関する設定は、情報取得部331が、入出金枚数に基づいて残枚数を算出し、算出された残枚数と、カセットの最大容量枚数に対して閾値(割合)を掛けた値とを比較することにより決定する。なお、カセットの残枚数は、カセット自身の物理的なセンサーからの情報を取得して特定するようにしてもよい。また、図3では、1カセットに1金種を装填する例を示しているが、例えば、同一金種を複数カセットに装填する場合においては、カセット毎ではなく、金種ごとの残枚数に関する情報としてもよい。
直近1時間における取引状況305は、取引件数305aと、カセット1取引傾向305bと、カセット2取引傾向305cと、カセット3取引傾向305dと、カセット4取引傾向305eとのフィールドを含む。取引件数305aには、エントリに対応する店舗における全ての現金処理装置で直近の1時間に実施された取引件数が格納される。カセット1取引傾向305bと、カセット2取引傾向305cと、カセット3取引傾向305dと、カセット4取引傾向305eとには、それぞれのフィールドに対応するカセット(金種)についての直近の1時間における取引傾向が格納される。取引傾向としては、1時間前の残枚数と現在の残枚数との差分が、所定の範囲である場合には「バランス」が設定され、1時間前の残枚数よりも現在の枚数が所定数よりも多くなっている場合には、「入金過多」が設定され、1時間前の残枚数よりも現在の枚数が所定数よりも少なくなっている場合には、「出金過多」が設定される。なお、本実施例では、直近の1時間としているが、時間幅は任意の値に設定してもよい。また、図3では、1カセットに1金種を装填する例を示しているが、例えば、同一金種を複数カセットに装填する場合は、カセットの取引傾向のフィールド(305b〜305e)ではなく、金種毎の取引傾向のフィールドとしてもよい。
店舗に対する回収装填要否と緊急度306は、カセット1の回収装填要否と緊急度306aと、カセット2の回収装填要否と緊急度306bと、カセット3の回収装填要否と緊急度306cと、カセット4の回収装填要否と緊急度306dとのフィールドを含む。
カセット1の回収装填要否と緊急度306aと、カセット2の回収装填要否と緊急度306bと、カセット3の回収装填要否と緊急度306cと、カセット4の回収装填要否と緊急度306dとには、店舗301と、店舗緯度経度302と、設置現金処理装置303と、カセット毎の金種と残枚数304と、直近一時間における取引状況305とに設定された情報に基づいて、情報取得部331により算出された、店舗の金種毎についての回収装填の要否及びその緊急度が設定される。例えば、緊急度は、カセットの残枚数が「Full」であり、取引状況が「入金過多」であり、かつ取引件数が所定数以上の多い場合には、緊急度が高く設定される。この緊急度を参照することにより、早急に過剰分を回収すべきと判断できる。なお、図3では、1カセットに1金種を装填する例を示しているが、例えば、同一金種を複数カセットに装填する場合は、カセットの回収装填要否と緊急度のフィールド(306a〜306d)ではなく、金種毎の回収装填要否と緊急度のフィールドとしてもよい。
回収装填の対象装置307は、カセット1の回収装填要否307aと、カセット2の回収装填要否307bと、カセット3の回収装填要否307cと、カセット4の回収装填要否307dとフィールドを含む。
カセット1の回収装填要否307aと、カセット2の回収装填要否307bと、カセット3の回収装填要否307cと、カセット4の回収装填要否307dとには、フィールドに対応する現金処理装置11の対応するカセットに対する回収装填可否の情報が格納される。カセットの回収装填要否(307a〜307d)には、カセット毎の金種と残枚数304と、店舗に対する回収装填要否と緊急度306との情報に基づいて、情報取得部331が算出した回収装填可否の情報が設定される。
上記した、カセット毎の金種と残枚数304と、直近一時間における取引状況305と、店舗に対する回収装填要否と緊急度306と、回収装填の対象装置307との各情報は、情報取得部331が通信部31を介して各現金処理装置11から取得した情報に基づいて設定される。
次に、保守計画表700について詳細に説明する。
図4は、実施例1に係る保守計画表の一例の構成図である。図4は、作成されて作業が実行されていない時点における保守計画表を示している。
保守計画表700は、回収装填用カセットを運搬する店舗の順序(ルート)を規定するとともに、各店舗における調整処理の内容を規定する表である。保守計画表700は、出発地となる現金管理センタ20と、ルートに含まれる店舗10とに対応するエントリを含む。保守計画表700においては、各拠点に対応するエントリが、ルートの順序に従って先頭から順番に並べられて配置されている。
保守計画表700のエントリは、ルート701と、作業の目安時刻702と、実際の作業時刻703と、作業対象の現金処理装置704と、実施すること705と、回収装填用カセット706と、計画作成時の現金処理装置の残枚数707と、適切な初期装填枚数708と、計画紙幣枚数709と、実行紙幣枚数710と、回収装填用カセットの残枚数711とのフィールドを含む。
ルート701には、回収装填用カセットを運搬するルートの拠点(現金管理センタ20、店舗等)を識別する情報(拠点名)が格納される。図4に示す保守計画表700によると、各エントリのルート701を参照することにより、現金管理センタ20を出発して、店舗A、店舗B、店舗Xの順番に回り、最後に現金管理センタ20に戻ることがわかる。
作業の目安時刻702には、エントリに対応する拠点における作業が開始される目安となる時刻が格納される。実際の作業時刻703には、エントリに対応する拠点における実際に作業が開始された時刻が格納される。作業対象の現金処理装置704には、回収又は装填の作業対象となる現金処理装置11の識別情報が格納される。実施すること705には、エントリに対応する拠点(及び現金処理装置)における作業内容(準備、回収、装填、紙幣計数等)が格納される。
回収装填用カセット706は、組合せ706aと、実際のカセットNo.706bとのフィールドを含む。組合せ706aには、エントリに対応する作業で使用する回収装填用カセットが、用意されている回収装填用カセットのいずれであるかを示す情報が格納される。具体的には、現金管理センタ20から搬送されるカセットが複数ある場合には、現金管理センタ20に対応し、且つそれぞれのカセットに対応するエントリにおける組合せ706aには、それぞれを区別可能な情報が格納される。図4の例では、現金管理センタ20で準備する3個のカセット「A」、「B」、「C」(1〜3番目のエントリ参照)について、回収装填用カセット「A」は、店舗AのA001の現金処理装置11から金種2を回収するために使用され(4番目のエントリ参照)、店舗BではB002の現金処理装置11に金種2を装填するために使用される(6番目のエントリ)ことを示している。同様に、回収装填用カセット「B」は、店舗BのB001の現金処理装置11から金種1を回収するために使用され(5番目のエントリ)、店舗XのX001の元気処理装置11に金種1を装填するために使用される(8番目のエントリ)ことを示している。また、紙幣カセット「C」は、店舗BのB003の現金処理装置11から金種1を回収することに使用され(7番目のエントリ)、店舗XのX002の現金処理装置11に金種1を装填するために使用される(9番目のエントリ)ことを示している。
実際のカセットNo.706bには、エントリに対応する作業で実際に使用されたカセットの識別番号(カセットNo.)が格納される。
計画作成時の現金処理装置の残枚数707には、計画作成時(この保守計画表700を最初に作成した時)における回収又は装填対象の現金処理装置11における紙幣の残枚数が格納される。本実施例では、計画作成時の現金処理装置11の残枚数707は、カセット1残枚数707aと、カセット2残枚数707bと、カセット3残枚数707cと、カセット4残枚数707dとのフィールドを含む。カセット残枚数のフィールド(707a〜707d)には、それぞれのフィールドに対応するカセット(金種)における計画作成時の紙幣の残枚数が格納される。
適切な初期装填枚数708には、回収又は装填対象の現金処理装置11において回収又は装填した後において適切な装填枚数(初期装填枚数)が格納される。本実施例では、適切な初期装填枚数708は、カセット1初期装填枚数708aと、カセット2初期装填枚数708bと、カセット3初期装填枚数708cと、カセット4初期装填枚数708dとのフィールドを含む。カセット初期装填枚数のフィールド(708a〜708d)には、それぞれのフィールドに対応するカセット(金種)における適切な初期装填枚数が格納される。
計画紙幣枚数709には、現金処理装置11に対して調整する枚数(回収する枚数又は装填する枚数)が格納される。本実施例では、計画紙幣枚数709は、カセット1計画枚数709aと、カセット2計画枚数709bと、カセット3計画枚数709cと、カセット4計画枚数709dとのフィールドを含む。カセット計画枚数のフィールド(709a〜709d)には、それぞれのフィールドに対応するカセット(金種)についての計画上の調整枚数が格納される。計画紙幣枚数709の各フィールドの値は、適切な初期装填枚数708の各フィールドの値と、計画作成時の現金処理装置の残枚数707の各フィールドの値との差分を取ることにより求められて設定される。
実行紙幣枚数710には、保守作業において現金処理装置11に対して実際に調整した枚数(実行枚数)が格納される。本実施例では、実行紙幣枚数710は、カセット1実行枚数710aと、カセット2実行枚数710bと、カセット3実行枚数710cと、カセット4実行枚数710dとのフィールドを含む。カセット実行枚数のフィールド(710a〜710d)には、それぞれのフィールドに対応するカセット(金種)についての実行枚数が格納される。実行紙幣枚数710の各フィールドの値は、計画紙幣枚数709の各フィールドの値を目標に、それぞれのフィールドに対応するカセット(金種)についての実行枚数が格納される。
回収装填用カセットの残枚数711には、エントリに対応する保守作業実行後における回収装填用カセット内に残っている金種毎の枚数が格納される。本実施例では、回収装填用カセットの残枚数711は、金種1残枚数711aと、金種2残枚数711bと、金種3残枚数711cと、金種4残枚数711dとのフィールドを含む。金種残枚数の各フィールド(711a〜711d)には、各フィールドに対応する金種のエントリに対応する保守作業実行後の残枚数が格納される。
図4に示す保守計画表700の例は、現金管理センタ20で回収装填用カセットを3個準備し、店舗A、店舗B、店舗Xとまわり、現金管理センタ20に戻ってくるという計画を示している。また、金種1については、店舗Bの2台の現金処理装置11から現金を回収し、その回収した金種1を店舗Xの2台の現金処理装置11に装填する計画を示している。また、金種2については、店舗Aの1台の現金処理装置11から回収し、その回収した金種2を店舗Bの1台の現金処理装置11に装填する計画を示している。また、現金管理センタ20に回収装填用カセットを3個持ち帰り、その回収装填用カセット内の紙幣を計数する計画を示している。
次に、現金管理装置30による処理動作について説明する。まず、管理テーブル作成処理について説明する。
図5は、実施例1に係る管理テーブル作成処理のフローチャートである。
管理テーブル作成処理は、店舗情報記録部341に記録されている管理テーブル300に各種値を設定し、店舗ごとの紙幣の調整(回収又は装填の少なくとも一方)の緊急度を決定して設定する処理である。ここで、現金処理装置11が入出金可能な装置である場合には、出金のみを行う現金処理装置とは異なり、紙幣溢れや紙幣切れが一次的に発生しても、入金取引や出金取引が行われることにより回復する可能性がある。また入出金可能な現金処理装置を複数台設置している店舗において、現金処理装置間の残高にアンバランスが発生する可能性があるが、この場合は、1台の現金処理装置で紙幣溢れや紙幣切れが発生しても、直ちに紙幣の調整を実施する必要が無いケースがある。このため、管理テーブル作成処理においては、店舗に設置している全ての現金処理装置11の残枚数と取引傾向、取引件数から紙幣の調整の要否判断を行って、その緊急度を決定し、管理テーブル300に設定する。以下に、具体的な処理を説明する。
なお、この管理テーブル作成処理の前においては、すでに管理テーブル300のテーブル構成が設定され、予め設定しておくべきフィールド(例えば、店舗301、店舗緯度経度302、設置現金処理装置303等のフィールド)には、それぞれのフィールドに対応する値が設定されているものとする。
ステップS401では、現金管理装置30の情報取得部331は、全店舗の全現金処理装置11の金種ごとの残枚数の情報を取得し、管理テーブル300の店舗及び現金処理装置に対応する各エントリのカセット毎の金種と残枚数304に設定する。なお、残枚数が少なければ、紙幣切れ発生の可能性が高くなるので紙幣装填をした方がよいことを意味し、また、残枚数が多ければ、紙幣溢れ発生の可能性が高くなるので紙幣回収をした方がよいことを示している。
ステップS402では、情報取得部331は、全店舗の全現金処理装置11の金種ごとの直近(例えば、直近の1時間)における取引情報(過去(期間の開始前(本例では、1時間前))の有高(残高)、現在の有高(残高))を取得し、取得した取引情報に基づいて、全店舗における各金種の取引傾向(取引トレンド)を決定し、各金種の取引傾向に対応する取引状況の情報を、エントリのカセット1取引傾向305b、カセット2取引傾向305c、カセット3取引傾向305d、及びカセット4取引傾向305eに格納する。
ここで、取引トレンドの決定方法としては、以下の式(1)により算出することができる。
取引トレンド[%]=(過去の有高−現在の有高)/取引枚数上限×100・・・(1)
なお、取引トレンドの値が正であれば、出金傾向であることを示し、取引トレンドの値が負であれば、入金傾向であることを示す。
そして、情報取得部331は、取引トレンドが所定の値の範囲(例えば、−20%以上20%以下)であれば、取引状況を「バランス」と判定し、取引トレンドが−20%未満である場合には、「入金過多」と判定し、取引トレンドが20%を超える場合には、「出金過多」と判定する。ここで、取引状況が出金過多である場合には、時間が経過すると現金処理装置において紙幣切れが発生する可能性が高いため、紙幣装填をした方がよいことを示している。また、取引状況が入金過多である場合には、時間が経過すると現金処理装置において紙幣溢れが発生する可能性が高いため、紙幣回収をした方が良いことを示している。
ステップS403では、情報取得部331は、全店舗の全現金処理装置11の金種ごとの直近(例えば、直近の1時間)における取引件数の情報を取得し、取得した取引件数を各店舗に対応するエントリの取引件数305aに設定する。この取引件数によると、例えば、その店舗全体で取引件数が多ければ、それだけ取引をしたい顧客の待ち時間が長くなっていて、顧客に迷惑がかかるため、紙幣装填をした方がよいことや、紙幣回収をした方がよいということがわかる。
ステップS404では、情報取得部331は、ステップS401で取得した残高枚数と、ステップS402で算出した取引トレンドと、ステップS403で取得した取引件数とに基づいて、調整に関する緊急度を算出し、算出した緊急度に基づいて調整の要否(回収要又は装填要)を決定する。例えば、緊急度が所定の閾値(例えば、80%)を超えた場合に、調整要(回収要又は装填要)と決定し、緊急度がより高い場合には、緊急とする。次いで、情報取得部331は、緊急度と、対応する調整の要否とをカセットの回収装填要否と緊急度のフィールド(306a〜306d)に設定する。次いで、情報取得部331は、カセットの回収装填要否と緊急度のフィールド(306a〜306d)の内容と、ステップS401で取得した残高枚数とに基づいて、各カセット(本例では、金種)の調整(回収、装填)の要否を決定し、決定した調整の要否をカセットの回収装填要否(307a〜307d)に格納する。この処理においては、ステップS401で取得した残高枚数の状態が「Full」や「Empty」の現金処理装置11が存在していたとしても、緊急度が調整要否の閾値以下の場合には、カセットの回収装填要否と緊急度のフィールド(306a〜306d)には、不要が設定される。
ここで、ステップS401で取得した残高枚数(有高情報)と、ステップS402で算出した取引トレンド(取引傾向)と、ステップS403で取得した取引件数とに基づいて、各店舗の各金種別の調整に関する緊急度を算出する方法の一例を説明する。本実施例では、各店舗の各金種別の調整に関する緊急度として、回収(現金処理装置における入金不可への対応)に関する緊急度と、装填(現金処理装置における出金不可への対応)に関する緊急度との双方を以下の式(2)により算出している。
調整に関する緊急度[%]=(α×A+β×B+γ×C)÷(α+β+γ)・・・(2)
ここで、Aは、回収に関する緊急度の場合には、入金トレンド(式(1)参照)であり、装填に関する緊急度の場合には、出金トレンド(式(1)参照)である。Bは、金種ごとの平均取引可能指標(平均出金可能指標又は平均入金可能指標)である。Cは、顧客による利用状況(顧客利用状況)である。α、β、γは、それぞれ重みである。
平均取引可能指標Bは、装填に関する緊急度を計算する場合には、以下の式(3)により算出され、回収に関する緊急度を計算する場合には、式(4)により算出される。
平均取引可能指標(平均出金可能指標)「%」=1−(店舗の出金可能枚数)÷(現金処理装置の出金用の収容可能最大枚数×現金処理装置台数)×100 ・・・(3)
平均出金可能指標は、出金可能な紙幣が多く、出金が余裕であればあるほど0[%]に近づき、出金可能な紙幣が少なく、出金の余裕がなくなるほど100[%]に近づく。
平均取引可能指標(平均入金可能指標)[%]=1−(店舗の入金可能枚数)÷(現金処理装置の入金用の収容可能最大枚数×現金処理装置台数)×100 ・・・(4)
ここで、入金可能枚数、入金用の収容可能最大枚数には、現金処理装置に破損紙幣等を回収するための紙幣非還流カセットがある場合には、紙幣非還流カセットも考慮に入れた値である。なお、各カセットの入金可能枚数は、カセットの最大収容可能枚数から有高を減算することにより算出することができる。
顧客利用状況Cは、装填に関する緊急度を計算する場合には、以下の式(5)により算出され、回収に関する緊急度を計算する場合には、式(6)により算出される。
顧客利用状況C[%]=出金可能現金処理装置の取引件数÷(出金可能現金処理装置の台数×最大取引件数)×100 ・・・(5)
顧客利用状況C[%]=入金可能現金処理装置の取引件数÷(入金可能現金処理装置の台数×最大取引件数)×100 ・・・(6)
この顧客利用状況Cは、値が高くなるほど、現金処理装置で行わなければならない取引件数が多い、すなわち、顧客の待ち時間が長期化することを意味している。したがって、この顧客利用状況Cが高い場合には、顧客の待ち時間を長期化させないという観点では、現金処理装置の調整を早期に行うことが好ましいことを示しているといえる。
次に、保守計画処理について説明する。
図6は、実施例1に係る保守計画処理のフローチャートである。
保守計画処理は、例えば、所定の時間ごと、又は管理者からの指示があった場合等に実行される。ステップS501では、保守計画算出部333は、店舗情報記録部703の管理テーブル300から、紙幣を調整すべき店舗及び現金処理装置と現在の残枚数と調整すべき金種、その店舗における調整に関する緊急度との情報を取得する。
ステップS502では、保守計画算出部332は、紙幣を調整すべき現金処理装置の金種に対して、回収装填用カセットの個数、及び適切な初期装填枚数を決定する。なお、ここで決定した回収装填用カセットの個数、及び適切な初期装填枚数は、仮の値であり、最終的には変更される可能性がある。回収装填用カセットの個数及び適切な処理装填枚数の決定方法としては、将来に渡る入出金取引枚数を予測して決定する方法や、何らかの条件を考慮して事前に枚数を決定しておく方法などが考えられる。前者の方法においては、予定される保守作業時刻を踏まえて初期装填枚数を決定することができる。また、適切な初期装填枚数とは、利用者の考えや運用規定によるものであるので、例えば一定期間(1日、3日間、1週間等)、紙幣溢れや紙幣切れが発生しない枚数としてもよい。
例えば、回収装填用カセットの個数を決定する方法としては、回収装填用カセットの装填可能枚数情報と、(a)紙幣調整が必要な各々のカセットで調整する枚数、(b)店舗ごとで、各カセットの調整を全て完了した後の差し引きの調整枚数、及び(c)全ての店舗を回った後の差し引きの調整枚数とに基づいて決めてもよい。例えば、回収装填用カセットの装填可能枚数が1000枚である場合、一度に1000枚以上の調整ができないため、(a)について各カセットのうちの最大の調整枚数が1000枚を超える場合は、回収装填用カセットは2つ以上必要になる。また、(b)について、店舗に到着した時点と、店舗内のカセットの全ての調整を終えた後との紙幣の差分が1000枚以上ある場合も、回収装填用カセットは1つでは足りないと判断できる。また、(c)について、1店舗目に向かう保守開始時と、各店舗を回り終わった保守終了時との紙幣の差分が1000枚以上ある場合も回収装填用カセットは1つでは足りないと同様できる。よって、(a)〜(c)のすべてについて考慮することで、回収装填可能な回収装填用カセットの個数を推定できる。なお、この個数は後述する処理により変更される可能性がある。
ステップS503では、保守計画算出部332は、ステップS501で把握した現金処理装置の残枚数と、ステップS502で決定した初期装填枚数との差分を紙幣の調整する枚数(回収又は装填する枚数)に決定する。
ステップS504では、保守計画算出部332は、ステップS501〜ステップS503までに得られた各種情報を用いて、所定の条件に対応するように保守計画表700を作成する保守計画表作成処理(図7参照)を実行する。
作成する保守計画表の条件としては、例えば、現金管理センタ20で準備する回収装填用カセット数を少なくすること、現金管理センタ20で準備して持ち出す紙幣枚数を少なくすること(例えば、所定枚数以下とすること)、現金管理センタ20に持ち帰る紙幣枚数を少なくすることの少なくとも1つがある。また、いずれか1以上の条件に代えて、又は加えて、少ない輸送車両台数で保守作業を行えることや、紙幣の調整に関する緊急度を加味した順序で各店舗間を移動するようにすることや、保守作業が保守員の就業時間内で完了すること等の条件を加えてもよい。また、保守計画表の条件としては、保守作業が所定の時間以下となること(例えば、最短となること、すなわち、最短時間で現金管理センタに戻ってくること)を条件の1つとしてもよい。また、保守計画表の条件としては、搬送する回収装填用カセットの個数が所定値以下となること(例えば、回収装填用カセットが最少となること)を条件の1つとしてもよい。
これを実現するために、例えば、回収装填用カセット1個あたりの収容可能枚数を踏まえ、紙幣回収を行う現金処理装置の金種とその回収枚数と、紙幣装填を行う現金処理装置の金種とその装填枚数との組合せを作成する。その組合せを作成する条件として、輸送車両台数と紙幣回収装填作業の緊急度、店舗間の移動時間、現金処理装置で回収装填する作業時間、保守員の就業時間等々があり、その条件を付与して店舗を回る順序を含む、保守計画を作成する。付与する具体的な条件としては、例えば使用できる輸送車両台数は2台、紙幣回収装填作業の緊急度が高い店舗Aを優先して、13:00時までに対象となっている全ての現金処理装置の保守作業を終えるなどとしてもよく、保守計画算出部332は、これら条件を満たし、店舗を回る順序を含む保守計画表を作成する。なお、保守計画算出部332は、与えられた条件を満たす保守計画表を作成できない場合は、どの条件を変更すれば保守計画表を作成することができるかについてのアドバイスを表示装置36に表示するようにしてもよい。
次に、ステップS504の保守計画表作成処理についてより詳細に説明する。
図7は、実施例1に係る保守計画表作成処理のフローチャートである。
ステップS601では、保守計画算出部332は、現金管理センタ20から持ち出す紙幣枚数がゼロに近くなる、かつ現金管理センタ20に持ち帰る紙幣枚数がゼロに近くなるような回収枚数と、装填枚数との組合せを作り、店舗を回る順序を決める。なお、同一店舗を複数回に渡って回る順序としてもよい。例えば、運用者と保守会社との契約内容が現金処理装置1台/1回あたりに対して運用者が保守会社に保守費用を支払う内容である場合には、同一店舗を複数回に渡って回っても支払金額は変わらないので、同一店舗を複数回回るような順序を決定してもよい。一方、運用者と保守会社との契約内容が移動距離や作業時間、あるいは店舗を回る回数に依存して保守費用を支払う内容である場合には、同一店舗を複数回に渡り回ると、保守会社への支払金額が増加してしまうので、同一店舗を複数回回るような順序を決定しないようにしてもよい。このように運用者と保守会社との契約内容にも依存するため、これらの契約内容パターンを複数種類想定して、保守計画算出部332は、複数の店舗を回る順序を決定して記憶するようにしてもよい。
また、店舗を回る順序としては、現金管理センタ20から出発して、対象の全ての店舗10を回って現金管理センタ20に戻るような一通りの順序であってもよく、また、現金管理センタ20から出発して、対象の一部の複数の店舗を回って現金管理センタ20に戻る順序と、現金管理センタ20から出発して、対象の残りの複数の店舗を回って現金管理センタ20に戻る順序との二通りの順序、例えば、1通り目が、現金センタ⇒店舗A⇒店舗D⇒店舗C⇒現金センタとする順序であり、二通り目が、現金センタ⇒店舗B⇒店舗E⇒現金センタとする順序であってもよい。
ステップS602では、保守計画算出部332は、ステップS601で作成した店舗を回る順序に対して、現金の調整に関する緊急度が高い店舗を優先的に回るようにする見直しを実施する。例えば、見直した順序では、当初の順序に対して、現金管理センタから持ち出す紙幣枚数と現金管理センタに持ち帰る紙幣枚数が大きくなってしまう場合は、見直し前と見直し後との店舗を回る順序と、その際に予定される現金管理センタから持ち出す紙幣枚数と現金管理センタに持ち帰る紙幣枚数との情報を表示装置36に出力するようにし、いずれの順序とするかを運用者に選択させるようにしてもよい。あるいは、現金管理センタから持ち出す紙幣枚数と現金管理センタに持ち帰る紙幣枚数の許容枚数を事前に設定しておき、その許容枚数内であれば、見直し後の店舗を回る順序を保守計画表における順序に決定してもよい。また、見直し前の店舗を回る順序を保守計画表とする順序に決定する場合には、緊急度が高い店舗の現金処理装置への調整枚数を当初の枚数から微調整(例えば、回収する場合には、回収枚数を増やしたり、装填する場合には、装填枚数を増やしたり等)してもよい。
ステップS603では、保守計画算出部332は、ステップS602で決定した店舗を回る順序に対して、現金管理センタから最初の店舗への移動時間、順序に従った各店舗間の移動時間、最後の店舗から現金管理センタへの移動時間、各店舗での作業時間を算出し、合計の作業時間を算出する。現金管理センタと店舗、又は店舗間の移動時間は、例えば、管理テーブル300の各店舗に対応するエントリの店舗緯度経度302の緯度経度を利用し、地図データから交通状況を加味して算出するようにしてもよい。あるいは、現金管理センタと店舗間と、各店舗間の移動時間を予め登録しておき、その登録されている情報に基づいて移動時間を決定してもよい。なお、ステップS603において、合計の作業時間が、事前に条件として登録している保守員の作業時間(例えば、保守員の1日の作業時間8時間、午前中の作業時間3時間、あるいは午後の作業時間4時間)を超過する場合には、ステップS601に戻って、店舗を回る別の順序を新たな順序として、処理を継続するようにしてもよい。この時に新たな店舗を回る順序と、その順序における合計の作業時間と、直前の店舗を回る順序と、その順序における合計の作業時間とを出力し、運用者にいずれの順序を採用するかを選択させてもよい。なお、実運用においては、直前の店舗を回る順序に決定する場合、この順序では作業時間が超過しているので、運用者と保守会社との契約内容にもよるが、運用者は保守会社に対して事前の調整が必要となる場合がある。
ステップS604では、保守計画算出部332は、事前に登録されている使用できる保守会社の車両台数と保守員の就業時刻とに基づいて、ステップS603までに決定した店舗を回る順序における各作業の作業時刻の目安を決定する。例えば、車両台数が1台、保守員の就業時刻が9:00〜12:00、13:00〜17:00、店舗を回る順序が2通りの場合には、現金管理センタ⇒店舗B⇒店舗E⇒現金管理センタとする保守作業を午前中の作業として、時刻の目安を決定し、現金管理センタ⇒店舗A⇒店舗D⇒店舗C⇒現金管理センタとする保守作業を午後の作業として、時刻の目安を決定するようにしてもよい。一方、車両台数が2台の場合は、2通りともに午前中の作業として時刻の目安を決定するようにしてもよい。保守会社の車両台数と保守員の就業時刻とに従うと、各店舗を回ることができない場合、各店舗を回るために必要な車両台数、あるいは、保守員の就業時刻を出力し、運用者に知らせるようにしてもよい。なお、車両台数と保守員の就業時刻とを順守しなければならない場合は、保守計画算出部332は、この条件を付与してステップS601からの処理を再度実行する。なお、このように再度処理を開始する場合には、直前までのステップS601〜S604の結果と、再度処理後のステップS601〜S604の結果とを出力し、いずれの順序を使用するかを運用者に選択させるようにしてもよい。
ステップS605では、保守計画算出部332は、ステップS604までの処理で決定した店舗を回る順序を実行するために必要となる現金管理センタで準備する回収装填用カセットの数と、持ち出す紙幣枚数とを決定する。次いで、保守計画算出部332は、ステップS601〜ステップS605で決定した内容の保守計画表700を作成し、保守作成表700を保守作業記録部342に格納するとともに、保守計画表700を表示装置36に表示させる。なお、ステップS601〜S605の処理において、何を重要視し、優先するかは、運用者の運用規定や考え、あるいは運用者と保守会社との契約に依存する。そのため、ステップS601〜S605の処理の内容や順序は、一例であり、重要視する内容により、その処理内容や処理順序を変更してもよい。
次に、作成された保守計画表700に基づく保守作業の実行、及び保守計画表700への保守作業の実行内容の反映について説明する。
図8は、実施例1に係る保守作業の実行内容が反映された保守計画表を示す図である。
図8に示す保守計画表700は、図4に示す保守計画表700に従って保守作業が実行された場合の例を示している。
保守計画表700への作業結果反映は、入力又は受信された作業内容に基づいて、作業内容記録処理部334が、保守作業記録部342の保守計画表700を更新する。作業内容は、例えば、現金管理装置30の入力装置35を介して保守員等に入力されたり、現金処理装置11から送信されたり、或いは、保守員が所持するモバイル端末(図示せず)のアプリケーションを介して、現金管理装置30に送信されたりする。
保守員は、保守計画表700の各エントリのルート701を上から参照して、今回の保守作業で回る経路を確認することができる。現金管理センタ20においては、保守員は、現金管理センタ20に対応するエントリに含まれている数の回収装填用カセットを用意する必要がある。そして、保守員は、入力装置35等を介して、用意したそれぞれの保守装填用カセットの実際のカセットNo.を入力する。入力装置35を介してカセットNo.が入力されると、作業内容記録処理部334は、入力されたNo.を現金管理センタに対応するエントリの実際のカセットNo.706bに設定し、さらに、他のエントリにおける実際のカセットNo.706bについて、組合せ706aの値が同じエントリであれば、同じカセットNo.が設定されるようにする。これにより、保守計画表700を参照すると、各店舗において、どの回収装填用カセットをどの現金処理装置に接続すればいいかを適切に把握することができる。
また、現金管理センタ20においては、保守員は、用意した回収装填用カセットに収容させておくべき現金があるかどうかを作業計画表700の計画作成時の現金処理装置の残枚数707の値を参照して把握し、0以外の数値が入っていれば、対応する回収装填用カセットに、その数値の枚数の現金を収容させる。これにより、現金管理センタから出発する準備が完了する。なお、現金管理センタに対応するエントリの実際の作業時刻703には、例えば、保守員により入力された時刻が、作業内容記録処理部334により設定される。
以降は、作業計画表700に従って、各店舗を回り、各店舗においては、回収装填用カセットを作業計画表700の作業対象の現金処理装置704の値に対応する現金処理装置に接続し、実施すること705に対応する作業を実施することとなる。作業においては、その作業に対応するエントリの計画紙幣枚数709の値を参照することにより、調整する紙幣枚数を特定でき、その紙幣枚数を回収又は装填する。例えば、保守員が作業を行うことにより、各現金処理装置11では、回収又は装填された現金の枚数を現金管理装置30に通知し、通知を受けた現金管理装置30の作業内容記録処理部334が、作業計画表700の実行紙幣枚数710に、調整された紙幣の枚数を格納することとなる。また、作業内容記録処理部334は、実行紙幣枚数710が設定されると、それに基づいて、回収装填用カセットの残枚数711を実行紙幣枚数710の値に基づいて更新する。なお、最後の店舗の実行紙幣枚数710が設定されると、作業内容記録処理部334は、最後の順序の現金管理センタに対応するエントリの回収装填用カセットの残枚数711を、各回収装填用カセットのその時点の値に更新する。
このように各店舗を回った後に、現金管理センタに戻ると、保守員は、各回収装填用カセットから紙幣を取り出して、計数し、計数結果と、現金管理センタに対応するエントリの回収装填用カセットの残枚数711の各値とを突き合わせ、これらが一致していることを確認した後、各紙幣を金庫に入庫する。これにより、一連の保守作業が完了することとなる。
上記したように本実施例によれば、予め設定した条件に基づいて、その条件に適切な店舗を回る順序を含む作業計画表700を作成し、出力することができる。このため、この作業計画表700に従って保守作業を行うことにより、条件に適合する保守作業を適切に行うことができる。例えば、現金管理センタ20から持ち出す紙幣枚数がゼロに近くなる、かつ現金管理センタ20に持ち帰る紙幣枚数がゼロに近くなるように店舗を回る順序の作業計画表を作成することができ、この作業計画表に従って保守作業を行うことにより、現金管理センタ20から持ち出す紙幣枚数を低減でき、かつ現金管理センタ20に持ち帰る紙幣枚数を低減でき、現金管理センタにおける保管コストや金利コスト、紙幣を計数する作業コストを低減することができる。