主題のより完全な理解は、以下の図とともに考えられるときに、詳細な説明及び特許請求の範囲を参照することによって得ることが可能である。図において、同様の参照数字は、図の全体を通して、同様のエレメントを表している。
以下の詳細な説明は、本質的に単なる例示目的のものであり、主題の実施形態、又は、そのような実施形態の用途及び使用を限定することを意図していない。本明細書で使用されているように、「例示的な」及び「例」という語句は、「例、事例、又は図解としての役割を果たしている」ことを意味している。例示的なもの又は例として、本明細書で説明されている任意の実装形態は、必ずしも、他の実装形態よりも好適又は有利であるとして解釈されるべきではない。そのうえ、先行する技術分野、背景、又は、以下の詳細な説明に提示されている任意の明示又は暗示された理論に制約される意図は存在していない。
本明細書で説明されている主題の実施形態は、ソリッドステートのマイクロ波加熱装置(たとえば、定置式の又は可搬式の電子レンジ、及びマイクロ波解凍機など)に関連しているが、同様に、さまざまな実施形態が、他のシステムの中で利用され得る。より詳細に下記に説明されるように、例示的なマイクロ波加熱装置は、マイクロ波発生モジュール、誘電共振器アンテナ(DRA)アレイ、及びチャンバを使用して実現化される。マイクロ波発生モジュールは、RFエネルギーをDRAアレイに提供し、DRAアレイは、エネルギーをチャンバの中へ放射し、チャンバの中には、ロード(たとえば、食物ロード、又は、いくつかの他のタイプのロード)が位置決めされ得る。
本明細書で使用されているように、「誘電共振器」という用語は、バルク誘電材料(たとえば、セラミック)から構成される物品を意味しており、それは、RFエネルギーを受け取ること、及び、1つ又は複数の共振モードで、誘電共振器の共振周波数でRFエネルギーを共振させることができる。共振周波数は、誘電材料の形状及び寸法、ならびに、バルク誘電材料の誘電率によって決定される。一般的に、誘電共振器は、比較的高い誘電率及び比較的高いQファクタを有するものとして特徴付けられる。さまざまな実施形態によれば、いくつかのタイプの共振モードは、誘電共振器の中で励振され得る。
本明細書で使用されているように、「誘電共振器アンテナ」又は「DRA」という用語は、誘電共振器及び1つ又は複数のRF信号フィードを含むアンテナアッセンブリを意味している。RF信号フィードは、RF信号を伝達するように構成されており、また、RF信号が誘電共振器を励振するように、誘電共振器に対して位置決めされており、共振モードで、誘電共振器に、誘電共振器の共振周波数でRFエネルギーを共振させる。DRAの共振特性は、誘電共振器の形状及びサイズに依存し、また、フィードの形状、サイズ、及び位置に依存する。本明細書で使用されているように、フィードからのRF信号によって直接励振される誘電共振器は、「励振誘電共振器」と称される。望ましくは、RF信号は、励振誘電共振器の共振周波数にあるか又はその近くにある周波数を有する振動信号である。
いくつかの実施形態によれば、DRAは、誘電材料の中へ挿入された1つ又は複数の金属製のモノポール・プローブ(すなわち、フィード)を備える誘電共振器を含む。グランドプレーンは、DRAの一方の側に存在することが可能であり、DRAが、主に「前方」方向に(たとえば、DRAに隣接している加熱チャンバの中へ)パワーを放射するようになっている。代替的な実施形態では、DRAは、接地した基板の上に又はその近くに配設された誘電共振器を含み、エネルギーが、接地した基板の中に提供されるモノポールアパーチャフィードによって、誘電共振器に伝送される。また、マイクロストリップ伝送線への直接的な接続、及び、マイクロストリップ伝送線による励振が可能である。
本明細書で使用されているように「誘電共振器アンテナアレイ」及び「DRAアレイ」という用語は、少なくとも1つのDRAと、DRAに密に容量結合されている少なくとも1つの追加的な誘電共振器とを含むアッセンブリを意味している。ある実施形態では、DRAの誘電共振器及び追加的な誘電共振器は、同一平面的な構成で配置されている。別の言い方をすれば、DRAアレイは、複数の密に容量結合された誘電共振器と、複数の誘電共振器のうちの1つ又は複数の中の又はそれに近接する、1つ又は複数のフィードとを含み、アレイの中の1つ又は複数のDRAを形成する。
ある実施形態によれば、DRAの誘電共振器は、それが、フィードの上に伝達される信号によって直接励振されて共振されるように構成されているという点において(すなわち、それは、フィードから直接電磁エネルギーを受け取る)、「励振共振器」と称される。それとは対照的に、DRAアレイの中の誘電共振器のうちの1つ又は複数は、それがフィードから直接は電磁エネルギーを受け取らないという点において、「寄生性共振器」であることが可能である。そのような実施形態では、DRAの1つ又は複数の励振共振器、及び、1つ又は複数の寄生性共振器は、DRAの誘電共振器間に、又は、より具体的には、DRAの励振共振器と寄生性共振器との間に、容量性結合が起こるように配置されている。換言すれば、励振共振器によって作り出された電界(「励振器によって作り出された電界」と称される)が、1つ又は複数の寄生性共振器に直接作用して、寄生性共振器も共振させるように、寄生性共振器が配置される。別の言い方をすれば、励振器によって作り出された電界が寄生性共振器に作用する結果として、寄生性共振器は、次に、「寄生性によって作り出された電界」を生成する。励振器によって作り出された電界及び寄生性によって作り出された電界が、それぞれ、主として実質的に同じ方向に方向付けされるように、DRAアレイの中の誘電共振器は配置されている。マイクロ波加熱装置の実施形態では、励振器によって作り出された電界及び寄生性によって作り出された電界は、それぞれ、主として、マイクロ波加熱装置の加熱チャンバの方向に方向付けされ、チャンバは、加熱されることになるロード(たとえば、食物ロード)を含むように構成されている。本明細書で使用されているように、「熱」という用語、及び、そのさまざまな派生語は、質量体の熱エネルギーを増加させることを表している。そのような熱エネルギーの増加(又は、「加熱」)は、質量体の温度を室温よりも著しく上の温度まで上昇させることが可能であるが、「加熱」は、質量体の温度を任意の量だけ上昇させることを含むことも可能である(たとえば、質量体を解凍し、氷点下から室温へ温度を上昇させる)。
より詳細に下記に論じられるように、本明細書で開示されているDRAアレイの実施形態は、比較的ワイドバンドの構造体を構成し、それは、マイクロ波発生モジュールからのRFエネルギーを加熱チャンバの中のロードの中へ効率的に結合させる。広いバンド幅に起因して、DRAアレイの実施形態は、マイクロ波加熱用途において使用される従来のアンテナと比較したときに、(たとえば、チャンバの中の設置されているロードに起因して)近距離場のローディングに対してはるかに感度が低い。
図1及び図2は、それぞれ、例示的な実施形態による、開いた状態及び閉じた状態の可搬式のマイクロ波加熱装置100の斜視図である。マイクロ波加熱装置100は、ハウジング110、加熱チャンバ120、制御パネル130、1つ又は複数のマイクロ波パワー発生モジュール(たとえば、モジュール350、図3)、1つ又は複数のDRAアレイ(たとえば、DRAアレイ500、図5)、及び、より詳細に下記に論じられている他のコンポーネントを含む。
ハウジング110は、ある実施形態では、ベース部分112、チャンバ部分114、及び蓋部116を含む。ベース部分112は、ある実施形態では、マイクロ波パワー発生モジュール、及び、少なくとも1つのDRAアレイを含むことが可能である。それに加えて、ベース部分112は、マイクロ波パワー発生モジュール及び制御パネル130にパワーを与えるための再充電可能な又は再充電不可能なバッテリシステムなど、電源システムを含むことが可能である。外部接続ポート118が、対応するケーブルに結合されているときに、装置100を動作させるために、及び/又は、装置100の再充電可能なバッテリシステムを再充電するために、パワーを受け入れるために使用され得る。それに加えて、外部接続ポート118は、たとえば、ソフトウェアアップデートを受け取るために、外部システムと通信するために使用され得る。
加熱チャンバ120は、ハウジング110のチャンバ部分114の中に位置付けされており、また、内部側壁部122、チャンバ底部表面(たとえば、表面924、図9)、及びチャンバ上部表面(たとえば、表面926、図9)によって画定されている。図1に示されているように、蓋部116が開いているときには、加熱チャンバ120は、アクセス可能であり、ロード140(たとえば、食物ロード又は他のロード)が、チャンバ120の中に設置され得る。図2に示されているように、蓋部116が閉じているときには、加熱チャンバ120は、閉鎖性の空洞になり、それは、本質的に、封鎖された端部を備えた導波管として機能する。実施形態によれば、マイクロ波発生モジュールは、蓋部116が開いているときには非活性化され、蓋部116が閉じているときにだけ活性化され得る。したがって、マイクロ波加熱装置100は、蓋部116の状態(すなわち、開いた状態又は閉じた状態)を検出するためのセンサ又は他の機構を含むことが可能である。
マイクロ波加熱装置100を動作させるために、ユーザは、蓋部116を開け、1つ又は複数の物体(たとえば、ロード140)を加熱チャンバ120の中へ置き、蓋部116を閉じ、所望の加熱期間及び所望のパワーレベルを特定する制御パネル130を介して入力を提供することが可能である。それに応答して、システムコントローラ(たとえば、コントローラ310、図3)は、マイクロ波パワー発生モジュール(たとえば、モジュール350、図3)に励振信号をDRAアレイ(たとえば、DRAアレイ360、図3)に提供させる。それに応答して、DRAアレイは、マイクロ波スペクトルの電磁エネルギー(本明細書で「マイクロ波エネルギー」と称される)を加熱チャンバ120の中へ放射する。より具体的には、ユーザ入力と一致する期間の間、及びそのパワーレベルでDRAアレイにマイクロ波エネルギーを加熱チャンバ120の中へ放射させるように、システムコントローラがマイクロ波パワー発生モジュールにさせる。マイクロ波エネルギーは、ロード140の熱エネルギーを増加させる(すなわち、マイクロ波エネルギーは、ロードを熱する)。
それぞれのDRAアレイは、マイクロ波エネルギーを加熱チャンバ120の中へ放射するように構成されている。放射されたエネルギーは、ある実施形態では、液体物体及び固体物体(たとえば、液体及び食物)を加熱するのにとりわけ適切なマイクロ波スペクトルの波長を有する。たとえば、それぞれのDRAアレイは、約2.0ギガヘルツ(GHz)から約3.0GHzの範囲にある周波数を有するマイクロ波エネルギーを加熱チャンバ120の中へ放射するように構成され得る。より具体的には、それぞれのDRAアレイは、ある実施形態では、約2.45GHzの波長を有するマイクロ波エネルギーを加熱チャンバ120の中へ放射するように構成され得る。
さらに詳細に下記に説明されるように、それぞれのマイクロ波パワー発生モジュールが、マグネトロンを含むというよりもむしろ、マイクロ波エネルギーを発生させて放射するソリッドステートの回路構成を含むという点において、それぞれのマイクロ波パワー発生モジュールは、一体型の「ソリッドステート」のモジュールとして実装され得る。したがって、マイクロ波パワー発生モジュールの実施形態が含まれているシステムの実施形態は、従来のマグネトロン−ベースのマイクロ波システムと比較したときに、相対的に低い電圧で動作することが可能であり、時間の経過に伴う出力パワーの劣化を受けにくくなることが可能であり、及び/又は、相対的にコンパクトであることが可能である。
マイクロ波加熱装置100は、そのコンポーネントが互いに対して特定の相対的な配向になっている状態で示されているが、同様に、さまざまなコンポーネントが異なって配向され得ることを理解されたい。それに加えて、さまざまなコンポーネントの物理的な構成は異なっていてもよい。たとえば、制御パネル130は、より多くの、より少ない、又は異なるユーザインターフェースエレメントを有することが可能であり、及び/又は、ユーザインターフェースエレメントは、異なって配置され得る。代替的に、制御パネル130は、装置100のベース部分112又は蓋部分116の中に位置付けされ得る。それに加えて、実質的に円筒形状の装置100及び加熱チャンバ120が図1に図示されているが、加熱チャンバは、他の実施形態では、異なる形状(たとえば、長方形及び楕円など)を有することが可能であることを理解されたい。さらに、マイクロ波加熱装置100は、図1には具体的に示されていない追加的なコンポーネントを含むことが可能である。さらには、「可搬式」のマイクロ波加熱装置の実施形態が本明細書で詳細に図示及び説明されているが、DRAアレイの本発明実施形態は、定置式のマイクロ波加熱装置(たとえば、より大型の装置、及び/又は、外部電気供給ネットワーク(又は、グリッド)によってパワーを与えられる装置)にも適用され得ることを当業者は理解するであろう。
図3は、例示的な実施形態による、1つ又は複数のDRAアレイ360を含むマイクロ波加熱装置300(たとえば、マイクロ波加熱装置100、図1)の簡単化されたブロック図である。それに加えて、マイクロ波システム300は、システムコントローラ310、ユーザインターフェース330、電源340、加熱チャンバ320、及び、1つ又は複数のマイクロ波パワー発生モジュール350を含む。図3は、説明の目的のための、及び、記載を容易にする目的のための、マイクロ波システム300の簡単化された表現であること、ならびに、実際の実施形態は、他のデバイス及びコンポーネントを含み、追加的な機能及び特徴を提供することが可能であること、ならびに/又は、マイクロ波システム300は、より大型の電気的なシステムの一部であることが可能であることを理解されたい。
ユーザインターフェース330は、制御パネル(たとえば、制御パネル130、図1)に対応することが可能であり、たとえば、それは、ユーザが、加熱動作のためのパラメータ(たとえば、加熱動作の持続期間、加熱動作に関するパワーレベル、及び、特定の加熱動作パラメータに相関するコードなど)、ならびに、スタート・ボタン及びキャンセル・ボタンなどに関する入力をシステムに提供することを可能にする。それに加えて、ユーザインターフェースは、加熱動作の状態を示すユーザ知覚可能な出力(たとえば、カウントダウンタイマー、及び、加熱動作の完了を示す可聴音など)、ならびに、他の情報を提供するように構成され得る。
システムコントローラ310は、ユーザインターフェース330及び電源システム340に結合されている。たとえば、システムコントローラ310は、1つ又は複数の汎用又は専用プロセッサー(たとえば、マイクロプロセッサー、マイクロコントローラ、及び特定用途向け集積回路(ASIC)など)、揮発性の及び/又は不揮発性のメモリー(たとえば、ランダムアクセスメモリー(RAM)、リードオンリーメモリー(ROM)、フラッシュ、及び、さまざまなレジスターなど)、1つ又は複数の通信バス、ならびに、他のコンポーネントを含むことが可能である。ある実施形態によれば、システムコントローラ310は、ユーザインターフェース330を介して受け取られるユーザ入力を示す信号を受け取るように構成され、また、受け取られたユーザ入力に対応する時間期間の間、及びそのパワーレベルで、電源340に、マイクロ波パワー発生モジュール350にパワーを提供させるように構成されている。
電源340は、システムコントローラ310から受け取られた制御信号にしたがって、それぞれのマイクロ波パワー発生モジュール350に供給電圧を選択的に提供することが可能である。電源340から適切な供給電圧を供給されたとき、それぞれのマイクロ波パワー発生モジュール350は、RF信号を生成することになり、RF信号は、DRAアレイ360の一部分を形成する1つ又は複数のフィード構造体370(又は、「フィード」)に搬送される。それに応答して、DRAアレイ360は、マイクロ波エネルギーを加熱チャンバ320の中へ放射する。先に述べられているように、加熱チャンバ320は、閉じた端部を備える導波管として本質的に機能する。DRAアレイ360の誘電共振器、加熱チャンバ320、及び、加熱チャンバ320の中に位置決めされている任意のロード(たとえば、ロード140、図1)は、DRAアレイ360によって作り出されるマイクロ波エネルギーに関する累積的なロードに対応している。より具体的には、誘電共振器、加熱チャンバ320、及び、加熱チャンバ340の中のロードは、マイクロ波パワー発生モジュール350に対してインピーダンスを提示する。
ある実施形態によれば、それぞれのマイクロ波パワー発生モジュール350は、ソリッドステートの発振器サブシステム352、周波数チューニング回路354、及びバイアス回路356を含むことが可能である。ある実施形態によれば、発振器サブシステム352は、ソリッドステート増幅器(たとえば、1つ又は複数のパワートランジスタを含む)及び共振回路を含む。さまざまな実施形態では、発振器サブシステム352の中のパワー増幅器は、シングルエンド型増幅器、ダブルエンド型増幅器、プッシュプル増幅器、ドハティ増幅器、スイッチモードパワー増幅器(SMPA)、又は、別のタイプの増幅器を含むことが可能である。
ある実施形態では、発振器サブシステム352のエレメントが、出力ノード358において、振動電気信号を生成するように構成されており、出力ノード358において、信号は、比較的高い出力パワー(たとえば、約100ワット(W)から約300W以上の範囲にある出力パワー)を有するマイクロ波スペクトルの周波数を有するという点において、発振器サブシステム352は、パワーマイクロ波発振器である。共振回路は、パワー増幅器の出力と入力との間でフィードバック経路に沿って結合されており、共振回路は、共振フィードバックループを完成させ、それは、パワー増幅器によって作り出された増幅電気信号を共振回路の共振周波数において又はその近くで振動させる。ある実施形態では、共振回路は、マイクロ波スペクトルの周波数で(たとえば、約2.45GHzの周波数で)共振するように構成されている。増幅器構成によって作り出された増幅電気信号は、おおよそ共振回路の共振周波数で振動する。実際には、共振回路の実施形態は、異なる周波数で共振し、マイクロ波システム300を利用する特定の用途の要求を満たすように構成され得ることに留意されたい。
ある実施形態によれば、パワー増幅器は、チューニング回路354に結合されている入力端子(又は、制御端子)と、増幅器出力ノード358に結合されている出力端子(たとえば、ドレイン端子)とを有する、シングルステージの又はマルチステージのトランジスタとして実装されている。たとえば、トランジスタは、チューニング回路354に接続されているゲート端子と、増幅器出力ノード358に接続されているドレイン端子と、接地基準電圧(たとえば、約0ボルトであるが、いくつかの実施形態では、接地基準電圧は、0ボルトよりも高くなることも又は低くなることも可能である)に接続されているソース端子とを有する電界効果トランジスタ(FET)を含むことが可能である。たとえば、トランジスタは、横方向拡散金属酸化物半導体FET(LDMOSFET)トランジスタを含むことが可能である。しかし、トランジスタは、任意の特定の半導体技術に限定されることは意図されておらず、他の実施形態では、トランジスタは、窒化ガリウム(GaN)トランジスタ、別のタイプのMOSFETトランジスタ、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)、又は、別の半導体技術を利用するトランジスタとして実現化され得ることに留意されたい。
周波数チューニング回路354は、容量性エレメント、誘導性エレメント、及び/又は抵抗性エレメントを含み、それらは、発振器サブシステム352によって発生された振動電気信号の振動周波数を調節するように構成されている。例示的な実施形態では、周波数チューニング回路354は、接地基準電圧と発振器サブシステム352の入力との間に結合されている。
バイアス回路356は、電源340と発振器サブシステム352との間に結合されており、電源340からプラスの電圧(すなわち供給電圧)を受け取るように構成されている。ある実施形態によれば、バイアス回路356は、発振器サブシステム352の中のトランジスタのゲート端子及び/又はドレイン端子において、直流電流(DC)又は公称バイアス電圧を制御するように構成されており、トランジスタのスイッチを入れるようになっており、また、トランジスタが発振器サブシステム352の動作の間にアクティブモードで動作することを維持するようになっている。図示されていないが、バイアス回路356は、温度センサ及び温度補償回路を含むことが可能であり、それは、トランジスタの温度を感知し、又は、そうでなければ検出するように構成されており、また、トランジスタの温度の増加及び/又は減少に応答してゲートバイアス電圧を調節するように構成されている。そのような実施形態では、バイアス回路356は、温度変化に応答して、トランジスタに関する実質的に一定の自己消費電流を維持するように構成され得る。
1つ又は複数のインピーダンス・マッチング回路(図示せず)を通して、発振器サブシステム352は、フィード構造体370に結合されている。より詳細に下記に説明されるように、フィード構造体370の実施形態は、1つ又は複数のDRAアレイ360の1つ又は複数の誘電共振器の中に位置決めされている導電性構造体を含む。代替的に、フィード構造体370は、マイクロストリップラインを含むことが可能であり、マイクロストリップラインは、1つ又は複数のDRAアレイ360の1つ又は複数の誘電共振器にアパーチャ結合されている(aperture coupled)。
DRAアレイ360は、マイクロ波エネルギーを加熱チャンバ320の中へ放射するように構成されている。より具体的には、フィード構造体370及びDRAアレイ360は、発振器出力ノード358における振動電気信号を電磁マイクロ波信号に変換する。たとえば、発振器サブシステム352が約2.45GHzの周波数で信号を生成するように構成されているマイクロ波加熱装置の用途では、DRAアレイ360は、発振器出力ノード358における振動電気信号を、2.45GHzにおけるマイクロ波電磁信号に変換し、また、マイクロ波信号をマイクロ波加熱装置300の加熱チャンバ320の中へ方向付けする。
マイクロ波加熱装置300が複数のDRAアレイ360を含むときには、DRAアレイ360は、同じ周波数及びパワーレベルで共振するように構成され得、また、同時に、又は、所定のシーケンスで、動作され得る。代替的に、DRAアレイ360は、異なって構成され得る(たとえば、それらは、異なる周波数で共振することが可能であり、及び/又は、異なるパワーレベルでマイクロ波エネルギーを放射することが可能である)。そのような代替的な実施形態では、DRAアレイ360は、同時に、又は、所定のシーケンスで、動作され得る。
図5〜図7、及び図9〜図17により詳細に示されるように、それぞれのDRAアレイは、複数の誘電共振器を含み、複数の誘電共振器は、少なくとも1つの寄生性共振器が、少なくとも1つの励振共振器と密に容量結合されるように配置されている。DRAアレイのさまざまな実施形態を詳細に論ずる前に、DRAアレイの基礎的なビルディング・ブロックの実施形態、又は、より具体的には、誘電共振器の実施形態が、図4と関連して論じられることになる。
図4は、誘電共振器400の斜視図であり、誘電共振器400は、DRAアレイの実施形態において使用するのに適切である。誘電共振器400は、セラミック、ペロブスカイト化合物(たとえば、Nd2O3、TiO2、CaO/SrO、BaO、MgO、ZnO、CoO、Ta2O5、及び/又はNb2O5などを組み込む)、又は、他の適切な材料など、バルク誘電材料から形成されている。ある実施形態によれば、バルク誘電材料は、約8から約70の間の誘電率など、比較的高い誘電率を有するが、誘電率は、同様に、より大きくてもより小さくてもよい。さらに、バルク誘電材料は、ある実施形態では、約40,000から約300,000の間の無ロード状態の(unloaded)Qなど、比較的高いクオリティファクタ(Q)を有するが、バルク誘電材料は、同様に、より低い又はより高い無ロード状態のQを有することも可能である。さらには、バルク誘電材料は、ある実施形態では、極めて低い熱膨張係数(たとえば、約ゼロppm)を有する。
図示されている実施形態では、誘電共振器400は、上部表面410と、底部表面412と、上部表面410と底部表面412との間に延在する外部側壁部416とを備える円筒形状を有する。それに加えて、誘電共振器400は、上部表面410と底部表面412との間に延在する中心チャネル又は中心孔部420を有し、中心孔部420は、内部側壁部422によって画定されている。図18〜図23に関連してより詳細に後に論じられるように、さまざまな他の形状を有する誘電共振器が、DRAアレイのさまざまな他の実施形態において使用され得る。
図示されている誘電共振器400は、DRAアレイの中の励振共振器として、又は、寄生性共振器として利用され得る。励振共振器として利用されるときには、伝導性フィード(たとえば、フィード550、図5)は、誘電共振器400の底部表面412から中心孔部420の中へ挿入され得、フィードに提供されるRF信号は、誘電共振器400に誘電共振器400の特性共振周波数で共振させるために使用され得る。たとえば、共振周波数は、約2.0GHzから約3.0GHzの範囲にあることが可能であるが、共振周波数は、同様に、より低くてもより高くてもよい。誘電共振器400の共振周波数は、バルク誘電材料の誘電率によって、ならびに、誘電共振器400の形状及びサイズ(たとえば、高さ430及び直径432)によって、少なくとも部分的に定義される。一般的に、誘電率が高ければ高いほど、所与の共振周波数に関して、誘電共振器は小さくなることが可能である。それに加えて、任意の所与の誘電率及び誘電共振器形状に関して、より小さい誘電共振器は、より大きい誘電共振器よりも高い共振周波数で共振する。
図4に図示されている実施形態では、誘電共振器400は、円形断面積を有する。そうであるので、RF信号が誘電共振器400を励振するために使用されるときに、円周方向の電界440(本明細書で「1次的な」電界と称される)が、誘電共振器400によって作り出される。それに加えて、誘電共振器400の中に位置決めされているフィードが適切なRF信号を伝達するときに、垂直方向の電界又は2次的な電界442(すなわち、上部表面410及び/又は底部表面412に直交する電界442)も発生される。2次的な電界又は直交する電界442の強度は、どの程度深くまでフィードが中心孔部420の中へ延在するかということに、少なくとも部分的に依存し得る。いずれにしても、フィードによって伝達されたRF信号によって適切に励振されるときに、誘電共振器400は、慣性座標系の直交軸(たとえば、固定された慣性座標系450の直交軸「X」、「Y」、及び「Z」)に対して3つの分極に方向付けされた電磁エネルギー場を作り出すことが可能である。
上述されているように、マイクロ波加熱装置(たとえば、マイクロ波加熱装置100、200、図1、図2)において使用するのに適切であり得るDRAアレイは、複数の誘電共振器(たとえば、複数の事例の誘電共振器400、図4)を含むことが可能であり、複数の誘電共振器は、少なくとも1つの寄生性共振器が少なくとも1つの励振共振器と密に容量結合されるように配置されている。代替的に、DRAアレイの中の誘電共振器のそれぞれは、フィードによって直接励振され得、誘電共振器のすべてを、励振共振器として分類可能にする。
たとえば、図5及び図6は、例示的な実施形態による、DRAアレイ500の上面図及び斜視図である。図示されているアレイ500は、基板530に結合されている7つの誘電共振器510、520を含む。ある実施形態では、誘電共振器510、520は、誘電共振器510、520の間の固定された空間的関係を維持するために、基板530の第1の側部に物理的に結合されている。たとえば、基板530は、良好な熱伝導率を有する、リジッドの又は可撓性の非導電性材料であることが可能である。たとえば、限定としてではないが、基板530は、ガラス繊維(たとえば、織られたガラス繊維)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ナイロン、又は、他の適切な材料から形成され得る。図9に関連してより詳細に後に論じられるように、基板530の材料は、下にあるグランドプレーンから十分な電気的な隔離を提供するように選ばれ得、基板530は、グランドプレーンにスライド可能に係合され得る。
RF信号を伝達するように構成されているフィード550が、中央の誘電共振器510の中心孔部512の中に位置決めされている。そのように構成されることで、中央の誘電共振器510及びフィード550は、誘電共振器アンテナ(DRA)を形成している。
適切なRF信号がフィード550によって伝達されるときに、信号は、中央の誘電共振器510をその共振周波数で共振させることになる。そして、これは、中央の誘電共振器510に中央の誘電共振器510の周囲部の周りに1次的な電界(たとえば、電界440、図4)を作り出させることになる。それに加えて、中央の誘電共振器510は、中央の誘電共振器510の上部表面から上向きに直交して延在する2次的な電界(たとえば、電界442、図4)を作り出すことが可能である。
ある実施形態によれば、誘電共振器510、520の上部表面及び/又は底部表面(又は、誘電共振器510、520を通してとられた断面)が同一平面的であるという点において、中央の誘電共振器510及び隣接する誘電共振器520は、同一平面的に配向されている。それに加えて、中央の誘電共振器510及び隣接する誘電共振器520は、中央の誘電共振器及び隣接する誘電共振器510、520を互いの合理的に小さい距離540の中に位置決めすることによって、互いに「密に容量結合されている」。より具体的には、適切な励振信号がフィード550に提供されるときに、誘電共振器510、520が密に容量結合されるように、誘電共振器510、520の側壁部間の最小の距離540が選択される。ある実施形態によれば、中央の誘電共振器510及び隣接する誘電共振器520の側壁部間の距離540は、中央の誘電共振器510の共振周波数の波長の10分の1(又は、ラムダの10分の1)より小さい。たとえば、約2.5GHzの共振周波数に関して、距離540は、約12.5ミリメートル(mm)以下であることが可能である。別の実施形態によれば、距離540は、ラムダの15分の1より小さい。たとえば、約2.5GHzの共振周波数に関して、距離540は、約3.0mm以下であることが可能である。いくつかの実施形態では、中央の誘電共振器及び隣接する誘電共振器510、520は、約1.0mmから2.0mmの間で離れていることが可能である。さらなる別の実施形態では、距離540は、ゼロであることが可能である(すなわち、中央の誘電共振器510及び隣接する誘電共振器520は、図12に示されているように、接触していることが可能である)。
上記に説明されているように、中央の誘電共振器及び隣接する誘電共振器510、520が互いに極めて近接しているときに、中央の誘電共振器510によって作り出された円周方向の又は1次的な電界(たとえば、電界440、図4)は、隣接する誘電共振器520に直接作用することが可能である。そして、これは、隣接する誘電共振器520をそれらのそれぞれの共振周波数で共振させることが可能である。したがって、中央の誘電共振器510は、「励振共振器」として適切に分類され得る。それとは対照的に、図5に図示されている実施形態では、隣接する誘電共振器520のいずれも、フィードによって直接励振されない。したがって、それらは、「寄生性共振器」として適切に分類され得る。
適切な励振信号を与えられると、中央の誘電共振器及び隣接する誘電共振器510、520は、互いに容量結合し、それぞれの誘電共振器510、520は、その共振周波数で共振する。したがって、図5及び図6のDRAアレイ500は、本質的に、複数の容量結合された共振器510、520を含む。それぞれの誘電共振器510、520は、本質的に、スペースに効率的に放射することができるアンテナであり、したがって、「分散アンテナ」を形成する。図7の説明によってより明確になることになるように、ロードが比較的小さく、及び/又は、DRAアンテナ500に対してさまざまな場所に位置決めされているときでも、DRAアンテナ500などDRAアンテナによって具現化される分散アンテナは、近距離場のロード(たとえば、加熱チャンバの中の食物ロード)に効率的に結合することが可能である。
中央の誘電共振器510は、誘電共振器510の中心孔部512の中に位置決めされているフィード550によってそれぞれ励振され得るが、中央の誘電共振器510は、代替的に、マイクロストリップライン560又は他の導電性構造体にアパーチャ結合され得、それは、その代わりに、誘電共振器510を励振するためのRF信号を伝達するために使用され得る。それに加えて、又は、代替的に、励振誘電共振器は、中央孔部以外の場所に設置されているフィードによって励振され得、及び/又は、複数のフィードが、誘電共振器を励振するために使用され得る。
図5及び図6に図示されている実施形態では、DRAアレイ500は、7つの誘電共振器510、520を含む。代替的な実施形態では、DRAアレイは、2つから30個以上の範囲にある任意の数の誘電共振器を含むことが可能である。それに加えて、誘電共振器510、520のすべては、十分に同じサイズ及び形状である。それらがすべて同じ誘電率を有する1つ又は複数の材料から形成されていると仮定すると、誘電共振器510、520のそれぞれは、実質的に同じ共振周波数で共振することになる。代替的な実施形態では、異なる共振周波数で共振する誘電共振器が選択され得る。これは、たとえば、異なるサイズの誘電共振器、異なる形状の誘電共振器、及び/又は、異なる誘電率を有する誘電共振器を使用することによって達成され得る。
図7は、ある実施形態による、3つの隣接する誘電共振器を備えるDRAの電気的特性を表す回路ダイアグラム700である。より具体的には、第1の共振回路710は、励振誘電共振器(たとえば、中央誘電共振器510、図5)を表しており、第2及び第3の隣接する共振回路720、730は、第1の(励振器)共振器710に隣接して位置決めされている、寄生性誘電共振器(たとえば、誘電共振器520のうちの2つ、図5)を表している。ある実施形態によれば、フィードは、励振誘電共振器(又は、第1の共振回路710)に近接して、及び、容量性結合を通して設置されており、励振誘電共振器(又は、第1の共振回路710)は、寄生性誘電共振器(又は、第2及び第3の共振回路720、730)に結合している。
上記に論じられているように、寄生性誘電共振器は、励振誘電共振器に十分に極めて近接して設置され、コンデンサ740によって表されているように、共振器が密に容量結合されることを確実にする。本質的に、共振回路710、720、730の間の容量性結合(すなわち、コンデンサ740の値)は、共振回路710、720、730によって表されている誘電共振器間の距離に反比例している。誘電共振器間の異なる間隔は、容量性結合の異なる強度、及び、異なる周波数応答をもたらす。より具体的には、周波数応答の変化は、回路700のバンド幅に著しく影響を与える可能性がある。いくつかの実施形態では、誘電共振器は、比較的ブロードバンドの回路700を生成するように、互いに対してサイズ決め、形状決め、及び位置決めされ得る。換言すれば、個々の誘電共振器は、複合的なブロードバンド応答を与えるように位置決めされ得る(又は、共に容量結合されている)。
図7の電気的な表現では、それぞれの共振回路710、720、730は、並列のインダクタ及びコンデンサ(それは、共に共振器を形成している)、ならびに、放射抵抗を表す抵抗(Rr)を含む。より具体的には、回路700によって表されているDRAアレイが、加熱チャンバの中へエネルギーを放射するために使用されるときに、放射抵抗は、DRAアレイから離れるエネルギーの放射の結果としてのチャンバの中へのエネルギー損失を表している。共振回路710、720、730の中の共振器のそれぞれは、同じ周波数で放射することが可能であり(たとえば、誘電共振器が同一であるとき)、又は、共振回路710、720、730の中の共振器は、異なる周波数で共振することが可能である(たとえば、誘電共振器が、サイズ、形状、及び/又は誘電率において異なっているとき)。
図8は、実施形態による、DRAアレイ(たとえば、DRAアレイ500、図5)のゲイン・バンド幅を示すグラフである。より具体的には、グラフは、約2.45GHzの無負荷中心周波数を有するDRAアンテナの実施形態のゲイン・バンド幅を示している。単一の誘電共振器を備えるDRAは、かなりナローバンドの応答(たとえば、約2.4GHzから2.5GHzの間)を有することが可能である。しかし、上記に(及び、後に)論じられているDRAアレイの実施形態は、少なくとも1つのDRA及び1つ又は複数の隣接する誘電共振器を含み、それは、アンテナのアパーチャを技術的に増加させ、著しくよりワイドバンドの応答(たとえば、−10dBポイントにおいて約2.3GHzから2.6GHzの間の約200メガヘルツのバンド幅)をもたらす。
比較的ワイドバンドの応答に起因して、及び、より詳細に下記に論じられるように、DRAアレイの実施形態は、従来のモノポール・アンテナ、パッチ・アンテナ、又は、他のタイプのナローバンドのアンテナよりも、近距離場のロードに対して著しく感度が低い可能性がある。これは、加熱チャンバが放射エレメント(このケースでは、DRAアレイ)に極めて近接しているマイクロ波加熱用途に、DRAアレイ実施形態をとりわけうまく適合させる。アンテナ理論において知られているように、かなりの近距離場のロードは、アンテナによって作り出されたエネルギーが所望の無ロード状態のバンドからシフトする範囲まで、比較的ナローバンドのアンテナを離調させる。これが、マイクロ波加熱用途において事実である場合には、アンテナは、加熱チャンバの中へエネルギーを発射することができないことになる。しかし、DRAアレイ構造体のさまざまな実施形態のワイドバンドの応答は、ロードが近距離場のロード(たとえば、DRAアレイ構造体が近接している加熱チャンバの中に設置されている食物ロード)であるときでも、DRAアレイ構造体が関心のバンドの中の(たとえば、2.45GHzの辺りを中心とするバンドの中の)かなりのエネルギーを加熱チャンバ及びロードの中へ発射することができることを確実にする。換言すれば、近距離場のロードがDRAアレイ構造体応答を周波数に関して移動させる場合にも、DRAアレイ構造体の実施形態は、十分にワイドバンドであり、応答が、比較的広いバンドの外側に移動しないようになっており、したがって、近距離場のロードの中への効率的なエネルギー伝送を可能にする。DRAアレイは、ブロードバンドの周波数応答を生成し、それは、加熱チャンバの中の近距離場のロード及びロード位置に対して著しく感度が低い。それに加えて、DRAアレイ実施形態のワイドバンドの応答は、エネルギーが広い範囲の誘電率を有する食物ロードに効率的に提供され得ることを確実にする。DRAアレイのさまざまな実施形態の広いバンド幅に起因して、隣接する加熱チャンバの中への発射効率は、95パーセント以上の高さにまでなることが可能である。
図9は、例示的な実施形態による、図1及び図2の可搬式のマイクロ波加熱装置100の側断面図である。マイクロ波加熱装置900は、ハウジング910、加熱チャンバ920、システムコントローラ(たとえば、システムコントローラ310、図9には図示されていない)、ユーザインターフェース(たとえば、ユーザインターフェース330、図9には図示されていない)、電源システム(たとえば、電源システム340、図9には図示されていない)、マイクロ波パワー発生モジュール950(たとえば、モジュール350、図3)、1つ又は複数のDRAアレイ960、962(たとえば、DRAアレイ360、500、図3、図5)、及び、より詳細に下記に論じられている他のコンポーネントを含む。ある実施形態によれば、及び、詳細に下記に論じられるように、第1のDRAアレイ960は、ハウジング910のベース部分912の中に位置決めされ得る。さらなる実施形態では、装置900は、蓋部916の中に位置付けされている第2のDRAアレイ962など、1つ又は複数の追加的なDRAアレイを含むことが可能である。
ハウジング910は、ある実施形態では、ベース部分912、チャンバ部分914、及び蓋部916(それは、図9において閉じた状態になっている)を含む。ある実施形態では、加熱チャンバ920は、ハウジング910のチャンバ部分914の中に位置付けされており、蓋部916の内部の中へ、上へ延在している。加熱チャンバ920は、内部側壁部922、チャンバ底部表面924、及びチャンバ上部表面926によって画定されている。図9は、チャンバ920の中のロード940(たとえば、食物ロード又は他のロード)を示している。図9に示されているように、蓋部916が閉じた状態で、加熱チャンバ920は、閉鎖性の空洞であり、それは、先に説明されているように、本質的に、封鎖された端部を備えた導波管として機能する。図示されている実施形態では、加熱チャンバ920は、実質的に円形断面を有し、加熱チャンバ920を円筒形状の導波管にする。他の実施形態では、チャンバは、長方形の断面、楕円形の断面、又は、別の形状を有する断面を有することが可能である。
ある実施形態では、チャンバ壁部は、良好な熱伝導率を有する材料から形成され得る。たとえば、チャンバ壁部は、銅、アルミニウム、スチール、又は、別の適切な材料から形成され得る。いくつかの実施形態では、チャンバ920の内部側壁部922は、チャンバ920の周波数に影響を与える材料でコーティングされ得る。たとえば、内部側壁部922は、PTFE、ナイロン、又は、別の適切な材料でコーティングされ得、それは、チャンバ920の周波数を低減させるか、又は、そうでなければ影響を与えることが可能である。
ある実施形態によれば、ハウジング910のベース部分912は、第1のDRAアレイ960及び少なくとも1つのエレクトロニクス基板970を含む。たとえば、エレクトロニクス基板970は、マイクロ波又はRFラミネート、PTFE基板、プリント回路基板(PCB)材料基板(たとえば、FR−4)、アルミナ基板、セラミック・タイル、又は、別のタイプの基板を含むことが可能である。ある実施形態によれば、エレクトロニクス基板970は、エレクトロニクス基板970の第1の表面(たとえば、図9の中の上側表面)の上の又はそれに近接する伝導性グランドプレーン972と、1つ又は複数の他の伝導性層とを含み、1つ又は複数の他の伝導性層のうちのいくつかは、エレクトロニクス基板970に装着されているさまざまなコンポーネントの間に電気的な相互接続を提供するようにパターン化され得る。ある実施形態では、たとえば、システムコントローラに対応するコンポーネント、ユーザインターフェースの一部分、電源、及びマイクロ波パワー発生モジュール950が、エレクトロニクス基板970の第2の表面(たとえば、図9の中の下側表面)の上に装着され得、また、それらのコンポーネントは、第2の表面の上又は下のパターン化された伝導性層を通して、互いに電気的に結合され得る。
ある実施形態では、第1のDRAアレイ960は、DRAアレイ500、図5、と同様に構成され得るが、それは、同様に、異なって構成され得る。DRAアレイ500、図5のように構成されているときに、第1のDRAアレイ960は、1つ又は複数の励振共振器964及び隣接する寄生性共振器966を含むことが可能であり、寄生性共振器966は、先に説明されているように、励振共振器964に密に容量結合されている。図5に関連して説明されているように、励振共振器及び寄生性共振器964、966は、DRAアレイ基板980(たとえば、基板530、図5)に結合され得、DRAアレイ基板980は、エレクトロニクス基板970の第1の表面(たとえば、グランド・プレーン972)にスライド可能に係合されている。ある実施形態によれば、非導電性カバー982が、第1のDRAアレイ960とチャンバ920との間に位置決めされている。カバー982は、湿分及び他の汚染物質(たとえば、食物の飛び跳ね)からDRAアレイ960を保護するように機能し、また、チャンバ920の底部表面924を画定している。
図示されている実施形態では、RF信号を伝達するように構成されているフィード968は、励振共振器964の中心孔部の中に位置決めされている。ある実施形態によれば、フィード968の直径は、中心孔部の直径より小さく、フィード968が、それらが熱膨張を経験するときに、中心孔部の内部側壁部に接して圧縮し、おそらくは励振共振器964に亀裂が入ることがない。そのように構成されることで、励振共振器964及びフィード968は、DRAを形成し、DRA及び寄生性共振器966は、第1のDRAアレイ960を形成する。
先に説明されているように、マイクロ波パワー発生モジュール950は、チューニング回路(たとえば、チューニング回路354、図3)、バイアス回路(たとえば、バイアス回路356、図3)、及び発振器サブシステム(たとえば、発振器サブシステム352、図3)を含む。ある実施形態では、発振器サブシステムは、1つ又は複数のパワートランジスタ952を含む。振動RF信号をフィード968に提供することを容易にするために、パワートランジスタ952の出力(たとえば、ドレイン端子)(又は、パワー増幅器の出力)は、エレクトロニクス基板970の第2の表面の上又は下の伝導性伝送線954を通して、フィード968に電気的に結合されている。フィード968は、エレクトロニクス基板970の中の孔部を通って、DRAアレイ基板980の中の孔部を通って、励振共振器964の中の中心孔部の中へ延在している。
ユーザインターフェース(たとえば、を介して制御パネル130、図1)を介して提供されるユーザ入力に応答して、システムコントローラ(たとえば、コントローラ310、図3)は、マイクロ波パワー発生モジュール950に1つ又は複数の励振信号をDRAアレイ960、962に提供させる。それに応答して、それぞれのDRAアレイ960、962は、電磁エネルギー(網掛けエリア990によって示されている)を加熱チャンバ920の中へ放射する。マイクロ波エネルギーは、ロード940の熱エネルギーを増加させ、ロードを熱することが可能である。
上記に説明されているように、フィード968の上に伝達されるRF信号によって適切に励振されるときに、励振共振器964は、共振周波数で共振し、円周方向の電界(たとえば、電界440、図4)及び垂直方向の電界(たとえば、電界442、図4)を作り出す。ある実施形態によれば、円周方向の電界は、寄生性共振器966に直接作用し、それらをそれらの共振周波数(又は、複数の周波数)で共振させる。これは、寄生性共振器966に円周方向の電界及び垂直方向の電界をも作り出させる。本質的に、DRAアレイ960のそれぞれの共振器964、966は、放射パターンを有する。電界の性質、ならびに、グランドプレーン972の存在を所与として、累積的な放射が、かなり指向性のビームで、チャンバ920に向けて、チャンバ920の中へ方向付けされる。換言すれば、DRAアレイ960は、電磁エネルギーのかなり幅の狭い固定されたビームをチャンバ920の中へ方向付けするアンテナアレイとして動作する。
先に述べられているように、チャンバ920は、本質的に、封鎖された端部を備えた電磁波ガイドとして機能し、チャンバ920の中の電磁波は、概して、DRAアレイ960からチャンバ920の上部表面926に向かう方向に伝播する。より具体的には、電磁波は、1つ又は複数の横断方向の電気(TE)モード、横断方向の磁気(TM)モード、及び/又は、ハイブリッドの横断方向の電気及び磁気(TEM)モードを含む、1つ又は複数の伝播モードで、チャンバ920を通って伝播することが可能である。しかし、アレイ960、962によって作り出された電磁エネルギーの周波数が、一般的にカットオフ周波数と称される、チャンバ920に関する下側閾値又は最小周波数を超えるときだけ、電磁波が、チャンバ920の中を伝播することになる。
チャンバ920に関するカットオフ周波数は、チャンバ920のサイズ(たとえば、高さ及び直径によって画定される)ならびに形状(たとえば、円筒形状、長方形、及び楕円形など)によって画定される。ある実施形態によれば、及び、DRAアレイ960、962、又は、チャンバ920の中に存在するロード940の存在の結果として起こるローディングを計算に入れずに、チャンバ920のサイズ及び形状は、チャンバ920をカットオフを下回るようなものにする。換言すれば、マイクロ波加熱に関する動作の所望のバンド(たとえば、2.3GHzから2.6GHzの間、また、下記で「マイクロ波加熱バンド」と称されている)において、ならびに、DRAアレイ960、962及びロード940がないときに、いかなるモードも、マイクロ波加熱バンドの中の電磁エネルギーに関して、どのようにそれが励振されるかにかかわらず、チャンバ920の中を伝播することができないように、チャンバ920が構成されている。たとえば、チャンバ920は、無ロード状態のときに、3.0GHzよりも低い電磁エネルギーによって励振されるときに、いずれの伝播モードも支持することができないサイズ及び形状を有することが可能である。
しかし、マイクロ波加熱装置900では、及び、誘電共振器964、966の高い誘電率に部分的に起因して、DRAアレイ960、962は、1つ又は複数のモードがマイクロ波加熱バンドにおいてチャンバ920の中を伝播することを可能にするように、チャンバ920にロードを加えるように機能する。換言すれば、DRAアレイ960、962によって提供されるローディングは、マイクロ波加熱バンドの中にある共振周波数にチャンバ920を持っていく(すなわち、DRAアレイ960、962によってロードされるときに、チャンバ920は、カットオフを下回らない)。別の言い方をすれば、そうでなければカットオフを下回るチャンバ920のカットオフ周波数は、ある実施形態では、チャンバ920の中にDRAアレイ960、962を含むことによって、マイクロ波加熱バンドの中へ低下される。したがって、無ロード状態のチャンバ920が小さ過ぎてそれらのモードの伝播を支持することができないとしても、マイクロ波加熱バンドの中にある(DRAアレイ960、962からの)電磁エネルギーによってチャンバが励振されるときに、1つ又は複数のモードは、チャンバ920の中を伝播され得る。
ある実施形態では、ロードされたチャンバ920の形状、サイズ、及びカットオフ周波数に応じて、それは、ほとんど自然に、伝播の最良モードを見出すことになる。望ましくは、チャンバ920は、ハイブリッドモード及び/又は複合モードを支持するように設計されており、ハイブリッドモード及び/又は複合モードは、電磁的なカオスがチャンバ920の中に生成されるときに、挿入されたロード940の均一な加熱が強化され得るという点において、有利である可能性がある。換言すれば、マルチプル・モード及び/又は高次モードがチャンバ920の中に伝播されるときに、ロード940にわたる均一な加熱が、より容易に実現され得る。フィード968は、電界が3つの直交方向(たとえば、X、Y、及びZ)に作り出されることを可能にすることができるので、チャンバ920の中の基本モードが、自動的に励振され得る。
いくつかの実施形態では、チャンバ920がカットオフを下回る可能性があるとしても、本質的に、DRAアレイ960、962は、エネルギーをチャンバ920の中へ効率的に結合させるように構成されている。マイクロ波加熱装置900の実施形態は、上記に説明されているように、カットオフを下回る無ロード状態のチャンバ920を含むことが可能であるが、他の実施形態では、無ロード状態のチャンバ920は、チャンバ920をカットオフを上回るようにするようにサイズ決め及び形状決めされ得る(又は、DRAアレイ960、962によるローディングがない場合でも、マイクロ波加熱バンドの中の電磁エネルギーによって励振されるときに、1つ又は複数の伝播モードを支持することができる)。
動作の間に、ロード940(たとえば、食物ロード)は、DRAアレイ960、962によって提供されるローディングに加えて、チャンバ920の中に追加的なローディングを提供する。より具体的には、図9に示されているように設置されているときに、ロード940は、アレイ960に関して近距離場にある。従来のアンテナ(たとえば、モノポール・アンテナ又はパッチ・アンテナ)を使用して、そのような近距離場のローディングは、アンテナがエネルギーをチャンバ又はロードの中へ結合できない程度に、アンテナを離調する可能性がある。しかし、先に詳細に論じられているように、DRAアレイ960、962のブロードバンド特性は、それらを近距離場のローディングに対してはるかに鈍感にさせる。したがって、近距離場のロード940の存在下であっても、DRAアレイ960、962は、エネルギーをチャンバ920及びロード940の中へ効率的に結合させることが可能である。
図9の実施形態では、DRAアレイ960は、DRAアレイ960とチャンバ920との間に位置決めされている非導電性カバー982によって、チャンバ920から分離されており、カバー982は、湿分及び他の汚染物質からDRAアレイ960を保護するように機能する。図10に図示されているものなど、代替的な実施形態では、DRAアレイ1060は、コンフォーマル・コーティング1082を使用して保護され得る。たとえば、図10は、別の例示的な実施形態による、可搬式のマイクロ波加熱装置1000の一部分の側断面図である。より具体的には、マイクロ波加熱装置1000のその一部分は、装置1000のベース部分1012に対応している。
アッセンブリがDRAアレイ1060及び基板1070を含むという点において、装置1000のベース部分1012は、ベース部分912(図9)と同様である。DRAアレイ1060は、1つ又は複数の励振共振器1064、及び、隣接する寄生性共振器1066を含むことが可能であり、寄生性共振器1066は、先に説明されているように、励振共振器1064に密に容量結合されている。図5に関連して説明されているように、励振共振器及び寄生性共振器1064、1066は、DRAアレイ基板1080(たとえば、基板530、図5)に結合され得、DRAアレイ基板1080は、エレクトロニクス基板1070の第1の表面(たとえば、グランド・プレーン1072)にスライド可能に係合されている。
基板1070は、基板1070の第1の表面(たとえば、図10の中の上側表面)の上の又はそれに近接する伝導性グランドプレーン1072と、1つ又は複数の他の伝導性層とを含み、1つ又は複数の他の伝導性層のうちのいくつかは、基板1070に装着されているさまざまなコンポーネントの間に電気的な相互接続を提供するようにパターン化され得る。ある実施形態では、たとえば、システムコントローラに対応するコンポーネント、ユーザインターフェースの一部分、電源、及びマイクロ波パワー発生モジュール1050が、基板1070の第2の表面(たとえば、図10の中の下側表面)の上に装着され得、また、それらのコンポーネントは、第2の表面の上又は下のパターン化された伝導性層を通して、互いに電気的に結合され得る。
図9のマイクロ波加熱装置900とは対照的に、DRAアレイ1060は、コンフォーマル・コーティング1082によって、湿分及び他の汚染物質から保護される。たとえば、コンフォーマル・コーティング1082は、熱硬化性プラスチック、プラスチックABS、エポキシ樹脂、PTFE、又は、別の適切な材料など、非伝導性の封入材料を含むことが可能である。ある実施形態によれば、コンフォーマル・コーティング1082は、ベース部分1012の上に位置決めされているチャンバ(図示せず)の底部表面1024を画定することが可能である。
先に述べられているように、マイクロ波加熱装置の代替的な実施形態は、誘電共振器を含むことが可能であり、誘電共振器は、DRAアレイの励振共振器(たとえば、共振器964)の中に位置決めされているフィード(たとえば、フィード968、図9)を通して結合されているというよりもむしろ、RF信号供給源にアパーチャ結合されている。たとえば、図11は、さらなる別の例示的な実施形態による、アパーチャ結合されたDRAアレイ1160を含む、可搬式のマイクロ波加熱装置1100の一部分の側断面図である。より具体的には、マイクロ波加熱装置1100のその一部分は、装置1100のベース部分1112に対応している。
アッセンブリがDRAアレイ1160及び基板1170を含むという点において、装置1100のベース部分1112は、ベース部分912(図9)と同様である。DRAアレイ1160は、1つ又は複数の励振共振器1164及び隣接する寄生性共振器1166を含むことが可能であり、寄生性共振器1166は、先に説明されているように、励振共振器1164に密に容量結合されている。図5に関連して説明されているように、励振共振器及び寄生性共振器1164、1166は、DRAアレイ基板1180(たとえば、基板530、図5)に結合され得、DRAアレイ基板1180は、エレクトロニクス基板1170の第1の表面(たとえば、グランド・プレーン1172)にスライド可能に係合されている。
基板1170は、基板1170の第1の表面(たとえば、図11の中の上側表面)の上の又はそれに近接する伝導性グランドプレーン1172と、1つ又は複数の他の伝導性層とを含み、1つ又は複数の他の伝導性層のうちのいくつかは、基板1170に装着されているさまざまなコンポーネントの間に電気的な相互接続を提供するようにパターン化され得る。ある実施形態では、たとえば、システムコントローラに対応するコンポーネント、ユーザインターフェースの一部分、電源、及びマイクロ波パワー発生モジュール1150が、基板1170の第2の表面(たとえば、図11の中の下側表面)の上に装着され得、また、それらのコンポーネントは、第2の表面の上又は下のパターン化された伝導性層を通して、互いに電気的に結合され得る。
ある実施形態によれば、グランドプレーン1172は、励振共振器1164の下にある開口部又はアパーチャ1174を含む。それに加えて、エレクトロニクス基板1170の表面(たとえば、図11の中の下側表面)の上又は下のマイクロストリップライン1176又は他の導電性構造体は、グランドプレーン1172の中のアパーチャ1174の下にあり、また、励振共振器1164の下にある。
ある実施形態では、マイクロストリップライン1176は、発振器サブシステム(たとえば、発振器サブシステム352、図3)の出力に電気的に結合されており、より具体的には、発振器サブシステムのパワートランジスタ1152の出力(たとえば、ドレイン端子)に電気的に結合されている。マイクロストリップライン1176が適切なRF信号を提供されるときに、マイクロストリップライン1176は、電磁エネルギーを作り出し、電磁エネルギーは、エレクトロニクス基板1170を通して、より具体的には、グランドプレーン1172の中のアパーチャ1174を通して、励振共振器1164に結合されている。励振共振器1164が共振し、それ自身の電界を作り出させるために、結合されているRFエネルギーが十分であるときには、それらの電界は、寄生性共振器1166に直接作用することが可能である。そして、寄生性共振器1166は、共振して追加的な電界を作り出すことが可能である。繰り返しになるが、励振共振器1164及び寄生性共振器1166によって作り出された電界は、ベース部分1112の上に位置決めされているチャンバ(図示せず)の中へ延在し、それと結合することが可能である。
異なる構成のDRAアレイのさまざまな実施形態が、ここで、図12〜図17に関連して説明される。たとえば、図12は、別の例示的な実施形態による、マイクロ波加熱装置の中で使用するのに適切なDRAアレイ1200の上面図である。図5のDRAアレイ500と同様に、DRAアレイ1200は、基板1230に結合されている7つの誘電共振器1210、1220を含み、それは、中央の励振共振器1210及び隣接する寄生性共振器1220を含む。基板1230は、基板530(図5)と実質的に同様であることが可能であり、上記に論じられている基板530の変形例を含む。1つの実施形態では、RF信号を伝達するように構成されているフィード1250は、中央の誘電共振器又は励振誘電共振器1210の中心孔部の中に位置決めされている。そのように構成されることで、励振共振器1210及びフィード1250が、DRAを形成している。代替的な実施形態では、励振共振器1210は、代替的に、マイクロストリップライン1260又は他の導電性構造体にアパーチャ結合され得、それは、その代わりに、励振共振器1210を励振するためのRF信号を伝達するために使用され得る。加えて又は代替的に、励振共振器は、中央孔部以外の場所に設置されているフィードによって励振され得、及び/又は、複数のフィードが、誘電共振器を励振するために使用され得る。
DRAアレイ500と同様に、適切なRF信号がフィード1250又はマイクロストリップライン1260によって伝達されるときに、信号は、励振共振器1210をその共振周波数で共振させることになる。そして、これは、励振共振器1210に励振共振器1210の周囲部の周りに1次的な電界(たとえば、電界440、図4)を作り出させることになる。それに加えて、励振共振器1210は、励振共振器1210の上部表面から上向きに直交して延在する2次的な電界(たとえば、電界442、図4)を作り出すことが可能である。
DRA500とは対照的に、励振共振器及び寄生性共振器1210、1220をそれらが実際に互いに接触するように位置決めすることによって、励振共振器1210及び隣接する寄生性誘電共振器1220は、互いにさらにいっそう密に容量結合されている。より具体的には、誘電共振器1210、1220の側壁部間の距離はゼロであり、適切な励振信号がフィード1250又は1260に提供されるときに、誘電共振器1210、1220を極めて密に容量結合させる。
上記に説明されているように、励振共振器及び寄生性共振器1210、1220が接触しているときに、励振共振器1210によって作り出された円周方向の電界又は1次的な電界(たとえば、電界440、図4)は、隣接する寄生性共振器1220に直接作用することが可能である。そして、これは、寄生性共振器1220をそれらのそれぞれの共振周波数で共振させることが可能である。
図13は、別の例示的な実施形態による、マイクロ波加熱装置の中で使用するのに適切なDRAアレイ1300の上面図である。DRAアレイ1300は、基板1330に結合されている7個の誘電共振器1310〜1313、1320を含み、それは、複数の励振共振器1310〜1313及び隣接する寄生性共振器1320を含む。基板1330は、基板530(図5)と実質的に同様であることが可能であり、上記に論じられている基板530の変形例を含む。図示されている実施形態では、1つ又は複数のRF信号を伝達するように構成されている複数のフィード1350は、複数の励振共振器1310〜1313の中心孔部の中に位置決めされている。そのように構成されることで、励振共振器1310〜1313のそれぞれ、及び、その関連のフィード1350が、DRAを形成している。したがって、DRAアレイ500が単一のDRAだけを含む図5の実施形態とは対照的に、DRAアレイ1300は、複数のDRAを含む。代替的な実施形態では、励振共振器1310〜1313の1つ又は複数は、代替的に、マイクロストリップライン1360又はいくつかの他の導電性構造体にアパーチャ結合され得、それは、その代わりに、励振共振器1310〜1313を励振するためのRF信号を伝達するために使用され得る。さらなる他の代替的な実施形態では、中央の励振共振器1310に関して示されているように、複数のフィード1350、1352が、所与の誘電共振器1310〜1313の中の異なる場所に位置決めされ得る。いくつかの実施形態では、異なるフィードが、最大でアレイの中の誘電共振器のすべてに結合され得る(又は、励振するように構成されている)(たとえば、誘電共振器のすべてが励振共振器になり得る)。
DRAアレイ500と同様に、適切なRF信号がフィード1350、1352又はマイクロストリップライン1360によって伝達されるときに、信号は、対応する励振共振器1310〜1313をその共振周波数で共振させることになる。そして、これは、励振共振器1310〜1313に励振共振器1310〜1313の周囲部の周りに1次的な電界(たとえば、電界440、図4)を作り出させることになる。それに加えて、励振共振器1310〜1313は、励振共振器1310〜1313の上部表面から上向きに直交して延在する2次的な電界(たとえば、電界442、図4)を作り出すことが可能である。いくつかのケースでは、励振共振器1310〜1313は、別の励振共振器1310〜1313に直接隣接していることが可能である(すなわち、構造体が介在することなく、密に容量結合されている)。そのようなケースでは、隣接する励振共振器1310〜1313は、励振共振器及び寄生性共振器の両方として機能することが可能である。たとえば、互いに直接隣接している、共振器1310及び1311を考えると、励振共振器1310がアクティブであり、円周方向の電界(たとえば、電界440、図4)を作り出しているときに、電界は、励振共振器1311に直接作用することが可能である。そのようなときに、励振共振器1311は、寄生性共振器として機能することが可能である。励振共振器1311も、フィード1350、又は、励振共振器1311に関連付けられるマイクロストリップライン1360から励振を受けている場合には、励振共振器1311は、同時に、励振共振器及び寄生性共振器の両方として機能していることが可能である。
ある実施形態によれば、フィード1350、1352及び/又はマイクロストリップライン1360のすべては、同じRF信号を受け取ることが可能である。さまざまな代替的な実施形態では、フィード1350、1352及び/もしくはマイクロストリップライン1360は、異なるRF信号(たとえば、異なる周波数及び/又はパワーレベルのRF信号)を受け取ることが可能であり、ならびに/又は、フィード1350、1352及び/又はマイクロストリップライン1360へのRF信号の提供は、位相を合わせられ得る。たとえば、第1の時間期間の間に、励振共振器1310の第1のサブセットは、その関連のフィード1350及び/もしくは1352ならびに/又はマイクロストリップライン1360から励振を提供され得、一方、励振共振器1310の第2の及び異なるサブセットは、その関連のフィード1350及び/もしくは1352ならびに/又はマイクロストリップライン1360から、励振を受け取らないか、又は、異なる励振を受け取ることが可能である。第2の時間期間の間に、励振共振器1310の第1のサブセットに提供された励振は、除去又は変更され得、励振共振器1310の第2のサブセットに提供された励振は、同じままにされるか、又は、除去もしくは変更されるかのいずれかであることが可能である。このように、DRAアレイ1300によって作り出された累積的な電界は、時間の経過とともに、方向、強度、周波数、又はその他において変化され得る。別の言い方をすれば、複数のフィード1350、1352及び/又はマイクロストリップライン1360を提供することによって、ならびに、シーケンシャルに又はさまざまな組み合わせでそれらを励振することによって、連続的に又はインクリメンタルに操向可能な1つ又は複数のビーム又はビームが形成され得る。より具体的には、マイクロ波エネルギーのビームは、複数のフィード1350、1352及び/又はマイクロストリップライン1360を個別に又は組み合わせて活性化させることによって、方位角及び/又は高度を操向され得る。
図14は、さらなる別の例示的な実施形態による、マイクロ波加熱装置の中で使用するのに適切なDRAアレイ1400の上面図である。先に説明されたDRAアレイのそれぞれは、円形断面を有する加熱チャンバ(たとえば、チャンバ920、図9)を含むマイクロ波加熱システムの中で使用するように示されてきたが、図14のDRAアレイ1400は、長方形の断面を有する加熱チャンバを含むマイクロ波加熱装置の中で使用するのに、とりわけうまく適合され得る。換言すれば、DRAアレイ1400は、封鎖された端部を備えた長方形導波管として本質的に機能する加熱チャンバを含むシステムの中で使用するのにうまく適合され得る。
図示されている実施形態では、DRAアレイ1400は、長方形基板1430に結合されている11個の誘電共振器1410〜1412、1420を含み、それは、複数の励振共振器1410〜1412及び隣接する寄生性共振器1420を含む。形状を除いて、基板1430は、基板530(図5)と実質的に同様であることが可能であり、上記に論じられている基板530の変形例を含む。図示されている実施形態では、1つ又は複数のRF信号を伝達するように構成されている複数のフィード1450は、複数の励振共振器1410〜1412の中心孔部の中に位置決めされている。そのように構成されることで、励振共振器1410〜1412のそれぞれ、及び、その関連のフィード1450が、DRAを形成している。したがって、DRAアレイ1400は、複数のDRAを含む。代替的な実施形態では、励振共振器1410〜1412の1つ又は複数は、代替的に、マイクロストリップライン1460又はいくつかの他の導電性構造体にアパーチャ結合され得、それは、その代わりに、励振共振器1410〜1412を励振するためのRF信号を伝達するために使用され得る。
DRAアレイ500と同様に、適切なRF信号がフィード1450又はマイクロストリップライン1460によって伝達されるときに、信号は、対応する励振共振器1410〜1412をその共振周波数で共振させることになる。そして、これは、励振共振器1410〜1412に励振共振器1410〜1412の周囲部の周りに1次的な電界(たとえば、電界440、図4)を作り出させることになる。それに加えて、励振共振器1410〜1412は、励振共振器1410〜1412の上部表面から上向きに直交して延在する2次的な電界(たとえば、電界442、図4)を作り出すことが可能である。
図13の実施形態と同様に、及びある実施形態によれば、フィード1450及び/又はマイクロストリップライン1460のすべては、同じRF信号を受け取ることが可能である。さまざまな代替的な実施形態では、フィード1450及び/又はマイクロストリップライン1460は、異なるRF信号(たとえば、異なる周波数及び/又はパワーレベルのRF信号)を受け取ることが可能であり、ならびに/又は、フィード1450及び/又はマイクロストリップライン1460へのRF信号の提供は、位相を合わせられ得る。
図15は、さらなる別の例示的な実施形態による、マイクロ波加熱装置の中で使用するのに適切なDRAアレイ1500の上面図である。図13のDRAアレイ1300のように、円周方向に設置された誘電共振器の単一の列だけを含むというよりも、誘電共振器の余剰の円周方向に設置された列を含むことを除いて、DRAアレイ1500は、図13の中のDRAアレイ1300と同様である。より具体的には、DRAアレイ1500は、基板1530に結合されている19個の誘電共振器1510、1512、1520、1522を含み、それは、複数の励振共振器1510、1512及び隣接する寄生性共振器1520、1522を含む。より具体的には、DRAアレイ1500は、中心に位置決めされている励振共振器1510と、中心の励振共振器1510に直接隣接している寄生性共振器1520の第1の円周方向の列と、交互になっている励振共振器1512及び寄生性共振器1522の第2の円周方向の列とを含む。
図13のDRAアレイ1300と同様に、1つ又は複数のRF信号を伝達するように構成されている複数のフィード1550は、複数の励振共振器1510、1512の中心孔部の中に位置決めされている。そのように構成されることで、励振共振器1510、1512のそれぞれ、及び、その関連のフィード1550が、DRAを形成している。代替的な実施形態では、励振共振器1510、1512の1つ又は複数は、代替的に、マイクロストリップライン1560又はいくつかの他の導電性構造体にアパーチャ結合され得、それは、その代わりに、励振共振器1510、1512を励振するためのRF信号を伝達するために使用され得る。
DRAアレイ500と同様に、適切なRF信号がフィード1550又はマイクロストリップライン1560によって伝達されるときに、信号は、対応する励振共振器1510、512をその共振周波数で共振させることになる。そして、これは、励振共振器1510、1512に励振共振器1510、1512の周囲部の周りに1次的な電界(たとえば、電界440、図4)を作り出させることになる。それに加えて、励振共振器1510、1512は、励振共振器1510、1512の上部表面から上向きに直交して延在する2次的な電界(たとえば、電界442、図4)を作り出すことが可能である。
ある実施形態によれば、フィード1550及び/又はマイクロストリップライン1560のすべては、同じRF信号を受け取ることが可能である。さまざまな代替的な実施形態では、フィード1550及び/又はマイクロストリップライン1560は、異なるRF信号(たとえば、異なる周波数及び/又はパワーレベルのRF信号)を受け取ることが可能であり、ならびに/又は、フィード1550及び/又はマイクロストリップライン1560へのRF信号の提供は、位相を合わせられ得る。
いくつかの代替的な実施形態では、DRAアレイは、異なる周波数で共振する誘電共振器を含むことが可能である。先に論じられているように、これは、たとえば、異なるサイズの誘電共振器、異なる形状の誘電共振器、及び/又は、異なる誘電率を有する誘電共振器を使用することによって達成され得る。図16は、さらなる別の例示的な実施形態による、異なるサイズの誘電共振器1610、1620、1630を含む、マイクロ波加熱装置の中で使用するのに適切なDRAアレイ1600の斜視図である。図5のDRAアレイ500と同様に、DRAアレイ1600は、基板1640に結合されている7つの誘電共振器1610、1620、1630を含み、それは、少なくとも1つの励振共振器(たとえば、共振器1610、1620、1630のうちの任意の1つ又は複数)及び隣接する寄生性共振器(たとえば、共振器1610、1620、1630のうちの任意の他の1つ又は複数)を含む。基板1640は、基板530(図5)と実質的に同様であることが可能であり、上記に論じられている基板530の変形例を含む。1つの実施形態では、RF信号を伝達するように構成されているフィード(図示せず)が、それぞれの励振誘電共振器の中心孔部の中に位置決めされている。そのように構成されることで、励振共振器及びフィードが、DRAを形成している。代替的な実施形態では、それぞれの励振共振器は、代替的に、マイクロストリップライン又は他の導電性構造体にアパーチャ結合され得、それは、その代わりに、励振共振器を励振するためのRF信号を伝達するために使用され得る。それに加えて又は代替的に、励振共振器は、中央孔部以外の場所に設置されているフィードによって励振され得、及び/又は、複数のフィードが、誘電共振器を励振するために使用され得る。
DRAアレイ500と同様に、適切なRF信号がフィード又はマイクロストリップラインによって伝達されるときに、信号は、励振共振器をその共振周波数で共振させることになる。そして、これは、励振共振器に励振共振器の周囲部の周りに1次的な電界(たとえば、電界440、図4)を作り出させることになる。それに加えて、励振共振器は、励振共振器の上部表面から上向きに直交して延在する2次的な電界(たとえば、電界442、図4)を作り出すことが可能である。
DRA500とは対照的に、誘電共振器1610、1620、1630は、異なるサイズのものになっている。誘電共振器1610、1620、1630が同じ誘電率を有する材料から形成されていると仮定すると、サイズの相違は、誘電共振器1610、1620、1630が異なる共振周波数で共振することをもたらす。たとえば、最大の誘電共振器1610は、第1の共振周波数で共振することが可能であり、中間サイズの誘電共振器1620は、より高い第2の共振周波数で共振することが可能であり、最小の誘電共振器1630は、さらに高い第3の共振周波数で共振することが可能である。共振周波数の相違の結果として、DRAアレイ1600から生じる累積的な電界は、誘電共振器1610、1620、1630の上側表面(たとえば、上側表面1640)に非直交になっていることが可能である。
異なってサイズ決めされた誘電共振器1610、1620、1630(したがって、異なる共振周波数を有する共振器)をアレイ1600の中へ組み込むことによって、図16のDRAアレイ1600の中で、電界ステアリングが達成されるが、同様のビーム・ステアリング効果は、他の方式でも達成され得る。たとえば、電界ステアリングは、代替的に、異なる誘電率を有する誘電共振器をアレイの中へ組み込むことによって、異なって形状決めされた誘電共振器をアレイの中へ組み込むことによって、又は、隣接する誘電共振器のセットの間の間隔、ひいては、容量性結合の強度を変化させることによって、達成され得る。さまざまな共振周波数を有する誘電共振器をDRAアレイの中へ組み込むことによって、誘電共振器の上部表面から直交する以外の1つ又は複数の方向に累積的な電界が方向付けされるシステムが設計され得る。
いくつかの代替的な実施形態では、DRAアレイは、異なる物理的な構成を有する誘電共振器を含むことが可能であり、したがって、異なる周波数で共振し、及び/又は、異なる電界分布を有する、誘電共振器を含むことが可能である。たとえば、図17は、さらなる別の例示的な実施形態による、異なる物理的な構成の誘電共振器1710、1720、1730を含む、マイクロ波加熱装置の中で使用するのに適切なDRAアレイ1700の斜視図である。DRAアレイ1700は、基板1740に結合されている11個の誘電共振器1710、1720、1730を含み、それは、少なくとも1つの励振共振器(たとえば、共振器1710、1720、1730のうちの任意の1つ又は複数)及び隣接する寄生性共振器(たとえば、共振器1710、1720、1730のうちの任意の他の1つ又は複数)を含む。基板1740は、基板530(図5)と実質的に同様であることが可能であり、上記に論じられている基板530の変形例を含む。1つの実施形態では、RF信号を伝達するように構成されているフィード(図示せず)が、それぞれの励振誘電共振器の中心孔部の中に位置決めされている。そのように構成されることで、励振共振器及びフィードが、DRAを形成している。代替的な実施形態では、それぞれの励振共振器は、代替的に、マイクロストリップライン又は他の導電性構造体にアパーチャ結合され得、それは、その代わりに、励振共振器を励振するためのRF信号を伝達するために使用され得る。それに加えて又は代替的に、励振共振器は、中央孔部以外の場所に設置されているフィードによって励振され得、及び/又は、複数のフィードが、誘電共振器を励振するために使用され得る。
DRAアレイ500と同様に、適切なRF信号がフィード又はマイクロストリップラインによって伝達されるときに、信号は、励振共振器をその共振周波数で共振させることになる。そして、これは、共振器から外向きに放射する1つ又は複数の電界を励振共振器に作り出させることになる。
DRA500とは対照的に、誘電共振器1710、1720、1730は、異なる物理的な構成のものになっている。より具体的には、図示されている実施形態では、第1の誘電共振器1710は、中心孔部を備えた実質的に円筒形状を有し、第2の誘電共振器1720は、中心孔部のない実質的に円筒形状を有し、第3の誘電共振器1730は、中心孔部を備えたドーム形状を有する。誘電共振器1710、1720、1730が同じ誘電率を有する材料から形成されていると仮定すると、物理的な構成の相違は、誘電共振器1710、1720、1730が異なる共振周波数で共振すること、及び/又は、異なる分布を有する電界を作り出すことをもたらす。
図17の実施形態は、さまざまな異なる構成の誘電共振器がDRAアレイのさまざまな実施形態において利用され得ることを図示している。さらにその点を図示するために、図18〜図23は、さまざまな物理的な構成を有する誘電共振器1800、1900、2000、2100、2200、2300の斜視図であり、それは、DRAアレイの中で使用され得る。より具体的には、誘電共振器1800(図18)は、中心孔部のない円筒形状を有し、誘電共振器1900(図19)は、中心孔部を備えた扁平なディスク形状を有し、誘電共振器2000(図20)は、中心孔部を備えた円錐形状を有し、誘電共振器2100(図21)は、中心孔部を備えた平行六面体形状を有し、誘電共振器2200(図22)は、中心孔部を備えた球形形状を有し、誘電共振器2300(図23)は、中心孔部のないドーム形状を有する。中心孔部を備えるかもしくは中心孔部のない、又は、他の開口部を備える、多種多様な異なる構成の誘電共振器のいずれかが、代替的に、さまざまな実施形態において使用され得る。
先に示されているように、マイクロ波加熱装置の別の代替的な実施形態は、2つ以上のDRAアレイを含むことが可能である。たとえば、図9では、追加的なDRAアレイ962が、マイクロ波加熱装置900の蓋部916の中に示されている。その実施形態では、含まれている2つのDRAアレイ960、962は、電磁エネルギーのビームを同じ軸線に沿って方向付けするように構成されており、それは、具体的には、加熱チャンバ920の底部表面924及び上部表面926に対して垂直に走っている軸線である。代替的な実施形態では、マイクロ波加熱装置は、電磁エネルギーのビームを同一直線上でない方向に方向付けする複数のDRAアレイを含むことが可能である。たとえば、図24は、別の例示的な実施形態による、電磁エネルギーのビームを直交方向に方向付けする、第1及び第2のDRAアレイ2460、2462を含むマイクロ波加熱装置1900の側断面図である。
図9のマイクロ波加熱装置900と同様に、マイクロ波加熱装置2400は、ハウジング2410、加熱チャンバ2420、システムコントローラ(たとえば、システムコントローラ310、図24には図示されていない)、ユーザインターフェース(たとえば、ユーザインターフェース330、図24には図示されていない)、及び電源システム(たとえば、電源システム340、図24には図示されていない)を含む。それに加えて、ハウジング2410は、ある実施形態では、ベース部分2412、チャンバ部分2414、及び蓋部2416(それは、図24において閉じた状態になっている)を含む。図9のマイクロ波加熱装置900とは対照的に、マイクロ波加熱装置2400は、互いに対して直交して配置されている、2つのマイクロ波パワー発生モジュール2450、2452(たとえば、2つの事例のモジュール350、図3)、及び、2つのDRAアレイ2460、2462(たとえば、2つの事例のDRAアレイ360、500、図3、図5)を含む。より具体的には、第1のDRAアレイ2460は、ハウジング2410のベース部分2412の中に位置決めされており、第2のDRAアレイ2462は、装置2400のチャンバ部分2414の側壁部2422の中に位置決めされている。
また、加熱チャンバ2420は、ハウジング2410のチャンバ部分2414の中に位置付けされている。図24は、チャンバ2420の中のロード2440(たとえば、食物ロード又は他のロード)を示している。繰り返しになるが、加熱チャンバ2420は、閉鎖性の空洞であり、それは、先に説明されているように、封鎖された端部を備えた導波管として本質的に機能する。
ある実施形態によれば、ハウジング2410のベース部分2412は、第1のDRAアレイ2460と、第1のマイクロ波パワー発生モジュール2450を収容するエレクトロニクス基板2470とを含む。同様に、ハウジング2410のチャンバ部分2414は、第2のDRAアレイ2462と、第2のマイクロ波パワー発生モジュール2452を収容するエレクトロニクス基板2472とを含む。第1のマイクロ波パワー発生モジュール2450は、(たとえば、励振共振器の中に位置決めされているフィードを通して、又は、容量性結合を通して)RF励振信号を第1のDRAアレイ2460に提供するように構成されており、それは、チャンバ2420の底部表面2424に直交する方向に、第1のDRAアレイ2460に電磁エネルギーのビームを作り出させ、その方向は、概して、矢印2480によって示されている。同様に、第2のマイクロ波パワー発生モジュール2452は、(たとえば、励振共振器の中に位置決めされているフィードを通して、又は、容量性結合を通して)RF励振信号を第2のDRAアレイ2462に提供するように構成されており、それは、チャンバ側壁部2422に直交する方向に、第2のDRAアレイ2462に電磁エネルギーのビームを作り出させ、その方向は、概して、矢印2482によって示されている。図24から明らかであるように、第1及び第2のDRAアレイ2460、2462によって作り出された電磁エネルギーのビームは、実質的に直交する配向を有する。それに加えて、第1及び第2のDRAアレイ2460、2462は、実質的に同じ周波数で動作され得るが、それらは、代替的に、異なる周波数で動作され、よりブロードバンドのエネルギー結合を、チャンバ2420の中のロード2440に提供することが可能である。
図25は、例示的な実施形態による、1つ又は複数のDRAアレイを含むマイクロ波システム(たとえば、システム100、300、900、2400)を動作させる方法のフローチャートである。方法は、システムコントローラ(たとえば、システムコントローラ310、図3)が、マイクロ波加熱動作を実施するためのパラメータを示す情報を受け取るときに、ブロック2502において開始する。たとえば、情報は、ユーザインターフェース(たとえば、ユーザインターフェース330、図3)を通して提供されるユーザ入力から生じることが可能であり、情報は、加熱動作の持続期間、加熱動作のパワーレベル、及び/又は、加熱動作に関連する他のパラメータを搬送することが可能である。
ブロック2504において、システムコントローラは、電源(たとえば、電源340、図1)に1つ又は複数のマイクロ波発生モジュール(たとえば、モジュール350、図3)にパワーを提供させ、その方式は、マイクロ波発生モジュールに加熱動作に関して特定されたパラメータと一致する1つ又は複数の励振信号を作り出させることになる。
ある実施形態によれば、ブロック2506において、それぞれの励振信号は、RFフィード(たとえば、フィード550、図5)を通して、又は、マイクロストリップライン(たとえば、マイクロストリップライン1176、図11)を通して、DRAアレイ(たとえば、DRAアレイ500、960、1060、1160、1200、1300、1400、1500、1600、1700、2460)に搬送され得る。それに応答して、DRAアレイは、ブロック2508において、指向性の電磁エネルギー・ビームを作り出し、それは、マイクロ波システムの加熱チャンバ(たとえば、加熱チャンバ920)に向けて配向されている。先に論じられているように、チャンバは、近距離場のロード(たとえば、ロード940、2440)を含むことが可能である。DRAアレイは、励振信号の提供が中止されるまで(その時点において、方法は終了する)、指向性の電磁エネルギー・ビームを作り出し続ける。
図26は、例示的な実施形態による、1つ又は複数のDRAアレイを含むマイクロ波システム(たとえば、システム100、300、900、2400)を製造する方法のフローチャートである。方法は、ブロック2602において、複数の誘電共振器(たとえば、誘電共振器964、966)をDRA基板(たとえば、DRA基板980)に結合することによって開始し、DRA基板アッセンブリを形成する。DRA基板アッセンブリでは、励振誘電共振器と隣接する誘電共振器との間の距離は、フィードからの励振信号の存在下において、励振誘電共振器及び隣接する誘電共振器が密に容量結合されることを確実にする(たとえば、その距離は、励振誘電共振器の共振周波数の波長の5分の1又は10分の1より小さい)。
ブロック2604において、1つ又は複数のエレクトロニクス基板(たとえば、基板970)は、ハウジングの中へ(たとえば、ハウジングのベース部分又は他の部分の中へ)据え付けられる。ハウジングは、加熱チャンバ(たとえば、チャンバ920)を含み、加熱チャンバは、加熱又は解凍されることになるロード(たとえば、ロード940)を含むように構成されている。ある実施形態によれば、それぞれの電子的な基板は、1つ又は複数のフィード構造体(たとえば、フィード968又はマイクロストリップライン1174)を含む、マイクロ波発生モジュール(たとえば、モジュール950)を収容している。それに加えて、それぞれの電子的な基板は、グランド・プレーン(たとえば、グランド・プレーン972)を含む。
ブロック2606において、DRA基板アッセンブリは、エレクトロニクス基板の上のハウジングの中に据え付けられ、DRA基板が、グランドプレーンと加熱チャンバとの間に位置決めされるようになっており、また、1つ又は複数のフィード構造体が、励振誘電共振器(及び、場合によっては、アレイの中の他の誘電共振器)に十分に近接しており、マイクロ波発生モジュールから適切なRF励振信号を供給されたとき、共振器を励振して共振状態にすることができるようになっている。ブロック2608において、DRAアレイの上にコンフォーマル材料(たとえば、コンフォーマル材料1082)を適用することによって、又は、DRAアレイの上に保護カバー(たとえば、カバー982)を設置することによって、DRAアレイは、(たとえば、DRAアレイを保護するために)チャンバから分離される。
簡潔化のために、共振器、増幅器、バイアシング、負荷変調、インピーダンス・マッチング、パワー・スプリッター及び/又はパワー・コンバイナー、マイクロ波用途、ならびに、システムの他の機能的な態様(及び、システムの個々の動作コンポーネント)に関連する従来の技法は、本明細書で詳細に説明されていない可能性がある。本明細書に含まれているさまざまな図に示されている接続線は、さまざまなエレメント間の例示的な機能的関係、及び/又は物理的な結合を表すことが意図されている。多くの代替的なもしくは追加的な機能的関係又は物理的な接続は、主題の実施形態の中に存在し得ることに留意されたい。それに加えて、特定の専門用語は、また、参照の目的のためだけに本明細書で使用され得、したがって、限定するものであるようには意図されておらず、「第1の」、「第2の」という用語、及び、構造体を参照する他のそのような数字の用語は、文脈によって明確に示されていなければ、シーケンス又は順序を暗示してはいない。
本明細書で使用されているように、「ノード」は、任意の内部又は外部の基準点、接続点、接点、信号線、又は伝導性エレメントなどを意味しており、そこにおいて、所与の信号、ロジック・レベル、電圧、データ・パターン、電流、又は量が存在している。そのうえ、2つ以上のノードが、1つの物理的なエレメントによって実現化され得る(及び、共通のノードにおいて受け取られ又は出力されたとしても、2つ以上の信号が、多重化され、変調され、又は、そうでなければ区別され得る)。
先述の説明は、共に「接続されている」又は「結合されている」エレメント又はノード又はフィーチャに言及している。本明細書で使用されているように、そうでないことを明示的に述べていなければ、「接続されている」は、1つのエレメントが別のエレメントに直接接合されており(又は、直接連通しており)、必ずしも機械的に接続されているわけではないことを意味している。同様に、そうでないことを明示的に述べていなければ、「結合されている」は、1つのエレメントが別のエレメントに直接又は間接的に接合されており(又は、直接もしくは間接的に連通しており)、必ずしも機械的に接続されているわけではないことを意味している。したがって、図に示されている概略は、エレメントの1つの例示的な配置を示しているが、追加的な介在するエレメント、デバイス、フィーチャ、又はコンポーネントが、示されている主題の実施形態の中に存在し得る。
マイクロ波加熱装置の実施形態は、ソリッドステートのマイクロ波エネルギー供給源と、第1の励振誘電共振器、及び、第1の励振誘電共振器に近接する第1のフィード構造体を含む第1の誘電共振器アンテナと、1つ又は複数の第2の誘電共振器とを含む。第1の励振誘電共振器は、上部表面及び対向する底部表面を有する。第1のフィード構造体は、マイクロ波エネルギー供給源に電気的に結合され、マイクロ波エネルギー供給源から第1の励振信号を受け取る。第1の励振誘電共振器は、第1のフィード構造体に提供される励振信号に応答して、第1の電界を作り出すように構成されている。1つ又は複数の第2の誘電共振器は、第1の励振誘電共振器の所定の距離の中に位置決めされ、誘電共振器アンテナアレイを形成している。励振信号が提供されるときに、第2の誘電共振器のそれぞれが第1の励振誘電共振器に密に容量結合されるように、その距離が選択される。
さらなる実施形態によれば、励振信号が提供されるときに、第1の励振誘電共振器によって作り出された第1の電界は、第2の誘電共振器のそれぞれに直接作用し、第1の電界の作用に応答して、第2の誘電共振器のそれぞれに第2の電界を作り出させる。一層さらなる実施形態によれば、1つ又は複数の第2の誘電共振器のそれぞれは、寄生性誘電共振器であり、寄生性誘電共振器は、フィード構造体から直接励振信号を受け取らず、その代わりに、第1の電界の作用だけに応答して、第2の電界を作り出す。別のさらなる実施形態によれば、第1の励振誘電共振器及び第2の誘電共振器は、同一平面的な構成で配置されており、円周方向の電界の一部分が、第2の誘電共振器に直接作用するようになっている。別のさらなる実施形態によれば、その距離は、第1の励振誘電共振器の共振周波数の波長の5分の1より小さい。さらに別のさらなる実施形態によれば、その距離は、ゼロミリメートルから12.5ミリメートルの間にある。
マイクロ波加熱装置の別の実施形態は、チャンバと、ソリッドステートのマイクロ波エネルギー供給源と、第1の励振誘電共振器、及び、第1の励振誘電共振器に近接している第1のフィード構造体を含む第1の誘電共振器アンテナと、1つ又は複数の第2の誘電共振器とを含む。チャンバは、ロードを含むように構成されており、チャンバは、内部チャンバ壁部表面及び外部チャンバ壁部表面を有する第1のチャンバ壁部によって部分的に画定されている。第1の励振誘電共振器は、上部表面及び対向する底部表面を有する。第1のフィード構造体は、マイクロ波エネルギー供給源に電気的に結合され、マイクロ波エネルギー供給源から第1の励振信号を受け取り、また、第1の励振誘電共振器は、第1のフィード構造体に提供される励振信号に応答して、第1の電界を作り出すように構成されている。1つ又は複数の第2の誘電共振器は、第1の励振誘電共振器の所定の距離の中に位置決めされ、誘電共振器アンテナアレイを形成している。励振信号が提供されるときに、第2の誘電共振器のそれぞれが第1の励振誘電共振器に密に容量結合されるように、その距離が選択される。
第1のマイクロ波発生モジュールを含むマイクロ波システムを動作させる方法の実施形態は、第1のマイクロ波発生モジュールによって、第1の無線周波数(RF)フィード構造体に搬送される第1の励振信号を作り出す工程を含み、第1のRFフィード構造体は、第1の誘電共振器に近接して位置決めされている。方法は、第1のRFフィード構造体によって搬送される第1の励振信号に応答して、第1の誘電共振器によって、第1の電界を作り出す工程を含み、第1の電界は、第1の誘電共振器に密に容量結合されている第2の誘電共振器に直接作用する。方法は、第1の電界の作用に応答して、第2の誘電共振器によって、第2の電界を作り出す工程をさらに含み、第2の電界は、近距離場のロードを含むチャンバに向けて方向付けされる。
マイクロ波システムを製造する方法の実施形態は、所定の共振周波数を有する第1の誘電共振器を第1の基板に結合する工程と、1つ又は複数の追加的な誘電共振器を第1の基板に結合する工程とを含み、第1の誘電共振器と1つ又は複数の追加的な誘電共振器のそれぞれとの間の距離が密に容量結合されるようになっている。第1の誘電共振器及び追加的な誘電共振器は、誘電共振器アンテナアレイを形成する。方法は、第2の基板をハウジングの中へ据え付ける工程をさらに含み、RFフィード構造体は、第2の基板に結合されている。ハウジングは、封鎖された端部を備えた導波管として構成されるチャンバを画定している。方法は、RFフィード構造体が第1の誘電共振器に十分に近接しており、RFフィード構造体が適切なRF励振信号を供給されたとき、第1の誘電共振器を励振して共振状態にすることができるように、誘電共振器スタックをハウジングの中へ据え付ける工程をさらに含む。
少なくとも1つの例示的な実施形態が、先述の詳細な説明において提示されてきたが、膨大な数の変形例が存在することが認識されるべきである。また、本明細書で説明されている1つ又は複数の例示的な実施形態は、特許請求されている主題の範囲、適用可能性、又は構成を限定することを、決して意図していないことが認識されるべきである。むしろ、先述の詳細な説明は、説明されている1つ又は複数の実施形態を実装するための便利なロード・マップを当業者に提供することになる。特許請求の範囲によって定義されている範囲から逸脱することなく、エレメントの機能及び配置のさまざまな変形を行うことが可能であり、それは、本特許出願の出願時において、公知の均等物及び予測可能な均等物を含むことを理解されたい。