(本開示の基礎となった知見)
空気調和装置を移設する際、空気調和装置の室内機と室外機とを繋ぐ冷媒配管内の冷媒を循環させずに室外機側へ回収するために、エンジニアは冷媒回収運転(いわゆるポンプダウン)を行う。例えば、エンジニアは、冷媒を室外機から室内機へ循環させる弁を閉じて冷媒回収運転を行い、冷媒を室内機から室外機へ循環させる弁を閉じる。冷媒回収運転とは、空気調和装置の運転状態を冷房にして短時間運転させることである。冷媒回収運転の時間は、典型的には2〜3分程度であり、エンジニアの作業手順又は作業時間によっては多少長くなる場合もある。その後、エンジニアは、空気調和装置の電源を切断してから、空気調和装置の冷媒配管、室内機及び室外機を設置場所から取り外す。
特許文献1には、空気調和装置を移設するときに、冷媒を回収する回収運転が行われることに着目し、冷媒を回収する回収運転が終了すると、次回の空調運転時に圧縮機の再起動を禁止する技術が開示されている。当該技術では、冷媒回収作業後の運転時に、冷媒配管内の高圧冷媒圧力が所定圧力を超えた場合には、圧縮機が停止させられる。これにより、室外機が備える圧縮機の装置部品の損傷を防ぐことができる。
しかしながら、特許文献1で開示される技術では、空気調和装置が移設されていないのにもかかわらず、移設されたことが誤検出され、空気調和装置が正常に稼動しなくなるおそれがある。例えば、空気調和装置の使用環境又は設置状況によっては、冷媒配管内の冷媒が日々微小に漏れ、空気調和装置が保有している冷媒量が減少する場合がある。この場合、冷媒配管内で循環する冷媒が少なくなることにより冷媒回収作業が行われた時と同じ圧力に冷媒圧力が低下し、冷媒回収作業が行われたと誤検出される可能性がある。特許文献1では、冷媒回収作業が行われたと誤検出されると、圧縮機の再起動が抑制されるため、圧縮機の起動が失敗する。圧縮機の起動が失敗すると、空気調和装置が停止し、稼働できなくなる。
以上の課題を解決するために、本開示の一態様に係る空気調和装置の移設判断方法は、ネットワークを介して接続されるとともに冷媒回路を有する空気調和装置のネットワーク接続状況を検知し、前記ネットワークを介して前記空気調和装置の稼動履歴又は稼働環境を示す稼動情報を受信し、前記ネットワーク接続状況及び前記稼動情報に基づいて前記空気調和装置が移設されたか否かを判断する。
この構成によれば、ネットワークを介して接続されるとともに冷媒回路を有する空気調和装置のネットワーク接続状況が検知される。ネットワークを介して空気調和装置の稼動履歴又は稼働環境を示す稼動情報が受信される。ネットワーク接続状況及び稼動情報に基づいて空気調和装置が移設されたか否かが判断される。
したがって、空気調和装置のネットワーク接続状況及び空気調和装置の稼動履歴又は稼働環境を示す稼動情報に基づいて空気調和装置が移設されたか否かが判断されるので、空気調和装置の移設をより正確に検出することができる。特に、空気調和装置が保有している冷媒量が少ない場合に冷媒配管内の冷媒圧力を検知する必要が無くなり、空気調和装置の移設の誤検出を防止することができる。
また、上記の移設判断方法において、前記空気調和装置が移設されたと判断された場合、前記空気調和装置の試運転を促す試運転情報を通知してもよい。
この構成によれば、空気調和装置が移設されたと判断された場合、空気調和装置の試運転を促す試運転情報が通知されるので、空気調和装置の移設後に、空気調和装置の試運転をユーザに確実に実施させることができる。
また、上記の移設判断方法において、前記試運転情報の通知において、前記ネットワークを介して情報通信装置へ前記試運転情報を送信してもよい。
この構成によれば、試運転情報の通知において、ネットワークを介して情報通信装置へ試運転情報が送信されるので、情報通信装置によって、空気調和装置の試運転を促す試運転情報を通知することができる。
また、上記の移設判断方法において、前記空気調和装置が移設されたと判断された場合、前記空気調和装置に対して試運転を行うよう指示するコマンドを送信してもよい。
この構成によれば、空気調和装置が移設されたと判断された場合、空気調和装置に対して試運転を行うよう指示するコマンドが送信されるので、空気調和装置の移設後に、空気調和装置の試運転を確実に実施することができる。
また、上記の移設判断方法において、前記空気調和装置が移設されたか否かの判断において、前記稼動履歴に基づいて、前記冷媒回路における冷媒を回収するための冷媒回収運転が行われたか否かを判断してもよい。
この構成によれば、空気調和装置が移設されたか否かの判断において、稼動履歴に基づいて、冷媒回路における冷媒を回収するための冷媒回収運転が行われたか否かが判断されるので、冷媒回収運転が行われた場合に、空気調和装置が移設されたと判断することができる。
また、上記の移設判断方法において、前記冷媒回収運転が行われたと判断し、かつ前記空気調和装置が前記ネットワークに接続していないことが検知された場合、前記空気調和装置が移設されたと判断してもよい。
この構成によれば、冷媒回収運転が行われたと判断され、かつ空気調和装置がネットワークに接続していないことが検知された場合、空気調和装置が移設されたと判断される。したがって、冷媒回収運転が行われたか否かだけでなく、ネットワークに接続しているかいなかを検知することにより、空気調和装置の移設の誤検出を防止することができる。例えば、エンジニアが冷媒回収運転に相当する運転を行った後、空気調和装置を設置場所から取り外したことでネットワークへの接続が切断された場合に、空気調和装置を移設するための作業が行われたことを検出することができる。
また、上記の移設判断方法において、前記稼動履歴に基づいて、前記空気調和装置が前記ネットワークに接続していないことが検知された第1時点から、前記第1時点の後であって前記空気調和装置が前記ネットワークに接続していることが検知された第2時点までの期間を第1期間と規定し、前年以前における前記第1期間と同じ期間である第2期間において、前記冷媒回収運転が行なわれたか否かを判断してもよい。
この構成によれば、稼動履歴に基づいて、空気調和装置がネットワークに接続していないことが検知された第1時点から、第1時点の後であって空気調和装置がネットワークに接続していることが検知された第2時点までの期間が第1期間と規定され、前年以前における第1期間と同じ期間である第2期間において、冷媒回収運転が行なわれたか否かが判断される。
したがって、前年以前における第1期間と同じ期間である第2期間において、冷媒回収運転が行なわれたか否かが判断されるので、より確実に冷媒回収運転が行なわれたか否かを判断することができる。
また、上記の移設判断方法において、前記稼動履歴に基づいて、前記空気調和装置が冷房運転されたと判断された第3時点の前年以前における同じ時点において、前記空気調和装置が冷房運転されていなかった場合、前記第3時点において前記冷媒回収運転が行われたと判断してもよい。
この構成によれば、稼動履歴に基づいて、空気調和装置が冷房運転されたと判断された第3時点の前年以前における同じ時点において、空気調和装置が冷房運転されていなかった場合、第3時点において冷媒回収運転が行われたと判断される。
したがって、冷媒回収運転の動作は通常の冷房運転の動作と同じであるため、空気調和装置が冷房運転されたと判断された第3時点の前年以前の同じ時点において冷房運転されていない場合、第3時点の冷房運転は冷媒回収運転であると判断することができる。
また、上記の移設判断方法において、前記稼動履歴に基づいて、前記空気調和装置が冷房運転されたと判断された第3時点における前記空気調和装置の連続稼働時間が所定の時間範囲内である場合、前記第3時点において前記冷媒回収運転が行われたと判断してもよい。
この構成によれば、稼動履歴に基づいて、空気調和装置が冷房運転されたと判断された第3時点における空気調和装置の連続稼働時間が所定の時間範囲内である場合、第3時点において冷媒回収運転が行われたと判断される。
したがって、空気調和装置が冷房運転された際の連続稼働時間が、冷媒回収運転される際の連続稼動時間と同じ所定の時間範囲内である場合に、当該冷房運転が冷媒回収運転であると判断することができる。
また、上記の移設判断方法において、前記稼動環境の変化に基づいて、前記空気調和装置が移設されたか否かを判断してもよい。
この構成によれば、稼動環境の変化に基づいて、空気調和装置が移設されたか否かを判断することができる。
また、上記の移設判断方法において、前記稼働環境は、前記空気調和装置が設置された空間における環境であってもよい。
この構成によれば、空気調和装置が設置された空間における環境の変化に基づいて、空気調和装置が移設されたか否かを判断することができる。
また、上記の移設判断方法において、前記稼動環境は、前記空気調和装置が設置された空間の温度を含んでもよい。
この構成によれば、空気調和装置が設置された空間の温度の変化に基づいて、空気調和装置が移設されたか否かを判断することができる。
また、上記の移設判断方法において、前記空気調和装置は、室内機及び室外機を備え、前記稼動環境は、前記室内機が設置された室内の温度を示す第1温度と、前記室外機が設置された室外の温度を示す第2温度との少なくとも一方を含んでもよい。
この構成によれば、空気調和装置は、室内機及び室外機を備える。稼動環境は、室内機が設置された室内の温度を示す第1温度と、室外機が設置された室外の温度を示す第2温度との少なくとも一方を含む。したがって、室内機が設置された室内の温度を示す第1温度と、室外機が設置された室外の温度を示す第2温度との少なくとも一方の変化に基づいて、空気調和装置が移設されたか否かを判断することができる。
また、上記の移設判断方法において、前記稼動環境に基づいて、前記空気調和装置が前記ネットワークに接続していないことが検知された第1時点の後であって前記空気調和装置が前記ネットワークに接続したことが検知された第2時点からの所定の経過期間内である第3期間において、前記空気調和装置が設置される空間の温度の変化傾向を示す第1温度変化情報を算出し、前記第3期間の前年以前における同じ期間において、前記空気調和装置が設置される前記空間の温度の変化傾向を示す第2温度変化情報を算出し、前記第1温度変化情報と前記第2温度変化情報との相関に基づいて前記空気調和装置が移設されたか否かを判断してもよい。
この構成によれば、稼動環境に基づいて、空気調和装置がネットワークに接続していないことが検知された第1時点の後であって空気調和装置がネットワークに接続したことが検知された第2時点からの所定の経過期間内である第3期間において、空気調和装置が設置される空間の温度の変化傾向を示す第1温度変化情報が算出される。第3期間の前年以前における同じ期間において、空気調和装置が設置される空間の温度の変化傾向を示す第2温度変化情報が算出される。第1温度変化情報と第2温度変化情報との相関に基づいて空気調和装置が移設されたか否かが判断される。
したがって、2つの期間における空気調和装置が設置される空間の温度の変化傾向の相関に基づいて空気調和装置が移設されたか否かが判断されるので、1つの期間における空気調和装置が設置される空間の温度の変化傾向に基づいて空気調和装置が移設されたか否かを判断するよりも、空気調和装置が移設したか否かをより精度よく判断することができる。
また、上記の移設判断方法において、前記稼動環境は、前記空気調和装置と前記ネットワークとの接続に関する通信環境であってもよい。
この構成によれば、空気調和装置と前記ネットワークとの接続に関する通信環境の変化に基づいて、空気調和装置が移設されたか否かを判断することができる。
また、上記の移設判断方法において、前記空気調和装置と前記ネットワークとの接続パラメタを示す接続パラメタ情報を取得し、前記空気調和装置が前記ネットワークに接続していないことが検知された第1時点以前に取得された前記接続パラメタ情報で示される第1接続パラメタと、前記第1時点の後であって前記空気調和装置が前記ネットワークに接続したことが検知された第2時点以降に取得された前記接続パラメタ情報で示される第2接続パラメタとの比較に基づいて前記空気調和装置が移設されたか否かを判断してもよい。
この構成によれば、空気調和装置とネットワークとの接続パラメタを示す接続パラメタ情報が取得される。空気調和装置がネットワークに接続していないことが検知された第1時点以前に取得された接続パラメタ情報で示される第1接続パラメタと、第1時点の後であって空気調和装置がネットワークに接続したことが検知された第2時点以降に取得された接続パラメタ情報で示される第2接続パラメタとの比較に基づいて空気調和装置が移設されたか否かが判断される。
したがって、空気調和装置とネットワークとの接続パラメタが変化した場合、空気調和装置が移設されたと判断することができる。
本開示の他の態様に係る空気調和装置の移設判断装置は、ネットワークを介して接続されるとともに冷媒回路を有する空気調和装置のネットワーク接続状況を検知する接続状況検知部と、前記ネットワークを介して前記空気調和装置の稼動履歴又は稼働環境を示す稼動情報を受信する受信部と、前記ネットワーク接続状況及び前記稼動情報に基づいて前記空気調和装置が移設されたか否かを判断する移設判断部と、を備える。
この構成によれば、ネットワークを介して接続されるとともに冷媒回路を有する空気調和装置のネットワーク接続状況が検知される。ネットワークを介して空気調和装置の稼動履歴又は稼働環境を示す稼動情報が受信される。ネットワーク接続状況及び稼動情報に基づいて空気調和装置が移設されたか否かが判断される。
したがって、空気調和装置のネットワーク接続状況及び空気調和装置の稼動履歴又は稼働環境を示す稼動情報に基づいて空気調和装置が移設されたか否かが判断されるので、空気調和装置の移設をより正確に検出することができる。特に、空気調和装置が保有している冷媒量が少ない場合に冷媒配管内の冷媒圧力を検知する必要が無くなり、空気調和装置の移設の誤検出を防止することができる。
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また全ての実施の形態において、各々の内容を組み合わせることも出来る。
(実施の形態1)
まず、本実施の形態1における、冷媒回路を有する空気調和装置と、情報通信装置と、空気調和装置及び情報通信装置とネットワークを介して接続される移設判断装置とを備える情報通知システムの構成について説明する。
図1は、本開示の実施の形態1における情報通知システムの全体構成の一例を示す図である。
情報通知システムは、空気調和装置1と、端末5と、移設判断装置6とを備える。移設判断装置6は、ネットワークを介して、遠隔で空気調和装置1の稼働履歴を監視する。稼働履歴とは、例えば、空気調和装置1の電源ON又は電源OFFの状態、冷房又は暖房などの運転モードの状態、設定されている温度、及び空気調和装置1に搭載された温度センサーの値などである。移設判断装置6は、空気調和装置1が移設されたか否かを判断する。
空気調和装置1は、リモートコントローラ2によりユーザからの電源ON、電源OFF、運転モードの変更及び設定温度の変更などの要求を受け付ける。空気調和装置1の運転モードとしては、例えば、冷房運転、暖房運転、除湿運転、送風運転及び試運転などがある。空気調和装置1は、リモートコントローラ2と、例えば赤外線通信を行う。リモートコントローラ2は、空気調和装置1の電源のON又はOFFのユーザによる入力、冷房又は暖房などの運転モードのユーザによる入力、設定温度のユーザによる入力を受け付ける。リモートコントローラ2は、受け付けた入力内容に応じた信号を空気調和装置1へ送信する。また、空気調和装置1は、アダプタ3を介してグローバルネットワーク4に接続されている。
なお、グローバルネットワーク4は、例えばインターネットであり、移設判断装置6は、例えばクラウドコンピューティングシステムにおけるサーバである。また、移設判断装置6は、グローバルネットワーク4を介して空気調和装置1及び端末5と接続されているが、LAN(Local Area Network)を介して空気調和装置1及び端末5と接続されてもよい。この場合、移設判断装置6は、例えばローカルサーバである。
アダプタ3は、例えば有線を介して空気調和装置1と接続され、グローバルネットワーク4と空気調和装置1とを接続する機能を有する。アダプタ3は、空気調和装置1の内部に搭載されてもよいし、無線を介して空気調和装置1と接続されてもよい。また、アダプタ3は、ゲートウェイのように、プロトコルの変換機能及びパケット送受信機能を有しており、モデムのように異種の伝送路媒体同士を接続する機能を有している。アダプタ3は、一つの装置で構成されてもよいし、複数の装置で構成されてもよく、複数の装置間を有線又は無線で接続することで上記の機能を有してもよい。
端末5は、例えば、携帯電話機、スマートフォン、タブレット型コンピュータ又はパーソナルコンピュータなどであり、通信機能及び表示画面を有する。端末5は、情報通信装置の一例である。端末5は、空気調和装置1の電源のON又はOFFのユーザによる入力、冷房又は暖房などの運転モードのユーザによる入力、設定温度のユーザによる入力を受け付けてもよい。端末5は、グローバルネットワーク4に接続している時、空気調和装置1の電源ON又は設定温度の変更などの要求を空気調和装置1へ送信できる。空気調和装置1は、アダプタ3及びグローバルネットワーク4を介して端末5からの要求を受け付ける。
移設判断装置6は、例えばサーバである。移設判断装置6は、グローバルネットワーク4を介して、端末5の表示画面に空気調和装置1の稼働履歴の情報、又はユーザからの要求を受け付けるための画面を表示するための情報を送受信することができる。なお、グローバルネットワーク4は、一般公衆回線であるため、図1には示していない他の空気調和装置又はその他の接続機器も接続されており、移設判断装置6は、複数台の空気調和装置を監視したり、複数台の端末と情報を送信及び受信したりすることが可能である。
図2は、本開示の実施の形態1における空気調和装置の内部構成の一例を示す図である。空気調和装置1は、室内に設置する室内機11と、室外に設置する室外機12とを備える。室内機11と室外機12とは、冷媒配管13及び通信線14を介して接続されている。
室内機11は、操作指示受信部111、通信部112、運転制御部113、温度センサー114、ファンモーター115、室内機側通信部116、メモリ117及び室内機側冷媒回路118を備える。
操作指示受信部111は、リモートコントローラ2からの操作指示要求を赤外線通信等で受信する。
運転制御部113は、操作指示受信部111によって受信されたリモートコントローラ2からの操作指示要求に応じて、室内機11と室外機12との内部装置を駆動させる。運転制御部113は、空気調和装置1の運転を制御する。
室内機側冷媒回路118は、冷媒配管13を介して室外機12から送られてきた冷媒を、冷媒配管13を介して室外機12へ送り、室内機11と室外機12との間で冷媒を循環させる。ファンモーター115は、室外機12から冷媒配管13を通って流れる冷媒によって生成された温風又は冷風を室内に送り出す。
温度センサー114は、室内機11が設置されている室内の温度を計測する。メモリ117は、リモートコントローラ2からの操作指示要求、空気調和装置1内のセンサー情報、及び空気調和装置1の稼働履歴などの複数の情報を記憶する。通信部112は、アダプタ3及びグローバルネットワーク4を介した通信を処理する。室内機側通信部116は、通信線14を介して室外機12と情報を送受信する。
室外機12は、室外機側通信部121、コンプレッサー122、温度センサー123及び室外機側冷媒回路124を備える。
室外機側冷媒回路124は、冷媒配管13を介して室内機11から送られてきた冷媒を、冷媒配管13を介して室内機11へ送り、室内機11と室外機12との間で冷媒を循環させる。
コンプレッサー122は、室外機側冷媒回路124によって送られる冷媒を圧縮する。温度センサー123は、室外機12が設置されている室外の温度を計測する。室外機側通信部121は、通信線14を介して室内機11と情報を送受信する。室内機側通信部116と室外機側通信部121との間で送受信される情報とは、例えば、室内機11に搭載された温度センサー114の値、室外機12に搭載された温度センサー123の値、ユーザからの操作指示要求、又はコンプレッサー122を稼働させる際の指示周波数などである。室内機11は、室外機12から受信した情報を基に運転制御を行い、室外機12は、室内機11から受信した指示周波数に従って搭載されているコンプレッサー122を稼働させる。
なお、図2に示す室内機11及び室外機12にはそれぞれ室内及び室外の温度を計測する温度センサーのみが搭載されているが、空気調和装置1は、冷媒配管13の回り又は送風口などの複数の箇所の温度を計測する複数の温度センサーを搭載してもよい。また、空気調和装置1は、温度センサーに限らず、空気調和装置1を制御するために人感センサー又は照度センサーなどの他の種類のセンサーを搭載してもよい。なお、図2の室外機12には運転制御部が示されていないが、室外機12も運転制御部を搭載してもよい。
図3は、本開示の実施の形態1における移設判断装置の内部構成の一例を示す図である。移設判断装置6は、タイマー61、情報収集部62、通信部63、記憶部64、移設判断部65及び試運転通知部66を備える。
通信部63は、移設判断装置6がグローバルネットワーク4に接続するための機能を有しており、グローバルネットワーク4に接続している空気調和装置1と情報を送受信する。なお、記憶部64は、空気調和装置1と通信するために、グローバルネットワーク4に接続する空気調和装置1又はアダプタ3のIPアドレス又は識別情報を記憶している。
情報収集部62は、ネットワークを介して空気調和装置1の稼動履歴又は稼働環境を示す稼動情報を受信する。情報収集部62は、タイマー61が示す時間に従って定期的にグローバルネットワーク4に接続している空気調和装置1に対してセンサー値又は稼働履歴などの稼動情報を要求する。情報収集部62は、要求に応じて空気調和装置1によって送信された稼動情報を受信し、受信した稼動情報を、受信した時刻と共に記憶部64に記憶する。
また、情報収集部62は、ネットワークを介して接続されるとともに冷媒回路を有する空気調和装置1のネットワーク接続状況を検知する。すなわち、情報収集部62は、要求した稼動情報を空気調和装置1から受信できなかった場合には、空気調和装置1がネットワークに接続されていないと検知する。情報収集部62は、空気調和装置1がネットワークに接続されていないことを、受信できなかった時刻と共に記憶部64に記憶する。
移設判断部65は、ネットワーク接続状況及び稼動情報に基づいて空気調和装置1が移設されたか否かを判断する。移設判断部65は、記憶部64に記憶された空気調和装置1の過去から現在までの稼働履歴又はセンサー情報を取り出し、空気調和装置1が移設されたか否かを判断し、判断結果を保持する。
移設判断部65は、稼動履歴に基づいて、冷媒回路における冷媒を回収するための冷媒回収運転が行われたか否かを判断する。移設判断部65は、冷媒回収運転が行われたと判断し、かつ空気調和装置1がネットワークに接続していないことが検知された場合、空気調和装置1が移設されたと判断する。
また、移設判断部65は、稼動履歴に基づいて、空気調和装置1が冷房運転されたと判断された第3時点の前年以前における同じ時点において、空気調和装置1が冷房運転されていなかった場合、第3時点において冷媒回収運転が行われたと判断する。
また、移設判断部65は、稼動履歴に基づいて、空気調和装置1が冷房運転されたと判断された第3時点における空気調和装置1の連続稼働時間が所定の時間範囲内である場合、第3時点において冷媒回収運転が行われたと判断する。
試運転通知部66は、空気調和装置1が移設されたと判断された場合、空気調和装置1の試運転を促す試運転情報を通知する。試運転通知部66は、ネットワークを介して端末5へ試運転情報を送信する。試運転通知部66は、移設判断部65によって空気調和装置1が移設されたと判断された場合、通信部63を用いて端末5へユーザに空気調和装置1の試運転を促す試運転情報を送信する。なお、試運転とは、冷房運転及び暖房運転などの種々の運転モードで空気調和装置1を稼動させ、正常に稼動されるか否かを確認するための運転モードである。
なお、情報収集部62は、タイマー61が示す時間に従って定期的に稼動情報を要求して収集する代わりに、空気調和装置1の稼動情報又はネットワーク接続状況が変化した時に、空気調和装置1から移設判断装置6に通知された稼動情報を収集してもよい。
なお、移設判断装置6の全般的又は具体的な態様は、システム、サーバ、方法、集積回路、コンピュータプログラム、又はコンピュータ読み取り可能なCD−ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、サーバ、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
続いて、図4を用いて、移設判断装置6の動作について説明する。
図4は、本開示の実施の形態1における移設判断装置による移設判断処理の一例を示すフローチャートである。移設判断装置6は、空気調和装置1が移設されたか否かを検出するために、定期的又は継続的に移設判断処理を行う。
まず、情報収集部62は、空気調和装置1の稼働履歴を収集し、記憶部64に記憶する(ステップS101)。
次に、移設判断部65は、稼働履歴に基づいて空気調和装置1が運転を停止しているか否かを判断する(ステップS102)。移設判断部65は、空気調和装置1に電源が供給されており、かつ空気調和装置1がネットワークに接続されており、かつ空気調和装置1が運転していない場合に、空気調和装置1が運転を停止していると判断する。ここで、空気調和装置1が運転を停止していないと判断された場合(ステップS102でNO)、移設判断処理を終了する。
一方、空気調和装置1が運転を停止していると判断された場合(ステップS102でYES)、移設判断部65は、稼働履歴に基づいて、運転を停止する前の運転が冷房運転であるか否かを判断する(ステップS103)。ここで、停止前の運転が冷房運転ではないと判断された場合(ステップS103でNO)、移設判断処理を終了する。
一方、停止前の運転が冷房運転であると判断された場合(ステップS103でYES)、移設判断部65は、停止前に行われた冷房運転が冷媒回収運転であるか否かを判断する冷媒回収運転判断処理を行う(ステップS104)。なお、ステップS104の冷媒回収運転判断処理については、後述する。
次に、移設判断部65は、停止前に行われた冷房運転が冷媒回収運転であるか否かを判断する(ステップS105)。ここで、停止前に行われた冷房運転が冷媒回収運転ではないと判断された場合(ステップS105でNO)、移設判断処理を終了する。
一方、停止前に行われた冷房運転が冷媒回収運転であると判断された場合(ステップS105でYES)、移設判断部65は、空気調和装置1がネットワークに接続しているか否かを判断する(ステップS106)。空気調和装置1の電源がOFFされた場合、空気調和装置1に電源が供給されなくなり、空気調和装置1はネットワークに接続されなくなる。そのため、空気調和装置1がネットワークに接続しているか否かを判断することにより、空気調和装置1を移設するために電源がOFFされたか否かを判断することができる。
ここで、空気調和装置1がネットワークに接続していると判断された場合(ステップS106でYES)、移設判断処理を終了する。
一方、空気調和装置1がネットワークに接続していないと判断された場合(ステップS106でNO)、試運転通知部66は、空気調和装置1の試運転を促す試運転情報を端末5に通知する試運転通知処理を行う(ステップS107)。なお、ステップS107の試運転通知処理については、後述する。
次に、図5及び図6を用いて、図4のステップS104における冷媒回収運転判断処理の詳細を説明する。
図5は、本開示の実施の形態1において、記憶部に記憶された稼働履歴の一例を示す図である。稼働履歴は、稼動履歴を収集した収集日時、空気調和装置1の運転状態、空気調和装置1の運転時間、及び空気調和装置1の設定温度を含む。行R104に記録された稼働履歴は、最近収集した稼働履歴である。行R103に記録された稼働履歴は、前回収集した稼働履歴である。行R101及び行R102は、行R103と過去の同じ時期に収集した稼働履歴である。行R101は、行R103の2年前の同じ時刻に取得した稼動履歴であり、行R102は、行R103の1年前の同じ時刻に取得した稼動履歴である。
なお、図5の例では、情報収集部62は、10分毎に空気調和装置1から稼働履歴を収集しているが、収集時間間隔は異なってもよい。なお、行R103及び行R104は、それぞれ個別に収集した稼働履歴であるが、情報収集部62は、複数の稼働履歴をまとめて収集し、記憶部64に記憶して用いてもよい。
図6は、図4のステップS104における移設判断装置の冷媒回収運転判断処理の一例を示すフローチャートである。移設判断装置6は、空気調和装置1の稼働履歴に基づいて、運転停止前に行われた冷房運転が、空気調和装置1を移設するためにエンジニアが行う冷媒回収運転であるか否かを判断する。
まず、移設判断部65は、記憶部64に記憶されている稼動履歴に基づいて、空気調和装置1が冷房運転されたと判断された時点の前年以前における同じ時点において、空気調和装置1が冷房運転されたか否かを判断する(ステップS1041)。ここで、空気調和装置1が冷房運転されたと判断された時点の前年以前における同じ時点において、空気調和装置1が冷房運転されていないと判断された場合(ステップS1041でNO)、移設判断部65は、停止前に行われた冷房運転が冷媒回収運転であるという判断結果を記憶部64に記憶し(ステップS1043)、冷媒回収運転判断処理を終了する。
一方、空気調和装置1が冷房運転されたと判断された時点の前年以前における同じ時点において、空気調和装置1が冷房運転されたと判断された場合(ステップS1041でYES)、移設判断部65は、停止前に行われた冷房運転の運転時間が2分以上30分以内であったか否かを判断する(ステップS1402)。ここで、停止前に行われた冷房運転の運転時間が2分以上30分以内ではないと判断された場合(ステップS1042でNO)、冷媒回収運転判断処理を終了する。
一方、停止前に行われた冷房運転の運転時間が2分以上30分以内であると判断された場合(ステップS1042でYES)、移設判断部65は、停止前に行われた冷房運転が冷媒回収運転であるという判断結果を記憶部64に記憶し(ステップS1043)、冷媒回収運転判断処理を終了する。
このように、冷媒回収運転の動作は通常の冷房運転の動作と同じであるため、例えば、秋から春の気温の低い時期において通常は冷房運転が行なわれないことを考慮すると、空気調和装置が冷房運転されたと判断された第3時点の前年以前の同じ時点において冷房運転されていない場合、第3時点の冷房運転は冷媒回収運転であると判断することができる。また、通常の冷媒回収運転は、例えば、2分以上30分以内の短い時間で完了することが多いため、冷房運転の連続稼働時間が所定の時間の範囲内であるか否かを判断することにより、当該冷房運転が冷媒回収運転であるか否かを判断することができる。
なお、本実施の形態1における移設判断部65は、図5に例示した稼働履歴を用いて、空気調和装置1が冷房運転されたと判断された日時の前年における同じ日時において、空気調和装置1が冷房運転されたか否かを判断しているが、空気調和装置1が冷房運転されたと判断された月の前年における同じ月、空気調和装置1が冷房運転されたと判断された週の前年における同じ週、又は空気調和装置1が冷房運転されたと判断された日の前年における同じ日など、空気調和装置1が冷房運転されたと判断された時期又は季節と同じ時期又は同じ季節として扱える期間の稼働履歴を用いてもよい。
また、ステップS1042の処理において、移設判断部65は、停止前に行われた冷房運転の運転時間が2分以上30分以内であるか否かを判断しているが、短時間であっても冷媒回収は可能であるので、判断する運転時間は2分より短くてもよい。また、運転時間を判断するための時間間隔は、2分以上30分以内の時間間隔に限定されず、他の時間間隔であってもよい。
図5に例示した稼働履歴を用いて冷媒回収運転判断処理が行われた場合、空気調和装置1が冷房運転されたと判断された時点は、2015年3月4日12時10分であり、前年における同じ時点である2014年3月4日12時10分において、空気調和装置1は、暖房運転されており、冷房運転されていない。この場合、移設判断部65は、停止前に行われた冷房運転が冷媒回収運転であるという判断結果を記憶部64に記憶し、冷媒回収運転判断処理を終了する。
次に、図7及び図8を用いて、図4のステップS107における試運転通知処理の詳細を説明する。
図7は、図4のステップS107における試運転通知処理の一例を示すフローチャートである。移設判断装置6は、空気調和装置1が移設されたことを検出すると、ユーザに試運転の実施を促す試運転情報を通知する。
まず、移設判断装置6の試運転通知部66は、空気調和装置1のネットワーク接続状況を定期的又は継続的に確認する(ステップS1071)。エンジニアが空気調和装置1の移設を行った場合、移設作業中は室内機11及び室外機12を設置場所から取り外すために電源をOFFにするので、空気調和装置1はネットワークに接続していない。そのため、空気調和装置1の移設作業が完了し、ユーザ宅内でグローバルネットワーク4が使用できる状態になったときに、空気調和装置1は、ネットワーク接続に復帰する。
次に、試運転通知部66は、空気調和装置1がネットワーク接続されているか否かを判断する(ステップS1072)。ここで、空気調和装置1がネットワーク接続されていないと判断された場合(ステップS1072でNO)、ステップS1071の処理に戻る。
一方、空気調和装置1がネットワーク接続されていると判断された場合(ステップS1072でYES)、試運転通知部66は、通信部63を用いて端末5に試運転の実施を促す試運転情報を送信し(ステップS1073)、試運転通知処理を終了する。
なお、本実施の形態1において、空気調和装置1がネットワーク接続されていないと判断された場合、ステップS1071の処理に戻っているが、本開示は特にこれに限定されず、空気調和装置1がネットワーク接続されていないと判断された場合、試運転通知部66は、空気調和装置1がネットワーク接続されていないと判断されてからの経過時間を計測し、計測した経過時間が所定時間を超えた場合、試運転通知処理を終了してもよい。
なお、試運転通知部66が試運転の実施を促す試運転情報を送信する先は、端末5ではなく、空気調和装置1であってもよい。試運転情報を受信した空気調和装置1は、空気調和装置1に設けられたスピーカから報知音を出力させたり、空気調和装置1に設けられたLED(Light Emitting Diode)を点灯させたり、空気調和装置1に設けられた液晶画面にメッセージを表示させたりするなどしてユーザに報知してもよい。さらに、空気調和装置1とリモートコントローラ2とが双方向に通信できる場合、試運転情報を受信した空気調和装置1が、リモートコントローラ2に試運転の実施を促すメッセージを送信し、リモートコントローラ2が、受信したメッセージを表示することでユーザに報知してもよい。
図8は、本開示の実施の形態1において、端末に表示される試運転通知画面の一例を示す図である。
図8に示すように、端末5は、例えば、移設したことによって空気調和装置1の周辺環境が変わり、確認のために試運転するべきであることをユーザに通知する文言を試運転通知画面51に表示する。また、端末5は、通知を受け取ったユーザが直ちに空気調和装置1の試運転を実施するための試運転ボタン52と、空気調和装置1の試運転の実施を保留するためのキャンセルボタン53とを試運転通知画面51に表示してもよい。ユーザが試運転ボタン52を選択した場合には、端末5は、空気調和装置1に試運転を実施させるための操作指示要求を送信する。空気調和装置1は、端末5からの操作指示要求を受信した場合、試運転を実施する。
このように、試運転が必要である旨の情報がユーザに通知されるとともに、試運転を実行させるためのアイコンを含むグラフィカルユーザインタフェースが端末5のタッチパネルに提示されるので、ユーザは空気調和装置1に対して試運転を実行させる方法を調べることなく、提示されたアイコンを操作するだけで空気調和装置1に対して試運転を実行させることができる。
このように、本実施の形態1によれば、空気調和装置1が保有している冷媒量が少ない場合であっても、冷媒配管13内の冷媒圧力を検知する必要が無くなり、空気調和装置1の移設の誤検出を防止できる。また、冷房運転が行われたか否かの判断だけでなく、ネットワークに接続しているか否かを判断することにより、例えば、ユーザが誤って冷房運転させて、すぐ停止させた場合に、空気調和装置1の移設の誤検出を防止することができる。
また、例えば、冷媒回収運転に相当する冷房運転が行われた後、空気調和装置1が設置場所から取り外されたことでネットワークへの接続が切断された場合に、空気調和装置1を移設するための作業が行われたことを検出することができる。
なお、本実施の形態1において、試運転通知部66は、空気調和装置1が移設されたと判断された場合、空気調和装置1の試運転を促す試運転情報を端末5に通知しているが、本開示は特にこれに限定されず、通信部63は、空気調和装置1が移設されたと判断された場合、空気調和装置1に対して試運転を行うよう指示するコマンドを送信してもよい。この場合、空気調和装置1が移設された場合、空気調和装置1は、自動的に試運転を開始するので、試運転を実施するためのユーザの手間を省くことができる。
また、試運転通知部66は、空気調和装置1が試運転を実施した結果を端末5に通知してもよい。この場合、通信部63は、空気調和装置1が試運転を実施した結果、空気調和装置1が正常に稼動するか否かを示す試運転結果情報を空気調和装置1から受信する。
以上、本実施の形態1における移設判断装置6の動作について説明した。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2を詳細に説明する。上記の実施の形態1では、空気調和装置1がネットワーク接続した状態で冷媒回収運転を行い、空気調和装置1の電源がOFFにされるという順で行われた移設作業が検出され、ユーザに試運転の実施を促す試運転情報が通知される動作について説明した。これに対し、本実施の形態2では、空気調和装置1がネットワークから切断された状態で冷媒回収運転を行い、空気調和装置1の電源がOFFされるという順で行われる移設作業が検出され、ユーザに試運転の実施を促す試運転情報が通知される動作について説明する。
なお、本実施の形態2における空気調和装置1の構成の概要、移設判断装置6の構成の概要、試運転通知処理、及び端末5の試運転通知画面の一例は、図1、図2、図3、図7及び図8で説明した実施の形態1と同じであり、説明は省略する。
移設判断部65は、稼動履歴に基づいて、冷媒回路における冷媒を回収するための冷媒回収運転が行われたか否かを判断する。移設判断部65は、冷媒回収運転が行われたと判断し、かつ空気調和装置1がネットワークに接続していないことが検知された場合、空気調和装置1が移設されたと判断する。
また、移設判断部65は、稼動履歴に基づいて、空気調和装置1がネットワークに接続していないことが検知された第1時点から、第1時点の後であって空気調和装置1がネットワークに接続していることが検知された第2時点までの期間を第1期間と規定し、前年以前における第1期間と同じ期間である第2期間において、冷媒回収運転が行なわれたか否かを判断する。移設判断部65は、稼動履歴に基づいて、空気調和装置1が冷房運転されたと判断された第3時点の前年以前における同じ時点において、空気調和装置1が冷房運転されていなかった場合、第3時点において冷媒回収運転が行われたと判断する。
また、移設判断部65は、稼動履歴に基づいて、空気調和装置1が冷房運転されたと判断された第3時点における空気調和装置1の連続稼働時間が所定の時間範囲内である場合、第3時点において冷媒回収運転が行われたと判断する。
以下、本実施の形態2における移設判断装置6の動作について図9を用いて説明する。
図9は、本開示の実施の形態2における移設判断装置による移設判断処理の一例を示すフローチャートである。移設判断装置6は、空気調和装置1が移設されたか否かを検出するために、定期的又は継続的に移設判断処理を行う。なお、以下の図9では、既に説明した処理と同様の処理には同一の符号を付しており、重複する説明を省略する場合がある。
まず、移設判断部65は、空気調和装置1がネットワーク接続しているか否かを定期的及び継続的に確認し、空気調和装置1がネットワークに接続していない状態からネットワークに接続している状態に復帰したか否かを判断する(ステップS201)。移設判断部65は、空気調和装置1のネットワーク接続状況を記憶部64に記憶する。ここで、空気調和装置1がネットワークに接続していない状態からネットワークに接続している状態に復帰していないと判断された場合(ステップS201でNO)、移設判断処理を終了する。
一方、空気調和装置1がネットワークに接続していない状態からネットワークに接続している状態に復帰したと判断された場合(ステップS201でYES)、移設判断部65は、ネットワークに接続していなかった期間の稼働履歴を記憶部64から取得する(ステップS204)。情報収集部62は、定期的又は継続的に空気調和装置1の稼働履歴を収集して記憶部64に記憶している。そのため、ネットワークに接続されていなかった空気調和装置1が、ネットワークに接続された場合に、情報収集部62は、ネットワークに接続されていなかった期間の空気調和装置1の稼働履歴を受信する。
次に、移設判断部65は、ネットワークに接続されていなかった期間の稼動履歴に冷房運転があるか否かを判断する(ステップS205)。ここで、ネットワークに接続されていなかった期間の稼働履歴に冷房運転がないと判断された場合(ステップS205でNO)、移設判断処理を終了する。
一方、ネットワークに接続されていなかった期間の稼働履歴に冷房運転があると判断された場合(ステップS205でYES)、移設判断部65は、ネットワークに接続されていなかった期間の冷房運転が冷媒回収運転であるか否かを判断する冷媒回収運転判断処理を行う(ステップS206)。なお、ステップS206の冷媒回収運転判断処理については、後述する。
次に、移設判断部65は、ネットワークに接続されていなかった期間の冷房運転が冷媒回収運転であるか否かを判断する(ステップS207)。ここで、ネットワークに接続されていなかった期間の冷房運転が冷媒回収運転ではないと判断された場合(ステップS207でNO)、移設判断処理を終了する。
一方、ネットワークに接続されていなかった期間の冷房運転が冷媒回収運転であると判断された場合(ステップS207でYES)、試運転通知部66は、空気調和装置1の試運転を促す試運転情報を端末5に通知する試運転通知処理を行い(ステップS107)、移設判断処理を終了する。
なお、図9のステップS107の試運転通知処理は、実施の形態1で説明した試運転通知処理と同じであるので、説明は省略する。
次に、図10及び図11を用いて、図9のステップS206における冷媒回収運転判断処理の詳細を説明する。
図10は、本開示の実施の形態2において、記憶部に記憶された稼働履歴の一例を示す図である。稼働履歴は、稼動履歴を収集した収集日時、空気調和装置1が稼動された稼動日時、空気調和装置1の運転状態、空気調和装置1の運転時間、及び空気調和装置1の設定温度を含む。行R203は、移設判断部65が、空気調和装置1がネットワークに接続されていないことを検知して記憶した稼動履歴である。行R204、行R205及び行R206に記憶された稼働履歴は、空気調和装置1がネットワーク接続に復帰した時に、情報収集部62が収集した稼働履歴である。行R204、行R205及び行R206の稼働履歴は、ネットワークに接続していなかった期間の稼働履歴であり、空気調和装置1が室内機11のメモリ117に保持していた複数回分の稼働履歴である。行R201及び行R202は、行R205と過去の同じ時期に収集した稼働履歴である。行R201は、行R205の2年前の同じ時刻に取得した稼動履歴であり、行R202は、行R205の1年前の同じ時刻に取得した稼動履歴である。
なお、図10の例では、情報収集部62は、10分毎に空気調和装置1から稼働履歴を収集しているが、収集時間間隔は異なってもよい。なお、行R204、行R205及び行R206の稼働履歴は、室内機11の運転制御部113によって、制御のタイミングに合わせてメモリ117に保持され、そのタイミングは定期的でなく、異なってもよい。
図11は、図9のステップS206における移設判断装置の冷媒回収運転判断処理の一例を示すフローチャートである。移設判断装置6は、空気調和装置1の稼働履歴に基づいて、ネットワークに接続されていなかった期間の冷房運転が、空気調和装置1を移設するためにエンジニアが行う冷媒回収運転であるか否かを判断する。
まず、移設判断部65は、記憶部64に記憶されている稼動履歴に基づいて、空気調和装置1がネットワークの切断中に冷房運転されたと判断された時点の前年以前における同じ時点において、空気調和装置1が冷房運転されたか否かを判断する(ステップS2061)。ここで、空気調和装置1がネットワークの切断中に冷房運転されたと判断された時点の前年以前における同じ時点において、空気調和装置1が冷房運転されていないと判断された場合(ステップS2061でNO)、移設判断部65は、ネットワークの切断中に行われた冷房運転が冷媒回収運転であるという判断結果を記憶部64に記憶し(ステップS2063)、冷媒回収運転判断処理を終了する。
一方、空気調和装置1がネットワークの切断中に冷房運転されたと判断された時点の前年以前における同じ時点において、空気調和装置1が冷房運転されたと判断された場合(ステップS2061でYES)、移設判断部65は、ネットワークの切断中に行われた冷房運転の運転時間が2分以上30分以内であったか否かを判断する(ステップS2062)。ここで、ネットワークの切断中に行われた冷房運転の運転時間が2分以上30分以内ではないと判断された場合(ステップS2062でNO)、冷媒回収運転判断処理を終了する。
一方、ネットワークの切断中に行われた冷房運転の運転時間が2分以上30分以内であると判断された場合(ステップS2062でYES)、移設判断部65は、ネットワークの切断中に行われた冷房運転が冷媒回収運転であるという判断結果を記憶部64に記憶し(ステップS2063)、冷媒回収運転判断を終了する。
なお、本実施の形態2における移設判断部65は、図10に例示した稼働履歴を用いて、空気調和装置1がネットワークの切断中に冷房運転されたと判断された日時の前年における同じ日時において、空気調和装置1が冷房運転されたか否かを判断しているが、空気調和装置1がネットワークの切断中に冷房運転されたと判断された月の前年における同じ月、空気調和装置1がネットワークの切断中に冷房運転されたと判断された週の前年における同じ週、又は空気調和装置1がネットワークの切断中に冷房運転されたと判断された日の前年における同じ日など、空気調和装置1がネットワークの切断中に冷房運転されたと判断された時期又は季節と同じ時期又は同じ季節として扱える期間の稼働履歴を用いてもよい。
また、ステップS2062の処理において、移設判断部65は、ネットワークの切断中に行われた冷房運転の運転時間が2分以上30分以内であるか否かを判断しているが、短時間であっても冷媒回収は可能であるので、判断する運転時間は2分より短くてもよい。また、運転時間を判断するための時間間隔は、2分以上30分以内の時間間隔に限定されず、他の時間間隔であってもよい。
図10に例示した稼働履歴を用いて冷媒回収運転判断処理が行われた場合、空気調和装置1がネットワークの切断中に冷房運転されたと判断された時点は、2015年3月4日11時20分であり、前年における同じ時点である2014年3月4日11時20分において、空気調和装置1は、暖房運転されており、冷房運転されていない。この場合、移設判断部65は、ネットワークの切断中に行われた冷房運転が冷媒回収運転であるという判断結果を記憶部64に記憶し、冷媒回収運転判断処理を終了する。
このように、冷媒回収運転が実施される前に、空気調和装置1のネットワーク接続が切断された場合であっても、空気調和装置1の移設を検出することができる。
以上、本実施の形態2における移設判断装置6の動作について説明した。
(実施の形態3)
次に、実施の形態3を詳細に説明する。上記の実施の形態1及び実施の形態2では、空気調和装置1が冷媒回収運転を行い、空気調和装置1の電源がOFFにされるという移設作業が検出され、ユーザに試運転の実施を促す試運転情報が通知される。これに対し、本実施の形態3では、空気調和装置1に搭載されたセンサーのセンサー値が収集され、収集されたセンサー値に基づく空気調和装置1の周辺環境の変化から、空気調和装置1が移設されたことが検出され、ユーザに試運転の実施を促す試運転情報が通知される動作について説明する。
なお、本実施の形態3における空気調和装置1の構成の概要、移設判断装置6の構成の概要、試運転通知処理、及び端末5の試運転通知画面の一例は、図1、図2、図3、図7及び図8で説明した実施の形態1と同じであり、説明は省略する。
移設判断部65は、稼動環境の変化に基づいて、空気調和装置1が移設されたか否かを判断する。稼働環境は、空気調和装置1が設置された空間における環境である。稼動環境は、空気調和装置1が設置された空間の温度を含む。また、稼動環境は、室内機11が設置された室内の温度を示す第1温度と、室外機12が設置された室外の温度を示す第2温度との少なくとも一方を含む。
移設判断部65は、稼動環境に基づいて、空気調和装置1がネットワークに接続していないことが検知された第1時点の後であって空気調和装置1がネットワークに接続したことが検知された第2時点からの所定の経過期間内である第3期間において、空気調和装置1が設置される空間の温度の変化傾向を示す第1温度変化情報を算出する。移設判断部65は、第3期間の前年以前における同じ期間において、空気調和装置1が設置される空間の温度の変化傾向を示す第2温度変化情報を算出する。移設判断部65は、第1温度変化情報と第2温度変化情報との相関に基づいて空気調和装置1が移設されたか否かを判断する。
以下、本実施の形態3における移設判断装置6の動作について図12を用いて説明する。
図12は、本開示の実施の形態3における移設判断装置による移設判断処理の一例を示すフローチャートである。移設判断装置6は、空気調和装置1が移設されたか否かを検出するために、定期的及び継続的に移設判断処理を行う。なお、以下の図12では、既に説明した処理と同様の処理には同一の符号を付しており、重複する説明を省略する場合がある。
まず、移設判断部65は、空気調和装置1がネットワークに接続しているか否かを定期的又は継続的に確認し、ネットワーク接続なしの記録が1日以内にあるか否かを判断する(ステップS301)。情報収集部62は、空気調和装置1がネットワークに接続しているか否かを示すネットワーク接続状況を記憶部64に記憶する。ここで、空気調和装置1がネットワーク接続していない記録が1日以内にないと判断された場合(ステップS301でNO)、移設判断処理を終了する。
一方、空気調和装置1がネットワーク接続していない記録が1日以内にあると判断された場合(ステップS301でYES)、移設判断部65は、ネットワーク接続が復帰してから情報収集部62が定期的及び継続的に収集した空気調和装置1のセンサー値が記憶部64に1日分存在するか否かを判断する(ステップS302)。なお、本実施の形態3において、センサー値は、室内機11の温度センサー114によって計測された室内気温及び室外機12の温度センサー123によって計測された室外気温である。ここで、ネットワーク接続が復帰してから収集されたセンサー値が1日分存在しないと判断された場合(ステップS302でNO)、移設判断処理を終了する。
一方、ネットワーク接続が復帰してから収集されたセンサー値が1日分存在すると判断された場合(ステップS302でYES)、移設判断部65は、ネットワーク接続が復帰してから収集されたセンサー値と、過去に収集されたセンサー値とに相関があるか否かを判断する相関有無判断処理を行う(ステップS303)。なお、ステップS303の相関有無判断処理については、後述する。
次に、移設判断部65は、ネットワーク接続が復帰してから収集されたセンサー値と、過去に収集されたセンサー値とに相関があるか否かを判断する(ステップS304)。ここで、ネットワーク接続が復帰してから収集されたセンサー値と、過去に収集されたセンサー値とに相関があると判断された場合(ステップS304でYES)、移設判断処理を終了する。
一方、ネットワーク接続が復帰してから収集されたセンサー値と、過去に収集されたセンサー値とに相関がないと判断された場合(ステップS304でNO)、試運転通知部66は、空気調和装置1の試運転を促す試運転情報を端末5に通知する試運転通知処理を行い(ステップS107)、移設判断処理を終了する。ネットワーク接続が復帰してから収集されたセンサー値と、過去に収集されたセンサー値とに相関がない場合、移設判断部65は、空気調和装置1が移設されたと判断する。
なお、図12のステップS107の試運転通知処理は、実施の形態1で説明した試運転通知処理と同じであるので、説明は省略する。
次に、図13、図14、図15及び図16を用いて、図12のステップS303における相関有無判断処理の詳細を説明する。
図13は、本開示の実施の形態3において、記憶部に記憶されている、ネットワーク接続が復帰した後に収集された1日分のセンサー値の一例を示す図である。
図13の収集日時は、移設判断装置6が空気調和装置1からセンサー値を受信した日時を示す。図13の室内気温は、室内機11の温度センサー114が計測した値である。図13の室外気温は、室外機12の温度センサー123が計測した値である。図13では、2015年3月4日の0時から23時までに1時間毎に収集された室内気温及び室外気温を示している。
図14は、本開示の実施の形態3において、記憶部に記憶されている、ネットワーク接続が復帰してからセンサー値を収集した所定の期間の前年以前における同じ期間において、収集されたセンサー値の一例を示す図である。
図14では、図13に示す2015年3月4日の0時から23時までの収集期間の1年前の同じ期間である2014年3月4日の0時から23時までの室内気温及び室外気温を示すとともに、図13に示す収集期間の2年前の同じ期間である2013年3月4日の0時から23時までの室内気温及び室外気温を示している。
図15は、図12のステップS303における移設判断装置の相関有無判断処理の一例を示すフローチャートである。移設判断装置6は、空気調和装置1がネットワーク接続していない状態からネットワーク接続している状態に復帰した後の所定の期間に収集されたセンサー値と、過去の所定の期間と同じ期間に収集されたセンサー値とに相関関係があるか否かを判断する。
まず、移設判断部65は、ネットワーク接続していない状態から復帰した後にセンサー値を収集した所定の期間(例えば、1日)の1年前の同じ期間におけるセンサー値を記憶部64から取り出す(ステップS3031)。移設判断部65は、空気調和装置1がネットワークに接続していないことが検知された第1時点の後であって空気調和装置1がネットワークに接続したことが検知された第2時点からの所定の経過期間内である第3期間の1年前の同じ期間におけるセンサー値を記憶部64から取り出す。
次に、移設判断部65は、ネットワーク接続が復帰してから所定の期間(例えば、1日)に収集されたセンサー値と、1年前の同じ期間のセンサー値との相関を示す第1の相関係数r1を算出する(ステップS3032)。移設判断部65は、算出した第1の相関係数r1を記憶部64に記憶する。移設判断部65は、以下の数式(1)を用いて第1の相関係数r1を算出する。
数式(1)において、xiは、ネットワーク接続が復帰してから所定の期間に収集されたセンサー値の1番目からn番目の値を示し、x ̄(xの上にバー)は、ネットワーク接続が復帰してから所定の期間に収集されたセンサー値の平均値を示す。図13において、1番目のセンサー値とは、行R301(2015年3月4日0時)のセンサー値(室内気温及び室外気温)であり、n番目のセンサー値とは、行R302(2015年3月4日23時)のセンサー値(室内気温及び室外気温)である。yiは、1年前の同じ期間のセンサー値の1番目からn番目の値を示し、y ̄(yの上にバー)は、1年前の同じ期間のセンサー値の平均値を示す。図14において、1番目のセンサー値とは、行R403(2014年3月4日0時)のセンサー値(室内気温及び室外気温)であり、n番目のセンサー値とは、行R404(2014年3月4日23時)のセンサー値(室内気温及び室外気温)である。
移設判断部65は、図13及び図14に示したセンサー値を用いて、ネットワーク接続が復帰してから所定の期間に収集された室内気温と、1年前の同じ期間の室内気温との相関を示す室内気温の第1の相関係数r1を算出するとともに、ネットワーク接続が復帰してから所定の期間に収集された室外気温と、1年前の同じ期間の室外気温との相関を示す室外気温の第1の相関係数r1を算出する。
図16は、本開示の実施の形態3において算出される、室内気温及び室外気温の第1の相関係数と、室内気温及び室外気温の第2の相関係数との一例を示す図である。図16に示す行R501は、図13及び図14に示したセンサー値を用いて算出される室内気温及び室外気温の第1の相関係数r1を表している。室内気温の第1の相関係数r1は、例えば、0.574037731であり、室外気温の第1の相関係数r1は、例えば、0.896909661である。
図15に戻って、次に、移設判断部65は、ネットワーク接続していない状態から復帰した後にセンサー値を収集した所定の期間(例えば、1日)の2年前の同じ期間におけるセンサー値を記憶部64から取り出す(ステップS3033)。移設判断部65は、空気調和装置1がネットワークに接続していないことが検知された第1時点の後であって空気調和装置1がネットワークに接続したことが検知された第2時点からの所定の経過期間内である第3期間の2年前の同じ期間におけるセンサー値を記憶部64から取り出す。
次に、移設判断部65は、ネットワーク接続が復帰してからセンサー値を収集した所定の期間(例えば、1日)の1年前の同じ期間のセンサー値と、2年前の同じ期間のセンサー値との相関を示す第2の相関係数r2を算出する(ステップS3034)。移設判断部65は、算出した第2の相関係数r2を記憶部64に記憶する。移設判断部65は、以下の数式(2)を用いて第2の相関係数r2を算出する。
数式(2)において、xjは、ネットワーク接続が復帰してから所定の期間の1年前の同じ期間のセンサー値の1番目からn番目の値を示し、x ̄(xの上にバー)は、1年前の同じ期間のセンサー値の平均値を示す。図14において、1番目のセンサー値とは、行R403(2014年3月4日0時)のセンサー値(室内気温及び室外気温)であり、n番目のセンサー値とは、行R404(2014年3月4日23時)のセンサー値(室内気温及び室外気温)である。yjは、2年前の同じ期間のセンサー値の1番目からn番目の値を示し、y ̄(yの上にバー)は、2年前の同じ期間のセンサー値の平均値を示す。図14において、1番目のセンサー値とは、行R401(2013年3月4日0時)のセンサー値(室内気温及び室外気温)であり、n番目のセンサー値とは、行R402(2013年3月4日23時)のセンサー値(室内気温及び室外気温)である。
移設判断部65は、図14に示したセンサー値を用いて、ネットワーク接続が復帰してから所定の期間の1年前の同じ期間の室内気温と、2年前の同じ期間の室内気温との相関を示す室内気温の第2の相関係数r2を算出するとともに、1年前の同じ期間の室外気温と、2年前の同じ期間の室外気温との相関を示す室外気温の第2の相関係数r2を算出する。
図16に示す行R502は、図14に示したセンサー値を用いて算出される室内気温及び室外気温の第2の相関係数r2を表している。室内気温の第2の相関係数r2は、例えば、0.993791446であり、室外気温の第2の相関係数r2は、例えば、0.963637753である。
次に、移設判断部65は、ステップS3032で算出した第1の相関係数r1とステップS3034で算出した第2の相関係数r2との差が−0.2より大きく0.2より小さいか否かを判断する(ステップS3035)。ここで、第1の相関係数r1と第2の相関係数r2との差が−0.2より大きく0.2より小さいと判断された場合(ステップS3035でYES)、移設判断部65は、相関ありと判断し、相関ありという判断結果を記憶部64に記憶し(ステップS3036)、相関有無判断処理を終了する。
一方、第1の相関係数r1と第2の相関係数r2との差が−0.2以下又は0.2以上であると判断された場合(ステップS3035でNO)、移設判断部65は、相関なしと判断し、相関なしという判断結果を記憶部64に記憶し(ステップS3037)、相関有無判断処理を終了する。
図16に例示した第1の相関係数r1及び第2の相関係数r2の場合、行R501における室内気温の第1の相関係数r1と行R502における室内気温の第2の相関係数r2との差は0.2以上であるので、ステップS303の相関有無判断処理では、相関なしと判断される。
なお、ネットワーク接続が復帰してから所定の期間の室外気温と、1年前の同じ期間の室外気温と、2年前の同じ期間の室外気温とは、ほぼ同じであるので、室外気温の第1の相関係数r1と室外気温の第2の相関係数r2との差は、−0.2より大きく0.2より小さくなる。そのため、移設判断部65は、室外気温についての相関は算出せずに、室内気温の相関のみを算出してもよい。また、移設判断部65は、室内気温の第1の相関係数r1と室内気温の第2の相関係数r2との差が−0.2より大きく0.2より小さいか否かのみを判断してもよい。
また、空気調和装置1が温暖な設置場所から寒冷な設置場所に移設された場合、1年前と同じ時期であっても、室外気温が大きく変化するおそれがある。そのため、移設判断部65は、室内気温の第1の相関係数r1と室内気温の第2の相関係数r2との差が−0.2より大きく0.2より小さいか否かを判断するとともに、室外気温の第1の相関係数r1と室外気温の第2の相関係数r2との差が−0.2より大きく0.2より小さいか否かを判断してもよい。そして、移設判断部65は、室内気温の第1の相関係数r1と室外気温の第2の相関係数r2との差と、室外気温の第1の相関係数r1と室外気温の第2の相関係数r2との差との少なくとも一方が、−0.2より大きく0.2より小さい場合、相関ありと判断してもよい。
また、図13及び図14の例では、情報収集部62が1時間毎にセンサー値を収集しているが、収集する時間間隔は異なってもよい。また、本実施の形態3における移設判断部65は、図13及び図14に例示した過去の同じ日の1日分のセンサー値を用いて相関係数を比較しているが、過去の同じ月の1月分のセンサー値、過去の同じ週の1週間分のセンサー値、又は過去の同じ時刻のセンサー値など、ネットワーク接続が復帰してから所定の期間と同じ時期又は同じ季節として扱える期間のセンサー値を用いてもよい。
なお、図13及び図14の例では、センサー値として室内気温及び室外気温を例示しているが、他の場所に設置した温度センサー又は照度センサーなどの他のセンサーから得られるセンサー値を用いもよい。
このように、例えば、空気調和装置1が移設されたことで変化する室外機12及び室内機11の設置環境を検知することができ、設置環境の変化に基づいて空気調和装置1が移設されたか否かを判断することができる。また、ネットワークの切断前後における2つの期間における空気調和装置の設置環境の温度の変化傾向の相関に基づいて空気調和装置が移設されたか否かが判断されるので、1つの期間における空気調和装置が設置される空間の温度の変化傾向に基づいて空気調和装置が移設されたか否かを判断するよりも、空気調和装置が移設したか否かをより精度よく判断することができる。
以上、本実施の形態3における移設判断装置6の動作について説明した。
(実施の形態4)
次に、実施の形態4を詳細に説明する。上記の実施の形態1及び実施の形態2では、空気調和装置1が冷媒回収運転を行い、空気調和装置1の電源がOFFにされるという移設作業が検出され、ユーザに試運転の実施を促す試運転情報が通知される。また、上記の実施の形態3では、空気調和装置1に搭載されたセンサーのセンサー値が収集され、収集されたセンサー値に基づく空気調和装置1の周辺環境の変化から、空気調和装置1が移設されたことが検出され、ユーザに試運転の実施を促す試運転情報が通知される。これらに対し、本実施の形態4では、空気調和装置1がネットワーク接続されていない状態からネットワーク接続されている状態に復帰したときに、ネットワーク接続が切断される以前のネットワーク接続環境と、ネットワーク接続が復帰した後のネットワーク接続環境とが変化しているか否かを判断することにより、空気調和装置1が移設されたことが検出され、ユーザに試運転の実施を促す試運転情報が通知される動作について説明する。
なお、本実施の形態4における空気調和装置1の構成の概要、移設判断装置6の構成の概要、試運転通知処理、及び端末5の試運転通知画面の一例は、図1、図2、図3、図7及び図8で説明した実施の形態1と同じであり、説明は省略する。
移設判断部65は、稼動環境の変化に基づいて、空気調和装置1が移設されたか否かを判断する。本実施の形態4において、稼動環境は、空気調和装置1とネットワークとの接続に関する通信環境である。
情報収集部62は、空気調和装置1とネットワークとの接続パラメタを示す接続パラメタ情報を取得する。移設判断部65は、空気調和装置1がネットワークに接続していないことが検知された第1時点以前に取得された接続パラメタ情報で示される第1接続パラメタと、第1時点の後であって空気調和装置1がネットワークに接続したことが検知された第2時点以降に取得された接続パラメタ情報で示される第2接続パラメタ情報との比較に基づいて空気調和装置1が移設されたか否かを判断する。
以下、本実施の形態4における移設判断装置6の動作について図17を用いて説明する。
図17は、本開示の実施の形態4における移設判断装置による移設判断処理の一例を示すフローチャートである。移設判断装置6は、空気調和装置1が移設されたか否かを検出するために、定期的及び継続的に移設判断処理を行う。なお、以下の図17では、既に説明した処理と同様の処理には同一の符号を付しており、重複する説明を省略する場合がある。
まず、移設判断部65は、空気調和装置1がネットワーク接続しているか否かを定期的及び継続的に確認し、空気調和装置1がネットワークに接続していない状態からネットワークに接続している状態に復帰したか否かを判断する(ステップS401)。ここで、空気調和装置1がネットワークに接続していない状態からネットワークに接続している状態に復帰していないと判断された場合(ステップS401でNO)、移設判断処理を終了する。
一方、空気調和装置1がネットワークに接続していない状態からネットワークに接続している状態に復帰したと判断された場合(ステップS401でYES)、移設判断部65は、空気調和装置1が以前接続していたネットワーク接続環境が、別のネットワーク接続環境に変化したか否かを判断するためのネットワーク離脱判断処理を行う(ステップS402)。なお、ステップS402のネットワーク離脱判断処理については、後述する。
次に、移設判断部65は、ネットワーク接続環境が変化したか否かを判断する(ステップS403)。ここで、ネットワーク接続環境が変化していないと判断された場合(ステップS403でNO)、移設判断処理を終了する。
一方、ネットワーク接続環境が変化したと判断された場合(ステップS403でYES)、試運転通知部66は、空気調和装置1の試運転を促す試運転情報を端末5に通知する試運転通知処理を行い(ステップS107)、移設判断処理を終了する。
なお、図17のステップS107の試運転通知処理は実施の形態1で説明した試運転通知処理と同じであり、説明は省略する。
次に、図18及び図19を用いて、図17のステップS402におけるネットワーク離脱判断処理の詳細を説明する。
図18は、図17のステップS402における移設判断装置のネットワーク離脱判断処理の一例を示すフローチャートである。
まず、移設判断部65は、空気調和装置1に接続されているアダプタ3の接続パラメタ情報を確認する(ステップS4021)。接続パラメタ情報は、空気調和装置1とネットワークとの接続パラメタを示し、例えば、IP(Internet Protocol)アドレス又はアダプタ3を識別するための識別情報である。接続パラメタ情報は、記憶部64に記憶されている。
次に、移設判断部65は、空気調和装置1がネットワークに接続していないことが検知された第1時点以前に取得された接続パラメタ情報で示される第1接続パラメタと、第1時点の後であって空気調和装置1がネットワークに接続したことが検知された第2時点以降に取得された接続パラメタ情報で示される第2接続パラメタとが異なるか否かを判断する(ステップS4022)。ここで、第1接続パラメタと第2接続パラメタとが同じであると判断された場合(ステップS4022でNO)、移設判断部65は、ネットワーク接続環境が変化していないと判断し、ネットワーク接続環境が変化していないという判断結果を記憶部64に記憶し(ステップS4024)、ネットワーク離脱判断処理を終了する。
一方、第1接続パラメタと第2接続パラメタとが異なると判断された場合(ステップS4022でYES)、移設判断部65は、ネットワーク接続環境が変化したと判断し、ネットワーク接続環境が変化したという判断結果を記憶部64に記憶し(ステップS4023)、ネットワーク離脱判断処理を終了する。
図19は、本開示の実施の形態4において、記憶部に記憶されている空気調和装置のアダプタの接続パラメタ情報の一例を示す図である。図19に示す空気調和装置識別番号とは空気調和装置1を識別するための情報であり、図19に示す行R601の空気調和装置識別番号が、本実施の形態4の空気調和装置1を表している。接続パラメタ情報が変化しない限り、図19に示す更新日時の列の値は変化せず、接続パラメタ情報が変化した場合、該当する空気調和装置の更新日時の値が、変化を検出した日時に上書きされ、IPアドレスの値も上書きされる。
なお、図18に示す例では、移設判断部65は、アダプタ3の接続パラメタ情報を確認しているが、空気調和装置1にアダプタ3の機能が内蔵されている場合は、空気調和装置1の接続パラメタ情報を確認してもよい。また、図19に示す例では、記憶部64は、アダプタ3の最新の接続パラメタ情報を保持しているが、アダプタ3の接続パラメタ情報の変化(履歴)を複数の行に記憶してもよい。
図19の接続パラメタ情報について、2015年3月4日11:00にステップS402のネットワーク離脱判断処理が行われた場合、空気調和装置1の接続パラメタ情報が更新されているので、移設判断部65は、ステップS4022で第1接続パラメタと第2接続パラメタとが異なると判断し、ステップS4023でネットワーク接続環境が変化したと判断し、判断結果を記憶部64に記憶してネットワーク離脱判断処理を終了する。
このように、例えば、ユーザの転居に伴い、ネットワーク接続環境が変化した場合に、空気調和装置1とネットワークとの接続パラメタが変化したことを検出することにより、空気調和装置1が移設されたことを容易に検出することができる。
以上、本実施の形態4における移設判断装置6の動作について説明した。
なお、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この開示の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。