JP6939505B2 - 着色層付きガラス板 - Google Patents
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Description
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る着色層付きガラス板1は、第1の表面1aと前記第1の表面1aと対向する第2の表面1bを有する。そして、前記第2の表面1bに存在する着色層3を備え、前記第1の表面1aはガラス板2の表面自体が凹凸を有する。
本実施形態の着色層付きガラス板1は、上記構成を備えるため、着色層付きガラス板1の第1の表面1a側から、ガラス板2を通して、第2の表面1bに存在する着色層3を見ても、着色層3の色むらが目立つことがなく、意匠性に優れる。
図2に示す着色層付きガラス板4は、第1の表面4aが、ガラス板自体が凹凸を有するのではなく、ガラス板5の表面に凹凸層を有する点で、図1に示す着色層付きガラス板1と相違し、他の点は同じ着色層付きガラス板である。すなわち、図1における第2の表面1bと図2における第2の表面4bとは実質的に同じものである。
ガラス板2は、可視光透過率(可視光線透過率)が高いガラス板であることが好ましい。ガラス板2の可視光透過率が高ければ、前記第2の表面2bに存在する着色層3の色が鮮明に見えるため好ましい。その結果、例えば、本実施形態の着色層付きガラス板1を建材として使用した場合には、周りの部材との調和を取ることができ、建材全体としての意匠性を高くできる。前記可視光透過率は、一例として、波長350nm〜750nmにおける平均透過率が、89.5%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、90.3%以上であることが特に好ましい。
前記可視光透過率は、分光光度計によって測定できる。
Y=Σ(S(λ)×y(λ)) 式
ここで、S(λ)は、各波長における透過率であり、y(λ)は各波長の重みづけ係数である。したがって、Σ(S(λ)×y(λ))は、各波長の重みづけ係数と、その透過率と、を掛け合わせたものの総和をとったものである。なお、y(λ)は、眼の網膜細胞のうち、M錐体(又はG錐体、緑錐体)に対応し、波長535nmの光に最も反応する。
ガラス板2は、上記したとおり、可視光透過率が高いことが好ましく、また、着色していないことが好ましい。このような特性を実現するガラス板2としては、例えば、ガラスに含まれるFe2O3に換算した全鉄の含有量が好ましくは0.1質量%以下であるものが挙げられる。ガラスに含まれる全鉄の量が、0.1質量%超となると、ガラス板の緑色が目立ち、その結果、第2の表面の着色層の色調再現性が低下するおそれがある。そのため、前記全鉄の含有量は、0.09質量%以下がより好ましく、0.05質量%以下がさらに好ましく、0.03質量%以下が特に好ましい。
また、本実施形態の着色層付きガラス板1を建材として使用する場合には、ガラス板2の板厚は、1mm〜15mmが好ましい。この用途においては、ガラス板2は物理強化される場合が多く、前記板厚が1mm未満ではガラス板2が反る、もしくはガラス板2の表面に十分な圧縮応力が入らず、着色層付きガラス板の強度が低くなるおそれがある。一方、ガラス板2の板厚が15mm超では、ガラス板2が厚く、重量が大きくなり過ぎるおそれがある。物理強化での所望の強度の実現と、建材として使用する際の重量のバランスから、ガラス板2の板厚は、3mm〜12mmがより好ましい。特に、本実施形態の着色層付きガラス板1を、建築物の壁材として使用する場合は、ガラス板2の板厚は5mm〜10mmが特に好ましい。
本実施形態において、着色層付きガラス板1の第1の表面1aは、凹凸を有する。前記凹凸は、表面粗さの要素の平均長さRSmが10μm〜300μmである。表面粗さの要素の平均長さRSmは、JIS B0601(2001)に準拠して測定した値である。表面粗さの要素の平均長さRSmは、例えば、レーザー顕微鏡(キーエンス社製、商品名:VK−9700)を用いて測定できる。
前記光沢度が0.1未満であれば、第1の表面1aでの光の乱反射の程度が大きくなり過ぎる。この場合、第2の表面1bに存在する着色層3の模様や色がぼやけて認識しづらくなり、意匠性が低下する。一方で、前記第1の表面1aの光沢度が70超であれば、前記第2の表面1bに存在する着色層3の色むらが目立ち、着色層付きガラス板1の意匠性が低下するおそれがある。前記第1の表面1aの光沢度は、1〜30が好ましく、2〜16がより好ましい。
第2の表面1bには、2以上の色を有する着色層3が存在する。着色層3は、第2の表面1bの全面に設けてもよく、第2の表面1bの一部に設けてもよい。着色層3を第2の表面1bのどの部分に、どのような大きさで設けるかは、本実施形態の着色層付きガラス板1を用いる用途や設置場所等に応じて自由に変更できる。
着色層3の色を十分に認識させるためには、着色層3の最大厚みは300μmあれば十分である。また、着色層3の最大厚みが300μm以下であれば、着色層3をガラス板2に焼き付ける際の焼成温度を低くできる、または短時間で行うことができる。その結果、ガラス板2の残留歪を低減して、着色層付きガラス板1の強度の低下を抑制できる。着色層付きガラス板1の強度の低下を抑制するには、着色層3の最大厚みはより好ましくは200μm以下、さらに好ましくは100μm以下、最も好ましくは80μm以下である。
前記無機材料は、粒子状であることが好ましい。そして、前記無機材料は、最大粒子径が、30μm〜120μmであることが好ましい。最大粒子径が前記した範囲にあれば、ガラス板2の第2の表面2bに緻密で微細な模様を有する着色層3を形成できる。同様の理由で、前記最大粒子径は、50μm〜80μmがより好ましい。
ガラスセラミックスとは、ガラス粉末およびセラミックス粉末の混合物であり、所望の着色層3を形成するうえでは、ガラス粉末及びセラミックス粉末以外の他の材料を含んでもよい。ガラスセラミックスは温度の変化に対する耐久性が高いため、本実施形態の着色層付きガラス板1が高温にさらされる場合に、ガラス板2から着色層3が剥がれ落ちることなどを防止できる。また、ガラスセラミックスは、2以上のガラス組成の異なる材料を使用することで容易に2以上の色を有する着色層3を形成できる。
ガラス板2の表層に圧縮応力層を形成する方法としては、物理強化またはイオン交換による化学強化が挙げられる。物理強化および化学強化は、ガラス板2が使用される用途やガラス板2の板厚に応じて自由に使い分けることができる。
本実施形態の着色層付きがガラス板1を建材の用途で使用する場合、ガラス板2の表面の圧縮応力は20MPa〜200MPaであることが好ましい。この圧縮応力は、ガラス板2への物理強化によって実現できる。
前記した他の機能膜を形成する方法は特に限定されず、公知の方法を採用できる。
本実施形態の着色層付きガラス板は、図3のフローチャートで示すように、ガラス板2を準備し(S1)、ガラス板の一面(第1の主面)に凹凸を形成して第1の表面を形成し(S2)、ガラス板の他の面(第2の主面)に着色層を形成する(S3)ことで、製造できる。前記凹凸を形成する際に、その凹凸の表面粗さの要素の平均長さRSmが10μm〜300μmであり、第1の表面の光沢度が0.1〜70となるように処理する。
製造効率を高める点で、ガラス板の第1の表面に凹凸を形成し、次いで、ガラス板の第2の表面に着色層を形成することが好ましい。
また、着色層を形成する際の、無機材料を塗布した後の焼成により、着色層の形成と、ガラス板に物理強化による圧縮応力層の形成を同時に行える。
これらの工程は、本実施形態の着色層付きガラス板の製造方法において、任意に行える。ガラス板に圧縮応力層を形成する場合には、上述のとおり、製造効率の観点からは、ガラス板の一面に凹凸を形成して第1の表面を得る工程の後で、ガラス板の他の面に着色層を形成すると同時に物理強化により、ガラス板の表面に圧縮応力層の形成を実施することが好ましい。
例1〜6の着色層付きガラス板について以下のようにして評価を行った。
(表面凹凸)
第1の表面は、JIS B0601(2001)に準拠し、レーザー顕微鏡(キーエンス社製、商品名:VK−9700)を用いて、表面粗さの要素の平均長さRSmおよび表面粗さRaを測定した。なお、表面粗さRaの測定においては、カットオフ値λcは0.25mmの条件で行った。
(光沢度)
第1の表面の光沢度は、光沢計(株式会社堀場製作所製、商品名:光沢度グロスチェッカーIG−410)を使用して、入射角60°の条件で測定した。
例1〜6の着色層付きガラス板を地面に対して垂直に配置し、ガラス板に対して、垂直方向に1m離れた地点から人の目で観測した。5人の観測者のうち、5人が色むらを認識できなかった場合を「◎」、2〜4人が色むらを認識できなかった場合を「○」、4人が色むらを認識した場合を「△」、全員が色むらを認識した場合を「×」として評価した。
(例1)
ガラス板として、縦300mm×横300mm×厚さ3mmのソーダライムガラス(旭硝子株式会社製)を使用した。このガラス板の可視光透過率は90.4%であり、Fe2O3に換算した全鉄の含有量が0.03質量%であった。
このガラス板を使用してサンドブラスト法により、ガラス板の一面に凹凸を形成し、第1の表面とした。サンドブラスト法では、♯3000の研磨材を吹き付けて行った。
次いで、ガラス板の他の面に、インクジェット法で白色のガラスセラミックス粉末(最大粒子径50μm)と黒色のガラスセラミックス粉末(最大粒子径70μm)を塗布し、次いで、640℃で4分間焼成することで、ガラス板の他の面の全面に着色層を形成し、第2の表面とした。着色層の最大厚みは、80μmであった。
これにより、例1の着色層付きガラス板を得た。
ガラス板として、縦300mm×横300mm×厚さ3mmのガラス(AGCガラス・ヨーロッパ製、商品名:LST60)を使用した。このガラス板は、第1の表面に凹凸が形成されている。ガラス板の可視光透過率は90.4%であり、Fe2O3に換算した全鉄の含有量が0.08質量%であった。
ガラス板を上記したものを使用し、例1と同じ方法で、ガラス板の他の面に着色層を形成し、第2の表面とした。
ガラス板として、縦300mm×横300mm×厚さ3mmのガラス(AGCガラス・ヨーロッパ製、商品名:VRD50)を使用した。このガラス板は、第1の表面に凹凸が形成されている。ガラス板の可視光透過率は90.4%であり、Fe2O3に換算した全鉄の含有量が0.08質量%であった。
ガラス板を上記したものを使用し、例1と同じ方法で、ガラス板の他の面に着色層を形成し、第2の表面とした。
ガラス板として、縦300mm×横300mm×厚さ3mmのガラス(フィグラ株式会社製、製品名:エッチングガラス)を使用した。このガラス板は、第1の表面に凹凸が形成されている。このガラス板の可視光透過は91.3%であり、Fe2O3に換算した全鉄の含有量が0.03質量%であった。
ガラス板を上記したものを使用し、例1と同じ方法で、ガラス板の他の面に着色層を形成し、第2の表面とした。
ガラス板として、縦300mm×横300mm×厚さ6mmのガラス(フィグラ株式会社製、製品名:エッチングガラス)を使用した。このガラス板は、第1の表面に凹凸が形成されている。このガラス板の可視光透過率は90.9%であり、Fe2O3に換算した全鉄の含有量が0.03質量%であった。
ガラス板を上記したものを使用し、例1と同じ方法で、ガラス板の他の面に着色層を形成し、第2の表面とした。
ガラス板として、縦300mm×横300mm×厚さ6mmのソーダライムガラス(旭硝子株式会社製)を使用した。このガラス板は、両面に凹凸が形成されておらず、可視光透過率が88.7%であり、Fe2O3に換算した全鉄の含有量が0.08質量%であった。
ガラス板を上記したものを使用し、例1と同じ方法で、ガラス板の他の面に着色層を形成し、第2の表面とした。
1a 第1の表面
1b 第2の表面
2 ガラス板
3 着色層
4 着色層付きガラス板
4a 第1の表面
4b 第2の表面
5 ガラス板
Claims (9)
- ガラス板と着色層とを含む着色層付きガラス板であって、
第1の表面と前記第1の表面に対向する第2の表面を有し、
前記第1の表面は凹凸を有し、前記第2の表面は2以上の色を有する前記着色層を有し、
前記第1の表面の光沢度は0.1〜70であり、前記凹凸は、表面粗さの要素の平均長さRSmが10μm〜300μmであることを特徴とする着色層付きガラス板。 - 前記着色層は、無機材料からなる請求項1記載の着色層付きガラス板。
- 前記無機材料は、最大粒子径が30μm〜120μmのガラスセラミックスを含む請求項2記載の着色層付きガラス板。
- 前記ガラス板は、Fe2O3に換算した全鉄の含有量が0.1質量%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の着色層付きガラス板。
- 前記ガラス板は、可視光線透過率が89.5%以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の着色層付きガラス板。
- 前記ガラス板は、銀及び銅の少なくともいずれか一方を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の着色層付きガラス板。
- 前記ガラス板は、表層に圧縮応力層を有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の着色層付きガラス板。
- 前記着色層の最大厚みが50μm〜300μmである請求項1〜7のいずれか1項に記載の着色層付きガラス板。
- 前記第1の表面の表面粗さRaが0.1μm〜5μmである請求項1〜8のいずれか1項に記載の着色層付きガラス板。
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