JP6942556B2 - 遮光部材および光音響装置 - Google Patents
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Description
レーザ光などの光を被検体である生体に照射すると、光が被検体内の生体組織で吸収される際に音響波(典型的には超音波)が発生する。この現象を光音響効果と呼び、光音響効果により発生した音響波を光音響波と呼ぶ。被検体を構成する組織は、光エネルギーの吸収率がそれぞれ異なるため、発生する光音響波の音圧も異なったものとなる。PATでは、発生した光音響波を探触子で受信し、受信信号を数学的に解析することにより、被検体内の特性情報を取得することができる。
一方で、光音響トモグラフィを利用した装置では、レーザなどの出力の高い光源を利用するため、安全性の観点から、初期段階においては開口部を遮光部材などによって閉鎖しておくことが好ましいとされる。しかし、開口部を閉鎖してしまうと、撮影可能な範囲が確認できなくなるため、正しい位置で撮影姿勢をとれなくなるおそれがある。また、撮影姿勢をとってから位置の再調整が必要になると、姿勢を取りなおすために起き上がったり、クッションの位置調整などが必要になり、撮影技師や被検者の負担が増えるという課題が発生する。
被検体を載置する被検体載置部と、前記被検体載置部を介して前記被検体に光を照射する光照射部と、を有し、前記被検体に対する撮影を行う光音響装置において、非撮影時に前記被検体載置部および前記光照射部を覆う遮光部材であって、前記被検体に対する撮影可能領域に関連する位置情報を示すための表示面を有することを特徴とする。
被検体を載置する被検体載置部と、前記被検体載置部を介して前記被検体に光を照射する光照射部と、前記被検体からの光音響波を検出する音響波検出器と、前記被検体に対する撮影可能領域に関連する位置情報を示すための表示面を有する遮光部材と、前記遮光部材を、前記光照射部からの光が遮光される位置である第一の位置と、前記光照射部からの光が前記被検体に照射される位置である第二の位置のいずれかに移動させる駆動部と、を
有し、前記駆動部は、撮影を行わないタイミングにおいて、前記遮光部材を前記第一の位置に移動させ、前記被検体の位置合わせが完了したタイミングにおいて、前記遮光部材を前記第二の位置に移動させることを特徴とする。
また、物質濃度として酸化ヘモグロビン濃度と還元ヘモグロビン濃度を求めることにより、酸素飽和度分布を算出できる。また、グルコース濃度、コラーゲン濃度、メラニン濃度、脂肪や水の体積分率なども求められる。さらには、体内に投与されたICG(インドシアニン・グリーン)等の造影剤等、光の吸収スペクトルが特徴的な物質も対象として挙げられる。
第一の実施形態に係る光音響装置は、パルス光を被検体に照射し、被検体内で発生した音響波を解析することで、被検体内の光学特性に関連した情報を可視化、すなわち画像化する装置である。被検体とは被検者の体の一部である。
図8は、従来技術に係る光音響装置の断面図である。図8に示した例では、被検者がベッドユニット1に上がり、支持面に設けられた開口部7から被検体を挿入し、保持部材2に被検体を載置して測定を行う。また、符号800は、被検体に光を照射する光照射部と、音響波を受信する探触子と含んだ測定ユニットである。測定ユニットは、探触子が配置された半球状の部材と、探触子と被検体との音響インピーダンスを整合させるための液体(音響マッチング液)を貯留する部材(マッチング容器)からなり、XY平面に沿って全体が移動可能な構成となっている。探触子をマッチング容器ごと移動させることで、被検体との音響整合を保ちつつ、広範囲から音響波を受信することができる。
すなわち、被検体に対して光を照射でき、音響波を取得できる範囲(以下、撮影範囲)を事前に被検者に提示できないという問題である。例えば、被検者が測定姿勢を取り、遮光蓋を開放した後で、被検体の位置が好ましくない(被検体が撮影範囲外にかかってしまっている場合など)ことがわかった場合、被検者が再度姿勢を取り直す必要が生じてしまい、被検者および介助者に負担が生じてしまう。
以下、この問題を解決するための、第一の実施形態に係る光音響装置について説明する。
図1を参照しながら、第一の実施形態に係る光音響装置の構成を説明する。
ベッドユニット1は、被検者を載せるためのユニットであり、被検者はこのベッドユニット1に載り、姿勢を維持することで撮影をおこなう。このベッドユニット1には、被検体を挿入するための開口部7が設けられ、開口部7には保持部材2が設置されている。
また、開口部7には、開口部7を覆う遮光蓋100が設けられており、非撮影時に、光照射部4(後述)から照射された光が外に漏れないように構成されている。
保持部材2の上には、光の透過率が高いカップ(不図示)が設置される。当該カップには、光の透過率が高い(好ましくは90%以上)部材を用いることが好ましい。具体的な
材料として、ポリメチルペンテン、PET、ポリカーボネート、エラストマーなどがある。カップの厚みは、音響波の減衰を抑えるため、薄くすることが好ましい。
また、保持部材2には、被検体と保持部材2との音響インピーダンスを整合させるための音響整合材(例えば、ジェルや水など)を貯留することが好ましい。
保持部材2は、被検体を保持可能で光透過率が高ければメッシュ以外でもよい。例えば、シート状のフィルム、ゴムシートなども適用できる。
センサユニット3は、当該センサユニットを二次元方向に移動させるための駆動部5(後述)に載置されている。
センサユニット3に配置される音響素子は、光音響波を受信して電気信号に変換する素子である。音響検出素子を構成する部材としては、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)に代表される圧電セラミック材料や、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)に代表される高分子圧電膜材料などを用いることができる。また、圧電素子以外の素子を用いても良い。例えば、CMUT(Capacitive Micro−machined Ultrasonic Transducers)などの静電容量型の素子を用いることができる。
光照射部4に接続される光源は、パルス光を発生させる装置である。光源としては大出力を得るため、レーザが望ましいが、発光ダイオードなどでもよい。光音響波を効果的に発生させるためには、被検体の熱特性に応じて十分短い時間に光を照射させなければならない。被検体が生体の場合、光源から発生するパルス光のパルス幅は数十ナノ秒以下にすることが望ましい。また、パルス光の波長は、生体の窓と呼ばれる近赤外領域であり、700nm〜1200nm程度であることが望ましい。この領域の光は比較的生体深部まで到達することができ、深部の情報を得ることができる。なお、生体表面部の測定に限定すれば、500〜700nm程度の波長を利用してもよい。さらに、パルス光の波長は観測対象に対して吸収係数が高いことが望ましい。
であることが好ましい。例えば、油や水などが好適である。
本実施形態では、センサユニット3、光照射部4、マッチング容器6を総称して測定ユニットと称する。
演算部9は、典型的にはCPU、GPU、A/D変換器などの素子や、FPGA、ASICなどの回路から構成される。なお、演算部9は、1つの素子や回路から構成されるだけではなく、複数の素子や回路から構成されていてもよい。また、コンピュータ8が行う各処理をいずれの素子や回路が実行してもよい。記憶部10は、典型的にはROM、RAM、およびハードディスクなどの記憶媒体から構成される。なお、記憶部10は1つの記憶媒体から構成されるだけでなく、複数の記憶媒体から構成されていてもよい。
なお、コンピュータ8が行うそれぞれの処理を、演算部9に実行させるプログラムとして記憶部10に保存しておいてもよい。プログラムが保存される記憶部10は、非一時的な記録媒体である。
本実施形態に係る光音響装置は、光照射部4から照射された光から目などを保護するための遮光蓋100(遮光部材)を有している。当該遮光蓋100は、開口部を覆う位置(第一の位置)と、開口部が露出する位置(第二の位置)に移動可能な構成となっている。遮光蓋100は、撮影準備が完了するまでは閉じた状態となっており、撮影準備が完了したタイミングで開放され、被検体が挿入される。
本実施形態に係る光音響装置は、この遮光蓋の上面(表示面)に、撮影範囲(撮影可能領域)に関する位置情報を示すインジケータ101を設け、被検者がベッドユニット1上で撮影姿勢を取る際に、被検体を合わせるべき位置を通知する。
続いて、図3に示すように、遮光蓋100を開放し、保持部材2に被検体201を当接させる。被検体201は、撮影範囲を示すインジケータ101に予め合わせられているため、そのまま被検体を開口部に挿入することで、被検体を理想的な位置に配置することが
できる。なおこの際、カメラによって撮像した画像に基づいて、位置の微調整を行ってもよい。
なお、遮光蓋100は、開放する際に被検者200の撮影姿勢が大きく変化しない構成であることが好ましい。例えば、遮光蓋100をXY平面上でスライドさせる構成としてもよい。また、開口部7の上から被せる構成であってもよい。
なお、図2に示す撮影姿勢を調整する位置に遮光蓋100を係止できるようにするために、スライド機構に不図示のラッチ機構を付与してもよい。ラッチ機構により、遮光蓋100上に形成されたインジケータ101のベッドユニット1に対する位置精度が担保される。また、被検体の位置合わせ手技において、遮光蓋がずれる可能性を低減することが可能となる。ラッチ機構は、遮光蓋100の前述の第一の位置に対応して、スライド域の端に設けることができる。同様にして、ラッチ機構は、第二の位置に対応して設けることができる。
図4中の点線は、光照射部4から照射される光の中心を表している。図4(A)は、駆動部5をX軸正方向に最大まで移動させた状態を表し、図4(B)は、駆動部5をX軸負方向に最大まで移動させた状態を表す。X軸方向における光音響装置の撮影範囲は、図示した点線の間となる。
また、図5(A)は、駆動部5をY軸正方向に最大まで移動させた状態を表し、図5(B)は、駆動部5をY軸負方向に最大まで移動させた状態を表す。Y軸方向における光音響装置の撮影範囲は、光照射部4が移動可能な範囲内となる。
このように、本実施形態では、インジケータ101によって示された矩形は、光照射部4が移動可能な範囲を表す。当該範囲は、被検体情報の画像化が可能な範囲(撮影可能範囲)と一致する。
発生するおそれがある。また、クッションなどを再配置する必要も生じうる。
一方、本実施形態に係る光音響装置は、遮光蓋100を閉じた状態において撮影範囲を被検者200に通知することができるため、最初から正しい撮影姿勢を取ることが可能になり、被検者や介助者の負担を軽減することができる。
第一の実施形態では、遮光蓋100の上面にインジケータ101を設けたが、インジケータはベッドユニット1側に設けてもよい。図6(a)および図6(b)は、ベッドユニット1をZ軸正方向から観察した図である。第二の実施形態では、ベッドユニット1が有する開口部7の周辺に、撮影範囲を示すマーカーである目盛り102が設けられている。
第二の実施形態では、遮光蓋100上に設けられた目盛り104と、ベッドユニットに設けられた目盛り102の双方を用いて、遮光蓋100の係止位置を特定することが可能になっている。
図6(a)は、遮光蓋100が開いている状態(ベッドユニット1に対して位置ずれが生じている状態)を示し、図6(b)は、遮光蓋100が閉じている状態(すなわち、被検体の位置合わせが行える状態)を示す。なお、図6(a)および図6(b)に示した目盛り102は、撮影範囲の縁(実線)と撮影範囲の中心(点線)を示しているが、これ以外の位置的関係を目盛り102によって図示するようにしてもよい。
第一の実施形態では、遮光蓋100の上面に物理的なインジケータ101を設けたが、インジケータは光学的に投影することで形成してもよい。例えば、図7に示したように、装置が設置された室内にプロジェクタ103を設け、遮光蓋100の上面にインジケータを投影するようにしてもよい。この場合、遮光蓋100の上面は、光が投影可能な材質であることが好ましい。インジケータ101を投影することで、遮光蓋100の位置にかかわらず、被検体を合わせるべき位置を示すことができるため、位置合わせの精度を担保することができる。
また、遮光蓋100の上面に表示装置(例えば発光ダイオードや液晶ディスプレイなど)を設け、インジケータを表示するようにしてもよい。インジケータを表示可能とすることで、被検者に様々な情報を提供することができる。
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、前述した各実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータにおける一つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、FPGAやASIC)によっても実現可能である。
Claims (12)
- 被検体を載置する被検体載置部と、前記被検体載置部を介して前記被検体に光を照射する光照射部と、を有し、前記被検体に対する撮影を行う光音響装置において、非撮影時に前記被検体載置部および前記光照射部を覆う遮光部材であって、
前記被検体に対する撮影可能領域に関連する位置情報を示すための表示面を有する
ことを特徴とする、遮光部材。 - 前記位置情報は、前記被検体を前記被検体載置部に載置した場合における撮影可能領域を表す情報である
ことを特徴とする、請求項1に記載の遮光部材。 - 前記表示面に、前記位置情報を示す段差が設けられている
ことを特徴とする、請求項2に記載の遮光部材。 - 前記表示面は、前記位置情報を投影可能な光学特性を有する面である
ことを特徴とする、請求項2に記載の遮光部材。 - 前記表示面に、前記位置情報を表示可能な表示装置を備える
ことを特徴とする、請求項2に記載の遮光部材。 - 前記被検体載置部および前記光照射部を覆う第一の位置と、前記被検体載置部および前記光照射部が露出する第二の位置と、に移動可能である
ことを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の遮光部材。 - 前記第一の位置は、前記光照射部からの光が遮光される位置であり、前記第二の位置は、前記光照射部からの光が前記被検体に照射される位置である、
ことを特徴とする、請求項6に記載の遮光部材。 - 前記第一の位置において、前記位置情報が、前記被検体を前記被検体載置部に載置した場合における撮影可能領域を示す
ことを特徴とする、請求項6または7に記載の遮光部材。 - 請求項1から8のいずれか1項に記載の遮光部材と、
前記被検体載置部と、前記光照射部と、前記被検体からの光音響波を検出する音響波検出器と、を備える
ことを特徴とする、光音響装置。 - 前記表示面に、前記位置情報を投影する投影手段をさらに備える
ことを特徴とする、請求項9に記載の光音響装置。 - 前記遮光部材を、前記被検体載置部および前記光照射部を覆う第一の位置と、前記被検体載置部および前記光照射部が露出する第二の位置と、に移動させる駆動部をさらに備える
ことを特徴とする、請求項9または10に記載の光音響装置。 - 被検体を載置する被検体載置部と、
前記被検体載置部を介して前記被検体に光を照射する光照射部と、
前記被検体からの光音響波を検出する音響波検出器と、
前記被検体に対する撮影可能領域に関連する位置情報を示すための表示面を有する遮光
部材と、
前記遮光部材を、前記光照射部からの光が遮光される位置である第一の位置と、前記光照射部からの光が前記被検体に照射される位置である第二の位置のいずれかに移動させる駆動部と、を有し、
前記駆動部は、撮影を行わないタイミングにおいて、前記遮光部材を前記第一の位置に移動させ、前記被検体の位置合わせが完了したタイミングにおいて、前記遮光部材を前記第二の位置に移動させる
ことを特徴とする、光音響装置。
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