ところで、保持部からガイド部が抜けてしまったり、支持軸から栓蓋が外れてしまったりする等、栓蓋が適切な配設状態になっていないと、排水口の開閉という排水栓装置の本来的な機能が損なわれてしまうおそれがある。そのため、栓蓋を適切な配設状態でより確実に維持可能とすることが望まれる。
また、使用時における美観の良し悪しは大切な要素であるところ、使用時に水流などによって栓蓋が回転してしまうと、美観の悪化を招いてしまうおそれがある。そのため、栓蓋の回転をより確実に抑えることが望まれる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、栓蓋を適切な配設状態でより確実に維持可能としつつ、美観の向上を図ることができる排水栓装置を提供することにある。
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
手段1.槽体の排水口を開閉するための栓蓋と、
上下動可能に構成され、自身の上動により前記栓蓋を持ち上げて上昇させる一方、自身の下動により前記栓蓋を下降させる支持軸と、
前記支持軸が内側に配置される筒状の保持部とを備え、
前記栓蓋の上下動に伴い前記排水口が開閉するように構成された排水栓装置であって、
前記栓蓋は、前記保持部の外周に配置され、前記支持軸の上下動に伴い前記保持部の外周に沿って移動する筒状のガイド部を有し、
前記ガイド部の内周には、内側に向けて突出する内向突部が設けられ、
前記保持部の外周には、前記内向突部が配置されるガイド溝部が設けられ、
前記ガイド溝部は、前記内向突部の上方に位置する上方壁部と、前記保持部の周方向に沿った前記内向突部の側方に位置する側方壁部とによって画されたものであり、
前記内向突部の移動可能範囲が前記ガイド溝部内に限定されることで、前記保持部からの前記ガイド部の抜け、及び、前記保持部に対する前記ガイド部の相対回転の双方が規制されるように構成されていることを特徴とする排水栓装置。
上記手段1によれば、ガイド部の内周には、内側に向けて突出する内向突部が設けられており、保持部の外周には、内向突部の上方に位置する上方壁部と、保持部の周方向に沿った内向突部の側方に位置する側方壁部とによって画されたガイド溝部が設けられている。そして、内向突部がガイド溝部内に配置され、内向突部の移動可能範囲がガイド溝部内に限定されることで、支持軸を勢いよく上動させたときや予期しない力が加わったとき等における保持部からのガイド部の抜けと、水流の影響による保持部に対するガイド部の相対回転とを規制することができる。ここで、保持部からのガイド部の抜けが規制されることで、栓蓋を適切な配設状態でより確実に維持することができる(例えば、支持軸に栓蓋が載置される構成では、栓蓋の外れをより確実に防止でき、また、栓蓋に支持軸が嵌合される構成では、嵌合による作用と相俟って栓蓋の外れ防止をより一層確実に図ることができる)。これにより、排水口の開閉という排水栓装置の本来的な機能をより確実に発揮させることができる。また、保持部に対するガイド部の相対回転が規制されることにより、栓蓋の回転を規制することができ、美観の向上を図ることができる。
加えて、上記手段1によれば、内向突部は、保持部からのガイド部の抜け規制、及び、保持部に対するガイド部の相対回転規制のうちの一方の実現においてのみ作用するものではなく、双方の実現において作用する。すなわち、抜け規制及び回転規制を実現するにあたって、内向突部は共通して用いられる。従って、装置の複雑化や大型化を避けることができる。また、装置の安定的な動作や装置の製造等に係るコストの低減を図ることができる。
尚、「保持部に対するガイド部の相対回転が規制される」とあるのは、側方壁部に内向突部が接触することでガイド部の相対回転が規制されることを意味し、側方壁部に内向突部が接触するまでにガイド部が相対回転し得る構成も含む。
手段2.前記栓蓋は、前記支持軸の上端部に取付けられておらず、少なくとも前記排水口が開状態であるときに前記支持軸の上端面に対し単に載置された状態となるように配設されていることを特徴とする手段1に記載の排水栓装置。
支持軸の上端部に対し栓蓋を取付ける方式としては、栓蓋の背面中央部に形成された筒状部に対し、支持軸の上端部を嵌合する方式(いわゆる嵌合方式)が知られている。
ところで、上記の嵌合方式では、支持軸の上端部へと栓蓋を取付ける際に、筒状部に対する支持軸の入り込み量が不十分となること等により、支持軸に対する栓蓋の取付状態が不適切なものとなってしまうことがある。この場合には、排水口を閉状態とするときの位置へと支持軸を配置したときに、栓蓋(パッキン部)の一部が槽体等から浮いてしまい、槽体等に対し栓蓋(パッキン部)の一部が全く接触しない状態や、槽体等に対し栓蓋(パッキン部)の全周が接触しているものの、実際には両者の密着性が不十分になっている状態となり得る。前者の状態になると、一見すると栓蓋により排水口が閉鎖されているように見え、槽体に対する水の供給量によっては槽体に水を溜めることができるが、水を溜めたとしても、溜められた水は短期間で排水口から漏れ出してしまい、水が無駄に消費されてしまう。また、後者の状態になると、前者の状態と同様に、栓蓋により排水口があたかも閉鎖されているように見えるが、前者の状態とは異なり、水は徐々に僅かずつ排水口から漏れ出ることとなり、単位時間当たりに漏れ出る水量は少なくなる。そのため、槽体の使用者は、実際には支持軸に対する栓蓋の取付状態が不適切であることに気付くことなく、槽体の使用を続けてしまい、結果的に、使用者の知らぬ間に水が無駄に消費されてしまうおそれがある。
この点、上記手段2によれば、栓蓋は、支持軸の上端部に取付けられておらず、少なくとも排水口が開状態であるときに支持軸の上端面に対し単に載置された状態となるように配設されている。すなわち、支持軸の上端面に栓蓋が単に載置される構成(いわゆる載置方式)とされている。従って、上述した嵌合方式のように、支持軸に対する栓蓋の取付状態が不適切なものとなるといった事態を生じないものとすることができる。これにより、取付状態が不適切であることに伴う水漏れの発生を防ぐことができ、水が無駄に消費されてしまうことをより確実に防止できる。
尚、従前の載置方式では、保持部からガイド部が抜けてしまったり、栓蓋が回転してしまったりするといった事態が比較的生じやすいが、上記手段1を採用することで、このようなガイド部の抜けや栓蓋の回転をより確実に防止することができる。換言すれば、上記手段1の構成は、載置方式を採用した場合に特に有効である。
また、上記手段2においては、排水口が閉状態であるときに、支持軸の上端面に対し栓蓋が載置された状態となるように構成してもよいし、支持軸の上端面から栓蓋が浮いた状態となるように構成してもよい。槽体等のうち排水口の閉鎖時に栓蓋によりシールされる部位(被シール部位)へと栓蓋が接触することで、排水口を閉状態としたときには、支持軸の上端面から栓蓋が浮いた状態となり得る。ここで、水密性をより高めるという点では、排水口が閉状態であるときに、支持軸の上端面から栓蓋が浮いた状態となるように構成することが好ましい。このように構成することで、槽体等(被シール部位)に対する栓蓋の密着性をより高めることができる。
手段3.前記保持部の外周には、前記保持部の周方向に沿って延びるとともに、前記上方壁部を形成する環状の上方ベース部が設けられ、
前記ガイド部の内周には、前記ガイド部の軸方向に沿って延びるとともに、前記ガイド部の周方向に沿って間隔をあけた状態で形成された複数のリブ部が設けられ、
前記栓蓋の上下動時に、前記リブ部が前記上方ベース部の外周面に沿って上下動するように構成されていることを特徴とする手段2に記載の排水栓装置。
尚、「上方ベース部」の形状は、厳密な環状に限られるものではなく、一部に切欠きやスリットを有する環状であってもよい。
上記手段3によれば、栓蓋が上下動する際には、ガイド部の内周に設けられたリブ部が上方ベース部に沿って上下動する。従って、ガイド部による栓蓋の傾き抑制機能をより効果的に発揮させることができる。これにより、美観の向上をより効果的に図ることができる。また、栓蓋が傾いた状態で排水口を閉鎖しようとすると、槽体等のうち排水口の閉鎖時に栓蓋によりシールされる部位(被シール部位)と栓蓋のうち槽体等と接触する部位(パッキン部)とでずれが生じてしまい、ひいては水密性が低下してしまう可能性があるが、上記手段3によれば、このような水密性の低下をより確実に防止することができる。
さらに、上記手段3によれば、単にガイド部の内径を小さくすることにより上方ベース部とガイド部との間の隙間を小さくした場合と比較して、栓蓋が上下動したときに、上方ベース部とガイド部との摺動抵抗をより小さなものとすることができる。従って、排水口の開閉状態を切換える際に、栓蓋をスムーズに上下動させることができ、操作性や動作安定性の向上を図ることができる。
尚、栓蓋の傾き抑制機能を十分に高めるという点では、リブ部の長さや位置、上方ベース部の位置などを適宜設定し、栓蓋が上下動する際に、常に上方ベース部の外周に沿ってリブ部が移動するように構成することが好ましい。この場合には、栓蓋の傾き抑制効果を著しく高めることができる。
手段4.前記上方ベース部は、前記保持部の最上部に設けられていることを特徴とする手段3に記載の排水栓装置。
上方ベース部と栓蓋(栓蓋本体部やパッキン部)との上下方向に沿った距離が大きいと、上方ベース部による栓蓋の傾き抑制機能が発揮され、栓蓋の傾きが十分に小さな状態になったとしても、平面視したときにおける理想位置に対する栓蓋の位置ずれ量が比較的大きなものとなってしまうおそれがある。
この点、上記手段4によれば、上方ベース部は、保持部の最上部に設けられているため、排水口が閉状態や開状態であるときに、栓蓋(栓蓋本体部やパッキン部)と上方ベース部との上下方向に沿った距離を小さくすることができる。従って、排水口が閉状態であるときには、栓蓋のうち槽体等と接触する部位(パッキン部)と槽体等における栓蓋によりシールされる部位(被シール部位)との間でずれが生じることをより確実に防止でき、水密性をより向上させることができる。また、排水口が開状態であるときには、栓蓋の位置ずれをより生じにくいものとすることができ、美観の向上を一層図ることができる。
加えて、上方ベース部を保持部の最上部に設けることで、内向突部と上方ベース部との間の距離を極力大きく確保することが可能となる。つまり、ガイド部のうち、ガイド部の内周に配置された部位(保持部など)に接触することで栓蓋の傾き抑制に特に寄与する二箇所の部分(内向突部、及び、ガイド部のうち上方ベース部に接触する部位)を上下方向に沿ってより離間した状態とすることができる。従って、栓蓋の傾きを非常に効果的に抑制することができる。
また、上記手段4によれば、栓蓋の上下動時に、常に上方ベース部の外周に沿ってリブ部が移動する構成を採用した場合であっても、ガイド部やリブ部を極端に長いものとせずに済む。これにより、栓蓋の大型化や複雑化をより確実に防ぐことができ、装置の製造等に係るコストの低減をより一層図ることができる。
手段5.前記保持部の外周から外側に向けて延びるとともに、前記保持部の周方向に沿って間隔をあけた状態で設けられた複数のアーム部を備え、
前記ガイド部は、前記排水口が閉状態であるときに前記アーム部同士の間に配置される一方、前記排水口が開状態であるときに前記アーム部よりも上方に配置される脚部を備え、
前記内向突部の移動可能範囲が前記ガイド溝部内に限定されることで、前記排水口が開状態であるときに前記アーム部の鉛直上方に前記脚部の所定部位が配置されなくなり、前記排水口を開状態から閉状態へと切換えたときに前記アーム部に前記脚部が乗り上げた状態とならないように構成されていることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載の排水栓装置。
尚、「脚部の所定部位」とあるのは、脚部のうち、アーム部の鉛直上方に配置した状態で下方へと移動したときに、アーム部に乗り上げることが可能な部位をいう。このような部位としては、例えば、脚部のうち、アーム部の鉛直上方に配置した状態で下方へと移動させてアーム部へと接触させたときに、アーム部との接触部位を含み、かつ、アーム部の延びる方向と直交する断面において、アーム部との接触部位における接線が水平面と平行又はほぼ平行となる部位などを挙げることができる。一方、脚部のうち、下方へと移動してアーム部に接触したときに、アーム部の表面を滑って落下することでアーム部へと乗り上げた状態とならない部位(例えば、前記接線が水平面に対し十分に傾斜した状態となる部位)は、「脚部の所定部位」には含まれない。
上記手段5によれば、ガイド部は脚部を備えており、当該脚部は、排水口が閉状態であるときにアーム部同士の間に配置される程度の十分な長さを有している。これにより、栓蓋の傾き抑制機能を十分に発揮させることができる。
一方、上記手段5によれば、脚部は、排水口が開状態であるときにアーム部よりも上方(アーム部同士の間の隙間よりも上方)に配置されるようになっている。従って、アーム部間に脚部が配置される場合と比べて、アーム部間に形成される通水面積をより大きく確保することができる。これにより、良好な排水性能をより確実に得ることができる。また、脚部が過度に長いものとならないようにすることができるため、保持部と脚部との摺動抵抗が過度に大きなものとなってしまうことを防止でき、ひいては、より良好な操作性や動作安定性を得ることができる。
さらに、上記手段5によれば、内向突部の移動可能範囲がガイド溝部内に限定されることで、排水口が開状態であるときにアーム部の鉛直上方に脚部の所定部位(例えば脚部の下部)が配置されなくなり、排水口を開状態から閉状態へと切換えたときにアーム部に脚部が乗り上げた状態とならないように構成されている。例えば、ガイド部の周方向に沿った脚部の所定部位に対応する位置に内向突部を設けるとともに、この内向突部と接触し得る側方壁部をアーム部の鉛直上方からずらした位置などに設けることで、排水口が開状態であるときにアーム部の鉛直上方に脚部の所定部位が配置されないように構成されている。これにより、アーム部への脚部の乗り上げに伴い、排水口が閉状態へと適切に切換わらなかったり、ガイド部から保持部が抜けてしまったりすることをより確実に防止することができ、装置の動作安定性を一層高めることができる。
手段6.前記保持部の外周には、前記保持部の周方向に沿って延びるとともに前記上方壁部を形成する環状の上方ベース部と、前記側方壁部を形成する側方ベース部とが設けられ、
前記上方ベース部には、前記保持部の周方向に沿った前記側方ベース部の配設位置と同じ位置に前記内向突部を配置した状態で、前記保持部の外周に前記ガイド部を配置すべく前記保持部に対し前記ガイド部を相対移動させたときに、前記内向突部を前記側方ベース部の配設位置側から前記ガイド溝部側へと案内する位置補正突部が設けられていることを特徴とする手段1乃至5のいずれかに記載の排水栓装置。
尚、上記手段3,6及び後述する手段7における上方ベース部はそれぞれ同じものを意味する。
上記手段6によれば、栓蓋を配設する際において、万が一、保持部の周方向に沿って側方ベース部と同じ位置に内向突部を配置した状態で、保持部の外周へとガイド部を配置すべくガイド部内へと保持部を挿通した場合であっても、位置補正突部によって、内向突部を側方ベース部側からガイド溝部側へと案内することができる。従って、栓蓋を配設する際に、側方ベース部に内向突部が乗り上げた不適切な状態となってしまうことをより確実に防止でき、ガイド溝部内に内向突部が配置された適切な状態をより確実に実現することができる。
手段7.前記保持部の外周には、前記保持部の周方向に沿って延びるとともに、前記上方壁部を形成する環状の上方ベース部が設けられ、
前記保持部は、自身の一端から自身の他端にかけて設けられた内外に貫通するスリットを備え、
前記スリットは、前記ガイド溝部の形成位置に対応して設けられ、
前記スリットのうち、少なくとも前記上方ベース部に対応する箇所及び当該箇所の直下方に位置する箇所のそれぞれの幅は、前記内向突部を配置可能な大きさに設定されていることを特徴とする手段1乃至6のいずれかに記載の排水栓装置。
上記手段7によれば、スリットは、保持部の周方向に沿ったガイド溝部の形成位置に対応して設けられており、スリットのうち上方ベース部に対応する箇所の幅は、内向突部を配置可能な大きさに設定されている。従って、栓蓋を配設すべく、ガイド溝部内へと内向突部を配置する際には、内向突部を、スリットのうち上方ベース部に対応する箇所を通してガイド溝部内へと配置することができる。一方、栓蓋を取外すべく、ガイド溝部から内向突部を外す際には、内向突部を、スリットのうち上方ベース部に対応する箇所を通してガイド溝部外へと外すことができる。
さらに、上記手段7によれば、内向突部が間隔をあけて複数設けられる場合に、1の内向突部をスリットに配置することで、栓蓋の容易な取外しが可能となり得る。具体的には、ガイド部のうち1の内向突部の設けられた部位を保持部側へと寄せた状態とすることで、少なくとも上方壁部の直下方に各内向突部が配置されている状態において、前記1の内向突部がスリットのうち上方ベース部に対応する箇所の直下方に位置する箇所に配置された状態とする。この状態とすることで、上方壁部に対するその他の内向突部の掛かり代を減らすことができ、ひいては保持部からガイド部を抜く際に、その他の内向突部が上方壁部を乗り越えやすくなる。そのため、栓蓋の取外しを容易に行うことができる。
以上のように、上記手段7によれば、保持部に設けられたスリットによって、栓蓋の配設及び取外をより容易に行うことが可能となり、使用者にとっての利便性を効果的に高めることができる。
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1に示すように、排水栓装置1は、槽体としての浴槽100に取付けられている。尚、浴槽100は、その底面を構成する底面部101を備えており、当該底面部101には排水口102が貫通形成されている。
尚、図1及び図4において、後述するアタッチメント部材4のうち排水口102の中心軸よりも左側に位置する部位は、実際にはこれら図にて示す形状では表れないものである。当該部位の形状は、実際には、図1,4における断面を含む仮想面を排水口102の中心軸を回転中心として90度回転させた上で、回転後の仮想面にて断面を取ったときにおけるアタッチメント部材4の形状を示すものである。図1,4では、後述するガイド溝部433内に後述する内向突部643が配置される点を明確に示すべく、このように図示している。
排水栓装置1は、排水口部材2と、配管3と、アタッチメント部材4と、支持軸機構5と、栓蓋6とを備えている。
排水口部材2は、円筒状に形成されており、自身の中心軸と排水口102の中心軸とがほぼ一致するように排水口102に挿設されている。また、排水口部材2は、その上端部において径方向外側に突出形成された鍔部21と、当該鍔部21よりも下側の外周に形成された雄ねじ部22とを備えている。
配管3は、排水口102を流れる排水の流路を構成するものであり、少なくとも上部側が円筒状をなす管である。配管3は、その一端部(上端部)内周に前記雄ねじ部22を螺合可能な雌ねじ部31を備えている。そして、底面部101の下方において排水口102とほぼ同軸の状態となるように配管3を配置した上で、底面部101の上方から排水口102及び配管3に対し排水口部材2を挿通しつつ雄ねじ部22を雌ねじ部31に螺合し、鍔部21及び配管3の上端面により底面部101を挟み込むことで、排水口部材2及び配管3が接続されるとともに、両者が浴槽100に取付けられた状態となっている。
尚、本実施形態において、鍔部21と底面部101の表面(上面)との間には、弾性変形可能な材料(例えば、樹脂やゴム等)により形成された環状のシール部材7が配置されており、また、配管3の上端面と底面部101の裏面との間には、シール部材7と同様に弾性変形可能な材料により形成された環状のシール部材8が配置されている。これらシール部材7,8によって、排水口部材2及び配管3と浴槽100との間からの漏水防止が図られている。
また、配管3の内周には段部32が形成されており、排水口部材2及び配管3を接続した状態では、排水口部材2の下端面、段部32及びこれらの間に位置する配管3の内周面によって環状の取付溝9が形成されるようになっている。取付溝9は、アタッチメント部材4の被取付部として機能する。
アタッチメント部材4は、排水の流路において支持軸機構5を保持するためのものであり、所定の樹脂によって形成されている。アタッチメント部材4は、排水口部材2及び配管3の内側に配置されており、図2に示すように、外環部41、アーム部42及び保持部43を備えている。尚、本実施形態におけるアタッチメント部材4は、一端部(上端部)から他端部(下端部)にかけて貫通するスリットSを備えたものとされている。
外環部41は、スリットSの形成箇所において途切れた状態であるものの全体として環状をなしており、排水口部材2及び配管3に対するアタッチメント部材4の取付部として機能する。本実施形態では、取付溝9へと外環部41が嵌め込まれることで、アタッチメント部材4は、排水口部材2及び配管3の内側に取付けられた状態となっている。
アーム部42は、外環部41の内周面と保持部43の外周面とを連結する部位である。アーム部42は、保持部43の外周から保持部43の径方向外側に向けて延びるとともに、保持部43の周方向に沿って間隔をあけた状態で複数(本実施形態では、等間隔に3つ)設けられている。排水口部材2内に流れ込んだ排水は、各アーム部42間の隙間を通って下流へと流れるようになっている。
保持部43は、自身の内周において支持軸機構5を保持するためのものである。保持部43は、スリットSの形成箇所において途切れた形状であるものの全体として円筒状をなしており、外環部41よりも内側において外環部41と同軸状に設けられている。また、保持部43に設けられたスリットSは、保持部43の一端からその他端にかけて設けられ、保持部43の内外に貫通する形状をなしている。尚、スリットSは、保持部43の弾性変形により拡幅可能とされている。
さらに、保持部43は、その一端(上端)の内周に、内側に向けて突出する上方突起部43Aを備えており、その他端(下端)の内周に、内側に突出する下方突起部43Bを備えている。本実施形態において、上方突起部43Aは、保持部43の中心軸を挟む位置に一対設けられている。そして、上方突起部43A及び下方突起部43Bにより支持軸機構5の後述する外筒部51が挟み込まれることで、保持部43の内周において支持軸機構5が保持された状態となっている。尚、支持軸機構5は、拡幅した状態のスリットSを通して保持部43の内周へと配置されるようになっている。
また、保持部43は、その外周にそれぞれ後述する上方ベース部431や側方ベース部432などを備えている。保持部43の外周形状に関する詳細については後に説明する。
支持軸機構5は、栓蓋6を上下動させるためのものであり、図3に示すように、外筒部51及び支持軸52を備えている。
外筒部51は、上端面が平坦な円筒状をなしており、上述したように、上方突起部43A及び下方突起部43Bにより挟み込まれることで、上下動不能な状態で保持部43により保持されている。また、外筒部51の上部には、凹形状の切欠部51Aが形成されている。切欠部51Aは、外筒部51の中心軸を挟む位置に一対設けられており、両切欠部51Aのそれぞれに対し前記上方突起部43Aが配置された状態となっている(図10参照)。これにより、アタッチメント部材4に対する支持軸機構5の相対回転が規制されている。
支持軸52は、円柱状をなしており、上下動可能な状態で外筒部51の内周に配置されている。支持軸52は、自身の上動に伴い栓蓋6を持ち上げて上昇させる一方、自身の下動に伴い栓蓋6を下降させる。
加えて、支持軸52の下部には、図示しない操作部材(例えば押しボタン等)の変位による駆動力を伝達するための伝達部材10(例えば、金属製のワイヤ)の端部が接触可能に構成されている。伝達部材10は、筒状のチューブ部材11の内周において往復移動可能な状態で配置されている。
また、支持軸機構5には、支持軸52に対し下動方向への力を付与する図示しない戻りばねが設けられている。さらに、前記操作部材を備えてなる操作装置(図示せず)には、伝達部材10を往動(前記操作部材側から支持軸機構5側に移動)した状態でロックすることにより、所定の上方位置にて支持軸52をロックするための図示しないロック機構(例えば、スラストロック機構)が設けられている。
本実施形態では、前記操作部材を操作(例えば、押圧)することで伝達部材10が往動したとき、支持軸52は、前記戻りばねからの力に抗して、伝達部材10により押し上げられる。そして、前記上方位置を超える位置まで支持軸52が上動した段階で前記操作部材への操作が解除されると、支持軸52が若干だけ下降しつつ、伝達部材10が前記ロック機構により往動した状態でロックされる。その結果、支持軸52が前記上方位置にてロックされる。
一方、この状態で、前記操作部材を再度操作すると、伝達部材10が再び往動し、前記ロック機構による伝達部材10のロックが解除される。そして、前記操作部材に対する操作が解除されると、前記戻りばねや自重によって支持軸52は下動する。また、支持軸52の下動に伴い、伝達部材10が復動する。
このように本実施形態では、前記操作部材を操作する度に、前記上方位置における支持軸52のロックと、伝達部材10のロック解除に伴う支持軸52の下動とが交互に行われるようになっている。尚、支持軸52を前記上方位置にてロックするためのロック機構を、支持軸機構5に設けることとしてもよい。
図1に戻り、栓蓋6は、排水口102を開閉するための栓である。栓蓋6は、樹脂等からなる円板状の栓蓋本体部61と、当該栓蓋本体部61の背面の外周側から下方に突出する円筒状のパッキン取付部62と、弾性変形可能な材料により形成された環状のパッキン部63と、栓蓋本体部61の背面中央部に設けられたガイド部64とを備えている。パッキン取付部62は、外周に開口する環状の溝を備えており、当該溝に対しパッキン部63が嵌め込まれることで、栓蓋本体部61の背面の外周側にパッキン部63が取付けられた状態となっている。また、栓蓋6は、その比重が1よりも大きくなるように(つまり、水に沈むように)構成されており、自重のみで排水口102を閉鎖可能となっている。
本実施形態では、前記操作部材への操作に伴い支持軸52が上動し、パッキン部63が排水口部材2から離間した状態となることで、排水口102が開状態とされる(図4参照)。このとき、前記ロック機構によって排水口102は開状態のまま維持される。一方、この状態で、前記操作部材への操作に伴い支持軸52が下動し、パッキン部63の外周部分全域が排水口部材2と接触することで、排水口102が閉状態とされる。
また、栓蓋6は、支持軸52の上端部に取付けられておらず、少なくとも排水口102が開状態であるときに支持軸52の上端面に対し単に載置された状態となるように配設されている(図4参照)。一方、栓蓋6は、排水口102が閉状態であるときに、支持軸52の上端面から離間した状態(浮いた状態)となるように構成されている(図1参照)。
ガイド部64は、栓蓋6に傾き等が生じないように、栓蓋6の移動をガイドするためのものである。ガイド部64は、所定の樹脂によって形成されており、全体として筒状をなしている。ガイド部64は、保持部43の外周に配置され、支持軸52の上下動に伴い保持部43の外周に沿って移動する。
さらに、ガイド部64は、図5〜7に示すように、胴部641と脚部642とを備えている。胴部641は、栓蓋本体部61の背面中央部から下方に向けて突出する円筒状をなしている。脚部642は、胴部641の下部から下方に向けて、栓蓋6(胴部641)の中心軸と平行な方向に延びている。脚部642は、ガイド部64の周方向に沿って等間隔に複数(本実施形態では、3本)設けられている。また、脚部642は、正面視逆三角形状をなしており、その下部が丸みを帯びた湾曲形状をなしている。尚、脚部642は、ガイド部64の径方向に沿って弾性変形可能とされている。
また、本実施形態において、各脚部642は、排水口102が閉状態である場合(図5参照)及び排水口102が開状態である場合(図6,7参照)の双方において、アーム部42同士の間に配置されるようになっている。但し、排水口102を開状態としたときにおいて、支持軸52を勢いよく上動させること等により、支持軸52から栓蓋6が浮いた状態となる場合には、アーム部42間から脚部642が抜けた状態となり、アーム部42よりも上方に脚部642が配置されることがある。
さらに、図8に示すように、ガイド部64の内周(本実施形態では、各脚部642の内周下部)には、内側に向けて突出する内向突部643が設けられている。本実施形態では、ガイド部64の周方向に沿って等間隔に複数(本実施形態では、3つ)の内向突部643が設けられている。
また、本実施形態において、内向突部643は、最も内側に突出した部位から最も上部にかけての面(上面)と、最も内側に突出した部位から最も下部にかけての面(下面)との双方が、ガイド部64の中心軸に対し傾斜する傾斜面となっている。一方、内向突部643における側面(後述する側方壁部432A側に位置する面)は、平面視したときにおいて(ガイド部64の中心軸と直交する断面において)、ガイド部64の周方向に沿った当該内向突部643の中心部とガイド部64の中心軸とを通過する仮想線と平行な状態となるように構成されている。すなわち、内向突部643における前記側面は、ガイド部64の内周面に対し切り立った形状をなしている。
また、ガイド部64の内周(本実施形態では、胴部641から脚部642にかけての内周)には、ガイド部64の中心軸方向に沿って延びる突条をなすリブ部644が設けられている。リブ部644は、ガイド部64の周方向に沿って間隔をあけた状態で複数(本実施形態では、等間隔に6本)設けられている。リブ部644は、栓蓋6の上下動時に、次述する上方ベース部431の外周面に沿って上下動する。
次いで、保持部43の外周形状について詳述する。図9及び図10に示すように、保持部43の外周には、保持部43の周方向に沿って延びる上方ベース部431と、保持部43の軸方向に沿って延びる側方ベース部432とが形成されている。
上方ベース部431は、前記スリットSの形成箇所において途切れるものの全体として環状をなしており、保持部43の最上部に設けられている。本実施形態において、保持部43の中心軸を中心とし上方ベース部431の外周面を含む仮想円の直径は、ガイド部64の中心軸を中心とし各内向突部643における最も内側に突出した部位を含む仮想円の直径よりも大きなものとなっている。
また、上方ベース部431の下面によって、上方壁部431Aが形成されている。本実施形態において、上方壁部431Aは、保持部43の中心軸を含む断面において、前記中心軸に対し直交する形状ではなく、下方に向けて徐々に前記中心軸に接近する傾斜面状をなすように構成されている。
側方ベース部432は、保持部43の周方向に沿って等間隔に複数(本実施形態では、3つ)設けられている。本実施形態において、保持部43の中心軸と直交する方向に沿った、当該中心軸から側方ベース部432の外周面までの距離は、ガイド部64の中心軸と直交する方向に沿った、当該中心軸から内向突部643の最内側部までの距離よりも大きなものとされている。
また、側方ベース部432は、アーム部42の基部(保持部43との連結部)から保持部43の中心軸方向に沿って上方へと延びるように構成されている。すなわち、保持部43の周方向に沿ったアーム部42の形成位置と側方ベース部432の形成位置とは同一とされている。
さらに、側方ベース部432の側面とアーム部42の側面とによって、側方壁部432Aが形成されている。本実施形態において、側方壁部432Aは、保持部43の中心軸と直交する断面において、保持部43の周方向に沿った側方ベース部432の中心部と前記中心軸とを通る仮想線に対し平行となるように構成されている。すなわち、側方壁部432Aは、保持部43等における後述するガイド溝部433の底を形成する部位に対し切り立った形状をなしている。また、側方壁部432Aは、その上端部において上方壁部431Aと連結された状態となっている。
さらに、保持部43の外周には、内向突部643の配置されるガイド溝部433が設けられている。ガイド溝部433は、内向突部643の上方に位置する前記上方壁部431Aと、保持部43の周方向に沿って内向突部643の側方に位置する前記側方壁部432Aとによって画されたものである。本実施形態において、ガイド溝部433は、上下方向に沿って延び、下部が開口した形状をなしている。
また、保持部43に設けられたスリットSは、複数のガイド溝部433のうちの1のガイド溝部433の形成位置に対応して設けられている。さらに、前記スリットSのうち、少なくとも上方ベース部431に対応する箇所及び当該箇所の直下方に位置する箇所のそれぞれの幅は、前記内向突部643を配置可能な大きさに設定されている。すなわち、保持部43の周方向に沿った前記各箇所の幅は、ガイド部64の周方向に沿った内向突部643の幅よりも大きなものとされている。本実施形態において、保持部43に設けられたスリットSの幅は、その全域において内向突部643を配置可能な大きさに設定されている。
尚、本実施形態では、保持部43のうち前記スリットSの形成された箇所においても、上方壁部431A及び側方壁部432Aによって画されたガイド溝部433が形成されている(図2等参照)。従って、本実施形態では、保持部43の周方向に沿って3つのガイド溝部433が設けられており、複数のガイド溝部433が保持部43の全周範囲に対応して設けられた状態となっている。そして、各ガイド溝部433に対し内向突部643が1つずつ配置された状態となっている。
尚、ガイド溝部433の底を形成する部位は、スリットSの形成箇所に位置するガイド溝部433のように、保持部43によって形成されず、支持軸機構5(外筒部51)によって形成されるものあってもよいし、その他のガイド溝部433のように、保持部43によって形成されるものであってもよい。但し、ガイド溝部433は、上方壁部431A及び側方壁部432Aで画されたものであれば足り、必ずしもガイド溝部433の底を形成する部位が存在する必要はない。
さて、上記のように各ガイド溝部433に内向突部643が配置されることで、内向突部643の移動可能範囲がガイド溝部433内に限定された状態となっている。すなわち、上方に向けた内向突部643の移動可能範囲は、内向突部643が上方壁部431Aと接触するまでの範囲に限定されている。また、保持部43の周方向に沿った内向突部643の移動可能範囲は、内向突部643が側方壁部432Aと接触するまでの範囲に限定されている。
尚、本実施形態では、1の内向突部643が側方壁部432Aと接触する状態になったとき、その他の内向突部の少なくとも1つも側方壁部432Aへと接触するようになっている。すなわち、複数の内向突部643が、側方壁部432Aへと同時に接触可能となっている。
また、本実施形態では、仮に支持軸52を勢いよく上動させること等により、アーム部42よりも脚部642が上方に位置する状態(アーム部42間から脚部642が抜けた状態)になったとしても、内向突部643の移動可能範囲がガイド溝部433内に限定されることで、アーム部42の鉛直上方に脚部642の所定部位(本実施形態では、脚部642の下部)が配置されなくなり、排水口102を開状態から閉状態へと切換えたときにアーム部42に脚部642が乗り上げた状態とならないように構成されている。
次いで、ガイド部64に保持部43が挿通し、栓蓋6を配設する手法について説明する。栓蓋6の配設にあたっては、まず、保持部43上において、ガイド部64が保持部43と同軸状となるようにしつつ、保持部43の周方向に沿ったガイド溝部433及び内向突部643のそれぞれの位置が合うように栓蓋6を位置決めする。
その上で、保持部43の外周にガイド部64を配置すべく、保持部43に対しガイド部64を相対移動させていく。つまり、栓蓋6を下動させ、ガイド部64へと保持部43を挿通していく。このとき、上述の通り、内向突部643の下面は傾斜面であるところ、当該傾斜面が保持部43の上端部へと接触した状態となる。この状態で、栓蓋6を保持部43側へと押し込んでいくことで、ガイド部64(脚部642)は、徐々に内径を拡大するようにして弾性変形していく。そして、最終的に内向突部643が上方ベース部431を超えると、ガイド部64の弾性変形が解除され、ガイド溝部433内に内向突部643が配置される。これにより、ガイド溝部433内に内向突部643が配置された適切な状態で栓蓋6が配設される。
また、栓蓋6の取外しは、上記配設手法と逆の手順により行うことができる。すなわち、栓蓋6を引き上げ、ガイド部64から保持部43を抜くことで栓蓋6の取外しを行うことができる。尚、取外時には、内向突部643の上面と上方壁部431Aとが接触することになるが、両者は上記のように傾斜面である。そのため、取外時に、ガイド部64を比較的容易に径方向外側へと弾性変形させることができ、栓蓋6を比較的容易に取外すことができる。
尚、栓蓋6の配設及び取外にあたって、保持部43に設けられた前記スリットSを有効的に活用することができる。すなわち、栓蓋6の配設にあたって、ガイド溝部433内へと内向突部643を配置する際には、内向突部643を、スリットSのうち上方ベース部431に対応する箇所を通してガイド溝部433内へと配置することができる。
一方、栓蓋6を取外す際には、1の内向突部643をスリットSのうち上方ベース部641Aに対応する箇所よりも下方に位置する箇所に配置し、ガイド部64のうち前記1の内向突部643の設けられた部位を保持部43側へと寄せた状態とする。この状態とすることで、上方壁部431Aに対するその他の内向突部643の掛かり代が減少し、その他の内向突部643が上方壁部431Aを乗り越えやすい状態となる。その上で、栓蓋6を引き上げて保持部43からガイド部64を抜くことにより、1の内向突部643がスリットSのうち上方ベース部431に対応する箇所を通してガイド溝部433外へと外れ、また、その他の内向突部643が上方壁部431Aを乗り越えてガイド溝部433外へと外れる。その結果、各内向突部643をガイド溝部433から外して、栓蓋6を取外すことができる。このように本実施形態では、保持部43内に支持軸52(支持軸機構5)を配置するために必要なスリットSを、栓蓋6の配設及び取外に利用することができる。
以上詳述したように、本実施形態によれば、内向突部643がガイド溝部433内に配置され、内向突部643の移動可能範囲がガイド溝部433内に限定されている。そのため、支持軸52を勢いよく上動させたときや予期しない力が加わったとき等における保持部43からのガイド部64の抜けと、水流の影響による保持部43に対するガイド部64の相対回転とを規制することができる。ここで、保持部43からのガイド部64の抜けが規制されることで、栓蓋6の外れをより確実に防止することができ、栓蓋6を適切な配設状態でより確実に維持することができる。これにより、排水口102の開閉という排水栓装置1の本来的な機能をより確実に発揮させることができる。また、保持部43に対するガイド部64の相対回転が規制されることにより、栓蓋6の回転を規制することができ、美観の向上を図ることができる。
さらに、内向突部643は、保持部43からのガイド部64の抜け規制、及び、保持部43に対するガイド部64の相対回転規制のうちの一方の実現においてのみ作用するものではなく、双方の実現において作用する。すなわち、抜け規制及び回転規制を実現するにあたって、内向突部643は共通して用いられる。従って、装置の複雑化や大型化を避けることができる。また、装置の安定的な動作や装置の製造等に係るコストの低減を図ることができる。
加えて、本実施形態では、1の内向突部643が側方壁部432Aと接触する状態となったとき、その他の内向突部643の少なくとも1つも側方壁部432Aへと接触するようになっている。そのため、水流の影響によって、内向突部643が側方壁部432Aを乗り越えてしまうことをより確実に防止できる。これにより、栓蓋6の回転規制効果をより高めることができる。
さらに、本実施形態では、上記の通り、互いに接触し得る側方壁部432Aと内向突部643の側面とが、それぞれ切り立った形状をなしている。そのため、水流の影響によって、内向突部643が側方壁部432Aを乗り越えてしまうことを一層確実に防止でき、栓蓋6の回転規制をより効果的に図ることができる。
また、栓蓋6は、支持軸52の上端部に取付けられておらず、少なくとも排水口102が開状態であるときに支持軸52の上端面に対し単に載置された状態となるように配設されている。すなわち、支持軸52の上端面に栓蓋6が単に載置される構成(いわゆる載置方式)とされている。従って、支持軸52に対する栓蓋6の取付状態が不適切なものとなるといった事態をそもそも生じないものとすることができる。これにより、取付状態が不適切であるが故に水漏れが生じてしまい、水が無駄に消費されてしまうといった事態をより確実に防止できる。
尚、従前の載置方式では、保持部43からガイド部64が抜けてしまったり、栓蓋6が回転してしまったりするといった事態が比較的生じやすいが、本実施形態によれば、このようなガイド部64の抜けや栓蓋6の回転をより確実に防止することができる。
また、本実施形態では、排水口102が閉状態であるときに、支持軸52の上端面から栓蓋6が浮いた状態となるように構成されているため、排水口部材2に対する栓蓋6の密着性をより高めることができ、水密性をより高めることができる。
さらに、栓蓋6が上下動する際に、リブ部644が上方ベース部431に沿って上下動するため、ガイド部64による栓蓋6の傾き抑制機能をより効果的に発揮させることができる。これにより、美観の向上をより効果的に図ることができる。また、栓蓋6の傾きが抑制されることで、排水口部材2のうち排水口102の閉鎖時に栓蓋6によりシールされる部位(被シール部位)と栓蓋6のうち排水口部材2と接触する部位(パッキン部63)とでずれが生じてしまうことをより確実に防止でき、ずれに伴う水密性の低下をより確実に防止することができる。
加えて、リブ部644を設けることで、単にガイド部64の内径を小さくすることにより上方ベース部431とガイド部64との間の隙間を小さくした場合と比較して、栓蓋6が上下動したときに、上方ベース部431とガイド部64との摺動抵抗をより小さなものとすることができる。従って、排水口102の開閉状態を切換える際に、栓蓋6をスムーズに上下動させることができ、操作性や動作安定性の向上を図ることができる。
また、本実施形態では、排水口102を開閉すべく栓蓋6が上下動する際に、常に上方ベース部431の外周に沿ってリブ部644が移動するようになっている。従って、栓蓋6の傾き抑制効果を著しく高めることができる。
さらに、上方ベース部431は、保持部43の最上部に設けられているため、排水口102が閉状態や開状態であるときに、栓蓋6と上方ベース部431との上下方向に沿った距離を小さくすることができる。従って、排水口102が閉状態であるときには、栓蓋のうち排水口部材2と接触する部位(パッキン部63)と排水口部材2における栓蓋6によりシールされる部位(被シール部位)との間でずれが生じることをより確実に防止でき、水密性をより向上させることができる。また、排水口102が開状態であるときには、栓蓋6の位置ずれをより生じにくいものとすることができ、美観の向上を一層図ることができる。
加えて、上方ベース部431を保持部43の最上部に設けることで、内向突部643と上方ベース部431との間の距離を極力大きく確保することが可能となる。つまり、ガイド部64のうち、ガイド部64の内周に配置された部位(保持部43など)に接触することで栓蓋6の傾き抑制に特に寄与する二箇所の部分(内向突部643、及び、ガイド部64のうち上方ベース部431に接触する部位)を上下方向に沿ってより離間した状態とすることができる。従って、栓蓋6の傾きを非常に効果的に抑制することができる。
また、上方ベース部431を保持部43の最上部に設けることで、本実施形態のように、栓蓋6の上下動時に、常に上方ベース部431の外周に沿ってリブ部644が移動する構成とした場合であっても、ガイド部64やリブ部644を極端に長いものとせずに済む。これにより、栓蓋6の大型化や複雑化をより確実に防ぐことができ、装置の製造等に係るコストの低減をより一層図ることができる。
加えて、仮に支持軸52を勢いよく上動させること等により、支持軸52から栓蓋6が浮いた状態となり、アーム部42よりも上方に脚部642が配置された状態になったとしても、アーム部42の鉛直上方に脚部642の所定部位(本実施形態では、脚部642の下部)が配置されず、ひいては排水口102を開状態から閉状態へと切換えたときにアーム部42に脚部642が乗り上げた状態とならないようになっている。その結果、アーム部42に対する脚部642の乗り上げに伴い、排水口102が閉状態へと適切に切換わらなかったり、ガイド部64から保持部43が抜けてしまったりすることをより確実に防止することができ、装置の動作安定性を一層高めることができる。
さらに、保持部43に設けられたスリットSによって、栓蓋6の配設及び取外をより容易に行うことが可能となり、使用者にとっての利便性を効果的に高めることができる。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)上記実施形態では、排水口102の開閉状態に関わらず、基本的にはアーム部42同士の間に各脚部642が配置されるように構成されている。これに対し、排水口102が閉状態であるときにはアーム部42同士の間に配置される一方、排水口102が開状態であるときにはアーム部42よりも上方に配置される(すなわち、アーム部42同士の間から抜ける)ように脚部642を構成してもよい。
この場合、脚部642は、排水口102が閉状態であるときにアーム部42同士の間に配置される程度の十分な長さを有することになる。そのため、栓蓋6の傾き抑制機能を十分に発揮させることができる。
さらに、排水口102が開状態であるときにアーム部42間に脚部642が配置される場合と比べて、アーム部42間に形成される通水面積をより大きく確保することができる。これにより、良好な排水性能をより確実に得ることができる。また、脚部642が過度に長いものとならないようにすることができるため、保持部43と脚部642との摺動抵抗が過度に大きなものとなってしまうことを防止でき、ひいては、より良好な操作性や動作安定性を得ることができる。
また、上記の構成を採用する場合には、内向突部643の移動可能範囲がガイド溝部433内に限定されることで、排水口102が開状態であるときにアーム部42の鉛直上方に脚部642の所定部位が配置されなくなり、排水口102を開状態から閉状態へと切換えたときにアーム部42に脚部642が乗り上げた状態とならないように構成してもよい。この場合には、乗り上げに伴い、排水口102が閉状態へと適切に切換わらなかったり、ガイド部64から保持部43が抜けてしまったりすることをより確実に防止することができ、装置の動作安定性を一層高めることができる。
(b)図11に示すように、保持部43のうち側方ベース部432の鉛直上方に対応する位置に、下方に向けて徐々に幅の広くなる突起状をなす位置補正突部434を設けることとしてもよい。この場合には、栓蓋6を配設する際において、万が一、保持部43の周方向に沿って側方ベース部432と同じ位置に内向突部643を配置した状態で、ガイド部64内へと保持部43を挿通した場合であっても、位置補正突部434によって、内向突部643を側方ベース部432側からガイド溝部433側へと案内することができる。従って、栓蓋6を配設する際に、側方ベース部432に内向突部643が乗り上げた不適切な状態となってしまうことをより確実に防止でき、ガイド溝部433内に内向突部643が配置された適切な状態をより確実に実現することができる。
尚、図11に示す位置補正突部434は、正面視三角形状をなしているが、側方ベース部432側からガイド溝部433側へと内向突部643を案内することが可能である限り、位置補正突部の形状は特に限定されるものではない。例えば、位置補正突部を、正面視円形状や半円形状、菱形状などとしてもよい。
(c)上記実施形態において、ガイド部64は脚部642を有するように構成されているが、図12に示すように、ガイド部64が円筒状をなし、脚部を備えないものであってもよい。
また、上記実施形態において、脚部642は3本設けられているが、脚部の数を適宜変更してもよい。従って、例えば、脚部を2本設けることとしてもよいし、また、図13に示すように、脚部642を4本設けることとしてもよい。
(d)上記実施形態において、上方壁部431Aは、保持部43の中心軸を含む断面において、前記中心軸に対し傾斜した形状をなすように構成されているが、前記断面において、前記中心軸に対し直交する形状をなすように上方壁部を構成してもよい。すなわち、上方壁部431Aが、切り立った形状をなすように構成してもよい。この場合には、保持部43からのガイド部64の抜けを一層確実に防止することができる。
(e)上記実施形態において、上方ベース部431は、保持部43の最上部に設けられているが、保持部43における最上部以外の部位に上方ベース部431を設けることとしてもよい。例えば、保持部43の最上部よりも若干だけ下方の位置に上方ベース部を設けることしてもよい。
(f)上記実施形態では、複数のガイド溝部433が保持部43の全周範囲に対応して設けられているが、ガイド溝部433を、保持部43の周方向に沿った一定範囲(例えば保持部43の外周における半周分の範囲)のみに対応して設けることとしてもよい。
また、上記実施形態では、3つのガイド溝部433が設けられているが、ガイド溝部433の数は特に限定されるものではない。従って、例えば、ガイド溝部433を1つのみ設けることとしてもよい。また、脚部642を4本設け、各脚部642の内周面に内向突部643をそれぞれ設けるような場合(例えば、図13に示すような場合)には、図14に示すように、各内向突部643に対応するように、ガイド溝部1233を4つ設けることとしてもよい。
尚、図14に示すアタッチメント部材12は、上記実施形態におけるアタッチメント部材4と同一の基本構成を有するものであり、外環部121、アーム部122及び保持部123を備えたものである。但し、このアタッチメント部材12は、外環部121の下部から外側に突出する複数の取付突部121Aを具備しており、また、外環部121には、複数の取付凹部121Bが形成されている。一方、図15に示すように、アタッチメント部材12の取付けられる排水口部材13は、上記実施形態と同様に鍔部131及び雄ねじ部132を有するが、上記実施形態とは異なり、その内周に、取付凹部121Bに対応する複数の支持突部133を備えている。そして、支持突部133を取付凹部121Bに配置(支持突部133に対し外環部121における取付凹部121Bを形成する部位を載置)しつつ、取付突部121Aを排水口部材13の下面に係止することで、図16に示すように、排水口部材13に対しアタッチメント部材12が相対回転不能な状態で取付られるようになっている。このように、アタッチメント部材の配設手法は上記実施形態で挙げた手法に限定されるものではなく、適宜変更可能である。
さらに、ガイド溝部433の形状は、上記実施形態で挙げた形状に限定されるものではなく、適宜変更可能である。例えば、上記実施形態において、保持部43の周方向に沿ったガイド溝部433の幅は、保持部43の中心軸方向に沿って(上下方向に沿って)一定となるように構成されているが、ガイド溝部433の各部において幅が変化するように構成してもよい。ここで、ガイド溝部433のうち、排水口102が開状態であるときに内向突部643の配置される部位の幅が、排水口102が閉状態であるときに内向突部643の配置される部位の幅よりも小さなものとなるように構成してもよい。この場合には、排水口102が開状態であるとき、すなわち、栓蓋6の回転が特に生じ得るときに、栓蓋6の回動可能角度をより小さなものとすることができ、美観の向上を一段と図ることができる。また、ガイド溝部433の最上部、つまり、ガイド部64に保持部43を挿通する際に、内向突部643がまず配置されることになる部位の幅を、ガイド溝部433のうち排水口102が開状態であるときに内向突部643の配置される部位の幅よりも大きくなるように構成してもよい。この場合には、ガイド溝部433に対する内向突部643の配置、すなわち、栓蓋6の配設をより容易に行うことができ、使用者にとっての利便性の向上を一層図ることができる。
(g)上記実施形態では、支持軸52を下動させた状態において、保持部43の上端面及び支持軸52の上端面が面一となるように構成されている(図10参照)が、必ずしも両者を面一とする必要はない。従って、例えば、図17に示すように、保持部123の上端部に、上方に向けて突出し、上動させた状態の支持軸52の上端面付近まで延びる保護凸部1234を設けることとしてもよい。この場合には、誤って栓蓋6を踏んでしまったときなど、栓蓋6に対し大きな負荷が加わったときに、負荷が支持軸52及び保護凸部1234へと分散して伝わることになるため、支持軸52に対する負荷の集中を防止することができる。これにより、支持軸52(支持軸機構5)の破損や、保持部123からの支持軸52(支持軸機構5)の抜け落ちといった事態の発生をより確実に防ぐことができる。
(h)上記実施形態において、栓蓋6は、支持軸52の上端面に対し単に載置されるように配設されている。これに対し、栓蓋6の背面中央部に筒状部を形成し、当該筒状部に対し支持軸52の上端部を嵌合することで、栓蓋6を支持軸52に対し取付けることとしてもよい。この場合には、ガイド溝部433に内向突部643が配置されることによる作用効果と、嵌合による作用効果とが相俟って栓蓋6の外れ防止をより一層確実に図ることができる。
尚、栓蓋6の背面に設けられた筒状部に対し支持軸52の上端部を嵌合する構成を採用する場合には、前記筒状部の内周に突起を設けるとともに、図18に示すように、支持軸52の上部にくびれ部52Aを設け、当該くびれ部52Aに対し前記筒状部の前記突起が配置されるように構成してもよい。この場合には、栓蓋6の外れ防止を一層確実に図ることができる。
(i)上記実施形態において、支持軸機構5は、外筒部51及び支持軸52を備えており、外筒部51の外周に保持部43が配置される構成となっている。すなわち、外筒部51及び保持部43は別々に設けられている。これに対し、保持部43が外筒部51を兼ねることとし、外筒部51を省略することとしてもよい。この場合、支持軸52の外周に保持部43が配置され、当該保持部43の外周にガイド部64が配置される構成となる。
(j)上記実施形態では、栓蓋6(パッキン部63)が排水口部材2に接触することで排水口102が閉鎖されるように構成されているが、栓蓋6(パッキン部63)が底面部101に接触することで排水口102が閉鎖されるように構成してもよい。
(k)上記実施形態では、槽体として浴槽100を例示しているが、本発明の技術思想を適用可能な槽体は浴槽に限定されるものではない。従って、例えば、洗面ボールやキッチンの流し台などの浴槽以外の槽体に対し本発明の技術思想を適用してもよい。