以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、複合機10が使用可能に水平面に設置された姿勢(図1の姿勢であって、「使用姿勢」と表記することがある。)を基準として上下方向7が定義される。複合機10の開口13が設けられている面を前面14Aとして前後方向8(奥行き方向の一例)が定義される。複合機10を前面から見て左右方向9が定義される。本実施形態では、使用姿勢において、上下方向7が鉛直方向に相当し、前後方向8及び左右方向9が水平方向に相当する。前後方向8及び左右方向9は、直交している。
[複合機10の全体構成]
図1に示されるように、複合機10(画像記録装置の一例)は、概ね直方体形状である。複合機10は、インクジェット記録方式で用紙12(図2参照)に画像を記録するプリンタ部11を下部に有している。プリンタ部11は、前面14Aに開口13が形成された筐体14を有している。また、筐体14の前面14Aには、各種情報を表示するディスプレイ200が設けられている。
図2に示されるように、筐体14の内部には、給送ローラ23と、給送トレイ15と、排出トレイ16と、搬送ローラ対25と、記録部24と、排出ローラ対27と、プラテン26と、カートリッジ装着部110(図1(B)参照)と、が配置されている。複合機10は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。
[給送トレイ15、排出トレイ16、給送ローラ23]
図1に示されるように、給送トレイ15は、開口13を通じて前後方向8に沿ってユーザによって複合機10に対して挿抜される。開口13は、筐体14の前面14Aにおける左右方向9の中央部に位置する。図2に示されるように、給送トレイ15は、積層された複数の用紙12を支持可能である。
排出トレイ16は、給送トレイ15の上方に配置されている。排出トレイ16は、排出ローラ対27によって排出された用紙12を支持する。
給送ローラ23は、給送トレイ15に支持された用紙12を搬送路17へ給送する。給送ローラ23は、給送用モータ172(図12参照)によって駆動される。
[搬送路17]
図2に示されるように、搬送路17は、その一部がプリンタ部11の内部において、所定間隔で対向する外側ガイド部材18及び内側ガイド部材19によって形成される空間を指す。搬送路17は、給送トレイ15の後端部から後方に延びる経路である。搬送路17は、プリンタ部11の後部において上方に延びつつ前方にUターンし、記録部24とプラテン26との間の空間を経て排出トレイ16に至る経路である。搬送ローラ対25及び排出ローラ対27の間における搬送路17は、左右方向9における複合機10の概ね中央部に設けられており、且つ前後方向8に延びている。搬送路17内における用紙12の搬送向きは、図2において一点鎖線の矢印で示されている。
[搬送ローラ対25]
図2に示されるように、搬送ローラ対25は、搬送路17に配置されている。搬送ローラ対25は、互いに対向する搬送ローラ25A及びピンチローラ25Bを有する。搬送ローラ25Aは、搬送用モータ171(図12参照)によって駆動される。ピンチローラ25Bは、搬送ローラ25Aの回転に伴って連れ回る。用紙12は、搬送用モータ171の正転によって正回転する搬送ローラ25A及びピンチローラ25Bに挟持されて搬送向き(前向き)に搬送される。
[排出ローラ対27]
図2に示されるように、排出ローラ対27は、搬送路17における搬送ローラ対25より搬送向きの下流に配置されている。排出ローラ対27は、互いに対向する排出ローラ27A及び拍車27Bを有する。排出ローラ27Aは、搬送用モータ171(図12参照)によって駆動される。拍車27Bは、排出ローラ27Aの回転に伴って連れ回る。用紙12は、搬送用モータ171の正転によって正回転する排出ローラ27A及び拍車27Bに挟持されて搬送向き(前向き)に搬送される。
[記録部24]
図2に示されるように、記録部24は、搬送路17における搬送ローラ対25及び排出ローラ対27の間に配置されている。記録部24は、搬送路17を挟んでプラテン26と上下方向7に対向配置されている。記録部24は搬送路17の上方に位置し、プラテン26は搬送路17の下方に位置している。記録部24は、キャリッジ22と、記録ヘッド21(ヘッドの一例)とを備えている。
図3に示されるように、キャリッジ22は、前後方向8に離間する位置において各々が左右方向9に延設されたガイドレール82、83に支持されている。ガイドレール82、83は、プリンタ部11のフレーム(不図示)に支持されている。キャリッジ22は、ガイドレール83に設けられた公知のベルト機構に連結されている。ベルト機構は、キャリッジ駆動用モータ173(図12参照)によって駆動される。ベルト機構に連結されたキャリッジ22は、キャリッジ駆動用モータ173の駆動によって左右方向9に沿って往復移動する。キャリッジ22の移動領域は、図3の一点鎖線で示されるように、搬送路17より右方及び左方にまで及ぶ。
キャリッジ22からは、インクチューブ20とフレキシブルフラットケーブル84とが延出されている。
インクチューブ20は、カートリッジ装着部110と記録ヘッド21とを接続するものである。インクチューブ20は、カートリッジ装着部110に装着された各インクカートリッジ30(第1タンク及びカートリッジの一例)に貯留されたインク(液体の一例)を記録ヘッド21に供給する。本実施形態において、カートリッジ装着部110には、ブラックのインクが貯留されたインクカートリッジ30B、マゼンタのインクが貯留されたインクカートリッジ30M、シアンのインクが貯留されたインクカートリッジ30C、イエローのインクが貯留されたインクカートリッジ30Yが装着される。なお、これらの4つを総称してインクカートリッジ30と記す。インクは、インクチューブ20の内部空間(流路の一例)を流通する。各色(ブラック、マゼンタ、シアン、イエロー)のインクが流通する4本のインクチューブ20が、インクカートリッジ30B、30M、30C、30Yに対応して設けられており、これらが束ねられた状態でキャリッジ22に搭載された記録ヘッド21に接続されている。
フレキシブルフラットケーブル84は、制御部130(図12参照)と記録ヘッド21とを電気的に接続するものである。フレキシブルフラットケーブル84は、制御部130から出力される制御信号を記録ヘッド21に伝達する。
図2に示されるように、キャリッジ22は、記録ヘッド21を搭載している。記録ヘッド21は、下面に配置された複数のノズル29と、記録ヘッド21内に形成されたインク流路の一部を変形させることでノズル29からインク滴を吐出させる圧電素子56(図12参照)とを備えている。圧電素子56は、後述するように、制御部130により給電されることで動作する。
記録部24は、制御部130によって制御される。キャリッジ22が左右方向9へ移動しているときに、記録ヘッド21は、ノズル29からインク滴を搬送路17へ向けて吐出する。これにより、つまりプラテン26に支持されている用紙12に画像が記録される。また、これにより、各インクカートリッジ30に貯留されたインクが消費される。
[プラテン26]
図2に示されるように、プラテン26は、搬送路17における搬送ローラ対25及び排出ローラ対27の間に配置されている。プラテン26は、搬送路17を挟んで記録部24と上下方向7に対向配置されている。プラテン26は、搬送ローラ対25によって搬送される用紙12を下方から支持する。
[カバー87]
図1(B)に示されるように、筐体14の前面14Aの右部に、開口85が形成されている。開口85の後方には、カートリッジ装着部110を収容可能な収容空間86が形成されている。筐体14には、カバー87が、開口85を覆うようにして取り付けられている。カバー87は、開口85を閉塞する閉塞位置(図1(A)に示される位置)と、開口85を開放する開放位置(図1(B)に示される位置)との間を、左右方向9に延びる回動軸線87A(回動中心)周りに回動可能である。
[カートリッジ装着部110]
図1(B)に示されるように、カートリッジ装着部110は、筐体14の右前部に位置している。図3に示されるように、カートリッジ装着部110は、記録ヘッド21よりも前方に位置している。また、カートリッジ装着部110は、搬送路17よりも右方に位置している。
図4〜図6に示されるように、カートリッジ装着部110は、カートリッジケース101と、接点106と、ロッド125と、装着センサ113と、ロックシャフト145と、タンク103(第2タンクの一例)と、液面センサ55とを備えている。
カートリッジケース101には、それぞれシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色のインクが貯留された4つのインクカートリッジ30が収容可能である。インクカートリッジ30は、後方へ移動することによってカートリッジケース101に装着され、前方へ移動することによってカートリッジケース101から脱抜される。接点106、ロッド125、装着センサ113、ロックシャフト145、タンク103、及び液面センサ55は、4つのインクカートリッジ30それぞれに対応して、4つずつ設けられている。なお、カートリッジ装着部110に収容可能なインクカートリッジ30の数は、4つに限らない。
4つの接点106、4つのロッド125、4つの装着センサ113、4つのロックシャフト145、及び4つの液面センサ55は、それぞれ同構成である。そのため、後述する各部の説明では、1つの接点106、1つのロッド125、1つの装着センサ113、1つのロックシャフト145、及び1つの液面センサ55の構成のみが説明され、残りの3つについての説明は省略される。
また、4つのタンク103の各々には、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローの何れか一色のインクが貯留される。以下の説明において、4つのタンクを総称してタンク103と記し、ブラックのインクが貯留されるタンクをタンク103Bと記し、マゼンタのインクが貯留されるタンクをタンク103Mと記し、シアンのインクが貯留されるタンクをタンク103Cと記し、イエローのインクが貯留されるタンクをタンク103Yと記す。
[カートリッジケース101]
図4〜図6に示されるように、カートリッジケース101は、内部空間を有する箱形状である。カートリッジケース101の内部空間は、上端を画定する天壁141と、下端を画定する底壁142と、前後方向8の後端を画定する奥壁143と、左右方向9の両端を画定する一対の側壁144、146とで画定される。一方、前後方向8において奥壁143と対向するカートリッジケース101の前端は、カートリッジケース101の内部空間を露出させる開口112となっている。開口112は、カバー87(図1参照)が開放位置に位置するときに、筐体14の開口85を通じて複合機10の外部に露出される。
筐体14の開口85及びカートリッジ装着部110の開口112を通じて、インクカートリッジ30がカートリッジケース101へ挿抜される。インクカートリッジ30は、カートリッジケース101の底面に設けられたガイド溝109に、インクカートリッジ30の下端部が挿入されることによって、前後方向8へ案内される。図4(A)に示されるように、カートリッジケース101には、内部空間を上下方向7に長い4つの空間に仕切り分ける3つのプレート104が設けられている。プレート104によって仕切り分けられた各空間それぞれに、4つのインクカートリッジ30が左右方向9に並んで収容される。
なお、図4(A)には、4つのインクカートリッジ30のうち、インクカートリッジ30Yのみが、カートリッジ装着部110に装着された状態が示されている。図4(B)には、4つのインクカートリッジ30のうち、インクカートリッジ30Y、30Bのみが、カートリッジ装着部110に装着された状態が示されている。
[接点106]
図6に示されるように、カートリッジケース101の天壁141の下面には接点106が設けられている。接点106は、天壁141の下面からカートリッジケース101の内部空間へ向けて下方に突出している。各図には詳細に示されていないが、接点106は、左右方向9に離れて配置された4個で構成されている。4個で構成された接点106は、カートリッジケース101に収容可能な4つのインクカートリッジ30に対応して、4つ設けられている。4個の接点106の配置は、後述されるインクカートリッジ30の4つの電極65の配置に対応している。接点106は、導電性及び弾性を有する部材で構成されており、上方へ弾性的に変形可能である。なお、接点106の個数及び電極65の個数は任意である。
接点106は、電気回路を介して制御部130(図9参照)に電気的に接続されている。接点106と対応する電極65とが係合して電気的に導通されることによって、電圧が電極65に印加されたり、電極65がアースされたり、電極65に電力が供給されたりする。接点106と対応する電極65との電気的に導通により、インクカートリッジ30のICに格納されたデータにアクセス可能となる。電気回路からの出力は制御部130に入力される。
[ロッド125]
図6に示されるように、カートリッジケース101の奥壁143におけるインクニードル102より上方に、ロッド125が形成されている。ロッド125は、カートリッジケース101の奥壁143から前方へ突出している。ロッド125は、円筒形状である。ロッド125は、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着された状態において、つまりインクカートリッジ30が装着位置に位置する状態において、後述する大気連通口96へ挿入される。
[装着センサ113]
図6に示されるように、カートリッジケース101の天壁141の下面には、装着センサ113が配置されている。装着センサ113は、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着されているか否かを検知するものである。装着センサ113は、ロッド125よりも前方且つ接点106よりも後方に位置している。本実施形態において、装着センサ113は、発光部及び受光部を備える。発光部は、受光部よりも右方または左方に、受光部と間隔を空けて設けられている。カートリッジ装着部110への装着が完了したインクカートリッジ30の後述する遮光板67は、発光部及び受光部の間に配置される。換言すれば、発光部及び受光部は、カートリッジ装着部110への装着が完了したインクカートリッジ30の遮光板67を挟んで対向配置されている。
装着センサ113は、発光部から左右方向9に沿って照射された光が受光部で受光されたか否かに応じて異なる検知信号を出力する。例えば、装着センサ113は、発光部から出力された光が受光部で受光できない(すなわち、受光強度が所定の強度未満である)ことを条件として、ローレベル信号を制御部130(図12参照)へ出力する。一方、装着センサ113は、発光部から出力された光が受光部で受光できた(すなわち、受光強度が所定の強度以上である)ことを条件として、ハイレベル信号を制御部130(図12参照)へ出力する。
[ロックシャフト145]
図6に示されるように、ロックシャフト145が、カートリッジケース101の天壁141付近且つ開口112付近において、カートリッジケース101の左右方向9に延出されている。ロックシャフト145は、左右方向9に沿って延びる棒状の部材である。ロックシャフト145は、例えば、金属の円柱である。ロックシャフト145の左右方向9の両端は、カートリッジケース101の左右方向9の両端を確定している壁に固定されている。ロックシャフト145は、4つのインクカートリッジ30が収納可能な4つの空間に渡って左右方向9に延びている。
ロックシャフト145は、カートリッジ装着部110に装着されたインクカートリッジ30を装着位置に保持するためのものである。インクカートリッジ30は、カートリッジ装着部110に装着された状態で、ロックシャフト145に係合される。これにより、ロックシャフト145は、インクカートリッジ30のコイルバネ78,98がインクカートリッジ30を前方へ押す力に抗してインクカートリッジ30をカートリッジ装着部110内に保持する。
[タンク103]
図5及び図7に示されるように、カートリッジ装着部110は、4つのタンク103B、103M、103C、103Yを備えている。4つのタンク103B、103M、103C、103Yは、左右方向9に並んで配置されている。各タンク103B、103M、103C、103Yは、各色のインクカートリッジ30に対応している。つまり、各色のインクカートリッジ30に貯留されたインクは、それぞれ対応するタンク103B、103M、103C、103Yへ流通可能である。
図6に示されるように、タンク103は、カートリッジケース101の奥壁143より後方に位置している。図5に示されるように、各タンク103B、103M、103C、103Yは、箱形状である。
図5〜図7に示されるように、各タンク103B、103M、103C、103Yは、内部に後述する貯留室160(第2貯留室の一例)を有する箱形状の本体と、接続部107とを備えている。図6及び図7に示されるように、本体は、上壁161と、前壁162と、下壁163と、後壁164と、一対の側壁165、166と、凸部120を構成する上壁120B及び前壁120Cとで構成されている。
図6に示されるように、上壁161は、第1上壁161Aと、第2上壁161Bとで構成される。第1上壁161Aは、第2上壁161Bよりも上方に位置する。
前壁162は、第1前壁162Aと、第2前壁162Bと、第3前壁162Cとで構成される。第1前壁162Aは、第2前壁162Bよりも前方に位置する。第3前壁162Cは、第1前壁162Aよりも前方に位置する。
下壁163は、第1下壁163Aと、第2下壁163Bとで構成される。第1下壁163Aは、第2下壁163Bよりも上方に位置する。
第1前壁162Aは、第1上壁161Aの前端部から下方へ延びている。第1下壁163Aは、第1前壁162Aの下端部から後方へ延びている。第2前壁162Bは、第1下壁163Aの後端部から下方へ延びている。上壁120Bは、第2前壁162Bの下端部から前方へ延びている。前壁120Cは、上壁120Bの前端部から下方へ延びている。第2上壁161Bは、前壁120Cの下端部から前方へ延びている。第3前壁162Cは、第2上壁161Bの前端部から下方へ延びている。第2下壁163Bは、第3前壁162Cの下端部から後方へ延びている。
図7に示されるように、側壁165は、各タンク103B、103M、103C、103Yに対応する上壁161、前壁162、及び下壁163の右端部と繋がっている。側壁166は、各タンク103B、103M、103C、103Yに対応する上壁161、前壁162、及び下壁163の左端部と繋がっている。
後壁164は、第1上壁161A、第2下壁163B、及び側壁165、166の後端面に溶着されるフィルムである。なお、図5においては、後壁164(フィルム)が省略されている。本実施形態では、後壁164がフィルムであるが、後壁164以外の壁がフィルムであってもよい。また、後壁164がフィルムでなく樹脂壁であってもよい。
図6に示されるように、接続部107は、カートリッジ装着部110に装着されたインクカートリッジ30のインク供給部34と接続される。これにより、接続部107は、インクカートリッジ30におけるインクが貯留される貯留室57と連通される。その結果、インクカートリッジ30に貯留されたインクが、接続部107を介して貯留室160へ流通可能となる。つまり、貯留室160は、接続部107に接続されたインク供給部34から供給されたインクを貯留する。接続部107及び貯留室160の構成の詳細については、後述される。
[接続部107]
接続部107は、各タンク103に設けられている。各接続部107の構成は共通である。よって、以下では、4つの接続部107のうち1つの接続部107の構成が説明され、残り3つの接続部107の構成の説明は省略される。図4(A)に示されるように、接続部107は、中空のインクニードル102と、ガイド部105とを備えている。
図4(A)に示されるように、インクニードル102は、管状の樹脂からなり、カートリッジケース101の奥壁143の下部に位置している。インクニードル102は、カートリッジケース101の奥壁143において、カートリッジ装着部110に装着されたインクカートリッジ30のインク供給部34に対応する位置に配置されている。インクニードル102は、カートリッジケース101の奥壁143から前方へ突出している。
ガイド部105は、インクニードル102の周囲に配置されており、円筒形状である。ガイド部105は、カートリッジケース101の奥壁143から前方へ突出し、その突出端(前端)が開放されている。インクニードル102は、ガイド部105の中心に配置されている。ガイド部105は、インクカートリッジのインク供給部34が内方に進入する形状である。
接続部107は、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着されていない状態において、インクカートリッジ30のインク供給部34と非接続である。一方、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ挿入される過程において、つまりインクカートリッジ30が装着位置(図6に示される位置)へ移動する過程において、インクカートリッジ30のインク供給部34がガイド部105に進入する。さらにインクカートリッジ30がカートリッジ装着部110の奥へ向けて挿入されると、図6に示されるように、インクニードル102が、前後方向8に沿って、インク供給部34に形成されたインク供給口71(液体供給口の一例)に挿入される。これにより、接続部107とインク供給部34とは接続される。そして、インクカートリッジ30の内部に形成された貯留室33に貯留されたインクは、インク供給部34の内部に形成されたインクバルブ室35及びインクニードル102の内部空間を通じてタンク103に流出される。なお、インクニードル102の先端は、平坦であってもよく、尖っていてもよい。
インクニードル102の内部空間117には、バルブ114及びコイルバネ115が収容されている。バルブ114は、前後方向8に沿って移動することにより、インクニードル102の突出先端部に形成された開口116を開閉する。つまり、バルブ114は、インクニードル102の内部空間117を開閉する。コイルバネ115はバルブ114を前方へ付勢している。したがって、外力が付与されていない状態(インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着されていない状態)において、バルブ114は開口116を閉じている。また、外力が付与されていない状態において、コイルバネ115に付勢されたバルブ114の前端部は、開口116よりも前方へ突出している。接続部107とインク供給部34とが接続される過程において、バルブ114が開口116を開く。バルブ114が開口116を開く動作については、後述される。
[貯留室160の概略]
本実施形態において、複合機10は、各タンク103B、103M、103C、103Yに対応する4つの貯留室160B、160M、160C、160Yを備えている。
以下の説明において、4つの貯留室を総称して貯留室160と記す。また、タンク103Bが備えている貯留室、つまりブラックのインクが貯留される貯留室を貯留室160Bと記し、タンク103Mが備えている貯留室、つまりマゼンタのインクが貯留される貯留室を貯留室160Mと記し、タンク103Cが備えている貯留室、つまりシアンのインクが貯留される貯留室を貯留室160Cと記し、タンク103Yが備えている貯留室、つまりイエローのインクが貯留される貯留室を貯留室160Yと記す。
図3に示されるように、貯留室160は、記録ヘッド21のノズル29(図2参照)よりも前方に位置している。当該前方への向きは、第1向きの一例である。また、貯留室160は、搬送路17よりも右方に位置している。
3つの貯留室160M、160C、160Yの構成は、概ね共通する。一方、貯留室160Bの構成は、3つの貯留室160M、160C、160Yとは異なる。よって、最初に、3つの貯留室160M、160C、160Yの構成が説明され、次に、貯留室160Bの構成が説明される。
なお、本実施形態では、貯留室160M、160C、160Yの構成は概ね共通しており、貯留室160Bの構成は貯留室160M、160C、160Yと異なっているが、各貯留室160Bの構成の相違は前述したような相違に限らない。例えば、貯留室160M、160C、160Yの構成が、貯留室160Bの構成と同じであってもよい。また、例えば、貯留室160Bの構成が、貯留室160M、160C、160Yの構成と同じであってもよい。また、例えば、貯留室160Mの構成が貯留室160Bの構成と同じである一方、貯留室160C、160Yの構成が貯留室160Bの構成と異なっていてもよい。
[貯留室160M、160C、160Y]
貯留室160M、160C、160Yの構成は共通するため、以下では、3つの貯留室160M、160C、160Yのうちの1つの貯留室160Yの構成が説明され、残り2つの貯留室160M、160Cの構成は必要に応じて説明される。
図5〜図7に示されるように、貯留室160Yは、バッファ空間180と、第1空間181と、第2空間182とで構成されている。
バッファ空間180は、第1上壁161Aの下面、第1前壁162Aの後面、第1下壁163Aの上面、後壁164の前面、側壁165の左面、及び側壁166の右面によって区画されている。
第1空間181は、第2上壁161Bの下面、第3前壁162Cの後面、第2下壁163Bの上面、後壁164の前面、側壁165の左面、及び側壁166の右面によって区画されている。
第2空間182は、第2前壁162Bの後面、後壁164の前面、側壁165の左面、及び側壁166の右面によって区画されている。
図7に示されるように、側壁165の左面の下部(第1空間181の下部の右端を区画している部分)は、側壁165の左面の下部以外(第1空間181の下部以外の右端、第2空間182の右端、及びバッファ空間180の右端を区画している部分)よりも右方に位置している。つまり、貯留室160Yの第1空間181の右端の位置は、貯留室160Yのバッファ空間180及び第2空間182の右端の位置よりも右方である。
なお、隣り合う2つの貯留室160のうちの左側に位置する貯留室(例えば貯留室160Y)の右端を区画する側壁165と、隣り合う2つの貯留室160のうちの右側に位置する貯留室(例えば貯留室160Yの右隣りに位置する貯留室160C)の左端を区画する側壁166とは、それぞれが独立した壁であってもよいし、一体化されていてもよいし、一部のみが一体化されていてもよい。本実施形態では、貯留室160Yの右端を区画する側壁165と、貯留室160Cの左端を区画する側壁166とは、タンク103の下部においてのみ一体化されており、タンク103の下部以外においてそれぞれ独立している。
バッファ空間180は、第2空間182よりも上方に位置する。第1空間181は、第2空間182よりも下方に位置する。第2空間182の上端は、バッファ空間180と連通している。第2空間182の下端は、第1空間181と連通している。つまり、第2空間182は、バッファ空間180と第1空間181とを繋いでいる。
第2空間182の上端は、バッファ空間180の右端部と連通している。第2空間182の下端は、第1空間181の右端部と連通している。
図6に示されるように、第2空間182の上端は、バッファ空間180の後端部と連通している。第2空間182の下端は、第1空間181の後端部と連通している。
規定された最大量のインクが貯留室160Yに貯留されている状態において、インクの液面の上下方向7の位置は、位置P1である。本実施形態において、位置P1は第2空間182内の位置であるが、位置P1は第2空間182以外(例えばバッファ空間180内)の位置であってもよい。当該状態において、貯留室160Yは、液体貯留空間と大気連通空間とで構成される。液体貯留空間は、貯留室160Yにおける位置P1よりも下方の部分である。大気連通空間は、貯留室160Yにおける位置P1よりも上方の部分である。
第1空間181の上方であって第2空間182の前方には、凸部120が形成されている。凸部120は、左右方向9を向く側壁が透光部材によって形成されている。凸部120の内部空間は、第1空間181及び第2空間182と連続している。凸部120の内部空間は、貯留室160Yの一部を構成している。凸部120の内部空間には、後述する回動部材50のアーム53及び被検知部54が位置する。なお、凸部120は、第1空間181または第2空間182の一方のみと連続していてもよい。
第3前壁162Cに、連通口184(液体流入口の一例)が形成されている。連通口184は、第1空間181と連通している。第1空間181は、連通口184を介して接続部107のインクニードル102の内部空間と連通している。これにより、インクニードル102を通じてインクカートリッジ30Yから流出したインクが貯留室160Yに流入して貯留室160Yに貯留される。
連通口184と同じ高さが液面となる量のインクが貯留室160Yに貯留されている状態において、バッファ空間180及び第2空間182は、当該液面よりも上方に位置する。本実施形態において、連通口184と同じ高さが液面となるとは、インクニードル102の軸中心(換言すると連通口184の中心)と同じ高さが液面となるということであり、インク供給口71の中心と同じ高さが液面となるということである。具体的には、図6に一点鎖線で示される位置P2が液面となるということである。
なお、連通口184と同じ高さが液面となることは、位置P2が液面となるということに限らない。例えば、連通口184と同じ高さが液面となるとは、連通口184の上端や下端と同じ高さが液面となるということであってもよい。
また、連通口184の上端と同じ高さが液面となる量のインクが貯留室160Yに貯留されている状態において、バッファ空間180は、当該液面よりも上方に位置する。ここで、当該液面の上下方向7の位置は、図6に一点鎖線で示される位置P3である。
図7に示されるように、貯留室160Yは、連通口128(液体流出口の一例)を介して、インク流路126と連通している。本実施形態では、第1空間181が連通口128を介してインク流路126と連通している。連通口128は、側壁165の下端部に形成されている。また、インク流路126は、側壁165に囲まれた空間である。
ここで、側壁165の下部(第1空間181の下部の右端を区画している部分)は、側壁165の下部以外(第1空間181の下部以外の右端、第2空間182の右端、及びバッファ空間180の右端を区画している部分)よりも右方に位置している。つまり、連通口128は、第1空間181における第2空間182よりも右方の部分の区画する部分である側壁165の下部に形成されている。
また、連通口128は、連通口184よりも下方に形成されている。
また、バッファ空間180は、連通口128よりも左方に位置する。
また、図6に示されるように、連通口128は、第1空間181の前端部と連通している。つまり、連通口128は、側壁166の前端部に形成されている。
また、連通口128は、バッファ空間180よりも前方に位置している。つまり、バッファ空間180及び第2空間182を含む大気連通空間は、前後方向8において、連通口128よりも後方の位置まで拡がった空間である。
また、図8に示されるように、貯留室160Yの連通口128Yは、貯留室160Yの連通口184Yよりも右方に位置している。同様に、貯留室160Mの連通口128Mは、貯留室160Mの連通口184Mよりも右方に位置しており、貯留室160Cの連通口128Cは、貯留室160Cの連通口184Cよりも右方に位置しており、貯留室160Bの連通口128Bは、貯留室160Bの連通口184Bよりも右方に位置している。
また、貯留室160Yの連通口128Yは、貯留室160Yと連通しているインクカートリッジ30Yの貯留室57Yよりも右方に位置している。同様に、貯留室160Mの連通口128Mは、貯留室160Mと連通しているインクカートリッジ30Mの貯留室57Mよりも右方に位置しており、貯留室160Cの連通口128Cは、貯留室160Cと連通しているインクカートリッジ30Cの貯留室57Cよりも右方に位置している。なお、本実施形態において、貯留室160Bの連通口128Bは、貯留室160Bと連通しているインクカートリッジ30Bの貯留室57Bの右端よりも左方に位置している。つまり、連通口128Bは、貯留室57Bよりも右方に位置していない。しかし、連通口128Bは、貯留室57Bよりも右方に位置していてもよい。
また、4つのタンク103のうちの所定のタンク103の左隣りに配置されたタンク103の連通口128は、当該所定のタンク103に対応するインクカートリッジ30の左端よりも右方に位置している
詳述すると、タンク103Bの左隣りに配置されたタンク103Mの連通口128Mは、タンク103Bに対応するインクカートリッジ30Bの左端よりも右方に位置している。また、タンク103Mの左隣りに配置されたタンク103Cの連通口128Cは、タンク103Mに対応するインクカートリッジ30Mの左端よりも右方に位置している。また、タンク103Cの左隣りに配置されたタンク103Yの連通口128Yは、タンク103Cに対応するインクカートリッジ30Cの左端よりも右方に位置している。
図8に示されるように、インク流路126は連通口128から後方へ延びる。図5に示されるように、後方へ延びたインク流路126は、タンク103の後端部から上方へ延びてインク流出ポート127と連続している。インク流出ポート127には、インクチューブ20が接続されている。これにより、貯留室160Yに貯留されたインクが、連通口128から流出して、インク流路126及びインクチューブ20を通じて記録ヘッド21へ供給される。
バッファ空間180は、タンク103の上部に設けられた大気連通ポート124(図4参照)と連通している。バッファ空間180と大気連通ポート124とは、第1前壁162Aに形成された貫通孔119(図6参照)を通じて連通している。貫通孔119は半透膜118によって封止されている。大気連通ポート124、貫通孔119、半透膜118、及び大気連通ポート124と貫通孔119とを繋ぐ大気流路147(図5参照)は、第2大気連通部の一例である。大気連通ポート124は、外部へ開口している。これにより、貯留室160Yは、大気開放されている。つまり、大気連通ポート124は、貯留室160Yを大気に連通させる。なお、大気連通ポート124は、後述するインクカートリッジ30に設けられた大気連通口96とは異なる経路で、貯留室160Yを大気に連通させている。
本実施形態では、大気流路147は、2つ設けられている。大気流路147の一方は、貯留室160Bの大気連通ポート124と貫通孔119とを繋いでいる。大気流路147の他方は、貯留室160M、160C、160Yの各大気連通ポート124と貫通孔119とを繋いでいる。なお、大気流路147の構成は、前述した構成に限らない。例えば、大気流路147は1つのみ設けられており、この1つの大気流路147が、貯留室160B、160M、160C、160Yの各大気連通ポート124と貫通孔119とを繋いでいてもよい。
貫通孔119及び大気連通ポート124(図4参照)は、連通口128(図6参照)よりも後方に位置している。つまり、大気連通ポート124は、連通口128よりも後方の位置で、バッファ空間180を含む大気連通空間を大気に連通させている。
貯留室160における位置P2よりも上部分(以下、所定空間と記す。)の容積は、連通口128と記録ヘッド21のノズル29との間におけるインクの流通空間の容積よりも大きい。ここで、連通口128とノズル29との間におけるインクの流通空間とは、インク流路126の容積、インクチューブ20の内部空間の容積、及び記録ヘッド21の内部においてインクが貯留される空間の容積の合計である。
また、所定空間の容積は、貯留室160Yにおける側壁165の左面の下部から左方に表面張力長L1(図7参照)だけ離れた位置P4(図7参照)よりも右方の部分(図7にハッチングで示された部分)の容積よりも大きい。表面張力長L1は、側壁165の左面が貯留室160Yの上端を区画する面となるように複合機10が設置された左面下姿勢において、貯留室160Yに貯留されたインクの液面が表面張力によって側壁165の左面の下部に当接可能な所定方向に沿った最大距離である。ここで、左面下姿勢とは、使用姿勢のときの筐体14の左面が下面となるように複合機10が設置されたときの複合機10の姿勢である。また、所定方向とは、左面下姿勢の複合機10の上下方向、つまり使用姿勢の複合機10の左右方向9である。
また、所定空間の容積は、規定された最大量のインクが貯留室160Yに貯留された状態における当該インクの容積よりも小さい。詳述すると、貯留室160Yにおける位置P1(図6参照)よりも下方の部分の容積は、所定空間の容積よりも大きい。ここで、位置P1は、上述したように、複合機10が使用姿勢の状態において、規定された最大量のインクが貯留室160Yに貯留されたときのインクの液面の上下方向7の位置である。
バッファ空間180、第1空間181、及び第2空間182の水平方向に沿った断面積は、概ね矩形である。
図6に示されるように、バッファ空間180及び第1空間181は、第2空間182より前方に亘って拡がっている。また、図7に示されるように、第2空間182を区画する部分における側壁165、166の左右方向9の間隔L2は、バッファ空間180を区画する部分における側壁165、166の左右方向9の間隔L4よりも短く、第1空間181を区画する部分における側壁165、166の左右方向9の間隔L3よりも短い。よって、バッファ空間180の水平断面積は、第2空間182の水平断面積よりも大きい。また、第1空間181の水平断面積は、第2空間182の水平断面積よりも大きい。
[貯留室160B]
以下では、貯留室160Bの構成が説明される。なお、貯留室160Bの構成に説明において、貯留室160M、160C、160Yと共通する構成については、その詳細な説明が省略される。
図5及び図7に示されるように、貯留室160Bには、内壁167が形成されている。内壁167は、上下方向7及び左右方向9に拡がる壁である。内壁167は、左右方向9において、側壁165、166の間に形成されている。内壁167の前端は、前壁162と繋がっている。内壁167の後端は、後壁164と繋がっている。換言すると、内壁167の後端面には、フィルムである後壁164が溶着されている。なお、本実施形態において、内壁167は、上下方向7に沿って真っ直ぐ延びているが、真っ直ぐに延びている必要はない。例えば、内壁167は、上下方向7に対して傾斜しつつ延びていてもよい。
貯留室160Bは、貯留室160M、160C、160Yを構成する3つの空間(バッファ空間180、第1空間181、及び第2空間182)に加えて、第3空間183を備えている。つまり、貯留室160Bは、バッファ空間180と、第1空間181と、第2空間182と、第3空間183とで構成されている。
第2空間182は、第2前壁162Bの後面、後壁164の前面、側壁165の左面、及び内壁167の右面によって区画されている。
第3空間183は、第2前壁162Bの後面、後壁164の前面、内壁167の左面、及び側壁166の右面によって区画されている。第3空間183は、バッファ空間180よりも下方に位置し且つ第1空間181よりも上方に位置する。第3空間183の上端は、バッファ空間180と連通している。第3空間183の下端は、第1空間181と連通している。
第3空間183の上端は、バッファ空間180の後端部と連通している。第3空間183の下端は、第1空間181の後端部と連通している。図7に示されるように、第3空間183の上端は、バッファ空間180の左端部と連通している。第3空間183の下端は、第1空間181の左端部と連通している。
第3空間183は、第2空間182よりも左方に位置する。第3空間183は、内壁167によって第2空間182と隔てられている。つまり、第3空間183は、第2空間182と連通していない。以上より、第3空間183は、第2空間182よりも左方においてバッファ空間180と第1空間181とを繋いでいる。
内壁167は、貯留室160Bを左右方向9に分けている。貯留室160Bにおける内壁167の右方には、後述する回動部材50が配置されている。貯留室160Bにおける内壁167の左方において、貯留室160Bは、連通口184を通じて接続部107と連通している。つまり、内壁167は、貯留室160Bにおける接続部107と回動部材50との間の空間を区画している。
内壁167は、貯留室160Bの上端部から下端部に亘って形成されている。つまり、内壁167は、バッファ空間180から第1空間181に亘って形成されている。これにより、バッファ空間180は、左右方向9に2つの空間に分けられている。また、第1空間181は、左右方向9に2つの空間に分けられている。内壁167の上端部には、隙間167Aが形成されている。これにより、2つに分けられたバッファ空間180は、互いに隙間167Aを介して連通している。また、内壁167の下端部には、隙間167Bが形成されている。これにより、2つに分けられた第1空間181は、互いに隙間167Bを介して連通している。
なお、内壁167は、連通口184及び後述する回動部材50の被検知部54よりも上方の位置から、連通口184及び被検知部54の下方の位置に亘って形成されていればよい。つまり、内壁167は、必ずしも貯留室160Bの上端部から下端部に亘って形成されている必要はない。例えば、内壁167の上端は、図7に示されているよりも下方に位置していてもよい。
図7に示されるように、連通口128は、貯留室160Bにおける内壁167の右方に形成されている。また、連通口128は、隙間167Bよりも下方に形成されている。なお、連通口128は、貯留室160Bにおける内壁167の左方に形成されていてもよい。また、連通口128は、上下方向7における隙間167Bと同じ位置に形成されていてもよい。また、連通口128は、隙間167Bよりも上方に形成されていてもよい。
第3空間183の水平方向に沿った断面積は、概ね矩形である。バッファ空間180及び第1空間181は、第2空間182及び第3空間183より前方へ延びている。また、図7に示されるように、第2空間182を区画する部分における側壁165及び内壁167の左右方向9の間隔L5と、第3空間183を区画する部分における内壁167及び側壁166の左右方向9の間隔L6との合計は、バッファ空間180及び第1空間181を区画する部分における側壁165、166の左右方向9の間隔L7よりも短い。よって、バッファ空間180の水平断面積は、第2空間182の水平断面積と、第3空間183の水平断面積との合計よりも大きい。また、第1空間181の水平断面積は、第2空間182の水平断面積と、第3空間183の水平断面積との合計よりも大きい。
[回動部材50]
図6に示されるように、回動部材50が、各タンク103の貯留室160内に配置されている。回動部材50は、貯留室160内に配置された支持部材185によって、矢印58、59の向きに回動可能に支持されている。なお、回動部材50は、支持部材185以外に支持されていてもよい。例えば、回動部材50は、貯留室160を区画するカートリッジケース101の壁によって支持されていてもよい。この場合、支持部材185は、貯留室160内に設けられない。
図8及び図9に示されるように、支持部材185は、右壁186及び左壁187と、後壁188と、底壁189とを備えている。右壁186及び左壁187は、左右方向9において対向配置されている。右壁186及び左壁187は、上下方向7及び前後方向8に拡がっている。後壁188は、右壁186の後端と左壁187の後端とを繋いでいる。底壁189は、右壁186の下端と左壁187の下端とを繋いでいる。右壁186の後端には、後方へ突出した突部186Aが形成されている。図5に示されるように、突部186Aが、タンク103の貯留室160を区画する第2下壁163Bに形成された一対の突起によって構成される凹部190に嵌合している。これにより、支持部材185は、タンク103の貯留室160内に固定されている。
図7及び図8に示されるように、右壁186は、連通口128よりも左方に位置している。また、図7に示されるように、右壁186は、左右方向9において第2空間182の右端と左端との間に位置している。つまり、左右方向9において、右壁186は第2空間182と重なっている。なお、左右方向9において、右壁186の一部が第2空間182と重なっていてもよいし、左右方向9において、右壁186は第2空間182と重なっていなくてもよい。
図8に示されるように、右壁186は、連通口128よりも後方に位置している。また、図7に示されるように、右壁186は、連通口128よりも上方に位置している。つまり、右壁186は、上下方向7及び前後方向8において連通口128と重複していない。
図6に示されるように、右壁186の上端は、第2上壁161Bよりも下方に位置する。つまり、右壁186の上端と、第1空間181の上端を区画する第2上壁161Bの下面との間には、隙間が形成されている。
上述したように、複合機10が使用姿勢の状態において、規定された最大量のインクが貯留室160に貯留されている場合、インクの液面の上下方向7の位置は位置P1である(図6参照)。この状態において、複合機10が使用姿勢から左面下姿勢(使用姿勢のときの筐体14の左面が下面となるように複合機10が設置されたときの複合機10の姿勢)へ姿勢変化すると、各タンク103におけるインクの液面は、図8に示される位置P5となる。このとき、図8に示されるように、右壁186の左右方向9の位置は、位置P5と同一である。なお、右壁186の左右方向9の位置は、位置P5と異なる位置であってもよいが、位置P5の近傍であることが好ましい。
図9に示されるように、回動部材50は、支持部材185の右壁186及び左壁187の間に配置されている。図6及び図9に示されるように、回動部材50は、フロート51と、軸52と、アーム53と、被検知部54とを備えている。
フロート51は、回動部材50の下部に位置する。フロート51は、貯留室160に貯留されたインクよりも比重が小さい材料によって形成されている。軸52は、フロート51の右面及び左面から左右方向9に沿って突出している。軸52は、支持部材185の右壁186及び左壁187に形成された孔191に挿入されている。これにより、回動部材50は、軸52を中心として回動可能に支持部材185によって支持される。軸52は、連通口184よりも下方に位置している。フロート51及び軸52は、第1空間181に位置する。
アーム53は、フロート51から略上方へ突出している。被検知部54は、アーム53の突出先端部に形成されている。つまり、被検知部54は、回動部材50の回動先端部に形成されている。アーム53の一部及び被検知部54は、凸部120の内部空間120Aに位置する。被検知部54は、連通口184よりも上方に位置する。被検知部54は、上下方向7及び前後方向8に延びた板状に構成されている。被検知部54は、後述する液面センサ55の発光部55Aから出力された光を遮光する材料によって形成されている。
貯留室160に貯留されたインクの液面が上下方向7において位置P2より上方の位置であるとき、換言すると、インクカートリッジ30の貯留室33に貯留されたインクの液面が上下方向7においてインク供給部34の位置P2より上方であるとき、回動部材50は、フロート51に働く浮力によって、矢印58の向きに回動する。これにより、回動部材50は、図6に実線で示される検知位置に位置する。
一方、貯留室160及びインクバルブ室35に貯留されたインクが消費されることでインクの液面が下がり、上下方向7において位置P2となると、回動部材50は、液面に追随して矢印59の向きに回動する。これにより、回動部材50は、図6に破線で示される非検知位置に位置する。つまり、回動部材50は、貯留室160に貯留されたインクの液面の高さが上下方向7において連通口184と同じ位置になったことを条件として状態変化する。
なお、本実施形態では、インクの液面が上下方向7において位置P2となると、回動部材50が検知位置から非検知位置に回動するが、回動部材50は、インクの液面が位置P2よりも下方である所定位置となったときに回動するように構成されていてもよい。
[液面センサ55]
液面センサ55(図6参照)は、被検知部54を備えた回動部材50の状態変化を検知するものである。本実施形態において、液面センサ55は、基板60に実装された発光部及び受光部を備える。発光部及び受光部は、左右方向9に間隔を空けて、タンク103の凸部120を挟むように配置されている。発光部は、凸部120の右方または左方の一方に配置されており、受光部は、凸部120の右方または左方の他方に配置されている。発光部から出力される光の光路は、左右方向9に一致する。発光部と受光部との間には、検知位置の回動部材50の被検知部54が位置する。
液面センサ55は、発光部から出力された光が受光部で受光されたか否かに応じて異なる検知信号を出力する。例えば、液面センサ55は、発光部から出力された光が受光部で受光できない(すなわち、受光強度が所定の強度未満である)ことを条件として、ローレベル信号(「信号レベルが閾値レベル未満の信号」を指す。)を制御部130(図13参照)へ出力する。一方、液面センサ55は、発光部から出力された光が受光部で受光できた(すなわち、受光強度が所定の強度以上である)ことを条件として、ハイレベル信号(「信号レベルが閾値レベル以上の信号」を指す。)を制御部130へ出力する。
検知位置の被検知部54は、発光部と受光部との間に位置する。よって、タンク103の貯留室160に貯留されたインクの液面(換言すると、インクカートリッジ30の貯留室33に貯留されたインクの液面)が上下方向7において位置P2より上方の位置であるとき、発光部から出力された光が受光部で受光できないため、液面センサ55は、ローレベル信号を制御部130へ出力する。一方、非検知位置の被検知部54は、発光部と受光部との間から退避した位置にある。よって、貯留室160に貯留されたインクの液面(換言すると、インクカートリッジ30の貯留室33に貯留されたインクの液面)が上下方向7において位置P2以下の位置であるとき、発光部から出力された光が受光部で受光できるため、液面センサ55は、ハイレベル信号を制御部130へ出力する。
[インクカートリッジ30]
図6及び図10に示されるインクカートリッジ30はインクが貯留される容器である。図6及び図10に示されているインクカートリッジ30の姿勢は、使用姿勢である。
図10に示されるインクカートリッジ30は、イエローのインクが貯留されたものである。シアン、マゼンタのインクが貯留されたインクカートリッジ30は、後述する切欠き66の有無や位置を除いて、イエローのインクが貯留されたインクカートリッジ30と同構成である。ブラックのインクが貯留されたインクカートリッジ30は、イエロー、シアン、マゼンタのインクが貯留されたインクカートリッジ30よりも左右方向9の長さが短いこと、及び切欠き66の有無や位置を除いて、イエロー、シアン、マゼンタのインクが貯留されたインクカートリッジ30と同構成である。よって、以下では、イエローのインクが貯留されたインクカートリッジ30の構成が説明され、シアン、マゼンタ、ブラックのインクが貯留されたインクカートリッジ30の構成の説明は省略される。
図6及び図10に示されるように、インクカートリッジ30は、略直方体形状の筐体31を有する。筐体31は、後壁40と、段差壁49と、段差壁95と、前壁41と、上壁39と、サブ上壁91と、下壁42と、サブ下壁48と、右側壁37と、左側壁38とで構成されている。
筐体31は、全体として、左右方向9に沿った寸法が細く、上下方向7及び前後方向8それぞれに沿った寸法が、左右方向9に沿った寸法よりも大きい扁平形状である。筐体31において、少なくとも前壁41が、貯留室32及び貯留室33に貯留されたインクの液面を外部から視認可能な透光性を有するものである。
サブ下壁48は、下壁42より上方に位置しており、後壁40の下端と連続して前方へ延びている。本実施形態において、サブ下壁48の後端はインク供給部34の後端よりも後方に位置し、サブ下壁48の前端は、インク供給部34の後端より前方に位置する。下壁42とサブ下壁48とは段差壁49によって連続している。インク供給部34は、サブ下壁48の下方、且つ下壁42の上方において、段差壁49から後方へ延びている。なお、サブ下壁48の後端の位置は任意であり、例えば、インク供給部34の後端よりも前方に位置していてもよい。
上壁39の外面には、上方に突出する凸部43が設けられている。凸部43は、前後方向8に沿って延びている。凸部43において後方を向く面がロック面151である。ロック面151は、上壁39よりも上方に位置している。ロック面151は、カートリッジ装着部110にインクカートリッジ30が装着された状態において、ロックシャフト145と前方へ向かって接触し得る面である。ロック面151がロックシャフト145と前方へ向かって接触することにより、インクカートリッジ30がコイルバネ78、98の付勢力に抗してカートリッジ装着部110に保持される。
凸部43におけるロック面151の後方に、傾斜面155が形成されている。インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着される過程において、ロックシャフト145が傾斜面155に沿って案内される。これにより、ロックシャフト145は、ロック面151と接触する位置へ導かれる。
上壁39におけるロック面151の前方に、操作部90が形成されている。インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着された状態において、操作部90の操作面92が下方へ押されると、インクカートリッジ30が回動することでロック面151が下方へ移動する。これにより、ロック面151がロックシャフト145よりも下方に位置する。その結果、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110から脱抜可能となる。
上壁39の外面には、上方に突出する遮光板67が形成されている。遮光板67は、前後方向8に延びている。遮光板67は、凸部43よりも後方に位置している。
遮光板67は、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着された状態において、装着センサ113の発光部と受光部との間に位置する。これにより、遮光板67は、左右方向9に進行する装着センサ113の光を遮断する。より詳細には、装着センサ113の発光部から出力された光が受光部に到達するまでの間に遮光板67に当たることによって、受光部に到達する光の強度が所定の強度未満、例えば、ゼロとなる。遮光板67は、光が発光部から受光部に進むのを完全に遮断してもよいし、光を部分的に減衰させてもよいし、光の進行方向を曲げてもよいし、光を全反射させてもよい。
本実施形態では、遮光板67には切欠き66が形成されている。切欠き66は、遮光板67の上端から下方へ凹む空間であり、前後方向8に拡がっている。切欠き66が装着センサ113に位置することにより、装着センサ113の発光部から出力された光は、受光部に到達するまでに遮断されない。切欠き66の有無によって、インクカートリッジ30の種別、すなわちインクカートリッジ30が貯留するインクの種類や初期量などが判別可能となる。他方、遮光板67に切欠き66がなければ、遮光板67は、装着状態のインクカートリッジ30において、装着センサ113の発光部と対向する。
上壁39の外面であって、前後方向8における遮光板67と凸部43との間には、IC基板64が設けられている。IC基板64は、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着された状態において接点106と導通する。
IC基板64には、シリコンなどで形成された基板に、IC(各図には現れていない)と、4つの電極65が搭載されたものである。4つの電極65は、左右方向9に沿って並んでいる。ICは、半導体集積回路であり、インクカートリッジ30に関する情報、例えば、ロット番号や製造年月日、インク色などの情報を示すデータが読み出し可能に格納されている。また、IC基板64は、可橈性を有するフレキシブル基板にIC及び電極が設けられて構成されてもよい。
各電極65はICと電気的に接続されている。各電極65は、それぞれが前後方向8に沿って延出されており、4つの電極65は、左右方向9に離間されて配置されている。各電極65は、IC基板64の上面に電気的にアクセス可能に露出されている。
段差壁95は、上壁39の外面のうち後端にあるサブ上壁91の前端から上方へ延びている。段差壁95には、貯留室32を大気に連通させる大気連通口96が形成されている。つまり、大気連通口96は、筐体31の上下方向7の寸法の中心より上方に配置されている。大気連通口96は、段差壁95に形成された略円形の開口であって、カートリッジ装着部110のロッド125の外径より大きな内径を有している。
図6に示されるように、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着される過程において、ロッド125が大気連通口96に進入する。大気連通口96に進入したロッド125は、大気連通口96を封止するバルブ97をコイルバネ98の付勢力に抗して後方へ移動させる。バルブ97が後方へ移動して大気連通口96から離れることにより、貯留室32が大気開放される。なお、大気連通口96を封止する部材は、バルブ97に限定されない。例えば、段差壁95から剥離可能なシールによって大気連通口96が封止されてもよい。
図6に示されるように、筐体31の内部に、インクが貯留される貯留室57(第1貯留室の一例)と、大気が流通される大気流路61及びバッファ空間62とが形成されている。貯留室57は、貯留室32(上空間の一例)、貯留室33、及びインクバルブ室35で構成されている。貯留室33及びインクバルブ室35は、下空間の一例である。
筐体31は、その内部に、隔壁44と下壁45(壁部の一例)とを備える。隔壁44及び下壁45は、それぞれが前後方向8及び左右方向9に拡がる壁である。隔壁44と下壁45とは、上下方向7において互いに対向している。
貯留室32は、隔壁44の下面により上側が区画され、下壁45及びサブ下壁48の上面により下側が区画される。貯留室32は、後壁40及び段差壁49の内面(区画面の一例)により後側が区画され、前壁41の内面により前側が区画される。貯留室32は、側壁37,38の各内面により左右両側がそれぞれ区画される。つまり、貯留室32は、隔壁44の下面、下壁45及びサブ下壁48の上面、後壁40及び段差壁49の内面、前壁41の内面、及び側壁37,38の各内面によって区画された空間である。
隔壁44は、貯留室32と大気流路61とを隔てている。隔壁44の前端部には、貫通孔46が形成されている。貯留室32と大気流路61とは、貫通孔46によって連通している。
下壁45は、段差壁49の内面から前方へ延びている。下壁45は、貯留室57を、下壁45よりも上方の貯留室32と、下壁45よりも下方の貯留室33とに分けている。下壁45の前端部には、隙間45Aが形成されている(図13及び図14参照)。貯留室32と貯留室33とは、隙間45Aによって連通している。
図13及び図14(A)に示されるように、下壁45の左端は、左側壁38と繋がっている。つまり、下壁45は、左側壁38の内面、つまり貯留室32を区画する面のうち右方を向く面から右方に延びている。隙間45Aは、下壁45の右端部に形成されている。図13に示されるように、隙間45Aの左端は、貫通孔46の左端よりも右方に位置している。なお、貫通孔46は、隙間45Aよりも左方に位置していてもよい。具体的には、貫通孔46の右端が、隙間45Aの左端よりも左方に位置していてもよい。
図6に示されるように、下壁45は、インク供給口71よりも上方に位置する。
貯留室33は、筐体31の内部空間において、使用姿勢における貯留室32の下方に位置してインクを貯留する。貯留室33がインクを貯留可能な容積は、貯留室32がインクを貯留可能な容積より小さい。
貯留室33は、下壁45の下面により上側が区画され、下壁42の内面により下側が区画される。貯留室33は、前壁41の内面により前側が区画される。貯留室33は、側壁37、38の各内面により左右両側が区画される。貯留室33とインクバルブ室35との間には隔壁47が形成されている。隔壁47の前面により、貯留室33の後側が区画されている。つまり、貯留室33は、下壁45の下面、下壁42の内面、前壁41の内面、側壁37、38の各内面、及び隔壁47の前面により区画された空間である。貯留室33は、隔壁47に形成された貫通孔99によって、インクバルブ室35と連通している。
大気流路61の一端は、貫通孔46を通じて貯留室32と連通している。大気流路61の他端は、大気連通口96を通じて外部と連通している。
大気流路61の他端部には、大気バルブ室36が形成されている。大気バルブ室36には、バルブ97及びコイルバネ98が収容されている。大気バルブ室36は、大気連通口96によって外部と連通している。バルブ97は、大気連通口96を封止する閉位置と、大気連通口96から離れた開位置に移動可能である。コイルバネ98は、前後方向8に沿って伸縮可能に配置されており、バルブ97を大気連通口96へ当接する方向、すなわち後方へ付勢している。コイルバネ98のバネ定数は、インク供給部34のコイルバネ78のバネ定数よりも小さい。
大気バルブ室36を区画する壁93には貫通孔94が形成されている。大気バルブ室36は、貫通孔94を通じて大気流路61の一端側と連通している。貫通孔94は、半透膜80によって封止されている。
バッファ空間62は、大気流路61の一端と他端との間に形成されている。詳細には、バッファ空間62は、大気流路61における貫通孔94と貫通孔46との間に形成されている。バッファ空間62の一端は、大気流路61の一端側(貫通孔46を通じて貯留室32と連通している側)と連通している。バッファ空間62の他端は、大気流路61の他端側(貫通孔94を通じて大気バルブ室36と連通している側)と連通している。
以上より、貯留室32は、大気流路61及びバッファ空間62を通じて外部と連通している。大気連通口96、貫通孔46、貫通孔94、大気流路61、及びバッファ空間62は、第1大気連通部の一例である。
バッファ空間62における一端から他端への流通方向と直交する流路断面の面積は、大気流路61における当該流路断面の面積よりも大きい。
以下に詳述する。本実施形態において、大気流路61及びバッファ空間62は、貫通孔46から大気連通口96へ向かって概ね前後方向8に沿って延びている。つまり、大気流路61及びバッファ空間62における一端から他端への流通方向は、前後方向8である。よって、上記流路断面は、上下方向7及び左右方向9に拡がる面である。すなわち、上記流路断面は、鉛直断面積である。ここで、図6に示されるように、バッファ空間62の上下方向7の長さは、大気流路61の上下方向7の長さよりも長い。また、図示されていないが、バッファ空間62及び大気流路61は、共に、インクカートリッジ30の右側壁37によって右端を区画され、インクカートリッジ30の左側壁38によって左端を区画されている。よって、バッファ空間62の左右方向9の長さは、大気流路61の左右方向9の長さと同一である。以上より、バッファ空間62における鉛直断面積は、大気流路61における鉛直断面積よりも大きい。
本実施形態において、タンク103の貯留室160を大気開放している流路の流路抵抗は、インクカートリッジ30の貯留室57を大気開放している流路の流路抵抗よりも大きい。貯留室160を大気開放している流路は、大気連通ポート124と貫通孔119とを繋ぐ大気流路147である(図5参照)。貯留室57を大気開放している流路は、大気流路61及びバッファ空間62である。
例えば、流路抵抗は、流路の断面積が大きくすることで小さくされる。また、例えば、流路抵抗は、流路の長さを長くすることで大きくされる。また、例えば、流路抵抗は、半透膜の種類を変えることで大きくまたは小さくされる。また、例えば、流路抵抗は、流路に配置される半透膜の数を多くすることで大きくされる。
なお、タンク103の貯留室160を大気開放している流路の流路抵抗は、インクカートリッジ30の貯留室57を大気開放している流路の流路抵抗と同じであってもよいし、当該流路抵抗よりも小さくてもよい。
インク供給部34は、段差壁49から後方へ突出している。つまり、インク供給部34は、段差壁49に形成されている。インク供給部34は、円筒形状の外形をなしている。インク供給部34の内部空間が、インクバルブ室35である。インク供給部34の後端は、インク供給口71によってインクカートリッジ30の外部に開口している。インク供給部34の後端には、シール部材76が設けられている。インク供給部34の前端は、上述したように、貫通孔99によって貯留室33の下端と連通している。つまり、インク供給部34は、貯留室33の下端と連通している。以上より、インク供給口71は、インクバルブ室35を通じて貯留室33と連通している。
インクバルブ室35は、インク供給部34の内面によって区画されている。インク供給部34の内面の下端34Aは、貯留室57の底(最下端)を区画している。一方、タンク103の貯留室160の底(最下端)は、第2下壁163Bによって区画されている。そして、第2下壁163Bは、インク供給部34の内面の下端34Aよりも下方に位置する。
インクバルブ室35には、バルブ77及びコイルバネ78が収容されている。バルブ77は、前後方向8に沿って移動することにより、シール部材76の中央に貫通されたインク供給口71を開閉する。コイルバネ78はバルブ77を後方へ付勢している。したがって、外力が付与されていない状態において、バルブ77は、シール部材76のインク供給口71を閉じている。
シール部材76は、中央に貫通孔が形成された円盤形状の部材である。シール部材76は、例えば、ゴムやエラストマのような弾性材料から形成されている。シール部材76の中央が前後方向8に貫通されて筒状の内周面が形成され、その内周面によりインク供給口71が形成されている。インク供給口71の内径は、インクニードル102の外径より若干小さい。
バルブ77がインク供給口71を閉じており、且つバルブ114がインクニードル102の開口116を閉じている状態において、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着されると、当該装着の過程において、インク供給口71にインクニードル102が前後方向8に沿って進入する。つまり、接続部107とインク供給部34とが接続される。このとき、インクニードル102の外周面は、シール部材76を弾性変形しつつ、インク供給口71を画定する内周面に液密に接触する。インクニードル102の先端がシール部材76を通過してインクバルブ室35へ進入すると、バルブ77に当接する。さらにインクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ挿入されることにより、インクニードル102がバルブ77をコイルバネ78の付勢力に抗して後方へ移動させる。これにより、インク供給口71が開かれる。
また、インクニードル102の先端がバルブ77に当接する一方で、バルブ77は前方からバルブ114と当接してこれを押す。すると、バルブ114は、コイルバネ115の付勢力に抗して後方へ移動する。これにより、開口116が開かれる。その結果、貯留室32、33、及びインクバルブ室35に貯留されているインクが、インクニードル102の内部空間117を通じて、タンク103の貯留室160へ流通することが可能となる。ここで、貯留室32、33、及びインクバルブ室35と、貯留室160とは、いずれも大気に開放されている。よって、インクカートリッジ30の貯留室32、貯留室33、及びインクバルブ室35に貯留されたインクは、インク供給部34を通じて水頭差によって、タンク103の貯留室160へ供給される。
図11に示されるように、タンク103の貯留室160における大気連通空間(貯留室160Yにおける位置P1よりも上方の部分)のうち連通口128よりも後方の部分121(図11にハッチングで示される部分121)の容積は、インクカートリッジ30における貯留室33及びインクバルブ室35と、タンク103の貯留室160における液体貯留空間のうち連通口128よりも前方の部分とを合わせた部分122(図11にハッチングで示される部分122)の容積よりも大きい。当該後方への向きは、第2向きの一例である。なお、図11では、部分122の面積が、部分121の面積よりも大きいが、部分122の左右方向9の長さが部分121の左右方向9の長さよりも短いため、部分121の容積が部分122の容積よりも大きくなる。
上述したように、複合機10が使用姿勢の状態において、規定された最大量のインクがタンク103及びインクカートリッジ30に貯留されている場合、インクの液面の上下方向7の位置は位置P1である(図6参照)。この状態において、複合機10が使用姿勢から後面下姿勢(使用姿勢のときの筐体14の後面が下面となるように複合機10が設置されたときの複合機10の姿勢)へ姿勢変化すると、インクカートリッジ30内のインクの液面は、図14に示される位置P6となる。図14に示されるように、下壁45に形成された隙間45Aは、位置P6よりも後面下姿勢における上方(使用姿勢における前方)に位置する。つまり、隙間45Aは、後壁40の内面及び段差壁49の内面が上方を向くように複合機10が設置されたときに、貯留室57に貯留可能に規定された最大量のインクの液面よりも上方に位置する。
[制御部130]
以下、図12が参照されて、制御部130の概略構成が説明される。制御部130は、複合機10の全体動作を制御するものである。制御部130は、CPU131、ROM132、RAM133、EEPROM134、ASIC135、及びこれらを相互に接続する内部バス137を備えている。
ROM132には、CPU131が記録制御を含む各種動作を制御するためのプログラムなどが格納されている。RAM133は、CPU131が上記プログラムを実行する際に用いるデータや信号等を一時的に記録する記憶領域として使用される。EEPROM134には、電源オフ後も保持すべき設定やフラグ等が格納される。
ASIC135には、搬送用モータ171、給送用モータ172、及びキャリッジ駆動用モータ173が接続されている。ASIC135には、各モータを制御する駆動回路が組み込まれている。CPU131から所定のモータに応じた駆動回路に各モータを回転させるための駆動信号が入力されると、駆動信号に応じた駆動電流が駆動回路から対応するモータへ出力される。これにより、対応するモータが回転する。つまり、制御部130は、各モータ171、172、173を制御する。
また、ASIC135には、圧電素子56が接続されている。圧電素子56は、不図示のドライブ回路を介して制御部130により給電されることで動作する。制御部130は、圧電素子56への給電を制御し、複数のノズル29から選択的にインク滴を吐出させる。
制御部130は、用紙12に画像を記録する際、搬送用モータ171を制御することによって、搬送ローラ対25及び排出ローラ対27に所定改行分の用紙12の搬送及び停止を交互に繰り返す間欠搬送処理を実行させる。
制御部130は、間欠搬送処理において用紙12が停止している間に、吐出処理を実行する。吐出処理は、キャリッジ22を左右方向9に沿って移動させながら、圧電素子56への給電を制御して、ノズル29からインク滴を吐出させる処理である。間欠搬送処理と吐出処理とが繰り返されることにより、用紙12に画像が記録される。
また、ASIC135には、装着センサ113から出力される信号が入力される。制御部130は、装着センサ113から入力された信号がローレベルの場合、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ装着されていると判断する。一方、制御部130は、装着センサ113から入力された信号がハイレベルの場合、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ装着されていないと判断する。
また、ASIC135には、液面センサ55から出力される信号が入力される。制御部130は、液面センサ55から入力された信号がローレベルの場合、タンク103及びインクカートリッジ30に貯留されたインクの液面が位置P2より上方に位置すると判断する。
一方、制御部130は、回動部材50が状態変化したことによって液面センサ55から入力された信号がローレベルからハイレベルに変わると、タンク103及びインクカートリッジ30に貯留されたインクの液面が上下方向7において位置P2に位置すると判断する。
このとき、制御部130は、インクカートリッジ30に貯留されているインクが残り少なくなっていること、または、インクカートリッジ30に貯留されているインクがなくなったこと、つまりインクカートリッジ30の交換が必要であることを、ディスプレイ200(図1参照)に表示したり、LEDを点灯させたり、ブザー音を発したりすることによって、ユーザに報知する。
なお、制御部130は、液面センサ55からの入力信号がローレベルからハイレベルに変化してから、記録ヘッド21から吐出されたインク滴をドットカウントしてもよい。そして、制御部130は、ドットカウント値が所定値以上となったことを条件として、タンク103及びインクカートリッジ30に貯留されたインクの液面が上下方向7において位置P2よりも下方の所定位置であると判断してもよい。このとき、制御部130は、上記と同様の報知を実行してもよい。なお、上記所定値は、接続部107よりも下方における貯留室160の容積などに基づいて決定される。
制御部130は、4つのインクカートリッジ30の各々について、貯留室33に貯留されたインクの液面の上下方向7の位置を判断する。また、制御部130は、4つのインクカートリッジ30に対応するタンク103の各々について、貯留室160に貯留されたインクの液面の上下方向7の位置を判断する。
[本実施形態の作用効果]
複合機10の使用姿勢において、貯留室160は搬送路17よりも右方に位置しており、キャリッジ22は左右方向9に移動可能である。複合機10が使用姿勢から90度回転されて、貯留室160が搬送路17よりも上方に位置する左面下姿勢(使用姿勢のときの筐体14の左面が下面となるように複合機10が設置されたときの複合機10の姿勢)で設置された場合、キャリッジ22は左面下姿勢において上下方向7に移動可能な状態となる。ここで、キャリッジ22が左面下姿勢の複合機10の下部に位置する場合、キャリッジ22に搭載された記録ヘッド21は、貯留室160よりも下方に位置する状態となる。この状態で、貯留室160がインクで満たされていると、貯留室160に貯留されたインクが水頭圧によって記録ヘッド21へ流出し、記録ヘッド21からインクが流出するおそれがある。
本実施形態では、図7に示されるように、貯留室160の連通口128が、貯留室160の左右方向9の中央よりも右方の位置において貯留室160と連通されている。また、貯留室160は、使用姿勢における上部に所定空間を備えている。使用姿勢において、所定空間には、空気が蓄えられている。これにより、複合機10が使用姿勢から左面下姿勢に姿勢変化した場合に、使用姿勢において所定空間に蓄えられていた空気は、左面下姿勢において貯留室160の左右方向9の中央よりも左方に位置するようになる。そして、左面下姿勢において貯留室160の左右方向9の中央よりも左方に位置するようになった空気は、左面下姿勢における貯留室160の上部へ移動する。ここで、複合機10が使用姿勢から左面下姿勢に姿勢変化した場合に、連通口128が左面下姿勢における貯留室160の上部と連通するようになる。よって、左面下姿勢における貯留室160の上部へ移動した空気は、連通口128から流出する。
ここで、所定空間は、位置P2(図6参照)が液面となる量のインクが貯留室160に貯留されている状態において、当該液面よりも上方の空間である。また、所定空間の容積は、連通口128とノズル29との間におけるインクの流通空間の容積よりも大きい。よって、上記量以下のインクが貯留室160に貯留されている場合、流通空間は、連通口128から流出した空気で満たされる。そのため、貯留室160と記録ヘッド21との間の水頭圧の差がなくなるため、連通口128からのインクの流出を防止することができる。また、上記量よりも多いインクが貯留室160に貯留されている場合であっても、連通口128からのインクの流出を上記量との差分の量に抑えることができる。
また、本実施形態によれば、回動部材50及び液面センサ55は、貯留室160に貯留されたインクの液面の高さを検知するものである。そのため、貯留室57または貯留室160の少なくとも一方の大気連通を制御することによって、貯留室57に貯留されたインクを貯留室160に貯留されたインクよりも先に使い切る構成とした場合において、貯留室57が空となった後もインクの残量を検知することができる。
また、本実施形態によれば、複合機10が使用姿勢から左面下姿勢に姿勢変化した場合、第2空間182が貯留室160の上端部に位置する。これにより、左面下姿勢において、バッファ空間180内の空気を第2空間182を介して第1空間181へ容易に移動させることができる。
また、本実施形態によれば、複合機10が使用姿勢から左面下姿勢に姿勢変化した場合、第2空間182が貯留室160の上端部に位置し、第3空間183が第2空間182よりも下方に位置する。これにより、左面下姿勢において、バッファ空間180内の空気が第2空間182を介して第1空間181へ移動し、第1空間181内のインクが第3空間183を介してバッファ空間180へ移動する。このように、空気及びインクの移動を促進することができる。
また、本実施形態によれば、第1空間181の右端は、第2空間182の右端よりも右方に位置している。そして、連通口128は、第1空間181における第2空間182の右端よりも右方の部分を区画する側壁165の左面の下部(図7参照)に形成されている。すると、複合機10が使用姿勢から左面下姿勢に姿勢変化した場合、連通口128は、第2空間182よりも上方に位置する。これにより、インクの液面が第2空間182を区画する面に表面張力によって当接するような場合でも、インクの液面が側壁165の左面の下部に表面張力によって当接する可能性を低くできる。その結果、インクの連通口128から流出を抑制することができる。
また、本実施形態によれば、所定空間の容積は、貯留室160における連通口128の左端よりも右方の部分の容積よりも大きい。そのため、使用姿勢において連通口184と同じ高さが液面(位置P2が液面)となる量以下のインクが貯留室160に貯留されている場合に、複合機10が使用姿勢から左面下姿勢に姿勢変化すると、連通口128がインクの液面よりも上方となる。その結果、インクの連通口128への進入を防止することができる。また、使用姿勢において上記量よりも多いインクが貯留室160に貯留されている場合に、複合機10が使用姿勢から左面下姿勢に姿勢変化した場合であっても、連通口128へ進入するインクを上記量との差分の量に抑えることができる。
また、複合機10が使用姿勢から左面下姿勢に姿勢変化した場合に、インクの液面が表面張力によって側壁165の左面の下部(図7参照)に接すると、接した部分からインクが連通口128へ進入するおそれがある。本実施形態によれば、複合機10が左面下姿勢のときのインクの液面と側壁165の左面の下部との間隔は、表面張力長より長い。よって、インクの液面が表面張力によって側壁165の左面の下部に接することがないため、上記の進入を防止できる。
また、本実施形態によれば、インクカートリッジ30を交換するだけで、貯留室57に貯留されたインクの残量を多くすることができる。
また、本実施形態において、貯留室160は、下部に第1空間181を備え、上部にバッファ空間180を備えている。バッファ空間180には、空気が溜められている。これにより、複合機10が使用姿勢から左面下姿勢に姿勢変化した場合に、バッファ空間180内の空気が移動して貯留室160の上部には空気が位置するようになる。その結果、貯留室160から連通口128へのインクの流出が低減される。
ここで、複合機10が使用姿勢から左面下姿勢に姿勢変化されるときに、インクと空気とが移動することによってインクと空気とが混ざって泡立つおそれがある。しかし、本実施形態では、以下に詳述するように、発生した泡の連通口128からの流出を低減することができる。複合機10が使用姿勢から左面下姿勢に姿勢変化されるときに、バッファ空間180内の空気は第2空間182を通って第1空間181へ移動し、第1空間181内のインクは第2空間182を通ってバッファ空間180へ移動する。ここで、第2空間182の水平断面積は、バッファ空間180の水平断面積よりも小さく且つ第1空間181の水平断面積よりも小さい。そのため、第2空間182内では、インクと空気との混合が抑制され、泡の発生が抑制される。その結果、泡の連通口128から流出を低減することができる。つまり、インクの連通口128からの流出を低減することができる。
また、本実施形態によれば、複合機10が使用姿勢から左面下姿勢に姿勢変化されたときに、図8に示されるように、インクの液面が右壁186の近傍に位置する場合、例えばインクの液面が位置P5である場合、液面は表面張力によって右壁186に接する。これにより、複合機10の振動による泡立ちを抑制することができる。
また、複合機10が使用姿勢から左面下姿勢に姿勢変化されたときに、インクの液面が右壁186よりも下方に位置する場合、発生した泡の連通口128への流出は右壁186によって阻まれる。これにより、泡の連通口128への流出を低減することができる。
また、複合機10が使用姿勢から左面下姿勢に姿勢変化されたときに、インクの液面が右壁186よりも上方に位置する場合、右壁186よりも下方に位置するインクが気体と混ざらず、右壁186よりも上方に位置するインクのみが気体が混ざる。つまり、気体と混ざる液体の量を減らすことができる。その結果、泡の発生を抑制することができる。
また、仮に、右壁186が上下方向7及び前後方向8において連通口128と重複している場合、つまり右壁186が左右方向9において連通口128と対向している場合、左右方向9(左面下姿勢のときの上下方向)において右壁186と対向する位置で発生した泡は、右壁186に阻まれて右壁186よりも左方(左面下姿勢のときの下方)へ移動できない。その結果、泡が右方(左面下姿勢のときの上方)へ移動して連通口128から流出する可能性が高くなってしまう。しかし、本実施形態では、図8に示されるように、右壁186が上下方向7及び前後方向8において連通口128と重複していない。そのため、左右方向9(左面下姿勢のときの上下方向)において右壁186と対向する位置で発生した泡は、右壁186よりも左方(左面下姿勢のときの下方)へ移動することができる。その結果、泡の連通口128からの流出を抑制することができる。
また、本実施形態によれば、図6に示されるように、右壁186の上端と、第2上壁161Bの下面との間には、隙間が形成されている。そのため、第1空間181に位置しているインクを、隙間を通じて第2空間182へ円滑に送ることができる。
また、規定された最大量のインクが貯留室160に貯留された状態では、複合機10の姿勢変化時に発生した泡が連通口128から流出する可能性が最も高い。当該状態において、複合機10が使用姿勢から左面下姿勢に姿勢変化されたとき、インクの液面は位置P5となる。本実施形態では、図8に示されるように、右壁186の左右方向9の位置は、位置P5と同一である。そのため、このような状態において複合機10が使用姿勢から左面下姿勢に姿勢変化されたときに、右壁186が液面の近傍に位置するため、液面が表面張力によって右壁186に接する。これにより、複合機10の振動による泡立ちを抑制することができる。
また、本実施形態によれば、複合機10が使用姿勢から左面下姿勢に姿勢変化されるときに、バッファ空間180内の空気が主に第2空間182を介して第1空間181へ移動し、第1空間181内のインクが主に第3空間183を介してバッファ空間180へ移動する。これにより、第2空間182へ進入するインクの量が減るため、第2空間182における泡の発生を抑制することができる。
また、複合機10の使用姿勢において、貯留室160はノズル29よりも前方に位置している。複合機10が使用姿勢から90度回転されて、貯留室160がノズル29よりも上方に位置する後面下姿勢(使用姿勢のときの筐体14の後面が下面となるように複合機10が設置されたときの複合機10の姿勢)で設置された場合、貯留室160に貯留された液体が水頭圧によって連通口128から記録ヘッド21へ流出し、記録ヘッド21からインクが流出するおそれがある。
本実施形態では、複合機10の使用姿勢において、大気連通空間が液体貯留空間よりも上方に位置する。複合機10が使用姿勢から後面下姿勢に姿勢変化した場合、大気連通空間が液体貯留空間と水平方向に沿って並んだ状態となる。これにより、液体貯留空間に貯留された液体が大気連通空間へ流れ込む。その結果、使用姿勢において貯留室160に貯留されていたインクの連通口128からの流出を減らすことができる。
また、複合機10が使用姿勢から後面下姿勢に姿勢変化した場合、貯留室57に貯留されたインクが、インク供給口71を通じて貯留室160へ浸入し、貯留室160へ浸入したインクが水頭圧によって連通口128から記録ヘッド21へ流出し、記録ヘッド21からインクが流出するおそれがある。
本実施形態では、図13及び図14に示されるように、貯留室57は、下壁45によって貯留室32と貯留室33及びインクバルブ室35とに分けられている。これにより、複合機10が後面下姿勢で設置された場合に、貯留室32に貯留されたインクのうち、後面下姿勢において下壁45に形成された隙間45Aよりも下方(使用姿勢における後方)に位置する部分に貯留されたインクは、貯留室33側及びインクバルブ室35側に移動できないため、貯留室160へ浸入するおそれがない。これにより、貯留室160へ浸入するインクの量を減らすことができる。
また、複合機10が使用姿勢から後面下姿勢に姿勢変化した場合、連通口128から記録ヘッド21へ流出するおそれがあるインクは、貯留室32とインクバルブ室35とに貯留されたインク、貯留室32に貯留されたインクのうち後面下姿勢において隙間45Aよりも上方(使用姿勢における前方)に位置する部分に貯留されたインク、及び液体貯留空間に貯留されたインクのうち連通口128よりも後面下姿勢における上方(使用姿勢における連通口128よりも前方)の部分に貯留されたインクである。
本実施形態では、大気連通空間のうち連通口128よりも後方部分の容積、つまり図11にハッチングで示される部分121の容積は、貯留室32の容積と、インクバルブ室35の容積と、液体貯留空間のうち連通口128よりも前方の部分の容積との合計、つまり図11にハッチングで示される部分122の容積よりも大きい。これにより、複合機10が使用姿勢から後面下姿勢に姿勢変化した場合に、連通口128から流出するインクの量を少なくすることができる。
また、本実施形態によれば、隙間45Aは、複合機10が後面下姿勢で設置されたときに、貯留室57に貯留可能に規定された最大量の液面(位置P6、図14参照)よりも上方(使用姿勢における前方)に位置する。そのため、貯留室32に貯留されたインクは貯留室160へ浸入せず、貯留室33及びインクバルブ室35に貯留されたインクのみが貯留室160へ浸入する。これにより、複合機10が使用姿勢から後面下姿勢に姿勢変化した場合に、貯留室57から貯留室160へ浸入するインクの量を減らすことができる。
また、本実施形態によれば、複合機10が使用姿勢から後面下姿勢に姿勢変化した場合に、貫通孔119は、連通口128よりも下方に位置する。これにより、複合機10が使用姿勢から後面下姿勢に姿勢変化した場合に、インクが貫通孔119へ達する。しかし、本実施形態では、貫通孔119に貼られた半透膜118によって、インクが外部へ漏れることを防止できる。
また、本実施形態では、図8に示されるように、使用姿勢において、連通口128Mは、連通口184M及び貯留室57Mよりも右方に位置している。よって、複合機10が使用姿勢から左面下姿勢に姿勢変化すると、連通口128Mは、連通口184M及び貯留室57Mよりも左面下姿勢における上方に位置する。そのため、左面下姿勢において、貯留室160Mにおける連通口184Mよりも上方に貯留されているインクが、連通口184Mを通じて、貯留室57Mへ流れ込む。これにより、貯留室160Mに貯留されているインク量を減らすとともに、貯留室160M内の空気量を増やすことができる。
ここで、使用姿勢において、連通口128Mは、貯留室160Mの左右方向9の中央よりも右方の位置において、貯留室160Mからインクを流出させるものである。よって、複合機10が使用姿勢から左面下姿勢に姿勢変化すると、連通口128Mは、左面下姿勢における貯留室160Mの上下方向の中央よりも上方である位置において、貯留室160Mからインクを流出させる。したがって、左面下姿勢において、貯留室160M内のインク量が減ってインクが下方へ移動すると、連通口128Mからのインクの流出が減る。これにより、貯留室160Mに貯留されたインクの記録ヘッド21からの漏れを低減することができる。
なお、上記と同様に、貯留室160C、160Yに貯留されたインクの記録ヘッド21からの漏れを低減することができる。
また、本実施形態によれば、図13に示されるように、使用姿勢において、下壁45は、左側壁38の内面から右方に延びている。また、使用姿勢において、隙間45Aの左端は、貫通孔46の左端よりも右方に位置する。また、使用姿勢において、下壁45によって分けられた2つの空間のうち上方の空間(貯留室32)が貫通孔46を通じて第1大気流路と連通しており、2つの空間のうち下方の空間(貯留室33及びインクバルブ室35)がインク供給口71と連通している。
よって、複合機10が使用姿勢から左面下姿勢に姿勢変化すると、下壁45は、左側壁38の内面(左面下姿勢において底面となっている。)から上方に延びた状態となる。また、隙間45Aの下端は、貫通孔46の下端よりも上方に位置するようになる。
したがって、左面下姿勢において、貯留室160からインク供給口71を通じて貯留室57へ流れ込んだインクは、貯留室33及びインクバルブ室35において、その液面が隙間45Aの下端よりも上方に位置するような量まで貯留可能である。つまり、本実施形態によれば、貯留室57へ流れ込むインクの量を多く確保できる。
また、本実施形態によれば、インクカートリッジ30の貯留室57を大気開放している流路の流路抵抗は、タンク103の貯留室160を大気開放している流路の流路抵抗よりも小さいため、貯留室57に貯留されたインクを貯留室160に貯留されたインクよりも優先的に消費することができる。
また、本実施形態によれば、貯留室160から貯留室57へ流れ込んだ液体をバッファ空間62に蓄えることができる。これにより、貯留室160から貯留室57へ送ることが可能なインク量を増やすことができる。
また、本実施形態によれば、半透膜118が大気流路147のインクの流通を閉塞し、半透膜80が大気流路61のインクの流通を閉塞する。これにより、貯留室57や貯留室160に貯留されたインクが、大気流路147、61を通じてインクカートリッジ30やタンク103の外部に漏れることを防止できる。
また、本実施形態によれば、図8に示されるように、4つのタンク103のうちの所定のタンク103の左隣りに配置されたタンク103の連通口128は、当該所定のタンク103に対応するインクカートリッジ30の左端よりも右方に位置している。よって、複数のタンク103を左右方向9においてコンパクトに配置することができる。
[変形例]
上記実施形態において、連通口128は、貯留室160の下端部、右端部、且つ前端部に位置していた。しかし、連通口128の位置は、前記に限らない。但し、連通口128は、貯留室160の上下方向7の中央よりも下方であり、貯留室160の前後方向8の中央よりも前方であり、且つ貯留室160の左右方向9の中央よりも右方である位置に設けられていることが好ましい。また、連通口128は、バッファ空間180よりも右方に位置することが好ましい。
例えば、連通口128は、貯留室160の右端である側壁165の左面の下部ではなく、貯留室160の右端よりも左方(例えば第3前壁162Cや第2下壁163B)に形成されていてもよい。この場合、貯留室160における所定空間(貯留室160における位置P2よりも上部分)の容積は、貯留室160における連通口128の左端よりも右方の部分の容積よりも大きい。
上記実施形態では、図8に示されるように、隣り合う2つの貯留室160のうち右方に位置する貯留室160の左端は、隣り合う2つの貯留室160のうち左方に位置する貯留室160の右端よりも右方に位置していた。つまり、隣り合う2つの貯留室160は、左右方向9において重なっていなかった。しかし、隣り合う2つの貯留室160は、左右方向9において一部重なる位置にあってもよい。そして、この重なる部分に、隣り合う2つの貯留室160のうちの左側に位置する貯留室160からインクが流出する連通口128が形成されていてもよい。例えば、所定のタンク103の貯留室160のバッファ空間180と、当該所定のタンク103の左隣りに位置するタンク103の貯留室160からインクが流出する連通口128とは、左右方向9において重なる位置にあってもよい。
上記実施形態では、図6に示されるように、連通口128は、バッファ空間180よりも前方に位置していた。しかし、バッファ空間180の前端は、連通口128よりも前方に位置していてもよい。つまり、バッファ空間180を含む大気連通空間は、前後方向8において、連通口128よりも前方の位置まで拡がった空間であってもよい。
上記実施形態では、大気連通ポート124(図4参照)は、連通口128(図6参照)よりも後方に位置していた。しかし、大気連通ポート124は、連通口128よりも前方に位置していてもよい。つまり、大気連通ポート124は、連通口128よりも前方の位置で、バッファ空間180を大気に連通させていてもよい。
上記変形例では、複合機10が使用姿勢から後面下姿勢に姿勢変化した場合に、貫通孔119は、連通口128よりも上方に位置する。これにより、複合機10が使用姿勢から後面下姿勢に姿勢変化した場合に、インクが連通口128から外部へ漏れる可能性を低くすることができる。
上記実施形態では、図6に示されるように、貯留室160において、バッファ空間180及び第1空間181は、第2空間182よりも前方へ突出していた。しかし、貯留室160の形状は、図6などに示された形状に限らない。例えば、バッファ空間180及び第1空間181が、第2空間182よりも後方へ突出していてもよい。
上記実施形態では、前向きが第1向きであり、後向きが第2向きであった。しかし、後向きが第1向きであって、前向きが第2向きであってもよい。つまり、カートリッジ装着部110は、記録ヘッド21よりも後方に位置していてもよく、搬送路17よりも左方に位置していてもよい。
上記実施形態では、複合機10がインクカートリッジ30を装着可能に構成されていた。そして、インクカートリッジ30が交換されることによって、インクが複合機10に補充されていた。しかし、複合機10は、インクカートリッジ30の代わりに注入口を備えたタンクを備えていてもよい。この場合、当該タンクは、メインタンクとして用いられ、上述したインクカートリッジ30と同様の構成を備える。また、タンク103は、メインタンクと連通されており、サブタンクとして用いられる。また、メインタンクに貯留されたインクが少なくなると、新たなインクが注入口から注入される。また、メインタンクは、複合機10の筐体14に固定されていてもよいし、筐体14に対して着脱可能であってもよい。
上記実施形態では、装着センサ113及び液面センサ55は、発光部と受光部とを備えた光学センサであった。しかし、装着センサ113及び液面センサ55は、近接センサなどの光学センサとは異なる種類のセンサであってもよい。
上記実施形態では、各タンク103の貯留室160に配置された回動部材50の回動によって、貯留室160に貯留されたインクの液面が位置P2以下となったことが検知されていた。しかし、当該検知は、回動部材50の回動以外によって行われてもよい。
例えば、各タンク103における位置P2と同じ高さに、プリズムが配置されてもよい。そして、貯留室160に貯留されたインクの液面がプリズムよりも上方か否かによってプリズムに入射する光の進行方向が異なることに基づいて、つまりプリズムに照射した光の透過状態に基づいて、貯留室160に貯留されたインクの液面が位置P2以下であるか否かが検知されてもよい。この場合、プリズムが被検知部に相当する。また、この場合、プリズムに光を照射する光学センサが被検知部を検知する検知部に相当する。そして、被検知部の状態変化とは、被検知部であるプリズムに照射した光の透過状態の変化である。
また、例えば、貯留室160の本体の壁のうち、少なくとも位置P1を含む高さの部分を透光性を有する部材で形成することで透光部を構成し、貯留室160の本体の外に光学式の透過型センサを設けてもよい。そして、貯留室160に貯留されたインクの液面が透過型センサの発光部よりも上方か否かによって、貯留室160の本体の壁の透光部に入射する光が、透光部を透過して貯留室160内に到達し、貯留室160内のインクにより減衰されることなく再び透光部を透過して受光部に到達するか、または、貯留室160内のインクにより減衰されて受光部に到達するか(減衰されて受光部に到達できないか)に基づいて、つまり貯留室160の本体の壁の透光部に入射された光の減衰状態に基づいて、貯留室160に貯留されたインクの液面が位置P1以下であるか否かが検知されてもよい。この場合、貯留室160の本体の壁に形成した透光部が被検知部に相当する。また、この場合、光学式の透過型センサが被検知部を検知する検知部に相当する。そして、被検知部の状態変化とは、被検知部である透光部に照射した光の減衰状態の変化である。
また、例えば、各タンク103の貯留室160に2本の電極が配置されてもよい。2本の電極は基板60に実装されている。2本の電極の一方の下端は、位置P2よりも若干高い位置にある。2本の電極の他方の下端は、位置P2よりも下方に位置する。そして、2本の電極間にインクを通じて電流が流れるか否かに基づいて、貯留室160に貯留されたインクの液面が位置P2以下であるか否かが検知されてもよい。この場合、2本の電極が被検知部に相当する。また、この場合、基板に実装された上記電流を検知する部分(回路)が、被検知部を検知する検知部に相当する。そして、被検知部の状態変化とは、被検知部である2本の電極間の通電状態の変化である。
上記実施形態では、貫通孔119が半透膜118によって封止されていたが、貫通孔119は半透膜118によって封止されていなくてもよい。また、貫通孔94が半透膜80によって封止されていたが、貫通孔119は半透膜80によって封止されていなくてもよい。
上記実施形態では、インクカートリッジ30は、カートリッジ装着部110に対して水平方向に沿って挿入されることによって、カートリッジ装着部110に装着されていた。しかし、インクカートリッジ30は、カートリッジ装着部110に対して水平方向以外、例えば上下方向7に沿って挿入されることによって、カートリッジ装着部110に装着されてもよい。
上記実施形態では、接続部107及びインク供給部34は、水平方向に沿って延びていたが、水平方向以外に沿って延びていてもよい。例えば、接続部107は、カートリッジケース101から上方へ向けて突出していてもよい。また、インク供給部34は、インクカートリッジ30の下壁から下方へ向けて突出していてもよい。なお、この場合、位置P2は、例えば接続部107の上下方向7における中央位置や、インク供給部34の上下方向7における中央位置などに設定される。
上記実施形態では、インクが液体の一例として説明されているが、例えば、インクに代えて、画像記録時にインクに先立って用紙などに吐出される前処理液がインクカートリッジ30やタンク103に貯留されていてもよい。また、記録ヘッド21を洗浄するための水がインクカートリッジ30やタンク103に貯留されていてもよい。