JP6936261B2 - 不燃化木材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、不燃化木材の製造方法に関するものである。
従来、建築物の内装材及び外装材等に用いられる木質基材に難燃剤の水溶液を含浸させて乾燥させることで、木質基材を不燃化木材とする技術が開発されている。この種の不燃化木材の中には、表面に塗装を施すことにより、塗膜が形成されたものがある(例えば、下記特許文献1を参照)。
特許文献1には、難燃剤を含ませた木質基材の表面にアルコキシ金属塩系塗料からなる塗膜を形成した不燃化木材が開示されている。特許文献1では、塗膜の断熱効果によって不燃化木材の不燃性能を高めることとしている。
また、不燃化木材は、水溶性の難燃剤を含むため、通常の木質基材に比べて吸湿し易いが、上記不燃化木材では、塗膜によって木質基材内部への水分の浸入が抑制されるため、吸収した水分に難燃剤が溶出して表面で結晶化する白華現象を生じ難くすることも可能である。
特開2006−231652号公報
しかしながら、上記不燃化木材では、木質基材の表面に難燃剤が存在することにより、その上に形成される塗膜が表面に密着し難く、塗膜剥離が生じ易かった。不燃化木材において塗膜剥離が生じると、見栄えが悪くなって商品価値が低下する上、塗膜を形成することで得られる上述の種々の効果が得られなくなる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、密着性の高い塗膜を形成可能な不燃化木材の製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明では、木質基材に難燃剤の水溶液を含浸させた後、木質基材の表面を塗装する前に、木質基材の表面を洗浄水で洗浄することにより、塗膜密着性の低下の要因となる木質基材の表面の難燃剤を取り除くこととした。
また、本願発明者等は、木質基材に難燃剤の水溶液を含浸させた後、木質基材を乾燥させないまま表面を洗浄しても、洗浄の効果が得られないことを見出した。
具体的には、本願発明者等は、木質基材に難燃剤の水溶液を含浸させた後、木質基材を乾燥させずに表面を洗浄する場合、表面の難燃剤を取り除けたとしても、すぐに内部の難燃剤が表面に染み上がってしまうことを見出した。また、本願発明者等は、木質基材に難燃剤の水溶液を含浸させた後、木質基材を乾燥させずに表面を洗浄する場合、表面の洗浄後に木質基材全体を乾燥させる際に、蒸発する水分と共に難燃剤が木質基材の表面まで染み上がってしまうことを見出した。
そこで、本発明では、木質基材に難燃剤の水溶液を含浸させた後、木質基材の表面を洗浄水で洗浄する前に、一旦木質基材を乾燥させることとした。
具体的には、第1の発明は木質基材に難燃剤の水溶液を含浸させる含浸工程と、上記難燃剤の水溶液を含浸した上記木質基材全体を乾燥させる全体乾燥工程と、上記全体乾燥工程より後に行われ、上記木質基材の晩材部を含む表面に塗膜を形成する塗装工程とを備えた不燃化木材の製造方法であって、上記全体乾燥工程と上記塗装工程との間に行われ、洗浄水で上記木質基材の晩材部を含む表面を洗浄することにより、上記含浸工程時に上記木質基材の晩材部を含む表面に付着した上記難燃剤及び上記全体乾燥工程時に上記木質基材の晩材部を含む表面まで染み出して結晶化して付着した上記難燃剤を除去する表面洗浄工程と、上記表面洗浄工程と上記塗装工程との間に行われ、上記表面洗浄工程において上記洗浄水で濡れた上記木質基材の晩材部を含む表面を乾燥させる表面乾燥工程とを備え、上記難燃剤は、20℃の水に対する溶解度が35.9g/100ml以下であり、上記洗浄水は水であり、上記表面洗浄工程では、上記洗浄水が、上記表面乾燥工程において上記木質基材の内部の上記難燃剤が上記木質基材の表面に染み上がる程上記木質基材の内部まで浸透しないように上記木質基材の表面を洗浄することを特徴とするものである。
の発明では、木質基材に難燃剤の水溶液を含浸させた後、木質基材の表面を塗装する前に、木質基材の表面を洗浄水で洗浄することとし、さらに、木質基材の表面を洗浄水で洗浄する前に、難燃剤の水溶液を含浸させた木質基材全体を一旦乾燥させることとしている。このように木質基材の内部が乾燥した状態で表面のみを洗浄することとしたため、木質基材の内部の難燃剤を表面まで染み上がらせることなく木質基材の表面に付着した難燃剤を洗浄水で洗い流すことができる。また、表面洗浄後の表面乾燥時には、表面洗浄によって木質基材の表層部に浸透した洗浄水だけを蒸発させればよいため、木質基材の内部に含まれる多量の難燃剤が蒸発する洗浄水と共に木質基材の表面まで染み上がることもない。そのため、塗装工程時に、塗膜密着性の低下の要因となる難燃剤を木質基材の表面から取り除いた状態で塗膜を形成することができる。従って、第1の発明によれば、密着性の高い塗膜を形成可能な不燃化木材の製造方法を提供することができる。また、この製造方法により、塗膜剥離が起こり難い見栄えのよい不燃化木材を製造することができる。
ところで、溶解度の高い難燃剤を用いると、木質基材の表面を洗浄する際に木質基材の表層部に浸透した洗浄水に難燃剤が溶解し易くなる。そのため、溶解度の高い難燃剤を用いると、表面洗浄時に浸透した洗浄水に木質基材の表層部に含まれる難燃剤が溶解し、表面乾燥時に洗浄水と共に難燃剤が表面に染み出して塗膜密着性を低下させる虞がある。
そこで、第の発明では、木質基材に含浸させる難燃剤として、20℃の水に対する溶解度が35.9g/100ml以下の薬剤を用いることとした。これにより、木質基材の表面を洗浄する際に木質基材の表層部に浸透した洗浄水に難燃剤が溶解し難くなる。よって、表面乾燥時に、洗浄水と共に難燃剤を表面まで染み上がらせることなく表面洗浄によって濡れた表面を乾燥させることができる。
の発明は、第の発明において、上記全体乾燥工程の終了後、上記全体乾燥工程と上記表面洗浄工程との間に行われ、上記木質基材の表面を凹凸状の粗面に加工する粗面化処理工程を備えていることを特徴とするものである。
の発明では、木質基材の表面を凹凸状の粗面に形成することにより、塗膜が付着する表面積が増加するため、塗膜密着性をより向上させることができる。
の発明は、第1又は第2の発明において、上記表面乾燥工程では、常温以上の温度の乾燥機内で上記木質基材が気乾状態になるまで上記木質基材を30分以内に強制乾燥させることを特徴とするものである。
の発明では、表面乾燥工程において、常温以上の温度の乾燥機内で気乾状態になるまで木質基材を30分以内に強制乾燥させることにより、木質基材を自然乾燥させる場合に比べて、洗浄水の蒸発が促進され、短時間で木質基材を乾燥させることができる。
ところで、表面洗浄工程において洗浄水で濡れた木質基材の表面を短時間で乾燥させず、自然乾燥で長時間かけて乾燥させる場合、湿度が高い条件下では、木質基材の表面の洗浄水がすぐに蒸発し難く、一旦木質基材に浸透した後、徐々に蒸発することとなる。このような場合、木質基材の内部の難燃剤が一旦木質基材に浸透した洗浄水に溶解してしまうため、洗浄水が蒸発する際に、難燃剤が木質基材の表面まで染み上がり、塗膜密着性を低下させる虞がある。
しかしながら、第の発明によれば、上述のように、表面乾燥工程において木質基材を30分以内に乾燥させることとしている。そのため、表面洗浄工程において木質基材の表面に付着した洗浄水を迅速に蒸発させることで、洗浄水が木質基材の内部に浸透するのを抑制し、木質基材の内部の難燃剤が洗浄水に再溶解して塗膜密着性を低下させるのを抑制することができる。
以上説明したように、本発明によると、木質基材の難燃剤の水溶液からなる難燃剤の水溶液を含浸させた後、木質基材の表面に塗装を施す前に、一旦木質基材を乾燥させた上で、木質基材の表面を洗浄することにより、密着性の高い塗膜を形成可能な不燃化木材の製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の実施形態1に係る不燃化木材の構造を示す断面図である。 図2は、本発明の実施形態2に係る不燃化木材の製造方法を示すフローチャートである。 図3Aは、本発明の実施形態2に係る不燃化木材の製造方法を構成する各工程における木質基材の状態を示す図であり、(a)は含浸工程において木質基材に難燃剤を含浸させている状態を示し、(b)は全体乾燥工程において木質基材を乾燥させている状態を示し、(c)は粗面化処理工程において木質基材の表面を粗面に加工している状態を示している。 図3Bは、本発明の実施形態2に係る不燃化木材の製造方法を構成する各工程における木質基材の状態を示す図であり、(d)は表面洗浄工程において木質基材の表面を洗浄している状態を示し、(e)は表面乾燥工程において木質基材を乾燥させている状態を示し、(f)は塗装工程において木質基材の表面に塗膜層を形成している状態を示している。 図4は、本発明に係る製造方法による不燃化木材における塗膜密着効果を検証するための試験1の試験結果を示す表である。 図5は、本発明に係る製造方法による不燃化木材における塗膜密着効果を検証するための試験2の試験結果を示す表である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態は、本質的に好ましい例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
《発明の実施形態1》
図1は、本発明の実施形態1に係る難燃剤が含浸された不燃化木材10を示し、この不燃化木材10は、例えば、建築物の内装材や外装材等に用いられる。
−構成−
不燃化木材10は、木質材料からなる平板状の木質基材11と、その片面である表面に形成された塗膜層12(塗膜)とを有している。
[木質基材]
木質基材11は、無垢材、無垢集成材、集成材を使用することができ、樹種は限定されない。例えばオーク、バーチ、ビーチやチェリー等の硬さの硬い樹種や、スギ、ツガ、ヒノキ、サワグルミ等の硬さの軟らかい樹種等が用いられる。木質基材11は、例えば、厚み12〜50mm程度の扁平な板状体に形成されている。
木質基材11には、難燃剤が表面11aを除いて全体的に含まれている。難燃剤としては、一般的に使用されるリン酸系、ホウ酸系、ホウ酸・リン酸複合系、リン窒素系等の水溶性の難燃剤のうち、20℃の水に対する溶解度が35.9g/100ml以下のものが適用される。本実施形態では、難燃剤として、20℃の水に対する溶解度が17.0g/100mlのリン酸グアニジンを用いている。
また、木質基材11は、表面11aが、後述する表面処理により、凹凸状の粗面に形成されている。
[塗膜層]
塗膜層12は、樹脂成分を有する塗布剤によって形成されている。塗膜層12は、例えば、アクリル系樹脂やウレタン系樹脂等からなる塗料を、木質基材11の表面11aに塗布することによって、該表面11a上に形成されている。塗膜層12は、樹脂成分を含むため、木質基材11への水分の浸入を阻害する障壁となる。特に、塗膜層12は、木質基材11への水分の浸入を抑制する効果が発揮されるように、吸水率の低い樹脂成分を含む塗料で形成することが好ましい。
なお、塗膜層12は、不燃化木材10の不燃性能を向上させるために、不燃塗料組成物を有するものであってもよい。その場合、不燃塗料組成物は、所定値以上の純度(モンモリロナイト含有率)を有する高純度の精製ベントナイトの微粉末と、無機非晶性フィラーと、ソープフリーのエマルジョン樹脂とが含有されているものである。また、上記高純度の精製ベントナイト微粉末の純度は、モンモリロナイト含有率85重量%以上が好ましく、95重量%以上が最も好ましい。
−製造方法−
以下、本発明の実施形態1に係る不燃化木材10の製造方法について図2、図3A及び図3Bに基づいて説明する。
不燃化木材10の製造方法は、含浸工程S11と、全体乾燥工程S12と、切削研磨工程S13と、粗面化処理工程S14と、表面洗浄工程S15と、表面乾燥工程S16と、塗装工程S17とを有する。なお、以下で説明する工程の順序は、一例にすぎず、本発明に係る製造方法はこれに限られない。
(1)含浸工程
まず、含浸工程S11を行う。含浸工程S11では、木材からなる木質基材11に難燃剤の水溶液を含浸させて不燃化木材とする不燃化処理を行う。本実施形態では、木質基材11は、減圧加圧含浸処理によって不燃化される。
具体的には、まず、木質基材11を、例えば、真空バッチ式のチャンバからなる圧力容器内に置き、該圧力容器内を−0.07MPaに減圧し、30分間その状態を維持する(減圧処理)。この減圧処理により、木質基材11の導管等に含まれる空気が除去される。その後、圧力容器内に難燃剤の水溶液を注入して木質基材11を難燃剤の水溶液中に浸漬させた状態で圧力容器内を1MPaに加圧し、1時間その状態を維持する(加圧処理)。その後、大気圧に戻し、難燃剤の水溶液中に浸漬させた状態で2時間放置する。これにより、木質基材11の導管等の空隙に難燃剤の水溶液が染み込む。
なお、含浸工程S11では、木質基材11に対し、189±33kg/mの難燃剤が含まれるように、必要に応じて難燃剤の水溶液を加温(例えば、40℃〜80℃)してから、圧力容器内に注入することとしてもよい。
以上のような含浸工程S11を行うことにより、木質基材11に難燃剤の水溶液が含浸される(図3Aの(a)の状態)。
(2)全体乾燥工程
次に、全体乾燥工程S12を行う。全体乾燥工程S12では、木質基材11に含まれる難燃剤の水溶液の水分を蒸発させることによって木質基材11を乾燥させる(図3Aの(b)の状態)。全体乾燥工程S12は、例えば、60℃の乾燥機内に木質基材11を2週間程度置くことによって、木質基材11を強制乾燥させるものである。この全体乾燥工程S12により、木質基材11に含浸させた難燃剤の水溶液の水分が除去され、木質基材11が乾燥する。
(3)切削研磨工程
次に、切削研磨工程S13を行う。切削研磨工程S13では、まず、モルダー等で木質基材11を切削し、木質基材11を最終製品の形状に成形する。その後、研磨紙等によって木質基材11の表面11aを研磨する。通常、木材の切断面はささくれ立った状態であるが、この切削研磨工程S13により、木質基材11の表面11aのささくれが無くなり、平滑な状態となる。
なお、切削研磨工程S13を切削工程と研磨工程とに分け、切削工程を含浸工程S11の前に行うこととしてもよい。
(4)粗面化処理工程
次に、粗面化処理工程S14を行う。粗面化処理工程S14では、研磨によって平滑な状態となった木質基材11の表面11aを、凹凸状の粗面となるように加工する。本実施形態では、図3Aの(c)に示すように、サンドブラスト20によって砂21を木質基材11の表面11aにぶつけることにより、木質基材11の表面11aが、微細な凹凸状の粗面に加工される。なお、粗面化処理工程S14は、本発明に係る不燃化木材の製造方法に必須の工程ではなく、省略することも可能であるが、本実施形態では、塗膜密着性をさらに高めるために行っている。
(5)表面洗浄工程
次に、表面洗浄工程S15を行う。表面洗浄工程S15では、粗面化処理工程S14によって粗面に加工された木質基材11の表面11aを洗浄する。具体的には、木質基材11の表面11aに洗浄水をスプレーで100g/m以上吹き付け、表面11aに残った洗浄水をウェスでかき落とすことによって、木質基材11の表面11aを洗浄する。これにより、粗面化された木質基材11の表面11aの不要な難燃剤が洗い流される(図3Bの(d)の状態)。
ここで、表面洗浄工程S15を行う前、木質基材11の表面11aには、含浸工程S11と全体乾燥工程S12とによって難燃剤が付着している(図3Aの(b)及び(c)を参照)。具体的には、含浸工程S11では、難燃剤の水溶液を木質基材11に含浸させる際に表面11aに難燃剤が付着する。一方、全体乾燥工程S12では、木質基材11の内部に含まれる難燃剤が蒸発する水分と共に表面11aまで染み出して結晶化することにより、表面11aに難燃剤が付着する。その後、切削研磨工程S13及び粗面化処理工程S14によって木質基材11の表面処理を行っても、木質基材11全体に難燃剤が含まれているため、表面処理によって新たな難燃剤を含む表面11aが形成されるだけで、木質基材11の表面11aに難燃剤が付着した状態は変わらない。
表面洗浄工程S15では、このようにして難燃剤が付着した木質基材11の表面11aを洗浄することによって木質基材11の表面11aから難燃剤を除去するものである。
なお、木質基材11の表面11aに吹き付ける洗浄水の量は、100g/m以上が好ましい。100g/m未満(例えば、50g/m)の洗浄水では、木質基材11に洗浄水が吸い込まれるために、表面11aの難燃剤を洗い流し難いためである。
上記表面洗浄工程S15は、木質基材11の表面11aに洗浄水を吹き付けて洗浄する他、木質基材11の表面11aに100g/m以上の洗浄水を掛け流すことによって洗浄してもよい。
(6)表面乾燥工程
次に、表面乾燥工程S16を行う。表面乾燥工程S16では、表面洗浄工程S15において洗浄水で濡れた木質基材11の表面を乾燥させる(図3Bの(e)の状態)。表面乾燥工程S16は、木質基材11を常温以上の温度の乾燥機内に入れて所定時間の間放置することにより、木質基材11を強制乾燥させるものである。例えば、表面洗浄工程S15後の木質基材11を、60℃の乾燥機内に入れ、20分放置することによって木質基材11の表面11aに付着した洗浄水を蒸発させて木質基材11を強制乾燥させる。
なお、全体乾燥工程S12では、含浸工程S11によって木質基材11の内部まで難燃剤の水溶液が染み込んでいるため、木質基材11の内部に含まれた難燃剤の水溶液の水分の蒸発に伴って木質基材11の内部の難燃剤の一部が表面11aまで染み出す虞があったが、表面乾燥工程S16では、含浸工程S11によって木質基材11の内部まで染み込んだ難燃剤の水溶液の水分は、既に全体乾燥工程S12によって蒸発しているため、表面洗浄工程S15によって木質基材11の表面11aに付着した洗浄水を蒸発させるだけでよい。
また、上述のように、含浸工程S11の終了後、全体乾燥工程S12を行う際に、木質基材11の内部に含まれた難燃剤が木質基材11の内部に含浸された難燃剤の水溶液の水分の蒸発に伴って木質基材11の表面11aに染み出したとしても、表面洗浄工程S15を行うことにより、木質基材11の表面11aから難燃剤が除去されている。
このように、表面乾燥工程S16では、蒸発させるべき洗浄水が付着した木質基材11の表面11aには難燃剤がほとんどなく、また、難燃剤が多量に含まれる木質基材11の内部は既に乾燥しており、水分を蒸発させる必要がない。つまり、表面乾燥工程S16では、難燃剤がほとんどない木質基材11の表面11aに付着した洗浄水を蒸発させるだけでよい。そのため、木質基材11の内部に含まれた難燃剤を表面11aに染み出させずに、表面洗浄工程S15によって濡れた表面11aを乾燥させることができる。
また、表面乾燥工程S16では、乾燥機を用いて木質基材11を強制乾燥させることとしている。そのため、表面洗浄工程S15において木質基材11の表面11aに付着した洗浄水を、木質基材11を自然乾燥させる場合に比べて迅速に蒸発させることができる。
ところで、表面洗浄工程S15において木質基材11の表面11aに付着した洗浄水を上述のように短時間で乾燥させず、例えば、長時間かけて自然乾燥させる場合、特に、湿度が高い条件下では、木質基材11の表面11aに付着した洗浄水が蒸発し難く、一旦木質基材11の内部に浸透した後、徐々に蒸発することとなる。このような場合、木質基材11の内部に含まれる難燃剤が一旦木質基材11に浸透した洗浄水に溶解してしまうため、洗浄水が蒸発する際に、難燃剤が木質基材11の表面11aまで染み上がり、塗膜密着性を低下させる虞がある。
これに対し、本実施形態では、上述のように、表面乾燥工程S16において木質基材11を強制乾燥させることとしているため、木質基材11の表面11aに付着した洗浄水を迅速に蒸発させることで木質基材11の内部への浸透を抑制し、木質基材11の内部の難燃剤の再溶解を抑制して木質基材11の表面11aへの難燃剤の溶出を抑制することができる。
(7)塗装工程
次に、塗装工程S17を行う。塗装工程S17は、表面乾燥工程S16において乾燥させた木質基材11の表面11aに塗料を塗布し、木質基材11の表面11aを覆う塗膜層12を形成するものである(図3Bの(g)の状態)。
このとき、木質基材11の表面11aは、粗面化処理工程S14において微細な凹凸状の粗面に加工されているため、塗料が付着する表面積が増加し、塗膜層12の密着性が向上する。
また、上述のように、全体乾燥工程S12と表面洗浄工程S15と表面乾燥工程S16とをこの順で行うことにより、木質基材11の表面11aに難燃剤がほとんど染み出していない状態で木質基材11の表面11aに塗装が施されることとなる。そのため、難燃剤を含浸させた木質基材11の表面11aに密着性の高い塗膜層12を形成することができる。
以上の工程により、木質基材11の内部に難燃剤が含まれ、木質基材11の表面11aが密着性の高い塗膜層12によって覆われた塗膜剥離が生じ難い不燃化木材10が形成される。
−実施形態1の効果−
以上のように、本実施形態1の製造方法によれば、木質基材11に難燃剤の水溶液を含浸させた後、木質基材11の表面11aを塗装する前に、木質基材11の表面11aを洗浄水で洗浄することとし、さらに、木質基材11の表面11aを洗浄水で洗浄する前に、難燃剤の水溶液を含浸させた木質基材11全体を一旦乾燥させることとしている。このように木質基材11の内部が乾燥した状態で表面11aのみを洗浄することとしたため、木質基材11の内部の難燃剤を表面11aまで染み上がらせることなく木質基材11の表面11aに付着した難燃剤を洗浄水で洗い流すことができる。また、表面洗浄後の表面乾燥時には、表面洗浄によって木質基材11の表層部に浸透した洗浄水だけを蒸発させればよいため、木質基材11の内部に含まれる多量の難燃剤が蒸発する洗浄水と共に木質基材11の表面11aまで染み上がることもない。そのため、塗装工程S17を行う際に、塗膜密着性の低下の要因となる難燃剤を木質基材11の表面11aから取り除いた状態で塗膜層12を形成することができる。従って、本実施形態1の製造方法によれば、密着性の高い塗膜層12(塗膜)を形成可能な不燃化木材10の製造方法を提供することができる。また、この製造方法により、塗膜剥離が起こり難い見栄えのよい不燃化木材10を製造することができる。
ところで、溶解度の高い難燃剤を用いると、木質基材11の表面11aを洗浄する際に木質基材11の表層部に浸透した洗浄水に難燃剤が溶解し易くなる。そのため、溶解度の高い難燃剤を用いると、表面洗浄時に浸透した洗浄水に木質基材11の表層部に含まれる難燃剤が溶解し、表面乾燥時に洗浄水と共に木質基材11の内部の難燃剤が表面11aに染み出して塗膜密着性を低下させる虞がある。
そこで、本実施形態1の製造方法では、木質基材11に含浸させる難燃剤として、20℃の水に対する溶解度が35.9g/100ml以下のリン酸グアニジン(20℃の水に対する溶解度が17.0g/100ml)を用いることとしている。これにより、木質基材11の表面11aを洗浄する際に木質基材11の表層部に浸透した洗浄水に難燃剤が溶解し難くなる。よって、表面乾燥時に、洗浄水と共に難燃剤を表面まで染み上がらせることなく表面洗浄によって濡れた表面11aを乾燥させることができる。
また、本実施形態1の製造方法のように、含浸工程S11の終了後、表面洗浄工程S15の前に、サンドブラスト等によって木質基材11の表面11aに表面処理を施して凹凸状の粗面に形成する場合には、木質基材11の表面11aに対して塗膜層12が付着する表面積が増加し、塗膜密着性をより向上させることができる。
また、本実施形態1の製造方法によれば、表面洗浄工程S15の後の表面乾燥工程S16において、木質基材11を強制乾燥させることとしている。そのため、木質基材11を自然乾燥させる場合に比べて、表面洗浄工程S15によって木質基材11の表面11aに付着した洗浄水の蒸発が促進され、短時間で木質基材11を乾燥させることができる。
ところで、表面洗浄工程S15において木質基材11の表面11aに付着した洗浄水を短時間で乾燥させず、自然乾燥で長時間かけて乾燥させる場合、湿度が高い条件下では、木質基材11の表面11aの洗浄水が蒸発し難く、一旦木質基材11の内部に浸透した後、徐々に蒸発することとなる。このような場合、木質基材11の内部に含まれる難燃剤が一旦木質基材11に浸透した洗浄水に溶解してしまうため、洗浄水が蒸発する際に、難燃剤が木質基材11の表面11aまで染み上がり、塗膜密着性を低下させる虞がある。
しかしながら、本実施形態1の製造方法によれば、上述のように、表面乾燥工程S16において木質基材11を強制乾燥させることとしている。そのため、表面洗浄工程S15において木質基材11の表面11aに付着した洗浄水を迅速に蒸発させることで、洗浄水が木質基材11の内部に浸透するのを抑制し、木質基材11の内部の難燃剤が洗浄水に再溶解して塗膜密着性を低下させるのを抑制することができる。
《試験による効果の検証》
<試験1>
本願発明者等は、本発明に係る製造方法による塗膜密着効果を検証するため、図4に示すように、薬液濃度、洗浄の有無、洗浄回数、洗浄のタイミング等の処理条件の異なる8種の不燃化木材10(試験体1〜8)を準備して塗膜密着性試験を行った。
[試験体の準備]
8枚の15×100×100mmのスギ板目板からなる木質基材11を準備し、それぞれ異なる処理を施し、8種の不燃化木材10(試験体1〜8)を準備した。
まず、全ての木質基材11に対し、難燃剤の水溶液を含浸させる含浸処理を行った(含浸工程)。試験体1〜4になる木質基材11には、薬液濃度15%のリン酸グアニジンの水溶液を含浸させ、試験体5〜8になる木質基材11には、薬液濃度30%のリン酸グアニジンの水溶液を含浸させた。なお、含浸の方法については、実施形態1の含浸工程と同様にした。試験体1〜4になる木質基材11には、100〜130kg/mのリン酸グアニジンを含浸させ、試験体5〜8になる木質基材11には、200〜260kg/mのリン酸グアニジンを含浸させた。
次に、試験体2,4,6,8になる木質基材11に対し、表面11aを洗浄する洗浄処理を行った(第1洗浄工程)。具体的には、木質基材11の表面11aに洗浄水(水又は酸、アルカリ、界面活性剤等の微量な添加剤を含む水溶性液体。本実施形態では水道水)をかけ流すことによって、木質基材11の表面11aを洗浄した。
なお、試験体1,3,5,7になる木質基材11に対しては、第1洗浄工程を行わなかった。
次に、全ての木質基材11に対し、木質基材11全体を乾燥させる乾燥処理を行った(全体乾燥工程)。具体的には、難燃剤の水溶液が含浸された木質基材11を60℃の乾燥機内に1週間置くことによって、木質基材11を強制乾燥させた。
全体乾燥工程の後、全ての木質基材11に対し、表面11aを研磨する研磨処理を行った(研磨工程)。具体的には、サンドペーパー(粒度150)で、木質基材11の表面11aを研磨することによって、木質基材11の表面11aを平滑にした。
次に、試験体1,2,5,6になる木質基材11に対し、表面11aを洗浄する洗浄処理を行った(第2洗浄工程)。具体的には、実施形態1の表面洗浄工程S15と同様に、木質基材11の表面11aに100g/m以上の洗浄水をスプレーで吹き付け、表面11aに残った洗浄水をウェスでかき落とすことによって、木質基材11の表面11aを洗浄した。
なお、試験体3,4,7,8になる木質基材11に対しては、第2洗浄工程を行わなかった。
次に、第2洗浄工程を行った試験体1,2,5,6になる木質基材11に対し、第2洗浄工程で濡れた木質基材11の表面11aを乾燥させる乾燥処理を行った(表面乾燥工程)。具体的には、実施形態1の表面乾燥工程S16と同様に、第2洗浄工程後の木質基材11を60℃の乾燥機内に入れ、20分放置することによって木質基材11の表面11aに付着した洗浄水を蒸発させて木質基材11を強制乾燥させた。
なお、第2洗浄工程を行わなかった試験体3,4,7,8になる木質基材11に対しては、表面乾燥工程も行わなかった。
最後に、全ての木質基材11に対し、表面11aに塗装処理(溶剤ウレタン塗装3回塗り)を施して塗膜層12を形成した(塗装工程)。
以上のようにして、8種の不燃化木材10(試験体1〜8)を準備した。
[試験方法]
試験体1〜8に対し、塗膜密着性試験を行った。具体的には、まず、試験体1〜8を、木質基材11が吸湿し易い温度40℃、相対湿度90%の高温多湿の環境下に1週間放置して吸湿させた後、各試験体1〜8の塗膜層12に、2mm間隔で木質基材11まで達する碁盤目状の切り込み(100升目分)を入れ、その碁盤目の部分にセロハンテープを接着させた後、セロハンテープを端から一気に剥がし、剥がれた碁盤目の個数によって塗膜密着性を判定する碁盤目試験を行った。なお、碁盤目試験は、各試験体1〜8の木質基材11の晩材部が含まれるように行った。
[試験結果]
試験体1〜8における塗膜密着効果の試験結果は、図4の表に示すような結果となった。図4の表では、試験体1の試験結果が最も上段に記載され、下段に向かって試験体2,3,…,8の順に試験結果が記載されている。なお、図4中、〇×印は、上段に記載の工程の有無を示し、○印は工程あり、×印は工程なしを示している。
図4に示すように、含浸工程と塗装工程との間で洗浄工程を1回も行わなかった試験体1,5については、いずれも塗膜剥離が生じた。特に、晩材部においては、ほぼ全域において塗膜剥離が生じた。一方、含浸工程と塗装工程との間で洗浄工程を2回行った(第1洗浄工程と第2洗浄工程の両方を行った)試験体4,8については、いずれも塗膜剥離が生じなかった。
また、含浸工程と塗装工程との間で洗浄工程を1回だけ行った試験体2,3,6,7のうち、第1洗浄工程を行わず、全体乾燥工程と第2洗浄工程と表面乾燥工程を行った試験体3,7については、いずれも塗膜剥離が生じなかった。一方、第1洗浄工程と全体乾燥工程とを行い、第2洗浄工程と表面乾燥工程を行わなかった試験体2,6については、いずれも塗膜剥離が生じた。特に、晩材部においては、ほぼ全域において塗膜剥離が生じた。
以上の試験1により、含浸工程と塗装工程との間で洗浄工程を全く行わない(第1洗浄工程も第2洗浄工程も行わない)と塗膜剥離が生じることが検証された。また、含浸工程と塗装工程との間で洗浄工程を1回だけ行う場合のうち、含浸工程を行った後、木質基材全体を乾燥させることなく洗浄工程を行う場合、即ち、第1洗浄工程のみを行う場合には、塗膜剥離が生じることが検証された。一方、含浸工程と塗装工程との間で洗浄工程を1回だけ行う場合のうち、含浸工程を行った後、木質基材全体を乾燥させた後に洗浄工程を行う場合、即ち、全体乾燥工程を行った後に第2洗浄工程を行う場合には、塗膜剥離が生じないことが検証された。さらに、含浸工程と塗装工程との間で2回洗浄工程と全体乾燥工程とを繰り返す場合も、塗膜剥離が生じないことが検証された。
以上の検証結果より、含浸工程と塗装工程との間において、少なくとも木質基材11に含浸された難燃剤の水溶液の水分を蒸発させる全体乾燥工程の後に第2洗浄工程(表面洗浄工程)を行うと、塗膜剥離が生じない塗膜密着性の高い塗膜層12を形成することができることがわかる。これは、前述したように、木質基材11に含浸された難燃剤の水溶液の水分を蒸発させる全体乾燥工程を行う際に、木質基材11の内部に含まれた難燃剤が蒸発する水分と共に木質基材11の表面11aまで染み出す虞があるが、全体乾燥工程の後に第2洗浄工程を行う場合、全体乾燥工程の際に木質基材11の内部に含まれた難燃剤が蒸発する水分と共に木質基材11の表面11aまで染み出したとしても、その後の第2洗浄工程によって木質基材11の表面11aから難燃剤が除去されるため、木質基材11の表面11aから難燃剤が除去された状態で塗装工程を行うことができるためである。
なお、上記試験1では、濃度の異なる2種の薬液(薬液濃度15%のリン酸グアニジンの水溶液、薬液濃度30%のリン酸グアニジンの水溶液)を用いたが、薬液濃度の違いによる効果の違いは見られなかった。
以上により、含浸工程と塗装工程との間において、木質基材全体を乾燥させる全体乾燥工程の後に木質基材の表面を洗浄する表面洗浄工程を行う実施形態1の製造方法によって塗膜密着性の高い不燃化木材10を製造することができることが検証された。
<試験2>
本願発明者等は、本発明に係る製造方法による不燃化木材における塗膜密着効果を検証するため、図5に示すように、薬液及び洗浄の有無を変えて製造した試験体11〜22を準備して塗膜密着性試験を行った。
[試験体の準備]
12枚の15×100×100mmのスギ板目板からなる木質基材11を準備し、それぞれ異なる処理を施し、12種の不燃化木材10(試験体11〜22)を準備した。
まず、全ての木質基材11に対し、難燃剤の水溶液を含浸させる含浸処理を行った(含浸工程)。試験体1,2になる木質基材11には、リン酸グアニル尿素の水溶液を含浸させ、試験体3,4になる木質基材11には、リン酸グアニジンの水溶液を含浸させ、試験体5,6になる木質基材11には、リン酸二水素アンモニウムの水溶液を含浸させ、試験体7,8になる木質基材11には、硫酸アンモニウムの水溶液を含浸させ、試験体9,10になる木質基材11には、リン酸水素二アンモニウムの水溶液を含浸させ、試験体11,12になる木質基材11には、スルファミン酸グアニジンの水溶液を含浸させた。なお、含浸の方法については、実施形態1の含浸工程と同様にし、木質基材11に対し、189±33kg/mの難燃剤を含ませた。
次に、全ての木質基材11に対し、木質基材11全体を乾燥させる乾燥処理を行った(全体乾燥工程)。具体的には、難燃剤の水溶液が含浸された木質基材11を60℃の乾燥機内に1週間置くことによって、木質基材11を強制乾燥させた。
全体乾燥工程の後、試験体1,3,5,7,9,11になる木質基材11に対し、表面11aを洗浄する洗浄処理を行った(表面洗浄工程)。具体的には、実施形態1の表面洗浄工程S15と同様に、木質基材11の表面11aに100g/m以上の洗浄水をスプレーで吹き付け、表面11aに残った洗浄水をウェスでかき落とすことによって、木質基材11の表面11aを洗浄した。
なお、試験体2,4,6,8,10,12になる木質基材11に対しては、表面洗浄工程を行わなかった。
次に、表面洗浄工程を行った試験体1,3,5,7,9,11になる木質基材11に対し、表面洗浄工程で濡れた木質基材11の表面11aを乾燥させる乾燥処理を行った(表面乾燥工程)。具体的には、表面洗浄工程後の木質基材11を60℃の乾燥機内に入れ、5分放置することによって木質基材11の表面11aに付着した洗浄水を蒸発させて木質基材11を強制乾燥させた。
なお、表面洗浄工程を行わなかった試験体2,4,6,8,10,12になる木質基材11に対しては、表面乾燥工程も行わなかった。
最後に、全ての木質基材11に対し、表面11aに塗装処理(溶剤ウレタン塗装3回塗り)を施して塗膜層12を形成した(塗装工程)。
以上のようにして、12種の不燃化木材10(試験体11〜22)を準備した。
[試験方法]
試験体11〜22に対し、塗膜密着性試験を行った。具体的には、まず、試験体11〜22を、木質基材11が吸湿し易い温度40℃、相対湿度90%の高温多湿の環境下に2週間放置して吸湿させた後、各試験体11〜22の塗膜層12に、2mm間隔で木質基材11まで達する碁盤目状の切り込み(100升目分)を入れ、その碁盤目の部分にセロハンテープを接着させた後、セロハンテープを端から一気に剥がし、剥がれた碁盤目の個数によって塗膜密着性を判定する碁盤目試験を行った。なお、碁盤目試験は、各試験体11〜22の木質基材11の晩材部が含まれるように行った。
[試験結果]
試験体11〜22における塗膜密着効果の試験結果は、図5の表に示すような結果となった。図5の表では、試験体11の試験結果が最も上段に記載され、下段に向かって試験体12,13,…,22の順に試験結果が記載されている。なお、図5中、〇×印は、上段に記載の工程の有無を示し、○印は工程あり、×印は工程なしを示している。また、図5に示す各薬剤の溶解度は、20℃の水に対する溶解度を示している。なお、図5に示す各溶解度は、50℃の水に各薬剤を飽和するまで溶解させた後、20℃の環境下に放置した後、析出した薬剤を濾過してその重量を測定し、50℃の水に溶解した薬剤の重量と析出した薬剤の重量とから算出したものである。
図5に示すように、表面洗浄工程及び表面乾燥工程を行わなかった試験体12,14,16,18,20,22については、いずれも塗膜剥離が生じた。一方、表面洗浄工程及び表面乾燥工程を行った試験体11,13,15,17,19,21のうち、20℃の水に対する溶解度が低い(6.2〜35.9g/100ml)難燃剤を用いた試験体11,13,15については、いずれも塗膜剥離が生じなかった。一方、20℃の水に対する溶解度が高い(61.6〜113.1g/100ml)難燃剤を用いた試験体17,19,21については、いずれも塗膜剥離が生じた。そして、塗膜剥離が生じなかった試験体11,13,15で用いた難燃剤のうち、リン酸二水素アンモニウムの20℃の水に対する溶解度が最も高く、35.9g/100mlであった。
以上の試験2により、表面洗浄工程及び表面乾燥工程を行わないと塗膜剥離が生じることが検証された。また、表面洗浄工程及び表面乾燥工程を行っても、溶解度の高い難燃剤を用いると、塗膜剥離が生じることが検証された。一方、表面洗浄工程及び表面乾燥工程を行う場合において、20℃の水に対する溶解度が35.9g/100ml以下の難燃剤を用いれば、塗膜剥離が生じないことが検証された。
以上の検証結果より、含浸工程と塗装工程との間において、木質基材11に含浸された難燃剤の水溶液の水分を蒸発させる全体乾燥工程の後に、木質基材11の表面11aを洗浄する表面洗浄工程と濡れた表面11aを乾燥させる表面乾燥工程とを行っても、溶解度の高い難燃剤を用いると、塗膜剥離が生じることがわかる。これは、前述したように、溶解度の高い難燃剤を用いると、木質基材11の表面11aを洗浄する際に木質基材11の表層部に浸透した洗浄水に難燃剤が溶解し易くなる。そのため、溶解度の高い難燃剤を用いると、表面洗浄時に浸透した洗浄水に木質基材11の表層部に含まれる難燃剤が溶解し、表面乾燥時に洗浄水と共に難燃剤が表面11aに染み出して塗膜密着性を低下させてしまうものと考えられる。
一方、溶解度の低い難燃剤を用いると、具体的には、少なくとも20℃の水に対する溶解度が35.9g/100ml以下の難燃剤を用いると、木質基材11の表面11aを洗浄する際に木質基材11の表層部に浸透した洗浄水に難燃剤が溶解し難くなる。そのため、表面乾燥時に、洗浄水と共に難燃剤を表面11aまで染み上がらせることなく表面洗浄によって濡れた表面11aを乾燥させることができる。そのため、塗膜密着性の低下の要因となる難燃剤を木質基材11の表面11aから取り除いた状態で塗膜層12を形成することができる。つまり、このような難燃剤を用いた不燃化木材の製造方法によれば、密着性の高い塗膜層12が形成されるために、塗膜剥離が起こり難い見栄えのよい不燃化木材10を製造することができる。
以上により、少なくとも20℃の水に対する溶解度が35.9g/100ml以下の難燃剤を用いると、含浸工程と塗装工程との間において、全体乾燥工程の後に表面洗浄工程と表面乾燥工程とを行う実施形態1の製造方法によって塗膜密着性の高い不燃化木材10を製造することができることが検証された。
《その他の実施形態》
上記各実施形態では、本発明に係る難燃剤の一例として、リン酸グアニジンを用いていた。しかしながら、本発明に係る難燃剤は、20℃の水に対する溶解度が35.9g/100ml以下の難燃剤であれば、上述したようにリン酸グアニジン以外の難燃剤であってもよい。例えば、リン酸系、ホウ酸系、ホウ酸・リン酸複合系、リン窒素系等の水溶性の難燃剤が、本発明に係る難燃剤として適用することができる。
なお、上記各実施形態では、全体乾燥工程S12と表面洗浄工程S15との間に粗面化処理工程S14を行っていたが、粗面化処理工程S14は、行わなくてもよい。粗面化処理工程S14は、本発明に係る製造方法に必須ではなく、塗膜密着性をさらに高めるために必要に応じて行うことができる。
また、上記各実施形態では、木質基材11の表面11aが凹凸状の粗面になるように木質基材11の表面11aを加工する粗面化処理工程S14を、サンドブラストで行っていた。しかしながら、粗面化処理工程S14は、木質基材11の表面11aを凹凸状の粗面に改変するものであればいかなる装置を用いたいかなる処理であってもよい。サンダーやロールプレスにより、木質基材11の表面11aを傷つける処理であってもよく、また、木質基材11の表層部を多孔質状に改変する処理であってもよい。
また、上記各実施形態では、表面洗浄工程S15では、木質基材11の表面11aに洗浄水を吹き付けて残った洗浄水をウェスでかき落として洗浄する、又は木質基材11の表面11aに洗浄水を掛け流すことによって洗浄することとしていた。しかしながら、表面洗浄方法は、上述のものに限られない。洗浄水を木質基材11の内部まで浸透させずに木質基材11の表面11aに付着した難燃剤が除去されるように洗浄水で表面11aを洗浄するものであればいかなる表面洗浄方法であってもよい。例えば、木質基材11の表面11aにスプレーで洗浄水を吹き付けて残った洗浄水を、エアブロー、ロールコーター、又はゴムで表面11aから落とすことによって表面11aを洗浄することとしてもよい。また、木質基材11の表面11aに刷毛で洗浄水を塗布し、木質基材11の表面11aをロールプレスで圧縮する、洗浄水に1分間木質基材11を浸漬させる、洗浄水をウェスにしみこませて木質基材11の表面11aを拭き取る等の表面洗浄方法であってもよい。いずれの表面洗浄方法であっても、木質基材11の表面11aの難燃剤を除去することができる洗浄条件を求めて用いればよい。なお、いずれの表面洗浄方法であっても、リン酸グアニジンを200〜320kg/m含浸させた木質基材11を用いて、表面乾燥工程を60℃の乾燥機内で30分放置とする場合、塗膜剥離が生じないことが確認されている。
また、上記表面洗浄工程S15において、木質基材11の表面11aに洗浄水を吹き付ける回数は1度に限られず、複数回行ってもよい。木質基材11の表面11aに対し、1度に200g/mを超える洗浄水を塗布しても、洗浄水が表面11aからこぼれ落ちてしまうが、塗布回数を増やすことにより、200g/mを超える洗浄水で木質基材11の表面11aを洗浄することができる。なお、木質基材11の表面11aへの洗浄水の塗布量については、100、200、300、400、600g/mのいずれであっても、リン酸グアニジンを200〜320kg/m含浸させた木質基材11を用いて、表面乾燥工程を60℃の乾燥機内で30分放置とする場合、塗膜剥離が生じないことが確認されている。
また、表面乾燥工程S16の乾燥条件(温度、時間等)は、上記各実施形態の条件に限られず、適宜試験を行い、木質基材11が迅速に乾燥することで木質基材11の表面11aへの難燃剤の溶出が発生しない乾燥条件を求めればよく、本願発明者等は、以下の試験を行った。
(試験例)
表面洗浄工程S15を終えた試験用の木質基材11に対し、乾燥機の温度を40℃、60℃として木質基材11が乾燥する(含水率が気乾含水率になる)までの時間を計測した。具体的には、含浸させる難燃剤の量(薬剤量)を変えた2種類(A:297kg/m、B:413kg/m)の試験用の木質基材11を用意し、表面洗浄工程S15として100g/m以上の洗浄水を表面11aに塗布し、ウェスで表面11aの洗浄水を掻き落とした後、乾燥機に投入し、一定時間毎に電気式含水率計で木質基材11の表面11aの含水率を測定すると共に、触感で濡れ具合を評価した。
その結果、乾燥機の温度を40℃とした場合には、12.5分で木質基材11の表面11aの含水率が、気乾状態の含水率(A:12.2%、B:15.0%)以下(A:11.7%、B:13.5%)になった。一方、乾燥機の温度を60℃とした場合、5分で木質基材11の表面11aの含水率が、気乾状態の含水率以下(A:10.6%、B:12.5%)となった。また、触感は、乾燥機の温度が40℃の場合、10分で乾燥状態(ドライ状態)と評価され、60℃では5分で乾燥状態(ドライ状態)と評価された。なお、乾燥機の温度を40℃とした場合、10分経過後の木質基材11の含水率(A:12.8%、B:14.6%)は、一方(B)は気乾状態の含水率より低く、他方(A)は気乾状態の含水率よりは高いものの気乾状態の含水率付近であった。また、いずれの試験用木質基材11も、乾燥機の温度が40℃の場合には、乾燥時間が10分以上、乾燥機の温度が60℃の場合には、乾燥時間が5分以上で、表面11aに難燃剤の析出(白い斑点)が見られなかった。
以上により、表面乾燥工程S16は、乾燥機の温度が40℃の場合には10分以上、乾燥機の温度が60℃の場合には5分以上の乾燥時間が必要であることが求められた。
(対比試験例)
上記の試験と対比するため、表面洗浄工程S15を終えた試験用の木質基材11を、室温23℃、相対湿度50%の環境下(自然乾燥の環境条件を想定)に一晩放置する比較試験を行った。その結果、木質基材11の乾燥後、表面11aに難燃剤が析出して表面11aに白い斑点が生じた。また、この木質基材11に対し、塗装工程S17を行ったところ、木質基材11の表面11aに対する塗膜密着性が低く、剥離が生じることが検証された。塗膜密着性は、木質基材11の表面11aにおいて難燃剤が析出していなかった箇所においても低い結果となった。
また、その他、表面洗浄工程S15を終えた試験用の木質基材11を、105℃の乾燥機内に3分放置し、塗装工程S17を行ったところ、木質基材11の表面11aに対する塗膜密着性が良好である(剥離が生じない)ことも試験によって検証されている。
以上説明したように、本発明は、不燃化木材の製造方法について有用である。
10 不燃化木材
11 木質基材
11a 表面
12 塗膜層(塗膜)

Claims (3)

  1. 木質基材に難燃剤の水溶液を含浸させる含浸工程と、
    上記難燃剤の水溶液を含浸した上記木質基材全体を乾燥させる全体乾燥工程と、
    上記全体乾燥工程より後に行われ、上記木質基材の晩材部を含む表面に塗膜を形成する塗装工程とを備えた不燃化木材の製造方法であって、
    上記全体乾燥工程と上記塗装工程との間に行われ、洗浄水で上記木質基材の晩材部を含む表面を洗浄することにより、上記含浸工程時に上記木質基材の晩材部を含む表面に付着した上記難燃剤及び上記全体乾燥工程時に上記木質基材の晩材部を含む表面まで染み出して結晶化して付着した上記難燃剤を除去する表面洗浄工程と、
    上記表面洗浄工程と上記塗装工程との間に行われ、上記表面洗浄工程において上記洗浄水で濡れた上記木質基材の晩材部を含む表面を乾燥させる表面乾燥工程とを備え、
    上記難燃剤は、20℃の水に対する溶解度が35.9g/100ml以下であり、
    上記洗浄水は水であり、
    上記表面洗浄工程では、上記洗浄水が、上記表面乾燥工程において上記木質基材の内部の上記難燃剤が上記木質基材の表面に染み上がる程上記木質基材の内部まで浸透しないように上記木質基材の表面を洗浄する
    ことを特徴とする不燃化木材の製造方法。
  2. 請求項に記載された不燃化木材の製造方法において、
    上記全体乾燥工程の終了後、上記全体乾燥工程と上記表面洗浄工程との間に行われ、上記木質基材の表面を凹凸状の粗面に加工する粗面化処理工程を備えている
    ことを特徴とする不燃化木材の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載された不燃化木材の製造方法において、
    上記表面乾燥工程では、常温以上の温度の乾燥機内で上記木質基材が気乾状態になるまで上記木質基材を30分以内に乾燥させる
    ことを特徴とする不燃化木材の製造方法。
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