JP6937076B2 - グラウト材 - Google Patents

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Description

本発明は、水中での使用に好適なグラウト材に関する。
地盤改良や、建造物構築の際に空洞や隙間を充填するグラウト材が各種提案されている。グラウト材としては、例えば普通ポルトランドセメントを主成分とするセメント系グラウトが存在する。
しかし、セメント系材料を水中に打設すると、セメントと水の水和反応により生成される水酸化カルシウムが溶出し、溶出した水酸化カルシウムは水中でカルシウムイオンと水酸化物イオン(OH)に電離するので、水酸化物イオン(OH)濃度が上昇し、pHが上昇してしまう。
一般に水中打設に使用される水中不分離コンクリート(コンクリートに水溶性セルロース等の水中不分離剤を混和した材料)や、可塑性グラウト等を水中に打設する場合も同様な理由により、水和反応が進むにつれて、pHが上昇してしまう。
その他のマグネシウム化合物に硫酸塩を混和した中性系のグラウト材(特許文献1参照)も存在するが、強度が非常に小さく、裏込め材料として適用することは出来るが、一定の強度を必要とする構造物等には適用することは出来ない。
特開2012−82306号公報
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、水中に打設してもpHの上昇が抑制され、しかも一定の強度を必要とする構造物等にも適用可能なグラウト材の提供を目的としている。
本発明のグラウト材は、
粉体と混和剤(混和材)と骨材を包含し、
粉体は、普通ポルトランドセメントと、(例えば微粉末状の)高炉スラグと、フライアッシュ及び/又はシリカフュームと、無水石こうであり、
混和剤は、増粘剤と、硬化促進剤と、減水剤と、粘土鉱物と、消泡剤を含み、
水中で打設された際の硬化に伴うpHの上昇を抑制することが求められるグラウト材において、
硬化促進剤は亜硝酸塩であり、
粘土鉱物はセピオライト及び/又は酸性白土であり、
骨材は珪砂であり、珪砂の量は粉体の200容量%以下であることを特徴としている。
本発明において、減水剤として高性能AE減水剤包含することが可能である
上述の構成を具備する本発明のグラウト材によれば、例えば微粉末状の高炉スラグを組成として包含しているので、高炉スラグ微粉末が硬化してグラウト材に必要な強度を確保することが出来る。換言すれば、普通セメントの配合比率を低くしても、高炉スラグが硬化することにより、必要な硬度を確保することが出来る。そして普通セメントの配合比率を低くすることが出来るため、水和反応に伴う水酸化カルシウムの生成と水酸化物イオン濃度の上昇を抑制し、グラウト材の使用現場(施工現場)におけるpH上昇を抑制することが出来る。
ここで、高炉スラグは水酸化物イオンが多く存在するアルカリ環境下においては、その水酸化物イオンの刺激を受けて硬化する(アルカリ刺激)(潜在水硬性)。本発明のグラウト材では、(含有量が低く抑えられているとはいえ)普通セメントが存在し、セメントと水の水和反応により生成される水酸化カルシウムが水中で水酸化物イオンを分離するので、高炉スラグは硬化し、その結果、固化したグラウト材の強度が上昇する。
また本発明のグラウト材は無水石こうを添加するので、グラウト材の硬化が促進され、普通セメント(普通ポルトランドセメント)の含有量が少なくとも硬化が遅延することはない。ここで、硬化促進剤(例えば塩化カルシウム、亜硝酸塩)を包含すれば、さらに硬化が促進される。
そして硬化が促進される結果、初期強度が向上するので、例えば河川等の施工に使用されても、グラウト材が硬化前に流されてしまう恐れが低くなり、幅広い分野で本発明のグラウト材を使用することが可能である。
さらに硬化が促進されれば、グラウト材から水酸化カルシウムが溶出する時間が短くなり、水酸化カルシウムが溶出する時間が短くなった分だけpHの上昇が抑制される。
本発明のグラウト材はフライアッシュ及び/又はシリカフュームを包含しており、フライアッシュとシリカフュームは、水酸化カルシウムと反応し、カルシウムシリケート水和物を生成して固化する(いわゆる「ポゾラン反応」)ので、水酸化物イオン濃度及びpHの上昇を抑制することが出来る。そして、水酸化カルシウムとフライアッシュ及び/又はシリカフュームが固化する反応で水酸化カルシウムが消費されて減少する。そのため水酸化物イオン濃度の上昇が抑制され、グラウト材の使用現場(施工現場)におけるpHの上昇を抑制出来る。
ここで、フライアッシュ、シリカフュームと水酸化カルシウムは、瞬時に反応する訳ではないため、グラウト材の硬化前には(特に流水中で施工されている場合には)、グラウト材中のセメント粒子が拡散して、pHが上昇し易い状況となる。
本発明において、グラウト材に増粘剤として水溶性セルロースを添加すれば、例えば流水中で施工されている場合であってもグラウト材中のセメント粒子の拡散が防止される。水溶性セルロースはコンクリートの水中不分離剤として使用される添加剤であり、水と混ぜると水の粘性を大きくする作用があるため、セメント粒子間の水の粘性が大きくなり、セメント粒子同士の粘着力が大きくなり、セメント粒子が拡散し難くなるからである。
本発明において、減水剤(高性能AE減水剤)を包含すれば、グラウト材に要求される流動性を確保することが出来る。
ここで、本発明に係るグラウト材において、混練(練混ぜ)作業に際して、いわゆる「空気を巻き込む」状態となり、グラウト材内に空気が内包されてしまう(いわゆる「空気が入る」状態)場合がある。空気が内包されてしまうと、グラウト材硬化前においては、グラウト材内の空気(特に表面付近の気泡)が水中に放出され、その際にセメント粒子が水中に拡散して、pHを上昇する恐れがある。そして、グラウト材内の空気が多過ぎると、グラウト材が硬化した後に微小な空間(いわゆる「巣」)が数多く形成されるため、強度が低下する。
本発明において、消泡剤を添加すれば、グラウト材硬化前において、グラウト材内の空気(特に表面付近の気泡)が水中に放出され、その際にセメント粒子が水中に拡散して、pHを上昇してしまうことが抑制される。また、グラウト材内の空気が多過ぎて、グラウト材が硬化した後に微小な空間(いわゆる「巣」)が数多く形成されて強度が低下してしまうことを抑制することが出来る。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明の実施形態に係るグラウト材の組成が、下表1に示されている。
表1
Figure 0006937076
表1において、粉体Pを構成する成分(普通ポルトランドセメント、フライアッシュ、高炉スラグ微粉末、シリカフューム、無水石こう)の分量(上限値及び下限値)は、粉体P全体に対する容積%で表示されている。また、骨材の分量も、粉体P全体に対する容積%で表示されている。さらに、水Wについては、粉体P全体に対する質量%で表示されている。
一方、混和剤(混和材)を構成する成分において、増粘剤の分量(上限値及び下限値)は水に対する質量%で示されており、その他の混和剤の成分(硬化促進剤、高性能AE減水剤、消泡剤、粘土鉱物)は紛体Pに対する質量%で示されている。
混和剤は紛体や水、骨材に比較して少量であり、個々の成分により比重が異なるため、容積%で計測するよりも質量%で計測する方が容易だからである。
実施形態に係るグラウトにおいて、高炉スラグ微粉末、フライアッシュは、高炉スラグ微粉末或いはフライアッシュに関して定める規格に適合するものであれば、特に限定条件はない。
同様に、普通ポルトランドセメント、シリカフューム、混和剤としての増粘剤、高性能AE減水剤、骨材としての珪砂王等も、既存の規格に適合するものであれば、特に限定条件はない。
実施形態で用いられる粉体Pに関して、普通ポルトランドセメントは市販品(例えば、太平洋セメント株式会社製造)を用い、フライアッシュも市販品(例えば、北電興業株式会社製造)を用い、高炉スラグ微粉末も市販品(例えば、株式会社デイ・シイ製造の商品名「セラメント」)を用いた。なお、高炉セメントB種(例えば、太平洋セメント株式会社製造の市販品)も一部用いた。
シリカフュームは市販品(例えば、QUEBEC社製造)を用い、無水石こうとして、II型無水石こう粉末である市販品(例えば、コクサイ商事株式会社製造、販売)を用いた。
実施形態で用いられる混和剤に関して、増粘剤としては、水溶性セルロース系増粘剤である市販品(例えば、ロッテファインケミカル社製造の商品名「HECELLOSE B100K」、信越化学工業株式会社製造の商品名「アスカクリーンD」)、界面活性剤系増粘剤である市販品(例えば、花王株式会社製造の商品名「ビスコトップ」)を用いた。
硬化促進剤は塩化カルシウム二水和物を主成分とする市販品(例えば、株式会社トクヤマ製造)を用い、高性能AE減水剤はポリカルボン酸エーテル系化合物を主成分とする市販品(例えば、BASFジャパン株式会社製造の商品名「マスターグレニウムSP8SV」)を用いた。
消泡剤は脂肪族アルコールアルコキシレート系を主成分とする市販品(例えば、BASFジャパン株式会社製造の商品名「VINAPOR DF9010」)を用い、粘土鉱物の酸性白土として、モンモリナイトを主成分とする市販品(例えば、水澤化学工業株式会社製造の商品名「ミズカエース#20」)を用い、粘土鉱物のセピオライトとして、含水マグネシウムケイ酸塩を主成分とする市販品(例えば、IMV社製造の商品名「THERMOGEL」)を用いた。
骨材としては、珪砂5号の市販品(例えば、JFEミネラル株式会社製造の商品名「日光珪砂」)、及び珪砂5号、7号の市販品(例えば、三河珪石株式会社製造の商品名「三河珪砂」)を用いた。ただし、5号、7号以外の珪砂や、一般的なコンクリート用の細骨材でも、珪砂5号、7号の市販品と同様に用いられる。そのことは、明細書で記載されていない実験により、確認されている。
なお、硬化促進剤として亜硝酸塩、粘土鉱物としてベントナイトを用いることも出来る。
本明細書の「実験例」としては記載していないが、発明者の実験では、基本的に成分が同じであれば、メーカー(製造会社)が異なっても同様な結果が得られた。
実施形態では記載されていないが、粘土鉱物としてセピオライト、酸性白土、或いはベントナイトを添加することが出来る。そして増粘剤として、例えば、水溶性セルロースを添加することが出来る。
上述した組成を具備した実施形態に係るグラウト材によれば、高炉スラグ微粉末を添加するので、高炉スラグ微粉末が硬化してグラウト材に必要な強度を確保することが出来る。換言すれば、普通セメントの配合比率を低くしても(例えば15容積%以下)、必要な硬度を確保することが出来る。そして普通セメントの配合比率を低くすることが出来るため、水和反応に伴う水酸化カルシウムの生成と水酸化物イオン濃度の上昇を抑制し、グラウト材の使用現場(施工現場)におけるpH上昇を抑制することが出来る。
ここで、高炉スラグ微粉末は水酸化物イオンが多く存在するアルカリ環境下においては、その水酸化物イオンの刺激を受けて硬化する(アルカリ刺激:潜在水硬性)。実施形態では、含有量が低く抑えられているとはいえ普通セメントが存在し、セメントと水の水和反応により生成される水酸化カルシウムが水中で水酸化物イオンを分離するので、高炉スラグ微粉末は硬化し、その結果、固化したグラウト材の強度が上昇する。
実施形態のグラウト材は無水石こう及び硬化促進剤を添加するので、グラウト材の硬化が促進され、普通セメントの含有量が少なくとも硬化が遅延することはない。
そして硬化が促進される結果、初期強度が向上するので、例えば河川等の施工に使用されても、グラウト材が流されてしまう恐れが低くなる。換言すれば、幅広い分野で実施形態に係るグラウト材を使用することが可能である。
さらに硬化が促進されれば、グラウト材から水酸化カルシウムが溶出する期間が短くなり、水酸化カルシウムが溶出する期間が短くなった分だけpHの上昇が抑制される。
実施形態のグラウト材はフライアッシュとシリカフュームを包含しており、フライアッシュとシリカフュームは、水酸化カルシウムと反応し、カルシウムシリケート水和物を生成して固化する(いわゆる「ポゾラン反応」)ので、水酸化物イオン濃度及びpHの上昇を抑制することが出来る。そして、水酸化カルシウムと反応してフライアッシュとシリカフュームが固化する際に水酸化カルシウムが消費されて減少する。そのため水酸化物イオン濃度の上昇が抑制され、グラウト材の使用現場(施工現場)におけるpHの上昇を抑制出来る。
実施形態のグラウト材において、シリカフュームを包含せず、フライアッシュのみを添加することも可能である。フライアッシュに比較するとシリカフュームの粒子は小径であり(フライアッシュの1/10〜1/100程度)、水酸化カルシウムとの反応が迅速に行われる(ポゾラン反応の反応速度が速い)というメリットがある。しかし、シリカフュームの粒径が小さいため、多量に添加するとグラウト材内で均等に分布する様に練混ぜることが困難である。また、フライアッシュに比較するとシリカフュームは高価である。
但し、フライアッシュを添加せず、シリカフュームのみを添加することも可能である。
ここで、フライアッシュ、シリカフュームと水酸化カルシウムは、瞬時に反応する訳ではない。グラウト材の硬化前であれば、特に流水中で施工されている場合には、グラウト材中のセメント粒子が拡散して、pHが上昇し易い状況となる。
これに対して、実施形態に係るグラウト材に増粘剤として水溶性セルロース系増粘剤を添加することにより、例えば流水中で施工されている場合であってもグラウト材中のセメント粒子の拡散が防止される。水溶性セルロース系増粘剤はコンクリートの水中不分離剤として使用される添加剤であり、水と混ぜると水の粘性を大きくする作用がある。そのため、セメント粒子間の水の粘性が大きくなり、セメント粒子同士の粘着力が大きくなるため、セメント粒子が拡散し難くなる。
実施形態に係るグラウト材において、混練(練混ぜ)作業に際して、いわゆる「空気を巻き込む」状態となり、グラウト材内に空気が内包されてしまう(いわゆる「空気が入る」状態)場合がある。空気が内包されてしまうと、グラウト材硬化前においては、グラウト材内の空気(特に表面付近の気泡)が水中に放出され、その際にセメント粒子が水中に拡散して、pHを上昇する恐れがある。そして、グラウト材内の空気が多過ぎると、グラウト材が硬化した後に微小な空間(いわゆる「巣」)が数多く形成されるため、強度が低下する。
これに対して、実施形態のグラウト材では消泡剤を添加しているので、空気が内包されることによる上述した不都合を抑制することが出来る。
実施形態のグラウト材では、減水剤(高性能AE減水剤)を包含しているので、グラウト材に要求される流動性を確保することが出来る。
実施形態に係るグラウト材において、骨材として珪砂を包含しないことも可能である。
ただし、実施形態において珪砂を添加した場合には、セメント添加量を減少してpHの上昇を抑えることが出来る。
実施形態に係るグラウト材について、表1において、各組成(成分)について、それらを組成、上限値と下限値が示されている。
実施形態のグラウト材では、水紛体比W/Pの下限値を20質量%に設定しているため、混練(練混ぜ)が困難になることはない。
一方、水紛体比W/Pの上限値を60質量%に設定しているので、セメント粒子同士の距離が遠くなり、水和反応も緩やかとなり、水和生成物の強度が低下してしまうことが防止される。また、硬化後、反応に使われなかった水の占める体積が空隙となり、強度が低下してしまうことが防止される。さらに、水酸化カルシウムが溶出し易くなることはなく、pHの上昇が防止される。
粉体Pを構成する普通ポルトランドセメントについて、実施形態のグラウト材では、普通ポルトランドセメントの上限値を15容積%(粉体P全体に対する容積%)、下限値を2.5容積%(粉体P全体に対する容積%)に設定している。
そのため実施形態のグラウト材では、普通ポルトランドセメントの添加量が多過ぎて、pHが大きく上昇してしまうという不都合はない。
一方、普通ポルトランドセメントの添加量が少な過ぎて、グラウト材の初期強度が低下してしまうという不都合もない。なお、グラウト材の初期強度は、打設後、1日を経過したグラウト材の一軸圧縮強度により確認している。
なお、普通ポルトランドセメンの添加量が紛体P全体に対して2.5容積%より少なくなると、pH値は低減しないことが、出願人による実験で確認されている。
実施形態のグラウト材では、フライアッシュの上限値を50容積%(粉体P全体に対する容積%)、下限値を10容積%(粉体P全体に対する容積%)に設定している。ここで、前記フライアッシュの上限値、下限値は、グラウト材にシリカフュームを包含しない場合の値である。また、後述するシリカフュームの上限値、下限値は、グラウト材にフライアッシュを包含しない場合の数値である。
上述した範囲のフライアッシュを包含している実施形態のグラウト材では、水酸化物イオン濃度及びpHの上昇が抑制されている。
また、フライアッシュの添加量が紛体P全体の50容積%以下であるため、グラウト材の初期強度が著しく低下してしまう不都合はない。一方、フライアッシュの添加量が紛体P全体の10容積%以上であるため、グラウト材にダイレイタンシーが生じて作業性が悪化してしまうことが防止される。
実施形態のグラウト材では、高炉スラグ微粉末の上限値を77.5容積%(粉体P全体に対する容積%)、下限値を30容積%(粉体P全体に対する容積%)に設定しており、グラウト材に必要な強度(初期強度)が確保され、同時に(普通セメントの配合比率を低くできるため)グラウト材の使用現場(施工現場)におけるpHの上昇が抑制される。
ここで、実施形態のグラウト材においては、高炉スラグ微粉末が粉体P全体に対して30容積%未満であっても、グラウト材の初期強度が著しく低下してしまう不都合はない。高炉スラグ微粉末は含有量の調整幅が大きくとれる材料であるため、その上限値77.5容積%は、粉体の他の材料(普通ポルトランドセメント、フライアッシュ、シリカフューム、無水石こう)が全て下限値の場合における高炉スラグ微粉末の含有量である。但し、高炉スラグ微粉末が多過ぎると固化した後に収縮する恐れがある。
実施形態のグラウト材では、シリカフュームの上限値を15容積%(粉体P全体に対する容積%)、下限値を5容積%(粉体P全体に対する容積%)に設定している。シリカフュームを係る含有量に設定しているので、実施形態のグラウト材では水酸化物イオン濃度及びpHの上昇が抑制されている。
そして、実施形態のグラウト材では、シリカフュームの含有量が15容積%以下であるため、グラウト材の粘性が大きくなり、混練(練混ぜ)が困難になってしまう不都合が防止される。また、シリカフュームの含有量が5容積%以上であるため、ダイレイタンシーが生じて作業性が悪化してしまう不都合はない。
実施形態のグラウト材では、無水石こうの上限値を15容積%(粉体P全体に対する容積%)、下限値を5容積%(粉体P全体に対する容積%)に設定しており、無水石こうを含有する実施形態のグラウト材では硬化が促進され、普通セメントの含有量が少なくとも硬化が遅延することはない。
また、実施形態のグラウト材では、無水石こうが15容積%以下であるため発熱によるひび割れが生じる不都合はなく、5容積%以上であるためグラウト材の初期強度が著しく低下する不都合はない。
実施形態のグラウト材では、増粘剤(例えば、水溶性セルロース)の上限値を1.5質量%(但し、水Wに対する質量%)、下限値を0.3質量%(水Wに対する質量%)に設定しており、例えば流水中で施工されている場合にセメント粒子が水中で拡散することが防止され、pHの上昇が抑制される。
また、実施形態のグラウト材では、増粘剤が1.5質量%(水Wに対する質量%)以下であるため、粘性が大きくなり過ぎ、混練(練混ぜ)が困難になってしまう不都合はない。また、増粘剤が0.3質量%(水Wに対する質量%)以上であるため、水中不分離性は低下せず、セメント粒子が拡散してpHが上昇することが防止される。
実施形態のグラウト材では、硬化促進剤の上限値を10質量%(粉体P全体に対する質量%)、下限値を1質量%(粉体P全体に対する質量%)に設定しており、グラウト材の硬化が促進され、普通セメントの含有量が少なくとも硬化が遅延することが防止される。
また、実施形態のグラウト材では、硬化促進剤が10質量%以下であるため、粘性が増加して混練(練混ぜ)が困難になる不都合や、発熱によるひび割れが生じる不都合が防止される。そして、硬化促進剤が1質量%(粉体P全体に対する質量%)以上であるため、初期強度が大きく低下してしまうこともない。
実施形態のグラウト材では、高性能AE減水剤の上限値を3質量%(粉体P全体に対する質量%)に設定している。高性能AE減水剤はグラウト材の流動性を確保するために添加する薬剤であり、水紛体比W/P(質量比)が大きければ添加する必要がなく、水紛体比W/P(質量比)が小さい場合に必要に応じ添加すれば良い。
実施形態のグラウト材は、上述した範囲の高性能AE減水剤(例えば、ポリカルボン酸エーテル系化合物を主成分とする減水剤)を添加しているので、グラウト材に要求される流動性が確保される。高性能AE減水剤が3質量%(粉体P全体に対する質量%)を超えた場合には、減水効果が収束して流動性はほとんど向上しない。すなわちコストパフォーマンスが低下してしまう。
即ち、実施形態のグラウト材では、コストパフォーマンスを維持しつつ、必要な流動性を確保することが出来る。
実施形態のグラウト材では、消泡剤の上限値を1質量%(粉体P全体に対する質量%)に設定している。グラウト材として消泡剤は添加しなくても良いが、多くの空気が巻き込まれる恐れがある場合には、消泡剤を添加するのが好適である。グラウト材硬化前において、グラウト材内の空気が水中に放出されて(セメント粒子が拡散して)pHを上昇してしまうことが抑制されるからである。また、グラウト材が硬化した後に微小な空間(いわゆる「巣」)が数多く形成されて強度が低下してしまうことが抑制される。
ここで、消泡剤が1質量%(粉体P全体に対する質量%)を超えた場合には消泡効果は向上しないが、施形態のグラウト材では消泡剤の含有量は1質量%以下であるため、コストパフォーマンスが低下することが防止される。
実施形態のグラウト材では、粘土鉱物の含有量は5質量%(粉体P全体に対する質量%)以下であるため、グラウト材の粘性が大きくなり過ぎることはなく、混練(練混ぜ)、ポンプ圧送が困難になることが防止される。そして、良好な粘性を保持して混錬可能な状態を維持し、ポンプ圧送が可能な状態を確保することが出来る。
実施形態のグラウト材では、珪砂の含有量は200容積%(粉体P全体に対する容積%)以下である。グラウト材に、骨材(珪砂)を添加しないことも可能である。但し、珪砂を添加することによりセメント添加量を減少して、pHの上昇を抑えることが出来る。特に、珪砂を100%以上添加するとpHの低減効果は大きい。
実施形態のグラウト材では、珪砂含有量は200容積%以下であるため、グラウト材の粘性が大きくなり過ぎることはなく、混練(練混ぜ)、ポンプ圧送が困難になることもない。
[実施例]
本発明の実施例に係るグラウト材は、下表2に示すような組成(各成分の配合)となっている。
表2
Figure 0006937076
表2において、表1で上述したのと同様に、粉体Pを構成する成分(普通ポルトランドセメント、フライアッシュ、高炉スラグ微粉末、シリカフューム、無水石こう)の配合比は、粉体P全体に対する容積%で表示されている。また、骨材Sの配合比S/P(珪砂・粉体比)も、粉体P全体に対する容積%で表示されている。水・粉体比W/Pについては、粉体P全体に対する質量%で表示されている。
一方、混和剤(混和材)を構成する成分において、増粘剤(水溶性セルロース系増粘剤)の分量は水Wに対する質量%で示されており、その他の混和剤の成分(塩化カルシウム(硬化促進剤)、酸性白土、セピオライト(粘土鉱物))は紛体Pに対する質量%で示されている。
なお、実施例のグラウト材は、高性能AE減水剤及び消泡剤は含有しない。
発明者の実験では、表2の組成を具備する実施例に係るグラウト材は、pHの最大値が8.91、水酸化物イオン(OH)の最大増加量が77×10−7であった。
開始からpH=8となるまでの時間が1時間45分、pH=8.5となるまでの時間が5時間25分、最大のpH(=8.91)となるまでの時間が19時間20分であり、pHの上昇は十分に抑制されていた。
また、施工後、1日を経過したグラウト材の一軸圧縮強度(σ1:材齢1日の一軸圧
縮強度)は1.50N/mm、7日を経過したグラウト材の一軸圧縮強度(σ7:材
齢7日の一軸圧縮強度)は27.1N/mm、28日を経過したグラウト材の一軸圧縮強度(σ28:材齢28日の一軸圧縮強度)は35.9N/mmであり、必要な強度を有していることが分かった。
実施形態のグラウト材の水紛体比(W/P)((質量比)について、適切な配合(上限値、下限値)を確認するための実験を行った。なお、組成の上限値、下限値(質量%、容積%)については、実施形態の表1を参照して上述した通りであり、後述する[実験例2]〜[実験例12]も同様である。
[実験例1]
グラウト材に添加する水の量を調整し、粉体(P)に対する水(W)の比率(W/P)を2%ずつ変動させて、その他の組成を実施例と同一にして、一軸圧縮強度、pH、混練(練混ぜ)の困難性について、実験を行った。
一軸圧縮強度については、φ50×100mmのモールドに4本供試体を採取し、2本を材齢7日で、もう2本を材齢28日で圧縮強度試験を実施した。供試体の養生は、密封養生(20℃環境)とした。また、別途同様な供試体を2本用意し、材齢1日で圧縮強度試験を実施した。
混練(練混ぜ)の困難性については、触覚により判断した。
pHの実験は20℃環境で行われた。実験に際して、先ず、水槽(横30cm×幅17cm×高さ24cm)に水道水10Lを投入し、水槽をマグネティックスターラーに載せ、水槽内に撹拌子を入れて200〜250rpmで回転した。
水槽の隅部にpH計を設置し、その際に、pH計の電極の位置は水面から5cm程度下にした。このpH計はデータロガー機能を有し、自動で連続的にデータを採取できるタイプとした。また、容量100ccの使い捨てビーカー(デスカップ)の上部を55cc程度のラインで切断したものを2個準備し、混練した直後のグラウト材をそれぞれ50ccずつ投入した。
pHの自動計測を開始し、その後で、水槽内の2隅にグラウト材を入れたビーカーを設置する。そして、ビーカー設置後48時間程度、pHの計測を行った。
W/Pが20%未満(18%以下)であると、グラウト材の表面が乾燥した様な触感があり、混練(練混ぜ)が困難と判断された。
W/Pが60%を上回っていると(62%以上であると)一軸圧縮強度が低下した。また、pHが上昇した。
W/Pが20%〜60%の範囲であれば、グラウト材の混練(練混ぜ)は困難ではなく、一軸圧縮強度は低下せず、pHも上昇しないことが確認された。実験例1の結果から、W/Pの上限を60%、下限を20%に設定した。
[実験例2]
実施形態のグラウト材の粉体(P)を構成する普通ポルトランドセメントの含有量について、実験を行った。
実験例2では、サンプルの組成は実施例と概略同一の組成であるが、添加する普通ポルトランドセメントの量を調整し、粉体(P)全体に対する普通ポルトランドセメントの比率(容積%)を0.5%ずつ変動させて、一軸圧縮強度、pH、混練(練混ぜ)の困難性について、実験を行った。一軸圧縮強度、pH、混練(練混ぜ)の困難性の実験の実施要領は、[実験例1]と同様である。
実験例2では、普通ポルトランドセメントの添加量が粉体P全体に対して2.5%未満(2.0容積%以下)であると、グラウト材の一軸圧縮強度の初期強度が低下した。また、pHはこれより下回っても低下しない(pH低減効果がそれ以上は向上しない)。
普通ポルトランドセメントの添加量が15.5容積%以上であると、pHは大きく上昇した。
普通ポルトランドセメントが2.5%〜15%の範囲では、グラウト材の初期強度(一軸圧縮強度)は低下せず、pHも上昇しないことが確認された。実験例2の結果から、普通ポルトランドセメントの上限を15%、下限を2.5%に設定した。
[実験例3]
実施形態のグラウト材の粉体(P)を構成するフライアッシュの含有量に関する実験を行った。
実験例3で用いられたサンプルの組成は実施例と概略同一であるが、添加するフライアッシュの量を調整し、粉体(P)全体に対するフライアッシュの比率(容積%)を1%ずつ変動させて、一軸圧縮強度、pH、混練(練混ぜ)の困難性、さらに流動性状/硬化性状について実験を行った。一軸圧縮強度、pH、混練(練混ぜ)の困難性の実験の実施要領は、[実験例1]で説明した通りである。
流動性状/硬化性状についてはプロクター貫入試験で確認した。練混ぜ直後の材料の流動性状を確認するため、練混ぜ直後の試料について、貫入速度を変えた試験を行った。貫入長は通常の貫入試験同様に2.5cmとし、2.5cm貫入するのに要する時間を、10秒、5秒、2秒、1秒と変化させ、それぞれの貫入速度で貫入した際の最大荷重から、貫入抵抗値を求めた。
また、初期硬化性状の確認のため、練混ぜ完了後、24時間及び48時間で貫入試験を行い、初期における硬化性状を確認した。貫入時間は10秒とした。
フライアッシュが9%以下であると、グラウト材のダイレイタンシーが生じ、作業性が悪化した。
フライアッシュが51%以上であると、グラウト材の一軸圧縮強度の初期強度が著しく低下した。
フライアッシュが10%〜50%の範囲内の場合には、グラウト材の初期強度(一軸圧縮強度)は低下せず、ダイレイタンシーも発生せずに、pHの上昇が抑制されることが確認された。実験例3の結果から、フライアッシュの上限を50%、下限を10%に設定した。
[実験例4]
実施形態のグラウト材の粉体(P)を構成する高炉スラグ(微粉末)の含有量について、実験を行った。
実験例4のサンプルは実施例と概略同一の組成であるが、添加する高炉スラグ微粉末の量を調整し、粉体(P)全体に対する高炉スラグ微粉末の比率(容積%)を2%ずつ変動させて、一軸圧縮強度、pH、混練(練混ぜ)の困難性について、実験を行った。各実験の実施要領は、実験例1で説明した通りである。
高炉スラグ微粉末が28%以下であると、グラウト材の初期強度(一軸圧縮強度)が著しく低下した。
上述した様に、高炉スラグ微粉末のグラウト材の上限値77.5%は、他の粉体(普通ポルトランドセメント、フライアッシュ、シリカフューム、無水石こう)が全て下限値の場合の高炉スラグ微粉末含有量であり、実験例4では、高炉スラグ微粉末含有量が上限値77.5%を超えても、格別な不都合は確認されなかった。
高炉スラグ微粉末の含有量が30%〜77.5%の範囲内では、グラウト材の初期強度(一軸圧縮強度)は低下せず、pHの上昇が抑制されることが確認された。実験例4の結果から、高炉スラグ微粉末の上限を77.5%、下限を30%に設定した。
[実験例5]
実施形態のグラウト材の粉体(P)を構成するシリカフュームの含有量について、実験を行った。
実験例5で用いられたサンプルの組成は実施例と概略同一であるが、添加するシリカフュームの量を調整し、粉体(P)全体に対するシリカフュームの比率(容積%)を0.5%ずつ変動させて、一軸圧縮強度、pH、混練(練混ぜ)の困難性、流動性状/硬化性状について、実験を行った。各実験の実施要領は、[実験例1]、[実験例3]で説明した通りである。
シリカフュームが4.5%以下であると、グラウト材のダイレイタンシーが生じ、作業性が悪化した。
シリカフュームが15.5%以上であると)、グラウト材の粘性が大きくなり、混練(練混ぜ)が困難になった。
シリカフュームが5%〜15%の範囲であれば、グラウト材のダイレイタンシーが発生して作業性が悪化することなく、粘性増加により混練(練混ぜ)が困難になることもなく、pHの上昇が抑制されることが確認された。実験例5の結果から、シリカフュームの上限を15%、下限を5%に設定した。
[実験例6]
実施形態のグラウト材の粉体(P)を構成する無水石こうの含有量について、実験を行った。
実験例6のサンプルの組成は実施例と概略同一であるが、添加する無水石こうの量を調整し、粉体(P)全体に対する無水石こうの比率(容積%)を0.5%ずつ変動させて、一軸圧縮強度、pH、混練(練混ぜ)の困難、性流動性状/硬化性状について、実験を行った。各実験については、上述した通りである。
無水石こうが4.5%以下であると、グラウト材の初期強度(一軸圧縮強度)のが著しく低下した。
無水石こうが15.5%以上であると)グラウト材に発熱によるひび割れが生じた。発熱によるひび割れが生じたか否かは目視により判断した。
無水石こうが5%〜15%の範囲では、グラウト材の初期強度(一軸圧縮強度)は低下せず、発熱によるひび割れが生じることなく、硬化が促進することが確認された。実験例6の結果により、無水石こうの上限を15%、下限を5%に設定した。
[実験例7]
実施形態のグラウト材の混和剤を構成する増粘剤として水溶性セルロース系増粘剤を選択し、その含有量について実験を行った。
実験例7で用いられたサンプルの組成は実施例と概略同一であるが、添加する水溶性セルロース系増粘剤の量を調整し、水(W)に対する水溶性セルロース系増粘剤の比率(質量%)を0.1%ずつ変動させて、一軸圧縮強度、pH、混練(練混ぜ)の困難性について、実験を行った。各実験の実施要領は上述の通りである。
水溶性セルロース系増粘剤が0.2%以下であると、グラウト材の水中不分離性が低下し(セメント粒子が拡散して)、pHが上昇した。
水溶性セルロース系増粘剤が1.6%以上であると、グラウト材の粘性が大きくなり過ぎ、混練(練混ぜ)が困難になった。
水溶性セルロース系増粘剤が0.3%〜1.5%の範囲では、グラウト材中のセメント粒子の拡散が防止され、pHの上昇が抑制されることが確認された。また、混練(練混ぜ)が困難とはならないことも確認された。実験例7の結果から、水溶性セルロース系増粘剤の上限を1.5%、下限を0.3%に設定した。
[実験例8]
実施形態のグラウト材の混和剤を構成する硬化促進剤(塩化カルシウム或いは亜硝酸塩)について、同様な実験を行った。
実施例と概略同一の組成であるが、添加する硬化促進剤の量を調整し、粉体(P)全体に対する硬化促進剤の比率(質量%)を0.1%ずつ変動させて、一軸圧縮強度、pH、混練(練混ぜ)の困難性、流動性状/硬化性状について、実験を行った。各実験の実施要領は上述した通りである。
硬化促進剤(塩化カルシウム或いは亜硝酸塩)が0.9%以下であると、グラウト材の初期強度(一軸圧縮強度)のが著しく低下した。
硬化促進剤が10.1%以上であると、グラウト材の粘性が増加し、混練(練混ぜ)が困難になった。また、発熱によるひび割れが生じた。
硬化促進剤が1%〜10%では、グラウト材の初期強度(一軸圧縮強度)は低下せず、粘性が増加し混練(練混ぜ)が困難になることもなく、さらに発熱によるひび割れが生じることなく、硬化が促進することが確認された。実験例8の結果から、硬化促進剤の上限を10%、下限を1%に設定した。
なお実験例8で、硬化促進剤として塩化カルシウムを選択した場合も、亜硝酸塩を選択した場合も、粉体(P)全体に対する硬化促進剤の比率(質量%)の上限を10%、下限を1%という結果は同一であった。
[実験例9]
実施形態のグラウト材の混和剤を構成する高性能AE減水剤(ポリカルボン酸エーテル系化合物を主成分とする減水剤)の含有量について、実験を行った。
実験例9のサンプルの組成は実施例と概略同一であるが、高性能AE減水剤(ポリカルボン酸エーテル系化合物を主成分とする減水剤)を添加し、その添加量を、粉体(P)全体に対する高性能AE減水剤の比率(質量%)を0.2%ずつ変動させて、流動性状/硬化性状について実験を行った。流動性状/硬化性状の実験要領は上述した通りである。
高性能AE減水剤が3.2%以上であると、減水効果が収束してグラウト材の流動性がほとんど向上しなかった。
高性能AE減水剤が3%以下では、良好なコストパフォーマンスを維持した上で、グラウト材の必要な流動性が確保された。実験例9の結果から、高性能AE減水剤の上限を3%に設定した。
[実験例10]
実施形態のグラウト材の混和剤を構成する消泡剤(例えば、脂肪族アルコールアルコキシレート系化合物を主成分とする消泡剤)の含有量について、実験を行った。
実験例10で用いたサンプルの組成は実施例と概略同一であるが、消泡剤(例えば、脂肪族アルコールアルコキシレート系化合物を主成分とする消泡剤)を添加し、粉体(P)全体に対する消泡剤の比率(質量%)を0.1%ずつ変動させて、一軸圧縮強度、pH、混練(練混ぜ)の困難性について実験を行った。一軸圧縮強度、pH、混練(練混ぜ)の各実験要領は上述した通りである。
消泡剤が1.1%以上であると、消泡効果(グラウト材内の空気の形成を抑制し、硬化前のpHの上昇、硬化後の強度の低下を防止する)が収束した。
消泡剤が1%以下では、良好なコストパフォーマンスを維持した上で、グラウト材硬化前において、pHの上昇が抑制されると共に、グラウト材が硬化した後において、強度低下が抑制された。実験例10の結果から、消泡剤の上限を1%に設定した。
[実験例11]
実施形態のグラウト材の混和剤を構成する粘土鉱物(酸性白土、セピオライト、或いはベントナイト)の含有量について、同様な実験を行った。
実験例11のサンプルの組成は実施例と概略同一であるが、添加する粘土鉱物の量を調整し、粉体(P)全体に対する硬化促進剤の比率(質量%)を0.5%ずつ変動させて、混練(練混ぜ)の困難性について、実験を行った。混練(練混ぜ)の困難性については、触覚により判断した。
粘土鉱物が5.5%以上であるとグラウト材の粘性が大きくなり過ぎて、混練(練混ぜ)、ポンプ圧送が困難になった。
粘土鉱物が5%以下では、グラウト材は良好な粘性により混錬可能な状態を維持し、ポンプ圧送が可能であった。実験例11の結果から、粘土鉱物の上限を5%に設定した。
実験例11において、粘土鉱物として酸性白土を選択した場合、セピオライトを選択した場合、ベントナイトを選択した場合の何れにおいても結果は同一であり、粉体(P)全体に対する硬化促進剤の比率(質量%)の上限は5%であった。
[実験例12]
実施形態の骨材を構成する珪砂(珪砂5号、珪砂7号)の含有量について、実験を行った。
実験例12で用いたサンプルの組成は実施例と概略同一であるが、添加する珪砂の量を調整し、粉体(P)全体に対する珪砂の比率(容積%)を5%ずつ変動させて、一軸圧縮強度、pH、混練(練混ぜ)の困難性について実験を行った。一軸圧縮強度、pH、混練(練混ぜ)の困難性に関する実験要領は、上述した通りである。
珪砂が205%以上であると、グラウト材の粘性が大きくなり過ぎて、混練(練混ぜ)、ポンプ圧送が困難になった。
珪砂が200%以下では、グラウト材は良好な粘性により混錬可能な状態を維持し、ポンプ圧送が可能であった。実験例12の結果から、珪砂の上限を200%に設定した。
実験例12において、珪砂5号を用いた場合も珪砂7号を用いた場合も同一の結果となり、その上限は粉体(P)全体に対する珪砂の比率(容積%)で200%だった。
本発明の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではないことを付記する。

Claims (1)

  1. 粉体と混和剤と骨材を包含し、
    粉体は、普通ポルトランドセメントと、高炉スラグと、フライアッシュ及び/又はシリカフュームと、無水石こうであり、
    混和剤は、増粘剤と、硬化促進剤と、減水剤と、粘土鉱物と、消泡剤を含み、
    水中で打設された際の硬化に伴うpHの上昇を抑制することが求められるグラウト材において、
    硬化促進剤は亜硝酸塩であり、
    粘土鉱物はセピオライト及び/又は酸性白土であり、
    骨材は珪砂であり、珪砂の量は粉体の200容量%以下であることを特徴とするグラウト材。
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