以下、端末管理装置の実施形態について、図面を用いて説明する。
この実施形態は、消費者が買い回り時に通信端末を操作して購買商品の登録をセルフで行うことを可能とした買物支援システムに組み込まれる端末管理装置を例示する。買物支援システムでは、通信端末として、ショッピングカートに取り付けて使用可能な第1通信端末と、買物客である消費者が携帯するスマートフォン等の第2通信端末とが併用される。
図1は、一実施形態に係る買物支援システム100の全体構成を示すブロック図である。買物支援システム100は、店舗サーバ10、仮想POSサーバ20、会計機30、端末コントローラ40、アクセスポイント50及び通信ネットワーク90を含む。通信ネットワーク90は、有線LAN(Local Area Network)である。すなわち通信ケーブルに、店舗サーバ10、仮想POSサーバ20、会計機30、端末コントローラ40及びアクセスポイント50がそれぞれ接続されて、通信ネットワーク90が構成されている。通信ネットワーク90は、無線LANであってもよい。
アクセスポイント50は、第1通信端末60、第2通信端末70及び監視端末80とともに無線LANを構成する機器である。アクセスポイント50は、無線LANで接続された第1通信端末60、第2通信端末70又は監視端末80と、有線LANで接続された各機器との間で授受されるデータ中継拠点となる。アクセスポイント50の台数は1台に限定されない。店舗の規模、レイアウト等を考慮して、2台以上のアクセスポイント50が通信ネットワーク90に接続されていてもよい。
第1通信端末60は、買物支援システム100が構成された店舗での消費者の買物行動を支援するための可搬型電子機器である。第1通信端末60は、基本的にはショッピングカートに取り付けられて使用される。第1通信端末60は、店舗から消費者に貸し出されて、消費者が携帯してもよい。したがって、第1通信端末60は、典型的には消費者が操作者となる。消費者が端末の操作に困難な場合、店員が操作者となる場合もあり得る。
第2通信端末70も、第1通信端末60と同様に、買物支援システム100が構成された店舗での消費者の買物行動を支援するための可搬型電子機器である。第2通信端末70は、消費者が個人で所有するスマートフォン、タブレット端末等の通信端末である。したがって第2通信端末70は、消費者が操作者となる。
監視端末80は、第1通信端末60の状態をモニタリングするための電子機器である。監視端末80は、第1通信端末60と併せて会計機30の状態をモニタリングしてもよい。監視端末80は、典型的には、アテンダントと称される店員が操作者となる。監視端末80は、アテンダントが待機する場所に据え置きされて使用される。監視端末80は、アテンダントが持ち出し可能な可搬型電子機器であってもよい。
図2は、第1通信端末60の要部回路構成を示すブロック図である。第1通信端末60は、プロセッサ61、メインメモリ62、補助記憶デバイス63、無線デバイス64、タッチパネル65、スキャナ66及びシステム伝送路67を備える。システム伝送路67は、アドレスバス、データバス、制御信号線等を含む。第1通信端末60は、システム伝送路67に、プロセッサ61、メインメモリ62、補助記憶デバイス63、無線デバイス64、タッチパネル65及びスキャナ66を接続する。第1通信端末60では、プロセッサ61、メインメモリ62及び補助記憶デバイス63と、これらを接続するシステム伝送路67とによってコンピュータが構成される。
プロセッサ61は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ61は、オペレーティングシステム又はアプリケーションプログラムに従って、第1通信端末60としての各種の機能を実現するべく各部を制御する。プロセッサ61は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。
メインメモリ62は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メインメモリ62は、不揮発性のメモリ領域と揮発性のメモリ領域とを含む。メインメモリ62は、不揮発性のメモリ領域ではオペレーティングシステム又はアプリケーションプログラムを記憶する。メインメモリ62は、プロセッサ61が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを揮発性のメモリ領域で記憶する。上記データは、不揮発性のメモリ領域で記憶する場合もある。メインメモリ62は、揮発性のメモリ領域を、プロセッサ61によってデータが適宜書き換えられるワークエリアとして使用する。不揮発性のメモリ領域は、例えばROM(Read Only Memory)である。揮発性のメモリ領域は、例えばRAM(Random Access Memory)である。
補助記憶デバイス63は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。例えばEEPROM(Electric Erasable Programmable Read-Only Memory)、HDD(Hard Disc Drive)、あるいはSSD(Solid State Drive)等が補助記憶デバイス63となり得る。補助記憶デバイス63は、プロセッサ61が各種の処理を行う上で使用するデータ、あるいはプロセッサ61での処理によって作成されたデータ等を保存する。補助記憶デバイス63は、上記のアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。
無線デバイス64は、無線LANを介してアクセスポイント50との間でデータの無線通信を行うための機器である。
タッチパネル65は、第1通信端末60の入力デバイスと表示デバイスとを兼ね備えた機器である。タッチパネル65は、種々の画像を表示する。そしてタッチパネル65は、表示された画像に対するタッチ位置を検出し、そのタッチ位置情報をプロセッサ61へと出力する。
スキャナ66は、バーコード、二次元コード等のデータコードの読み取りに供せられる機器である。スキャナ66は、レーザ光で走査して光学的にデータコードを読み取る機器であってもよいし、カメラで撮影されたデータコードを含む画像を処理してデータコードを読み取る機器であってもよい。
第1通信端末60は、アプリケーションプログラムの1種として、第1買物支援プログラムPaを補助記憶デバイス63にインストールしている。第1買物支援プログラムPaを補助記憶デバイス63にインストールする方法は特に限定されるものではない。リムーバブルな記録媒体に第1買物支援プログラムPaを記録して、あるいはネットワークを介した通信により第1買物支援プログラムPaを配信して、補助記憶デバイス63にインストールすることができる。記録媒体は、CD−ROM,メモリカード等のようにプログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能であれば、その形態は問わない。第1買物支援プログラムPaのインストール先は、メインメモリ62であってもよい。
図3は、第2通信端末70の要部回路構成を示すブロック図である。第2通信端末70は、プロセッサ71、メインメモリ72、補助記憶デバイス73、無線デバイス74、タッチパネル75、カメラ76及びシステム伝送路77を備える。システム伝送路77は、アドレスバス、データバス、制御信号線等を含む。第2通信端末70は、システム伝送路77に、プロセッサ71、メインメモリ72、補助記憶デバイス73、無線デバイス74、タッチパネル75及びカメラ76を接続する。第2通信端末70では、プロセッサ71、メインメモリ72及び補助記憶デバイス73と、これらを接続するシステム伝送路77とによってコンピュータが構成される。
プロセッサ71、メインメモリ72、補助記憶デバイス73、無線デバイス74及びタッチパネル75に対する説明は、第1通信端末60に対するプロセッサ61、メインメモリ62、補助記憶デバイス63、無線デバイス64及びタッチパネル65に対する説明と重複するので、ここでの説明は省略する。
カメラ76は、第2通信端末70に内蔵された撮像デバイスである。カメラ76は、第2通信端末70にインストールされたアプリケーションプログラムにより、静止画又は動画の撮影装置として、あるいはバーコード、二次元コード等のデータコードのスキャニング装置として動作する。
第2通信端末70は、アプリケーションプログラムの1種として第2買物支援プログラムPbを補助記憶デバイス73にインストールしている。第2買物支援プログラムPbを補助記憶デバイス73にインストールする方法も特に限定されるものではない。第1買物支援プログラムPaと同等の方法をそのまま適用することができる。第2買物支援プログラムPbのインストール先は、メインメモリ72であってもよい。
会計機30は、消費者との商取引を決済するための端末である。会計機30は、仮想POSサーバ20から商取引の会計データを取得し、その会計データを基に商取引を決済する。会計機30は、現金決済、クレジットカード決済、電子マネー決済、ポイント決済、コード決済(モバイル決済又はスマートフォン決済等とも称される)等、周知の決済方式により商取引を決済することができる。
会計機30には、店員が決済のための情報を入力するようにした有人会計機と、消費者が決済のための情報を入力するようにしたセルフ会計機とがある。買物支援システム100は、有人会計機とセルフ会計機の双方を備えていてもよいし、いずれか一方だけを備えていてもよい。有人会計機としては、従来周知のPOS端末を適用することができる。セルフ会計機としては、従来周知のセルフ式又はセミセルフ方式の会計機を適用することができる。
店舗サーバ10は、店舗業務全般を支援する。その支援のために店舗サーバ10は、商品データベース、会員データベース等の種々のデータベースを管理する。
商品データベースは、店舗で販売されている各商品のデータを記憶した商品レコードの集合体である。商品レコードは、商品コード、商品名、価格、値引情報等のデータ項目で構成される。商品コードは、各商品を個々に識別するために商品毎に設定された一意の識別コードである。各商品には、商品コードを示すバーコードが付されている。値引情報は、値引額、割引率等の商品値引に関する情報である。
会員データベースは、ポイント会員等として会員登録を行った消費者、いわゆる会員に関するデータを記憶した会員レコードの集合体である。会員レコードには、会員コード、累積ポイント等のデータ項目を含む。会員コードは、各会員を識別するために会員毎に設定された一意の識別コードである。累積ポイントは、会員との商取引においてその会員である消費者に付与されたポイントを累積したものである。
仮想POSサーバ20は、第1通信端末60又は第2通信端末70と協働することで、周知のPOS端末が動作しているかのように見せかけるための支援を行う。すなわち仮想POSサーバ20は、第1通信端末60のタッチパネル65又はスキャナ66から入力されるデータ、あるいは第2通信端末70のタッチパネル75又はカメラ76から入力されたデータを基に、購買商品の登録処理を行う。
図4は、仮想POSサーバ20の要部回路構成を示すブロック図である。仮想POSサーバ20は、プロセッサ21、メインメモリ22、補助記憶デバイス23、時計24、通信インターフェース25及びシステム伝送路26を備える。システム伝送路26は、アドレスバス、データバス、制御信号線等を含む。仮想POSサーバ20は、システム伝送路26に、プロセッサ21、メインメモリ22、補助記憶デバイス23、時計24及び通信インターフェース25を接続する。仮想POSサーバ20では、プロセッサ21、メインメモリ22及び補助記憶デバイス23と、これらを接続するシステム伝送路26とによってコンピュータが構成される。
プロセッサ21、メインメモリ22及び補助記憶デバイス23に対する説明は、第1通信端末60に対するプロセッサ61、メインメモリ62及び補助記憶デバイス63に対する説明と重複するので、ここでの説明は省略する。
時計24は、仮想POSサーバ20の時刻情報源として機能する。プロセッサ21は、時計24によって計時される時刻情報を基に、現在の日付及び時間を計時する。
通信インターフェース25は、通信ネットワーク90を介して接続される各部との間でデータ通信を行うための回路である。通信インターフェース25は、アクセスポイント50と通信回線が確立した第1通信端末60又は第2通信端末70とデータ通信を行うことができる。
かかる構成の仮想POSサーバ20は、複数の取引情報ファイルTFLを保存するための記憶領域を補助記憶デバイス23に形成している。取引情報ファイルTFLのデータ構造については後述する。
端末コントローラ40は、アクセスポイント50を介して無線LANで接続される第1通信端末60、第2通信端末70及び監視端末80の動作を制御する。端末コントローラ40は、第1買物支援プログラムPaが実行されている第1通信端末60との間でデータコマンドを授受することにより、第1通信端末60をPOS端末の入出力インターフェースとして機能させる。端末コントローラ40は、第2買物支援プログラムPbが実行されている第2通信端末70との間でデータコマンドを授受することにより、第2通信端末70をPOS端末の入出力インターフェースとして機能させる。端末コントローラ40は、端末管理装置の一態様である。
図5は、端末コントローラ40の要部回路構成を示すブロック図である。端末コントローラ40は、プロセッサ41、メインメモリ42、補助記憶デバイス43、時計44、通信インターフェース45及びシステム伝送路46を備える。システム伝送路46は、アドレスバス、データバス、制御信号線等を含む。端末コントローラ40は、システム伝送路46に、プロセッサ41、メインメモリ42、補助記憶デバイス43、時計44及び通信インターフェース45を接続する。端末コントローラ40では、プロセッサ41、メインメモリ42及び補助記憶デバイス43と、これらを接続するシステム伝送路46とによってコンピュータが構成される。
プロセッサ41、メインメモリ42、補助記憶デバイス43、時計44、通信インターフェース45に対する説明は、仮想POSサーバ20のプロセッサ21、メインメモリ22、補助記憶デバイス23、時計24、通信インターフェース25に対する説明と重複するので、ここでの説明は省略する。通信インターフェース45は、アクセスポイント50と協働して、通信手段を構成する。すなわち通信インターフェース45は、消費者の買い回り時のセルフ操作により当該消費者が購入する商品のデータを入力する端末として機能する第1通信端末60及び第2通信端末70との通信手段として機能する。
なお、メインメモリ42又は補助記憶デバイス43には、端末コントローラ40を端末管理装置として機能させるための制御プログラムが記憶されている。制御プログラムをメインメモリ42又は補助記憶デバイス63に記憶させる方法は特に限定されるものではない。リムーバブルな記録媒体に制御プログラムを記録して、あるいはネットワークを介した通信により制御プログラムを配信して、メインメモリ42又は補助記憶デバイス63に制御プログラムを記憶させることができる。記録媒体は、CD−ROM,メモリカード等のようにプログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能であれば、その形態は問わない。
かかる構成の端末コントローラ40は、複数のモバイル情報ファイルMFLを保存するための記憶領域を補助記憶デバイス23に形成している。また、端末コントローラ40は、管理テーブルTTBと集計テーブルATBとを補助記憶デバイス23に形成している。モバイル情報ファイルMFL、管理テーブルTTB及び集計テーブルATBのデータ構造については後述する。
図6は、取引情報ファイルTFLのデータ構造を示す模式図である。図示するように、取引情報ファイルTFLは、端末IDを記憶するための領域Aaと、複数の登録データを記憶するための領域Abと、第1ステータスSaを記憶するための領域Acとで構成される。端末IDは、第1通信端末60においては、メインメモリ62又は補助記憶デバイス63に設定された一意の識別コードである。端末IDは、第2通信端末70においては、メインメモリ72又は補助記憶デバイス73に設定された一意の識別コードである。
登録データは、正常登録データである。正常登録データは、商品コード、商品名、価格、点数、値引額及びエラーフラグの各項目データで構成される。エラーフラグは“0”である。第1ステータスSaは、取引情報ファイルTFLの状態を識別するための情報である。取引情報ファイルTFLの状態には、商品登録開始前の第1状態と、商品登録開始後の第2状態と、会計宣言後の第3状態と、会計終了後の第4状態とがある。本実施形態では、第1状態を表す第1ステータスSaを“0”とし、第2状態を表す第1ステータスSaを“1”とし、第3状態を表す第1ステータスSaを“2”とし、第4状態を表す第1ステータスSaを“3”とする。
補助記憶デバイス23には、取引情報ファイルTFLが作成日時の順に時系列になって保存される。
図7は、モバイル情報ファイルMFLのデータ構造を示す模式図である。図示するように、モバイル情報ファイルMFLは、端末IDを記憶するための領域Baと、複数の登録データを記憶するための領域Bbと、第2ステータスSbを記憶するための領域Bcとで構成される。端末IDは、取引情報ファイルTFLの場合と同様である。
登録データは、前述した正常登録データ以外にエラー登録データを含む。エラー登録データは、バーコードデータとエラーフラグの各項目データで構成される。エラーフラグは“1”である。第2ステータスSbは、モバイル情報ファイルMFLの状態を識別するための情報である。モバイル情報ファイルMFLの状態もまた取引情報ファイルTFLと同様に第1乃至第4の状態がある。そして本実施形態では、第1状態を表す第2ステータスSbを“0”とし、第2状態を表す第2ステータスSbを“1”とし、第3状態を表す第2ステータスSbを“2”とし、第4状態を表す第2ステータスSbを“3”とする。
補助記憶デバイス43には、モバイル情報ファイルMFLが作成日時の順に時系列になって保存される。
図8は、管理テーブルTTBのデータ構造を示す模式図である。図示するように管理テーブルTTBは、端末IDのフィールドFLaと、種別フラグのフィールドFLbと、利用開始日時のフィールドFLcとを有する。各フィールドFLa,FLb,FLcは、初期状態ではクリアされている。
図9は、集計テーブルATBのデータ構造を示す模式図である。図示するように集計テーブルATBは、項目のフィールドFLdと、第1集計データのフィールドFLeと、第2集計データのフィールドFLeとを有する。フィールドFLdには、順に「種別フラグ」、「種別名称」、「利用回数」、「件数合計」、「点数合計」、「価格合計」の項目が記憶されている。フィールドFLeには、項目「種別フラグ」に対応して「1」が記憶されており、項目「種別名称」に対応して「第1通信端末」が記憶されている。他の項目に対応したデータ「Aa」、「Ab」、「Ac」、「Ad」はいずれも数値データであり、初期値は“0”である。フィールドFLfには、項目「種別フラグ」に対応して「1」が記憶されており、項目「種別名称」に対応して「第2通信端末」が記憶されている。他の項目に対応したデータ「Ba」、「Bb」、「Bc」、「Bd」はいずれも数値データであり、初期値は“0”である。
図10は、第1通信端末60のプロセッサ61が第1買物支援プログラムPaに従って実行する主要な情報処理の手順を示す流れ図である。また図10は、第2通信端末70のプロセッサ71が第2買物支援プログラムPbに従って実行する主要な情報処理の手順を示す流れ図でもある。図11乃至図14は、第1通信端末60又は第2通信端末70の情報処理に応答して、端末コントローラ40のプロセッサ41が実行する情報処理の手順を示す流れ図である。図15乃至図17は、端末コントローラ40の情報処理に応答して、仮想POSサーバ20のプロセッサ21が実行する情報処理の手順を示す流れ図である。以下、これらの流れ図を用いて、消費者が第1通信端末60又は第2通信端末70を使用して購買商品に基づくデータを入力し、その購買商品の会計を終えるまでの買物支援システム100の動作について説明する。なお、以下に説明する動作は一例である。同様な結果が得られるのであれば、その手順等は特に限定されるものではない。
はじめに消費者は、会員登録をしていることを前提とする。会員登録をすることにより、一意の会員コードが発行される。会員コードは、会員カードに記録されて消費者に発行される。会員コードは、消費者が所有するスマートフォン等にダウンロードされて発行されてもよい。
さて、来店した消費者は、買物を始める前に、店内のショッピングカートに取り付けられた第1通信端末60を使用するか、自らが所有するスマートフォン等の第2通信端末70を使用するかを決める。
第1通信端末60を使用する消費者は、アイドル状態の第1通信端末60が取り付けられたショッピングカートを選択する。そして消費者は、会員カードに記録されている会員コードをスキャナ66で読み取らせる。消費者は、スマートフォンにダウンロードされた会員コードをスキャナ66で読み取らせてもよい。第1通信端末60のプロセッサ61は、スキャナ66で会員コードを読み取ることによって、消費者の利用開始宣言を受け付ける。
なお、第1通信端末60は、例えば店舗の営業開始前に店員によって電源がオンされる。電源がオンすると、第1通信端末60では、第1買物支援プログラムPaが起動する。第1買物支援プログラムPaが起動すると、プロセッサ61は、所定の通信プロトコルに従い、アクセスポイント50との通信回線を確立する。そして通信回線が確立されると、プロセッサ61は、端末コントローラ40に対して端末IDを通知して、アイドル状態となる。端末コントローラ40のプロセッサ41は、各第1通信端末60から通知を受けた端末IDを、補助記憶デバイス43で一括して記憶している。
第2通信端末70を使用する消費者は、第2買物支援プログラムPbを起動する。第2買物支援プログラムPbが起動すると、プロセッサ71は、データコードの読取モードなる。消費者は、店舗の入口に用意されている入店用のデータコードをカメラ76で読み取る。データコードには、その店舗での通信に必要なパラメータ等がコード化されて記録されている。プロセッサ71は、カメラ76でデータコードを読み取ることによって、消費者の利用開始宣言を受け付ける。
すなわち、図10に示すように、第1通信端末60のプロセッサ61又は第2通信端末70のプロセッサ71は、ACT101として利用開始宣言を待ち受けている。以下、プロセッサ61とプロセッサ71とを総称する場合には、プロセッサ61(71)と表す。他の共通する構成要件についても同様とする。すなわちメインメモリ62(72)、補助記憶デバイス63(73)、無線デバイス64(74)、タッチパネル65(75)と表す。
プロセッサ61(71)は、利用開始宣言を受け付けたならば、ACT101においてYESと判定し、ACT102へと進む。プロセッサ61(71)は、ACT102として利用開始通知を行うように無線デバイス64(74)を制御する。この制御により、無線デバイス64(74)から利用開始通知コマンドが無線送信される。利用開始通知コマンドは、通信回線が確立されたアクセスポイント50で受信され、通信ネットワーク90を介して端末コントローラ40へと送信される。利用開始通知コマンドには、第1通信端末60又は第2通信端末70に設定された端末IDが含まれる。
端末コントローラ40のプロセッサ41は、通信インターフェース45を介して利用開始通知コマンドを受信すると、図11の流れ図に示す手順の情報処理を開始する。プロセッサ41は、ACT201として利用開始要求を行うように通信インターフェース45を制御する。この制御により、通信インターフェース45から利用開始要求コマンドが出力される。利用開始要求コマンドは、通信ネットワーク90を介して仮想POSサーバ20へと送信される。利用開始要求コマンドには、利用開始通知コマンドから検出された端末IDが含まれる。
仮想POSサーバ20のプロセッサ21は、通信インターフェース25を介して利用開始要求コマンドを受信すると、図15の流れ図に示す手順の情報処理を開始する。プロセッサ21は、ACT301として利用開始要求コマンドから端末IDを検出する。そしてプロセッサ21は、ACT302としてその端末IDの利用可否判定を行う。
具体的にはプロセッサ21は、取引情報ファイルTFLのなかに、当該端末IDが領域Aaにセットされ、第1ステータスSaが“3”以外の取引情報ファイルTFLが存在するか否かを検索する。第1ステータスSaが“3”以外の取引情報ファイルTFLは、利用開始宣言が行われたが会計は終了していない第1通信端末60又は第2通信端末70に対応したものである。したがって、該当する取引情報ファイルTFLを検出した場合、プロセッサ21は、端末IDを利用不可と判定する。該当する取引情報ファイルTFLを検出できなかった場合には、プロセッサ21は、端末IDを利用可と判定する。
端末IDを利用不可と判定した場合、プロセッサ21は、ACT302においてNOと判定し、ACT303へと進む。プロセッサ21は、ACT303として拒否応答を行うように通信インターフェース25を制御する。
端末IDを利用可と判定した場合には、プロセッサ21は、ACT302においてYESと判定し、ACT304へと進む。プロセッサ21は、ACT304として補助記憶デバイス23に取引情報ファイルTFLを作成する。そしてプロセッサ21は、ACT305としてその取引情報ファイルTFLの領域Aaに、利用開始要求コマンドから検出された端末IDをセットする。またプロセッサ21は、ACT306としてその取引情報ファイルTFLの第1ステータスSaを“0”とする。さらにプロセッサ21は、ACT307として許可応答を行うように通信インターフェース25を制御する。
ACT303又はACT307の制御により、通信インターフェース25から拒否応答コマンド又は許可応答コマンドが出力される。拒否応答コマンド又は許可応答コマンドは、通信ネットワーク90を介して端末コントローラ40へと送信される。拒否応答コマンド又は許可応答コマンドには、利用開始要求コマンドから検出された端末IDが含まれる。
拒否応答コマンド又は許可応答コマンドを出力すると、プロセッサ21は、利用開始要求コマンドの受信処理を終了する。
図11の説明に戻る。
利用開始要求を行った端末コントローラ40のプロセッサ41は、ACT202として許可応答コマンドを待ち受けている。ここで、通信インターフェース45を介して拒否応答コマンドを受信した場合には、プロセッサ41は、ACT202においてNOと判定し、ACT203へと進む。プロセッサ41は、ACT203として拒否通知を行うように通信インターフェース45を制御する。この制御により、通信インターフェース45から拒否通知コマンドが出力される。
一方、許可応答コマンドを受信した場合には、プロセッサ41は、ACT202においてYESと判定し、ACT204へと進む。プロセッサ41は、ACT204として補助記憶デバイス43にモバイル情報ファイルMFLを作成する。そしてプロセッサ41は、ACT205としてそのモバイル情報ファイルMFLの領域Baに、許可応答コマンドから検出された端末IDをセットする。またプロセッサ41は、ACT206としてそのモバイル情報ファイルMFLの第2ステータスSbを“0”とする。
プロセッサ41は、ACT207として端末IDが第1通信端末60の端末IDであるのか、第2通信端末70の端末IDであるのかを識別する。前述したように、第1通信端末60の端末IDは、当該端末IDの電源がオンしたときに、補助記憶デバイス43で記憶されている。プロセッサ41は、許可応答コマンドから検出された端末IDが、補助記憶デバイス43で記憶されている端末IDであるか否かを確認する。補助記憶デバイス43で記憶されている端末IDである場合、プロセッサ41は、その端末IDを第1通信端末60の端末IDとして特定する。補助記憶デバイス43で記憶されていない端末IDである場合、プロセッサ41は、その端末IDを第2通信端末70の端末IDとして特定する。
第1通信端末60の端末IDである場合、プロセッサ41は、ACT207においてYESと判定し、ACT208へと進む。プロセッサ41は、ACT208として、値が“0”の種別フラグを生成する。これに対し、第2通信端末70の端末IDである場合には、プロセッサ41は、ACT207においてNOと判定し、ACT209へと進む。プロセッサ41は、ACT209として、値が“0”の種別フラグを生成する。
プロセッサ41は、ACT210として利用開始日時を取得する。すなわちプロセッサ41は、時計44で計時されている日時を利用開始日時として取得する。なお、プロセッサ41は、先に利用開始日時を取得し、後から種別フラグを生成してもよい。
プロセッサ41は、ACT211として管理テーブルTTBに管理レコードを追加する。すなわちプロセッサ41は、管理テーブルTTBのフィールドFLaに端末IDをセットし、フィールドFLbに種別フラグをセットし、フィールドFLcに利用開始日時をセットする。しかる後、プロセッサ41は、ACT212として許可通知を行うように通信インターフェース45を制御する。この制御により、通信インターフェース45から許可通知コマンドが出力される。
ACT203又はACT212において、通信インターフェース45から拒否通知コマンド又は許可通知コマンドが出力されると、プロセッサ41は、利用開始通知コマンドの受信処理を終了する。
端末コントローラ40から出力された拒否通知コマンド又は許可通知コマンドは、通信ネットワーク90を介してアクセスポイント50から無線送信される。拒否通知コマンド又は許可通知コマンドには、拒否応答コマンド又は許可応答コマンドから検出された端末IDが含まれる。アクセスポイント50から無線送信された拒否通知コマンド又は許可通知コマンドは、そのコマンドに含まれる端末IDが設定された第1通信端末60又は第2通信端末70で受信される。
図10の説明に戻る。
利用開始通知を行ったプロセッサ61(71)は、ACT103として許可通知コマンドを待ち受けている。ここで、無線デバイス64(74)を介して拒否通知コマンドを受信すると、プロセッサ61(71)は、ACT103においてNOと判定する。プロセッサ61(71)は、利用開始宣言に対する処理をエラーとして終了する。したがって消費者は、第1通信端末60又は第2通信端末70を利用することができない。第1通信端末60を利用できなくなった消費者は、ショッピングカートを交換し、交換後のカートの第1通信端末60に対して利用開始宣言を行う。第2通信端末70を利用できなくなった消費者は、ショッピングカートを選択し、そのカートの第1通信端末60に対して利用開始宣言を行う。
一方、許可通知コマンドを受信した場合には、プロセッサ61(71)は、ACT103においてYESと判定し、ACT104へと進む。プロセッサ61(71)は、ACT104としてタッチパネル65(75)に登録画面を表示させる。登録画面は、購買商品の商品名、価格、点数、値引額等を表示するための明細領域と、購買商品の合計点数、合計金額等を表示するための合計領域とを備えたものである。また、登録画面には、消費者が会計への移行を宣言するための会計ボタンも表示されている。会計ボタンは、ソフトウェアによってタッチパネル65(75)の画面上に再現された操作子の一例である。なお、第1通信端末60と第2通信端末70との間ではタッチパネル65(75)の画面サイズが異なる。このため、タッチパネル65に表示される登録画面と、タッチパネル75に表示される登録画面とは、レイアウト、文字サイズ、文字数等が異なっていてもよい。
登録画面を表示したプロセッサ61(71)は、ACT105として商品登録を受け付けたか否かを判断する。商品登録を受け付けていない場合、プロセッサ61(71)は、ACT105においてNOと判定し、ACT106へと進む。プロセッサ61(71)は、ACT106として会計宣言を受け付けたか否かを確認する。会計宣言を受け付けていない場合、プロセッサ61(71)は、ACT106においてNOと判定し、ACT105へと戻る。ここにプロセッサ61(71)は、ACT105及びACT106において、商品登録が行われるか、会計宣言が行われるのを待ち受ける。
第1通信端末60を使用する消費者は、売場にて購買商品を入手する毎に、その購買商品のバーコードをスキャナ66で読み取らせて商品登録を行う。第2通信端末70を使用する消費者は、売場にて購買商品を入手する毎に、その購買商品のバーコードをカメラ76で読み取らせて商品登録を行う。
ACT105及びACT106の待ち受け状態にあるプロセッサ61(71)は、スキャナ66又はカメラ76でバーコードが読み取られると、商品登録有りと判定する。プロセッサ61(71)は、ACT105においてYESと判定し、ACT108へと進む。プロセッサ61(71)は、ACT108として商品登録通知を行うように無線デバイス64(74)を制御する。この制御により、無線デバイス64(74)から商品登録通知コマンドが無線送信される。商品登録通知コマンドは、アクセスポイント50を介して端末コントローラ40へと送信される。商品登録通知コマンドには、スキャナ66又はカメラ76で読み取られたバーコードのデータと第1通信端末60又は第2通信端末70の端末IDとが含まれる。
端末コントローラ40のプロセッサ41は、通信インターフェース45を介して商品登録通知コマンドを受信すると、図12の流れ図に示す手順の情報処理を開始する。プロセッサ41は、ACT221として商品登録通知コマンドから端末IDを検出する。そしてプロセッサ41は、ACT222としてその端末IDがセットされたモバイル情報ファイルMFLの第2ステータスSbが“0”又は“1”であるか否かを確認する。当該モバイル情報ファイルMFLの第2ステータスSbが“0”又は“1”以外の場合、プロセッサ41は、ACT222においてNOと判定する。プロセッサ41は、商品登録通知に対する処理をエラーとして終了する。
モバイル情報ファイルMFLの第2ステータスSbが“0”又は“1”の場合には、プロセッサ41は、ACT222においてYESと判定し、ACT223へと進む。プロセッサ41は、ACT223として商品登録要求を行うように通信インターフェース45を制御する。この制御により、通信インターフェース45から商品登録要求コマンドが出力される。商品登録要求コマンドは、通信ネットワーク90を介して仮想POSサーバ20へと送信される。商品登録要求コマンドには、商品登録通知コマンドから検出されたバーコードのデータと端末IDとが含まれる。
仮想POSサーバ20のプロセッサ21は、通信インターフェース25を介して商品登録要求コマンドを受信すると、図16の流れ図に示す手順の情報処理を開始する。プロセッサ21は、ACT311として商品登録要求コマンドから端末IDを検出する。そしてプロセッサ21は、ACT312としてその端末IDがセットされた取引情報ファイルTFLの第1ステータスSaが“0”又は“1”であるか否かを確認する。取引情報ファイルTFLの第1ステータスSaが“0”又は“1”以外の場合、プロセッサ21は、ACT312においてNOと判定する。プロセッサ21は、商品登録要求に対する処理をエラーとして終了する。
取引情報ファイルTFLの第1ステータスSaが“0”又は“1”である場合には、プロセッサ21は、ACT312においてYESと判定し、ACT313へと進む。プロセッサ21は、ACT313として商品登録要求コマンドから検出したバーコードのデータで、商品データを店舗サーバ10に問い合わせる。
商品データの問合せに対して店舗サーバ10のプロセッサ11は、バーコードのデータが商品コードであるか否かを確認する。商品コードの場合、プロセッサ11は、その商品コードで商品データベースを検索する。そしてプロセッサ11は、当該商品コードを含む商品レコードを検出すると、正常応答コマンドを仮想POSサーバ20へと送信する。正常応答コマンドには、商品レコードを構成する商品コード、商品名、価格、値引情報等の商品データが含まれる。
一方、商品データベースを検索したが、該当する商品レコードを検出できなかった場合、あるいは、バーコードのデータが商品コードでなかった場合、プロセッサ11は、エラー応答コマンドを仮想POSサーバ20へと送信する。商品には、商品コードのバーコード以外にも、例えば生産者、製造会社等を識別するためのバーコード等が付されている場合がある。このようなバーコードを消費者が誤って読み取ってしまった場合、プロセッサ11は、エラー応答コマンドを仮想POSサーバ20へと送信する。エラー応答コマンドには、商品登録要求コマンドから検出したバーコードのデータが含まれる。
商品データの問合せを行った仮想POSサーバ20のプロセッサ21は、ACT314として正常応答コマンドを待ち受けている。ここで、通信インターフェース25を介してエラー応答コマンドを受信した場合には、プロセッサ21は、ACT314においてNOと判定し、ACT315へと進む。プロセッサ21は、ACT315としてエラー登録データを生成する。エラー登録データには、エラー応答コマンドから検出されたバーコードのデータと、“1”のエラーフラグとが含まれる。エラー登録データを生成したプロセッサ21は、ACT320へと進む。ACT320の処理については後述する。
一方、通信インターフェース25を介して正常応答コマンドを受信した場合には、プロセッサ21は、ACT314においてYESと判定し、ACT316へと進む。プロセッサ21は、ACT316として正常登録データを生成する。正常登録データには、正常応答コマンドから検出された商品データと、“0”のエラーフラグとが含まれる。
正常登録データを生成したプロセッサ21は、ACT317としてその正常登録データを取引情報ファイルTFLに登録する。またプロセッサ21は、ACT318として取引情報ファイルTFLの第1ステータスSaが“0”であるか否かを確認する。第1ステータスSaが“0”の場合、プロセッサ21は、ACT318においてYESと判定し、ACT319へと進む。プロセッサ21は、ACT319としてその第1ステータスSaを“0”から“1”に変更する。第1ステータスSaが既に“1”に変更されている場合には、プロセッサ21は、ACT318においてNOと判定し、ACT319の処理をスキップする。
ACT319の処理を終えるか、ACT319の処理をスキップすると、プロセッサ21は、ACT320へと進む。プロセッサ21は、ACT320として登録データを端末コントローラ40へと送信するように通信インターフェース25を制御する。この制御により、通信インターフェース25から正常登録データ又はエラー登録データが出力される。正常登録データ又はエラー登録データは、通信ネットワーク90を介して端末コントローラ40へと送信される。
図12の説明に戻る。
商品登録要求コマンドを送信した端末コントローラ40のプロセッサ41は、ACT224として登録データを待ち受けている。通信インターフェース45を介して正常登録データ又はエラー登録データを受信すると、プロセッサ41は、ACT224においてYESと判定し、ACT225へと進む。プロセッサ41は、ACT225としてその正常登録データ又はエラー登録データをモバイル情報ファイルMFLに登録する。
プロセッサ41は、ACT226としてモバイル情報ファイルMFLに登録されたデータが特定商品の正常登録データであるか否かを確認する。特定商品とは、たとえば煙草、アルコール飲料等の年齢制限のある商品である。あるいは特定商品は、第二種医薬品等のように店員の介在が必要な商品である。なお、特定商品の種類は、これに限定されるものではない。
モバイル情報ファイルMFLに登録されたデータが特定商品の正常登録データでない場合、プロセッサ41は、ACT226においてNOと判定し、ACT229へと進む。
モバイル情報ファイルMFLに登録されたデータが特定商品の正常登録データである場合には、プロセッサ41は、ACT226においてYESと判定し、ACT227へと進む。プロセッサ41は、ACT227として管理テーブルTTBを検索して、モバイル情報ファイルMFLの端末IDを含む管理レコードの種別フラグを確認する。ここで、種別フラグが“1”、すなわち端末IDで特定される通信端末が第2通信端末70であることが識別されている場合には、プロセッサ41は、ACT227においてNOと判定し、ACT229へと進む。
種別フラグが“0”、すなわち端末IDで特定される通信端末が第1通信端末60であることが識別されている場合には、プロセッサ41は、ACT227においてYESと判定し、ACT228へと進む。プロセッサ41は、ACT228として特定商品が登録されたことを通知するコマンドを監視端末80に送信するように通信インターフェース45を制御する。この制御により、通信インターフェース45から特定商品の登録通知コマンドが出力される。登録通知コマンドは、通信ネットワーク90を介してアクセスポイント50から無線送信される。登録通知コマンドには、モバイル情報ファイルMFLの端末IDと特定商品の商品名等とが含まれる。アクセスポイント50から無線送信された登録通知コマンドは、監視端末80で受信される。これにより、監視端末80においては、端末IDで特定される第1通信端末60において、特定商品が登録されたことを示す情報が表示される。したがって、監視端末80をモニタリングしている店員は、第1通信端末60を使用している消費者が特定商品を購入したことを知ることができる。
プロセッサ41は、ACT228の処理を終えると、ACT229へと進む。すなわち、ACT226においてNOと判定されるか、ACT227においてNOと判定されるか、ACT228の処理を終えると、プロセッサ41は、ACT229へと進む。
プロセッサ41は、ACT229としてモバイル情報ファイルMFLの第2ステータスSbが“0”であるか否かを確認する。第2ステータスSbが“0”の場合、プロセッサ41は、ACT229においてYESと判定し、ACT230へと進む。プロセッサ41は、ACT230としてその第2ステータスSbを“0”から“1”に変更する。第2ステータスSbが既に“1”に変更されている場合には、プロセッサ41は、ACT229においてNOと判定し、ACT230の処理をスキップする。
以上で、プロセッサ41は、商品登録通知コマンドの受信処理を終了する。
図10の説明に戻る。
商品登録通知コマンドの送信を制御したプロセッサ61(71)は、ACT105及びACT106の待ち受け状態に戻る。
消費者は、買物を終えると、登録画面の会計ボタンにタッチする。会計ボタンがタッチされると、プロセッサ61(71)は、ACT106においてYESと判定し、ACT109へと進む。プロセッサ61(71)は、ACT109として会計通知を行うように無線デバイス64(74)を制御する。この制御により、無線デバイス64(74)から会計通知コマンドが無線送信される。会計通知コマンドは、アクセスポイント50を介して端末コントローラ40へと送信される。会計通知コマンドには、第1通信端末60又は第2通信端末70の端末IDが含まれる。
端末コントローラ40のプロセッサ41は、通信インターフェース45を介して会計通知コマンドを受信すると、図13の流れ図に示す手順の情報処理を開始する。プロセッサ41は、ACT241として会計通知コマンドから端末IDを検出する。そしてプロセッサ41は、ACT242としてその端末IDがセットされたモバイル情報ファイルMFLの第2ステータスSbが“1”であるか否かを確認する。当該モバイル情報ファイルMFLの第2ステータスSbが“1”以外の場合、プロセッサ41は、ACT242においてNOと判定する。プロセッサ41は、会計通知コマンドの受信処理をエラーとして終了する。
モバイル情報ファイルMFLの第2ステータスSbが“1”の場合には、プロセッサ41は、ACT242においてYESと判定し、ACT243へと進む。プロセッサ41は、ACT243としてモバイル情報ファイルMFLの第2ステータスSbを“1”から”2”へと変更する。またプロセッサ41は、ACT244として会計要求を行うように通信インターフェース45を制御する。この制御により、通信インターフェース45から会計要求コマンドが出力される。会計要求コマンドは、通信ネットワーク90を介して仮想POSサーバ20へと送信される。会計要求コマンドには、会計通知コマンドから検出された端末IDが含まれる。
仮想POSサーバ20のプロセッサ21は、通信インターフェース25を介して会計要求コマンドを受信すると、図17の流れ図に示す手順の情報処理を開始する。プロセッサ21は、ACT331として会計要求コマンドから端末IDを検出する。そしてプロセッサ21は、ACT332としてその端末IDがセットされた取引情報ファイルTFLの第1ステータスSaが“1”であるか否かを確認する。取引情報ファイルTFLの第1ステータスSaが“1”以外の場合、プロセッサ21は、ACT332においてNOと判定する。プロセッサ21は、会計要求コマンドの受信処理をエラーとして終了する。
取引情報ファイルTFLの第1ステータスSaが“1”である場合には、プロセッサ21は、ACT332においてYESと判定し、ACT333へと進む。プロセッサ21は、ACT333としてその取引情報ファイルTFLの第1ステータスSaを“1”から“2”へと変更する。
プロセッサ21は、ACT334として会計許可通知を行うように通信インターフェース25を制御する。この制御により、通信インターフェース25から会計許可通知コマンドが出力される。会計許可通知コマンドは、通信ネットワーク90を介して端末コントローラ40へと送信される。会計許可通知コマンドには、会計要求コマンドから検出した端末IDが含まれる。
図13の説明に戻る。
会計要求コマンドを送信した端末コントローラ40のプロセッサ41は、ACT225として会計許可通知コマンドを待ち受ける。通信インターフェース45を介して会計許可通知コマンドを受信すると、プロセッサ41は、ACT225においてYESと判定し、ACT226へと進む。プロセッサ41は、ACT226として会計実行通知を行うように通信インターフェース25を制御する。この制御により、通信インターフェース25から会計実行通知コマンドが出力される。会計実行通知コマンドは、通信ネットワーク90を介してアクセスポイント50から無線送信される。会計実行通知コマンドには、会計通知コマンドから検出された端末IDが含まれる。アクセスポイント50から無線送信された会計実行通知コマンドは、そのコマンドに含まれる端末IDが設定された第1通信端末60又は第2通信端末70で受信される。
図10の説明に戻る。
会計通知を行ったプロセッサ61(71)は、ACT110として会計実行通知を待ち受ける。無線デバイス64(74)を介して会計実行通知コマンドを受信すると、プロセッサ61(71)は、ACT110においてYESと判定し、ACT111へと進む。プロセッサ61(71)は、ACT111として端末IDを示すバーコードをタッチパネル65(75)に表示させる。以上で、プロセッサ61(71)は、利用開始宣言に対する情報処理を終了する。
タッチパネル65(75)にバーコードが表示されたことを確認した消費者は、会計機30に向かう。そして消費者は、会計機30に設けられたスキャナで、タッチパネル65(75)に表示されているバーコードを読み取らせる。会計機30で読み取られたバーコードのデータは、店舗サーバ10へと出力される。
図17の説明に戻る。
会計許可通知コマンドを送信した仮想POSサーバ20のプロセッサ21は、ACT335として取引情報ファイルTFLのデータを店舗サーバ10へと送信するように通信インターフェース25を制御する。この制御により、通信インターフェース25から取引情報ファイルTFLのデータが出力される。このデータは、通信ネットワーク90を介して店舗サーバ10へと送信される。
店舗サーバ10は、仮想POSサーバ20から受信した取引情報ファイルTFLのデータを一時保存する。そして、会計機30からバーコードのデータを取得すると、店舗サーバ10は、そのバーコードで表されている端末IDがセットされた取引情報ファイルTFLを検索する。店舗サーバ10は、該当する取引情報ファイルTFLのデータを、会計機30へと出力する。会計機30は、取引情報ファイルTFLのデータを基に、消費者が購買した商品の決済処理を実行する。店舗サーバ10は、会計機30での決済処理が終了すると、会計終了コマンドを仮想POSサーバ20に出力する。
プロセッサ21は、ACT336として会計終了コマンドを待ち受ける。そしてプロセッサ21は、通信インターフェース25を介して会計終了コマンドを受信すると、ACT336においてYESと判定し、ACT337へと進む。プロセッサ21は、ACT337として取引情報ファイルTFLの第1ステータスSaを“2”から“3”へと変更する。またプロセッサ21は、ACT338として会計終了通知を行うように通信インターフェース25を制御する。この制御により、通信インターフェース25から会計終了通知コマンドが出力される。会計終了通知コマンドは、通信ネットワーク90を介して端末コントローラ40へと送信される。会計終了通知コマンドには、会計要求コマンドから検出した端末IDが含まれる。以上で、プロセッサ21は、会計要求コマンドの受信処理を終了する。
図13の説明に戻る。
会計実行通知を行った端末コントローラ40のプロセッサ41は、ACT247として会計終了通知コマンドを待ち受ける。通信インターフェース45を介して会計終了通知コマンドを受信すると、プロセッサ41は、ACT247においてYESと判定し、ACT248へと進む。プロセッサ41は、ACT248として集計処理を実行する。
図14は、集計処理の要部手順を示す流れ図である。プロセッサ41は、集計処理に入ると、ACT251としてモバイル情報ファイルMFLに登録されている正常登録データの件数Cbを計数する。またプロセッサ41は、ACT252としてその正常登録データに含まれる点数を合算して合計点数Ccを算出する。同じくプロセッサ41は、ACT253としてその正常登録データに含まれる価格と値引額とをそれぞれ合算し、価格の合算金額から値引額の合算金額を減額して合計金額Cdを算出する。
プロセッサ41は、ACT254として管理テーブルTTBを検索して、モバイル情報ファイルMFLの端末IDを含む管理レコードの種別フラグを確認する。種別フラグが“0”、つまり第1通信端末60に対応した端末IDのモバイル情報ファイルMFLである場合には、プロセッサ41は、ACT254においてNOと判定し、ACT255へと進む。そしてプロセッサ41は、ACT255乃至ACT258の処理を実行する。
すなわちプロセッサ41は、ACT255として集計テーブルATBの第1集計データのフィールドFLeに記憶されている項目「利用件数」の値Aaに“1”を加算する。プロセッサ41は、ACT256として同フィールドFLeに記憶されている項目「件数合計」の値Abに登録件数Cbを加算する。プロセッサ41は、ACT257として同フィールドFLeに記憶されている項目「点数合計」の値Acに合計点数Ccを加算する。プロセッサ41は、ACT258として同フィールドFLeに記憶されている項目「価格合計」の値Adに合計金額Cdを加算する。
一方、種別フラグが“1”、つまり第2通信端末70に対応した端末IDのモバイル情報ファイルMFLである場合には、プロセッサ41は、ACT254においてYESと判定し、ACT259へと進む。そしてプロセッサ41は、ACT259乃至ACT262の処理を実行する。
すなわちプロセッサ41は、ACT259として集計テーブルATBの第2集計データのフィールドFLfに記憶されている項目「利用件数」の値Baに“1”を加算する。プロセッサ41は、ACT260として同フィールドFLfに記憶されている項目「件数合計」の値Bbに登録件数Cbを加算する。プロセッサ41は、ACT261として同フィールドFLfに記憶されている項目「点数合計」の値Bcに合計点数Ccを加算する。プロセッサ41は、ACT262として同フィールドFLfに記憶されている項目「価格合計」の値Bdに合計金額Cdを加算する。
以上で、集計処理は終了する。
集計処理が終えると、プロセッサ41は、ACT249としてモバイル情報ファイルMFLの第2ステータスSbを“2”から“3”へと変更する。以上で、プロセッサ41は、会計通知コマンドの受信処理を終了する。
以上説明したように、買物支援システム100によれば、消費者の買い回り時のセルフ操作により当該消費者が購入する商品のデータを入力する端末として、店舗が用意した第1通信端末と、消費者が所有する第2通信端末とを併用することができる。
そして買物支援システム100の端末コントローラ40は、プロセッサ41が仮想POSサーバ20のプロセッサ21と協働して、図11のACT201〜ACT206の処理、及び、図12のACT221〜225の処理を実行することで、作成手段を構成している。すなわちプロセッサ41は、第1通信端末60又は第2通信端末70で入力されたデータを基に、当該端末のユーザである消費者が購入する商品のリストをモバイル情報ファイルMFLのデータとして作成している。
また端末コントローラ40は、プロセッサ41が仮想POSサーバ20のプロセッサ21と協働して、図13のACT241〜ACT246の処理を実行することで、決済処理手段を構成している。すなわちプロセッサ41は、第1通信端末60又は第2通信端末70から会計通知コマンドを受信すると、当該端末の端末IDがセットされたモバイル情報ファイルMFLに登録された商品のデータを基に、会計要求、会計実行通知等の決済に係る処理を実行している。
さらに端末コントローラ40は、プロセッサ41が、図11のACT207〜ACT211の処理を実行することで、識別手段を構成している。すなわちプロセッサ41は、モバイル情報ファイルMFLに登録されるリストが、第1通信端末60で入力されたデータを基に作成されたリストなのか、第2通信端末70で入力されたデータを基に作成されたリストなのかを識別するための管理レコードを管理テーブルTTBに追加している。
したがって、例えば、決済に係る処理が実行されたモバイル情報ファイルMFLの端末IDを含む端末レコードの数を、種別フラグの別に計数することによって、第1通信端末60が利用された頻度又は第2通信端末70が利用された頻度を知ることができる。
ところで端末コントローラ40は、通信手段により通信が確立した端末から受信した端末IDを基に、その端末IDが第1通信端末60のものなのか第2通信端末70のものなのかを識別している。したがって、第1通信端末60及び第2通信端末70から、端末ID以外に端末の種類を指定するような格別なデータを提供する必要はない。
また、端末コントローラ40は、プロセッサ41が、図13のACT248の処理を実行することで、集計手段を構成している。すなわちプロセッサ41は、第1通信端末60で入力されたデータを基に作成されたと識別されるリストに登録されたデータと、第2通信端末70で入力されたデータを基に作成されたと識別されるリストに登録されたデータとを区別して、利用回数、件数合計、点数合計、価格合計の各データを項目別に集計している。
一般に、買物支援システム100の管理者と、買物支援システム100の利用者、すなわち店舗とは、運営体が異なる。このため、例えば管理者が、第2通信端末70を使用した取引の売上に対して予め決めた比率で利用者(店舗)に毎月の使用量を請求するようなサブスクリプションモデルを提案することが考えられる。このような提案に対しても、本実施形態であれば、第2通信端末70を使用した取引の売上を容易に得ることができるので、実現可能である。
また、端末コントローラ40のプロセッサ41は、モバイル情報ファイルMFLに登録されたデータが特定商品の正常登録データであるとき、モバイル情報ファイルMFLの端末IDを含む管理レコードの種別フラグを確認する。そして種別フラグが“0”、すなわち第1通信端末60であるときには、プロセッサ41は、特定商品が登録されたことを通知するコマンドを監視端末80に送信している。つまり端末コントローラ40は、第1通信端末60で入力された特定商品のデータに対し、第2通信端末70で当該特定商品のデータが入力されたときとは異なる処理を実行するデータ処理手段を構成している。
監視端末80は、第1通信端末60の状態をモニタリングするためのものであり、例えば年齢制限のある商品を消費者が購入した場合には、監視端末80で注意喚起を行うようになっている。本実施形態によれば、第1通信端末60で特定商品が登録された場合に監視端末80に通知がなされるので、監視端末80によるモニタリングを正しく運用することができる。また、第2通信端末70で特定商品が登録された場合には通知されないので、無駄な通知が発生することはない。
以上、端末管理装置の実施形態について説明したが、かかる実施形態はこれに限定されるものではない。
前記実施形態では、端末コントローラ40を端末管理装置の一態様として説明した。端末管理装置は、端末コントローラ40の単体だけで構成されなくてもよい。例えば端末コントローラ40と仮想POSサーバ20又は店舗サーバ10と連携して、端末管理装置を構成してもよい。これに関連して、管理テーブルTTB及び集計テーブルATBの記憶場所は、端末コントローラ40でなくてもよい。仮想POSサーバ20又は店舗サーバ10の記憶装置に管理テーブルTTB及び集計テーブルATBを形成してもよい。
前記実施形態では、集計テーブルATBにおいて、種別フラグの別に、利用回数、件数合計、点数合計及び価格合計の項目について集計した。集計項目は、これらの項目に限定されものではない。例えば、管理テーブルTTBにおいて、端末ID毎に利用開始時刻を記憶しているので、日別、週別又は時間帯別に、各項目を集計することも可能である。
なお、集計テーブルATBのデータは、例えば営業日の終了時点で別ファイルに保存されてクリアされる。こうすることにより、集計テーブルATBでは、日々のデータを集計することができる。
この他、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態及びその変形は、発明の範囲に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]消費者の買い回り時のセルフ操作により当該消費者が購入する商品のデータを入力する端末として機能する第1通信端末及び第2通信端末と通信する通信手段と、前記第1通信端末又は前記第2通信端末で入力されたデータを基に、当該端末のユーザである消費者が購入する商品のリストを作成する作成手段と、前記リストが、前記第1通信端末で入力されたデータを基に作成されたリストなのか、前記第2通信端末で入力されたデータを基に作成されたリストなのかを識別する識別手段と、前記第1通信端末又は前記第2通信端末から会計の指示があると、当該端末のユーザである消費者の前記リストに登録された商品のデータを基に決済に係る処理を実行する決済処理手段と、を具備する端末管理装置。
[2]前記識別手段は、前記通信手段により通信が確立した端末から取得した端末識別情報を基に識別する、付記[1]記載の端末管理装置。
[3]前記識別手段により、前記第1通信端末で入力されたデータを基に作成されたと識別されるリストに登録されたデータと、前記第2通信端末で入力されたデータを基に作成されたと識別されるリストに登録されたデータとを区別して集計する集計手段、をさらに具備する付記[1]又は[2]記載の端末管理装置。
[4]前記第1通信端末で入力された特定商品のデータに対し、前記第2通信端末で当該特定商品のデータが入力されたときとは異なる処理を実行するデータ処理手段、をさらに具備する付記[1]又は[2]記載の端末管理装置。
[5]前記第1通信端末は、店舗のショッピングカートに取り付けられて使用される通信端末であり、前記第2通信端末は、消費者が携帯して使用される通信端末である、付記[1]乃至[4]のうちいずれか1項記載の端末管理装置。
[6]消費者の買い回り時のセルフ操作により当該消費者が購入する商品のデータを入力する端末として機能する第1通信端末及び第2通信端末と通信するコンピュータに、前記第1通信端末又は前記第2通信端末で入力されたデータを基に、当該端末のユーザである消費者が購入する商品のリストを作成する機能、前記リストが、前記第1通信端末で入力されたデータを基に作成されたリストなのか、前記第2通信端末で入力されたデータを基に作成されたリストなのかを識別する機能、及び、前記第1通信端末又は前記第2通信端末から会計の指示があると、当該端末のユーザである消費者の前記リストに登録された商品のデータを基に決済に係る処理を実行する機能、を実現させるための制御プログラム。