JP6942911B2 - 地中杭引き抜き用杭保持体および該保持体を用いた地中杭引き抜き工法 - Google Patents
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1.杭にワイヤー掛けする方法のため、杭小片等は引き抜くことができず撤去することができない。
2.杭が地中に残されて小片となっていることを確認できない。
3.油圧シリンダーなどを用いた大型の装置が必要である。
本発明は以上に鑑み、上記問題点を解決するために発明されたものである。
上下開放の基筒を設けるとともに該基筒側面に平面視対称位置に空隙部を設け、該基筒外周面に沿って上下にスライド移動可能なる筒体よりなる可動筒を基筒外方に設け、基筒の下部外面にて適宜支持部材にて回動可能に上向きに軸支される一対の杭保持アームを上記空隙部内に設け、可動筒外面に一対の上向きのサポートアーム下部を、上記空隙部内であるとともに上記杭保持アーム両脇に適宜支持部材にて回動可能に軸支にて設け、上記杭保持アームとサポートアーム上部近傍を互いに貫通する軸にて、杭保持アームとサポートアームを互いに回動可能に軸支し、一方、上記の杭保持アームとサポートアームの平面視位置とは別位置の可動筒側面に上下に延びた長穴状の空隙を設けるとともに、基筒外周面にストッパーを突設し、該ストッパーを可動筒側面に上下に延びた長穴状の空隙内に位置させることにより、基筒に対する可動筒の昇降にて杭保持アーム先端間距離の可変を可能とするよう構成したことを特徴とする地中杭引き抜き用杭保持体である。
1.埋設されている地中杭の上方地盤を掘削して杭頭を露出させる第一工程。
2.杭位置まで杭引き抜き機を移動し、足場を養生する第二工程。
3.オーガーケ−シングを杭周に建て込み、オーガーケーシングの鉛直度を確認する第三工程。
4.オーガーケーシング下端から水を噴出しながら杭周を掘削する第四工程。
5.掘削深度を確認しながら杭と地中面とのえん切りを確認する第五工程。
6.オーガーケーシングを地中より引き上げる第六工程。
7.オーガーケーシング下端に、玉掛けワイヤーをセットして地中に落とし込み、ワイヤーが杭に掛かったことを確認し、地中杭を引き抜く第七工程。
8.地中杭が破砕され、ワイヤー掛けにて杭を引き抜くことが困難な場合において、請求項1にて示した地中杭引き抜き用杭保持体をワイヤーで吊下しつつ、該保持体内に地中杭が位置するよう適正深度まで落とし込み、該保持体を引き上げることにて該保持体に設けた杭保持アームに地中杭が保持されて、この地中杭を地中から引き上げる第八工程。
9.引き抜いた後の孔を埋め戻す第九工程。
以上の各工程よりなることを特徴とする杭引き抜き用杭保持体を用いた地中杭引き抜き工法である。
1.地中杭に直接ワイヤーを掛ける従来法では引き抜くことが困難な破砕杭を引き抜くことができる。
2.対向する杭保持アームが破砕した地中杭側面に接して、杭の自重にて該アームを接近する方向へと付勢されるので、安全確実に地中杭を保持して引き抜くことができる。
3.筒体とアームにて主要部を構成したので、引き上げた小片や土をすみやかに確認して除去することができる。
4.筒体とアームにて構成したので、構造が単純かつ製作費用負担を少なくすることができる。
従来手段による地中杭引き抜き手順:
1.地盤掘削および逃げ芯セット(図2−a,b)
バックホウで杭上方の地面を掘削して杭頭を露出させる。杭芯が不明となる恐れのあるときは、逃げ芯を2箇所以上設ける。地盤崩落の危険がある場合は、転落防止柵を設置し、スタンドパイプ(重機転倒防止対策用型枠)設置後、地盤を埋め戻す。
2.杭抜き機の据え付け
杭抜き位置まで杭抜き機を移動し、足場を確実に養生する。このとき、杭の仮置き位置、施工順序、残渣処理場所等を確認する。
3.オーガーケーシング建て込み)(図2−c)
オーガーケーシングを杭周に建て込むとともに、2方向からその鉛直を確認する。
油圧ホース、ウォータージェットホース等の接続を確認する。
4.掘削(図2−c)
該ケーシング下端から水を噴出させ,地中杭の抵抗や土質に適した速度で掘削する。
掘削速度を確認しながら、杭の挙動や回転等にてえん切りを確認する。
6.ケーシング引き上げ(図2−e)
オーガーケーシングに付着した土の落下による危険がある場合は、引き上げ時に除去する。
7.地中杭の引き抜き(コンクリートパイル)(図2−f,g)
ケーシング下端に玉掛けワイヤーをセットし、該パイルが安全に引き抜ける位置まで玉掛けワイヤーを落とし込む。
ケーシングを引き抜き、確実にワイヤーが杭に掛かったことを確認してから徐々にパイルを引き抜く。パイルが中間で切断されて地中に残ったときは、その深度を確認しながら再度ワイヤー掛けを行って引き抜く。
8.掘削孔の養生(図2−h)
砂をバックホウで埋め戻す。
以上の工程を,各パイル毎に行う。
図において、1は基筒で、所定長の金属製円筒である。2は可動筒で、金属製円筒であるとともに、その上端より少し下がった位置の外周に上段部3を有している。
また、前記の基筒についても、その下端からやや上がった位置の外周に下段部4を有しており、可動筒内径は基筒外径よりわずかに大きく、従って可動等は基筒外周をガイドとしてスライド移動が可能である。
この下部保持軸は、一対が対称形に設けられる。13はサポートアーム上部保持軸で、一対のサポートアームおよび前記の杭保持アームに各々設けられる孔内に挿入保持される。なお、この軸に対し杭保持アームは回動可能である。
15は可動筒に設けられる角形の空隙で、平面視対称形であると共に、前記の各アーム位置とは90度移行した位置に一対が設けられる。16はストッパーで、基筒外面適所に突設される直方体形状部分であって、上記の空隙内に位置している。
以上が地中杭引き抜き用杭保持体20の基本構成である。
前記したように、基筒に沿って可動筒は上下にスライド可能であって、このスライドにて各アーム位置が変化する。可動筒が基筒に対して最下位置のとき、可動筒下端は下段部4に接し、またストッパー上端は空隙内最上位置にある。
可動筒を上方にスライド移動させると、サポートアームはその下部にはサポートアーム下部保持軸が位置し、上部にはサポートアーム上部保持軸が、杭保持アームと共通に位置しており、このサポートアームは下部保持軸を回動中心として筒内方へと倒れ込むが、上記のようにサポートアームは杭保持アームに関連づけされているために、杭保持アームも筒内方へと倒れ込むのである。この倒れ込みにて杭保持アーム先端間距離は小さくなる。
そのために、サポートアームの角度は変化して筒内へと倒れ込むこととなる。
サポートアームと杭保持アームは軸にて関連づけられているために、杭保持アームも同様に筒内方へと倒れ込むこととなり、従って一対の対向配置されている杭保持アームの上端間距離は接近することとなり、この接近にて図9にて示すように、地中杭外周面を押圧保持することができる。以上の動きは可動筒の昇降にて可逆的である。
1.地盤掘削・杭頭確認・逃げ芯セット(図11−a,b)
バックホウで地盤を掘削し、杭頭を露出させる。杭頭の倒れ等の有無を考慮し、杭芯が不明となる恐れがあるときは、逃げ芯を2箇所以上設置する。地盤崩落の危険があるときは、転落防止柵を設置し、スタンドパイプ設置後、地盤を埋め戻す。
2.杭抜き機据え付け
杭抜き位置まで杭抜き機を移動し、足場を確実に養生する。このとき、杭の仮置き位置、施工順序、残土処理場所等を確認しておく。
3.オーガーケーシング建て込み(図11−c)
オーガーケーシングを杭周に建て込むと共に、2方向からオーガーケーシングの鉛直を確認する。オーガーケーシング用油圧ホース、ウォータージェットホース等の接続を確認する。
4.掘削(図11−c)
オーガーケーシング先端から水を噴出させ、地中杭の抵抗や土質に適した速度で掘削する。
5.杭・地盤とのえん切り確認(図11−d)
掘削深度を確認しながら杭の挙動や回転等により、えん切りを確認する。
6.ケーシング引き上げ(図11−c)
オーガーケーシングに付着した土の落下による危険があるときは、引き上げ時に取り除く。
(7−1)(図11−f,g)
ケーシング先端に玉掛けワイヤーをセットし、該パイルが安全に引き抜ける位置まで落とし込む。ケーシングを引き抜き、確実にワイヤーが杭に掛かったことを確認してから,徐々にパイルを引き抜く。パイルが中間で切断されて地中に残ったときは、その深度を確認しながら,再度ワイヤー掛けを行って引き抜く。
(7−2)(図11h〜l)
コンクリートパイルが破砕され、ワイヤー掛けで引き抜くことが困難な場合、チャッキング装置(本発明による地中杭引き抜き用杭保持体)の上部にケーシング先端をはめ込み、クレーンフックをチャッキングに装着された2本のワイヤーに掛け、適度にワイヤーを張り、ケーシング、チャッキングを一体として杭孔下端付近まで落とし込む。
適正深度を確認後、挿入時同様にケーシング、チャッキングを一体として徐々に引き上げる。クレーンフックを緩めてケーシングを外し、チャッキング、ケーシング内の杭破砕片、鉄筋等を確認し、取り除く。なお、図示を略したが、可動筒外面にはフックが設けられ、そのフックにワイヤーが取り付けられて、クレーンにてチャッキング装置が吊下される。
8.掘削孔の養生(図11−m)
砂をバックホウにて埋め戻す。以上の各工程を各杭に対してくり返す。
従来法は既述のように、諸準備の後に玉掛けワイヤーを掘削孔中の杭に掛けて引き上げるものであり、杭が破砕していない場合にはこの方法で対処ができるが、破砕している杭に対しては効果を発揮することができない。玉掛けワイヤーは引くと締まる環状部分を杭に掛けて引き上げるのであるが、破砕箇所はこのワイヤーにてくずれてしまうために、引き上げが困難となる。
なお、手順としてはまず従来法による引き抜きを行い、杭の状態を判断して本発明方式を用いることができる。以上のごとく、本発明によって、従来法では不能であった破砕杭の引き上げを可能とする新規かつ有用なる、地中杭引き抜き用の杭保持体と、該保持体を用いた地中杭引き抜き工法を得ることができる。
2 可動筒
3 上段部
4 下段部
5 杭保持アームステー
6 アーム保持軸
7 杭保持アーム
8 地中杭
10 サポートアームステー
11 サポートアーム
12 サポートアーム下部保持軸
13 サポートアーム上部保持軸
14 空隙部
15 空隙
16 ストッパー
20 地中杭引き抜き用杭保持体
Claims (2)
- 上下開放の基筒を設けるとともに該基筒側面に平面視対称位置に空隙部を設け、該基筒外周面に沿って上下にスライド移動可能なる筒体よりなる可動筒を基筒外方に設け、基筒の下部外面にて適宜支持部材にて回動可能に上向きに軸支される一対の杭保持アームを上記空隙部内に設け、可動筒外面に一対の上向きのサポートアーム下部を、上記空隙部内であるとともに上記杭保持アーム両脇に適宜支持部材にて回動可能に軸支にて設け、上記杭保持アームとサポートアーム上部近傍を互いに貫通する軸にて、杭保持アームとサポートアームを互いに回動可能に軸支し、一方、上記の杭保持アームとサポートアームの平面視位置とは別位置の可動筒側面に上下に延びた長穴状の空隙を設けるとともに、基筒外周面にストッパーを突設し、該ストッパーを可動筒側面に上下に延びた長穴状の空隙内に位置させることにより、基筒に対する可動筒の昇降にて杭保持アーム先端間距離の可変を可能とするよう構成したことを特徴とする地中杭引き抜き用杭保持体。
- 1.埋設されている地中杭の上方地盤を掘削して杭頭を露出させる第一工程。
2.杭位置まで杭引き抜き機を移動し、足場を養生する第二工程。
3.オーガーケ−シングを杭周に建て込み、オーガーケーシングの鉛直度を確認する第三工程。
4.オーガーケーシング下端から水を噴出しながら杭周を掘削する第四工程。
5.掘削深度を確認しながら杭と地中面とのえん切りを確認する第五工程。
6.オーガーケーシングを地中より引き上げる第六工程。
7.オーガーケーシング下端に、玉掛けワイヤーをセットして地中に落とし込み、ワイヤーが杭に掛かったことを確認し、地中杭を引き抜く第七工程。
8.地中杭が破砕され、ワイヤー掛けにて杭を引き抜くことが困難な場合において、請求項1にて示した地中杭引き抜き用杭保持体をワイヤーで吊下しつつ、該保持体内に地中杭が位置するよう適正深度まで落とし込み、該保持体を引き上げることにて該保持体に設けた杭保持アームに地中杭が保持されて、この地中杭を地中から引き上げる第八工程。
9.引き抜いた後の孔を埋め戻す第九工程。
以上の各工程よりなることを特徴とする杭引き抜き用杭保持体を用いた地中杭引き抜き工法。
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