JP6941489B2 - 水性殺菌組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、殺菌成分としてサリチル酸を水溶液中に配合して成る水性殺菌組成物に関する。
近年、従来問題視されてきた病原菌に代わり、生活環境に一般的に見られる細菌の変種が問題となっている。例えばMRSAは、通常、人の傷口等に普通に見られる化膿菌である黄色ブドウ球菌が高度の薬剤耐性を獲得したものであり、大腸菌O157は、人の腸内に普通に見られる大腸菌の変種であり、赤痢菌様の毒素を産生する。
このような細菌を除菌、殺菌するために、殺菌成分としてエタノールを配合したスプレータイプの殺菌剤が広く用いられている。しかし、エタノールは引火性を有するため、キッチン周り等の火を使う場所での使用には注意が必要であった。また、エタノールを含む殺菌剤を樹脂製部材に塗布した際に塗装やワックスの剥がれが発生するおそれもあり、エタノールの匂いが苦手な人やエタノールで手が荒れる人には使用し難いという問題点もあった。さらに、キッチン周りには食品や食器等が存在するため、それらに付着しても健康に影響のない安全性の高い殺菌剤が要望されていた。
そこで、食品添加物として使用される安全性の高い殺菌成分を配合した殺菌剤が種々提案されている。例えば、特許文献1には、殺菌活性を有するポリグリセリン脂肪酸エステルを2種以上配合した水性殺菌消毒剤が開示されており、防カビ成分としてサリチル酸を配合できることが記載されている。また、特許文献2には、抗菌成分とササエキスを含有する抗菌性組成物が開示されており、ササエキスにリンゴ酸、サリチル酸等の有機酸を含有させることにより、抗菌性が顕著に向上することも記載されている。
特許文献1、2に記載されているサリチル酸は、フェノール骨格を有するカルボン酸であり、それ自体が殺菌、抗菌活性を有することが知られている。また、サリチル酸は水溶性であるとともに、同じフェノール骨格を有する殺菌成分として知られているチモールやカルバクロールのように特有の匂いがなく無臭であるため、殺菌、抗菌成分として水系製剤に配合し易いという利点を有する。
特開2008−156329号公報 特開2010−209066号公報
しかしながら、サリチル酸単独で十分な殺菌、抗菌活性を得るためにはサリチル酸を所定量以上配合する必要があるが、サリチル酸の配合量が増加すると製剤が酸性になってしまう。その結果、酸性であることによる刺激性とサリチル酸自体の刺激性により、皮膚に対する刺激が強くなって使用感が悪くなり、刺激性を低減するために配合量を減少させると殺菌効果が弱くなるという問題点があった。また、サリチル酸を配合した製剤は経時変化によって黄色に着色することが知られており、製剤の変色を抑制する観点からもサリチル酸の配合量を極力低減する必要があった。
本発明は、上記問題点に鑑み、殺菌成分であるサリチル酸の水に対する配合量を抑えて刺激性を低減しつつ、十分な殺菌効力も維持可能な水性殺菌組成物を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、サリチル酸と、HLB値が15〜17のポリグリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルから選ばれた1種以上と、を水に溶解させて成り、前記サリチル酸の配合量が0.1質量%未満であることを特徴とする水性殺菌組成物である。
また本発明は、上記構成の水性殺菌組成物において、香料成分として、リナロール、メントール、テルピネオール、チモール、カルバクロール、及びカルベオールから選ばれた1種以上を配合したことを特徴とする水性殺菌組成物である。
また本発明は、上記構成の水性殺菌組成物において、前記サリチル酸の配合量が0.01質量%以上0.05質量%以下であることを特徴としている。
また本発明は、上記構成の水性殺菌組成物において、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルが、ラウリン酸デカグリセリル及びミリスチン酸デカグリセリルから選ばれた1種以上であり、前記ショ糖脂肪酸エステルが、ショ糖ラウリン酸エステルであることを特徴としている。
また本発明は、上記構成の水性殺菌組成物において、前記ラウリン酸デカグリセリル、ミリスチン酸デカグリセリル及びショ糖ラウリン酸エステルから選ばれた1種以上の配合量が0.001質量%以上1質量%以下であることを特徴としている。
また本発明は、上記構成の水性殺菌組成物において、前記ラウリン酸デカグリセリル、ミリスチン酸デカグリセリル及びショ糖ラウリン酸エステルから選ばれた1種以上の配合量が0.005質量%以上0.2質量%以下であることを特徴としている。
また本発明は、上記構成の水性殺菌組成物において、前記香料成分が、リナロール、メントール、テルピネオールから選ばれた1種以上であることを特徴としている。
また本発明は、上記構成の水性殺菌組成物において、前記リナロール、メントール、テルピネオールから選ばれた1種以上の配合量が0.02質量%以上であることを特徴としている。
また本発明は、上記構成の水性殺菌組成物において、前記サリチル酸と、HLB値が15〜17のポリグリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルから選ばれた1種以上と、香料成分としてリナロール、メントール、テルピネオール、チモール、カルバクロール、及びカルベオールから選ばれた1種以上と、エタノールを含まない溶剤と、で構成されることを特徴としている。
また本発明は、上記構成の水性殺菌組成物において、前記サリチル酸と、HLB値が15〜17のポリグリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルから選ばれた1種以上と、香料成分としてリナロール、メントール、テルピネオール、チモール、カルバクロール、及びカルベオールから選ばれた1種以上と、水のみから成る溶剤と、で構成されることを特徴としている。
本発明の第1の構成によれば、0.1質量%未満のサリチル酸と、HLB値が15〜17のポリグリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルから選ばれた1種以上と、を水に溶解させることにより、サリチル酸の配合量を低減してpHの低下を抑えつつ、殺菌効果も維持することができ、高い殺菌力と安全性、使用性とを兼ね備えた水性殺菌組成物を簡単に且つ低コストで製造可能となる。
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の水性殺菌組成物において、香料成分としてリナロール、メントール、テルピネオール、チモール、カルバクロール、及びカルベオールから選ばれた1種以上と、を水に溶解させることにより、サリチル酸の配合量をさらに低減することができ、且つ、高い殺菌効果も維持される水性殺菌組成物となる。
また、本発明の第3の構成によれば、上記第2の構成の水性殺菌組成物において、サリチル酸の配合量を0.01質量%以上0.05質量%以下とすることにより、サリチル酸による十分な殺菌効果を維持しつつ刺激性を一層抑えた水性殺菌組成物となる。
また、本発明の第4の構成によれば、上記第1乃至第3のいずれかの構成の水性殺菌組成物において、ポリグリセリン脂肪酸エステルとして、ラウリン酸デカグリセリル、ミリスチン酸デカグリセリル及びショ糖ラウリン酸エステルから選ばれた1種以上を用い、ショ糖脂肪酸エステルとしてショ糖ラウリン酸エステルを用いることにより、サリチル酸の殺菌効力をより顕著に高めることができる。
また、本発明の第5の構成によれば、上記第4の構成の水性殺菌組成物において、ラウリン酸デカグリセリル、ミリスチン酸デカグリセリル及びショ糖ラウリン酸エステルから選ばれた1種以上の配合量を0.001質量%以上1質量%以下とすることにより、ラウリン酸デカグリセリル、ミリスチン酸デカグリセリル及びショ糖ラウリン酸エステルの配合量をサリチル酸の殺菌効力を向上させるために必要十分な配合量とすることができる。
また、本発明の第6の構成によれば、上記第5の構成の水性殺菌組成物において、ラウリン酸デカグリセリル、ミリスチン酸デカグリセリル及びショ糖ラウリン酸エステルから選ばれた1種以上の配合量を0.005質量%以上0.2質量%以下とすることにより、ラウリン酸デカグリセリル、ミリスチン酸デカグリセリル及びショ糖ラウリン酸エステルの配合量を、サリチル酸の殺菌効力を顕著に向上させることができ、且つ、水性殺菌組成物の拭き取り後に筋状の拭き取り跡が残らない範囲とすることができる。
また、本発明の第7の構成によれば、上記第2又はの構成の水性殺菌組成物において、香料成分として、リナロール、メントール、テルピネオールから選ばれた1種以上を用いることにより、水性殺菌組成物に不快な匂いを付与することなく、サリチル酸の殺菌効力をより顕著に高めることができる。
また、本発明の第8の構成によれば、上記第7の構成の水性殺菌組成物において、リナロール、メントール、テルピネオールから選ばれた1種以上の配合量を0.02質量%以上とすることにより、リナロール、メントール、テルピネオールの配合量をサリチル酸の殺菌効力を向上させるために必要十分な配合量とすることができる。
また、本発明の第9の構成によれば、上記第1乃至第6のいずれかの構成の水性殺菌組成物において、サリチル酸と、HLB値が15〜17のポリグリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルから選ばれた1種以上と、香料成分としてリナロール、メントール、テルピネオール、チモール、カルバクロール、及びカルベオールから選ばれた1種以上と、エタノールを含まない溶剤と、で構成される水性殺菌組成物とすることにより、エタノールの匂いが苦手な人や、エタノールで手が荒れる等、エタノールに対するアレルギーを持つ人も使用することができ、樹脂製部材に塗布した際のストレスクラッキングやワックス等の剥がれも抑制できる水性殺菌組成物となる。
また、本発明の第10の構成によれば、上記第1乃至第6のいずれかの構成の水性殺菌組成物において、サリチル酸と、HLB値が15〜17のポリグリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルから選ばれた1種以上と、香料成分としてリナロール、メントール、テルピネオール、チモール、カルバクロール、及びカルベオールから選ばれた1種以上と、水のみから成る溶剤と、で構成される水性殺菌組成物とすることにより、有機溶剤を含まない、より安全性の高い水性殺菌組成物となる。
以下、本発明の水性殺菌組成物について詳細に説明する。本発明の水性殺菌組成物は、殺菌成分としてサリチル酸と、サリチル酸の殺菌効力増強剤としてHLB値が15以上のノニオン系界面活性剤、及び/又はリナロール、メントール、テルピネオール、チモール、カルバクロール、及びカルベオールから選ばれた1種以上と、を水に混合して水溶液としたものである。
サリチル酸は、下記の化学式(1)で表される2−ヒドロキシ安息香酸であり、水に対する溶解度が20℃で0.2g/100mLである。
Figure 0006941489
本発明の水性殺菌組成物におけるサリチル酸の配合量が多すぎると、溶液のpHが比較的強い酸性となり、サリチル酸自体も刺激性を有するため、皮膚への刺激により使用感が悪くなる。また、サリチル酸を配合した製剤は経時変化によって黄色に着色する。一方、サリチル酸の配合量が少なすぎると十分な殺菌効果が得られない。そこで、刺激による使用感の低下や製剤の着色を抑えるために、サリチル酸の配合量を0.1質量%未満とする必要があり、使用感の低下や製剤の着色を抑えつつ十分な殺菌効果を維持するためには0.01質量%以上0.05質量%以下の範囲とすることが好ましい。
本発明の水性殺菌組成物に配合されるHLB値が15以上のノニオン系界面活性剤は、サリチル酸の殺菌効力を向上させる殺菌効力増強剤として用いられる。ノニオン界面活性剤としては、特にポリグリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルが好適に用いられる。従来、ポリグリセリン脂肪酸エステルがある程度の殺菌活性を有することは知られていたが、HLB値が15以上のポリグリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルがサリチル酸の殺菌効力を顕著に高めることは、本発明者らによって初めて発見された知見である。ポリグリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルはそれぞれ単独で配合しても良いし、所定の配合比で混合して配合しても良い。
なお、本明細書でいう「HLB値」とは、親水性−親油性バランス(Hydrophile Lipophile Balance)、即ち、界面活性剤の分子が有する親水性と親油性との相対的な強さのバランスを数値化したものである。
本発明の水性殺菌組成物におけるポリグリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルの配合量は、特に限定されないものの、配合量が少なすぎる場合はサリチル酸の殺菌効果が十分に増強されない可能性がある。一方、配合量が多すぎてもサリチル酸の殺菌効果の向上が見られない。また、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルはノニオン系界面活性剤の一種であるため、配合量が少なすぎるとスプレーした際に塗布面に対する濡れ性が低下して液滴の接触角が大きくなり、塗布した箇所に均一に広がらない。一方、配合量が多くなると、拭き取り後に筋状の拭き取り跡が残る場合がある。
以上より、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルを合わせた配合量は水性殺菌組成物全体に対して0.001質量%以上1質量%以下の範囲とすることが好ましく、後述の実施例において示すように、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルを合わせた配合量を水性殺菌組成物全体に対して0.005質量%以上0.2質量%以下の範囲とすることがより好ましい。
本発明の水性殺菌組成物に配合されるHLB値が15以上のポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、ラウリン酸デカグリセリル、ミリスチン酸デカグリセリルが挙げられる。本発明の水性殺菌組成物に配合されるHLB値が15以上のショ糖脂肪酸エステルとしては、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル、ショ糖ラウリン酸エステル、及びこれらの混合酸エステル等が挙げられる。
本発明の水性殺菌組成物に配合される香料成分のリナロール、メントール、テルピネオール、チモール、カルバクロール、及びカルベオールは、サリチル酸の殺菌効力を向上させる殺菌効力増強剤として用いられる。従来、これらの香料成分がある程度の殺菌活性を有することは知られていたが、サリチル酸の殺菌効力を顕著に高めることは、本発明者らによって初めて発見された知見である。リナロール、メントール、テルピネオール、チモール、カルバクロール、及びカルベオールはそれぞれ単独で配合しても良いし、所定の配合比で混合して配合しても良い。
後述の実施例において示すように、リナロール、メントール、テルピネオール、チモール、カルバクロール、及びカルベオールの配合量は水性殺菌組成物全体に対して0.02質量%以上配合することが好ましい。
本発明の水性殺菌組成物には、目的に応じてノニオン系界面活性剤以外の界面活性剤を配合することができる。界面活性剤には泡を発生する性質(泡立ち性)があり、泡立ち性に優れた界面活性剤を使用することで、本発明の水性殺菌組成物をトリガースプレー等で壁面にスプレーしたときの液ダレを抑制するとともに塗布領域も視認しやすくなる。
本発明の水性殺菌組成物に配合される界面活性剤の種類は特に限定されるものではなく、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤及び両性界面活性剤が挙げられる。本発明の水性殺菌組成物中における界面活性剤の配合量は、特に限定されないものの、0.1重量%以上10重量%以下であることが好ましい。
アニオン界面活性剤の例としては、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、脂肪酸のアルカリ金属塩(石鹸)やスルホン酸塩、あるいはリン酸塩等が挙げられる。
カチオン界面活性剤の例としては、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、塩化ベンザルコニウム等の第4級アンモニウム塩が挙げられる。
両性界面活性剤の例としては、ベタイン型界面活性剤が挙げられる。具体的には、ラウリル−N,N−ジメチル酢酸ベタイン、ラウリルアミドプロピル−N,N−ジメチル酢酸ベタイン、ヤシアルキルアミドプロピル−N,N−ジメチルヒドロキシプロピルスルホベタイン等が挙げられる。
本発明の水性殺菌組成物は、水系タイプであり、溶媒としては主に水が用いられる。水としては、イオン交換水や逆浸透膜水等の精製水や、通常の水道水や工業用水、海洋深層水等が挙げられる。また必要に応じて、エタノール以外の引火の危険性の低い各種グリコールやグリコールエーテル等の溶剤を用いることができる。エタノールの引火点は密閉状態で約13℃であるため、密閉状態での引火点が20℃以上の溶剤を用いることが好ましい。
更に、本発明の水性殺菌組成物には、その他の成分として、必要に応じて、無機抗菌剤、有機抗菌剤、防藻剤、防錆剤、キレート剤、香料、消臭成分等を、本発明の効果を損なわない範囲で配合することにより、抗菌効果、防藻効果、防錆効果、洗浄効果、芳香性、消臭性等を付与するようにしてもよい。
こうして得られた本発明の水性殺菌組成物を、キッチンや浴室の排水口、タイル目地等、細菌やカビの発生しやすい箇所に塗布あるいはスプレーすることで、細菌やカビを除菌し、その後の発生を防ぐことができる。そして、本発明の水性殺菌組成物は、エタノールを配合しないことから引火の危険もなく、安全に、かつ簡単に施用できるので極めて実用性が高いものである。また、エタノールを含まないため、エタノールの匂いが苦手な人や、エタノールで手が荒れる人、アレルギーの人も使用することができ、樹脂製部材に塗布した際の塗装やワックスの剥がれも抑制できる。
また、本発明の水性殺菌組成物は、殺菌成分としてサリチル酸と、殺菌効力増強剤としてHLB値が15以上のノニオン系界面活性剤、及び/又はリナロール、メントール、テルピネオール、チモール、カルバクロール、及びカルベオールから選ばれた1種以上と、を水に配合するだけの、非常に単純な組成である。そして、サリチル酸、ノニオン系界面活性剤として用いられるポリグリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステル、リナロール、メントール、テルピネオール、チモール、カルバクロール、及びカルベオールはいずれも安全性の高い化合物である。さらに、サリチル酸の配合量を0.05質量%以下としている。そのため、製造が簡便なうえ、多くの殺菌剤で問題となる皮膚への刺激性も小さく、安全性が極めて高いものである。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。以下、実施例により本発明の効果について更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制約されるものではない。
[試験液の調製]
サリチル酸(和光純薬工業社製)、ラウリン酸デカグリセリル(リョートーポリグリエステルL−10D(HLB;16)、L−7D(HLB;17)、三菱化学フーズ社製)、ショ糖ラウリン酸エステル(シュガーエステルL−1695(HLB;16)、三菱化学フーズ社製)、ミリスチン酸デカグリセリル(リョートーポリグリエステルM−10D(HLB;15)、三菱化学フーズ社製)、リナロール、l−メントール、テルピネオール(いずれも塩野香料社製)、チモール、カルバクロール、及びカルベオール(いずれも和光純薬工業社製)を表1、表2に示す配合割合(質量%)で配合し、精製水を加えて100質量%として試験液(本発明1〜21)を得た。
表1の化合物に、さらにラウリン酸ペンタグリセリル(サンソフトA−121E(HLB;10.9、太陽化学社製)、マルトール、ラズベリーケトン、バニリン(いずれも塩野香料社製)、ベンジルアルコール、酢酸、乳酸、フマル酸(いずれも和光純薬工業社製)を加え、表3、表4に示す配合割合(質量%)で配合し、精製水を加えて100質量%として試験液(比較例1〜24)を得た。
[除菌効果の確認試験(Staphylococcus aureus)]
本発明、比較例の試験液990μLに、黄色ブドウ球菌(S.aureus)の培養液10μLを接種してよく攪拌した後、混合液をSCDLP培地で100倍希釈した。接種から希釈までの時間は5分間とした。この希釈液を滅菌済みのプラスチックシャーレに固化させておいたSCDLP寒天培地上に100μL滴下し、コンラージ棒でよく延ばした後、37℃で培養を行い、発生するコロニー数を計測した。また、対照例(ネガティブコントロール)として試験液の代わりに滅菌水を用いたものも用意した。試験液で処理したものと対照例のコロニー数の比較により除菌率を算出した。
評価基準としては、除菌率が99%以上の場合を◎、除菌率が90%以上99%未満の場合を○、除菌率が90%未満の場合(対照例と同等)を×とした。除菌効果の試験結果を試験液の配合と併せて表1〜表4に示す。
Figure 0006941489
Figure 0006941489
Figure 0006941489
Figure 0006941489
※1;リョートーポリグリエステルL−10D(HLB;16)
※2;リョートーポリグリエステルL−7D(HLB;17)
表1、表2に示すように、0.04〜0.05質量%のサリチル酸と、0.001〜1.0質量%のラウリン酸デカグリセリル(HLB;16、17)、ショ糖ラウリン酸エステル(HLB;16)、またはミリスチン酸デカグリセリル(HLB;15)とを配合した本発明1〜9、0.02〜0.05質量%のサリチル酸と、0.02〜0.1質量%のリナロール、l−メントール、テルピネオール、チモール、カルバクロールまたはカルベオールとを配合した本発明10〜18、および0.01〜0.02質量%のサリチル酸と、0.2質量%のラウリン酸デカグリセリルと、0.03〜0.06質量%のリナロールまたは0.015〜0.03質量%のl−メントールとを配合した本発明19〜21では、いずれも黄色ブドウ球菌(S.aureus)に対して除菌率が94%以上となり、短時間(5分間)の処理で黄色ブドウ球菌がほぼ完全に死滅した。
特に、ラウリン酸デカグリセリルとリナロールまたはl−メントールとを配合した本発明19〜21では、サリチル酸の配合量を0.01〜0.02質量%に低下させた場合でも除菌率が99%以上となり、高い除菌効果が認められた。また、本発明3、4の比較から、ラウリン酸デカグリセリルの配合量を0.005質量%以上とすることで99%以上の高い除菌率が得られることが確認された。
これに対し、表3に示すように、0.1質量%のサリチル酸のみを配合した比較例1では除菌率が99%以上と高い除菌効果を示したが、溶液のpHが強い酸性となり、刺激性の面で実用的ではなかった。また、0.05質量%のサリチル酸のみを配合した比較例2では除菌率が90%未満となり、除菌効果が十分でなかった。また、ラウリン酸デカグリセリル、ショ糖ラウリン酸エステル、ミリスチン酸デカグリセリルを単独で配合した比較例3〜6、リナロール、l−メントール、テルピネオール、チモール、カルバクロールまたはカルベオールを単独で配合した比較例7〜12では、いずれも除菌率が70%未満であり、除菌効果は認められなかった。
一方、0.05質量%のサリチル酸と、0.2質量%のラウリン酸ペンタグリセリル(HLB;10.9)とを配合した比較例13では除菌率が90%未満であり、除菌効果が十分でなかった。
表1、表2の結果と表3の結果から、ラウリン酸デカグリセリル、ショ糖ラウリン酸エステル、ミリスチン酸デカグリセリル、リナロール、l−メントール、テルピネオール、チモール、カルバクロールまたはカルベオールは、単独では即効性のある十分な除菌効果は認められなかったが、サリチル酸と併せて配合した場合に即効的な除菌効果が得られることが確認された。また、ラウリン酸デカグリセリル、ショ糖ラウリン酸エステル、ミリスチン酸デカグリセリルに代えてHLB値が15未満のラウリン酸ペンタグリセリルを配合した場合は除菌効果の向上が認められなかった。
一方、表4に示すように、チモール、カルバクロールを単独で配合した比較例14、16では除菌率がそれぞれ98%、92%であり、チモール、カルバクロールとラウリン酸デカグリセリルとを配合した比較例15、17では除菌率がそれぞれ95%、89%であり、ラウリン酸デカグリセリルの配合によるチモール及びカルバクロールの除菌効果の向上は認められなかった。なお、比較例14〜16では除菌率は90%以上であるが、チモールおよびカルバクロールの配合量が0.04質量%と多いため、特有の匂いが強くなり使用感が悪くなった。
また、サリチル酸とマルトール、ラズベリーケトン、ベンジルアルコール、バニリンとを配合した比較例18〜21では除菌率が86%未満であり、これらの香料成分をサリチル酸と組み合わせても除菌効果の向上は認められなかった。また、ラウリン酸デカグリセリルと酢酸、乳酸、フマル酸とを配合した比較例22〜24では除菌率が69%未満であり、ラウリン酸デカグリセリルをサリチル酸以外の有機酸と組み合わせても除菌効果の向上は認められなかった。
表4の結果から、ラウリン酸デカグリセリルはサリチル酸以外の殺菌成分であるチモール、カルバクロールと共に配合しても殺菌効力増強剤として作用せず、リナロール、l−メントール、テルピネオール、チモール、カルバクロールまたはカルベオール以外の香料成分は、サリチル酸と共に配合しても殺菌効力増強剤として作用しなかった。
以上の結果より、HLBが15以上のポリグリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステル、香料成分であるリナロール、l−メントール、テルピネオール、チモール、カルバクロールまたはカルベオールは、サリチル酸と共に配合することで、サリチル酸の殺菌効力増強剤として特異的に作用することが確認された。
本発明は、殺菌成分であるサリチル酸の水に対する配合量を抑えてpHの低下を抑制しつつ、十分な殺菌効力、安全性、使用性を兼ね備えた水性殺菌組成物であり、特にキッチンや浴室等で使用される殺菌剤として好適に用いられる。

Claims (10)

  1. サリチル酸と、
    HLB値が15〜17のポリグリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルから選ばれた1種以上と、
    を水に溶解させて成り、前記サリチル酸の配合量が0.1質量%未満であることを特徴とする水性殺菌組成物。
  2. 香料成分として、リナロール、メントール、テルピネオール、チモール、カルバクロール、及びカルベオールから選ばれた1種以上を配合したことを特徴とする請求項1に記載の水性殺菌組成物。
  3. 前記サリチル酸の配合量が0.01質量%以上0.05質量%以下であることを特徴とする請求項2に記載の水性殺菌組成物。
  4. 前記ポリグリセリン脂肪酸エステルが、ラウリン酸デカグリセリル及びミリスチン酸デカグリセリルから選ばれた1種以上であり、前記ショ糖脂肪酸エステルが、ショ糖ラウリン酸エステルであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の水性殺菌組成物。
  5. 前記ラウリン酸デカグリセリル、ミリスチン酸デカグリセリル及びショ糖ラウリン酸エステルから選ばれた1種以上の配合量が0.001質量%以上1質量%以下であることを特徴とする請求項4に記載の水性殺菌組成物。
  6. 前記ラウリン酸デカグリセリル、ミリスチン酸デカグリセリル及びショ糖ラウリン酸エステルから選ばれた1種以上の配合量が0.005質量%以上0.2質量%以下であることを特徴とする請求項5に記載の水性殺菌組成物。
  7. 前記香料成分が、リナロール、メントール、テルピネオールから選ばれた1種以上であることを特徴とする請求項2又は請求項に記載の水性殺菌組成物。
  8. 前記リナロール、メントール、テルピネオールから選ばれた1種以上の配合量が0.02質量%以上であることを特徴とする請求項7に記載の水性殺菌組成物。
  9. 前記サリチル酸と、前記ポリグリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルから選ばれた1種以上と、香料成分としてリナロール、メントール、テルピネオール、チモール、カルバクロール、及びカルベオールから選ばれた1種以上と、エタノールを含まない溶剤と、で構成されることを特徴とする請求項乃至請求項のいずれかに記載の水性殺菌組成物。
  10. 前記サリチル酸と、前記ポリグリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルから選ばれた1種以上と、香料成分としてリナロール、メントール、テルピネオール、チモール、カルバクロール、及びカルベオールから選ばれた1種以上と、水のみから成る溶剤と、で構成されることを特徴とする請求項乃至請求項のいずれかに記載の水性殺菌組成物。
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